JP7347333B2 - 乗物用シート - Google Patents

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Description

本発明は、乗物用シートに関する。
従来、自動車用シートにおいてシートバック又はシートクッションの着座面と反対側の面にワイヤハーネスが取付けられているものがある。特許文献1に記載された自動車用シートにおいては、シートバック又はシートクッションのクッション体であるシートパッドの中にインサートされた金属部材であるワイヤに対し固定具を介してワイヤハーネスを取付けている。
特開2018-154290号公報
特許文献1に記載された自動車用シートにおいては、シートパッドの中にインサートされた金属部材であるワイヤに対し固定具を介してワイヤハーネスを取付ける際、ワイヤが外部から見えないので作業に熟練を要するという問題があった。また、ワイヤの固定具を取付ける部分を外部に露出させておこうとするとシートパッドの成形後にその部分のパッドを除去するか、成形時にその部分にパッドの成形材料が当接しないような処置が必要であった。前者の場合、後者の場合とも作業工程が煩雑化して製造コストの増加を招くという問題があった。
このような要請に鑑み本発明の課題は、簡便な方法でシートパッドの裏面側にワイヤハーネスを取付けることができる乗物用シートを提供することにある。
本発明の第1発明は、乗物用シートに関するものである。乗物用シートは、クッション材であるシートパッドに骨格部材としてのフレームがインサート成形されており、前記シートパッドの着座面と反対側の裏面には前記フレームに連結された板状のブラケットが配設されている。該ブラケットの一部に外部に向かって開口する開口部を有する樹脂製でカップ状の侵入阻止部材が取付けられた状態で前記シートパッドが成形される。これによって、前記侵入阻止部材の内側に前記シートパッドの成形材料が侵入することを阻止されて前記ブラケットの一部が外部に露出するワイヤハーネス取付部として形成されている。
第1発明によれば、ブラケットの一部が外部に露出した状態でシートパッドが成形されているので、ブラケットの一部をワイヤハーネス取付部として利用しやすく、簡便にシートパッドの裏面側にワイヤハーネスを取付けることができる。
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記ブラケットは面内方向が前記シートパッドの前記裏面に平行に延びており、前記侵入阻止部材は底面部と該底面部から前記開口部に向けて立ち上がる側面部とを備えており、前記ブラケットの一部が前記側面部に設けられた前記底面部と平行に延びる貫通孔に通されて取付けられていることを特徴とする。
第2発明によれば、ブラケットの一部を側面部に設けられた底面部と平行に延びる貫通孔に通して取付ければよいので取付けの作業性がよい。
本発明の第3発明は、上記第2発明において、前記開口部の周縁部には弾性を有して前記シートパッドの成形型のキャビティ面に当接し前記シートパッドの成形時に前記侵入阻止部材の中に前記シートパッドの成形原料が侵入するのを防止するフランジ部が形成されていることを特徴とする。
第3発明によれば、侵入阻止部材において開口部の周縁部に弾性を有してシートパッドの成形型のキャビティ面に当接するフランジ部が形成されているので、侵入阻止部材の中にシートパッドの成形原料が侵入するのを簡便に抑制できる。
本発明の第4発明は、上記第3発明において、前記フランジ部は前記底面部に対して垂直な方向から見て先端部の外形線が矩形状に配置されており、コーナ部に前記フランジ部の変形を容易にする切欠きが形成されていることを特徴とする。
第4発明によれば、フランジ部は先端部の外形線が矩形状に配置されておりコーナ部にフランジ部の変形を容易にする切欠きが形成されているので、フランジ部がよりシートパッドの成形型のキャビティ面に当接しやすく、侵入阻止部材の中にシートパッドの成形原料が侵入するのを抑制できる。
本発明の一実施形態の自動車用リアシートを斜め前方から見た斜視図である。 上記実施形態の自動車用リアシートにおけるシートバックのフレームの正面図である。バックパッドの外形を二点鎖線で示している。 図2のIII-III線で切断して示す断面図である。 図3に対応する部分のバックパッドを成形する時の状態を示す図である。 侵入阻止部材の斜視図である。
図1~図5は、本発明の一実施形態を示す。この実施形態は、自動車用リアシート1に本発明を適用した例である。各図中、矢印により自動車用リアシート1を自動車に取付けたときの各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。本実施形態の自動車用リアシート1は、3人掛けのベンチシートであり、車室の幅と略同じ左右方向長さを有し、着座部となるシートクッション2と、背凭れとなるシートバック3と、を備えている。ここで、自動車用リアシート1が特許請求の範囲の「乗物用シート」に相当する。
図1に示すように、シートクッション2とシートバック3は、自動車のフロアFに対して固定されている。シートクッション2については、公知の構成のものであるので説明を省略し、シートバック3について説明していく。
図1~図3に示すように、シートバック3は、骨格を成すバックフレーム10と、クッション材であるバックパッド20と、表皮材であるバックカバー30と、を備えている。シートバック3は、左右一対の左右座席部3Aと、各左右座席部3Aの間に配置される中央座席部3Bと、を有し、左右対称形状に形成されている。ここで、バックフレーム10とバックパッド20が、それぞれ特許請求の範囲の「フレーム」と「シートパッド」に相当する。
図2に示すように、バックフレーム10は、直径が約5mmの鋼製ワイヤを組み合わせて形成されており、後述するバックパッド20の中にインサート成形されてバックパッド20と一体化されている。バックフレーム10は、各左右座席部3Aの左右方向(シート幅方向)外側において上下に延びる左右一対の外縦ワイヤ部11と、各左右座席部3Aの左右方向内側において上下に延びる左右一対の内縦ワイヤ部12と、を有する。また、バックフレーム10は、各外縦ワイヤ部11の上部と各内縦ワイヤ部12の上部を左右方向に延びて連結する上ワイヤ部13と、各外縦ワイヤ部11の下部と各内縦ワイヤ部12の下部を左右方向に延びて連結する下ワイヤ部14と、を有する。さらに、バックフレーム10は、外縦ワイヤ部11と内縦ワイヤ部12の間に配置された送風装置(図示せず)を取付けるための左右一対の上取付ワイヤ部15及び左右一対の下取付ワイヤ部16を有する。
外縦ワイヤ部11は、上下方向に延びる主部11aと、主部11aの下端部から折り返されて主部11aに対して略平行に上下に延びる副部11bと、を有する。また、外縦ワイヤ部11は、上端部側が主部の上部に連結されるとともに、下端部側が主部の上下方向下端部側と副部11bの上端部側に連結される背面視でシート幅方向外側に開口する略U字状の補強部11cを有する。副部11bの下端部にはブラケット11dが取付けられ、ブラケット11dはボルト(図示せず)でフロアFに固定される。上ワイヤ部13は、第1上ワイヤ部13aと、第1上ワイヤ部13aより下方に位置する第2上ワイヤ部13bと、を有する。第1上ワイヤ部13aの左右端部と第2上ワイヤ部13bの左右端部は、それぞれ、各外縦ワイヤ部11の上部に対して連結されている。第1上ワイヤ部13aの左右方向中央部と第2上ワイヤ部13bの左右方向中央部には、左右対称な位置に左右一対の内縦ワイヤ部12の上端部側が連結されている。下ワイヤ部14は、左右一対の内縦ワイヤ部12の下部間を架け渡し状に連結する板状部材14aと、板状部材14aの左右端部と各外縦ワイヤ部11の下部との間を連結する略左右方向に延びる左右一対の第1下ワイヤ部14bと、を有する。また、下ワイヤ部14は、各第1下ワイヤ部14bの左右方向中央部と、各内縦ワイヤ部12の下端部と、を連結する背面視で上方に開口する略U字状の第2下ワイヤ部14cと、を有する。各外縦ワイヤ部11と上ワイヤ部13と下ワイヤ部14とは、前面視でシートバック3の外周形状に沿った矩形枠状をしている。各内縦ワイヤ部12の前側には、側面視で後方に開口を有する略U字状の第1補強ワイヤ部12aが取付けられている。各内縦ワイヤ部12の上端部側には、左右方向に延びる2本のワイヤが架け渡し状に連結されて構成された筒状ブラケット18を支持するヘッドレストサポート支持部12bが配設されている。筒状ブラケット18は、中央座席部3Bのヘッドレスト(図示せず)のヘッドレストサポートを挿入して支持する部材である。各内縦ワイヤ部12の間には、ヘッドレストサポート支持部12bの下に、左右方向に延びる2本のワイヤが架け渡し状に連結されるとともに左右方向中央部にフック部12c1を有するフック支持部12cが配設されている。フック部12c1はフロアFに設けられた被係合部(図示せず)に対して係合される。各内縦ワイヤ部12の間には、フック支持部12cの下に、第2補強ワイヤ部12dが架け渡し状に取付けられ、第2補強ワイヤ部12dの下に第3補強ワイヤ部12eが架け渡し状に取付けられている。板状部材14aには、背面視で上方に開口した略U字状の取付ワイヤ部14a1の開口端部側が連結されている。取付ワイヤ部14a1の開口端部と反対側は、左右一対のブラケット14a2を介してフロアFに対して固定されている。
左右の上取付ワイヤ部15と、左右の下取付ワイヤ部16は、バックフレーム10の左右方向中央面に関して対称形状なので代表として右側の上取付ワイヤ部15と右側の下取付ワイヤ部16について説明する。
図2に示すように、上取付ワイヤ部15は、前面視で上方に開口した略U字状の上本体部15aと、上本体部15aの開口と反対側に連結された前面視で下方に開口した略U字状の上付帯部15bと、を有する。上本体部15aの開口端部側は、右側の外縦ワイヤ部11と右側の内縦ワイヤ部12の間の左右方向略中央部において、第1上ワイヤ部13aと第2上ワイヤ部13bに対して連結されている。上本体部15aが第1上ワイヤ部13aと第2上ワイヤ部13bに対して連結された状態で、上本体部15aの開口と反対側の底辺部15a1は左右方向に延びている。上本体部15aに上付帯部15bが連結された状態で、上付帯部15bの開口と反対側の底辺部15b1は底辺部15a1と平行に左右方向に延びている。底辺部15a1と底辺部15b1の前側に板状の上ブラケット15cが連結されている。上本体部15aの開口端部側には、左右方向に延びる2本のワイヤが架け渡し状に連結されて構成された筒状ブラケット18を支持するヘッドレストサポート支持部15dが配設されている。筒状ブラケット18は、右側の左右座席部3Aのヘッドレスト(図示せず)のヘッドレストサポートを挿入して支持する部材である。上本体部15aの開口端部側には、ヘッドレストサポート支持部15dの下に、左右方向に延びる補強ワイヤ部15eが架け渡し状に連結されている。補強ワイヤ部15eの左端部側は上本体部15aへの連結部から左方に延びて右側の内縦ワイヤ部12の上端部側に連結されている。補強ワイヤ部15eの右端部側は上本体部15aへの連結部から右方に延びて右側の外縦ワイヤ部11の上端部側に連結されている。上本体部15aに対する補強ワイヤ部15eの連結部のうち右側の連結部には、フック部15fが取付けられている。フック部15fは、フロアFに設けられた被係合部(図示せず)に対して係合される。
図2に示すように、下取付ワイヤ部16は、前面視で下方に開口した略U字状の下本体部16aと、下本体部16aの開口と反対側に連結された左右方向に延びる下付帯部16bと、を有する。下本体部16aの開口端部側は、右側の外縦ワイヤ部11と右側の内縦ワイヤ部12の間の左右方向略中央部において、第1下ワイヤ部14bと第2下ワイヤ部14cに対して連結されている。さらに、下本体部16aは、第1下ワイヤ部14bとの連結部の上部において左右方向に延びる補強ワイヤ部16dによって右側の内縦ワイヤ部12に対して連結されている。下本体部16aの開口端部側において、右側の下端部は第1下ワイヤ部14bとの連結部から下方に向かって延ばされるとともに途中で上方に向かって折り返され上端部が第2下ワイヤ部14cに連結されてフック部16a1が形成されている。フック部16a1は、シートクッション2に設けられた被係合部(図示せず)に対して係合される。下本体部16aが第1下ワイヤ部14bと第2下ワイヤ部14cに対して連結された状態で、下本体部16aの開口と反対側の底辺部16a2は左右方向に延びている。下本体部16aに下付帯部16bが連結された状態で、下付帯部16bは底辺部16a2と平行に左右方向に延びている。底辺部16a2と下付帯部16bの前側に板状の下ブラケット16cが連結されている。上ブラケット15cの後側面と下ブラケット16cの後側面は、バックパッド20の着座面21(図3参照)とほぼ平行な同一面上にあり、この間に送風装置(図示せず)が架け渡し状に取付けられる。
図2及び図3に示すように、下本体部16aの左側(シート幅方向内側)の第1下ワイヤ部14bと第2下ワイヤ部14cとの間における後面側にはハーネスブラケット17が溶接によって取付けられている。ハーネスブラケット17は、バックパッド20の着座面21とほぼ平行に延びる板状部材で、左右方向に延びる主部17aと、主部17aの左端部から上方に向かって延びるとともに途中から左方向に屈曲して延びる副部17bと、を有する。主部17aの右端部側にはワイヤハーネス40のクリップ部43を取付けるための取付孔17a1が前後方向に貫通して設けられている。ハーネスブラケット17には、主部17aと副部17bに跨って面剛性を高めるためのリブ17cが設けられている。ここで、ハーネスブラケット17と主部17aが、それぞれ特許請求の範囲の「ブラケット」と「ワイヤハーネス取付部」に相当する。
図3に示すように、ワイヤハーネス40は、配線を束ねた配線部41と、配線部41同士を連結するためのコネクタ部42と、コネクタ部42をハーネスブラケット17に固定するためのクリップ部43と、を有する。コネクタ部42に対しクリップ部43は部分的に嵌合することによって取付けられている。クリップ部43は、コネクタ部42が取付けられる取付部43aと、取付部43aから前方に向かって突出する突出部43bと、を有している。突出部43bの左右端部には、ハーネスブラケット17の取付孔17a1の中に挿入されたとき、内側方向に変形して取付孔17a1を通過したのち元の形状に復帰して取付孔17a1の外周縁の前側に係合する左右一対の係止爪部43b1が設けられている。ワイヤハーネス40は、コネクタ部42に取付けられたクリップ部43の突出部43bがハーネスブラケット17の取付孔17a1の中に挿入されて取付孔17a1の外周縁の前側に左右一対の係止爪部43b1が係止することによってハーネスブラケット17に対して固定される。すなわち、クリップ部43は、ハーネスブラケット17の取付孔17a1に対しスナップフィット方式で連結されている。
図3~図5に示すように、ハーネスブラケット17の主部17aの右側(先端部側)には、樹脂製でカップ状の侵入阻止部材50が取付けられている。侵入阻止部材50は、バックパッド20の着座面21と平行に延びる底面部51と、開口部52と、上側面部53と、下側面部54と、左側面部55と、右側面部56と、を有する。底面部51は、面外方から見て左右方向に長軸を有する略矩形状をしている。開口部52は、底面部51と平行であって面外方向から見て略正方形形状をしている。上側面部53と下側面部54は、底面部51の長手方向中心線から面外方向に向かって延びる面に関して上下対称に形成されている。上側面部53は、底面部51の上端部から垂直に前後方向に延びる垂直部53aと、垂直部53aの後端部から上方向に向かって底面部51と平行に延びる平坦部53bと、を有する。平坦部53bには、2つの矩形状の孔53b1が設けられ、孔53b1の後方には開口部52から下方に向かって延びる2つの矩形状の爪部52aが設けられている。平坦部53bの後面と爪部52aの前面との間隔は、ハーネスブラケット17の主部17aの厚みよりわずかに大きく設定されている。下側面部54は、底面部51の下端部から垂直に前後方向に延びる垂直部54aと、垂直部54aの後端部から下方向に向かって底面部51と平行に延びる平坦部54bと、を有する。平坦部54bには、2つの矩形状の孔54b1が設けられ、孔54b1の後方には開口部52から上方に向かって延びる2つの矩形状の爪部52bが設けられている。平坦部54bの後面と爪部52bの前面との間隔は、ハーネスブラケット17の主部17aの厚みよりわずかに大きく設定されている。左側面部55は、底面部51の左端部から垂直に前後方向に延びて開口部52の左側につながる面として構成されている。左側面部55の開口部52の側の端部には上下方向に向かって底面部51と平行に延びるスリット55aが設けられている。スリット55aの上下方向の長さは、ハーネスブラケット17の主部17aの上下方向の幅よりわずかに大きく、スリット55aの前後方向の幅は、ハーネスブラケット17の主部17aの厚みよりわずかに大きく設定されている。右側面部56は、底面部51の右端部から垂直に前後方向に延びて開口部52の右側につながる面として構成されている。開口部52から侵入阻止部材50の外側方向に向かって底面部51と約45度をなす角度で延びる薄肉のフランジ部57が形成されている。フランジ部57の4つのコーナ部には、侵入阻止部材50の外側方向に向かって延びる切欠き57aが設けられている。フランジ部57は、薄肉であることと4つの切欠き57aが設けられていることで開口部52に対して前後方向に変形しやすくなっている。ここで、上側面部53、下側面部54、左側面部55、右側面部56が、それぞれ特許請求の範囲の「側面部」に相当する。また、スリット55aが、特許請求の範囲の「貫通孔」に相当する。
図3~図5に示すように、バックフレーム10は、バックパッド20の中にインサート成形される。図4に示すように、バックパッド20の成形は、バックパッド20の着座面21に対応する下キャビティ面4aを有する下型4と、バックパッド20の着座面21と反対側の裏面22に対応する上キャビティ面5aを有する上型5と、を利用して行う。まず、ハーネスブラケット17の主部17aに侵入阻止部材50を取付ける。具体的には、主部17aの先端部をスリット55aから侵入阻止部材50の開口部52の中に挿入し右側面部56に当接させる。すると、主部17aは平坦部53bと2つの爪部52a及び平坦部54bと2つの爪部52bに挟まれて支持される。この状態で、上型5の上キャビティ面5aにバックフレーム10をセットする。具体的には、ハーネスブラケット17に取付けられた侵入阻止部材50のフランジ部57を上キャビティ面5aに対して押し付けて曲げ変形をさせながらバックフレーム10を部分的に上キャビティ面5a設けた図示しない係止部材に係止させて仮固定する。そして、下型4の下キャビティ面4aの上にバックパッド20を形成するウレタン発泡樹脂材料を配置してバックフレーム10を取付けた上型5を閉じる。ウレタン発泡樹脂材料が発泡してバックフレーム10を取り囲んだ状態で固化したら上型5を開いて成形されたバックフレーム10がインサートされたバックパッド20を脱型する。このとき、ハーネスブラケット17の主部17aは侵入阻止部材50で覆われてフランジ部57が上キャビティ面5aを押しつけるように変形しているので侵入阻止部材50の中にウレタン発泡樹脂材料が侵入するのを抑制できる。これによって、ハーネスブラケット17の主部17aはバックパッド20の中に埋没することがなく外部に露出しているのでワイヤハーネス40のクリップ部43を取付けやすい。ハーネスブラケット17の主部17aの副部17bの側部分と副部17bは、バックパッド20の中に埋没している。ここで、上型5と上キャビティ面5aが、それぞれ特許請求の範囲の「成形型」と「キャビティ面」に相当する。
以上のように構成される実施形態は、以下のような作用効果を奏する。シートバック3は、ハーネスブラケット17の主部17aの先端側部分が外部に露出した状態でバックパッド20が成形される。これによって、ハーネスブラケット17の主部17aの先端側部分をワイヤハーネス40のクリップ部43の取付部分として利用しやすく、簡便にバックパッド20の裏面側にワイヤハーネス40を取付けることができる。また、ハーネスブラケット17に侵入阻止部材50を取付けるのに、主部17aを先端部側からスリット55aに通して取付ければよいので取付けの作業性がよい。さらに、侵入阻止部材50の開口部52には薄肉のフランジ部57が形成されているので、上型5にバックフレーム10を取付けたとき弾性的に変形して上キャビティ面5aに当接し、侵入阻止部材50の中にバックパッド20の成形原料が侵入するのを簡便に抑制できる。加えて、フランジ部57は矩形状に配置されておりコーナ部に切欠き57aが形成されているのでより上キャビティ面5aに当接しやすく、侵入阻止部材50の中にバックパッド20の成形原料が侵入するのを抑制できる。
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
1.上記実施形態においては、シートバック3に本発明を適用したがシートクッション2に適用してもよい。
2.上記実施形態においては、スリット55aは左側面部55のみに設けたが、右側面部56にも設けて両方のスリットにハーネスブラケット17の主部17aを通して侵入阻止部材50を取付けるようにしてもよい。
3.上記実施形態においては、本発明を自動車のシートに適用したが、飛行機、船、電車等に搭載のシートに適用しても良い。
1 自動車用リアシート(乗物用シート)
2 シートクッション
3 シートバック
4 下型
4a 下キャビティ面
5 上型(成形型)
5a 上キャビティ面(キャビティ面)
10 バックフレーム(フレーム)
17 ハーネスブラケット(ブラケット)
17a 主部(ワイヤハーネス取付部)
17a1 取付孔
20 バックパッド(シートパッド)
21 着座面
22 裏面
30 バックカバー
40 ワイヤハーネス
43 クリップ部
50 侵入阻止部材
51 底面部
52 開口部
53 上側面部(側面部)
54 下側面部(側面部)
55 左側面部(側面部)
55a スリット(貫通孔)
56 右側面部(側面部)
57 フランジ部
57a 切欠き

Claims (4)

  1. 乗物用シートであって、
    クッション材であるシートパッドに骨格部材としてのフレームがインサート成形されており、
    前記シートパッドの着座面と反対側の裏面には前記フレームに連結された板状のブラケットが配設されており、
    該ブラケットの一部に外部に向かって開口する開口部を有する樹脂製でカップ状の侵入阻止部材が取付けられた状態で前記シートパッドが成形されることにより前記侵入阻止部材の内側に前記シートパッドの成形材料が侵入することを阻止されて前記ブラケットの一部が外部に露出するワイヤハーネス取付部として形成されている乗物用シート。
  2. 請求項1において、前記ブラケットは面内方向が前記シートパッドの裏面に平行に延びており、
    前記侵入阻止部材は底面部と該底面部から前記開口部に向けて立ち上がる側面部とを備えており、
    前記ブラケットの一部が前記側面部に設けられた前記底面部と平行に延びる貫通孔に通されて取付けられている乗物用シート。
  3. 請求項2において、前記開口部の周縁部には弾性を有して前記シートパッドの成形型のキャビティ面に当接し前記シートパッドの成形時に前記侵入阻止部材の中に前記シートパッドの成形原料が侵入するのを防止するフランジ部が形成されている乗物用シート。
  4. 請求項3において、前記フランジ部は前記底面部に対して垂直な方向から見て先端部の外形線が矩形状に配置されており、コーナ部に前記フランジ部の変形を容易にする切欠きが形成されている乗物用シート。
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