JP2016141772A - ゴム配合物 - Google Patents

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睦美 加藤
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克哉 渡辺
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Abstract

【解決課題】コストの上昇を抑制しつつ、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させるゴム配合物を提供する。【解決手段】天然ゴムに対し、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕焼成物を配合してなることを特徴とするゴム配合物であり、好適には、上記石油コークス微粉砕物が、原油の常圧蒸留残渣油または減圧蒸留残渣油を熱分解して得られるコークスを500℃を超え1500℃以下の温度で焼成し、粉砕してなるものであるか、または、上記天然ゴム100質量部に対し、上記石油コークス微粉砕焼成物を1〜500質量部配合してなるゴム配合物である。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム配合物に関する。
タイヤトレッド等のタイヤ部材用のゴム配合物においては、天然ゴム(NR)、スチレンーブタジエン共重合体ゴム(SBR)およびポリブタジエンゴム(BR)等のゴム成分に対し、さらに混合加工性、ゴム弾性、耐摩耗性および機械的性質等の諸特性を改善するために、上記ゴム成分の種類や分子量に応じて、種々の配合成分が添加されている(例えば、特許文献1(特開2001−30714号公報)参照)。
例えば、タイヤトレッド等のタイヤ部材用のゴム配合物において、ゴム成分として天然ゴムを使用する場合、耐久性を向上させるために、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子、チタン酸カリウム粒子等の種々の無機充填剤が配合されている。
一方、トラックやフォークリフト等の産業用車両は、重量物を運送または搬送するものであり、タイヤに高い荷重がかかる結果、タイヤが摩耗したりチップカット等の破損や裂け等を生じ易くなることから、消耗品であるタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用されるゴム配合物を、耐久性を効果的に向上させつつ安価に提供することが求められるようになっている。
特開2001−30714号公報
このような状況下、本発明は、コストの上昇を抑制しつつ、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させる新規なゴム配合物を提供することを目的とするものである。
上記技術課題を解決するために本発明者等が鋭意検討した結果、ゴム成分として天然ゴムを採用するとともに、無機充填剤として粒径が特定範囲にある石油コークス微粉砕焼成物を採用したゴム配合物により、上記技術課題を解決し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)天然ゴムに対し、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕焼成物を配合してなることを特徴とするゴム配合物、
(2)前記石油コークス微粉砕焼成物が、原油の常圧蒸留残渣油または減圧蒸留残渣油を熱分解して得られるコークスを500℃を超え1500℃以下の温度で焼成し、粉砕してなるものである上記(1)に記載のゴム配合物、
(3)前記天然ゴム100質量部に対し、前記石油コークス微粉砕焼成物を1〜500質量部配合してなる上記(1)または(2)に記載のゴム配合物、
(4)前記ゴム配合物がタイヤ部材用である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のゴム配合物
を提供するものである。
本発明によれば、コストの上昇を抑制しつつ、特にタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させるゴム配合物を提供することができる。
実施例4で得られた石油コークス微粉砕焼成物のSEM写真(1000倍)である。 実施例4で得られた石油コークス微粉砕焼成物のSEM写真(5000倍)である。 実施例4で得られた石油コークス微粉砕焼成物のSEM写真(20000倍)である。 実施例4で得られた石油コークス微粉砕焼成物のIRチャートである。
本発明のゴム配合物は、天然ゴムに対し、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕焼成物を配合してなることを特徴とするものである。
本発明のゴム配合物において、天然ゴムとしては、特に制限されず、例えば、本発明のゴム配合物をタイヤトレッド等のタイヤ部材用途に使用する場合には、SIR20、RSS#3、TSR20、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明のゴム配合物において、天然ゴムの数平均分子量も特に制限されず、数平均分子量が、200万以上であるものが好ましく、250万以上であるものがより好ましい。
本発明のゴム配合物において、天然ゴムの配合割合(天然ゴムの含有割合)は、10〜95質量%であることが好ましく、20〜90質量%であることがより好ましく、30〜85質量%であることがさらに好ましい。
本発明のゴム配合物は、天然ゴムに対し、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕焼成物を配合してなるものである。
本発明のゴム配合物において、石油コークス微粉砕焼成物とは、石油コークスを焼成し、次いで、粉砕するか、又は石油コークスを粉砕し、次いで、焼成して得られる粉砕焼成物であり、石油コークスの焼成物であり且つ粉砕手段により細かく粉砕された粉砕物を意味する。
焼成及び粉砕の原料となる石油コークスは、石油精製プロセスにおいて生成する熱分解原料油を、熱分解装置で熱分解処理されることにより生成し、熱分解処理において生成する軽質分を採取した後に残るものである。
熱分解処理される熱分解原料油としては、原油を常圧蒸留した後の常圧蒸留残渣油や、常圧蒸留残渣油を減圧蒸留した後の減圧蒸留残渣油や、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油や、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)との混合油が挙げられる。
熱分解原料油に係る常圧蒸留残渣油は、特に制限はなく、原油を常圧蒸留して、蒸発留分を分離した後の残渣分である。熱分解原料油に係る減圧蒸留残渣油は、特に制限はなく、常圧蒸留残渣油を減圧蒸留して、蒸発留分を分離した後の残渣分である。熱分解原料油は、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油であってもよく、熱分解原料油が、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油である場合、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合割合は、特に制限されず、適宜調節される。
常圧蒸留残渣油の蒸留原料となる原油としては、特に制限されず、原油種としては、例えば、アラビアンヘビー、アラビアンミディアム、アラビアンライト、アラビアンエクストラライト、クウェート、バスラ、オマーン、マーバン、ムバラスブレンド、ザクム、アッパーザクム、カタールランド、カタールマリン、ウムシャイフ、シリー、カフジ、エスポ等が挙げられ、いずれか1種であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
また、熱分解原料油は、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)の混合油、すなわち、常圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油、減圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油、又は常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油であってもよい。熱分解原料油が、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)の混合油である場合、他の炭化水素油(1)は、本発明の効果を示す範囲の炭化水素油であればよく、例えば、流動接触分解処理のスラリーオイル、エチレンクラッカー残渣油等が挙げられる。
熱分解処理の条件であるが、熱分解温度は、好ましくは490〜510℃、より好ましくは495〜505℃であり、また、熱分解処理の際の圧力(ゲージ圧)は、好ましくは0.01〜0.6MPaG、より好ましくは0.05〜0.4MPaGである。また、熱分解処理の雰囲気は、スチームである。また、熱分解処理中に過度の発泡が認められる場合は、消泡剤を投入する事もある。消泡剤としては、一般的にシリコン系の消泡剤などを用いることができる。
熱分解原料油の熱分解により生成する石油コークスは、熱分解処理後、ウォータージェット等を用いて砕かれて、熱分解装置から取り出される。そして、熱分解装置から取り出される石油コークスは、一般にショットコークスと呼ばれる形状が粒状のものや、一般にスポンジコークスと呼ばれる形状が多孔質の大きな塊状のものであり、石油コークス微粉砕焼成物を製造するための焼成及び粉砕の原料としては、ショットコークスであっても、スポンジコークスであっても、それらの混合物であってもよい。また、熱分解装置から取り出された石油コークスは、必要に応じて、20〜500℃で乾燥される。
このようにして、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスが得られる。焼成及び粉砕の原料となる石油コークスは、硫黄を含有しており、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスの硫黄含有量は、乾燥状態での硫黄含有量で、好ましくは1〜12質量%、より好ましくは2〜10質量%、さらに好ましくは4〜8質量%である。硫黄含有量が上記範囲にあることにより、基礎材料である天然ゴムとの親和性が向上し、石油コークス微粉砕焼成物の分散性が高くなる。熱分解原料油の熱分解処理により得られるコークスは、通常、水分を1〜12質量%程度含有しているため、含水した状態の石油コークスの質量を、硫黄含有量の算出の基準とすると、石油コークスの含水状態により、石油コークス中の硫黄含有量の計算値が変動してしまう。そこで、石油コークス中の硫黄含有量の算出に当たっては、含水状態の石油コークスを200℃±10℃で4時間乾燥(JIS M 8811に準拠)させ、得られる乾燥状態の石油コークスの質量を測定し、その乾燥状態の石油コークスの質量を基準に、石油コークス中の硫黄含有量を算出する。つまり、石油コークスの乾燥状態での硫黄含有量とは、乾燥状態の石油コークスの質量に対する石油コークス中の硫黄の質量である。
焼成及び粉砕の原料となる石油コークスは、炭素原子含有量が好ましくは70〜90質量%の物質からなり、水素原子を好ましくは1〜10質量%有している。つまり、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスは、炭化水素基を有している。焼成及び粉砕の原料となる石油コークスが炭化水素基を有していることは、赤外線吸収スペクトル分析(IR)により確認され、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスのIRチャートには、2800〜3000cm−1付近に、C−H、−CH−、CH−の伸縮振動に由来するピークが見られ、1600cm−1付近に、フェニル基C=Cに由来するピークが見られ、また、1300〜1500cm−1付近に、C−H、−CH−、CH−の変角振動に由来するピークが見られ、また、800〜900cm−1付近に、フェニル基C−Hに由来するピークが見られる。また、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスの窒素含有量は、好ましくは0.1〜2.0質量%である。また、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスの芳香族性炭素割合は、好ましくは75〜98%、より好ましくは85〜95%である。また、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスの固定炭素分は、好ましくは70〜95質量%、より好ましくは75〜90質量%である。また、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスの炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)は、好ましくは0.1〜1.0、より好ましくは0.2〜0.8である。
そして、本発明のゴム配合物において、石油コークス微粉砕焼成物は、熱分解装置から取り出された石油コークスを焼成し、次いで、粉砕することにより作製することができる。又は、石油コークス微粉砕焼成物は、熱分解装置から取り出された石油コークスを、粉砕し、次いで、焼成することにより作製することができる。
焼成の際の焼成温度は、500℃を超え1500℃以下が好ましく、500℃を超え1200℃以下がより好ましい。焼成における焼成時間は、適宜選択されるが、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは1〜8時間である。焼成における焼成雰囲気は、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気が好ましい。また、焼成では、酸素源を遮断して石油コークスの焼成を行ってもよいし、微量の酸素源の存在下で石油コークスの焼成を行ってもよい。
上記のように、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスは、炭化水素基を有しているので、微量の酸素源の存在下で石油コークスの焼成を行うことにより、石油コークス中の炭化水素基を酸化し、石油コークスに含酸素官能基を導入することができる。含酸素官能基としては、特に制限されず、例えば、カルボキシル基、ヒドロシキル基、カルボニル基等が挙げられる。石油コークスに含酸素官能基が導入されていることは、X線光電子分光分析(XPS)により確認される。微量の酸素源の存在下で石油コークスの焼成を行う場合、焼成を行う方法としては、例えば、不活性ガス中に微量の酸素又は水を含有させ、この酸素又は水を微量に含有させた不活性ガスを焼成雰囲気に供給しながら、石油コークスの焼成を行う方法が挙げられる。このとき、不活性ガス中の酸素又は水の含有量及びトータル供給量は、適宜選択される。
粉砕処理を行うための粉砕手段としては、特に制限されず、また、乾式であっても湿式であってもよい。粉砕手段としては、ジョークラッシャ、ジョイレトリクラッシャ、コーンクラッシャ、ハンマクラッシャ、自生粉砕機、ボールミル、ローラミル、高速回転ミル、ジェットミル等の粉砕装置が挙げられる。また、粉砕処理条件は、目的とする微粉砕物の平均粒子径、その他の粒度特性、粉砕手段、粉砕回数等により、適宜選択される。粉砕処理された粉砕処理物は、必要に応じて分級される。
本発明のゴム配合物において、石油コークス微粉砕焼成物の平均粒子径(D50)は、0μmを超え50μm以下である。上記石油コークス微粉砕焼成物の平均粒子径(D50)範囲において、その上限は、好ましくは30μm、より好ましくは20μm、さらに好ましくは10μm、一層好ましくは5μm、より一層好ましくは2μm、さらに一層好ましくは1μm、特に好ましくは0.8μm、最も好ましくは0.5μmである。また、上記石油コークス微粉砕焼成物の平均粒子径(D50)の平均粒子径(D50)範囲において、その下限は、好ましくは0.05μm、より好ましくは0.1μm、さらに好ましくは0.2μmである。
石油コークス微粉砕焼成物の平均粒子径(D50)の平均粒子径(D50)範囲が上記範囲内にあることにより、石油コークス微粉砕焼成物をゴム配合物中に配合したときに、分散性を高め、ゴム配合物の300%モジュラスを高めることができる。
上記石油コークス微粉砕焼成物は、下記式(1):
スパン=(D90−D10)/D50 (1)
(ただし、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、50%、90%の粒径を意味する)
で表されるスパンが、0.3〜7.0であることが好ましく、0.3〜6.0であることがより好ましい。
石油コークス微粉砕焼成物のスパンが上記範囲内にあることにより、ゴム配合物のフィラーとして、基礎材料である天然ゴムへの配合条件の設計が容易になる。
石油コークス微粉砕焼成物は、そのD90が、150μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。また、石油コークス微粉砕焼成物は、そのD10が、0.01μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることがより好ましく、0.05μm以上であることがさらに好ましい。
なお、本発明において、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、50%、90%の粒径を意味する。
石油コークス微粉砕焼成物の嵩密度は、好ましくは0.1〜1.0g/cm、より好ましくは0.2〜0.8g/cmである。
石油コークス微粉砕焼成物の硫黄含有量は、乾燥状態での硫黄含有量で、好ましくは0.5〜12質量%、より好ましくは1〜10質量%である。硫黄含有量が上記範囲にあることにより、基礎材料である天然ゴムとの親和性が向上し、石油コークス微粉砕焼成物の分散性を容易に高めることができる。
石油コークス微粉砕焼成物は、炭素原子含有量が好ましくは80〜98質量%の物質からなり、水素原子を好ましくは0.1〜4質量%有している。
また、石油コークス微粉砕焼成物の窒素含有量は、好ましくは0.1〜1質量%である。
石油コークス微粉砕焼成物の芳香族性炭素割合は、好ましくは90〜99%、より好ましくは93〜97%である。
石油コークス微粉砕焼成物の固定炭素分は、好ましくは90〜99質量%、より好ましくは93〜97質量%である。
また、石油コークス微粉砕焼成物の炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)は、好ましくは0.01〜0.3、より好ましくは0.01〜0.1である。
タイヤトレッド等のタイヤ部材用のゴム配合物においては、炭素系の無機充填剤としてカーボンブラックを使用することも考えられるが、カーボンブラックは、石油系重質油やエチレン製造時の残渣油を、1400℃以上の高温雰囲気下、炉内に連続的に噴霧して熱分解を生じさせ、次いで水を噴霧して粒子径を制御しながら反応させた後、さらに造粒処理することで製造されており、製造工程が多工程かつ複雑であることからゴム配合物の高コスト化を招き易い。
一方、石油精製時に生成する残渣油を熱分解して得られる石油コークスは、製造工程が単純で安価であるものの、従来は専らボイラー燃料等として使用されるに過ぎなかった。このような状況下、本発明者等が鋭意検討した結果、驚くべきことに、石油コークスの焼成物であって粒径が特定範囲にあるものは、ゴム成分として天然ゴムを配合したゴム配合物の無機充填剤として有用であり、特にゴム配合物の300%モジュラス(M300)を効果的に向上させ得ることを見出して、本発明を完成するに至ったものである。
本発明のゴム配合物は、上述した天然ゴム100質量部に対し、上記石油コークス微粉砕焼成物を1〜500質量部配合してなるものであることが好ましく、5〜300質量部配合してなるものであることがより好ましく、10〜200質量部配合してなるものであることがさらに好ましい。
また、本発明のゴム配合物において、石油コークス微粉砕焼成物の配合割合(石油コークス微粉砕焼成物の含有割合)は、1〜80質量%であることが好ましく、4〜70質量%であることがより好ましく、7〜65質量%であることがさらに好ましい。
本発明のゴム配合物が、上記石油コークス微粉砕焼成物を上記範囲の量含有するものであることにより、300%モジュラスを効果的に向上させることができる。
本発明のゴム配合物は、天然ゴムおよび石油コークス微粉砕焼成物以外に、必要に応じて任意の添加剤を配合してなるものであってもよい。
添加剤としては、公知のものから適宜選択すればよく、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤、有機過酸化物、充填剤、シランカップリング剤、伸展油、滑剤等の加工助剤、老化防止剤等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
加硫剤としては硫黄等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明のゴム配合物において、加硫剤の配合量は、天然ゴム100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
また、本発明のゴム配合物において、加硫剤の配合割合(加硫剤の含有割合)は、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく、0.7〜2質量%がさらに好ましい。
上記加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤、ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
加硫促進剤の配合量は、天然ゴム100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜3質量部がより好ましい。
加硫活性化剤としては、ステアリン酸、酸化亜鉛等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
伸展油としては、アロマチック系鉱物油(粘度比重恒数(V.G.C.値)0.900〜1.049)、ナフテン系鉱物油(V.G.C.値0.850〜0.899)、パラフィン系鉱物油(V.G.C.値0.790〜0.849)等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明のゴム配合物は、300%モジュラス(M300)が、3〜30MPaであるものが好ましく、4〜25MPaであるものがより好ましく、5〜20MPaであるものがさらに好ましい。
本出願書類において、300%モジュラス(M300)は、ダンベル状3号試験片形状に打ち抜いた本発明のゴム配合物をJIS K 6251の規定に準拠して測定した値を意味する。
本発明のゴム配合物は、ゴム成分として天然ゴムを採用するとともに、無機充填剤として粒径が特定範囲にある石油コークス微粉砕焼成物を採用することにより、特に300%モジュラスを好適に向上させることができ、本発明のゴム配合物の300%モジュラスが上記範囲内にあることにより、高荷重による圧縮条件下でのねじり挙動に対し破損、裂け等を生じ難くなり、本発明のゴム配合物を例えばタイヤトレッド等のタイヤ部材等として好適に使用することができる。
本発明のゴム配合物は、上記天然ゴム、石油コークス微粉砕焼成物および必要に応じて任意に添加する添加剤を、公知の方法、例えば、オープンロールミキサー等のロールやバンバリーのような公知の混合機で混練する方法により製造することができる。
上記混合機で混練する際の条件は特に制限されず、添加剤として加硫剤や加硫促進剤を配合しない場合、混練温度は、50℃〜200℃が適当であり、80℃〜190℃がより適当であり、混練時間は、30秒間〜30分間が適当であり、1分間〜30分間がより適当である。
また、添加剤として加硫剤や加硫促進剤を配合する場合、混練温度は、100℃以下が適当であり、室温〜80℃がより適当である。
また、加硫剤、加硫促進剤を配合する場合、所定形状に成形した後、適宜加温して硬化することにより所望のゴム成形体を得ることができ、例えば別途プレス加硫等により加硫処理を行うことができるが、この場合、加硫温度は120〜200℃が適当であり、140〜180℃がより適当であり、加硫時間は、10〜50分間が適当であり、20〜40分間がより適当である。
上記方法によって、本発明のゴム配合物を得ることができる。
本発明によれば、コストの上昇を抑制しつつ、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させるゴム配合物を提供することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
<石油コークス>
熱分解原料油として減圧残渣油とスラリーオイルを用い、500℃、0.1MPaGの条件にて熱分解処理し、熱分解処理後、ウォータージェットにて粉砕し、目視にて、ショットコークスと、スポンジコークスとを分取して、各石油コークスとした。
得られたショットコークスとスポンジコークスを、各々目開き2mmの篩により篩分けした後、篩を通過したもの(2mmパス品)を、アルゴン(Ar)雰囲気下、900℃で2時間焼成することにより各焼成物を得た。得られた焼成物の性状を表1に示す。
なお、各石油コークスの焼成物の性状は、以下の方法により測定したものである。
(水分)
JIS M 8811に準拠して測定した。
(CHN分)
JIS M 8813に準拠して測定した。
(硫黄分)
JIS M 8819に準拠して、硫黄含有量を測定した。
(揮発分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(固定炭素分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(芳香族性炭素割合)
13CNMR(核磁気共鳴)スペクトルにおける芳香族炭素(CA)のピーク面積強度(100〜200ppm)を、全炭素のピーク面積強度(0〜200ppm)で除すことにより、算出した。また、13C-NMRスペクトルは、重水素クロロホルムを溶媒とし、テトラメチルシラン(TMS)を内標に用いて、日本電子(株)製核磁気共鳴装置Alpha−400により測定した。
(実施例1、実施例2および比較例1)
<石油コークスの粉砕処理>
上記方法で得られたショットコークスの焼成物を、カッターミル((株)セイシン企業製VM−22型)に供給し、粗粉砕して粗粉砕物を得た。そのときの粉砕条件及び結果を表2に示す。
次いで、得られた粗粉砕物を、ジェットミル((株)セイシン企業製FS−4)に供給し、微粉砕して、石油コークス微粉砕焼成物を得た。そのときの粉砕条件及び微粉砕焼成物の評価結果を表2に示す。
なお、得られた微粉砕焼成物の粒度は、以下の方法により測定したものである。
(粒度分布)
JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装(株)製MICROTRAC)を用いて、レーザー回折散乱法により、体積頻度粒度分布測定を行い、得られた体積頻度粒度分布測定結果より、積算粒度10%、50%、90%の粒径を求め、各々D10、D50(平均粒子径)およびD90とした。
また、得られた微粉砕焼成物の比表面積および灰分は、以下の方法により測定したものである。
(比表面積)
微粉砕焼成物の表面に吸着している分子を取り除くため150℃で10時間の真空加熱乾燥を行った後、乾燥試料についてBET比表面積を求め、比表面積とした。
(灰分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
さらに、得られた微粉砕焼成物の水分、CHN分、硫黄分、揮発分、固定炭素分は、上述した方法と同様の方法により測定したものである。
次いで、天然ゴム(RSS3グレード)100質量部に対し、ステアリン酸(花王(株)製ルナックS−50V)2質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)5質量部、TBBS(N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三井化学(株)製サンセラーNS−G)0.7質量部、硫黄(細井化学工業(株))製2.25質量部混合するとともに、各石油コークス微粉砕焼成物35質量部を混合して、各々石油コークス微粉砕焼成物を含有する混合物を調製した。
上記各混合物を、オープンロールミキサーで混練した後、得られた混練物を140℃で30分間プレス加硫することにより、目的とする各ゴム配合物を得た。
得られた各ゴム配合物の配合比およびその評価結果を表4に示す。
なお、各ゴム配合物は、以下の方法により評価した。
(スコーチ時間)
JIS K6300−1に準拠したムーニースコーチ試験機(S形ロータ)を用い、温度120℃で測定時のt5値(分間)を求めた。
(ムーニー粘度)
JIS K 6300に準拠して、ムーニー粘度(MS120℃)を測定した。
(硬度)
JIS K6253に準拠し、デュロメータ硬さ計を用いて測定した。
(引張強度、伸び、300%モジュラス)
各ゴム配合物をダンベル状3号形試験片に打ち抜き、JISK 6251の規定に準拠して、伸び(%)、引張強度(MPa)、300%モジュラスを測定した。
(比重)
JIS K6268に準拠して測定した。
(永久圧縮歪)
JIS K 6262に準じて、70℃、25%圧縮という条件で、24時間後の圧縮永久ひずみを測定した。
(実施例3および実施例4)
<石油コークスの粉砕処理>
上記方法で得られたスポンジコークスの焼成物を、カッターミル((株)セイシン企業製VM−22型)に供給し、粗粉砕して粗粉砕物を得た。そのときの粉砕条件及び結果を表3に示す。
次いで、得られた粗粉砕物を、ジェットミル((株)セイシン企業製FS−4)に供給し、微粉砕して、石油コークス微粉砕焼成物を得、得られた微粉砕焼成物を実施例1と同様に評価した。そのときの粉砕条件及び結果を表3に示す。また、微粉砕焼成物の分析結果も表3に合わせて示す。
また、実施例4で得られた微粉砕焼成物について、以下の方法でSEM分析およびIR分析を行った。
(SEM分析)
電界放射操作電子顕微鏡(JSM6340F、日本電子社製)を用い、加速電圧5kVで二次電子像の撮影を行った。その結果を図1〜図3に示す。
(IR分析)
FT−IR(Nicolet iN10・iZ10、Thermo Scientific社製)を用いて、IR測定を行いIRスペクトルを得た。その結果を図4に示す。
次いで、得られた微粉砕焼成物を用いて実施例1と同様にして各ゴム配合物を調製し、実施例1と同様に得られた各ゴム配合物の性状を評価した。得られたゴム配合物の配合比およびその評価結果を表4に示す。
表2〜表4より、実施例1〜実施例4においては、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である安価な石油コークス微粉砕焼成物を用いてゴム配合物を調製していることから、コストの上昇を抑制しつつも、得られるゴム配合物の300%モジュラスが高く、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させ得るものであることが分かる。
一方、表2〜表4より、比較例1においては、平均粒子径(D50)が50μmを超える石油コークス微粉砕焼成物を用いてゴム配合物を調製していることから、得られるゴム配合物の300%モジュラスが低く、耐久性に劣るためにタイヤトレッド等の実用に供し難いものであることが分かる。
本発明によれば、コストの上昇を抑制しつつ、特にタイヤトレッド等のタイヤ部材に使用したときに耐久性を効果的に向上させるゴム配合物を提供することができる。

Claims (4)

  1. 天然ゴムに対し、平均粒子径(D50)が0μmを超え50μm以下である石油コークス微粉砕焼成物を配合してなることを特徴とするゴム配合物。
  2. 前記石油コークス微粉砕焼成物が、原油の常圧蒸留残渣油または減圧蒸留残渣油を熱分解して得られるコークスを500℃を超え1500℃以下の温度で焼成し、粉砕してなるものである請求項1に記載のゴム配合物。
  3. 前記天然ゴム100質量部に対し、前記石油コークス微粉砕焼成物を1〜500質量部配合してなる請求項1または請求項2に記載のゴム配合物。
  4. 前記ゴム配合物がタイヤ部材用である請求項1〜請求項3のいずれかに記載のゴム配合物。














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