JP7064296B2 - 黒色微粒子状絶縁剤、黒色絶縁材料、黒色絶縁インキおよび黒色絶縁材 - Google Patents

黒色微粒子状絶縁剤、黒色絶縁材料、黒色絶縁インキおよび黒色絶縁材 Download PDF

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Description

本発明は、絶縁性黒色微粒子、それを用いる絶縁性黒色材料および絶縁性黒色インキに関する。
従来より、遮光性等が要求される各種用途、例えば、ブラウン管のシャドウマスク等の各種分野において、黒色顔料として、酸化鉄系の黒色顔料や、黄色、赤色および青色等の有機顔料を配合してなる黒色顔料が使用されてきた。
しかしながら、これ等酸化鉄系の黒色顔料や有機顔料を用いて形成される塗膜は黒色遮蔽度が不十分であったり、顔料自体が高価であるという技術課題を有していた。
一方、上記酸化鉄系の黒色顔料や有機顔料に代えて黒鉛やカーボンブラック等の利用が検討されてきたが、上記黒鉛等は一定の導電性を有することから、絶縁性が求められる分野、例えば、上記ブラウン管のシャドウマスクや、(絶縁性が要求される)シール材または被覆材や、カメラのセンサーまたはレンズや、レーザーマーキング樹脂や、複写機部材(帯電ロール、電荷調整フィラー等)や、各種表示装置のブラックマトリクス等の分野においては、利用し難い状況にあった。
また、上記黒鉛等は、一般に樹脂や有機溶剤等に対する分散性に劣ることから、均一性に劣るばかりか、所望量を配合し難く、目的とする黒色度等の性能を必ずしも発揮し難かった。
このような状況下、上記黒鉛等に代えて絶縁性に優れたチタンブラックを利用することが検討されている(例えば、特許文献1(特開2001-180933号公報)参照)。
しかしながら、チタンブラックは、一次粒子径がサブミクロン以下の微粒子であって、粒子間の凝集力が強く、他の物質、例えば、樹脂や有機溶剤といった配合対象に対する親和力が弱く、二次凝集を生じやすいことから、黒鉛等と同様に、均一性に劣るばかりか、所望量を配合し難く、目的とする黒色度等の性能を必ずしも発揮し難い場合があった。
また、上記黒鉛等やチタンブラックは、一般に製造工程が煩雑なために製造コストが嵩んだり、原料費が高価であるために、黒色顔料として使用した場合にコスト高になり易く、汎用品に対し大量に使用し難かった。
特開2001-180933号公報
従って、本発明は、安価であるとともに、ゴムまたは樹脂等に対する分散性に優れ、均一にかつ高い割合で配合することができ、黒色度および絶縁性に優れた絶縁性黒色微粒子、係る絶縁性黒色微粒子を含む絶縁性黒色材料および絶縁性黒色インキを提供することを目的とするものである。
このような状況下、本発明者等が鋭意検討したところ、上記黒色顔料として、石油コークスの利用を着想するに至った。
石油コークスは、石油精製プロセスで得られる熱分解原料油が、熱分解装置で熱分解処理されることにより生成し、熱分解処理において生成する軽質分が採取された後に残る残渣分であって、その各種高機能性材料としての有用性が見出されておらず、従来よりボイラーの燃料等として利用されるに過ぎなかった。
これに対して本発明者等が検討した結果、ゴムまたは樹脂等に石油コークス粉砕物を配合すると、全く意外なことに、ゴムまたは樹脂等に対する分散性に優れ、均一にかつ高い割合で配合することができるばかりか、優れた黒色度および絶縁性を発揮することができ、絶縁性黒色微粒子として有効に利用し得ることを見出して、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)50±5MPa下での体積抵抗率が10~1015Ω・cmであり、硫黄分含有量が0~3.0質量%である石油コークス粉砕物からなることを特徴とする黒色微粒子状絶縁剤
(2)上記石油コークス粉砕物の平均粒子径が100μm以下である上記(1)に記載の黒色微粒子状絶縁剤
(3)上記石油コークス粉砕物の炭素含有量の原子換算のモル数に対する水素含有量の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)が0.3~0.8である上記(1)または(2)に記載の黒色微粒子状絶縁剤
(4)上記石油コークス粉砕物が、熱分解処理残渣物を50~550℃で乾燥してなる乾燥物である上記(1)~(3)のいずれかに記載の黒色微粒子状絶縁剤
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載の黒色微粒子状絶縁剤と、ゴムまたは樹脂とを含むことを特徴とする黒色絶縁材料および、
(6)上記(1)~(4)のいずれかに記載の黒色微粒子状絶縁剤と、樹脂、分散剤および溶剤とを含むことを特徴とする黒色絶縁インキ
(7)上記(5)に記載の黒色絶縁材料からなり、絶縁対象物と接触するように設けられることを特徴とする黒色絶縁材、
(8)上記(6)に記載の黒色絶縁インキの塗膜からなり、絶縁対象物と接触するように設けられることを特徴とする黒色絶縁材
を提供するものである。
本発明によれば、安価であるとともに、ゴムまたは樹脂等に対する分散性に優れ、均一にかつ高い割合で配合することができ、黒色度および絶縁性に優れた絶縁性黒色微粒子、係る絶縁性黒色微粒子を含む絶縁性黒色材料並びに絶縁性黒色インキを提供することができる。
先ず、本発明に係る絶縁性黒色微粒子について説明する。
本発明に係る絶縁性黒色微粒子は、50±5MPa下での体積抵抗率が10~1015Ω・cmである石油コークス粉砕物からなることを特徴とするものである。
本発明に係る絶縁性黒色微粒子において、石油コークスとは、石油精製プロセスにおいて生成する熱分解原料油が、熱分解装置で熱分解処理されることにより生成し、熱分解処理において生成する軽質分を採取した後の残渣物を意味する。
熱分解処理される熱分解原料油としては、原油を常圧蒸留した後の常圧蒸留残渣油や、常圧蒸留残渣油を減圧蒸留した後の減圧蒸留残渣油や、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油や、常圧蒸留残渣油および減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)との混合油が挙げられる。
熱分解原料油に係る常圧蒸留残渣油は、特に制限はなく、原油を常圧蒸留して、蒸発留分を分離した後の残渣分である。熱分解原料油に係る減圧蒸留残渣油は、特に制限はなく、常圧蒸留残渣油を減圧蒸留して、蒸発留分を分離した後の残渣分である。熱分解原料油は、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油であってもよい。熱分解原料油が、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油である場合、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合割合は、特に制限されず、適宜調節される。
常圧蒸留残渣油の蒸留原料となる原油としては、特に制限されず、原油種としては、例えば、アラビアンヘビー、アラビアンミディアム、アラビアンライト、アラビアンエクストラライト、クウェート、バスラ、オマーン、マーバン、ムバラスブレンド、ザクム、アッパーザクム、カタールランド、カタールマリン、ウムシャイフ、シリー、カフジ、エスポ等が挙げられ、いずれか1種であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
また、熱分解原料油は、常圧蒸留残渣油および減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)の混合油、すなわち、常圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油、減圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油、または常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油であってもよい。熱分解原料油が、常圧蒸留残渣油および減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)の混合油である場合、他の炭化水素油(1)は、本発明の効果を示す範囲の炭化水素油であればよく、例えば、流動接触分解処理のスラリーオイル、エチレンクラッカー残渣油等が挙げられる。
熱分解処理の条件であるが、熱分解温度は、好ましくは490~510℃、より好ましくは495~505℃であり、また、熱分解処理の際の圧力(ゲージ圧)は、好ましくは0.01~0.6MPaG、より好ましくは0.05~0.4MPaGである。また、熱分解処理の雰囲気は、スチームである。また、熱分解処理中に過度の発泡が認められる場合は、消泡剤を投入する事もある。消泡剤としては、一般的にシリコン系の消泡剤などを用いることができる。
熱分解原料油の熱分解により生成する石油コークスは、熱分解処理後、ウォータージェット等を用いて砕かれて、熱分解装置から取り出される。そして、熱分解装置から取り出される石油コークスは、一般にショットコークスと呼ばれる形状が粒状のものや、一般にスポンジコークスと呼ばれる形状が多孔質の大きな塊状のものであり、本発明に係る絶縁性黒色微粒子の原料となる石油コークスとしては、ショットコークスであっても、スポンジコークスであっても、それらの混合物であってもよい。
このようにして、粉砕処理の対象となる石油コークスを得ることができる。粉砕処理の対象となる石油コークスは、硫黄を含有しており、粉砕処理の対象となる石油コークスの硫黄含有量は、乾燥状態での硫黄含有量で、0~12質量%が好ましい。
上記石油コークスの硫黄含有量は、本発明に係る絶縁性黒色微粒子が配合されたゴムまたは樹脂等が接触する部品への影響等の観点から、0~3.0質量%がより好ましく、0.1~2.0質量%がさらに好ましく、0.3~1.5質量%が一層好ましい。
上記石油コークスの硫黄含有量は、製造コストの観点からは、3.0~12質量%がより好ましく、4.0~11質量%がさらに好ましく、4.0~10質量%が一層好ましく、5.0~9.0質量%がより一層好ましい。
熱分解原料油の熱分解処理により得られる石油コークスは、通常、水分を1~12質量%程度含有しているため、含水した状態の石油コークスの質量を、硫黄含有量の算出の基準とすると、石油コークスの含水状態により、石油コークス中の硫黄含有量の計算値が変動してしまう。そこで、石油コークス中の硫黄含有量の算出に当たっては、含水状態の石油コークスを200℃±10℃で4時間乾燥(JIS M 8811に準拠)させ、得られる乾燥状態の石油コークスの質量を測定し、その乾燥状態の石油コークスの質量を基準に、石油コークス中の硫黄含有量を算出する。つまり、石油コークスの乾燥状態での硫黄含有量とは、乾燥状態の石油コークスの質量に対する石油コークス中の硫黄の質量である。
上記乾燥状態での石油コークスとしては、炭素含有量が80~90質量%であるものが好ましく、また、水素含有量が1.0~10質量%であるものが好ましい。通常、粉砕処理の対象となる(原料となる)石油コークスは、炭化水素基を有しており、粉砕処理の対象となる石油コークスが炭化水素基を有していることは、赤外線吸収スペクトル分析(IR)により確認され、粉砕対象となる石油コークスのIRチャートには、2800~3000cm-1付近に、C-H、-CH-、CH-の伸縮振動に由来するピークが見られ、1600cm-1付近に、フェニル基C=Cに由来するピークが見られ、また、1300~1500cm-1付近に、C-H、-CH-、CH-の変角振動に由来するピークが見られ、また、800~900cm-1付近に、フェニル基C-Hに由来するピークが見られる。
上記乾燥状態での石油コークスの好ましい窒素含有量は、0.1~3.0質量%である。
上記乾燥状態での石油コークスの好ましい芳香族性炭素割合は75~98質量%、より好ましい芳香族性炭素割合は85~95質量%である。
上記乾燥状態での石油コークスの好ましい固定炭素分(固定炭素含有量)は70~95質量%、より好ましい固定炭素分は75~90質量%である。
上記乾燥状態での石油コークスの炭素含有量の原子換算のモル数に対する水素含有量の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)は、好ましくは0.1~1.0、より好ましくは0.2~0.8である。
なお、本発明において、炭素含有量、水素含有量および窒素含有量(CHN分)は、JIS M 8813に準拠して測定された値である。
また、本発明において、石油コークスの芳香族性炭素含有割合は、13C-NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける芳香族炭素(CA)のピーク面積強度(100~200ppm)を、全炭素のピーク面積強度(0~200ppm)で除すことにより算出される値を意味する。また、13C-NMRスペクトルは、重水素クロロホルムを溶媒とし、テトラメチルシラン(TMS)を内標に用いて、日本電子(株)製核磁気共鳴装置Alpha-400により測定されるものを意味する。
さらに、本発明において、石油コークスの固定炭素分は、JIS M 8812に準拠して測定した値を意味する。
加えて、本発明において、石油コークスの炭素含有量の原子換算のモル数に対する水素含有量の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)は、JIS M 8813に準拠して測定される炭素含有量の原子換算のモル数に対する水素含有量の原子換算のモル数から算出される値を意味する。
本発明の絶縁性黒色微粒子を構成する石油コークス粉砕物は、例えば、熱分解装置から取り出された石油コークスを乾燥し、次いで粉砕したり、または、熱分解装置から取り出された石油コークスを、粉砕し、次いで乾燥することにより得ることができる。
石油コークスを乾燥する場合、乾燥温度は、50℃~550℃が好ましく、50℃~500℃が好ましく、90℃~500℃がより好ましく、90℃~200℃がさらに好ましい。
乾燥温度が上記下限値未満であると、水分の含有割合が高くなり易く、また、上記上限値を超えると、乾燥コストが大幅に上昇するとともに所望の絶縁性を発揮し難くなる。乾燥時間は、適宜選択されるが、0.5~10時間が好ましく、1~8時間がより好ましい。
乾燥雰囲気は、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気が好適である。また、乾燥処理では、酸素源を遮断して行ってもよいし、微量の酸素源の存在下で行ってもよい。また、減圧乾燥機を用いてもよい。
上述したように、粉砕対象となる石油コークスは、炭化水素基を有しているので、微量の酸素源の存在下で石油コークスを乾燥することにより、石油コークス中の炭化水素基を酸化し、石油コークスに含酸素官能基を導入することができる。含酸素官能基としては、特に制限されず、例えば、カルボキシル基、ヒドロシキル基、カルボニル基等が挙げられる。石油コークスに含酸素官能基が導入されていることは、X線光電子分光分析(XPS)により確認される。微量の酸素源の存在下で石油コークスの乾燥を行う場合、乾燥方法としては、例えば、不活性ガス中に微量の酸素または水を含有させ、この酸素または水を微量に含有させた不活性ガスを焼成雰囲気に供給しながら、石油コークスの乾燥を行う方法が挙げられる。このとき、不活性ガス中の酸素または水の含有量およびトータル供給量は、適宜選択される。
石油コークスは、2200℃を超える高温度で焼成すると黒鉛構造への相転移が活性化されるが、50℃~550℃で乾燥した程度では、黒鉛構造への相転移は進行せず、このために、上記乾燥前の石油コークスはもちろん、石油コークスの乾燥物も、いわゆる黒鉛とはその構造が相違するものである。
石油コークスの乾燥温度が50℃~550℃であることにより、分子構造中の脂肪族炭化水素の過度の脱離が抑えられ、好適な絶縁性を容易に発揮することができる。
石油コークスを粉砕処理するための粉砕手段としては、特に制限されず、また、乾式であっても湿式であってもよい。また、粉砕手段の数や粉砕回数等についても特に制限されない。
粉砕手段としては、ジョークラッシャ、ジョイレトリクラッシャ、コーンクラッシャ、ハンマクラッシャ、自生粉砕機、ボールミル、ローラミル、高速回転ミル、ジェットミル等の粉砕装置が挙げられる。また、粉砕処理条件は、目的とする微粉砕物の平均粒子径、その他の粒度特性、粉砕手段、粉砕回数等により、適宜選択される。粉砕処理された粉砕処理物は、必要に応じて分級される。
本発明に係る絶縁性黒色微粒子において、石油コークス粉砕物は、平均粒子径(D50)が、100μm以下であることが好ましく、0.1~100μmであることがより好ましく、0.3~50μmであることがさらに好ましく、0.5~20μmであることが一層好ましい。平均粒子径(D50)が上記範囲内にあることにより、分散性が高まり黒色顔料として使用し易くなるとともに、ゴムまたは樹脂等との界面抵抗による体積抵抗率の低下を容易に抑制することができる。
石油コークス粉砕物は、下記式(1):
スパン=(D90-D10)/D50 (1)
で表されるスパンは、0.3~7.0が好ましく、0.3~6.0がより好ましい。スパンが上記範囲にあることにより、絶縁性黒色微粒子として、マトリックス材(例えば、ゴムや樹脂)への配合条件の設計が容易になる。
石油コークス粉砕物は、D90が、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
また、石油コークス粉砕物は、D10が、0.01μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることがより好ましく、0.05μm以上であることがさらに好ましい。
なお、本発明において、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、積算粒度50%、積算粒度90%の粒径を意味する。
本発明に係る絶縁性黒色微粒子は、上記石油コークス粉砕物からなり、石油コークス自体が黒鉛化構造(結晶構造)を殆ど含まないものであることから、優れた絶縁性を発揮することができる。
また、絶縁性黒色微粒子は、ゴムや樹脂に対する親和性に優れ均一にかつ高い割合で配合することができることから、得られる配合物の黒色度および絶縁性を所望範囲に容易に制御することができる。
そして、本発明に係る絶縁性黒色微粒子は、付加価値の低い石油コークスを原料としつつ、黒鉛の製造工程のように高温で焼成したり、チタンブラックのように高価な原料を使用する必要がないことから、簡便かつ低コストに製造することができる。
本発明に係る絶縁性黒色微粒子を構成する石油コークス粉砕物は、X線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002が、3.37~3.50Åであるものが好ましく、3.40~3.48Åであるものがより好ましい。
炭素材は黒鉛化が進むほど、X線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002が小さくなる。ここで、黒鉛のX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002は3.354Å程度であることから、石油コークス粉砕物のX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002が上記範囲内にあることは、石油コークスが黒鉛化していない炭素材であるということを意味する。
また、黒鉛化した炭素材は結晶化が進んでいるので、X線回折法による回折チャートにおいて、2θ=20~30°付近に(002)面に由来するシャープなピークが現れるが、本発明に係る絶縁性黒色微粒子を構成する石油コークス粉砕物は、結晶化が進んでいないので、2θ=20~30°に見られる(002)面に由来する回折ピークは、通常観察されない。
また、本発明に係る絶縁性黒色微粒子を構成する石油コークス粉砕物は、殆ど黒鉛化していないため、炭素含有量が、好ましくは80~95質量%であり、より好ましくは85~92質量%である。
本発明に係る絶縁性黒色微粒子を構成する石油コークス粉砕物は、50±5MPa下での体積抵抗率が、10~1015Ω・cmであることが好ましく、10~1013Ω・cmであることがより好ましく、10~1010Ω・cmであることがさらに好ましい。
なお、本発明において、石油コークス粉砕物の体積抵抗率は、石油コークス粉体物を測定用金型内に充填し、万能試験機にて0MPaから徐々に加圧し、50±5MPa下での加圧下において(株)三菱化学アナリテック製粉体抵抗測定システムMCP-PD51型を用いて測定される値を意味する。
本発明に係る絶縁性黒色微粒子は、石油コークス粉砕物により構成されるものであることから、優れた絶縁性(体積抵抗率)を発揮することができる。
本発明に係る絶縁性黒色微粒子は、明度(L)が、35以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、25以下であることがさらに好ましい。明度(L)が、上記範囲にあることにより、本発明に係る絶縁性黒色微粒子は、優れた黒色遮蔽性を発揮することができる。なお、絶縁性黒色微粒子の明度(L)は、日本電色(株)製同時測光方式分光式色差計SQ-2000にて、JIS Z 8722に準拠して測定される明度(L)の値を意味する。
本発明に係る絶縁性黒色微粒子を構成する石油コークス粉砕物は、嵩密度が、0.1~1.0g/cmであることが好ましく、0.2~0.8g/cmであることがより好ましい。
本発明に係る絶縁性黒色微粒子を構成する石油コークス粉砕物は、硫黄含有量が、乾燥状態での硫黄含有量で、0~12質量%が好ましい。
石油コークス粉砕物中の硫黄含有量は、本発明の係る絶縁性黒色微粒子が配合されたゴムまたは樹脂等が接触する部品への影響等の観点から、0~3.0質量%がより好ましく、0.1~2.0質量%がさらに好ましく、0.1~1.5質量%が一層好ましく、0.2~1.2質量%がより一層好ましい。
石油コークス粉砕物中の硫黄含有量は、製造コストの観点からは、3.0~12質量%がより好ましく、4.0~10質量%がさらに好ましく、5.0~9.0質量%が一層好ましく、6.0~9.0質量%がより一層好ましい。
本発明に係る絶縁性黒色微粒子を構成する石油コークス粉砕物は、水素含有量が好ましくは2.0~5.0質量%である。また、本発明に係る絶縁性黒色微粒子を構成する石油コークス粉砕物は、窒素含有量が好ましくは0.1~3.0質量%である。さらに、本発明に係る絶縁性黒色微粒子を構成する石油コークス粉砕物は、芳香族性炭素割合が、好ましくは75~98質量%、より好ましくは85~95質量%である。加えて、本発明に係る絶縁性黒色微粒子を構成する石油コークス粉砕物は、炭素含有量の原子換算のモル数に対する水素含有量の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)が、好ましくは0.3~0.8であり、より好ましくは0.35~0.6である。H/Cモル比が上記範囲内にあることにより、所望の絶縁性能を発揮することができる。
本発明に係る絶縁性黒色微粒子は、石油コークス粉砕物からなるものなので、低コストに製造することができる。
すなわち、本発明に係る絶縁性黒色微粒子は、付加価値の低い廉価な石油コークスを粉砕することによって製造することができ、黒鉛の製造工程のように複雑な工程を必要としないことから、エネルギーコストを大幅に低減しつつ簡便な工程で製造することができ、このために、絶縁性黒色微粒子ないしは係る絶縁性黒色微粒子を有する絶縁性黒色材料および絶縁性黒色インキのコストを低減することができる。
本発明によれば、安価であるとともに、ゴムまたは樹脂等に対する分散性に優れ、均一にかつ高い割合で配合することができ、黒色度および絶縁性に優れた絶縁性黒色微粒子を提供することができる。
本発明に係る絶縁性黒色微粒子は、絶縁性黒色材料または絶縁性黒色インキを構成する黒色の絶縁性フィラー材または絶縁性黒色顔料として好適に使用することができる。
本発明に係る絶縁性黒色材料は、本発明に係る絶縁性黒色微粒子と、ゴムまたは樹脂とを含むことを特徴とするものである。
つまり、本発明の絶縁性黒色材料は、マトリックス材としてゴムまたは樹脂を含有するとともに、絶縁性の黒色顔料として上記マトリックス材中に分散および充填されている本発明の絶縁性黒色微粒子とを含有する。
本発明の絶縁性黒色材料において、ゴムとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴムが挙げられる。ゴムは、これらのうちの1種単独であってもよいし、2種類以上が混合されている混合物であってもよい。合成ゴムとしては、例えば、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、スチレン/ブタジエン共重合体、クロロプレン(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(VMQ)、ウレタンゴム(AU)、イソブチレン/イソプレン共重合体(IIR)、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体(EPDM)、エチレン/プロピレン共重合体(EPM)、エピクロルヒドリンゴム(CO)、およびフッ素ゴム(FKM)などが挙げられる。なお、合成ゴムは、これらに限定されるものではなく、これら以外のものであってもよい。
本発明の絶縁性黒色材料に係るゴムにおいては、加硫されていることが好ましい。加硫は、例えば、80~200℃で行われることが好ましく、130~180℃で行われることがより好ましい。また、加硫は大気圧条件下でも行われるが、例えば、1~20MPa(10~200bar)の加圧下で行われるのが好ましい。
本発明の絶縁性黒色材料において、樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂から選ばれる一種以上が挙げられ、特に制限されない。二種以上の混合樹脂の場合は、任意に選択される樹脂を物理的または化学的に所定の組成比でブレンドされたポリマーアロイやポリマーブレンドなどであってもよい。また、樹脂は、変性物であってもよく、二種以上のモノマーが所定の比で重合した共重合体であってもよい。上記共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体およびグラフト共重合体から選ばれる一種以上が挙げられる。
本発明の絶縁性黒色材料において、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリウレタン系樹脂、アルキッド樹脂、セルロース類、ポリビニルアルコール樹脂、シロキサン系樹脂、含フッ素重合体、含硫黄重合体およびスチレン系樹脂等から選ばれる1種以上が挙げられる。
本発明の絶縁性黒色材料において、ポリオレフィン系樹脂としては、α-オレフィン系の単独重合体、α-オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、α-オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体等から選ばれる1種以上が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂として、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン等から選ばれる1種以上が挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)などが挙げられ、好ましくはPA12、PA6、PA66である。
ポリイミド樹脂としては、例えば、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ビスマレイミド、ポリエーテルイミド(PEI)などが挙げられ、好ましくはPI、PEIである。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロ・ヘキサン・ジメチレン・テレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリマー(LCP)、ポリカーボネート(PC)などが挙げられ、好ましくはPBT、PET、PAR、PEN、LCP、PCである。
ポリエーテル樹脂としては、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリエーテルニトリル(PENT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPEなどが挙げられ、好ましくは、POM、PENT、PEEK、PEK、変性PPEである。
含フッ素重合体としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリ四フッ化エチレンエチレン(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化アルキルビニルエーテル(PFA)などが挙げられ、好ましくはPTFE、PFAである。
含硫黄重合体としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリサルホン(PSF)などが好ましく挙げられる。
なお、共重合体としては、上記共重合体の他、例えば、アクリレート・スチレン・アクリロニトリル(AAS)、アクリロニトリルスチレン(AS)、スチレンマレイミドなどが挙げられる。
本発明の絶縁性黒色材料において、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアヌレート樹脂およびフェノール樹脂等から選ばれる1種以上が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラックなどのフェノール系グリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールなどのアルコール系グリシジルエーテルなどの主剤と、硬化剤との組み合せなどが挙げられる。なお、硬化剤としては、例えば、脂肪族ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン、ポリアミドアミン、ポリアミド、脂環式ポリアミン、変性脂環式ポリアミン、変性芳香族ポリアミン、3級アミンなどのアミン化合物などが挙げられる。これらの硬化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、主剤と硬化剤の反応を促進させる反応促進剤を用いることもできる。反応促進剤としては、例えば、フェノール、p-t-ブチルフェノール、ジ-t-ブチルフェノール、クレゾール、トリフェニルフォスファイト、サリチル酸、トリエタノールアミンなどが挙げられる。これらの反応促進剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の絶縁性黒色材料は、ゴムまたは樹脂100質量部に対し、本発明の絶縁性黒色微粒子を好ましくは1~500質量部、より好ましくは2~300質量部、さらに好ましくは3~200質量部含有する。本発明の絶縁性黒色微粒子の含有量が上記範囲にあることより、体積抵抗率が高く絶縁性に優れる絶縁性黒色材料となる。
また、本発明の絶縁性黒色材料は、本発明の絶縁性黒色微粒子を含み、本発明の絶縁性黒色微粒子はゴムまたは樹脂に馴染み易く、黒鉛等に比較してゴムまたは樹脂に対して高い割合で配合し得ることから、明度および絶縁性を所望の値に容易に制御することができる。
なお、本発明の絶縁性黒色材料が、マトリックス材がゴムであり、加硫剤を含有する場合には、加硫剤もゴムの含有量に含めて、その含有量を算出するものとする。また、本発明の絶縁性黒色材料が、マトリックス材が熱硬化性樹脂であり、硬化剤または反応促進剤等を含有するものである場合には、硬化剤および反応促進剤も熱硬化性樹脂の含有量に含めて、その含有量を算出するものとする。
本発明の絶縁性黒色材料は、必要に応じて、本発明の絶縁性黒色微粒子以外の絶縁性黒色微粒子を含有することができる。また、本発明の絶縁性黒色材料は、絶縁性黒色微粒子以外に、必要に応じて、さらにガラスファイバー、ウィスカー、金属酸化物、紫外線安定剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、撥水剤、増粘剤、低収縮剤、親水性付与剤等を含有することができる。
本発明の絶縁性黒色材料の体積抵抗率は、10~1020Ω・cmであることが好ましく、10~1018Ω・cmであることがより好ましく、10~1015Ω・cmであることがさらに好ましい。
なお、本発明において、絶縁性黒色材料の体積抵抗率は、23℃の温度下において、体積抵抗値が10Ω・cm以下の領域では、三菱化学(株)製LorestaMPMCP-T350を、体積抵抗値が10Ω・cmを超える領域においては、HirestaUPMCP-HT450を用いて測定される値を意味する。
本発明に係る絶縁性黒色材料は、本発明に係る絶縁性黒色微粒子により構成されるものであることから、優れた絶縁性(体積抵抗率)を発揮することができる。
本発明に係る絶縁性黒色材料は、明度(L)が、35以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、25以下であることがさらに好ましい。
なお、絶縁性黒色材料の明度(L)は、日本電色(株)製同時測光方式分光式色差計SQ-2000にて、JIS Z 8722に準拠して測定される値を意味する。
本発明に係る絶縁性黒色材料は、本発明に係る絶縁性黒色微粒子により構成されるものであることから、優れた黒色度を発揮することができる。
本発明に係る絶縁性黒色インキは、本発明に係る絶縁性黒色微粒子と、樹脂、分散剤および溶剤とを含むことを特徴とするものである。
本発明の絶縁性黒色インキにおいて、樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂から選ばれる一種以上を挙げることをでき、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の具体例としては、本発明の絶縁性黒色材料の説明で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
本発明の絶縁性黒色インキにおいて、分散剤としては、インキ内に本発明に係る絶縁性黒色微粒子および樹脂を均一分散し得るものであれば特に制限されず、例えば、ウレタン系分散剤、アクリル系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリアリルアミン系分散剤、アミノ基を持つモノマーとマクロモノマーからなる分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーテルリン酸系分散剤、ポリエステルリン酸系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明の絶縁性黒色インキにおいて、溶剤としては、インキ内に本発明の絶縁性黒色微粒子や樹脂を分散し得るものであれば特に制限されず、例えば、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族系溶剤等が挙げられる。
具体的には、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系有機溶剤類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系有機溶剤類、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、δ-ブチロラクトン等のケトン系有機溶剤類、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エステル、蟻酸n-アミル等のエステル系有機溶剤類、n-ペンタン、n-オクタン、ジイソブチレン、n-ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシル等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明の絶縁性黒色インキは、固形分換算したときに、本発明の絶縁性黒色微粒子を5~80質量%含有するものであることが好ましく、10~70質量%含有するものがより好ましく、20~60質量%含有するものがさらに好ましい。
本発明の絶縁性黒色微粒子の含有量が上記範囲内にあることより、表面抵抗率が高く絶縁性に優れ、かつ優れた黒色度を容易に発揮することができる。なお、固形物換算とは、インキの構成成分である溶剤およびインキを構成する樹脂や分散剤中に含有されている溶剤を除いた固形分中の濃度のことを示す。
本発明の絶縁性黒色インキの塗膜状態における表面抵抗率は、10Ω/□~1020Ω/□であり、1010~1018Ω/□であることが好ましく、1012~1015Ω/□であることがより好ましい。
なお、本発明の絶縁性黒色インキの塗膜状態における表面抵抗率は、ポリイミドフィルム上に自動塗工機にてドクターブレードを用いて測定対象となるインキを塗布し次いで十分に乾燥させて得られた、厚さ20μmの塗膜に対し、シムコジャパン(株)製Worksurface Tester ST-4を用い、印加電圧を、表面抵抗率が1.0×10Ω/□以下の範囲は10V、表面抵抗率が1.0×10Ω/□以上の範囲は100Vとし、測定時間15秒、温度22℃の条件下で測定される値を意味する。
本発明に係る絶縁性黒色インキは、本発明に係る絶縁性黒色微粒子により構成されるものであることから、優れた絶縁性(表面抵抗率)を発揮することができる。
本発明に係る絶縁性黒色インキは、明度(L*)が、35以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、25以下であることがさらに好ましい。
なお、絶縁性黒色材料の明度(L*)は、日本電色(株)製同時測光方式分光式色差計SQ-2000にて、JIS Z 8722に準拠して測定される値を意味する。
本発明に係る絶縁性黒色インキは、本発明に係る絶縁性黒色微粒子により構成されるものであることから、優れた黒色度を発揮することができる。
本発明に係る絶縁性黒色材料および絶縁性黒色インキは、黒色度および高い絶縁性が求められる利用分野、例えば、ブラウン管のシャドウマスクや、(絶縁性が要求される)シール材または被覆材や、カメラのセンサーまたはレンズや、レーザーマーキング樹脂や、複写機部材(帯電ロール、電荷調整フィラー等)や、液晶カラーフィルターのブラックマトリクス等の分野において好適に使用することができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
<石油コークスA、石油コークスB>
熱分解原料油として減圧残渣油とスラリーオイルを用い、500℃、0.1MPaGの条件にて熱分解処理し、熱分解処理後、ウォータージェットにて粉砕し、目視にて、石油コークスAおよび石油コークスBを分取した。石油コークスAおよび石油コークスBの性状を表1に示す。
なお、以下、水分量、CHN分、H/C、硫黄含有量、灰分、揮発分、固定炭素分については、以下の方法で測定した値を意味する。
(水分量)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(CHN分、H/C)
JIS M 8813に準拠して測定した。
(硫黄含有量)
JIS M 8819に準拠して測定した。
(灰分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(揮発分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(固定炭素分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
Figure 0007064296000001
(実施例1)
上記石油コークスAを、乾燥機((株)ナガノ科学機械製作所製HOT AIR DRYING OVEN NEW)中で、窒素ガス雰囲気下、100℃で4時間乾燥処理して石油コークスA乾燥物を得た。
上記石油コークスA乾燥物を、カッターミル((株)オリエント粉砕機製オリエント竪型粉砕機、VM-16K(2mmスクリーン使用))に対し10.0kg供給して、粗粉砕処理することにより、9.5kgの処理物を得(収率95質量%)、粗粉砕物として、粒子径が2mm以下である、石油コークスA粗粉砕物を得た。
次いで、得られた石油コークスA粗粉砕物を、ジェットミル(日清エンジニアリング(株)製ジェットミルSJ-500)を用い、供給量0.70kg、押込ノズル圧0.75MPa、粉砕ノズル圧0.75MPa、供給速度3.5kg/時間の条件下で処理することにより、0.61kgの処理物を得(収率87質量%)、表2に示す粒度特性、化学性状および体積抵抗率を有する絶縁性黒色微粒子1を得た。
(実施例2)
実施例1で得られた石油コークスA粗粉砕物を、窒素ガス雰囲気下、500℃で2時間焼成した後、ジェットミル(日清エンジニアリング(株)製ジェットミルSJ-500)を用い、供給量1.04kg、押込ノズル圧0.75MPa、粉砕ノズル圧0.75MPa、供給速度3.5kg/時間の条件下で処理することにより、0.97kgの処理物を得(収率93質量%)、表2に示す粒度特性、化学性状および体積抵抗率を有する絶縁性黒色微粒子2を得た。
(実施例3)
上記石油コークスBを、乾燥機((株)ナガノ科学機械製作所製HOT AIR DRYING OVEN NEW)中で、窒素ガス雰囲気下、100℃で4時間乾燥処理して石油コークスB乾燥物を得た。
上記石油コークスB乾燥物を、カッターミル((株)オリエント粉砕機製オリエント竪型粉砕機、VM-16K(2mmスクリーン使用))に対し10.0kg供給して、粗粉砕処理することにより、9.5kgの処理物を得(収率95質量%)、粗粉砕物として、粒子径が2mm以下である、石油コークスB粗粉砕物を得た。
次いで、得られた石油コークスB粗粉砕物の一部を、ジェットミル(日清エンジニアリング(株)製ジェットミルSJ-500)を用い、供給量0.84kg、押込ノズル圧0.75MPa、粉砕ノズル圧0.75MPa、供給速度4.0kg/時間の条件下で処理することにより、0.72kgの処理物を得(収率86質量%)、表2に示す粒度特性、化学性状および体積抵抗率を有する絶縁性黒色微粒子3を得た。
(実施例4)
実施例3で得られた石油コークスB粗粉砕物の一部を、窒素ガス雰囲気下、500℃で2時間焼成した後、ジェットミル(日清エンジニアリング(株)製ジェットミルSJ-500)を用い、供給量0.82kg、押込ノズル圧0.75MPa、粉砕ノズル圧0.75MPa、供給速度2.0kg/時間の条件下で処理することにより、0.76kgの処理物を得(収率93質量%)、表2に示す粒度特性、化学性状および体積抵抗率を有する絶縁性黒色微粒子4を得た。
(比較例1)
実施例1で得られた石油コークスA粗粉砕物を、窒素ガス雰囲気下、600℃で2時間焼成した後、ジェットミル(日清エンジニアリング(株)製ジェットミルSJ-500)を用い、供給量0.99kg、押込ノズル圧0.75MPa、粉砕ノズル圧0.75MPa、供給速度3.5kg/時間の条件下で処理することにより、0.83kgの処理物を得(収率84質量%)、表3に示す粒度特性、化学性状および体積抵抗率を有する比較用黒色微粒子1を得た。
(比較例2)
実施例1で得られた石油コークスA粗粉砕物を、窒素ガス雰囲気下、800℃で2時間焼成した後、ジェットミル(日清エンジニアリング(株)製ジェットミルSJ-500)を用い、供給量0.95kg、押込ノズル圧0.75MPa、粉砕ノズル圧0.75MPa、供給速度3.5kg/時間の条件下で処理することにより、0.76kgの処理物を得(収率80質量%)、表3に示す粒度特性、化学性状および体積抵抗率を有する比較用黒色微粒子2を得た。
(比較例3)
実施例3で得られた石油コークスB粗粉砕物の一部を、窒素ガス雰囲気下、600℃で2時間焼成した後、ジェットミル(日清エンジニアリング(株)製ジェットミルSJ-500)を用い、供給量0.98kg、押込ノズル圧0.75MPa、粉砕ノズル圧0.75MPa、供給速度4.0kg/時間の条件下で処理することにより、0.79kgの処理物を得(収率81質量%)、表3に示す粒度特性、化学性状および体積抵抗率を有する比較用黒色微粒子3を得た。
(比較例4)
実施例3で得られた石油コークスB粗粉砕物の一部を、窒素ガス雰囲気下、900℃で2時間焼成した後、ジェットミル(日清エンジニアリング(株)製ジェットミルSJ-500)を用い、供給量0.85kg、押込ノズル圧0.75MPa、粉砕ノズル圧0.75MPa、供給速度3.5kg/時間の条件下で処理することにより、0.74kgの処理物を得(収率87質量%)、表3に示す粒度特性、化学性状および体積抵抗率を有する比較用黒色微粒子4を得た。
実施例1~実施例4で得られた絶縁性黒色微粒子1~絶縁性黒色微粒子4、および比較例1~比較例4で得られた比較用黒色微粒子1~比較用黒色微粒子4の性状を以下に示す。
なお、下記水分量、CHN分、H/C、硫黄含有量、灰分、揮発分、固定炭素分は、上述した石油コークスAの性状測定方法と同様の方法で測定した値を意味する。また、粒度特性、体積抵抗率、色相は、以下の方法で測定した値を意味する。
(粒度特性)
JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(MICROTRAC FRA、NIKKISO社製)を用いて、レーザー回折散乱法により、体積頻度粒度分布測定を行った。得られた体積頻度粒度分布測定結果より、積算粒度10%の粒径(D10)、積算粒度50%の粒径(D50)、積算粒度90%の粒径(D90)を算出した。
また、スパンは、得られたD90、D10、D50を用い、式(D90-D10)/D50より算出した。
(体積抵抗率)
各黒色微粒子を測定用金型内に充填し、万能試験機にて各所定荷重まで加圧・保持した状態で、三菱化学アナリテック(株)製粉体抵抗測定システムMCP-PD51型を使用して、測定圧力を、0MPa、10MPa、26MPa、38MPa、51および64MPaとして測定した。
(色相)
JIS Z 8722に準拠したカラーメーター(日本電色工業(株)製 ZE6000)を用いて測定し、JIS 8781-4に従い、表色指数(L,a,b)を求めた。
Figure 0007064296000002
Figure 0007064296000003
(実施例5)
ゴム1(エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP27)100質量部に対し、硫黄(ナカライテクス社製)を1.5質量部、テトラメチルチウラムジスルフィド:TMTD(東京化成工業(株)製)を1.0質量部、2-メルカプトベンゾチアゾール:MBT(ナカライテスク(株)製)を0.5質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)を5.0質量部、ステアリン酸(ナカライテスク(株)製)を1.0質量部、絶縁性黒色微粒子として実施例1で作製した絶縁性黒色微粒子1を100質量部の割合で混合し、(株)トーシン製ラボニーダミルTDR100-500X3を用いて混練を行い、混練物を得た。
次いで、プレス成形機(テクノサプライ(株)製、卓上ホットプレス)を用いて、上記で得た混練物を160℃で加熱プレスして、シート厚み0.5mmで絶縁性黒色微粒子1が均一に分散した絶縁性黒色材料(絶縁性黒色材料の含有割合47.8質量%(31.4体積%)であるもの)を得た。
得られた絶縁性黒色材料の23℃の体積抵抗率について、体積抵抗値が10Ω・cm以下の領域では、三菱化学(株)製LorestaMPMCP-T350を、体積抵抗率が10Ω・cmを超える領域においては、HirestaUPMCP-HT450で測定した。結果を表4に示す。
(実施例6)
ゴム1(エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP27)100質量部に対し、絶縁性黒色微粒子として実施例1で作製した絶縁性黒色微粒子1を200質量部の割合で混合した以外は、実施例5と同様にしてシート厚み0.5mmで絶縁性黒色微粒子1が均一に分散した絶縁性黒色材料(絶縁性黒色材料の含有割合64.7質量%(47.8体積%))を得た。
得られた絶縁性黒色材料の23℃の体積抵抗率について、体積抵抗値が10Ω・cm以下の領域では、三菱化学(株)製LorestaMPMCP-T350を、体積抵抗率が10Ω・cmを超える領域においては、HirestaUPMCP-HT450で測定した。結果を表4に示す。
(比較例5)
ゴム1(エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP27)100質量部に対し、比較用黒色微粒子として比較例2で作製した比較用黒色微粒子2を100質量部の割合で混合した以外は、実施例5と同様にしてシート厚み0.5mmの黒色材料(比較用黒色微粒子の含有割合47.8質量%(31.4体積%))を得た。
得られた黒色材料の23℃の体積抵抗率について、体積抵抗値が10Ω・cm以下の領域では、三菱化学(株)製LorestaMPMCP-T350を、体積抵抗率が10Ω・cmを超える領域においては、HirestaUPMCP-HT450で測定した。結果を表4に示す。
(参考例1)
ゴム1(エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP27)100質量部に対し、市販黒鉛粉末1を50質量部の割合で混合した以外は、実施例5と同様にしてシート厚み0.5mmの黒色材料(市販黒鉛粉末1の含有割合31.4質量%(18.6体積%))を得た。
得られた黒色材料の23℃の体積抵抗率について、体積抵抗値が10Ω・cm以下の領域では、三菱化学(株)製LorestaMPMCP-T350を、体積抵抗率が10Ω・cmを超える領域においては、HirestaUPMCP-HT450で測定した。結果を表4に示す。
(参考例2)
ゴム1(エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP27)100質量部に対し、市販導電性カーボンブラック1を50質量部の割合で混合した以外は、実施例5と同様にしてシート厚み0.5mmの黒色材料(市販導電性カーボンブラック1の含有割合31.4質量%(18.6体積%))を得た。
得られた黒色材料の23℃の体積抵抗率について、体積抵抗値が10Ω・cm以下の領域では、三菱化学(株)製LorestaMPMCP-T350を、体積抵抗率が10Ω・cmを超える領域においては、HirestaUPMCP-HT450で測定した。結果を表4に示す。
Figure 0007064296000004
(実施例7~実施例11)
樹脂原料1(高密度ポリエチレン(HDPE)、(株)プライムポリマー製ハイゼックス6300M(一般配水管、上下水道用))に対し、絶縁性黒色微粒子として実施例1で作製した絶縁性黒色微粒子1の含有割合が、2質量%(実施例7)、5質量%(実施例8)、30質量%(実施例9)、75質量%(実施例10)、80質量%(実施例11)になるように各々混合し、二軸押出混練機で混練することにより、絶縁性黒色微粒子1が均一に分散した目的とする各絶縁性黒色材料を得た。
得られた各絶縁性黒色材料の明度Lを測定した。結果を表5に示す。
なお、表5において、明度Lが小さいほど黒色度が高いことを示す。
Figure 0007064296000005
(実施例12~実施例17)
アクリル樹脂(東レ・ファインケミカル(株)製、コータックスLG-545)、分散剤(ビックケミー製、DISPERBYK-167)、トルエン溶剤(和光純薬工業(株)製、トルエン試薬特級)および、絶縁性黒色微粒子として上述した絶縁性黒色微粒子1(実施例12~実施例14)、絶縁性黒色微粒子2(実施例15~実施例17)を使用して、表6に示す配合となるように各々混合し、ホモジナイザーで混錬することにより、目的とする各黒色絶縁性インキを得た。
次いで、作成したインキを自動塗工機にてドクターブレードを用いてポリイミドフィルムに塗布し、目的とする黒色絶縁性インキの塗膜(膜厚20μm)を得た。得られた塗膜の表面抵抗値をシムコジャパン(株)製Worksurface Tester ST-4にて測定した。結果を表6に示す。
Figure 0007064296000006
(比較例6~比較例8)
アクリル樹脂(東レ・ファインケミカル(株)製、コータックスLG-545)、分散剤(ビックケミー製、DISPERBYK-167)、トルエン溶剤(和光純薬工業(株)製、トルエン試薬特級)および、比較用黒色微粒子として上述した比較用黒色微粒子2(比較例6~比較例8)を使用して、表7に示す配合となるように各々混合し、ホモジナイザーで混錬することにより、黒色インキを得た。
次いで、作成したインキを自動塗工機にてドクターブレードを用いてポリイミドフィルムに塗布し、黒色インキの塗膜(膜厚20μm)を得た。得られた塗膜の表面抵抗値をシムコジャパン(株)製Worksurface Tester ST-4にて測定した。結果を表7に示す。
(参考例3~参考例5)
アクリル樹脂(東レ・ファインケミカル(株)製、コータックスLG-545)、分散剤(ビックケミー製、DISPERBYK-167)、トルエン溶剤(和光純薬工業(株)製、トルエン試薬特級)および、黒色微粒子として上述した市販黒鉛粉末1(参考例3~参考例5)を使用して、表7に示す配合となるように各々混合し、ホモジナイザーで混錬することにより、黒色インキを得た。
次いで、作成したインキを自動塗工機にてドクターブレードを用いてポリイミドフィルムに塗布し、黒色インキの塗膜(膜厚20μm)を得た。得られた塗膜の表面抵抗値をシムコジャパン(株)製Worksurface Tester ST-4にて測定した。結果を表7に示す。
Figure 0007064296000007
表4、表5および表6より、実施例5~実施例17で得られた本発明に係る絶縁性黒色材料および絶縁性黒色インキは、本発明に係る絶縁性黒色微粒子を含むものであることから、安価であるとともに、ゴムまたは樹脂等に対する分散性に優れ、均一にかつ高い割合で配合することができ、黒色度よび絶縁性に優れるものであることが分かる。
これに対して、表4および表7より、石油コークス焼成物からなる比較用黒色微粒子2を用いた比較例5~比較例8や、市販黒鉛粉末1を用いた参考例1および参考例3~参考例5や、市販カーボンブラック1を用いた参考例2では、各黒色材料の体積抵抗率または表面抵抗率が低く、十分な絶縁性が得られないものであることが分かる。
本発明によれば、安価であるとともに、ゴムまたは樹脂等に対する分散性に優れ、均一にかつ高い割合で配合することができ、黒色度および絶縁性に優れた絶縁性黒色微粒子、係る絶縁性黒色微粒子を含む絶縁性黒色材料並びに絶縁性黒色インキを提供することができる。

Claims (8)

  1. 50±5MPa下での体積抵抗率が10~1015Ω・cmであり、硫黄分含有量が0~3.0質量%である石油コークス粉砕物からなることを特徴とする黒色微粒子状絶縁剤
  2. 前記石油コークス粉砕物の平均粒子径が100μm以下である請求項1に記載の黒色微粒子状絶縁剤
  3. 前記石油コークス粉砕物の炭素含有量の原子換算のモル数に対する水素含有量の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)が0.3~0.8である請求項1または請求項2に記載の黒色微粒子状絶縁剤
  4. 前記石油コークス粉砕物が、熱分解処理残渣物を50~550℃で乾燥してなる乾燥物である請求項1~請求項3のいずれかに記載の黒色微粒子状絶縁剤
  5. 請求項1~請求項4のいずれかに記載の黒色微粒子状絶縁剤と、ゴムまたは樹脂とを含むことを特徴とする黒色絶縁材料
  6. 請求項1~請求項4のいずれかに記載の黒色微粒子状絶縁剤と、樹脂、分散剤および溶剤とを含むことを特徴とする黒色絶縁インキ
  7. 請求項5に記載の黒色絶縁材料からなり、絶縁対象物と接触するように設けられることを特徴とする黒色絶縁材。
  8. 請求項6に記載の黒色絶縁インキの塗膜からなり、絶縁対象物と接触するように設けられることを特徴とする黒色絶縁材。
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