JP4933032B2 - 溶銑の脱硫方法 - Google Patents
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Description
しかし、この方法では、溶銑鍋への溶銑の受銑の前に、脱硫スラグの投入処理が要求される。また、脱硫スラグだけによって目的とする脱硫(反応)が確保されるとは限らない。
本発明は、このような点に着目してなされたもので、石灰系脱硫剤と共に脱硫スラグを脱硫剤として使用しても効率よく脱硫を施すことを可能とすることを課題としている。
別の溶銑の脱硫処理で発生した脱硫スラグのうちの500℃以上の高温の脱硫スラグを溶銑脱硫剤の一部として、上記新たな石灰系脱硫剤の投入に前に、上記脱硫対象の溶銑に投入し、
上記溶銑への高温の脱硫スラグ及び新たな石灰系脱硫剤の投入は、まず高温の脱硫スラグを投入し攪拌により当該高温スラグを溶銑中に分散させてから、新たな石灰系脱硫剤を投入することを特徴とするものである。
また、冷間状態で脱硫スラグを溶銑に投入すると塊となったままで反応効率が悪いことも確認した。さらに、冷間状態の脱硫スラグを一度破砕して細粒化してから攪拌中の溶銑に投入すると、冷却された脱硫スラグが溶銑と同じ温度になるまでに所定の時間が掛かることとその過程で再度塊状となりやすくこれが反応効率を悪化させることも確認した。また、冷間状態の脱硫スラグを投入することはその分だけ溶銑の温度を下げることに繋がる。
ここで、新たな石灰系脱硫剤を補充しながら脱硫スラグを循環使用することで、目的とする脱硫を確保しつつ閉鎖系に近い状態で脱硫剤の循環使用が可能となる。
また、請求項1のように、脱硫スラグが溶銑内に分散してからつまり脱硫スラグが脱硫剤として働く状態としてから新たな石灰系脱硫剤の投入することで、新たな石灰系脱硫剤を脱硫スラグと一緒に使用しても、当該新たな石灰系脱硫剤が脱硫スラグに取り込まれることなく脱硫剤として働く。
一般に溶銑の脱硫で使用される石灰系脱硫剤(例えばCaO95%CaF25%)は高融点(>1700℃)であり、固体の状態で溶銑中の硫黄分と反応して脱硫作用をなす。常温の石灰系脱硫剤を添加すると、溶銑との接触部分が局所的に冷却され、石灰系脱硫剤と凝固した溶銑が混在した直径2〜20mm程度の球形に凝集する。その際、未反応の石灰系脱硫剤が球形凝集物内部に入り、封じ込まれて脱硫反応に寄与しにくい。したがって、石灰系脱硫剤を使用して発生する脱硫スラグ中には未反応石灰系脱硫剤が存在し、これを脱硫剤として再使用することができる。しかしながら、脱硫剤として再使用を図る脱硫スラグの再使用も冷間状態で使用する限り同じ現象が生じ反応効率悪化がある。
図1(a)において、石灰系脱硫剤を溶銑に投入した(図1(a)(イ))際、溶銑をインペラ(以下単に撹拌翼という)で撹拌して溶銑に流動を生じさせ(図1(a)(ロ))ても、その表面に一旦浮遊(図1〈a)(ハ))し、溶銑との濡れ状態となった段階で溶銑中に巻き込まれ(図1(a)(ハ)〜(ホ))ていく。この濡れ状態になるには、温度に大きく依存し、冷たい状態では溶銑中に巻き込まれるまで、すなわち浸入することができるまで浮遊し待機する(図1(a)(ハ)〜(ニ))状態を生じる。
熱間で再利用することから、溶銑に投入した(図1(b)(イ)(ロ))際、高温であるため溶銑との濡れ性がよく(図1(b)(ハ))、溶銑中に速やかに浸入する(図1(b)(ニ))こと、速やかに浸入した再利用スラグは、凝集物を形成している凝固した溶銑の再溶融を生じやすく細分化が進行(図1(b)(ホ))していることをつきとめた。
そして、細分化が進行することから、冷間使用に比べて反応効率が良い(図1(b)(へ))ことを知見し、本発明の完成に至ったものである。なお、説明上、図1(a)(b)において溶銑へ投入(イ)、撹拌処理(ロ)の順序としてフローを示しているが、逆であってもかまわないことはもちろんである。
図2は本実施形態に係る脱硫処理の工程を示す概要図であり、図3は処理設備の配置例を示す平面図である。
この図2及び図3を使用して本実施形態の脱硫処理を説明すると、予め、図2(a)に示すように、除滓場1に滓鍋2とは別にスラグ回収容器としてのスラグ回収鍋3を配置しておく(準備工程)。本実施形態では、空の溶銑鍋をスラグ回収鍋3として使用する。
そして、図2(b)に示すように、脱硫処理が終了し、まだ溶銑及び脱硫スラグSを収容した状態の溶銑鍋4を、トラックやクレーンなどの運搬手段5で上記除滓場1まで搬送して、その溶銑鍋4内のまだ高温状態の脱硫スラグSを上記スラグ回収鍋3に掻き出す(スラグ回収工程)。
なお、上記処理の後では、スラグ回収鍋3には凝固して固まった脱硫スラグSがスラグ回収鍋3の内壁に付着した状態となっている。このスラグ回収鍋3に付着残留したいわゆる低温の脱硫スラグSは、滓鍋2等に掻き出して除去し、空になったスラグ回収鍋3を、除滓場1に待機させて次回の脱硫スラグの回収に使用する。
ここで、脱硫スラグSは、高温の場合には溶銑との濡れ性が高いことから、高温の状態で溶銑内の投入すると攪拌によってすぐにばらばらに分解されて溶銑内に分散し、もって脱硫剤として作用する。
ここで、脱硫対象となる溶銑の量などから必要となる脱硫剤の投入量が分かると共に、高温の脱硫スラグS1の脱硫剤として単位量当たりの効率は予め実験などによって求めておくことができるため、新たに追加する石灰系脱硫剤9の量は求めることができる。例えば、高温の脱硫スラグS1中のCaOの寄与率を50%として、目的とする脱硫基準量を満足するように新たに追加する石灰系脱硫剤9の使用量を決定する。
また、脱硫スラグSが分解・分散してから、新たな石灰系脱硫剤9を投入することで当該新たな石灰系脱硫剤9が脱硫スラグSに取り込まれることが防止でき、脱硫スラグSと共に新たな石灰系脱硫剤9を使用しても、効率の良い脱硫処理を実現可能である。
これによって、高温の脱硫スラグS1が循環して再利用されることとなり、新たに使用される石灰系脱硫剤9の使用量を抑えることができる。
また、溶銑に脱硫剤として投入する脱硫スラグS1は高温であるので、当該脱硫スラグSの投入による溶銑の温度降下を小さく抑えることができる。
実施例を表1に示す。
ここで、上記実施形態では、脱硫によって生じた脱硫スラグSを除滓場1に置いたスラグ回収鍋3に排出し、そのスラグ回収鍋3の傾動により直接、高温の脱硫スラグS1を溶銑に投入する場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、脱硫によって生じた脱硫スラグSを除滓場1の土間や滓鍋2に排出し、その排出された脱硫スラグSのうちの高温のスラグと思われる部分をショベルカーのショベルなどで掬い取って脱硫対象の溶銑に投入するようにしても良い。高温の脱硫スラグS1部分は赤熱化しており、高温でない脱硫スラグSは凝固して固り暗黒色であるので、赤熱化している部分だけを掬いとるようにすればよい。
また、上記高温の脱硫スラグS1の投入を、溶銑の攪拌中に行うようにしても良い。
また、先に石灰系脱硫剤9を投入し攪拌させて当該石灰系脱硫剤による脱硫反応が終了した時点で高温の脱硫スラグS1を投入・攪拌しても良いが、上述の実施例に比べて処理時間が長くなる。
S1 高温の脱硫スラグ
1 除滓場
2 滓鍋
3 スラグ回収鍋
4、5 溶銑鍋
8 攪拌翼
9 新たな石灰系脱硫剤
Claims (2)
- 脱硫対象の溶銑に対し石灰系脱硫剤を投入すると共に攪拌を行うことで当該溶銑の脱硫処理を行う溶銑の脱硫方法において、
別の溶銑の脱硫処理で発生した脱硫スラグのうちの500℃以上の高温の脱硫スラグを溶銑脱硫剤の一部として、上記新たな石灰系脱硫剤の投入に前に、上記脱硫対象の溶銑に投入し、
上記溶銑への高温の脱硫スラグ及び新たな石灰系脱硫剤の投入は、まず高温の脱硫スラグを投入し攪拌により当該高温スラグを溶銑中に分散させてから、新たな石灰系脱硫剤を投入することを特徴とする溶銑の脱硫方法。 - 上記高温の脱硫スラグの溶銑への投入処理は、脱硫処理によって発生した脱硫スラグを一旦スラグ回収容器に排出し、そのスラグ回収容器を傾けることで当該スラグ回収容器から排出されるスラグを高温の脱硫スラグとして新たな脱硫対象の溶銑に投入することを特徴とする請求項1に記載した溶銑の脱硫方法。
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