JP2011117545A - 転がり軸受およびその保持器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器を、運転状況等に依存せずに確実に分割状態に保持することで、フレッティング防止を図ることができ、各円弧状部材の円周方向の端面や外径面の異常摩耗を抑えることができる転がり軸受を提供する
【解決手段】 転がり軸受は、複数の転動体収納用のポケット4を備えた複数の円弧状部材5をリング状に連結してなる保持器3を用いる。保持器3の隣合う一対の円弧状部材5の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段8を設ける。例えば、連結手段8は、円弧状部材5の円弧部5aの外径面に形成された円周方向に延びる溝部6と、この溝部6に嵌め込んだ止め輪7とで構成される。また、円弧状部材5の円周方向の端面および外径面のいずれか一方または両方に無数の微小凹み10を形成する。
【選択図】 図2

Description

この発明は、例えば自動車用トランスミッションのアイドラギア部分等に使用される転がり軸受およびその保持器に関する。
自動車用トランスミッションのアイドラギア部分には、主に保持器付針状ころ軸受が使用されている。前記アイドラギア部分において、シンクロ機構が噛み合うとアイドラギアと、回転軸と、両者間に介在した軸受(主に保持器付針状ころ)とが一体となって、いわゆる同期回転するため、通常は保持器付針状ころの相対回転が起きない。このため、各ころがその軌道面となるギアの内径面および軸の外径面と常に同じ位置で荷重を負荷し、微小振動することによって、フレッティング摩耗が発生することがある。「フレッティング摩耗」とは、軌道面の全周にころのピッチで凹みが生じることである。そのため、保持器を二つ割りにし、その割り部の周方向すきまがあることで保持器半体に相対回転を発生させ、フレッティング摩耗の防止を図るものが試みられている。
しかし、このように保持器を二つ割りにした軸受では、二つの保持器半体を別々に組み込まなければならないという問題点がある。これを解決する手段として以下のような技術が提案されている。
・二つ割りにした一対の保持器半体を、円周方向の両端で互いに接着剤により接着し、運転に伴う温度上昇で接着剤を溶融させる(特許文献1)。
・二つ割りにした一対の保持器半体を、円周方向の両端で互いに、潤滑油に対し親和性がある可溶性の樹脂材料で仮止めする(特許文献2)。
・二つ割りにした一対の保持器半体を、円周方向の両端で溶接にて仮止めし、その仮止め部を運転中の応力により破壊させる(特許文献3)。
・二つ割りにした一対の保持器半体を、互いに軸方向にずらした状態で連結しておき、組み込み時に押圧してずれを解消する(特許文献4)。
実開平5−19652号公報 実開平5−89952号公報 特開平7−127645号公報 特開2009−85401号公報
これらの従来技術は、運転時の温度や潤滑油によって、リング状保持器の円周方向の一部が分割されるものである。したがって、例えば運転温度が低い場合や潤滑油が十分供給されていない場合等においては、保持器が分割状態にならない場合がある。また、連結部分等を破壊によって分割する場合は、破壊の際に破片が発生する。この破片を軸受等が噛み込んでしまい、振動や軸受の損傷、ひいてはトランスミッションの機能に不具合を生じる。
保持器が円周方向に並ぶ複数の円弧状部材(保持器半体)に分割された状態では、以下の問題がある。すなわち、運転時に各円弧状部材の円周方向の端面同士が衝突し、この衝突による繰り返し荷重により、端面に異常摩耗が発生するおそれがある。また、運転時に各円弧状部材が遠心力でアイドラギア等の外径側部材に押し付けられながら回転することにより、隣合う円弧状部材間にすきまが生じる。それにより、円弧状部材の円周方向の端面およびすきまの周辺の外径面で油膜切れが生じ、その箇所で異常摩耗が発生するおそれがある。これら円弧状部材の端面や外径面の異常摩耗によっても、円弧状部材の破損や異常振動、ひいてはトランスミッションの機能に不具合が引き起こされる。
この発明の目的は、複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器を、運転状況等に依存せずに確実に分割状態に保持することで、フレッティング防止を図ることができ、各円弧状部材の円周方向の端面や外径面の異常摩耗を抑えることができる転がり軸受、およびその保持器を提供することである。
この発明の他の目的は、複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器を、運転状況等に依存せずに確実に分割状態に保持することで、フレッティング防止を図ることができ、円滑な回転を維持でき、高速回転の場合の潤滑性が良く、潤滑油の温度上昇が低く抑えられる転がり軸受を提供することである。
この発明の転がり軸受は、複数の転動体収納用のポケットを備えた複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器を用い、前記保持器の隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段を設けたものである。これを、この発明の基本構成とする。内輪および外輪は有していても、有していなくてもよい。
第1の発明の転がり軸受は、上記基本構成に加えて、前記円弧状部材の円周方向の端面および外径面のいずれか一方または両方に無数の微小凹みをランダムに形成したことを特徴とする。
この転がり軸受は、例えばトランスミッションのアイドラギア部分等に組み込まれる。その場合、シンクロ機構が噛み合うと、アイドラギアである外径側部材と、回転軸である内径側部材と、これらの間に介在した軸受(主に保持器付き針状ころ)とが一体となって同期回転する。前記基本構成より、保持器の隣合う一対の円弧状部材は連結手段によって互いに円周方向に相対変位可能に連結されているため、同期回転時の運転状況等に拘わらず、各円弧状部材が確実に分割状態に維持される。それにより、外径側部材および内径側部材に対する転動体の接触位置が常時変化して、外径側部材の内径面および内径側部材の外径面におけるフレッティング摩耗の発生が抑制される。
加えて、円弧状部材の円周方向の端面に無数の微小凹みをランダムに形成した場合は、この微小凹みが油溜まりとなって前記端面に油膜を形成する。この油膜が、各円弧状部材の円周方向の端面同士が衝突する際の衝撃を緩和し、端面の異常摩耗を抑える作用をする。また、円弧状部材の外径面に無数の微小凹みをランダムに形成した場合は、この微小凹みが油溜まりとなって前記外径面に油膜を形成する。この油膜が、円弧状部材と外径側の部材間の緩衝材として作用し、外径面の異常摩耗を抑える作用をする。これらにより、円弧状部材の破損や異常振動を防止することができる。
上記第1の発明において、前記微小凹みが形成された前記円弧状部材の面における微小凹みが占める面積の比率は5%〜20%であり、1個の微小凹みの平均面積は30μm〜100μmであり、微小凹みの深さは、粗さのパラメータにおける最大高さRで0.4μm〜1.0μmであるのが好ましい。
試験により、微小凹みの面積の比率、平均面積、および深さを上記のようにすれば、油膜形成率が最も高く、十分な油膜厚さを確保できることが分かった。
第2の発明の転がり軸受は、前記基本構成に加えて、前記円弧状部材の円周方向の端部における外径面と端面とで成す角部、および隣合うポケット間の部分である各柱部における外径面とポケットを向く面とで成す角部を、凸曲面の面だらし部とし、この面だらし部となる前記円周方向の端部および前記各柱部の外径面部分の断面形状を、前記端面または前記ポケットを向く面である柱部側面から離れるに従って次第に曲率半径が大きくなる形状とし、前記面だらし部の外径面を上記曲率半径の変化に従って滑らかな形状としたことを特徴とする。前記端面である柱部側面は、円周方向端に位置する柱部の端部側の側面部分だけに限らず、円弧状部材の円周方向の端部における端面全体を指す。
ここで言う「面だらし部」とは、外径面が次第に沈み込む部分のことである。例えば、前記円弧状部材の外径面と前記柱部側面に沿って延ばした直線との交点をA、交点Aから前記円弧状部材の外径面に沿って前記柱部側面から離れる側へ0.25mm離れた位置に前記柱部の幅方向の中心線と平行に引いた直線をCとしたとき、前記直線C上における、前記円弧状部材の外径面と前記面だらし部の外径面との距離である前記面だらし部のドロップ量が、0.010mm〜0.050mmとする。
この第2の発明に関しても、前記同様、基本構成から、アイドラギア等の外径側部材の内径面および回転軸等の内径側部材の外径面におけるフレッティング摩耗の発生が抑制する効果が得られる。
加えて、円弧状部材の円周方向の端部における外径面と端面とで成す角部、および隣合うポケット間の部分である各柱部における外径面とポケットを向く面とで成す角部を、凸曲面の面だらし部としたため、外径面案内とされる保持器の油膜切れをなくせる。そのため、円滑な回転を維持できる。特に、面だらし部の断面形状を、端面またはポケットを向く面である柱部側面から離れるに従って次第に曲率半径が大きくなる形状とし、面だらし部の外径面を上記曲率半径の変化に従って滑らかな形状としたため、高速回転の場合の潤滑性が良く、潤滑油の温度上昇が低く抑えられる。また、面だらし部の断面形状が、上記のように前記柱部側面から離れるに従って次第に曲率半径が大きくなる形状であると、タンブラ加工が採用できる。タンブラ加工は、多数の円弧状部材を撹拌容器内で同時に加工する方法であるため、生産性が良く、タンブラ加工の採用により、面だらし部の形成が生産性良く行える。
第1の発明および第2の発明を併用してもよい。両発明を併用すれば、両発明の作用・効果が併せて得られる。
前記転動体は、例えばころであってよい。その場合、転がり軸受は、前記転動体と前記保持器とでなる保持器付きころとしてもよい。
この発明において、前記円弧状部材が、軸方向に並ぶ互いに平行な一対の円弧部が、円周方向に並ぶ複数の柱部で連結され、隣合う一対の柱部間に形成された各ポケットに前記転動体をそれぞれ収納するものである場合、前記連結手段を、前記円弧部の外径面に形成された円周方向に延びる溝部と、各円弧状部材の前記溝部に嵌め込んだ止め輪とで構成してもよい。
この構成によれば、保持器は、各円弧状部材に設けた溝部と別部材の止め輪とでなる連結手段により、複数の各円弧状部材を互いに円周方向に非分離の状態でリング状に連結して組立てられる。この組立状態では、保持器は、複数の円弧状部材がリング状に連結された1個の部品として取り扱える。そのため、各ポケットにころを収納して転がり軸受の完成品に組立てるときや、完成した転がり軸受を機械等に組む込む際に、保持器の各円弧状部材を脱落しないように押さえながら作業をする必要がなく、作業性が著しく向上する。また、完成した転がり軸受に、外輪やギア等の外径側部材をすぐに組み付ける必要がなく、作業手順の自由度が増す。
この発明において、前記連結手段は、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部にそれぞれ設けられて、互いに係合させた状態で円周方向の重なり部分を持つ連結部と被連結部とを有し、これら連結部と被連結部を互いに係合させることで、前記端部同士を円周方向に相対変位可能に連結するようにしてもよい。この場合、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部が径方向に分離することを規制する径方向分離規制手段を別に設けるのが望ましい。
この連結手段の構成によれば、隣合う一対の円弧状部材の連結部と被連結部を互いに係合させることで、両円弧状部材の円周方向の端部同士が、円周方向に相対変位可能に連結される。特別な部品を追加することなく、上記のように各円弧状部材を連結することができるため、部品点数が多くならず、保持器の構造が簡単で、製造コストの低減を図ることができる。径方向分離規制手段を設けた場合は、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部が径方向に分離することを確実に防げる。
この発明において、前記円弧状部材は、円周方向の端部に柱部半体を有し、この柱部半体は、隣合う一対の円弧状部材を連結した状態において両円弧状部材の柱部半体により、保持器におけるポケット間の部分である柱部を構成するものであり、前記連結手段は、前記柱部半体の前記ポケットを向く面に径方向の全域にわたって設けられた連結用溝と、前記円弧状部材とは別部材である連結部材とでなり、この連結部材は、基部と、この基部の両端から共に同じ方向に屈曲した一対の屈曲部と、これら屈曲部の先端から内側に折れ曲がり前記基部と平行な折曲げ部とを有し、隣合う一対の円弧状部材の連結状態において、前記連結部材の一対の屈曲部が前記一対の柱部半体の前記連結用溝に嵌り込んで、両円弧状部材を円周方向に相対変位可能に連結し、かつ前記連結部材の基部と屈曲部とで前記一対の柱部半体を径方向の内外から挟み込んで、両円弧状部材を径方向に分離不可能に連結するようにしてもよい。
この構成によると、リング状に配置した各円弧状部材の互いに対向する柱部半体同士を連結手段により連結し、各円弧状部材の各ポケットに転動体を収納して、転がり軸受を組み立てる。この組立状態では、各円弧状部材が互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能である。そのため、保持器を、複数の円弧状部材をリング状に連結してなる1個の部品として取り扱えることができ、転がり軸受の組立作業、および機械への転がり軸受の組込み作業が容易である。
円弧状部材とは別部材である連結部材を用いることにより、円弧状部材には単純な形状である連結用溝を加工するだけで済む。また、連結部材も、板材を折り曲げ加工等で加工することができる簡素な形状である。そのため、軸受構造を簡単化して製作コストの低減を図ることができる。さらに、単純な形状の連結用溝に簡素な形状の連結部材を嵌め込んで隣合う一対の円弧状部材を連結するため、その組立てが容易である。
この発明において、前記保持器は、前記連結手段として、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部に、互いに摺動自在に径方向に重ね合わされる外径側重ね部および内径側重ね部をそれぞれ別々に設け、これら外径側重ね部および内径側重ね部に互いに径方向に重ね合わせることで前記ポケットとなるポケット用開口をそれぞれ設けたものであり、前記外径側重ね部と内径側重ね部とを互いに径方向に重ね合わせ、これら両重ね部の前記ポケット用開口で構成されたポケットに前記転動体を収納することで、両円弧状部材を互いに円周方向に対して非分離かつ相対変位可能に連結してもよい。
この構成によると、リング状に配置した各円弧状部材の互いに対向する外側重ね部と内側重ね部とを径方向に重ね合わせ、各円弧状部材の各ポケットに転動体を収納して、組み立てる。この組立状態では、外側重ね部と内側重ね部の各ポケット用開口で構成されるポケットに収納された転動体により、隣合う一対の円弧状部材が互いに円周方向に対して非分離に連結される。そのため、保持器は複数の円弧状部材をリング状に連結してなる1個の部品として取り扱うことができ、転がり軸受の組立作業、および機械への転がり軸受の組込み作業が容易である。また、特別に各円弧状部材を連結する作業が不要であり、保持器の組立作業の工数が少なくて済む。さらに、転動体を連結手段の一部に利用することにより、隣合う一対の円弧状部材は、別部材を用いることなく連結することができる。そのため、軸受構造を簡単化して製作コストの低減を図ることができる。
この発明において、特に保持器が樹脂製であり、前記円弧状部材は、軸方向に並ぶ互いに平行な一対の円弧部と、これら一対の円弧部間にわたり円周方向の複数個所に設けられた柱部とを有し、隣合う一対の柱部間が前記ポケットとされたものである場合、前記柱部を、互いに径方向に離れた外径側部分と内径側部分とに分割するのが好ましい。
柱部が外径側部分と内径側部分とに分割されていれば、潤滑油が外径側部分と内径側部分の間を通って円周方向に行き来できるため、潤滑性が良い。
この転がり軸受は、上記したように、安価で、組立て易く、運転状況等に依存せずに保持器を確実に分割状態にしてフレッティング防止を図ることができるため、自動車用トランスミッションのアイドラギアを支持する軸受に好適である。
この発明の保持器は、複数の転動体収納用のポケットを備えた複数の円弧状部材をリング状に連結してなり、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段を設け、前記円弧状部材の円周方向の端面および外径面のいずれか一方または両方に無数の微小凹みを形成したことを特徴とする。
この構成によると、各ポケットにころ等の転動体を収納して軸受(保持器付きころ)とする。この軸受を外径側部材と内径側部材間に組み込んで使用する際、軸受が外径側部材および内径側部材と一体になって同期回転する場合でも、保持器の隣合う一対の円弧状部材は連結手段により互いに円周方向の相対変位可能に連結されているため、同期回転時の運転状況等に拘わらず、各円弧状部材が確実に分割状態に維持される。それにより、外径側部材および内径側部材に対する転動体の接触位置が常時変化して、外径側部材の内径面および内径側部材の外径面におけるフレッティング摩耗の発生が抑制される。
加えて、円弧状部材の円周方向の端面に無数の微小凹みを形成した場合は、この微小凹みが油溜まりとなって端面に油膜を形成する。この油膜が、各円弧状部材の円周方向の端面同士が衝突する際の衝撃を緩和し、端面の異常摩耗を抑える作用をする。また、円弧状部材の外径面に無数の微小凹みを形成した場合は、この微小凹みが油溜まりとなって外径面に油膜を形成する。この油膜が、円弧状部材と外径側の部材間の緩衝材として作用し、外径面の異常摩耗を抑える作用をする。これらにより、円弧状部材の破損や異常振動を防止することができる。
この発明のトランスミッションには、上記転がり軸受が用いられる。
上記転がり軸受は、安価で、組立て易く、運転状況等に依存せずに保持器を確実に分割状態にしてフレッティング防止を図ることができ、円弧状部材の破損や異常振動を防止して、円滑な回転を維持できるため、好ましいトランスミッションとすることができる。
この発明の転がり軸受は、複数の転動体収納用のポケットを備えた複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器を用いたものであり、前記保持器の隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段を設けたため、安価で、組立て易く、運転状況等に依存せずに保持器を確実に分割状態にしてフレッティング防止を図ることができる。
上記基本構成に加えて、前記円弧状部材の円周方向の端面および外径面のいずれか一方または両方に無数の微小凹みをランダムに形成した場合は、各円弧状部材の円周方向の端面や外径面の異常摩耗を抑えることができる。
また、上記基本構成に加えて、前記円弧状部材の円周方向の端部における外径面と端面とで成す角部、および隣合うポケット間の部分である各柱部における外径面とポケットを向く面とで成す角部を、凸曲面の面だらし部とし、この面だらし部となる前記円周方向の端部および前記各柱部の外径面部分の断面形状を、前記端面または前記ポケットを向く面である柱部側面から離れるに従って次第に曲率半径が大きくなる形状とし、前記面だらし部の外径面を上記曲率半径の変化に従って滑らかな形状とした場合は、円滑な回転を維持でき、高速回転の場合の潤滑性が良く、潤滑油の温度上昇が低く抑えられる。
この発明の保持器は、複数の転動体収納用のポケットを備えた複数の円弧状部材をリング状に連結してなり、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段を設け、前記円弧状部材の円周方向の端面および外径面のいずれか一方または両方に無数の微小凹みを形成したため、安価で、組立て易く、転がり軸受に組み込んだ場合に、運転状況等に依存せずに確実に分割状態にしてフレッティング防止を図ることができ、かつ各円弧状部材の円周方向の端面や外径面の異常摩耗を抑えることができる。
(A)はこの発明の第1の実施形態にかかる転がり軸受の上半分を断面で表した正面図、(B)はそのIB−IB断面図である。 同転がり軸受の保持器の斜視図である。 同保持器の分解斜視図である。 同保持器の各円弧状部材の斜視図である。 (A)は図4のVA矢視図、(B)はVB矢視図である。 (A)は同円弧状部材の要部拡大側面図、(B)はそのVIB−VIB断面図である。 同円弧状部材の円周方向の端面における任意箇所を一定距離だけ走査して表面粗さを測定して得た粗さ曲線を示すグラフである。 (A)はこの発明の第2の実施形態にかかる転がり軸受の上半分を断面で表した正面図、(B)はそのVIIIB−VIIIB断面図である。 同転がり軸受の円弧状部材の円周方向端に位置する柱部の断面図である。 面だらし部のドロップ量と温度上昇の関係を示す特性図である。 面だらし部のドロップ量と金属接触率の関係を示す特性図である。 面だらし部の位置と面だらし部のドロップ量の関係を示す特性図である。 異なる保持器の斜視図である。 同保持器の隣合う円弧状部材の端部同士を分離させた状態を示す正面図である。 同保持器の隣合う円弧状部材の端部同士を連結させた状態を示す正面図である。 図15部分拡大図である。 図14のXVII−XVII断面図である。 さらに異なる保持器の隣合う円弧状部材の円周方向の端部を示す正面図である。 図18のXIX−XIX断面図である。 さらに異なる保持器の隣合う円弧状部材の円周方向の端部を示す正面図である。 図20のXXI−XXI断面図である。 さらに異なる保持器の斜視図である。 同保持器の円弧状部材の斜視図である。 同保持器の連結部材の斜視図である。 さらに異なる保持器の斜視図である。 同保持器の円弧状部材の斜視図である。 同保持器の連結部材の斜視図である。 さらに異なる保持器の斜視図である。 同保持器のポケットにころを収納した状態における隣合う円弧状部材の円周方向の端部を示す断面図である。 さらに異なる保持器の斜視図である。 同保持器のポケットにころを収納した状態における隣合う円弧状部材の円周方向の端部を示す断面図である。 (A)はこの発明の実施形態にかかる保持器付きころの断面図、(B)はそのXXXIIB−XXXIIB断面図である。 (A)は同保持器付きころの保持器の断面図、(B)はそのXXXIIIB矢視図、(C)はそのXXXIIIC−XXXIIIC断面図である。 (A)は異なる保持器の断面図、(B)はそのXXXIVB矢視図、(C)はそのXXXIVC−XXXIVC断面図である。 (A)はさらに異なる保持器の断面図、(B)はそのXXXVB矢視図、(C)はそのXXXVC−XXXVC断面図である。 上記いずれかの転がり軸受を用いた自動車用トランスミッションの一部を示す断面図である。 第1の実施形態の変形例の上半分を断面で表した正面図である。
この発明の第1の実施形態を図1〜図6と共に説明する。図1に示すように、この転がり軸受1は保持器付きころであって、転動体としての複数のころ2と、各ころ2を保持する保持器3とでなる。各ころ2は、保持器3に円周方向に並んで形成された複数の転動体収納用ポケット4にそれぞれ収納される。ころ2は、例えば軸受鋼等の鋼材で成形されている。また、保持器3は、この例では鋼材からなるが、樹脂製であってもよい。
保持器3は、図2の組立状態の斜視図および図3の分解状態の斜視図に示すように、複数のポケット4を備えた複数(この例では2個)の円弧状部材5をリング状に配置し、各円弧状部材5に設けた溝部6と、円弧状部材5とは別部材である止め輪7とでなる連結手段8により、各円弧状部材5を非分離に連結したものである。各円弧状部材5(図4、図5)は同一形状であって、金属製の板材を曲げ加工することで成形してある。各円弧状部材5は、軸方向両端の円弧部5aと、これら両端の円弧部5a間にわたり円周方向の複数個所に設けられた複数の柱部5bとでなり、隣り合う一対の柱部5b間に前記ポケット4が形成されている。ポケット4のピッチは、一定であっても、また不等ピッチであってもよい。
この実施形態では、図1(A)の部分拡大図に示すように、各柱部5bのポケット4を向く面の外径縁および内径縁に、円周方向の内側に突出する抜け止め9がそれぞれ設けられ、ポケット4内のころ2が外径側および内径側へ脱落するのを阻止するようになっている。円周方向に対向する一対の抜け止め9間の距離はころ2の直径よりも僅かに狭い程度であり、ころ2は抜け止め9の弾性変形を利用してポケット4内に嵌め込まれる。ポケット4を向く面の外径縁および内径縁のうち、いずれか一方にだけ抜け止め9を設けてもよく、どちらにも抜け止め9を設けなくてもよい。
図6に示すように、柱部5bは、保持器外径面側において、長さ方向(保持器の幅方向)の中間部に凹み部5baを有し、この凹み部5baにより、両側部分よりも中間部分が細くなっている。但し、これは断面形状の一例であり、V形やM形等断面の形状は問わない。なお、図1(A)の部分拡大図に示す前記柱部5bのポケット4を向く面の形状は、柱部5bの長さ方向両側部分についてのものである。
円弧状部材5の両円弧部5aの外径面に、円周方向に延びる前記溝部6がそれぞれ形成されており、これら溝部6に前記止め輪7がそれぞれ嵌め込まれることで、各円弧状部材5が非分離に連結される。止め輪7は、円弧部5aの外径面よりはみ出ないように溝部6に嵌め込まれる。この図例では、溝部6の底部の断面形状が円弧状であるが、角形であってもよい。
図3に示すように、止め輪7は、線材をC字状に曲げ形成してなる。前記線材には、例えば鋼線等の弾性を有する断面円形のものが用いられる。止め輪7は、円弧状部材5への未装着の自然状態で、割り口7aが開いた状態となるものであっても、また割り口7aがすきまのない閉じ状態となるものであってもよい。
また、図2および図3に示すように、止め輪7は、その割り口7aが、各円弧状部材5間の割り部から円周方向にずれた位置となるように、前記溝部6に嵌め込まれる。これにより、転がり軸受1の一体化力が強まり、各円弧状部材5が互いに幅方向にずれるのを防止できる。また、一対の止め輪7は、互いの割り口7aが円周方向にずれた位置となるように、両溝部6に嵌め込まれる。
図1(A)および図2では、止め輪7で連結された2個の円弧状部材5間の割り部に円周方向すきまSが生じているが、これは保持器付きころである転がり軸受1を軸等の内径側部材(図示せず)に組み込んだ時の状態を示したものである。実際には、内径側部材に組み込む前の状態では、止め輪7の弾性収縮力により、2個の円弧状部材5は内径側に押されて、その内径が内径側部材の外径よりも内側となる径方向位置で互いに連結され、各円弧状部材5の互いに対向する端部同士が接触している(図示せず)。つまり、2個の円弧状部材5間の割り部には円周方向すきまSが生じない状態にある。
また、転がり軸受1を内径側部材に組み込んだ際、2個の円弧状部材5間の割り部に円周方向すきまSが無くてもよい。運転時には、遠心力により各円弧状部材5が互いに離れる方向に移動して、円周方向すきまSが生じる。
図2〜図5に示すように、円弧状部材5の円周方向の端面および外径面には、潤滑油の保持性を高めるために、無数の微小凹み10がランダムに形成されている。微小凹み10が形成されている円弧状部材5の外径面は、円弧部5aの外径面と柱部5bにおける前記凹み部5baを除く両側部分の外径面とである。
上記端面および外径面における微小凹み10が占める面積の比率は5%〜20%であり、1個の微小凹み10の平均面積は30μm〜100μmであり、微小凹み10の深さは、粗さのパラメータにおける最大高さRy(JIS B 0601)で0.4μm〜1.0μmとする。これら面積の比率、平均面積、および深さの数値は試験により求められたものであり、上記数値をすることで、油膜形成率が最も高く、十分な油膜厚さを確保できることが分かった。図7は、円弧状部材5の円周方向の端面における任意箇所を一定距離だけ走査して表面粗さを測定して得た粗さ曲線を示す。円弧状部材5の外径面を走査して得られる粗さ曲線も、同様である。
上記微小凹み10の加工方法としては、特殊なバレル研磨によって所望の仕上げ面を得ることができるが、ショットピーニングやショットブラスト等を用いてもよい。なお、このような加工をHL(High Lubrication)加工といい、HL加工によって得られた表面をHL表面という。
この転がり軸受1の構成によれば、保持器3は、各円弧状部材5に設けた溝部6と別部材の止め輪7とでなる連結手段8により、複数の各円弧状部材5を互いに円周方向に非分離の状態でリング状に連結して組立てられる。この組立状態では、保持器3は、複数の円弧状部材5がリング状に連結された1個の部品として取り扱える。そのため、各ポケット4にころ2を収納して転がり軸受1の完成品に組立てるときや、完成した転がり軸受1を機械等に組む込む際に、保持器3の各円弧状部材5を脱落しないように押さえながら作業をする必要がなく、作業性が著しく向上する。また、完成した転がり軸受1に、外輪やギア等の外径側部材をすぐに組み付ける必要がなく、作業手順の自由度が増す。特に、この実施形態では、円弧状部材5の溝部6に嵌め込んだ止め輪7が円弧部5aの外径面よりはみ出さないので、転がり軸受1の組立時や組込み時に、止め輪7が他の部材と干渉せず、これらの作業を容易に行うことができる。
保持器付きころである転がり軸受1は、例えば図36のように、自動車用トランスミッションのアイドラギアを支持する軸受として使用される。同図において、このトランスミッション50は、アイドラギア51の内径面と回転軸52の外径面との間に、転がり軸受1が組み込まれている。保持器3の各円弧状部材5が円周方向に非分離に連結されているため、保持器3は複数の円弧状部材5をリング状に連結してなる1個の部品として取り扱うことができ、転がり軸受1の組込み作業が容易である。
シンクロ機構が噛み合うと、アイドラギア51、回転軸52、および転がり軸受1が一体となって同期回転する。隣合う一対の円弧状部材5が互いに連結された状態であっても、各円弧状部材5は円周方向に相対変位可能である。そのため、同期回転時の運転状況等に拘わらず、各円弧状部材5が確実に分割状態に維持される。それにより、アイドラギア51および回転軸52に対するころ2の接触位置が常時変化して、アイドラギア51の内径面および回転軸52の外径面におけるフレッティング摩耗の発生が抑制される。
加えて、円弧状部材5の円周方向の端面に無数の微小凹み10を形成したことにより、この微小凹み10が油溜まりとなって前記端面に油膜を形成する。この油膜が、各円弧状部材5の円周方向の端面同士が衝突する際の衝撃を緩和し、端面の異常摩耗を抑える作用をする。また、円弧状部材5の外径面に無数の微小凹み10を形成したことにより、この微小凹み10が油溜まりとなって前記外径面に油膜を形成する。この油膜が、円弧状部材5とアイドラギア51等の外径側部材間の緩衝材として作用し、外径側部材の外径面の異常摩耗を抑える作用をする。これらにより、円弧状部材5の破損や異常振動を防止することができる。さらに、トランスミッション50の機能に不具合が生じるのを防げる。
図8および図9は、この発明の第2の実施形態を示す。この転がり軸受1も、転動体としての複数のころ2と、各ころ2を保持する保持器3とでなり、保持器3は、複数のポケット4を備えた複数(この例では2個)の円弧状部材5をリング状に配置し、溝部6と止め輪7とでなる連結手段8により各円弧状部材5を非分離に連結したものである点では、前記第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ構成である箇所には同一符号を付して、その説明を省略する。
この第2の実施形態が前記第1の実施形態と異なる点は、保持器3を構成する各円弧状部材5の円周方向の端部における外径面と端面とで成す角部、および柱部5bにおける外径面とポケット4を向く面とで成す角部の断面形状にある。すなわち、これら角部が凸曲面の面だらし部11,12とされている。これら面だらし部11,12となる円周方向の端部および柱部5bの外径面部分の断面形状は、図9に拡大して示すように、前記端面K1または前記ポケット4を向く面K2である柱部側面から離れるに従って次第に曲率半径が大きくなる形状とする。換言すれば、面だらし部11,12は、柱部5bの中央寄りから柱部側面(K1,K2)に向かって、その外径面Gがなだらかに沈み込む形状とされている。なお、前記端面K1である柱部側面は、円周方向端に位置する柱部5bの端部側の側面部分だけに限らず、円弧状部材5の円周方向の端部における端面全体を指す。
さらに詳しく説明する。端面K1側の面だらし部11もポケット4を向く面K2側の面だらし部12も同じ形状であるので、ここでは端面K1側の面だらし部11を例にとって説明する。例えば、転がり軸受(保持器付きころ)1の外観寸法は、内径φ26mm、外径φ31mm、幅13.8mmであり、ころ2は、径φ2.5mm、長さ10.8mm、20本で、保持器3は、外径φ30.9mm、柱部5bの幅2.30mmであるとする。その場合、各面だらし部11,12は、以下のような形状になっている。
図9において、保持器3の外径面Hと、前記端面(柱部側面)K1に沿って延ばした直線との交点をAとする。交点Aから円弧状部材5の外径面に沿って前記端面K1から離れる側へ0.15mm、0.25mm離れた位置に、柱部5bの幅方向の中心線Oと平行に引いた直線を、それぞれB,Cとする。面だらし部11の外径面Gが沈み込む起点であって、中心線Oと端面K1間の略中央部分を示す点をDとする。
このとき、面だらし部11は、直線C上における保持器外径面Hと面だらし部11の外径面Gとの距離である面だらし部11のドロップ量(面だらし量)d1が、0.010mm〜0.050mmである。また、線B上における保持器外径面Hと面だらし部11の外径面Gとの距離である面だらし部11のドロップ量(面だらし量)d2が0.030mm〜0.100mmである。この線B上における面だらし量d2の0.030mm〜0.100mmは、線C上における面だらし量d1を0.010mm〜0.050mmとしたときに、面だらし部11の外径面Gが上記曲率半径の変化に従って滑らかな形状となる範囲である。
この実施形態の面だらし部11の形状を明確にするために、比較例を比較して説明する。比較例1となる低回転用の保持器は、面だらし部の断面形状を符号Eで示す曲線に沿う丸め形状としたものであり、線B上における面だらし量d2は形成されていない。比較例2となる高速回転用の保持器は、角を大きくすべく、面だらし部の断面形状を、符号Fで示す曲線に沿う丸め形状としたものであり、線Bにおける面だらし量d2は少し形成されているが、線C上における面だらし量d1は形成されていない。
この実施形態は、面だらし部11の外径面Gを、直線C上においても面だらし量d1が発生する形状としている。すなわち、面だらし部11は、端面K1から柱部5bの幅の1/5〜1/3程度の幅まで広がる幅に形成してある。
面だらし部11の形状を変化させた場合に、転がり軸受1が示す特性について、以下のような各種試験を行った。
まず、直線C上における面だらし部11のドロップ量(面だらし量)d1を0〜0.060mm(60μm)と順次変化させた場合に、それぞれ表1に示す試験条件の下で、転がり軸受1を運転した後で、潤滑油の温度上昇に伴う転がり軸受1の温度上昇の変化を測定した。
Figure 2011117545
上記試験条件にて、面だらし量に対する転がり軸受1の温度上昇を評価したところ、図10に示す結果が得られた。横軸は面だらし量(μm)、縦軸は温度(℃)である。図10において、面だらし量が0.010mm(10μm)〜0.050mm(50μm)のとき、転がり軸受1の温度上昇が適正であり、潤滑油温度の上昇抑制効果が確認された。また、面だらし量が0.030mm(30μm)のとき、最も温度上昇が小さい。
次に、直線C上における面だらし部11のドロップ量(面だらし量)d2を0〜0.060mm(60μm)と順次変化させた場合に、それぞれ表2に示す試験条件の下で転がり軸受1を運転した後で、保持器外径面Hと転がり軸受1を支持するハウジングとの金属接触率を測定した。
Figure 2011117545
上記試験条件にて、面だらし量に対する転がり軸受1の保持器外径面Hとハウジングとの金属接触率の関係を評価したところ、図11に示す結果が得られた。横軸は面だらし量(μm)、縦軸は金属接触率(%)である。図11において、面だらし量が0.010mm(10μm)〜0.050mm(50μm)のとき、金属接触率が適正であり、0.030mm(30μm)のとき、最も金属接触率が小さいことが確認された。
こうして、図10および図11から、面だらし部11の直線C上における面だらし量d1を一定量に設定したとき、適正な潤滑性が得られることが確認された。
図12は、直線C上における面だらし部11のドロップ量(面だらし量)d1を0〜0.060mm(60μm)と順次変化させた場合に、面だらし部11の交点Aからの測定位置とその各位置での面だらし量との関係を示す。横軸は測定位置(mm)、縦軸は面だらし量(μm)である。この図12の結果に基づいて、直線B、直線Cの位置を適正に決定することができる。
保持器3の面だらし部11,12の形成は、次のように行う。すなわち、保持器3の面だらし部11,12が未加工で、他の形状が仕上がった状態の保持器中間製品を、削り出しやプレス加工で製造する。この保持器中間製品を熱処理した後、タンブラ加工して面だらし部11,12を形成する。タンブラ加工は、保持器中間製品と粒状の研磨剤とを撹拌容器内で撹拌させることにより保持器中間製品を削る加工方法である。
この第2の実施形態の転がり軸受1に関しても、前記同様、例えば自動車用トランスミッションのアイドラギアを支持する軸受として使用する場合に、アイドラギア等の外径側部材の内径面および回転軸等の内径側部材の外径面におけるフレッティング摩耗の発生が抑制する効果が得られる。
加えて、円弧状部材5の円周方向の端部における外径面と端面とで成す角部、および隣合うポケット4間の部分である各柱部5bにおける外径面とポケット4を向く面とで成す角部を、凸曲面の面だらし部11,12としたため、この面だらし部11,12で油が溜められ、外径面案内とされる保持器3の油膜切れをなくせる。そのため、円滑な回転を維持できる。特に、面だらし部11,12の断面形状を、端面K1またはポケット4を向く面K2である柱部側面から離れるに従って次第に曲率半径が大きくなる形状とし、面だらし部11,12の外径面を上記曲率半径の変化に従って滑らかな形状としたため、高速回転の場合の潤滑性が良く、潤滑油の温度上昇が低く抑えられる。また、面だらし部11,12の断面形状が、上記のように前記柱部側面(K1,K2)から離れるに従って次第に曲率半径が大きくなる形状であると、タンブラ加工が採用できる。タンブラ加工は生産性が良いため、タンブラ加工の採用により、面だらし部11,12の形成が生産性良く行える。
保持器3の各円弧状部材5を非分離に連結する連結手段8としては、上記のような円弧状部材5に設けた溝部6と別部材の止め輪7とでなる構成に限らず、他の構成を採用してもよい。以下、他の連結手段8を採用した保持器3について説明する。
[連結手段が異なる保持器その1]
図13〜図17に示す保持器も、複数(この例では2個)の円弧状部材5をリング状に連結したものである。各円弧状部材5を連結する連結手段8は、図14〜図16に示すように、隣合う一対の円弧状部材5の互いに対向する円周方向の端部同士を円周方向に相対変位可能に連結する連結部15および被連結部16と、前記一対の端部同士が径方向に分離することを規制する径方向分離規制手段17とを有する。
連結部15は、隣合う円弧状部材5における一方の端部の幅方向中央部分に凸部18を設けたものである。この凸部18は、図16に示すように、主に傾斜部18a,18aと、基端側幅面部18b,18bと、先端側幅面部18c,18cと、先端部18dとを含む。これらのうち傾斜部18a,18a、基端側幅面部18b,18b、および先端側幅面部18c,18cは、それぞれ幅方向に対称(図16において左右対称)な形状に形成される。基端側幅面部18b,18bは、凸部18の基端側に設けられ、幅方向に垂直な平面に平行な平坦面に形成される。凸部18のうち基端側幅面部18b,18b間の幅寸法H1が最も狭く規定される。
基端側幅面部18bの先端に、順次、傾斜部18a、先端側幅面部18cが繋がる。これらのうち傾斜部18a,18aは円周方向に突出する先端側程幅方向に幅広に形成される。換言すれば、傾斜部18a,18aの基端側程幅狭に形成される。先端側幅面部18c,18cは、幅方向に垂直な平面に平行な平坦面に形成される。この先端側幅面部18c,18c間の幅寸法H2は、傾斜部18a,18aの先端の最大幅寸法と同一寸法に規定される。凸部18のうち先端部18dは、先端側幅面部18c,18cの先端に繋がり、幅方向に沿って形成される。
被連結部16は、前記隣合う円弧状部材5における他方の端部の幅方向中央部分に凹部19を設けたものである。この凹部19に円周方向すきまδ1を介して前記凸部18を連結している。凹部19は、主に傾斜部19a,19aと、幅面部19b,19bと、底部19cとを含む。これらのうち傾斜部19a,19aおよび幅面部19b,19bは、それぞれ幅方向に対称な形状に形成される。底部19cは、連結状態において前記凸部18の先端部18dに円周方向すきまδ1を介して対向し、かつ凸部18の先端側幅面部18c,18c間の幅寸法H1よりも所定長さ幅広に形成される。幅面部19b,19bは、底部19cの一端、他端にそれぞれ繋がり、かつ凸部18の先端側幅面部18cの突出長さL1よりも長く形成される。幅面部19b,19bの先端に前記傾斜部19a,19aが繋がる。この傾斜部19a,19aは、先端側程幅狭に形成される。凹部19のうち傾斜部19aの先端が凸部18の基端側幅面部18bに対向する。また、傾斜部19a,19aの先端間の幅寸法は、凸部18の基端側幅面部18c,18c間の幅寸法H1よりも所定長さ幅広に形成される。
各1個の円弧状部材5における一端部に凸部18を設け、同円弧状部材5における他端部に凹部19を設けることで、リング状に連結されるべき各円弧状部材5を同一形状にし得る。
図14、図15、図17に示すように、径方向分離規制手段17は、張り出し部20と、この張り出し部20に連結される切り欠き21とを有する。張り出し部20は、隣合う円弧状部材5における一方の円周方向端部の幅方向端部に、円周方向に向け長方形状に張り出すように設けられる。切り欠き21は、前記隣合う円弧状部材5における他方の円周方向端部の幅方向端部に、前記張り出し部20に対向して設けることにより幅方向の分離を規制する。図14、図17に示すように、張り出し部20は、切り欠き21に加締め22により連結されて、隣合う円弧状部材5の端部が径方向に分離することを規制する。
例えば、被連結部16に連結部15を連結させた状態で、この円弧状部材5の外径面のうち、張り出し部20と切り欠き21の幅方向の境界付近部を塑性変形させる。これにより、切り欠き21に張り出し部20が加締められ、隣合う円弧状部材5の端部が径方向に分離不能となる。加締め22により切り欠き21に張り出し部20が連結された状態において、被連結部16に対する連結部15の相対変位を許容する。よって、径方向分離規制手段17により、フレッティング摩耗防止が阻害されることがない。なお、円弧状部材5の外径面を加締めるのに代えて、円弧状部材5の内径面を加締めてもよい。
この構成によると、この保持器3を備えた転がり軸受(保持器付きころ)1が前記トランスミッション50に組み込まれて、アイドラギア51および回転軸52と一体に同期回転する時、連結手段8は次のように作用する。すなわち、隣合う円弧状部材5の円周方向端部の連結部15と被連結部16とが連結した状態で、運転状況等に拘わらず被連結部16に対して連結部15を円周方向に相対変位させる。換言すれば、隣合う円弧状部材5の連結状態を維持しつつこれら円弧状部材5を円周方向に確実に可動させる。この状態において、径方向分離規制手段17は、これら隣合う円弧状部材5の端部が径方向に分離することを規制する。
このように、被連結部16に対して連結部15を円周方向に相対変位させることで、フレッティング摩耗が防止される。この保持器3は、組立時において複数の円弧状部材5をリング状に連結してなる1個の部品として取り扱えるため組み立て易い。また、特別な部品を追加することなくフレッティング摩耗を防止することが可能となるため、部品点数が多くならず保持器構造を簡単化し製造コストの低減を図ることができる。
連結手段8のうち、凸部18は突出する先端側程幅広に形成され、凹部19は基端側程幅広に形成されている。そのため、被連結部16に対し連結部15が離隔しようとすると、凸部18の先端側の傾斜部18a,18aが凹部19の先端側の傾斜部19a,19aに当接することで、連結部15と被連結部16との連結状態を維持する。この構成よると、連結部15と被連結部16との構造を簡単化し、製造コストの低減を図ることができる。
径方向分離規制手段17は、張り出し部20と切り欠き21とを有し、前記切り欠き21に張り出し部20が加締め22により連結されて、隣合う円弧状部材5の端部が径方向に分離することを規制する。このため、特別な部品を追加することなく、加締め22により隣合う円弧状部材5の端部が径方向に分離しないようにできる。加締め22により切り欠き21に張り出し部20が連結された状態においても、被連結部16に対する連結部15の円周方向の相対変位を許容する。よって、径方向分離規制手段17により、フレッティング摩耗防止が阻害されることがない。
円弧状部材5の外径面または内径面のいずれか一方のみ前記加締め22を行うため、加締め加工の工数削減を行うことができ、製造コストの低減を図ることができる。
被連結部16と連結部15間の円周方向すきまδ1が最も詰まったとき、連結部15と被連結部16とが接触する場合と、連結部15の脇の部分23(図14)で接触する場合と、張り出し部20が接触する場合とがあるが、最も幅方向に長い面で接触させるのが良い(図14の場合では符号「23」部分)。最も長い部分で接触させることで、保持器3に負荷されるモーメント荷重が小さく、保持器3の破損を防ぎ、保持器3の挙動が安定する。
連結部15、被連結部16、径方向分離規制手段17の異なる例を以下に示す。
図18および図19に示す保持器3においては、連結部15は、隣合う円弧状部材5における一方の端部に、径方向に見て略T字形状に突出する突出部25を設けたものとしている。被連結部16は、前記隣合う円弧状部材5における他方の端部に、径方向に見て前記略T字形状の突出部25を囲む凹形状部26を設けたものとしている。この凹形状部26の円周方向すきまδ1(円周方向のがた)を介して突出部25を連結している。また、径方向分離規制手段17として、被連結部16に連結部15を連結させた状態で、円弧状部材5の外径面のうち、突出部25と凹形状部26との円周方向の境界付近部を加締め22により塑性変形させることで、隣合う円弧状部材5の円周方向の端部が径方向に分離することを規制する。
図20および図21に示す保持器3においては、連結部15である突出部25を略L字形状に突出するものとし、被連結部16である凹形状部26を前記略L字形状の突出部25を囲むものとしている。また、径方向分離規制手段17として、円弧状部材5の外径面のうち、突出部25と凹形状部26との幅方向の境界付近部を加締め22により塑性変形させることで、隣合う円弧状部材5が径方向に分離することを規制する。
いずれの構成によっても、被連結部16に対して連結部15を円周方向に相対変位させることで、フレッティング摩耗が防止される。この保持器3は組立時においてリング状の1個の部品として取り扱えるため組み立て易い。また、特別な部品を追加することなくフレッティング摩耗を防止し得るため、部品点数が多くならず保持器構造を簡単化し製造コストの低減を図ることができる。
[連結手段が異なる保持器その2]
図22に示す保持器3も、複数(この例では2個)の円弧状部材5(図23)をリング状に連結したものである。各円弧状部材5は、軸方向両端の円弧部5aと、これら両端の円弧部5a間にわたり円周方向の複数個所に設けられた複数の柱部5bとでなり、隣合う一対の柱部5b間にポケット4が形成されている。円弧状部材5の円周方向の端部は柱部半体5bAになっており、隣合う一対の円弧状部材5の柱部半体5bAが組み合わされて柱部5bを構成する。
この保持器3は、円弧状部材5とは別部材からなる連結部材28(図24)により各円弧状部材5を連結する構成であり、連結手段8は、前記連結部材28と、円弧状部材5の前記柱部半体5bAに設けられて連結部材28が嵌り込む連結用溝29とでなる。
図23に示すように、連結用溝29は、柱部半体5bAのポケット4を向く面の軸方向中央部に、径方向の全域にわたって設けられている。柱部半体5bAの外径面および内径面における連結用溝29を含む軸方向箇所は、円周方向の全域にわたる外径面凹部30および内径面凹部31がそれぞれ設けられて、この部分の径方向の肉厚が薄くなっている。この例では、外径面凹部30および内径面凹部31の軸方向範囲は、連結用溝29よりは広く、ポケット4よりは狭い範囲とされている。
図24に示すように、連結部材28は、板状の基部28aと、この基部28aの長手方向の両端から共に同じ方向に屈曲した一対の屈曲部28bと、これら屈曲部28bの先端から内側に折れ曲がり前記基部28aと平行な折曲げ部28cとでなるリップ溝形とされている。連結部材28の軸方向幅は、前記連結用溝29の幅よりも若干狭くしてある。また、一対の屈曲部28b間の距離は、連結用溝29が設けられた軸方向箇所における一対の柱部半体5bAの円周方向幅の和よりも広い。
隣合う一対の円弧状部材5の連結状態において、連結部材28の一対の屈曲部28bが両円弧状部材5の柱部半体5bAの連結用溝29にそれぞれ嵌り込んで、両円弧状部材5を連結する。上記のように一対の屈曲部28b間の距離が設定されているため、屈曲部28bと柱部半体5bA間、および一対の柱部半体5bA間に円周方向のすきまがあり、両円弧状部材5は互いに円周方向に相対変位可能である。また、連結部材28の基部28aと折曲げ部28cとが一対の柱部半体5bAを径方向の内外から挟み込んで、両円弧状部材5を径方向に分離不可能に連結する。連結部材28は、自身の弾性変形を利用して、上記のように連結用溝29に嵌め込まれる。
この保持器3の構成によれば、単純な形状の連結用溝29に簡素な形状の連結部材28を嵌め込んで隣合う一対の円弧状部材5を連結するため、その組立てが容易である。柱部半体5bAの外径面凹部7および内径面凹部30に連結部材28の基部28aおよび屈曲部28cがそれぞれ嵌り込むので、柱部半体5bAの外径面および内径面よりも連結部材28が外径側および内径側に突出しない。
このように、隣合う一対の円弧状部材5の互いに対向する円周方向の端部同士を、円弧状部材5とは別部材からなる連結部材28により、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する。連結部材28を用いることで、円弧状部材5については、連結用手段8として連結用溝29、外径面凹部30、および内径面凹部31の簡単な加工をするだけで済む。連結部材28も簡単な形状である。そのため、軸受構造を簡単化して製作コストの低減を図ることができる。
図25は、円弧状部材とは別部材からなる連結部材により各円弧状部材を連結する構成の保持器の別例である。この保持器3が前記例と異なる点は、隣合う一対の円弧状部材5の柱部半体5bA同士を連結部材28により連結するのではなく、隣合う一対の円弧状部材5(図26)の互いに対向する円周方向の端部における軸方向の端部同士を連結部材30(図27)により連結することである。この例では、隣合う一対の円弧状部材5の互いに対向する円弧部5aの端部同士を連結する。
この保持器3の連結手段8は、前記連結部材30と、円弧部5aの円周方向の端部におけるポケット4を向く面に径方向の全域にわたって設けられ記連結部材30が嵌り込む連結用溝31(図26)とでなる。円弧部5aの外径面および内径面における連結用溝31の円周方向位置から円周方向端にかけて、外径面凹部32および内径面凹部33がそれぞれ設けられて、この部分の肉厚が薄くなっている。これら連結用溝31、外径面凹部32、および内径面凹部33は、軸方向の両端に設けられている。この例では、柱部半体5bAも、円弧部5aの外径面凹部13および内径面凹部14の箇所と同じ肉厚とされている。
図27に示すように、連結部材30は、円弧部5aの円周方向の端部の外径面に沿う円弧状の基部30aと、この基部30aにおける両円周方向端からそれぞれ略直角方向に屈曲して突出した一対の屈曲部30bと、各屈曲部30bの先端から折れ曲がり前記基部30aと平行な一対の折曲げ部30cとでなる。一対の屈曲部30bの内端間の距離A1は、円弧状部材5の円周方向端から連結用溝31までの最短の円周方向距離B1(図26)の2倍よりも広く、かつ一対の屈曲部30bの外端間の距離A2は、円弧状部材5の円周方向端から連結用溝31までの最長の円周方向距離B2(図26)の2倍よりも狭くしてある。
隣合う一対の円弧状部材5の連結状態において、連結部材30の一対の屈曲部30bが一対の円弧状部材5の各連結用溝31にそれぞれ嵌り込んで、両円弧状部材5を連結する。上記のように一対の屈曲部30b間の距離が設定されているため、屈曲部30bの内面と連結用溝31の壁面間、および一対の円弧状部材5間に円周方向のすきまがあり、両円弧状部材5は互いに円周方向に相対変位可能である。また、連結部材30の基部30aと折曲げ部30cとで一対の円弧状部材5の各円弧部5aを径方向の内外から挟み込んで、両円弧状部材5を径方向に分離不可能に連結する。この連結部材30による一対の円弧状部材5の連結は、軸方向の両端で行う。
この保持器3の構成によれば、単純な形状の連結用溝31に簡素な形状の連結部材30を嵌め込んで隣合う一対の円弧状部材5を連結するため、その組立てが容易である。円弧部5aの外径面凹部32および内径面凹部33に連結部材30の基部30aおよび屈曲部30cがそれぞれ嵌り込むので、円弧部5aの外径面および内径面よりも連結部材30が外径側および内径側に突出しない。
このように、この保持器3も、隣合う一対の円弧状部材5の互いに対向する円周方向の端部同士を、円弧状部材5とは別部材からなる連結部材30により、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する。連結部材30を用いることで、円弧状部材5については、連結用手段として連結用溝31、外径面凹部32、および内径面凹部33の簡単な加工をするだけで済む。連結部材30は簡単な形状である。そのため、軸受構造を簡単化して製作コストの低減を図ることができる。
図25〜図27の図例では、円弧状部材5の円弧部5aのポケット4を向く面に連結用溝31が設けられているが、円弧部5aの軸方向外面に連結用溝(図示せず)を設け、この連結用溝を用いて連結部材(図示せず)により一対の円弧状部材5を連結してもよい。
[連結手段が異なる保持器その3]
図28に示す保持器3も、複数(この例では2個)の円弧状部材5をリング状に連結したものである。各円弧状部材5は、軸方向両端の円弧部5aと、これら両端の円弧部5a間にわたり円周方向の複数個所に設けられた複数の柱部5bとでなり、隣合う一対の柱部5b間にポケット4が形成されている。円弧状部材5の円周方向の一方の端部には、内径側部分を切り欠いて段差形状に形成した外径側重ね部35が設けられ、もう一方の端部には、外径側部分を切り欠いて段差形状に形成した内径側重ね部36が設けられている。これら外径側重ね部35および内径側重ね部36には、両重ね部35,36を径方向に重ね合わせた状態で前記ポケット4となるポケット用開口4A,4Bがそれぞれ設けられている。
外径側重ね部35のポケット用開口4Aの外径縁および内径側重ね部36のポケット用開口4Bの内径縁には、円周方向の内側に突出する抜け止め9がそれぞれ設けられている。これら抜け止め9により、ポケット4内のころ2が外径側および内径側へ脱落するのが阻止される。円周方向に対向する一対の抜け止め9間の距離aはころ2の直径Dよりも僅かに狭い程度であり、ころ2は抜け止め9の弾性変形を利用してポケット4内に嵌め込まれる。図例では、ポケット用開口4A,4Bで構成されるポケット4にだけ抜け止め9が設けられているが、他のポケット4にも同様の抜け止め9を設けてよい。
この保持器3は、図29のように、隣合う一対の円弧状部材5の外径側重ね部35と内径側重ね部36とを径方向に重ね合わせ、両重ね部35,36のポケット用開口4A,4Bで構成されるポケット4にころ2を収納することにより、隣合う一対の円弧状部材5が互いに円周方向に対して非分離に連結される。外径側重ね部35と内径側重ね部36とは互いに摺動自在であり、隣合う一対の円弧状部材5は、ポケット4の円周方向幅bところ2の直径Dの差の範囲内で、互いに円周方向に対して相対変位可能である。すなわち、隣合う一対の円弧状部材5が、互いの間にころ2を介在させることによって、円周方向に対して非分離かつ相対変位可能に連結される。
このように、各円弧状部材5は、円周方向の両端に外径側重ね部35および内径側重ね部36をそれぞれ別々に設け、これら外径側重ね部35および内径側重ね部36にポケット用開口4A,4Bを設けただけの簡素な構造である。外径側重ね部35および内径側重ね部36は段差形状であって、削り取り加工やプレス加工等により容易に加工することができる。また、隣合う一対の円弧状部材5は、互いの間にころ2を介在させることにより、別部材を用いることなく連結することができる。そのため、軸受構造を簡単化して製作コストの低減を図ることができる。さらに、円弧状部材5の円周方向の両端に外径側重ね部35と内径側重ね部36とを別々に設けたことにより、保持器3を構成する各円弧状部材5を同形状とすることができる。それにより、部品の種類を低減できる。
図30および図31のように、円弧状部材5の円周方向の一方の端部に、外径側部分および内径側部分を段差形状に切り欠いて形成された中央重ね部37を設け、もう一方の端部に、径方向の中央部を溝状に切り欠いて形成した一対の両側重ね部38を設けた構成としてもよい。これら中央重ね部37および一対の両側重ね部38には、両側重ね部38で中央重ね部37を挟み込むように各重ね部37,38を径方向に重ね合わせた状態で前記ポケット4となるポケット用開口4C,4Dをそれぞれ設ける。
この保持器3は、隣合う一対の円弧状部材5の中央重ね部37と両側重ね部38とを前記のように径方向に重ね合わせ、各重ね部37,38のポケット用開口4C,4Dで構成されるポケット4にころ2を収納することにより、隣合う一対の円弧状部材5が互いに円周方向に対して非分離に連結される。中央重ね部37と両側重ね部38とは互いに摺動自在であり、隣合う一対の円弧状部材5は、ポケット4の円周方向幅bところ2の直径Dの差の範囲内で、互いに円周方向に対して相対変位可能である。すなわち、隣合う一対の円弧状部材5が、互いの間にころ2を介在させることによって、円周方向に対して非分離かつ相対変位可能に連結される。さらに、この保持器3は、隣合う一対の円弧状部材5の連結部において、一対の両側重ね部38が中央重ね部37を挟み込んだ状態となっているため、両円弧状部材5が径方向に分離することを確実に阻止することができる。そのため、転がり軸受1の組込み作業がより一層容易である。
[樹脂製の保持器を備えた転がり軸受]
上記各実施形態のものは保持器が金属製であるが、保持器が樹脂製である場合の例を以下に示す。
図32は保持器付きころである転がり軸受の全体を表し、図33は保持器を表す。この転がり軸受1は、転動体としての複数のころ2と、これら複数のころ2を保持する樹脂製の保持器3とでなる。この例では、ころ2は針状ころであり、両端にチャンファ部2aを有する。保持器3は、複数のポケット4を備えた複数(この例では2個)の円弧状部材5をリング状に配置し、連結手段8により各円弧状部材5を非分離に連結したものである。この例では、図1〜図6の転がり軸受1の保持器3に用いられている連結手段8、すなわち円弧状部材5に設けた溝部6と別部材の止め輪7とでなる連結手段8により、各円弧状部材5を非分離に連結している。他の連結手段8により、各円弧状部材5を非分離に連結してもよい。
円弧状部材5は、軸方向両端の円弧部5aと、これら両端の円弧部5a間にわたり円周方向の複数個所に設けられた複数の柱部5bとでなり、隣合う一対の柱部5b間に前記ポケット4が形成されている。円弧状部材5の円周方向の端部は、柱部5bを径方向に沿う面で2分割したものの一方である柱部半体5bBとされており、隣合う円弧状部材5の各柱部半体5bBが合わさることで1つの柱部5bが構成される。なお、図33(A)では、一部のポケット4のみを表示し、他のポケット4は図示を省略している。
保持器3の柱部5bは、互いに径方向に離れた外径側部分40と内径側部分41とに分割されている。前記外径側部分40は、外径側部分主部となる扇形部40aと突起部40bとでなる。詳しくは、外径側部分40の断面形状は、一対の円弧部5a間の中央部では、内径側に中心が位置する扇形部40aと、この扇形部40aの両側面から外方へ突き出た突起部40bとでなる形状であり、円弧部5a付近では、扇形部40aのみからなる形状である。つまり、突起部40bは、一対の円弧部5a間の中央部だけに設けられている。隣合う一対の柱部5bの扇形部40aは、互いの対向面42が平行である。突起部40bの径方向位置は、ころ配列のピッチ円径PCDよりも大径側である。隣合う一対の外径側部分40の互いに対向する突起部40b間の距離W1は、ころ2の直径Dよりも小さい。そのため、外径側部分40により、ポケット4に収容されたころ2が外径側に脱落するのが阻止される。
この例では、外径側部分40の内径端がピッチ円径PCDよりも内径側に位置するが、ピッチ円径PCDよりも外径側に位置して、ピッチ円径PCD上には柱部4が存在しない構成であってもよい。また、各扇形部40aは、隣合う一対の柱部5bの扇形部40aの対向面42が外径側ほど間隔の広がる形状であってもよい。
柱部5bの内径側部分41は、全体がピッチ円径PCDよりも内径側に位置し、その内周端の角部が斜めに切り落とされた断面形状とされている。隣合う一対の内径側部分41の対向面間の距離W2は、ころ2の直径Dよりも小さい。そのため、内径側部分41により、ポケット4に収容されたころ2が内径側に脱落するのが阻止される。
この構成の保持器付きころは、柱部5bを、互いに径方向に離れた外径側部分40と内径側部分41とに分割したことで、ピッチ円径PCD上の柱部5bの円周方向幅を狭くすることができる。それにより、ころ2の充填率を高めてころ数を増やすことが可能となり、負荷容量を向上させることができる。ピッチ円径PCD上には柱部5bが存在しない構成にすれば、さらにころ2の充填率を高めることができるが、図32および図33の構成であっても、十分な充填率を得られる。また、柱部5bを外径側部分40と内径側部分41とに分割したことで、潤滑油が外径側部分40と内径側部分41の間を通って円周方向に行き来できるようになり、潤滑性が良い。
図34は、樹脂製保持器の異なる実施形態を示す。この保持器3の円弧状部材5は、柱部5bの内径側部分41が一対の円弧部5a(5aA,5aB)間で分断されて、一方の円弧部5aAと一体の部位41Aおよびもう一方の円弧部5aBと一体の部位41Bに分かれている。いずれの部位41A,41Bも、その先端が外径側部分40の突起部40bよりも軸方向外側にある。図35に示すように、各部位41A,41Bは先細り形状であってもよい。
この構成によっても、柱部5bの内径側部分41により、ポケット4に収容されたころ2が内径側に脱落するのを阻止できる。また、内径側部分41が一対の部位41A,41Bに分断されていれば、潤滑油が、外径側部分40と内径側部分41の間を通って円周方向に行き来できることに加えて、一対の部位41A,41B間を通って外径側と内径側とに行き来でき、潤滑性をより一層高めることができる。内径側部分7の各部位41A,41Bの先端の軸方向位置が外径側部分40の突起部40bよりも軸方向外側にあれば、径方向の潤滑油の流れが円滑である。
樹脂製保持器3用の樹脂材料としては、例えば、46ナイロンや66ナイロン等のポリアミド系樹脂、PPS(ポリフェレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の射出成形可能な樹脂が用いられる。
上記各実施形態の転がり軸受1は軸受形式が保持器付きころであるが、例えば、図37のように、外輪53および内輪54を備えた軸受形式としてもよい。図37は第1の実施形態の変形例である。図8以下で示す他の実施形態についても、同様に外輪53および内輪54を備えた軸受形式としてよい。
1…転がり軸受
2…ころ(転動体)
3…保持器
4…ポケット
4A,4B,4C,4D…ポケット用開口
5…円弧状部材
5a…円弧部
5b…柱部
5bA…柱部半体
6…溝部
7…止め輪
8…連結部材
10…微小凹み
11,12…面だらし部
15…連結部
16…被連結部
17…径方向分離規制手段
28…連結部材
28a…基部
28b…屈曲部
28c…折曲げ部
29…連結用溝
35…外径側重ね部
36…内径側重ね部
37…中央重ね部
38…両側重ね部
40…外径側部材
40a…扇形部
40b…突起部
41…内径側部材
42…対向面
50…トランスミッション
51…アイドラギア
PCD…ころ配列のピッチ円径

Claims (14)

  1. 複数の転動体収納用のポケットを備えた複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器を用いた転がり軸受において、
    前記保持器の隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段を設け、前記円弧状部材の円周方向の端面および外径面のいずれか一方または両方に無数の微小凹みをランダムに形成したことを特徴とする転がり軸受。
  2. 請求項1において、前記微小凹みが形成された前記円弧状部材の面における微小凹みが占める面積の比率は5%〜20%であり、1個の微小凹みの平均面積は30μm〜100μmであり、微小凹みの深さは、粗さのパラメータにおける最大高さで0.4μm〜1.0μmである転がり軸受。
  3. 複数の転動体収納用のポケットを備えた複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器を用いた転がり軸受において、
    前記保持器の隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段を設け、前記円弧状部材の円周方向の端部における外径面と端面とで成す角部、および隣合うポケット間の部分である各柱部における外径面とポケットを向く面とで成す角部を、凸曲面の面だらし部とし、この面だらし部となる前記円周方向の端部および前記各柱部の外径面部分の断面形状を、前記端面または前記ポケットを向く面である柱部側面から離れるに従って次第に曲率半径が大きくなる形状とし、前記面だらし部の外径面を上記曲率半径の変化に従って滑らかな形状としたことを特徴とする転がり軸受。
  4. 請求項1または請求項2において、前記円弧状部材の円周方向の端部における外径面と端面とで成す角部、および隣合うポケット間の部分である各柱部における外径面とポケットを向く面とで成す角部を、凸曲面の面だらし部とし、この面だらし部となる前記円周方向の端部および前記各柱部の外径面部分の断面形状を、前記端面または前記ポケットを向く面である柱部側面から離れるに従って次第に曲率半径が大きくなる形状とし、前記面だらし部の外径面を上記曲率半径の変化に従って滑らかな形状とした転がり軸受。
  5. 請求項3または請求項4において、前記円弧状部材の外径面と前記柱部側面に沿って延ばした直線との交点をA、交点Aから前記円弧状部材の外径面に沿って前記柱部側面から離れる側へ0.25mm離れた位置に前記柱部の幅方向の中心線と平行に引いた直線をCとしたとき、前記直線C上における、前記円弧状部材の外径面と前記面だらし部の外径面との距離である前記面だらし部のドロップ量が、0.010mm〜0.050mmである転がり軸受。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記転動体がころである転がり軸受。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記円弧状部材は、軸方向に並ぶ互いに平行な一対の円弧部と、これら一対の円弧部間にわたり円周方向の複数個所に設けられた柱部とを有し、隣合う一対の柱部間が前記ポケットとされたものであり、前記連結手段を、前記円弧部の外径面に形成された円周方向に延びる溝部と、各円弧状部材の前記溝部に嵌め込んだ止め輪とで構成した転がり軸受。
  8. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記連結手段は、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部にそれぞれ設けられて、互いに係合させた状態で円周方向の重なり部分を持つ連結部と被連結部とを有し、これら連結部と被連結部を互いに係合させることで、前記端部同士を円周方向に相対変位可能に連結する転がり軸受。
  9. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記円弧状部材は、円周方向の端部に柱部半体を有し、この柱部半体は、隣合う一対の円弧状部材を連結した状態において両円弧状部材の柱部半体により、保持器におけるポケット間の部分である柱部を構成するものであり、
    前記連結手段は、前記柱部半体の前記ポケットを向く面に径方向の全域にわたって設けられた連結用溝と、前記円弧状部材とは別部材である連結部材とでなり、この連結部材は、基部と、この基部の両端から共に同じ方向に屈曲した一対の屈曲部と、これら屈曲部の先端から内側に折れ曲がり前記基部と平行な折曲げ部とを有し、
    隣合う一対の円弧状部材の連結状態において、前記連結部材の一対の屈曲部が前記一対の柱部半体の前記連結用溝に嵌り込んで、両円弧状部材を円周方向に相対変位可能に連結し、かつ前記連結部材の基部と屈曲部とで前記一対の柱部半体を径方向の内外から挟み込んで、両円弧状部材を径方向に分離不可能に連結する転がり軸受。
  10. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記保持器は、前記連結手段として、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部に、互いに摺動自在に径方向に重ね合わされる外径側重ね部および内径側重ね部をそれぞれ別々に設け、これら外径側重ね部および内径側重ね部に互いに径方向に重ね合わせることで前記ポケットとなるポケット用開口をそれぞれ設けたものであり、
    前記外径側重ね部と内径側重ね部とを互いに径方向に重ね合わせ、これら両重ね部の前記ポケット用開口で構成されたポケットに前記転動体を収納することで、両円弧状部材を互いに円周方向に対して非分離かつ相対変位可能に連結した転がり軸受。
  11. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記円弧状部材は、軸方向に並ぶ互いに平行な一対の円弧部と、これら一対の円弧部間にわたり円周方向の複数個所に設けられた柱部とを有し、隣合う一対の柱部間が前記ポケットとされたものであり、前記柱部を、互いに径方向に離れた外径側部分と内径側部分とに分割した転がり軸受。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、自動車用トランスミッションのアイドラギアを支持する軸受である転がり軸受。
  13. 複数の転動体収納用のポケットを備えた複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器において、
    隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段を設け、前記円弧状部材の円周方向の端面および外径面のいずれか一方または両方に無数の微小凹みを形成したことを特徴とする保持器。
  14. 請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の転がり軸受を用いたトランスミッション。
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