WO2014167789A1 - 食器洗い機 - Google Patents

Abstract

洗浄槽（２０）が筐体（１７）に収容されたとき上開口部（３１）を閉塞する内蓋（３２）と、洗浄槽（２０）の収容状態を検知する収納スイッチ（２０ａ）と、洗浄槽（２０）の内部に洗浄水を噴射する洗浄ノズル（２８）と、上開口部（３１）の一部を覆う遮蔽板（３５）とを備える。遮蔽板（３５）は、少なくとも洗浄槽（２０）が引き出される初期に扉体（２１）側の上開口部（３１）を覆う位置に配置される、これにより、洗浄運転中に洗浄槽（２０）を引き出した際に、洗浄水が洗浄槽（２０）から筐体（１７）より外に飛び出すのを遮ることができる。

Description

食器洗い機

　本発明は、食器類を洗浄、乾燥するビルトインタイプの食器洗い機に関する。

　従来、この種の食器洗い機として、図９、図１０Ａおよび図１０Ｂに示すような構成を有する食器洗い機が提案されている（例えば、特許文献１参照）。

　図９は、従来の食器洗い機の側面断面図である。図１０Ａは、従来の食器洗い機におけるロック状態の取っ手近傍の断面図である。図１０Ｂは、同食器洗い機のロック解除状態の取っ手の断面図である。なお、図９は、食器洗い機がシステムキッチンに収容され、洗浄槽３が前（図面上の左方向）に引き出される構成を例に示している。

　図９から図１０Ｂに示すように、従来の食器洗い機は、筐体２と、洗浄槽３と、収納スイッチ３ａと、扉体４と、食器かご７と、洗浄ノズル８と、洗浄ポンプ９と、操作パネル１１と、取っ手１１ａなどから構成されている。筐体２は、前方に前開口部１を有し、内部に洗浄槽３を収納する。洗浄槽３は、前方に筐体２の前開口部１を覆う扉体４と、上面に上開口部５を有し、内部に食器かご７が配置される。さらに、洗浄槽３は、左右外側の側部下方にレール１０を有し、前後方向へ平行移動可能な状態で筐体２に支持されている。食器かご７は、上下に２段で構成され、食器類６を収容する。洗浄ノズル８は、食器かご７の下方で洗浄槽３の底面に、回転自在に設けられている。洗浄ポンプ９は、洗浄槽３内に溜められた洗浄水を洗浄ノズル８に圧送して噴射する。これにより、食器かご７に収容された食器類６を洗浄する。

　また、操作パネル１１は、扉体４の前面上方に設けられている。取っ手１１ａは、操作パネル１１の中央に設けられ、使用者が取っ手１１ａに手を掛けて前方より洗浄槽３を引き出すことができる。さらに、取っ手１１ａ内には、上方へ回動可能な取っ手レバー１４が設けられ、扉体４に支持されている。そして、洗浄槽３を引き出す際に、使用者が取っ手レバー１４を回動軸１４ａまわりに動作角度θ１だけ回動させる（図１０Ｂ参照）。このとき、取っ手レバー１４の動きは、取っ手レバー１４に一端が固定連結された連動レバー１５やロック片１５ａによって、洗浄槽３の側壁方向に設けられたロック機構（図示せず）へ伝達される。これにより、使用者は、洗浄槽３のロックを解除して、筐体２から洗浄槽３を引き出すことができる。

　また、取っ手１１ａの近傍には、取っ手スイッチ（図示せず）が設けられ、取っ手レバー１４の動作を検知する。さらに、洗浄槽３の後方には、収納スイッチ３ａが設けられ、洗浄槽３の収容状態を検知する。

　なお、制御部（図示せず）は、洗浄運転中に、洗浄槽３が引き出される場合、取っ手スイッチにより取っ手レバー１４の回転動作を検知する。これにより、制御部は、洗浄槽３が引き出される前に、洗浄ポンプ９の動作を停止させる。そして、制御部は、洗浄ノズル８からの洗浄水が洗浄槽３から筐体２より外に飛び出ないように制御する。さらに、制御部は、収納スイッチ３ａにより、洗浄槽３が筐体２に収容されていない状態では洗浄運転が行えないように制御する。

　以下に、従来の食器洗い機の動作および作用について、説明する。

　まず、使用者は、食器洗い機を使用する際に、扉体４に一体的に形成された取っ手１１ａを掴んで、洗浄槽３を筐体２から前方に引き出す。そして、洗浄槽３の上開口部５より食器類６を食器かご７に配置して収容する。

　食器類６の収容が完了すると、使用者は洗浄槽３を筐体２内に戻す。洗浄槽３が筐体２内に戻されると、筐体２内の上部空間に待機していた内蓋１２が筐体２内の左右の側面に配したリンク機構１３などにより後方へ移動しつつ降下する。そして、洗浄槽３の上開口部５を内蓋１２により閉塞する。これにより、内蓋１２は、食器類６の洗浄運転中に、洗浄ノズル８から噴射された洗浄水が洗浄槽３から飛び出すことを防止する。

　つぎに、使用者が食器洗い機の運転を開始すると、制御部（図示せず）は、洗浄槽３の底部に配置されたヒータ１６によって洗浄水を加熱する。そして、洗浄水を加熱しながら、洗浄ポンプ９を動作させて洗浄水を洗浄ノズル８から食器類６に向かって噴射する。これにより、食器類６の汚れを落とす洗浄ステップを行う。

　つぎに、食器類６をすすぐ、すすぎステップを行う。その後、洗浄槽３内の空気をヒータ１６によって暖めながら、送風部（図示せず）によって吸排気して洗浄槽３内を乾燥させる乾燥ステップを行う。

　以上により、従来の食器洗い機の運転動作が終了する。

　しかしながら、上記従来の食器洗い機の構成は、システムキッチンに収容された状態において、必ず操作パネル１１と取っ手スイッチを含む取っ手１１ａが前面に配置される。そのため、システムキッチンのデザインに制約が生じる。具体的には、システムキッチンの種類によって、食器洗い機の左右に配置される引き出し収納などの扉のデザインと合わなくなる。その結果、システムキッチンのデザイン性が損なわれるという課題があった。

　そこで、食器洗い機の前面のデザインとシステムキッチンの左右の扉のデザインを合わせるために、操作パネル１１と取っ手１１ａを前面からなくする構成が考えられる。この場合、取っ手１１ａ近傍に設けられていた取っ手スイッチなどの検知装置を設置できなくなる。このとき、検知装置の代わりに、例えば洗浄槽３の収納完了や引き出される動きなどの収容状態を検知する収納スイッチ３ａを利用して制御することができる。しかし、洗浄運転中に洗浄槽３が引き出された場合、制御部は、収納スイッチ３ａが洗浄槽３の動きを検知してから、その後に、洗浄ポンプ９の停止などの制御を行う。そのため、洗浄ポンプ９の停止動作が遅れる。その結果、回転する洗浄ポンプ９の慣性力によっては、洗浄ノズル８から噴出する洗浄水が洗浄槽３から筐体２より外に飛び出てしまうという課題があった。

特開２０１１－２０６１３０号公報

　本発明は、使い勝手が良く、デザイン性に優れた食器洗い機を提供する。

　つまり、本発明の食器洗い機は、前面に前開口部を有する筐体と、筐体内に引き出し可能に収容され上面に上開口部を有する洗浄槽と、洗浄槽の前方に設けられ洗浄槽が筐体に収容されたときに前開口部を覆う扉体とを有する。さらに、洗浄槽が筐体に収容されたときに上開口部を閉塞する内蓋と、洗浄槽の収容状態を検知する収納スイッチと、洗浄槽の内部に洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、上開口部の一部を覆う遮蔽板とを備える。そして、遮蔽板は、少なくとも洗浄槽が引き出される初期に扉体側の上開口部を覆う位置に配置される構成を有する。

　これにより、収容されるシステムキッチンの扉と同じデザインの化粧板を食器洗い機の扉体として前面全てに設けることができる。さらに、洗浄運転中に洗浄槽を引き出した時に、洗浄水が洗浄槽から筐体より外に飛び出すことを遮蔽板で防止できるので、必ずしも前面に取っ手スイッチを設けなくてもよい。その結果、使い勝手が良く、デザイン性に優れ、洗浄水が洗浄槽から筐体より外に飛び出すのを防ぐことができる食器洗い機を実現できる。

図１は、本発明の実施の形態１における食器洗い機の側面断面図である。 図２は、同食器洗い機の洗浄槽が筐体から前方に引き出される初期状態の側面断面図である。 図３は、本発明の実施の形態１における食器洗い機の正面断面図である。 図４は、同食器洗い機の遮蔽板が後方に移動した状態の側面断面図である。 図５は、同食器洗い機の洗浄槽が筐体に収納される過程の側面断面図である。 図６は、本発明の実施の形態２における食器洗い機の洗浄槽が筐体から前方に引き出される初期状態の側面断面図である。 図７は、本発明の実施の形態２における食器洗い機の正面断面図である。 図８は、本発明の実施の形態３における食器洗い機の洗浄槽が筐体から前方に引き出された状態の側面断面図である。 図９は、従来の食器洗い機の側面断面図である。 図１０Ａは、従来の食器洗い機におけるロック状態の取っ手近傍の断面図である。 図１０Ｂは、同食器洗い機のロック解除状態の取っ手の断面図である。

　以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。

　（実施の形態１）
　以下に、本発明の実施の形態１における食器洗い機の構成について、図１から図５を用いて説明する。

　図１は、本発明の実施の形態１における食器洗い機の側面断面図である。図２は、同食器洗い機の洗浄槽が筐体から前方に引き出される初期状態の側面断面図である。図３は、本発明の実施の形態１における食器洗い機の正面断面図である。図４は、同食器洗い機の遮蔽板が後方に移動した状態の側面断面図である。図５は、同食器洗い機の洗浄槽が筐体に収納される過程の側面断面図である。

　まず、図１および図２に示すように、本実施の形態の食器洗い機は、少なくともシステムキッチンに収容された筐体１７と、洗浄槽２０と、収納スイッチ２０ａと、扉体２１と、食器かご２７と、洗浄ノズル２８と、洗浄ポンプ３０と、ハンドル２３と、操作部２４と、遮蔽板３５などから構成されている。筐体１７は、前面に前開口部１８を有し、筐体１７内に洗浄槽２０を収容する。洗浄槽２０は、前開口部１８を介して前後方向に移動自在に設けられ、食器類１９などの被洗浄物を収容する。そして、洗浄槽２０は、筐体１７の両側面内側に略水平（水平を含む）方向に架設されたレール２６に沿って前後方向に引き出し自在に筐体１７に支持される。さらに、洗浄槽２０の前方には、後方向に移動して筐体１７内に収納されたときに、筐体１７の前開口部１８を覆う扉体２１を有している。

　また、扉体２１は、上部の内面から内方へ突出して設けられた操作部２４を有する操作パネル２５と、化粧板２２と、ハンドル２３などから構成されている。なお、操作部２４は、洗浄槽２０を引き出した状態で、例えば洗浄コースの選択などの設定操作を容易に行うために食器洗い機の上方に設けられている。扉体２１の化粧板２２は、操作パネル２５の前面に固定され、例えば食器洗い機の前面全てを覆う。ハンドル２３は、使用者が掴んで操作することにより、化粧板２２を備えた扉体２１を開閉する。このとき、化粧板２２とハンドル２３は、システムキッチンの引き出し収納の扉と同じデザイン、同じ仕様で構成される。これにより、システムキッチンのデザインの統一性を図ることができる。

　また、洗浄槽２０は、上面に上開口部３１を有し、洗浄槽２０の内部に食器類１９を収容する、例えば上下に２段構成の食器かご２７が配置されている。洗浄ノズル２８は、食器かご２７の下方で洗浄槽２０の底部に回転自在に設けられている。

　制御部２５ａは、扉体２１の操作パネル２５の裏面（洗浄槽２０）側に設けられている。制御部２５ａは、例えば洗浄槽２０内に溜めた洗浄水を、洗浄槽２０の底部に配置されたヒータ２９によって加熱しながら、洗浄ポンプ３０によって循環させる。そして、制御部２５ａは、洗浄水を洗浄ノズル２８より噴射して食器類１９の洗浄などの制御を行う。これにより、制御部２５ａは、食器洗い機の洗浄ステップ、すすぎステップ、乾燥ステップなどの一連の運転を制御する。

　また、筐体１７内の上方には内蓋３２が配置されている。内蓋３２は、洗浄槽２０が筐体１７内に収容されたときに洗浄槽２０の上開口部３１を閉塞する。このとき、内蓋３２は、前後一対のリンクを含む左右一対の平行リンク機構３３により上下動自在に筐体１７に支持されている。さらに、内蓋３２の下面外周にはシール部材３４が設けられ、降下したときに洗浄槽２０の上開口部３１を水密にシールする。このとき、平行リンク機構３３は、洗浄槽２０が筐体１７から引き出されるとき、シール部材３４が洗浄槽２０の前後の移動に干渉しないように上方に逃がす構成を有する。

　また、洗浄槽２０の上開口部３１を閉塞した内蓋３２のすぐ下部には、遮蔽板３５が設けられている。遮蔽板３５は、洗浄槽２０が筐体１７に収容されたときに、上開口部３１の前後方向の一部を左右の略全体（全体を含む）にわたって覆う。このとき、遮蔽板３５は、洗浄槽２０が引き出される初期において、常に扉体２１側の位置に配置されるように構成されている。これにより、遮蔽板３５は、洗浄槽２０が引き出される初期において、洗浄水が洗浄槽２０から筐体１７より外に飛び出すのを遮る。このとき、遮蔽板３５を前後に移動可能に支持する支持部３６が、洗浄槽２０内の左右上部において前後方向に設けられている。これにより、遮蔽板３５の移動を容易にする。また、洗浄槽２０の上部だけに支持部３６を設けることにより、洗浄槽２０内の食器かご２７に収容される食器類１９の容量を、従来と同程度の容量に維持できる。さらに、遮蔽板３５を前後に移動させることにより、使用者が食器類１９を洗浄槽２０に出し入れするときに、遮蔽板３５が邪魔にならないようにできる。

　つまり、本実施の形態の食器洗い機では、遮蔽板３５が前後方向に移動可能となるように、洗浄槽２０の側面内壁と一体的に遮蔽板３５の支持部３６を、前後方向に沿って、左右の内壁から突出する突起状に設けている。これにより、支持部３６を洗浄槽２０の成形時に容易に形成できる。さらに、洗浄槽２０内の清掃などの作業性を良好に維持できる。

　また、遮蔽板３５は、全体が、例えば平板状で構成され、前端上面（扉体２１側）の左右の２か所に内蓋３２と当接する上突出部３５ａと、前端下面の左右の２か所に支持部３６と当接する下突出部３５ｂとを有する（図３参照）。さらに、支持部３６は、遮蔽板３５が扉体２１側に位置したときに、遮蔽板３５の下突出部３５ｂが落ち込む空間となる凹部３６ａを有する。このとき、支持部３６と対向する遮蔽板３５の下突出部３５ｂの下面を、支持部３６の凹部３６ａに滑らかに落ち込むように傾斜面３５ｂ１で形成することが好ましい。これにより、遮蔽板３５の移動時において、遮蔽板３５の下突出部３５ｂを、傾斜面３５ｂ１に沿って、支持部３６の凹部３６ａに滑らかに落ち込ませたり、凹部３６ａから引き出すことができる。

　以下に、本実施の形態の食器洗い機において、洗浄運転の初期に、遮蔽板３５が常に洗浄槽２０の扉体２１側の位置に配置される理由について、説明する。

　まず、図４に示すように、例えば食器かご２７に食器類を配置する際に、遮蔽板３５が洗浄槽２０の後部に移動している場合、洗浄槽２０が収容されるときに、図５に示すように、遮蔽板３５の上突出部３５ａが内蓋３２の前端に当接する。そして、洗浄槽２０が筐体１７の内部に収容されるにしたがって、遮蔽板３５は、相対的に、前側、すなわち扉体２１側に移動する。さらに、遮蔽板３５が移動して、扉体２１側の位置に配置されたとき、遮蔽板３５の下突出部３５ｂが、傾斜面３５ｂ１に沿って、支持部３６の凹部３６ａに落ち込む。これにより、遮蔽板３５の上突出部３５ａと内蓋３２との当接が解消される。その結果、内蓋３２が、洗浄槽２０の上開口部３１を閉塞したときには、遮蔽板３５の上突出部３５ａと内蓋３２とが干渉しなくなる。つまり、食器洗い機で洗浄運転するときには、常に遮蔽板３５は、洗浄槽２０の扉体２１側の位置に配置されることになる。

　以上により、本実施の形態の食器洗い機が構成されている。

　以下に、本実施の形態の食器洗い機の、洗浄運転前までの動作および作用について、説明する。

　まず、使用者は、扉体２１の化粧板２２に設けられたハンドル２３を掴み、洗浄槽２０を引き出す。これにより、使用者が、扉体２１の内面に設けられた操作パネル２５の操作部２４を上方から操作できる状態となる。

　つぎに、使用者は、食器類１９を食器かご２７に収容して、洗剤を洗浄槽２０内に投入する。このとき、操作パネル２５の操作部２４を介して洗浄コースなどを設定する。そして、洗浄槽２０を筐体１７内に収容する。このとき、本実施の形態では、洗浄槽２０が筐体１７に収容された状態において、扉体２１の化粧板２２は、収容されるシステムキッチンの扉と同じデザインで構成されている。そのため、システムキッチン全体のデザインの統一性が維持される。

　なお、上述したように、食器類１９を食器かご２７にセットするとき、使用者は、洗浄槽２０の上開口部３１の一部を覆う遮蔽板３５を、邪魔にならないように洗浄槽２０に設けられた支持部３６に沿って前後に移動させることができる。このとき、例えば洗浄槽２０を筐体１７に収容するときに、図４に示すように遮蔽板３５が洗浄槽２０の後部に移動している場合、遮蔽板３５は支持部３６と当接する下突出部３５ｂによって前部が持ち上げられて後方に傾斜した状態になる。これにより、遮蔽板３５の上突出部３５ａが内蓋３２に当接する高さとなる。そのため、使用者が、筐体１７内に洗浄槽２０を押し込むと、図５に示すように、内蓋３２の前端に遮蔽板３５の上突出部３５ａが当接する。その結果、上突出部３５ａが内蓋３２に当接した状態で遮蔽板３５が取り残されて、洗浄槽２０だけが筐体１７の内方に移動する。

　そして、洗浄槽２０が所定の位置まで筐体１７内に収容されると、支持部３６に設けた凹部３６ａに、遮蔽板３５の下突出部３５ｂが落ち込む。これにより、平板状の遮蔽板３５が支持部３６と平行になる。その結果、遮蔽板３５の上突出部３５ａが内蓋３２との当接から解除され、遮蔽板３５が扉体２１側の位置に配置されることになる。このとき、遮蔽板３５は、下突出部３５ｂの下面の傾斜面３５ｂ１により、支持部３６の凹部３６ａに滑らかに落ち込む。これにより、遮蔽板３５と支持部３６との衝突音の発生を防止できる。なお、傾斜面を、支持部３６の先端近傍から先端に向かって下方に落とし込むように傾斜する構成としてもよい。また、これらの傾斜面の代わりに、遮蔽板３５と支持部３６との衝突部に、例えばゴムなどの弾性材などの緩衝部材を設けてもよい。これにより、遮蔽板３５と支持部３６との衝突音を抑制できる。

　つぎに、内蓋３２が、平行リンク機構３３により洗浄槽２０の所定の位置に降下する。これにより、洗浄槽２０の上開口部３１を、内蓋３２のシール部材３４を介して水密的にシールして覆う。このとき、内蓋３２と遮蔽板３５との当接は、すでに解消されている。そのため、内蓋３２は、遮蔽板３５に妨げられることなく確実に、洗浄槽２０の上開口部３１を閉塞できる。

　つぎに、洗浄槽２０が筐体１７内に収容されると、制御部２５ａは、収納スイッチ２０ａにより洗浄槽２０の収容完了を検知する。そして、操作部２４を介して設定された洗浄コースにしたがって、洗浄運転を開始する。

　以上により、本実施の形態の食器洗い機の洗浄運転前までの動作が実行され、以降の洗浄運転動作が行われる。

　以下に、本実施の形態のポイントである、洗浄運転中に、使用者が洗浄槽２０を引き出す場合における食器洗い機の動作および作用について、説明する。なお、洗浄運転中に洗浄槽２０を引き出す動作とは、例えば洗浄する食器類１９の追加や、食器類１９の収容状態を使用者が確認したりする場合などである。

　この場合、本実施の形態の食器洗い機は、取っ手スイッチを設けていない。そのため、制御部２５ａは、洗浄槽２０の収納状態、すなわち、洗浄槽２０の収容完了や引き出される動きを収納スイッチ２０ａで検知して、洗浄ポンプ３０の洗浄運転を停止する。つまり、洗浄運転中に、洗浄槽２０が引き出される場合、洗浄槽２０の動きを検知してから、制御部２５ａは洗浄ポンプ３０の動作を停止する。そのため、洗浄ポンプ３０の停止動作が遅れ気味となり、例えば洗浄ノズル２８から洗浄水が噴出した状態で、洗浄槽２０が引き出される。このとき、洗浄ポンプ３０のモータの慣性力により、洗浄ポンプ３０を急に停止できないため、洗浄ノズル２８から噴出する洗浄水が洗浄槽２０から筐体１７より外に飛び出る場合がある。

　そこで、本実施の形態の食器洗い機は、洗浄槽２０の上開口部３１の一部を覆う、前後方向に移動可能な遮蔽板３５を設けている。そして、遮蔽板３５は、洗浄槽２０の上開口部３１のいかなる位置に配置されていても、上述したように、洗浄槽２０が筐体１７に収容されるときに扉体２１側の位置に戻される。つまり、洗浄運転中に、洗浄槽２０が引き出されても、少なくとも洗浄槽２０が引き出される初期において、常に、遮蔽板３５は扉体２１側の位置に配置されている。そのため、洗浄ノズル２８から噴射された洗浄水が洗浄槽２０から飛び出すことを、遮蔽板３５が遮る。これにより、洗浄水が洗浄槽２０から筐体１７より外に飛び出すことを防止できる。なお、遮蔽板３５の存在しない側の洗浄槽２０の上開口部３１から筐体１７内に洗浄水が飛び出したとしても、筐体１７内で洗浄水を処理することができる。そのため、洗浄水が洗浄槽２０から筐体１７より外に飛び出すことはない。

　上述したように、本実施の形態の食器洗い機は、洗浄運転中に洗浄槽を引き出した時に、取っ手スイッチを設けなくても、洗浄水が洗浄槽から筐体より外に飛び出さないようにできる。これにより、取っ手スイッチを不要とし、構成を簡略化できる。また、収容されるシステムキッチンの扉と同じデザインの化粧板を扉体として前面に設けることができる。その結果、使い勝手が良く、デザイン性に優れた食器洗い機を実現できる。

　（実施の形態２）
　以下に、本発明の実施の形態２における食器洗い機について、図６および図７を用いて説明する。なお、実施の形態１と同一または相当する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。

　図６は、本発明の実施の形態２における食器洗い機の洗浄槽が筐体から前方に引き出される初期状態の側面断面図である。図７は、本発明の実施の形態２における食器洗い機の正面断面図である。

　本実施の形態の食器洗い機は、遮蔽板４０を、かご蓋４１ａを有する小型食器かご４１で構成した点で、実施の形態１の食器洗い機と異なる。これにより、洗浄槽３７の容積を拡大できるとともに、食器かご３８を有効に利用することができる。

　すなわち、図６および図７に示すように、本実施の形態の食器洗い機は、洗浄槽３７内に、例えば上下に２段構成の食器かご３８が配設され、食器かご３８の上部に設けられた支持部３９に沿って前後方向に移動するかご蓋４１ａを有する小型食器かご４１からなる遮蔽板４０で構成されている。そして、食器かご３８の支持部３９は、食器かご３８の上部で洗浄槽３７の上開口部３１の近傍に位置するように、食器かご３８と一体的に構成されている。

　このとき、遮蔽板４０は、実施の形態１と同様に、上突出部４０ａと下突出部４０ｂを備えている。また、食器かご３８は、支持部３９と洗浄槽３７の前方の内壁面との間に、実施の形態１の凹部に相当する隙間３９ａが形成されるように配置される。なお、他の食器洗い機の構成は、実施の形態１と同様である。

　以上により、本実施の形態の食器洗い機が構成されている。

　本実施の形態の食器洗い機によれば、食器かご３８の上部に一体的に支持部３９を設けている。そのため、実施の形態１のように洗浄槽３７の側壁に突起状の支持部などを設ける必要がない。これにより、食器かご３８の左右方向の大きさを洗浄槽３７の内壁ぎりぎりまでの大きさとすることができる。その結果、食器かご３８に収容する食器類１９の収容量を大きくできる。また、メンテナンスなどで、洗浄ノズル２８を取り外すために食器かご３８を出し入れするときにおいて、作業が容易になる。

　また、本実施の形態の食器洗い機によれば、遮蔽板４０をかご蓋４１ａを有する小型食器かご４１で構成する。これにより、小型食器かご４１に小物の食器類を収容して、食器洗い機で洗浄する食器類の収容量を増やすことができる。さらに、洗浄運転の際に、必ず扉体２１側の洗浄位置に戻る移動かごとして遮蔽板４０を構成する小型食器かご４１を使用できる。

　また、本実施の形態の食器洗い機は、前後方向に移動可能な遮蔽板４０を設けている。そして、遮蔽板４０は、実施の形態１の遮蔽板３５と同様に、洗浄槽２０を筐体１７内に収納するときに、洗浄槽２０の上開口部３１のいかなる位置に配置されていても、洗浄槽３７が筐体１７に収容されるときに扉体２１側の位置に戻される。つまり、洗浄運転中に、洗浄槽３７が引き出されても、少なくとも洗浄槽３７が引き出される初期において、遮蔽板４０は、常に、下突出部４０ｂが隙間３９ａに落ち込んで扉体２１側の位置に配置される。そのため、洗浄ノズル２８から噴射された洗浄水が洗浄槽２０から飛び出すことを、遮蔽板４０が遮る。これにより、洗浄水が洗浄槽３７から筐体１７より外に飛び出すことを防止できる。

　なお、実施の形態１および実施の形態２で説明した遮蔽板と支持部の構成は、それぞれに記載された構成に限定されるものではなく、適宜、組み合わせて構成してもよいことは言うまでもない。

　（実施の形態３）
　以下に、本発明の実施の形態３における食器洗い機について、図８を用いて説明する。また、実施の形態１および実施の形態２と同一または相当する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。

　図８は、本発明の実施の形態３における食器洗い機の洗浄槽が筐体から前方に引き出された状態の側面断面図である。

　本実施の形態の食器洗い機は、洗浄槽４２の上開口部３１の扉体２１側を覆うように、回転可能な遮蔽板４３を設けた点で、上記各実施の形態とは異なる。他の食器洗い機としての構成は実施の形態１と同様である。

　すなわち、図８に示すように、本実施の形態の食器洗い機は、洗浄槽４２の前方に設けられた遮蔽板４３を軸支する軸部４２ａと、軸部４２ａを中心に、扉体２１側から上方へ垂直状態まで回転可能に設けられた遮蔽板４３とを備えている。このとき、軸部４２ａは、遮蔽板４３が回転したときに、任意の角度（垂直状態までの角度範囲）で、遮蔽板４３の角度状態を保つように構成されている。

　以上により、本実施の形態の食器洗い機が構成されている。

　以下に、本実施の形態の食器洗い機の動作および作用について、説明する。なお、基本的な動作および作用は、実施の形態１と同様であるので説明を省略する。

　まず、使用者は、洗浄槽４２を引き出して、食器類１９を食器かご２７に収容する。このとき、使用者は、遮蔽板４３を洗浄槽４２に設けた軸部４２ａを中心に上方に回転させて立ち上げる。これにより、食器かご２７への食器類１９の出し入れができる。なお、遮蔽板４３が立ち上がった状態でも、洗浄槽４２を筐体１７に収容するときに、遮蔽板４３が筐体１７に当接して、略水平状態（水平状態を含む）に戻る。

　つまり、本実施の形態の食器洗い機によれば、洗浄槽４２の上開口部３１の一部を覆う、軸部４２ａを中心に回転可能な遮蔽板４３を備えている。そのため、遮蔽板４３が回転範囲のいかなる位置にあっても、洗浄槽４２を筐体１７に収容するときに、遮蔽板４３は扉体２１側で洗浄槽４２の上開口部３１を覆う位置に戻される。この構成により、洗浄運転中に、洗浄槽４２が引き出されても、少なくとも洗浄槽４２が引き出される初期に、遮蔽板４３は、常に、扉体２１側の位置に配置される。そのため、洗浄ノズル２８から噴射された洗浄水が洗浄槽４２から飛び出すことを、遮蔽板４３が遮る。これにより、洗浄水が洗浄槽４２から筐体１７より外に飛び出すことを防止できる。

　以上で説明したように、本発明の食器洗い機は、前面に前開口部を有する筐体と、筐体内に引き出し可能に収容され上面に上開口部を有する洗浄槽と、洗浄槽の前方に設けられ洗浄槽が筐体に収容されたときに前開口部を覆う扉体と、を備える。さらに、洗浄槽が筐体に収容されたときに上開口部を閉塞する内蓋と、洗浄槽の収容状態を検知する収納スイッチと、洗浄槽の内部に洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、上開口部の一部を覆う遮蔽板とを備える。そして、遮蔽板は、少なくとも洗浄槽が引き出される初期に扉体側の上開口部を覆う位置に配置されてもよい。

　この構成により、収容されるシステムキッチンの扉と同じデザインの化粧板を食器洗い機の扉体として前面全てに施すことができる。さらに、洗浄運転中に洗浄槽を引き出した時に、洗浄水が洗浄槽から筐体より外に飛び出すことを遮蔽板で防止できるので、必ずしも扉体の前面に操作パネルや取っ手スイッチを設けなくてもよい。その結果、使い勝手が良く、デザイン性に優れた食器洗い機を提供することができる。

　また、本発明の食器洗い機は、遮蔽板が、移動可能に構成されてもよい。これにより、使用者が食器類を洗浄槽に出し入れする際に、遮蔽板が邪魔にならない。その結果、使用者の作業性が向上する。

　また、本発明の食器洗い機は、遮蔽板を前後に移動可能に支持する支持部を、洗浄槽内の左右上部に設けてもよい。これにより、遮蔽板が容易に移動する構成にできる。同時に、食器かごに収容される食器類の収容量を維持できる。

　また、本発明の食器洗い機は、支持部が、洗浄槽の壁面上部に一体的に構成されてもよい。これにより、支持部を、洗浄槽の成形時に容易に形成できる。さらに、洗浄槽内の清掃などの作業性を良好できる。

　また、本発明の食器洗い機は、洗浄槽内に食器かごが配設され、支持部を食器かごに設けてもよい。これにより、洗浄槽に、洗浄槽の壁面から内方へ突出する突起状の支持部を設ける必要がなくなる。その結果、食器かごの収容量を増加できるとともに、食器かごの出し入れなどの作業性が向上する。

　また、本発明の食器洗い機は、遮蔽板を、洗浄槽が収容されるときに内蓋に当接して扉体側に移動するように構成してもよい。この構成によれば、使用者が食器類の出し入れを行うときに、遮蔽板を後側に移動した場合でも、洗浄槽を筐体に収容する際に、遮蔽板が内蓋に当接する。そして、遮蔽板は、内蓋に当接した状態で、洗浄槽の移動とともに支持部上を移動して、容易に前側、すなわち扉体側に戻る。その結果、洗浄槽が引き出される初期には、遮蔽板を、常に扉体側の位置に配置することができる。

　また、本発明の食器洗い機によれば、遮蔽板は、上面に上方へ突出する上突出部を有し、洗浄槽が収容されるときに内蓋に当接する構成を有してもよい。これにより、遮蔽板の上突出部が内蓋の前端に当接して、洗浄槽を筐体に収容するときにおいて、支持部上を容易に移動できる。

　また、本発明の食器洗い機によれば、遮蔽板は、内蓋が上開口部を閉塞したときには内蓋と干渉しない構成を有してもよい。これにより、遮蔽板に妨げられることなく、確実に内蓋で洗浄槽の上開口部を閉塞できる。

　また、本発明の食器洗い機によれば、遮蔽板は、上面に内蓋に当接する上突出部と、下面前部で支持部に当接する下突出部とを有し、支持部は、遮蔽板が扉体側に位置したときに、下突出部が落ち込む凹部を有する。そして、遮蔽板が扉体側に位置したときに、下突出部が凹部に落ち込んで上突出部と内蓋との当接を解除する構成を有してもよい。この構成により、使用者が食器類の出し入れを行うときに遮蔽板を後側に移動した場合でも、洗浄槽を筐体に収容する際に、遮蔽板が内蓋に当接する。そして、遮蔽板は、内蓋に当接した状態で、洗浄槽の移動とともに支持部上を移動して、容易に前側、すなわち扉体側に戻る。その結果、次回の洗浄において、洗浄槽が引き出される初期には、遮蔽板は、常に扉体側の位置に配置される。さらに、遮蔽板が扉体側に戻ることにより、内蓋との当接がなくなる。その結果、遮蔽板に妨げられることなく、確実に内蓋で洗浄槽の上開口部を閉塞できる。

　また、本発明の食器洗い機は、凹部と下突出部との少なくともいずれか一方に、滑らかに落ち込む構成を有してもよい。これにより、遮蔽板を、前後方向および上下方向に滑らかに移動させることができる。

　また、本発明の食器洗い機は、凹部と下突出部との少なくともいずれか一方に、傾斜面を備えてもよい。これにより、遮蔽板の下突出部を、支持部の凹部に滑らかに移動させて落ち込ませることができる。その結果、衝突音などの騒音の発生を防止できる。

　また、本発明の食器洗い機は、遮蔽板を、回動可能に構成してもよい。これにより、使用者が食器類を洗浄槽に出し入れするときに、遮蔽板を回動して、遮蔽板が邪魔にならない構成にできる。

　また、本発明の食器洗い機は、遮蔽板を、かご蓋を有する小型食器かごで構成してもよい。これにより、洗浄運転中に洗浄槽を引き出したときでも、飛び出す洗浄水を遮るとともに、収納できる食器類の収容量を増やすことができる。

　本発明の食器洗い機は、収容されるシステムキッチンの扉と同じデザインの化粧板が前面全てに施され、デザイン性を高めることが可能となる。そのため、システムキッチンにビルトインして使用されるタイプの食器洗い機などとして有用である。

　１，１８　　前開口部
　２，１７　　筐体
　３，２０，３７，４２　　洗浄槽
　３ａ，２０ａ　　収納スイッチ
　４，２１　　扉体
　５，３１　　上開口部
　６，１９　　食器類
　７，２７，３８　　食器かご
　８，２８　　洗浄ノズル
　９，３０　　洗浄ポンプ
　１０，２６　　レール
　１１，２５　　操作パネル
　１１ａ　　取っ手
　１２，３２　　内蓋
　１３　　リンク機構
　１４　　取っ手レバー
　１４ａ　　回動軸
　１５　　連動レバー
　１５ａ　　ロック片
　１６，２９　　ヒータ
　２２　　化粧板
　２３　　ハンドル
　２４　　操作部
　２５ａ　　制御部
　３３　　平行リンク機構
　３４　　シール部材
　３５，４０，４３　　遮蔽板
　３５ａ，４０ａ　　上突出部
　３５ｂ，４０ｂ　　下突出部
　３５ｂ１　　傾斜面
　３６，３９　　支持部
　３６ａ　　凹部
　３９ａ　　隙間
　４１　　小型食器かご
　４１ａ　　かご蓋
　４２ａ　　軸部

Claims (13)

1. 前面に前開口部を有する筐体と、
   前記筐体内に引き出し可能に収容され上面に上開口部を有する洗浄槽と、
   前記洗浄槽の前方に設けられ前記洗浄槽が前記筐体に収容されたときに前記前開口部を覆う扉体と、
   前記洗浄槽が前記筐体に収容されたときに前記上開口部を閉塞する内蓋と、
   前記洗浄槽の収容状態を検知する収納スイッチと、
   前記洗浄槽の内部に洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、
   前記上開口部の一部を覆う遮蔽板と、を備え、
   前記遮蔽板は、少なくとも前記洗浄槽が引き出される初期に前記扉体側の前記上開口部を覆う位置に配置される食器洗い機。
2. 前記遮蔽板は、移動可能な構成を有する請求項１に記載の食器洗い機。
3. 前記遮蔽板を前後に移動可能に支持する支持部を、前記洗浄槽内の左右上部に設ける請求項１に記載の食器洗い機。
4. 前記支持部は、前記洗浄槽の壁面上部に構成される請求項３に記載の食器洗い機。
5. 前記洗浄槽内に食器かごが配設され、前記支持部を前記食器かごに設ける請求項３に記載の食器洗い機。
6. 前記遮蔽板は、前記洗浄槽が収容されるときに前記内蓋に当接して前記扉体側に移動するように構成される請求項１に記載の食器洗い機。
7. 前記遮蔽板は、上面に上方へ突出する上突出部を有し、前記洗浄槽が収容されるときに前記内蓋に当接する構成を有する請求項６に記載の食器洗い機。
8. 前記遮蔽板は、前記内蓋が前記上開口部を閉塞したときには前記内蓋と干渉しない構成を有する請求項１に記載の食器洗い機。
9. 前記遮蔽板は、上面に前記内蓋に当接する上突出部と、下面前部で前記支持部に当接する下突出部とを有し、
   前記支持部は、前記遮蔽板が前記扉体側に位置したとき前記下突出部が落ち込む凹部を有し、
   前記遮蔽板が前記扉体側に位置したとき、前記下突出部が前記凹部に落ち込んで前記上突出部と前記内蓋との当接を解除する構成を有する請求項６から請求項８のいずれか１項に記載の食器洗い機。
10. 前記凹部と前記下突出部との少なくともいずれか一方に、滑らかに落ち込む構成を有する請求項９に記載の食器洗い機。
11. 前記凹部と前記下突出部との少なくともいずれか一方に、傾斜面を備える請求項１０に記載の食器洗い機。
12. 前記遮蔽板は、回動可能な構成を有する請求項１に記載の食器洗い機。
13. 遮蔽板は、かご蓋を有する小型食器かごで構成される請求項１に記載の食器洗い機。

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