WO2014065193A1 - アームレスト取付構造 - Google Patents
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Abstract
インナーブラケット(40)は、バックフレーム(30)の内側を覆う側壁(43)と、後側を覆う側壁(41)と、前側を覆う側壁(42)とを有する。アウターブラケット(50)は、アームレスト(20)を支持するとともにバックフレーム(30)の外側を覆う支持側壁(51)と、インナーブラケット(40)の側壁(42)に重ね合わせて配置される側壁(52)とを有する。支持側壁(51)は、ボルト(85)及びナット(86)を介してインナーブラケット(40)の側壁(42)と連結されている。インナーブラケット(40)の側壁(41)、アウターブラケット(50)の側壁(52)、バックフレーム(30)、インナーブラケット(40)の側壁(42)を貫通する貫通ボルト(70)とナット(72)によりインナーブラケット(40)及びアウターブラケット(50)はバックフレーム(30)に共締め固定されている。
Description
本発明は、アームレスト取付構造に関する。
従来、自動車の運転席、助手席等のシートに対してアームレストを工場出荷段階で取付けする場合と、工場出荷後に取付けする場合、すなわち後付けする場合とがある(特許文献1)。工場出荷段階でアームレストを取付けする場合は、アームレストの取付強度を確保するためにバックフレームにアームレスト取付ブラケットを溶接付けすることが多い。
一方、アームレストの後付けでは、アームレスト取付ブラケット自体がバックフレームに対して後付けされる。
特許文献1では、アームレスト取付ブラケットに関して、2つの後付け方法が開示されている。第1の方法では、工場出荷後にディーラにてアームレストを後付けできるように、アームレスト取付ブラケットを螺着するための複数個のブラケット締結ナットがシートフレームの側面に対して溶接により予め固定される。そして、その締結ナットに前記アームレスト取付ブラケットをボルトで締め付け固定し、その後アームレストが取付けられる。このように締結ナットを溶接固定することにより、アームレスト取付ブラケットを前記ボルトで固定する場合に、その取付け強度を高めることができる。
第2の方法は、断面U字状の支持部材の一側壁をシートフレームの内側面に係止するように位置決めし、前記支持部材の前記一側壁とは反対側の側壁にストッパを配置するものである。この第2の方法では、前記ストッパ、前記支持部材及びアームレスト取付ブラケットのそれぞれに形成された取付孔を整合させた状態で、それら取付孔にボルトが挿入される。挿入したボルトは、前記支持部材の反対側の側壁の内面に溶接固定されたナットに締め付けられる。この第2の方法の場合も、前記ナットが支持部材に対して溶接固定されているため、アームレスト取付ブラケットを前記ボルトで固定する場合に、その取付け強度を高めることができる。
特許文献2は、出願時のアームレスト取付構造の技術水準を示すものである。特許文献2では工場出荷段階でアームレストをシートバックのフレームに固定されたブラケットに固定することが開示されており、明示はないが、前記ブラケットは前記フレームに溶接固定されていることが推測される。また、特許文献3は、同じく出願時のアームレスト取付構造の技術水準を示すものであり、シートバックのフレームに対してブラケットが溶接で固定され、このブラケットに対してアームレストが固定されていることが開示されている。
しかしながら、特許文献1の第1の方法又は第2の方法でアームレストを後付けする場合、アームレスト取付ブラケットの取付け強度を確保するために、締結ナットをシートフレームに対して溶接するか、或いはナットを支持部材に対して溶接する必要がある。
そこで本発明の目的は、アームレストを後付けする場合に使用する部材の溶接を必要とすることなく、アームレストの取付強度を確保することができるアームレスト取付構造を提供することにある。
上記問題点を解決するために、本発明の一態様では、鉛直方向に延びるフレーム材と、前記フレーム材の少なくとも前側、後側及び外側を覆うようにそれぞれ配置された前側壁部材、後側壁部材及び外側壁部材を有するブラケット体であって、前記外側壁部材は、前記前側壁部材及び前記後側壁部材のうちいずれか一方と直接に連結される一方、前記前側壁部材及び前記後側壁部材のうちの他方とも直接に、または締結部材を介して連結され、前記外側壁部材にアームレストが回転自在に支持されたブラケット体と、前記前側壁部材、前記フレーム材及び前記後側壁部材を貫通する貫通ボルトと、前記貫通ボルトに締め付けられるナットとを含み、前記フレーム材に対して、前記前側壁部材及び前記後側壁部材が前記貫通ボルトと前記ナットにより共締め固定されたものであるアームレスト取付構造が提供される。
前記ブラケット体は、前記外側壁部材と前記後側壁部材とが直接に連結されたアウターブラケットと、インナーブラケットとを含み、前記インナーブラケットは、前記前側壁部材のみからなるか、または、前記インナーブラケットは、前記前側壁部材と、前記前側壁部材と直接に連結されるとともに前記フレーム材の内側に配置されて前記フレーム材を覆う内側壁部材と、前記内側壁部材と直接に連結されるとともに前記後側壁部材と重ね合わせて配置される第1重合側壁部材であって、前記貫通ボルトにより前記後側壁部材とともに貫通される第1重合側壁部材とを含んでもよい。
あるいは、前記ブラケット体は、前記外側壁部材と前記前側壁部材とが直接に連結されたアウターブラケットと、インナーブラケットとを含み、前記インナーブラケットは、前記後側壁部材と、前記後側壁部材と直接に連結されるとともに前記フレーム材の内側に配置されて前記フレーム材を覆う内側壁部材と、前記内側壁部材と直接に連結されるとともに前記前側壁部材と重ね合わせて配置される第2重合側壁部材であって、前記貫通ボルトにより前記前側壁部材とともに貫通される第2重合側壁部材を含んでもよい。
あるいは、前記ブラケット体は、前記外側壁部材に前記前側壁部材及び前記後側壁部材が直接に連結されたアウターブラケットと、インナーブラケットとを含み、前記インナーブラケットは、前記フレーム材の内側に配置されて前記フレーム材を覆うとともに、前記前側壁部材及び前記後側壁部材のうちいずれか一方と締結部材を介して連結された内側壁部材と、前記内側壁部材と直接に連結されて、前記前側壁部材及び前記後側壁部材のうちの他方と重ね合わせて配置される第3重合側壁部材であって、前記貫通ボルトにより貫通される第3重合側壁部材とを含んでもよい。
あるいは、前記ブラケット体は、前記外側壁部材に前記前側壁部材及び前記後側壁部材が直接に連結されたアウターブラケットと、前記外側壁部材の外側面に固定された補強部材であって、前記外側壁部材とともに前記アームレストを回転自在に支持する補強部材とを含んでいてもよい。
ここで、本発明は前記フレーム材が、パイプ材により形成されている場合に好適である。
また、前記外側壁部材の前記フレーム材と対向する内側面と、前記フレーム材との間には、前記貫通ボルトの締め付け時に、前記フレーム材の塑性変形を防止する塑性変形防止部材が配置されていてもよい。
また、前記ブラケット体の前記前側壁部材と前記後側壁部材は、前記貫通ボルトの締め付け以前には、前記フレーム材との間に間隙を有するように配置され、前記貫通ボルトと前記ナットによる締め付け時に、前記塑性変形防止部材は、前記前側壁部材と前記後側壁部材の弾力に抗して前記間隙が少なくともなくなるまで記前側壁部材及び前記後側壁部材の変位を許容することが好ましい。
上記アームレスト取付構造によれば、アームレストを後付けする場合に使用する部材の溶接を必要とすることなく、アームレストの取付強度を確保することができる。
(第1実施形態:第1、第2、及び第5実施形態のサポート)
以下、車両用シートにアームレストを後付けするためのアームレスト取付構造の一実施形態を図1~図6を参照して説明する。なお、本明細書において、前後左右の方向は車両用シート10に着座した乗員の視点を基準としている。
以下、車両用シートにアームレストを後付けするためのアームレスト取付構造の一実施形態を図1~図6を参照して説明する。なお、本明細書において、前後左右の方向は車両用シート10に着座した乗員の視点を基準としている。
まず、車両用シートについて説明する。車両用シート10は、着座部10A、シートバック10B、及び左右一対のアームレスト20を備える。着座部10A内には図示しない着座フレームが設けられている。該着座フレームの左右後端には、前記シートバック10Bを支持する左右一対のバックフレーム30が図示しないリクライニング機構を介して連結されている。フレーム材としてのバックフレーム30は、金属製の円管状のパイプ材からなり、上下方向すなわち鉛直方向に延びている。前記着座フレームをクッション及び表皮で覆うことにより着座部10Aが構成される。
次に、本実施形態のアームレスト取付構造について説明する。
本実施形態のアームレスト取付構造は、アームレスト20が、インナーブラケット40及びアウターブラケット50を介して前記バックフレーム30に取り付けられているところが特徴的な構成である。
インナーブラケット40及びアウターブラケット50によりブラケット体100が構成されている。
なお、左側のアームレスト20を左側のバックフレーム30に取付けるための各部材と、右側のアームレスト20を右側のバックフレーム30に取付けるための各部材は、互いに左右対称の構成である。このため、左側のバックフレーム30のアームレスト取付構造については説明を省略して、以下では、車両用シート10の右側のバックフレーム30のアームレスト取付構造について説明する。このため、右側のバックフレーム30のアームレスト取付構造に関する以下の説明では、右方は、右側のバックフレーム30の外方を意味し、左方は右側のバックフレーム30の内方を意味する。なお、因みに左側のバックフレーム30のアームレスト取付構造における右方は、左側のバックフレーム30の内方に相当し、左方は左側のバックフレーム30の外方に相当することになる。
図5に示すようにインナーブラケット40は、金属材質からなり、互いに平行に配置された一対の側壁41、42及び両側壁41,42を連結する側壁43とにより断面U字状に形成されている。本実施形態では、側壁41,42及び側壁43は平板状に形成されている。側壁41、42は後述するスペーサ74を介して、バックフレーム30に当接されるとともに側壁43はバックフレーム30に直接当接又は近接配置されている。
インナーブラケット40が断面U字状に形成されていることにより、側壁43はバックフレーム30の内側(左側)を覆い、側壁41は、バックフレーム30後側を覆い、側壁42はバックフレーム30の前側を覆っている。
側壁41は、第1重合側壁部材に相当する。
なお、インナーブラケット40の側壁43は、バックフレーム30の周面に沿って湾曲して当接してもよい。この場合も、インナーブラケット40によりバックフレーム30を覆うことが可能である。図2、図4及び図5に示すようにインナーブラケット40の側壁42の下部には、側壁43と平行に又は略平行に延びる連結片44が前方へ突出するように折り曲げ形成されている。
図5に示すようにインナーブラケット40の両側壁41、42には一対の取付孔41a,42a及び取付孔41b,42bがそれぞれ貫通形成されている。側壁41の取付孔41a及び取付孔41bはそれぞれ、側壁42の取付孔42a及び取付孔42bと同軸に配置されている。
図2及び図4に示すように、インナーブラケット40は、バックフレーム30を前後から両側壁41、42で挟むようにして複数の貫通ボルト70とナット72によりバックフレーム30に締め付け固定されている。各ボルト70は、インナーブラケット40の取付孔41a,42a又は取付孔41b,42bと、バックフレーム30に形成された貫通孔32とに挿入されている。
貫通孔32は、メーカー側で予め形成しておいてもよく、または、販売店側でアームレストの後付け時に形成されてもよい。
なお、図4において、側壁41とバックフレーム30の間、及び側壁42とバックフレーム30の間にはスペーサ74がそれぞれ配置されている。本実施形態では、貫通ボルト70及びナット72の数はそれぞれ2個であるが、バックフレーム30が円管状に形成されている場合は、その数を3個以上にし、それに応じてインナーブラケット40の取付孔の数を増やしても良い。
図6に示すように、アウターブラケット50は金属材質からなり、平板状の支持側壁51と、前記支持側壁51に一体に形成されることにより支持側壁51と直接に連結された平板状の側壁52とから断面L字状に形成されている。前記支持側壁51は、バックフレーム30の外側を覆うように配置され、アームレスト20を支持する役割をする。側壁52は、バックフレーム30に取り付けられる。本実施形態では、アウターブラケット50の支持側壁51は外側壁部材に相当し、アウターブラケット50の側壁52は後側壁部材に相当し、インナーブラケット40の側壁42は前側壁部材に相当する。
アウターブラケット50の側壁52は、インナーブラケット40の取付孔41a,41bとそれぞれ合致する取付孔52a,52bが貫通形成されている。アウターブラケット50は、側壁52が前記インナーブラケット40の側壁41の外面に配置された状態で、取付孔52a,52bに対してバックフレーム30の後方からそれぞれ挿通された一対の前記貫通ボルト70及びナット72により、締め付けられている。すなわち、インナーブラケット40の側壁41,42及びアウターブラケット50の側壁52は、前記貫通ボルト70とナット72により、バックフレーム30に対して共締めされて固定されている。
図6に示すように支持側壁51の下端からは前方に突出形成された連結片54が設けられている。図4に示すようにインナーブラケット40の連結片44と重ね合った状態で、連結片54に溶着固定されたボルト85及びボルト85に螺合されたナット86により、両連結片44,54が相互に締結されている。ボルト85及びナット86は締結部材に相当する。
両連結片44、54が連結されるとともに、前記貫通ボルト70及びナット72により、インナーブラケット40、アウターブラケット50がバックフレーム30に対して共締め固定されることにより、図4に示すように、両ブラケット40、50は、両連結片44、54を通る面による横断面が環状をなす構造を有する。
図3に示すようにアウターブラケット50の支持側壁51には、前記アームレスト20が取り付けられている。すなわち、支持側壁51には、軸孔51aが透設され、後述するアームレスト20から突出した軸80の先端が軸孔51aを貫通した状態で、アームレスト20はアウターブラケット50に取付けられている。
次に、アームレスト20の構成について説明する。
図1に示すように、アームレスト20は細長の形状を有する。アームレスト20の内部にはアームレストフレーム21が設けられ、アームレストフレーム21は、図示しないクッション及び表皮フレーム22で覆われている。アームレストフレーム21の基端を除く部位は、図4に示すように、アームレスト20の長手方向に沿って互いに略平行に延びる一対の側壁23,24が一対の連結壁25,26により連結された構成を有する。前記側壁24は、側壁23よりもバックフレーム30側に配置されている。
図3に示すようにアームレストフレーム21の基端は、平行に配置された側壁23,24が前記連結壁25にて連結されて断面U字状に形成されている。
アームレストフレーム21の基端の側壁23,24には、互いに同軸に位置する貫通孔23a,24aがそれぞれ形成されている。貫通孔23aは、貫通孔24aよりも小径に形成されている。前記貫通孔24aには、規制管27がバックフレーム30側から挿入されて、規制管27の挿入端は側壁23の内面に当接している。規制管27は、側壁24からバックフレーム30に向かって突出する突出部27aを有する。前記支持側壁51と表皮フレーム22との間に配置されるように、突出部27aにはリング状のスペーサ28が嵌合されている。スペーサ28は、潤滑油を含浸した含浸メタルにより形成されている。
規制管27の突出部27aの先端は、バックフレーム30に取り付けられたアウターブラケット50の支持側壁51の軸孔51aに嵌合されている。
図3に示すように、ボルトの軸部である軸80はアームレストフレーム21の貫通孔23a及び規制管27を貫通して、アウターブラケット50の支持側壁51から突出する軸80の先端にはナット82が規制管27の端部に当接するまで螺合されている。すなわち、軸80に対するナット82の螺合量が前記規制管27により規制されている。この規制管27によるナット82の規制により、アームレスト20は支持側壁51に対して回転自在に支持されている。
図6に示すように、支持側壁51の上面には、略1/4円弧のガイド面51bが形成されている。ガイド面51bの曲率中心は、軸孔51aの中心と一致している。ガイド面51bの上端部にはストッパ面51cが形成され、連結片54の上面にはストッパ面54aが設けられている。
図2に示すように、表皮フレーム22のバックフレーム30側の側面には、前記ガイド面51bによってガイドされる突部22aが形成されている。
アームレスト20は、ストッパ面54a,51c間の範囲で回転自在である。そして、突部22aが前記ガイド面51bによりガイドされて、ストッパ面54aに係止すると、アームレスト20はシートバック10Bから前方に向けて延びる姿勢となり、突部22aがストッパ面51cに係止すると、アームレスト20は上方に向けて延びる姿勢となる。
図2に示すように、支持側壁51において、ストッパ面51cよりも後方には弾性を有する覆い片51dが取付固定されており、覆い片51dは、ストッパ面51cに当接した突部22aをガイド面51bと協働して弾性的に挟持可能である。また、覆い片51dは、突部22aがストッパ面51cに付近に移動してきた場合に突部22aを上方から覆うことにより、人の指が突部22aとストッパ面51cとの間に挟まれるのを防止する機能を有する。なお、覆い片51dは、人の指が突部22aとストッパ面51cとの間に挟まれるのを防止する機能のみを果たすために、ストッパ面51cを上方から単に覆う構成であってもよい。
図1、図3及び図4に示すように、インナーブラケット40及びアウターブラケット50をアームレスト20の反対側から覆うようにカバー90が配置されている。カバー90は、図3及び図6に示すように、アウターブラケット50の側壁52に設けられたビス孔52cに螺着されたビス92、並びに、図3及び図5に示すように、インナーブラケット40の側壁42に固定されたカバーブラケット94のビス孔94aに螺着されたビス96により取付け固定されている。
(第1実施形態の作用)
さて、上記のように構成されたアームレスト取付構造ではアームレスト20を後付けする場合、アームレスト20とアウターブラケット50とは軸80及びナット82により組み付けられたアッシーとしておく。
さて、上記のように構成されたアームレスト取付構造ではアームレスト20を後付けする場合、アームレスト20とアウターブラケット50とは軸80及びナット82により組み付けられたアッシーとしておく。
そして、図3及び図4に示すようにバックフレーム30とインナーブラケット40の側壁41との間及びバックフレーム30とインナーブラケット40の側壁42との間にそれぞれスペーサ74を介在させるとともに、インナーブラケット40の取付孔41a,41bをバックフレーム30の貫通孔32に合致させた状態で、インナーブラケット40をバックフレーム30の前後及び左を覆うように配置する。
この状態で、前記アッシーのアウターブラケット50の側壁52をインナーブラケット40の側壁41に重ね合わせて、アウターブラケット50の取付孔52a,52bをインナーブラケット40の取付孔41a,41bにそれぞれ合致させる。そして、各貫通ボルト70を、取付孔52a,41a、貫通孔32、及び取付孔42a、並びに取付孔52b,41b、貫通孔32、及び取付孔42bにそれぞれ挿通した後、ナット72によりインナーブラケット40及びアウターブラケット50をバックフレーム30に対して共締め固定する。
この後、図3及び図4に示すように、カバー90を、インナーブラケット40及びアウターブラケット50を覆うように配置して、アウターブラケット50のビス孔52c及びインナーブラケット40のビス孔94aにビス92,96を螺合することにより、カバー90を取付固定する。
なお、上記の説明では、アームレスト20の内側から挿通されて支持側壁51の内側面に突出した軸80の先端にナット82が締め付けられる。これに代えて、軸80を支持側壁51の内側から挿通してアームレスト20内のアームレストフレーム21から突出した軸80の先端にナット82を締め付けるようにすることも可能である。このような変更は、ブラケット体100のアウターブラケット50とインナーブラケット40の組み付け手順を代えるだけで対応することも可能である。すなわち、ブラケット体100の組み付け手順を代えることにより軸80とナット82の位置関係を変更することができる。
上記のように構成されたアームレスト取付構造では、アウターブラケット50とインナーブラケット40とが、バックフレーム30を挟むように配置されてボルト85及びナット86により締結されるため、溶接無しで高い剛性を発揮することができ、アームレスト20に加わる横方向の荷重(左右方向の荷重)が増大しても耐えることができる。
また、アウターブラケット50、インナーブラケット40、及びバックフレーム30を共締めしているため、両ブラケット40,50は溶接無しで強固に連結され、アームレスト20に加わる荷重を受けることができる。
また、カバー90が設けられているため後付けでアームレスト20をバックフレーム30に取付けたとしても、両ブラケット40,50は前記カバー90で覆われることにより危害のリスクをなくすことができる。
なお、ビス92、96を螺退させてインナーブラケット40及びアウターブラケット50からカバー90を取り外し、各貫通ボルト70とナット72の締結を解除することにより、前記アッシーをバックフレーム30から取り外すことも可能である。
本実施形態は以下の効果を有する。
(1) 本実施形態のアームレスト取付構造は、バックフレーム30と、バックフレーム30の前側、後側、内側及び外側を覆うようにそれぞれ配置された側壁42(前側壁部材)、側壁52(後側壁部材)、側壁43(内側壁部材)及び支持側壁51(外側壁部材)を有するブラケット体100を含む。支持側壁51(外側壁部材)は、側壁52(後側壁部材)に一体に形成されることにより側壁52と直接に連結される一方、側壁42(前側壁部材)及び側壁43(内側壁部材)とはボルト85及びナット86(締結部材)を介して連結されている。支持側壁51(外側壁部材)にはアームレスト20が回転自在に支持されている。
また、アームレスト取付構造は、側壁42(前側壁部材)、バックフレーム30及び側壁52(後側壁部材)を共に貫通した貫通ボルト70と、貫通ボルト70を締め付けるナット72とを含む。
また、バックフレーム30に対して、側壁42(前側壁部材)及び側壁52(後側壁部材)が貫通ボルト70とナット72により共締め固定されている。
この結果、本実施形態のアームレスト取付構造によれば、アームレストを後付けする場合に使用する部材の溶接を必要とすることなく、アームレストの取付強度を確保することができる。
また、アームレストを後付けできるため、メーカー側ではなく販売店でアームレストの組み付けができる。また、後付けができるため、アームレストのバリエーションもユーザの希望に応じて増やすことができる。
(2) 本実施形態のアームレスト取付構造では、前記バックフレーム30がパイプ材により形成されている。この結果、本実施形態では、パイプ材により構成されたバックフレーム30に対して上記(1)の効果を奏することができる。
(3) 本実施形態のアームレスト取付構造のブラケット体100は、支持側壁51(外側壁部材)と側壁52(後側壁部材)とが一体に形成されたアウターブラケット50と、インナーブラケット40とを含む。
また、インナーブラケット40は、側壁42(前側壁部材)と、側壁42と一体に形成されるとともにバックフレーム30の内側に配置されてバックフレーム30を覆う側壁43(内側壁部材)と、側壁43と一体に形成された側壁41とを含む。前記側壁41は、側壁52(後側壁部材)と重ね合わせて配置され、貫通ボルト70は側壁41と側壁52(後側壁部材)の両方を貫通している。
上記のアームレスト取付構造は、アウターブラケット50とインナーブラケット40とが貫通ボルト70及びナット72によりバックフレーム30に共締め固定された状態で、両ブラケット40,50により前記バックフレーム30を囲むような環状の構造を有する。
この結果、本実施形態によれば、インナーブラケット40及びアウターブラケット50が共締めされて環状となることにより、アームレスト取付構造の剛性を向上させることができる。
(4) 本実施形態のアームレスト取付構造では、貫通ボルト70が、インナーブラケット40、アウターブラケット50及びバックフレーム30に対して、バックフレーム30の後方から挿通されている。
バックフレーム30の後方から貫通ボルト70を挿通させるのは、バックフレーム30の前方から行うのに比べて、シート10の着座部10A(シートクッション)が邪魔になることがなく、アームレスト20の後付作業を楽に行うことができる。
(5) 本実施形態のアームレスト取付構造では、インナーブラケット40が、側壁43(内側壁部材)、側壁41(第1重合側壁部材)及び側壁42(前側壁部材)により断面U字状に形成されている。また、アウターブラケット50が、支持側壁51と側壁52(対向側壁)とから断面L字状に形成されている。この結果、本実施形態によれば、簡単な形状のブラケット40,50を用いることで、上記(1)の効果を奏することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態のアームレスト取付構造を図7を参照して説明する。なお、第2実施形態の構成は、第1実施形態と一部が異なるだけであるため、第1実施形態と同一の構成又は相当する構成については第1実施形態の構成と同一の符号を付してその説明を省略する。第2実施形態では図7に示すように、アームレストフレーム21の側壁23が、バックフレーム30とは反対側の表皮フレーム22の側壁(図7中の右側の側壁)の内側に近接して位置している。そして、軸80が、同図に示すように、表皮フレーム22の外方から挿通されているところが異なっている。軸80のヘッドは、表皮フレーム22の外面に貼着されたシール材84で覆われている。
第2実施形態のアームレスト取付構造を図7を参照して説明する。なお、第2実施形態の構成は、第1実施形態と一部が異なるだけであるため、第1実施形態と同一の構成又は相当する構成については第1実施形態の構成と同一の符号を付してその説明を省略する。第2実施形態では図7に示すように、アームレストフレーム21の側壁23が、バックフレーム30とは反対側の表皮フレーム22の側壁(図7中の右側の側壁)の内側に近接して位置している。そして、軸80が、同図に示すように、表皮フレーム22の外方から挿通されているところが異なっている。軸80のヘッドは、表皮フレーム22の外面に貼着されたシール材84で覆われている。
このように構成されていても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第3~第5実施形態)
次に、第3~第5実施形態を、図8(b)~図8(d)を参照して説明する。図8(b)~図8(d)では、第1実施形態のアームレスト取付構造を示す図8(a)を参考に理解されたい。
次に、第3~第5実施形態を、図8(b)~図8(d)を参照して説明する。図8(b)~図8(d)では、第1実施形態のアームレスト取付構造を示す図8(a)を参考に理解されたい。
図8(a)は、図4中に示されているアームレスト20、アームレストフレーム21、カバー90、スペーサ74を省略するとともに、その他の要部構成を簡略化したものである。図8(a)で示す要部構成とは、バックフレーム30、インナーブラケット40(側壁41、42、43)、アウターブラケット50(支持側壁51、側壁52、連結片54)、及びボルト85である。
一方、図8(b)~図8(d)でも、前記アームレスト20、アームレストフレーム21、カバー90、スペーサ74は省略されている。
(第3実施形態:請求項3のサポート)
図8(b)に示すように、ブラケット体100のインナーブラケット40は、バックフレーム30の内側(左側)を覆う側壁43(内側壁部材)と、側壁43に一体に形成されることにより側壁43と直接に連結されるとともにバックフレーム30の後側を覆う側壁41(後側壁部材)と、側壁43に一体に形成されることにより側壁43と直接に連結された側壁42(第2重合側壁)とを備えている。
図8(b)に示すように、ブラケット体100のインナーブラケット40は、バックフレーム30の内側(左側)を覆う側壁43(内側壁部材)と、側壁43に一体に形成されることにより側壁43と直接に連結されるとともにバックフレーム30の後側を覆う側壁41(後側壁部材)と、側壁43に一体に形成されることにより側壁43と直接に連結された側壁42(第2重合側壁)とを備えている。
第3実施形態では、インナーブラケット40は、側壁41、42、43により、断面U字状に形成されている。第1実施形態と同様、側壁43は平板状であってもよいし、あるいはバックフレーム30の周面に沿って湾曲してもよい。
アウターブラケット50は、アームレスト20(図8(b)では図示せず)を回転自在に支持するとともにバックフレーム30の外側(右側)を覆うように配置された支持側壁51(外側壁部材)と、支持側壁51に一体に形成されることにより支持側壁51と直接に連結されるとともにインナーブラケット40の側壁42(第2重合側壁)に重ね合わされて対向配置される側壁52(前側壁部材)とを備えている。第3実施形態において、アウターブラケット50は、側壁51,52により断面L字状に形成されている。
そして、前記支持側壁51とインナーブラケット40の側壁41(後側壁部材)は、側壁41に設けられた連結片44と支持側壁51の後部に設けられた連結片54とをボルト85及びナット86で締結することにより、互いに連結されている。ボルト85及びナット86は締結部材に相当する。
また、第3実施形態のアームレスト取付構造は、インナーブラケット40の前記側壁41(後側壁部材)、バックフレーム30、アウターブラケット50の側壁52(前側壁部材)、及びインナーブラケット40の側壁42(第2重合側壁部材)に対してバックフレーム30の後方から挿通される貫通ボルト70と、貫通ボルト70に締め付けられるナット72とを含んでいる。
そして、第3実施形態のアームレスト取付構造は、上記インナーブラケット40及びアウターブラケット50が貫通ボルト70とナット72により共締め固定されている。
このように構成された第3実施形態のアームレスト取付構造においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(第4実施形態:請求項4のサポート)
図8(c)に示すように、ブラケット体100のインナーブラケット40は、バックフレーム30の内側(左側)を覆う側壁43(内側壁部材)と、側壁43に一体に形成されることにより側壁43と直接に連結されるとともにバックフレーム30の後側を覆う側壁41(第3重合側壁)とを有する。インナーブラケット40は、側壁41と側壁43とにより断面L字状に形成されている。
図8(c)に示すように、ブラケット体100のインナーブラケット40は、バックフレーム30の内側(左側)を覆う側壁43(内側壁部材)と、側壁43に一体に形成されることにより側壁43と直接に連結されるとともにバックフレーム30の後側を覆う側壁41(第3重合側壁)とを有する。インナーブラケット40は、側壁41と側壁43とにより断面L字状に形成されている。
アウターブラケット50は、アームレスト20(図8(c)では図示せず)を回転自在に支持するとともにバックフレーム30の外側(右側)を覆うように配置された支持側壁51(外側壁部材)と、支持側壁51に一体に形成されることにより支持側壁51と直接に連結されるとともにインナーブラケット40の側壁41に重ね合わされて対向配置される側壁52(後側壁部材)とを有する。
また、アウターブラケット50は、支持側壁51に一体に形成されることにより支持側壁51と直接に連結されるとともにバックフレーム30の前側を覆う側壁53(前側壁部材)をさらに有する。そして、アウターブラケット50の側壁53(前側壁部材)とインナーブラケット40の側壁43(内側壁部材)は、側壁43に設けられた連結片45と側壁53の前部に設けられた連結片55とをボルト85及びナット86で締結することにより、互いに連結されている。ボルト85及びナット86は締結部材に相当する。
第4実施形態のアウターブラケット50は、支持側壁51、側壁52、53により、断面U字状に形成されている。
また、本実施形態のアームレスト取付構造は、アウターブラケット50の前記側壁52(後側壁部材)、インナーブラケット40の前記側壁41(第3重合側壁部材)、バックフレーム30、及びアウターブラケット50の側壁53(前側壁部材)に対してバックフレーム30の後方から挿通される貫通ボルト70と、貫通ボルト70に締め付けられるナット72とを含んでいる。
そして、第4実施形態のアームレスト取付構造は、上記インナーブラケット40及びアウターブラケット50が貫通ボルト70とナット72により共締め固定されている。
従って、第4実施形態のアームレスト取付構造は、アウターブラケット50とインナーブラケット40とが貫通ボルト70及びナット72によりバックフレーム30に共締め固定された状態で、両ブラケット40,50により前記バックフレーム30を囲むような環状の構造を有する。
このように構成された第4実施形態のアームレスト取付構造においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(第5実施形態:請求項4のサポート)
図8(d)に示すように、第5実施形態のインナーブラケット40は、バックフレーム30の内側(左側)を覆う側壁43(内側壁部材)と、前記側壁43(内側壁部材)に一体に形成されることにより側壁43と直接に連結されるとともにバックフレーム30の前側を覆う側壁41(第3重合側壁部材)とを有する。インナーブラケット40は、側壁41と側壁43とにより断面L字状に形成されている。
図8(d)に示すように、第5実施形態のインナーブラケット40は、バックフレーム30の内側(左側)を覆う側壁43(内側壁部材)と、前記側壁43(内側壁部材)に一体に形成されることにより側壁43と直接に連結されるとともにバックフレーム30の前側を覆う側壁41(第3重合側壁部材)とを有する。インナーブラケット40は、側壁41と側壁43とにより断面L字状に形成されている。
アウターブラケット50は、アームレスト20(図8(d)では図示せず)を回転自在に支持するとともにバックフレーム30の外側(右側)を覆うように配置された支持側壁51と、支持側壁51に一体に形成されることにより支持側壁51と直接に連結されるとともにインナーブラケット40の側壁41に重ね合わされて対向配置される側壁52(前側壁部材)とを有する。
また、アウターブラケット50は、前記支持側壁51に一体に形成されることにより支持側壁51と直接に連結されるとともにバックフレーム30の後側を覆う側壁53(後側壁部材)をさらに有する。そして、アウターブラケット50の側壁53(後側壁部材)とインナーブラケット40の側壁43は、側壁53に設けられた連結片56と側壁43の後部に設けられた連結片46とをボルト85及びナット86で締結することにより、互いに連結されている。ボルト85及びナット86は締結部材に相当する。
第5実施形態では、アウターブラケット50は、支持側壁51、側壁52、53により、断面U字状に形成されている。
また、第5実施形態のアームレスト取付構造は、アウターブラケット50の前記側壁52(前側壁部材)、インナーブラケット40の前記側壁41(第3重合側壁部材)、バックフレーム30、及びアウターブラケット50の側壁53(後側壁部材)に対してバックフレーム30の後方から挿通される貫通ボルト70と、貫通ボルト70に締め付けられるナット72とを含んでいる。そして、第5実施形態のアームレスト取付構造は、上記インナーブラケット40及びアウターブラケット50が貫通ボルト70とナット72により共締め固定されている。
従って、第5実施形態のアームレスト取付構造は、アウターブラケット50とインナーブラケット40とが貫通ボルト70及びナット72によりバックフレーム30に共締め固定された状態で、両ブラケット40,50により前記バックフレーム30を囲むような環状の構造を有する。
第5実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(第6実施形態)
次に、図9~図15を参照して本発明の第6実施形態を説明する。なお、第6実施形態及び後述する第7実施形態では、第1実施形態の構成と同一または相当する構成については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
次に、図9~図15を参照して本発明の第6実施形態を説明する。なお、第6実施形態及び後述する第7実施形態では、第1実施形態の構成と同一または相当する構成については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
また、第6実施形態及び後述する第7実施形態においても、左側のアームレスト20を左側のバックフレーム30に取付けるための各部材と、右側のアームレスト20を右側のバックフレーム30に取付けるための各部材は、互いに左右対称の構成である。このため、図9及び図16では、左側のバックフレーム30のアームレスト取付構造に関する各部材には、説明の便宜上、右側のバックフレーム30のアームレスト取付構造に関する部材と同一の符号を付してその説明を省略する。以下では、車両用シート10の右側のバックフレーム30のアームレスト取付構造について説明する。
図3に示すように第1実施形態では、インナーブラケット40は、側壁41,42,43により断面U字状に形成されている。第6実施形態では、図9及び図10~図14に示すように、側壁41,43が省略されることによりインナーブラケット40が側壁42にて構成されているところが異なっている。
そして、図14に示すように、側壁42には第1実施形態と同様、連結片44が支持側壁51に沿うように折り曲げられて設けられている。
図12に示すようにインナーブラケット40(すなわち、側壁42)は、アウターブラケット50の連結片54に対して、第1実施形態と同様、連結片54に溶着固定されたボルト85及びボルト85に螺合されたナット86により締結されている。ボルト85及びナット86は締結部材に相当する。なお、第6実施形態では、ボルト85により挿通される連結片44の取付孔44aは、前後方向に延びる長孔である。取付孔44aが長孔であることにより、後述するボルト70及びナット72による締め付け時に、インナーブラケット40をバックフレーム30に向けて移動させる調整が可能である。なお、この調整は、後述する支持側壁51と支持金具29との間に間隙を残すように行なわれる。
また、図3に示すように第1実施形態の軸80は、ボルトの軸部であって、アームレストフレーム21に対して貫通した状態で取付固定されている。これに対して第6実施形態では、図11に示すように軸80は、アームレストフレーム21に固定された断面U字状の支持金具29に対して溶接等により固定された基端を有している。そして、軸80の先端は支持側壁51を貫通してナット82が螺合されている。ナット82と支持金具29との間には、フランジを有する規制管27が配置されている。規制管27は、軸80の先端に前記ナット82を螺合させたときに支持側壁51と支持金具29との間に間隙が確保されるよう、支持側壁51が支持金具29に向かって移動するのを規制する。この間隙には、支持金具29に外挿されるスペーサ28、波形座金31、及びスペーサ33が配置されて、支持金具29(すなわち、アームレスト20)の回転時に、摩擦抵抗を付与するようにしている。
図10、図12、及び図13に示すように、インナーブラケット40及びアウターブラケット50は、側壁52及び側壁42にてバックフレーム30を挟むようにして複数の貫通ボルト70とナット72によりバックフレーム30に共締め固定されている。
各ボルト70は、インナーブラケット40の取付孔42a及びアウターブラケット50の取付孔52a又はインナーブラケット40の取付孔42b及びアウターブラケット50の取付孔52bと、バックフレーム30に形成された貫通孔32とに挿入されている。なお、図13は、貫通ボルト70とナット72による締め付け前の状態を示すために、貫通ボルト70及びナット72を仮想線である二点鎖線で示している。そして、同図には、後述する塑性変形防止部材88と側壁42との間に、距離aのわずかな間隙のあることが示されている。
図15に示すように、アウターブラケット50には、支持側壁51の内側面及び側壁52に溶接で固定された金属製の塑性変形防止部材88が設けられている。すなわち、支持側壁51のバックフレーム30と対向する内側面と、バックフレーム30との間には、バックフレーム30と対向する支持側壁51の内側面から延びる塑性変形防止部材88が設けられている。なお、側壁52の内側面に対して塑性変形防止部材88は固定されていなくてもよい。図15に示すように本実施形態では塑性変形防止部材88は、板状に形成されている。ただし、塑性変形防止部材88は板状に限定されるものではなく、例えばブロック状であってもよい。
図13に示すように塑性変形防止部材88は、インナーブラケット40の側壁42とアウターブラケット50の側壁52との間に配置されている。
そして、塑性変形防止部材88とインナーブラケット40の側壁42との間に若干の間隙(すなわち、距離a)がある状態で、貫通ボルト70とナット72とにより、側壁42、52の弾性力に抗して両ブラケット40,50をバックフレーム30に対して締め付けている。この締め付けは、前記間隙(すなわち、距離a)を消失せしめて、さらにバックフレーム30の弾性力が消失しない微小な変形を起こすまでの予め設定された締め付けトルクで行われている。このことにより、バックフレーム30の弾性及び前記両ブラケット40,50の弾性によるガタの発生が防止されている。
また、図10、図11及び図15に示すように、アウターブラケット50の側壁52の後面には、ビス孔95aを有するカバーブラケット95が溶接にて固定されている。
図11に示すようにカバー90は、インナーブラケット40、アウターブラケット50を内側から覆うように配置されている。そして、カバー90はカバーブラケット95のビス孔95a及びインナーブラケット40のビス孔94aにビス96,98を螺合することにより取付け固定されている。
本実施形態では、ブラケット体100を構成するインナーブラケット40の側壁42が前側壁部材に相当し、ブラケット体100を構成するアウターブラケット50の支持側壁51が外側壁部材に相当し、側壁52が後側壁部材に相当する。
(第6実施形態の作用)
次に第6実施形態の作用を説明する。
次に第6実施形態の作用を説明する。
ここではバックフレーム30に貫通孔32が予め形成されているものとする。まず、アームレスト20の軸80に規制管27、スペーサ28、波形座金31、スペーサ33及びアウターブラケット50を挿通して、ナット82により組み付けする。また、インナーブラケット40をアウターブラケット50に対してボルト85とナット86により組み付けたアッシーとしておく。
そして、図12及び図13に示すように前記アッシーを、そのアウターブラケット50とインナーブラケット40の間にバックフレーム30が挟み込まれるようにして配置する。また、アウターブラケット50の取付孔52a及びインナーブラケット40の取付孔42a並びにアウターブラケット50の取付孔52b及びインナーブラケット40の取付孔42bをバックフレーム30の各貫通孔32に合致させる。この状態で、各貫通ボルト70を、取付孔52a,42a、及び貫通孔32、並びに取付孔52b,42b、及び貫通孔32にそれぞれ挿通した後、ナット72によりインナーブラケット40及びアウターブラケット50をバックフレーム30に対して共締め固定する。
この場合、塑性変形防止部材88とインナーブラケット40の側壁42との間に若干の間隙(すなわち、距離a)がある状態で、貫通ボルト70とナット72とにより、側壁42、52の弾性力に抗して両ブラケット40,50がバックフレーム30に対して締め付けされる。この締め付けは、前記間隙を消失せしめて、さらにバックフレーム30の弾性力が消失しない微小な変形を起こすまでの予め設定された締め付けトルクで行われる。
この後、図11に示すように、カバー90を、カバーブラケット95のビス孔95a及びインナーブラケット40のビス孔94aにビス96,98を螺合することにより取付ける。
第6実施形態は、第1実施形態の(1)、(2)及び(4)の効果の他に以下の効果を有する。
(1) 本実施形態では、支持側壁51(外側壁部材)のバックフレーム30と対向する内側面と、バックフレーム30との間には、貫通ボルト70の締め付け時にバックフレーム30の塑性変形を防止する塑性変形防止部材88が配置されている。
この結果、本実施形態によれば、貫通ボルトの締め付け時に塑性変形防止部材88により、バックフレーム30の塑性変形を防止することができる。
また、本実施形態では、貫通ボルト70とナット72の間の締結のトルクダウン防止の効果のある波形座金等のスプリングワッシャの役割を、塑性変形防止部材88とパイプ材からなるバックフレーム30とにより代用することができる。
(2) 本実施形態では、ブラケット体100の側壁42(前側壁部材)と側壁52(後側壁部材)は、貫通ボルト70の締め付け以前には、バックフレーム30との間に間隙を有するように配置される。そして、貫通ボルト70とナット72による締め付け時に、塑性変形防止部材88は、側壁42(前側壁部材)と側壁52(後側壁部材)の弾力に抗して前記間隙(すなわち、距離a)が少なくともなくなるまで側壁42及び側壁52の変位を許容する。
この結果、間隙がなくなるまでに側壁42、52の変位を許容する弾性力により、ガタの発生の防止ができる。
加えて、本実施形態では、貫通ボルト70の締め付け時に塑性変形防止部材88の許容する範囲でバックフレーム30が弾性変形する。このことによっても、貫通ボルト70及びナット72の締め付け時のガタを防止できる。本実施形態では、このことにより、バックフレーム30の弾性及び前記両ブラケット40,50の弾性によりガタの発生が防止できる。
なお、塑性変形防止部材88によりバックフレーム30の変形を許容しないように規制する一方、ブラケット体100の弾性変形を許容するようにしてもよい。
(第7実施形態:請求項5のサポート)
次に、図16~図20を参照して第7実施形態を説明する。なお、第7実施形態では、第6実施形態と異なる構成について説明し、第6実施形態の構成と同一または相当する構成については同一の符号を付す。
次に、図16~図20を参照して第7実施形態を説明する。なお、第7実施形態では、第6実施形態と異なる構成について説明し、第6実施形態の構成と同一または相当する構成については同一の符号を付す。
第7実施形態では、インナーブラケットを省略して、ブラケット体100がアウターブラケット50及び補強部材60で構成されているところが第6実施形態と異なっている。
具体的には、図20に示すように、アウターブラケット50は、支持側壁51と、後側壁部材としての側壁52と、前側壁部材としての側壁53とにより断面U状に形成されている。側壁53には、図20に示すように、側壁52の取付孔52a、52bとそれぞれ同軸の取付孔53a,53bが形成されている。なお、アウターブラケット50の構成は、図8(c)に示す第4実施形態において、インナーブラケット40及び連結片55を省略した構成にも相当する。補強部材60は金属製で板状に形成され、支持側壁51の外側面に溶接等により一体に固定されている。
前記第1実施形態及び第6実施形態では、支持側壁51にガイド面51b及びストッパ面51cが設けられているが、第7実施形態では、支持側壁51のガイド面51b及びストッパ面51cが省略されている。
その代わりに、図17及び図20に示すように補強部材60にガイド面61b、ストッパ面61c及びストッパ面61dが設けられている。また、図18に示すように補強部材60には、支持側壁51の軸孔51aと同軸の軸孔61aが設けられている。軸孔61a、ガイド面61b及びストッパ面61c,61dの相互の位置関係は、第1実施形態で説明した軸孔51a、ガイド面51b及びストッパ面51c、54aと同様である。従って、ガイド面61b、ストッパ面61c,61dは、アームレスト20に設けられた突部22aに対する第1実施形態のガイド面51b、ストッパ面51c,54aとそれぞれ同等の機能を有する。
また、図11に示すように第6実施形態ではカバーブラケット94がインナーブラケット40の側壁42に固定されている。これに対して、第7実施形態では、図16、図18及び図20に示すようにカバーブラケット94は、側壁53に対して固定されているところが異なっている。
また、図19(A)に示すように、第7実施形態では塑性変形防止部材88は、支持側壁51の内側面に対して溶接等により固定されている。また、貫通ボルト70により締め付けされる前では、塑性変形防止部材88と側壁52の内側面との間、及び塑性変形防止部材88と側壁53の内側面との間には、それぞれ若干の間隙(すなわち、距離a,b)がある状態となるように、塑性変形防止部材88の大きさが設定されている。なお、距離a,bの大きさは互いに同一であることが好ましいが、大きな差がなければ互いに異なってもよい。
そして、取付孔52a,53a及び取付孔52b,53bにそれぞれ挿通した貫通ボルト70とナット72とにより、側壁52,53の弾性力に抗してアウターブラケット50をバックフレーム30に対して締め付けている。この締め付けは、前記間隙(すなわち、距離a,b)を消失せしめてバックフレーム30の弾性力が消失しない微小な変形を起こすまでの締め付けトルクで行うようされている。
なお、本実施形態では、覆い片51dは、補強部材60に対して固定されている。
(第7実施形態の作用)
次に第7実施形態の作用を説明する。
次に第7実施形態の作用を説明する。
図19(A)及び図19(B)に示すように、バックフレーム30には貫通孔32が予め形成されている。
そして、図18に示すようにアームレスト20の軸80に規制管27,波形座金31及びブラケット体100の軸孔61a,軸孔51aを挿通してナット82により組み付けてアッシーとする。
そして、図19(A)及び図19(B)に示すように前記アッシーを、そのアウターブラケット50の側壁52,53間にバックフレーム30が挟み込まれるようにして配置する。
また、アウターブラケット50の取付孔52a,53a及び取付孔52b,53bをバックフレーム30の各貫通孔32に合致させる。この状態で、各貫通ボルト70を、取付孔52a,53a及び貫通孔32、並びに取付孔52b,53b及び貫通孔32にそれぞれ挿通した後、ナット72によりアウターブラケット50の側壁52,53をバックフレーム30に対して共締め固定する。
この場合、塑性変形防止部材88とインナーブラケット40の側壁42との間に若干の間隙(すなわち、距離a,b)がある状態で、貫通ボルト70とナット72とにより、側壁52,53の弾性力に抗して両側壁52,53がバックフレーム30に対して締め付けされる。この締め付けは、前記間隙を消失せしめて、さらにバックフレーム30の弾性力が消失しない微小な変形を起こすまでの予め設定された締め付けトルクで行われる。
この後、図18に示すように、カバー90を、カバーブラケット94,95のビス孔94a,95aにビス96,98を螺合することにより取付ける。
第7実施形態では、第1実施形態の(1)、(2)及び(4)、第6実施形態の(1)及び(2)の効果の他に以下の効果を有する。
(1) 本実施形態のブラケット体100は、支持側壁51(外側壁部材)に側壁53(前側壁部材)及び側壁52(後側壁部材)が一体に形成されることにより直接に連結されたアウターブラケット50を備える。また、ブラケット体100は、支持側壁51(外側壁部材)の外側面に固定されるとともに支持側壁51(外側壁部材)とともにアームレスト20を回転自在に支持する補強部材60を備える。この結果、本実施形態によれば、インナーブラケットを省略した簡素な構成のブラケット体とすることができる。第1~6実施形態では、インナーブラケット40とアウターブラケット50とを組み付けするための締結部材が必要となるが、本実施形態では、締結部材を省略することができる。
なお、前記実施形態の構成を下記のように変更しても良い。
・ 前記各実施形態では、車両用シートにアームレストを後付けするためのアームレスト取付構造を説明しているが、本発明は、車両用シート以外に設けられた鉛直方向に延びるフレーム材に対してアームレストを後付けする場合にも適用できる。
・ 第1実施形態では、バックフレーム30を円管状のパイプ材により形成しているが、角パイプ材により形成してもよい。
また、バックフレーム30は、パイプ材の替わりに棒材により形成してもよい。
・ 第1実施形態では、貫通ボルト70及びナット72の各個数を複数としたが、上記のようにバックフレーム30を角パイプ材で形成した場合、貫通ボルト70及びナット72の個数を1個ずつとしてもよい。このように貫通ボルト70及びナット72の個数を1個ずつとしても、バックフレーム30を角パイプ材で形成した場合は、インナーブラケット40の側壁41、42及び側壁43が平板状であるため、貫通ボルト70及びナット72の締結力を管理すれば十分にブラケットの取付強度を確保することができる。
・ 第1実施形態では、インナーブラケット40を断面U字状としたが、断面C字状に形成してもよい。すなわち、側壁43だけでなくインナーブラケット40の側壁41,42もまたバックフレーム30の周面に沿って湾曲していてもよい。
・ 図8(b)に示す第3実施形態において、アウターブラケット50の側壁52とインナーブラケット40の側壁42は、側壁52が側壁42よりもバックフレーム30の近くに位置するようにして重ね合わされているが、側壁42が側壁52よりもバックフレーム30の近くに位置するようにして重ね合わされてもよい。
・ 図8(c)及び図8(d)に示す第4及び第5の各実施形態において、アウターブラケット50の側壁52とインナーブラケット40の側壁は、側壁41が側壁52よりもバックフレーム30の近くに位置するようにして重ね合わされているが、側壁52が側壁41よりもバックフレーム30の近くに位置するようにして重ね合わされてもよい。
・ 前記各実施形態では、貫通ボルト70を後方からアウターブラケット及びインナーブラケットに貫通させるようにしているが、前方からアウターブラケット及びインナーブラケットに貫通させてナット72により締め付けするようにしてもよい。
・ 図4中に二点鎖線で示すように、第1実施形態のアームレスト取付構造において、塑性変形防止部材88を支持側壁51の内側面に固定するようにしてもよい。
10…車両用シート、20…アームレスト、30…バックフレーム、
40…インナーブラケット、41…側壁、42…側壁、43…側壁、
50…アウターブラケット、51…支持側壁、52…側壁、53…側壁、
70…貫通ボルト、72…ナット、88…塑性変形防止部材、100…ブラケット体。
40…インナーブラケット、41…側壁、42…側壁、43…側壁、
50…アウターブラケット、51…支持側壁、52…側壁、53…側壁、
70…貫通ボルト、72…ナット、88…塑性変形防止部材、100…ブラケット体。
Claims (8)
- 鉛直方向に延びるフレーム材と、
前記フレーム材の少なくとも前側、後側及び外側を覆うようにそれぞれ配置された前側壁部材、後側壁部材及び外側壁部材を有するブラケット体であって、前記外側壁部材は、前記前側壁部材及び前記後側壁部材のうちいずれか一方と直接に連結される一方、前記前側壁部材及び前記後側壁部材のうちの他方とも直接に、または締結部材を介して連結され、前記外側壁部材にアームレストが回転自在に支持されたブラケット体と、
前記前側壁部材、前記フレーム材及び前記後側壁部材を貫通する貫通ボルトと、
前記貫通ボルトに締め付けられるナットとを含み、
前記フレーム材に対して、前記前側壁部材及び前記後側壁部材が前記貫通ボルトと前記ナットにより共締め固定されたアームレスト取付構造。 - 前記ブラケット体は、前記外側壁部材と前記後側壁部材とが直接に連結されたアウターブラケットと、インナーブラケットとを含み、
前記インナーブラケットは、前記前側壁部材のみからなるか、
または、前記インナーブラケットは、
前記前側壁部材と、
前記前側壁部材と直接に連結されるとともに前記フレーム材の内側に配置されて前記フレーム材を覆う内側壁部材と、
前記内側壁部材と直接に連結されるとともに前記後側壁部材と重ね合わせて配置される第1重合側壁部材であって、前記貫通ボルトにより前記後側壁部材とともに貫通される第1重合側壁部材と
を含む請求項1に記載のアームレスト取付構造。 - 前記ブラケット体は、前記外側壁部材と前記前側壁部材とが直接に連結されたアウターブラケットと、インナーブラケットとを含み、
前記インナーブラケットは、
前記後側壁部材と、
前記後側壁部材と直接に連結されるとともに前記フレーム材の内側に配置されて前記フレーム材を覆う内側壁部材と、
前記内側壁部材と直接に連結されるとともに前記前側壁部材と重ね合わせて配置される第2重合側壁部材であって、前記貫通ボルトにより前記前側壁部材とともに貫通される第2重合側壁部材と
を含む請求項1に記載のアームレスト取付構造。 - 前記ブラケット体は、前記外側壁部材に前記前側壁部材及び前記後側壁部材が直接に連結されたアウターブラケットと、インナーブラケットとを含み、
前記インナーブラケットは、
前記フレーム材の内側に配置されて前記フレーム材を覆うとともに、前記前側壁部材及び前記後側壁部材のうちいずれか一方と締結部材を介して連結された内側壁部材と、
前記内側壁部材と直接に連結されて、前記前側壁部材及び前記後側壁部材のうちの他方と重ね合わせて配置される第3重合側壁部材であって、前記貫通ボルトにより貫通される第3重合側壁部材と
を含む請求項1に記載のアームレスト取付構造。 - 前記ブラケット体は、
前記外側壁部材に前記前側壁部材及び前記後側壁部材が直接に連結されたアウターブラケットと、
前記外側壁部材の外側面に固定された補強部材であって、前記外側壁部材とともに前記アームレストを回転自在に支持する補強部材と
を含む請求項1に記載のアームレスト取付構造。 - 前記フレーム材が、パイプ材により形成されている請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載のアームレスト取付構造。
- 前記外側壁部材の前記フレーム材と対向する内側面と、前記フレーム材との間には、前記貫通ボルトの締め付け時に、前記フレーム材の塑性変形を防止する塑性変形防止部材が配置されている請求項6に記載のアームレスト取付構造。
- 前記ブラケット体の前記前側壁部材と前記後側壁部材は、前記貫通ボルトの締め付け以前には、前記フレーム材との間に間隙を有するように配置され、前記貫通ボルトと前記ナットによる締め付け時に、前記塑性変形防止部材は、前記前側壁部材と前記後側壁部材の弾力に抗して前記間隙が少なくともなくなるまで前記前側壁部材及び前記後側壁部材の変位を許容する請求項7に記載のアームレスト取付構造。
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