WO2013058257A1

WO2013058257A1 - 冷却貯蔵庫の扉装置

Info

Publication number: WO2013058257A1
Application number: PCT/JP2012/076770
Authority: WO
Inventors: 佐伯　龍雄; 晋也谷川; 陶山　富夫; 山本　剛一
Original assignee: ホシザキ電機株式会社
Priority date: 2011-10-18
Filing date: 2012-10-17
Publication date: 2013-04-25

Abstract

　断熱箱体からなる貯蔵庫本体１０に設けられた前面開口部１３には、左右一対の断熱扉１５が観音開き式の揺動開閉可能に設けられる。各断熱扉１５の庫内側の面における４周縁にはパッキン３０が装着されているとともに、各断熱扉１５の相手側と対向した側面１５Ａの庫内側の角部付近には、庫内側の面からリップ４５を相手側に向けて互いに重ね合わせ可能に張り出し形成したセンタシール４０が保持部材５０を介して全高に亘って装着されている。このセンタシール４０と、パッキン３０のうち断熱扉１５の揺動端に縦向きに配されたパッキン３０Ａとが、庫内側の面同士をほぼ面一とした形態で横方向に密着して並んで配されている。

Description

冷却貯蔵庫の扉装置

　本発明は、ワイドスルー形式の冷却貯蔵庫の扉装置に関する。

　この種の冷却貯蔵庫の扉装置の一例として下記特許文献１に記載のものが知られており、具体的には、貯蔵庫本体の前面開口部に左右一対の断熱扉が観音開き式の開閉可能に設けられ、各断熱扉の裏面における揺動支点側の側縁並びに上下両側縁に亘って第１パッキンがコ字形の配置で装着される一方、各断熱扉の揺動端側の側縁には上下方向に延びた第２パッキンが設けられた構造である。そして、両断熱扉の閉鎖時には、両第１パッキンが貯蔵庫本体の前面開口部の口縁の全周に亘って密着して同前面開口部をシールするとともに、両第２パッキン同士が密着し合うことにより両断熱扉間がシールされるようになっている。

特開２００１－１９４０５０号公報

（発明が解決しようとする課題）
　上記従来のものでは、第２パッキンが対向する方向に押し付け合う構造で同方向に動き代が必要であることから、コ字形をなす第１パッキンの上下の端部との間に隙間ができ、その隙間を塞ぐべく別途手段を講ずることが必要であるために、構造が複雑化するきらいがあり、その改良が切望されていた。
　本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、ワイドスルー形式の扉装置において、簡単な構造に留めた上で前面開口部の全周に亘って確実にシールを取るところにある。

（課題を解決するための手段）
　本発明の冷却貯蔵庫の扉装置は、断熱箱体からなる貯蔵庫本体に設けられた前面開口部には、左右一対の断熱扉が観音開き式の揺動開閉可能に設けられ、前記各断熱扉の庫内側の面における４周縁にはパッキンが装着されているとともに、各断熱扉の相手側と対向した側面の庫内側の角部付近には、庫内側の面からリップを相手側に向けて互いに重ね合わせ可能に張り出し形成したセンタシールが保持部材を介して全高に亘って装着され、このセンタシールと、前記パッキンのうち前記断熱扉の揺動端に縦向きに配されたパッキンとが、庫内側の面同士をほぼ面一とした形態で横方向に密着して並んで配されているところに特徴を有する。

　両断熱扉の閉鎖時には、前面開口部の口縁については、左右の縦縁には各パッキンの縦縁が密着し、また上下の横縁には、両端から中央に向けて順次に、各パッキンの横縁、縦縁の上下の端部及びリップを含むセンタシールの上下の端部が連続して密着することにより、口縁の全周に亘ってシールされるとともに、両断熱扉の間は、各センタシールのリップ同士が重ね合わされることによってシールされる。
　各断熱扉の庫内側の面における揺動端側の縦縁にも敢えて他の三縁辺と同じパッキンを装着した上で、同パッキンと面一に並べてセンタシールを装着しただけの簡単な構造で以て、各断熱扉における揺動端側の角部のシールを確実に取ることができる。

　また、以下のような構成としてもよい。
　（１）前記保持部材は、その庫内側の側縁部が前記断熱扉の裏面から突出した構造であって、この保持部材には、相手の保持部材との対向面に縦向きの取付溝が形成され、前記センタシールはその基端側が前記取付溝に対し同取付溝の正面から挿入されることで装着されるようになっているとともに、前記保持部材の上下両端部における庫内側の部分が切除されて、前記センタシールの上下の端部が庫内側に露出して配設され、この露出した前記センタシールの上下の端部が、前記断熱扉の揺動端に縦向きに配された前記パッキンの上下の端部と、庫内側の面同士をほぼ面一とした形態で横方向に密着して並んで配されている。

　センタシールを保持部材に装着する部分の構造は、センタシールの基端側を、保持部材の対向面に形成された縦向きの取付溝に対し同取付溝の正面から挿入するようになっているから、センタシールの着脱作業を容易に行うことができ、かつ作業スペースも少なくて済む。
　ここで保持部材について、センタシールを正面から挿入できるような縦向きの取付溝を対向面に形成するためには、保持部材の庫内側の側縁部を突出させた構造とするのが好ましいが、その場合は、保持部材の上下の端部の位置は、前面開口部の上下の横縁と干渉しない位置に留める必要があり、そうすると、特に両保持部材の上下の位置、言い換えると前面開口部における上下の横縁の中央部で冷気洩れが生じるおそれがある。

　そこで本発明では、保持部材の上下の端部を、前面開口部の上下の横縁と対向する位置まで延ばし、ただし、同保持部材の延ばされた上下の端部では庫内側の部分が切除されて、センタシールの上下の端部が庫内側に露出し、かつ断熱扉の揺動端に縦向きに配されたパッキンの上下の端部と、庫内側の面同士をほぼ面一とした形態で横方向に密着して並んだ形態で配している。
　これにより断熱扉の閉鎖時において、前面開口部の上下の横縁の中央部では、縦向きの両パッキンの上下の端部と、両センタシールの上下の端部とが連続して密着して、隙間無くシールされる。

　（２）前記センタシールにおける露出した上下の端部の裏面側には、弾性変形可能なクッションが介装されている。
　閉扉時には、センタシールの上下の端部が、前面開口部と、保持部材の取付溝における庫外側の溝面との間で挟圧されることになるが、クッションで吸収されることにより、センタシールの上下の端部が圧潰されることから防がれる。

　（３）前記センタシールは厚さ方向に弾性変形可能となっている。
　センタシールの上下の端部がパッキンとともに前面開口部に押し付けられた場合に、ともに厚さ方向に弾性変形することでパッキンとセンタシールの側面同士がより密着し、シール性がさらに高められる。

　（４）前記センタシールにおける前記保持部材に対する被固定部が、幅方向における前記リップの張り出し方向とは反対側の端部寄りの位置に設けられている。
　閉扉状態から、特にリップが裏側に重ねられた方の断熱扉のみが開放されると、同リップが変形しつつ表側のリップの張り出し端を通過しながら同断熱扉が開かれるのであるが、センタシールにおけるリップから離れた位置が保持部材に固定されているから、リップからセンタシールにおける被固定部までの広い領域が少しずつ変形することとなり、いわゆる腰の弱い状態とされる。そのため相手のリップを押しつつ相手の断熱扉を一緒に開けてしまうことが防止され、また、リップ等に部分的に過負荷が掛かることが回避できて、耐久性を向上させることができる。

　（５）前記保持部材が、前記断熱扉の側面に当てられて取り付けられる取付板と、同取付板の庫内側の端縁から相手の断熱扉側に向けて曲げ形成された装着板とを備えて形成され、前記装着板の表面側に前記センタシールが装着されており、かつ、前記装着板の裏面側にはヒータが配設されているとともに、前記保持部材における相手の断熱扉と対向した開口面には蓋体が着脱可能に装着されている。
　ヒータにより装着板を介してセンタシールが加熱されることで、センタシールにおける外気に晒される部分やリップに対する結露が防止される。ヒータの交換等は、蓋体を外して保持部材内を開放することで容易に行うことができる。

　（６）前記センタシールと前記蓋体とは、前記保持部材に長さ方向に沿って設けられた取付溝に嵌められてスライド形式での着脱が可能であり、かつ前記保持部材の上下の開口面を塞ぐ蓋板が設けられている。
　センタシールの配設部分の組み付けは、断熱扉に保持部材の取付板を固定したのち、センタシールをスライド装着するとともにヒータを装着し、続いて蓋体をスライド装着したのち最後に上下の開口面に蓋板を被着する。センタシールやヒータを交換する場合は、上下いずれか一方の蓋板を外すことで対応が可能である。センタシールの配設部分の組み付け作業や、センタシールやヒータの交換作業を簡単に能率良く行うことができる。

　（７）前記ヒータのリード線が、前記断熱扉の内部に設けられた配線管路から同断熱扉の側面に形成された挿通孔と、前記断熱扉の側面に重ねられた前記保持部材の前記取付板に形成された挿通孔とを通って引き出されるようになっており、前記断熱扉の側面の前記挿通孔よりも前記取付板の前記挿通孔の方が、軸線が下側にオフセットした形態で配されている。
　仮に保持部材内に浸水して取付板に沿って水分が流下し、取付板の挿通孔の下縁に溜まったとしても、断熱扉の側面に開口された挿通孔の下縁の方が高い位置にあることで、同断熱扉の側面の挿通孔から内部に浸水することが回避される。断熱材の劣化が防止されて長時間に亘る断熱機能が担保される。

　（８）前記各断熱扉の側面に設けられた前記保持部材の前記蓋体には、幅方向における前記装着板側の端部寄りの位置に、互いに突き合うようにして突条が設けられている。
　閉扉時において、重なり合ったリップと両突条との間でヒータの熱が閉じ込められた形態となり、ここが断熱空間として機能して、センタシールにおける外気に晒される部分やリップに対する結露がより確実に防止される。

　（９）前記センタシールの庫内側の面における前記リップが張り出した側とは反対側の端部からは、同センタシールと並んだ前記縦向きのパッキンの表面上に重なるサブリップが張り出し形成されている。並んだパッキンとセンタシールとが隙間無く繋がれ、シール性の向上に有効となる。

（発明の効果）
　本発明によれば、ワイドスルー形式の扉装置において、簡単な構造に留めた上で前面開口部の全周に亘って確実にシールを取ることができる。

本発明の実施形態１に係る冷蔵庫の正面図同一部切欠平面図同底面図図２のIV部の拡大断面図図３のＶ部の拡大図センタシールの配設部分における開蓋状態の斜視図その閉蓋状態の斜視図センタシールの配設部分における上側の蓋板の開蓋状態の平面図その閉蓋状態の平面図断熱扉におけるセンタシールを除去した状態の裏面側から視た一部切欠斜視図断熱扉の裏面側から視た一部切欠斜視図ヒータのリード線の配線経路を示す断熱扉の断面図その配線経路の出口付近の拡大図実施形態２に係る閉扉状態の部分断面図実施形態３に係る閉扉状態の部分断面図実施形態４に係る断熱扉の裏面側から視た一部切欠斜視図閉扉状態の部分断面図保持部材の端部構造を示す斜視図センタシールの組付動作を示す分解斜視図クッションの配設構造を示すコーナキャップを外した状態の部分平面図

　＜実施形態１＞
　本発明の実施形態１を図１ないし図１３によって説明する。この実施形態では、ワイドスルー形式の横型冷蔵庫を例示している。
　図１ないし図３によって横型冷蔵庫の全体構造を説明する。冷蔵庫本体１０は、前面が開口された横長の断熱箱体によって形成され、底面に配された脚１１で支持されている。冷蔵庫本体１０の内部は貯蔵室１２とされ、出入口となる前面開口部１３には、左右一対の断熱扉１５が観音開き式の開閉可能に装着されている。一対の断熱扉１５は、それぞれ外側の縦縁の上下両端が、ヒンジ１６を介して縦軸回りの回動可能に支持されており、正面の上縁部における互いに隣接した端部に寄った位置に、開閉操作用の把手１７が設けられている。前面開口部１３には、左右に仕切る縦向きの仕切枠が設けられておらず、センタピラーレスすなわちワイドスルー形式の扉装置が構成されている。

　冷蔵庫本体１０の正面視左側面には機械室１８が設けられ、同機械室１８内には、貯蔵室１２から張り出し形成された形態の蒸発器室１９が収容されて同蒸発器室１９に蒸発器と庫内ファンとが装備されているとともに、蒸発器と接続されて冷凍サイクルを構成する冷凍装置が収容されている。
　冷凍サイクルが駆動されることで蒸発器付近で冷気が生成され、同冷気が庫内ファンにより貯蔵室１２内に循環供給されることで、貯蔵室１２内が冷却されるようになっている。

　扉装置は上記のようにワイドスルー形式であることから、閉扉時のシール構造は基本的には、前面開口部１３の口縁については、各断熱扉１５の裏面における揺動端側の縦縁を除いた他の３縁辺に装着されたパッキン３０が密着されることでシールされ、両断熱扉１５の揺動端側の縦縁の間については、同縦縁に沿って装着されたセンタシール４０同士が密着することでシールされるようになっている。両断熱扉１５が揃って開けられると、前面開口部１３が仕切りが無い状態で全開可能となる。

　さらに断熱扉１５の構造、特にパッキン３０とセンタシール４０との配設部分の構造について詳細に説明する。
　断熱扉１５は左右対称形状に形成されており、図４及び図６等に示すように、ステンレス鋼板等の金属製の外装板２１と、中央に膨出部２２Ａを設けた合成樹脂製の内装板２２とを組み付けることで外殻体２０が形成され、この外殻体２０内に、発泡樹脂等の断熱材２４（図１２参照）が充填された構造となっている。断熱扉１５の裏面における薄肉となった周縁部には、方形状をなすパッキン装着溝２５が形成されている。

　パッキン３０はマグネットパッキンであって、合成樹脂材の押出成形によって形成され、所定長さに切断されて使用される。パッキン３０は、図４に示すように、内部が複数の部屋３２に仕切られた筒状のパッキン本体３１の背面側に取付脚３３が突設されるとともに、表面側（同図の上側）における幅方向の略中央部に位置する部屋３２Ａに、扁平な角柱状のマグネット３５が挿入されて形成されている。なお、パッキン本体３１の表面における幅方向の外側の角部は、所定量裏側に後退している（外側部３１Ａ）。
　パッキン３０は、上記した装着溝２５の４縁辺に対応して４本が準備され、各パッキン３０の両端は４５度に切断されている。４本のパッキン３０は、それぞれの取付脚３３を装着溝２５に嵌着しつつ、４縁辺の全周に亘って方形枠状の形態をなして装着されている（図１０参照）。なお、各パッキン本体３１における内側の面には複数枚のひれ部３６が張り出し形成され、内装板２２の膨出部２２Ａの側面に弾性的に密着されている。

　センタシール４０は、図１１に示すように、各断熱扉１５の揺動端側で相手と対向した側面（以後、対向側面１５Ａ）における庫内側の角部付近において、後記する保持部材５０を介して上下方向に延びた形態で装着されている。センタシール４０は合成樹脂製であって、二色の押出成形によって形成され、断熱扉１５のほぼ全高に匹敵する所定長さに切断されて使用される。

　センタシール４０は、図４及び図８に示すように、内部に３個の部屋４２が横並びに仕切られた扁平な角筒状をなすシール本体４１と、同シール本体４１の背面側に形成された脚部４３とから構成されている。脚部４３は、硬質樹脂製であり、シール本体４１の背面と直交した長辺部４３Ａにおける外面側の中央幅位置から短辺部４３Ｂを直角に突出形成した、Ｔ字を横向きにしたような断面形状に形成されており、シール本体４１における中央の部屋４２の内側の端部寄りの位置から背面側に突出形成されている。

　シール本体４１は軟質樹脂製であって、厚さ方向において比較的容易に圧縮変形が可能となっている。シール本体４１における表面外側の角部からは、メインリップ４５が同表面と面一に張り出し形成されている。一方、シール本体４１における表面内側の角部からは、サブリップ４６が同じく同表面と面一に張り出し形成されている。
　さらに、シール本体４１の表面における内側の２つの部屋４２の中間位置からは、冷気遮断用のひれ部４８が張り出して形成されている。各ひれ部４８は、庫内側に向けて突出したのち、先端部が相手側に向けて鋭角に屈曲された形状となっている。このひれ部４８の形成高さ範囲は、図１１等に示すように前面開口部１３の高さ範囲内である。
　なお、センタシール４０が二色成形されている旨を記載したが、剛性が必要とされる脚部４３についても厚さを大きく取れば剛性が確保できるから、軟質樹脂の一色成形で形成してもよい。

　センタシール４０が装着される保持部材５０は合成樹脂製であって、断熱扉１５の対向側面１５Ａのほぼ全高に相当する長さ寸法を有しており、対向側面１５Ａに固定される取付板５１と、同取付板５１の庫内側の端縁から外側に向けて直角に曲げ形成された装着板５２とからなる断面略Ｌ字形に形成されている。この保持部材５０は、装着板５２が断熱扉１５の対向側面１５Ａの庫内側の端縁から所定寸法庫内側に突出した形態において、取付板５１が対向側面１５Ａに当てられ、上下方向に亘る複数箇所でねじ５３で止められることによって固定されている。

　保持部材５０の装着板５２の裏面側には、外側に開口したヒータ嵌合溝５６を２本並べて設けたヒータ取付板５５が直交姿勢で全高に亘って一体形成されているとともに、同ヒータ取付板５５の庫外側の隣接位置には、２枚の板部５８を間隔を開けて配してなる仕切部材５７が、取付板５１と表面と直交姿勢で同じく全高に亘って一体形成され、さらにこの仕切部材５７の庫内側の板部５８が上記したヒータ取付板５５の庫外側の端縁と連結されて一体化されている。
　なお、この一体的に設けられたヒータ取付板５５と仕切部材５７とは、図６に示すように、上下両端に寄った位置と、中央高さ位置との３箇所において、切除部５４が形成されている。

　保持部材５０における装着板５２の根元位置には、センタシール４０の脚部４３を挿通する挿通溝６０が、全高に亘って形成されている。センタシール４０は、図８に示すように、脚部４３における長辺部４３Ａの根元が挿通溝６０に嵌められ、併せて短辺部４３Ｂが掛止して抜け止めされた形態において、上方または下方から挿通溝６０に沿って脚部４３を摺動させることにより装着されるようになっている。

　保持部材５０における開口面側には、スライド蓋７０が着脱可能に装着されるようになっている。スライド蓋７０は合成樹脂製であって、保持部材５０における取付板５１と同じ長さとほぼ同幅を有する帯状をなし、かつ庫外側の端縁部が斜めに屈曲されている。
　一方、保持部材５０における装着板５２の先端縁の裏側と、取付板５１の庫外側の端縁とには、スライド蓋７０の両側縁にそれぞれ掛止する掛止溝６２が全高に亘って形成されている。

　スライド蓋７０は、両側縁を保持部材５０の両掛止溝６２に掛止して上方または下方から同掛止溝６２に沿って摺動させることで、図８に示すように、保持部材５０の開口面を覆ってスライド蓋７０が装着されるようになっている。これにより、ヒータ取付板５５の表面が覆われるとともに、仕切部材５７の庫外側に、ヒータ６５のリード線６６の収容空間６３が形成されるようになっている。

　ヒータ６５のリード線６６は、断熱扉１５の上面側から同断熱扉１５内を通って、上記の収容空間６３側に引き出されるようになっている。
　詳細には図１２に示すように、断熱扉１５の上面における支点側の端部に設けられたヒンジ１６に、挿通管１６Ａが下向きに突設されるとともに、同断熱扉１５の対向側面１５Ａの中央高さ位置に、同対向側面１５Ａを構成する外装板２１にバーリング加工を施すことでリード線６６の挿通孔７５（以下、内挿通孔７５）が形成され、同内挿通孔７５のバーリング部７６と、上記したヒンジ１６の挿通管１６Ａとが配管７７によって接続されることで、リード線６６の配線管路７８が形成されている。

　一方、保持部材５０の取付板５１における対向側面１５Ａの内挿通孔７５と対応する位置にも、挿通孔７９（以下、外挿通孔７９）が開口されている。したがって、断熱扉１５内の配線管路７８に挿通されたリード線６６は、対向側面１５Ａの内挿通孔７５と取付板５１の外挿通孔７９を通って、上記のように収容空間６３に向けて引き出されるようになっている。
　ここで、図１３に示すように、対向側面１５Ａの内挿通孔７５よりも取付板５１の外挿通孔７９の方が、軸線が下側にオフセットした形態で配されており、すなわち、外挿通孔７９の下縁の方が内挿通孔７５の下縁よりも下方に位置している。

　上記したように保持部材５０の開口面にスライド蓋７０が装着された際には、図８に示すように、扁平な略角形断面をなす筒体８０が構成されることになるが、同筒体８０の上下両端面８０Ａをそれぞれ覆うべく上下の蓋板８２が備えられている。
　蓋板８２は合成樹脂製であって、図９に示すように、筒体８０の上下の端面８０Ａに整合した平面形状に形成され、その庫内側の端部寄りの所定位置に、タッピンねじ８３の挿入孔（図示せず）が形成されている。一方、保持部材５０に一体形成された仕切部材５７の上下両面には、両板部５８の間において、タッピンねじ８３がねじ込み可能な下孔５９が形成されている。

　断熱扉１５は、例えば以下のような手順で製造される。外装板２１の内部に配線管路７８が形成されたのち、同外装板２１の裏面側に内装板２２が嵌められて外殻体２０が形成され、外殻体２０内に、発泡樹脂からなる断熱材２４が発泡充填されることにより断熱扉１５が形成される。このような断熱扉１５の庫内側の面における周縁部に、図１０に示すように、マグネットパッキンであるパッキン３０が、４縁辺の全周に亘って方形枠状の形態をなして装着される。

　それとともに、断熱扉１５の対向側面１５Ａの全高に亘り、保持部材５０が取付板５１をねじ５３で止めることによって装着される。このとき保持部材５０は、図４に示すように、装着板５２がパッキン３０におけるマグネット３５の表面よりも所定寸法（センタシール４０のシール本体４１の厚さ程度）引っ込んだ位置にある形態で装着される。併せて、断熱扉１５の揺動端側の縦縁に沿って装着された縦向きのパッキン３０Ａのパッキン本体３１における外側部３１Ａの側面が、保持部材５０の取付板５１における対向側面１５Ａの庫内側の側縁よりも突出した部分に弾性変形しつつ密着される。

　次に、保持部材５０に対してセンタシール４０が装着される。センタシール４０は、図８に示すように、例えば上方から、脚部４３を装着板５２の根元部に切られた挿通溝６０に差し込んで、同挿通溝６０に沿って摺動させつつ下方に押し込むことで装着される。センタシール４０が装着された状態では、図４に示すように、シール本体４１が装着板５２の表面に密着し、内側の端部が、縦向きのパッキン３０Ａのパッキン本体３１の外側部３１Ａの後退した表面側に進出する。それとともに、サブリップ４６の張り出し端側が、縦向きのパッキン３０Ａのパッキン本体３１におけるマグネット３５を収容した部屋３２Ａの表面に対して、弾性的に重なって密着される。
　センタシール４０におけるシール本体４１の庫内側の角部に形成されたメインリップ４５は、閉扉時においてシール本体４１の表面と面一の姿勢で相手の断熱扉１５側に向けて張り出し、互いのメインリップ４５の先端部同士が弾性的に重なり合うようになっている。

　続いてヒータ６５が、保持部材５０の内側に設けられたヒータ取付板５５に対して配索される。ヒータ６５は、図６に示すように、長さ方向の中央部が、上下に分断されたヒータ取付板５５の庫内側の嵌合溝５６に亘って一直線をなして嵌められ、上端側が下方に折り返されて、上側のヒータ取付板５５における庫外側の嵌合溝５６に嵌められ、先端が同嵌合溝５６の下端から収容空間６３側に向けられるとともに、ヒータ６５の下端側は、上方に折り返されて、下側のヒータ取付板５５における庫外側の嵌合溝５６に嵌められ、先端が同嵌合溝５６の上端から収容空間６３側に向けられる。

　このようにヒータ取付板５５に対して配索されたヒータ６５の上下両端部が、上記のように取付板５１の外挿通孔７９から引き出された２本のリード線６６とそれぞれ接続される。ヒータ６５の上端部と接続されるリード線６６は、外挿通孔７９から引き出されたのち取付板５１上で短距離下向きに配線されたのち、上方に折り返されて庫外側の側縁に沿うように上向きに配線され、さらに下向きに折り返されて上側の仕切部材５７の庫外側を下向きに配線されて、ヒータ６５の上端部に到る。
　ヒータ６５の下端部と接続されるリード線６６は、外挿通孔７９から引き出されたのち取付板５１上で庫外側の側縁に沿うように下向きに配線され、そののち上向きに折り返されて下側の仕切部材５７の庫外側を上向きに配線されて、ヒータ６５の下端部に到る。

　次に、保持部材５０の開口面にスライド蓋７０が装着される。スライド蓋７０は、図４に示すように、例えば上方から、その両側縁を、保持部材５０の両掛止溝６２に掛止して同掛止溝６２に沿って押し込むことで保持部材５０の開口面を覆って装着される。これにより、ヒータ取付板５５に装着されたヒータ６５の表面が覆われるとともに、収容空間６３が形成されて、同収容空間６３の全域を利用してヒータ６５のリード線６６が同一面上にまとめられて収容された状態となる。

　最後に、スライド蓋７０が装着された保持部材５０（筒体８０）の上下両端面８０Ａに、図９に示すように上下の蓋板８２が被せられ、それぞれタッピンねじ８３を挿通して内部にある仕切部材５７の上下両端部に設けられた下孔５９にねじ込むことで固定される。
　以上により、パッキン３０並びにセンタシール４０が装着された形態の断熱扉１５が製造される。

　本実施形態の扉装置は以上のような構造であって、左右の断熱扉１５が閉じられると、両センタシール４０のメインリップ４５の張り出し端同士が重なった状態において、断熱扉１５の庫内側の面に装着されたパッキン３０が貯蔵室１２の前面開口部１３の口縁に密着する。より詳細には、前面開口部１３の口縁のうち左右の縦縁には、左右の断熱扉１５における揺動支点側の縦向きのパッキン３０が密着し、また上下の横縁には、図１１に参照して示すように、両端から中央に向けて順次に、横向きのパッキン３０、揺動端側の縦向きのパッキン３０Ａの上下の端部、及び両リップ４５，４６を含むセンタシール４０のシール本体４１の上下の端部が連続して密着することによって、口縁の四辺全周に亘ってシールされるとともに、両断熱扉１５の間は、図４に示すように、上記した各センタシール４０のメインリップ４５同士が重ね合わされることによってシールされる。また、両メインリップ４５の重なりあった部分における庫内側が、両センタシール４０に形成されたひれ部４８によって覆われる。

　冷蔵庫は通常、上記のように閉扉状態において貯蔵室１２内に冷気が循環供給されて冷却される。一方、このような閉扉状態において、各センタシール４０におけるシール本体４１の対向した側面や、メインリップ４５の庫外側の面は、外気に触れる状態にあるから、センタシール４０が庫内冷気で冷却されると、上記の面で結露する可能性がある。
　それに対して本実施形態では、両センタシール４０のシール本体４１における互いに隣接した端部側とメインリップ４５とが、両ひれ部４８で覆われて直接に冷気が当たり難くなっている。また、ヒータ６５に通電されることで装着板５２を介してセンタシール４０のシール本体４１が加熱されることによって、上記した面で結露することが防止される。
　開扉する場合は、左右の断熱扉１５を揃って開いてもよいし、左右の断熱扉１５を１枚ずつ開くことも可能である。

　本実施形態の扉装置によれば、以下のような数々の効果が得られる。　
　各断熱扉１５の庫内側の面における揺動端側の縦縁にも敢えて他の三縁辺と同じくパッキン３０Ａを装着した上で、同パッキン３０Ａと面一に並べてセンタシール４０を装着しただけの簡単な構造で以て、各断熱扉１５における揺動端側の角部のシールを確実に取ることができる。そのため外気の吸い込みが防止されて冷却効率が高くなり、また庫内での着霜が防止できて同霜を除去するためのヒータの装備も不要にでき、省エネルギ化に寄与し得る。

　センタシール４０のシール本体４１の表面における内側の端縁から張り出したサブリップ４６を、縦向きのパッキン３０Ａのパッキン本体３１の表面に弾性的に密着するようにしており、また閉扉時において、センタシール４０のシール本体４１の上下の端部が、縦向きのパッキン３０Ａのパッキン本体３１とともに前面開口部１３に押し付けられた場合に、ともに厚さ方向に弾性変形することでシール本体４１とパッキン本体３１との側面同士がより密着した形態となり、シール性がさらに高められる。なお、センタシール４０のシール本体４１に厚さ方向の弾縮性を持たせたことは、多少の取付誤差があった場合にもシール性が担保される。

　パッキン３０，３０Ａは、断熱扉１５の庫内側の面における４縁辺の全てに装着する一方、センタシール４０は、断熱扉１５の対向側面１５Ａに保持部材５０を介して装着するようにしたことで、断熱扉１５としては、前面開口部１３にセンタピラー（縦仕切枠）を備えたものに適用する標準型の断熱扉１５を使用でき、部品の共通化が図られることで製造コストの低減に寄与できる。
　センタシール４０の配設部分の組み付けは、断熱扉１５の対向側面１５Ａに保持部材５０の取付板５１を固定したのち、センタシール４０をスライド装着するとともにヒータ６５を装着し、続いてスライド蓋７０をスライド装着したのち最後に上下の端面８０Ａに蓋板８２を被着することで、能率良く組み付けることができる。

　閉扉状態から一方の断熱扉１５を開く場合、特にメインリップ４５が裏側に重ねられた方の断熱扉１５（図４の右側）のみが開放される際には、そのメインリップ４５が変形しつつ表側のメインリップ４５の張り出し端を通過しながら同断熱扉１５が開かれるのであるが、センタシール４０のシール本体４１における保持部材５０への固定位置が、シール本体４１における中央幅位置よりもさらに内側の位置に設定されているから、メインリップ４５からシール本体４１における幅方向の外側の半分強といった広い領域が少しずつ変形することとなり、いわゆる腰の弱い状態とされる。そのため相手のメインリップ４５を押しつつ相手の断熱扉１５を一緒に開けてしまうことが防止され、また、メインリップ４５等に部分的に過負荷が掛かることが回避できて、耐久性が向上される。
　仮にメインリップ４５が耐用寿命に達して交換が必要となっても、センタシール４０のみを交換すれば良いから、ランニングコストも抑えられる。上記したセンタシール４０を交換する場合は、断熱扉１５を装着したまま上側の蓋板８２を外すだけで、簡単に抜き差しして交換できる。

　ヒータ６５が、保持部材５０の装着板５２とスライド蓋７０とが交差した隅部に配されているから、スライド蓋７０の庫内側の側縁部分も加熱され、同部分の表面に結露することが併せて防止される。また、上記のように上側の蓋板８２を外せば、引き続いてスライド蓋７０を引き上げて外すことができ、これにより保持部材５０の内部が開口されるために、ヒータ６５の交換等にも簡単に対応できる。
　保持部材５０内に広い範囲に亘って収容空間６３を確保して、ヒータ６５のリード線６６を一面上で収容できるようにしたから、センタシール４０の配設部分の構造を扁平にすっきりとまとめることができる。

　ヒータ６５のリード線６６を保持部材５０内の収容空間６３側に引き出すに当たっては、断熱扉１５の内部に設けられた配線管路７８から断熱扉１５の対向側面１５Ａに形成された内挿通孔７５と、そこに重ねられた保持部材５０の取付板５１に開口された外挿通孔７９とを通って引き出されるようになっているが、ここで対向側面１５Ａの内挿通孔７５よりも取付板５１の外挿通孔７９の方が、軸線が下側にオフセットした形態で配され、すなわち外挿通孔７９の下縁の方が内挿通孔７５の下縁よりも下方に位置している。
　冷蔵庫を水洗いする場合等において、仮に保持部材５０内に浸水して取付板５１に沿って水分が流下し、取付板５１の外挿通孔７９の下縁に溜まったとしても、対向側面１５Ａの内挿通孔７５の下縁の方が高い位置にあることで、同内挿通孔７５から内部に浸水することが回避される。断熱材２４の劣化が防止されて、長時間に亘る断熱機能が担保される。

　＜実施形態２＞
　図１４は、本発明の実施形態２を示す。　
　この実施形態２では、保持部材５０の開口面を塞ぐスライド蓋７０の表面、詳細には保持部材５０に設けられたヒータ取付板５５の庫外側の端部と対応する位置に、突条８５が縦向きに全高に亘って形成されている。突条８５の突出高さは、閉扉された場合に、左右の突条８５が少しの隙間を開けて互いに突き合う程度である。

　上記の構造によると、閉扉時において、重なり合ったメインリップ４５と両突条８５との間でヒータ６５の熱が閉じ込められた形態となって、ここが断熱空間８６として機能し、センタシール４０のシール本体４１の外気に晒される部分やメインリップ４５に結露が生じることがより確実に防止される。言い換えると、ヒータ６５の容量を落としても、所定の結露防止機能が発揮される。

　＜実施形態３＞
　図１５は、本発明の実施形態３を示す。
　この実施形態３では、センタシール４０Ｘにおけるシール本体４１Ｘの表面側に設けられた冷気遮断用のひれ部９０の形状に変更が加えられている。
　なお、この実施形態３では、メインリップ４５Ｘがシール本体４１Ｘとは別体に形成されて組み付けられていること、それに伴いシール本体４１Ｘの形状や、保持部材５０Ｘ、スライド蓋７０Ｘの形状等について、上記実施形態１のものとは若干相違するが、基本的な機能や形状は同じであるから、実施形態１の符号に添え字「Ｘ」を付すことで、改めての説明は割愛する。

　実施形態３のひれ部９０は、中空の厚肉状に形成されており、シール本体４１の表面における内側の端部位置から庫内側に突出して形成されている。各ひれ部９０はより詳細には、基端部９１Ａが互いに少し開くようにして庫内側に向けて形成され、先端部９１Ｂが相手側に向けて鋭角に屈曲された形状であり、両断熱扉１５が閉じられた際には、両ひれ部９０の先端同士が弾性的に密着して突き合わされるようになっている。

　上記実施形態１に例示したひれ部４８では、断熱扉１５の開閉動作の際に、扱いによってはメインリップ４５と重なるように巻き込まれたり、また、貯蔵物の貯蔵形態等の条件によっては、庫内冷気を受けてメインリップ４５の根元側に潰れて変形した状態となり、冷気遮断機能を果たせなくなるおそれがある。　
　それに対してこの実施形態２のひれ部９０では、上記のように中空厚肉状とし、かつ閉扉時には、両ひれ部９０の屈曲された先端同士が接触するような配置としたから、閉扉時に庫内冷気が直接にメインリップ４５Ｘに当たることを確実に防止でき、また断熱扉１５の開閉動作に伴ってメインリップ４５Ｘに巻き込まれたりすることも回避し得る。

　＜実施形態４＞
　本発明の実施形態４を図１６ないし図２０によって説明する。この実施形態４では、実施形態１と比較してセンタシール１００の形状並びにその配設構造に変更が加えられている。以下には主に相違点を説明し、実施形態１と同一機能を有する部材、部位については、同一符号を付すことにより説明を省略または簡略化する。

　センタシール１００は、図１６に示すように、各断熱扉１５の揺動端側の対向側面１５Ａにおける庫内側の角部付近において、保持部材１１０を介して上下方向に延びた形態で装着されている。
　センタシール１００は、軟質樹脂材により、断熱扉１５のほぼ全高に匹敵する長さを有する帯状に形成されている。同センタシール１００は、図１７及び図１９に示すように、幅方向の基端側が挿入部１０１として、また先端側が弾性変形可能なリップ１０２として機能するようになっている。センタシール１００の上下両端部では挿入部１０１が拡幅され、かつその拡幅部１０１Ａの上下両端から、被固定片１０３が突出形成されている。

　センタシール１００が装着される保持部材１１０は合成樹脂製であって、断熱扉１５の対向側面１５Ａのほぼ全高に相当する長さ寸法を有しており、図１７に示すように、対向側面１５Ａの庫内側の領域を覆ったのちさらに庫内側に突出された基部１１２、その突出端から断熱扉１５の中央側に向けて直角曲げされた屈曲部１１３とからなるＬ字形の取付板１１１と、同取付板１１１の屈曲部１１３の先端側の領域において、庫内側に突出したのち相手の断熱扉１５側に向けて直角曲げされた中空のＬ字形をなすガード壁１１５が連設された形状となっている。
　ただし、図１８に示すように、ガード壁１１５の上下両端部は、閉扉時において冷蔵庫本体１０の前面開口部１３の上下の横縁と干渉しないように、所定長さが切除されている。逆に言うと、取付板１１１の上下両端部が、ガード壁１１５の上下両端面から上方または下方に延出して形成されている。

　保持部材１１０は、取付板１１１の基部１１２が対向側面１５Ａの所定位置に当てられて、ねじ止めよって固定され、このとき、取付板１１１の屈曲部１１３の先端が縦向きのパッキン３０Ａにおける外側部３１Ａに入り込むとともに、ガード壁１１５の基壁１１６が、同パッキン３０Ａのマグネット３５の装着位置に対向し、基壁１１６の裏側の収容空間１１７に装着されたゴム磁石１１８との間の吸着力によって密着するようになっている。
　取付板１１１における基部１１２の表面側には、合成樹脂製のスライド蓋１１９が着脱可能に装着され、全体として扁平な筒状体１２０が形成され、その内部に、ヒータのリード線等を収容し得る配線空間が形成されるようになっている。

　保持部材１１０における相手の保持部材１１０と対向する面には、上記したセンタシール１００を装着するべく装着溝１３０が形成されている。装着溝１３０は、ガード壁１１５における相手の断熱扉１５側に向けて曲げられた屈曲部１２１の庫内側の面と、取付板１１１の屈曲部１１３の庫外側の面との間において、方形断面をなして全高に亘って形成されており、同装着溝１３０の庫外側の溝面１３０Ａは、自然状態におけるパッキン３０の庫内側の最大突出面３０Ｙ（マグネット３５の装着部の内面：図１７参照）と一致した位置にある。

　保持部材１１０の装着溝１３０内には、センタシール１００を装着溝１３０に保持するためのリテーナ１４０が嵌着可能とされている。このリテーナ１４０は合成樹脂材の押出成形によって形成され、装着溝１３０の上下方向の長さと同じ長さを持ったチャンネル形をなしており、その幅寸法は、装着溝１３０の溝幅よりも所定寸法（センタシール１００の厚さよりも少し小さい寸法）小さい寸法に設定されている。
　リテーナ１４０は、開口面を装着溝１３０の溝底側に向けて正面から嵌合可能となっており、リテーナ１４０の両側板１４１の先端縁の対向面には、短寸の被挟持部１４２が突出形成されている。また、庫内側の側板１４１の先端縁には、庫内側に向けて突出した係止突条１４３が形成されているとともに、装着溝１３０の庫内側の溝面１３０Ｂの溝底には、上記の係止突条１４３が嵌る係止溝１３２が形成されている。

　リテーナ１４０の基板１４８における庫内側の角部には、弾性変形可能な薄板状の補助リップ１４５が、相手側に向けて互いに重ね合わせ可能に全高に亘って張り出し形成されている。この補助リップ１４５は、軟質樹脂を素材として二色成形により形成されている。

　センタシール１００を装着するに当たっては、同センタシール１００を基端側から装着溝１３０に挿入して庫外側の溝面１３０Ａに当てたのち、センタシール１００と庫内側の溝面１３０Ｂとの間にリテーナ１４０を弾性変位させつつ押し込み、溝底まで押し込まれると、係止突条１４３が係止溝１３２に弾性的に嵌ることで、リテーナ１４０が抜け止めされて嵌着される。このとき、センタシール１００の挿入部１０１が、リテーナ１４０の庫外側の側板１４１と装着溝１３０の庫外側の溝面１３０Ａとの間で挟持されることによって、センタシール１００が、リップ１０２を相手側に向けて互いに重ね合わせ可能に張り出した形態で固定される。このセンタシール１００の挿入部１０１を挟持した溝の部分が、本発明の取付溝１４７に相当する。

　保持部材１１０におけるガード壁１１５の切除された上下の端面には、装着溝１３０の形成領域も含めて蓋板１５０が被着されるようになっている。この蓋板１５０の裏面には、ロック片１５１と、挟持片１５３と、押さえ片１５４とが、垂下して形成されている。
　上記のようにリテーナ１４０を押し込んでセンタシール１００を固定するとともに、ガード壁１１５の収容空間１１７内にゴム磁石１１８が収容されたのち、蓋板１５０をガード壁１１５の切除された上下の端面に被せると、ロック片１５１のロック突部１５２がリテーナ１４０の基板１４８に設けられたロック孔１４４に弾性的に嵌ることで蓋板１５０が外れ止めされ、そのとき図１７に示すように、リテーナ１４０の被挟持部１４２と装着溝１３０の底壁１３４とが重なった形態で挟持片１５３によって挟み付けられ、リテーナ１４０が強固に抜け止めされ、ひいてはセンタシール１００が強固に抜け止めされて装着される。
　また、一部の挟持片１５３と押さえ片１５４とが、ゴム磁石１１８の上下の端面を押さえて挟み、ゴム磁石１１８が抜け止めされて所定位置に収容されるようになっている。

　一方、保持部材１１０におけるガード壁１１５の上下両端部が切除されているために、センタシール１００が保持部材１１０に装着された場合には、図１６に示すように、センタシール１００の上下の端部が、庫内側に露出した状態となる。より詳細には、図２０にも示すように、センタシール１００の露出した上端部のうち、元々の基端側の挿入部１０１は、保持部材１１０の残った取付板１１１における屈曲部１１３で受けられ、同挿入部１０１の拡幅部１０１Ａは、縦向きのパッキン３０Ａの上端部におけるマグネット３５の装着位置の内面に重ねられる形態となる。
　ここで、図１８に示すように、上記の残った取付板１１１の屈曲部１１３の表面が所定厚さ削除され、その被削除面１１３Ａに、同図の鎖線に示すように、弾性部材からなるクッション１５５が貼着されている。すなわち、センタシール１００の露出した上端部のうちの元々の挿入部１０１に相当する領域が、クッション１５５を介して取付板１１１の屈曲部１１３（被削除面１１３Ａ）で受けられることになる。

　また、図１９に示すように、断熱扉１５における揺動端側の裏面の上下の角部には、コーナキャップ１６０が被着されるようになっている。このコーナキャップ１６０は、保持部材１１０の取付板１１１とスライド扉１１９とからなる筒状体１２０の上下の開口を塞ぎつつ、上記の角部を覆って装着され、ねじ１６１で止められて固定されるようになっている。
　一方、センタシール１００の上下両端部において、挿入部１０１の拡幅部１０１Ａの上下両端から被固定片１０３が突出形成されているから、図１９に示すように、被固定片１０３を倒して縦向きのパッキン３０Ａの上下の端部の表面に預けた状態において、上記のようのコーナキャップ１６０を被着すると、被固定片１０３がパッキン３０Ａの上下の端部の表面に押さえられて抜け止めされ、結果、センタシール１００の露出した上端部が捲れることが阻止されるようになっている。

　本実施形態の扉装置は以上のような構造であって、左右の断熱扉１５が閉じられると、断熱扉１５の庫内側の面の周縁に装着されたパッキン３０が貯蔵室１２の前面開口部１３の口縁に密着するとともに、図１７に示すように、保持部材１１０の取付溝１４７に装着された両センタシール１００のリップ１０２の先端同士が重なって、断熱扉１５の間のシールが採られる。また、保持部材１１０に形成されたガード壁１１５が狭い間隔で対応することで冷気の流出が抑制され、また、リテーナ１４０に突設された補助リップ１４５の先端同士が重なることでシール機能がさらに高められる。

　この実施形態では、センタシール１００を保持部材１１０に装着する部分の構造として、センタシール１００の基端の挿入部１０１を、保持部材１１０の対向面に形成された縦向きの取付溝１４７に対して正面から挿入する構造としたから、センタシール１００の着脱作業を容易に行うことができ、かつ着脱の作業スペースも少なくて済むという利点がある。
　ここで上記のように、保持部材１１０が、庫内側に突出した部分（ガード壁１１５）を設けた上で、対向面に縦向きの取付溝１４７を形成して正面からセンタシール１００を装着する形式のものでは、保持部材１１０の上下の端部の位置は、貯蔵室１２の前面開口部１３の上下の横縁と干渉しない位置に留める必要があり、その場合、特に両保持部材１１０の上下の位置、言い換えると前面開口部１３における上下の横縁の中央部で冷気洩れが生じるおそれがある。

　そこでこの実施形態では、保持部材１１０の上下の端部が、前面開口部１３の上下の横縁と対向する位置まで延ばされ、ただし同保持部材１１０の上下の端部ではガード壁１１５が切除されて、センタシール１００の上下の端部が庫内側に露出され、詳細には、センタシール１００の露出した上下両端部の挿入部１０１がクッション１５５を介して保持部材１１０の屈曲部１１３に、また挿入部１０１の拡幅部１０１Ａが、縦向きのパッキン３０Ａの上下の端部におけるマグネット３５の装着位置の内面に面一となって当てられた状態となる。
　これにより断熱扉１５の閉鎖時において、前面開口部１３の上下の横縁の中央部では、縦向きの両パッキン３０Ａの上下の端部と、両センタシール１００の上下の端部とが連続して密着して、隙間無くシールされることになる。

　断熱扉１５を強く閉めたとき等には、センタシール１００の上下の端部、特に挿入部１０１が、装着溝１３０の庫外側の溝面１３０Ａ（取付溝１４７の庫外側の溝面）を構成する取付板１１１の屈曲板１１３と、前面開口部１３の横縁との間で挟圧されるおそれがあるが、同挿入部１０１の裏に敷かれたクッション１５５によって挟圧力が吸収されることにより、センタシール１００の上下の端部が圧潰されることから防がれる。

　＜他の実施形態＞
　本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
　（１）実施形態１～３において、センタシールのシール本体は中実状に形成されていてもよい。
　（２）同じく実施形態１～３において、センタシールのシール本体とパッキンのパッキン本体の対向した側面同士の密着性が確保できれば、センタシールに設けたサブリップは割愛してもよい。
　（３）センタシールの配設部分における実施形態１～３に例示した組付手順はあくまでも一例であって、適宜に変更することができる。

　（４）実施形態１～３ではセンタシールを保持部材に対してスライド装着する場合を例示したが、それに限らず、正面から嵌め込む等の他の装着手段を採用してもよい。
　（５）実施形態１～３において、保持部材の開口面を覆う蓋体は、同じくスライド装着することに限らず、正面から嵌め込む等の他の装着手段を採用してもよい。
　（６）実施形態１～３では、保持部材の上下の開口面を塞ぐ蓋板を固定する手段として、ねじ止めすることを例示したが、爪部が相手の凹部に嵌って抜け止めする嵌め込み式等、他の固定手段を採用してもよい。

　（７）実施形態４では、センタシールにおける露出した上端部を、縦向きのパッキンの上端部のほぼ全幅に亘って重ねた場合を例示したが、パッキンの幅方向の一部のみに重ねるだけでもよく、また重ねることなく端縁同士を突き合わせて並べた構造としてもよい。
　（８）実施形態４において、センタシールを補助リップのようにリテーナに一体成形し、装着溝を取付溝としてリテーナを抜き差しすることで着脱可能に装着する構造としてもよい。
　（９）本発明は、上記実施形態に例示した２ドア式の横型冷蔵庫に限らず、例えば４ドア式の縦型冷蔵庫等のドア数の異なる冷蔵庫や、その他に冷凍庫や冷凍冷蔵庫等、要は、ワイドスルー式の扉装置を備えた冷却貯蔵庫全般に広く適用することができる。

　１０…冷蔵庫本体（貯蔵庫本体）　１３…前面開口部　１５…断熱扉　１５Ａ…対向側面　３０…パッキン　３０Ａ…（断熱扉１５の揺動端側の）縦向きのパッキン　４０…センタシール　４１…シール本体　４３…脚部（被固定部）　４５…メインリップ（リップ）　５０…保持部材　５１…取付板　５２…装着板　６０…挿通溝（取付溝）　６２…掛止溝（取付溝）　６５…ヒータ　６６…リード線　７０…スライド蓋（蓋体）　７５…内挿通孔　７８…配線管路　７９…外挿通孔　８２…蓋板　８５…突条　８６…断熱空間　１００…センタシール　１０１…挿入部　１０１Ａ…（挿入部１０１の）拡幅部　１０２…リップ　１１０…保持部材　１１１…取付板　１１３…（取付板１１１の）屈曲部　１１３Ａ…被削除面　１４７…取付溝　１５５…クッション

Claims

断熱箱体からなる貯蔵庫本体に設けられた前面開口部には、左右一対の断熱扉が観音開き式の揺動開閉可能に設けられ、
　前記各断熱扉の庫内側の面における４周縁にはパッキンが装着されているとともに、各断熱扉の相手側と対向した側面の庫内側の角部付近には、庫内側の面からリップを相手側に向けて互いに重ね合わせ可能に張り出し形成したセンタシールが保持部材を介して全高に亘って装着され、
　このセンタシールと、前記パッキンのうち前記断熱扉の揺動端に縦向きに配されたパッキンとが、庫内側の面同士をほぼ面一とした形態で横方向に密着して並んで配されていることを特徴とする冷却貯蔵庫の扉装置。
前記保持部材は、その庫内側の側縁部が前記断熱扉の裏面から突出した構造であって、この保持部材には、相手の保持部材との対向面に縦向きの取付溝が形成され、前記センタシールはその基端側が前記取付溝に対し同取付溝の正面から挿入されることで装着されるようになっているとともに、
　前記保持部材の上下両端部における庫内側の部分が切除されて、前記センタシールの上下の端部が庫内側に露出して配設され、
　この露出した前記センタシールの上下の端部が、前記断熱扉の揺動端に縦向きに配された前記パッキンの上下の端部と、庫内側の面同士をほぼ面一とした形態で横方向に密着して並んで配されていることを特徴とする請求項１記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
前記センタシールにおける露出した上下の端部の裏面側には、弾性変形可能なクッションが介装されていることを特徴とする請求項２記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
前記センタシールは厚さ方向に弾性変形可能となっていることを特徴とする請求項１記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
前記センタシールにおける前記保持部材に対する被固定部が、幅方向における前記リップの張り出し方向とは反対側の端部寄りの位置に設けられていることを特徴とする請求項１または請求項４記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
前記保持部材が、前記断熱扉の側面に当てられて取り付けられる取付板と、同取付板の庫内側の端縁から相手の断熱扉側に向けて曲げ形成された装着板とを備えて形成され、前記装着板の表面側に前記センタシールが装着されており、
　かつ、前記装着板の裏面側にはヒータが配設されているとともに、前記保持部材における相手の断熱扉と対向した開口面には蓋体が着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項１、請求項４または請求項５に記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
前記センタシールと前記蓋体とは、前記保持部材に長さ方向に沿って設けられた取付溝に嵌められてスライド形式での着脱が可能であり、かつ前記保持部材の上下の開口面を塞ぐ蓋板が設けられていることを特徴とする請求項６記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
前記ヒータのリード線が、前記断熱扉の内部に設けられた配線管路から同断熱扉の側面に形成された挿通孔と、前記断熱扉の側面に重ねられた前記保持部材の前記取付板に形成された挿通孔とを通って引き出されるようになっており、前記断熱扉の側面の前記挿通孔よりも前記取付板の前記挿通孔の方が、軸線が下側にオフセットした形態で配されていることを特徴とする請求項６または請求項７記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
前記各断熱扉の側面に設けられた前記保持部材の前記蓋体には、幅方向における前記装着板側の端部寄りの位置に、互いに突き合うようにして突条が設けられていることを特徴とする請求項６ないし請求項８のいずれか一項に記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
前記センタシールの庫内側の面における前記リップが張り出した側とは反対側の端部からは、同センタシールと並んだ前記縦向きのパッキンの表面上に重なるサブリップが張り出し形成されていることを特徴とする請求項１、請求項４、請求項５、請求項６、請求項７、請求項８または請求項９に記載の冷却貯蔵庫の扉装置。