JP6083242B2 - ころ軸受用保持器 - Google Patents
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Description
本発明は、ころ軸受用保持器に関する。
従来、例えば自動車のトランスミッションに用いられる軸受として、転動体としてのころを保持する保持器が複数に分割されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のころ軸受は、保持器が複数の円弧状部材をリング状に連結してなり、かつ複数の円弧状部材が連結手段によって連結されている。連結手段は、円弧状部材の外周面に形成された溝部と、この溝部に嵌め込まれた止め輪とによって構成され、複数の円弧状部材は、連結手段によって円周方向に相対移動可能かつ径方向に分離不可能に連結されている。
この特許文献1に記載されたころ軸受によれば、保持器に保持された複数のころを径方向に挟んで相対回転可能に配置された外径側部材(例えばトランスミッションのアイドラギヤ)と内径側部材(例えばトランスミッションの回転軸)との回転が同期し、相対回転が発生しない場合でも、保持器を構成する複数の円弧状部材間の相対移動によってころの転動が促され、外径側部材の内径面及び内径側部材の外径面にフレッティング摩耗が発生することが抑制される。ここで、フレッティング摩耗とは、ころが同じ位置で荷重を負担して微小振動することにより、外径側部材の内周面及び内径側部材の外周面におけるころとの接触部に摩耗による窪みが発生することをいう。
ところで、保持器の軸方向の端面に向かい合う部材には、例えば図8に示すように、潤滑油を保持及び流動させるための油溝830,840が形成されている場合がある。図8に示す構成例では、外径側部材としての環状のアイドラギヤ81と、内径側部材としての軸状のシャフト82との間にころ軸受9が配置されている。ころ軸受9は、複数のころ90を転動可能に保持する円筒状の保持器91が、第1の円弧状部材911及び第2の円弧状部材912からなる。第1の円弧状部材911の周方向端面911aと、第2の円弧状部材912の周方向端面912aとの間には、第1の円弧状部材911と第2の円弧状部材912との相対移動を可能としてフレッティング摩耗を抑制するための隙間Sが形成されている。
また、図8(b)に示すように、ころ軸受9は、第1の円弧状部材911の軸方向端面911b及び第2の円弧状部材912の軸方向端面912bが、トランスミッション等を構成する第1の構成部材83及び第2の構成部材84に対向して配置されている。第1の構成部材83及び第2の構成部材84には、第1及び第2の円弧状部材911,912の軸方向端面911b,912bとの対向面に、保持器91の径方向に沿って延びる油溝830,840が形成されている。
この場合において、例えば第1の円弧状部材911の周方向端面911aと軸方向端面911bとの交点である角部911cが第1の構成部材83に形成された油溝830の内面に引っ掛かると、第1の円弧状部材911の周方向移動が規制され、第1の円弧状部材911に保持されたころ90の回転が規制される。これにより、アイドラギヤ81の内周面81a及びシャフト82の外周面82aにフレッティング摩耗が発生するおそれがある。
このフレッティング摩耗を抑制するため、第1の円弧状部材911の軸方向端面911b及び第2の円弧状部材912の軸方向端面912bと、第1の構成部材83及び第2の構成部材84との間にそれぞれワッシャを配置することも考えられるが、この場合には、ころ軸受9の他に2つのワッシャを組み付けなければならず、トランスミッション等を組み付ける際の組み付け工数が増大してしまう。
そこで、本発明は、フレッティング摩耗を抑制しながら、保持器をトランスミッション等の被組付装置に組み付ける際の組み付け性の低下を抑制することが可能なころ軸受用保持器を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、次に述べる(1)〜(3)のころ軸受用保持器を提供する。
(1)複数のころを転動可能に収容する複数の収容孔を有し、軸線方向における両端面間にわたってスリット状の割り部が形成された筒状の保持部材と、前記保持部材の前記両端面に対向して配置された一対の環状部材、及び前記一対の環状部材を連結する連結部材を有する枠体とを備え、前記連結部材は、前記割り部における前記保持部材の周方向端面間に配置され、前記連結部材と前記保持部材の周方向端面との間に隙間が形成されているころ軸受用保持器。
(2)前記保持部材は、複数の前記割り部によって分割された複数の円弧状保持部材からなり、前記複数の前記割り部のそれぞれに前記連結部材が配置されている、(1)に記載のころ軸受用保持器。
(3)前記環状部材は、前記保持部材の前記環状部材に対する径方向外方への移動を規制する外鍔部、及び前記保持部材の前記環状部材に対する径方向内方への移動を規制する内鍔部を有する、(2)に記載のころ軸受用保持器。
本発明によれば、保持器の回転を円滑にしてフレッティング摩耗を抑制しながら、保持器をトランスミッション等の被組付装置に組み付ける際の組み付け性の低下を抑制することができる。
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1〜図6を参照して説明する。
本発明の実施の形態について、図1〜図6を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る保持器10、及び保持器10に保持された複数のころ11を備えたころ軸受1を示す外観斜視図である。
ころ軸受1は、複数(図1に示す例では24個)の円柱状のころ11を保持器10によって転動可能に保持して構成されている。ころ11は、その軸線方向がころ軸受1の中心軸Cと平行である。
保持器10は、複数のころ11を保持する保持部材2と、保持部材2を囲むように配置された枠体3とを有している。保持部材2は、複数のスリット状の割り部2aによって分割された複数の円弧状保持部材からなり、全体として筒状に形成されている。本実施の形態では、保持部材2が、2つの割り部2aによって分割された第1の円弧状保持部材21と第2の円弧状保持部材22との組み合わせによって構成されている。
図2は、複数のころ11を保持する第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22を示す斜視図である。第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22は、例えば46ナイロンや66ナイロン、あるいはPEEK(Polyetheretherketone)等の樹脂からなる。
第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22は、ころ軸受1の中心軸Cに平行な方向から見た場合に、その軸方向端面(第1の円弧状保持部材21の軸方向端面21b,21c、及び第2の円弧状保持部材22の軸方向端面22b,22c)の形状が円弧状である。
第1の円弧状保持部材21は、複数(12個)のころ11を転動可能に収容する複数(12個)の収容孔210を有している。第1の円弧状保持部材21は、ころ軸受1の中心軸C方向における両端部に互いに平行に設けられた一対の円弧部211,211と、これら一対の円弧部211,211の間に設けられ、ころ軸受1の軸方向に沿って延びる複数の柱部212とを一体に有している。収容孔210は、周方向に隣り合う2つの柱部212の間に形成されている。収容孔210に収容されたころ11の軸方向端面は、円弧部211に対向している。
第2の円弧状保持部材22は、第1の円弧状保持部材21と同様に形成されている。すなわち、第2の円弧状保持部材22は、ころ軸受1の軸方向の両端部に互いに平行に設けられた一対の円弧部221,221と、これら一対の円弧部221,221の間に設けられ、ころ軸受1の軸方向に沿って延びる複数の柱部222とを一体に有し、周方向に隣り合う2つの柱部212の間に複数(12個)のころ11を転動可能に収容する複数(12個)の収容孔220が形成されている。収容孔220に収容されたころ11の軸方向端面は、円弧部221に対向している。
本実施の形態では、2つの割り部2aがころ軸受1の中心軸Cに対して対称な位置に形成され、第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22は、それぞれが半円状である。割り部2aは、ころ11の軸線方向における保持部材2の両端面(一方の端面2b及び他方の端面2c)間にわたって、ころ軸受1の中心軸Cと平行に形成されている。ここで、保持部材2の一方の端面2bは、第1の円弧状保持部材21の一方の軸方向端面21b及び第2の円弧状保持部材22の一方の軸方向端面22bからなる。保持部材2の他方の端面2cは、第1の円弧状保持部材21の他方の軸方向端面21c及び第2の円弧状保持部材22の他方の軸方向端面22cからなる。
図3は、枠体3を示し、(a)は全体斜視図、(b)は枠体3(a)のA−A線断面図である。枠体3は、例えば鉄やステンレス等の金属からなる。
枠体3は、複数のころ11の軸線方向における保持部材2の両端面2b,2cに対向して配置された一対の環状部材(第1の環状部材31及び第2の環状部材32)と、これら第1及び第2の環状部材31,32を連結する2つの連結部材33,33とを有している。本実施の形態では、第1及び第2の環状部材31,32と連結部材33,33とが一体に形成されているが、これらの各部材は、嵌合や係合などの連結可能な構造により、それぞれが別体であってもよい。
第1の環状部材31は、保持部材2の一方の端面2bに対向して環状に形成された平板部310と、平板部310の外周側の端部から中心軸Cに対して平行に延出された外鍔部311と、平板部310の内周側の端部から中心軸Cに対して平行に延出された内鍔部312とを一体に有している。第1の円弧状保持部材21の円弧部211は、その一部が外鍔部311と内鍔部312との間に配置されている。また、第2の円弧状保持部材22の円弧部221は、その一部が外鍔部311と内鍔部312との間に配置されている。
第2の環状部材32は、第1の環状部材31と同様に構成されている。すなわち、第2の環状部材32は、保持部材2の他方の端面2cに対向して環状に形成された平板部320と、平板部320の外周側の端部から中心軸Cに対して平行に延出された外鍔部321と、平板部320の内周側の端部から中心軸Cに対して平行に延出された内鍔部322とを一体に有している。第1の円弧状保持部材21の円弧部211は、その一部が外鍔部321と内鍔部322との間に配置されている。また、第2の円弧状保持部材22の円弧部221は、その一部が外鍔部321と内鍔部322との間に配置されている。
第1の環状部材31の外鍔部311と第2の環状部材32の外鍔部321、及び第1の環状部材31の内鍔部312と第2の環状部材32の内鍔部322は、平板部310,320から互いに接近する方向に突出している。これにより、第1の環状部材31には、第1及び第2の円弧状保持部材21,22の円弧部211,221の一部を収容する環状溝31aが形成されている。また、第2の環状部材32には、第1及び第2の円弧状保持部材21,22の円弧部211,221の一部を収容する環状溝32aが形成されている。
第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22は、第1の環状部材31の外鍔部311及び第2の環状部材32の外鍔部321によって枠体3の径方向外方への抜け出しが抑止され、内鍔部312及び内鍔部322によって枠体3の径方向内方への抜け出しが抑止されている。また、第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22は、第1の環状部材31の平板部310及び第2の環状部材32の平板部320によって中心軸Cに沿った軸方向の相対移動が規制されている。
内鍔部312,322の平板部310,320からの高さ(軸方向高さ)は、外鍔部311,321の平板部310,320から高さよりも低く形成されている。したがって、第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22を枠体3に組み付ける際には、枠体3を弾性的に変形させ、第1の環状部材31及び第2の環状部材32の内側から第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22を組み付けることができる。
連結部材33は、第1の環状部材31及び第2の環状部材32の間で中心軸Cに沿って延在し、一方の端部が第1の環状部材31に、他方の端部が第2の環状部材32に、それぞれ接続されている。また、連結部材33は、第1の環状部材31の外鍔部311の端部に連続して形成された第1の延在部331と、第2の環状部材32の外鍔部321の端部に連続して形成された第2の延在部332と、第1の延在部331と第2の延在部322との間に形成された第3の延在部333とを有している。
第3の延在部333は、第1の延在部331及び第2の延在部332よりも枠体3の内側に位置している。第1乃至第3の延在部331〜333は、中心軸Cに平行に延在し、第1の延在部331と第3の延在部333との間、及び第2の延在部332と第3の延在部333との間は、中心軸Cに平行な方向に対して傾斜した傾斜部334,335によって接続されている。
連結部材33は、図1に示すように、保持部材2における第1の円弧状保持部材21と第2の円弧状保持部材22との間に介在し、スリット状の割り部2aに収容されている。
図4は、ころ軸受1の一部を切断した断面を示し、(a)は全体斜視図、(b)は(a)の一部拡大図である。
第2の円弧状保持部材22の円弧部221は、径方向の厚みt1を有する肉厚部221aと、径方向の厚みt2(t2<t1)を有する薄肉部221bと、肉厚部221aと薄肉部221bとの間に形成され、肉厚部221aから薄肉部221bに向かって徐々に内径が拡大するテーパ部221cとを有している。肉厚部221aは軸方向の内側(収容孔220側)に、薄肉部221bは軸方向の外側に、それぞれ配置されている。
第2の環状部材32の環状溝32aには、円弧部221の薄肉部221bが収容されている。これにより、第2の円弧状保持部材22の円弧部221における肉厚部221aの内径と、第2の環状部材32の内鍔部312の内径とが、ほぼ同一とされている。なお、図示は省略しているが、第1の円弧状保持部材21の円弧部211も、第2の円弧状保持部材22の円弧部221と同様に構成されている。
図5(a)は、ころ軸受1を中心軸Cに直交する断面で切断した断面図である。図5(b)は、(a)の一部拡大図である。図6は、ころ軸受1を外周側から見た割り部2a及びその周辺部を拡大して示す側面図である。
連結部材33は、割り部2aにおける保持部材2の周方向端面間に配置されている。連結部材33と保持部材2の割り部2aにおける周方向端面との間には、第1及び第2の隙間S1,S2が形成されている。より具体的には、図5(b)に示すように、連結部材33は、第1の円弧状保持部材21の周方向端面21a及び第2の円弧状保持部材22の周方向端面22aの間に配置され、第1の隙間S1は第1の円弧状保持部材21の周方向端面21aと連結部材33の一方の周方向側面33aとの間に、第2の隙間S2は第2の円弧状保持部材22の周方向端面22aと連結部材33の他方の周方向側面33bとの間に、それぞれ形成されている。
図5に示すように、第1の円弧状保持部材21の周方向の両端部と2つの連結部材33との間にそれぞれ形成された2つの第1の隙間S1の幅が互いに等しい場合、それぞれの第1の隙間S1の幅(保持部材2の周方向における幅)W1は、例えば0.1〜1.0mmである。第1の円弧状保持部材21は、枠体3に対して、第1の隙間S1の幅W1に応じた角度で相対回転が可能である。
同様に、第2の円弧状保持部材22の周方向の両端部と2つの連結部材33との間にそれぞれ形成された2つの第2の隙間S2の幅が互いに等しい場合、それぞれの第2の隙間S2の幅(保持部材2の周方向における幅)W2は、例えば0.1〜1.0mmである。第2の円弧状保持部材22は、枠体3に対して、第2の隙間S2の幅W2に応じた角度で相対回転が可能である。
上記のように、第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22が枠体3に対して相対回転可能であるため、枠体3が回転していない場合でも、第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22の車両の振動等によって回転することにより、ころ11が収容孔210,220内で転動可能である。
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した本発明の実施の形態によれば、次に述べる作用及び効果が得られる。
以上説明した本発明の実施の形態によれば、次に述べる作用及び効果が得られる。
(1)保持部材2の一方の端面2bは枠体3の第1の環状部材31に覆われ、保持部材2の他方の端面2cは枠体3の第2の環状部材32に覆われているので、ころ軸受1の組み付け対象装置(トランスミッション等)において、ころ軸受1に軸方向に対向する部位に油溝が形成されていても、この油溝に第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22が引っ掛かることがない。また、枠体3における第1の環状部材31及び第2の環状部材32の軸方向端面は、環状の平坦面310,320によって形成されているので、第1の環状部材31及び第2の環状部材32もまた、ころ軸受1に軸方向に対向する部位に形成された油溝によってその回転が規制することがない。これにより、保持部材2に保持された複数のころ11を円滑に転動させることができる。
(2)第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22と枠体3の連結部材33との間に周方向の隙間(第1及び第2の隙間S1,S2)が形成されるので、第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22が枠体3に対して相対回転可能である。これにより、ころ軸受1の外側に配置される外径側部材、及びころ軸受1の内側に配置される内径側部材の回転が同期して、枠体3が回転しない状態でも、複数のころ11の転動が促進され、外径側部材の内径面ならびに内径側部材の外径面において、ころ11との接触部でのフレッティング摩耗が抑制される。
(3)保持部材2は、それぞれが別体である第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22の組み合わせによって構成され、第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22の周方向端面21a,22a間に2つの連結部材33が介在している。つまり、枠体3の第1の環状部材31及び第2の環状部材32が複数の連結部材33によって連結されているので、第1の環状部材31と第2の環状部材32との軸方向の間隔を適切に保ちやすくなる。また、保持部材2が第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22に分割されていることにより、第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22が独立して枠体3に対して相対回転することができ、第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22が枠体3に対して相対回転しやすくなる。これによりフレッティング摩耗がより確実に抑制される。
(4)第1の環状部材31及び第2の環状部材32は、第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22の外方への移動を規制する外鍔部311,321、及び第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22の内方への移動を規制する内鍔部312,322を有しているので、枠体3からの第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22の抜け出し(脱落)を抑制することができる。つまり、保持部材2と枠体3とが一体化されているので、ころ軸受1の組み付け対象装置(トランスミッション等)への組み付け性が向上する。
[他の実施の形態]
以上、本発明のころ軸受用保持器を実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
以上、本発明のころ軸受用保持器を実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
例えば、上記実施の形態では、保持部材2が第1の円弧状保持部材21及び第2の円弧状保持部材22からなり、枠体3が2つの連結部材33を有する場合について説明したが、これに限らず、保持部材2が3つ以上の円弧状保持部材からなり、それぞれの円弧状保持部材の間に連結部材33が介在していてもよい。また、保持部材2に1つの割り部が形成され、この割り部に1つの連結部材33が収容されていてもよい。
図7は、保持部材20に1つの割り部20aが形成され、枠体3Aが1つの連結部材33を有する場合の変形例に係るころ軸受1Aを示す断面図である。このころ軸受1Aでは、枠体3Aの1つの連結部材33が断面C字状の保持部材20の2つの周方向端面20b,20b間に介在している。保持部材20は、複数の柱部202の間にころ11を転動可能に収容する収容孔200が形成されている。保持部材20の2つの周方向端面20b,20bと連結部材33との間には、周方向の隙間S3,S4が形成されている。これ以外の構成は、図1〜図6を参照して説明したころ軸受1と同様に構成されている。上記のように構成されたころ軸受1Aは、保持部材20が隙間S3,S4の範囲で枠体3Aに対して相対回転可能であるので、振動等によって保持部材20が回転することにより、複数のころ11が転動してフレッティング摩耗を抑制することができる。
また、上記実施の形態では、保持部材2が樹脂からなり、枠体3が金属からなる場合について説明したが、保持部材2が金属からなり、枠体3が樹脂から構成されていてもよい。ただし、保持部材2と枠体3との凝着を防ぐため、保持部材2及び枠体3の一方を樹脂から構成し、他方を金属から構成することが望ましい。
1,1A…ころ軸受、2…保持部材、2a…割り部、2b,2c…端面、3,3A…枠体、9…軸受、10…保持器、20…保持部材、20a…割り部、20b…周方向端面、21…第1の円弧状保持部材、21a…周方向端面、21b,21c…軸方向端面、22…第2の円弧状保持部材、22a…周方向端面、22b,22c…軸方向端面、31…第1の環状部材、31a…環状溝、32…第2の環状部材、32a…環状溝、33…連結部材、33a,33b…側面、81…アイドラギヤ、81a…内周面、82…シャフト、82a…外周面、83…第1の構成部材、84…第2の構成部材、91…保持器、200…収容孔、202…柱部、210,220…収容孔、211,221…円弧部、212,222…柱部、221a…肉厚部、221b…薄肉部、221c…テーパ部、310,320…平板部、311,321…外鍔部、312,322…内鍔部、331…第1の延在部、332…第2の延在部、333…第3の延在部、334,335…傾斜部、830,840…油溝、911,912…円弧状部材、911a,912a…周方向端面、911b,912b…軸方向端面、911c…角部、C…中心軸、S,S3,S4…隙間、S1…第1の隙間、S2…第2の隙間
Claims (3)
- 複数のころを転動可能に収容する複数の収容孔を有し、軸線方向における両端面間にわたってスリット状の割り部が形成された筒状の保持部材と、
前記保持部材の前記両端面に対向して配置された一対の環状部材、及び前記一対の環状部材を連結する連結部材を有する枠体とを備え、
前記連結部材は、前記割り部における前記保持部材の周方向端面間に配置され、前記連結部材と前記保持部材の周方向端面との間に隙間が形成されている
ころ軸受用保持器。 - 前記保持部材は、複数の前記割り部によって分割された複数の円弧状保持部材からなり、
前記複数の前記割り部のそれぞれに前記連結部材が配置されている、
請求項1に記載のころ軸受用保持器。 - 前記環状部材は、前記保持部材の前記環状部材に対する径方向外方への移動を規制する外鍔部、及び前記保持部材の前記環状部材に対する径方向内方への移動を規制する内鍔部を有する、
請求項1又は2に記載のころ軸受用保持器。
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