JP2011137510A - 転がり軸受およびその保持器 - Google Patents

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理之 冨加見
Tsutomu Nakagawa
勉 中川
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誠 西川
Shinji Oishi
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    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
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    • F16C33/516Cages for rollers or needles formed of unconnected members formed of arcuate segments for carrying one or more rollers with two segments, e.g. double-split cages with two semicircular parts

Abstract

【課題】 複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器を、運転状況等に依存せずに確実に分割状態に保持することで、フレッティング防止を図ることができ、騒音の発生が少なく軸受寿命が長い転がり軸受を提供する
【解決手段】 転がり軸受1は、複数の転動体収納用のポケット4を備えた複数の円弧状部材5をリング状に連結してなる保持器3を用いる。保持器3の隣合う一対の円弧状部材5の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段8を設ける。例えば、連結手段8は、円弧状部材5の円弧部5aの外径面に形成された円周方向に延びる溝部6と、この溝部6に嵌め込んだ止め輪7とで構成される。また、円弧状部材5の円周方向の端面に、円周方向の弾性を有する緩衝部材10を設ける。
【選択図】 図1

Description

この発明は、例えば自動車用トランスミッションのアイドラギア部分等に使用される転がり軸受およびその保持器に関する。
自動車用トランスミッションのアイドラギア部分には、主に保持器付針状ころが使用されている。前記アイドラギア部分において、シンクロ機構が噛み合うとアイドラギアと、回転軸と、両者間に介在した軸受(主に保持器付針状ころ)とが一体となって、いわゆる同期回転するため、通常は保持器付針状ころの相対回転が起きない。このため、各ころがその軌道面となるギアの内径面および軸の外径面と常に同じ位置で荷重を負荷し、微小振動することによって、フレッティング摩耗が発生することがある。「フレッティング摩耗」とは、軌道面の全周にころのピッチで凹みが生じることである。そのため、保持器を二つ割りにし、その割り部の周方向すきまがあることで保持器半体に相対回転を発生させ、フレッティング摩耗の防止を図るものが試みられている。
しかし、このように保持器を二つ割りにした軸受では、二つの保持器半体を別々に組み込まなければならないという問題点がある。これを解決する手段として以下のような技術が提案されている。
・二つ割りにした一対の保持器半体を、円周方向の両端で互いに接着剤により接着し、運転に伴う温度上昇で接着剤を溶融させる(特許文献1)。
・二つ割りにした一対の保持器半体を、円周方向の両端で互いに、潤滑油に対し親和性がある可溶性の樹脂材料で仮止めする(特許文献2)。
・二つ割りにした一対の保持器半体を、円周方向の両端で溶接にて仮止めし、その仮止め部を運転中の応力により破壊させる(特許文献3)。
・二つ割りにした一対の保持器半体を、互いに軸方向にずらした状態で連結しておき、組み込み時に押圧してずれを解消する(特許文献4)。
実開平5−19652号公報 実開平5−89952号公報 特開平7−127645号公報 特開2009−85401号公報
これらの従来技術は、運転時の温度や潤滑油によって、リング状保持器の円周方向の一部が分割されるものである。したがって、例えば運転温度が低い場合や潤滑油が十分供給されていない場合等においては、保持器が分割状態にならない場合がある。また、連結部分等を破壊によって分割する場合は、破壊の際に破片が発生する。この破片を軸受等が噛み込んでしまい、振動や軸受の損傷、ひいてはトランスミッションの機能に不具合を生じる。
保持器付針状ころの保持器としては、鉄板を曲げ加工して成形した金属製保持器を用いることが多いが、金属製保持器には以下に示す特有の問題がある。すなわち、運転時、円周方向に並ぶ複数の円弧状部材(保持器半体)に分割されたときに、各円弧状部材の円周方向の端面同士が衝突することで、振動や金属音からなる騒音が発生することである。また、上記端面同士の衝突で金属の摩耗粉が発生し、その摩耗粉を軸受が噛み込むと、軸受寿命の低下につながる。保持器を樹脂製とした場合、円周方向端面同士の衝突による振動は小さくなると考えられるが、金属製である場合に比べ保持器の強度が低下するため、運転中に保持器が破損する恐れがある。
この発明の目的は、複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器を、運転状況等に依存せずに確実に分割状態に保持することで、フレッティング防止を図ることができ、騒音の発生が少なく軸受寿命が長い転がり軸受、およびその保持器を提供することである。
この発明の転がり軸受は、複数の転動体収納用のポケットを備えた複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器を用い、前記保持器の隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段を設け、前記円弧状部材の円周方向の端面に、互いに対向する端面における両方またはいずれか一方につき、円周方向の弾性を有する緩衝部を設けたことを特徴とする。内輪および外輪は有していても、有していなくてもよい。
この転がり軸受は、例えばトランスミッションのアイドラギア部分等に組み込まれる。その場合、シンクロ機構が噛み合うと、アイドラギアである外径側部材と、回転軸である内径側部材と、これらの間に介在した軸受(主に保持器付き針状ころ)とが一体となって同期回転する。保持器の隣合う一対の円弧状部材は連結手段によって互いに円周方向に相対変位可能に連結されているため、同期回転時の運転状況等に拘わらず、各円弧状部材が確実に分割状態に維持される。それにより、外径側部材および内径側部材に対する転動体の接触位置が常時変化して、外径側部材の内径面および内径側部材の外径面におけるフレッティング摩耗の発生が抑制される。
加えて、円弧状部材の円周方向の端面に緩衝部を設けたことにより、各円弧状部材の互いに対向する円周方向の端面同士の衝突による振動や騒音を抑えることができる。また、上記端面同士の衝突による摩耗粉の発生が少ないので、軸受寿命を向上させることができる。
上記緩衝部を設けることの効果は、特に前記円弧状部材が金属製である場合に顕著であり、前記緩衝部は例えばゴム製の別部材とする。
この発明において、前記ポケットに収納される転動体は、外径側部材の内径面と内径側部材の外径面間に介在し、前記複数の円弧状部材は金属製のものと樹脂製ものとを有し、金属製の円弧状部材と樹脂製の円弧状部材の円周方向の端面同士が対向するように各円弧状部材を配置し、前記樹脂製の円弧状部材の円周方向の端部が前記緩衝部になるようにしても良い。なお、前記樹脂製の円弧状部材の全体が、前記緩衝部と同じ材質であってもよい。
金属製の円弧状部材と樹脂製の円弧状部材の円周方向の端面同士が対向するように各円弧状部材を配置することにより、金属製の円弧状部材同士が衝突することで発生する金属音からなる騒音を抑えることができる。また、金属製の円弧状部材と樹脂製の円弧状部材とでは重量が異なるため、保持器の円周方向の重量バランスがくずれた状態となっている。そのため、各円弧状部材の回転慣性力が異なり、各円弧状部材が相対回転しやすく、フレッティング摩耗の防止に効果がある。
また、この発明において、前記ポケットに収納される転動体は、外径側部材の内径面と内径側部材の外径面間に介在し、前記複数の円弧状部材のうち少なくとも一つは他の円弧状部材よりも重量が重くしても良い。
一部の円弧状部材の重量を他の円弧状部材の重量よりも重くすることによっても、前記同様、保持器の円周方向の重量バランスがくずれた状態となり、各円弧状保持器が相対変位しやすくなる。
さらに、この発明において、前記ポケットに収納される転動体は、外径側部材の内径面と内径側部材の外径面間に介在し、前記複数の円弧状部材のうち少なくとも一つは、円周方向両端に位置する2個のポケット間の保持器中心から見た角度を、前記外径側部材、内径側部材、および転動体が一体に回転する同期回転時において負荷荷重がかからない領域である非負荷領域の保持器中心から見た角度よりも小さくするのが良い。
複数の円弧状部材をリング状に連結してなる割り型保持器を用いた転がり軸受において、前記同期回転時に各円弧状部材が相対回転する理由として、以下の二つがある。一つは、(1)軸受の円周方向位相における外部からの負荷荷重がかかる領域である負荷領域に円弧状部材が入る際に、その円弧状部材の回転を制動するブレーキがかかることによる。ブレーキがかかるということは、円弧状部材と外径側部材とのラジアルすきまが有る状態から無い状態に変ることである。もう一つは、(2)負荷領域から出た円弧状部材は遠心力で外径側部材に押し付けられて、外径側部材からの駆動力で回転、いわゆる連れ回りをするが、円弧状部材が外径側部材に対して滑って回転が遅れることによる。
負荷領域が広い場合、円弧状部材の回転方向先端が負荷領域に入った際、後端がまだ負荷領域を出ていない状態が生じる。この状態では、上記相対回転の理由(1),(2)のいずれにも該当しないので、同期回転時に各円弧状部材の相対回転が生じない。そのため、フレッティング摩耗が発生する恐れがある。
これに対し、少なくとも一つの円弧状部材における円周方向両端に位置する2個のポケット間の角度を非負荷領域の角度よりも小さくすれば、負荷領域が広い場合でも、上記相対回転の理由(1),(2)のいずれにも該当しない状態を生じさせるのを防げる。すなわち、ある一つの円弧状部材が負荷領域に入る際に、その円弧状部材の回転を制動するブレーキがかかるか、あるいは、ある一つの円弧状部材が負荷領域から出る際に、円弧状部材が外径側部材に対して滑って回転が遅れる。それにより、各円弧状部材が相対回転して、フレッティングが防止される。
なお、この発明とは異なるが、複数の転動体収納用のポケットを備えた複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器を用いた転がり軸受において、前記保持器の隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段を設け、前記ポケットに収納される転動体は、外径側部材の内径面と内径側部材の外径面間に介在し、前記複数の円弧状部材のうち少なくとも一つは、円周方向両端に位置する2個のポケット間の保持器中心から見た角度を、前記外径側部材、内径側部材、および転動体が一体に回転する同期回転時において負荷荷重がかからない領域である非負荷領域の保持器中心から見た角度よりも小さくしても良い。
前記転動体は、例えばころであってよい。その場合、転がり軸受は、前記転動体と前記保持器とでなる保持器付きころとしてもよい。
この発明において、前記円弧状部材が、軸方向に並ぶ互いに平行な一対の円弧部が、円周方向に並ぶ複数の柱部で連結され、隣合う一対の柱部間に形成された各ポケットに前記転動体をそれぞれ収納するものである場合、前記連結手段を、前記円弧部の外径面に形成された円周方向に延びる溝部と、各円弧状部材の前記溝部に嵌め込んだ止め輪とで構成してもよい。
この構成によれば、保持器は、各円弧状部材に設けた溝部と別部材の止め輪とでなる連結手段により、複数の各円弧状部材を互いに円周方向に非分離の状態でリング状に連結して組立てられる。この組立状態では、保持器は、複数の円弧状部材がリング状に連結された1個の部品として取り扱える。そのため、各ポケットにころを収納して転がり軸受の完成品に組立てるときや、完成した転がり軸受を機械等に組み込む際に、保持器の各円弧状部材を脱落しないように押さえながら作業をする必要がなく、作業性が著しく向上する。また、完成した転がり軸受に、外輪やギア等の外径側部材をすぐに組み付ける必要がなく、作業手順の自由度が増す。
この発明において、前記連結手段は、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部にそれぞれ設けられて、互いに係合させた状態で円周方向の重なり部分を持つ連結部と被連結部とを有し、これら連結部と被連結部を互いに係合させることで、前記端部同士を円周方向に相対変位可能に連結するようにしてもよい。この場合、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部が径方向に分離することを規制する径方向分離規制手段を別に設けるのが望ましい。
この連結手段の構成によれば、隣合う一対の円弧状部材の連結部と被連結部を互いに係合させることで、両円弧状部材の円周方向の端部同士が、円周方向に相対変位可能に連結される。特別な部品を追加することなく、上記のように各円弧状部材を連結することができるため、部品点数が多くならず、保持器の構造が簡単で、製造コストの低減を図ることができる。径方向分離規制手段を設けた場合は、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部が径方向に分離することを確実に防げる。
この発明において、前記円弧状部材は、円周方向の端部に柱部半体を有し、この柱部半体は、隣合う一対の円弧状部材を連結した状態において両円弧状部材の柱部半体により、保持器におけるポケット間の部分である柱部を構成するものであり、前記連結手段は、前記柱部半体の前記ポケットを向く面に径方向の全域にわたって設けられた連結用溝と、前記円弧状部材とは別部材である連結部材とでなり、この連結部材は、基部と、この基部の両端から共に同じ方向に屈曲した一対の屈曲部と、これら屈曲部の先端から内側に折れ曲がり前記基部と平行な折曲げ部とを有し、隣合う一対の円弧状部材の連結状態において、前記連結部材の一対の屈曲部が前記一対の柱部半体の前記連結用溝に嵌り込んで、両円弧状部材を円周方向に相対変位可能に連結し、かつ前記連結部材の基部と屈曲部とで前記一対の柱部半体を径方向の内外から挟み込んで、両円弧状部材を径方向に分離不可能に連結するようにしてもよい。
この構成によると、リング状に配置した各円弧状部材の互いに対向する柱部半体同士を連結手段により連結し、各円弧状部材の各ポケットに転動体を収納して、転がり軸受を組み立てる。この組立状態では、各円弧状部材が互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能である。そのため、保持器を、複数の円弧状部材をリング状に連結してなる1個の部品として取り扱えることができ、転がり軸受の組立作業、および機械への転がり軸受の組込み作業が容易である。
円弧状部材とは別部材である連結部材を用いることにより、円弧状部材には単純な形状である連結用溝を加工するだけで済む。また、連結部材も、板材を折り曲げ加工等で加工することができる簡素な形状である。そのため、軸受構造を簡単化して製作コストの低減を図ることができる。さらに、単純な形状の連結用溝に簡素な形状の連結部材を嵌め込んで隣合う一対の円弧状部材を連結するため、その組立てが容易である。
この発明において、前記保持器は、前記連結手段として、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部に、互いに摺動自在に径方向に重ね合わされる外径側重ね部および内径側重ね部をそれぞれ別々に設け、これら外径側重ね部および内径側重ね部に互いに径方向に重ね合わせることで前記ポケットとなるポケット用開口をそれぞれ設けたものであり、前記外径側重ね部と内径側重ね部とを互いに径方向に重ね合わせ、これら両重ね部の前記ポケット用開口で構成されたポケットに前記転動体を収納することで、両円弧状部材を互いに円周方向に対して非分離かつ相対変位可能に連結してもよい。
この構成によると、リング状に配置した各円弧状部材の互いに対向する外側重ね部と内側重ね部とを径方向に重ね合わせ、各円弧状部材の各ポケットに転動体を収納して、組み立てる。この組立状態では、外側重ね部と内側重ね部の各ポケット用開口で構成されるポケットに収納された転動体により、隣合う一対の円弧状部材が互いに円周方向に対して非分離に連結される。そのため、保持器は複数の円弧状部材をリング状に連結してなる1個の部品として取り扱うことができ、転がり軸受の組立作業、および機械への転がり軸受の組込み作業が容易である。また、特別に各円弧状部材を連結する作業が不要であり、保持器の組立作業の工数が少なくて済む。さらに、転動体を連結手段の一部に利用することにより、隣合う一対の円弧状部材は、別部材を用いることなく連結することができる。そのため、軸受構造を簡単化して製作コストの低減を図ることができる。
この転がり軸受は、上記したように、安価で、組立て易く、運転状況等に依存せずに保持器を確実に分割状態にしてフレッティング防止を図ることができ、騒音の発生が少なく軸受寿命が長いため、自動車用トランスミッションのアイドラギアを支持する軸受に好適である。
この発明の保持器は、複数の転動体収納用のポケットを備えた複数の円弧状部材をリング状に連結してなり、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段を設け、前記円弧状部材の円周方向の端面に、互いに対向する端面における両方またはいずれか一方につき、円周方向の弾性を有する緩衝部を設けたことを特徴とする。
この構成によると、各ポケットにころ等の転動体を収納して軸受(保持器付きころ)とする。この軸受を外径側部材と内径側部材間に組み込んで使用する際、軸受が外径側部材および内径側部材と一体になって同期回転する場合でも、保持器の隣合う一対の円弧状部材は連結手段により互いに円周方向の相対変位可能に連結されているため、同期回転時の運転状況等に拘わらず、各円弧状部材が確実に分割状態に維持される。それにより、外径側部材および内径側部材に対する転動体の接触位置が常時変化して、外径側部材の内径面および内径側部材の外径面におけるフレッティング摩耗の発生が抑制される。
加えて、円弧状部材の円周方向の端面に緩衝部を設けたことにより、各円弧状部材の互いに対向する円周方向の端面同士の衝突による振動や騒音を抑えることができる。また、上記端面同士の衝突による摩耗粉の発生が少ないので、軸受寿命を向上させることができる。
この発明のトランスミッションには、上記転がり軸受が用いられる。
上記転がり軸受は、安価で、組立て易く、運転状況等に依存せずに保持器を確実に分割状態にしてフレッティング防止を図ることができ、騒音の発生が少なく軸受寿命が長いため、好ましいトランスミッションとすることができる。
この発明の転がり軸受は、複数の転動体収納用のポケットを備えた複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器を用い、前記保持器の隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段を設け、前記円弧状部材の円周方向の端面に、互いに対向する端面における両方またはいずれか一方につき、円周方向の弾性を有する緩衝部を設けたため、安価で、組立て易く、運転状況等に依存せずに保持器を確実に分割状態にしてフレッティング防止を図ることができ、騒音の発生が少なく軸受寿命が長い。
この発明の保持器は、複数の転動体収納用のポケットを備えた複数の円弧状部材をリング状に連結してなり、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段を設け、前記円弧状部材の円周方向の端面に、互いに対向する端面における両方またはいずれか一方につき、円周方向の弾性を有する緩衝部を設けたため、安価で、組立て易く、転がり軸受に組み込んだ場合に、運転状況等に依存せずに確実に分割状態にしてフレッティング防止を図ることができ、騒音の発生が少なく軸受寿命が長い。
(A)はこの発明の実施形態にかかる転がり軸受の断面図、(B)はそのIB−IB断面図である。 同転がり軸受の保持器の斜視図である。 同保持器の分解斜視図である。 同保持器の各円弧状部材の斜視図である。 (A)は図4のVA矢視図、(B)はVB矢視図である。 (A)は同円弧状部材の要部拡大側面図、(B)はそのVIB−VIB断面図である。 (A),(B)は同転がり軸受に作用する負荷荷重と負荷領域を示す説明図である。 この発明の異なる実施形態にかかる転がり軸受の断面図である。 同転がり軸受に作用する負荷荷重と負荷領域を示す説明図である。 この発明のさらに異なる実施形態にかかる転がり軸受の断面図である。 異なる保持器の斜視図である。 同保持器の隣合う円弧状部材の端部同士を分離させた状態を示す正面図である。 同保持器の隣合う円弧状部材の端部同士を連結させた状態を示す正面図である。 図12部分拡大図である。 図12のXV−XV断面図である。 さらに異なる保持器の隣合う円弧状部材の円周方向の端部を示す正面図である。 図16のXVII−XVII断面図である。 さらに異なる保持器の隣合う円弧状部材の円周方向の端部を示す正面図である。 図18のXIX−XIX断面図である。 さらに異なる保持器の斜視図である。 同保持器の円弧状部材の斜視図である。 同保持器の連結部材の斜視図である。 さらに異なる保持器の斜視図である。 同保持器の円弧状部材の斜視図である。 同保持器の連結部材の斜視図である。 さらに異なる保持器の斜視図である。 同保持器のポケットにころを収納した状態における隣合う円弧状部材の円周方向の端部を示す断面図である。 さらに異なる保持器の斜視図である。 同保持器のポケットにころを収納した状態における隣合う円弧状部材の円周方向の端部を示す断面図である。 上記いずれかの転がり軸受を用いた自動車用トランスミッションの一部を示す断面図である。 第1の実施形態の変形例の上半分を断面で表した正面図である。
この発明の実施形態を図1〜図6と共に説明する。図1に示すように、この転がり軸受1は保持器付きころであって、転動体としての複数のころ2と、各ころ2を保持する保持器3とでなる。各ころ2は、保持器3に円周方向に並んで形成された複数の転動体収納用のポケット4にそれぞれ収納される。ころ2は、例えば軸受鋼等の鋼材で成形されている。また、保持器3は、この例では鋼材からなるが、樹脂製であってもよい。
保持器3は、図2の組立状態の斜視図および図3の分解状態の斜視図に示すように、複数のポケット4を備えた複数(この例では2個)の円弧状部材5をリング状に配置し、各円弧状部材5に設けた溝部6と、円弧状部材5とは別部材である止め輪7とでなる連結手段8により、各円弧状部材5を非分離に連結したものである。各円弧状部材5(図4、図5)は同一形状であって、金属製の板材を曲げ加工することで成形してある。各円弧状部材5は、軸方向両端の円弧部5aと、これら両端の円弧部5a間にわたり円周方向の複数個所に設けられた複数の柱部5bとでなり、隣り合う一対の柱部5b間に前記ポケット4が形成されている。ポケット4のピッチは、一定であっても、また不等ピッチであってもよい。
この実施形態では、図1(A)の部分拡大図に示すように、各柱部5bのポケット4を向く面の外径縁および内径縁に、円周方向の内側に突出する抜け止め9がそれぞれ設けられ、ポケット4内のころ2が外径側および内径側へ脱落するのを阻止するようになっている。円周方向に対向する一対の抜け止め9間の距離はころ2の直径よりも僅かに狭い程度であり、ころ2は抜け止め9の弾性変形を利用してポケット4内に嵌め込まれる。ポケット4を向く面の外径縁および内径縁のうち、いずれか一方にだけ抜け止め9を設けてもよく、どちらにも抜け止め9を設けなくてもよい。
図6に示すように、柱部5bは、保持器外径面側において、長さ方向(保持器の幅方向)の中間部に凹み部5baを有し、この凹み部5baにより、両側部分よりも中間部分が細くなっている。但し、これは断面形状の一例であり、V形やM形等断面の形状は問わない。なお、図1(A)の部分拡大図に示す前記柱部5bのポケット4を向く面の形状は、柱部5bの長さ方向両側部分についてのものである。
円弧状部材5の両円弧部5aの外径面に、円周方向に延びる前記溝部6がそれぞれ形成されており、これら溝部6に前記止め輪7がそれぞれ嵌め込まれることで、各円弧状部材5が非分離に連結される。止め輪7は、円弧部5aの外径面よりはみ出ないように溝部6に嵌め込まれる。この図例では、溝部6の底部の断面形状が円弧状であるが、角形であってもよい。
図3に示すように、止め輪7は、線材をC字状に曲げ形成してなる。前記線材には、例えば鋼線等の弾性を有する断面円形のものが用いられる。止め輪7は、円弧状部材5への未装着の自然状態で、割り口7aが開いた状態となるものであっても、また割り口7aがすきまのない閉じ状態となるものであってもよい。
また、図2および図3に示すように、止め輪7は、その割り口7aが、各円弧状部材5間の割り部から円周方向にずれた位置となるように、前記溝部6に嵌め込まれる。これにより、転がり軸受1の一体化力が強まり、各円弧状部材5が互いに幅方向にずれるのを防止できる。また、一対の止め輪7は、互いの割り口7aが円周方向にずれた位置となるように、両溝部6に嵌め込まれる。
図1(A)および図2では、止め輪7で連結された2個の円弧状部材5間の割り部に円周方向すきまSが生じているが、これは保持器付きころである転がり軸受1を軸等の内径側部材(図示せず)に組み込んだ時の状態を示したものである。実際には、内径側部材に組み込む前の状態では、止め輪7の弾性収縮力により、2個の円弧状部材5は内径側に押されて、その内径が内径側部材の外径よりも内側となる径方向位置で互いに連結され、各円弧状部材5の互いに対向する端部同士が接触している(図示せず)。つまり、2個の円弧状部材5間の割り部には円周方向すきまSが生じない状態にある。
また、転がり軸受1を内径側部材に組み込んだ際、2個の円弧状部材5間の割り部に円周方向すきまSが無くてもよい。運転時には、遠心力により各円弧状部材5が互いに離れる方向に移動して、円周方向すきまSが生じる。
図1〜図6の各図に図示されているように、円弧状部材5の円周方向の両端面には、円周方向から見た形状が円弧状部材5の端面と同じ形状の緩衝部材10が設けられている。緩衝部材10は、円周方向の弾性を有する緩衝部11を構成するものであり、この図例の場合、例えばバイトン(登録商標)等のFRP、またはシリコンゴム(PSi)等の耐熱性に優れたゴム材からなる。緩衝部材10は、例えば接着剤により円弧状部材5の端面に貼り付けている。接着の代わりに、嵌め込む構造により円弧状部材5の端面に固定してもよい。また、緩衝部材10は、金属製の板ばねとしてもよい。
この転がり軸受1の構成によれば、保持器3は、各円弧状部材5に設けた溝部6と別部材の止め輪7とでなる連結手段8により、複数の各円弧状部材5を互いに円周方向に非分離の状態でリング状に連結して組立てられる。この組立状態では、保持器3は、複数の円弧状部材5がリング状に連結された1個の部品として取り扱える。そのため、各ポケット4にころ2を収納して転がり軸受1の完成品に組立てるときや、完成した転がり軸受1を機械等に組む込む際に、保持器3の各円弧状部材5を脱落しないように押さえながら作業をする必要がなく、作業性が著しく向上する。また、完成した転がり軸受1に、外輪やギア等の外径側部材をすぐに組み付ける必要がなく、作業手順の自由度が増す。特に、この実施形態では、円弧状部材5の溝部6に嵌め込んだ止め輪7が円弧部5aの外径面よりはみ出さないので、転がり軸受1の組立時や組込み時に、止め輪7が他の部材と干渉せず、これらの作業を容易に行うことができる。
保持器付きころである転がり軸受1は、例えば図30のように、自動車用トランスミッションのアイドラギアを支持する軸受として使用される。同図において、このトランスミッション50は、アイドラギア51の内径面と回転軸52の外径面との間に、転がり軸受1が組み込まれている。保持器3の各円弧状部材5が円周方向に非分離に連結されているため、保持器3は複数の円弧状部材5をリング状に連結してなる1個の部品として取り扱うことができ、転がり軸受1の組込み作業が容易である。
シンクロ機構が噛み合うと、アイドラギア51、回転軸52、および転がり軸受1が一体となって同期回転する。隣合う一対の円弧状部材5が互いに連結された状態であっても、各円弧状部材5は円周方向に相対変位可能である。そのため、同期回転時の運転状況等に拘わらず、各円弧状部材5が確実に分割状態に維持される。それにより、アイドラギア51および回転軸52に対するころ2の接触位置が常時変化して、アイドラギア51の内径面および回転軸52の外径面におけるフレッティング摩耗の発生が抑制される。
加えて、円弧状部材5の円周方向の端面に緩衝部11を設けたことにより、各円弧状部材5の互いに対向する円周方向の端面同士の衝突による振動や騒音を抑えることができる。また、上記端面同士の衝突による金属の摩耗粉の発生が少ないので、軸受寿命を向上させることができる。
この図例では、隣合う円弧状部材5の互いに対向する一対の円周方向端面の両方に緩衝部11を設けてあるが、一方の円周方向端面だけに緩衝部11が設けられていても上記作用・効果を得ることができる。
また、この転がり軸受1は、図7(A)のように、運転時に負荷荷重Fがかかる領域である負荷領域の保持器中心から見た角度をθ1とした場合、1個の円弧状部材5における円周方向両端に位置する2個のポケット4間の保持器中心から見た角度θ2は、θ2<360°−θ1の関係が成り立つように設定してある。(360°−θ1)は、負荷荷重Fがかからない領域である非負荷領域の角度を表す。なお、負荷領域は、「負荷域」、「負荷圏」と言うこともある。
角度θ2を上記のように設定した根拠を説明する。複数の円弧状部材5をリング状に連結してなる割り型保持器を用いた転がり軸受において、前記同期回転時に各円弧状部材5が相対回転する理由として、以下の二つがある。一つは、(1)負荷領域に円弧状部材5が入る際に、その円弧状部材5の回転を制動するブレーキがかかることによる。ブレーキがかかるということは、円弧状部材5とアイドラギア51等の外径側部材とのラジアルすきまが有る状態から無い状態に変ることである。もう一つは、(2)円弧状部材5は遠心力で外径側部材に押し付けられて、外径側部材からの駆動力で回転、いわゆる連れ回りをするが、円弧状部材5が外径側部材に対して滑って回転が遅れることによる。
例えば図7(B)のように、負荷領域が広い(二つ割り保持器で半周以上)場合、円弧状部材5の回転方向先端が負荷領域に入った際、後端がまだ負荷領域を出ていない状態が生じる。この状態では、上記相対回転の理由(1),(2)のいずれにも該当しないので、同期回転時に各円弧状部材5の相対回転が生じない。図7(A)のように、円弧状部材5の両端ポケット4間の角度θ2が非負荷領域の角度(360°−θ1)よりも小さければ、円弧状部材5が負荷領域に出入りする際に上記理由(1),(2)に該当することとなり、各円弧状部材5の相対回転が円滑に行われる。
通常、ころ軸受にはラジアルすきまが存在するため、図7(B)のように負荷領域が半周以上になることはない。しかし、振動を抑えるため等の理由でラジアルすきまを小さく設定した場合、運転中の発熱の差で外径側部材(アイドラギア51)よりも内径側部材(回転軸52)が膨張してラジアルすきまが負になることがある。すなわち、負荷領域が半周以上になることがある。負荷領域の角度は、負荷荷重の大きさ、ころの諸元、およびラジアルすきま(負すきまでも可)によって算出できる。
負荷領域が半周を超えることがある場合には、図8のように、3個の円弧状部材5をリング状に連結した三つ割り保持器3を採用することで対応できる(図9参照)。この例では、全ての円弧状部材5が同じ大きさであり、各円弧状部材5の両端ポケット4間の角度θ2が非負荷領域の角度(360°−θ1)よりも小さいが、両端ポケット4間の角度θ2が非負荷領域の角度(360°−θ1)よりも小さい円弧状部材5が一つでもあれば良い。
図10は、保持器3の構成が異なる実施形態を示す。この転がり軸受1は、保持器3を構成する複数の円弧状部材が金属製のもの(5)と樹脂製もの(5´)とでなり、金属製の円弧状部材5と樹脂製の円弧状部材5´の円周方向の端面同士が対向するように各円弧状部材5,5´を配置してある。図例は二つ割りの保持器であり、各1個ずつの金属製の円弧状部材5および樹脂製の円弧状部材5´でなる。円弧状部材5,5´の円周方向の端面に緩衝部材10は設けられておらず、この場合、樹脂製の円弧状部材5´の円周方向の端部が緩衝部11になる。
この保持器3の構成によれば、金属製の円弧状部材5と樹脂製の円弧状部材5´の円周方向の端面同士が対向するように各円弧状部材5,5´を配置することにより、金属製の円弧状部材5同士が衝突することで発生する金属音からなる騒音を抑えることができる。また、金属製の円弧状部材5と樹脂製の円弧状部材5´とでは重量が異なるため、保持器3の円周方向の重量バランスがくずれた状態となっている。そのため、各円弧状部材5,5´の回転慣性力が異なり、各円弧状部材5,5´が相対回転しやすい。よって、フレッティング摩耗の防止に効果がある。
上記のように各円弧状部材5,5´の材質を異ならせることで各円弧状部材の比重を異ならせるのに代えて、他の手段を用いて各円弧状部材の比重を異ならせても、同様の作用・効果が得られる。
保持器3の各円弧状部材5を非分離に連結する連結手段8としては、上記のような円弧状部材5に設けた溝部6と別部材の止め輪7とでなる構成に限らず、他の構成を採用してもよい。以下、他の連結手段8を採用した保持器3について説明する。
[連結手段が異なる保持器その1]
図11〜図15に示す保持器も、複数(この例では2個)の円弧状部材5をリング状に連結したものである。各円弧状部材5を連結する連結手段8は、図12〜図14に示すように、隣合う一対の円弧状部材5の互いに対向する円周方向の端部同士を円周方向に相対変位可能に連結する連結部15および被連結部16と、前記一対の端部同士が径方向に分離することを規制する径方向分離規制手段17とを有する。
連結部15は、隣合う円弧状部材5における一方の端部の幅方向中央部分に凸部18を設けたものである。この凸部18は、図14に示すように、主に傾斜部18a,18aと、基端側幅面部18b,18bと、先端側幅面部18c,18cと、先端部18dとを含む。これらのうち傾斜部18a,18a、基端側幅面部18b,18b、および先端側幅面部18c,18cは、それぞれ幅方向に対称(図14において左右対称)な形状に形成される。基端側幅面部18b,18bは、凸部18の基端側に設けられ、幅方向に垂直な平面に平行な平坦面に形成される。凸部18のうち基端側幅面部18b,18b間の幅寸法H1が最も狭く規定される。
基端側幅面部18bの先端に、順次、傾斜部18a、先端側幅面部18cが繋がる。これらのうち傾斜部18a,18aは円周方向に突出する先端側程幅方向に幅広に形成される。換言すれば、傾斜部18a,18aの基端側程幅狭に形成される。先端側幅面部18c,18cは、幅方向に垂直な平面に平行な平坦面に形成される。この先端側幅面部18c,18c間の幅寸法H2は、傾斜部18a,18aの先端の最大幅寸法と同一寸法に規定される。凸部18のうち先端部18dは、先端側幅面部18c,18cの先端に繋がり、幅方向に沿って形成される。
被連結部16は、前記隣合う円弧状部材5における他方の端部の幅方向中央部分に凹部19を設けたものである。この凹部19に円周方向すきまδ1を介して前記凸部18を連結している。凹部19は、主に傾斜部19a,19aと、幅面部19b,19bと、底部19cとを含む。これらのうち傾斜部19a,19aおよび幅面部19b,19bは、それぞれ幅方向に対称な形状に形成される。底部19cは、連結状態において前記凸部18の先端部18dに円周方向すきまδ1を介して対向し、かつ凸部18の先端側幅面部18c,18c間の幅寸法H1よりも所定長さ幅広に形成される。幅面部19b,19bは、底部19cの一端、他端にそれぞれ繋がり、かつ凸部18の先端側幅面部18cの突出長さL1よりも長く形成される。幅面部19b,19bの先端に前記傾斜部19a,19aが繋がる。この傾斜部19a,19aは、先端側程幅狭に形成される。凹部19のうち傾斜部19aの先端が凸部18の基端側幅面部18bに対向する。また、傾斜部19a,19aの先端間の幅寸法は、凸部18の基端側幅面部18c,18c間の幅寸法H1よりも所定長さ幅広に形成される。
各1個の円弧状部材5における一端部に凸部18を設け、同円弧状部材5における他端部に凹部19を設けることで、リング状に連結されるべき各円弧状部材5を同一形状にし得る。
図12、図13、図15に示すように、径方向分離規制手段17は、張り出し部20と、この張り出し部20に連結される切り欠き21とを有する。張り出し部20は、隣合う円弧状部材5における一方の円周方向端部の幅方向端部に、円周方向に向け長方形状に張り出すように設けられる。切り欠き21は、前記隣合う円弧状部材5における他方の円周方向端部の幅方向端部に、前記張り出し部20に対向して設けることにより幅方向の分離を規制する。図12、図15に示すように、張り出し部20は、切り欠き21に加締め22により連結されて、隣合う円弧状部材5の端部が径方向に分離することを規制する。
例えば、被連結部16に連結部15を連結させた状態で、この円弧状部材5の外径面のうち、張り出し部20と切り欠き21の幅方向の境界付近部を塑性変形させる。これにより、切り欠き21に張り出し部20が加締められ、隣合う円弧状部材5の端部が径方向に分離不能となる。加締め22により切り欠き21に張り出し部20が連結された状態において、被連結部16に対する連結部15の相対変位を許容する。よって、径方向分離規制手段17により、フレッティング摩耗防止が阻害されることがない。なお、円弧状部材5の外径面を加締めるのに代えて、円弧状部材5の内径面を加締めてもよい。
この構成によると、この保持器3を備えた転がり軸受(保持器付きころ)1が前記トランスミッション50に組み込まれて、アイドラギア51および回転軸52と一体に同期回転する時、連結手段8は次のように作用する。すなわち、隣合う円弧状部材5の円周方向端部の連結部15と被連結部16とが連結した状態で、運転状況等に拘わらず被連結部16に対して連結部15を円周方向に相対変位させる。換言すれば、隣合う円弧状部材5の連結状態を維持しつつこれら円弧状部材5を円周方向に確実に可動させる。この状態において、径方向分離規制手段17は、これら隣合う円弧状部材5の端部が径方向に分離することを規制する。
このように、被連結部16に対して連結部15を円周方向に相対変位させることで、フレッティング摩耗が防止される。この保持器3は、組立時において複数の円弧状部材5をリング状に連結してなる1個の部品として取り扱えるため組み立て易い。また、特別な部品を追加することなくフレッティング摩耗を防止することが可能となるため、部品点数が多くならず保持器構造を簡単化し製造コストの低減を図ることができる。
連結手段8のうち、凸部18は突出する先端側程幅広に形成され、凹部19は基端側程幅広に形成されている。そのため、被連結部16に対し連結部15が離隔しようとすると、凸部18の先端側の傾斜部18a,18aが凹部19の先端側の傾斜部19a,19aに当接することで、連結部15と被連結部16との連結状態を維持する。この構成よると、連結部15と被連結部16との構造を簡単化し、製造コストの低減を図ることができる。
径方向分離規制手段17は、張り出し部20と切り欠き21とを有し、前記切り欠き21に張り出し部20が加締め22により連結されて、隣合う円弧状部材5の端部が径方向に分離することを規制する。このため、特別な部品を追加することなく、加締め22により隣合う円弧状部材5の端部が径方向に分離しないようにできる。加締め22により切り欠き21に張り出し部20が連結された状態においても、被連結部16に対する連結部15の円周方向の相対変位を許容する。よって、径方向分離規制手段17により、フレッティング摩耗防止が阻害されることがない。
円弧状部材5の外径面または内径面のいずれか一方のみ前記加締め22を行うため、加締め加工の工数削減を行うことができ、製造コストの低減を図ることができる。
被連結部16と連結部15間の円周方向すきまδ1が最も詰まったとき、連結部15と被連結部16とが接触する場合と、連結部15の脇の部分23(図12)で接触する場合と、張り出し部20が接触する場合とがあるが、最も幅方向に長い面で接触させるのが良い(図12の場合では符号「23」部分)。最も長い部分で接触させることで、保持器3に負荷されるモーメント荷重が小さく、保持器3の破損を防ぎ、保持器3の挙動が安定する。
連結部15、被連結部16、径方向分離規制手段17の異なる例を以下に示す。
図16および図17に示す保持器3においては、連結部15は、隣合う円弧状部材5における一方の端部に、径方向に見て略T字形状に突出する突出部25を設けたものとしている。被連結部16は、前記隣合う円弧状部材5における他方の端部に、径方向に見て前記略T字形状の突出部25を囲む凹形状部26を設けたものとしている。この凹形状部26の円周方向すきまδ1(円周方向のがた)を介して突出部25を連結している。また、径方向分離規制手段17として、被連結部16に連結部15を連結させた状態で、円弧状部材5の外径面のうち、突出部25と凹形状部26との円周方向の境界付近部を加締め22により塑性変形させることで、隣合う円弧状部材5の円周方向の端部が径方向に分離することを規制する。
図18および図19に示す保持器3においては、連結部15である突出部25を略L字形状に突出するものとし、被連結部16である凹形状部26を前記略L字形状の突出部25を囲むものとしている。また、径方向分離規制手段17として、円弧状部材5の外径面のうち、突出部25と凹形状部26との幅方向の境界付近部を加締め22により塑性変形させることで、隣合う円弧状部材5が径方向に分離することを規制する。
いずれの構成によっても、被連結部16に対して連結部15を円周方向に相対変位させることで、フレッティング摩耗が防止される。この保持器3は組立時においてリング状の1個の部品として取り扱えるため組み立て易い。また、特別な部品を追加することなくフレッティング摩耗を防止し得るため、部品点数が多くならず保持器構造を簡単化し製造コストの低減を図ることができる。
[連結手段が異なる保持器その2]
図20に示す保持器3も、複数(この例では2個)の円弧状部材5(図21)をリング状に連結したものである。各円弧状部材5は、軸方向両端の円弧部5aと、これら両端の円弧部5a間にわたり円周方向の複数個所に設けられた複数の柱部5bとでなり、隣合う一対の柱部5b間にポケット4が形成されている。円弧状部材5の円周方向の端部は柱部半体5bAになっており、隣合う一対の円弧状部材5の柱部半体5bAが組み合わされて柱部5bを構成する。
この保持器3は、円弧状部材5とは別部材からなる連結部材28(図22)により各円弧状部材5を連結する構成であり、連結手段8は、前記連結部材28と、円弧状部材5の前記柱部半体5bAに設けられて連結部材28が嵌り込む連結用溝29とでなる。
図21に示すように、連結用溝29は、柱部半体5bAのポケット4を向く面の軸方向中央部に、径方向の全域にわたって設けられている。柱部半体5bAの外径面および内径面における連結用溝29を含む軸方向箇所は、円周方向の全域にわたる外径面凹部30および内径面凹部31がそれぞれ設けられて、この部分の径方向の肉厚が薄くなっている。この例では、外径面凹部30および内径面凹部31の軸方向範囲は、連結用溝29よりは広く、ポケット4よりは狭い範囲とされている。
図22に示すように、連結部材28は、板状の基部28aと、この基部28aの長手方向の両端から共に同じ方向に屈曲した一対の屈曲部28bと、これら屈曲部28bの先端から内側に折れ曲がり前記基部28aと平行な折曲げ部28cとでなるリップ溝形とされている。連結部材28の軸方向幅は、前記連結用溝29の幅よりも若干狭くしてある。また、一対の屈曲部28b間の距離は、連結用溝29が設けられた軸方向箇所における一対の柱部半体5bAの円周方向幅の和よりも広い。
隣合う一対の円弧状部材5の連結状態において、連結部材28の一対の屈曲部28bが両円弧状部材5の柱部半体5bAの連結用溝29にそれぞれ嵌り込んで、両円弧状部材5を連結する。上記のように一対の屈曲部28b間の距離が設定されているため、屈曲部28bと柱部半体5bA間、および一対の柱部半体5bA間に円周方向のすきまがあり、両円弧状部材5は互いに円周方向に相対変位可能である。また、連結部材28の基部28aと折曲げ部28cとが一対の柱部半体5bAを径方向の内外から挟み込んで、両円弧状部材5を径方向に分離不可能に連結する。連結部材28は、自身の弾性変形を利用して、上記のように連結用溝29に嵌め込まれる。
この保持器3の構成によれば、単純な形状の連結用溝29に簡素な形状の連結部材28を嵌め込んで隣合う一対の円弧状部材5を連結するため、その組立てが容易である。柱部半体5bAの外径面凹部7および内径面凹部30に連結部材28の基部28aおよび屈曲部28cがそれぞれ嵌り込むので、柱部半体5bAの外径面および内径面よりも連結部材28が外径側および内径側に突出しない。
このように、隣合う一対の円弧状部材5の互いに対向する円周方向の端部同士を、円弧状部材5とは別部材からなる連結部材28により、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する。連結部材28を用いることで、円弧状部材5については、連結用手段8として連結用溝29、外径面凹部30、および内径面凹部31の簡単な加工をするだけで済む。連結部材28も簡単な形状である。そのため、軸受構造を簡単化して製作コストの低減を図ることができる。
図23は、円弧状部材とは別部材からなる連結部材により各円弧状部材を連結する構成の保持器の別例である。この保持器3が前記例と異なる点は、隣合う一対の円弧状部材5の柱部半体5bA同士を連結部材28により連結するのではなく、隣合う一対の円弧状部材5(図24)の互いに対向する円周方向の端部における軸方向の端部同士を連結部材30(図25)により連結することである。この例では、隣合う一対の円弧状部材5の互いに対向する円弧部5aの端部同士を連結する。
この保持器3の連結手段8は、前記連結部材30と、円弧部5aの円周方向の端部におけるポケット4を向く面に径方向の全域にわたって設けられ記連結部材30が嵌り込む連結用溝31(図24)とでなる。円弧部5aの外径面および内径面における連結用溝31の円周方向位置から円周方向端にかけて、外径面凹部32および内径面凹部33がそれぞれ設けられて、この部分の肉厚が薄くなっている。これら連結用溝31、外径面凹部32、および内径面凹部33は、軸方向の両端に設けられている。この例では、柱部半体5bAも、円弧部5aの外径面凹部13および内径面凹部14の箇所と同じ肉厚とされている。
図25に示すように、連結部材30は、円弧部5aの円周方向の端部の外径面に沿う円弧状の基部30aと、この基部30aにおける両円周方向端からそれぞれ略直角方向に屈曲して突出した一対の屈曲部30bと、各屈曲部30bの先端から折れ曲がり前記基部30aと平行な一対の折曲げ部30cとでなる。一対の屈曲部30bの内端間の距離A1は、円弧状部材5の円周方向端から連結用溝31までの最短の円周方向距離B1(図24)の2倍よりも広く、かつ一対の屈曲部30bの外端間の距離A2は、円弧状部材5の円周方向端から連結用溝31までの最長の円周方向距離B2(図24)の2倍よりも狭くしてある。
隣合う一対の円弧状部材5の連結状態において、連結部材30の一対の屈曲部30bが一対の円弧状部材5の各連結用溝31にそれぞれ嵌り込んで、両円弧状部材5を連結する。上記のように一対の屈曲部30b間の距離が設定されているため、屈曲部30bの内面と連結用溝31の壁面間、および一対の円弧状部材5間に円周方向のすきまがあり、両円弧状部材5は互いに円周方向に相対変位可能である。また、連結部材30の基部30aと折曲げ部30cとで一対の円弧状部材5の各円弧部5aを径方向の内外から挟み込んで、両円弧状部材5を径方向に分離不可能に連結する。この連結部材30による一対の円弧状部材5の連結は、軸方向の両端で行う。
この保持器3の構成によれば、単純な形状の連結用溝31に簡素な形状の連結部材30を嵌め込んで隣合う一対の円弧状部材5を連結するため、その組立てが容易である。円弧部5aの外径面凹部32および内径面凹部33に連結部材30の基部30aおよび屈曲部30cがそれぞれ嵌り込むので、円弧部5aの外径面および内径面よりも連結部材30が外径側および内径側に突出しない。
このように、この保持器3も、隣合う一対の円弧状部材5の互いに対向する円周方向の端部同士を、円弧状部材5とは別部材からなる連結部材30により、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する。連結部材30を用いることで、円弧状部材5については、連結用手段として連結用溝31、外径面凹部32、および内径面凹部33の簡単な加工をするだけで済む。連結部材30は簡単な形状である。そのため、軸受構造を簡単化して製作コストの低減を図ることができる。
図23〜図25の図例では、円弧状部材5の円弧部5aのポケット4を向く面に連結用溝31が設けられているが、円弧部5aの軸方向外面に連結用溝(図示せず)を設け、この連結用溝を用いて連結部材(図示せず)により一対の円弧状部材5を連結してもよい。
[連結手段が異なる保持器その3]
図26に示す保持器3も、複数(この例では2個)の円弧状部材5をリング状に連結したものである。各円弧状部材5は、軸方向両端の円弧部5aと、これら両端の円弧部5a間にわたり円周方向の複数個所に設けられた複数の柱部5bとでなり、隣合う一対の柱部5b間にポケット4が形成されている。円弧状部材5の円周方向の一方の端部には、内径側部分を切り欠いて段差形状に形成した外径側重ね部35が設けられ、もう一方の端部には、外径側部分を切り欠いて段差形状に形成した内径側重ね部36が設けられている。これら外径側重ね部35および内径側重ね部36には、両重ね部35,36を径方向に重ね合わせた状態で前記ポケット4となるポケット用開口4A,4Bがそれぞれ設けられている。
外径側重ね部35のポケット用開口4Aの外径縁および内径側重ね部36のポケット用開口4Bの内径縁には、円周方向の内側に突出する抜け止め9がそれぞれ設けられている。これら抜け止め9により、ポケット4内のころ2が外径側および内径側へ脱落するのが阻止される。円周方向に対向する一対の抜け止め9間の距離aはころ2の直径Dよりも僅かに狭い程度であり、ころ2は抜け止め9の弾性変形を利用してポケット4内に嵌め込まれる。図例では、ポケット用開口4A,4Bで構成されるポケット4にだけ抜け止め9が設けられているが、他のポケット4にも同様の抜け止め9を設けてよい。
この保持器3は、図27のように、隣合う一対の円弧状部材5の外径側重ね部35と内径側重ね部36とを径方向に重ね合わせ、両重ね部35,36のポケット用開口4A,4Bで構成されるポケット4にころ2を収納することにより、隣合う一対の円弧状部材5が互いに円周方向に対して非分離に連結される。外径側重ね部35と内径側重ね部36とは互いに摺動自在であり、隣合う一対の円弧状部材5は、ポケット4の円周方向幅bところ2の直径Dの差の範囲内で、互いに円周方向に対して相対変位可能である。すなわち、隣合う一対の円弧状部材5が、互いの間にころ2を介在させることによって、円周方向に対して非分離かつ相対変位可能に連結される。
このように、各円弧状部材5は、円周方向の両端に外径側重ね部35および内径側重ね部36をそれぞれ別々に設け、これら外径側重ね部35および内径側重ね部36にポケット用開口4A,4Bを設けただけの簡素な構造である。外径側重ね部35および内径側重ね部36は段差形状であって、削り取り加工やプレス加工等により容易に加工することができる。また、隣合う一対の円弧状部材5は、互いの間にころ2を介在させることにより、別部材を用いることなく連結することができる。そのため、軸受構造を簡単化して製作コストの低減を図ることができる。さらに、円弧状部材5の円周方向の両端に外径側重ね部35と内径側重ね部36とを別々に設けたことにより、保持器3を構成する各円弧状部材5を同形状とすることができる。それにより、部品の種類を低減できる。
図28および図29のように、円弧状部材5の円周方向の一方の端部に、外径側部分および内径側部分を段差形状に切り欠いて形成された中央重ね部37を設け、もう一方の端部に、径方向の中央部を溝状に切り欠いて形成した一対の両側重ね部38を設けた構成としてもよい。これら中央重ね部37および一対の両側重ね部38には、両側重ね部38で中央重ね部37を挟み込むように各重ね部37,38を径方向に重ね合わせた状態で前記ポケット4となるポケット用開口4C,4Dをそれぞれ設ける。
この保持器3は、隣合う一対の円弧状部材5の中央重ね部37と両側重ね部38とを前記のように径方向に重ね合わせ、各重ね部37,38のポケット用開口4C,4Dで構成されるポケット4にころ2を収納することにより、隣合う一対の円弧状部材5が互いに円周方向に対して非分離に連結される。中央重ね部37と両側重ね部38とは互いに摺動自在であり、隣合う一対の円弧状部材5は、ポケット4の円周方向幅bところ2の直径Dの差の範囲内で、互いに円周方向に対して相対変位可能である。すなわち、隣合う一対の円弧状部材5が、互いの間にころ2を介在させることによって、円周方向に対して非分離かつ相対変位可能に連結される。さらに、この保持器3は、隣合う一対の円弧状部材5の連結部において、一対の両側重ね部38が中央重ね部37を挟み込んだ状態となっているため、両円弧状部材5が径方向に分離することを確実に阻止することができる。そのため、転がり軸受1の組込み作業がより一層容易である。
保持器3は樹脂製であってもよい。樹脂製保持器の材料としては、例えば、46ナイロンや66ナイロン等のポリアミド系樹脂、PPS(ポリフェレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の射出成形可能な樹脂が用いられる。
上記各実施形態の転がり軸受1は軸受形式が保持器付きころであるが、例えば、図31のように、外輪53および内輪54を備えた軸受形式としてもよい。図31は、図1〜図6の実施形態の変形例である。図11以下で示す他の実施形態についても、同様に外輪53および内輪54を備えた軸受形式としてよい。
1…転がり軸受
2…ころ(転動体)
3…保持器
4…ポケット
4A,4B,4C,4D…ポケット用開口
5…円弧状部材
5´…樹脂製の円弧状部材
5a…円弧部
5b…柱部
5bA…柱部半体
6…溝部
7…止め輪
8…連結部材
10…緩衝部材
11…緩衝部
15…連結部
16…被連結部
17…径方向分離規制手段
28…連結部材
28a…基部
28b…屈曲部
28c…折曲げ部
29…連結用溝
35…外径側重ね部
36…内径側重ね部
37…中央重ね部
38…両側重ね部
40…外径側部材
40a…扇形部
40b…突起部
41…内径側部材
42…対向面
50…トランスミッション
51…アイドラギア
PCD…ころ配列のピッチ円径

Claims (13)

  1. 複数の転動体収納用のポケットを備えた複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器を用いた転がり軸受において、
    前記保持器の隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段を設け、前記円弧状部材の円周方向の端面に、互いに対向する端面における両方またはいずれか一方につき、円周方向の弾性を有する緩衝部を設けたことを特徴とする転がり軸受。
  2. 請求項1において、前記円弧状部材は金属製であり、前記緩衝部はゴム製の別部材からなる転がり軸受。
  3. 請求項1において、前記ポケットに収納される転動体は、外径側部材の内径面と内径側部材の外径面間に介在し、前記複数の円弧状部材は金属製のものと樹脂製ものとを有し、金属製の円弧状部材と樹脂製の円弧状部材の円周方向の端面同士が対向するように各円弧状部材を配置し、前記樹脂製の円弧状部材の円周方向の端部が前記緩衝部になる転がり軸受。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記ポケットに収納される転動体は、外径側部材の内径面と内径側部材の外径面間に介在し、前記複数の円弧状部材のうち少なくとも一つは他の円弧状部材よりも重量が重い転がり軸受。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記ポケットに収納される転動体は、外径側部材の内径面と内径側部材の外径面間に介在し、前記複数の円弧状部材のうち少なくとも一つは、円周方向両端に位置する2個のポケット間の保持器中心から見た角度を、前記外径側部材、内径側部材、および転動体が一体に回転する同期回転時において負荷荷重がかからない領域である非負荷領域の保持器中心から見た角度よりも小さくした転がり軸受。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記転動体がころである転がり軸受。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記円弧状部材は、軸方向に並ぶ互いに平行な一対の円弧部と、これら一対の円弧部間にわたり円周方向の複数個所に設けられた柱部とを有し、隣合う一対の柱部間が前記ポケットとされたものであり、前記連結手段を、前記円弧部の外径面に形成された円周方向に延びる溝部と、各円弧状部材の前記溝部に嵌め込んだ止め輪とで構成した転がり軸受。
  8. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記連結手段は、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部にそれぞれ設けられて、互いに係合させた状態で円周方向の重なり部分を持つ連結部と被連結部とを有し、これら連結部と被連結部を互いに係合させることで、前記端部同士を円周方向に相対変位可能に連結する転がり軸受。
  9. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記円弧状部材は、円周方向の端部に柱部半体を有し、この柱部半体は、隣合う一対の円弧状部材を連結した状態において両円弧状部材の柱部半体により、保持器におけるポケット間の部分である柱部を構成するものであり、
    前記連結手段は、前記柱部半体の前記ポケットを向く面に径方向の全域にわたって設けられた連結用溝と、前記円弧状部材とは別部材である連結部材とでなり、この連結部材は、基部と、この基部の両端から共に同じ方向に屈曲した一対の屈曲部と、これら屈曲部の先端から内側に折れ曲がり前記基部と平行な折曲げ部とを有し、
    隣合う一対の円弧状部材の連結状態において、前記連結部材の一対の屈曲部が前記一対の柱部半体の前記連結用溝に嵌り込んで、両円弧状部材を円周方向に相対変位可能に連結し、かつ前記連結部材の基部と屈曲部とで前記一対の柱部半体を径方向の内外から挟み込んで、両円弧状部材を径方向に分離不可能に連結する転がり軸受。
  10. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記保持器は、前記連結手段として、隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部に、互いに摺動自在に径方向に重ね合わされる外径側重ね部および内径側重ね部をそれぞれ別々に設け、これら外径側重ね部および内径側重ね部に互いに径方向に重ね合わせることで前記ポケットとなるポケット用開口をそれぞれ設けたものであり、
    前記外径側重ね部と内径側重ね部とを互いに径方向に重ね合わせ、これら両重ね部の前記ポケット用開口で構成されたポケットに前記転動体を収納することで、両円弧状部材を互いに円周方向に対して非分離かつ相対変位可能に連結した転がり軸受。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、自動車用トランスミッションのアイドラギアを支持する軸受である転がり軸受。
  12. 複数の転動体収納用のポケットを備えた複数の円弧状部材をリング状に連結してなる保持器において、
    隣合う一対の円弧状部材の互いに対向する円周方向の端部同士を、互いに円周方向に相対変位可能かつ径方向に分離不可能に連結する連結手段を設け、前記円弧状部材の円周方向の端面に、互いに対向する端面における両方またはいずれか一方につき、円周方向の弾性を有する緩衝部を設けたことを特徴とする保持器。
  13. 請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の転がり軸受を用いたトランスミッション。
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