JPH08319107A - 炭素−炭化物セラミックス球状複合体およびその 製造方法 - Google Patents

炭素−炭化物セラミックス球状複合体およびその 製造方法

Info

Publication number
JPH08319107A
JPH08319107A JP7145399A JP14539995A JPH08319107A JP H08319107 A JPH08319107 A JP H08319107A JP 7145399 A JP7145399 A JP 7145399A JP 14539995 A JP14539995 A JP 14539995A JP H08319107 A JPH08319107 A JP H08319107A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon
carbide
ceramics
oxide
spherical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7145399A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2694893B2 (ja
Inventor
Kenji Miyazaki
憲 治 宮▲崎▼
Keiko Nishikubo
桂 子 西久保
Yasuhiro Yamada
田 泰 弘 山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP7145399A priority Critical patent/JP2694893B2/ja
Publication of JPH08319107A publication Critical patent/JPH08319107A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2694893B2 publication Critical patent/JP2694893B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ceramic Products (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面は炭素で覆われ、内部は小片状の炭素と
炭化物セラミックスが混在した構造の粒子径が5〜2000
μmの真球に近い球状体であり、炭素と炭化物セラミッ
クスの特徴を合わせ持つ機能性を有する高温材料である
新規な球状複合体の開発。 【構成】 カーボンブラック、活性炭、コークスおよび
それらの熱処理物または天然黒鉛の1重量部と9重量部
以下の炭化モリブデン、炭化チタン、炭化ジルコニウ
ム、炭化バナジウムおよび炭化タングステンあるいは酸
化モリブデン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化バ
ナジウムおよび酸化タングステンの1種または2種以上
の混合物を2600〜3000℃で熱処理することにより生成さ
せる表面が炭素で、内部は炭素とセラミックスが混在し
た構造である粒子径が5〜2000μmの炭素ー炭化物セラミ
ックス球状複合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表面が黒鉛で覆われ,内
部は微細な炭素(黒鉛)と炭化物セラミックスが混在し
た構造であり、高温耐熱性材料として有用な直径が5〜2
000μmの球状の炭素−炭化物セラミックス複合体および
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素とセラミックスから成る複合材料は
炭素の持つ耐熱性、耐薬品性、潤滑性等とセラミックス
の持つ耐熱性、耐酸化性、高強度等の特徴を備えた材料
として使用されている。この複合材料の製造方法は粘結
性を有する炭素質材料である生コークスにセラミックス
粉末を摩砕、混合し、成形した後、焼成する方法(特公
昭61−27352号)。生コークスにセラミックス粉
末を混合し、ホットプレス等の加圧下で焼成する方法
(特公平2−7907号)がある。最近、生コークスに
炭化ケイ素(SiC)と炭化ホウ素(B4C)の粉末を混合し、成
形後焼成することによって板状や針状のSiCが分散した
靱性に優れた複合材の製造方法が開発されている(特開
平6−87653号)。これらの方法で得られる複合材
はいずれもブロック状であり、構造材料として使用され
ている。
【0003】炭素とセラミックスはそれぞれ特性を持つ
ものであるから、これらの特性を発揮させるためにはブ
ロック状から、他の形態に変えることによって機能性材
料になり得ると考え、先に、炭素粉末とホウ化物セラミ
ックス粉末を混合し、この混合粉末を2400℃以上の温度
で熱処理することにより表面が炭素(黒鉛)で覆われ、
内部は小片状の炭素とホウ化物セラミックスが混在した
構造の球形の炭素−ホウ化物系セラミックス複合体およ
びその製造方法を提案した(特願平6−71396
号)。このような構造の球状複合体は特異的であること
から、従来知られていなかった機能の発現が期待され
る。例えば、炭素は空気中で加熱すると、容易に酸化さ
れる。最も不活性である天然黒鉛でも約800℃で酸化消
耗する。また、ホウ化物も空気中では約800〜1000℃で
酸化され、酸化物とホウ酸になる。しかしながら,この
球状複合体を空気中で加熱すると、表面の炭素は約1000
℃で酸化消耗するが、それ以上の酸化は進行せず、1500
℃まで加熱した後も球形を保持しており、かなりの強度
を有する。さらに、炭素、ホウ化物セラミックス共に電
気比抵抗の低い電導体であるが、球状複合体の電気比抵
抗は炭素、ホウ化物セラミックスのそれらよりも高くな
る現象も認められており、単純に炭素とホウ化物セラミ
ックスが混在しているのではないことを示唆している。
【0004】このように、炭素とセラミックスの球状複
合体は単に球状という形態の他に機能性の発現が期待で
きるので、炭化物セラミックスでもホウ化物セラミック
スと同様の構造を持つ球状体が製造できると新たな展開
が期待される。
【0005】炭化物セラミックスは高融点化合物であ
り、硬度、強度共に高く、高温材料の1つとして使用さ
れており、工業的には金属や金属酸化物を炭素と共に熱
処理して製造される。このとき水素を還元剤として併用
する場合もあるが、いずれの場合も得られる炭化物は塊
状や粒状であって球状ではない。そのため、通常は粉末
焼結法によってブロック状の焼結体が製造され、高融点
化合物であるため焼結助剤が用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】炭化物は金属と炭素の
結合様式によって、イオン結合、共有結合および侵入型
に分けられ、共有結合および侵入型が化学的に安定であ
ることはよく知られており、これらの結合を持つ炭化物
セラミックスは耐熱性、耐酸化性等に優れた高温材料の
1つとして使用されている。この優れた性質を有する炭
化物セラミックスを炭素との組合せで球形化することに
より、機能性材料を製造することが本発明の目的であ
る。
【0007】この目的を実現するために、先に特願平6
−71396号で提案した球状の炭素−ホウ化物系セラ
ミックス複合体の製造方法と同一の方法を炭化物セラミ
ックスに適用した場合、ホウ化物セラミックスの場合と
同様に球形化が可能であると予想することは困難であっ
た。その理由は球状の炭素−ホウ化物セラミックス複合
体の生成機構にある。すなわち、ホウ化物セラミックス
の場合は炭素粉末と混合したホウ化物セラミックスは高
温において炭素と接している部分で共融点によりホウ化
物自体の融点より低い温度で溶融し、これに炭素が溶解
すると共に、表面張力により球形化し、ついで冷却過程
で溶解した炭素が析出することによって球状の炭素−ホ
ウ化物セラミックス複合体となる。この生成機構によっ
て球形化するポイントは2つあり、第1は炭素とセラミ
ックス間に共融点を有し、溶融したセラミックスが表面
張力で球形化が可能な粘度になり得るかであり、第2は
溶融したセラミックスに炭素が溶解するかである。第1
の点は多くの炭化物の融点はホウ化物より高く、3000℃
またはそれ以上であり、工業的加熱炉であるタンマン炉
や高周波誘導炉では最高温度が約3000℃であることから
第1の現象が起こることはかなり困難であろうと予想さ
れる。第2の点は炭化物が高融点化合物であるため、溶
融した炭化物中に溶解する炭素量に関する研究はなされ
ていない。このようなことから、ホウ化物セラミックス
の場合と同様に炭素と炭化物セラミックスから球状の炭
素−炭化物セラミックス複合体が製造可能であるとの予
想は困難であり、これを実現させることが最大の課題で
ある。
【0008】一方、酸化物セラミックスを出発原料とし
た場合、炭素との反応によって炭化物となるが、酸化物
の融点が炭化物のそれより低いことおよび炭化物を生成
する反応を伴ったとき、球形化の可否については不明で
あった。
【0009】
【課題を解決するための手段】侵入型の炭化物セラミッ
クスである炭化チタン、炭化二モリブデン、炭化モリブ
デン、炭化ジルコニウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、
炭化タングステン、炭化バナジウムおよび炭化ハフニウ
ムと炭素の混合粉末を熱処理したところ、特定の炭化物
セラミックス、すなわち、炭化チタン、炭化二モリブデ
ン、炭化ジルコニウム、炭化バナジウムおよび炭化タン
グステンの5種類の炭化物セラミックスから球状体が生
成すること、さらに、この球状体を製造する方法を検索
した結果、出発原料として炭化物セラミックス粉末では
なく、酸化物セラミックス粉末を用いることにより、同
様の球状体が生成することが知られ、本発明をなすに至
った。
【0010】以下、本発明の方法を説明する。出発原料
として、炭素と炭化物セラミックスまたは酸化物セラミ
ックスの粉末を用いる。炭素はカーボンブラック、コー
クスやこれらの熱処理物であり、熱処理温度は3000℃以
下の温度で処理したもので、炭素質、黒鉛質のいずれも
用いることが出来る。さらに、天然黒鉛でもよい。炭化
物セラミックスは炭化チタン(TiC)、炭化二モリブデン
(Mo2C)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化バナジウム(VC)
および炭化タングステン(WC)であり、それらの1種また
は2種以上の混合したものでもよい。酸化物セラミック
スは酸化チタン(TiO2)、酸化モリブデン(MoO2)、酸化ジ
ルコニウム(ZrO2)、酸化バナジウム(V2O5)および酸化タ
ングステン(WO3)であり、これらの1種または2種以上
の混合したものでもよい。さらに、上記の炭化物セラミ
ックスと酸化物セラミックスを混合したものでもよい。
これらの炭素、炭化物および酸化物セラミックスの粒子
径は最大50μm以下であって、平均粒子径が10μm以下の
ものが好ましい。
【0011】炭素粉末1重量部に対する炭化物または酸
化物セラミックス粉末の混合量は炭化物と酸化物セラミ
ックスで異なり、炭化物セラミックスでは最大1〜9重量
部、酸化物セラミックスでは最大1〜2.5重量部の範
囲であって、それらの式量によって異なる。すなわち、
式量が小さい炭化物または酸化物セラミックスの場合は
少量となり、大きい場合は多量となる。この量以上にな
ると、球状体同士が融合し、大きく変形した球状体とな
り、実質的に真球に近い球状体の収率が低下する。
【0012】炭素粉末と炭化物または酸化物セラミック
ス粉末はよく混合する。混合した粉末は黒鉛製容器に入
れ、ヘリウム、アルゴンの不活性ガス中で熱処理する。
このときの熱処理温度は炭化物セラミックス、酸化物セ
ラミックスともに2600〜3000℃の範囲であるが、炭化物
または酸化物セラミックスの種類によって異なるので、
実験的に決める必要がある。なお、不活性ガスとして窒
素ガスを用いることは炭化物または酸化物セラミックス
の金属の種類によっては窒化物セラミックスを生成する
恐れがある。
【0013】この熱処理物は炭素中に生成した球状体が
混在したものであるので、球状体を分離する必要があ
る。その方法としては、例えば、傾斜板上から落下させ
る方法、サイクロンによる分離、比重分別法等がある。
その中で比重分別法が最も良い。すなわち、比重液とし
て炭素と球状体をよく濡らすアルコールや界面活性剤を
少量加えた水中に熱処理物を入れ、攪拌等で分散させ、
短時間静置後上澄みを除く。沈降物に比重液を加え、同
様の操作を行う。この操作を繰り返し行うことによって
比重の小さい炭素は除かれ、最終的に沈降物は球状体の
みとなる。
【0014】このようにして得られた球状体は銀灰色の
真球に近い球であり、その直径は約5μm以上であり、2
〜3mmのものもある。球状体の表面は微細な三角、四
角、六角形の平板な面で覆われた多角体であり、分析し
た結果、主として炭素であり、少量の炭化物の金属であ
る。低い熱処理温度で生成した球状体表面には炭化物の
金属によって膜状で部分的に覆われたものもある。内部
は炭素と炭化物セラミックスが混在した状態である。こ
のことから、球状体の構造は表面は炭素に覆われ、内部
は炭素と炭化物が混在する複合体であるといえる。な
お、球状体を生成する温度以下で処理し、分離した沈降
物は少量の遊離炭素を含む炭化物セラミックスの微細粒
子の集合体であり、この集合体の形状は丸みのある不定
形の球状である。
【0015】炭素と酸化物セラミックスの混合粉末を20
00℃で熱処理し、分離して得た微細粒子集合体はすでに
炭化物であった。このことは酸化物セラミックスを出発
原料としても球状複合体を生成するときは炭化物である
ことを示している。それにもかかわらず炭化物セラミッ
クスを出発原料とした場合よりも大部分の酸化物セラミ
ックスからは低い温度で球状複合体が生成するが、この
理由は不明である。しかし、低い温度で生成することか
ら、酸化物セラミックスを出発原料とした方が有利であ
るといえる。
【0016】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。なお、以下の実施例において炭化物および酸
化物セラミックスは化学式で示し、走査型電子顕微鏡を
SEM、透過型電子顕微鏡をTEM、エネルギー分散型X線分
析装置をEDX、波長分散型X線分析装置をWDXと略記す
る。
【0017】実施例1 本実施例は炭素と炭化物セラミックスの混合粉末を熱処
理したときの球状体の生成状況を示したものである。炭
素としてカーボンブラック(三菱化学(株)製、ファー
ネスブラック#2300、平均粒子径15nm)5gに炭化チタン
(TiC、平均粒子径2μm、融点(文献値)3157℃)5gを
加え、ビーカー中で十分混合した。この混合粉末を黒鉛
製ルツボに入れ、タンマン炉でアルゴン気流中、2000〜
3000℃の温度範囲を100℃毎に加熱し、1時間保持した
後、冷却した。これをエタノール中に入れ、超音波振動
で分散し、短時間静置した後、上澄みを除き、沈降物に
新しいエタノールを入れ、上記と同様の操作を行った。
この操作を5回繰り返したところ、上澄み液がほとんど
無色になったので、沈降物を約100℃に加熱し乾燥し
た。
【0018】得られた沈降物の形状をSEMで観察した結
果を図1に示した。同図(a)に見られるように、2700℃
で処理した沈降物は粉末状または微細粒子が集合した丸
みのある塊状物であったが、同図(b)の2800℃で処理し
たものは直径が約10μm〜1mmの真球に近い球状体であ
り、3000℃で処理した場合にも同様の大きさおよび形状
の球状体が生成した。
【0019】
【図1】
【0020】図2は図1(b)の球状体を高倍率で拡大し
たSEM写真であるが、球状体の表面は多角形であること
が分かる。この表面をSEMに付属したEDXで元素組成を分
析したところ、炭素と少量のチタンが検出され、線分析
の結果、多角形の平面の部分は炭素であり、多角形同士
が接した境界にチタンが存在していた。また、粉末X線
回折の結果、検出された回折線は黒鉛と炭化チタンに相
当するものであった。
【0021】
【図2】
【0022】さらに、球状体を樹脂に埋め込み研磨し、
球状体の断面をWDXで炭素とチタンの分布を調べたとこ
ろ、炭素とチタンが混在した状態で存在することが知ら
れた。そこで、球状体を粉砕し、TEMで観察すると共
に、TEM に付属しているEDXで元素分析を行った。その
結果、チタンが検出されたものは不定形の板状であり、
この電子回折図形はスポットとなり、面間隔は炭化チタ
ンに相当するものであった。一方、チタンが検出されな
いものは同様に不定形板状であり、電子回折図形はスポ
ットとなり、その面間隔は炭素に相当するものであっ
た。これらの結果から、球状体は表面は主として炭素で
覆われ、内部は炭素と炭化チタンが小片状の板状体とし
て混在した構造であり、しかも、炭素と炭化チタンは非
常に結晶性に優れたものであることが知られた。
【0023】炭化チタン以外の炭化物セラミックスとし
て、炭化ジルコニウム(ZrC、平均粒子径11μm)、炭化
モリブデン(MoC,Mo2C、平均粒子径5μm)、炭化タング
ステン(WC、平均粒子径5μm)、炭化バナジウム(VC、
平均粒子径5μm)、炭化タンタル(TaC、平均粒子径3μ
m)、炭化ニオブ(NbC、平均粒子径5μm)および炭化ハ
フニウム(HfC、平均粒子径8μm)について上記と同様
の操作を行い、球状体の生成条件(温度)を求めると共
に構造について調べた。表1に図1(b)および図2と同
様の形態を持つ球状体の生成する100℃毎の最低温度
(生成温度)を示す。なお、参考として各炭化物の融点
も併記した(出典:日本化学会編、化学便覧基礎編I、
丸善、発行)。
【0024】 この表中、×印で示した炭化物の場合は3000℃で熱処理
しても図1(a)と同様の微細粒子が集合した塊状物また
は粉末のままであり、球状体が生成しなかった。したが
って、参考例である。
【0025】実施例2 本実施例は酸化物セラミックスを出発原料としたときの
球状体の生成条件を調べたものである。炭素粉末として
実施例1と同じカーボンブラックを用い、酸化物セラミ
ックスとして酸化チタン(TiO2、平均粒子径1μm)を用
いた。カーボンブラック5gに5gの酸化チタンを加え、よ
く混合したものを黒鉛製ルツボに入れ、アルゴン気流
中、2000〜3000℃まで100℃毎に加熱し、それぞれの温
度で1時間保持した。これを実施例1と同様にエタノー
ルを比重液とした比重分別法により沈降物を得た。この
沈降物をSEMで観察した結果、2400℃以下の温度で熱処
理したものは微細粒子とそれが集合した塊状物であっ
た。2500℃で熱処理したものは約1μmの微細粒子の集
合体であったが、2600℃以上のものは図1(b)および図
2と同様の粒子径であり、表面多角体の真球に近い球状
体であった。X線回折法で結晶相を調べた結果、2000℃
のものはすでに炭化チタン(TiC)であり、2600℃以上の
ものは遊離の炭素と炭化チタンであった。さらに、WDX
およびTEM による観察の結果、実施例1の炭化ジルコニ
ウムの場合と同様の表面が炭素で覆われ、内部は小片状
の炭素と炭化チタンが混在した球状複合体であった。
【0026】他の酸化物セラミックスとして、酸化モリ
ブデン(MoO2、平均粒子径5μm)、酸化ジルコニウム
(ZrO2、平均粒子径3μm)、酸化タンタル(Ta2O5、平
均粒子径7μm)、酸化バナジウム(V2O5、平均粒子径8
μm)、酸化ニオブ(Nb2O5、平均粒子径5μm)、酸化タ
ングステン(WO3、平均粒子径3μm)およびTiO2とZrO2
およびZrO2とWO3の1:1重量比の混合粉末を用いた。
炭素として上記と同じカーボンブラック5gに対して、こ
れに5gの酸化物セラミックスを混合した粉末を同様にし
て100℃毎で熱処理し、得られた沈降物の形状をSEMで調
べ、図1および図2と同じ形状の球状体が生成した最低
温度(生成温度)を求め、その結果をまとめて表2に示
す。また、X線回折法で求めた炭化物の結晶相を表2に
併記した。
【0027】
【0028】この表で、Ta2O5、Nb2O5の場合は3000℃で
熱処理しても微細粉末の集合体であり、球状体は生成し
なかった。したがって、これらは参考例である。球状体
の構造をX線回折、WDXおよびTEMで調べた結果、1種類
の酸化物セラミックスの場合、いずれも小片状の炭素と
炭化物の混在したものであったが、TiO2とZrO2の混合粉
末の場合は炭化チタンと炭化ジルコニウムの固溶体であ
った。なお、2000℃の熱処理で得られた沈降物の結晶相
をX線回折法で調べた結果、いずれの酸化物の場合も炭
化物であり、TiO2とZrO2の混合粉末では炭化チタンと炭
化ジルコニウムの固溶体も存在した。このことから、酸
化物は炭素と反応して炭化物となり、ついで、球形化す
るということが分った。さらに、表2の結果と実施例1
で示した表1の結果を比較した場合、球状体はMoO2を除
いて、酸化物セラミックスを用いた方が低い温度で生成
することが分った。
【0029】実施例3 本実施例は炭素に対する炭化物セラミックスの量を変え
た場合の球状体の生成状況を調べたものである。炭素と
して実施例1と同様のカーボンブラックを、炭化物セラ
ミックスとして炭化チタン(TiC)および炭化タングステ
ン(WC)を用いた。カーボンブラック5gにTiCまたはWCを
それぞれ7.5、11.7、20.0および45.0gを加え、よく混合
した。これを黒鉛製ルツボに入れ、アルゴン気流中2800
℃まで加熱し、1時間保持して熱処理した。
【0030】熱処理物を黒鉛製ルツボから取り出したと
ころ、TiCの場合、TiCの量が11.7g以下のときは全量回
収できたが、20.0gではルツボ底部に溶融物と思われる
銀白色を呈するものが約半分の領域に強固に付着し、4
5.0gのときは全面に付着していた。この銀白色物を採取
し、表面部分をSEMで観察したところ、図2と同様の多
角形であり、X線回折法による結晶相は炭素とTiCであ
った。さらに、回収した黒色粉末をエタノールを比重液
とした比重分別法で得られた沈降物をSEMで観察したと
ころ、実施例1の図1(b)および図2と同様であり、構
造もまた実施例1と同様であった。一方、WCの場合はそ
の量によらず黒鉛製ルツボ低部に付着物は存在せず、全
量回収できた。これをエタノールを比重液とした比重分
別法で得られた沈降物をSEMで観察したところ、実施例
1の図1(b)および図2と同様であり、構造もまた実施
例1と同様であった。
【0031】これらのことから、式量の小さいTiCでは
カーボンブラックに対する量が多くなると実質的に球状
体の収率が低下したが、式量の大きいWCではカーボンブ
ラック1重量部に対して9重量部と多量に混合しても球
状体の収率は低下しないことが知られた。
【0032】実施例4 本実施例は炭素に対する酸化物セラミックスの量を変え
た場合の球状体の生成状況を調べたものである。炭素と
して実施例1と同様のカーボンブラックを、酸化物セラ
ミックスとして酸化チタン(TiO2)を用いた。カーボンブ
ラック5gにTiO2を7.5、11.7および20g加え、よく混合し
た後、黒鉛製ルツボに入れ、アルゴン気流中、2800℃に
加熱し、1時間保持して熱処理した。この熱処理物を調
べたところ、TiO2が7.5gのときには黒鉛製ルツボ底部に
部分的に溶融して生成したと思われる銀白色のものが、
その上部に粉状のカーボンブラックの部分が存在した。
このカーボンブラックの部分をエタノールを比重液とし
た比重分別によって沈降物を採取し、その形状をSEMで
観察したところ、図2と同じ形態の球状体であった。Ti
O2が11.7および20gの場合は粉状のカーボンブラックの
部分が全く存在せず、溶融して生成したと思われる銀白
色のものが黒鉛製ルツボ底部全面に融着していた。この
銀白色のものを採取し、X線回折法で結晶相を調べたと
ころ、いずれの量の場合も炭素とTiCであった。
【0033】一方、TiO2の式量は79.9であるので、これ
より大きい式量231.9のWO3を用いて、上記と同様にして
処理した。その結果、WO3の量が20gの場合でも黒鉛製ル
ツボ底部に融着したものは認められず、全量粉状のカー
ボンブラックの部分として回収できた。そこで、これを
エタノールを比重液とした比重分別によって沈降物を採
取し、その形状を観察した。その結果、WO3が7.5gおよ
び11.7gのときは実施例2で示した5gの場合と同様に粒
子径が約5〜10μmの真球に近い球状体であったが、20g
のときは粒子径が約5〜10μmの真球に近い球状体と約5m
mまたはそれ以上の大きさの銀白色の丸みのある塊状物
が混在したものであった。
【0034】実施例5 本実施例は炭素として石油コークスおよび天然黒鉛を用
い、酸化物セラミックスから球状体の生成状況を調べた
ものである。石油コークスは興亜石油(株)製カルサイ
ンコークスをらいかい機により平均粒子径が10μmにな
るまで粉砕したものを、天然黒鉛はリン片状黒鉛から調
製した日本黒鉛工業(株)製ACP-1000(平均粒子径6μ
m)をそのまま用いた。酸化物セラミックスは実施例2
と同様の酸化チタン(TiO2)と酸化ジルコニウム(ZrO2)を
用いた。石油コークスまたは天然黒鉛5gにTiO2またはZr
O25gを加え、混合した後、黒鉛製ルツボに入れ、アルゴ
ン気流中、2500、2600および2800℃に加熱し、1時間保
持して熱処理した。この熱処理物を実施例1と同様にし
てエタノールを比重液とした比重分別法により沈降物を
得た。
【0035】沈降物の形状をSEMで観察したところ、250
0℃のものはTiO2、ZrO2共に微細粒子の集合体であった
が、2600および2800℃のものはいずれも球状体であり、
図1(b)および図2と同様であった。さらに、X線回折
法で結晶相を調べたところ、熱処理温度によらずいずれ
も炭化物であり、2600および2800℃で得られた球状体は
結晶性に優れた炭素と炭化物であった。
【0036】
【発明の効果】本発明は従来、全く知られていなかった
表面が炭素(黒鉛)で覆われ、内部は小片状の炭素と炭
化物セラミックスが混合した構造の微細な球状体に関す
るものである。この球状体を構成する炭素、炭化物セラ
ミックスはいずれも2000℃以上の高い融点を持つ物質で
あることから、微細な球状の高温材料として有用であ
る。また、単に炭素と炭化物セラミックスが混合したブ
ロック状の構造材料ではなく、球状の形態であること、
炭素、炭化物セラミックス共に電導性を有することか
ら、機能性材料として期待される。さらに、表面が酸化
反応を除いて化学反応に不活性な黒鉛で覆われているこ
とから、球状体としては化学的に安定な材料であるとい
える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた沈降物の形状を示す顕微鏡
写真(倍率40倍)。(a)は微細粒子集合体、(b)は球状
体。
【図2】実施例1で得られた1個の球状体の形状を示す
顕微鏡写真(倍率720倍)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09C 3/06 PBT C04B 35/56 G W S U Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子径が5〜2000μmの表面が炭素で被
    覆され、内部は炭素と炭化物セラミックスが小片状で混
    在した構造である炭素−炭化物セラミックス球状複合
    体。
  2. 【請求項2】 炭素は黒鉛であり、炭化物セラミック
    スは炭化モリブデン、炭化チタン、炭化ジルコニウム、
    炭化バナジウムおよび炭化タングステンの1種または2
    種以上の混合物であることを特徴とする請求項1の炭素
    −炭化物セラミックス球状複合体。
  3. 【請求項3】 炭素1重量部に対して、9重量部以下
    の炭化物セラミックスを混合し、2600〜3000℃の温度で
    熱処理することを特徴とする炭素−炭化物セラミックス
    球状複合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 炭素1重量部に対して、2.5重量部
    以下の酸化物セラミックスを混合し、2600〜3000℃の温
    度で熱処理することを特徴とする炭素−炭化物セラミッ
    クス球状複合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 炭素は平均粒子径が10μm以下のカー
    ボンブラック、コークスおよびそれらの熱処理物または
    天然黒鉛であり、炭化物セラミックスは平均粒子径が50
    μm以下の炭化モリブデン、炭化チタン、炭化ジルコニ
    ウム、炭化バナジウムおよび炭化タングステンの1種ま
    たは2種以上の混合物であることを特徴とする請求項3
    の炭素−炭化物セラミックス球状複合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 炭素は平均粒子径が10μm以下のカー
    ボンブラック、コークスおよびそれらの熱処理物または
    天然黒鉛であり、酸化物セラミックスは平均粒子径が50
    μm以下の酸化モリブデン、酸化チタン、酸化ジルコニ
    ウム、酸化バナジウムおよび酸化タングステンの1種ま
    たは2種以上の混合物であることを特徴とする請求項4
    の炭素−炭化物セラミックス球状複合体の製造方法。
JP7145399A 1995-05-19 1995-05-19 炭素−炭化物セラミックス球状複合体およびその製造方法 Expired - Lifetime JP2694893B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7145399A JP2694893B2 (ja) 1995-05-19 1995-05-19 炭素−炭化物セラミックス球状複合体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7145399A JP2694893B2 (ja) 1995-05-19 1995-05-19 炭素−炭化物セラミックス球状複合体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08319107A true JPH08319107A (ja) 1996-12-03
JP2694893B2 JP2694893B2 (ja) 1997-12-24

Family

ID=15384365

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7145399A Expired - Lifetime JP2694893B2 (ja) 1995-05-19 1995-05-19 炭素−炭化物セラミックス球状複合体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2694893B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015129669A1 (ja) * 2014-02-28 2015-09-03 コスモ石油株式会社 石油コークス微粉砕物、石油コークス微粉砕焼成物、ゴム配合物用フィラーおよびゴム配合物
JP2015178583A (ja) * 2014-02-28 2015-10-08 コスモ石油株式会社 フィラー及びこれを含む組成物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015129669A1 (ja) * 2014-02-28 2015-09-03 コスモ石油株式会社 石油コークス微粉砕物、石油コークス微粉砕焼成物、ゴム配合物用フィラーおよびゴム配合物
JP2015178583A (ja) * 2014-02-28 2015-10-08 コスモ石油株式会社 フィラー及びこれを含む組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2694893B2 (ja) 1997-12-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2158048C (en) Densified micrograin refractory metal or solid solution (mixed metal) carbide ceramics
Mhadhbi et al. Titanium carbide: synthesis, properties and applications
Kwon et al. Dual-nanoparticulate-reinforced aluminum matrix composite materials
Koc et al. Sintering properties of submicron TiC powders from carbon coated titania precursor
US5912399A (en) Chemical synthesis of refractory metal based composite powders
EP2394952A2 (en) Nanoparticles prepared using carbon nanotube and preparation method therefor
Ruys et al. The nanoparticle-coating process: a potential sol-gel route to homogeneous nanocomposites
JPH02504386A (ja) 炭化硼素基質を用いる炭化硼素/二硼化チタン複合セラミツク粉末の製造方法及び組成物
JPH0336783B2 (ja)
Reddy Processing of nanoscale materials
Suri et al. Tailoring the relative Si3N4 and SiC contents in Si3N4/SiC nanopowders through carbothermic reduction and nitridation of silica fume
Wu et al. Polymer precursor synthesis of novel ZrC–SiC ultrahigh-temperature ceramics and modulation of their molecular structure
Radev et al. Structural and mechanical properties of activated sintered boron carbide-based materials
JP2694893B2 (ja) 炭素−炭化物セラミックス球状複合体およびその製造方法
JPH0280318A (ja) あらかじめ決められた粒子寸法を有する耐火性金属ホウ化物の合成法
Şenyurt et al. In-situ synthesis of tungsten boride-carbide composite powders from WO3-B2O3–Mg–C quaternary system via a mechanochemical route
JP2552679B2 (ja) 高硬度複合銅合金の製造方法
Leconte et al. Elaboration of SiC, TiC, and ZrC nanopowders by laser pyrolysis: from nanoparticles to ceramic nanomaterials
JP2818859B2 (ja) 炭素−ホウ化物セラミックス球状複合体の製造方法
JP4918196B2 (ja) 金属複合組成物の製造方法
US20100158787A1 (en) Method of Preparing Metal Carbide and Metal Carbide Prepared Using the Same
Desai et al. Synthesis and characterization of aluminium matrix hybrid composite by powder metallurgy route
Khodabakhshzade Fallah et al. Investigation of in-situ synthesis of alumina reinforcement and comparative flexural behavior with respect to ex-situ Al2O3 reinforced copper composite
JP2507921B2 (ja) 球状炭素−ホウ化物系セラミックス複合体およびその製造方法
JPH02271919A (ja) 炭化チタン微粉末の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term