WO2015129669A1 - 石油コークス微粉砕物、石油コークス微粉砕焼成物、ゴム配合物用フィラーおよびゴム配合物 - Google Patents

石油コークス微粉砕物、石油コークス微粉砕焼成物、ゴム配合物用フィラーおよびゴム配合物 Download PDF

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Abstract

 ゴム配合物のフィラーとして好適に使用し得る石油コークス微粉砕物および石油コークス微粉砕焼成物を提供するとともに、コストの上昇を抑制しつつ、特にタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させるゴム配合物用フィラーおよびゴム配合物を提供する。 平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物、石油コークスを焼成および粉砕して得られる石油コークス微粉砕焼成物であり、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕焼成物、石油コークスを粉砕して得られたゴム配合物用フィラーおよび上記石油コークス微粉砕物もしくは石油コークス微粉砕焼成物を配合してなるゴム配合物である。

Description

石油コークス微粉砕物、石油コークス微粉砕焼成物、ゴム配合物用フィラーおよびゴム配合物
 本発明は、石油コークス微粉砕物、石油コークス微粉砕焼成物、ゴム配合物用フィラーおよびゴム配合物に関する。
 タイヤトレッド等のタイヤ部材用のゴム配合物においては、天然ゴム(NR)、スチレンーブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)等のゴム成分に対し、さらに混合加工性、ゴム弾性、耐摩耗性および機械的性質等の諸特性を改善するために、上記ゴム成分の種類や分子量に応じて、種々の配合成分が添加されている(例えば、特許文献1(特開2001-30714号公報)参照)。
 例えば、タイヤトレッド等のタイヤ部材用のゴム配合物においては、ゴム成分とともに、耐久性を向上させるために、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、カーボンブラック、硫酸バリウム等の種々の無機充填剤が配合されているが、これ等の無機充填剤は、ゴム成分による特性を低下させたり、コストアップ要因になっている。
 一方、トラックやフォークリフト等の産業用車両は、重量物を運送または搬送するものであり、タイヤに高い荷重がかかる結果、タイヤが摩耗したりチップカット等の破損や裂け等を生じ易くなることから、消耗品であるタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用されるゴム配合物を、耐久性を効果的に向上させつつ安価に提供することが求められるようになっている。
特開2001-30714号公報
 このような状況下、本発明は、コストの上昇を抑制しつつ、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させる新規なフィラーおよびゴム配合物を提供することを目的とするものである。
 ところで、石油精製プロセスにおいては、各種燃料油を製造する過程で、副生物として石油コークスが生成する。
 石油コークスは、石油精製プロセスにおいて生成する熱分解油を原料として、熱分解装置で熱分解原料油を熱分解し、軽質分として熱分解油分を採取した後に残るものである。
 熱分解原料油の熱分解により生成する石油コークスは、熱分解処理後、ウォータージェット等によって砕かれて、熱分解装置から取り出される。熱分解装置から取り出された石油コークスは、一般にショットコークスと呼ばれる粒状のものや、一般にスポンジコークスと呼ばれる多孔質の大きな塊状のものがあるが、現在、このような石油コークスは、特開2012-132603号公報に示すように燃料用として用いられるに止まっている。
 本発明者等は、種々検討を重ねた結果、上記石油コークスに着目するに至り、さらに鋭意検討を重ねた結果、上記石油コークスのうち、特定のものをゴム配合物のフィラーとして使用することにより、石油コークスの有効利用を図り、その付加価値を高めつつ、同時に上記技術課題を解決し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明は、
(1)平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下であることを特徴とする石油コークス微粉砕物、
(2)平均粒子径(D50)が0μmを超え3.0μm以下である上記(1)に記載の石油コークス微粉砕物(以下、適宜、石油コークス微粉砕物aと称する)、
(3)下記式(A):
   スパン=(D90-D10)/D50    (A)
(ただし、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、50%、90%の粒径を意味する)
で表されるスパンが0.3~5.0である上記(2)に記載の石油コークス微粉砕物、
(4)平均粒子径(D50)が3μmを超え50μm以下である上記(1)に記載の石油コークス微粉砕物(以下、適宜、石油コークス微粉物bと称する)、
(5)下記式(A):
   スパン=(D90-D10)/D50    (A)
(ただし、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、50%、90%の粒径を意味する)
で表されるスパンが0.3~7.0である上記(4)に記載の石油コークス微粉砕物、
(6)石油コークスを焼成および粉砕して得られる石油コークス微粉砕焼成物であり、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下であることを特徴とする石油コークス微粉砕焼成物、
(7)下記式(A):
   スパン=(D90-D10)/D50    (A)
(ただし、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、50%、90%の粒径を意味する)
で表されるスパンが0.3~7.0であることを特徴とする上記(6)記載の石油コークス微粉砕焼成物、
(8)石油コークスを粉砕して得られたことを特徴とするゴム配合物用フィラー、
(9)天然ゴムに対し、上記(1)に記載の石油コークス微粉砕物を配合してなることを特徴とするゴム配合物(以下、適宜、ゴム配合物aと称する)、
(10)前記天然ゴム100質量部に対し、前記石油コークス微粉砕物を1~500質量部配合してなる上記(9)に記載のゴム配合物、
(11)天然ゴムに対し、上記(6)に記載の石油コークス微粉砕焼成物を配合してなることを特徴とするゴム配合物(以下、適宜、ゴム配合物bと称する)、
(12)前記天然ゴム100質量部に対し、前記石油コークス微粉砕焼成物を1~500質量部配合してなる上記(11)に記載のゴム配合物、
(13)スチレンーブタジエン共重合体ゴムに対し、上記(1)に記載の石油コークス微粉砕物を配合してなることを特徴とするゴム配合物(以下、適宜、ゴム配合物cと称する)、
(14)前記スチレンーブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、前記石油コークス微粉砕物を1~500質量部配合してなる上記(13)に記載のゴム配合物、
(15)天然ゴムに対し、上記(1)に記載の石油コークス微粉砕物およびカーボンブラックを配合してなることを特徴とするゴム配合物(以下、適宜、ゴム配合物dと称する)、
(16)前記天然ゴム100質量部に対し、前記石油コークス微粉砕物1~500質量部と、前記カーボンブラック1~500質量部とを配合してなる上記(15)に記載のゴム配合物、
(17)スチレンーブタジエン共重合体ゴムに対し、上記(1)に記載の石油コークス微粉砕物およびカーボンブラックを配合してなることを特徴とするゴム配合物(以下、適宜、ゴム配合物eと称する)、
(18)前記スチレンーブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、前記石油コークス微粉砕物1~500質量部と、前記カーボンブラック1~500質量部とを配合してなる上記(17)に記載のゴム配合物、
を提供するものである。
 本発明によれば、ゴム配合物のフィラーとして好適に使用し得る石油コークス微粉砕物および石油コークス微粉砕焼成物を提供することができるとともに、コストの上昇を抑制しつつ、特にタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させるゴム配合物用フィラーおよびゴム配合物を提供することができる。
実施例aで得られたフィラー(100μm以下品)の粒度分布測定結果を示す図である。横軸は粒子径(μm)を示し、左縦軸は頻度(%)を示し、右縦軸は通過分積算(%)を示す。 実施例aで得られたフィラー(100μm以下品)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。(a)は倍率500倍、(b)は倍率5000倍である。(a)の右下のメモリは100μmを示し、(b)の右下のメモリは10.0μmを示している。 実施例aで得られたEPDMに対するフィラー(100μm以下品)の配合量が50phrであるシートのSEM写真である。(a)は倍率1000倍、(b)は倍率5000倍である。(a)の右下のメモリは50.0μmを示し、(b)の右下のメモリは10.0μmを示している。 実施例aで得られた微細フィラーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。(a)は倍率5000倍、(b)は倍率10000倍である。(a)の右下のメモリは10.0μmを示し、(b)の右下のメモリは5.00μmを示している。 実施例aで得られた微細フィラーの配合量が50phrのシートのSEM写真である。(a)は倍率1000倍、(b)は倍率5000倍である。(a)の右下のメモリは50.0μmを示し、(b)の右下のメモリは10.0μmを示している。 実施例aで得られたフィラー(100μm以下品)をEPDMに50phr配合したシートと、微細フィラーをEPDMに37phr配合したシートの応力-ひずみの関係を示すグラフである 実施例1で得られた石油コークス微粉砕物のSEM写真(1000倍)である。 実施例1で得られた石油コークス微粉砕物のSEM写真(5000倍)である。 実施例1で得られた石油コークス微粉砕物のSEM写真(20000倍)である。 実施例2で得られた石油コークス微粉砕物のSEM写真(1000倍)である。 実施例2で得られた石油コークス微粉砕物のSEM写真(5000倍)である。 実施例2で得られた石油コークス微粉砕物のSEM写真(20000倍)である。 実施例1で得られた石油コークス微粉砕物のIRチャートである。 実施例10の石油コークス微粉砕焼成物のSEM写真(1000倍)である。 実施例10の石油コークス微粉砕焼成物のSEM写真(5000倍)である。 実施例10の石油コークス微粉砕焼成物のSEM写真(20000倍)である。 実施例10の石油コークス微粉砕焼成物のIRチャートである。
 先ず、本発明に係る石油コークス微粉砕物について説明する。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物は、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下であることを特徴とするものである。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物としては、平均粒子径(D50)が0μmを超え3.0μm以下である石油コークス微粉砕物aや、平均粒子径(D50)が3.0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物bを挙げることができる。
 以下、本発明に係る石油コークス微粉砕物について説明するが、以下の説明は、特に断らない限り、石油コークス微粉砕物aや石油コークス微粉砕物bにも共通するものである。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物は、石油コークスを粉砕して得られる粉砕物であり、石油コークスが粉砕手段により細かく粉砕された粉砕物である。
 粉砕原料となる石油コークスは、石油精製プロセスにおいて生成する熱分解原料油を、熱分解装置で熱分解処理されることにより得られるものであり、熱分解処理により生成する軽質分を採取した後に残るものである。
 熱分解処理される熱分解原料油としては、原油を常圧蒸留した後の常圧蒸留残渣油や、常圧蒸留残渣油を減圧蒸留した後の減圧蒸留残渣油や、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油や、常圧蒸留残渣油および減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)との混合油が挙げられる。
 熱分解原料油に係る常圧蒸留残渣油は、特に制限はなく、原油を常圧蒸留して、蒸発留分を分離した後の残渣分である。熱分解原料油に係る減圧蒸留残渣油は、特に制限はなく、常圧蒸留残渣油を減圧蒸留して、蒸発留分を分離した後の残渣分である。熱分解原料油は、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油であってもよく、熱分解原料油が、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油である場合、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合割合は、特に制限されず、適宜調節される。
 常圧蒸留残渣油の蒸留原料となる原油としては、特に制限されず、原油種としては、例えば、アラビアンヘビー、アラビアンミディアム、アラビアンライト、アラビアンエクストラライト、クウェート、バスラ、オマーン、マーバン、ムバラスブレンド、ザクム、アッパーザクム、カタールランド、カタールマリン、ウムシャイフ、シリー、カフジ、エスポ等が挙げられ、いずれか1種であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
 また、熱分解原料油は、常圧蒸留残渣油および減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)の混合油、すなわち、常圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油、減圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油、又は常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油であってもよい。熱分解原料油が、常圧蒸留残渣油および減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)の混合油である場合、他の炭化水素油(1)は、本発明の効果を示す範囲の炭化水素油であればよく、例えば、流動接触分解処理のスラリーオイル、エチレンクラッカー残渣油等が挙げられる。
 熱分解処理の条件であるが、熱分解温度は、好ましくは490~510℃、より好ましくは495~505℃であり、また、熱分解処理の際の圧力(ゲージ圧)は、好ましくは0.01~0.6MPaG、より好ましくは0.05~0.4MPaGである。
 また、熱分解処理の雰囲気は、スチームである。
 また、熱分解処理中に過度の発泡が認められる場合は、消泡剤を投入する事もある。消泡剤としては、一般的にシリコン系の消泡剤などを用いることができる。
 熱分解原料油の熱分解により生成する石油コークスは、熱分解処理後、ウォータージェット等を用いて砕かれて、熱分解装置から取り出される。そして、熱分解装置から取り出される石油コークスは、一般にショットコークスと呼ばれる形状が粒状のものや、一般にスポンジコークスと呼ばれる形状が多孔質の大きな塊状のものであり、本発明に係る石油コークス微粉砕物を製造するための粉砕原料としては、ショットコークスであっても、スポンジコークスであっても、それらの混合物であってもよい。また、熱分解装置から取り出された石油コークスは、必要に応じて、室温(20℃)~500℃で乾燥される。
 次いで、熱分解装置から取り出された石油コークスは、粉砕処理されて、本発明に係る石油コークス微粉砕物が得られる。粉砕処理を行うための粉砕手段としては、特に制限されず、また、乾式であっても湿式であってもよい。粉砕手段としては、ジョークラッシャ、ジョイレトリクラッシャ、コーンクラッシャ、ハンマクラッシャ、自生粉砕機、ボールミル、ローラミル、高速回転ミル、ジェットミル等の粉砕装置が挙げられる。また、粉砕処理条件は、目的とする微粉砕物の平均粒子径、その他の粒度特性、粉砕手段、粉砕回数等により、適宜選択される。粉砕処理された石油コークスは、必要に応じて分級される。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物の平均粒子径(D50)は、0μmを超え50μm以下である。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物において、石油コークス微粉砕物の平均粒子径(D50)は、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、5μm以下が特に特に好ましい。
 また、本発明に係る石油コークス微粉砕物において、石油コークス微粉砕物の平均粒子径(D50)は、0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましく、0.2μm以上がさらに好ましい。
 石油コークス微粉砕物の平均粒子径(D50)が上記範囲内にあることにより、分散性が高まり、ゴム配合物のフィラーとして用いたときに、コストの上昇を抑制しつつ、ゴム配合物の引張強度を容易に向上させることができる。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物が、石油コークス微粉砕物aである場合、その平均粒子径(D50)は、0μmを超え3μm以下である。
 石油コークス微粉砕物aの平均粒子径(D50)は、2.5μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましく、1.0μm以下がさらに好ましく、0.8μm以下が特に好ましい。
 また、石油コークス微粉砕物aの平均粒子径(D50)は、0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましく、0.2μm以上がさらに好ましい。
 石油コークス微粉砕物aの平均粒子径(D50)が上記範囲内にあることにより、ゴム配合物のフィラーとして用いたときにその分散性を容易に高めることができ、ゴム配合物の引張強度を向上させ、伸びも増大させることができる。
 石油コークス微粉砕物aの平均粒子径(D50)の分散性等をより向上させたい場合には、石油コークス微粉砕物aの平均粒子径(D50)は、0.1~1.0μmが好ましく、0.1~0.5μmがより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物が、石油コークス微粉砕物bである場合、その平均粒子径(D50)は、3μmを超え50μm以下である。
 石油コークス微粉砕物bの平均粒子径(D50)は、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、5μm以下が特に好ましい。
 また、石油コークス微粉砕物bの平均粒子径(D50)は、3.3μm以上が好ましく、3.5μm以上がより好ましい。
 石油コークス微粉砕物bの平均粒子径(D50)が上記範囲内にあることにより、低コストで製造することができ、ゴム配合物のフィラーとして用いたときにその分散性を適度に高めつつ、ゴム配合物の引張強度を向上させることができる。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物は、下記式(A)
   (D90-D10)/D50    (A)
(ただし、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、50%、90%の粒径を意味する)
で表されるスパンが、0.3~7であることが好ましく、0.3~6であることがより好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物のスパンが上記範囲内にあることにより、ゴム配合物のフィラーとして使用したときに配合条件を容易に設計することができる。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物が、石油コークス微粉砕物aである場合、下記式(A)
   スパン=(D90-D10)/D50    (A)
(ただし、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、50%、90%の粒径を意味する)
で表されるスパンは、0.3~5.0であることが好ましく、0.3~3.0であることがより好ましい。
 石油コークス微粉砕物aのスパンが上記範囲内にあることにより、ゴム配合物のフィラーとして使用したときに配合条件をより容易に設計することができる。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物が、石油コークス微粉砕物bである場合、下記式(A)
   スパン=(D90-D10)/D50    (A)
(ただし、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、50%、90%の粒径を意味する)
で表されるスパンは、上記と同様に、0.3~7.0であることが好ましく、0.3~6.0であることがより好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物において、石油コークス微粉砕物のD90は、150μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。
 また、本発明に係る石油コークス微粉砕物において、石油コークス微粉砕物のD10は、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上がさらに好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物が、石油コークス微粉砕物aである場合、石油コークス微粉砕物aのD90は、10.0μm以下が好ましく、5.0μm以下がより好ましく、3.0μm以下がさらに好ましい。 また、石油コークス微粉砕物aにおいて、D10は、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上がさらに好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物が、石油コークス微粉砕物bである場合、石油コークス微粉砕物bのD90は、150μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。
 また、石油コークス微粉砕物bにおいて、D10は、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましく、2.0μm以上がさらに好ましい。
 なお、本出願書類において、石油コークス微粉砕物のD10、D50(平均粒子径)およびD90は、各々、JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度で、10%、50%および90%の粒径を意味する。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物の硫黄含有量は、乾燥状態での硫黄含有量で、1~12質量%が好ましく、2~10質量%がより好ましく、4~8質量%がさらに好ましい。硫黄含有量が上記範囲にあることにより、基礎材料であるゴム成分との親和性が向上し、石油コークス微粉砕物の分散性を向上させることができる。
 熱分解原料油の熱分解処理により得られるコークスは、通常、水分を1~12質量%程度含有しているため、含水した状態の石油コークスの質量を、硫黄含有量の算出の基準とすると、石油コークスの含水状態により、石油コークス中の硫黄含有量の計算値が変動してしまう。そこで、石油コークス中の硫黄含有量の算出に当たっては、含水状態の石油コークスを200℃±10℃で4時間乾燥(JIS M 8811に準拠)させ、得られる乾燥状態の石油コークスの質量を測定し、その乾燥状態の石油コークスの質量を基準に、JIS M 8819の規定に基づいて石油コークス中の硫黄含有量を算出する。つまり、石油コークスの乾燥状態での硫黄含有量とは、乾燥状態の石油コークスの質量に対する石油コークス中の硫黄の質量を意味する。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物において、石油コークス微粉砕物の嵩密度は、0.1~1.0g/cmが好ましい。
 石油コークス微粉砕物の嵩密度の上限値は、0.8g/cmがより好ましく、0.5g/cmがさらに好ましく、0.4g/cmが特に好ましい。
 石油コークス微粉砕物の嵩密度の下限値は、0.2g/cmがより好ましく、0.3g/cmがさらに好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物が、石油コークス微粉砕物aである場合、石油コークス微粉砕物aの嵩密度は、0.1~0.5g/cmであることが好ましく、0.2~0.4g/cmであることがより好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物が、石油コークス微粉砕物bである場合、石油コークス微粉砕物bの嵩密度は、0.2~1.0g/cmであることが好ましく、0.3~0.8g/cmであることがより好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物は、炭素原子を70~90質量%、水素原子を1~10質量%含むものが好ましい。
 なお、本出願書類において、炭素原子含有量および水素原子含有量は、JIS M 8813に準拠して測定された値を意味する。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物は、炭素原子および水素原子を、通常、炭化水素基の形態で含有している。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物が炭化水素基を有していることは、赤外線吸収スペクトル分析(IR)により確認することができ、本発明に係る石油コークス微粉砕物のIRチャートには、2800~3000cm-1付近にC-H、-CH-、CH-の伸縮振動に由来するピーク、1600cm-1付近にフェニル基C=Cに由来するピーク、1300~1500cm-1付近にC-H、-CH-、CH-の変角振動に由来するピーク、800~900cm-1付近にフェニル基C-Hに由来するピークのいずれか一種以上のピークが検出されることによって確認することができる。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物は、窒素含有量が、0.1~2.0質量%であることが好ましい。
 なお、本出願書類において、窒素含有量は、JIS M 8813に準拠して測定した値を意味する。
 また、本発明に係る石油コークス粉砕物の芳香族性炭素割合は、好ましくは75~98質量%、より好ましくは85~95質量%である。
 なお、本出願書類において、石油コークス微粉砕物の芳香族性炭素割合は、13CNMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける芳香族炭素(CA)のピーク面積強度(100~200ppm)を、全炭素のピーク面積強度(0~200ppm)で除すことにより算出される値を意味する。また、13C-NMRスペクトルは、重水素クロロホルムを溶媒とし、テトラメチルシラン(TMS)を内標に用いて、日本電子(株)製核磁気共鳴装置Alpha-400により測定されるものを意味する。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物は、固定炭素分含有量が、70~95質量%であることが好ましく、75~90質量%であることがより好ましい。
 なお、本出願書類において、石油コークス微粉砕物の固定炭素分は、JIS M 8812に準拠して測定した値を意味する。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物は、炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)が、0.1~1.0であることが好ましく、0.2~0.8であることがより好ましい。
 なお、本出願書類において、石油コークス微粉砕物の炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)は、JIS M 8813に準拠して測定される炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数から算出される値を意味する。
 本発明に係る石油コークス微粉砕物は、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下と微粒子状であり、特に石油コークス微粉砕物aや石油コークス微粉砕物bは、さらに限定された平均粒子径(D50)を有するために、従来燃料用途に使用されてきた石油コークスの付加価値を向上させ、ゴム配合物のフィラーとして好適に使用することができる。
 次に、本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物について説明する。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物は、石油コークスを焼成および粉砕して得られる石油コークス微粉砕焼成物であり、平均粒子径(D50)が50μm以下であることを特徴とするものである。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物は、石油コークスを焼成し、次いで、粉砕するか、又は石油コークスを粉砕し、次いで、焼成して得られる粉砕焼成物であり、石油コークスの焼成物であり且つ粉砕手段により細かく粉砕された粉砕物である。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物において、石油コークスの原料、石油コークスの製造方法および石油コークス等の詳細は、本発明に係る石油コークス微粉砕物の説明で述べたとおりである。
 上述したように、本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物は、熱分解装置から取り出された石油コークスを焼成し、次いで、粉砕することにより作製することができる。または、本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物は、熱分解装置から取り出された石油コークスを、粉砕し、次いで、焼成することにより作製することができる。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物において、上記焼成時の焼成温度は、500℃を超え1500℃以下が好ましく、500℃を超え1200℃以下がより好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物において、上記焼成時の焼成時間は、適宜選択されるが、0.5~10時間が好ましく、1~8時間がより好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物において、上記焼成時の雰囲気は、窒素ガス雰囲気、ヘリウムガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の不活性ガス雰囲気が好ましい。
 また、焼成時においては、酸素源を遮断して石油コークスの焼成を行ってもよいし、微量の酸素源の存在下で石油コークスの焼成を行ってもよい。
 上述したように、焼成および粉砕の対象となる石油コークスは、通常炭化水素基を有しているので、微量の酸素源の存在下で石油コークスの焼成を行うことにより、石油コークス中の炭化水素基を酸化し、石油コークスに含酸素官能基を導入することができる。含酸素官能基としては、特に制限されず、例えば、カルボキシル基、ヒドロシキル基、カルボニル基等が挙げられる。石油コークスに含酸素官能基が導入されていることは、X線光電子分光分析(XPS)により確認される。微量の酸素源の存在下で石油コークスの焼成を行う場合、焼成を行う方法としては、例えば、不活性ガス中に微量の酸素又は水を含有させ、この酸素又は水を微量に含有させた不活性ガスを焼成雰囲気に供給しながら、石油コークスの焼成を行う方法が挙げられる。このとき、不活性ガス中の酸素又は水の含有量およびトータル供給量は、適宜選択される。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物において、上記粉砕処理を行うための粉砕手段としては、特に制限されず、また、乾式であっても湿式であってもよい。粉砕手段としては、ジョークラッシャ、ジョイレトリクラッシャ、コーンクラッシャ、ハンマクラッシャ、自生粉砕機、ボールミル、ローラミル、高速回転ミル、ジェットミル等の粉砕装置が挙げられる。
 また、粉砕処理条件は、目的とする微粉砕物の平均粒子径、その他の粒度特性、粉砕手段、粉砕回数等により、適宜選択される。粉砕処理された粉砕処理物は、必要に応じて分級される。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物は、平均粒子径(D50)が、0μmを超え50μm以下である。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物の平均粒子径(D50)は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましく、5μm以下であることが一層好ましく、2μm以下であることがより一層好ましく、1μm以下であることがさらに一層好ましく、0.8μm以下であることが特に好ましく、0.5μm以下であることが最も好ましい。
 また、本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物は、平均粒子径(D50)が、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、0.2μm以上であることがさらに好ましい。
 特に小さい粒子が好まれる場合においては、本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物の平均粒子径(D50)は、0.1~1.0μmが好ましく、0.1~0.5μmがより好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物の平均粒子径(D50)が上記範囲内にあることにより、分散性が高まり、ゴム配合物のフィラーとして好適に使用することができるとともに、ゴム配合物のフィラーとして使用したときに、ゴム配合物の300%モジュラスを高めることができる。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物は、下記式(A):
   スパン=(D90-D10)/D50    (A)
(ただし、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、50%、90%の粒径を意味する)
で表されるスパンが、0.3~7.0であることが好ましく、0.3~6.0であることがより好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物のスパンが上記範囲内にあることにより、ゴム配合物のフィラーとして用いたときに、基礎材料であるゴム成分への配合条件の設計を容易に行うことができる。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物は、D90が、150μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。
 また、本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物は、D10が、0.01μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることがより好ましく、0.05μm以上であることがさらに好ましい。
 なお、本発明において、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度で、10%、50%、90%の粒径を意味する。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物の嵩密度は、0.1~1.0g/cmであることが好ましく、0.2~0.8g/cmであることがより好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物の硫黄含有量は、乾燥状態での硫黄含有量で、0.5~12質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましい。
 硫黄含有量が上記範囲にあることにより、基礎材料であるゴム成分との親和性が向上し、石油コークス微粉砕焼成物の分散性を容易に高めることができる。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物は、炭素原子含有量が好ましくは80~98質量%の物質からなり、水素原子を好ましくは0.1~4質量%含んでいる。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物の窒素含有量は、0.1~1質量%が好ましく、また、本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物の芳香族性炭素割合は、90~99%が好ましく、93~97%がより好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物の固定炭素分含有量は、90~99質量%が好ましく、93~97質量%がより好ましい。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物の炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)は、好ましくは0.01~0.3、より好ましくは0.01~0.1である。
 本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物は、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下と微粒子状であることにより、従来の燃料用途よりも付加価値の高いゴム配合物の配合材料として、好適に使用することができる。
 このため、本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物は、ゴム配合物のフィラーとして好適に使用することができ、このために、従来主として燃料用途に使用されてきた石油コークスの高付加価値化を行うことができる。
 次に、本発明に係るゴム配合物用フィラーについて説明する。
 本発明に係るゴム配合物用フィラーは、石油コークスを粉砕して得られたことを特徴とするものである。
 本発明に係るゴム配合物用フィラーとしては、上記本発明に係る石油コークス微粉砕物または石油コークス微粉砕焼成物からなるものが挙げられる。
 本発明に係るゴム配合物用フィラーを用いてゴム配合物を調製する場合、フィラーの配合割合やゴム配合物の調製方法、得られるゴム配合物の詳細は、以下、ゴム配合物a~ゴム配合物eの説明で述べるとおりである。
 次に、本発明に係るゴム配合物について説明する。
 本発明に係るゴム配合物は、天然ゴムまたはスチレンーブタジエン共重合体ゴムからなるゴム成分に対し、本発明に係る石油コークス微粉砕物または石油コークス微粉砕焼成物を配合してなるものであり、具体的には、ゴム配合物a~ゴム配合物eを挙げることができる。
 以下、ゴム配合物a~ゴム配合物eについて、順次説明するものとする。
 本発明に係るゴム配合物aは、天然ゴムに対し、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物を配合してなることを特徴とするものである。
 本発明に係るゴム配合物aにおいて、天然ゴムとしては、特に制限されず、例えば、本発明に係るゴム配合物aをタイヤトレッド等のタイヤ部材用途に使用する場合には、SIR20、RSS#3、TSR20、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
 本発明に係るゴム配合物aにおいて、天然ゴムの数平均分子量も特に制限されず、数平均分子量が、200万以上であるものが好ましく、250万以上であるものがより好ましい。
 本発明に係るゴム配合物aにおいて、天然ゴムの配合割合(天然ゴムの含有割合)は、10~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、30~85質量%であることがさらに好ましい。
 本発明に係るゴム配合物aは、天然ゴムに対し、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物を配合してなるものである。
 本発明に係るゴム配合物aにおいて、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物の詳細は、上記本発明に係る石油コークス微粉砕物の説明で述べたとおりである。
 タイヤトレッド等のタイヤ部材用のゴム配合物においては、炭素系の無機充填剤としてカーボンブラックを使用することも考えられるが、カーボンブラックは、石油系重質油やエチレン製造時の残渣油を、1400℃以上の高温雰囲気下、炉内に連続的に噴霧して熱分解を生じさせ、次いで水を噴霧して粒子径を制御しながら反応させた後、さらに造粒処理することで製造されており、製造工程が多工程かつ複雑であることからゴム配合物の高コスト化を招き易い。
 一方、石油精製時に生成する残渣油を熱分解して得られる石油コークスは、製造工程が単純で安価であるものの、従来は専らボイラー燃料等として使用されるに過ぎなかった。このような状況下、本発明者等が鋭意検討した結果、驚くべきことに、粒径が特定範囲にある石油コークスは、天然ゴムを配合したゴム配合物の無機充填剤として有用であり、特にゴム配合物の引張強度を効果的に向上させ得ることを見出して、本発明に係るゴム配合物aを完成するに至ったものである。
 本発明に係るゴム配合物aは、上述した天然ゴム100質量部に対し、上記石油コークス微粉砕物を1~500質量部配合してなるものであることが好ましく、5~300質量部配合してなるものであることがより好ましく、10~200質量部配合してなるものであることがさらに好ましい。
 また、本発明に係るゴム配合物aにおいて、石油コークス微粉砕物の配合割合(石油コークス微粉砕物の含有割合)は、1~80質量%であることが好ましく、4~70質量%であることがより好ましく、7~65質量%であることがさらに好ましい。
 本発明に係るゴム配合物aが、上記石油コークス微粉砕物を上記範囲の量含有するものであることにより、引張強度を効果的に向上させることができる。
 本発明に係るゴム配合物aは、天然ゴムおよび石油コークス微粉砕物以外に、必要に応じて任意の添加剤を配合してなるものであってもよい。
 添加剤としては、公知のものから適宜選択すればよく、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤、有機過酸化物、充填剤、シランカップリング剤、伸展油、滑剤等の加工助剤、老化防止剤等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
 加硫剤としては硫黄等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
 本発明に係るゴム配合物aにおいて、加硫剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.1~10質量部が好ましく、0.5~5質量部がより好ましい。
 また、本発明に係るゴム配合物aにおいて、加硫剤の配合割合(加硫剤の含有割合)は、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、0.7~2質量%がさらに好ましい。
 上記加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤、ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
 加硫促進剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.1~5質量部が好ましく、0.2~3質量部がより好ましい。
 加硫活性化剤としては、ステアリン酸、酸化亜鉛等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
 充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
 伸展油としては、アロマチック系鉱物油(粘度比重恒数(V.G.C.値)0.900~1.049)、ナフテン系鉱物油(V.G.C.値0.850~0.899)、パラフィン系鉱物油(V.G.C.値0.790~0.849)等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
 本発明に係るゴム配合物aは、引張強度が、5~45MPaであるものが好ましく、8~40MPaであるものがより好ましく、13~35MPaであるものがさらに好ましい。
 本出願書類において、引張強度は、ダンベル状3号試験片形状に打ち抜いた本発明に係るゴム配合物をJIS K 6251の規定に準拠して測定した値を意味する。
 本発明に係るゴム配合物aは、ゴム成分として天然ゴムを採用するとともに、無機充填剤として粒径が特定範囲にある石油コークス微粉砕物を採用することにより、特に引張強度を好適に向上させることができ、本発明に係るゴム配合物aの引張強度が上記範囲内にあることにより、高荷重による圧縮条件下でのねじり挙動に対し破損、裂け等を生じ難くなり、本発明に係るゴム配合物aを例えばタイヤトレッド等のタイヤ部材に好適に使用することができる。
 本発明に係るゴム配合物aは、上記天然ゴム、石油コークス微粉砕物および必要に応じて任意に添加する添加剤を、公知の方法、例えば、オープンロールミキサー等のロールやバンバリーのような公知の混合機で混練する方法により製造することができる。
 上記混合機で混練する際の条件は特に制限されず、添加剤として加硫剤や加硫促進剤を配合しない場合、混練温度は、50℃~200℃が適当であり、80℃~190℃がより適当であり、混練時間は、30秒間~30分間が適当であり、1分間~30分間がより適当である。
 また、添加剤として加硫剤や加硫促進剤を配合する場合、混練温度は、100℃以下が適当であり、室温(20℃)~80℃がより適当である。
 また、加硫剤、加硫促進剤を配合する場合、所定形状に成形した後、適宜加温して硬化することにより所望のゴム成形体を得ることができ、例えば別途プレス加硫等により加硫処理を行うことができるが、この場合、加硫温度は120~200℃が適当であり、140~180℃がより適当であり、加硫時間は、10~50分間が適当であり、20~40分間がより適当である。
 上記方法によって、本発明に係るゴム配合物aを得ることができる。
 本発明によれば、コストの上昇を抑制しつつ、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させるゴム配合物aを提供することができる。
 次に、本発明に係るゴム配合物bについて説明する。
 本発明に係るゴム配合物bは、天然ゴムに対し、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕焼成物を配合してなることを特徴とするものである。
 本発明に係るゴム配合物bにおいて、天然ゴムの詳細やその配合割合は、本発明に係るゴム配合物aの説明で述べたとおりであり、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕焼成物の詳細も、上記本発明に係る石油コークス微粉砕焼成物の説明で述べたとおりである。
 タイヤトレッド等のタイヤ部材用のゴム配合物においては、炭素系の無機充填剤としてカーボンブラックを使用することも考えられるが、カーボンブラックは、石油系重質油やエチレン製造時の残渣油を、1400℃以上の高温雰囲気下、炉内に連続的に噴霧して熱分解を生じさせ、次いで水を噴霧して粒子径を制御しながら反応させた後、さらに造粒処理することで製造されており、製造工程が多工程かつ複雑であることからゴム配合物の高コスト化を招き易い。
 一方、石油精製時に生成する残渣油を熱分解して得られる石油コークスは、製造工程が単純で安価であるものの、従来は専らボイラー燃料等として使用されるに過ぎなかった。このような状況下、本発明者等が鋭意検討した結果、驚くべきことに、石油コークスの焼成物であって粒径が特定範囲にあるものは、ゴム成分として天然ゴムを配合したゴム配合物の無機充填剤として有用であり、特にゴム配合物の300%モジュラス(M300)を効果的に向上させ得ることを見出して、本発明に係るゴム配合物bを完成するに至ったものである。
 本発明に係るゴム配合物bは、上述した天然ゴム100質量部に対し、上記石油コークス微粉砕焼成物を1~500質量部配合してなるものであることが好ましく、5~300質量部配合してなるものであることがより好ましく、10~200質量部配合してなるものであることがさらに好ましい。
 また、本発明に係るゴム配合物bにおいて、石油コークス微粉砕焼成物の配合割合(石油コークス微粉砕焼成物の含有割合)は、1~80質量%であることが好ましく、4~70質量%であることがより好ましく、7~65質量%であることがさらに好ましい。
 本発明に係るゴム配合物bが、上記石油コークス微粉砕焼成物を上記範囲の量含有するものであることにより、300%モジュラスを効果的に向上させることができる。
 本発明に係るゴム配合物bは、天然ゴムおよび石油コークス微粉砕焼成物以外に、必要に応じて任意の添加剤を配合してなるものであってもよい。
 本発明に係るゴム配合物bにおいて、添加剤の種類およびその配合割合は、本発明に係るゴム配合物aと同様である。
 本発明に係るゴム配合物bは、300%モジュラス(M300)が、3~30MPaであるものが好ましく、4~25MPaであるものがより好ましく、5~20MPaであるものがさらに好ましい。
 本出願書類において、300%モジュラス(M300)は、ダンベル状3号試験片形状に打ち抜いた本発明に係るゴム配合物をJIS K 6251の規定に準拠して測定した値を意味する。
 本発明に係るゴム配合物bは、ゴム成分として天然ゴムを採用するとともに、無機充填剤として粒径が特定範囲にある石油コークス微粉砕焼成物を採用することにより、特に300%モジュラスを好適に向上させることができ、本発明に係るゴム配合物bの300%モジュラスが上記範囲内にあることにより、高荷重による圧縮条件下でのねじり挙動に対し破損、裂け等を生じ難くなり、本発明に係るゴム配合物bを例えばタイヤトレッド等のタイヤ部材等として好適に使用することができる。
 本発明に係るゴム配合物bの調製方法の詳細は、石油コークス微粉砕物に代えて石油コークス微粉砕焼成物を配合することを除けば、上述した本発明に係るゴム配合物aの調製方法と同様である。
 本発明によれば、コストの上昇を抑制しつつ、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させるゴム配合物bを提供することができる。
 次に、本発明に係るゴム配合物cについて説明する。 
 本発明に係るゴム配合物cは、スチレンーブタジエン共重合体ゴムに対し、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物を配合してなることを特徴とするものである。
 本発明に係るゴム配合物cにおいて、スチレンーブタジエン共重合体ゴムとしては特に制限されないが、ランダム共重合体ゴムであることが好ましい。
 例えば、スチレンーブタジエン共重合体ゴムとしては、スチレン含量が1~15質量%、ブタジエン含量が99~85質量%であるものが適当であり、スチレン含量が3~10質量%、ブタジエン含量が97~90質量%であるものがより適当であり、スチレン含量が5~9質量%、ブタジエン含量が95~91質量%であるものがさらに適当である。
 ランダム共重合体ゴムを構成するスチレン含量が上記範囲内にあることにより、ゴム配合物に配合したときに所望強度を得やすくなり、低温特性を維持し易くなる。
 本発明に係るゴム配合物cにおいて、スチレンーブタジエン共重合体ゴムの重量平均分子量は、特に制限されないが、5,000~200万であることが適当であり、10万~200万であることがより適当であり、100万~180万であることがさらに適当である。
 本発明に係るゴム配合物cにおいて、スチレンーブタジエン共重合体ゴムは、公知の方法によって調製することができ、また、市販品を使用することもできる。
 本発明に係るゴム配合物cにおいて、スチレンーブタジエン共重合体ゴムの配合割合(スチレンーブタジエン共重合体ゴムの含有割合)は、10~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、30~85質量%であることがさらに好ましい。
 本発明に係るゴム配合物cは、スチレンーブタジエン共重合体ゴムに対し、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物を配合してなるものである。
 本発明に係るゴム配合物cにおいて、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物の詳細は、上記本発明に係る石油コークス微粉物の説明で述べたとおりである。
 タイヤトレッド等のタイヤ部材用のゴム配合物においては、炭素系の無機充填剤としてカーボンブラックを使用することも考えられるが、カーボンブラックは、石油系重質油やエチレン製造時の残渣油を、1400℃以上の高温雰囲気下、炉内に連続的に噴霧して熱分解を生じさせ、次いで水を噴霧して粒子径を制御しながら反応させた後、さらに造粒処理することで製造されており、製造工程が多工程かつ複雑であることからゴム配合物の高コスト化を招き易い。
 一方、石油精製時に生成する残渣油を熱分解して得られる石油コークスは、製造工程が単純で安価であるものの、従来は専らボイラー燃料等として使用されるに過ぎなかった。このような状況下、本発明者等が鋭意検討した結果、驚くべきことに、粒径が特定範囲にある石油コークスは、ゴム成分としてスチレンーブタジエン共重合体ゴムを配合したゴム配合物の無機充填剤として有用であり、特にゴム配合物の引張強度や伸びを効果的に向上させ得ることを見出して、本発明に係るゴム配合物cを完成するに至ったものである。
 本発明に係るゴム配合物cは、上述したスチレンーブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、上記石油コークス微粉砕物を1~500質量部配合してなるものであることが好ましく、5~300質量部配合してなるものであることがより好ましく、10~200質量部配合してなるものであることがさらに好ましい。
 また、本発明に係るゴム配合物cにおいて、石油コークス微粉砕物の配合割合(石油コークス微粉砕物の含有割合)は、1~80質量%であることが好ましく、4~70質量%であることがより好ましく、7~65質量%であることがさらに好ましい。
 本発明に係るゴム配合物cが、上記石油コークス微粉砕物を上記範囲の量含有するものであることにより、引張強度を効果的に向上させることができる。
 本発明に係るゴム配合物cは、スチレンーブタジエン共重合体ゴムおよび石油コークス微粉砕物以外に、必要に応じて任意の添加剤を配合してなるものであってもよい。
 本発明に係るゴム配合物cにおいて、添加剤の種類およびその配合割合は、本発明に係るゴム配合物aと同様である。
 本発明に係るゴム配合物cは、引張強度が、2~45MPaであるものが好ましく、2~40MPaであるものがより好ましく、3~35MPaであるものがさらに好ましい。
 本出願書類において、引張強度は、ダンベル状3号試験片形状に打ち抜いた本発明に係るゴム配合物をJIS K 6251の規定に準拠して測定した値を意味する。
 本発明に係るゴム配合物cは、ゴム成分としてスチレンーブタジエン共重合体ゴムを採用するとともに、無機充填剤として粒径が特定範囲にある石油コークス微粉砕物を採用することにより、特に引張強度を好適に向上させることができ、本発明に係るゴム配合物cの引張強度が上記範囲内にあることにより、高荷重による圧縮条件下でのねじり挙動に対し破損、裂け等を生じ難くなり、本発明に係るゴム配合物を例えばタイヤトレッド等のタイヤ部材に好適に使用することができる。
 本発明に係るゴム配合物cは、伸びが、100~1000%であるものが好ましく、200~900%であるものがより好ましく、300~850%であるものがさらに好ましい。
 本出願書類において、伸びは、ダンベル状3号試験片形状に打ち抜いた本発明に係るゴム配合物をJIS K 6251の規定に準拠して測定した値を意味する。
 本発明に係るゴム配合物cは、ゴム成分としてスチレンーブタジエン共重合体ゴムを採用するとともに、無機充填剤として粒径が特定範囲にある石油コークス微粉砕物を採用することにより、引張強度とともに伸びを好適に向上させることができ、本発明に係るゴム配合物cの伸びが上記範囲内にあることにより、柔軟性が向上するとともに、適正な強度を確保し易くなり、優れた耐久性を容易に発揮することができる。
 本発明に係るゴム配合物cの調製方法の詳細は、天然ゴムに代えてスチレンーブタジエン共重合体ゴムを配合することを除けば、上述した本発明に係るゴム配合物aの調製方法と同様である。
 本発明によれば、コストの上昇を抑制しつつ、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させるゴム配合物cを提供することができる。
 次に、本発明に係るゴム配合物dについて説明する。
 本発明に係るゴム配合物dは、天然ゴムに対し、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物およびカーボンブラックを配合してなることを特徴とするものである。
 本発明に係るゴム配合物dにおいて、天然ゴムの詳細やその配合割合は、本発明に係るゴム配合物aの説明で述べたとおりであり、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物の詳細も、上記本発明に係る石油コークス微粉砕物の説明で述べたとおりである。
 タイヤトレッド等のタイヤ部材用のゴム配合物においては、炭素系の無機充填剤としてカーボンブラックを使用することも考えられるが、カーボンブラックは、石油系重質油やエチレン製造時の残渣油を、1400℃以上の高温雰囲気下、炉内に連続的に噴霧して熱分解を生じさせ、次いで水を噴霧して粒子径を制御しながら反応させた後、さらに造粒処理することで製造されており、製造工程が多工程かつ複雑であることからゴム配合物の高コスト化を招き易い。
 一方、石油精製時に生成する残渣油を熱分解して得られる石油コークスは、製造工程が単純で安価であるものの、従来は専らボイラー燃料等として使用されるに過ぎなかった。このような状況下、本発明者等が鋭意検討した結果、驚くべきことに、粒径が特定範囲にある石油コークスは、ゴム成分として天然ゴムを配合したゴム配合物の無機充填剤として有用であり、特にカーボンブラックの配合量を低減してもゴム配合物の引張強度を効果的に向上させ得ることを見出して、本発明に係るゴム配合物dを完成するに至ったものである。
 本発明に係るゴム配合物dは、上述した天然ゴム100質量部に対し、上記石油コークス微粉砕物を1~500質量部配合してなるものであることが好ましく、5~300質量部配合してなるものであることがより好ましく、10~200質量部配合してなるものであることがさらに好ましい。
 また、本発明に係るゴム配合物dにおいて、石油コークス微粉砕物の配合割合(石油コークス微粉砕物の含有割合)は、1~80質量%であることが好ましく、4~70質量%であることがより好ましく、7~65質量%であることがさらに好ましい。
 本発明に係るゴム配合物dが、上記石油コークス微粉砕物を上記範囲の量含有するものであることにより、引張強度を効果的に向上させることができる。
 本発明に係るゴム配合物dは、天然ゴムに対し、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物とともにカーボンブラックを配合してなるものである。
 本発明に係るゴム配合物dにおいて、カーボンブラックとしては、特に制限されず、公知のものを採用することができ、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF等、通常のゴム工業で使用されるものを挙げることができる。
 本発明に係るゴム配合物dは、上述した天然ゴム100質量部に対し、上記カーボンブラックを1~500質量部配合してなるものであることが好ましく、5~300質量部配合してなるものであることがより好ましく、10~200質量部配合してなるものであることがさらに好ましい。
 また、本発明に係るゴム配合物dにおいて、カーボンブラックの配合割合(カーボンブラックの含有割合)は、1~80質量%であることが好ましく、4~70質量%であることがより好ましく、7~65質量%であることがさらに好ましい。
 本発明に係るゴム配合物dは、上記石油コークス微粉砕物を含有するものであることにより、カーボンブラックの含有割合を低減させ、このためにコストの上昇を抑制しつつ引張強度を効果的に向上させることができる。
 本発明に係るゴム配合物dは、天然ゴム、石油コークス微粉砕物およびカーボンブラック以外に、必要に応じて任意の添加剤を配合してなるものであってもよい。
 本発明に係るゴム配合物dにおいて、添加剤の種類およびその配合割合は、本発明に係るゴム配合物aと同様である。
 本発明に係るゴム配合物dは、引張強度が、5~45MPaであるものが好ましく、8~40MPaであるものがより好ましく、10~35MPaであるものがさらに好ましい。
 本出願書類において、引張強度は、ダンベル状3号試験片形状に打ち抜いた本発明に係るゴム配合物をJIS K 6251の規定に準拠して測定した値を意味する。
 本発明に係るゴム配合物dは、ゴム成分として天然ゴムを採用するとともに、無機充填剤として粒径が特定範囲にある石油コークス微粉砕物およびカーボンブラックを採用することにより、特に引張強度を好適に向上させることができ、本発明に係るゴム配合物dの引張強度が上記範囲内にあることにより、高荷重による圧縮条件下でのねじり挙動に対し破損、裂け等を生じ難くなり、本発明に係るゴム配合物dを例えばタイヤトレッド等のタイヤ部材に好適に使用することができる。
 本発明に係るゴム配合物dの調製方法の詳細は、天然ゴムや石油コークス微粉砕物とともにカーボンブラックを配合することを除けば、上述した本発明に係るゴム配合物aの調製方法と同様である。
 ただし、加硫剤、加硫促進剤を配合する場合、所定形状に成形した後、適宜加温して硬化する際に、別途プレス加硫等により加硫処理を行うことができるが、この場合、加硫温度は120~200℃が適当であり、140~180℃がより適当であり、加硫時間は、5~60分間が適当であり、10~40分間がより適当である。
 上記方法によって、本発明に係るゴム配合物dを得ることができる。
 本発明によれば、コストの上昇を抑制しつつ、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させるゴム配合物dを提供することができる。
 次に、本発明に係るゴム配合物eについて説明する。
 本発明に係るゴム配合物eは、スチレンーブタジエン共重合体ゴムに対し、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物およびカーボンブラックを配合してなることを特徴とするものである。
 本発明に係るゴム配合物eにおいて、スチレンーブタジエン共重合体ゴムの詳細およびその配合割合は、本発明に係るゴム配合物cの説明で述べたとおりであり、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物の詳細は、上記本発明に係る石油コークス微粉砕物の説明で述べたとおりであり、カーボンブラックの詳細も、本発明に係るゴム配合物dの説明で述べたとおりである。
 タイヤトレッド等のタイヤ部材用のゴム配合物においては、炭素系の無機充填剤としてカーボンブラックを使用することも考えられるが、カーボンブラックは、石油系重質油やエチレン製造時の残渣油を、1400℃以上の高温雰囲気下、炉内に連続的に噴霧して熱分解を生じさせ、次いで水を噴霧して粒子径を制御しながら反応させた後、さらに造粒処理することで製造されており、製造工程が多工程かつ複雑であることからゴム配合物の高コスト化を招き易い。
 一方、石油精製時に生成する残渣油を熱分解して得られる石油コークスは、製造工程が単純で安価であるものの、従来は専らボイラー燃料等として使用されるに過ぎなかった。このような状況下、本発明者等が鋭意検討した結果、驚くべきことに、粒径が特定範囲にある石油コークスは、ゴム成分としてスチレンーブタジエン共重合体ゴムを配合したゴム配合物の無機充填剤として有用であり、特にカーボンブラックの配合量を低減してもゴム配合物の引張強度や伸びを効果的に向上させ得ることを見出して、本発明に係るゴム配合物eを完成するに至ったものである。
 本発明に係るゴム配合物eは、上述したスチレンーブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、上記石油コークス微粉砕物を1~500質量部配合してなるものであることが好ましく、5~300質量部配合してなるものであることがより好ましく、10~200質量部配合してなるものであることがさらに好ましい。
 また、本発明に係るゴム配合物eにおいて、石油コークス微粉砕物の配合割合(石油コークス微粉砕物の含有割合)は、1~80質量%であることが好ましく、4~70質量%であることがより好ましく、7~65質量%であることがさらに好ましい。
 本発明に係るゴム配合物eが、上記石油コークス微粉砕物を上記範囲の量含有するものであることにより、引張強度を効果的に向上させることができる。
 本発明に係るゴム配合物eは、スチレンーブタジエン共重合体ゴムに対し、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物とともにカーボンブラックを配合してなるものである。
 本発明に係るゴム配合物eは、上述したスチレンーブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、カーボンブラックを1~500質量部配合してなるものであることが好ましく、5~300質量部配合してなるものであることがより好ましく、10~200質量部配合してなるものであることがさらに好ましい。
 また、本発明に係るゴム配合物eにおいて、カーボンブラックの配合割合(カーボンブラックの含有割合)は、1~80質量%であることが好ましく、4~70質量%であることがより好ましく、7~65質量%であることがさらに好ましい。
 本発明に係るゴム配合物eは、上記石油コークス微粉砕物を含有するものであることにより、カーボンブラックの含有割合を低減させ、このためにコストの上昇を抑制しつつ引張強度を効果的に向上させることができる。
 本発明に係るゴム配合物eは、スチレンーブタジエン共重合ゴム、石油コークス微粉砕物およびカーボンブラック以外に、必要に応じて任意の添加剤を配合してなるものであってもよい。
 本発明に係るゴム配合物eにおいて、添加剤の種類およびその配合割合は、本発明に係るゴム配合物aと同様である。
 本発明に係るゴム配合物eは、引張強度が、2~45MPaであるものが好ましく、5~40MPaであるものがより好ましく、10~35MPaであるものがさらに好ましい。
 本出願書類において、引張強度は、ダンベル状3号試験片形状に打ち抜いた本発明に係るゴム配合物をJIS K 6251の規定に準拠して測定した値を意味する。
 本発明に係るゴム配合物eは、ゴム成分としてスチレンーブタジエン共重合体ゴムを採用するとともに、無機充填剤として粒径が特定範囲にある石油コークス微粉砕物およびカーボンブラックを採用することにより、特に引張強度を好適に向上させることができ、本発明に係るゴム配合物eの引張強度が上記範囲内にあることにより、高荷重による圧縮条件下でのねじり挙動に対し破損、裂け等を生じ難くなり、本発明に係るゴム配合物eを例えばタイヤトレッド等タイヤ部材に好適に使用することができる。
 本発明に係るゴム配合物eは、伸びが、100~1000%であるものが好ましく、200~900%であるものがより好ましく、300~800%であるものがさらに好ましい。
 本出願書類において、伸びは、ダンベル状3号試験片形状に打ち抜いた本発明に係るゴム配合物をJIS K 6251の規定に準拠して測定した値を意味する。
 本発明に係るゴム配合物eは、ゴム成分としてスチレンーブタジエン共重合体ゴムを採用するとともに、無機充填剤として粒径が特定範囲にある石油コークス微粉砕物を採用することにより、引張強度とともに伸びを好適に向上させることができ、本発明に係るゴム配合物eの伸びが上記範囲内にあることにより、柔軟性が向上するとともに、適正な強度を確保し易くなり、優れた耐久性を容易に発揮することができる。
 本発明に係るゴム配合物eの調製方法の詳細は、天然ゴムに代えてスチレンーブタジエン共重合体ゴムを配合し、石油コークス微粉砕物を配合するとともにカーボンブラックを配合することを除けば、上述した本発明に係るゴム配合物aの調製方法と同様である。
 ただし、加硫剤、加硫促進剤を配合する場合、所定形状に成形した後、適宜加温して硬化する際に、別途プレス加硫等により加硫処理を行うことができるが、この場合、加硫温度は120~200℃が適当であり、140~180℃がより適当であり、加硫時間は、5~60分間が適当であり、10~40分間がより適当である。
 上記方法によって、本発明に係るゴム配合物eを得ることができる。
 本発明によれば、コストの上昇を抑制しつつ、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させるゴム配合物eを提供することができる。
 次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
<石油系コークス>
(スポンジコークスα)
 熱分解原料油として減圧残渣(減圧蒸留残渣油)とスラリーオイルを用い、500℃、0.1MPaGの条件にて熱分解処理し、熱分解処理後、ウォータージェットにて粉砕し、目視にて、ショットコークスおよびスポンジコークスを分取して、目的とする石油系コークスを得た。
 得られたスポンジコークス(以下、スポンジコークスαと称する)の性状を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
<水分>
 石油系コークスの水分の分析は、乾燥前の試料について、JIS M 8812に準拠して行った。
<乾燥状態での硫黄含有量の測定>
 乾燥状態での石油系コークスの硫黄含有量の測定は次のようにして行った。
 試料を300℃で5分間乾燥し、冷却して乾燥試料を得、乾燥状態での質量を測定した。次いで、乾燥試料について、JIS M 8819に準拠して、硫黄含有量を測定した。
<灰分>
 石油系コークスの灰分の分析は、乾燥試料について、JIS M 8812に準拠して行った。
<CHN分>
 石油系コークスのCHN分の分析は、乾燥試料について、JIS M 8813に準拠して行った。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
(実施例a)
(1)ゴム配合物用フィラーの調製
 上記スポンジコークスα220gを真空下100℃で4.5時間乾燥した後、市販のミキサーで粉砕した。なお、乾燥後の重量減少量は13%であった。
 その後、目開き100μmの篩で分級し、100μm以下品を80体積%の収率で得、これをゴム配合物用フィラーとした。
 レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて、得られたゴム配合物用フィラー(100μm以下品)の粒度分布を測定した。得られた粒度分布測定結果を図1に示す。図1に示すように、得られたゴム配合物用フィラー(100μm以下品)は、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下であるものであった。
 また、得られたゴム配合物用フィラー(100μm以下品)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図2(a)および(b)に示す。
(2)ゴム成分へのフィラーの配合およびシート化
(1)で得たゴム配合物用フィラー(100μm以下品)と、ゴム成分としてJSR(株)製EP27(エチレン/プロピレン/ジエンゴム(EPDM))と、加硫剤(ナカライテスク(株)製硫黄粉末および加硫促進剤)とを、(株)トーシン製ラボニーダーミルTDR100-500X3を用いて混練を行った。フィラーの配合量は50phr、100phr、200phrの3種とした。
 その結果、いずれも混練品、すなわち組成物を得ることができた。なお、「phr」は、per hundred rubber、つまり、ゴム成分100質量部に対して配合したフィラーの質量部を示す。
 そして、上記3種類の混練品(フィラーの配合量が50phr、100phr、200phrであるもの)を真空プレス成形機(テスター産業(株)製SA-401-A)にて加硫プレスし、シートの成形を行った。なお、シートの設定寸法は50mm角で厚み2mmとした。
 その結果、いずれも50mm角で厚み2mmのシートを得ることができた。EPDM100質量部に対するフィラーの配合量が50phrである混練品から得られたシートの走査型電子顕微(SEM)写真を図3(a)および図3(b)に示す。
 なお、上記シートのSEM写真は、液体窒素冷却下で破断面をウルトラミクロトームにて鏡面出しした後、Pt蒸着を行い、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ(株)製SU3500)を用いて撮影したものである。
 図3の(a)および(b)に示すように、当該シート中には大小さまざまな大きさの粒子が分散していたが、凝集等は確認されなかった。
 また、得られた各シートについて触感評価を行った結果、フィラーの配合量を多くするほど硬化することがわかった。
 以上の結果から、石油系コークスを粉砕するだけでフィラーが得られること、および、当該フィラーをゴム成分に配合するだけでゴム配合物や樹脂組成物が得られることが確認された。また、上記フィラーを配合したゴム配合物は所定の形状のシート等に、容易に成形できることが確認された。
(3)試験片の作製1
 (1)で得られたゴム配合物用フィラー(100μm以下品)を用い、(2)と同様にして、EPDMに対するフィラーの配合量が50phrおよび200phrである混練品を用い、プレス成形機((株)神藤金属工業所製NF-50)に寸法150mm角、厚さ1mmの金型を使用して、加硫プレス(加硫時間15分)することにより、150mm角、厚さ約1mmのシートを作製した。
 上記シートから引張試験(JIS K 6251に準拠)に用いる試験片と、引裂強度試験(JIS K 6252に準拠)に用いる試験片とを、それぞれ5個ずつ切り出した。なお、引張試験用試験片の形状は、ダンベル状3号とし、引裂強度試験用試験片の形状は、アングル形(切り込みなし)とした。
(4)試験片の作製2
 スポンジコークスαを市販の乾式ジェットミルを用いて粉砕し、ジェットミル出口の分級ロータにより2μm以下の粒子を回収することにより、平均粒子径(D50)が0.66μmであるフィラー(微細フィラー)を調製した。
 得られた微細フィラーのSEM写真を図4(a)および(b)に示す。
 図4のSEM写真から微細フィラーは薄片に近い形状であることや、1μm以下のものが主で、大きいものであっても数μm程度であることが確認できた。
 (2)と同様にして、EPDM100質量部に対し上記微細フィラーが37phrとなるように配合して30分間加硫した混練品と、EPDM100質量部に対し上記微細フィラーを50phrとなるように配合して15分間加硫した混練品を作製し、(3)と同様にして150mm角、厚さ約1mmのシートを作製した。
 EPDMへの微細フィラーの配合量が50phrである混練品から得られたシートの走査型電子顕微(SEM)写真を図5(a)および図5(b)に示す。上記SEM写真は、液体窒素冷却下で破断面をウルトラミクロトームにて鏡面出しした後、Pt蒸着を行い、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ(株)製SU3500)を用いて撮影したものである。
 図5の(a)および(b)に示すように、当該シート中には1μm程度又はそれ以下の大きさの粒子が多数分散していたが、凝集等は確認されなかった。
 以下、機械的特性の評価をするにあたっては、EPDMへの微細フィラーの配合量が37phrであるシートを用いた。
 EPDMへの微細フィラーの配合量が50phrである混練品から得られたシートから引張試験(JIS K 6251に準拠)に用いる試験片と、引裂強度試験(JIS K 6252に準拠)に用いる試験片とを、5個ずつ切り出した。
 なお、引張試験用試験片の形状は、ダンベル状3号とし、引裂強度試験用試験片の形状は、アングル形(切り込みなし)とした。
(5)比較用試験片の作製
 EPDMに対してフィラーを配合しなかった以外は、(3)と同様にして150mm角、厚さ約1mmのシートを作製した。
 得られたシートから引張試験(JIS K 6251に準拠)に用いる試験片と、引裂強度試験(JIS K 6252に準拠)に用いる試験片とを、5個ずつ切り出した。なお、引張試験用試験片の形状は、ダンベル状3号とし、引裂強度試験用試験片の形状は、アングル形(切り込みなし)とした。
(6)機械的特性の評価
 (3)および(4)で得られた試験片および(5)で得られた比較用試験片を用い、引張試験(JIS K 6251)および引裂強度試験(JIS K 6252)を行った。これらの試験は、いずれも(株)島津製作所製精密万能試験機AG-1000Dを用い、引張速度500mm/分で行った。なお、引張試験は、応力-ひずみの関係から、引張強さ、伸び、100%モジュラスを測定した。また、引裂強度試験は、引裂強さを測定した。それぞれ、5個の試験片を用いて試験し、中間値を求めた。これらの評価結果を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2に示すように、引張強さは、フィラーの配合量が多いものほど高くなることが分かる。また、フィラー(100μm以下品)を配合したシートの引張強さが、フィラー(100μm以下品)を配合していないシートよりも若干ではあるが高くなることが分かる。
 さらに、引張強さは、微細フィラーを配合したシートが、フィラー(100μm以下品)を配合したシートよりも2倍以上高くなることが分かる。このことから、引張強さを向上させる場合においては、フィラーを微細化するのがより好ましいことが分かる。
 また、表2に示すように、伸びも前記した引張強さ同様に、フィラー(100μm以下品)を配合したシートよりも、これを微細化した微細フィラーを配合したシートの方が大きくなった。微細フィラーを配合したシートの伸びは、カーボンブラックを配合したシートの伸びと同等の性能となった。伸びは、表2に示すように、同じフィラーを用いた場合、フィラーの配合量が多いものほど値が低くなった。
 フィラー(100μm以下品)をEPDMに200phr配合したシートは、ひずみが100%に到達する前に破断したため、100%モジュラスを測定することができなかった(表2において「-」で表す。)が、それ以外のシートはいずれも配合量とともに100%モジュラスが向上しており、フィラーによる補強効果が働いていることが分かる。
 微細フィラーを配合したシートの100%モジュラスが大きくなったが、これは、フィラーの小粒径化により表面積が増えたため補強効果が増大したことによるものと推察される。
 引張強さ、伸び、100%モジュラスについてより詳しく解析するため、引張試験時の応力-ひずみの関係を比較した。
 図6に、フィラー(100μm以下品)をEPDMに50phr配合したシートと、微細フィラーをEPDMに37phr配合したシートの応力-ひずみの関係を示す。
 図6に示すように、実施例1で得られたフィラーをEPDMに50phr配合したシートおよび微細フィラーをEPDMに37phr配合したシートにおける引張初期(ひずみ約30%以下)の応力はほぼ同じであった。なお、微細フィラーをEPDMに37phr配合したシートは、ひずみが増えてもグラフの傾きが殆ど変化することなく応力アップしていくとともに、ひずみが大きい領域まで破断しなかった。その結果、微細フィラーを配合したシートの引張強さが大きくなった。
 以上、図6を参照して説明したように、微細フィラーをEPDMに配合したシートは伸びが非常に大きくなるので、微細フィラーの配合量を適量増やすことによって引張強さや弾性率をさらに向上させることが可能であると推察される。
<石油コークス>
(ショットコークスA、ショットコークスB、スポンジコークスA、スポンジコークスB)
 熱分解原料油として減圧残渣油とスラリーオイルを用い、500℃、0.1MPaGの条件にて熱分解処理し、熱分解処理後、ウォータージェットにて粉砕し、目視にて、ショットコークスA、ショットコークスB、スポンジコークスA、スポンジコークスBを分取して、各石油コークスとした。得られた各石油コークスの性状を表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
<石油コークスの乾燥>
 上記ショットコークスA、ショットコークスB、スポンジコークスAおよびスポンジコークスBを25℃で24時間乾燥して、粉砕原料となる石油コークスの乾燥物を得た。乾燥後の石油コークスの水分量を測定した。乾燥後のショットコークスA、ショットコークスB、スポンジコークスA、スポンジコークスBのいずれも、水分量は0.01質量%以下であった。
(実施例1~実施例2、比較例1~比較例2)
<石油コークスの粉砕処理>
 上記で得た石油コークスの乾燥物を、実施例1および実施例2では、カッターミル(アイシンナノテクノロジーズ社製VM-22型)に、比較例1および比較例2では、カッターミル(セイシン企業製VM-22型)に供給し、粗粉砕して粗粉砕物を得た。そのときの粉砕条件および結果を表4に示す。
 次いで、得られた粗粉砕物を、実施例1および実施例2では、ジェットミル(アイシンナノテクノロジーズ社製NJ-100B型)に、比較例1および比較例2では、ジェットミル(セイシン企業製FS-4)に供給し、微粉砕して、石油コークス微粉砕物を得た。そのときの粉砕条件および結果を表4に示す。また、以下の方法で測定した微粉砕物の分析結果も表4に合わせて示す。
(水分)
 JIS M 8812に準拠して行った。
(硫黄含有量の測定)
 JIS M 8819に準拠して、硫黄含有量を測定した。
(灰分)
 JIS M 8812に準拠して行った。
(揮発分)
 JIS M 8812に準拠して行った。
(固定炭素分)
 JIS M 8812に準拠して行った。
(芳香族性炭素割合)
 13CNMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける芳香族炭素(CA)のピーク面積強度(100~200ppm)を、全炭素のピーク面積強度(0~200ppm)で除すことにより、芳香族性炭素割合を算出した。ここでの13C-NMRは、重水素クロロホルムを溶媒とし、テトラメチルシラン(TMS)を内標に用いて、日本電子(株)製核磁気共鳴装置Alpha-400により測定した。
(CHN分)
 JIS M 8813に準拠して行った。
(BET比表面積)
 試料の表面に吸着している分子を取り除くため、150℃で10時間の真空加熱乾燥後、乾燥試料のBET比表面積を測定した。
(粒度特性)
 JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(MICROTRAC FRA、NIKKISO社製)を用いて、レーザー回折散乱法により、体積頻度粒度分布測定を行った。得られた体積頻度粒度分布測定結果より、積算粒度で10%、50%、90%の粒径を求め、各々、D10、D50(平均粒子径)、D90とした。
(SEM分析)
 実施例1および実施例2で得た微粉砕物について、電界放射操作電子顕微鏡(JSM6340F、日本電子社製)を用い、加速電圧5kVで二次電子像の撮影を行った。その結果を図7~図12に示す。
(IR分析)
 実施例1で得た微粉砕物について、FT-IR(Nicolet iN10・iZ10、Thermo Scientific社製)を用いて、IR測定を行いIRスペクトルを得た。その結果を図13に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
(実施例3~実施例6および比較例1~比較例2)
<石油コークスの乾燥>
 上記ショットコークスAおよびスポンジコークスAを25℃で24時間乾燥して、粉砕原料となる石油コークスの乾燥物を得た。乾燥後の石油コークスの水分量を測定した。乾燥後のショットコークスAおよびスポンジコークスAのいずれも、水分量は0.01質量%以下であった。
<石油コークスの粉砕処理>
 上記で得た石油コークスの乾燥物を、カッターミル(セイシン企業製VM-22型)に供給し、粗粉砕して粗粉砕物を得た。そのときの粉砕条件および結果を表5に示す。
 次いで、得られた粗粉砕物を、ジェットミル(セイシン企業製FS-4)に供給し、微粉砕して、石油コークス微粉砕物を得た。そのときの粉砕条件および結果を表5に示す。また、上述した方法で測定した微粉砕物の分析結果も表5に合わせて示す。表5においては、比較例1、比較例2の結果も併記する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
(実施例7~実施例10および比較例3)
<石油コークスの焼成>
 上記ショットコークスAおよびスポンジコークスAを、各々目開き2mmの篩により篩分けした後、篩を通過したもの(2mmパス品)を、アルゴン(Ar)雰囲気下、900℃で2時間焼成することによりショットコークスAおよびスポンジコークスAの焼成物を得た。得られた各焼成物の性状を上述した方法で測定した結果を表6に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
<石油コークスの粉砕処理>
 上記で得た石油コークスの焼成物を、カッターミル(セイシン工業製VM-22型)に供給し、粗粉砕して粗粉砕物を得た。そのときの粉砕条件および結果を表7に示す。
 次いで、得られた粗粉砕物を、ジェットミル(セイシン工業製FS-4)に供給し、微粉砕して、石油コークス微粉砕焼成物を得た。そのときの粉砕条件および結果を表7に示す。また、上述した方法で測定した微粉砕物の分析結果も表7に合わせて示す。
(SEM分析)
 実施例10で得た微粉砕物について、電界放射操作電子顕微鏡(JSM6340F、日本電子社製)を用い、加速電圧5kVで二次電子像の撮影を行った。その結果を図14~図16に示す。
(IR分析)
 実施例10で得た微粉砕焼成物について、FT-IR(Nicolet iN10・iZ10、Thermo Scientific社製)を用いて、IR測定を行いIRスペクトルを得た。その結果を図17に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 表3~表7に示す石油コークス微粉砕物や石油コークス微粉砕焼成物、特にD50が0μmを超え3.0μm以下である石油コークス微粉砕物や、D50が3μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕物や、石油コークスを焼成および粉砕して得られる石油コークス微粉砕焼成物であり、D50が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕焼成物は、以下に示すようにゴム配合物用のフィラーとして好適に使用することができ、従来は主として燃料として用いられてきた石油コークスを有効に利用してその高付加価値化を図ることができる。
(実施例11、実施例12、比較例4、比較例5)
<ゴム配合物の作製>
 天然ゴム(RSS3グレード)100質量部に対し、ステアリン酸(花王(株)製ルナックS-50V)2質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)5質量部、TBBS(N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三井化学(株)製サンセラーNS-G)0.7質量部、硫黄(細井化学工業(株)製)2.25質量部混合するとともに、実施例1~実施例2、比較例1~比較例2で得た石油コークス微粉砕物35質量部を各々混合して、各石油コークス微粉砕物を含有する混合物をそれぞれ調製した。
 上記各混合物を、オープンロールミキサーで混練した後、得られた混練物を140℃で30分間プレス加硫することにより、縦12mm×横15mm×厚み2mmの形状にシート成形されたゴム配合物を得た。
 得られた各ゴム配合物の配合比およびその評価結果を表8に示す。
 なお、各ゴム配合物は、以下の方法により評価したものである。
(スコーチ時間)
 JIS K6300に準拠したムーニースコーチ試験機(S形ロータ)を用い、温度120℃で測定時のt5値(分間)を求めた。
(ムーニー粘度)
JIS K 6300に準拠して、温度120℃でのムーニー粘度(MS120℃)を測定した。
(硬度)
 JIS K6253に準拠し、デュロメータ硬さ計を用いて測定した。
(引張強度、伸び、300%モジュラス)
 各ゴム配合物をダンベル状3号形試験片に打ち抜き、JIS K 6251の規定に準拠して、伸び(%)、引張強度(MPa)、300%モジュラスを測定した。
(比重)
 JIS K6268に準拠して測定した。
(永久圧縮歪)
 JIS K 6262に準じて、70℃、25%圧縮という条件で、24時間後の圧縮永久ひずみを測定した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
(実施例13~実施例16、比較例4、比較例5)
<ゴム配合物の作製>
 次いで、天然ゴム(RSS3グレード)100質量部に対し、ステアリン酸(花王(株)製ルナックS-50V)2質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)5質量部、TBBS(N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三井化学(株)製サンセラーNS-G)0.7質量部、硫黄(細井化学工業(株)製)2.25質量部を混合するとともに、実施例3~実施例6、比較例1~比較例2で得た石油コークス微粉砕物35質量部を各々混合して、各石油コークス微粉砕物を含有する混合物をそれぞれ調製した。
 上記各混合物を、オープンロールミキサーで混練した後、得られた混練物を140℃で30分間プレス加硫することにより、縦12mm×横15mm×厚み2mmの形状にシート成形されたゴム配合物を得た。
 得られた各ゴム配合物の配合比および上述した方法により評価した評価結果を表9に示す。表9においては、比較例4、比較例5の結果も併記する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
 表8および表9より、実施例11~実施例16で得られたゴム配合物は、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である安価な石油コークス微粉砕物を用いてゴム配合物を調製していることから、コストの上昇を抑制しつつも、得られるゴム配合物の引張強度が高く、このため特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させ得るものであることが分かる。
 一方、表8および表9より、比較例4および比較例5で得られたゴム配合物は、平均粒子径(D50)が50μmを超える石油コークス微粉砕物を用いてゴム配合物を調製していることから、得られるゴム配合物の引張強度が低く、耐久性に劣るためにタイヤトレッド等の実用に供し難いものであることが分かる。
(実施17~実施例20、比較例6)
<ゴム配合物の作製>
 天然ゴム(RSS3グレード)100質量部に対し、ステアリン酸(花王(株)製ルナックS-50V)2質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)5質量部、TBBS(N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三井化学(株)製サンセラーNS-G)0.7質量部、硫黄(細井化学工業(株)製)2.25質量部混合するとともに、実施例7~実施例10および比較例3で得た石油コークス微粉砕焼成物35質量部を各々混合して、各石油コークス微粉砕物を含有する混合物をそれぞれ調製した。
 上記各混合物を、オープンロールミキサーで混練した後、得られた混練物を140℃で30分間プレス加硫することにより、縦12mm×横15mm×厚み2mmの形状にシート成形されたゴム配合物を得た。
 得られた各ゴム配合物の配合比および上述した方法により評価した評価結果を表10に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 表10より、実施例17~実施例20で得られたゴム配合物は、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である安価な石油コークス微粉砕焼成物を用いてゴム配合物を調製していることから、コストの上昇を抑制しつつも、得られるゴム配合物の300%モジュラスが高く、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させ得るものであることが分かる。
 一方、表10より、比較例6で得られたゴム配合物は、平均粒子径(D50)が50μmを超える石油コークス微粉砕焼成物を用いてゴム配合物を調製していることから、得られるゴム配合物の300%モジュラスが低く、耐久性に劣るためにタイヤトレッド等の実用に供し難いものであることが分かる。
(実施例21および実施例22)
 スチレンーブタジエン共重合体ゴム(JSR(株)製1052)100質量部に対し、ステアリン酸(花王(株)製ルナックS-50V)1質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)3質量部、TBBS(N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三井化学(株)製サンセラーNS-G)1質量部、硫黄(細井化学工業(株)製)1.75質量部混合するとともに、各々、実施例5または実施例2で得た石油コークス微粉砕物50質量部を混合して、各石油コークス微粉砕物を含有する混合物をそれぞれ調製した。
 上記各混合物を、オープンロールミキサーで混練した後、得られた混練物を140℃で30分間プレス加硫することにより、目的とする各ゴム配合物を得た。得られた各ゴム配合物の配合比および上述した方法により評価した評価結果を表11に示す。
(比較例7)
 石油コークス微粉砕物に代えて炭酸カルシウム(神島化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例21と同様にして各ゴム配合物を調製し、実施例21と同様に得られた各ゴム配合物の性状を評価した。得られたゴム配合物の配合比および上述した方法により評価した評価結果を表11に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
 表11より、実施例21および実施例22で得られたゴム配合物は、ゴム成分としてスチレンーブタジエン共重合体ゴムを採用するとともに、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である安価な石油コークス微粉砕物を用いてゴム配合物を調製していることから、コストの上昇を抑制しつつも、得られるゴム配合物の引張強度が高く、また、伸びが優れるために、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させ得るものであることが分かる。
 一方、表11より、比較例7で得られたゴム配合物は、石油コークス微粉砕物に代えて炭酸カルシウムを用いてゴム配合物を調製していることから、得られるゴム配合物の引張強度が低く、耐久性に劣るために、タイヤトレッド等の実用に供し難いものであることが分かる。
(実施例23~実施例26、比較例8~比較例9)
 天然ゴム(RSS3グレード)100質量部に対し、ステアリン酸(花王(株)製ルナックS-50V)2質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)5質量部、TBBS(N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三井化学(株)製サンセラーNS-G)0.7質量部、硫黄(細井化学工業(株)製)2.25質量部混合するとともに、実施例3~実施例6および比較例1~比較例2のいずれかで得た各石油コークス微粉砕物65質量部およびカーボンブラック(HAF級)35質量部を混合して、各石油コークス微粉砕物を含有する混合物をそれぞれ調製した。
 上記各混合物を、オープンロールミキサーで混練した後、得られた混練物を140℃で30分間プレス加硫することにより、目的とする各ゴム配合物を得た。
 得られた各ゴム配合物の配合比および上述した方法により評価した評価結果を表12に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
 表12より、実施例23~実施例26においては、ゴム成分として天然ゴムを採用するとともに、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である安価な石油コークス微粉砕物を用いてゴム配合物を調製していることから、カーボンブラックの配合量を低減し製造コストを抑制しつつも、引張強度が高く、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させ得るゴム配合物を提供できることが分かる。
 一方、表12より、比較例8~比較例9においては、平均粒子径(D50)が50μmを超える石油コークス微粉砕物を用いてゴム配合物を調製していることから、得られるゴム配合物の引張強度が低く、耐久性に劣るために、タイヤトレッド用等の実用に供し難いものであることが分かる。
(実施例27~実施例28)
 スチレンーブタジエン共重合体ゴム(JSR(株)製1052)100質量部に対し、ステアリン酸(花王(株)製ルナックS-50V)1質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)3質量部、TBBS(N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三井化学(株)製サンセラーNS-G)1質量部、硫黄(細井化学工業(株)製)1.75質量部混合するとともに、実施例5または実施例2で得た石油コークス微粉砕物25質量部およびカーボンブラック(FEF級)25質量部を混合して、各石油コークス微粉砕物を含有する混合物をそれぞれ調製した。
 上記各混合物を、オープンロールミキサーで混練した後、得られた混練物を140℃で30分間プレス加硫することにより、目的とする各ゴム配合物を得た。
 得られた各ゴム配合物の配合比および上述した方法により評価した評価結果を表13に示す。
(比較例10)
 石油コークス微粉砕物およびカーボンブラックに代えて炭酸カルシウム(神島化学工業(株)製)を用い、石油コークス微粉砕物25質量部およびカーボンブラック(FEF級)25質量部に代えて炭酸カルシウム50質量部を配合した以外は、実施例27と同様にして各ゴム配合物を調製し、実施例27と同様に得られた各ゴム配合物の性状を評価した。得られたゴム配合物の配合比およびその評価結果を表13に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
 表13より、実施例27および実施例28においては、ゴム成分としてスチレンーブタジエン共重合体ゴムを採用するとともに、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である安価な石油コークス微粉砕物を用いてゴム配合物を調製していることから、カーボンブラックの配合量を低減し製造コストを抑制しつつも、引張強度が高く、また、伸びが優れるために、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させ得るゴム配合物を提供できることが分かる。
 一方、表13より、比較例10においては、石油コークス微粉砕物およびカーボンブラックに代えて炭酸カルシウムを用いてゴム配合物を調製していることから、得られるゴム配合物の引張強度が低く、耐久性に劣るために、タイヤトレッド用等の実用に供し難いものであることが分かる。
 本発明によれば、ゴム配合物のフィラーとして好適に使用し得る石油コークス微粉砕物および石油コークス微粉砕焼成物を提供することができるとともに、コストの上昇を抑制しつつ、特にタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させるゴム配合物用フィラーおよびゴム配合物を提供することができる。

Claims (18)

  1.  平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下であることを特徴とする石油コークス微粉砕物。
  2.  平均粒子径(D50)が0μmを超え3.0μm以下である請求項1に記載の石油コークス微粉砕物。
  3.  下記式(A):
       スパン=(D90-D10)/D50    (A)
    (ただし、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、50%、90%の粒径を意味する)
    で表されるスパンが0.3~5.0である請求項2に記載の石油コークス微粉砕物。
  4.  平均粒子径(D50)が3μmを超え50μm以下である請求項1に記載の石油コークス微粉砕物。
  5.  下記式(A):
       スパン=(D90-D10)/D50    (A)
    (ただし、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、50%、90%の粒径を意味する)
    で表されるスパンが0.3~7.0である請求項4に記載の石油コークス微粉砕物。
  6.  石油コークスを焼成および粉砕して得られる石油コークス微粉砕焼成物であり、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下であることを特徴とする石油コークス微粉砕焼成物。
  7.  下記式(A):
       スパン=(D90-D10)/D50    (A)
    (ただし、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、50%、90%の粒径を意味する)
    で表されるスパンが0.3~7.0であることを特徴とする請求項6記載の石油コークス微粉砕焼成物。
  8.  石油コークスを粉砕して得られたことを特徴とするゴム配合物用フィラー。
  9.  天然ゴムに対し、請求項1に記載の石油コークス微粉砕物を配合してなることを特徴とするゴム配合物。
  10.  前記天然ゴム100質量部に対し、前記石油コークス微粉砕物を1~500質量部配合してなる請求項9に記載のゴム配合物。
  11.  天然ゴムに対し、請求項6に記載の石油コークス微粉砕焼成物を配合してなることを特徴とするゴム配合物。
  12.  前記天然ゴム100質量部に対し、前記石油コークス微粉砕焼成物を1~500質量部配合してなる請求項11に記載のゴム配合物。
  13.  スチレンーブタジエン共重合体ゴムに対し、請求項1に記載の石油コークス微粉砕物を配合してなることを特徴とするゴム配合物。
  14.  前記スチレンーブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、前記石油コークス微粉砕物を1~500質量部配合してなる請求項13に記載のゴム配合物。
  15.  天然ゴムに対し、請求項1に記載の石油コークス微粉砕物およびカーボンブラックを配合してなることを特徴とするゴム配合物。
  16.  前記天然ゴム100質量部に対し、前記石油コークス微粉砕物1~500質量部と、前記カーボンブラック1~500質量部とを配合してなる請求項15に記載のゴム配合物。
  17.  スチレンーブタジエン共重合体ゴムに対し、請求項1に記載の石油コークス微粉砕物およびカーボンブラックを配合してなることを特徴とするゴム配合物。
  18.  前記スチレンーブタジエン共重合体ゴム100質量部に対し、前記石油コークス微粉砕物1~500質量部と、前記カーボンブラック1~500質量部とを配合してなる請求項17に記載のゴム配合物。
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