JP2016124918A - 石油コークス微粉砕物 - Google Patents
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Abstract
【解決課題】高付加価値化が可能な石油コークスを提供すること。
【解決手段】平均粒子径(D50)が3μmを超え50μm以下であることを特徴とする石油コークス微粉砕物。
【選択図】なし
【解決手段】平均粒子径(D50)が3μmを超え50μm以下であることを特徴とする石油コークス微粉砕物。
【選択図】なし
Description
本発明は、石油コークスを粉砕して得られる石油コークスの粉砕物であり、粒子径が小さい微粒子の石油コークスに関する。
石油コークスは、石油生成プロセスにおいて生成する熱分解油を原料として、熱分解装置で熱分解原料油を熱分解し、軽質分として熱分解油分を採取した後に残るコークスである。そして、石油コークスは、熱分解装置からは、ウォータージェット等により砕かれて、装置内から取り出され、一般にショットコークスと呼ばれる形状が粒状のものや、一般にスポンジコークスと呼ばれる形状が多孔質の大きな塊状のものがある。
現在、このような石油コークスは、特許文献1等に示すように、燃料用として用いられている。
現在、石油コークスの用途は限られており、上記したように、専ら、燃料用として用いられているのみであるため、石油コークスは、付加価値としては低いものであった。そのような技術背景において、石油コークスの高付加価値が望まれており、そのために、高付加価値化が可能な石油コークスの開発が望まれる。
従って、本発明は、高付加価値化が可能な石油コークスを提供することにある。
上記課題は、以下の本発明により解決される。
すなわち、本発明は、平均粒子径(D50)が3μmを超え50μm以下であることを特徴とする石油コークス微粉砕物を提供するものである。
すなわち、本発明は、平均粒子径(D50)が3μmを超え50μm以下であることを特徴とする石油コークス微粉砕物を提供するものである。
本発明によれば、高付加価値化が可能な石油コークスを提供することができる。詳細には、本発明の石油コークス微粉砕物は、粒子径が小さいので、本発明によれば、ゴム組成物のフィラー、樹脂組成物のフィラー、顔料等として用いることが可能な石油コークスを提供することができる。
本発明の石油コークス微粉砕物は、平均粒子径(D50)が3μmを超え50μm以下であることを特徴とする石油コークス粉砕物である。
本発明の石油コークス微粉砕物は、石油コークスを粉砕して得られる粉砕物であり、石油コークスが粉砕手段により細かく粉砕された粉砕物である。
粉砕原料となる石油コークスは、石油精製プロセスにおいて生成する熱分解原料油を、熱分解装置で熱分解処理されることにより生成し、熱分解処理において生成する軽質分を採取した後に残るコークスである。
熱分解処理される熱分解原料油としては、原油を常圧蒸留した後の常圧蒸留残渣油や、常圧蒸留残渣油を減圧蒸留した後の減圧蒸留残渣油や、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油や、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)との混合油が挙げられる。
熱分解原料油に係る常圧蒸留残渣油は、特に制限はなく、原油を常圧蒸留して、蒸発留分を分離した後の残渣分である。熱分解原料油に係る減圧蒸留残渣油は、特に制限はなく、常圧蒸留残渣油を減圧蒸留して、蒸発留分を分離した後の残渣分である。熱分解原料油は、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油であってもよく、熱分解原料油が、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油である場合、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合割合は、特に制限されず、適宜調節される。
常圧蒸留残渣油の蒸留原料となる原油としては、特に制限されず、原油種としては、例えば、アラビアンヘビー、アラビアンミディアム、アラビアンライト、アラビアンエクストラライト、クウェート、バスラ、オマーン、マーバン、ムバラスブレンド、ザクム、アッパーザクム、カタールランド、カタールマリン、ウムシャイフ、シリー、カフジ、エスポ等が挙げられ、いずれか1種であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
また、熱分解原料油は、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)の混合油、すなわち、常圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油、減圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油、又は常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油であってもよい。熱分解原料油が、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)の混合油である場合、他の炭化水素油(1)は、本発明の効果を示す範囲の炭化水素油であればよく、例えば、流動接触分解処理のスラリーオイル、エチレンクラッカー残渣油等が挙げられる。
熱分解処理の条件であるが、熱分解温度は、好ましくは490〜510℃、より好ましくは495〜505℃であり、また、熱分解処理の際の圧力(ゲージ圧)は、好ましくは0.01〜0.6MPaG、より好ましくは0.05〜0.4MPaGである。また、熱分解処理の雰囲気は、スチームである。また、熱分解処理中に過度の発泡が認められる場合は、消泡剤を投入する事もある。消泡剤としては、一般的にシリコン系の消泡剤などを用いることができる。
熱分解原料油の熱分解により生成する石油コークスは、熱分解処理後、ウォータージェット等を用いて砕かれて、熱分解装置から取り出される。そして、熱分解装置から取り出される石油コークスは、一般にショットコークスと呼ばれる形状が粒状のものや、一般にスポンジコークスと呼ばれる形状が多孔質の大きな塊状のものであり、本発明の石油コークス微粉砕物を製造するための粉砕原料としては、ショットコークスであっても、スポンジコークスであっても、それらの混合物であってもよい。また、熱分解装置から取り出された石油コークスは、必要に応じて、20〜500℃で乾燥される。
次いで、熱分解装置から取り出された石油コークスは、粉砕処理されて、本発明の石油コークス微粉砕物が得られる。粉砕処理を行うための粉砕手段としては、特に制限されず、また、乾式であっても湿式であってもよい。粉砕手段としては、ジョークラッシャ、ジョイレトリクラッシャ、コーンクラッシャ、ハンマクラッシャ、自生粉砕機、ボールミル、ローラミル、高速回転ミル、ジェットミル等の粉砕装置が挙げられる。また、粉砕処理条件は、目的とする微粉砕物の平均粒子径、その他の粒度特性、粉砕手段、粉砕回数等により、適宜選択される。粉砕処理された石油コークスは、必要に応じて分級される。
本発明の石油コークス微粉砕物の平均粒子径(D50)は、3μmを超え50μm以下である。平均粒子径(D50)の上限であるが、本発明の石油コークス微粉砕物の平均粒子径(D50)は、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下である。また、平均粒子径(D50)の下限であるが、本発明の石油コークス微粉砕物の平均粒子径(D50)は、好ましくは3.3μm以上、より好ましくは3.5μm以上である。平均粒子径(D50)が上記範囲にあることにより、分散性が高まり、また、低コストで製造が可能となり、ゴム組成物のフィラー、樹脂組成物のフィラー、顔料等としての使用が可能となる。また、本発明の石油コークス微粉砕物が、ゴム組成物のフィラーとして用いられる場合、平均粒子径(D50)が上記範囲にあることにより、ゴム組成物の引張強度が高くなる。
本発明の石油コークス微粉砕物において、下記式(1):
スパン=(D90−D10)/D50 (1)
で表されるスパンは、好ましくは0.3〜7.0、より好ましくは0.3〜6.0である。スパンが上記範囲にあることにより、石油コークス微粉砕物のゴム組成物のフィラー、樹脂組成物のフィラー、顔料等として、基礎材料(例えば、ゴムや樹脂)への配合条件の設計が容易になる。
スパン=(D90−D10)/D50 (1)
で表されるスパンは、好ましくは0.3〜7.0、より好ましくは0.3〜6.0である。スパンが上記範囲にあることにより、石油コークス微粉砕物のゴム組成物のフィラー、樹脂組成物のフィラー、顔料等として、基礎材料(例えば、ゴムや樹脂)への配合条件の設計が容易になる。
本発明の石油コークス微粉砕物において、D90は150μm以下が好ましくは、100μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましい。また、本発明の石油コークス微粉砕物において、D10は0.5μm以上が好ましくは、1.0μm以上がより好ましく、2.0μm以上が更に好ましい。
なお、本発明において、D10、D50(平均粒子径)、D90は、JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算10%、50%、90%の粒径である。
本発明の石油コークス微粉砕物の硫黄含有量は、乾燥状態での硫黄含有量で、1〜12質量%、好ましくは2〜10質量%、更に好ましくは4〜8質量%である。硫黄含有量が上記範囲にあることにより、基礎材料(例えば、ゴムや樹脂)との親和性が向上し、石油コークス微粉砕物の分散性が高くなる。熱分解原料油の熱分解処理により得られコークスは、通常、水分を1〜12質量%程度含有しているため、含水した状態の石油コークスの質量を、硫黄含有量の算出の基準とすると、石油コークスの含水状態により、石油コークス中の硫黄含有量の計算値が変動してしまう。そこで、石油コークス中の硫黄含有量の算出に当たっては、含水状態の石油コークスを200℃±10℃で4時間乾燥(JIS M 8811に準拠)させ、得られる乾燥状態の石油コークスの質量を測定し、その乾燥状態の石油コークスの質量を基準に、石油コークス中の硫黄含有量を算出する。つまり、石油コークスの乾燥状態での硫黄含有量とは、乾燥状態の石油コークスの質量に対する石油コークス中の硫黄の質量である。
本発明の石油コークス微粉砕物の嵩密度は、好ましくは0.2〜1.0g/cm3、より好ましくは0.3〜0.8g/cm3である。
本発明の石油コークス微粉砕物は、炭素原子含有量が好ましくは70〜90質量%の物質からなり、水素原子を好ましくは1〜10質量%有している。つまり、本発明の石油コークスは、炭化水素基を有している。本発明の石油コークス微粉砕物が炭化水素基を有していることは、赤外線吸収スペクトル分析(IR)により確認され、本発明の石油コークス微粉砕物のIRチャートには、2800〜3000cm−1付近に、C−H、−C2H−、CH3−の伸縮振動に由来するピークが見られ、1600cm−1付近に、フェニル基C=Cに由来するピークが見られ、また、1300〜1500cm−1付近に、C−H、−C2H−、CH3−の変角振動に由来するピークが見られ、また、800〜900cm−1付近に、フェニル基C−Hに由来するピークが見られる。また、本発明の石油コークス微粉砕物の窒素含有量は、0.1〜2.0質量%である。また、本発明の石油コークス粉砕物の芳香族性炭素割合は、好ましくは75〜98%、より好ましくは85〜95%である。また、本発明の石油コークス微粉砕物の固定炭素分は、好ましくは70〜95質量%、より好ましくは75〜90質量%である。また、本発明の石油コークス微粉砕物の炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)は、好ましくは0.1〜1.0、より好ましくは0.2〜0.8である。
本発明の石油コークス微粉砕物は、平均粒子径(D50)が3μmを超え50μm以下と微粒子なので、従来の燃料用よりも価値の高い用途の材料として、本発明の石油コークス微粉砕物を用いることができる。そのため、本発明の石油コークス微粒子粉砕物によれば、従来より付加価値を高くすることができる。本発明の石油コークス微粉砕物の用途としては、ゴム組成物のフィラー、樹脂組成物のフィラー、黒色顔料、電極材料等が挙げられる。
本発明の石油コークス微粉砕物が、ゴム組成物のフィラーとして用いられる実施形態について説明する(以下、該実施形態を第一実施形態とも記載する。)。第一実施形態は、ゴムと、フィラーとして、本発明の石油コークス微粉砕物と、を含有するゴム組成物である。
第一実施形態に用いられるゴムとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴムが挙げられる。ゴムは、これらのうちの1種単独であってもよいし、2種類以上が混合されている混合物であってもよい。合成ゴムとしては、例えば、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、スチレン/ブタジエン共重合体、クロロプレン(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(VMQ)、ウレタンゴム(AU)、イソブチレン/イソプレン共重合体(IIR)、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体(EPDM)、エチレン/プロピレン共重合体(EPM)、エピクロルヒドリンゴム(CO)、及びフッ素ゴム(FKM)などが挙げられる。なお、第一実施形態で用いられる合成ゴムは、これらに限定されるものではなく、これら以外のものであってもよい。
第一実施形態においては、加硫されることが好ましい。加硫は、例えば、80〜200℃で行われるのが好ましく、130〜180℃で行われるのがより好ましい。また、加硫は大気圧条件下でも行われるが、例えば、1〜20MPa(10〜200bar)の加圧下で行われるのが好ましい。
第一実施形態は、ゴム100質量部に対して、本発明の石油コークス微粉砕物10〜500質量部含有することが好ましく、20〜400質量部含有することがより好ましく、20〜200質量部含有することが更に好ましい。第一実施形態において、ゴム100質量部に対するフィラーの含有量が上記範囲にあることにより、ゴム組成物の強度が高くなる。
次に、本発明の石油コークス微粉砕物が、樹脂組成物のフィラーとして用いられる実施形態について説明する(以下、該実施形態を第二実施形態とも記載する。)。第二実施形態は、樹脂と、フィラーとして、本発明の石油コークス微粉砕物と、を含有する樹脂組成物である。
第二実施形態に用いられる樹脂としては、例えば、合成樹脂が挙げられる。合成樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテル、ビニル系重合体、エポキシ樹脂、含フッ素重合体、含硫黄重合体などが挙げられる。これらの合成樹脂は、1種単独であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。2種以上の混合物とする場合は、これらの中から任意に選択した合成樹脂を物理的又は化学的に所定の組成比でブレンドしたポリマーアロイやポリマーブレンドなどとしてもよい。また、合成樹脂は、変性物であってもよく、これらを構成するモノマーの2種類以上を所定の比で重合した共重合体であってもよい。ここでいう共重合体とは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体をいう。
ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)などが挙げられ、好ましくはPA12、PA6、PA66である。
ポリイミドとしては、例えば、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ビスマレイミド、ポリエーテルイミド(PEI)などが挙げられ、好ましくはPI、PEIである。
ポリエステルとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロ・ヘキサン・ジメチレン・テレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリマー(LCP)、ポリカーボネート(PC)などが挙げられ、好ましくはPBT、PET、PAR、PEN、LCP、PCである。
ポリエーテルとしては、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリエーテルニトリル(PENT)、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリケトン(PK)、ポリエーテル・ケトン・ケトン(PEKK)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPEなどが挙げられ、好ましくは、POM、PENT、PEEK、PEK、変性PPEである。
ビニル系重合体としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩素化ポリエチレン(CPE)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などが挙げられ、好ましくはPE、PP、PS、ABSである。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラックなどのフェノール系グリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールなどのアルコール系グリシジルエーテルなどの主剤と、硬化剤との組み合せなどが挙げられる。硬化剤としては、例えば、脂肪族ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン、ポリアミドアミン、ポリアミド、脂環式ポリアミン、変性脂環式ポリアミン、変性芳香族ポリアミン、3級アミンなどのアミン化合物などが挙げられる。これらの硬化剤は、1種単独であってもよいし、2種以上の併用であってもよい。また、主剤と硬化剤の反応を促進させる反応促進剤を用いることもできる。反応促進剤としては、例えば、フェノール、p−t−ブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール、クレゾール、トリフェニルフォスファイト、サリチル酸、トリエタノールアミンなどが挙げられる。これらの反応促進剤は、1種単独であってもよいし、2種以上の併用であってもよい。
含フッ素重合体としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリ四フッ化エチレンエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化アルキルビニルエーテル(PFA)などが挙げられ、好ましくはPTFE、PFAである。
含硫黄重合体としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリサルホン(PSF)などが好ましく挙げられる。
なお、共重合体としては、前記した共重合体の他、例えば、アクリレート・スチレン・アクリロニトリル(AAS)、アクリロニトリル・EPDMゴム・スチレン(AES)、アクリロニトリルスチレン(AS)、スチレンマレイミドなどが挙げられる。
第二実施形態は、樹脂100質量部に対して、本発明の石油コークス微粉砕物0.01〜100質量部含有するのが好ましく、0.05〜10質量部含有するのがより好ましく、0.1〜5質量部含有するのが更に好ましい。
第一実施形態及び第二実施形態は、必要に応じて充填材又は添加剤を含有する。充填剤としては、特に制限されないが、好ましくは無機フィラーが挙げられる。無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ガラス、炭素繊維、ガラス繊維、ガラスバルーン、シラスバルーン、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、ピロリン酸塩、チッ化ケイ素、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、活性炭、シリカ、アルミナ、アルミナ繊維、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マイカ、カオリン、クレイ、タルク、ケイ藻土、火山灰、石灰石、ベントナイト、チタン酸カルシウム、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム、炭化ケイ素、二硫化モリブデンなどが挙げられる。充填剤としては、これらの無機フィラーのうちの1種の単独であってもよいし、2種以上の併用であってもよい。
添加剤としては、特に制限されないが、ゴムや樹脂の基本的な性能、例えば、機械的特性、電気的特性、耐熱性、成形加工性、流動性、難燃性、耐紫外線性、耐薬品性、樹脂の相溶性、成形品の外観などの改善、又は着色、光沢付与などの目的で配合される各種添加剤が挙げられる。添加剤は、例えば、可塑剤、熱安定剤、酸化安定剤、架橋剤、難燃剤、紫外線吸収剤、相溶化剤、着色剤、光沢付与剤などが挙げられる。これらの添加剤は1種単独であってもよいし、2種以上の併用であってもよい。
また、他には、本発明の石油コークス微粉砕物が、塗料、インク等の顔料として用いられる実施形態が挙げられ、このような実施形態は、顔料として、本発明の石油コークス微粉砕物を含有する塗料組成物又はインク組成物である。
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
<石油コークス>
(ショットコークスA及びスポンジコークスA)
熱分解原料油として減圧残渣油とスラリーオイルを用い、500℃、0.1MPaGの条件にて熱分解処理し、熱分解処理後、ウォータージェットにて粉砕し、目視にて、ショットコークスA及びスポンジコークスAを分取して、石油コークスを得た。ショットコークスA及びスポンジコークスAの性状を表1に示す。
<石油コークス>
(ショットコークスA及びスポンジコークスA)
熱分解原料油として減圧残渣油とスラリーオイルを用い、500℃、0.1MPaGの条件にて熱分解処理し、熱分解処理後、ウォータージェットにて粉砕し、目視にて、ショットコークスA及びスポンジコークスAを分取して、石油コークスを得た。ショットコークスA及びスポンジコークスAの性状を表1に示す。
<石油コークスの乾燥>
上記で得た石油コークスを25℃で24時間乾燥して、粉砕原料となる石油コークスの乾燥物を得た。乾燥後の石油コークスの水分量を測定したところ、乾燥後のショットコークスA及びスポンジコークスAのいずれも、水分量は0.01質量%以下であった。
上記で得た石油コークスを25℃で24時間乾燥して、粉砕原料となる石油コークスの乾燥物を得た。乾燥後の石油コークスの水分量を測定したところ、乾燥後のショットコークスA及びスポンジコークスAのいずれも、水分量は0.01質量%以下であった。
(実施例1〜4及び比較例1、2)
<石油コークスの粉砕処理>
上記で得た石油コークスの乾燥物を、カッターミル(セイシン企業製VM−22型)に供給し、粗粉砕して粗粉砕物を得た。そのときの粉砕条件及び結果を表2に示す。
次いで、得られた粗粉砕物を、ジェットミル(セイシン企業製FS−4)に供給し、微粉砕して、石油コークス微粉砕物を得た。そのときの粉砕条件及び結果を表2に示す。また、微粉砕物の分析結果も表2に合わせて示す。
<石油コークスの粉砕処理>
上記で得た石油コークスの乾燥物を、カッターミル(セイシン企業製VM−22型)に供給し、粗粉砕して粗粉砕物を得た。そのときの粉砕条件及び結果を表2に示す。
次いで、得られた粗粉砕物を、ジェットミル(セイシン企業製FS−4)に供給し、微粉砕して、石油コークス微粉砕物を得た。そのときの粉砕条件及び結果を表2に示す。また、微粉砕物の分析結果も表2に合わせて示す。
<石油コークスの分析>
(水分)
JIS M 8812に準拠して行った。
(硫黄含有量の測定)
JIS M 8819に準拠して、硫黄含有量を測定した。
(灰分)
JIS M 8812に準拠して行った。
(揮発分)
JIS M 8812に準拠して行った。
(固定炭素分)
JIS M 8812に準拠して行った。
(芳香族性炭素割合)
13CNMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける芳香族炭素(CA)のピーク面積強度(100〜200ppm)を、全炭素のピーク面積強度(0〜200ppm)で除すことにより、芳香族性炭素割合を算出した。ここでの13C-NMRは、重水素クロロホルムを溶媒とし、テトラメチルシラン(TMS)を内標に用いて、日本電子(株)製核磁気共鳴装置Alpha−400により測定した。
(CHN分)
JIS M 8813に準拠して行った。
(BET比表面積)
試料の表面に吸着している分子を取り除くため150℃で10時間の真空加熱乾燥後、乾燥試料のBET比表面積を測定した。
(粒度特性)
JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(MICROTRAC FRA、NIKKISO社製)を用いて、レーザー回折散乱法により、体積頻度粒度分布測定を行った。得られた体積頻度粒度分布測定結果より、積算10%、50%、90%の粒径を求め、D10、D50(平均粒子径)、D90を求めた。
(水分)
JIS M 8812に準拠して行った。
(硫黄含有量の測定)
JIS M 8819に準拠して、硫黄含有量を測定した。
(灰分)
JIS M 8812に準拠して行った。
(揮発分)
JIS M 8812に準拠して行った。
(固定炭素分)
JIS M 8812に準拠して行った。
(芳香族性炭素割合)
13CNMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける芳香族炭素(CA)のピーク面積強度(100〜200ppm)を、全炭素のピーク面積強度(0〜200ppm)で除すことにより、芳香族性炭素割合を算出した。ここでの13C-NMRは、重水素クロロホルムを溶媒とし、テトラメチルシラン(TMS)を内標に用いて、日本電子(株)製核磁気共鳴装置Alpha−400により測定した。
(CHN分)
JIS M 8813に準拠して行った。
(BET比表面積)
試料の表面に吸着している分子を取り除くため150℃で10時間の真空加熱乾燥後、乾燥試料のBET比表面積を測定した。
(粒度特性)
JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(MICROTRAC FRA、NIKKISO社製)を用いて、レーザー回折散乱法により、体積頻度粒度分布測定を行った。得られた体積頻度粒度分布測定結果より、積算10%、50%、90%の粒径を求め、D10、D50(平均粒子径)、D90を求めた。
(実施例5〜8及び比較例3、4)
<ゴム組成物の作製>
表3に示す割合で各配合物を配合した混合物を、オープンロールミキサーで混合混練し、これを140℃で30分間プレス加硫し、シート成形されたゴム組成物を得た。そのときのシートの寸法について、縦12mm×横15mm×厚み2mmとした。
次いで、得られたゴム組成物の物性を評価した。その結果を表3に示す。
・天然ゴム:RSS3グレード
・ステアリン酸:ルナックS−50V、花王社製
・酸化亜鉛:ハクスイテック社製
・TBBS(N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド):サンセラーNS−G、三井化学工業社製
・硫黄:細井化学工業社製
<ゴム組成物の作製>
表3に示す割合で各配合物を配合した混合物を、オープンロールミキサーで混合混練し、これを140℃で30分間プレス加硫し、シート成形されたゴム組成物を得た。そのときのシートの寸法について、縦12mm×横15mm×厚み2mmとした。
次いで、得られたゴム組成物の物性を評価した。その結果を表3に示す。
・天然ゴム:RSS3グレード
・ステアリン酸:ルナックS−50V、花王社製
・酸化亜鉛:ハクスイテック社製
・TBBS(N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド):サンセラーNS−G、三井化学工業社製
・硫黄:細井化学工業社製
<ゴム組成物の評価>
(スコーチ)
JIS K 6300に準拠して行った。
(ムーニー粘度)
JIS K 6300に準拠して行った。
(硬度)
JIS K6253に準拠して行った。
(引張強さ)
上記ゴム組成物をダンベル状3号形試験片に打ち抜き、JISK 6251に準拠して行った。
(伸び)
上記ゴム組成物をダンベル状3号形試験片に打ち抜き、JISK 6251に準拠して行った。
(300%モジュラス)
上記ゴム組成物をダンベル状3号形試験片に打ち抜き、JISK 6251に準拠して行った。
(比重)
JIS K6268に準拠して行った。
(圧縮永久歪)
JIS K 6262に準拠して行った。
(スコーチ)
JIS K 6300に準拠して行った。
(ムーニー粘度)
JIS K 6300に準拠して行った。
(硬度)
JIS K6253に準拠して行った。
(引張強さ)
上記ゴム組成物をダンベル状3号形試験片に打ち抜き、JISK 6251に準拠して行った。
(伸び)
上記ゴム組成物をダンベル状3号形試験片に打ち抜き、JISK 6251に準拠して行った。
(300%モジュラス)
上記ゴム組成物をダンベル状3号形試験片に打ち抜き、JISK 6251に準拠して行った。
(比重)
JIS K6268に準拠して行った。
(圧縮永久歪)
JIS K 6262に準拠して行った。
本発明によれば、従来専ら燃料として用いられていた石油コークスの高付加価値化が図れる。
Claims (2)
- 平均粒子径(D50)が3μmを超え50μm以下であることを特徴とする石油コークス微粉砕物。
- 下記式(1):
スパン=(D90−D10)/D50 (1)
で表されるスパンが0.3〜7.0であることを特徴とする請求項1記載の石油コークス微粉砕物。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014265097A JP2016124918A (ja) | 2014-12-26 | 2014-12-26 | 石油コークス微粉砕物 |
PCT/JP2015/055165 WO2015129669A1 (ja) | 2014-02-28 | 2015-02-24 | 石油コークス微粉砕物、石油コークス微粉砕焼成物、ゴム配合物用フィラーおよびゴム配合物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014265097A JP2016124918A (ja) | 2014-12-26 | 2014-12-26 | 石油コークス微粉砕物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016124918A true JP2016124918A (ja) | 2016-07-11 |
Family
ID=56357501
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014265097A Pending JP2016124918A (ja) | 2014-02-28 | 2014-12-26 | 石油コークス微粉砕物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016124918A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018039994A (ja) * | 2016-08-31 | 2018-03-15 | コスモ石油株式会社 | 絶縁性黒色微粒子、絶縁性黒色材料および絶縁性黒色インキ |
-
2014
- 2014-12-26 JP JP2014265097A patent/JP2016124918A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018039994A (ja) * | 2016-08-31 | 2018-03-15 | コスモ石油株式会社 | 絶縁性黒色微粒子、絶縁性黒色材料および絶縁性黒色インキ |
JP7064296B2 (ja) | 2016-08-31 | 2022-05-10 | コスモ石油株式会社 | 黒色微粒子状絶縁剤、黒色絶縁材料、黒色絶縁インキおよび黒色絶縁材 |
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