JP5513462B2 - ヘッドレスト構造 - Google Patents

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Description

本発明は乗員の頭部を支えるヘッドレスト構造に関する。
従来、ヘッドレストステーの下端部に抜け止めを設けて、ヘッドレストステーが不用意にシートバックから外れることを防止したヘッドレスト構造が知られている。例えば、下記特許文献1には、ヘッドレストステーの下端部にスリットを設けて、そのスリットに回転ストッパを軸支して、該回転ストッパがシートバックに設けられたヘッドレストブッシュの端部に引っ掛かることにより、ヘッドレストステーが不用意にシートバックから外れることを防止したヘッドレスト構造が開示されている。
特開2006−346342号公報
しかしながら、従来の構造では、ヘッドレストステーの下端部に抜け止めを設けるにあたり、スリット加工や穴加工等複数の機械加工を行なう必要があった。また、上記抜け止めは、回転ストッパや該回転ストッパを軸支する枢軸等複数の部品により構成されており、これらの部品を組み付けるために相当の工数を要していた。
本発明は上記事実を考慮し、ヘッドレストステーへの加工及び部品点数の増加を抑制することができるヘッドレスト構造を得ることが目的である。
請求項1記載の本発明に係るヘッドレスト構造は、シートバックの上方に設けられ、乗員の頭部を支えるヘッドレスト本体と、上端側が前記ヘッドレスト本体に固定されると共に下端部が前記シートバックの上端部に設けられた筒状の支持部に挿通されることにより前記ヘッドレスト本体をシート上下方向に移動可能に支持するヘッドレストステーと、一方の端部が前記ヘッドレストステーの下端部に固定される固定部とされ、他方の端部が前記支持部に挿通されかつ前記支持部に挿通される際には前記支持部の内径以下に弾性変形することにより前記支持部に挿通され前記支持部への挿通が完了した際には弾性復元し前記支持部の内径を超える外径の爪部を形成すると共に前記支持部から取り外される方向へ移動した際には前記爪部が前記支持部の端部に引っ掛かるストッパ部とされ、かつ一体構造とされたストッパ部材と、を備えることを特徴とする。
請求項1に係る本発明では、ヘッドレストステーの先端に取付けられたストッパ部材のストッパ部がシートバック上端部に設けられた支持部に挿通される際には、爪部の外径が支持部の内径以下に弾性変形することにより該支持部に挿通可能とされ、該支持部への挿通が完了した際には弾性復元して、爪部の外径が支持部の内径を超える外径まで広がる。ここで、ストッパ部材がシートバックの支持部から抜け出す方向に移動したとしても、爪部が支持部の端部に引っ掛かるため、ストッパ部材は支持部から抜け出すことができない。即ち、請求項1に係る本発明では、上記一体構造のストッパ部材を設けたため、ヘッドレストステーがシートバックの上端部に設けられた支持部から不用意に抜け出すことを防止しつつ、ヘッドレストステーへの加工及び部品点数の増加が抑制される。
請求項2記載の本発明に係るヘッドレスト構造は、請求項1記載のヘッドレスト構造において、前記ヘッドレストステーは少なくとも下端部が中空パイプ構造とされると共に前記ヘッドレストステーの下端部の周壁には係止孔が設けられており、前記ストッパ部材の固定部には前記ヘッドレストステーの下端部から挿通されることにより前記係止孔に係止される係止突起が設けられたことを特徴とする。
請求項2に係る本発明では、ストッパ部材の固定部に設けられた係止突起をヘッドレストステーに設けられた係止孔に係止することにより、ストッパ部材がヘッドレストステーに固定される。換言すると、ストッパ部材の固定部に設けられた係止突起及びヘッドレストステーに設けられた係止孔という簡単な構成で、ストッパ部材がヘッドレストステーに固定される。
請求項3記載の本発明に係るヘッドレスト構造は、請求項2記載のヘッドレスト構造において、前記ストッパ部材の固定部には前記係止突起が前記係止孔から抜け出す方向に弾性変形可能とする剛性低下部が設けられたことを特徴とする。
請求項3に係る本発明では、上記剛性低下部がストッパ部材の固定部に設けられているため、ストッパ部材の固定部をヘッドレストステーの下端部から挿通させる際に、係止突起がステーの下端部に引っ掛かることが抑制される。即ち、ストッパ部材の固定部に設けられた係止突起が突出する方向と反対方向に、固定部を弾性変形させた状態で、該固定部をヘッドレストステーの下端部から挿通させることにより、係止突起がヘッドレストステーの下端部に引っ掛かることが抑制される。
請求項4記載の本発明に係るヘッドレスト構造は、請求項3記載のヘッドレスト構造において、前記ストッパ部材のストッパ部には前記係止突起が突出する方向と直交する方向に弾性変形可能とする剛性低下部が設けられたことを特徴とする。
請求項4に係る本発明では、固定部に設けられた係止突起が突出する方向と直交する方向に弾性変形可能とするための剛性低下部がストッパ部に設けられている。そのため、ストッパ部の変形に伴い、固定部に設けられた係止突起がヘッドレストステーに設けられた係止孔から抜け出す方向に変形することが抑制される。即ち、ストッパ部の変形に伴い、固定部がヘッドレストステーから外れてしまうことが抑制される。なお、係止突起が突出する方向と直交する方向とは、該係止突起が突出する方向とのなす角度が90度であることに限定されるものではなく、上記効果を得られる範囲内においてずれていても良い。
請求項5記載の本発明に係るヘッドレスト構造は、請求項1乃至請求項4いずれか1項に記載のヘッドレスト構造において、前記ストッパ部材には前記固定部から前記ストッパ部にかけて配線配索用の貫通孔が形成されたことを特徴とする。
請求項5に係る本発明では、上記構成の貫通孔を備えている。そのため、例えばヘッドレスト本体に設けられたヘッドレストモニター等の電装部品の配線をシートバック内部に向けて配索すること可能となる。その結果、電装部品の配線がヘッドレスト本体付近から突出して配索される場合の如く、ヘッドレストの外観意匠が損なわれてしまうことが抑制される。
請求項6記載の本発明に係るヘッドレスト構造は、請求項1乃至請求項5いずれか1項に記載のヘッドレスト構造において、前記ストッパ部材のストッパ部には前記爪部の外径を前記支持部の内径よりも小さな外径に弾性変形させるガイド部が設けられたことを特徴とする。
請求項6に係る本発明では、上記構成のガイド部が設けられている。そのため、車両の整備や部品交換を行なう際にヘッドレストステーをシートバックの支持部から取り外す必要が生じた場合、操作者がガイド部を操作することによって、爪部の外径をシートバックの支持部の内径よりも小さな外径に弾性変形させることができる。即ち、ガイド部が設けられることにより、ヘッドレストをシートバックから取り外す作業が容易となる。
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係るヘッドレスト構造は、ヘッドレストステーへの加工及び部品点数の増加を抑制することができる、という優れた効果を有する。
請求項2記載の本発明に係るヘッドレスト構造は、ストッパ部材の固定部に設けられた係止突起及びヘッドレストステーに設けられた係止孔という簡単な構成で、ストッパ部材をヘッドレストステーに固定することができる、という優れた効果を有する。
請求項3記載の本発明に係るヘッドレスト構造は、ストッパ部材の固定部をヘッドレストステーの下端部から挿通させる際に、係止突起がステーの下端部に引っ掛かることを抑制することができる、という優れた効果を有する。
請求項4記載の本発明に係るヘッドレスト構造は、ストッパ部の変形に伴い、固定部がヘッドレストステーから外れてしまうことを抑制することができる、という優れた効果を有する。
請求項5記載の本発明に係るヘッドレスト構造は、ヘッドレストの外観意匠が損なわれてしまうことを抑制することができる、という優れた効果を有する。
請求項6記載の本発明に係るヘッドレスト構造は、ヘッドレストをシートバックから取り外す作業の整備性を向上させることができる、という優れた効果を有する。
ヘッドレスト構造を示す斜視図である。 (A)はヘッドレストステーを示す斜視図であり、(B)はストッパ部材が取付けられるヘッドレストステーの下端部を示す拡大斜視図である。 (A)はストッパ部材を示す斜視図であり、(B)はストッパ部材の平面図であり、(C)はストッパ部材を示す側面図であり、(D)はストッパ部材を示す正面図である。 (A)はヘッドレストステーがシートバック上端部に設けられた支持部に挿通される前の状態を示す斜視図であり、(B)は支持部の入り口に挿通され始めた状態のストッパ部材を示す拡大正面図であり、(C)は支持部に挿通されている状態のストッパ部材を示す拡大正面図であり、(D)は支持部への挿通が完了した状態のストッパ部材を示す拡大正面図である。 (A)はストッパ部材が支持部から取り外される方向に移動した状態のヘッドレスト構造全体を示す斜視図であり、(B)はストッパ部材の爪部が支持部の外縁部に引っ掛かった状態を示す拡大正面図であり、(C)はガイド部を操作した状態のストッパ部材を示す拡大正面図である。 (A)及び(B)は変形例に係るストッパ部材の固定部を示す斜視図であり、(C)及び(D)は変形例に係るストッパ部材のストッパ部を示す斜視図である。
図1〜図4を用いて、本発明の一実施形態のヘッドレスト構造について説明する。なお、車両前後方向前方側を矢印FRで示し、車幅方向右側を矢印RHで示し、車両上下方向上側を矢印UPで示す。
図1に示されるように、ヘッドレスト10は、乗員が着座する車両用シート12のシートバック14の上方に設けられ乗員の頭部を支えるヘッドレスト本体16と、シートバック14に対してヘッドレスト本体16を上下方向に移動可能に支持するヘッドレストステー18と、ヘッドレストステー18の下端部に取付けられたストッパ部材20と、を主要な要素として構成されている。以下、先ずヘッドレスト10が取付けられるシートバック14について説明し、次いでヘッドレストステー18、ヘッドレスト10の順に説明し、最後に本発明の要部であるストッパ部材20について説明する。
(シートバック)
シートバック14は、車両用シート12における図示しないシートクッションの端部に傾倒可能に立設されており、シートクッションに着座した乗員の背中を支える役割を担っている。詳述すると、シートバック14は、正面視で下方が開放されたU字状に形成されたシートバックフレーム22に発泡ウレタンにより形成されたシートバックパッド14Aが固定され、更にそのシートバックパッド14Aの表面が布材やレザー等により形成された表皮材14Bに被われることにより構成されている。
シートバックフレーム22は、一例として中空パイプの鋼材に曲げ加工等がなされることにより形成されている。具体的には、シートバックフレーム22は、車幅方向に延材する第1骨格部22Aと、着座状態で第1骨格部22Aの車幅方向右側の端部から車両下方側に屈曲して延在する第2骨格部22Bと、第1骨格部22Aの車幅方向左側の端部から車両下方側に屈曲してかつ前記第2骨格部材と略平行に延在する第3骨格部22Cと、を備えている。また、第2骨格部22B及び第3骨格部22Cの下端部は図示しないシートクッションフレームに接合される接合部とされている。更に、第2骨格部22Bと第3骨格部22Cとの間には、図示しない複数のサイドワイヤが掛け渡されている。乗員がシートバック14に凭れ掛かる際に生じる荷重を前記サイドワイヤを介してシートバックフレーム22に伝達する構成である。また、第1骨格部22Aの車幅方向右側の端部には、車両上下方向に貫通している筒状の第1取付部材(図示省略)が溶接にて接合されている。更に、第1骨格部22Aの車幅方向左側の端部には、第1取付部材と略同形状の第2取付部材(図示省略)が該第1取付部材と略平行に接合されている。
また、上記第1取付部材には、支持孔24Aが形成された支持部としての第1ヘッドレストブッシュ24が挿通及び固定されている。更に、第1ヘッドレストブッシュ24の上端部にはフランジ部24Bが形成されている。また、上記第2取付部材には、支持孔26Aが形成された支持部としての第2ヘッドレストブッシュ26が挿通及び固定されている。更に、第2ヘッドレストブッシュ26の上端部にはフランジ部26Bが形成されており、このフランジ部26Bには以下に説明するヘッドレストステー18の車両上下方向の位置を規制する位置規制手段(図示省略)が設けられている。
以上説明したシートバックフレーム22にシートバックパッド14A及び表皮材14Bが取付けられる。また、シートバックパッド14A及び表皮材14Bが取付けられた状態において、支持孔24Aを備えた第1ヘッドレストブッシュ24のフランジ部24B及び支持孔26Aを備えた第2ヘッドレストブッシュ26のフランジ部26Bがシートバック14の上端部から突出している構成である。
(ヘッドレストステー)
図2(A)に示されるように、ヘッドレストステー18は、一例としてステンレス鋼のパイプ材に曲げ加工が施されることにより形成されており、その形状は車両下方側に開口したU字状とされている。具体的には、ヘッドレストステー18は、車幅方向に延在する基部18Aを備えている。また、ヘッドレストステー18は、基部18Aの車幅方向右側の端部から車両下方側へ屈曲して延在する第1延在部18Bと、基部18Aの車幅方向左側の端部から車両下方側へ屈曲してかつ前記第1延在部18Bと略平行に延在する第2延在部18Cと、を備えている。更に、図2(B)に示されるように、第2延在部18Cの下端部には、車幅方向右側に開口した第1係止孔18D及び車幅方向左側に開口した第2係止孔18Eが形成されている。なお、以下に説明するヘッドレスト本体16にヘッドレストモニター等の電装部品が設けられる場合にあっては、該ヘッドレストモニター等の取付ステーが基部18Aに設けられ、またヘッドレストモニター等の配線をヘッドレストステー18の内部に配索するための配索孔が基部18Aに形成される。
以上説明したヘッドレストステー18の第1延在部18Bが上記シートバック14の上端部に設けられた支持孔24Aに挿通され、また、ヘッドレストステー18の第2延在部18Cが上記シートバック14の上端部に設けられた支持孔26Aに挿通されることにより、ヘッドレストステー18の上端側に固定されたヘッドレスト本体16をシート上下方向に移動可能に支持する構成である。
(ヘッドレスト本体)
図1に示されるように、ヘッドレスト本体16は、車幅方向を長手方向として延在し、車両前後方向に扁平とされた樽型形状とされている。具体的には、ヘッドレスト本体16は、発泡ウレタンにより形成されたクッション材16Aが布材やレザー等により形成された表皮材16Bに被われることにより構成されている。また、クッション材16Aには上記のヘッドレストステー18の上端側に固定されるための図示しない固定溝が形成されている。このクッション材16Aがヘッドレストステー18の上端側に固定された後、クッション材16Aに表皮材16Bが取付けられる構成である。
(ストッパ部材)
図3(A)に示されるように、ストッパ部材20は、樹脂材料により一体成型された小型の部品である。具体的には、ストッパ部材20は、車両上下方向に延材する円柱状の固定部20Aと、該固定部20Aの下端部から車両上下方向下方側に延出された略円錐台形状のストッパ部20Bを備えている。
図3(C)に示されるように、固定部20Aは第1固定部20F及び第2固定部20Gを備えている。この第1固定部20Fの上端部には車幅方向右側に突出する円柱状の第1係止突起20Cが形成されており、また第2固定部20Gの上端部には車幅方向左側に突出する円柱状の第2係止突起20Dが形成されている。更に、固定部20Aには、車両上方側に開口した剛性低下部としてのV字状の溝部20Eが形成されている。該V字状の溝部20Eが固定部20Aに形成されることにより、上記第1係止突起20Cが設けられた第1固定部20Fが該第1係止突起20Cが突出する方向と反対方向(車幅方向左側)へ弾性変形可能とされ、また上記第2係止突起20Dが設けられた第2固定部20Gが該第2係止突起20Dが突出する方向と対向する方向(車幅方向右側)へ弾性変形可能とされている。このように、第1固定部20F及び第2固定部20Gが互いに接近する方向へ弾性変形した状態で、上記ヘッドレストステー18の第2延在部18Cの下端部から挿通される。次いで、第1固定部20F及び第2固定部20Gが弾性復元することにより、第1係止突起20C及び第2係止突起20Dが第2延在部18Cの下端部に設けられた第1係止孔18D及び第2係止孔18Eにそれぞれ係止される。その結果、ストッパ部材20がヘッドレストステー18に固定される構成である。
図3(D)に示されるように、ストッパ部20Bは車両下方側に窄まった円錐台形状とされ、更にストッパ部20Bの上端部の外径は固定部20Aの外径以上かつ上記シートバック14の上端部に設けられた支持孔26Aの内径以上の外径とされている。従って、固定部20Aとストッパ部20Bとの間には段差部が形成され、該段差部が上記シートバックの上端部に設けられた第2ヘッドレストブッシュ26の端部に引っ掛かる爪部20Hとされている。更に、ストッパ部20Bの下端部から固定部20Aの中間部にかけて、車両下方側に開口した剛性低下部としてのV字状の溝部20Iが形成されている。該V字状の溝部20Iが形成されることにより、車両前方側に位置する第1ストッパ部20Jと車両後方側に位置する第2ストッパ部20Kとが互いに接近及び離間する方向に弾性変形可能とされている。即ち、第1ストッパ部20J及び第2ストッパ部20Kは、上記固定部の第1係止突起20C及び第2係止突起20Dが突出する方向と直交する方向に弾性変形可能とされている。また、V字状の溝部20Iが設けられることにより、上記シートバック14の上端部に設けられた支持孔26Aにストッパ部材20が挿通された際に、ストッパ部20Bの爪部20Hの外径が支持孔26Aの内径以下に変形することが可能となっている。また、ストッパ部20Bには、第1ストッパ部20Jと第2ストッパ部20Kとを繋ぐ正面視U字状のガイド部20Lが設けられている。
図3(B)に示されるように、ストッパ部材20の軸芯部には、固定部20Aからストッパ部20Bにかけて貫通孔20Mが形成されている。この貫通孔20Mに、ヘッドレストモニター等の配線が挿通される構成である。
以上説明した、ヘッドレストステー18の上端部にヘッドレスト本体が取付けられると共にストッパ部材20の固定部20Aがヘッドレストステーの第2延在部18Cの下端部に固定されることによりヘッドレスト10は構成されている。
次に、本発明の作用並びに効果について説明する。
図4(A)に示されるように、ヘッドレスト10をシートバック14に取付ける場合、ヘッドレストステー18の第1延在部18Bをシートバック14の上端部に設けられた支持孔24Aに挿通させると共に、ヘッドレストステー18の第2延在部18Cをシートバック14の上端部に設けられた支持孔26Aに挿通させる。この場合、図4(B)に示されるように、第2延在部18Cの先端に取付けられたストッパ部材20のストッパ部20Bが弾性変形して、爪部20Hの外径は支持孔26Aの入り口にて該支持孔26Aの内径以下に変形する。図3(C)に示されるように、爪部20Hの外径が支持孔26Aの内径以下に保たれた状態で、ストッパ部材20及びヘッドレストステー18の第2延在部18Cが支持孔26Aに挿通される。また、図4(D)に示されるように、支持孔26Aへの挿通が完了した際には、ストッパ部20Bは弾性復元して、ストッパ部20Bの爪部20H外径は支持孔26Aの内径を超える状態に戻る。
また、図5(A)に示されるように、ヘッドレストステー18の第1延在部18B及び第2延在部18Cが支持孔24A及び支持孔26Aから抜け出す方向に移動すると、ストッパ部材20によってヘッドレストステー18の第1延在部18B及び第2延在部18Cが支持孔24A及び支持孔26Aから抜け出すことが防止される。詳述すると、図5(B)に示されるようにストッパ部材20の爪部20Hが第2ヘッドレストブッシュ26の端部に引っ掛かることにより、ヘッドレストステー18の第2延在部18Cが支持孔26Aから抜け出すことが防止されている。これに伴い、ヘッドレストステー18の第1延在部18Bは支持孔24Aから抜け出すことができない。また、車両の整備などでヘッドレスト10をシートバック14から取り外す必要が生じた場合、シートバック14に設けられたサービスホール(整備を行なうために使用する孔であり、この孔からヘッドレストステーに取付けられたストッパ部材にアクセス可能となっている)から、図5(C)に示されるように、ストッパ部材20のガイド部20Lを矢印A方向に引っ張ることで、ストッパ部20Bの爪部20Hの外径が貫通孔20Mの内径以下となる。この状態でヘッドレストステー18を車両上下方向上側に引っ張ることで、ヘッドレスト10をシートバック14から取り外すことができる。
以上説明したように、本実施形態のヘッドレスト10では、上記一体構造のストッパ部材20を設けたため、ヘッドレストステー18がシートバック14の上端部に設けられた支持孔24A,26Aから不用意に抜け出すことを防止しつつ、ヘッドレストステーへの加工及び部品点数の増加を最小限に抑えることができる。
更に、本実施形態では、ストッパ部材20の固定部20Aに設けられた第1係止突起20C及び第2係止突起20D並びにヘッドレストステー18に設けられた第1係止孔18D及び第2係止孔18Eという簡単な構成で、ストッパ部材20をヘッドレストステー18に固定することができる。
また、本実施形態では、上記構成のV字状の溝部20Eが固定部20Aに設けられることにより、第1固定部20Fと第2固定部20Gとが互いに接近及び離間する方向に弾性変形可能とされている。そのため、固定部20Aをヘッドレストステー18の第2延在部18Cの下端部から挿通させる際に、第1係止突起20C及び第2係止突起20Dがヘッドレストステー18の下端部に引っ掛かることを抑制することができる。
更に、本実施形態では、第1係止突起20C及び第2係止突起20Dが突出する方向と直交する方向に弾性変形可能とするためのV字状の溝部20Iがストッパ部20Bに形成されている。そのため、ストッパ部20Bの変形に伴い、固定部20Aに設けられた第1係止突起20C及び第2係止突起20Dがヘッドレストステー18に設けられた第1係止孔18D及び第2係止孔18Eから抜け出す方向に変形することを抑制することができる。
また、本実施形態では、ストッパ部材20にガイド部20Lが設けられているため、ヘッドレスト10をシートバック14から取り外す作業の整備性を向上させることができる。
更に、本実施形態では、ストッパ部材20に貫通孔20Mが設けられているため、ヘッドレスト本体16に設けられたヘッドレストモニター等の電装部品の配線をシートバック14の内部に向けて配索すること可能となる。その結果、電装部品の配線がヘッドレスト本体16付近から突出して配索される場合の如く、ヘッドレスト10の外観意匠が損なわれてしまうことを抑制できる。
なお、本実施形態では、ストッパ部材20に設けられた第1係止突起20C及び第2係止突起20Dをヘッドレストステー18に設けられた係止孔18D及び係止孔18Eにそれぞれ係止することにより、ヘッドレストステー18にストッパ部材20を固定した例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、他の固定方法を適用しても良い。例えば、図6(A)に示されるように、固定部20Aの外周部に複数の段部28を設けて、該固定部20Aをヘッドレストステー18の第2延在部18Cの下端部から圧入することによりヘッドレストステー18にストッパ部材20を固定しても良い。また、図6(B)示されるように、ヘッドレストステー18の第2延在部18Cの下端部に複数の返し部30を設け、この返し部30を覆うようにストッパ部材20の固定部20Aを鋳込んでも良い。更に、接着剤を用いてヘッドレストステー18にストッパ部材20を固定するなど、ヘッドレストステー18とストッパ部材20との固定方法は、強度や製造工程などを考慮して適宜設定すればよい。
また、本実施形態では、ストッパ部材20の下端部に下側に窄んだ略円錐台形状のストッパ部20Bを設けた例について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、例えば図6(C)に示されるように、三角柱状の突起部32を2つ突出形成することによりストッパ部20Bを構成しても良い。更に、図6(D)に示されるように、三角柱状の突起部32を4つ形成した構成としても良い。このように、ストッパ部20Bの形状等は、ヘッドレストステー18がシートバック14設けられた支持孔26Aから引き出される際にストッパ部20Bに生じる荷重等を考慮して適宜設定すればよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
10 ヘッドレスト
12 車両用シート
14 シートバック
16 ヘッドレスト本体
18 ヘッドレストステー
18D 第1係止孔(係止孔)
18E 第2係止孔(係止孔)
20 ストッパ部材
20A 固定部
20B ストッパ部
20C 第1係止突起(係止突起)
20D 第2係止突起(係止突起)
20E V字状の溝部(剛性低下部)
20H 爪部
20I V字状の溝部(剛性低下部)
20L ガイド部
20M 貫通孔
24 第1ヘッドレストブッシュ(支持部)
26 第2ヘッドレストブッシュ(支持部)
32 爪部

Claims (6)

  1. シートバックの上方に設けられ、乗員の頭部を支えるヘッドレスト本体と、
    上端側が前記ヘッドレスト本体に固定されると共に下端部が前記シートバックの上端部に設けられた筒状の支持部に挿通されることにより前記ヘッドレスト本体をシート上下方向に移動可能に支持するヘッドレストステーと、
    一方の端部が前記ヘッドレストステーの下端部に固定される固定部とされ、他方の端部が前記支持部に挿通されかつ前記支持部に挿通される際には前記支持部の内径以下に弾性変形することにより前記支持部に挿通され前記支持部への挿通が完了した際には弾性復元し前記支持部の内径を超える外径の爪部を形成すると共に前記支持部から取り外される方向へ移動した際には前記爪部が前記支持部の端部に引っ掛かるストッパ部とされ、かつ一体構造とされたストッパ部材と、
    を備えたヘッドレスト構造。
  2. 前記ヘッドレストステーは少なくとも下端部が中空パイプ構造とされると共に前記ヘッドレストステーの下端部の周壁には係止孔が設けられており、前記ストッパ部材の固定部には前記ヘッドレストステーの下端部から挿通されることにより前記係止孔に係止される係止突起が設けられた請求項1記載のヘッドレスト構造。
  3. 前記ストッパ部材の固定部には前記係止突起が前記係止孔から抜け出す方向に弾性変形可能とする剛性低下部が設けられた請求項2記載のヘッドレスト構造。
  4. 前記ストッパ部材のストッパ部には前記係止突起が突出する方向と直交する方向に弾性変形可能とする剛性低下部が設けられた請求項3記載のヘッドレスト構造。
  5. 前記ストッパ部材には前記固定部から前記ストッパ部にかけて配線配索用の貫通孔が形成された請求項1乃至請求項4いずれか1項に記載のヘッドレスト構造。
  6. 前記ストッパ部材のストッパ部には前記爪部の外径を前記支持部の内径よりも小さな外径に弾性変形させるガイド部が設けられた請求項1乃至請求項5いずれか1項に記載のヘッドレスト構造。
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