WO2013175842A1

WO2013175842A1 - 車室の内外の通気構造

Info

Publication number: WO2013175842A1
Application number: PCT/JP2013/057804
Authority: WO
Inventors: 岡田　浩幸
Original assignee: トヨタ車体株式会社
Priority date: 2012-05-25
Filing date: 2013-03-19
Publication date: 2013-11-28
Also published as: JP2013244849A; JP5895298B2

Abstract

　車室の壁部（２）を構成するアウタパネル（１０）およびインナパネル（１１）と、このアウタパネル（１０）とインナパネルとの間に介在してそのアウタパネル（１０）とインナパネル（１１）との間の空間を外側と内側の（２）室に区画するリインフォース（１２）とを備えた、車室の内外を通気する構造。この構造はまた、前記アウタパネル（１０）に取り付けられて前記の外側の区画（１３）を車室外と連通する通気ダクト（１５）と、前記リインフォース（１２）に設けられた前記外側と内側の区画（１４）を連通する排気口（１２ａ）と、前記インナパネル（１１）に設けられた通気口とを備えており、前記排気口（１２ａ）はこの通気ダクト（１５）よりも下方でかつ前記通気口よりも下方に設けられている。

Description

車室の内外の通気構造

　この発明は、車室の内外を通気する構造に関する。

　キャビンへの乗降用のドアの特に閉じ操作がスムーズになされるようにするために、通常ドア開口部の後部を構成するリヤクォータパネルの後面にキャビン内外間で通気を行うための通気ダクトが設けられている。このような通気構造に関する技術が特開２００１－１３０２４３号公報に開示されている。

　図６および図７に示すように通気ダクト３０は、キャビン１のリヤクォータパネル２の後面に設けられている。図９および図１０に示すように、リヤクォータパネル２はアウタパネル３とインナパネル４とからなる閉断面構造を備えており、これらの間には補強用のリインフォース５が介在している。通気ダクト３０の本体３２（図８参照）はアウタパネル３の開口部３ａに取り付けられている。本体３２は開口部３ａを経てリインフォース５を突き抜けた状態となっている。リインフォース５の車室内側は、インナパネル４に設けた通気口６を経て車室内に連通している。通気口６、リインフォース５の内側および通気ダクト３０を経てキャビン１の車室内と車室外との間で通気がなされるので、ドア７（図６参照）の特に閉じ操作を小さな操作力で楽に行うことができるようになっている。

　このように、通気ダクト３０の本体３２を通してリインフォース５の内側が車室外と短絡的に繋がった状態となっている。車室の外部からアウタパネル３の外面の外部カバー３１と通気ダクト３０の本体３２とを経て、雨水等の水がアウタパネル３の内側まで浸入することがある。このため、本体３２がリインフォース５から突き出た部分に内部カバー３３を取り付けて、シートベルトリトラクタ３５に水が掛かるのを防止する必要がある。

　通気ダクト３０の本体３２は、図８に示すようにゴムシート材等からなる通気経路開閉用のバタフライ弁３２ａを備えていることがある。バタフライ弁３２ａからは車両走行中等にばたつき音が発生しうる。このため、リインフォース５内に突き出た本体３２の先端に内部カバー３３を取り付けて、バタフライ弁３２ａのばたつき音が車室内まで届かないように遮音する必要もある。

　このように、通気ダクト３０の本体３２がリインフォース５の車室内側まで突き出ていると、遮音または防水のために内部カバー３３を取り付ける必要があり、この点で部品点数およびコストが嵩む。遮音性等の機能を損なうことなく通気ダクトの部品点数を削減し、またそのコストを低減することが望まれる。

　本発明のひとつの観点からは、車室の壁部を構成するアウタパネルおよびインナパネルと、このアウタパネルとインナパネルとの間に介在してそのアウタパネルとインナパネルとの間の空間を外側と内側の２室に区画するリインフォースとを備えた、車室の内外を通気する構造が得られる。この構造はまた、前記アウタパネルに取り付けられて前記の外側の区画を車室外と連通する通気ダクトと、前記リインフォースに設けられた前記外側と内側の区画を連通する排気口と、前記インナパネルに設けられた通気口とを備えており、前記排気口はこの通気ダクトよりも下方でかつ前記通気口よりも下方に設けられている。

　これによれば、通気ダクトを経て浸入した雨水等の水が内側の区画内に入らないようにリインフォースで防いだり、通気ダクトから発生しうる騒音をリインフォースで遮音したりすることができる。このため、内側の区画内に遮音や防水のためのカバーを設ける必要がない。

本発明の実施態様によるキャビン右側のリヤクォータパネルを車室内から見た側面図である。図１のリヤクォータパネルに設けられた通気構造のＩＩ－ＩＩ線での垂直断面図である。図１のリヤクォータパネルのＩＩＩ－ＩＩＩ線での水平断面図である。図１のリヤクォータパネルのＩＶ－ＩＶ線での水平断面図である。図１のリヤクォータパネルに設けられた排水口を矢印Ｖ方向に見た図である。従来の通気構造を有する貨物車両のキャビン右側の壁部を車室内から見た側面図である。図６のキャビン右側の後面図である。図６の通気ダクトの分解斜視図である。図６のリヤクォータパネルのＩＸ－ＩＸ線での水平断面図である。図６のリヤクォータパネルのＸ－Ｘ線での水平断面図である。

　次に、本発明の各種実施態様を、図１から図５までを参照しながら説明する。図１は車両のキャビン１右後の壁部を構成するリヤクォータパネル２の例が示されている。このリヤクォータパネル２は、図３および図４に示すようにアウタパネル１０とインナパネル１１とがその周縁でヘミング加工等によって一体化された概して閉断面の構造を有している。このリヤクォータパネル２には、ドア（図示せず）を閉じる際に車室内（キャビン１の内部）の空気を外部へ逃がして操作を楽に行うための通気構造を備えている。なお本発明の実施態様は、セダン形あるいはワンボックス形の乗用車や、ピックアップを含む貨物車両等、各種形態の車両に広く適用することができる。また、実施態様はリヤクォータパネル以外の壁部を構成する部材に適用することもできる。以下では車両の右側の構造を説明するが、左側にも対称に設けることができる。

　図２に示すように、アウタパネル１０とインナパネル１１との間には、構造補強用の板状のリインフォース１２が介装されている。アウタパネル１０とインナパネル１１の間に形成される上下に長い空間は、このリインフォース１２によって外側と内側に区画されている。アウタパネル１０には、図３に示すように外側の区画１３を外部と連通させる通気ダクト１５が取り付けられている。この通気ダクト１５の本体１５ｂは、アウタパネル１０の開口部１０ａから内方に向けて取り付けられている。本体１５ｂは、リインフォース１２に干渉しない範囲で外側の区画１３内に突き出している。この本体１５ｂ内部には、複数枚のゴムシート状のバタフライ弁が通気経路を開閉可能に設けることもできる。また、通気ダクト１５はアウタパネル１０の外面に取り付けられた主として意匠を提供する外部カバー１５ａを備えている。

　インナパネル１１には通気口１１ａが設けられている。この通気口１１ａを経て内側の区画１４が車室内と連通している。図４に示すように、リインフォース１２によって区画された内側の区画１４内にはシートベルト１６ａを巻き取るシートベルトリトラクタ１６を配設することができる。通気口１１ａは、シートベルトリトラクタ１６に対向する部位に設けてもよい。シートベルトリトラクタ１６はインナパネル１１とリインフォース１２のいずれに取り付けてもよい。シートベルトリトラクタ１６は通気ダクト１５より下方に設けてもよい。場合によってはシートベルトリトラクタは別の部位に配置することもできる。シートベルト１６ａは、図２に示すようにインナパネル１１を通して車室内に引き出されている。場合によっては、通気口１１ａを通してシートベルト１６ａを車室内に引き出すこともできる。引き出されたシートベルト１６ａの先端は、通気口１１ａの下方においてインナパネル１１に結合されている。

　図２に示すようにリインフォース１２の下部には、排気口１２ａを設けることができる。この排気口１２ａを経て、外側の区画１３と内側の区画１４が連通される。排気口１２ａは、通気ダクト１５より下方に設けることが好ましい。車室内と車室外との間の通気経路はリインフォース１２の下部の排気口１２ａを経由する。したがって、車室内から通気口１１ａに入った空気は、図２に白抜きの矢印で示すように内側の区画１４を下方に流れ、排気口１２ａを経て外側の区画１３を上昇し、通気ダクト１５を経て車室外に出る。排気口１２ａは、シートベルトリトラクタ１６よりも下方に設けることが好ましい。

　リヤクォータパネル２の下端部であってアウタパネル１０とインナパネル１１とのヘミング部２ａに排水口１７が設けられている。通気ダクト１５を経て外側の区画１３内に侵入した雨水等の水は、滴下した後、この排水口１７から外部に排水される。排水口１７は、例えば図５に示すようにインナパネル１１の下縁を内方にトンネル状に屈曲させてアウタパネル１０との間に隙間を形成することにより設けることができる。排水口１７には別途排水パイプ等を用いることもできる。

［実施態様の有利な効果］
　本発明の実施態様によれば、以下のような有利な効果が得られる。リヤクォータパネル２を構成するアウタパネル１０とインナパネル１１との間の空間部がリインフォース１２で区画されており、通気ダクト１５は外側の区画１３に取り付けられ、内側の区画１４に通気口１１ａが設けられている。このことから、外側の区画１３に取り付けられた通気ダクト１５は、短絡的に内側の区画１４に繋がっているのではなく、外側の区画１３に繋がっており、リインフォース１２に設けられた排気口１２ａを経て間接的に内側の区画１４に繋がっている。

　このことから、リインフォース１２が防水カバーとして機能して、外部から通気ダクト１５を経て外側の区画１３内に浸入した雨水等の水が、内側の区画１４に設けられたシートベルトリトラクタ１６や車室内まで入ってくるのを防ぐことができる。内側の区画１４内に防水のための内部カバー３３を設ける必要はない。また、通気ダクト１５の本体１５ｂにバタフライ弁が設けられている場合には、車両走行時等に本体１５ｂのバタフライ弁のばたつき音等の騒音が生じうる。このような騒音もリインフォース１２によって遮音されて直接車室内へは伝わりにくい。内側の区画１４内に遮音のための内部カバー３３を設ける必要がない。したがって、部品点数の削減およびコストの低減を図ることができる。

　さらに、内側の区画１４内にシートベルトリトラクタ１６が内装されており、排気口１２ａがこのシートベルトリトラクタ１６よりも下方に設けられている。このことからシートベルトリトラクタ１６に対してより一層高い防水性能を持たせることができる。

　また、リヤクォータパネル２の下部に排水口１７が設けられている。このため、通気ダクト１５を経て外側の区画１３内に侵入した雨水等の水を、この排水口１７を経て外部に確実に排水させることができる。図５に示すようにインナパネル１１の下縁をトンネル状に膨らませてアウタパネル１０との間に外部へ通じる隙間を形成すれば、別途排水パイプのような特別な部材を追加することなく排水口１７を設けることができる。この点でも部品点数の削減および低コスト化を図ることができる。

　本発明の実施態様を具体的な形態に触れつつ説明したが、当業者であれば本発明の目的を逸脱せずに多くの置換、改良、変更が可能であることは明らかであろう。すなわち、本発明の実施態様は添付した特許請求の範囲の真意と目的に相当し得るあらゆる置換、改良、変更を含むことを意図するものである。

Claims

　車室の内外を通気する構造であって、
　車室の壁部を構成するアウタパネルおよびインナパネルと、
　このアウタパネルとインナパネルとの間に介在してそのアウタパネルとインナパネルとの間の空間を外側と内側の２室に区画するリインフォースと、
　前記アウタパネルに取り付けられて前記の外側の区画を車室外と連通する通気ダクトと、
　前記リインフォースに設けられた前記外側と内側の区画を連通する排気口と、
　前記インナパネルに設けられた通気口とを備えており、
　前記排気口がこの通気ダクトよりも下方でかつ前記通気口よりも下方に設けられている、構造。
　請求項１に記載の通気構造であって、前記内側の区画内にシートベルトリトラクタが設けられており、前記排気口がこのシートベルトリトラクタよりも下方に設けられている、構造。
　請求項１または請求項２に記載の通気構造であって、前記通気ダクトを経て前記外側の区画内に浸入した雨水等の水が排水される排水口を前記壁部の下端部に備える、構造。
　請求項３に記載の通気構造であって、前記の排水口が前記インナパネルとアウタパネルの一方または両方を屈曲させることでそれらの間に設けられた隙間で構成される、構造。