WO2014033965A1

WO2014033965A1 - 車両用シート及び車両用シートのシートフレーム

Info

Publication number: WO2014033965A1
Application number: PCT/JP2012/072390
Authority: WO
Inventors: 博行糸井; 貴弘新村
Original assignee: テイ・エステック株式会社
Priority date: 2012-09-03
Filing date: 2012-09-03
Publication date: 2014-03-06
Also published as: US20150231997A1

Abstract

　ヘッドレストブラケットが上部フレームに溶接固定された車両用シート及びそのシートフレームであって、溶接部分の熱歪みが小さく、高速溶接によって製造時間が短縮化された車両用シート及びそのシートフレームを提供する。　車両用シートのシートフレームであって、上部フレーム１１を備えたシートバックフレーム１と、上部フレーム１１に接合され、ヘッドレストのピラー１４を保持するブラケット４０と、を有し、ブラケット４０が、上部フレーム１１に、レーザ溶接されることにより固定されている。ブラケット４０は、ヘッドレストのピラー１４を、支持ガイド１５を介して支持し、支持ガイド１５が設けられた上下方向の範囲の少なくとも一部において、上下方向に、ブラケット４０が、上部フレーム１１にレーザ溶接されている。

Description

車両用シート及び車両用シートのシートフレーム

　本発明は、ヘッドレストを背もたれの上に支持する支持構造が設けられた車両用シート及び車両用シートのシートフレームに関する。

　従来、車両用シートのシートバックフレームの上部フレームに、潰し加工により平坦面を二箇所形成し、この平坦面に一対の筒状のヘッドレストブラケットを溶接固定し、このヘッドレストブラケットで、ヘッドレストの下端から延出させた一対の棒状のヘッドレストのピラーを、支持ガイドを介して支持するヘッドレスト支持構造が知られている（例えば特許文献１）。
　特許文献１では、潰し加工により、平坦面の両側に、平坦面からシート前方に向かって立設する一対の壁部が形成され、平坦面にヘッドレストブラケットの後面を溶接し、一対の壁部にヘッドレストブラケットの一対の側面を溶接している。これにより、上部フレームとヘッドレストブラケットとの連結向上が図られている。

特開２０１２－４６１５８号公報（段落００６５、図５－１等）

　しかし、特許文献１等の従来技術では、ヘッドレストブラケットの上部フレームへの接合は、溶加材を用いるティグ溶接、ミグ溶接等のアーク溶接により行われており、溶接熱による変形等の影響が生じやすく、溶接の速度も遅かった。

　本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ヘッドレストブラケットが上部フレームに溶接固定された車両用シート及び車両用シートのシートフレームであって、溶接部分の熱歪みが小さく、高速溶接によって製造時間が短縮化された車両用シート及びそのシートフレームを提供することにある。

　前記課題は、請求項１の車両用シートのシートフレームによれば、上部フレームを備えたシートバックフレームと、前記上部フレームに接合され、ヘッドレストのピラーを保持するブラケットと、を有し、前記ブラケットが、前記上部フレームに、レーザ溶接されることにより固定されていること、により解決される。

　このように、高エネルギー密度の熱源を利用するレーザ溶接により上部フレームとブラケットが連結されるため、高速溶接が可能となり、ブラケットの上部フレームへの溶接工程を短時間で完了することができる。また、溶接熱影響が非常に少なく、溶接変形が少ないため、溶接による熱歪みが殆ど生じることがなく、溶接後の製品の歩留まりを向上することができる。

　このとき、請求項２のように、前記ブラケットは、前記ヘッドレストのピラーを、支持ガイドを介して支持し、前記支持ガイドが設けられた範囲の上下方向の少なくとも一部において、上下方向に、前記ブラケットが、前記上部フレームにレーザ溶接されていると好適である。
　このように、支持ガイドが設けられた範囲の上下方向の少なくとも一部において、上下方向に、ブラケットが、上部フレームにレーザ溶接されているため、ブラケットの壁面のうち支持ガイドを支持する部分が、熱歪みによって外側に向かって膨らむように開くことを抑制することができる。ブラケットの壁面の開きに起因して支持ガイドとブラケットとの間に空間ができなくなり、支持ガイドがブラケット内でがたつくことを抑制できる。

　このとき、請求項３のように、前記ブラケットは、前記シート後方の後面と、前記シート幅方向側部に設けられた一対の側面と、該側面及び前記後面との間の角部とを備え、前記角部には、前記後面と前記側面とを曲面で連結するＲ形状部が設けられ、前記上部フレームは、前記シート前面側が平面に形成された平面部を備え、該平面部と前記Ｒ形状部との間には、上下方向に延びるレーザ溶接の溶接痕が跨っており、該溶接痕は、互いに異なる方向に沿って形成されると共に、交互に上下に連続して並ぶ複数の第１溶接痕片及び第２溶接痕片を備えると好適である。
　このように、溶接痕は、互いに異なる方向に沿って形成され、交互に上下に連続して並ぶ複数の第１溶接痕片及び第２溶接痕片を備えるため、溶接痕が全体としてジグザグ形状等を形成し、ブラケットと上部フレームの当接面との間に隙間がある場合でも、安定した固定が可能となると共に、溶接部が、ブラケットのＲ形状部及び側面からシート幅方向外側にはみ出す量を減らすことができる。

　このとき、請求項４のように、前記溶接痕は、前記Ｒ形状部と前記平面部とを橋渡すように連結する連結部を備え、該連結部は、前記側面の延長面と前記Ｒ形状部と前記平面部とに囲まれた領域に配置されていると好適である。
　このように構成しているため、ブラケットと上部フレームの平面部との間に隙間がある場合でも、安定した固定が可能となると共に、溶接部が、ブラケットのＲ形状部及び側面からシート幅方向外側にはみ出す量を減らすことができる。

　このとき、請求項５のように、前記角部には、前記側面が前記幅方向の外側に突出する折り返し部が設けられており、該折り返し部と前記平面部とがレーザ溶接されていると好適である。
　このように、折り返し部を設け、折り返し部と平面部をレーザ溶接するので、ブラケットと上部フレームの平面部の間の隙間を小さくでき、安定した固定が可能となる。

　このとき、請求項６のように、前記上部フレームは、パイプ状体からなり、前記上部フレームの前記シート幅方向中央部には、前記上部フレームの前面側が凹んだ前記平面部と、該平面部の前記シート幅方向両側に設けられ、前記平面部と前記上部フレームのパイプ状の部分の前面とを繋ぐように傾斜した一対の凹部側面とが設けられ、前記角部と前記平面部とが、前記凹部側面と対向する位置で、レーザ溶接されていると好適である。
　レーザ溶接によれば、溶接痕を狭い範囲内に留め、レーザ溶接部のシート側方への張り出しを少なくすることができるため、このように、角部と平面部とを、凹部側面と対向する位置でレーザ溶接することにより、凹部側面をレーザ溶接部側に近づけることができるようになり、上部フレームの剛性を確保しやすくなる。

　このとき、請求項７のように、前記溶接痕のビード中心が、前記折り返し部の前記シート幅方向の外端部と、前記平面部と前記後面が接触する面の前記シート幅方向の外端部との間に、位置していると好適である。
　このように構成しているため、ブラケットを、後面と側面との角部に折り返し部を設けた構成とした場合に、一層安定した固定が可能となる。

　このとき、請求項８のように、前記溶接痕が、前記折り返し部の前記シート幅方向の外端部に達していると好適である。
　このように構成しているため、より安定した固定が可能となる。

　このとき、請求項９のように、前記溶接痕は、前記上部フレームの後方の面に達していないと好適である。
　このように構成しているため、上部フレームの剛性が、シート幅方向におけるブラケット設置部分において、溶接により部分的に低くなりすぎることを抑制できる。

　このとき、請求項１０のように、前記ブラケット及び前記上部フレームは、レーザ溶接によって形成された溶融池跡を有し、該溶融池跡は、それぞれ前記ブラケット及び前記上部フレームの厚みの５～２０％の深さを有すると好適である。
　このように構成しているため、深い溶融部ビードが残るキーホール溶接の場合と異なり、溶接部分の強度が低下することを抑制でき、固定強度と、ブラケット及び上部フレームの剛性とを確保できる。

　このとき、請求項１１のように、前記第１溶接痕片と前記第２溶接痕片は、前記ヘッドレストのピラーの前記ブラケットへの挿入方向に対して傾斜しており、前記第１溶接痕片及び前記第２溶接痕片の前記挿入方向に垂直な方向における距離Ａ及び隣接する一組の前記第１溶接痕片及び前記第２溶接痕片の前記挿入方向の長さの和Ｂは、前記Ｒ形状部の曲率半径Ｒよりも小さいと好適である。
　このように構成しているため、溶接部のシート水平方向への張り出し量を抑制しつつ、安定した固定が可能となる。

　前記課題は、請求項１２の車両用シートによれば、上部フレームを備えたシートバックフレームと、前記上部フレームに接合され、ヘッドレストのピラーを保持するブラケットと、を有し、前記ブラケットが、前記上部フレームに、レーザ溶接されることにより固定されていること、により解決される。

　請求項１の発明によれば、高エネルギー密度の熱源を利用するレーザ溶接により上部フレームとブラケットが連結されるため、高速溶接が可能となり、ブラケットの上部フレームへの溶接工程を短時間で完了することができる。また、溶接熱影響が非常に少なく、溶接変形が少ないため、溶接による熱歪みが殆ど生じることがなく、溶接後の製品の歩留まりを向上することができる。

　請求項２の発明によれば、支持ガイドが設けられた範囲の上下方向の少なくとも一部において、上下方向に、ブラケットが、上部フレームにレーザ溶接されているため、ブラケットの壁面のうち支持ガイドを支持する部分が、熱歪みによって外側に向かって膨らむように開くことを抑制することができる。ブラケットの壁面の開きに起因して支持ガイドとブラケットとの間に空間ができなくなり、支持ガイドがブラケット内でがたつくことを抑制できる。

　請求項３の発明によれば、溶接痕は、互いに異なる方向に沿って形成され、交互に上下に連続して並ぶ複数の第１溶接痕片及び第２溶接痕片を備えるため、溶接痕が全体としてジグザグ形状等を形成し、ブラケットと上部フレームの当接面との間に隙間がある場合でも、安定した固定が可能となると共に、溶接部が、ブラケットのＲ形状部及び側面からシート幅方向外側にはみ出す量を減らすことができる。

　請求項４の発明によれば、ブラケットと上部フレームの平面部との間に隙間がある場合でも、安定した固定が可能となると共に、溶接部が、ブラケットのＲ形状部及び側面からシート幅方向外側にはみ出す量を減らすことができる。

　請求項５の発明によれば、折り返し部を設け、折り返し部と平面部をレーザ溶接するので、ブラケットと上部フレームの平面部の間の隙間を小さくでき、安定した固定が可能となる。

　請求項６の発明によれば、レーザ溶接によれば、溶接痕を狭い範囲内に留め、レーザ溶接部のシート側方への張り出しを少なくすることができるため、このように、角部と平面部とを、凹部側面と対向する位置でレーザ溶接することにより、凹部側面をレーザ溶接部側に近づけることができるようになり、上部フレームの剛性を確保しやすくなる。

　請求項７の発明によれば、ブラケットを、後面と側面との角部に折り返し部を設けた構成とした場合に、一層安定した固定が可能となる。
　請求項８の発明によれば、より安定した固定が可能となる。
　請求項９の発明によれば、上部フレームの剛性が、シート幅方向におけるブラケット設置部分において、溶接により部分的に低くなりすぎることを抑制できる。

　請求項１０の発明によれば、深い溶融部ビードが残るキーホール溶接の場合と異なり、溶接部分の強度が低下することを抑制でき、固定強度と、ブラケット及び上部フレームの剛性とを確保できる。
　請求項１１の発明によれば、溶接部のシート水平方向への張り出し量を抑制しつつ、安定した固定が可能となる。

　請求項１２の発明によれば、高エネルギー密度の熱源を利用するレーザ溶接により上部フレームとブラケットが連結されるため、高速溶接が可能となり、ブラケットの上部フレームへの溶接工程を短時間で完了することができる。また、溶接熱影響が非常に少なく、溶接変形が少ないため、溶接による熱歪みが殆ど生じることがなく、溶接後の製品の歩留まりを向上することができる。

本発明の一実施形態に係る車両用シートの外観図である。本発明の一実施形態に係る車両用シートのシートフレームの外観図である。本発明の一実施形態に係る上部フレームへのブラケットの取付部を示す外観図である。本発明の一実施形態に係るブラケットでのヘッドレストピラーの支持状態を示す断面図である。本発明の一実施形態に係る上部フレームへのブラケットの取付部を示す拡大図である。本発明の一実施形態に係る上部フレームへのブラケットの溶接部を示す拡大図である。本発明の一実施形態に係る上部フレームへのブラケットの溶接部を示す拡大断面図である。本発明の変形例に係る上部フレームへのブラケットの溶接部を示す拡大図である。

　以下、本発明の一実施形態に係る車両用シート及び車両用シートのシートフレームについて、図１～図８を参照しながら説明する。
（車両用シートＳ及びシートフレーム）
　本実施の形態に係る車両用シートＳは、図１で示すように、シートバックＳ１、着座部Ｓ２、ヘッドレストＳ３より構成されており、シートバックＳ１及び着座部Ｓ２は不図示のシートフレームにクッションパッド１ａ、２ａを載置して、表皮材１ｂ、２ｂで被覆されている。また、ヘッドレストＳ３は、不図示の芯材にパッド材３ａを配して、表皮材３ｂで被覆して形成され、ヘッドレストピラー１４により支持される。

　シートバックＳ１は、シートバックフレーム１に、クッションパッド１ａを載置して、クッションパッド１ａの上から表皮材１ｂにより覆われており、乗員の背中を後方から支持するものである。シートバックフレーム１は、図２に示すように、左右に離間して配置され上下方向に延在する一対のサイドフレーム２０と、一対のサイドフレーム２０の上端部を連結する上部フレーム１１と、下端部を連結する下部フレーム１２とにより枠状に構成されている。

　サイドフレーム２０は、板金をプレス加工して成形され、前端の辺が湾曲して前端の下側部分が前方に張り出した略Ｄ字状の略板体からなる。
　サイドフレーム２０の上下方向の中央付近及び下方には、一対のジグザグバネ３１の両端が取り付けられている。

　上部フレーム１１は、パイプ状体からなり、シート幅方向に延びてシートバックフレーム１の上部を構成する上枠部１１ａと、上枠部１１ａの両端が垂直に湾曲して下方に向かって延出する上部フレーム側部１１ｄとから構成されている。
　図２に示すように、左右の上部フレーム側部１１ｄのシート前方内側の面には、連結プレート３０が溶接固定されている。
　上部フレーム１１の上枠部１１ａの２箇所には、図２、図３に示すように、潰し加工により前面側が平面となった凹部平面部１１ｂが形成されている。凹部平面部１１ｂのシート幅方向両側は、凹部平面部１１ｂの面から上枠部１１ａのパイプ状部分の曲面からなる前面につながる一対の凹部側面１１ｃが形成されており、この凹部側面１１ｃは、凹部平面部１１ｂに対して傾斜している。

　一対の凹部平面部１１ｂには、ヘッドレストピラー１４を支持する支持ガイド１５を支持するブラケット４０が設けられている。
　ヘッドレストピラー１４は、図４に示すように、一対の金属製の棒状体からなり、シート前方に弓なり状に湾曲している。
　支持ガイド１５は、合成樹脂を筒状に成型した部材であり、ヘッドレストピラー１４を内部に格納可能な筒状部と、筒状部の上方に一体に設けられ、ブラケット４０内に挿入されたときにブラケット４０の上端よりも上方に露出する頭部と、を備えている。
　図４に示すように、ヘッドレストピラー１４は、筒状の支持ガイド１５に挿入されて固定され、支持ガイド１５は、筒状のブラケット４０に挿入されて嵌合される。支持ガイド１５、ブラケット４０が、このように設置されることにより、ヘッドレストＳ３がシートバックＳ１に設置された状態となる。

　ブラケット４０は、図２、図３に示すように、金属板が曲げ加工により角筒状に巻かれることによって形成された略角筒状からなり、後面４１と、後面４１に隣接し後面４１に垂直な一対の側面４３を備え、後面４１と側面４３とが交わる線が、後面４１のシート幅方向の両端部４２となっている。後面４１には、上端から下端まで同じ幅で延びるスリット４５が形成されている。後面４１は、凹部平面部１１ｂに当接しており、両端部４２が、凹部平面部１１ｂにレーザ溶接されている。

　レーザ溶接痕４４は、ブラケット４０の後面４１の端部４２と凹部平面部１１ｂとが当接する位置に、図５に示すように、ジグザグ形状Ｚを描きながら、ブラケット４０の上下方向に延びている。
　レーザ溶接痕４４は、図５に示すように、凹部平面部１１ｂの上端付近から下端付近まで、略全長に亘って設けられているが、支持ガイド１５が設けられた上下方向の範囲の少なくとも一部に形成されていればよい。例えば、中央付近のみに設けられていてもよいし、上端付近と下端付近に分割して形成されていてもよい。本実施形態では、図４のように、支持ガイド１５は、ブラケット４０の上端から下端の全長を貫通して配置されているが、支持ガイド１５が、ブラケット４０の上下方向の長さの一部のみに配置される場合には、レーザ溶接痕４４が支持ガイド１５の上下方向の範囲の少なくとも一部に形成されるように、レーザ溶接を行う。

　端部４２は、図６に示すように、角にＲ形状部４２ｒを備えている。レーザ溶接痕４４は、側面４３の延長面４３Ｐよりもブラケット４０のシート幅方向中央側で、Ｒ形状部４２ｒと凹部平面部１１ｂに囲まれた領域ａに設けられている。
　なお、図６において、図面右側の端部４２は、レーザ溶接痕４４を備えたレーザ溶接後の状態を示している。また、図面左側の端部４２は、レーザ溶接前の状態を示している。
　ジグザグ形状Ｚは、振幅Ａが０．５～２．０ｍｍ、波長λが０．５～２．０ｍｍで、振幅Ａ及び波長λは、図６に示すＲ形状部４２ｒの曲率半径Ｒ＝３．０ｍｍよりも小さい。

　図７に、凹部平面部１１ｂとブラケット４０との溶接部の断面を示す。図７に示すように、凹部平面部１１ｂ及びブラケット４０におけるレーザ溶接によるビード溶融池跡の深さＤ１、Ｄ２は、それぞれ、凹部平面部１１ｂ及びブラケット４０の厚みの５～２０％である。
　本実施形態では、凹部平面部１１ｂとブラケット４０とをレーザ溶接しているため、溶接部での熱歪みが抑制される。ミグ溶接、ティグ溶接等では、溶接部で熱歪みが発生するため、ブラケット４０と凹部平面部１１ｂを溶接すると、ブラケット４０が、スリット４５がシート幅方向左右に開き、左右の側面４３が相互に離れるように変形し、ブラケット４０と支持ガイド１５とを嵌合させたときにがたつきが発生することがあるが、本実施形態では、ブラケット４０の変形が抑制され、ブラケット４０と支持ガイド１５との間のがたつきの発生が抑制される。

（溶接方法）
　本実施形態において、上部フレームの凹部平面部１１ｂとブラケット４０とを接合するレーザ溶接方法について説明する。
　本実施形態のレーザ溶接では、公知のＣＯ_２レーザを用いるが、公知のＹＡＧレーザを用いてもよい。また、ビード溶融池の形状があまり凹まず、深さより幅が広いタイプの熱伝導型レーザ溶接とする。
　図６の矢印Ｘに示すように、レーザは、凹部平面部１１ｂとＲ形状部４２ｒに囲まれ、側面４３の延長面４３Ｐよりもブラケット４０のシート幅方向中央側の領域ａに、凹部平面部１１ｂ及び側面４３に対して鋭角の角度を持って傾斜するように、斜め方向に照射する。
　レーザは、図５に示すジグザグ形状Ｚを描くように、不図示の加工ヘッド及びポジショナーを動かして照射する。
　なお、図６では、図面右側の側面４３が、凹部平面部１１ｂとレーザ溶接された状態を示し、図面左側の側面４３が凹部平面部１１ｂとレーザ溶接される前の状態を示している。

（変形例）
　本実施形態では、ブラケット４０を、図３、図５、図６に示す形状から構成しているが、図８に示すように、一対の側面４３´の後端に、シート幅方向の側方に突出する折返し部４２´を形成したブラケット４０´としてもよい。
　ブラケット４０´は、金属板が曲げ加工により角筒状に巻かれることによって形成されており、金属板の両端部に、金属板を折り返して二重にした折り返し部４２´が形成され、一対の折り返し部４２´の間が、上下方向に延びるスリット４５´となっている。
　折り返し部４２´の側面４３´逆側の面は、後面４１´を構成し、後面４１´は、中央にスリット４５´を備えている。
　ブラケット４０´では、レーザ溶接痕４４´は、後面４１´と凹部平面部１１ｂの当触面のシート幅方向の外側端部である接触面端部４２Ｃ´から、折り返し部４２´のシート幅方向の外側端部４２Ｔ´に至るまでの領域に亘っている。レーザ溶接痕４４´のビード溶融部中心は、接触面端部４２Ｃ´と端部４２Ｔ´との間にある。
　なお、図８では、図面左側の側面４３´が、凹部平面部１１ｂとレーザ溶接された状態を示し、図面右側の側面４３´が凹部平面部１１ｂとレーザ溶接される前の状態を示している。
　レーザ照射時には、レーザ照射の中心を、接触面端部４２Ｃ´と端部４２Ｔ´との間に合わせ、端部４２Ｔ´が照射範囲に入るようにして照射を行う。
　図８の例では、ブラケット４０´の壁面を構成していない折り返し部４２´の外面でレーザ溶接を行うため、レーザ溶接による溶融金属がブラケット４０´の壁面に到達することがなく、溶接痕がブラケット４０´の内壁面まで達しないため、レーザ溶接が、ブラケット４０´の壁面の形状に影響を及ぼすことがない。その結果、ブラケット４０´と支持ガイド１５との間のがたつきの発生が抑制される。

Ｄ１、Ｄ２　深さ
Ｓ　車両用シート
Ｓ１　シートバック
Ｓ２　着座部
Ｓ３　ヘッドレスト
Ｚ　ジグザグ形状
ａ　領域
１　シートバックフレーム
１ａ、２ａ　クッションパッド
１ｂ、２ｂ　表皮材
３ａ　パッド材
３ｂ　表皮材
１１　上部フレーム
１１ａ　上枠部
１１ｂ　凹部平面部
１１ｃ　凹部側面
１１ｄ　上部フレーム側部
１２　下部フレーム
１４　ヘッドレストピラー
１５　支持ガイド
２０　サイドフレーム
３０　連結プレート
３１　ジグザグバネ
４０、４０´　ブラケット
４１、４１´　後面
４２、４２Ｔ´　端部
４２´　折り返し部
４２Ｃ´　接触面端部
４２ｒ　Ｒ形状部
４３、４３´　側面
４３Ｐ　延長面
４４、４４´　レーザ溶接痕
４５、４５´　スリット

Claims

　上部フレームを備えたシートバックフレームと、
　前記上部フレームに接合され、ヘッドレストのピラーを保持するブラケットと、を有し、
　前記ブラケットが、前記上部フレームに、レーザ溶接されることにより固定されていることを特徴とする車両用シートのシートフレーム。
　前記ブラケットは、前記ヘッドレストのピラーを、支持ガイドを介して支持し、
　前記支持ガイドが設けられた上下方向の範囲の少なくとも一部において、上下方向に、前記ブラケットが、前記上部フレームにレーザ溶接されていることを特徴とする請求項１記載の車両用シートのシートフレーム。
　前記ブラケットは、前記シート後方の後面と、前記シート幅方向側部に設けられた一対の側面と、該側面及び前記後面との間の角部とを備え、
　前記角部には、前記後面と前記側面とを曲面で連結するＲ形状部が設けられ、
　前記上部フレームは、前記シート前面側が平面に形成された平面部を備え、
　該平面部と前記Ｒ形状部との間には、上下方向に延びるレーザ溶接の溶接痕が跨っており、
　該溶接痕は、互いに異なる方向に沿って形成されると共に、交互に上下に連続して並ぶ複数の第１溶接痕片及び第２溶接痕片を備えることを特徴とする請求項１又は２記載の車両用シートのシートフレーム。
　前記溶接痕は、前記Ｒ形状部と前記平面部とを橋渡すように連結する連結部を備え、
　該連結部は、前記側面の延長面と前記Ｒ形状部と前記平面部とに囲まれた領域に配置されていることを特徴とする請求項３記載の車両用シートのシートフレーム。
　前記角部には、前記側面が前記幅方向の外側に突出する折り返し部が設けられており、
　該折り返し部と前記平面部とがレーザ溶接されていることを特徴とする請求項３又は４記載の車両用シートのシートフレーム。
　前記上部フレームは、パイプ状体からなり、
　前記上部フレームの前記シート幅方向中央部には、前記上部フレームの前面側が凹んだ前記平面部と、該平面部の前記シート幅方向両側に設けられ、前記平面部と前記上部フレームのパイプ状の部分の前面とを繋ぐように傾斜した一対の凹部側面とが設けられ、
　前記角部と前記平面部とが、前記凹部側面と対向する位置で、レーザ溶接されていることを特徴とする請求項３乃至５いずれか記載の車両用シートのシートフレーム。
　前記溶接痕のビード中心が、前記折り返し部の前記シート幅方向の外端部と、前記平面部と前記後面が接触する面の前記シート幅方向の外端部との間に、位置していることを特徴とする請求項５又は６記載の車両用シートのシートフレーム。
　前記溶接痕が、前記折り返し部の前記シート幅方向の外端部に達していることを特徴とする請求項５乃至７いずれか記載の車両用シートのシートフレーム。
　前記溶接痕は、前記上部フレームの後方の面に達していないことを特徴とする請求項３乃至８いずれか記載の車両用シートのシートフレーム。
　前記ブラケット及び前記上部フレームは、レーザ溶接によって形成された溶融池跡を有し、該溶融池跡は、それぞれ前記ブラケット及び前記上部フレームの厚みの５～２０％の深さを有することを特徴とする請求項１乃至９いずれか記載の車両用シートのシートフレーム。
　前記第１溶接痕片と前記第２溶接痕片は、前記ヘッドレストのピラーの前記ブラケットへの挿入方向に対して傾斜しており、
　前記第１溶接痕片及び前記第２溶接痕片の前記挿入方向に垂直な方向における距離Ａ及び隣接する一組の前記第１溶接痕片及び前記第２溶接痕片の前記挿入方向の長さの和Ｂは、前記Ｒ形状部の曲率半径Ｒよりも小さいことを特徴とする請求項３乃至１０いずれか記載の車両用シートのシートフレーム。
　上部フレームを備えたシートバックフレームと、
　前記上部フレームに接合され、ヘッドレストのピラーを保持するブラケットと、を有し、
　前記ブラケットが、前記上部フレームに、レーザ溶接されることにより固定されていることを特徴とする車両用シート。