WO2015011764A1

WO2015011764A1 - 薬剤充填装置

Info

Publication number: WO2015011764A1
Application number: PCT/JP2013/069807
Authority: WO
Inventors: 大隅　不二雄; 昭仁井阪; 昌史木谷
Original assignee: 株式会社タカゾノテクノロジー
Priority date: 2013-07-22
Filing date: 2013-07-22
Publication date: 2015-01-29

Abstract

　薬剤を容器に充填する際の作業者の手間を削減できる薬剤充填装置を提供する。薬剤充填装置（１）は、薬剤を充填可能な容器（２６）に対し対象の薬剤を供給する供給装置（１０）と、容器（２６）を保持可能な保持部を複数有する容器保持体（２０）と、載置面（３３）を有しており、載置面（３３）に容器保持体（２０）を載置して搬送し、複数の保持部のいずれかに保持される容器（２６）に対し供給装置（１０）から薬剤を供給可能な供給位置に容器保持体（２０）を移動させる、搬送装置（３０）とを備えている。搬送装置（３０）と供給装置（１０）とは、載置面（３３）に直交する方向に沿う間隔を調整可能に設けられている。

Description

薬剤充填装置

　本発明は、薬剤充填装置に関し、特に、薬剤を容器に充填するための薬剤充填装置に関する。

　薬剤を容器に充填するための装置に関し、従来、薬剤を収納する収納容器から薬剤を排出する排出ドラムを有する樹脂製のタブレットケースと、タブレットケースから排出された薬剤を直接受けて前方に導く樹脂製のシュートとを備える薬剤供給装置が提案されている（たとえば、特開２００２－２９１８４５号公報（特許文献１）参照）。

特開２００２－２９１８４５号公報

　特開２００２－２９１８４５号公報（特許文献１）に記載の薬剤供給装置では、薬剤を容器に充填するにあたって、作業者が容器を一つずつシュート出口の下に持って移動する手作業を必要とし、したがって手間がかかる問題があった。

　本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、薬剤を容器に充填するにあたって作業者の手間を削減することができる、薬剤充填装置を提供することである。

　本発明に係る薬剤充填装置は、供給装置と、容器保持体と、搬送装置とを備えている。供給装置は、薬剤を充填可能な容器に対し、対象の薬剤を供給する。容器保持体は、容器を保持可能な保持部を複数有している。搬送装置は、載置面を有している。搬送装置は、載置面に容器保持体を載置して搬送し、複数の保持部のいずれかに保持される容器に対し供給装置から薬剤を供給可能な供給位置に容器保持体を移動させる。搬送装置と供給装置とは、載置面に直交する方向に沿う間隔を調整可能に設けられている。

　上記薬剤充填装置において、供給装置は、載置面に近接する方向および載置面から離れる方向に移動可能な部分を有していてもよい。

　上記薬剤充填装置において、供給装置の全体が移動可能であってもよい。
　上記薬剤充填装置において、供給装置には、薬剤を排出する排出口が形成されており、供給装置は、排出口の内周壁を形成する周壁部材を有しており、周壁部材は、載置面に近接する方向および載置面から離れる方向に移動可能であってもよい。好ましくは、周壁部材は手動で移動可能であってもよい。

　本発明の薬剤充填装置によると、薬剤を充填可能な容器を保持した容器保持体を搬送し、容器に供給装置から自動で薬剤を供給することができるので、作業者の手間を削減することができる。

実施の形態１の薬剤充填装置の概略構成を示す側面図である。図１中の矢印ＩＩ方向から見た薬剤充填装置の側面図である。図１に示す容器保持体の斜視図である。供給装置から容器へ薬剤を供給する動作を示すフローチャートである。供給装置が初期位置にある状態を示す部分断面図である。供給装置を載置面に近接させた状態を示す部分断面図である。容器保持体が第１の供給位置に接近する状態を示す部分断面図である。容器保持体が第１の供給位置に位置している状態を示す部分断面図である。容器保持体が第２の供給位置に接近する状態を示す部分断面図である。容器保持体が第２の供給位置に位置している状態を示す部分断面図である。容器保持体が第３の供給位置に接近する状態を示す部分断面図である。容器保持体が第３の供給位置に位置している状態を示す部分断面図である。容器保持体が供給位置から離れる状態を示す部分断面図である。実施の形態２の薬剤充填装置の概略構成を示す部分断面図である。供給装置の周壁部材を載置面に近接させた状態を示す部分断面図である。周壁部材の構成を示す斜視図である。周壁部材の延在長さを増大させた状態を示す斜視図である。

　以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。

　（実施の形態１）
　図１は、実施の形態１の薬剤充填装置１の概略構成を示す側面図である。図２は、図１中の矢印ＩＩ方向から見た薬剤充填装置１の側面図である。図３は、図１に示す容器保持体２０の斜視図である。まず、図１～３を参照して、薬剤充填装置１の構成の概略について説明する。

　薬剤充填装置１は、錠剤やカプセルなどの固形状の薬剤または投与単位毎に個別包装された薬剤を容器２６に充填する作業を自動化するための装置である。薬剤充填装置１は、容器２６に対し対象の薬剤を供給する供給装置１０と、容器２６を保持している容器保持体２０を搬送する搬送装置３０とを備えている。容器２６は、略円柱状のバイアル瓶である。容器２６が対象の薬剤を充填可能であれば、容器２６の形状は略円柱状に限られるものではない。たとえば、容器２６は矩形箱状の形状を有していてもよく、または他の任意の形状を有する容器２６が用いられてもよい。

　供給装置１０は、各種の薬剤が種類毎に収容された薬剤カセッタを有している。薬剤カセッタは、供給装置１０に着脱自在に設けられている。供給装置１０は、たとえば１２８個もしくは２５６個などの複数の薬剤カセッタを同時に保持できるものであってもよく、この場合、複数の薬剤をその種類毎に容易に供給装置１０から払い出すことができるので、複数の薬剤を含む処方箋に従って短時間に薬剤の払い出しを完了できる。または供給装置１０は、一個の薬剤カセッタを保持可能とされ、装置を使用するユーザが必要な薬剤カセッタをその都度入れ替える仕様であってもよく、この場合、供給装置１０を小型化できるので供給装置１０のコスト低減および省スペース化を達成できる。

　供給装置１０には、薬剤を排出する排出口が下部に形成されている。薬剤カセッタから払い出された薬剤は、排出口から排出されて落下し、容器２６に供給される。

　搬送装置３０が容器保持体２０を搬送することにより、容器２６は供給装置１０の下方を移動する。各々の容器２６の上側には、容器２６の内部と外部とを連通する上部開口２８が形成されている。容器２６の上部開口２８が排出口に対向する適切な位置に容器２６が配置された状態で、供給装置１０の排出口から薬剤が落下し、薬剤が容器２６に充填される。供給装置１０から落下する薬剤は、上部開口２８を経由して容器２６の内部に入り、容器２６で受けられる。供給装置１０から容器２６に薬剤が供給され、容器２６の内部に適切な数量の薬剤が充填される。

　容器保持体２０は、容器２６を保持可能な保持部２２を複数有している。一つの保持部２２が一つの容器２６を保持し、複数の保持部２２を有する容器保持体２０は全体として複数の容器２６を保持可能に設けられている。複数の容器２６は、搬送装置３０により搬送される容器保持体２０の移動方向に並べられて、容器保持体２０に保持される。複数の保持部２２は、容器保持体２０の移動方向に並んで形成されている。図３には、搬送装置３０による容器保持体２０の搬送方向ＤＲ１が図示されている。

　図２に示す容器保持体２０では、容器保持体２０の内部空間が三つの区画に仕切られており、三つの区画の各々が容器２６を収容可能に設けられている。これにより、容器保持体２０には、三つの保持部２２ａ，２２ｂ，２２ｃが設けられている。保持部２２（２２ａ，２２ｂ，２２ｃ）は、略円柱状の容器２６を収容可能なように、平面視した形状が円形状となるように形成されている。なお、容器保持体２０は、略円柱状の容器２６と箱状の容器との両方を保持できる形状に形成されてもよい。

　容器保持体２０には、保持部２２ａ，２２ｂ，２２ｃに対応する三つの開口が、それぞれ容器２６を受け入れ可能に形成されている。当該開口を経由して容器２６が保持部２２に取り付けられることにより、容器２６は容器保持体２０により保持される。容器２６は、容器保持体２０に保持された状態で、上記開口を経て容器保持体２０の内部から容器保持体２０の上方の外部にまで延在している。容器保持体２０に保持された状態で、容器２６の上端部は、容器保持体２０の外側に配置されている。

　容器保持体２０は、複数の保持部２２が設けられている本体部２１と、本体部２１の側方に突出するフランジ部２３とを有している。本体部２１は、略矩形箱状の外形を有している。フランジ部２３は、本体部２１に対して平板が側方に張り出すように設けられている。フランジ部２３は、本体部２１の上端部に連なるように設けられている。フランジ部２３は、保持部２２に容器２６が取り付けられる側、すなわち、保持部２２ａ，２２ｂ，２２ｃに対応する三つの開口が形成されている側の、本体部２１の端部に設けられている。

　容器保持体２０は、樹脂製であり、樹脂材料を金型成形して形成されている。容器保持体２０の成形時に用いられる金型を、本体部２１とフランジ部２３との両方に対応した形状にすることで、本体部２１とフランジ部２３とは、一つの工程で一体に成形される。

　搬送装置３０は、容器保持体２０の保持部２２に保持された容器２６を、供給装置１０から容器２６に対し薬剤が供給され得る位置に移動させる。容器保持体２０が複数の容器２６を保持する場合、搬送装置３０は、供給装置１０から薬剤が供給され得る位置に複数の容器２６を順次移動させ、当該位置で容器２６へ薬剤を供給するために容器保持体２０を一旦停止させる。

　図１，２に示す搬送装置３０は、ベルト３２と一対のプーリ３４，３６とを有する公知のベルトコンベアである。容器保持体２０は、ベルト３２の上側の載置面３３上に載置される。プーリ３４，３６の回転運動に伴うベルト３２の移動によって、ベルト３２の載置面３３上に載せ置かれた容器保持体２０は、搬送方向ＤＲ１に搬送される。本実施の形態の搬送装置３０は、ベルト３２の両端に設けられた一対のプーリ３４，３６の一方から他方へ向かう方向、たとえばプーリ３４からプーリ３６へ向かう方向を搬送方向ＤＲ１として、容器保持体２０を載置面３３に載置して搬送する。

　搬送装置３０は、両方向に容器保持体２０を搬送可能であってもよい。つまり搬送装置３０は、上記搬送方向ＤＲ１に加えて、搬送方向ＤＲ１と逆方向の、一対のプーリ３４，３６の他方から一方へ向かう方向、たとえばプーリ３６からプーリ３４へ向かう方向にも、容器保持体２０を搬送可能であってもよい。搬送装置３０が容器保持体２０を搬送する方向を切替可能に構成されることにより、薬剤充填装置１を使用するユーザは、いずれかの方向を搬送方向ＤＲ１として選択できる。これにより、薬剤充填装置１が実際に設置される状況に合わせて、より適切な方向に容器保持体２０を搬送させて、容器２６に薬剤を充填することができる。

　図１および図２に示すように、供給装置１０は、支持部２によって支持されている。支持部２には、調整装置４が設けられている。調整装置４は、供給装置１０を図１，２中の両矢印で示す方向、すなわち、搬送装置３０の載置面３３に直交する方向に移動させる。調整装置４は、搬送装置３０の載置面３３に近接する方向、および、載置面３３から離れる方向の両方に、供給装置１０を移動させる。供給装置１０の移動する方向と、搬送装置３０によって搬送される容器保持体２０の移動方向とは、互いに直交している。

　供給装置１０は、図１，２中の上下方向に移動可能な部分を有しており、実施の形態１の例では、供給装置１０の全体が移動可能に設けられている。この供給装置１０の移動により、搬送装置３０と供給装置１０との間の、搬送装置３０の載置面３３に直交する方向に沿う距離が変動する。搬送装置３０と供給装置１０とは、載置面３３に直交する方向に沿う間隔を調整可能に設けられている。

　調整装置４は、操作部５を含んでいる。調整装置４は、たとえば、供給装置１０に取り付けられ上下方向に延在するラックと、操作部５に取り付けられ当該ラックに噛み合うピニオンとの組合せによって、構成されてもよい。この場合、薬剤充填装置１を操作するユーザは、円形ハンドルとして設けられる操作部５を手動で回転し、操作部５の回転にピニオンを従動させることにより、供給装置１０を移動させることができる。この例に替えて、圧縮空気またはモータなどを動力源としたリニアガイドを含むように調整装置４を構成し、供給装置１０を自動制御によって移動可能としてもよい。

　以上の構成を備える薬剤充填装置１の動作について、以下に説明する。図４は、供給装置１０から容器２６へ薬剤を供給する動作を示すフローチャートである。図４に示すように、まずステップ（Ｓ１０）において、供給装置１０の上下方向の位置調整が行なわれる。この位置調整は、今から薬剤を充填しようとする容器２６の寸法に応じて、薬剤充填装置１を操作するユーザによって行なわれる。位置調整は、搬送装置３０による容器保持体２０の搬送が開始される前に、行なわれる。

　図５は、供給装置１０が初期位置にある状態を示す部分断面図である。図６は、供給装置１０を載置面３３に近接させた状態を示す部分断面図である。図５，６に示す高さＨは、容器２６を収容した容器保持体２０を載置面３３上に載置した状態における、載置面３３に対する、容器保持体２０の外部に突出する容器２６の端部までの高さを示す。図５に示す距離Ｄ０、および図６に示す距離Ｄ１は、載置面３３に直交する方向における、容器２６の端部から供給装置１０の下端部までの長さを示す。供給装置１０には、排出口１６が形成されている。容器２６に供給されるべき薬剤は、排出口１６を経由して、供給装置１０から排出される。

　図５に示す供給装置１０が初期位置にある状態で、載置面３３に直交する方向において供給装置１０の排出口１６から容器２６の端部は離れており、その間隔である距離Ｄ０は比較的大きな値とされている。そのように配置された供給装置１０の排出口１６から薬剤を落下させると、容器２６が薬剤を受けられない虞がある。そこで、図６に示すように、供給装置１０を図６に矢印で示す方向ＤＲ２に移動し、供給装置１０を載置面３３に近接させる。この供給装置１０の移動によって、載置面３３に直交する方向において供給装置１０の排出口１６が容器２６の端部に近接し、その間隔である距離Ｄ１は距離Ｄ０と比較して小さな値とされている。

　なお、初期位置において供給装置１０が載置面３３に近接し過ぎており、そのまま容器保持体２０を搬送すると容器保持体２０または容器２６と供給装置１０との干渉が発生する場合には、このステップ（Ｓ１０）において供給装置１０を載置面３３から離れる方向に移動すればよい。供給装置１０を載置面３３に対して近接する方向または離れる方向に移動することで、排出口１６と容器２６に形成された上部開口２８との間隔が、最適に規定される。

　排出口１６と上部開口２８との間隔は、小さいほど排出口１６から排出された薬剤を容器２６により確実に投入することができ、薬剤の外部への飛散を抑制できる。一方、排出口１６と上部開口２８との間隔の規定値が小さすぎると、容器２６の寸法の誤差および容器保持体２０に容器２６を保持させる際の取り付け誤差などの機械的な誤差のために、供給装置１０と容器２６との干渉が発生する恐れがある。そのため、このような誤差を許容できる程度に、図６に示す距離Ｄ１を設定するのが望ましい。

　図４に戻って、次にステップ（Ｓ２０）において、搬送装置３０による容器保持体２０の搬送が開始される。搬送装置３０は、プーリ３４，３６のいずれかまたは両方を回転させベルト３２を移動させるための動力源である搬送モータを有しており、搬送モータを駆動することにより、載置面３３上に載置された容器保持体２０が搬送され移動を開始する。

　図７は、容器保持体２０が第１の供給位置Ｌ１に接近する状態を示す部分断面図である。搬送装置３０が容器保持体２０を搬送することにより、容器保持体２０は、搬送方向ＤＲ１に沿って、容器保持体２０が保持している容器２６に供給装置１０から薬剤を供給可能な位置に移動する。本明細書中では、複数の保持部２２のいずれかに保持される容器２６に対し供給装置１０から薬剤を供給可能であるような容器保持体２０の配置を、供給位置Ｌと称する。容器保持体２０が供給位置Ｌで停止しているとき、複数の保持部２２のうちのいずれか一つの保持部２２によって保持されるべき容器２６が、供給装置１０から薬剤を供給され得る位置に存在する。

　容器保持体２０が供給位置Ｌで停止しているとき、対応する保持部２２に容器２６が保持されていれば、当該容器２６は供給装置１０の排出口１６の真下に配置され、排出口１６を経由して供給装置１０から落下する薬剤を当該容器２６が受け、当該容器２６に薬剤を供給可能とされている。なお、容器保持体２０が供給位置Ｌで停止している場合でも、対応する保持部２２に容器２６が保持されていなければ、供給装置１０から落下する薬剤を容器２６が受けることができないので、供給装置１０から容器２６への薬剤の供給は行なわれないことに留意されたい。

　図２を参照して説明した本実施の形態の容器保持体２０は、三つの保持部２２を有し、それぞれの保持部２２に合計三つの容器２６を保持可能である。そのため、三つの容器２６のそれぞれに対応する供給位置Ｌがあることになる。保持部２２ａに保持されるべき容器２６に薬剤を供給可能な供給位置Ｌを第１の供給位置Ｌ１とする。保持部２２ｂに保持されるべき容器２６に薬剤を供給可能な供給位置Ｌを第２の供給位置Ｌ２とする。保持部２２ｃに保持されるべき容器２６に薬剤を供給可能な供給位置Ｌを第３の供給位置Ｌ３とする。

　次にステップ（Ｓ３０）において、搬送装置３０による容器保持体２０の搬送が一時停止され、容器保持体２０は移動しなくなる。図８は、容器保持体２０が第１の供給位置Ｌ１に位置している状態を示す部分断面図である。図８に示す状態で、容器保持体２０は、複数の保持部２２のうち搬送方向ＤＲ１において最も下流側の保持部２２（すなわち、搬送開始位置から最も離れ搬送終了位置に最も近い保持部２２であって、図２に示す三つの保持部２２のうち保持部２２ａ）に保持された容器２６に対し供給装置１０から薬剤を供給可能な位置において、停止している。保持部２２ａに保持された容器２６は、その上部開口２８が供給装置１０の排出口１６と対向する位置で、停止している。

　この状態で、図４に示すステップ（Ｓ４０）に進み、保持部２２ａに保持された容器２６への薬剤の供給が実施される。供給装置１０は、薬剤を供給装置１０から排出する動作をするための動力源である供給モータを有している。供給モータが駆動することにより、供給装置１０から薬剤Ｍが排出される。薬剤Ｍは、供給装置１０に形成された排出口１６を経由して供給装置１０から排出されて落下し、容器２６に形成された上部開口２８を経由して、保持部２２ａに保持された容器２６内に供給される。このようにして、所定の種類および数量の薬剤Ｍが保持部２２ａに保持された容器２６に充填される。

　容器２６への薬剤の供給が完了すると、ステップ（Ｓ５０）に進み、搬送装置３０による容器保持体２０の搬送が再開される。図９は、容器保持体２０が第２の供給位置Ｌ２に接近する状態を示す部分断面図である。搬送装置３０が容器保持体２０を搬送することにより、容器保持体２０は、搬送方向ＤＲ１に沿って、第１の供給位置Ｌ１から第２の供給位置Ｌ２へ向かって移動する。

　続いてステップ（Ｓ６０）において、容器保持体２０により保持された全ての容器２６への薬剤Ｍの供給が完了したか否かが判断される。この場合、保持部２２ａに保持された１番目の容器２６への薬剤Ｍの供給が完了した状態であるので、ステップ（Ｓ６０）の判断において薬剤Ｍの供給が完了していないと判断され、ステップ（Ｓ３０）へ戻り、次なる供給位置、すなわちこの場合第２の供給位置Ｌ２において、容器保持体２０の搬送が一時停止される。

　図１０は、容器保持体２０が第２の供給位置Ｌ２に位置している状態を示す部分断面図である。図１０に示す状態で、容器保持体２０は、複数の保持部２２のうち搬送方向ＤＲ１において下流側から二番目の保持部２２（すなわち、図２に示す三つの保持部２２のうち保持部２２ｂ）に保持された容器２６に対し供給装置１０から薬剤を供給可能な第２の供給位置Ｌ２において、停止している。保持部２２ｂに保持された容器２６は、その上部開口２８が供給装置１０の排出口１６と対向する位置で、停止している。

　この状態で、図４に示すステップ（Ｓ４０）に進み、保持部２２ｂに保持された容器２６への薬剤の供給が実施される。供給モータが駆動することにより、供給装置１０から薬剤Ｍが排出される。薬剤Ｍは、供給装置１０に形成された排出口１６を経由して供給装置１０から排出されて落下し、容器２６に形成された上部開口２８を経由して、保持部２２ｂに保持された容器２６内に供給される。このようにして、所定の種類および数量の薬剤Ｍが保持部２２ｂに保持された容器２６に充填される。

　容器２６への薬剤の供給が完了すると、ステップ（Ｓ５０）に進み、搬送装置３０による容器保持体２０の搬送が再開される。図１１は、容器保持体２０が第３の供給位置Ｌ３に接近する状態を示す部分断面図である。搬送装置３０が容器保持体２０を搬送することにより、容器保持体２０は、搬送方向ＤＲ１に沿って、第２の供給位置Ｌ２から第３の供給位置Ｌ３へ向かって移動する。

　続いてステップ（Ｓ６０）において、容器保持体２０により保持された全ての容器２６への薬剤Ｍの供給が完了したか否かが判断される。この場合、保持部２２ｂに保持された２番目の容器２６への薬剤Ｍの供給が完了した状態であるので、ステップ（Ｓ６０）の判断において薬剤Ｍの供給が完了していないと判断され、ステップ（Ｓ３０）へ戻り、次なる供給位置、すなわちこの場合第３の供給位置Ｌ３において、容器保持体２０の搬送が一時停止される。

　図１２は、容器保持体２０が第３の供給位置Ｌ３に位置している状態を示す部分断面図である。図１２に示す状態で、容器保持体２０は、複数の保持部２２のうち搬送方向ＤＲ１において下流側から三番目の保持部２２（すなわち、図２に示す三つの保持部２２のうち保持部２２ｃ）に保持された容器２６に対し供給装置１０から薬剤を供給可能な第３の供給位置Ｌ３において、停止している。保持部２２ｃに保持された容器２６は、その上部開口２８が供給装置１０の排出口１６と対向する位置で、停止している。

　この状態で、図４に示すステップ（Ｓ４０）に進み、保持部２２ｃに保持された容器２６への薬剤の供給が実施される。供給モータが駆動することにより、供給装置１０から薬剤Ｍが排出される。薬剤Ｍは、供給装置１０に形成された排出口１６を経由して供給装置１０から排出されて落下し、容器２６に形成された上部開口２８を経由して、保持部２２ｃに保持された容器２６内に供給される。このようにして、所定の種類および数量の薬剤Ｍが保持部２２ｃに保持された容器２６に充填される。

　容器２６への薬剤の供給が完了すると、ステップ（Ｓ５０）に進み、搬送装置３０による容器保持体２０の搬送が再開される。図１３は、容器保持体２０が供給位置Ｌから離れる状態を示す部分断面図である。搬送装置３０が容器保持体２０を搬送することにより、容器保持体２０は、搬送方向ＤＲ１に沿って、第３の供給位置Ｌ３から離れるように移動する。

　その後のステップ（Ｓ６０）の判断においては、容器保持体２０により保持された全ての容器２６への薬剤Ｍの供給が完了したと判断されるので、続いてステップ（Ｓ７０）へ進み、容器保持体２０の搬送が終了する。このようにして、供給装置１０から容器２６へ薬剤を供給する薬剤充填装置１の動作が完了する。

　以上説明した本実施の形態の薬剤充填装置１によれば、容器保持体２０は複数の保持部２２を有し、各々の保持部２２に容器２６を保持可能に設けられており、搬送装置３０は、複数の容器２６を保持可能な保持部２２を搬送する。このようにすれば、容器保持体２０によって保持された一つまたは複数の容器２６の各々に適切な種類の薬剤を適切な数量だけ充填することにより、薬剤の種類および／または数量において最適なまとまりを一単位として管理することができる。

　たとえば、一つの容器保持体２０に保持された複数の容器２６にそれぞれ別種類の薬剤を充填して、一人の患者に投与される複数種類の薬剤を一つの容器保持体２０にまとめることができる。このようにすれば、患者に薬剤を手渡す前の処方箋と薬剤との照合が容易になる。またたとえば、薬局または病院に現時点で不足している薬剤を補充する場合に、薬局または病院毎に一つまたは複数の容器保持体２０を割り当てて、不足薬剤の種類および数量の照合を容易に行なうことができる。病院を一単位とするほか、病棟毎または病室毎に容器保持体２０を割り当てて薬剤の供給を適切に管理してもよいことは勿論である。

　容器保持体２０は搬送装置３０によって搬送され、供給位置Ｌにおいて容器保持体２０は停止する。搬送装置３０は、容器保持体２０を第１～第３の供給位置Ｌ１，Ｌ２，Ｌ３で順に停止させるように、制御される。したがって、供給装置１０から容器２６に薬剤を供給可能な位置において確実に容器保持体２０を停止させ、複数の容器２６に自動で順次薬剤を供給することができる。薬剤を充填可能な容器２６を保持した容器保持体２０が搬送装置３０によって搬送され、供給装置１０から自動で容器２６に薬剤を供給することができるので、薬剤を容器２６に充填する際の作業者の手間を大幅に削減することができる。

　搬送装置３０と供給装置１０とを、容器保持体２０が載置される載置面３３に直交する方向に沿う間隔を調整可能に設けることにより、供給装置１０の排出口１６と容器２６の上部開口２８との間隔を自在に調整できる。容器保持体２０は、種々の寸法の容器２６を保持可能に設けられており、容器２６の種類が異なると、容器保持体２０から容器２６が突出する高さも異なる。この高さの変動に合わせて、搬送装置３０と供給装置１０との間隔を調整すれば、搬送装置３０が容器保持体２０を搬送するときの容器２６と供給装置１０との干渉を確実に防止できる。かつ、排出口１６から落下する薬剤Ｍの外部への飛び出しを抑制でき、薬剤Ｍをより確実に容器２６内へ供給することができる。寸法の異なる複数種類の容器２６に、同一形状の容器保持体２０を共通に用いることができるので、製造コストを削減することができる。

　供給装置１０を、載置面３３に近接する方向および載置面３３から離れる方向に移動可能な部分を有する構成とすれば、供給装置１０の移動によって搬送装置３０と供給装置１０との間隔が調整される。供給装置１０を、載置面３３に直交する方向に直線状に動くように構成すれば、簡単な構成で搬送装置３０と供給装置１０との間隔の調整が可能になる。ラックおよびピニオンを利用して手動で供給装置１０を移動させるようにすれば、構成をより簡素化できるので、供給装置１０の移動機構に不具合が発生する頻度を低減でき、より信頼性の高い薬剤充填装置１を提供することができる。

　（実施の形態２）
　図１４は、実施の形態２の薬剤充填装置１の概略構成を示す部分断面図である。図１５は、供給装置１０の周壁部材４１を載置面３３に近接させた状態を示す部分断面図である。図１６は、周壁部材４１の構成を示す斜視図である。図１７は、周壁部材４１の延在長さを増大させた状態を示す斜視図である。

　実施の形態１の薬剤充填装置１では、供給装置１０の全体が移動可能に設けられていたが、この構成に替えて、供給装置１０の一部のみが載置面３３に近接するおよび離れるように移動可能に設けられていてもよい。実施の形態２の供給装置１０は、移動可能な一部構成としての、周壁部材４１を有している。周壁部材４１は、薬剤を排出する排出口の内周壁を形成している。

　図１６，１７に示すように、周壁部材４１は、複数の筒状の部材が同心に組み合わされて構成されている。周壁部材４１は、大径の筒部材４１ａと、小径の筒部材４１ｃと、筒部材４１ａ，４１ｃの間の径の筒部材４１ｂとを有している。筒部材４１ａ，４１ｂ，４１ｃは各々、中空円筒状に形成されている。筒部材４１ａの内径が筒部材４１ｂの外径とほぼ等しく、筒部材４１ｂの内径が筒部材４１ｃの外径とほぼ等しいように、周壁部材４１は設けられている。筒部材４１ｂは、筒部材４１ａの内周面に対して摺動可能に設けられており、筒部材４１ｃは、筒部材４１ｂの内周面に対して摺動可能に設けられている。筒部材４１ｃの内側の中空の空間が、周壁部材４１を軸方向に貫通する貫通孔４１ｈとして設けられている。

　図１６には、周壁部材４１を縮めた状態の斜視図が示されている。図１７には、周壁部材４１を伸ばした状態の斜視図が示されている。周壁部材４１は、伸縮自在に設けられており、これにより軸方向の寸法を自在に調整可能とされている。図１６に示す縮めた状態では、周壁部材４１の軸方向の寸法は、各々の筒部材４１ａ，４１ｂ，４１ｃの軸方向の寸法と等しい。一方、図１７に示す伸ばした状態では、図１６と比較して、周壁部材４１の軸方向の寸法が著しく増大している。

　このような周壁部材４１が供給装置１０に取り付けられており、周壁部材４１の貫通孔４１ｈが排出口１６を形成している。周壁部材４１は、その軸方向の長さを変動させることにより、搬送装置３０の載置面３３に近接する方向および載置面３３から離れる方向に移動可能とされている。図１４では、周壁部材４１が縮められた状態であり、容器保持体２０に保持された容器２６の上端から排出口１６までの距離Ｄ０が大きい。そのため、この状態で容器２６に薬剤を供給しようとすると、容器２６内に供給されずに外へ飛び出る薬剤が多く発生すると考えられ、好ましくない。

　よってこの場合には、図１５に示すように周壁部材４１を伸ばした状態として周壁部材４１の軸方向の長さを大きくする。これにより、排出口１６と容器２６の上端との間の距離Ｄ１を、距離Ｄ０よりも小さいより適切な長さにすることができる。周壁部材４１の長さを適正に調整することで、周壁部材４１と容器２６との干渉を発生させることなく、容器２６へのより確実な薬剤の供給が可能となる。

　供給装置１０の一部のみを変形または移動させて搬送装置３０と供給装置１０との間隔を調整することにより、間隔調整のための構成をより簡略化でき、当該間隔をより容易に調整することが可能になる。周壁部材４１の長さ調整は、薬剤充填装置１を使用するユーザが周壁部材４１を指先で触って力を適宜加えることにより行なわれ、周壁部材４１が手動で移動可能とされていることで、薬剤充填装置１の構成をさらに簡単にすることができる。

　なお、これまでの説明においては、搬送装置３０がベルトコンベアである例について説明した。搬送装置３０は、ベルトコンベアに限られるものではなく、容器保持体２０を搬送方向ＤＲ１に搬送可能であれば、どのような構成を有してもよい。たとえば搬送装置３０は、搬送方向ＤＲ１に位置を微調整可能なロボットアームを有し、当該ロボットアームが容器保持体２０を保持するとともに搬送方向ＤＲ１に移動させる構成であってもよい。この場合、ロボットアームを三次元的に移動可能に設けて搬送装置３０と供給装置１０との間隔を調整可能な仕様とすることも可能である。

　また、容器保持体２０に三つの保持部２２が設けられ、容器保持体２０は最大で三個の容器２６を同時に保持可能であったが、この構成に限られるものではない。容器保持体２０は、より多数の保持部２２を有し、保持部２２の数量増加に従ってより多数の容器２６を同時に保持できてもよい。異なる数量の保持部２２を有する複数種類の容器保持体２０を準備し、薬剤充填装置１を操作するユーザが容器保持体２０を適宜選択可能としてもよい。

　以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

　１　薬剤充填装置、２　支持部、４　調整装置、５　操作部、１０　供給装置、１６　排出口、２０　容器保持体、２１　本体部、２２，２２ａ，２２ｂ，２２ｃ　保持部、２３　フランジ部、２６　容器、２８　上部開口、３０　搬送装置、３２　ベルト、３３　載置面、３４，３６　プーリ、４１　周壁部材、４１ａ，４１ｂ，４１ｃ　筒部材、４１ｈ　貫通孔、Ｄ０，Ｄ１　距離、ＤＲ１　搬送方向、ＤＲ２　方向、Ｈ　高さ、Ｌ　供給位置、Ｌ１　第１の供給位置、Ｌ２　第２の供給位置、Ｌ３　第３の供給位置、Ｍ　薬剤。

Claims

　薬剤を充填可能な容器に対し対象の前記薬剤を供給する供給装置と、
　前記容器を保持可能な保持部を複数有する容器保持体と、
　載置面を有しており、前記載置面に前記容器保持体を載置して搬送し、複数の前記保持部のいずれかに保持される前記容器に対し前記供給装置から前記薬剤を供給可能な供給位置に前記容器保持体を移動させる、搬送装置とを備え、
　前記搬送装置と前記供給装置とは、前記載置面に直交する方向に沿う間隔を調整可能に設けられている、薬剤充填装置。
　前記供給装置は、前記載置面に近接する方向および前記載置面から離れる方向に移動可能な部分を有している、請求項１に記載の薬剤充填装置。
　前記供給装置の全体が移動可能である、請求項２に記載の薬剤充填装置。
　前記供給装置には、前記薬剤を排出する排出口が形成されており、
　前記供給装置は、前記排出口の内周壁を形成する周壁部材を有し、
　前記周壁部材は、前記載置面に近接する方向および前記載置面から離れる方向に移動可能である、請求項２に記載の薬剤充填装置。
　前記周壁部材は手動で移動可能である、請求項４に記載の薬剤充填装置。