WO2015049767A1 - ファスナーストリンガーの製造装置及び製造方法、並びにファスナーストリンガー - Google Patents

Abstract

　本発明に係るファスナーストリンガーの製造装置は、エレメント用線材(W)を所定のピッチで間欠的に供給して、カッティングダイ(2)の摺接面上に突出させる線材供給部を有している。この線材供給部は、種類の異なる複数の線材(W)を、それぞれ別々の供給手段によってカッティングダイ(2)に向けて供給する複数の供給ユニット部(10a,10b)と、各供給ユニット部(10a,10b) による前記線材(W) の供給量を制御して、予め設定された順番に従って複数の線材(W)のうちの１つをカッティングダイ(2)の摺接面上に順次突出させる制御部とを有する。これにより、連続するエレメント列内で、ファスナーエレメント(E)における色彩などの性質が異なるファスナーストリンガー(S)を簡単に且つ低コストで製造することができる。

Description

ファスナーストリンガーの製造装置及び製造方法、並びにファスナーストリンガー

　本発明は、エレメント用線材を切断してファスナーエレメントを成形し、得られたファスナーエレメントを順次ファスナーテープに植え付けてファスナーストリンガーを製造するファスナーストリンガーの製造装置及び製造方法、並びにファスナーストリンガーに関する。

　金属製のファスナーエレメント（以下、単に金属エレメントと言うこともある）は、一般に、噛合頭部と、同噛合頭部の基端部から後方に延在する胴部と、同胴部から二股に分岐して後方に延在する左右一対の脚部を有している。このような金属エレメントは、以下のような２つの代表的な方法により主に製造されている。

　金属エレメントを製造する第１の製造方法は、金属製の平角線材を押圧により塑性変形させて噛合頭部などを成形するとともに、その成形された平角線材をパンチやダイなどを用いてエレメントの形状に打ち抜くこと又は切り落とすことによって、ファスナーエレメントが１つ１つバラバラの状態で製造される。

　このようにして得られたファスナーエレメントは、例えばバレル研磨や化学研磨などの研磨工程や、エレメント表面にクリア塗装等を施す塗装工程が行われた後、加締め手段を用いて、ファスナーテープの一側縁部に一定の間隔で１つ１つ植え付けられる。これによって、複数の金属エレメントがファスナーテープに列設されたファスナーストリンガーが連続して製造される。

　また、上述のように平角線材から製造された複数の金属エレメントを、ファスナーテープのテープ側縁部に取着してファスナーストリンガーを製造する装置及び方法の一例が、特公平７－４９００２号公報（特許文献１）に開示されている。

　特に、この特許文献１に記載されている製造装置及び製造方法では、簡単な方法で異なる色彩を呈する金属エレメントを選別してファスナーテープに供給して植え付けることができ、それにより、エレメント列に所望の模様が表されたファスナーストリンガーを製造することが可能となる。

　具体的に説明すると、この特許文献１に記載されている製造装置は、互いに並列に配された複数の垂直シュートと、複数の垂直シュートの下側に配される１つのエレメント移送杆と、エレメント移送杆を予め設定されたプログラムに基づいて複数の垂直シュートの下端に接するように往復動させるカムと、エレメント移送杆の下側で、複数の垂直シュートの中央位置に配されたエレメント取付部とを有している。

　このような製造装置を用いてファスナーストリンガーを製造する場合、先ず、異なる色を呈する複数の金属エレメントを、それぞれの色ごとに分別して別々の垂直シュートに収容する。次に、エレメント移送杆を予め設定されたプログラムに基づいて複数の垂直シュートの下端に接するようにカムにより往復動させる。これにより、何れか１つの垂直シュートの最下端に収容されている金属エレメントを１つだけエレメント移送杆のポケット部に落下させて収容し、エレメント取付部に移送する。

　エレメント取付部では、移送された金属エレメントを、下方に供給されたファスナーテープに向けて落下させ、金属エレメントの脚部がファスナーテープを跨ぐようにして金属エレメントの姿勢を保持する。続いて、エレメント取付部の取付パンチで金属エレメントの脚部を押圧して加締めることにより、ファスナーテープに金属エレメントを取り付ける。

　特許文献１では、ファスナーテープを間欠的に搬送しながら上述のような工程を連続的に行うことにより、色が異なる金属エレメントを所望の順番でファスナーテープに取り付けることができるため、エレメン列に模様が表されたファスナーストリンガーを得ることができる。

　一方、金属エレメントを製造する第２の製造方法は、例えば特許第２８６２７５８号明細書（特許文献２）等に記載されている。この第２の製造方法は、先ず、円形断面を有する長尺の金属線材を複数の圧延ロールに通して、横断面が略Ｙ形状を呈するように成形し、その成形したエレメント用線材（所謂、Ｙバー）を、カッティングパンチとカッティングダイを用いて長さ方向に所望の厚みで順次切断する。これにより、エレメント素子が形成される。

　続いて、得られたエレメント素子の噛合頭部に当たる部分を、フォーミングダイとフォーミングパンチとにより局部的に押圧変形させて、噛合凸部及び噛合凹部を成形することにより金属エレメントが製造される。

　このようにして得られた金属エレメントは、噛合凸部及び噛合凹部の成形に続いて、金属エレメントとは別途に搬送されるファスナーテープの一側縁部に、加締め部（加締めパンチ）により１つ１つ植え付けられることにより、ファスナーストリンガーが製造される。

　上述のような第２の製造方法を用いて、略Ｙ字状断面を有するエレメント用線材からファスナーエレメントを製造する場合、前述の第１の製造方法を用いて金属製の平角線材からファスナーエレメントを製造する場合に比べて、ファスナーエレメントの形状は制約されるものの、ファスナーストリンガー及びスライドファスナーを安価に製造できるという利点がある。

　従って、前述の第１の製造方法を用いて得られるファスナーエレメントは、例えば意匠性や高級感などが求められるブランド製品用のスライドファスナーなどに好適に使用され、一方、第２の製造方法を用いて得られるファスナーエレメントは、例えば商品価格を抑えたい衣料品用のスライドファスナーなどに好適に使用されることが多い。

特公平７－４９００２号公報 特許第２８６２７５８号明細書

　前述の第１の製造方法を用いて平角線材から金属エレメントを形成し、得られた複数の金属エレメントに塗装工程等を施して、互いに色彩の異なる数種類の金属エレメントを製造した後、例えば特許文献１に記載されている方法を用いてファスナーストリンガーを製造することにより、前述のように、異なる色の金属エレメントによりエレメント列に所望の模様が表されたファスナーストリンガーを得ることができる。

　しかし、このように平角線材から金属エレメントを製造するエレメント製造方法（第１の製造方法）を用いる場合、前述のように、Ｙバーから金属エレメントを製造するエレメント製造方法（第２の製造方法）を用いる場合に比べて、製造コストが増大するため、この第１の製造方法で製造された金属エレメントを有するスライドファスナーは、商品価格を抑えたい製品などに使用され難かった。

　一方、Ｙバーから金属エレメントを製造する第２の製造方法を用いる場合、従来は、１本のＹバーを製造装置に供給して所望の厚みで順次切断してファスナーエレメントを次々に製造しながら、そのファスナーエレメントを順次ファスナーテープに植え付けることによってファスナーストリンガーが製造される。

　このため、第２の製造方法で金属エレメントを製造する場合、スライドファスナーを安価に提供することが可能であるものの、例えば特許文献１のように、１つのファスナーストリンガーの連続するエレメント列内で、金属エレメントにおける色彩などの性質を異ならせることができず、スライドファスナーに意匠性や高級感などを与えることが難しかった。

　本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、エレメント用線材から複数のファスナーエレメントを形成してファスナーストリンガーを製造するとともに、製造される１つのファスナーストリンガーの連続するエレメント列内で、金属エレメントにおける色彩などの性質を異ならせることが可能なファスナーストリンガーの製造装置及び製造方法、並びに製造されるファスナーストリンガーを提供することにある。

　上記目的を達成するために、本発明により提供されるファスナーストリンガーの製造装置は、基本的な構成として、エレメント用線材を所定のピッチで間欠的に供給する線材供給部と、ファスナーテープを所定のピッチで間欠的に供給するテープ供給部と、摺接面及び当該摺接面に開口する少なくとも１つの線材案内孔を有するカッティングダイと、前記カッティングダイに対して前記摺接面に摺接しながら相対的に往復動可能に配され、前記カッティングダイの前記摺接面上に所定の厚さで突出する前記線材を切断するカッティングパンチと、前記カッティングパンチにより切断されたエレメント素子を載置するフォーミングダイと、前記フォーミングダイに対して昇降可能に配され、前記フォーミングダイに載置されたエレメント素子を押圧してファスナーエレメントに成形するフォーミングパンチと、供給される前記ファスナーテープに前記ファスナーエレメントを加締めて植え付ける加締め部とを備え、前記ファスナーテープに複数の前記ファスナーエレメントを順次取着してファスナーストリンガーを製造する製造装置であって、前記線材供給部は、種類の異なる複数の前記線材を、それぞれ別々の供給手段によって前記カッティングダイに向けて供給する複数の供給ユニット部と、各供給ユニット部による前記線材の供給量を制御して、予め設定された順番に従って複数の前記線材のうちの１つを前記カッティングダイの前記摺接面上に順次突出させる制御部とを有してなることを最も主要な特徴とするものである。

　特に、本発明に係るファスナーストリンガーの製造装置において、前記供給手段は、前記線材を狭持して回転することで、前記線材を供給する一対の供給ローラを有し、前記一対の供給ローラの回転駆動を制御して予め設定した供給量で前記線材を供給していることが好ましい。

　本発明に係るファスナーストリンガーの製造装置では、前記カッティングダイに、複数の前記線材案内孔が、前記カッティングダイに対する前記カッティングパンチの往復方向に沿って整列して形成され、前記カッティングパンチの相対的な前記往復動のストロークは、複数の前記線材案内孔の開口が形成されている形成領域よりも大きく設定されていることが好ましい。

　また、本発明の製造装置において、各供給ユニット部は、駆動部と、前記駆動部の駆動力を前記一対の供給ローラに伝達する伝達部と、前記伝達部による前記駆動力の伝達を止めるストッパー部とを有し、前記制御部は、前記ストッパー部の稼動を制御していることが好ましい。

　更に、本発明の製造装置において、各供給ユニット部の前記一対の供給ローラ、前記テープ供給部、前記カッティングダイ、前記フォーミングダイ、前記フォーミングパンチ、及び前記加締め部は、単一のメインシャフトに接続されて駆動されることが好ましい。
　更にまた、複数の前記線材は、互いに、同じ材質で構成され、且つ、外表面の色彩を異ならせていることが好ましい。

　次に、本発明により提供されるファスナーストリンガーの製造方法は、基本的な構成として、エレメント用線材を用意する準備工程と、前記線材を所定のピッチで間欠的に供給する供給工程と、前記供給工程にて供給される前記線材を、切断手段により、前記線材の供給量分の厚さで供給方向に対して直交する方向に切断してエレメント素子を形成する切断工程と、前記エレメント素子の切断面を成形手段により押圧して噛合頭部を有するファスナーエレメントに成形する成形工程と、所定のピッチで間欠的に供給されるファスナーテープに前記ファスナーエレメントを加締め手段により加締めて植え付ける植付工程とを含み、前記ファスナーテープに複数の前記ファスナーエレメントを順次取着してファスナーストリンガーを製造する製造方法であって、前記準備工程にて、種類の異なる複数の前記線材を用意すること、及び、前記供給工程にて、複数の前記線材を別々に供給する複数の供給手段を制御し、予め設定された順番に従って複数の前記線材のうちの１つを所定のピッチで供給することを含んでなることを最も主要な特徴とするものである。

　本発明に係るファスナーストリンガーの製造方法は、前記供給工程にて、種類の異なる複数の前記線材を別々の供給手段によって、異なる供給ルートを経由して前記切断手段に供給すること、及び、前記切断工程、前記成形工程、及び前記植付工程にて、複数の前記線材から切断された前記エレメント素子、及び前記エレメント素子から成形された前記ファスナーエレメントを、同一の前記切断手段、前記成形手段、及び前記加締め手段を利用して、同一ルートを経由して加工することを含んでいることが好ましい。

　次に、本発明により提供されるファスナーストリンガーは、基本的な構成として、ファスナーテープのテープ側縁部に複数の金属製ファスナーエレメントが所定の取付ピッチで取着されたファスナーストリンガーであって、各ファスナーエレメントは、種類の異なる複数の略Ｙ字状断面を有するエレメント用線材のうちの１つを選択して所定のピッチで切断してエレメント素子を形成し、前記エレメント素子を押圧成形することにより作製され、複数の前記線材から作製された各ファスナーエレメントが、単一の前記ファスナーテープの前記テープ側縁部に所定の配列で加締め固定され、各ファスナーエレメントにおける前記エレメント用線材を切断して形成される切断面と、前記切断面以外の外表面とが異なる外観を呈してなることを最も主要な特徴とするものである。

　本発明に係るファスナーストリンガーにおいて、各エレメント用線材は、同一の金属線材の外表面に互いに異なる装飾が施されて構成されていることが好ましい。また、各エレメント用線材は、互いに材質が異なる金属線材により構成されていても良い。

　本発明に係るファスナーストリンガーの製造装置は、エレメント用線材を線材供給部により供給して、その供給されたエレメント用線材から複数のファスナーエレメントを形成してファスナーストリンガーを製造する装置として構成されている。

　また、本発明の線材供給部は、種類の異なる複数のエレメント用線材を、それぞれ別々の供給手段によってカッティングダイに向けて供給する複数の供給ユニット部を有するとともに、各供給ユニット部による線材の供給量を制御して、予め設定された順番に従って複数のエレメント用線材のうちの１つを、カッティングダイの摺接面上に順次突出させる制御部とを有している。

　このような本発明の製造装置によれば、複数のエレメント用線材を用いてファスナーエレメントを順次形成してファスナーストリンガーを製造することができるため、ファスナーストリンガーを安価に提供することができる。また、本発明の製造装置では、線材供給部において、予め設定された順番に従って種類の異なるエレメント用線材のうちの１つを選択してカッティングダイに供給することができるため、異なる性質を備える金属エレメントを所望の順番で次々に形成して、ファスナーテープに順次植え付けることができる。これにより、連続するエレメント列内で、金属エレメントにおける色彩などの性質が異なるファスナーストリンガーを簡単に且つ低コストで製造することができる。

　このような本発明の製造装置において、供給手段は、線材を狭持して回転することで、線材を供給する一対の供給ローラを有し、その一対の供給ローラの回転駆動を制御して予め設定した供給量で線材を供給するように構成されている。これにより、各供給ユニット部による線材の供給量を制御部で安定して制御でき、複数のエレメント用線材のうちの１つを、カッティングダイの摺接面上に所定の厚さで突出させることができる。

　また、本発明の製造装置において、カッティングダイには、複数の線材案内孔がカッティングパンチの往復方向に沿って整列して形成されており、また、カッティングパンチの相対的な往復動のストロークは、複数の線材案内孔の開口が形成されている形成領域よりも大きく設定されている。

　これにより、製造装置を簡単な構造で構成することができる。また、複数の供給ユニット部からそれぞれエレメント用線材が供給されても、カッティングダイに対するカッティングパンチの相対的な往復動を繰り返すことによって、所望の順番でファスナーエレメントを順次形成してファスナーテープに植え付けることができるため、ファスナーストリンガーの製造速度を従来に比べて大きく低下させずに、ファスナーストリンガーを安定して製造することができる。

　更に本発明において、各供給ユニット部は、駆動部と、駆動部の駆動力を一対の供給ローラ（供給ローラ対）に伝達する伝達部と、伝達部による駆動力の伝達を止めるストッパー部とを有している。また、線材供給部の制御部は、ストッパー部の稼動を制御している。

　これにより、線材供給部を簡単な構造で構成できる。また、各供給ユニット部では、エレメント用線材をそれぞれの供給ローラ対によってカッティングダイに向けて供給し、カッティングダイの摺接面上に円滑に突出させることができる。更に、制御部では、各供給ユニット部における供給ローラ対の回転駆動を安定して制御し、複数のエレメント用線材のうちから、予め設定された順番に従って１つのエレメント用線材を正確に選択し、カッティングダイの摺接面上に所定のタイミングで安定して突出させることができる。

　更にまた、本発明において、各供給ユニット部の一対の供給ローラ、テープ供給部、カッティングダイ、フォーミングダイ、フォーミングパンチ、及び加締め部は、単一のメインシャフトに接続されて駆動されている。これにより、各動作部分を互いに同期させて効率的に稼動させることができるとともに、製造装置全体を一体的に構成して省スペース化を図ることができる。

　また、本発明において、各供給ローラ対により供給される複数の線材は、互いに、同じ材質で構成され、且つ、外表面の色彩を異ならせている。これにより、エレメント素子を成形する成形機構が複雑になることを抑えることができる。また、ファスナーテープに色彩が異なるファスナーエレメントを所望の順番で円滑に取り付けることができるため、連続するエレメント列内でファスナーエレメントの色彩が異なり、外観品質の優れたファスナーストリンガーを安定して製造することができる。

　次に、本発明に係るファスナーストリンガーの製造方法は、エレメント用線材を用意する準備工程と、線材を切断手段に所定のピッチで間欠的に供給する供給工程と、供給工程にて供給される線材を、切断手段により、その供給量分の厚さで供給方向に対して直交する方向に切断する切断工程と、切断工程で得られたエレメント素子の切断面を成形手段により押圧して噛合頭部を有するファスナーエレメントに成形する成形工程と、成形されたファスナーエレメントを所定のピッチで間欠的に供給されるファスナーテープに加締め手段により加締めて植え付ける植付工程とを含んでいる。

　また、準備工程では、種類の異なる複数のエレメント用線材を用意し、供給工程では、複数の線材を別々に供給する複数の供給手段を制御し、予め設定された順番に従って複数の線材のうちの１つを所定のピッチで切断手段に順次供給することを連続的に行っている。

　このような本発明の製造方法によれば、複数のエレメント用線材を用いてファスナーエレメントを順次形成して、ファスナーストリンガーを安価に製造することができる。また、供給工程において、予め設定された順番に従って種類の異なるエレメント用線材のうちの１つを選択して切断手段に供給することができるため、異なる性質を備える金属エレメントを所望の順番で次々に形成して、ファスナーテープに順次植え付けることができる。これにより、連続するエレメント列内で、金属エレメントにおける色彩などの性質が異なるファスナーストリンガーを簡単に且つ低コストで製造することができる。

　また、本発明の製造方法は、供給工程にて、種類の異なる複数のエレメント用線材を別々の供給手段によって、異なる供給ルートを経由して前記切断手段に供給すること、及び、切断工程、成形工程、及び植付工程にて、複数の線材から切断されたエレメント素子、及びエレメント素子から成形されたファスナーエレメントを、同一の切断手段、成形手段、及び加締め手段を利用して、同一ルートを経由して加工することを含んでいる。

　これにより、ファスナーエレメントを複数の線材から所望の順番で選択される１の線材から、１つの切断手段及び成形手段を用いて順次形成でき、また、その形成されたファスナーエレメントを１つの加締め手段を用いてファスナーテープに順次植え付けることができる。このため、ファスナーストリンガーの製造速度を従来に比べて大きく低下させずに、ファスナーストリンガーを安定して製造することができる。

　次に、本発明に係るファスナーストリンガーでは、各ファスナーエレメントが、そのファスナーエレメント毎に種類の異なる複数の略Ｙ字状断面を有するエレメント用線材のうちの１つを選択し、その選択されたエレメント用線材を所定のピッチで切断してエレメント素子を形成し、そのエレメント素子を押圧成形することにより作製されている。また、複数の線材から作製された各ファスナーエレメントは、単一のファスナーテープのテープ側縁部に所定の配列で加締め固定されている。更に、各ファスナーエレメントにおけるエレメント用線材を切断して形成される切断面と、その切断面以外の外表面とが異なる外観を呈している。

　このような本発明のファスナーストリンガーは、異なる性質を備えるファスナーエレメントが所望の順番でファスナーテープに植え付けられているため、連続するエレメント列内で、ファスナーエレメントにおける色彩などの性質を低コストで異ならせることができる。このように本発明のファスナーストリンガーは、商品価格が抑えられており、且つ、従来の一般的なファスナーストリンガーとは外観品質などの性質が異なるため、例えば意匠性や高級感などが求められる製品用のスライドファスナーなどに好適に使用される。

　特に、本発明のファスナーストリンガーでは、各ファスナーエレメントにおけるエレメント用線材を切断して形成される切断面と、その切断面以外の外表面とが互いに異なる外観を呈する。それにより、ファスナーストリンガーに様々な外観品質を容易に備えさせることができ、スライドファスナーの商品バリエーションを大幅に増やすことができる。

　また、本発明のファスナーストリンガーでは、各エレメント用線材が、同一の金属線材の外表面に互いに異なる装飾（例えば色彩）が施されて構成されている。これにより、連続するエレメント列内でファスナーエレメントの装飾を容易に異ならせることができ、例えば斬新なデザインを備えるとともに噛合強度等のファスナー品質が安定したスライドファスナーを安価に提供することが可能となる。

　一方、本発明のファスナーストリンガーでは、各エレメント用線材は、互いに材質が異なる金属線材により構成されていても良い。これにより、連続するエレメント列内でファスナーエレメントの材質を容易に異ならせることができるため、従来にはなかった性質又は機能を備えるスライドファスナーを安価に提供することが可能となる。

本発明に係るファスナーストリンガーの製造装置を模式的に説明する斜視図である。 同製造装置の要部を拡大して模式的に説明する模式図である。 同製造装置のカッティングダイ、カッティングパンチ、及び加締め部を模式的に説明する模式図である。 同製造装置のフォーミングダイ及びフォーミングパンチ、並びにファスナーテープとの関係を模式的に説明する断面図である。 同製造装置の供給ユニット部における伝達部の一部とストッパー部とを模式的に説明する断面図である。 同製造装置の線材供給部における制御部を模式的に説明する模式図である。 同製造装置において、第１エレメント用線材がカッティングダイの摺接面上に突出した状態を示す模式図である。 同製造装置において、第１エレメント用線材から切断したエレメント素子をファスナーエレメントに成形する状態を示す模式図である。 同製造装置において、ファスナーエレメントを植え付けるとともに、第２エレメント用線材がカッティングダイの摺接面上に突出した状態を示す模式図である。 同製造装置において、第２エレメント用線材から切断したエレメント素子をファスナーエレメントに成形する状態を示す模式図である。 同製造装置において、ファスナーエレメントを植え付けるとともに、第１エレメント用線材がカッティングダイの摺接面上に突出した状態を示す模式図である。 本発明により製造されるファスナーストリンガーの一例を示す平面図である。 本発明により製造されるファスナーストリンガーの別の例を示す平面図である。 本発明により製造されるファスナーストリンガーの更に別の例を示す平面図である。 本発明により製造されるファスナーストリンガーの更に別の例を示す平面図である。

　以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
　ここで、図１は、本実施形態に係るファスナーストリンガーの製造装置を模式的に説明する斜視図である。

　本実施形態の製造装置１は、エレメント用線材Ｗを所定のピッチで間欠的に供給する線材供給部と、ファスナーテープＴを所定のピッチで間欠的に供給するテープ供給部２０と、カッティングダイ２及びカッティングパンチ３により線材Ｗを切断してエレメント素子を形成する切断部と、切断されたエレメント素子をフォーミングダイ４及びフォーミングパンチ５により押圧成形することによりファスナーエレメントＥを形成するエレメント成形部と、ファスナーエレメントＥを加締めパンチ６でファスナーテープＴに加締めて植え付ける加締め部と、面取りパンチ７でファスナーテープＴに取り付けたファスナーエレメントＥに面取り加工を行う面取り部とを有する。

　また、製造装置１は、幾つかの構成部分を支持する架台８と、図示しないモーターによって回転駆動される単一のメインシャフト（主軸）３０とを有し、メインシャフト３０には、後述する第１ラム駆動用カム（カッティングダイ駆動用カム）３１、第２ラム駆動用カム（フォーミングパンチ駆動用カム）３２、第３ラム接続機構４５、線材送り用カム３３、及びテープ送り用カム３４が設けられている。

　この製造装置１の架台８には、メインシャフト３０の回転により前端位置と後端位置とに亘って前後方向に前進及び後退を繰り返すように往復動可能な第１ラム４０が取り付けられている。この第１ラム４０に、切断部のカッティングダイ２とエレメント成形部のフォーミングダイ４とが、第１ラム４０の前進方向に向かって順番に固定されており、カッティングダイ２とフォーミングダイ４とは、第１ラム４０とともに前後方向に往復動可能に構成されている。

　メインシャフト３０は、上述のように、第１ラム駆動用カム（カッティングダイ駆動用カム）３１を有しており、この第１ラム駆動用カム３１と第１ラム４０とは、第１ラム駆動用カム従節機構４１を介して接続されている。

　この第１ラム駆動用カム従節機構４１は、第１ラム４０に固定され、第１ラム駆動用カム３１に転接する前後一対の第１ローラ４１ａを有している。この場合、前後の第１ローラ４１ａは、第１ラム駆動用カム３１を挟むように、第１ラム駆動用カム３１よりも第１ラム４０の前進側と後退側とに配されている。

　従って、第１ラム駆動用カム従節機構４１では、第１ラム駆動用カム３１がメインシャフト３０とともに一方の方向に回転することにより、第１ラム駆動用カム３１のカム形状に従って前後一対の第１ローラ４１ａが押圧されて、当該第１ローラ４１ａとこれらが固定されている第１ラム４０とを前後方向に直線的に移動させることができる。

　本実施形態のカッティングダイ２は、図３に示すように、フォーミングダイ４に隣接して配される第１ダイ構成部５１ａと、第１ダイ構成部５１ａの後側に隣接して配される第２ダイ構成部５１ｂと、第２ダイ構成部５１ｂの後側に隣接して配される第３ダイ構成部５１ｃとを有しており、これらの第１ダイ構成部５１ａ～第３ダイ構成部５１ｃを第１ラム４０の往復動方向に並べるように組み立てて固定することにより、カッティングダイ２が構成されている。

　このカッティングダイ２の上面は、カッティングパンチ３が摺接する摺接面として形成されている。また、カッティングダイ２の幅方向中央部には、カッティングダイ２の摺接面に開口し、カッティングダイ２を上下方向に貫通する第１線材案内孔５２ａと第２線材案内孔５２ｂとが設けられており、これらの第１線材案内孔５２ａと第２線材案内孔５２ｂとは、カッティングダイ２の往復方向に沿って整列して配されている。

　この場合、第１線材案内孔５２ａは、第１ダイ構成部５１ａと第２ダイ構成部５１ｂとにより、後述する第１エレメント用線材Ｗ１の横断面に対応する形状に形成されている。また、第２線材案内孔５２ｂは、第１線材案内孔５２ａの後方側に離間して配されており、第２ダイ構成部５１ｂと第３ダイ構成部５１ｃとにより、後述する第２エレメント用線材Ｗ２の横断面に対応する形状に形成されている。

　特に、本実施形態では、第１エレメント用線材Ｗ１と第２エレメント用線材Ｗ２とは、同じ形状の横断面を有するため、第１線材案内孔５２ａと第２線材案内孔５２ｂの摺接面に開口する開口形状も、互いに同じ形に形成されている。

　なお、本実施形態のカッティングダイ２には、上述のように、第１エレメント用線材Ｗ１を挿通させる第１線材案内孔５２ａと第２エレメント用線材Ｗ２を挿通させる第２線材案内孔５２ｂが設けられているように、１本のエレメント用線材Ｗに対して１つの線材案内孔が設けられている。しかし、本発明では、カッティングダイ２に、例えば複数本のエレメント用線材Ｗに対して１つの線材案内孔を設けて、その１つの線材案内孔に複数本のエレメント用線材Ｗを一緒に挿通させることも可能である。

　カッティングダイ２の上面には、カッティングパンチ３が製造装置１の架台８に不動に固定されている。このカッティングパンチ３は、カッティングダイ２が第１ラム４０とともに往復動することにより、カッティングダイ２の摺接面に摺接しながら、カッティングダイ２に対して相対的に往復動するように構成されている。

　従って、後述するように、カッティングダイ２が、カッティングダイ２の摺接面から第１エレメント用線材Ｗ１又は第２エレメント用線材Ｗ２を突出させた状態で、第１ラム４０とともに最も前進した位置（前端位置）から後退することにより、カッティングパンチ３がカッティングダイ２に対して相対的に前進する。これにより、相対的に前進するカッティングパンチ３にて、カッティングダイ２の摺接面から突出した第１エレメント用線材Ｗ１又は第２エレメント用線材Ｗ２の突出部分を切断し、エレメント素子を形成することができる（図７及び図９等を参照）。

　この場合、カッティングダイ２に対するカッティングパンチ３の相対的な往復動のストローク（すなわち、カッティングダイ２の往復動のストローク）は、カッティングパンチ３が相対的に前進又は後退する際にカッティングダイ２の第１線材案内孔５２ａと第２線材案内孔５２ｂの両方の開口上を通過できるように、第１線材案内孔５２ａと第２線材案内孔５２ｂが形成されている形成領域（形成範囲）における前後方向（往復方向）の寸法よりも大きな一定の大きさに設定されている。

　これにより、カッティングダイ２の第１線材案内孔５２ａから第１エレメント用線材Ｗ１を突出させても、或いは、第２線材案内孔５２ｂから第２エレメント用線材Ｗ２を突出させても、カッティングダイ２の一回の復動でカッティングパンチ３が相対的に前進したときに、その突出した第１エレメント用線材Ｗ１又は第２エレメント用線材Ｗ２を容易に且つ確実に切断することができる。なお、本実施形態において、第１及び第２線材案内孔５２ａ，５２ｂが形成されている形成領域とは、第１線材案内孔５２ａの最も前方の位置から、第２線材案内孔５２ｂの最も後方の位置までの領域を言う。

　カッティングダイ２の前方には、フォーミングダイ４がカッティングダイ２に隣接して配されている。このフォーミングダイ４は、エレメント素子を載置するとともに、フォーミングパンチ５と協働してエレメント素子を押圧成形してファスナーエレメントＥを形成する所定の形状を備えている。

　製造装置１の架台８には、メインシャフト３０の回転により上端位置と下端位置とに亘って上下方向に下降及び昇降を繰り返すように往復動する第２ラム４２が、架台８に対して摺動可能に取り付けられている。特に、この第２ラム４２は、架台８に固定されたカッティングパンチ３の上方側に、第１ラム４０の前後方向の往復動に対し直交する上下方向に沿って昇降可能に配されている。

　また、第２ラム４２の内部には、後述する第２ラム駆動用カム従節機構４３の付勢部材（圧縮ばね）４２ａが収容されており、この付勢部材４２ａによって、第２ラム４２は上方に向けて付勢された状態で上端位置に保持されている。また、後述する第２ラム駆動用カム従節機構４３により下降させた第２ラム４２を、元の上端位置に上昇させて復帰させることもできる。

　この第２ラム４２の前面には、パンチホルダ４２ｂを介して、エレメント素子に押圧成形を行うフォーミングパンチ５が固定されており、このフォーミングパンチ５は第２ラム４２とともに上下方向に昇降可能に配されている。また、第２ラム４２には、エレメント素子の押圧成形時にエレメント素子の一部（脚部）を上から押える押えパッド部５ａが、上下動自在に保持されており、この押えパッド部５ａは、第２ラム４２の上端部に固定された板ばね５ｂによって、下方に向けて付勢されている。

　メインシャフト３０は、第２ラム駆動用カム（フォーミングパンチ駆動用カム）３２を、第１ラム駆動用カム（カッティングダイ駆動用カム）３１の左右両側に有しており、これらの第２ラム駆動用カム３２と第２ラム４２とが、第２ラム駆動用カム従節機構４３を介して接続されている。

　この第２ラム駆動用カム従節機構４３は、第２ラム駆動用カム３２に転接する左右一対の第２ローラ４３ｃと、これらの第２ローラ４３ｃを一端部（後端部）に軸支するとともに中央部が製造装置１の架台８に軸着されたレバー部４３ａと、このレバー部４３ａの他端部（前端部）に取着され、第２ラム４２の頭部に当接する当接ピン４３ｄと、レバー部４３ａの一端部（後端部）を下方に向けて付勢する付勢部材（バネ部材）４３ｂとを有している。

　レバー部４３ａは、架台８に軸着された軸部を中心に、上下に揺動可能に保持されているとともに、バネ部材４３ｂによって後端部が下方に付勢されている。それにより、当該レバー部４３ａの後端部に軸支した一対の第２ローラ４３ｃを、第２ラム駆動用カム３２に向けてそれぞれ押し付けている。

　従って、第２ラム駆動用カム３２がメインシャフト３０とともに回転することによって、第２ラム駆動用カム３２のカム形状に従って、第２ローラ４３ｃとレバー部４３ａの後端部とが、バネ部材４３ｂの付勢力に抗して押し上げられると同時に、レバー部４３ａの前端部と当接ピン４３ｄとを下降させることができる。これによって、当接ピン４３ｄが当接する第２ラム４２とフォーミングパンチ５とを押し下げて、そのフォーミングパンチ５でエレメント素子の押圧成形を行うことができる。

　またこのとき、第２ラム４２及びフォーミングパンチ５とともに押えパッド部５ａも下降するものの、この押えパッド部５ａは、第２ラム４２に上下動自在に保持されているため、エレメント素子の一部（脚部）に当接した後は、第２ラム４２に対して相対的に上昇するとともに、第２ラム４２の上端部に固定された板ばね５ｂの付勢力によって、当該エレメント素子の一部（脚部）を上方から押さえる働きをする。

　製造装置１の架台８には、メインシャフト３０の回転により前端位置と後端位置とに亘って前後方向に前進及び後退を繰り返すように往復動する第３ラム４４が、架台８に対して摺動可能に取り付けられており、この第３ラム４４が往復動することにより、左右一対の加締めパンチ６と左右一対の面取りパンチ７とを作動させることができる。

　この場合、この第３ラム４４は、第１ラム４０の下方側に配されているとともに、第３ラム接続機構４５を介してメインシャフト３０に接続（連結）されている。また、一対の加締めパンチ６と一対の面取りパンチ７とは、ファスナーエレメントＥに接近した加工位置と、ファスナーエレメントＥから離間した待機位置との間を移動可能で、且つ、第１ラム４０とともに前後方向に移動可能に保持されている。

　第３ラム接続機構４５は、メインシャフト３０と略平行に配された回転軸４５ａと、回転軸４５ａにメインシャフト３０の回転を伝達する図示しないタイミングベルトと、回転軸４５ａに偏心した状態で取り付けられた駆動レバー部４５ｃとを有しており、この第３ラム接続機構４５の駆動レバー部４５ｃが、第３ラム４４の後端部にピン４５ｄを介して連結されている。

　この第３ラム接続機構４５では、メインシャフト３０の回転により、駆動レバー部４５ｃが回転軸４５ａの周りを偏心運動し、それによって、駆動レバー部４５ｃに連結されている第３ラム４４を前後方向に往復動させることができる。

　第３ラム４４の前端部の左右側面部には、左右一対の加締用カム４６と、左右一対の面取り用カム４７とが配されている。左右一対の加締用カム４６は、後端部の外側面部に形成されたカム面を有するとともに、左右一対の加締用カム従節機構４８を介して一対の加締めパンチ６に接続されている。

　加締用カム従節機構４８は、製造装置１の架台８にピン４８ａを介して左右方向に揺動自在に取り付けられた加締用レバー部４８ｂと、加締用レバー部４８ｂの下端部に取り付けられたカム受けローラ４８ｃとを有しており、カム受けローラ４８ｃは、加締用カム４６のカム面に弾接している。

　従って、本実施形態における一対の加締用カム４６は、第３ラム４４が前後方向に往復動することにより、当該加締用カム４６のカム面に沿ってカム受けローラ４８ｃを左右方向に移動させて、加締用レバー部４８ｂを揺動させることができる。この加締用レバー部４８ｂの揺動により一対の加締めパンチ６を加工位置と待機位置との間で移動させ、当該加締めパンチ６がファスナーエレメントＥをファスナーテープＴに加締めて植え付けるように作動させることができる。

　左右一対の面取り用カム４７は、後端部の外側面部に形成されたカム面を有するとともに、左右一対の面取り用カム従節機構４９を介して一対の面取りパンチ７に接続されている。面取り用カム従節機構４９は、製造装置１の架台８にピンを介して左右方向に揺動自在に取り付けられた面取り用レバー部４９ｂを備える。また、面取り用カム従節機構４９は、面取り用レバー部４９ｂの下端部に取り付けられたカム受けローラ４９ｃを有しており、カム受けローラ４９ｃは、面取り用カム４７のカム面に弾接している。

　従って、本実施形態における一対の面取り用カム４７は、第３ラム４４が前後方向に往復動することにより、当該面取り用カム４７のカム面に沿ってカム受けローラ４９ｃを左右方向に移動させて、面取り用レバー部４９ｂを揺動させることができる。この面取り用レバー部４９ｂの揺動により一対の面取りパンチ７を加工位置と待機位置との間で移動させ、当該面取りパンチ７がファスナーエレメントＥに面取り加工を行うように作動させることができる。

　また本実施形態において、一対の加締めパンチ６は、フォーミングダイ４の両側で、且つ、一対の面取りパンチ７の下方側に配されている。また、一対の加締めパンチ６は、例えばカッティングダイ２の往復方向に対して斜めに設けられている。また、一対の加締めパンチ６は、加締用レバー部４８ｂで押圧して加締めパンチ６を加工位置に移動させたときに、加締めパンチ６の先端加工部がフォーミングダイ４上のファスナーエレメントＥと略同じ高さに位置するように構成されている。

　一方、一対の面取りパンチ７は、フォーミングダイ４の両側に配されている。また、一対の面取りパンチ７は、当該面取りパンチ７の先端加工部を加工位置に移動させたときに、加締めパンチ６の先端加工部よりもファスナーテープＴに対するファスナーエレメントＥの取付けピッチの大きさだけ上方に位置するように構成されている。

　本実施形態の線材供給部は、第１エレメント用線材Ｗ１をカッティングダイ２に向けて供給する第１供給ユニット部１０ａと、第２エレメント用線材Ｗ２をカッティングダイ２に向けて供給する第２供給ユニット部１０ｂと、第１供給ユニット部１０ａ及び第２供給ユニット部１０ｂの稼動を制御する図示しない制御部とを有している。

　この場合、第１供給ユニット部１０ａと第２供給ユニット部１０ｂとは、互いに左右対称的に配されており、実質的には同様に構成されている。従って、ここでは、第１供給ユニット部１０ａの構成について主に説明することとし、第２供給ユニット部１０ｂの構成については、第１供給ユニット部１０ａと対応する符号を用いて表すことによって、その説明を省略することとする。

　本実施形態の第１供給ユニット部１０ａは、一対の供給ローラ（供給ローラ対）１１を有している。この供給ローラ１１は、メインシャフト３０の回転により間欠的に回転する線材送りローラ１１ａと、線材送りローラ１１ａに従動して回転するガイドローラ１１ｂとにより構成されている。この線材送りローラ１１ａとガイドローラ１１ｂとが、第１エレメント用線材Ｗ１を挟持しながら回転することによって、当該第１エレメント用線材Ｗ１をカッティングダイ２に向けて間欠的に搬送することができる。

　特に本実施形態では、第１供給ユニット部１０ａの一対の供給ローラ１１と、第２供給ユニット部１０ｂの一対の供給ローラ１１とは、カッティングダイ２に形成された第１及び第２線材案内孔５２ａ，５２ｂの下方に、左右に並べられた状態で配されている。

　この場合、カッティングダイ２の第１及び第２線材案内孔５２ａ，５２ｂの高さ位置と、第１及び第２供給ユニット部１０ａ，１０ｂの供給ローラ１１の高さ位置とは離れているため、第１及び第２エレメント用線材Ｗ１，Ｗ２が、第１及び第２供給ユニット部１０ａ，１０ｂの供給ローラ１１からカッティングダイ２の第１及び第２線材案内孔５２ａ，５２ｂにそれぞれ供給する際に、図２に示したように、第１及び第２エレメント用線材Ｗ１，Ｗ２を湾曲させるための十分な距離を確保することができる。

　このため、カッティングダイ２の第１及び第２線材案内孔５２ａ，５２ｂの真下には、第１及び第２供給ユニット部１０ａ，１０ｂの供給ローラ１１がそれぞれ配されていなくても、第１及び第２供給ユニット部１０ａ，１０ｂの供給ローラ１１によって、第１及び第２エレメント用線材Ｗ１，Ｗ２を、カッティングダイ２の第１及び第２線材案内孔５２ａ，５２ｂに向けて、それぞれ円滑に供給することができる。

　なお、本実施形態では、第１及び第２エレメント用線材Ｗ１，Ｗ２を、より円滑にカッティングダイ２の第１及び第２線材案内孔５２ａ，５２ｂに供給するために、例えば、第１及び第２供給ユニット部１０ａ，１０ｂの供給ローラ１１とカッティングダイ２との間に、線材Ｗの搬送をガイドするガイド部を設けることも可能である。

　メインシャフト３０は線材送り用カム３３を有しており、この線材送り用カム３３と、供給ローラ１１の線材送りローラ１１ａとが、伝達部となる線材送り用カム従節機構１６を介して接続されている。

　線材送り用カム従節機構１６は、線材送りローラ１１ａが一端部に固定された伝達軸１３と、伝達軸１３の他端部に固定されるとともに一方向に回転するラチエットホイール１４と、ラチエットホイール１４に係合・離脱してラチエットホイール１４を回転させるラチエット爪１５と、ラチエット爪１５が一端部に取着されたスライダー１８と、スライダー１８を往復動可能に保持する保持体１７と、スライダー１８を付勢するスライダー付勢部材（バネ部材）１６ａと、スライダー１８の他端部に軸着されるとともに線材送り用カム３３に転接する第３ローラ１９とを有する。

　保持体１７は、図５に示したように、製造装置１の架台８に固定され、スライダー１８を収容する収容空間部を備える保持体基部１７ａと、保持体基部１７ａにスライダー１８を収容した後に保持体基部１７ａ及びスライダー１８に被せるように取り付けるカバー部１７ｂと、保持体基部１７ａ及びカバー部１７ｂによって形成されるガイド溝部１７ｃと、保持体基部１７ａの収容空間部に設けられ、スライダー付勢部材１６ａを保持するバネ保持部１７ｄとを有する。

　この保持体１７に摺動可能に保持されるスライダー１８は、スライダー本体部１８ｅと、スライダー本体部１８ｅに設けられ、スライダー付勢部材１６ａの付勢力を受けるバネ受け部１８ａと、スライダー本体部１８ｅの一端部（下端部）に設けられた爪挿入溝部１８ｂと、スライダー本体部１８ｅの他端部（上端部）に設けられ、第３ローラ１９を回転可能に保持するローラ保持部１８ｆとを有している。このスライダー１８は、スライダー本体部１８ｅの一部を保持体１７のガイド溝部１７ｃに摺接させた状態で保持体１７の収容空間部内に保持されている。

　また、保持体基部１７ａのバネ保持部１７ｄとスライダー１８のバネ受け部１８ａとの間には、スライダー付勢部材（バネ部材）１６ａが圧縮された状態で配されており、このスライダー付勢部材１６ａによって、スライダー１８が、保持体１７に対してメインシャフト３０側（上方側）に向けて付勢された状態が維持され、スライダー１８の他端部（上端部）に保持した第３ローラ１９を、メインシャフト３０の線材送り用カム３３のカム面に押し付けて弾接させることができる。

　従って、線材送り用カム３３がメインシャフト３０とともに回転することによって、第３ローラ１９を介してスライダー１８を往復動させることができる。この場合、線材送り用カム３３のメインシャフト３０から最も離れたカム面の部分（最高部）が第３ローラ１９に接するときが、スライダー１８がスライダー付勢部材１６ａの付勢力に抗して最も前進する往動ストロークエンド位置に移動する。また一方、線材送り用カム３３のメインシャフト３０から最も近いカム面の部分（最低部）が第３ローラ１９に接するときが、スライダー１８がスライダー付勢部材１６ａにより付勢されて最も後退する復動ストロークエンド位置に移動する。

　ラチエット爪１５は、スライダー１８の爪挿入溝部１８ｂに挿入された状態で、ピン１８ｃによって揺動可能に軸支されているとともに、爪挿入溝部１８ｂの溝底部に配されたバネ部材１８ｄによって、ラチエットホイール１４側に押し付けられるように付勢されている。

　これによって、ラチエット爪１５の尖端部をラチエットホイール１４の歯に係合させた状態を保持することができる。更に、ラチエット爪１５がラチエットホイール１４に係合した状態でスライダー１８が往動することによって、ラチエット爪１５もラチエットホイール１４の歯に係合した状態でスライダー１８とともに前進するため、ラチエットホイール１４を１歯分となる所定の回転角度だけ確実に送り方向に回転させることができる。

　そして、ラチエットホイール１４の回転後にスライダー１８が復動することによって、ラチエット爪１５がピン１８ｃを中心にして揺動し、ラチエットホイール１４の歯を乗り越えながらスライダー１８とともに後退する。このため、ラチエットホイール１４を一定以上回転させることなく、ラチエット爪１５をラチエットホイール１４の次の歯に係合させることができる。

　これによって、伝達軸１３を間欠的に回転させるとともに、供給ローラ１１も所定の回転量で間欠的に回転させることが可能となる。このため、供給ローラ１１で、第１又は第２エレメント用線材Ｗ１，Ｗ２を予め設定した供給量で安定して供給することが可能となる。

　また、本実施形態では、メインシャフト３０及び線材送り用カム３３の回転による駆動力が、スライダー１８及びラチエット爪１５を介してラチエットホイール１４及び供給ローラ１１に伝達することを停止させるストッパー部９が設けられている。このストッパー部９が作動することによって、線材送り用カム３３がメインシャフト３０とともに回転しても、ラチエットホイール１４を回転させないようにして、供給ローラ１１による第１エレメント用線材Ｗ１の送り動作を停止させることができる。

　このストッパー部９は、移動機構６０と、移動機構６０により保持位置と保持解除位置との間を移動するストッパー部材７０とを有している。また、移動機構６０は、ハウジング６１と、このハウジング６１に取り付けられたロータリソレノイドとを有しており、ハウジング６１は円形の凹陥部６３を有したハウジング本体６１ａと、ハウジング本体６１ａに着脱可能な蓋状の図示しないプレートとを備えている。

　ハウジング本体６１ａの凹陥部６３内には、ロータリソレノイドの出力軸６２が突出しており、この出力軸６２にはレバー部６４が固定されている。また、レバー部６４とストッパー部材７０とは、連結杆６５を介して連結されている。

　更に、ハウジング本体６１ａには、レバー部６４を当接させてレバー部６４の姿勢を保持する第１当接部６６と第２当接部６７とが、ハウジング本体６１ａの凹陥部６３内に突出した状態で固定されている。この場合、レバー部６４が上方側に配された第１当接部６６に当接したときのレバー部６４の姿勢がスライダー保持姿勢となる。一方、レバー部６４が下方側に配された第２当接部６７に当接したときのレバー部６４の姿勢がスライダー保持解除姿勢となる。

　本実施形態のストッパー部材７０は、連結杆６５に連結されるストッパー本体部７１と、このストッパー本体部７１に対して摺動可能に保持される摺動部７２と、摺動部７２を付勢する付勢部材（バネ部材）７３と、ストッパー本体部７１の往復動をガイドするストッパーガイド部７４とを有している。この場合、摺動部７２は、付勢部材７３に所定の方向に付勢された状態でストッパー本体部７１に保持されている。また、ストッパーガイド部７４は、保持体１７に固定されている。

　また図５に示すように、スライダー１８の摺動部７２と対向する側面部には、摺動部７２の一部を挿入可能な段差部１８ｇが形成されている。この段差部１８ｇにおける摺動部７２の摺動方向と平行な壁面は、摺動部７２の一部が段差部１８ｇに挿入されたときに当該摺動部７２に当接してスライダー１８の復動を妨げる当接面となる。

　この段差部１８ｇの当接面は、スライダー１８が前述の往動ストロークエンド位置に移動したときに当該段差部１８ｇに摺動部７２の一部が円滑に挿入されるように、摺動部７２の下面と同一高さとなる位置に設定されている。また、段差部１８ｇの当接面は、スライダー１８が前述の復動ストロークエンド位置に移動したときには、摺動部７２の下面よりも上方側の位置に配されるように設定されている。

　このような本実施形態における第１供給ユニット部１０ａのストッパー部９において、ストッパー部材７０の摺動部７２は、例えばロータリソレノイドの出力軸６２が正回転して（図５における時計回り方向に回転して）、レバー部６４が上側の第１当接部６６に当接するスライダー保持姿勢で保持されることにより、ストッパー部材７０のストッパー本体部７１が最も前進した位置に移動し、その前進位置で保持される。

　このとき、スライダー１８が復動ストロークエンド位置寄りのときには、摺動部７２の先端面がスライダー１８の側面部に押し付けられるとともに、摺動部７２を付勢する付勢部材が撓み変形し、圧縮された状態で保持される。

　またその後、スライダー１８が、メインシャフト３０及び線材送り用カム３３の回転により往動ストロークエンド位置まで前進することによって、スライダー１８における段差部１８ｇの当接面は、摺動部７２の下面と同一高さとなる位置に移動する。このとき、摺動部７２が付勢部材によって付勢されてスライダー１８の段差部１８ｇに進入し、更に段差部１８ｇの当接面に当接する。

　それにより、スライダー１８の復動が摺動部７２により規制されるとともに、スライダー１８が、スライダー付勢部材１６ａの付勢力に抗して、往動ストロークエンド位置で停止した状態で保持される。その結果、スライダー１８の他端部に保持された第３ローラ１９が、スライダー付勢部材１６ａの付勢力によって線材送り用カム３３に押し付けられなくなるため、スライダー１８の往復動、及びラチエットホイール１４の回転が停止して、供給ローラ１１による第１エレメント用線材Ｗ１の送り動作を止めることができる。

　一方、ストッパー部材７０の摺動部７２は、例えばロータリソレノイドの出力軸６２が逆回転して（図５における反時計回り方向に回転して）、レバー部６４が下側の第２当接部６７に当接するスライダー保持解除姿勢で保持されることにより、ストッパー部材７０のストッパー本体部７１が最も後退した位置に移動し、その後退位置で保持される。

　それにより、スライダー１８の段差部１８ｇに挿入されていた摺動部７２は、当該段差部１８ｇから抜脱してスライダー１８の側面部から離間するため、摺動部７２によるスライダー１８の復動の規制が解除される。その結果、スライダー付勢部材１６ａの付勢力によって、スライダー１８の上端部に保持された第３ローラ１９を線材送り用カム３３のカム面に押し付けることができるため、線材送り用カム３３の回転によってスライダー１８を円滑に往復動させ、供給ローラ１１による第１エレメント用線材Ｗ１の送り動作を再開させることができる。

　なお本実施形態の第１供給ユニット部１０ａにおいて、上述したように、ロータリソレノイドの出力軸６２が正回転する回転方向は、図５における時計回り方向になり、出力軸６２が逆回転する回転方向は、図５における反時計回り方向になる。これに対して、第２供給ユニット部１０ｂは、第１供給ユニット部１０ａに対して左右対称的に配されているため、ロータリソレノイドの出力軸６２が正回転する回転方向は、図５と同じ方向で第２供給ユニット部１０ｂの断面を見た場合の反時計回り方向となり、出力軸６２が逆回転する回転方向は、時計回り方向となる。

　また、本実施形態の製造装置１は、図５に示すように、メインシャフト３０の回転を検出する回転センサー８０を備えている。この回転センサー８０は、保持体１７にブラケット８１を介して取り付けられたセンサー部８２と、メインシャフト３０に取り付けられた回転子８３とを有しており、回転子８３が回転したことをセンサー部８２が感知することによって、メインシャフト３０の回転角度と回転数を検出することができる。また、この回転センサー８０の検出信号は、制御部に入力される。

　また、制御部は、図６に示したように、第１供給ユニット部１０ａのラチエットホイール１４及び第１供給ユニット部１０ａのロータリソレノイドと、第２供給ユニット部１０ｂのラチエットホイール１４及び第２供給ユニット部１０ｂのロータリソレノイドとに接続されており、第１及び第２供給ユニット部１０ａ，１０ｂのラチエットホイール１４の回転角度や回転数が制御部に入力されるとともに、制御部で第１及び第２供給ユニット部１０ａ，１０ｂのロータリソレノイドの稼動を制御するように構成されている。

　更に、制御部には、ファスナーテープＴに連続して取り付けるファスナーエレメントＥの個数、ファスナーエレメントＥを取り付けることなくファスナーテープＴを送るテープ長さ、線材送り用カム３３の高部と低部の間の中間部が第３ローラ１９に接するときのメインシャフト３０の回転角度位置などが予め設定されている。また、制御部には、第１エレメント用線材Ｗ１から得られるファスナーエレメントＥ（第１ファスナーエレメントＥ１）と、第２エレメント用線材Ｗ２から得られるファスナーエレメントＥ（第２ファスナーエレメントＥ２）とをファスナーテープＴに取り付ける順番なども予め設定されている。

　従って、制御部では、例えば回転センサー８０から入力されたメインシャフト３０の回転数が、予め設定したファスナーエレメントＥの取り付け個数と一致し、更に、メインシャフト３０の回転角度位置に見合う回転角度が入力されたときには、第１及び第２供給ユニット部１０ａ，１０ｂのロータリソレノイドに対して正回転の指令を出力する。これによって、第１及び第２供給ユニット部１０ａ，１０ｂのロータリソレノイドの出力軸６２が正回転し、ストッパー部材７０のストッパー本体部７１を前進させてスライダー１８の往復動を停止させることができる。

　それにより、メインシャフト３０が回転していても、供給ローラ１１による第１及び第２エレメント用線材Ｗ１，Ｗ２の送り動作が停止するため、ファスナーテープＴは送り出されるものの、そのファスナーテープＴに対しては、第１ファスナーエレメントＥ１及び第２ファスナーエレメントＥ２の植え付けが行われなくなる。このため、製造されるファスナーストリンガーＳに、第１ファスナーエレメントＥ１も第２ファスナーエレメントＥ２も取り付けられていないスペース部を容易に形成することが可能となる。

　一方、ロータリソレノイドの出力軸６２を正回転させた後に、回転センサー８０から制御部に入力されたメインシャフト３０の回転数が、ファスナーエレメントＥを取り付けることなくファスナーテープＴを送るテープ長さに対応する回転数と一致したら、制御部は第１供給ユニット部１０ａ又は第２供給ユニット部１０ｂのロータリソレノイドに対して逆回転の指令を出力する。これによって、第１供給ユニット部１０ａ又は第２供給ユニット部１０ｂのロータリソレノイドの出力軸６２が逆回転して、ストッパー部材７０のストッパー本体部７１を後退させることができるため、スライダー１８の往復動を再開させて、第１ファスナーエレメントＥ１又は第２ファスナーエレメントＥ２をファスナーテープＴに順次植え付けていくことが可能となる。

　ここで、制御部では、第1供給ユニット部１０ａ又は第２供給ユニット部１０ｂのロータリソレノイドに対して同時に逆回転の指令を出力ができないように設定されている。つまり、本実施形態では、一方の供給ユニット部が線材Ｗを供給している間は、他方の供給ユニット部が他の線材Wを供給できないように制御部で制御している。

　なお、本実施形態では、ストッパー部９にロータリソレノイドを用いてストッパー部材７０の摺動部７２を進退させることによって、スライダー１８を往復動させることと、スライダー１８の往復動を停止させることとを切り換えているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばロータリソレノイドの代わりに、直動型のソレノイド又はシリンダーでストッパー部材７０の摺動部７２を進退させることや、直動型のソレノイド又はシリンダーをスライダー１８に直接作用させることなどによって、スライダー１８を往復動させることと、スライダー１８の往復動を停止させることとを切り換えることも可能である。

　本実施形態のテープ供給部２０は、メインシャフト３０の回転により間欠的に回転するテープ供給ローラ２１と、テープ供給ローラ２１との間でファスナーストリンガーＳを挟持する加圧ローラ２２とを有し、これらのテープ供給ローラ２１及び加圧ローラ２２は、製造装置１の加締め部及び面取り部よりもファスナーテープＴの搬送方向の下流側に配されている。

　従って、このテープ供給部２０では、テープ供給ローラ２１が間欠的に回転することにより、ファスナーストリンガーＳを下流側に向けて間欠的に送り出すことができ、それに伴って、ファスナーテープＴを、製造装置１の加締め部及び面取り部に向けて間欠的に供給することが可能となる。また本実施形態の加締め部には、ファスナーテープＴが所定の搬送路に沿って間欠的に搬送されるように、加締めパンチ６の配設位置に対応する位置にテープガイド部２５が設けられている。

　テープ供給部２０のテープ供給ローラ２１は、図示せぬ一方向クラッチが中間部に介装された伝達軸２３の一端部に固定されている。また、メインシャフト３０は、テープ送り用カム３４を有しており、このテープ送り用カム３４と、テープ供給ローラ２１の伝達軸２３とが、テープ送り用カム従節機構２４を介して接続されている。

　テープ送り用カム従節機構２４は、製造装置１の架台８に揺動可能に取り付けられた第１レバー部２４ａと、この第１レバー部２４ａの一端部に軸支され、テープ送り用カム３４に転接する第４ローラ２４ｂと、第１レバー部２４ａの他端部に軸支された第５ローラ２４ｃと、伝達軸２３の他端部に固定された第２レバー部２４ｄと、第２レバー部２４ｄを付勢する付勢部材（引張りバネ部材）２４ｅとを有する。

　この場合、付勢部材２４ｅは、第２レバー部２４ｄを第５ローラ２４ｃに押し付けるように上方に向けて付勢している。また、第２レバー部２４ｄが第５ローラ２４ｃに押し付けられていることにより、第１レバー部２４ａも第２レバー部２４ｄを介して付勢部材２４ｅの付勢力を受けて、第４ローラ２４ｂをテープ送り用カム３４に押し付けることができる。

　従って、テープ送り用カム従節機構２４では、テープ送り用カム３４がメインシャフト３０とともに一方の方向に回転することにより、テープ送り用カム３４のカム形状に従って第１レバー部２４ａが揺動し、更に、その第１レバー部２４ａの揺動によって第５ローラ２４ｃで第２レバー部２４ｄを揺動させる。これにより、一方向クラッチが介装された伝達軸２３を回転させて、テープ供給ローラ２１を一方向のみに間欠的に回転させることができ、それによって、ファスナーストリンガーＳを下流側に送り出すことが可能となる。

　また、本実施形態の製造装置１は、前述のように、カッティングダイ２とフォーミングダイ４を往復動させる第１ラム４０、フォーミングパンチ５を昇降させる第２ラム４２、加締めパンチ６と面取りパンチ７を移動させる第３ラム４４、第１エレメント用線材Ｗ１及び第２エレメント用線材Ｗ２をそれぞれ送り出す各供給ローラ１１、ファスナーストリンガーＳを送ることでファスナーテープＴの供給を行うテープ供給ローラ２１が、単一のメインシャフト３０が回転することによってそれぞれ動作するように構成されている。このため、これらの各動作部が動作するタイミングを容易に合わせて効率的にファスナーストリンガーＳを製造することが可能となるとともに、製造装置１全体を一体的に構成して省スペース化を図ることができる。

　次に、上述した製造装置１を用いて、第１エレメント用線材Ｗ１及び第２エレメント用線材Ｗ２からファスナーエレメントＥを形成してファスナーテープＴに順次取り付けることによってファスナーストリンガーＳを製造する方法について説明する。

　特に、本実施形態では、第１エレメント用線材Ｗ１から形成された第１ファスナーエレメントＥ１と、第２エレメント用線材Ｗ２から形成された第２ファスナーエレメントＥ２とをファスナーテープＴに交互に植え付けてファスナーストリンガーＳを製造する場合について説明する。

　先ず、準備工程として、第１エレメント用線材Ｗ１と第２エレメント用線材Ｗ２とを用意する。本実施形態にて用意する第１エレメント用線材Ｗ１及び第２エレメント用線材Ｗ２は、互いに同じ材質で構成され、且つ、外表面の色彩が異なる線材Ｗから作製されている。

　この場合、第１エレメント用線材Ｗ１と第２エレメント用線材Ｗ２は、アルミニウム又はアルミニウム合金により構成されている。また、第１エレメント用線材Ｗ１と第２エレメント用線材Ｗ２にそれぞれ陽極酸化処理による着色を別々に行って、線材Ｗの外表面に所望の色の陽極酸化皮膜（アルマイト被膜）を均一に形成することによって、外表面がそれぞれ所望の異なる色彩を呈する第１及び第２エレメント用線材Ｗ１，Ｗ２を得ることができる。

　なおこの場合、後述するように第１及び第２エレメント用線材Ｗ１，Ｗ２を切断して第１及び第２ファスナーエレメントＥ１，Ｅ２を形成したときに、第１及び第２ファスナーエレメントＥ１，Ｅ２の切断面となるエレメント上面とエレメント下面には陽極酸化皮膜が形成されてないため、エレメント上面とエレメント下面は、アルミニウム又はアルミニウム合金自体の色を呈することになる。すなわち、第１及び第２ファスナーエレメントＥ１，Ｅ２におけるエレメント上面及び下面と、エレメント上面及び下面以外の陽極酸化皮膜が形成されている外表面とは、異なる外観を呈する。

　また、本発明において、エレメント用線材Ｗの材質やエレメント用線材Ｗへの色の付け方は特に限定されるものではなく、例えば、第１及び第２エレメント用線材Ｗ１，Ｗ２を銅合金で構成するとともに、その銅合金製の第１及び第２エレメント用線材Ｗ１，Ｗ２を所望の色に塗装することや、所望の色に鍍金処理することによって、外表面が所望の色彩を呈する第１及び第２エレメント用線材Ｗ１，Ｗ２を得ることも可能である。また、第１及び第２エレメント用線材Ｗ１，Ｗ２を、互いに組成の異なる銅合金で構成することも可能である。

　本実施形態の製造方法では、先ず、供給手段となる第１及び第２供給ユニット部１０ａ，１０ｂを制御して、用意した第１エレメント用線材Ｗ１と第２エレメント用線材Ｗ２のうちの何れか一方を所定のピッチで間欠的に供給する供給工程が行われる。

　この供給工程では、第１ラム４０が前端位置で停止している状態において、線材供給部の制御部が、予め設定されている順番に従って、第１及び第２供給ユニット部１０ａ，１０ｂのロータリソレノイドの稼動を制御し、それによって、第１エレメント用線材Ｗ１と第２エレメント用線材Ｗ２のうちの何れか一方（この場合は、第２エレメント用線材Ｗ２）を、カッティングダイ２の摺接面上にファスナーエレメントＥの厚さ分だけ突出させる。

　なお、上述のように第１ラム４０が前端位置で停止している状態では、先に形成されたファスナーエレメントＥ（すなわち、第１ファスナーエレメントＥ１）のファスナーテープＴに対する植え付けは完了しており、一対の加締めパンチ６と一対の面取りパンチ７とが、ファスナーテープＴに植え付けられたファスナーエレメントＥから離れている。

　ここで、第１エレメント用線材Ｗ１と第２エレメント用線材Ｗ２のうちの何れか一方を突出させる方法についてより具体的に説明する。
　例えば制御部に予め設定されている順番に従って、第２エレメント用線材Ｗ２から第２ファスナーエレメントＥ２を形成してファスナーテープＴに取り付ける場合、制御部は、第２供給ユニット部１０ｂのロータリソレノイドの稼動を制御して、当該ロータリソレノイドの出力軸６２を時計回り方向に逆回転させる。そして、第２供給ユニット部１０ｂのスライダー１８を円滑に往復動させて供給ローラ１１を所定の回転角度で回転させて第２エレメント用線材Ｗ２を所定の供給量で供給する。それにより、第２エレメント用線材Ｗ２を、図７に示したように、カッティングダイ２の摺接面上にファスナーエレメントＥの厚さ分だけ突出させることができる。

　またほぼ同時に、制御部は、第１供給ユニット部１０ａのロータリソレノイドの稼動を制御して、当該ロータリソレノイドの図５に示した出力軸６２を時計回り方向に正回転させる。そして、スライダー１８の往復、及びラチエットホイール１４の回転を停止させる。それにより、第１供給ユニット部１０ａの供給ローラ１１による第１エレメント用線材Ｗ１の送り動作を止めることができる。このため、第１エレメント用線材Ｗ１がカッティングダイ２の摺接面上に突出することはない。

　なお、前述したように、第１供給ユニット部１０ａと第２供給ユニット部１０ｂとは互いに左右対称的に配されているため、ロータリソレノイドの出力軸６２の正回転及び逆回転する回転方向は、第１供給ユニット部１０ａと第２供給ユニット部１０ｂとの間で反対向きとなる。

　第２エレメント用線材Ｗ２を図７に示したようにカッティングダイ２の摺接面上に突出させた後、第１ラム駆動用カム３１がメインシャフト３０とともに一方の方向に回転することにより、第１ラム４０を後方に移動させる（後退させる）。これにより、架台８に固定されているカッティングパンチ３が、カッティングダイ２に対して相対的に前方に移動する（前進する）ため、切断手段であるカッティングパンチ３とカッティングダイ２とによって第２エレメント用線材Ｗ２を、摺接面上に突出した突出量の厚さで切断して第２エレメント素子を形成することができる。

　更に、第２エレメント用線材Ｗ２から切断された第２エレメント素子は、第１ラム４０が後端位置まで移動することによって、カッティングパンチ３で相対的にカッティングダイ２の前方に配されたフォーミングダイ４に誘導されて、フォーミングダイ４に載置される。

　第１ラム４０は、後端位置まで移動すると停止する。また、第１ラム４０が後端位置に停止している状態において、図８に示したように、フォーミングパンチ５が下降し、フォーミングダイ４に載置された第２エレメント素子に対して、成形手段であるフォーミングダイ４とフォーミングパンチ５とによって、山出し成形と呼ばれる押圧成形を行う。

　このような成形工程によって、第２エレメント素子に噛合頭部が形成されて、第２ファスナーエレメントＥ２を製造することができる。この製造された第２ファスナーエレメントＥ２は、ファスナーテープＴの図８に仮想線で示された位置に植え付けられる。この場合、第１ラム４０が後退し始めてから、第１ラム４０が前進して加締めパンチ６が動き出すまでの間に、ファスナーストリンガーＳがテープ供給ローラ２１によって引き上げられることによって、ファスナーテープＴが所定の長さで供給される。

　第２ファスナーエレメントＥ２の製造後、第１ラム４０が後端位置から前進するとともに、第１ラム４０の前進途中から、加締め手段である加締めパンチ６が動き出して、第２ファスナーエレメントＥ２の左右脚部を一対の加締めパンチ６で挟持する。

　更に、第１ラム４０が前端位置に移動することによって、フォーミングダイ４に載置されている第２ファスナーエレメントＥ２の左右脚部間にファスナーテープＴのテープ側縁部を挿入する。また同時に、加締めパンチ６が加工位置に移動して、当該加締めパンチ６で第２ファスナーエレメントＥ２の左右脚部を押圧して第２ファスナーエレメントＥ２をファスナーテープＴに加締める。これによって、第２ファスナーエレメントＥ２がファスナーテープＴに植え付けられて、植付工程が完了する。

　またこのとき、加締めパンチ６が作動するよりも前に、加締めパンチ６の上方に配された面取りパンチ７が作動を開始する。この面取りパンチ７により、加締めパンチ６による第２ファスナーエレメントＥ２の植え付けと同時に、ファスナーテープＴに先に植え付けられた先行のファスナーエレメントＥ（第１ファスナーエレメントＥ１）の一部を面取りする面取り加工が行われる。

　上述のようにして、第２ファスナーエレメントＥ２がファスナーテープＴに植え付けられている間、第１エレメント用線材Ｗ１を、カッティングダイ２の摺接面上にファスナーエレメントＥの厚さ分だけ突出させる。

　具体的には、制御部が、第１供給ユニット部１０ａのロータリソレノイドの稼動を制御して、当該ロータリソレノイドの図５に示した出力軸６２を反時計回り方向に逆回転させる。そして、第１供給ユニット部１０ａのスライダー１８を円滑に往復動させて供給ローラ１１を所定の回転角度で回転させて第１エレメント用線材Ｗ１を所定の供給量で供給する。それにより、第１エレメント用線材Ｗ１を、図９に示したように、カッティングダイ２の摺接面上にファスナーエレメントＥの厚さ分だけ突出させることができる。

　またほぼ同時に、制御部は、第２供給ユニット部１０ｂのロータリソレノイドの稼動を制御して、当該ロータリソレノイドの出力軸６２を反時計回り方向に正回転させる。そして、スライダー１８の往復、及びラチエットホイール１４の回転を停止させる。それにより、第２供給ユニット部１０ｂの供給ローラ１１による第２エレメント用線材Ｗ２の送り動作を止めることができる。このため、第２エレメント用線材Ｗ２がカッティングダイ２の摺接面上に突出することはない。

　このように、本実施形態では、制御部で第１及び第２供給ユニット部１０ａ，１０ｂを制御することにより、第１エレメント用線材Ｗ１と第２エレメント用線材Ｗ２とを、互いに異なる供給ルートを経由して、単一のカッティングダイ２の摺接面上に所定の順番で交互に突出させることができる。

　第１エレメント用線材Ｗ１をカッティングダイ２の摺接面上に突出させた後、図９に示したように、第１ラム４０を後退させることにより、カッティングパンチ３とカッティングダイ２とによって第１エレメント用線材Ｗ１を切断して第１エレメント素子を形成する。更に、形成された第１エレメント素子は、第１ラム４０が後端位置まで移動することによって、フォーミングダイ４に載置される。

　第１ラム４０が後端位置まで移動して停止した後、図１０に示したようにフォーミングパンチ５が下降し、フォーミングダイ４に載置された第１エレメント素子に対して、フォーミングダイ４とフォーミングパンチ５とによって押圧成形を行う。

　これによって、第１エレメント素子に噛合頭部が形成されて、第１ファスナーエレメントＥ１を製造することができる。この製造された第１ファスナーエレメントＥ１は、ファスナーテープＴの図１０に仮想線で示された位置に植え付けられる。この場合、第１ラム４０が後退し始めてから、第１ラム４０が前進して加締めパンチ６が動き出すまでの間に、ファスナーストリンガーＳがテープ供給ローラ２１によって引き上げられることによって、ファスナーテープＴが所定の長さで供給される。

　第１ファスナーエレメントＥ１の製造後、第１ラム４０が後端位置から前進するとともに加締めパンチ６が動き出して、第１ファスナーエレメントＥ１の左右脚部を一対の加締めパンチ６で挟持する。更に、第１ラム４０が前端位置に移動することによって、第１ファスナーエレメントＥ１の左右脚部間にファスナーテープＴのテープ側縁部を挿入する。また同時に、加締めパンチ６が加工位置に移動して、当該加締めパンチ６で第１ファスナーエレメントＥ１をファスナーテープＴに加締める。これによって、図１１に示したように、第１ファスナーエレメントＥ１が、第２ファスナーエレメントＥ２に続いてファスナーテープＴに植え付けられて、植付工程が完了する。

　またこのとき、加締めパンチ６の上方に配された面取りパンチ７も作動を開始し、加締めパンチ６による第１ファスナーエレメントＥ１の植え付けと同時に、ファスナーテープＴに先に植え付けられた先行の第２ファスナーエレメントＥ２に面取りパンチ７によって面取り加工が行われる。

　このように、本実施形態では、第１エレメント用線材Ｗ１又は第２エレメント用線材Ｗ２が異なる供給ルートでカッティングダイ２の摺接面上に突出させた後は、同じカッティングパンチ３及びカッティングダイ２、同じフォーミングダイ４及びフォーミングパンチ５、並びに、同じ加締めパンチ６を用いて、同一ルートを経由して第１ファスナーエレメントＥ１又は第２ファスナーエレメントＥ２がファスナーテープＴに植え付けられる。

　その後、上述した工程が連続して繰り返し行われることによって、図１２に示したように、外表面の色彩が互いに異なる第１ファスナーエレメントＥ１と第２ファスナーエレメントＥ２とがファスナーテープＴのテープ長さ方向に沿って交互に植え付けられたファスナーストリンガーＳを安定して製造することができる。

　このようにして製造された本実施形態のファスナーストリンガーＳは、連続するエレメント列内でファスナーエレメントＥの色彩（装飾）を所望の順番で容易に異ならせて、全体としてカラフルに構成されているため、例えば意匠性や高級感などが求められる製品用のスライドファスナーなどに好適に使用される。また、本実施形態のファスナーストリンガーＳは、例えば前記特許文献１に記載されている方法を用いて製造された金属エレメントの色彩が異なるファスナーストリンガーに比べて、安価に提供することが可能となる。

　なお、上述した実施形態では、外表面の色彩が互いに異なる２本の第１及び第２エレメント用線材Ｗ１，Ｗ２を用いて、色彩が互いに異なる第１ファスナーエレメントＥ１と第２ファスナーエレメントＥ２とをファスナーテープＴに交互に植え付けてファスナーストリンガーＳを製造する場合について説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、上述した実施形態とは異なる様々なタイプのファスナーストリンガーを製造することも可能である。

　例えば、線材供給部の制御部に設定する第１ファスナーエレメントＥ１と第２ファスナーエレメントＥ２とを植え付ける順番や植え付け個数を変更することによって、図１３に示したように、３つの第１ファスナーエレメントＥ１と２つの第２ファスナーエレメントＥ２とが交互に植え付けられたファスナーストリンガーＳを製造することができる。

　すなわち、本発明では、複数の第１ファスナーエレメントＥ１と複数の第２ファスナーエレメントＥ２とを交互にファスナーテープＴに植え付けてファスナーストリンガーを製造することや、第１ファスナーエレメントＥ１の植え付け個数と第２ファスナーエレメントＥ２の植え付け個数とを異ならせてファスナーストリンガーを製造することも可能である。

　また本発明では、例えば、線材供給部に具備させる供給ユニット部の数を増やすとともに、カッティングダイ２に形成される線材案内孔の数を増やして製造装置を構成し、当該製造装置により、互いに性質が異なる３本以上のエレメント用線材ＷからファスナーエレメントＥを形成してファスナーストリンガーＳを製造することも可能である。それにより、例えば図１４に示したように、三種類の金属製ファスナーエレメントＥが所定の順番で植え付けられたファスナーストリンガーＳを安定して且つ低コストで製造することもできる。

　更に本発明は、１つのファスナーストリンガーＳのエレメント列内でファスナーエレメントＥの種類を異ならせるだけでなく、例えば複数のファスナーストリンガーを連続的に製造する場合においては、各ファスナーストリンガー毎に、エレメント列を構成するファスナーエレメントＥの性質を異ならせることも可能である。これにより、例えば左右のファスナーストリンガー間でエレメント列の色が異なるスライドファスナーを構成することも可能となる。

　例えば図１５に示したように、複数のファスナーストリンガーＳを、ファスナーエレメントＥが植え付けられないスペース部９０を間に形成しながら連続的に製造する場合においては、各ファスナーストリンガーＳのエレメント列は単一の第１ファスナーエレメントＥ１又は第２ファスナーエレメントＥ２によって構成されているものの、エレメント列を構成するファスナーエレメントＥの性質（色彩）をファスナーストリンガーＳ毎に容易に異ならせることが可能である。なお、図１５に示した連続する複数のファスナーストリンガーＳは、スペース部９０の領域でファスナーテープＴを切断することにより、それぞれのファスナーストリンガーＳに分断される。

　更に、上述した実施形態では、外表面の色彩が互いに異なる２本の第１及び第２エレメント用線材Ｗ１，Ｗ２を用いて、互いに色彩が異なる第１ファスナーエレメントＥ１と第２ファスナーエレメントＥ２とをファスナーテープＴに植え付けることによってファスナーストリンガーＳを製造しているが、本発明では、外表面の色彩ではなく、材質が互いに異なる複数のエレメント用線材からファスナーエレメントを順次形成してファスナーテープに植え付けることによってファスナーストリンガーを製造することも可能である。

　なお、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲を超えない範囲であれば、多様な変更が可能である。

　　１　　　　　　製造装置
　　２　　　　　　カッティングダイ
　　３　　　　　　カッティングパンチ
　　４　　　　　　フォーミングダイ
　　５　　　　　　フォーミングパンチ
　　５ａ　　　　　押えパッド部
　　５ｂ　　　　　板ばね
　　６　　　　　　加締めパンチ
　　７　　　　　　面取りパンチ
　　８　　　　　　架台
　　９　　　　　　ストッパー部
　１０ａ　　　　　第１供給ユニット部
　１０ｂ　　　　　第２供給ユニット部
　１１　　　　　　一対の供給ローラ（供給ローラ対）
　１１ａ　　　　　線材送りローラ
　１１ｂ　　　　　ガイドローラ
　１３　　　　　　伝達軸
　１４　　　　　　ラチエットホイール
　１５　　　　　　ラチエット爪
　１６　　　　　　線材送り用カム従節機構
　１６ａ　　　　　スライダー付勢部材（バネ部材）
　１７　　　　　　保持体
　１７ａ　　　　　保持体基部
　１７ｂ　　　　　カバー部
　１７ｃ　　　　　ガイド溝部
　１７ｄ　　　　　バネ保持部
　１８　　　　　　スライダー
　１８ａ　　　　　バネ受け部
　１８ｂ　　　　　爪挿入溝部
　１８ｃ　　　　　ピン
　１８ｄ　　　　　バネ部材
　１８ｅ　　　　　スライダー本体部
　１８ｆ　　　　　ローラ保持部
　１８ｇ　　　　　段差部
　１９　　　　　　第３ローラ
　２０　　　　　　テープ供給部
　２１　　　　　　テープ供給ローラ
　２２　　　　　　加圧ローラ
　２３　　　　　　伝達軸
　２４　　　　　　テープ送り用カム従節機構
　２４ａ　　　　　第１レバー部
　２４ｂ　　　　　第４ローラ
　２４ｃ　　　　　第５ローラ
　２４ｄ　　　　　第２レバー部
　２４ｅ　　　　　付勢部材（引張りバネ部材）
　２５　　　　　　テープガイド部
　３０　　　　　　メインシャフト（主軸）
　３１　　　　　　第１ラム駆動用カム（カッティングダイ駆動用カム）
　３２　　　　　　第２ラム駆動用カム（フォーミングパンチ駆動用カム）
　３３　　　　　　線材送り用カム
　３４　　　　　　テープ送り用カム
　４０　　　　　　第１ラム
　４１　　　　　　第１ラム駆動用カム従節機構
　４１ａ　　　　　第１ローラ
　４２　　　　　　第２ラム
　４２ａ　　　　　付勢部材（圧縮ばね）
　４２ｂ　　　　　パンチホルダ
　４３　　　　　　第２ラム駆動用カム従節機構
　４３ａ　　　　　レバー部
　４３ｂ　　　　　付勢部材（バネ部材）
　４３ｃ　　　　　第２ローラ
　４３ｄ　　　　　当接ピン
　４４　　　　　　第３ラム
　４５　　　　　　第３ラム接続機構
　４５ａ　　　　　回転軸
　４５ｃ　　　　　駆動レバー部
　４５ｄ　　　　　ピン
　４６　　　　　　加締用カム
　４７　　　　　　面取り用カム
　４８　　　　　　加締用カム従節機構
　４８ａ　　　　　ピン
　４８ｂ　　　　　加締用レバー部
　４８ｃ　　　　　カム受けローラ
　４９　　　　　　面取り用カム従節機構
　４９ｂ　　　　　面取り用レバー部
　４９ｃ　　　　　カム受けローラ
　５１ａ　　　　　第１ダイ構成部
　５１ｂ　　　　　第２ダイ構成部
　５１ｃ　　　　　第３ダイ構成部
　５２ａ　　　　　第１線材案内孔
　５２ｂ　　　　　第２線材案内孔
　６０　　　　　　移動機構
　６１　　　　　　ハウジング
　６１ａ　　　　　ハウジング本体
　６２　　　　　　ロータリソレノイドの出力軸
　６３　　　　　　凹陥部
　６４　　　　　　レバー部
　６５　　　　　　連結杆
　６６　　　　　　第１当接部
　６７　　　　　　第２当接部
　７０　　　　　　ストッパー部材
　７１　　　　　　ストッパー本体部
　７２　　　　　　摺動部
　７３　　　　　　付勢部材（バネ部材）
　７４　　　　　　ストッパーガイド部
　８０　　　　　　回転センサー
　８１　　　　　　ブラケット
　８２　　　　　　センサー部
　８３　　　　　　回転子
　９０　　　　　　スペース部
　　Ｅ　　　　　　ファスナーエレメント
　　Ｅ１　　　　　第１ファスナーエレメント
　　Ｅ２　　　　　第２ファスナーエレメント
　　Ｓ　　　　　　ファスナーストリンガー
　　Ｔ　　　　　　ファスナーテープ
　　Ｗ　　　　　　エレメント用線材
　　Ｗ１　　　　　第１エレメント用線材
　　Ｗ２　　　　　第２エレメント用線材

Claims (11)

1. 　エレメント用線材(W) を所定のピッチで間欠的に供給する線材供給部と、ファスナーテープ(T) を所定のピッチで間欠的に供給するテープ供給部と、摺接面及び当該摺接面に開口する少なくとも１つの線材案内孔(52a,52b) を有するカッティングダイ(2) と、前記カッティングダイ(2) に対して前記摺接面に摺接しながら相対的に往復動可能に配され、前記カッティングダイ(2) の前記摺接面上に所定の厚さで突出する前記線材(W) を切断するカッティングパンチ(3) と、前記カッティングパンチ(3) により切断されたエレメント素子を載置するフォーミングダイ(4) と、前記フォーミングダイ(4) に対して昇降可能に配され、前記フォーミングダイ(4) に載置されたエレメント素子を押圧してファスナーエレメント(E) に成形するフォーミングパンチ(5) と、供給される前記ファスナーテープ(T) に前記ファスナーエレメント(E) を加締めて植え付ける加締め部とを備え、前記ファスナーテープ(T) に複数の前記ファスナーエレメント(E) を順次取着してファスナーストリンガー(S) を製造する製造装置であって、
   　前記線材供給部は、種類の異なる複数の前記線材(W) を、それぞれ別々の供給手段によって前記カッティングダイ(2) に向けて供給する複数の供給ユニット部(10a,10b) と、各供給ユニット部(10a,10b) による前記線材(W) の供給量を制御して、予め設定された順番に従って複数の前記線材(W) のうちの１つを前記カッティングダイ(2) の前記摺接面上に順次突出させる制御部とを有してなることを特徴とするファスナーストリンガーの製造装置。
2. 　前記供給手段は、前記線材(W) を狭持して回転することで、前記線材(W) を供給する一対の供給ローラ(11a,11b) を有し、前記一対の供給ローラ(11a,11b) の回転駆動を制御して予め設定した供給量で前記線材(W) を供給してなる請求項１記載のファスナーストリンガーの製造装置。
3. 　前記カッティングダイ(2) に、複数の前記線材案内孔(52a,52b) が、前記カッティングダイ(2) に対する前記カッティングパンチ(3) の往復方向に沿って整列して形成され、
   　前記カッティングパンチ(3) の相対的な前記往復動のストロークは、複数の前記線材案内孔(52a,52b) の開口が形成されている形成領域よりも大きく設定されてなる、
   請求項１又は２記載のファスナーストリンガーの製造装置。
4. 　各供給ユニット部(10a,10b) は、駆動部(30)と、前記駆動部(30)の駆動力を前記一対の供給ローラ(11a,11b) に伝達する伝達部(16)と、前記伝達部(16)による前記駆動力の伝達を止めるストッパー部(9) とを有し、
   　前記制御部は、前記ストッパー部(9) の稼動を制御してなる、
   請求項２記載のファスナーストリンガーの製造装置。
5. 　各供給ユニット部(10a,10b) の前記一対の供給ローラ(11a,11b) 、前記テープ供給部、前記カッティングダイ(2) 、前記フォーミングダイ(4) 、前記フォーミングパンチ(5) 、及び前記加締め部は、単一のメインシャフト(30)に接続されて駆動されてなる請求項２～４のいずれかに記載のファスナーストリンガーの製造装置。
6. 　複数の前記線材(W)は、互いに、同じ材質で構成され、且つ、外表面の色彩を異ならせてなる請求項１記載のファスナーストリンガーの製造装置。
7. 　エレメント用線材(W) を用意する準備工程と、前記線材(W) を所定のピッチで間欠的に供給する供給工程と、前記供給工程にて供給される前記線材(W) を、切断手段(2,3) により、前記線材(W) の供給量分の厚さで供給方向に対して直交する方向に切断してエレメント素子を形成する切断工程と、前記エレメント素子の切断面を成形手段(4,5) により押圧して噛合頭部を有するファスナーエレメント(E) に成形する成形工程と、所定のピッチで間欠的に供給されるファスナーテープ(T) に前記ファスナーエレメント(E) を加締め手段により加締めて植え付ける植付工程とを含み、前記ファスナーテープ(T) に複数の前記ファスナーエレメント(E) を順次取着してファスナーストリンガー(S) を製造する製造方法であって、
   　前記準備工程にて、種類の異なる複数の前記線材(W) を用意すること、及び、
   　前記供給工程にて、複数の前記線材(W) を別々に供給する複数の供給手段を制御し、予め設定された順番に従って複数の前記線材(W) のうちの１つを所定のピッチで供給すること、
   を含んでなることを特徴とするファスナーストリンガーの製造方法。
8. 　前記供給工程にて、種類の異なる複数の前記線材(W) を別々の供給手段によって、異なる供給ルートを経由して前記切断手段(2,3) に供給すること、及び、
   　前記切断工程、前記成形工程、及び前記植付工程にて、複数の前記線材(W) から切断された前記エレメント素子、及び前記エレメント素子から成形された前記ファスナーエレメント(E) を、同一の前記切断手段(2,3) 、前記成形手段(4,5) 、及び前記加締め手段を利用して、同一ルートを経由して加工すること、
   を含んでなる請求項７記載のファスナーストリンガーの製造方法。
9. 　ファスナーテープ(T) のテープ側縁部に複数の金属製ファスナーエレメント(E) が所定の取付ピッチで取着されたファスナーストリンガー(S) であって、
   　各ファスナーエレメント(E) は、種類の異なる複数の略Ｙ字状断面を有するエレメント用線材(W) のうちの１つを選択して所定のピッチで切断してエレメント素子を形成し、前記エレメント素子を押圧成形することにより作製され、
   　複数の前記線材(W) から作製された各ファスナーエレメント(E) が、単一の前記ファスナーテープ(T) の前記テープ側縁部に所定の配列で加締め固定され、
   　各ファスナーエレメント(E) における前記エレメント用線材(W) を切断して形成される切断面と、前記切断面以外の外表面とが異なる外観を呈してなる、
   ことを特徴とするファスナーストリンガー。
10. 　各エレメント用線材(W) は、同一の金属線材の外表面に互いに異なる装飾が施されて構成されてなる請求項９記載のファスナーストリンガー。
11. 　各エレメント用線材(W) は、互いに材質が異なる金属線材により構成されてなる請求項９記載のファスナーストリンガー。

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