WO2014013955A1

WO2014013955A1 - ラジアルころ軸受用保持器

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Publication number: WO2014013955A1
Application number: PCT/JP2013/069221
Authority: WO
Inventors: 豊石橋
Original assignee: 日本精工株式会社
Priority date: 2012-07-17
Filing date: 2013-07-12
Publication date: 2014-01-23
Also published as: US9382947B2; US20150192173A1; EP2876318A4; CN104471262A; EP2876318A1; CN104471262B; EP2876318B1

Abstract

　不連続部１２ａを挟んで設けられた円周方向一端面２２ａのうちの、一端側、他端側両リム部８ｂ、９ｂと軸方向に関して整合する部分を、一端側支承面２３ａ、２３ａとする。又、円周方向他端面２４ａのうちの、一端側、他端側両リム部８ｂ、９ｂと軸方向に関して整合する部分を、他端側支承面２５ａ、２５ａとする。そして、円周方向一端面２２ａと円周方向他端面２４ａとの間に存在する円周方向に関する隙間２６のうち、各一端側支承面２３ａ、２３ａと、各他端側支承面２５ａ、２５ａとの間に存在する円周方向に関する隙間を、他の部分の隙間よりも小さくする。

Description

ラジアルころ軸受用保持器

　この発明は、ラジアルころ（ニードルを含む）軸受用保持器の改良に関する。具体的には、円周方向の少なくとも１箇所に不連続部を有するラジアルころ軸受用保持器に関して、不連続部を挟んで設けられた円周方向両端面同士の構造を工夫する事により、ラジアルころ軸受用保持器の耐久性の向上を図るものである。

　各種機械装置の回転支持部のうち、大きなラジアル荷重が加わる部分に、図９に示す様なラジアルころ軸受１が組み込まれている。このラジアルころ軸受１は、使用時にも回転しないハウジング（又は使用時に回転する歯車やローラ）等の外径側部材２の内周面に設けた円筒面状の外輪軌道３と、回転軸（又は支持軸）等の内径側部材４の外周面に設けた円筒面状の内輪軌道５との間に、複数のころ（ニードル）６を、図１０に示す様な保持器７により保持した状態で転動自在に設けて成る。

　このうちの保持器７は、例えば、合成樹脂を射出成形する事により一体に造られ、全体を円筒状に構成している。この様な保持器７は、軸方向に間隔をあけて互いに同心に配置された、それぞれが円環状である１対のリム部（一端側リム部８、他端側リム部９）と、円周方向に亙って間欠的に、これら一端側、他端側両リム部８、９同士の間に掛け渡される状態で設けられた複数本の柱部１０、１０とを備える。そして、円周方向に隣り合う柱部１０、１０と一端側、他端側両リム部８、９とにより四周を囲まれた部分を、それぞれ各ころ６を転動自在に保持する為のポケット１１、１１としている。この様な保持器７は、これら各ポケット１１、１１内に各ころ６を転動自在に保持した状態で、外径側部材２の内周面と内径側部材４の外周面との間に、これら外径側部材２及び内径側部材４に対する相対回転を自在に設けられている。そして、保持器７は、各ころ６の公転運動に伴って、外径側部材２及び内径側部材４に対し回転する。

　この様なラジアルころ軸受１を組み立てるべく、保持器７を、内輪軌道５の周囲に配置するには、この保持器７を、内径側部材４の端部から挿通し、更に内輪軌道５の周囲まで軸方向に移動させる。ところが、この場合に、内径側部材４の外周面のうち、軸方向に関してこの内径側部材４の端部と内輪軌道５との間部分に、その外径寸法が保持器７の内径寸法よりも大きい、外向フランジ状の鍔部等の障害物が存在すると、この障害物が邪魔になって、保持器７を内輪軌道５の周囲まで軸方向に移動させる事ができなくなる。

　そこで、この様な不都合を解消できる保持器として、例えば特許文献１には、円周方向１箇所に不連続部を設けた保持器（割型保持器）が記載されている。図１１～１２は、特許文献１に記載された保持器７ａを示している。この保持器７ａは、円周方向１箇所に不連続部１２を設けている。又、この不連続部１２を挟んで設けられた端部（円周方向一端部１３及び円周方向他端部１４）同士の軸方向に関する相対変位を、係合部１５を構成する第一の凹凸部１６と第二の凹凸部１７との係合（凹凸係合）により規制（実質的に阻止）している。

　上述の様な構成を有する保持器７ａの場合には、この保持器７ａを弾性変形させる事によって、不連続部１２の幅を円周方向に拡げる事ができる。この為、この不連続部１２の幅を、保持器７ａを組み付ける回転軸等の内径側部材４の外径寸法よりも大きく拡げ、不連続部１２の間にこの軸を通過させる事で、保持器７ａをこの軸の周囲に組み付ける事も可能になる。或いは、保持器７ａの内径寸法を、障害物を乗り越えられる程度に弾性的に拡げる事により、この保持器７ａを軸の周囲で軸方向に移動させて組み付ける事も可能になる。

　又、保持器７ａの構造の場合、図１２（ａ）に示す様に、不連続部１２を挟んで設けられた円周方向一端面、他端面２２、２４同士の円周方向の隙間のうち、軸方向に関して一端側リム部８ａ、又は他端側リム部９ａと整合（オーバーラップ）する部分の隙間Ｈ_ａ、Ｈ_ａを、他の部分の隙間Ｈ_ｂ、Ｈ_ｃよりも大きくしている（Ｈ_ａ＞Ｈ_ｂ、Ｈ_ａ＞Ｈ_ｃ）。

　ところで、この様な保持器７ａは、円周方向一端部１３（円周方向一端面２２）と円周方向他端部１４（円周方向他端面２４）との円周方向に関する相対変位を規制していない。この為、運転時に、保持器７ａが円周方向に弾性変形すると、両端面２２、２４同士が強く当接する場合がある。

　図１２（ｂ）は、上述の様な保持器７ａの構造に於いて、両端部２２、２４同士の円周方向に関する間隔が最も小さくなった状態を示している。この状態では、係合部１５を構成する、第一の係合凸部１８の先端面と第二の係合凹部２１の奥端面とが、１対の第二の係合凸部２０、２０の先端面と１対の第一の係合凹部１９、１９の奥端面とが、それぞれ当接（円周方向に関する荷重を支承）する。

　この様な当接部分は、不連続部１２を挟んで設けられた円周方向一端、他端の柱部１０ａ、１０ａの軸方向中間部に相当する部分であり、円周方向に関する剛性が低い部分である。この様に剛性が低い部分で、当接に基づく円周方向の荷重を繰り返し支承し続けると、この部分に繰り返し大きな応力が生じて、この部分が損傷し、ラジアルころ軸受用保持器７ａの耐久性が低下してしまう可能性がある。

　一方、この様な単列型の保持器７ａに対して、複列（又は、多列）に配置された各ころを転動自在に保持する為に、単列型の保持器７ａを軸方向に連結した如き形状を有した、複列型（多列型）の保持器を用いる事もできる。

　図１３（ａ）は、ラジアルころ軸受を構成する複列型の保持器の１例として、特許文献１に記載された、保持器１０９の構造を示している。この保持器１０９は、複列に配置された各ころのうち、一方の列の各ころを転動自在に保持する為の複数の一方側ポケット１１０、１１０と、他方の列の各ころを保持する為の複数の他方側ポケット１１１、１１１と、を有している。又、保持器１０９は、円周方向の１箇所に不連続部１１２を有しており、この不連続部１１２を挟んだ円周方向一端部１１３と、円周方向他端部１１４と、を係合部１１５により係合してこれら両端部１１３、１１４同士の軸方向の相対変位を実質的に阻止している。

　この様な従来の保持器１０９の場合、この保持器１０９を弾性変形させる事によって、不連続部１１２の幅を円周方向に拡げる事ができる。この為、この不連続部１１２の幅を、保持器１０９を組み付ける回転軸等の内径側部材４（図９参照）の外径寸法よりも大きく拡げる事で、不連続部１１２の間に内径側部材４を通過させる様にして、保持器１０９をこの内径側部材４の周囲に組み付ける事も可能になる。或いは、保持器１０９の内径寸法を、内径側部材４に設けられた段部又は外向フランジ状の鍔部等の障害物を乗り越えられる程度に弾性的に拡げる事で、保持器１０９を内径側部材４の周囲に軸方向に移動させて組み付ける事も可能になる。

　但し、保持器１０９は、円周方向一端部１１３と円周方向他端部１１４との円周方向に関する相対変位を規制していない。この為、運転時に、保持器１０９が弾性変形すると、両端部１１３、１１４同士の円周方向に関する間隔（隙間）が変化して、この間隔が小さくなった場合には、これら両端部１１３、１１４の先端面同士が強く当接する場合がある。

　図１３（ｂ）は、上述の様な保持器１０９の構造に於いて、両端部１１３、１１４同士の円周方向に関する間隔が最も小さくなった状態を示している。この状態では、両端部１１３、１１４同士は、係合部１１５を構成する、第一の係合凸部１１７ａ、１１７ｂの先端面と第二の係合凹部１２０ａ、１２０ｂの奥端面とが、第二の係合凸部１１９ａ、１１９ｂの先端面と第一の係合凹部１１８ａ、１１８ｂの奥端面とが、それぞれ当接（円周方向に関する荷重を支承）する。

　この様な当接部分は、不連続部１２を挟んで設けられた円周方向一端の一方側、他方側柱部１２１、１２２、及び円周方向他端の一方側、他方側柱部１２１、１２２の軸方向中間部に相当する部分であり、円周方向に関する剛性が低い部分である。この様に剛性が低い部分で、当接に基づく円周方向の荷重を繰り返し支承し続けると、この部分に繰り返し大きな応力が生じて、この部分が損傷し、ラジアルころ軸受用保持器１０９の耐久性が低下してしまう可能性がある。

国際公開第２０１２／０３６１５４号

　本発明は、上述の様な事情に鑑みて、円周方向の少なくとも一部に不連続部を有するラジアルころ軸受用保持器に関し、運転時にこの保持器が弾性変形して、不連続部を挟んだ円周方向一端面と、円周方向他端面とが当接した際、円周方向に関する剛性が高い部分でこの当接に基づく荷重を支承する事により、保持器の耐久性の向上を図れる構造を実現すべく発明したものである。

　本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
（１）　少なくとも円周方向１箇所に不連続部を有するものであり、
　複数個のリム部と、複数本の柱部と、複数個のポケットと、係合部とを備え、
　このうちの各リム部は、それぞれが欠円環状で、軸方向に間隔をあけて互いに同心に設けられており、
　前記各柱部は、円周方向に亙って間欠的に、前記各リム部同士の間に掛け渡される状態で設けられており、
　前記各ポケットは、軸方向に隣り合う前記各リム部と円周方向に隣り合う前記各柱部とにより四周を囲まれる部分に設けられており、
　前記係合部は、前記不連続部を挟んで設けられた端部同士の軸方向に関する相対変位を阻止する状態で係合するものであるラジアルころ軸受用保持器に於いて、
　前記不連続部を挟んで設けられた円周方向一端面のうちの、軸方向一端側に設けられたリム部と軸方向に関して整合する部分、及び軸方向他端側に設けられたリム部と軸方向に関して整合する部分を一端側支承面とし、
　円周方向他端面のうちの、軸方向一端側に設けられたリム部と軸方向に関して整合する部分、及び軸方向他端側に設けられたリム部と軸方向に関して整合する部分を他端側支承面とし、
　前記円周方向一端面と前記円周方向他端面との間に存在する円周方向に関する隙間のうち、前記一端側支承面と、前記他端側支承面との間に存在する隙間が、他の部分の隙間よりも小さい事を特徴とするラジアルころ軸受用保持器。
（２）　前記円周方向一端面のうち、前記各柱部の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分と、前記円周方向他端面のうち、前記各柱部の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分との円周方向の隙間が、前記一端側支承面と前記他端側支承面との円周方向の隙間よりも大きい事を特徴とする（１）に記載したラジアルころ軸受用保持器。
（３）　前記各リム部が、それぞれが欠円環状で、軸方向に間隔をあけて互いに同心に設けられた、一端側リム部と、他端側リム部と、軸方向に関してこれら一端側、他端側両リム部同士の間部分に配置された少なくとも１個の中間側リム部とからなり、
　前記円周方向一端面のうちの、前記各リム部と軸方向に関して整合する部分を一端側支承面とし、
　前記円周方向他端面のうちの、前記各リム部と軸方向に関して整合する部分を他端側支承面としている事を特徴とする（１）又は（２）に記載したラジアルころ軸受用保持器。
（４）　少なくとも円周方向１箇所に不連続部を有するものであり、
　３個以上のリム部と、複数本の柱部と、複数個のポケットと、係合部とを備え、
　これら各リム部は、それぞれが欠円環状で、軸方向に間隔をあけて互いに同心に設けられた、一端側リム部と、他端側リム部と、軸方向に関してこれら一端側、他端側両リム部同士の間部分に配置された少なくとも１個の中間側リム部とからなり、
　前記各柱部は、円周方向に亙って間欠的に、軸方向に隣り合う前記各リム部同士の間に掛け渡される状態で設けられており、
　前記各ポケットは、軸方向に隣り合う前記各リム部と円周方向に隣り合う柱部とにより四周を囲まれる部分に設けられており、
　前記係合部は、前記不連続部を挟んで設けられた円周方向一端部と、円周方向他端部との軸方向に関する相対変位を阻止する状態で係合するものであるラジアルころ軸受用保持器に於いて、
　前記不連続部を挟んで設けられた円周方向一端面のうちの、前記中間側リム部と軸方向に関して整合する部分を一端側支承面とし、
　円周方向他端面のうちの、前記中間側リム部と軸方向に関して整合する部分を他端側支承面とし、
　前記円周方向一端面と前記円周方向他端面との間に存在する円周方向に関する隙間のうち、前記一端側支承面と、前記他端側支承面との間に存在する隙間が、他の部分の隙間よりも小さい事を特徴とするラジアルころ軸受用保持器。
（５）　前記円周方向一端面のうち、前記各柱部の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分が、前記一端側支承面よりも周方向に凹んでいるか、又は前記円周方向他端面のうち、前記各柱部の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分が、前記他端側支承面よりも周方向に凹んでいる事を特徴とする（４）に記載したラジアルころ軸受用保持器。

　上述の（１）の様な構成を有する本発明のラジアルころ軸受用保持器の場合、不連続部を挟んで設けられた円周方向一端面のうちの、軸方向一端側及び他端側に設けられたリム部と整合する部分を一端側支承面とすると共に、円周方向他端面のうちの、軸方向一端側及び他端側に設けられたリム部と軸方向に関して整合する部分を他端側支承面としている。そして、円周方向両端面同士の間に存在する円周方向に関する隙間のうち、一端側支承面と他端側支承面との間に存在する隙間を、他の部分の隙間よりも小さくしている。

　従って、一端側、他端側両支承面同士が当接（隙間が消滅）した状態で、その他の部分には隙間が残る（当接しない）。この為、運転時のラジアルころ軸受用保持器の弾性変形等に基づいて、円周方向両端面同士が強く当接した場合にも、この当接に基づく荷重を、軸方向一端側及び他端側に設けられたリム部の存在に基づき円周方向に関する剛性が高い部分で支承する事ができる。その結果、ラジアルころ軸受用保持器の円周方向両端面の一部に過大な応力が生じる事がなく、このラジアルころ軸受用保持器の耐久性向上を図れる。

　又、（２）に記載した発明の場合、円周方向一端面のうち、各柱部の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分と、円周方向他端面のうち、これら各柱部の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分との円周方向の隙間を、一端側支承面と他端側支承面との円周方向の隙間よりも大きくしている。従って、一端側、他端側両支承面同士が当接した状態で、円周方向両端面のうち、各柱部の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分同士の間に、円周方向に関する隙間が存在する（当接しない）。この為、円周方向両端（不連続部を挟んだ両端）に設けられた各柱部の様に、円周方向に関する剛性が低い部分に、当接に基づく荷重が加わる事をより確実に防止して、ラジアルころ軸受用保持器の耐久性の向上をより確実に図れる。

　上述の（４）に記載した発明の場合、不連続部を挟んで設けられた円周方向一端面のうちの中間側リム部と軸方向に関して整合する部分を一端側支承面とすると共に、円周方向他端面のうちの中間側リム部と軸方向に関して整合する部分を他端側支承面としている。そして、円周方向一端面と円周方向他端面との間に存在する円周方向に関する隙間のうち、一端側支承面と他端側支承面との間に存在する隙間を、他の部分の隙間よりも小さくしている。従って、一端側支承面と他端側支承面とが当接した（隙間が消滅した）状態で、その他の部分には隙間が残る（当接しない）。この為、運転時のラジアルころ軸受用保持器の弾性変形等に基づいて、円周方向両端面同士が強く当接した場合にも、この当接に基づく荷重を、中間側リム部の存在に基づき、円周方向に関する剛性が高い部分で支承する事ができる。その結果、ラジアルころ軸受用保持器の円周方向両端部の一部に過大な応力が生じる事がなく、このラジアルころ軸受用保持器の耐久性向上を図れる。

　又、（５）に記載した発明の場合、円周方向一端面のうち、各柱部の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分を、一端側支承面よりも周方向に凹ませるか、又は、円周方向他端面のうち、各柱部の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分を、他端側支承面よりも周方向に凹ませている。従って、一端側支承面と他端側支承面とが当接した状態で、円周方向両端面のうち、各柱部の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分同士の間に、円周方向に関する隙間が存在する（当接しない）。この為、各柱部の様に、円周方向に関する剛性が低い部分に、当接に基づく荷重が加わる事をより確実に防止して、ラジアルころ軸受用保持器の耐久性の向上をより確実に図れる。

本発明の実施の形態の第１例に係る保持器を示す斜視図。保持器の不連続部の間隔が拡がった状態（ａ）と、狭まった状態（ｂ）とで示す、径方向外方から見た正投影図。本発明の実施の形態の第２例係る保持器の不連続部を、この不連続部の間隔が拡がった状態（ａ）と、狭まった状態（ｂ）とで示す、径方向外方から見た正投影図。本発明の実施の形態の第３例に係る保持器を示す斜視図。保持器の不連続部を、この不連続部の間隔が拡がった状態（ａ）と、狭まった状態（ｂ）とで示す、径方向外方から見た正投影図。本発明の実施の形態の第４例に係る保持器の不連続部を、この不連続部の間隔が拡がった状態（ａ）と、狭まった状態（ｂ）とで示す、径方向外方から見た正投影図。本発明の実施の形態の第５例に係る保持器の不連続部を、この不連続部の間隔が拡がった状態（ａ）と、狭まった状態（ｂ）とで示す、径方向外方から見た正投影図。本発明の実施の形態の第６例に係る保持器の不連続部を、この不連続部の間隔が拡がった状態（ａ）と、狭まった状態（ｂ）とで示す、径方向外方から見た正投影図。保持器を備えたラジアルころ軸受を組み込んだ回転支持部の断面図。従来構造の第１例を示す、保持器の円周方向一部を径方向外方から見た図。従来構造の第２例を示す、ラジアルころ軸受用保持器の斜視図。不連続部の周辺部分を、この不連続部の間隔が拡がった状態（ａ）と、狭まった状態（ｂ）とで示す展開図。従来の複列のラジアルころ軸受用保持器において、不連続部の間隔が拡がった状態（ａ）と、狭まった状態（ｂ）とで示す展開図。

　［実施の形態の第１例］
　図１～２は、本発明の実施の形態の第１例を示している。本例のラジアルころ軸受用保持器７ｂは、前述した従来構造のラジアルころ軸受用保持器７ａ（図１１～１２参照）と同様に、単列に配置された各ころ６（図９参照）を、ポケット１１ｂによって転動自在に保持する為のものであり、円周方向の１箇所に不連続部１２ａを設けている。

　又、この不連続部１２ａを挟んで設けられた円周方向一端部１３ａと、円周方向他端部１４ａとを、係合部１５ａにより、これら両端部１３ａ、１４ａ同士の軸方向に関する相対変位を抑えた（実質的に阻止した）状態で係合している。この様な係合部１５ａは、円周方向一端部１３ａに形成された第一の凹凸部１６ａと、円周方向他端部１４ａに形成された第二の凹凸部１７ａとから成る。

　第一の凹凸部１６ａは、軸方向に離隔した状態で形成された１対の第一の係合凸部１８ａ、１８ｂと、第一の係合凹部１９ａとから成る。このうち、一方（図１～２の左側）の第一の係合凸部１８ａは、円周方向一端部１３ａの軸方向中間部の軸方向一端寄り部分に、円周方向（円周方向他端部１４ａ側）に延出した状態で形成している。又、他方（図１～２の右側）の第一の係合凸部１８ｂは、円周方向一端部１３ａの軸方向中間部の軸方向他端寄り部分に、円周方向（円周方向他端部１４ａ側）に延出した状態で形成している。更に、第一の係合凹部１９ａは、両第一の係合凸部１８ａ、１８ｂ同士の軸方向に関する間部分に、円周方向（円周方向他端部１４ａと反対方向）に凹入した状態で形成している。

　又、第二の凹凸部１７ａは、互いに軸方向に離隔した状態で設けられた１対の第二の係合凸部２０ａ、２０ｂと、互いに軸方向に離隔した状態で設けられた１対の第二の係合凹部２１ａ、２１ｂとから成る。このうち、一方の第二の係合凸部２０ａは、第一の係合凹部１９ａの軸方向一端部分と整合する位置に、円周方向（円周方向一端部１３ａ側）に延出した状態で形成している。又、他方の第二の係合凸部２０ｂは、第一の係合凹部１９ａの軸方向他端部分と整合する位置に、円周方向（円周方向一端部１３ａ側）に延出した状態で形成している。

　又、一方の第二の係合凹部２１ａは、一方の第二の係合凸部２０ａの軸方向一方側に、円周方向（円周方向一端部１３ａと反対方向）に凹入した状態で形成している。又、他方の第二の係合凹部２１ａは、他方の第二の係合凸部２０ｂの軸方向他方側に、円周方向（円周方向一端部１３ａと反対方向）に凹入した状態で形成している。

　本例の場合、一方の第一の係合凸部１８ａの軸方向他方側に一方の第二の係合凸部２０ａを配置すると共に、他方の第一の係合凸部１８ｂの軸方向一方側に他方の第二の係合凸部２０ｂを配置した状態で、第一の凹凸部１６ａと第二の凹凸部１７ａとを凹凸係合させている。この様に凹凸係合した状態で、一方の第一の係合凸部１８ａと一方の第二の係合凸部２０ａ、及び他方の第一の係合凸部１８ｂと他方の第二の係合凸部２０ｂとを軸方向に係合させて、円周方向両端部１３ａ、１４ａ同士の軸方向に関する相対変位を規制（実質的に阻止）している。

　特に本例のラジアルころ軸受用保持器７ａの場合、不連続部１２ａを挟んで設けられた円周方向一端面２２ａのうちの、一端側、他端側両リム部８ｂ、９ｂと軸方向に関して整合する部分を含み、この部分と同一面上に存在する面を、一端側支承面２３ａ、２３ａとしている。

　又、円周方向他端面２４ａのうちの、一端側、他端側両リム部８ｂ、９ｂと軸方向に関して整合する部分を含み、この部分と同一面上に存在する面を、他端側支承面２５ａ、２５ａとしている。

　そして、円周方向両端面２２ａ、２４ａ同士の円周方向の隙間２６のうち、各一端側支承面２３ａ、２３ａと、各他端側支承面２５ａ、２５ａとの間に存在する隙間を、他の部分の隙間よりも小さくしている。

　即ち、図２（ａ）に示す様に、各一端側支承面２３ａ、２３ａと各他端側支承面２５ａ、２５ａとの間の隙間Ｈ₁、Ｈ₁を、両第一の係合凸部１８ａ、１８ｂの先端面と両第二の係合凹部２１ａ、２１ｂの奥端面との間の隙間Ｈ₂、Ｈ₂、及び第一の係合凹部１９ａの奥端面と両第二の係合凸部２０ａ、２０ｂの先端面との間の隙間Ｈ₃、Ｈ₃よりも小さくしている（Ｈ₁＜Ｈ₂、Ｈ₁＜Ｈ₃）。

　この様な構成を有する本例のラジアルころ軸受用保持器７ａは、図２（ｂ）に示す様に、円周方向両端面２２ａ、２４ａ同士が最も近付いた状態では、隙間Ｈ₁のみが０になり（Ｈ₁＝０、隙間が消滅し）、他の隙間Ｈ₂、Ｈ₃は０より大きいままとなる（Ｈ₂＞０、Ｈ₃＞０、隙間が残る）。

　上述の様に本例のラジアルころ軸受用保持器７ａによれば、各一端側支承面２３ａ、２３ａと両他端側支承面２５ａ、２５ａとが当接した（隙間が消滅した）状態でも、その他の部分には隙間が残る（当接しない）。この為、運転時のラジアルころ軸受用保持器７ａの弾性変形等に基づいて、円周方向両端面２２ａ、２４ａ同士が強く当接した場合でも、この当接に基づく荷重を、一端側、他端側両リム部８ｂ、９ｂを設けた、円周方向に関する剛性が高い部分で支承する事ができる。その結果、ラジアルころ軸受用保持器７ａの一部、特に円周方向両端に設けた各柱部１０ｂ、１０ｂの軸方向中間部に過大な応力が生じる事を防止して、このラジアルころ軸受用保持器７ａの耐久性の向上を図れる。

　［実施の形態の第２例］
　図３は、本発明の実施の形態の第２例を示している。本例のラジアルころ軸受用保持器７ｃは、複列に配置されたころを転動自在に保持する為のものである。この様な保持器７ｃは、それぞれが欠円環状で軸方向に間隔をあけて互いに同心に設けられた、一端側リム部８ｃと、他端側リム部９ｃと、特許請求の範囲の中間側リム部に相当する中央側リム部２７とを有する。この中央側リム部２７は、一端側、他端側両リム部８ｃ、９ｃの軸方向中央位置に設けられている。

　又、軸方向に隣り合う一端側、中央側、他端側各リム部８ｃ、２７、９ｃ同士の間に掛け渡される状態で、円周方向に亙って間欠的に、複数本の柱部２８、２８を設けている。そして、円周方向に隣り合うこれら各柱部２８、２８と一端側、中央側、他端側各リム部８ｃ、２７、９ｃとにより四周を囲まれた部分を、それぞれころを転動自在に保持する為のポケット２９、２９としている。

　尚、本例の場合、一方（図３の左側）の列を構成する各ポケット２９、２９と、他方（図３の右側）の列を構成する各ポケット２９、２９との円周方向に関する位相を互いに一致させている。

　又、本例の保持器７ｃも、前述した実施の形態の第１例と同様に、円周方向の１箇所に不連続部１２ｂを設けている。又、この不連続部１２ｂを挟んで設けられた円周方向一端部１３ｂと円周方向他端部１４ｂとの軸方向に関する相対変位を、係合部１５ｂにより規制（実質的に阻止）している。

　この様な係合部１５ｂは、円周方向一端部１３ｂの軸方向に離隔した位置に形成した第一の凹凸部１６ｂ、１６ｃと、円周方向他端部１４ｂの軸方向に離隔した位置に形成した第二の凹凸部１７ｂ、１７ｃとから成る。

　このうち、一方（図３の左側）の第一の凹凸部１６ｂは、第一の係合凸部１８ｃと、第一の係合凹部１９ｃとから成る。この第一の係合凸部１８ｃは、一方の列を構成する各ポケット２９、２９の軸方向中央部に整合する位置に、円周方向（円周方向他端部１４ｂ側）に延出した状態で形成している。又、第一の係合凹部１９ｃは、第一の係合凸部１８ｃの軸方向一方側に、円周方向（円周方向他端部１４ｂと反対方向）に凹入した状態で形成している。

　又、他方（図３の右側）の第一の凹凸部１６ｃは、第一の係合凸部１８ｄと第一の係合凹部１９ｄとから成り、一方の第一の凹凸部１６ｂ（第一の係合凸部１８ｃ、第一の係合凹部１９ｃ）と、中央側リム部２７に関して鏡面対称に形成している。

　又、一方（図３の左側）の第二の凹凸部１７ｂは、第二の係合凸部２０ｃと、第二の係合凹部２１ｃとから成る。この第二の係合凸部２０ｃは、一方の第一の係合凹部１９ｃと軸方向に関して整合する位置に、円周方向（円周方向一端部１３ｂと反対方向）に凹入した状態で形成している。又、第二の係合凹部２１ｃは、第一の係合凸部１８ｃと軸方向に関して整合する位置に、円周方向（円周方向他端部１４ｂと反対方向）に凹入した状態で形成している。

　　又、他方（図３の右側）の第二の凹凸部１７ｃは、第二の係合凸部２０ｄと第二の係合凹部２１ｄとから成り、一方の第二の凹凸部１７ｂ（第二の係合凸部２０ｃ、第二の係合凹部２１ｃ）と、中央側リム部２７に関して鏡面対称に形成している。

　本例の場合、一方の第一の係合凸部１８ｃの軸方向一方側に一方の第二の係合凸部２０ｃを配置する共に、他方の第一の係合凸部１８ｄの軸方向他方側に他方の第二の係合凸部２０ｄを配置した状態で、両第一の凹凸部１６ｂ、１６ｃと、両第二の凹凸部１７ｂ、１７ｃとを凹凸係合させている。この様に凹凸係合した状態で、一方の第一の係合凸部１８ｃと一方の第二の係合凸部２０ｃとを、他方の第一の係合凸部１８ｄと他方の第二の係合凸部２０ｄとを、それぞれ軸方向に係合させて、円周方向一端部１３ｂと、円周方向他端部１４ｂとの軸方向に関する相対変位を規制（実質的に阻止）している。

　又、本例の場合、不連続部１２ｂを挟んで設けられた円周方向一端面２２ｂのうちの、一端側、中央側、他端側各リム部８ｃ、２７、９ｃと軸方向に関して整合する部分を含み、これら各部分と同一面上に存在する面を、一端側支承面２３ｂ、２３ｂ、２３ｂとしている。

　又、円周方向他端面２４ｂのうちの、一端側、中央側、他端側各リム部８ｃ、２７、９ｃと軸方向に関して整合する部分を含み、これら各部分と同一面上に存在する面を、他端側支承面２５ｂ、２５ｂ、２５ｂとしている。

　そして、円周方向両端面２２ｂ、２４ｂ同士の円周方向の隙間２６ａのうち、各一端側支承面２３ｂ、２３ｂ、２３ｂと、各他端側支承面２５ｂ、２５ｂ、２５ｂとの間に存在する隙間を、他の部分の隙間よりも小さくしている。

　即ち、図３（ａ）に示す様に、各一端側支承面２３ｂ、２３ｂ、２３ｂと各他端側支承面２５ｂ、２５ｂ、２５ｂとの間の隙間Ｈ₁、Ｈ₁、Ｈ₁を、両第一の係合凸部１８ｃ、１８ｄの先端面と両第二の係合凹部２１ｃ、２１ｄの奥端面との間の隙間Ｈ₂、Ｈ₂、及び両第一の係合凹部１９ｃ、１９ｄの奥端面と両第二の係合凸部２０ｃ、２０ｄの先端面との間の隙間Ｈ₃、Ｈ₃よりも小さくしている（Ｈ₁＜Ｈ₂、Ｈ₁＜Ｈ₃）。

　この様な構成を有する本例のラジアルころ軸受用保持器７ｃが、図３（ｂ）に示す様に、円周方向両端面２２ｂ、２４ｂ同士が最も近付いた状態では、隙間Ｈ₁のみが０になり（Ｈ₁＝０、隙間が消滅し）、他の隙間Ｈ₂、Ｈ₃は０より大きいままとなる（Ｈ₂＞０、Ｈ₃＞０、隙間が残る）。

　上述の様に本例のラジアルころ軸受用保持器７ａによれば、各一端側支承面２３ｂ、２３ｂと各他端側支承面２５ｂ、２５ｂとが当接した（隙間が消滅した）状態でも、その他の部分には隙間が残る（当接しない）。この為、運転時のラジアルころ軸受用保持器７ｃの弾性変形等に基づいて、円周方向両端面２２ｂ、２４ｂ同士が強く当接した場合でも、この当接に基づく荷重を、一端側、中央側、他端側両リム部８ｃ、２７、９ｃを設けた、円周方向に関する剛性が高い部分で支承する事ができる。その他の構成及び作用・効果については、前述した実施の形態の第１例の場合とほぼ同様である。

　［実施の形態の第３例］
　図４～５は、本発明の実施の形態の第３例を示している。本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ａは、前述した先発明のラジアルころ軸受用保持器１０９（図１３参照）と同様に、複列に配置された各ころを、転動自在に保持する為のものであり、円周方向の少なくとも一部に不連続部１１２ａを設けている。

　この様な本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ａは、それぞれが欠円環状で軸方向に間隔をあけて互いに同心に設けられた、一端側リム部１２３と、他端側リム部１２４と、特許請求の範囲の中間側リム部に相当する中央側リム部１２５とを有する。この中央側リム部１２５は、一端側、他端側両リム部１２４、１２５の軸方向中央位置に設けている。

　又、軸方向に隣り合う一端側リム部１２３と中央側リム部１２５との間に掛け渡される状態で、円周方向に亙って間欠的に、複数本の一方側柱部１２１ａ、１２１ａを設けている。一方、軸方向に隣り合う中央側リム部１２５と他端側リム部１２４との間に掛け渡される状態で、円周方向に亙って間欠的に、複数本の他方側柱部１２２ａ、１２２ａを設けている。

　又、一端側、中央側両リム部１２３、１２５と、円周方向に隣り合う各一方側柱部１２１ａ、１２１ａとにより四周を囲まれる部分を、各ころを転動自在に保持する為の一方側ポケット１２６、１２６としている。又、中央側、他端側両リム部１２５、１２４と、円周方向に隣り合う各他方側柱部１２２ａ、１２２ａとにより四周を囲まれる部分を、各ころを転動自在に保持する為の他方側ポケット１２７、１２７としている。本例の場合、各一方側ポケット１２６、１２６と他方側ポケット１２７、１２７との円周方向に関する位相を、互いに一致させている。

　又、この様なラジアルころ軸受用保持器１０９ａは、不連続部１１２ａを挟んで設けられた、円周方向一端部１１３ｂと円周方向他端部１１４ｂとを、係合部１１５ａにより、これら両端部１１３ｂ、１１４ｂ同士の軸方向の相対変位を実質的に阻止した状態で係合している。

　又、係合部１１５ａは、円周方向一端部１１３ｂの軸方向に離隔した位置に形成された１対の第一の凹凸部１２８ａ、１２８ｂと、円周方向他端部１１４ｂの軸方向に離隔した位置に形成された第二の凹凸部１２９ａ、１２９ｂとから成る。このうちの両第一の凹凸部１２８ａ、１２８ｂは、各一方側ポケット１２６、１２６の軸方向中間部に整合する位置と、各他方側ポケット１２７、１２７の軸方向中間部に整合する位置とに形成している。又、両第二の凹凸部１２９ａ、１２９ｂは、一方側ポケット１２６、１２６の軸方向中間部に整合する位置と、各他方側ポケット１２７、１２７の軸方向中間部に整合する位置とに形成している。

　このうちの両第一の凹凸部１２８ａ、１２８ｂは、それぞれが第一の係合凸部１３０ａ、１３０ｂと、第一の係合凹部１３１ａ、１３１ｂとから成る。

　このうち、一方（図５の左側）の第一の凹凸部１２８ａを構成する第一の係合凸部１３０ａは、各一方側ポケット１２６、１２６の軸方向中央部よりも少し軸方向一方寄り部分と整合する位置に、円周方向（円周方向他端部１１４ｂ側）に延出した状態で形成している。第一の係合凹部１３１ａは、第一の係合凸部１３０ａの軸方向他方側（各一方側ポケット１２６、１２６のほぼ軸方向中央部と整合する位置）に、円周方向（円周方向他端部１１４ｂと反対方向）に凹入した状態で形成している。

　又、他方（図５の右側）の第一の凹凸部１２８ｂを構成する第一の係合凸部１３０ｂは、各他方側ポケット１２７、１２７の軸方向中央部よりも少し軸方向他方寄り部分と整合する位置に、円周方向（円周方向他端部１１４ｂ側）に延出した状態で形成している。第一の係合凹部１３１ｂは、第一の係合凸部１３０ｂの軸方向一方側（各他方側ポケット１２７、１２７のほぼ軸方向中央部と整合する位置）に、円周方向（円周方向他端部１１４ｂと反対方向）に凹入した状態で形成している。

　又、第二の凹凸部１２９ａ、１２９ｂは、それぞれが第二の係合凸部１３２ａ、１３２ｂと、第二の係合凹部１３３ａ、１３３ｂとから成る。

　このうち、一方（図５の左側）の第二の凹凸部１２９ａを構成する第二の係合凸部１３２ａは、軸方向に関して一方の第一の係合凹部１３１ａと整合する部分に、円周方向（円周方向一端部１１３ｂ側）に延出した状態で形成している。一方（図５の左側）の第二の凹凸部１２９ａを構成する第二の係合凹部１３３ａは、軸方向に関して一方の第一の係合凸部１３０ａと整合する部分に、円周方向（円周方向一端部１１３ｂと反対方向）に凹入した状態で形成している。

　又、第二の凹凸部１２９ａ、１２９ｂのうちの、他方（図５の右側）の第二の凹凸部１２９ｂを構成する第二の係合凸部１３２ｂは、軸方向に関して他方の第一の係合凹部１３１ｂと整合する部分に、円周方向（円周方向一端部１１３ｂ側）に延出した状態で形成している。第二の係合凹部１３３ｂは、他方の第一の係合凸部１３０ｂと軸方向に関して整合する部分に、円周方向（円周方向一端部１１３ｂと反対方向）に凹入した状態で形成している。

　本例の場合、一方の第一の凹凸部１２８ａを構成する第一の係合凸部１３０ａの軸方向他方側に一方の第二の凹凸部１２９ａを構成する第二の係合凸部１３２ａを配置する共に、他方の第一の凹凸部１２８ｂを構成する第一の係合凸部１３０ｂの軸方向一方側に他方の第二の凹凸部１２９ｂを構成する第二の係合凸部１３２ｂを配置した状態で、両第一の凹凸部１２８ａ、１２８ｂと、両第二の凹凸部１２９ａ、１２９ｂとを凹凸係合させている。この様に凹凸係合した状態で、一方の第一の係合凸部１３０ａと一方の第二の係合凸部１３２ａ、及び他方の第一の係合凸部１３０ｂと他方の第二の係合凸部１３２ｂとを軸方向に関して係合させ、円周方向一端部１１３ｂと、円周方向他端部１１４ｂとの軸方向に関する相対変位を規制（実質的に阻止）している。

　特に本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ａの場合、不連続部１１２ａを挟んで設けられた円周方向一端面１３４のうちの、中央側リム部１２５と軸方向に関して整合する部分を、一端側支承面１３５としている。又、円周方向他端面１３６のうちの、中央側リム部１２５と軸方向に関して整合する部分を、他端側支承面１３７としている。そして、円周方向一端面１３４と円周方向他端面１３６との間に存在する円周方向に関する隙間１３８のうち、一端側支承面１３５と、他端側支承面１３７との間に存在する隙間を、他の隙間よりも小さくしている。

　即ち、図５（ａ）に示す様に、一端側支承面１３５と他端側支承面１３７との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_１を、両第一の係合凹部１３１ａ、１３１ｂの奥端面と両第二の係合凸部１３２ａ、１３２ｂの先端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_２、ｈ_２、及び両第一の係合凸部１３０ａ、１３０ｂの先端面と両第二の係合凹部１３３ａ、１３３ｂの奥端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_３、ｈ_３、及び一端側、他端側リム部１２３、１２４の円周方向一端面と円周方向他端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_４、ｈ_４よりも小さくしている（ｈ_１＜ｈ_２、ｈ_１＜ｈ_３、ｈ_１＜ｈ_４）。

　この様な構成を有する本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ａが、図５（ｂ）に示す様に、円周方向一端面１３４と、円周方向他端面１３６とが円周方向に最も近付いた状態では、一端側支承面１３５と他端側支承面１３７との間に存在した円周方向に関する隙間ｈ_１のみが０になり（ｈ_１＝０、隙間が消滅し）、他の隙間ｈ_２、隙間ｈ_３、隙間ｈ_４は０より大きいままとなる（ｈ_２＞０、ｈ_３＞０、ｈ_４＞０、隙間が残る）。

　この様な本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ａによれば、一端側支承面１３５と他端側支承面１３７とが当接した（隙間が消滅した）状態でも、その他の部分には円周方向に関する隙間が残る（当接しない）。この為、運転時のラジアルころ軸受用保持器１０９ａの弾性変形に基づいて、円周方向一端面１３４と円周方向他端面１３６とが強く当接した場合でも、この当接に基づく荷重を、中央側リム部１２５を設けた、円周方向に関する剛性が高い部分で支承する事ができる。その結果、ラジアルころ軸受用保持器１０９ａの一部に過大な応力が生じる事を防止して、このラジアルころ軸受用保持器１０９ａの耐久性の向上を図れる。

　特に本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ａの場合、円周方向一端面１３４のうち、一方側、他方側各柱部１２１ａ、１２２ａの軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分を、一端側支承面１３５よりも周方向に凹ませている。更に、円周方向他端面１３６のうち、一方側、他方側各柱部１２１ａ、１２２ａの軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分を、他端側支承面１３７よりも周方向に凹ませている。従って、円周方向一端面１３４と円周方向他端面１３６とが円周方向に最も近付き、一端側支承面１３５と他端側支承面１３７とが当接した状態でも、円周方向一端面１３４のうち、一方側、他方側各柱部１２１ａ、１２２ａの軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分と、円周方向他端面１３６のうち、一方側、他方側各柱部１２１ａ、１２２ａの軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分との間には、円周方向に関する隙間が残る（当接しない）。この為、一方側、他方側各柱部１２１ａ、１２２ａの様に、円周方向に関する剛性が低い部分に、当接に基づく荷重が加わる事をより確実に防止して、ラジアルころ軸受用保持器１０９ａの耐久性の向上をより確実に図れる。

　［実施の形態の第４例］
　図６は、本発明の実施の形態の第４例を示している。本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ｂは、上述した実施の形態の第３例のラジアルころ軸受用保持器１０９ａの構造と同様に、複列に配置された各ころを、転動自在に保持する為のものである。

　本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ｂの場合、不連続部１１２ｂを挟んで設けられた円周方向一端部１１３ａに設けた第一の係合凹部１３１ｃ、１３１ｄの軸方向に関する寸法を、前述した実施の形態の第３例の構造よりも大きくしている。具体的には、軸方向一方（図６の左側）の第一の係合凹部１３１ｃを上述した実施の形態の第３例の構造よりも軸方向中央寄りにまで延長している。一方、軸方向他方（図６に右側）の第一の係合凹部１３１ｄを上述した実施の形態の第３例の構造よりも軸方向中央寄りにまで延長している。そして、一端側支承面１３５ａの軸方向に関する寸法を、上述した実施の形態の第３例の構造よりも小さくしている。

　又、不連続部１１２ｂを挟んで設けられた円周方向他端部１１４ａに設けた第二の係合凸部１３２ａ、１３２ｂのうちの、軸方向一方の第二の係合凸部１３２ａの軸方向他方側に、円周方向（円周方向一端部１１３ａと反対方向）に凹入した状態で、他端側凹部１３９ａを形成している。一方、軸方向他方の第二の係合凸部１３２ｂの軸方向一方側に、円周方向（円周方向一端部１１３ａと反対方向）に凹入した状態で、他端側凹部１３９ｂを形成している。そして、他端側支承面１３７ａの軸方向に関する寸法を、上述した実施の形態の第３例の構造よりも小さくしている。

　この様に本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ｂの場合、上述した実施の形態の第３例の構造よりも、一端側、他端側両支承面１３５ａ、１３７ａの軸方向に関する寸法を小さくしている。従って、ラジアルころ軸受用保持器１０９ｂの一部、特に円周方向両端の各柱部１２１ａ、１２２ａに過大な応力が生じる事を、より確実に防止できる。又、実施の形態の第３例の構造よりも、ラジアルころ軸受用保持器１０９ｂを成形する為の材料が少なくて済む。その結果、ラジアルころ軸受用保持器１０９ｂの材料コストの低減、及び軽量化を図れる。その他の構成及び作用・効果については、上述した実施の形態の第３例の場合とほぼ同様である。

　［実施の形態の第５例］
　図７は、本発明の実施の形態の第５例を示している。本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ｃは、３列に配置されたころを転動自在に保持する為のものである。この様なラジアルころ軸受用保持器１０９ｃは、一端側リム部１２３ａと、他端側リム部１２４ａと、これら一端側、他端側両リム部１２３ａ、１２４ａ同士の軸方向に関する間部分に設けられた、それぞれが特許請求の範囲の中間側リム部に相当する、一端寄り中間側リム部１４０及び他端寄り中間側リム部１４１とを、軸方向に間隔をあけて互いに同心に配置している。

　又、円周方向に亙って間欠的に、一端側リム部１２３ａと一端寄り中間側リム部１４０との間に掛け渡される状態で、複数本の一方側柱部１２１ｂ、１２１ｂを設けている。そして、円周方向に隣り合う一方側柱部１２１ｂ、１２１ｂと一端側、一端寄り中間側両リム部１２３ａ、１４０とにより四周を囲まれた部分を、それぞれころを転動自在に保持する為の一方側ポケット１２６ａ、１２６ａとしている。

　又、円周方向に亙って間欠的に、一端寄り中間側リム部１４０と他端寄り中間側リム部１４１との間に掛け渡される状態で、複数本の中間側柱部１４２、１４２を設けている。そして、円周方向に隣り合う中間側柱部１４２、１４２と一端寄り、他端寄り両中間側リム部１４０、１４１とにより四周を囲まれた部分を、それぞれころを転動自在に保持する為の中間側ポケット１４３、１４３としている。

　又、円周方向に亙って間欠的に、他端寄り中間側リム部１４１と、他端側リム部１２４ａとの間に掛け渡される状態で複数本の他方側柱部１２２ｂ、１２２ｂを設けている。そして、円周方向に隣り合う他方側柱部１２２ｂ、１２２ｂと他端寄り中間側、他端側両リム部１４０、１２４ａとにより四周を囲まれた部分を、それぞれころを転動自在に保持する為の他方側ポケット１２７ａ、１２７ａとしている。又、本例の場合、各一方側、中間側、他方側各ポケット１２６ａ、１４３、１２７ａ同士の、円周方向に関する位相を、互いに一致させている。

　又、本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ｃも、前述した実施の形態の第３及び第４例と同様に、円周方向の１箇所に不連続部１１２ｂを有している。又、この不連続部１１２ｂを挟んで設けられた円周方向一端部１１３ｃと、円周方向他端部１１４ｃとを、係合部１１５ｂにより、これら両端部１１３ｃ、１１４ｃ同士の軸方向に関する相対変位を阻止する状態で係合している。

　この様な係合部１１５ｂは、円周方向一端部１１３ｃの軸方向に離隔した位置（各一方側ポケット１２６ａ、１２６ａの軸方向中間部と整合する位置、各他方側ポケット１２７ａ、１２７ａの軸方向中間部と整合する位置）に形成された１対の第一の凹凸部１２８ｃ、１２８ｄと、円周方向他端部１１４ｃの軸方向に離隔した位置（一方側ポケット１２６ａ、１２６ａの軸方向中間部と整合する位置、各他方側ポケット１２７ａ、１２７ａの軸方向中間部と整合する位置）に形成された第二の凹凸部１２９ｃ、１２９ｄとから成る。

　このうちの両第一の凹凸部１２８ｃ、１２８ｄは、それぞれが第一の係合凸部１３０ｃ、１３０ｄと、第一の係合凹部１３１ｅ、１３１ｆとから成る。

　この様な両第一の凹凸部１２８ｃ、１２８ｄのうちの、一方（図７の左側）の第一の凹凸部１２８ｃを構成する第一の係合凸部１３０ｃは、各一方側ポケット１２６ａ、１２６ａのほぼ軸方向中央部と整合する位置に、円周方向（円周方向他端部１１４ｃ側）に延出した状態で形成している。第一の係合凹部１３１ｅは、第一の係合凸部１３０ｃの軸方向一方側（各一方側ポケット１２６ａ、１２６ａの軸方向中央部よりもやや軸方向一方寄り部分）に、円周方向（円周方向他端部１１４ｃと反対方向）に凹入した状態で形成している。

　又、両第一の凹凸部１２８ｃ、１２８ｄのうちの、他方（図７の右側）の第一の凹凸部１２８ｄを構成する第一の係合凸部１３０ｄは、各他方側ポケット１２７ａ、１２７ａのほぼ軸方向中央部と整合する位置に、円周方向（円周方向他端部１１４ｃ側）に延出した状態で形成している。第一の係合凹部１３１ｆは、第一の係合凸部１３０ｄの軸方向他方側（各他方側ポケット１２７ａ、１２７ａの軸方向中央部よりもやや軸方向他方寄り部分）に、円周方向（円周方向他端部１１４ｃと反対方向）に凹入した状態で形成している。

　又、両第二の凹凸部１２９ｃ、１２９ｄは、それぞれが第二の係合凸部１３２ｃ、１３２ｄと、第二の係合凹部１３３ｃ、１３３ｄとから成る。

　第二の凹凸部１２９ｃ、１２９ｄのうちの、一方（図７の左側）の第二の凹凸部１２９ｃを構成する第二の係合凸部１３２ｃは、一方の第一の係合凹部１３１ｅと軸方向に関して整合する部分に、円周方向（円周方向一端部１１３ｃ側）に延出した状態で形成している。第二の係合凹部１３３ｃは、一方の第一の係合凸部１３０ｃと軸方向に関して整合する部分に、円周方向（円周方向一端部１１３ｃと反対方向）に凹入した状態で形成している。

　又、第二の凹凸部１２９ｃ、１２９ｄのうちの、他方（図７の右側）の第二の凹凸部１２９ｄを構成する第二の係合凸部１３２ｄは、他方の第一の係合凹部１３１ｆと軸方向に関して整合する部分に、円周方向（円周方向一端部１１３ｃ側）に延出した状態で形成している。第二の係合凹部１３１ｆは、他方の第一の係合凸部１３０ｄと軸方向に関して整合する部分に、円周方向（円周方向一端部１１３ｃと反対方向）に凹入した状態で形成している。

　本例の場合、一方の第一の凹凸部１２８ｃを構成する第一の係合凸部１３０ｃの軸方向一方側に一方の第二の凹凸部１２９ｃを構成する第二の係合凸部１３２ｃを配置する共に、他方の第一の凹凸部１２８ｄを構成する第一の係合凸部１３０ｄの軸方向他方側に他方の第二の凹凸部１２９ｄを構成する第二の係合凸部１３２ｄを配置した状態で、両第一の凹凸部１２８ｃ、１２８ｄと、両第二の凹凸部１２９ｃ、１２９ｄとを凹凸係合させている。

　この様に凹凸係合した状態で、一方の第一の係合凸部１３０ｃと一方の第二の係合凸部１３２ｃ、及び他方の第一の係合凸部１３０ｄと他方の第二の係合凸部１３２ｄとを軸方向に関して係合させ、円周方向一端部１１３ｃと、円周方向他端部１１４ｃとの軸方向に関する相対変位を規制している。

　又、本例の場合、不連続部１１２ｂを挟んで設けられた円周方向一端面１３４ａのうちの、一端寄り中間側リム部１４０の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分、及び他端寄り中間側リム部１４１の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分を、一端側支承面１３５ｂとしている。尚、本例の場合、円周方向一端面１３４ａのうちの、一端寄り中間側リム部１４０と軸方向に関して整合する部分と、他端寄り中間側リム部１４１と軸方向に関して整合する部分と、これら両部分に隣り合う部分とが、互いに同一面上に存在している。即ち、本例の場合、円周方向一端面１３４ａのうちの、一方の第一の凹凸部１２８ｃを構成する第一の係合凸部１３０ｃの軸方向他方側から、他方の第一の凹凸部１２８ｄを構成する第一の係合凸部１３０ｄの軸方向一方側に掛けての部分を、一端側支承面１３５ｂとしている。

　又、ラジアルころ軸受用保持器１０９ｃの円周方向他端面１３６ａのうちの、一端寄り中間側リム部１４０と軸方向に関して整合する部分、及び他端寄り中間側リム部１４１と軸方向に関して整合する部分とを他端側支承面１３７ｂとしている。尚、本例の場合、円周方向他端面１３６ａのうちの、一端寄り中間側リム部１４０と軸方向に関して整合する部分と、他端寄り中間側リム部１４１と軸方向に関して整合する部分と、これら両部分に隣り合う部分とが、互いに同一面上に存在している。即ち、本例の場合、円周方向他端面１３６ａのうちの、一方の第二の凹凸部１２９ｃを構成する第二の係合凹部１３３ｃの軸方向他方側から、他方の第二の凹凸部１２９ｄを構成する第二の係合凹部１３３ｄの軸方向一方側に掛けての部分を、他端側支承面１３７ｂとしている。

　又、本例の場合、円周方向一端面１３４ａと円周方向他端面１３６ａとの間に存在する円周方向に関する隙間１３８ａのうち、一端側支承面１３５ｂと他端側支承面１３７ｂとの間に存在する円周方向に関する隙間を、他の部分の隙間よりも小さくしている。

　即ち、図７（ａ）に示す様に、一端側支承面１３５ｂと他端側支承面１３７ｂとの間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_１を、両第一の係合凸部１３０ｃ、１３０ｄの先端面と、両第二の係合凹部１３３ｃ、１３３ｄの奥端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_２、ｈ_２、及び両第一の係合凹部１３１ｅ、１３１ｆの奥端面と両第二の係合凸部１３２ｃ、１３２ｄの先端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_３、ｈ_３、及び一端側、他端側リム部１２３ａ、１２４ａの円周方向一端面と円周方向他端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_４、ｈ_４よりも小さくしている（ｈ_１＜ｈ_２、ｈ_１＜ｈ_３、ｈ_１＜ｈ_４）。

　この様な構成を有する本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ａが、図７（ｂ）に示す様に、円周方向一端面１３４ａと、円周方向他端面１３６ａとが円周方向に最も近付いた状態では、一端側支承面１３５ｂと他端側支承面１３７ｂとの間に存在した円周方向に関する隙間ｈ_１が０になり（ｈ_１＝０）、両第一の係合凸部１３０ｃ、１３０ｄの先端面と、両第二の係合凹部１３３ｃ、１３３ｄの奥端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_２、ｈ_２、及び両第一の係合凹部１３１ｅ、１３１ｆの奥端面と両第二の係合凸部１３２ｃ、１３２ｄの先端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_３、ｈ_３、及び一端側、他端側リム部１２３ａ、１２４ａの円周方向一端面と円周方向他端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_４、ｈ_４は０より大きい（ｈ_２＞０、ｈ_３＞０、ｈ_４＞０）。その他の構成及び作用・効果については、前述した実施の形態の第３例の場合とほぼ同様である。

　［実施の形態の第６例］
　図８は、本発明の実施の形態の第６例を示している。本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ｄは、前述した実施の形態の第５例のラジアルころ軸受用保持器１０９ｃと同様に、３列に配置されたころを転動自在に保持する為のものである。

　特に本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ｄの場合、不連続部１１２ｃに片側で対向する円周方向一端面１３４ｂのうちの軸方向中央部分（各中間側ポケット１４３、１４３の軸方向中央部分と整合する位置）に、円周方向（円周方向他端面１３６ｂと反対方向）に凹入した状態で、一端側凹部１４４を形成している。

　一方、不連続部１１２ｃに他側で対向する円周方向他端面１３６ｂのうちの軸方向中央部分（各中間側ポケット１４３、１４３の軸方向中央部分と整合する位置）に、円周方向（円周方向一端面１３４ｂと反対方向）に凹入した状態で、他端側凹部１４５を形成している。

　即ち、本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ｄの場合、円周方向一端面１３４ｂのうちの、一端寄り中間側リム部１４０の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分を、第一の一端側支承面１４６としている。又、円周方向一端面１３４ｂのうちの、他端寄り中間側リム部１４１の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分を、第二の一端側支承面１４７としている。

　一方、円周方向他端面１３６ｂのうちの、一端寄り中間側リム部１４０の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分を、第一の他端側支承面１４８としている。又、円周方向他端面１３６ｂのうちの、他端寄り中間側リム部１４１の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分を、第二の他端側支承面１４９としている。

　そして、円周方向一端面１３４ｂと円周方向他端面１３６ｂとの間に存在する円周方向に関する隙間１３８ｂのうち、第一、第二の各一端側支承面１４６、１４７と、第一、第二の各他端側支承面１４８、１４９との間に存在する円周方向に関する隙間を、他の部分の隙間よりも小さくしている。

　即ち、図８（ａ）に示す様に、第一、第二の各一端側支承面１４６、１４７と第一、第二の各他端側支承面１４８、１４９との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_１、ｈ_１を、両第一の係合凸部１３０ｃ、１３０ｄの先端面と、両第二の係合凹部１３３ｃ、１３３ｄの奥端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_２、ｈ_２、及び両第一の係合凹部１３１ｅ、１３１ｆの奥端面と両第二の係合凸部１３２ｃ、１３２ｄの先端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_３、ｈ_３、及び一端側、他端側両リム部１２３ａ、１２４ａの円周方向一端面と円周方向他端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_４、ｈ_４、及び一端側凹部１４４の奥端面と、他端側凹部１４５の奥端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_５よりも小さくしている（ｈ_１＜ｈ_２、ｈ_１＜ｈ_３、ｈ_１＜ｈ_４、ｈ_１＜ｈ_５）。

　この様な構成を有する本例のラジアルころ軸受用保持器１０９ｄが、図８（ｂ）に示す様に、円周方向一端面１３４ｂと、円周方向他端面１３６ｂとが円周方向に最も近付いた状態では、第一、第二の各一端側支承面１４６、１４７と第一、第二の各他端側支承面１４８、１４９との間に存在した円周方向に関する隙間ｈ_１が０になる（ｈ_１＝０）。一方、両第一の係合凸部１３０ｃ、１３０ｄの先端面と、両第二の係合凹部１３３ｃ、１３３ｄの奥端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_２、ｈ_２、及び両第一の係合凹部１３１ｅ、１３１ｆの奥端面と両第二の係合凸部１３２ｃ、１３２ｄの先端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_３、ｈ_３、及び一端側、他端側両リム部１２３ａ、１２４ａの円周方向一端面と円周方向他端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_４、ｈ_４、一端側凹部１４４の奥端面と、他端側凹部１４５の奥端面との間に存在する円周方向に関する隙間ｈ_５は０より大きい（ｈ_２＞０、ｈ_３＞０、ｈ_４＞０、ｈ_５＞０）。

　本例の場合、円周方向一端面１３４ｂと、円周方向他端面１３６ｂとが円周方向に最も近付いた状態で、これら両端面１３４ｂ、１３６ｂ同士の、各中間側ポケット１４３、１４３の軸方向中央部と整合する部分に、円周方向に関する隙間を設けている。この為、運転時のラジアルころ軸受用保持器１０９ｄの弾性変形に基づいて、円周方向一端面１３４ｂと円周方向他端面１３６ｂとの円周方向に関する間隔（隙間）が小さくなって、これら両端面１３４ｂ、１３６ｂ同士が強く当接した場合にも、この当接に基づく荷重を、円周方向に関する剛性が低い、両端面１３４ｂ、１３６ｂ同士の各中間側ポケット１４３、１４３の軸方向中央部と整合する部分で支承する事がない。その結果、ラジアルころ軸受用保持器１０９ｄの耐久性の向上をより一層確実に図れる。

　又、本例の場合、一端側凹部１４４と、他端側凹部１４５とを設けている分だけ、ラジアルころ軸受用保持器１０９ｄの成形に使用する材料が少なくて済む。この為、材料コストの低減と、軽量化とを図れる。その他の構成及び作用・効果については、前述した実施の形態の第５例の場合とほぼ同様である。

　なお、本出願は、２０１２年７月１７日出願の日本特許出願２０１２－１５８４３７、及び２０１２年７月１７日出願の日本特許出願２０１２－１５８８０２に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

　前述した実施の形態の第１～第２例では、円周方向１箇所に不連続部を有する保持器の構造を対象としているが、円周方向複数個所に不連続部を有する（部分円筒形である複数の保持器のそれぞれの円周方向両端縁同士を係合させて成る所謂分割型）保持器の構造も、本発明の対象となる。
　又、本発明は、前述した実施の形態の各例の様に、単列型、複列型の構造以外にも、３列以上の多列型のラジアルころ軸受用保持器の構造に適応する事もできる。

　又、前述した実施の形態の第２例では、複列型のラジアルころ軸受用保持器に於いて、円周方向両端面の、一端側、中央側、他端側各リム部と軸方向に整合する位置で、円周方向に関する荷重を支承（当接）させている。但し、円周方向両端面の、一端側、他端側各リム部と軸方向に整合する位置でのみ、円周方向に関する荷重を支承（当接）する様な構造とする事もできる。

　前述した実施の形態の第３～第６例では、円周方向１箇所に不連続部を有する保持器の構造を対象としているが、円周方向複数個所に不連続部を有する（部分円筒形である複数の保持器のそれぞれの円周方向両端縁同士を係合させて成る所謂分割型）保持器の構造も、本発明の対象となる。

　又、本発明は、前述した実施の形態の各例の様に、複列型、３列型の構造以外にも、４列以上の多列型のラジアルころ軸受用保持器の構造に適応する事もできる。

　１　ラジアルころ軸受
　２　外径側部材
　３　外輪軌道
　４　軸
　５　内輪軌道
　６　ころ
　７、７ａ、７ｂ、７ｃ　保持器
　８、８ａ、８ｂ、８ｃ　一端側リム部
　９、９ａ、９ｂ、９ｃ　他端側リム部
　１０、１０ａ、１０ｂ　柱部
　１１、１１ａ、１１ｂ　ポケット
　１２、１２ａ、１２ｂ　不連続部
　１３、１３ａ、１３ｂ　円周方向一端部
　１４、１４ａ、１４ｂ　円周方向他端部
　１５、１５ａ、１５ｂ　係合部
　１６、１６ａ、１６ｂ、１６ｃ　第一の凹凸部
　１７、１７ａ、１７ｂ、１７ｃ　第二の凹凸部
　１８、１８ａ、１８ｂ、１８ｃ、１８ｄ　第一の係合凸部
　１９、１９ａ、１９ｃ、１９ｄ　第一の係合凹部
　２０、２０ａ、２０ｂ、２０ｃ、２０ｄ　第二の係合凸部
　２１、２１ａ、２１ｂ、２１ｃ、２１ｄ　第二の係合凹部
　２２、２２ａ、２２ｂ　円周方向一端面
　２３ａ、２３ｂ　一端側支承面
　２４、２４ａ、２４ｂ　円周方向他端面
　２５ａ、２５ｂ　他端側支承面
　２６、２６ａ　隙間
　２７　中央側リム部（中間側リム部）
　２８　柱部
　２９　ポケット
　１０１ａ、１０１ｂ　歯車
　１０２　動力伝達軸
　１０３ａ、１０３ｂ　ラジアルころ軸受
　１０４ａ、１０４ｂ　シンクロ機構
　１０５ａ、１０５ｂ　ニードル
　１０６ａ、１０６ｂ　外輪軌道
　１０７ａ、１０７ｂ　内輪軌道
　１０８ａ、１０８ｂ、１０８ｃ、１０８ｄ　保持器
　１０９、１０９ａ、１０９ｂ、１０９ｃ、１０９ｄ　保持器
　１１０　一方側ポケット
　１１１　他方側ポケット
　１１２、１１２ａ、１１２ｂ、１１２ｃ　不連続部
　１１３、１１３ａ、１１３ｂ、１１３ｃ　円周方向一端部
　１１４、１１４ａ、１１４ｂ、１１４ｃ　円周方向他端部
　１１５、１１５ａ、１１５ｂ　係合部
　１１６　円筒状部材
　１１７ａ、１１７ｂ　第一の係合凸部
　１１８ａ、１１８ｂ　第一の係合凹部
　１１９ａ、１１９ｂ　第二の係合凸部
　１２０ａ、１２０ｂ　第二の係合凹部
　１２１、１２１ａ、１２１ｂ　一方側柱部
　１２２、１２２ａ、１２２ｂ　他方側柱部
　１２３、１２３ａ　一端側リム部
　１２４、１２４ａ　他端側リム部
　１２５　中央側リム部（中間側リム部）
　１２６、１２６ａ　一方側ポケット
　１２７、１２７ａ　他方側ポケット
　１２８ａ、１２８ｂ、１２８ｃ、１２８ｄ　第一の凹凸部
　１２９ａ、１２９ｂ、１２９ｃ、１２９ｄ　第二の凹凸部
　１３０ａ、１３０ｂ、１３０ｃ、１３０ｄ　第一の係合凸部
　１３１ａ、１３１ｂ、１３１ｃ、１３１ｄ、１３１ｅ、１３１ｆ　第一の係合凹部
　１３２ａ、１３２ｂ、１３２ｃ、１３２ｄ　第二の係合凸部
　１３３ａ、１３３ｂ、１３３ｃ、１３３ｄ　第二の係合凹部
　１３４、１３４ａ、１３４ｂ　円周方向一端面
　１３５、１３５ａ、１３５ｂ　一端側支承面
　１３６、１３６ａ、１３６ｂ　円周方向他端面
　１３７、１３７ａ、１３７ｂ　他端側支承面
　１３８、１３８ａ、１３８ｂ　隙間
　１３９ａ、１３９ｂ　他端側凹部
　１４０　一端寄り中間側リム部（中間側リム部）
　１４１　他端寄り中間側リム部（中間側リム部）
　１４２　中間側柱部
　１４３　中間側ポケット
　１４４　一端側凹部
　１４５　他端側凹部
　１４６　第一の一端側支承面
　１４７　第二の一端側支承面
　１４８　第一の他端側支承面
　１４９　第二の他端側支承面

Claims

　少なくとも円周方向１箇所に不連続部を有するものであり、
　複数個のリム部と、複数本の柱部と、複数個のポケットと、係合部とを備え、
　このうちの各リム部は、それぞれが欠円環状で、軸方向に間隔をあけて互いに同心に設けられており、
　前記各柱部は、円周方向に亙って間欠的に、前記各リム部同士の間に掛け渡される状態で設けられており、
　前記各ポケットは、軸方向に隣り合う前記各リム部と円周方向に隣り合う前記各柱部とにより四周を囲まれる部分に設けられており、
　前記係合部は、前記不連続部を挟んで設けられた端部同士の軸方向に関する相対変位を阻止する状態で係合するものであるラジアルころ軸受用保持器に於いて、
　前記不連続部を挟んで設けられた円周方向一端面のうちの、軸方向一端側に設けられたリム部と軸方向に関して整合する部分、及び軸方向他端側に設けられたリム部と軸方向に関して整合する部分を一端側支承面とし、
　円周方向他端面のうちの、軸方向一端側に設けられたリム部と軸方向に関して整合する部分、及び軸方向他端側に設けられたリム部と軸方向に関して整合する部分を他端側支承面とし、
　前記円周方向一端面と前記円周方向他端面との間に存在する円周方向に関する隙間のうち、前記一端側支承面と、前記他端側支承面との間に存在する隙間が、他の部分の隙間よりも小さい事を特徴とするラジアルころ軸受用保持器。
　前記円周方向一端面のうち、前記各柱部の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分と、前記円周方向他端面のうち、前記各柱部の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分との円周方向の隙間が、前記一端側支承面と前記他端側支承面との円周方向の隙間よりも大きい事を特徴とする請求項１に記載したラジアルころ軸受用保持器。
　前記各リム部が、それぞれが欠円環状で、軸方向に間隔をあけて互いに同心に設けられた、一端側リム部と、他端側リム部と、軸方向に関してこれら一端側、他端側両リム部同士の間部分に配置された少なくとも１個の中間側リム部とからなり、
　前記円周方向一端面のうちの、前記各リム部と軸方向に関して整合する部分を一端側支承面とし、
　前記円周方向他端面のうちの、前記各リム部と軸方向に関して整合する部分を他端側支承面としている事を特徴とする請求項１又は２に記載したラジアルころ軸受用保持器。
　少なくとも円周方向１箇所に不連続部を有するものであり、
　３個以上のリム部と、複数本の柱部と、複数個のポケットと、係合部とを備え、
　これら各リム部は、それぞれが欠円環状で、軸方向に間隔をあけて互いに同心に設けられた、一端側リム部と、他端側リム部と、軸方向に関してこれら一端側、他端側両リム部同士の間部分に配置された少なくとも１個の中間側リム部とからなり、
　前記各柱部は、円周方向に亙って間欠的に、軸方向に隣り合う前記各リム部同士の間に掛け渡される状態で設けられており、
　前記各ポケットは、軸方向に隣り合う前記各リム部と円周方向に隣り合う柱部とにより四周を囲まれる部分に設けられており、
　前記係合部は、前記不連続部を挟んで設けられた円周方向一端部と、円周方向他端部との軸方向に関する相対変位を阻止する状態で係合するものであるラジアルころ軸受用保持器に於いて、
　前記不連続部を挟んで設けられた円周方向一端面のうちの、前記中間側リム部と軸方向に関して整合する部分を一端側支承面とし、
　円周方向他端面のうちの、前記中間側リム部と軸方向に関して整合する部分を他端側支承面とし、
　前記円周方向一端面と前記円周方向他端面との間に存在する円周方向に関する隙間のうち、前記一端側支承面と、前記他端側支承面との間に存在する隙間が、他の部分の隙間よりも小さい事を特徴とするラジアルころ軸受用保持器。
　前記円周方向一端面のうち、前記各柱部の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分が、前記一端側支承面よりも周方向に凹んでいるか、又は前記円周方向他端面のうち、前記各柱部の軸方向中央部と軸方向に関して整合する部分が、前記他端側支承面よりも周方向に凹んでいる事を特徴とする請求項４に記載したラジアルころ軸受用保持器。