WO2012073901A1

WO2012073901A1 - 使い捨ておむつ及びその製造方法

Info

Publication number: WO2012073901A1
Application number: PCT/JP2011/077417
Authority: WO
Inventors: 優子福田; 武井　忍; 知子藤中; 俊明一萬田
Original assignee: 花王株式会社
Priority date: 2010-11-30
Filing date: 2011-11-28
Publication date: 2012-06-07
Also published as: EP2647360B1; CN103237533A; EP2647360A1; KR101501145B1; TWI584792B; EP2647360A4; RU2580990C2; TW201320977A; KR20140041389A; CN103237533B; RU2013128616A; MY163620A

Abstract

　本発明の使い捨ておむつ（１）は、表面シート（２）、裏面シート（３）及びこれら両シート間に介在配置された吸収体（４）を備えた縦長の吸収性本体（５）と、該吸収性本体の本体長手方向に沿う両側縁部に固定された一対の伸縮パネル（６）とを有し、伸縮パネル（６）の外側縁部にファスニングテープの止着部（７１）が固定されている。伸縮パネル（６）は、外側縁部（６Ａ）よりも本体幅方向（Ｙ）の内方に、伸縮部（６Ｂ）を有している。外側縁部（６Ａ）を含む、伸縮パネル６の伸縮部（６Ｂ）よりも本体幅方向（Ｙ）の外方に位置する領域には、伸縮パネル６の構成部材どうしが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在していない。テープ基端部（７３）の内側端（７３ｔ）が、複数本の弾性部材（６２）のうち本体長手方向（Ｘ）の最内方に配置された、弾性部材（６２ｔ）よりも本体長手方向（Ｘ）の外方に位置している。

Description

使い捨ておむつ及びその製造方法

　本発明は、使い捨ておむつ及びその製造方法に関する。

　従来、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に介在配置された吸収体を備えた実質的に縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の本体長手方向に沿う両側縁部に設けられた一対の伸縮パネルとを有し、一対の該伸縮パネルそれぞれの本体長手方向に沿う外側縁部に固定されたファスニングテープの止着部を、該吸収性本体の非肌対向面の被止着領域に止着して着用者に装着するようになされている、いわゆる展開型のパネルタイプの使い捨ておむつが知られている。例えば特許文献１には、緩慢に回復する特定のエラストマーを含む、伸縮性のサイドパネルを備えた展開型の使い捨ておむつが記載されており、該サイドパネルの一例として、特許文献１の図６には、該エラストマーを含み且つ本体幅方向に延びる複数の線状の伸縮性領域が本体長手方向に所定間隔を置いて配置されているものが記載されている。また特許文献２には、伸縮パネルを、ポリウレタンを含む通気性のある伸張性積層体から構成することが記載されている。

　また特許文献３には、吸収性本体に固定される固定部と該吸収性本体から突出する突出部とを有し、該突出部が、止着部を有する先端部と該先端部よりも基端側の本体部とからなるファスニングテープにおいて、前記固定部、前記本体部及び前記先端部にわたる基本不織布層の該固定部及び該先端部に、補強不織布層を固定することが記載されている。特許文献３に記載のファスニングテープは、前記固定部と前記本体部とに跨るように及び該本体部と前記先端部とに跨るように、本体幅方向に沿って弾性部材が伸長状態で固定されており、該ファスニングテープ自体が伸縮するようになされている。また特許文献４には、２枚のシート材間に複数本の弾性部材が配置されて構成される、伸縮部を有する複合伸縮部材を、使い捨ておむつにおけるファスニングテープが固定される部位に適用することが記載されている。

　また、例えば特許文献５には、展開型のパネルタイプの使い捨ておむつとして、支持部（吸収性本体）と止着テープとを有し、該止着テープが、先端部、本体部及び固定部を該支持部の幅方向に有し且つ該固定部にて該支持部に固定されているものが記載されている。この止着テープには、先端部から本体部を介して固定部に亘って連続的に延びる複数本の弾性部材が配されており、各該弾性部材は、先端部及び固定部では非伸長状態で接着固定され、本体部では幅方向に伸長した状態で接着固定されている。特許文献１に記載の使い捨ておむつによれば、弾性部材が固定部にて非伸長状態で固定されているため固定部が収縮せず、それにより固定部の接着強度が低下せず、また、弾性部材の伸縮作用によるおむつの形状追従性が損なわれないとされている。尚、特許文献５には、止着テープにおける先端部、本体部及び固定部それぞれの弾性部材に対する接着力をどのように設定するかについては記載されていない。

特表２００８－５２６３８６号公報特表２００９－５２３５２４号公報特開２００８－２９５８３６号公報特開２００５－８０８５９号公報特開２０１０－２２５５０号公報特開２００９－０７２４７２号公報特許４０２１７９８号公報特開２００８－０６６２００号公報

　使い捨ておむつを着用する人の体型は、通常、腹が前方に突出していると共に背側が凹んでおり、また、腹の下方においては、臀部が後方に突出し、更に脚の付け根の存在によって左右方向の幅が他の部位よりも大きくなっている。このような特有の凹凸を有する体型に対し、従来の展開型のパネルタイプの使い捨ておむつを適用すべく、常法に従って、背側部の伸縮パネルに取り付けられたファスニングテープを引っ張って、腹側部の被止着領域に止着させようとすると、該体型に特有の凹凸及び周囲長に応じて伸縮パネルの伸長度合いが不均衡になる。特に、おむつにおける、着用者の背側のウエスト部に位置する部位（背側端部）は、着用者の背中の凹みに位置するため、ファスニングテープを引っ張ったときの伸長度合いが相対的に小さく、一方、おむつの股下部は、突出度合いの比較的大きい臀部や脚周りに位置するため、前記伸長度合いが相対的に大きい。従来の展開型のパネルタイプの使い捨ておむつは、このような着用時における伸縮パネルの伸長度合いの不均衡により、着用者の背側のウエスト部に密着せずに該ウエスト部との間に隙間を生じやすく、該隙間から液漏れが生じるおそれがあり、また、着用者の脚周りを強く締め付けるため、該脚周りに締め付け跡を付けやすい。このような不都合を解消する方法として、例えば、吸収性本体における、左右一対の伸縮パネルに挟まれた背側のウエスト領域に弾性部材を複数本配置する方法が考えられるが、この方法は、おむつの構成を複雑にし、また、おむつの背側部分の通気性を低下させるおそれがある。展開型のパネルタイプの使い捨ておむつにおいて、着用時における伸縮パネルの伸長度合いの不均衡を是正し、着用者の背側のウエスト部に対するフィット性に優れ且つ脚周りに締め付け跡を付け難くする技術は未だ提供されていない。

　従って本発明の課題は、着用者の背中に密着して隙間を生じ難く、該隙間からの液漏れを効果的に防止し、且つ着用者の脚周りをフィット性良く適度に締め付けるため、脚周りに締め付け跡を付け難い使い捨ておむつを提供することに関する。

　本発明は、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に介在配置された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の本体長手方向に沿う両側縁部に固定された一対の伸縮パネルとを有し、一対の該伸縮パネルそれぞれの本体長手方向に沿う外側縁部に固定されたファスニングテープの止着部を、該吸収性本体の非肌対向面に止着して着用者に装着するようになされている使い捨ておむつである。
　前記伸縮パネルは、前記外側縁部よりも本体幅方向内方に、本体幅方向に伸縮性を有する伸縮部を有しており、該伸縮部は、パネル材と、該パネル材に伸長状態で固定され且つ本体幅方向に延びる複数本の弾性部材とを含んで構成されており、該複数本の弾性部材は、本体長手方向に所定間隔を置いて配置されており、前記外側縁部を含む、前記伸縮パネルの前記伸縮部よりも本体幅方向外方に位置する領域には、該伸縮パネルの構成部材どうしが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在していない。
　前記ファスニングテープは、前記止着部を有するテープ基材を含んで構成されており、該テープ基材は、前記伸縮パネルの前記外側縁部に固定されたテープ基端部と、該テープ基端部に連接され該外側縁部から本体幅方向外方に突出し且つ該止着部を有する、テープ先端部とを有しており、該テープ基端部は、本体幅方向に沿う外側端及び内側端を有し、該外側端よりも本体長手方向内方に位置する、該内側端が、前記複数本の弾性部材のうち本体長手方向の最内方に配置された、弾性部材よりも本体長手方向外方に位置している。

　また、従来の展開型のパネルタイプの使い捨ておむつは、伸縮パネルに取り付けられたファスニングテープが固定されている伸縮パネルの外側縁部において、線状の弾性部材が接着剤でパネル材に接合されており、そのため、伸縮パネルの外側縁部の剛性が高くなり、柔らかさなどの風合いを悪くさせていた。装着時にファスニングテープを引っ張って、腹側部の被止着領域に止着させようとすると、伸縮パネルの外側縁部が折れ、衣類への引っかかりや着用者の肌に硬い部分が当るおそれがある。また、伸縮パネルの剛性を高くしないために糸状の弾性部材端部を細い幅の接着剤で接着する方法が考えられるが、斯かる方法を採用した場合において、おむつの装着時などに伸縮パネルを伸長させると、糸状の弾性部材が外れるおそれがあり、弾性部材の固定安定性が低下する。

　従って本発明の課題は、伸縮パネルの外側縁部が柔軟性を有し、且つ伸縮パネルを構成する弾性部材の固定安定性に優れた使い捨ておむつを提供することに関する。

　本発明は、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に介在配置された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の本体長手方向に沿う両側縁部に固定された一対の伸縮パネルとを有し、一対の該伸縮パネルそれぞれの本体長手方向に沿う外側縁部にファスニングテープが固定されている使い捨ておむつであって、前記伸縮パネルは、パネル材と、該パネル材に固定され且つ本体幅方向に延びる複数本の弾性部材とを含んで構成され、且つ本体幅方向に伸縮性を有する伸縮部と、本体幅方向に伸縮性を有さない非伸縮部とを本体幅方向に有しており、前記伸縮パネルの前記外側縁部が該非伸縮部を含んでおり、複数本の前記弾性部材は、本体長手方向に所定間隔を置いて配置され、前記伸縮部で前記パネル材に伸長状態で固定され且つ該伸縮部から前記非伸縮部に延出しており、該非伸縮部では該弾性部材と該パネル材とが接合されていない使い捨ておむつを提供するものでもある（以下、第２発明というときは、この発明をいう）。

　図３９には、特許文献５に記載の伸縮パネル（止着テープ）の製造工程が示されている。特許文献１に記載の伸縮パネルの製造工程においては、先ず、図３９（ａ）に示すように、複数本の弾性部材９０それぞれの全体を、製造ラインの流れ方向（ＭＤ）と直交する方向（ＣＤ）に伸長させておくと共に、図３９（ｂ）に示すように、伸縮パネルを構成するパネル材９９１における前記本体部に相当する部位（ＣＤの中央部）に接着剤を塗布して、ＭＤに延びる線状の接着部９２をＣＤに所定間隔を置いて複数形成しておく。但し、パネル材９９１における前記先端部及び前記固定部に相当する部位（ＣＤの左右両側部）には接着剤を塗布しない。即ち、パネル材９９１は、ＣＤの中央部が、接着剤が塗布された接着域９１Ａとされ、ＣＤの左右両側部が、接着剤が塗布されていない非接着域９１Ｂとされる。

　そして、図３９（ｃ）に示すように、複数本の弾性部材９０それぞれを、全体がＣＤに伸長された状態を維持しつつ、パネル材９９１の接着剤塗布面に当接させてパネル材９１に固定する。こうしてパネル材９９１に固定された複数本の弾性部材９０は、パネル材９９１の接着域９１Ａに対応する、ＣＤの中央部が、接着部９２によってパネル材９９１に接着固定されるが、パネル材９９１の非接着域９１Ｂに対応する、ＣＤの左右両側部は、パネル材９１に接着固定されず、非固定の状態となっている。

　次いで、伸長状態の複数本の弾性部材９０それぞれのＣＤの左右両側部を、パネル材９９１の接着域９１ＡのＣＤの外方にてカッターで切断し、各弾性部材９０の伸長状態を解除して収縮させる。これにより、複数本の弾性部材９０それぞれのＣＤの中央部は、接着部９２によって伸長状態のままパネル材９９１に接着固定される一方で、斯かる切断によって生じた弾性部材９０の切断端部は、パネル材９９１の非接着域９１Ｂ上にて収縮して非伸長状態となる。図３９（ｄ）には、斯かる弾性部材９０の収縮工程後の状態が示されている。収縮工程後、パネル材９１における弾性部材９０の接着固定面に、弾性部材９０を伸長状態で固定する部分及び非伸長状態で固定する部分の両方に接着剤が塗布された、図示しない他のパネル材を貼り付け、これら２枚のパネル材で複数本の弾性部材９０を挟持固定し、更にファスニングテープを取り付けて、目的とする伸縮パネルを得る。

　特許文献５に記載の伸縮パネルの製造工程においては、前述したように、複数本の弾性部材９０それぞれの切断端部の収縮が、接着剤が塗布されていない、パネル材９１の非接着域９１Ｂ上で起こり、これら切断端部の近傍には、それらが収縮するときの動きの自由度を制限し得るものが存在しないため、これら切断端部は、本来平面視してＣＤ（おむつの幅方向）に延びる直線状であるべきところが、図３９（ｄ）に示すように、個々に不規則に縮れて折曲状やループ状となって平面視形状が統一性の無いものとなってしまい、その結果、伸縮パネルの外観が損なわれるおそれがあった。展開型のパネルタイプの使い捨ておむつにおいて、伸縮パネルを構成する弾性部材の端部の形状に着目し、これを改善して伸縮パネルの外観の向上を図る技術は未だ提供されていない。

　従って本発明の課題は、伸縮パネルの外観が良好な使い捨ておむつ及びその製造方法を提供することに関する。

　本発明は、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に介在配置された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の本体長手方向に沿う両側縁部に固定された一対の伸縮パネルとを有し、一対の該伸縮パネルそれぞれの本体長手方向に沿う外側縁部に固定されたファスニングテープの止着部を、該吸収性本体の非肌対向面に止着して着用者に装着するようになされている使い捨ておむつであって、前記伸縮パネルは、パネル材と、該パネル材に固定され且つ本体幅方向に延びる複数本の弾性部材とを含んで構成され、該伸縮パネルの本体長手方向に沿う内側縁部にて前記吸収性本体に固定されており、複数本の前記弾性部材は、本体長手方向に所定間隔を置いて配置されており、前記伸縮パネルの前記内側縁部と前記外側縁部との間に、本体幅方向に伸縮性を有する伸縮部が存しており、該伸縮部は、該伸縮部を本体幅方向に横断する複数本の前記弾性部材が、前記パネル材に設けられた第１の接着部にて該パネル材に伸長状態で固定されて形成されており、前記伸縮パネルの前記外側縁部に、前記伸縮部を本体幅方向に横断する前記弾性部材の一端部が存しており、該外側縁部に存する該弾性部材の一端部は、該外側縁部を構成する前記パネル材に設けられた第２の接着部にて該パネル材に固定され且つ平面視して本体幅方向に延びる直線状であり、該第２の接着部は、前記第１の接着部よりも接着力が低い使い捨ておむつを提供するものである（以下、第３発明というときは、この発明をいう）。

　また本発明は、前記使い捨ておむつの製造方法であって、前記伸縮パネルの製造工程と、該製造工程で得られた伸縮パネルを、前記吸収性本体の構成部材に取り付ける工程とを含み、前記伸縮パネルの製造工程は、１）複数本の弾性部材を、それぞれを一方向に引っ張った伸長状態で、接着部が予め設けられたパネル材の該接着部に固定して複合体を得る工程と、２）前記複合体における複数本の前記弾性部材の前記伸長状態を解除し、各該弾性部材を収縮させる収縮工程と、を含み、前記伸長状態を解除する前の前記複合体において、前記パネル材の前記一方向と直交する方向に沿う左右両側部及び該左右両側部に挟まれた該パネル材の中央部それぞれに、前記接着部が設けられており、且つ該左右両側部の接着部は、該中央部の接着部よりも接着力が低い、使い捨ておむつの製造方法を提供するものである（以下、第４発明というときは、この発明をいう）

　また、吸収体を含む長方形状の吸収性本体における、着用時に着用者の背中側に配される部分に、該吸収性本体の幅方向に伸縮する伸縮性のサイドパネル材を取り付けてなる展開型の使い捨ておむつが知られている（特許文献１，６参照）。この種の使い捨ておむつは、サイドパネル材を、吸収性本体とは別工程で製造しておき、これを吸収性本体に付加して製造することができるので、サイドパネルに用いる資材の使用量や該資材から生じる廃棄物を抑えることができ、環境やコスト面で優れている。

　ところで、人の体型は、腹部が前方に突出し背側は凹んでいる。更にそれらの部分より下方では、臀部が後方に突出し、脚の付け根の部分が側方に拡がり幅が拡大している。そのため、全体的に一様に伸縮するサイドパネルを有する使い捨ておむつの場合には、サイドパネルを引っ張り、おむつを装着すると、該おむつが、立体的な凹凸を有する体型にフィットせず、特に、背中の腰の辺りのやや窪んだ部分に隙間が生じ易い。

　特許文献６には、サイドパネルの延出方向の一部の弾性変形時引張応力を、弾性部材の切断等により、他の部分における弾性変形時引張応力よりも弱くすることが記載されている。しかし、サイドパネルの延出方向に、弾性変形時引張応力が異なる複数の領域を設けても、背中の腰の辺りに隙間が生じ易いという問題は解消されない。

　また、特許文献１には、緩慢に回復するエラストマーを含む伸縮性領域を有する吸収性物品が記載されている。しかし、特許文献１にも、背中の腰の辺りに隙間を生じさせない構成について何ら記載されていない。

　したがって、本発明の課題は、着用者の背中側に隙間が生じ難く、身体に対するフィット性に優れた使い捨ておむつを提供すること関する。

　本発明は、吸収体を含む吸収性本体と、該吸収性本体の両側縁から延出する伸縮性のサイドパネルを備えた使い捨ておむつであって、前記サイドパネルは、２枚の不織布間に複数本の弾性部材が離間配置された伸縮部を有し、先端部に、止着部を有するタブが設けられており、前記伸縮部は、前記サイドパネルの延出方向と交差する交差方向における前記タブを有する範囲に位置する部分が、伸長応力が高い高伸長応力部となっており、同方向における該高伸長応力部よりも股下部側に位置する部分が、該高伸長応力部よりも伸長応力が低い低伸長応力部となっている、使い捨ておむつを提供するものである（以下、第５発明というときは、この発明をいう）。

　また、吸収体を含む長方形状の吸収性本体における、着用時に着用者の背中側に配される部分に、該吸収性本体の幅方向に伸縮する伸縮性のサイドパネル材を取り付けてなる展開型の使い捨ておむつが知られている。この使い捨ておむつを装着する際には、サイドパネル材からなるサイドパネルを手で引っ張り、その先端に設けた止着材等を、吸収性本体の腹側に配される部分の外面等に止着して固定する。
　また、この伸縮性のサイドパネルは、おむつの着用時に、着用者の肌に接する場合も多いため、通気性が高いことが望まれる。
　伸縮性のサイドパネルを形成するサイドパネル材としては、伸縮性のフィルムを用いたパネル材や、所謂糸ゴムを用いたパネル材が知られており、フィルムを用いたパネル材においては、通気性を高めるためにフィルムを穿孔するなどの工夫がされている（例えば、特許文献２参照）。しかし、穿孔したフィルムを不織布等の他のシートと積層すると透湿性や通気性が低下し易く、また、穿孔したフィルムを引き伸ばすとネックインにより開口面積が減少して透湿性や通気性が低下し易い。

　他方、糸ゴムを用いたパネル材は、不織布どうし間に糸ゴムを接着剤で固定したものが多く、本来、比較的通気性は高いものであるが、接着剤を用いて不織布どうしや弾性部材と不織布とを接合させた場合には、接着剤塗工部分の通気性が阻害されてしまう。また、パネル材の縦方向（吸収性本体の長手方向に沿う方向）に連続して接着剤を塗布するとその塗布部分の剛性が高くなり、体型の湾曲の多い着用者の側部等においてフィット性や肌あたりが悪くなる。

　本出願人は、特許文献４において、２枚のシート材と、これら両シート材間に配された複数本の弾性部材とからなる伸縮部を有する複合伸縮部材を提案した。この複合伸縮部材は、シート間を、分散した多数の接合部において接合し、弾性部材を、それらの接合部を通らないように配すると共にそれらの両端においてのみにおいてシート材に接合した構成を有している。この複合伸縮部材は、柔軟である等の優れた性質を有するため、使い捨ておむつの伸縮部の構成材として用いることも好ましいが、前述した展開型おむつのサイドパネル材として、この複合伸縮部材を用いた場合には、サイドパネルに強い引っ張り力が加わった時に、端部で固定されている弾性部材が抜けると、その弾性部材が配された領域全体の伸縮性が失われる恐れがある。

　したがって、本発明の課題は、サイドパネルの通気性及びフィット性に優れ、強い引っ張り力が加わってもサイドパネルの伸縮性が損なわれ難い使い捨ておむつを提供することに関する。

　本発明は、吸収体を含む吸収性本体と、該吸収性本体の両側縁から延出する伸縮性のサイドパネルを備えた使い捨ておむつであって、前記サイドパネルは、その延出方向に伸縮する伸縮部を有し、該伸縮部においては、２枚の不織布間に、複数本の弾性部材が、前記延出方向の交差方向に間隔を設けて配されており、前記サイドパネルは、その延出方向の先端側に、複数本の連続接合部を有しており、該連続接合部のそれぞれにおいては、前記複数本の弾性部材が、前記延出方向の交差方向に連続的に配された接着剤を介して前記２枚の不織布間に固定されており、前記サイドパネルの基端と前記連続接合部との間に、前記２枚の不織布間が、分散配置された多数の融着部において融着されていると共に前記弾性部材が、それらの融着部を通らないように配されている中間伸縮領域を有している、使い捨ておむつを提供するものである（以下、第６発明というときは、この発明をいう）。

　また、吸収体を含む吸収性本体における、着用時に着用者の背中側に配される部分（背側部）に、該吸収性本体の幅方向に伸縮する伸縮性のサイドパネルを取り付けてなる展開型の使い捨ておむつが知られている（特許文献７，８参照）。このタイプの使い捨ておむつを装着する際には、サイドパネルに設けたファスニングテープを手で引っ張り、該ファスニングテープに設けた止着材等を、吸収性本体における着用者の腹側に配される部分（腹側部）の外面等に止着する。

　しかし、ファスニングテープが、伸縮性のサイドパネルが引き伸ばされた状態で止着されるため、装着の際や着用中に、ファスニングテープのサイドパネルに対する接合部付近に大きな引っ張り力が掛かることがあり、それによって、ファスニングテープに伸びや破れが生じたり、ファスニングテープがサイドパネルから剥離したりする恐れがある。

　したがって、本発明の課題は、ファスニングテープに伸び、破れ、剥離等が生じ難い使い捨ておむつを提供することに関する。

　本発明は、吸収体を含み、腹側部、股下部及び背側部を有する吸収性本体と、該背側部における該吸収性本体の両側縁から延出するサイドパネルを備えた使い捨ておむつであって、前記サイドパネルは、２枚のパネル材間に複数本の弾性部材が、それぞれ該サイドパネルの延出方向に延びて配置された伸縮部を有しており、該サイドパネルの先端部に、ファスニングテープが設けられており、前記ファスニングテープは、前記サイドパネルに重ねた状態に固定されたテープ固定部を有し、前記サイドパネルは、該テープ固定部の下方隣接部位に、前記伸縮部が収縮して生じた複数本の襞を有している、使い捨ておむつを提供するものである（以下、第７発明というときは、この発明をいう）。

　従来より、吸収性本体の両側縁それぞれから延出する伸縮性ウエストパネルを有する使い捨ておむつが知られている。例えば、特許文献２には、伸長性積層体から形成された耳部が、トップシート、バックシート、及びトップシートとバックシートとの間に配された吸収性コアを含むシャーシに接合されて形成されたおむつが記載されており、耳部には、係合部材が配されていることが記載されている。

　しかし、特許文献２に記載のおむつは、着用時に耳部が伸縮を繰り返すことによって、耳部に配された係合部材が剥がれ易い。例えば、このように、耳部に配された係合部材が剥がれると、係合部材の角が着用者の肌に接触し、肌を傷つけてしまう恐れがある。

　本発明は、多数の係合突起を有するフックテープをシート基材上に固定したファスニングテープが、吸収体を含む長方形状の吸収性本体の背側部の両側縁それぞれから延出する伸縮性ウエストパネルに固定された使い捨ておむつであって、前記ファスニングテープの重心が前記伸縮性ウエストパネルの重心よりも前記吸収性本体の長手方向上方に位置しており、前記フックテープと前記シート基材とが固定された第１固定部と、前記ファスニングテープと前記伸縮性ウエストパネルとが固定された第２固定部とは重なっておらず、前記第１固定部における前記吸収性本体の長手方向下端縁と前記シート基材における前記吸収性本体の長手方向下端縁とは一致しており、前記第２固定部における前記吸収性本体の長手方向下端縁は、前記第１固定部の前記長手方向下端縁よりも前記吸収性本体の長手方向上方に位置しており、前記シート基材の前記長手方向下端縁から離間している使い捨ておむつを提供するものである（以下、第８発明というときは、この発明をいう）。

図１は、本発明の使い捨ておむつの一実施形態を示す図であり、各部の弾性部材を伸長させて平面状に拡げた状態を模式的に示す肌対向面側（表面シート側）の平面図である。図２は、図１、図１６及び図２９のＩ－Ｉ線断面（股下部の本体幅方向の断面）を模式的に示す断面図である。図３は、図１のＩＩ－ＩＩ線断面（背側部の本体幅方向の断面）を模式的に示す断面図である。図４は、図１、図１６及び図２９のＩＩＩ－ＩＩＩ線断面（腹側部の本体幅方向の断面）を模式的に示す断面図である。図５は、図１に示すおむつのファスニングテープを被止着領域に止着した状態を示す側面図である。図６は、図１に示すおむつの要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）の拡大図であり、各部の弾性部材を伸長させて平面状に拡げた状態を模式的に示す肌対向面側の平面図である。図７は、図６に示す要部の一部の本体幅方向の断面を模式的に示す断面図である。図８（ａ）及び図８（ｂ）は、それぞれ、図１に示すおむつの要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）の拡大図であり、図８（ａ）は、伸縮パネルの自然状態の平面図、図８（ｂ）は、伸縮パネルをその伸縮方向に伸長させた状態の平面図である。図９は、本発明の使い捨ておむつの他の実施形態の要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）を拡大して示す平面図である。図１０は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）を拡大して示す平面図である。図１１は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）を拡大して示す平面図である。図１２は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）を拡大して示す平面図である。図１３は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）を拡大して示す平面図である。図１４は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）の本体幅方向の断面を模式的に示す断面図である。図１５は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）の本体幅方向の断面を模式的に示す断面図である。図１６は、本発明（第２発明）の使い捨ておむつの一実施形態を示す図であり、各部の弾性部材を伸長させて平面状に拡げた状態を模式的に示す肌対向面側（表面シート側）の平面図である。図１７は、図１６のＩＩ－ＩＩ線断面（背側部の本体幅方向の断面）を模式的に示す断面図である。図１８は、図１６に示すおむつのファスニングテープを被止着領域に止着した状態を示す側面図である。図１９は、図１６に示すおむつの要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）の拡大図であり、各部の弾性部材を伸長させて平面状に拡げた状態を模式的に示す肌対向面側の平面図である。図２０は、図１９に示す要部の一部の本体幅方向の断面を模式的に示す断面図である。図２１（ａ）及び図２１（ｂ）は、それぞれ、図１６に示すおむつの要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）の拡大図であり、図２１（ａ）は、伸縮パネルの自然状態の平面図、図２１（ｂ）は、伸縮パネルをその伸縮方向に伸長させた状態の平面図である。図２２は、本発明の使い捨ておむつの他の実施形態の要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）を拡大して示す平面図である。図２３は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）を拡大して示す平面図である。図２４は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）を拡大して示す平面図である。図２５は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）を拡大して示す平面図である。図２６は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）を拡大して示す平面図である。図２７は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）の本体幅方向の断面を模式的に示す断面図である。図２８は、本発明の使い捨ておむつの更に他の実施形態の要部（伸縮パネル及びファスニングテープ）の本体幅方向の断面を模式的に示す断面図である。図２９は、本発明（第３発明）の使い捨ておむつの一実施形態を示す図であり、各部の弾性部材を伸長させて平面状に拡げた状態を模式的に示す肌対向面側（表面シート側）の平面図である。図３０は、図２９のＩＩ－ＩＩ線断面（背側部の本体幅方向の断面）を模式的に示す断面図である。図３１は、図２９に示すおむつのファスニングテープを被止着領域に止着した状態を示す側面図である。図３２は、図２９に示すおむつの伸縮パネル及びその近傍を拡大して模式的に示す平面図である。図３３は、図３２に示す伸縮パネル及びその近傍の本体幅方向の断面を模式的に示す断面図である。図３４は、本発明（第３発明）の使い捨ておむつの他の実施形態の伸縮パネル及びその近傍を拡大して模式的に示す平面図である。図３５は、図３４に示す伸縮パネル及びその近傍の本体幅方向の断面を模式的に示す断面図である。図３６は、本発明（第３発明）の使い捨ておむつの更に他の実施形態の伸縮パネル及びその近傍を拡大して模式的に示す平面図である。図３７は、本発明（第３発明）の使い捨ておむつの更に他の実施形態の伸縮パネル及びその近傍の本体幅方向の断面を模式的に示す断面図である。図３８（ａ）～図３８（ｄ）は、それぞれ、図２９に示すおむつの製造工程の一部（伸縮パネルの製造工程）の概略図である。図３９（ａ）～図３９（ｄ）は、それぞれ、従来の使い捨ておむつの製造工程の一部（伸縮パネルの製造工程）の概略図である。図４０は、本発明（第５発明）の第１実施形態である使い捨ておむつを、表面シート側から見た展開平面図である。図４１は、図４０に示す使い捨ておむつの着用状態を示す斜視図である。図４２は、図４０に示す使い捨ておむつのサイドパネル及びその近傍を示す拡大平面図である。図４３は、図４２のＩＶ－ＩＶ線切断部端面図（収縮状態）である。図４４は、図４０のおむつの着用状態を側方から見た模式図である。図４５は、本発明（第５発明）の第２実施形態におけるサイドパネル及びその近傍を示す拡大平面図（図４２相当図）である。図４６は、本発明（第５発明）の第３実施形態におけるサイドパネル及びその近傍を示す拡大平面図（図４２相当図）である。図４７は、本発明（第６発明）の第１実施形態である使い捨ておむつを、表面シート側から見た展開平面図である。図４８は、図４７に示す使い捨ておむつの着用状態を示す斜視図である。図４９は、図４７に示す使い捨ておむつのサイドパネル及びその近傍を示す拡大平面図である。図５０は、図４９のＩＶ－ＩＶ線切断部端面図（収縮状態）である。図５１は、本発明（第６発明）の第２実施形態におけるサイドパネル及びその近傍を示す拡大平面図（図４９相当図）である。図５２は、本発明（第６発明）の更に他の実施形態におけるサイドパネル及びその近傍を示す拡大平面図（図４９相当図）である。図５３は、サイドパネルが先端側連続接合部を１本しか有しない参考形態のおむつにおけるサイドパネルを、その先端側に向かって引っ張ることにより、該サイドパネルの弾性部材に所謂ゴム抜けが生じた状態を示す参考図である。図５４は、本発明（第７発明）の第１実施形態である使い捨ておむつを、表面シート側から見た展開平面図である。図５５は、第１実施形態におけるサイドパネル及びその近傍を、おむつ外面側から見た拡大平面図（収縮状態）である。図５６は、図５５のＩＩＩ－ＩＩＩ線断面図（収縮状態）である。図５７は、図５５のＩＶ－ＩＶ線断面図（収縮状態）である。図５８は、図５４に示す使い捨ておむつに用いたサイドパネルを単独状態で示す平面図（伸長状態）である。図５９は、図５４に示す使い捨ておむつの着用状態を側方から見た図である。図６０は、図５４に示す使い捨ておむつの製造方法の一工程を示す説明図である。図６１は、本発明（第７発明）の第２実施形態におけるサイドパネル及びその近傍を、おむつ外面側から見た拡大平面図（図５５相当図）である。図６２は、図６１のＶＩＩＩ－ＶＩＩＩ線断面図（収縮状態）である。図６３は、本発明（第７発明）の第３及び第４実施形態に用いたサイドパネルを単独状態で示す平面図（伸長状態）である。図６４は、本発明（第８発明）の第１実施形態である展開型の使い捨ておむつを伸長させて拡げた状態を表面シート側から見た平面図である。図６５は、図６４の展開型の使い捨ておむつの有する伸縮性ウエストパネルの拡大平面図である。図６６は、図６４の展開型の使い捨ておむつを着用した際の伸縮性ウエストパネルの状態を示す拡大平面図である。図６７は、本発明（第８発明）の第２実施形態である展開型の使い捨ておむつの有する伸縮性ウエストパネルの拡大平面図である（図６５相当図）。図６８は、本発明（第８発明）の第３実施形態である展開型の使い捨ておむつの有する伸縮性ウエストパネルの拡大平面図である（図６５相当図）。図６９は、本発明（第８発明）の第４実施形態である展開型の使い捨ておむつの有する伸縮性ウエストパネルの拡大平面図である（図６５相当図）。図７０は、第８発明の参考例１の使い捨ておむつの有する伸縮性ウエストパネルの拡大平面図である（図６５相当図）。図７１は、第８発明の参考例２の使い捨ておむつの有する伸縮性ウエストパネルの拡大平面図である（図６５相当図）。図７２は、第８発明の参考例３の使い捨ておむつの有する伸縮性ウエストパネルの拡大平面図である（図６５相当図）。図７３は、第８発明の参考例４の使い捨ておむつの有する伸縮性ウエストパネルの拡大平面図である（図６５相当図）。図７４は、第８発明の参考例５の使い捨ておむつの有する伸縮性ウエストパネルの拡大平面図である（図６５相当図）。

発明の詳細な説明

　以下本発明の使い捨ておむつを、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
　第１発明の一実施形態の使い捨ておむつ１は、いわゆる展開型のパネルタイプの使い捨ておむつであり、図１～図４に示すように、液透過性の表面シート２、液不透過性ないし撥水性（以下、これらを総称して液不透過性という）の裏面シート３及びこれら両シート２，３間に介在配置された液保持性の吸収体４を備えた縦長の（一方向Ｘに長い）吸収性本体５と、該吸収性本体５の本体長手方向Ｘに沿う両側縁部に固定された一対の伸縮パネル６，６とを有している。表面シート２は、吸収性本体５の肌対向面５ａを形成し、裏面シート３は、吸収性本体５の非肌対向面５ｂを形成している。表面シート２及び裏面シート３は、それぞれ、矩形状をなし、吸収体４より幅広で長い。表面シート２は裏面シート３より幅が狭い。一対の伸縮パネル６，６それぞれの本体長手方向Ｘに沿う外側縁部６Ａには、止着部７１を有するファスニングテープ７が設けられており、使い捨ておむつ１は、図５に示すように、ファスニングテープ７の止着部７１を、吸収性本体５の非肌対向面５ｂに止着して着用者に装着するようになされている。

　尚、本明細書において、肌対向面は、使い捨ておむつ及びその構成部材における着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、使い捨ておむつ及びその構成部材における着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。また、長手方向は、使い捨ておむつ又はその構成部材の長辺に沿う方向であり、幅方向は、該長手方向と直交する方向である。図中符号Ｘで示す方向は、吸収性本体５の長手方向（本体長手方向）であり、符号Ｙで示す方向は、吸収性本体５の幅方向（本体幅方向）である。

　本実施形態の使い捨ておむつ１について、より詳細に説明すると、使い捨ておむつ１は、図１に示すように、腹側部Ａ及び背側部Ｂ及び並びにこれらＡ，Ｂの間に位置する股下部Ｃを本体長手方向Ｘに有している。腹側部Ａはおむつの着用者の腹側に位置する部位、背側部Ｂはおむつの着用者の背側に位置する部位（一対の伸縮パネル６，６を有する部位）、股下部Ｃはおむつの着用者の股下に位置する部位である。腹側部Ａ、股下部Ｃ及び背側部Ｂは、使い捨ておむつ１（吸収性本体５）を、その本体長手方向Ｘの全長を３等分するようにして３つの領域に区分したときの各領域に相当する。

　吸収体４は、図１～図４に示すように、液保持性の吸収性コア４１及び該吸収性コア４１を包む液透過性のコアラップシート４２を含んで構成されている。吸収性コア４１は、図１に示すように、吸収性本体５と同方向（着用時に着用者の前後方向に向けられる方向）に長い形状を有し、本体長手方向Ｘの中央部が括れている。吸収性コア４１は、上下２枚のコアラップシート４２の間に挟持されており、その肌対向面側及び非肌対向面側の全域がコアラップシート４２によって被覆されている。吸収性コア４１とコアラップシート４２との間は、所定の部位においてホットメルト接着剤等の接着剤により接合されていても良い。

　図１に示すように、吸収性本体５は、その本体長手方向Ｘの少なくとも一端部側に、吸収性コア４１が配置されていない吸収性コア非配置領域Ｄを有している。より具体的には、吸収性コア４の本体長手方向Ｘの全長は、吸収性本体５の本体長手方向Ｘの全長よりも短く、該吸収性コア４が、図１に示すように、該吸収性本体５の本体長手方向Ｘの中央部に配置されることによって、吸収性本体５の腹側部Ａ及び背側部Ｂそれぞれに、吸収性コア非配置領域Ｄが形成されている。吸収性コア非配置領域Ｄは、おむつの着用者のウエスト部に位置する部位であり、背側部Ａ及び腹側部Ｂそれぞれにおけるおむつ１のウエスト端縁（長手方向端縁）１ｔから本体長手方向Ｘの内方におむつ１の本体長手方向Ｘ全長のおよそ１０％の長さの領域である。本実施形態における吸収性コア非配置領域Ｄは、表面シート２及び裏面シート３を含んで構成されており、更にコアラップシート４２を含んで構成されていても良い。

　吸収性本体５の本体長手方向Ｘに沿う両側部それぞれには、一側縁部に弾性部材８１が伸長状態で固定されているサイドシート８２が配されており、着用時における股下部Ｃには、一対の立体ギャザーが形成される。また、着用者の脚周りに配される左右のレッグ部には、弾性部材８３が本体長手方向Ｘに沿って配されており、着用時におけるレッグ部には、該弾性部材８３の収縮により、一対のレッグギャザーが形成される。図２～図４に示すように、一対のサイドシート８２，８２、表面シート２、吸収体４、弾性部材８１，８３及び裏面シート３は、ホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により一体化されて吸収性本体５を構成している。サイドシート８２（立体ギャザー）は、図３及び図４に示すように、背側部Ａ及び腹側部Ｂにおける立体ギャザーの本体長手方向Ｘの両端部において、弾性部材８１の配置部位（立体ギャザーが起立したときの先端部）にて表面シート２に接着剤を介して固定されている。サイドシート８２を表面シート２に固定する接着剤は、本体長手方向Ｘに延びる直線状に塗設されている。尚、サイドシート８２の表面シート２との固定部位は、弾性部材８１の配置部位のみならず、弾性部材８１の配置部位を含む、サイドシート８２の表面シート２との対向部の全域としても良い。

　図１、図４及び図５に示すように、使い捨ておむつ１の腹側部Ａにおける吸収性本体５の非肌対向面５ｂには、機械的面ファスナーのメス部材からなる被止着領域５５が形成されている。被止着領域５５は、裏面シート３の非肌対向面に、機械的面ファスナーのメス部材を公知の接合手段（例えば、接着剤やヒートシール等）で接合固定して形成されており、機械的面ファスナーのオス部材からなる、ファスニングテープ７の止着部７１を着脱自在に止着可能である。

　また、図１及び図４に示すように、使い捨ておむつ１の腹側部Ａにおける吸収性本体５の本体長手方向Ｘに沿う両側縁部には、腹側フラップ９，９が形成されている。腹側フラップ９は、非伸縮性のシート材９１からなり、該シート材９１は、その本体長手方向Ｘに沿う内側縁部（吸収性本体５寄りの側縁部）が、サイドシート８２と裏面シート３との間にホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により固定されている。

　一対の伸縮パネル６，６は、それぞれ、図６に示すように、ファスニングテープ７（テープ基端部７３）が固定されている外側縁部６Ａよりも本体幅方向Ｙの内方に、本体幅方向Ｙに伸縮性を有する伸縮部６Ｂを有している。より具体的には、伸縮パネル６は、外側縁部６Ａと、該外側縁部６Ａとは本体幅方向Ｙの反対側に位置する内側縁部６Ｃとを有し、これら両側縁部６Ａ，６Ｃ間に伸縮部６Ｂが設けられている。伸縮パネル６は、図３に示すように、その内側縁部６Ｃが、サイドシート８２と裏面シート３との間にホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により固定されている。

　伸縮パネル６（伸縮部６Ｂ）は、平面視して四角形形状（矩形形状）のパネル材６１と、パネル材６１に伸長状態で固定され且つ本体幅方向Ｙに延びる複数本の弾性部材６２とを含んで構成されており、複数本の弾性部材６２は、本体長手方向Ｘに所定間隔を置いてパネル材６１に配置されている。より具体的には、伸縮パネル６（伸縮部６Ｂ）は、相対向する２枚のパネル材６１，６１間に、本体幅方向Ｙに延びる複数本の糸状の弾性部材６２が本体長手方向Ｘに所定間隔を置いて介在配置されて構成されており、相対向する２枚のパネル材６１，６１どうしは、図６に示すように、本体長手方向Ｘに延びる複数の直線状の接合部６３にて接合されている。複数の接合部６３は、本体幅方向Ｙに所定間隔を置いて配置されている。各接合部６３は、ホットメルト型接着剤等の公知の接着剤が塗布されて形成されており、パネル材６１の本体長手方向Ｘの全長に亘って連続し、弾性部材６２の伸縮方向Ｙと直交する方向に沿う、連続直線状の接合ラインを形成している。複数本の弾性部材６２は、それぞれ、少なくとも伸縮部６Ｂの本体幅方向Ｙの全長に亘り、伸縮部６Ｂの外側縁部から内側縁部に達しており、伸縮部６Ｂにおいて複数の接合部６３と重なり、各該接合部６３にてパネル材６１の内面に固定されている。尚、図６では、説明容易のため、接合部６３が外部から明瞭に認識できるように記載しているが、実際にはそのようになっているとは限らない。

　本実施形態における伸縮部６Ｂは、伸縮パネル６（パネル材６１）に配置された複数の接合部６３のうち、本体幅方向Ｙの最内方に位置する（吸収性本体５に最も近い）接合部６３ａと、本体幅方向Ｙの最外方に位置する（吸収性本体５から最も遠い）接合部６３ｂとに挟まれた部位である。また、本実施形態における外側縁部６Ａは、伸縮パネル６における、接合部６３ｂよりも本体幅方向Ｙの外方に位置する領域である。外側縁部６Ａは、伸縮部Ｂのように、伸長状態で固定された弾性部材６２を有しておらず、実質的に本体幅方向Ｙに伸縮性を有していない非伸縮領域である。

　外側縁部６Ａを含む、伸縮パネル６の伸縮部６Ｂよりも本体幅方向Ｙの外方に位置する領域、即ち、本体幅方向Ｙの最外方に位置する接合部６３ｂよりも本体幅方向Ｙの外方に位置する領域（非伸縮領域）には、伸縮パネル６の構成部材（パネル材６１）どうしが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在しておらず、該非伸縮領域では、伸縮パネル６の構成部材どうしの接合に接着剤は用いられていない。「前記非伸縮領域に前記接着剤接合部が存在していない」とは、前記非伸縮領域において、伸縮パネル６の構成部材（パネル材６１）どうしの接合（伸縮パネル６の構成部材以外の他の部材を介在させずに、該構成部材どうしを直接接合する場合の接合）に用いられる接着剤の塗布量が、０ｇ／ｍ²である場合を意味する。

　尚、ここで前記非伸縮領域に存在しないとしている接着剤接合部は、あくまで、伸縮パネル６の構成部材（パネル材６１）どうしを（他の部材を介在させずに直接）接合するものであり、伸縮パネル６の構成部材と他の部材とを接合する接着剤接合部、例えばパネル材６１とテープ基材７２とを接合する接着剤接合部は含まれない。従って、前記非伸縮領域には、伸縮パネル６の構成部材と他の部材とが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在していても良く、本実施形態における前記非伸縮領域では、後述するように、テープ基材７２がパネル材６１に融着（融着部７５）及び接着剤（接着剤接合部７７）により固定されている。要は、前記非伸縮領域における、伸縮パネル６の構成部材と他の部材との接合手段としては、ホットメルト型接着剤等の公知の接着剤を用いても良く、あるいは接着剤以外の他の接合手段、例えばヒートシール等の融着を用いても良く、あるいは接着剤と接着剤以外の他の接合手段とを組み合わせて用いても良い。

　このように、本実施形態においては、伸縮部６Ｂよりも本体幅方向Ｙの外方に位置する伸縮パネル６の非伸縮領域（外側縁部６Ａ）には、伸縮パネル６の構成部材（パネル材６１）どうしが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在しておらず、従って、該非伸縮領域（外側縁部６Ａ）における、ファスニングテープ７（テープ基材７２）が取り付けられていない領域（テープ基端部７３と重ならない領域、以下、テープ非固定領域ともいう）には、伸縮パネル６の構成部材（パネル材６１）どうしを接合する接合手段としての接着剤が存しておらず、そのため、該テープ非固定領域の形成材料（不織布等）が本来有する柔軟性が確保されており、それによって、該非伸縮領域における、ファスニングテープ７（テープ基材７２）が取り付けられている領域（テープ基端部７３と重なる領域、以下、テープ固定領域ともいう）との剛性の差が大きくなっている。

　ファスニングテープ７は、図３、図６及び図７に示すように、止着部７１を有するテープ基材７２を含んで構成されている。テープ基材７２は、伸縮パネル６の外側縁部６Ａに固定されたテープ基端部７３と、テープ基端部７３に連接され外側縁部６Ａから本体幅方向Ｙの外方に突出し且つ止着部７１を有する、テープ先端部７４とを有している。止着部７１は、機械的面ファスナーのオス部材からなり、テープ先端部７４の片面（肌対向面）に設けられており、前述した、機械的面ファスナーのメス部材からなる被止着領域５５に対して着脱自在に止着可能である。

　本実施形態においては、ファスニングテープ７は、図３及び図７に示すように、テープ基端部７３により伸縮パネル６の外側縁部６Ａの非肌対向面６ｂに固定されている。テープ基端部７３は、伸縮パネル６の外側縁部６Ａに、融着を含む接合手段、具体的には融着及び接着剤により固定されており、テープ基端部７３と伸縮パネル６（パネル材６１）とが重なる領域〔外側縁部６Ａ（非伸縮領域）の前記テープ固定領域〕には、図６及び図７に示すように、接着剤接合部７７に加えて、平面視して楕円形状の融着部７５が複数形成されている。外側縁部６Ａは、前述した非伸縮領域の一部であり、前述したように、該非伸縮領域（外側縁部６Ａ）では伸縮パネル６の構成部材（パネル材６１）どうしの接合に接着剤は用いられないが、伸縮パネル６の構成部材と他の部材（テープ基材７２）との接合手段としては、接着剤及び／又は接着剤以外の他の接合手段（ヒートシール等の融着）が用いられる場合があるところ、本実施形態においては、該接合手段として、融着及び接着剤の組み合わせが採用されている。ここでいう「融着」は、複数の部材（本実施形態では２枚のパネル材６１及びテープ基端部７３）のうちの１つ以上を加熱溶融して該複数の部材を互いに接合する方法を意味し、具体的には、公知のヒートシール法、超音波シール法、高周波シール法等が挙げられる。本実施形態における融着部７５は、公知のヒートシール法により形成されている。融着部７５を形成するためのヒートシールは、外側縁部６Ａ（パネル材６１）の肌対向面６ａ側から行っても良く、非肌対向面６ｂ側から行っても良い。複数の融着部７５は、図６に示すように、本体長手方向Ｘ及び本体幅方向Ｙの両方向に所定間隔を置いて配置されている。尚、図６では、説明容易のため、融着部７５が外部から明瞭に認識できるように記載しているが、実際にはそのようになっているとは限らない。図６及び図７以外の、テープ基端部７３を示す他の図（図１、図３、図５、図８～図１５）では、説明容易のため、融着部７５の図示を省略している。

　テープ基端部７３は、図６に示すように、平面視して矩形形状であり、本体幅方向Ｙに沿う外側端７３ｓ及び内側端７３ｔを有している。外側端７３ｓ及び内側端７３ｔは、矩形形状のテープ基端部７３の一対の短辺を構成しており、内側端７３ｔは、外側端７３ｓよりも本体長手方向Ｘの内方に位置し、相対的に股下部Ｃに近い。そして、本実施形態においては、この内側端７３ｔが、図６に示すように、伸縮パネル６を構成する複数本の弾性部材６２のうち本体長手方向Ｘの最内方に配置された（股下部Ｃに最も近い）、弾性部材（以下、最内方弾性部材ともいう）６２ｔよりも本体長手方向Ｘの外方（図６では上方）に位置している。テープ基端部７３の内側端７３ｔが、本体長手方向Ｘにおいて最内方弾性部材６２ｔと同位置か、それよりも本体長手方向Ｘの内方（図６では下方）にあると、後述する伸縮パネル６の伸縮特性が得られない。

　本実施形態の使い捨ておむつ１においては、このように、１）ファスニングテープ７の伸縮パネル６との固定部位である、テープ基端部７３の内側端７３ｔが、伸縮パネル６の最内方弾性部材６２ｔよりも本体長手方向Ｘの外方に位置していること、及び前述したように、２）伸縮部６Ｂよりも本体幅方向Ｙの外方に位置し且つテープ基端部７３が固定されている、伸縮パネル６の非伸縮領域（外側縁部６Ａ）には、伸縮パネル６の構成部材（パネル材６１）どうしの接合手段としての接着剤が存しておらず、従って、該非伸縮領域の一部である前記テープ非固定領域（該非伸縮領域におけるテープ基端部７３と重ならない領域）の柔軟性が確保されていること、の２点の採用により、使い捨ておむつ１を装着する際にファスニングテープ７を被止着領域５５に止着させたときの、伸縮パネル６の伸縮特性を制御している。そして、この伸縮特性の制御により、以下に説明するように、使い捨ておむつ１の着用中において、着用者の背側のウエスト部と使い捨ておむつ１の背側端部との間に隙間が生じることが防止され、且つ着用者の脚周りに、前記レッグギャザーを構成する弾性部材８３の締め付けによる跡が付きにくくなる。

　図８（ａ）には伸縮パネル６の自然状態（外力を加えない状態）、図８（ｂ）には伸縮パネル６をその伸縮方向Ｙに伸長させた状態がそれぞれ示されている。伸縮パネル６の自然状態においては、弾性部材６２の最外方接合部６２a、６２ｂを起点として弾性部材６２が収縮して、図８（ａ）に示すように、パネル材６１が、伸縮方向（本体幅方向）Ｙと直交する方向（本体長手方向）Ｘに延びる複数の襞６５を形成している。各襞６５は、隣り合う接合部６３，６３（図８では図示せず。図６参照。）の間に形成されている。各襞６５は、伸縮パネル６の肌対向面６ａ及び非肌対向面６ｂの両面にそれぞれ突出するように形成されており、各襞６５の突出方向の先端部は、断面円弧状の凸曲面を形成している。

　そして、使い捨ておむつ１を図５に示す如く装着するに際し、ファスニングテープ７の止着部７１を被止着領域５５に止着させるべく、図８（ａ）に示す伸縮パネル６の自然状態において、常法に従ってファスニングテープ７の先端を指で摘んでまっすぐに引っ張り、図８（ｂ）に示すように、伸縮パネル６にその伸縮方向Ｙに沿って外力（引張力）Ｆを作用させると、前述した１）及び２）の２点の採用に起因する、伸縮パネル６の伸縮特性により、伸縮パネル６における、テープ基端部７３と吸収性本体５との間に位置する伸縮部６Ｂの一部（以下、テープ基端部隣接部ともいう）は、該テープ基端部隣接部の弾性部材６２の最外方接合部６２aにファスニングテープ７の外力（引張力）Ｆが直接的に伝わることにより、該最外方接合部６２aを起点としてヨレることなく伸長状態になり、弾性部材６２の伸長後長さｗ６（図８（ｂ）参照）になる。一方、伸縮パネル６における、テープ基端部７３の内側端７３ｔよりも本体長手方向Ｘの内方（図８（ｂ）では下方）に位置する部位（伸縮パネル６の下部）には、ファスニングテープ７（テープ基端部７３）が存しておらず、ファスニングテープ７の先端を摘んでまっすぐに引っ張ったときの外力（引張力）Ｆが伝わり難いため、該部位に存する、最内方弾性部材６２ｔをはじめとする弾性部材６２の最外方接合部６２ｂが、前記テープ基端部隣接部の最外方接合部６２aよりも吸収性本体５側（背側部Ｂ側）に引っ張られ、これにより図８（ｂ）に示すように、伸縮部６Ｂの下部の幅方向外方がヨレて弱伸長状態となる。

　このように、ファスニングテープ７の先端を摘んでまっすぐに引っ張ることによって伸縮パネル６に本体幅方向Ｙの外方に向かう外力（引張力）Ｆを作用させたときに、本体長手方向Ｘにおいてファスニングテープ７（テープ基端部７３）と同位置にある弾性部材６２（最外方接合部６２ａと重なる弾性部材６２）は、外力Ｆによって相対的に強く引っ張られて伸長し、それによって伸縮パネル６の前記テープ基端部隣接部が伸長状態となるのに対し、テープ基端部７３の内側端７３ｔよりも本体長手方向Ｘの内方に位置する弾性部材６２，６２ｔ（最外方接合部６２ｂと重なる弾性部材６２）は、ファスニングテープ７の引っ張りに伴う外力Ｆによっては引っ張られ難く、最外方接合部６２ａと重なる弾性部材６２に比して伸長度合いが弱いため、内側端７３ｔよりも本体長手方向Ｘの内方に位置する（最外方接合部６２ｂが存する）、伸縮パネル６の下部は、前記テープ基端部隣接部に比して相対的に伸長度合いが弱い弱伸長状態となる。このことにより、伸縮パネル６の下部における２本の弾性部材６２の伸長後長さｗ６'，ｗ６"は、前記テープ基端部隣接部の伸縮部６Ｂの伸長後長さｗ６よりも小さくなり、伸縮パネル６の下部の伸長量が軽減される。

　実際にファスニングテープ７の止着部７１を被止着領域５５に止着させて、使い捨ておむつ１を着用者に装着したときには、前述した、伸縮パネル６の下部に相当する部位は、着用者の臀部の膨らみや脚の付け根に当たるために周囲長が大きくなるが、前述したように、伸縮パネル６の下部が弱伸長状態になることによって伸縮パネル６がテープ基端部７３よりも伸長に余裕があることで、着用者の脚周りに位置する伸縮パネル６の下部の、脚周りへの締め付け力が軽減され、脚に締め付け跡がつきにくくなる。また、ファスニングテープ７の伸長時には、前述したように、前記テープ基端部隣接部の伸縮部６Ｂの伸長後長さｗ６の方が伸縮パネル６の下部の弾性部材６２の伸長後長さｗ６'，ｗ６"よりも大きいことによって、前記テープ基端部隣接部の収縮力が大きくなり、それにより、使い捨ておむつ１における、着用者の背側のウエスト部に位置する背側端部（吸収性コア非配置領域Ｄ）には直接的に引張力Ｆが伝わるため、使い捨ておむつ１の着用中において、着用者の背中と該背側端部との間に隙間が生じにくくなり、フィット性及び漏れ防止性が向上する。

　また、本実施形態においては、テープ基端部７３が伸縮パネル６に融着部７５及び接着剤接合部７７により固定されていることにより、止着操作の際にファスニングテープ７を引っ張ったときに、ファスニングテープ７が外れてしまう不都合が回避されると共に、テープ基端部７３の剛性が接着剤の使用と融着部７５の形成によって向上しているため、ファスニングテープ７を引っ張ってもテープ基端部７３にヨレが生じ難く、テープ基端部７３と前述した伸縮パネル６の下部との引張力の差が大きくなり、該下部が弱伸長状態になりやすくなって前述した効果が一層奏されやすくなる。

　前述した伸縮パネル６による作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、各種部材の寸法、個数等は次のように設定されることが好ましい。
　自然状態における伸縮パネル６の本体長手方向Ｘの長さｗ１（図８（ａ）参照）は、好ましくは５０～１２０ｍｍ、更に好ましくは６０～１００ｍｍである。
　自然状態における伸縮パネル６の、吸収性本体５から本体幅方向Ｙの外方に延出している部分（外側縁部６Ａ及び伸縮部６Ｂ）の長さｗ２（図８（ａ）参照）は、好ましくは２０～６０ｍｍ、更に好ましくは２５～５０ｍｍである。
　テープ基端部７３の本体長手方向Ｘの長さｗ３（図８（ａ）参照）は、好ましくは２０～１００ｍｍ、更に好ましくは３０～６０ｍｍである。
　テープ基端部７３の本体幅方向Ｙの長さｗ４（図８（ａ）参照）は、好ましくは８～２０ｍｍ、更に好ましくは１０～１８ｍｍである。
　隣り合う弾性部材６２，６２の間隔ｗ５（図８（ａ）参照）は、好ましくは３～１５ｍｍ、更に好ましくは５～１０ｍｍである。
　テープ基端部７３の内側端７３ｔと最内方弾性部材６２ｔとの間に配置される弾性部材６２の本数は、好ましくは１～１５本、更に好ましくは３～１０本である。

　使い捨ておむつ１（及び後述する使い捨ておむつ１Ａ，１Ｂ）における各部の形成材料について説明すると、表面シート２及び裏面シート３としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを用いることができる。表面シート２としては、不織布や開孔フィルム等の各種液透過性のシート材を用いることができる。裏面シート３としては、透湿性を有しない樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等の各種液不透過性ないし撥水性のものを用いることができる。また、吸収体４を構成する吸収性コア４１としては、当該技術分野において従来用いられている液保持性の材料を特に制限無く用いることができ、例えば、木材パルプ等の親水性繊維からなる繊維集合体、該繊維集合体に粒子状の吸水性樹脂を保持させたもの等を用いることができる。また、吸収体４を構成するコアラップシート４２としては、例えば、紙、不織布、開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。また、サイドシート８２としては、裏面シート３と同様のものを用いることができる。

　伸縮パネル６を構成するパネル材６１としては、例えば、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の各種製法による不織布、織布、編布、紙、樹脂フィルム等、及びこれら２以上を積層一体化させてなるシート材等を用いることができる。また、ファスニングテープ７を構成するテープ基材７２としては、例えば、不織布や不織布と樹脂フィルムの積層体等を用いることができる。

　本発明に係る伸縮パネル及びファスニングテープは、前述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態のものを採用することができる。後述する他の実施形態については、前述した実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施形態についての説明が適宜適用される。

　図９に示す実施形態においては、伸縮パネル６の外側縁部６Ａにおける、テープ基端部７３が固定されておらず且つ相対向する２枚のパネル材６１，６１を含んで構成されている領域（前記テープ非固定領域）６Ａ１の該２枚のパネル材６１，６１が、互いに融着されており、テープ基端部非固定領域６Ａ１に、テープ基端部７３と伸縮パネル６とを固定している融着部（図９では図示せず）と同様の、平面視して楕円形状の融着部７５が複数形成されている。図９に示す実施形態によれば、前述した、伸縮パネル６の下部の弱伸長状態を妨げることなく、テープ基端部非固定領域６Ａ１を構成するパネル材６１の剥がれや捲れを防止することができる。

　図１０に示す実施形態においては、テープ先端部７４を本体長手方向Ｘに二分する仮想直線Ｌ１が、伸縮パネル６を本体長手方向Ｘに二分する仮想直線Ｌ２よりも本体長手方向Ｘの外方（図１０では上方）に位置している、即ち、股下部Ｃに対して相対的に遠い位置にある。図１０に示す実施形態は、ファスニングテープ７の中心を通過する仮想直線Ｌ１と伸縮パネル６の中心を通過する仮想直線Ｌ２との位置関係を調整することで、テープ基端部７３の内側端７３ｔと伸縮パネル６の本体幅方向Ｙに沿う内側端（伸縮パネル６の本体幅方向Ｙに沿う上下一対の端部のうち、股下部Ｃに最も近い端部）６ｔとの間の距離を長くとり、それにより、ファスニングテープ７の被止着領域５５（図１、図４及び図５参照）への止着時において、着用者の脚周りへの引張力と背側のウエスト部への引張力との差を大きくし、前述した、伸縮パネル６の下部の弱伸長状態の発生を促すようにしたものである。仮想直線Ｌ１と仮想直線Ｌ２との距離ｗ７は、好ましくは５～２５ｍｍ、更に好ましくは８～２０ｍｍである。

　図１１に示す実施形態においては、テープ先端部７４を本体長手方向Ｘに二分する仮想直線Ｌ１が、吸収性コア非配置領域Ｄを本体幅方向Ｙに横断している。図１１に示す実施形態によれば、使い捨ておむつ１の着用中において、着用者の背中とおむつ１の背側端部との間に隙間が一層生じにくくなり、吸収性コアが尿等の排泄液を吸収保持して膨張した場合でも、該隙間が生じにくくなる。

　図１２に示す実施形態においては、テープ先端部７４の本体長手方向Ｘの長さ（テープ先端部７４の幅）ｗ８が、テープ基端部７３の本体長手方向Ｘの長さ（テープ基端部３４の幅）ｗ３と同じかそれよりも短い。尚、「テープ先端部の本体長手方向の長さ」は、該長さが一定ではない場合は、最大長さを意味し、「テープ基端部の本体長手方向の長さ」についても同様である。図１２に示すファスニングテープ７Ａは、平面視して矩形形状であり、両者７３，７４の本体長手方向Ｘの長さ（幅）は同じである。図１２に示す実施形態によれば、テープ先端部７４に本体幅方向Ｙに沿って外力Ｆを作用させてこれを引っ張ったときに、その外力Ｆがテープ先端部７４と同幅のテープ基端部７３にストレートに伝わるため、伸縮パネル６におけるテープ基端部７３の周辺部の折れが発生し難い。また、前述したファスニングテープ７は、テープ基端部７３がテープ先端部７４よりも幅広であったが、図１２に示すファスニングテープ７Ａは、テープ基端部７３がテープ先端部７４と同幅かそれよりも幅狭であるため、ファスニングテープ７に比して、テープ基端部７３の内側端７３ｔと伸縮パネル６の内側端６ｔとの間の距離を比較的長くとることが可能となり、それにより、ファスニングテープ７Ａの被止着領域５５（図１、図４及び図５参照）への止着時において、着用者の脚周りへの引張力と背側のウエスト部への引張力との差が一層大きくなり、前述した、伸縮パネル６の下部の弱伸長状態の発生が促される。

　また、図１２に示す実施形態において、テープ先端部７４の本体長手方向Ｘの長さｗ８を、伸縮パネル６の本体長手方向Ｘの長さ（伸縮パネル６の幅）ｗ１の半分と同じかそれよりも短くすることにより、前述した効果がより安定的に奏されるようになる。尚、「伸縮パネルの本体長手方向の長さ」は、該長さが一定ではない場合は、最大長さを意味する。このように、テープ先端部７４の長さｗ８を、伸縮パネル６の長さｗ１の半分と同じかそれよりも短くすることは、図１２に示すファスニングテープ７Ａのみならず、図６等に示すファスニングテープ７（テープ基端部７３がテープ先端部７４よりも幅広のファスニングテープ）にも適用可能である。

　図１３に示す実施形態は、伸縮パネルが前記実施形態と異なる。即ち、図６に示す伸縮パネル６においては、複数本の弾性部材６２は、それぞれ、伸縮パネル６の内側縁部６Ｃ及び伸縮部６Ｂにおいて、本体長手方向Ｘに延びる複数の連続直線状の接合部６３と重なり、各該接合部６３にてパネル材６１に固定されていたが、図１３に示す伸縮パネル６Ｐにおいては、伸縮部６Ｂの本体幅方向Ｙの一端側（接合部６３ａの存する部位）及び他端側（接合部６３ｂの存する部位）を除き、複数本の弾性部材６２は、パネル材６１に固定されていない。即ち、図１３に示す伸縮パネル６Ｐの伸縮部６Ｂにおいては、本体幅方向Ｙの最内方に位置する（吸収性本体５に最も近い）接合部６３ａと本体幅方向Ｙの最外方に位置する（吸収性本体５から最も遠い）接合部６３ｂとに挟まれた領域に配置された複数の接合部６６が、それぞれ、平面視して矩形形状の複数の小接合部６６ｓが本体長手方向Ｘに所定間隔を置いて列をなすように配置されることにより構成されており、平面視して本体長手方向Ｘに延びる破線状となっている。そして、複数本の弾性部材６２は、複数の破線状の接合部６６に対して、小接合部６６ａとは重ならずに、本体長手方向Ｘに隣り合う小接合部６６ａ，６６ａ間の隙間と重なるように配置されており、且つ伸縮部６Ｂの本体幅方向Ｙの両端に位置する、連続直線状の接合部６３ａ及び６３ｂと重なるように配置され、接合部６３ａ及び６３ｂでのみパネル部材６１に固定されている。

　図６に示す実施形態では、図８（ｂ）に示す如きファスニングテープ７の伸長時において、前述した、伸縮パネル６の下部の弱伸長状態の発生に伴い、伸縮部６Ｂにおけるパネル材６１と弾性部材６２との接合点それぞれが斜め方向に引張力Ｆがかかることによりパネル材６１のツレが生じ、それによって伸縮部６Ｂ内での本体幅方向Ｙにおける弾性部材６２の伸長が一部制限されて、弾性部材６２の伸長に不均衡が生じる場合があり得る。これに対し、図１３に示す実施形態によれば、伸縮部６Ｂの弾性部材６２は、パネル材６１と接合されていないため、前述した、パネル材６１のツレによる伸長の制限を受けずに、伸縮部６Ｂ内で均一に伸長することができ、その結果、脚周りの跡付きが更に生じにくいという効果が奏される。また、接着剤によるパネル材６１の透湿性の低下及び剛性の増加を防ぐことができる。伸縮パネル６Ｐとしては、本出願人の先の出願に係る特許文献４に記載の複合伸縮部材を用いることができる。

　図１４及び図１５に示す実施形態は、何れもファスニングテープ７の伸縮パネル６への接合形態が前記実施形態（図７参照）と異なる。尚、図１４及び図１５に示す接合形態は、ファスニングテープ７Ａにも適用可能である。図１４に示す実施形態においては、ファスニングテープ７が、テープ基端部７３により伸縮パネル６の外側縁部６Ａの肌対向面６ａに固定されている。また、ファスニングテープ７の非肌対向面７ｂ及び伸縮パネル６の非肌対向面６ｂには、ファスニングテープ７の伸縮パネル６への固定を補強する補強部材７６が、ファスニングテープ７のテープ先端部７４と伸縮パネル６の外側縁部６Ａとを跨ぐように固定されている。補強部材７６としては、例えば、不織布や樹脂フィルムを用いることができる。また、図１５に示す実施形態においては、伸縮パネル６を構成する相対向する２枚のパネル材６１，６１の間で、ファスニングテープ７のテープ基材７２（テープ基端部７３）を挟持固定している。

　尚、補強部材７６は、図７に示す実施形態にも適用可能である。即ち、図７に示す実施形態において、ファスニングテープ７の肌対向面７ａ及び伸縮パネル６の肌対向面６ａに、補強部材７６を、ファスニングテープ７のテープ先端部７４における止着部７１よりも本体幅方向Ｙの内方の部位（止着部７１とパネル材６１とに挟まれた部位）と外側縁部６Ａとを跨ぐように固定することができる。

　本発明（第２発明）の一実施形態である使い捨ておむつ１Ａは、いわゆる展開型のパネルタイプの使い捨ておむつであり、図１６，図２，図１７，図４に示すように、液透過性の表面シート２、液不透過性ないし撥水性（以下、これらを総称して液不透過性という）の裏面シート３及びこれら両シート２，３間に介在配置された液保持性の吸収体４を備えた縦長の（一方向Ｘに長い）吸収性本体５と、該吸収性本体５の本体長手方向Ｘに沿う両側縁部に固定された一対の伸縮パネル６，６とを有している。表面シート２は、吸収性本体５の肌対向面５ａを形成し、裏面シート３は、吸収性本体５の非肌対向面５ｂを形成している。表面シート２及び裏面シート３は、それぞれ、矩形状をなし、吸収体４より幅広で長い。表面シート２は裏面シート３より幅が狭い。一対の伸縮パネル６，６それぞれの本体長手方向Ｘに沿う外側縁部６Ａには、止着部７１を有するファスニングテープ７が設けられており、使い捨ておむつ１Ａは、図１８に示すように、ファスニングテープ７の止着部７１を、吸収性本体５の非肌対向面５ｂに止着して着用者に装着するようになされている。

　本実施形態の使い捨ておむつ１Ａについて、より詳細に説明すると、使い捨ておむつ１Ａは、図１６に示すように、腹側部Ａ及び背側部Ｂ及び並びにこれらＡ，Ｂの間に位置する股下部Ｃを本体長手方向Ｘに有している。腹側部Ａはおむつの着用者の腹側に位置する部位、背側部Ｂはおむつの着用者の背側に位置する部位（一対の伸縮パネル６，６を有する部位）、股下部Ｃはおむつの着用者の股下に位置する部位である。腹側部Ａ、股下部Ｃ及び背側部Ｂは、使い捨ておむつ１Ａ（吸収性本体５）を、その本体長手方向Ｘの全長を３等分するようにして３つの領域に区分したときの各領域に相当する。

　本実施形態の使い捨ておむつ１Ａは、図１６，図２，図１７，図４に示すように、前述した使い捨ておむつ１における吸収性本体５及び腹側フラップ９のそれぞれと同一構成の吸収性本体５及び腹側フラップ９を有している。従って、吸収性本体５及び腹側フラップ９については、前述した使い捨ておむつ１についての説明（より好ましい構成や変形例を含む）が、本実施形態の使い捨ておむつ１Ａにも適用される。

　本実施形態の使い捨ておむつ１Ａの一対の伸縮パネル６，６について説明する。
　一対の伸縮パネル６，６は、それぞれ、図１９に示すように、平面視して四角形形状（矩形形状）のパネル材６１と、パネル材６１に固定され且つ本体幅方向Ｙに延びる複数本の弾性部材６２とを含んで構成され、且つ本体幅方向Ｙに伸縮性を有する伸縮部６Ｂと、本体幅方向Ｙに伸縮性を有さない非伸縮部６Ａとを本体幅方向Ｙに有している。ファスニングテープ７（テープ基端部７３）が固定されている、伸縮パネル６の外側縁部６Ａは非伸縮性であり、その全域が非伸縮部６Ａである。

　伸縮パネル６について更に説明すると、伸縮パネル６は、図１９に示すように、非伸縮性の外側縁部６Ａと、該外側縁部６Ａとは本体幅方向Ｙの反対側に位置する非伸縮性の内側縁部６Ｃとを有し、これら両側縁部６Ａ，６Ｃ間に伸縮性の伸縮部６Ｂが設けられている。伸縮パネル６は、図１７に示すように、その本体長手方向Ｘに沿う内側縁部６Ｃが、サイドシート８２と裏面シート３との間にホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により固定されている。一対の伸縮パネル６，６は、それぞれ、図１７に示すように、内側縁部６Ｃにおける弾性部材６２が配置されていない部位で、吸収性本体５に固定されていることが好ましい。即ち、図１９に示す如き平面視において、吸収性本体５と伸縮パネル６（内側縁部６Ｃ）とが重なる部位に弾性部材６２が存していないことが、吸収性本体５とパネル材６１との接着性を強固にする点で好ましい。

　複数本の弾性部材６２は、図１９に示すように、本体長手方向Ｘに所定間隔を置いて配置され、伸縮部６Ｂにてパネル材６１に伸長状態で固定され且つ伸縮部６Ｂから非伸縮部（外側縁部）６Ａに延出している。より具体的には、伸縮パネル６（伸縮部６Ｂ）は、相対向する２枚のパネル材６１，６１間に、本体幅方向Ｙに延びる複数本の糸状の弾性部材６２が本体長手方向Ｘに所定間隔を置いて介在配置されて構成されており、相対向する２枚のパネル材６１，６１どうしは、図１９に示すように、本体長手方向Ｘに延びる複数の直線状の接合部６３にて接合されている。複数の接合部６３は、本体幅方向Ｙに所定間隔を置いて配置されている。各接合部６３は、ホットメルト型接着剤等の公知の接着剤が塗布されて形成されており、パネル材６１の本体長手方向Ｘの全長に亘って連続し、弾性部材６２の伸縮方向Ｙと直交する方向に沿う、連続直線状の接合ラインを形成している。複数本の弾性部材６２は、それぞれ、伸縮部６Ｂの本体幅方向Ｙの全長に亘り、伸縮部６Ｂの外側縁部側から内側縁部側に達しており、更に、伸縮部６Ｂと非伸縮部６Ａとの境界から非伸縮部６Ａ側に延出し、非伸縮部６Ａに入り込んでいる。つまり、伸縮パネル６の非伸縮部（外側縁部）６Ａには、図１９に示すように、伸縮部６Ｂを本体幅方向Ｙに横断する弾性部材６２の一端部が存している。尚、図１９では、説明容易のため、接合部６３が外部から明瞭に認識できるように記載しているが、実際にはそのようになっているとは限らない。

　伸縮部６Ｂでは、複数本の弾性部材６２は、それぞれ、複数の接合部６３と重なり、各該接合部６３にてパネル材６１の内面に固定されている。これに対し、外側縁部６Ａでは、パネル材６１と弾性部材６２（弾性部材６２の一端部）とは接合されておらず、外側縁部６Ａにおける弾性部材６２は、非伸長状態（自然状態）とされている。外側縁部６Ａは、パネル材６１と弾性部材６２とが接合されていない非伸縮部６Ａである。

　本実施形態においては、弾性部材６２の、伸縮部６Ｂから非伸縮部（外側縁部）６Ａへの延出長さは、伸縮部６Ｂにおける複数の直線状の接合部６３のうちで非伸縮部６Ａに最も近い２本の接合部６３ｂ，６３の間隔よりも長くなっている。即ち、図１９に示すように、弾性部材６２の非伸縮部６Ａ側への延出長さＬａは、伸縮パネル６に配置された複数の接合部６３のうち、本体幅方向Ｙの最外方に位置する（吸収性本体５から最も遠い）接合部６３ｂと、該接合部６３ｂに隣接する別の接合部６３との間隔Ｌｂ（図１９参照）よりも長い。このように、弾性部材６２の延出長さＬａを接合部６３ｂ，６３どうしの間隔Ｌｂよりも長く設定することにより、延出長さＬａに相当する弾性部材６２の一端部を、当初の配置位置である、接合部６３ｂよりも本体幅方向Ｙの外方（即ち非伸縮部６Ａ）に、安定的に留まらせることが可能となる。即ち、おむつ１Ａの装着時等にファスニングテープ７を摘んで伸縮パネル６を本体幅方向Ｙに引っ張ると、弾性部材６２における接合部６３ｂ，６３で接合されている部位（伸縮部６Ｂに存する部位）が伸長状態となって該部位に収縮力が生じ、その収縮力が接合部６３ｂ，６３による該部位のパネル材６１への固定力を上回った場合には、延出長さＬａに相当する弾性部材６２の一端部が、該部位の収縮によって接合部６３ｂを超えて本体幅方向Ｙの内方に移動し（いわゆるゴム抜けが生じ）、伸縮部６Ｂに完全に入り込んでしまうという不都合が生じるおそれがあるところ、延出長さＬａを接合部６３ｂ，６３どうしの間隔Ｌｂよりも長く設定することで、ゴム抜けが生じた場合でも、延出長さＬａに相当する弾性部材６２の一端部の、本体幅方向Ｙの内方への移動量が制限され、それによって弾性部材６２の一端部が伸縮部６Ｂに完全に入り込む（非伸縮部６Ａに存しなくなる）ことが効果的に防止される。斯かる効果をより確実に奏させるようにする観点から、弾性部材６２の延出長さＬａと本体幅方向Ｙの最外方に位置する接合部６３ｂ，６３どうしの間隔Ｌｂとの比（Ｌａ／Ｌｂ）は、０．８～２が好ましい。

　尚、複数本の弾性部材６２は、それぞれ、伸縮部６Ｂと内側縁部６Ｃとの境界から内側縁部６Ｃ側に延出し、内側縁部６Ｃに入り込んでいても良く、内側縁部６Ｃには、伸縮部６Ｂを本体幅方向Ｙに横断する弾性部材６２の他端部が存していても良い。その場合、内側縁部６Ｃにおける弾性部材６２（弾性部材６２の他端部）は、外側縁部６Ａにおける弾性部材６２（弾性部材６２の一端部）と同様に、非伸長状態（自然状態）とされており、内側縁部６Ｃは、パネル材６１と弾性部材６２とが接合されていない非伸縮部６Ｃである。

　本実施形態における伸縮部６Ｂは、伸縮パネル６（パネル材６１）に配置された複数の接合部６３のうち、本体幅方向Ｙの最内方に位置する（吸収性本体５に最も近い）接合部６３ａと、本体幅方向Ｙの最外方に位置する（吸収性本体５から最も遠い）接合部６３ｂとに挟まれた部位である。また、本実施形態における非伸縮部（外側縁部）６Ａは、伸縮パネル６における、接合部６３ｂよりも本体幅方向Ｙの外方に位置する領域である。外側縁部６Ａは、伸縮部Ｂのように伸長状態ではなく、弾性部材６２の端部を自然状態で有しており、実質的に本体幅方向Ｙに伸縮性を有していない非伸縮部６Ａである。

　外側縁部６Ａを含む、伸縮パネル６の伸縮部６Ｂよりも本体幅方向Ｙの外方に位置する領域、即ち、本体幅方向Ｙの最外方に位置する接合部６３ｂよりも本体幅方向Ｙの外方に位置する領域（非伸縮部６Ａ）には、複数の弾性部材６２の一端部が非伸縮状態で存在するものの、伸縮パネル６の構成部材（パネル材６１）どうしが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在しておらず、非伸縮部６Ａでは、伸縮パネル６の構成部材どうしの接合に接着剤は用いられていない。「前記非伸縮領域に前記接着剤接合部が存在していない」とは、非伸縮部６Ａにおいて、伸縮パネル６の構成部材（パネル材６１）どうしの接合（伸縮パネル６の構成部材以外の他の部材を介在させずに、該構成部材どうしを直接接合する場合の接合）に用いられる接着剤の塗布量が、０ｇ／ｍ²である場合を意味する。

　尚、ここで非伸縮部６Ａに存在しないとしている接着剤接合部は、あくまで、伸縮パネル６の構成部材（パネル材６１）どうしを（他の部材を介在させずに直接）接合するものであり、伸縮パネル６の構成部材と他の部材とを接合する接着剤接合部、例えばパネル材６１とテープ基材７２とを接合する接着剤接合部は含まれない。従って、非伸縮部６Ａには、伸縮パネル６の構成部材と他の部材とが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在していても良く、本実施形態における非伸縮部６Ａ領域では、後述するように、テープ基材７２がテープ基端部７３でパネル材６１に融着（融着部７５）及び接着剤（接着剤接合部７７）により固定されている。テープ基端部７３は、伸縮パネル６の外側縁部６Ａに接着剤及び複数の融着部７５ａにより固定されていることが好ましい。要は、非伸縮部６Ａにおける、伸縮パネル６の構成部材と他の部材との接合手段としては、ホットメルト型接着剤等の公知の接着剤を用いても良く、あるいは接着剤以外の他の接合手段、例えばヒートシール等の融着を用いても良く、あるいは接着剤と接着剤以外の他の接合手段とを組み合わせて用いても良い。

　このように、本実施形態においては、伸縮部６Ｂよりも本体幅方向Ｙの外方に位置する伸縮パネル６の非伸縮部（外側縁部）６Ａには、複数の弾性部材６２の一端部が非伸縮状態で存在するものの、伸縮パネル６の構成部材（パネル材６１）どうしが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在しておらず、従って、非伸縮部（外側縁部）６Ａにおける、ファスニングテープ７（テープ基材７２）が取り付けられていない領域（テープ基端部７３と重ならない領域、以下、テープ非固定領域ともいう）には、伸縮パネル６の構成部材（パネル材６１）どうしを接合する接合手段としての接着剤が存しておらず、そのため、該テープ非固定領域の形成材料（不織布等）が本来有する柔軟性が確保されており、それによって、非伸縮部６Ａにおける、ファスニングテープ７（テープ基材７２）が取り付けられている領域（テープ基端部７３と重なる領域、以下、テープ固定領域ともいう）との剛性の差が大きくなっている。

　ファスニングテープ７は、図１７、図１９及び図２０に示すように、止着部７１を有するテープ基材７２を含んで構成されている。テープ基材７２は、伸縮パネル６の外側縁部６Ａに固定されたテープ基端部７３と、テープ基端部７３に連接され外側縁部６Ａから本体幅方向Ｙの外方に突出し且つ止着部７１を有する、テープ先端部７４とを有している。止着部７１は、機械的面ファスナーのオス部材からなり、テープ先端部７４の片面（肌対向面）に設けられており、前述した、機械的面ファスナーのメス部材からなる被止着領域５５に対して着脱自在に止着可能である。

　本実施形態においては、ファスニングテープ７は、図１７及び図２０に示すように、テープ基端部７３により伸縮パネル６の外側縁部（非伸縮部）６Ａの非肌対向面６ｂに固定されている。ファスニングテープ７（テープ基端部７３）は、伸縮パネル６の外側縁部６Ａに、融着を含む接合手段、具体的には融着及び接着剤により固定されており、テープ基端部７３と伸縮パネル６（パネル材６１）とが重なる領域（外側縁部６Ａの前記テープ固定領域）には、図１９及び図２０に示すように、接着剤接合部７７に加えて、平面視して楕円形状の融着部７５が複数形成されている。前述したように、非伸縮部（外側縁部）６Ａでは伸縮パネル６の構成部材（パネル材６１）どうしの接合に接着剤は用いられないが、伸縮パネル６の構成部材と他の部材（テープ基材７２）との接合手段としては、接着剤及び／又は接着剤以外の他の接合手段（ヒートシール等の融着）が用いられる場合があるところ、本実施形態においては、該接合手段として、融着及び接着剤の組み合わせが採用されている。ここでいう「融着」は、複数の部材（本実施形態では２枚のパネル材６１及びテープ基端部７３）のうちの１つ以上を加熱溶融して該複数の部材を互いに接合する方法を意味し、具体的には、公知のヒートシール法、超音波シール法、高周波シール法等が挙げられる。本実施形態における融着部７５は、公知のヒートシール法により形成されている。融着部７５を形成するためのヒートシールは、外側縁部６Ａ（パネル材６１）の肌対向面６ａ側から行っても良く、非肌対向面６ｂ側から行っても良い。複数の融着部７５は、図１９に示すように、本体長手方向Ｘ及び本体幅方向Ｙの両方向に所定間隔を置いて配置されている。尚、図１９では、説明容易のため、融着部７５が外部から明瞭に認識できるように記載しているが、実際にはそのようになっているとは限らない。図１９及び図２０以外の、テープ基端部７３を示す他の図（図１６、図１７、図１８、図２１～図２８）では、説明容易のため、融着部７５の図示を省略している。

　テープ基端部７３は、図１９に示すように、平面視して矩形形状であり、本体幅方向Ｙに沿う外側端７３ｓ及び内側端７３ｔを有している。外側端７３ｓ及び内側端７３ｔは、矩形形状のテープ基端部７３の一対の短辺を構成しており、内側端７３ｔは、外側端７３ｓよりも本体長手方向Ｘの内方に位置し、相対的に股下部Ｃに近い。そして、本実施形態においては、この内側端７３ｔが、図１９に示すように、伸縮パネル６を構成する複数本の弾性部材６２のうち本体長手方向Ｘの最内方に配置された（股下部Ｃに最も近い）、弾性部材（以下、最内方弾性部材ともいう）６２ｔよりも本体長手方向Ｘの外方（図１９では上方）に位置している。

　本実施形態の使い捨ておむつ１Ａにおいては、前述したように、１）複数本の弾性部材６２が、それぞれ、伸縮部６Ｂから外側縁部（非伸縮部）６Ａに延出していること、２）外側縁部６Ａにおける弾性部材６２は、非伸長状態（自然状態）とされていること、及び３）外側縁部６Ａではパネル材６１と弾性部材６２とが接合されていないこと、の採用により、使い捨ておむつ１Ａを装着する際にファスニングテープ７を被止着領域５５に止着させたときの、伸縮パネル６の装着特性を形成している。そして、この伸縮パネル６の構成により、伸縮パネル６の外側縁部６Ａが柔軟性を有し、且つ装着時において、伸縮パネル６は、本体幅方向Ｙに伸縮されても弾性部材６２が、本体幅方向Ｙの最外方に位置する接合部６３ｂから抜け外れることが無いので、弾性部材６２の端部固定を安定性に優れたものにしている。

　更に、本実施形態の使い捨ておむつ１Ａにおいては、４）ファスニングテープ７の伸縮パネル６との固定部位である、テープ基端部７３の内側端７３ｔが、伸縮パネル６の最内方弾性部材６２ｔよりも本体長手方向Ｘの外方に位置していること、及び前述したように、５）伸縮部６Ｂよりも本体幅方向Ｙの外方に位置し且つテープ基端部７３が固定されている、伸縮パネル６の非伸縮部（外側縁部）６Ａには、伸縮パネル６の構成部材（パネル材６１）どうしの接合手段としての接着剤が存しておらず、従って、非伸縮部６Ａの一部である前記テープ非固定領域（非伸縮部６Ａにおけるテープ基端部７３と重ならない領域）の柔軟性が確保されていること、の２点の採用により、使い捨ておむつ１Ａを装着する際にファスニングテープ７を被止着領域５５に止着させたときの、伸縮パネル６の伸縮特性を制御している。そして、この伸縮特性の制御により、以下に説明するように、使い捨ておむつ１Ａの着用中において、着用者の背側のウエスト部と使い捨ておむつ１Ａの背側端部との間に隙間が生じることが防止され、且つ着用者の脚周りに、前記レッグギャザーを構成する弾性部材８３の締め付けによる跡が付きにくくなる。

　図２１（ａ）には伸縮パネル６の自然状態（外力を加えない状態）、図２１（ｂ）には伸縮パネル６をその伸縮方向Ｙに伸長させた状態がそれぞれ示されている。伸縮パネル６の自然状態においては、弾性部材６２の最外方接合部６２a、６２ｂを起点として弾性部材６２が収縮して、図２１（ａ）に示すように、パネル材６１が、伸縮方向（本体幅方向）Ｙと直交する方向（本体長手方向）Ｘに延びる複数の襞６５を形成している。各襞６５は、隣り合う接合部６３，６３（図２１では図示せず。図１９参照。）の間に形成されている。各襞６５は、伸縮パネル６の肌対向面６ａ及び非肌対向面６ｂの両面にそれぞれ突出するように形成されており、各襞６５の突出方向の先端部は、断面円弧状の凸曲面を形成している。

　そして、使い捨ておむつ１Ａを図１８に示す如く装着するに際し、ファスニングテープ７の止着部７１を被止着領域５５に止着させるべく、図２１（ａ）に示す伸縮パネル６の自然状態において、常法に従ってファスニングテープ７の先端を指で摘んでまっすぐに引っ張り、図２１（ｂ）に示すように、伸縮パネル６にその伸縮方向Ｙに沿って外力（引張力）Ｆを作用させると、前述した４）及び５）の２点の採用に起因する、伸縮パネル６の伸縮特性により、伸縮パネル６における、テープ基端部７３と吸収性本体５との間に位置する伸縮部６Ｂの一部（以下、テープ基端部隣接部ともいう）は、該テープ基端部隣接部の弾性部材６２の最外方接合部６２aにファスニングテープ７の外力（引張力）Ｆが直接的に伝わることにより、該最外方接合部６２aを起点としてヨレることなく伸長状態になり、弾性部材６２の伸長後長さｗ６（図２１（ｂ）参照）になる。一方、伸縮パネル６における、テープ基端部７３の内側端７３ｔよりも本体長手方向Ｘの内方（図２１（ｂ）では下方）に位置する部位（伸縮パネル６の下部）には、ファスニングテープ７（テープ基端部７３）が存しておらず、ファスニングテープ７の先端を摘んでまっすぐに引っ張ったときの外力（引張力）Ｆが伝わり難いため、該部位に存する、最内方弾性部材６２ｔをはじめとする弾性部材６２の最外方接合部６２ｂが、前記テープ基端部隣接部の最外方接合部６２aよりも吸収性本体５側（背側部Ｂ側）に引っ張られ、これにより図２１（ｂ）に示すように、伸縮部６Ｂの下部の幅方向外方がヨレて弱伸長状態となる。

　このように、ファスニングテープ７の先端を摘んでまっすぐに引っ張ることによって伸縮パネル６に本体幅方向Ｙの外方に向かう外力（引張力）Ｆを作用させたときに、本体長手方向Ｘにおいてファスニングテープ７（テープ基端部７３）と同位置にある弾性部材６２（最外方接合部６２ａと重なる弾性部材６２）は、外力Ｆによって相対的に強く引っ張られて伸長し、それによって伸縮パネル６の前記テープ基端部隣接部が伸長状態となるのに対し、テープ基端部７３の内側端７３ｔよりも本体長手方向Ｘの内方に位置する弾性部材６２，６２ｔ（最外方接合部６２ｂと重なる弾性部材６２）は、ファスニングテープ７の引っ張りに伴う外力Ｆによっては引っ張られ難く、最外方接合部６２ａと重なる弾性部材６２に比して伸長度合いが弱いため、内側端７３ｔよりも本体長手方向Ｘの内方に位置する（最外方接合部６２ｂが存する）、伸縮パネル６の下部は、前記テープ基端部隣接部に比して相対的に伸長度合いが弱い弱伸長状態となる。このことにより、伸縮パネル６の下部における２本の弾性部材６２の伸長後長さｗ６’，ｗ６”は、前記テープ基端部隣接部の伸縮部６Ｂの伸長後長さｗ６よりも小さくなり、伸縮パネル６の下部の伸長量が軽減される。

　実際にファスニングテープ７の止着部７１を被止着領域５５に止着させて、使い捨ておむつ１Ａを着用者に装着したときには、前述した、伸縮パネル６の下部に相当する部位は、着用者の臀部の膨らみや脚の付け根に当たるために周囲長が大きくなるが、前述したように、伸縮パネル６の下部が弱伸長状態になることによって伸縮パネル６がテープ基端部７３よりも伸長に余裕があることで、着用者の脚周りに位置する伸縮パネル６の下部の、脚周りへの締め付け力が軽減され、脚に締め付け跡がつきにくくなる。また、ファスニングテープ７の伸長時には、前述したように、前記テープ基端部隣接部の伸縮部６Ｂの伸長後長さｗ６の方が伸縮パネル６の下部の弾性部材６２の伸長後長さｗ６’，ｗ６”よりも大きいことによって、前記テープ基端部隣接部の収縮力が大きくなり、それにより、使い捨ておむつ１Ａにおける、着用者の背側のウエスト部に位置する背側端部（吸収性コア非配置領域Ｄ）には直接的に引張力Ｆが伝わるため、使い捨ておむつ１Ａの着用中において、着用者の背中と該背側端部との間に隙間が生じにくくなり、フィット性及び漏れ防止性が向上する。

　前述した伸縮パネル６による作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、各種部材の寸法、個数等は次のように設定されることが好ましい。
　自然状態における伸縮パネル６の本体長手方向Ｘの長さｗ１（図２１（ａ）参照）は、好ましくは５０～１２０ｍｍ、更に好ましくは６０～１００ｍｍである。
　自然状態における伸縮パネル６の、吸収性本体５から本体幅方向Ｙの外方に延出している部分（外側縁部６Ａ及び伸縮部６Ｂ）の長さｗ２（図２１（ａ）参照）は、好ましくは２０～６０ｍｍ、更に好ましくは２５～５０ｍｍである。
　テープ基端部７３の本体長手方向Ｘの長さｗ３（図２１（ａ）参照）は、好ましくは２０～１００ｍｍ、更に好ましくは３０～６０ｍｍである。
　テープ基端部７３の本体幅方向Ｙの長さｗ４（図２１（ａ）参照）は、好ましくは８～２０ｍｍ、更に好ましくは１０～１８ｍｍである。
　隣り合う弾性部材６２，６２の間隔ｗ５（図２１（ａ）参照）は、好ましくは３～１５ｍｍ、更に好ましくは５～１０ｍｍである。
　テープ基端部７３の内側端７３ｔと最内方弾性部材６２ｔとの間に配置される弾性部材６２の本数は、好ましくは１～１５本、更に好ましくは３～１０本である。

　本発明に係る伸縮パネル及びファスニングテープは、前述した使い捨ておむつ１Ａのものに制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態のものを採用することができる。後述する他の実施形態については、前述した実施形態の使い捨ておむつ１Ａと異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施形態についての説明が適宜適用される。

　図２２に示す実施形態においては、伸縮パネル６の外側縁部（非伸縮部）６Ａの前記テープ非固定領域において、２枚のパネル材６１，６１どうしが、間欠的に配置された融着部７５で互いに接合されている。即ち、伸縮パネル６の外側縁部６Ａにおける、テープ基端部７３が固定されておらず且つ相対向する２枚のパネル材６１，６１を含んで構成されている領域（前記テープ非固定領域）６Ａ１の該２枚のパネル材６１，６１が、間欠に融着部７５で互いに融着されており、テープ非固定領域６Ａ１に、テープ基端部７３と伸縮パネル６とを固定している融着部（図２２では図示せず）と同様の、平面視して楕円形状の融着部７５が間欠に複数形成されている。図２２に示す実施形態によれば、前述した、伸縮パネル６の下部の弱伸長状態を妨げることなく、テープ非固定領域６Ａ１を構成するパネル材６１の剥がれや捲れを防止することができる。

　図２３に示す実施形態においては、テープ先端部７４を本体長手方向Ｘに二分する仮想直線Ｌ１が、伸縮パネル６を本体長手方向Ｘに二分する仮想直線Ｌ２よりも本体長手方向Ｘの外方（図２３では上方）に位置している、即ち、股下部Ｃに対して相対的に遠い位置にある。図２３に示す実施形態は、ファスニングテープ７の中心を通過する仮想直線Ｌ１と伸縮パネル６の中心を通過する仮想直線Ｌ２との位置関係を調整することで、テープ基端部７３の内側端７３ｔと伸縮パネル６の本体幅方向Ｙに沿う内側端（伸縮パネル６の本体幅方向Ｙに沿う上下一対の端部のうち、股下部Ｃに最も近い端部）６ｔとの間の距離を長くとり、それにより、ファスニングテープ７の被止着領域５５（図１６、図４及び図１８参照）への止着時において、着用者の脚周りへの引張力と背側のウエスト部への引張力との差を大きくし、前述した、伸縮パネル６の下部の弱伸長状態の発生を促すようにしたものである。仮想直線Ｌ１と仮想直線Ｌ２との距離ｗ７は、好ましくは５～２５ｍｍ、更に好ましくは８～２０ｍｍである。

　図２４に示す実施形態においては、テープ先端部７４を本体長手方向Ｘに二分する仮想直線Ｌ１が、吸収性コア非配置領域Ｄを本体幅方向Ｙに横断している。図２４に示す実施形態によれば、使い捨ておむつ１Ａの着用中において、着用者の背中とおむつ１Ａの背側端部との間に隙間が一層生じにくくなり、吸収性コアが尿等の排泄液を吸収保持して膨張した場合でも、該隙間が生じにくくなる。

　図２５に示す実施形態においては、テープ先端部７４の本体長手方向Ｘの長さ（テープ先端部７４の幅）ｗ８が、テープ基端部７３の本体長手方向Ｘの長さ（テープ基端部３４の幅）ｗ３と同じかそれよりも短い。尚、「テープ先端部の本体長手方向の長さ」は、該長さが一定ではない場合は、最大長さを意味し、「テープ基端部の本体長手方向の長さ」についても同様である。図２５に示すファスニングテープ７Ａは、平面視して矩形形状であり、両者７３，７４の本体長手方向Ｘの長さ（幅）は同じである。図２５に示す実施形態によれば、テープ先端部７４に本体幅方向Ｙに沿って外力Ｆを作用させてこれを引っ張ったときに、その外力Ｆがテープ先端部７４と同幅のテープ基端部７３にストレートに伝わるため、伸縮パネル６におけるテープ基端部７３の周辺部の折れが発生し難い。また、前述したファスニングテープ７は、テープ基端部７３がテープ先端部７４よりも幅広であったが、図２５に示すファスニングテープ７Ａは、テープ基端部７３がテープ先端部７４と同幅かそれよりも幅狭であるため、ファスニングテープ７に比して、テープ基端部７３の内側端７３ｔと伸縮パネル６の内側端６ｔとの間の距離を比較的長くとることが可能となり、それにより、ファスニングテープ７Ａの被止着領域５５（図１６、図４及び図１８参照）への止着時において、着用者の脚周りへの引張力と背側のウエスト部への引張力との差が一層大きくなり、前述した、伸縮パネル６の下部の弱伸長状態の発生が促される。

　また、図２５に示す実施形態において、テープ先端部７４の本体長手方向Ｘの長さｗ８を、伸縮パネル６の本体長手方向Ｘの長さ（伸縮パネル６の幅）ｗ１の半分と同じかそれよりも短くすることにより、前述した効果がより安定的に奏されるようになる。尚、「伸縮パネルの本体長手方向の長さ」は、該長さが一定ではない場合は、最大長さを意味する。このように、テープ先端部７４の長さｗ８を、伸縮パネル６の長さｗ１の半分と同じかそれよりも短くすることは、図２５に示すファスニングテープ７Ａのみならず、図１９等に示すファスニングテープ７（テープ基端部７３がテープ先端部７４よりも幅広のファスニングテープ）にも適用可能である。

　図２６に示す実施形態は、伸縮パネルが前記実施形態と異なる。即ち、図１９に示す伸縮パネル６においては、複数本の弾性部材６２は、それぞれ、伸縮パネル６の伸縮部６Ｂにおいて、本体長手方向Ｘに延びる複数の連続直線状の接合部６３と伸長状態で重なり、各該接合部６３にてパネル材６１に固定されて、非伸縮部（外側縁部）６Ａにおいて、自然状態（非伸長状態）で存在していたが、図２６に示す伸縮パネル６Ｐにおいては、伸縮部６Ｂの本体幅方向Ｙの一端側（接合部６３ａの存する部位）及び他端側（接合部６３ｂの存する部位）を除き、複数本の弾性部材６２は、パネル材６１に固定されていない。即ち、図２６に示す伸縮パネル６Ｐの伸縮部６Ｂにおいては、本体幅方向Ｙの最内方に位置する（吸収性本体５に最も近い）接合部６３ａと本体幅方向Ｙの最外方に位置する（吸収性本体５から最も遠い）接合部６３ｂとに挟まれた領域に配置された複数の接合部６６が、それぞれ、平面視して矩形形状の複数の小接合部６６ｓが本体長手方向Ｘに所定間隔を置いて列をなすように配置されることにより構成されており、平面視して本体長手方向Ｘに延びる破線状となっている。そして、複数本の弾性部材６２は、複数の破線状の接合部６６に対して、小接合部６６ａとは重ならずに、本体長手方向Ｘに隣り合う小接合部６６ａ，６６ａ間の隙間と重なるように配置されており、且つ伸縮部６Ｂの本体幅方向Ｙの両端に位置する、連続直線状の接合部６３ａ及び６３ｂと重なるように配置され、接合部６３ａ及び６３ｂでのみパネル部材６１に固定されている。

　図１９に示す実施形態では、図２１（ｂ）に示す如きファスニングテープ７の伸長時において、前述した、伸縮パネル６の下部の弱伸長状態の発生に伴い、伸縮部６Ｂにおけるパネル材６１と弾性部材６２との接合点それぞれが斜め方向に引張力Ｆがかかることによりパネル材６１のツレが生じ、それによって伸縮部６Ｂ内での本体幅方向Ｙにおける弾性部材６２の伸長が一部制限されて、弾性部材６２の伸長に不均衡が生じる場合があり得る。これに対し、図２６に示す実施形態によれば、伸縮部６Ｂの弾性部材６２は、パネル材６１と接合されていない部位が相対的に多いため、前述した、パネル材６１のツレによる伸長の制限を受けずに、伸縮部６Ｂ内で均一に伸長することができ、その結果、脚周りの跡付きが更に生じにくいという効果が奏される。また、接着剤によるパネル材６１の透湿性の低下及び剛性の増加を防ぐことができる。伸縮パネル６Ｐとしては、本出願人の先の出願に係る特許文献４に記載の複合伸縮部材を用いることができる。

　図２７及び図２８に示す実施形態は、何れもファスニングテープ７の伸縮パネル６への接合形態が前記実施形態（図２０参照）と異なる。尚、図２７及び図２８に示す接合形態は、ファスニングテープ７Ａにも適用可能である。図２７に示す実施形態においては、ファスニングテープ７が、テープ基端部７３により伸縮パネル６の外側縁部６Ａの肌対向面６ａに固定されている。また、ファスニングテープ７の非肌対向面７ｂ及び伸縮パネル６の非肌対向面６ｂには、ファスニングテープ７の伸縮パネル６への固定を補強する補強部材７６が、ファスニングテープ７のテープ先端部７４と伸縮パネル６の外側縁部６Ａとを跨ぐように固定されている。補強部材７６としては、例えば、不織布や樹脂フィルムを用いることができる。また、図２８に示す実施形態においては、伸縮パネル６を構成する相対向する２枚のパネル材６１，６１の間で、ファスニングテープ７のテープ基材７２（テープ基端部７３）を挟持固定している。

　尚、補強部材７６は、図２０に示す実施形態にも適用可能である。即ち、図２０に示す実施形態において、ファスニングテープ７の肌対向面７ａ及び伸縮パネル６の肌対向面６ａに、補強部材７６を、ファスニングテープ７のテープ先端部７４における止着部７１よりも本体幅方向Ｙの内方の部位（止着部７１とパネル材６１とに挟まれた部位）と外側縁部６Ａとを跨ぐように固定することができる。

　本発明（第３発明）の一実施形態である本実施形態の使い捨ておむつ１Ｂは、いわゆる展開型のパネルタイプの使い捨ておむつであり、図２９、図２、図３０、図４に示すように、液透過性の表面シート２、液不透過性ないし撥水性（以下、これらを総称して液不透過性という）の裏面シート３及びこれら両シート２，３間に介在配置された液保持性の吸収体４を備えた縦長の（一方向Ｘに長い）吸収性本体５と、該吸収性本体５の本体長手方向Ｘに沿う両側縁部に固定された一対の伸縮パネル６，６とを有している。表面シート２は、吸収性本体５の肌対向面５ａを形成し、裏面シート３は、吸収性本体５の非肌対向面５ｂを形成している。表面シート２及び裏面シート３は、それぞれ、矩形状をなし、吸収体４より幅広で長い。表面シート２は裏面シート３より幅が狭い。一対の伸縮パネル６，６それぞれの本体長手方向Ｘに沿う外側縁部６Ａには、止着部７１を有するファスニングテープ７が設けられており、使い捨ておむつ１Ｂは、図３１に示すように、ファスニングテープ７の止着部７１を、吸収性本体５の非肌対向面５ｂに止着して着用者に装着するようになされている。

　本実施形態の使い捨ておむつ１Ｂについて、より詳細に説明すると、使い捨ておむつ１Ｂは、図２９に示すように、腹側部Ａ及び背側部Ｂ及び並びにこれらＡ，Ｂの間に位置する股下部Ｃを本体長手方向Ｘに有している。腹側部Ａはおむつの着用者の腹側に位置する部位、背側部Ｂはおむつの着用者の背側に位置する部位（一対の伸縮パネル６，６を有する部位）、股下部Ｃはおむつの着用者の股下に位置する部位である。腹側部Ａ、股下部Ｃ及び背側部Ｂは、使い捨ておむつ１Ｂ（吸収性本体５）を、その本体長手方向Ｘの全長を３等分するようにして３つの領域に区分したときの各領域に相当する。

　本実施形態の使い捨ておむつ１Ｂは、図２９、図２、図３０、図４に示すように、前述した使い捨ておむつ１における吸収性本体５及び腹側フラップ９のそれぞれと同一構成の吸収性本体５及び腹側フラップ９を有している。従って、吸収性本体５及び腹側フラップ９については、前述した使い捨ておむつ１についての説明（より好ましい構成や変形例を含む）が、本実施形態の使い捨ておむつ１Ｂにも適用される。

　本実施形態の使い捨ておむつ１Ｂの一対の伸縮パネル６，６について説明する。
　一対の伸縮パネル６，６は、それぞれ、図２９及び図３０に示すように、平面視して四角形形状（矩形形状）のパネル材６１と、パネル材６１に固定され且つ本体幅方向Ｙに延びる複数本の弾性部材６２とを含んで構成されている。伸縮パネル６は、図３０に示すように、本体長手方向Ｘに沿う内側縁部６Ｃにて吸収性本体５に固定されており、より具体的には、その内側縁部６Ｃが、サイドシート８２と裏面シート３との間にホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により固定されている。複数本の弾性部材６２は、図２９に示すように、本体長手方向Ｘに所定間隔を置いてパネル材６１に配置されている。

　図３２及び図３３には、本発明の要部である伸縮パネル６が拡大して示されている。尚、図３２及び図３３では、一対の伸縮パネル６，６のうちの一方及びその周辺部のみを図示しているが、図示していない他方の伸縮パネル６及びその周辺部も、図３２及び図３３に示すように構成されている。図３２及び図３３に示すように、伸縮パネル６の内側縁部６Ｃと外側縁部６Ａとの間には、本体幅方向Ｙに伸縮性を有する伸縮部６Ｂが存している。伸縮部６Ｂは、該伸縮部６Ｂを本体幅方向Ｙに横断する複数本の弾性部材６２が、パネル材６１に設けられた第１の接着部６７にて該パネル材６１に伸長状態で固定されて形成されている。より具体的には、伸縮部６Ｂは、伸縮パネル６を構成する相対向する２枚のパネル材６１，６１間に、本体幅方向Ｙに延びる複数本の糸状の弾性部材６２が本体長手方向Ｘに所定間隔を置いて伸長状態で介在配置されて形成されており、相対向する２枚のパネル材６１，６１どうしは、本体長手方向Ｘに延びる複数の連続直線状の第１の接着部６７にて接合されている。

　複数の第１の接着部６７は、図３２及び図３３に示すように、伸縮パネル６の伸縮部６Ｂにおいて本体幅方向Ｙに所定間隔を置いて配置されている。各第１の接着部６７は、パネル材６１の所定箇所にホットメルト型接着剤等の公知の接着剤を塗布して設けられており、パネル材６１の本体長手方向Ｘの全長に亘って連続し、弾性部材６２の伸縮方向Ｙと直交する方向に沿う、連続直線状の接合ラインを形成している。複数本の弾性部材６２は、それぞれ、複数の第１の接着部６７と重なり、各第１の接着部６７にてパネル材６１の内面に固定されている。尚、図３２では、説明容易のため、第１の接着部６７が外部から明瞭に認識できるように記載しているが、実際にはそのようになっているとは限らない。

　本実施形態における伸縮部６Ｂは、伸縮パネル６（パネル材６１）に配置された複数の直線状の第１の接着部６７のうち、本体幅方向Ｙの最内方に位置する（吸収性本体５に最も近い）第１の接着部６７ａと、本体幅方向Ｙの最外方に位置する（吸収性本体５から最も遠い）第１の接着部６７ｂとに挟まれた部位である。また、本実施形態における外側縁部６Ａは、伸縮パネル６における、直線状の第１の接着部６７ｂよりも本体幅方向Ｙの外方に位置する部位であり、本実施形態における内側縁部６Ｃは、伸縮パネル６における、直線状の第１の接着部６７ａよりも本体幅方向Ｙの内方に位置する部位である。

　伸縮パネル６（伸縮部６Ｂ）の自然状態においては、伸縮部６Ｂの本体幅方向Ｙの両端に位置する第１の接着部６７ａ，６７ｂを起点として複数本の弾性部材６２が収縮して、パネル材６１が、伸縮方向（本体幅方向）Ｙと直交する方向（本体長手方向）Ｘに延びる複数の襞（図示せず）を形成する。各襞は、隣り合う第１の接着部６７，６７の間（接着剤が塗布されていない部位）に形成される。各襞は、伸縮パネル６の肌対向面６ａ及び非肌対向面６ｂの両面にそれぞれ突出するように形成され、各襞の突出方向の先端部は、断面円弧状の凸曲面を形成する。

　複数本の弾性部材６２は、それぞれ、図３２及び図３３に示すように、伸縮部６Ｂの本体幅方向Ｙの全長に亘って連続し、更に、外側縁部６Ａ及び内側縁部６Ｃに入り込んでいる。
伸縮パネル６の外側縁部６Ａには、伸縮部６Ｂを本体幅方向Ｙに横断する弾性部材６２の一端部６２ｐが存しており、内側縁部６Ｃには、該弾性部材６２の他端部６２ｑが存している。

　伸縮パネル６の外側縁部６Ａに存する弾性部材６２の一端部６２ｐは、外側縁部６Ａ（伸縮パネル６）を構成するパネル材６１に設けられた第２の接着部６８にてパネル材６１に固定され且つ図３２に示す如き平面視して本体幅方向Ｙに延びる直線状である。また、伸縮パネル６の内側縁部６Ｃに存する弾性部材６２の他端部６２ｑは、内側縁部６Ｃ（伸縮パネル６）を構成するパネル材６１に設けられた第３の接着部６９にてパネル材６１に固定され且つ図３２に示す如き平面視して本体幅方向Ｙに延びる直線状である。

　このように、伸縮パネル６を構成する本体幅方向Ｙに延びる複数本の弾性部材６２それぞれの長さ方向の両端部６２ｐ，６２ｑが、何れも平面視して本体幅方向Ｙに延びる直線状であることにより、これら両端部６２ｐ，６２ｑが図３９（ｄ）に示す弾性部材９０の切断端部のように、個々に不規則に縮れて折曲状やループ状となって複数の該両端部全体で平面視形状が統一性の無い場合に比して、伸縮パネル６の外観が向上し、それによっておむつ１Ｂの品質等について好印象を与えることが可能となり、おむつ１Ｂの信頼性が高まる。特に、ファスニングテープ７が固定されている伸縮パネル６の外側縁部６Ａは、外部から視認され易い部位であり、このような視認性の高い外側縁部６Ａに位置する弾性部材６２の一端部６２ｐが直線状であることは、伸縮パネル６の外観の向上に特に有効である。

　伸縮パネル６の外側縁部６Ａ及び内側縁部６Ｃに存する弾性部材６２の長さ方向の両端部６２ｐ，６２ｑが、図３９（ｄ）に示す弾性部材９０の切断端部の如き折曲状やループ状とならずに、伸縮部６Ｂに存する弾性部材６２の長さ方向の中央部（弾性部材６２における両端部６２ｐ，６２ｑ以外の部位）と同様に、本体幅方向Ｙに延びる直線状となっている理由は、主として、外側縁部６Ａ及び内側縁部６Ｃに接着剤が塗布されて第２の接着部６８及び第３の接着部６９が設けられているためである。即ち、弾性部材６２は、図３９（ｄ）に示す弾性部材９０と同様に、一方向に引っ張られた伸長状態の弾性部材６２を所定部位で切断し収縮させて得られるものであり、その両端部６２ｐ，６２ｑは、斯かる切断によって生じる切断端部であって、外側縁部６Ａ及び内側縁部６Ｃ上で伸長状態から収縮する過程を経て得られるものであるところ、斯かる収縮が起こる外側縁部６Ａ及び内側縁部６Ｃに接着部６８，６９が設けられていることにより、両端部６２ｐ，６２ｑの収縮時に、本体幅方向Ｘへの動きの自由度が接着部６８，６９によって制限され、一方、当初伸長状態であった両端部６２ｐ，６２ｑは、本体幅方向Ｙにスムーズに収縮し、最終的に平面視して本体幅方向Ｙに延びる直線状となる。

　これに対し、特許文献５に記載の技術では、前述したように、弾性部材９０の切断端部の収縮を、接着剤が塗布されていない、パネル材９１の非接着域９１Ｂ上で発現させるため、該切断端部の収縮時の動きの自由度がどの方向に対しても制限されず、複数の該切断端部が個々ばらばらの動きで収縮するため、直線状の切断端部を得難く、従って伸縮パネルの良好な外観を得難い。

　但し、外側縁部６Ａの第２の接着部６８及び内側縁部６Ｃの第３の接着部６９が、弾性部材６２を伸長状態でパネル材６１に固定し得る、伸縮部６Ｂの第１の接着部６７（６７ａ，６７ｂ）と同等以上の接着力を有していると、前述した、伸縮パネル６の製造工程における弾性部材６２の両端部６２ｐ，６２ｑの収縮が妨げられ、その結果、両端部６２ｐ，６２ｑが弾性部材６２からはみ出したまま製品化されてしまうおそれがある。そこで、本実施形態においては、第２の接着部６８及び第３の接着部６９それぞれの接着力を、第１の接着部６７（６７ａ，６７ｂ）の接着力よりも低く設定している。つまり、第１の接着部６７の接着力については、伸長状態の弾性部材６２をそのままパネル材６１に固定し得る程度に設定するのに対し、第２の接着部６８及び第３の接着部６９それぞれの接着力については、伸長状態の弾性部材６２をそのままではパネル材６１に固定できず、該弾性部材６２の収縮時の動きの自由度を制限しつつも、最終的には該弾性部材６２の収縮を許してしまう程度に設定するのである。尚、第２の接着部６８と第３の接着部６９との接着力は、通常同じに設定するが、異なっていても良い。

　接着部６７，６８，６９の接着力は、接着剤の塗布量や種類によって調整することができる。従って、前述したように、第２の接着部６８及び第３の接着部６９の接着力を第１の接着部６７に比して低くする方法としては、例えば、Ａ）接着部６８，６９を構成する接着剤の塗布量を、接着部６７を構成する接着剤の塗布量よりも少なくする方法、あるいはＢ）接着部６８，６９を構成する接着剤として、接着部６７を構成する接着剤よりも接着力の低いものを用いる方法等が挙げられ、前記Ａ）及びＢ）の方法を組み合わせても良い。接着部６７，６８，６９を構成する接着剤としては、この種の吸収性物品において通常用いられているものの中から適宜選択することができる。特に、前記Ａ）の方法が好ましく、第２の接着部６８あるいは第３の接着部６９は、第１の接着部６７よりも接着剤の塗布量が少ないことが好ましい。

　第１の接着部６７の接着剤の塗布量Ｖ１、第２の接着部６８の接着剤の塗布量Ｖ２及び第３の接着部６９の接着剤の塗布量Ｖ３は、それぞれ、パネル材６１や弾性部材６２の種類、特に弾性部材６２の種類に応じて適宜調整されることが好ましい。また、塗布量Ｖ１は、弾性部材６２がパネル材６１に確実に固定される量に調整されることが好ましく、塗布量Ｖ２及び塗布量Ｖ３は、それぞれ、弾性部材６２（一端部６２ｐ、他端部６２ｑ）の本体幅方向Ｘへの動きの自由度を制限しながら該弾性部材６２が本体幅方向Ｙにスムーズに収縮可能とされる量に調整されることが好ましい。塗布量Ｖ１は、好ましくは５～９０ｇ／ｍ²、更に好ましくは３０～７０ｇ／ｍ²である。また、塗布量Ｖ２及びＶ３は、それぞれ、好ましくは０．３～３．０ｇ／ｍ²、更に好ましくは０．５～２．０ｇ／ｍ²である。尚、ここでいう接着剤の塗布量は、接着剤が乾燥した状態での塗布量を意味する。

　第２の接着部６８及び第３の接着部６９は、それぞれ、接着剤を所定箇所（伸縮パネル６の外側縁部６Ａ又は内側縁部６Ｃ）の全域に均一に塗布（いわゆるベタ塗り）して形成しても良く、あるいは所定箇所にスパイラル状に塗布して形成しても良い。

　伸縮パネル６において、伸縮部６Ｂでは、相対的に接着力の高い第１の接着部６７によって、複数本の弾性部材６２がそれらの製造初期の伸長状態が略維持された状態でパネル材６１に固定されているのに対し、外側縁部６Ａ及び内側縁部６Ｃでは、相対的に接着力の低い第２の接着部６８及び第３の接着部６９の影響により、これら複数本の弾性部材６２の製造初期の伸長状態が維持されず、それらの両端部６２ｐ，６２ｑは非伸長状態、又は弾性部材６２における伸縮部６Ｂに固定されている部位よりも伸長程度の低い、弱伸長状態となっている。つまり、複数本の弾性部材６２は、伸長程度が部分的に異なっている。従って、伸縮パネル６においては、本体幅方向Ｙの中央部に位置する伸縮部６Ｂが、本体幅方向Ｙに伸縮性を有しているのに対し、伸縮部６Ｂを挟んで本体幅方向Ｙの左右両側に位置する外側縁部６Ａ及び内側縁部６Ｃは、何れも実質的に本体幅方向Ｙに伸縮性を有していない非伸縮部である。

　本実施形態のおむつ１Ｂについて更に説明すると、各種部材の寸法、個数等は次のように設定されることが好ましい。
　弾性部材６２の直線状の両端部６２ｐ，６２ｑそれぞれの長さ〔伸縮部６Ｂ（接着部６７ａ、６７ｂ）から本体幅方向Ｙへの延出長さ〕は、外側縁部６Ａ及び内側縁部６Ｃの本体幅方向Ｘの長さ（幅）に対し、好ましくは２０～９０％、更に好ましくは４５～７０％である。
　自然状態（外力を加えない状態）における伸縮パネル６の、吸収性本体５から本体幅方向Ｙの外方に延出している部分（外側縁部６Ａ及び伸縮部６Ｂ）の長さは、好ましくは２０～６０ｍｍ、更に好ましくは２５～５０ｍｍである。
　隣り合う弾性部材６２，６２の間隔は、好ましくは３～１５ｍｍ、更に好ましくは５～１０ｍｍである。

　ファスニングテープ７は、図３２及び図３３に示すように、止着部７１を有するテープ基材７２を含んで構成されている。テープ基材７２は、伸縮パネル６の外側縁部６Ａに固定された平面視して矩形形状のテープ基端部７３と、テープ基端部７３に連接され外側縁部６Ａから本体幅方向Ｙの外方に突出し且つ止着部７１を有する、テープ先端部７４とを有している。止着部７１は、機械的面ファスナーのオス部材からなり、テープ基材７２の肌対向面に設けられており、前述した、機械的面ファスナーのメス部材からなる被止着領域５５に対して着脱自在に止着可能である。本実施形態においては、ファスニングテープ７は、図３３に示すように、テープ基端部７３にて接着剤により伸縮パネル６の外側縁部６Ａの非肌対向面６ｂに固定されている。テープ基端部７３の伸縮パネル６への固定手段は、接着剤に代えて、ヒートシール法、超音波シール法、高周波シール法等の融着を用いても良く、接着剤及び融着を併用しても良い。

　本発明に係る伸縮パネル及びファスニングテープは、前述した使い捨ておむつ１Ｂのものに制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態のものを採用することができる。後述する他の実施形態については、前述した実施形態の使い捨ておむつ１Ｂと異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施形態についての説明が適宜適用される。

　前記実施形態においては、伸縮パネル６の伸縮部６Ｂに設けられる第１の接着部６７は、図３２及び図３３に示すように、本体長手方向Ｘに延びる直線状であったが、図３４及び図３５に示す実施形態においては、伸縮部６Ｂを構成するパネル材６１の内面の全域に接着剤が均一に塗布（いわゆるベタ塗り）されて形成されている。このように、第１の接着部６７が接着剤のベタ塗りによって形成されている、図３４及び図３５に示す実施形態によっても、前記実施形態と同様に、複数本の弾性部材６２それぞれの両端部６２ｐ，６２ｑが平面視して直線状となるため、伸縮性パネル６の外観向上効果が奏される。

　図３６に示す実施形態は、伸縮部６Ｂが前記実施形態と異なる。即ち、図３２に示す伸縮パネル６においては、複数本の弾性部材６２は、それぞれ、伸縮部６Ｂにおいて、本体長手方向Ｘに延びる複数の連続直線状の第１の接着部６７と重なり、各該接着部６７にてパネル材６１に固定されていたが、図３６に示す伸縮部６Ｂにおいては、その本体幅方向Ｙの一端側（第１の接着部６７ａの存する部位）及び他端側（第１の接着部６７ｂの存する部位）を除き、複数本の弾性部材６２は、伸縮部６Ｂを構成するパネル材６１に固定されていない。即ち、図３６に示す伸縮部６Ｂにおいては、本体幅方向Ｙの最内方に位置する（吸収性本体５に最も近い）第１の接着部６７ａと本体幅方向Ｙの最外方に位置する（吸収性本体５から最も遠い）第１の接着部６７ｂとに挟まれた領域に配置された複数の接着部６６が、それぞれ、平面視して矩形形状の複数の小接合部６６ｓが本体長手方向Ｘに所定間隔を置いて列をなすように配置されることにより構成されており、平面視して本体長手方向Ｘに延びる破線状となっている。そして、複数本の弾性部材６２は、複数の破線状の接合部６６に対して、小接合部６６ａとは重ならずに、本体長手方向Ｘに隣り合う小接合部６６ａ，６６ａ間の隙間と重なるように配置されており、且つ伸縮部６Ｂの本体幅方向Ｙの両端に位置する、連続直線状の接着部６７ａ及び６７ｂと重なるように配置され、伸縮部６Ｂにおいては、接着部６７ａ及び６７ｂでのみパネル部材６１に固定されている。図３６に示す実施形態における伸縮部６Ｂとしては、本出願人の先の出願に係る特開２００５－８０８５９号公報に記載の複合伸縮部材を用いることができる。

　また、図３６に示す実施形態は、ファスニングテープが前記実施形態と異なる。即ち、図３６に示すファスニングテープ７Ａは、平面視して矩形形状であり、テープ基端部７３の本体長手方向Ｘの長さ（テープ基端部７３の幅）とテープ先端部７４の本体長手方向Ｘの長さ（テープ先端部７４の幅）とが同じである。

　図３７に示す実施形態は、ファスニングテープ７の伸縮パネル６への接合形態が前記実施形態（図３３参照）と異なる。尚、図３７に示す接合形態は、ファスニングテープ７Ａ（図３６参照）にも適用可能である。図３７に示す実施形態においては、ファスニングテープ７が、テープ基端部７３により伸縮パネル６の外側縁部６Ａの肌対向面６ａに固定されている。また、ファスニングテープ７の非肌対向面７ｂ及び伸縮パネル６の非肌対向面６ｂには、ファスニングテープ７の伸縮パネル６への固定を補強する補強部材７６が、ファスニングテープ７のテープ先端部７４と伸縮パネル６の外側縁部６Ａとを跨ぐように固定されている。補強部材７６としては、例えば、不織布や樹脂フィルムを用いることができる。

　尚、補強部材７６は、図３３に示す実施形態にも適用可能である。即ち、図３３に示す実施形態において、ファスニングテープ７の肌対向面７ａ及び伸縮パネル６の肌対向面６ａに、補強部材７６を、ファスニングテープ７のテープ先端部７４における止着部７１よりも本体幅方向Ｙの内方の部位（止着部７１とパネル材６１とに挟まれた部位）と外側縁部６Ａとを跨ぐように固定することができる。

　次に、本発明の使い捨ておむつの製造方法を、図２９～図３３に示すおむつ１Ｂの製造方法を例にとり、図面を参照しながら説明する。本実施態様（第４発明の一実施形態）の使い捨ておむつ１Ｂの製造方法は、伸縮パネル６の製造工程と、該製造工程で得られた伸縮パネル６を、吸収性本体５の構成部材（裏面シート３、サイドシート８２等）に取り付ける工程とを含んでいる。

　図３８には、本実施態様の伸縮パネルの製造工程の概略が示されている。本実施態様の伸縮パネルの製造工程は、１）複数本の弾性部材６２を、それぞれ全体を一方向〔製造ラインの流れ方向（ＭＤ）と直交する方向（ＣＤ）〕に引っ張った伸長状態で、接着部６７，６８，６９が予め設けられたパネル材６１の該接着部６７，６８，６９に固定して複合体６'を得る工程と、２）複合体６'における複数本の弾性部材６２の前記伸長状態を解除し、各弾性部材６２を収縮させる収縮工程とを含んでいる。本実施態様の伸縮パネルの製造工程は、特許文献５に記載の如き公知の製造装置を用いて実施することができる。

　本実施態様の伸縮パネルの製造工程においては、先ず、図３８（ａ）に示すように、複数本の弾性部材６２を、それぞれ全体をＣＤに引っ張った伸長状態とする。伸長状態の複数本の弾性部材６２は、ＭＤに所定間隔を置いて並べられた状態で製造装置に巻き掛けられる。

　また、１枚のパネル材６１を用意し、該パネル材６１に一面に接着剤を塗布して接着部６７，６８，６９を設ける。図３８（ｂ）には、接着部６７，６８，６９が設けられたパネル材６１の接着剤塗布面が示されている。パネル材６１は平面視して矩形形状であり、パネル材６１の幅方向（ＣＤ）の中央部６Ｂ'に、長手方向（ＭＤ）に延びる連続直線状の複数本の接着部６７が設けられ、ＣＤの左右両側部６Ａ'，６Ｃ'それぞれに、接着部６８，６９が設けられている。接着部６８，６９は、何れも、パネル材６１の左右両側部６Ａ'，６Ｃ'の全域に接着剤が均一に塗布（ベタ塗り）されて形成されている。ＣＤに隣接する接着部６７，６７の間は、接着剤が塗布されておらず非接着部となっている。

　次いで、複数本の弾性部材６２を、それぞれをＣＤに引っ張った伸長状態を維持しつつ、パネル材６１の接着剤塗布面に当接させ、接着部６７，６８，６９にてパネル材６１に固定し、パネル材６１と弾性部材６２との複合体を得る。本実施態様においては、接着部６７，６８，６９が予め設けられたパネル材６１に加えて、該パネル材６１と同寸法の他のパネル材６１を更に１枚用い、これら２枚のパネル材６１，６１で複数本の弾性部材６２を同時に挟み込んで複合体６'を得る。本実施態様で用いる２枚のパネル材６１，６１のうちの一方には、図３８（ｂ）に示すように接着剤を予め塗布しておくが、他方には接着剤は塗布しない。但し、２枚のパネル材６１，６１の両方に接着剤を予め塗布しておいても良い。図３８（ｃ）には、２枚のパネル材６１，６１の間に複数本の弾性部材６２が挟持固定された構成の複合体６'が示されている。複合体６'において、２枚のパネル材６１，６１どうしは、接着部６７，６８，６９によって互いに接合され一体化されている。

　次工程の前記収縮工程の実施前における複合体６'においては、パネル材６１のＣＤ（弾性部材６２の伸長方向）の左右両側部６Ａ'，６Ｃ'の接着部６８，６９は、パネル材６１のＣＤの中央部６Ｂ'の接着部６７よりも接着力が低くなっている。接着部６７，６８，６９の接着力については、前述した通りである。本実施態様においては、接着部６８，６９を接着部６７よりも少ない接着剤塗布量で形成することで、接着部６８，６９の接着力を相対的に低くしている。

　次いで、複合体６'における複数本の弾性部材６２の伸長状態を解除し、各弾性部材６２を収縮させる。より具体的には、伸長状態の複数本の弾性部材６２それぞれを、パネル材６１の側部６Ａ'のＣＤの外方と側部６Ｃ'のＣＤの外方との計２箇所で、図示しないカッターにより切断し、各弾性部材６２の伸長状態を解除する。斯かる切断により、弾性部材６２においては、パネル材６１のＣＤの中央部６Ｂ'に位置する部位は、相対的に接着力の高い接着部６７によって伸長状態のままパネル材６１に接着固定される一方で、斯かる切断によって生じた弾性部材６２の両端部６２ｐ，６２ｑは、それぞれ、切断当初のパネル材６１のＣＤの外方位置から収縮によってパネル材６１内に移動し、パネル材６１のＣＤの左右両側部６Ａ'，６Ｃ'でも引き続き収縮し、最終的に非伸長状態又は弱伸長状態で接着部６８，６９によってパネル材６１に接着固定される。こうして、図３８（ｄ）に示す伸縮パネル６が得られる。パネル材６１の中央部６Ｂ'は伸縮パネル６の伸縮部６Ｂとなり、パネル材６１の側部６Ａ'は伸縮パネル６の外側縁部６Ａとなり、パネル材６１の側部６Ｃ'は伸縮パネル６の内側縁部６Ｃとなる。前述したように、弾性部材６２の両端部６２ｐ，６２ｑの収縮時の動きは、相対的に接着力の低い接着部６８，６９によって制限されるため、外側縁部６Ａにおける一端部６２ｐ及び内側縁部６Ｃにおける他端部６２ｑは、何れも平面視してＣＤ（伸縮パネル６の幅方向）に延びる直線状となってパネル材６１に接着固定される。

　こうして伸縮パネルの製造工程で得られた伸縮パネル６を、別途製造された吸収性本体５の所定箇所に取り付け、目的とする使い捨ておむつ１Ｂを得る。吸収性本体５は、この種の吸収性物品の製造方法と同様の方法で製造することができる。

　第５～第７発明の実施形態について説明する。
　本発明（第５発明）の第１実施形態の使い捨ておむつ１０１は、図４０に示すように、吸収体１２３を含む吸収性本体１０２と、該吸収性本体１０２の両側縁から延出する伸縮性のサイドパネル１０３，１０３を備えている。
　本発明（第６発明）の第１実施形態の使い捨ておむつ２０１は、図４７に示すように、吸収体１２３を含む吸収性本体１０２と、該吸収性本体１０２の両側縁から延出する伸縮性のサイドパネル２０３，２０３を備えている。
　本発明（第７発明）の第１実施形態の使い捨ておむつ３０１は、図５４に示すように、吸収体１２３を含み、腹側部Ａ、股下部Ｃ及び背側部Ｂを有する吸収性本体２と、背側部Ｂにおける該吸収性本体２の両側縁から延出するサイドパネル３０３，３０３を備えている。伸縮性のサイドパネルは、本発明における伸縮性パネルである。

　使い捨ておむつ１０１，２０１，３０１に共通する点について説明する。
　使い捨ておむつ１０１，２０１，３０１における吸収性本体１０２は、図４０、図４７及び図５４に示すように、液透過性の表面シート１２１と、液不透過性又は撥水性の裏面シート１２２と、これら両シート１２１，１２２間に介在された液保持性の吸収体１２３とを有している。吸収性本体１０２は、図４０、図４７及び図５４に示すように、おむつ１０１，２０１，３０１の内面をなす表面シート１２１と、おむつ１０１，２０１，３０１の外面をなす裏面シート１２２とを、これら両シート１２１，１２２間に吸収体１２３を介在させて接合することにより形成されている。

　また、吸収性本体１０２は、その長手方向の両側部に沿って立体ガード形成用シート１２４，１２４が配設されている。立体ガード形成用シート１２４は、吸収性本体１０２の長手方向の両側部において、表面シート１２１及び該表面シートの側縁から延出した裏面シート１２２に固定されている。各立体ガード形成用シート１２４は、吸収性本体１０２の幅方向（Ｙ方向）内方側の端縁近傍に該端縁に沿って立体ガード形成用の弾性部材１２５を有しており、着用時には、その弾性部材１２５の収縮力により、該端縁から所定幅の部分が表面シート１２１から離間して立体ガードを形成する。また、吸収性本体１０２の長手方向両側部の脚廻りに配される部分には、レッグギャザー形成用の弾性部材１２６が配されている。着用時には、弾性部材１２６の収縮によりレッグギャザーが形成され、脚廻りに対して良好にフィットする。

　吸収性本体１０２は、着用時に、着用者の腹側に位置する腹側部Ａ、背側に位置する背側部Ｂ、及び股間部に位置する股下部Ｃを有する縦長の形状を有しており、サイドパネル１０３，１０３，２０３，２０３，３０３，３０３は、背側部Ｂにおける吸収性本体１０２の左右両側縁部から該吸収性本体１０２の長手方向に直交する方向（Ｙ方向）に延出している。
　また、サイドパネル１０３，１０３，２０３，２０３は、それぞれの延出方向（Ｙ方向）の先端側に、止着部１４１付きのタブ１０４が設けられている。使い捨ておむつ３０１におけるサイドパネル３０３，３０３にも、それぞれの延出方向（Ｙ方向）の先端部に、ファスニングテープ３０４が設けられている。なお、止着部１４１付きのタブ１０４は、本願発明におけるファスニングテープに相当するので、以下、タブ１０４をファスニングテープ１０４ともいう。一方、おむつ１０１，２０１，３０１の腹側部Ａの外面には、止着部１４１，３４１を止着させるランディングゾーン１０５が設けられており、おむつ１０１，２０１を装着する際には、ファスニングテープ１０４，３０４を手で引っ張り、そのファスニングテープ１０４を、図４１、図４８及び図５９に示すように、ランディングゾーン１０５に押し付け、該ファスニングテープ１０４をランディングゾーン１０５に止着して着用者に装着するようになされている。ファスニングテープ１０４，３０４は、テープ基材１４２，３４２と、該テープ基材１４２，３４２に接合されて止着部１４１，３４１を形成する機械的面ファスナーのオス部材１４３，３４３とからなる。

　おむつ１０１は、図４０に示すように、吸収性本体１０２の長手方向中央線ＣＬに対して左右対称に形成されている。そのため、サイドパネル１０３，１０３の構成については、図４０の左側のサイドパネルの構成について主として説明するが、右側のサイドパネルの構成も左右対称である以外は同様の構成を有する。

　おむつ２０１は、図４７に示すように、吸収性本体１０２の長手方向中央線ＣＬに対して左右対称に形成されている。そのため、サイドパネル２０３，２０３の構成については、図４７の左側のサイドパネルの構成について主として説明するが、右側のサイドパネルの構成も左右対称である以外は同様の構成を有する。

　おむつ３０１は、図５４に示すように、吸収性本体１０２の長手方向中央線ＣＬに対して左右対称に形成されている。そのため、サイドパネル３０３，３０３の構成については、図５４の左側のサイドパネルの構成について主として説明するが、右側のサイドパネルの構成も左右対称である以外は同様の構成を有する。

　サイドパネル１０３，２０３は、図４２及び図４９に示すように、平面状に拡げた状態において、矩形状である。また、サイドパネル１０３，２０３は、図４２及び図４３に示すように、２枚の不織布１３１，１３２と、その間に配置された複数本の弾性部材１３３とを有している。弾性部材１３３は、それぞれ、吸収性本体１０２の幅方向と同方向であるサイドパネル１０３，２０３の延出方向（Ｙ方向）に沿って延びており、複数本が、該延出方向と直交する直交方向（Ｘ方向）に略等しい間隔を開けて配されている。また、吸収性本体１０２の幅方向に沿うサイドパネル１０３，２０３の延出方向を単にＹ方向、サイドパネルの延出方向に交差する方向を単にＸ方向ともいう。

　サイドパネル１０３，２０３に配された複数本の弾性部材１３３は、サイドパネル１０３，２０３に、Ｙ方向に伸縮する伸縮部１３０，２３０を形成している。伸縮部１３０，２３０は、サイドパネル１０３，２０３のＹ方向の全長に亘っていても良いが、両実施形態のおむつ１０３，２０３においては、サイドパネル１０３，２０３のＹ方向の両端部の所定幅を除く部分が伸縮部１３０，２３０となっている。伸縮部１３０，２３０は、弾性部材１３３の弾性伸縮力によってサイドパネル１０３，２０３のＹ方向に伸縮する。

　第５発明の第１実施形態の使い捨ておむつ１０１について更に説明すると、サイドパネル１０３の伸縮部１３０は、図４２に示すように、サイドパネル１０３の延出方向（Ｘ方向）と交差する交差方向（Ｙ方向）におけるタブ１０４を有する範囲Ｈ１に位置する部分（図４２中の斜線部）が、伸長応力が高い高伸長応力部Ｇａとなっており、同方向（Ｙ方向）における高伸長応力部Ｇａよりも股下部Ｃ側に位置する部分が、高伸長応力部Ｇａよりも伸長応力が低い低伸長応力部Ｇｂとなっている。高伸長応力部Ｇａ及び低伸長応力部Ｇｂは、両者を比較したときに相対的に伸長応力が高い部分と低い部分である。
　また、「伸長応力」は、サイドパネル１０３のＹ方向の単位長さ当たりの１００％伸長時の荷重であり、下記方法により求めることが好ましい。

＜伸長応力の測定方法＞
　伸長応力は、島津製作所オートグラフによる引張試験により求めた。試験片は、おむつ１０１からサイドパネルを本体に取り付けられた部分（本体取付け部）ごと切り出し、おむつのＹ方向の長さがサイドパネルの全長、Ｘ方向の長さ（幅）が２５ｍｍの試験片を得た。当該試験片におけるサイドパネル１０３のテープ取付け側の非伸縮領域と、本体取付け部分とをチャックで把持し、引張速度３００ｍｍ／ｍｉｎで伸長させた。自然に収縮した状態の長さからサイドパネルを設計寸法（弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げた時の寸法と同じ（サイドパネル１０３を構成する不織布が破れない状態の範囲で））となるまで伸長させた時（１００％伸長時）の荷重（フルスケール：５０Ｎ）を求め、これを、Ｘ方向の単位長さ（２５ｍｍ）当たりの１００％伸長時の荷重とした。

　第１実施形態におけるサイドパネル１０３について、より詳細に説明すると、図４２に示すように、サイドパネル１０３は、その延出方向（Ｙ方向）の先端１０３ａ側に、２枚の不織布１３１，１３２間が、Ｘ方向に沿って連続的に接合された先端側固定部１３５を有し、その延出方向（Ｙ方向）の基端１０３ｂ側に、２枚の不織布１３１，１３２間が、Ｘ方向に沿って連続的に接合された基端側固定部１３７を有している。そして、サイドパネル１０３に配された弾性部材１３３は、何れも、先端側固定部１３５と基端側固定部１３７との間に亘るように配されていると共に、先端側固定部１３５及び基端側固定部１３７のそれぞれにおいて、接着剤１３５Ａ，１３７Ａを介して不織布１３１，１３２間に固定されている。

　そして、本実施形態におけるサイドパネル１０３においては、Ｘ方向における、先端側固定部１３５と基端側固定部１３７との間が、Ｘ方向に伸縮する伸縮部１３０となっており、該伸縮部１３０の全体が、２枚の不織布１３１，１３２間が、分散配置された多数の融着部１３９において融着されていると共に弾性部材１３３が、それらの融着部１３９を通らないように配されている柔軟伸縮部１３８となっている。
　より具体的には、先端側固定部１３５と基端側固定部１３７との間に、不織布１３１，１３２間が熱エンボス加工により熱融着された多数のドット状融着部１３９が形成されており、それらのドット状融着部１３９は、サイドパネル１０３のＹ方向及びＸ方向に分散している。また、ドット状融着部１３９は、複数個（図示例では１１個）のドット状融着部１３９がＸ方向に直列してなる融着部列Ｓを形成しており、その融着部列Ｓが、Ｙ方向に複数列（図示例では６列）形成されている。

　柔軟伸縮部１３８である伸縮部１３０においては、サイドパネルに配された複数本の弾性部材１３３の何れもが、Ｘ方向において隣り合うドット状融着部１３９，１３９間を通るように配されており、何れの弾性部材１３３も、ドット状融着部１３９を通らないように配されている。そのため、それらの弾性部材１３３は、先端側固定部１３５と基端側固定部１３７との間においては、何れの不織布１３１，１３２にも接合されていない。但し、融着部列Ｓ内の隣り合う融着部１３９，１３９間においては、不織布１３１，１３２が、伸縮部１３０における他の部位に比して強く弾性部材１３３に接触している。

　弾性部材１３３は、先端側固定部１３５及び基端側固定部１３７を形成するための接着剤１３５Ａ，１３７Ａを、不織布１３１，１３２の何れか一方に塗工した後、その塗工部上に、弾性部材を伸長状態で配し、更にその伸長状態を維持しながら、それらの該弾性部材上に他方の不織布を配した後、それらを一体的に加圧することにより、不織布１３１，１３２間に固定されている。また、ドット状融着部１３９は、不織布１３１，１３２間に弾性部材１３３を固定した後に、熱エンボス加工を施して形成されている。

　第１実施形態のおむつ１０１におけるサイドパネル１０３は、Ｘ方向における前記タブ１０４を有する範囲Ｈ１に配される弾性部材１３３を配する際の弾性部材１３３の伸長率を、該範囲Ｈ１よりも股下部Ｃ側に位置するタブ１０４を有しない範囲Ｈ２に配される弾性部材１３３を配する際の弾性部材１３３の伸長率よりも高くすることにより、前述した高伸長応力部Ｇａ及び低伸長応力部Ｇｂが形成されている。
　そのため、サイドパネル１０３に、高伸長応力部Ｇａ及び低伸長応力部Ｇｂを形成するに当たり、種類や太さが異なる複数種類の弾性部材を用いる必要がないため、資材管理の負担や製造コストの軽減等の観点から好ましい。但し、高伸長応力部Ｇａ及び低伸長応力部Ｇｂに、種類や太さ等が異なる弾性部材を用いることもできる。

　第１実施形態のおむつ１０１を、着用者に装着する際には、タブ１０４を手で引っ張り、サイドパネル１０３を伸長させた状態で、該タブ１０４をランディングゾーン１０５に押し付け止着する。
　本実施態様のおむつ１０１によれば、伸縮部１３０における、タブ１０４を有する範囲Ｈ１に位置する部分が高伸長応力部Ｇａとなっているため、タブ１０４を引っ張り、おむつ１０１を装着するだけで、図４４に示すように、サイドパネル１０３の収縮力を、背側部Ｂにおける、着用者の背中の窪んだ部分Ｐに当接する部分に集中的に作用させることができる。そのため、着用者の背中の窪んだ部分Ｐに、着用者の肌とおむつとの間の隙間が生じ難い。

　また、サイドパネル１０３は、タブ１０４を有する範囲Ｈ１よりも下方（股下部Ｃ側）に位置する部分Ｈ２を有し、該部分Ｈ２に、高伸長応力部Ｇａより伸長応力の低い低伸長応力部Ｇｂを有しているため、着用者の脚周りに必要以上の引っ張り力をかけずに済み、跡が付くことを防止できる。

　前記高伸長応力部Ｇａは、着用者の背中側に隙間が生じることを防止する観点から、前記の伸長応力の測定方法により測定した、サイドパネル１０３のＸ方向の長さ２５ｍｍ当たり伸長応力が、１．３Ｎ～３．５Ｎ、特に２．０Ｎ～３．５Ｎであることが好ましく、前記低伸長応力部Ｇｂは、着用者の脚周りを締め付け過ぎずに適度なフィット性を持たせる観点から、同じ測定方法により測定した、サイドパネル１０３のＸ方向の長さ２５ｍｍ当たり伸長応力が、０．３Ｎ～２．５Ｎ、特に０．５Ｎ～２．０Ｎであることが好ましい。
　また、隙間の発生を防止しつつ、脚周りの跡付きを防止する観点から、高伸長応力部Ｇａの前記伸長応力は、前記低伸長応力部Ｇｂの前記伸縮応力に対する比（前者／後者）が、１．３～３．０倍、特に１．４～２．５倍であることが好ましい。

　また、本実施形態のように、弾性部材１３３を固定する際の伸長率を異ならせて、高伸長応力部Ｇａと低伸長応力部Ｇｂとを形成する場合、高伸長応力部Ｇａに配される弾性部材１３３ａの伸長率は、２．０倍～４．０倍、特に２．５倍～３．５倍とすることが、装着時の引っ張り易さ、及び、お腹周りのフィット性の点から好ましく、低伸長応力部Ｇｂに配される弾性部材１３３ｂの伸長率は、１．１倍～３．０倍、特に１．２倍～２．５倍とすることが、脚周りのフィット性の点から好ましい。
　また、高伸長応力部Ｇａに配される弾性部材１３３ａの伸長率は、低伸長応力部Ｇｂに配される弾性部材１３３ｂの伸長率に対する比（前者／後者）が、１．３～３．０、特に１．４～２．５であることが好ましい。
　高伸長応力部Ｇａには、３～１０本、特に４～８本の弾性部材が配されていることが好ましく、低伸長応力部Ｇｂにも、１～９本、特に２～８本の弾性部材が配されていることが好ましい。

　各部の弾性部材の伸長率は、下記方法により求められる。
＜弾性部材の伸長率の測定方法＞
　収縮（自然長）状態のサイドパネルに、Ｘ方向に所定の間隔で２ヶ所の印を付ける。次に、サイドパネルを設計寸法（弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げた時の寸法と同じ）となるまで伸長させ、その時の印の間隔を測定する。この伸長前後の測定値から、下記の式により伸長倍率として求める。
［伸長時間隔］／［収縮時間隔］＝伸長率（倍）

　また、着用者の背中側に隙間が生じることを防止する観点から、サイドパネル１０３の上端１０３ｃからタブ１０４までの距離Ｌ１は、サイドパネル１０３のＸ方向の全長Ｌの０～３０％、特に５～２５％であることが好ましく、サイドパネル１０３の下端１０３ｄからタブ１０４までの距離Ｌ２は、サイドパネル１０３のＸ方向の全長Ｌの３０～６０％、特に３５～５５％であることが好ましい。また、同様の観点から、前記距離Ｌ２は、前記距離Ｌ１より大きいことが好ましく、該距離Ｌ２と該距離Ｌ１の差（Ｌ２－Ｌ１）は、前記全長Ｌの１０～５５％、特に１５～５０％であることが好ましい。

　また、サイドパネル１０３のＸ方向の全長Ｌは、吸収性本体１０２のＸ方向の全長（中央線ＣＬに沿って測定）の１５～２５％、特に１６～２０％であることが好ましく、吸収性本体１０２の長手方向背側部側の端縁１０２ｂからサイドパネル１０３までの距離Ｌ３は、０～２．５ｃｍ、特に０．５～２．０ｃｍであることが好ましい。
　なお、サイドパネル１０３のＸ方向の全長Ｌ、前記距離Ｌ１，Ｌ２は、サイドパネル１０３の先端１０３ａの位置、前記距離Ｌ３は、サイドパネル１０３の基端１０３ｂの位置において測定する。
　サイドパネル材の各部の寸法等は、弾性部材等の弾性部材を伸長させて、サイドパネルを設計寸法（弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ）となるまで拡げた状態で測定する。

　また、上述したような一又は二以上の効果をより確実に得る観点から、伸縮部１３０のＹ方向の長さＬ４（図４２参照）は、サイドパネル１０３の延出方向（Ｙ方向）の全長Ｌ５（図４２参照）に対して、６５～９５％であることが好ましく、７５～９０％であることがより好ましい。
　また、高伸長応力部Ｇａと低伸長応力部Ｇｂは、Ｙ方向の長さが同じであることが好ましい。

　また、伸縮部１３０、高伸長応力部Ｇａ、低伸長応力部Ｇｂに形成された融着部１３９は、複数個の融着部１３９がＸ方向に直列した融着部列ＳをＹ方向に複数列形成している。そのため、弾性部材１３３が収縮したときに、融着部列Ｓどうし間における２枚の不織布１３１，１３２が、それぞれ弾性部材１３３から離れる方向に断面凸状に変形し易く、複数本の弾性部材１３３に跨ってＸ方向に延びる襞１３４が形成されやすい。そのため、伸縮部１３０、高伸長応力部Ｇａ、低伸長応力部Ｇｂにおける、着用者の肌に当たる部分が柔軟であり、着用者の側部や脚廻り等に当たる感触にも優れている。

　おむつ１０１，２０１の構成材料について説明する。
　サイドパネル１０３，２０３を構成する不織布１３１，１３２、タブ１０４のテープ基材１４２としては、従来、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられている各種の不織布等を、特に制限なく用いることができる。
　吸収性本体１０２を構成する表面シート１２１、裏面シート１２２、吸収体１２３としては、それぞれ、従来、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられるもの等を、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート１２１としては、親水性且つ液透過性の不織布等を用いることができ、裏面シート１２２としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体１２３としては、パルプ繊維等の繊維の集合体（不織布であっても良い）又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。立体ガードを構成する立体ガード形成用シート１２４としては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。

　弾性部材１３３、立体ガードを構成する弾性部材１２５、レッグ部弾性部材１２６としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン－ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン－ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル－エチレン等のポリエチレン－αオレフィン共重合体等からなる糸状ないし紐状の弾性部材を用いることができる。糸状ないし紐状の弾性部材としては、断面が円形、正方形状のものの他、断面が楕円形、断面矩形等の細幅帯状のものを用いることもでき、マルチフィラメントタイプのものを用いることもできる。
　サイドパネル１０３における弾性部材１３３の幅（又は径）は、例えば、０．１～１ｍｍであり、好ましくは０．２～０．８ｍｍである。
　タブ１０４としては、不織布等のテープ基材の一方の面上にメカニカルファスナーのフック部材を熱融着や接着剤等により貼り付けてなるものを用いることができる。

　次に、本発明（第５発明）の他の実施形態の使い捨ておむつについて図４５及び図４６を参照して説明する。他の実施形態の使い捨ておむつは、サイドパネルの構成が第１実施形態の使い捨ておむつ１０３と異なる。他の実施形態については、第１実施形態と異なる点について主として説明し、同様の点については説明を省略する。特に言及しない点については、第１実施形態に関する説明が好ましい構成を含めて適宜適用される。

　第２実施形態のおむつにおけるサイドパネル１０３Ａにおいては、図４５に示すように、サイドパネル１０３ＡのＹ方向におけるＰ１からＰ２までの全域において、２枚の不織布１３１，１３２間が、図示しない接着剤によって接合されており、図中に符号１３０Ａで示す範囲が、Ｙ方向に伸縮する伸縮部１３０Ａとなっている。
　第２実施形態における伸縮部１３０Ａは、図４５に示すように、サイドパネル１０３の延出方向（Ｙ方向）と交差する方向（Ｘ方向）におけるタブ１０４を有する範囲Ｈ１に位置する部分には、弾性部材１３３ａが相対的に狭いピッチで配され、当該部分が、伸長応力の高い高伸長応力部Ｇａとなっている。他方、同方向（Ｘ方向）における高伸長応力部Ｇａよりも股下部Ｃ側に位置する部分には、高伸長応力部Ｇａよりも広いピッチで弾性部材が配され、当該部分が、高伸長応力部Ｇａよりも伸長応力が低い低伸長応力部Ｇｂとなっている。
　第２実施形態においても、サイドパネル１０３Ａに、高伸長応力部Ｇａ及び低伸長応力部Ｇｂを形成するに当たり、種類や太さが異なる複数種類の弾性部材を用いる必要がないため、資材管理の負担や製造コストの軽減等の観点から好ましい。但し、高伸長応力部Ｇａ及び低伸長応力部Ｇｂに、種類や太さ等が異なる弾性部材を用いることもできる。

　第２実施形態のおむつによれば、伸縮部１３０Ａにおける、サイドパネル１０３のＸ方向のタブ１０４を有する範囲Ｈ１に位置する部分が高伸長応力部Ｇａとなっている一方、タブ１０４を有する範囲Ｈ１よりも下方（股下部Ｃ側）に位置する部分Ｈ２を有し、当該部分Ｈ２が、高伸長応力部Ｇａより伸長応力の低い低伸長応力部Ｇｂとなっているため、第１実施形態のおむつと同様の効果が奏される。

　本実施形態のように、弾性部材１３３を固定する際のＸ方向の配置ピッチを異ならせて、高伸長応力部Ｇａと低伸長応力部Ｇｂとを形成する場合、高伸長応力部Ｇａに配される弾性部材１３３ａの配置ピッチは、低伸長応力部Ｇｂに配される弾性部材１３３ｂの配置ピッチに対する比（前者／後者）が、０．１～０．６、特に０．２～０．５であることが好ましい。弾性部材のピッチは、Ｘ方向における弾性部材の同位置間（Ｘ方向の中央位置等）の距離を測定する。
　高伸長応力部Ｇａには、３～１２本、特に４～１０本の弾性部材が配されていることが好ましく、低伸長応力部Ｇｂにも、１～８本、特に２～６本の弾性部材が配されていることが好ましい。

　第３実施形態のおむつにおけるサイドパネル１０３Ｂにおいては、図４６に示すように、サイドパネル１０３Ｂの延出方向（Ｙ方向）と交差する方向（Ｘ方向）におけるタブ１０４を有する範囲Ｈ１に位置する部分には、太さ相対的に大きい弾性部材１３３ａが配され、当該部分が、伸長応力の高い高伸長応力部Ｇａとなっている。他方、同方向（Ｘ方向）における高伸長応力部Ｇａよりも股下部Ｃ側に位置する部分には、高伸長応力部Ｇａよりも太さ相対的に小さい弾性部材１３３ｂが配され、当該部分が、高伸長応力部Ｇａよりも伸長応力が低い低伸長応力部Ｇｂとなっている。
　第３実施形態のサイドパネル１０３Ｂは、第１実施形態のサイドパネル１０３と同様に、延出方向（Ｘ方向）における、先端側固定部１３５と基端側固定部１３７との間が、Ｘ方向に伸縮する伸縮部１３０となっており、該伸縮部１３０の全体が、２枚の不織布１３１，１３２間が、分散配置された多数の融着部１３９において融着されていると共に弾性部材１３３が、それらの融着部１３９を通らないように配されている柔軟伸縮部１３８となっている。

　第３実施形態のおむつによれば、伸縮部１３０における、サイドパネル１０３のＹ方向のタブ１０４を有する範囲Ｈ１に位置する部分が高伸長応力部Ｇａとなっている一方、タブ１０４を有する範囲Ｈ１よりも下方（股下部Ｃ側）に位置する部分Ｈ２を有し、当該部分Ｈ２が、高伸長応力部Ｇａより伸長応力の低い低伸長応力部Ｇｂとなっているため、第１実施形態のおむつと同様の効果が奏される。

　本実施形態のように、弾性部材１３３の太さを異ならせて、高伸長応力部Ｇａと低伸長応力部Ｇｂとを形成する場合、高伸長応力部Ｇａに配される弾性部材１３３ａの幅又は直径は、低伸長応力部Ｇｂに配される弾性部材１３３ｂの幅又は直径対する比（前者／後者）が、１．５～１０、特に２～８であることが好ましい。

　本発明（第５発明）は、上記の各実施形態に制限されず、種々の変更可能である。

　例えば、サイドパネルの伸縮部１３０，１３０Ａは、サイドパネルの延出方向（Ｙ方向）と交差する方向（Ｙ方向）におけるタブ１０４を有する範囲Ｈ１よりも上端１０３ｃ側に、単位長さ当たりの伸長応力が、タブ１０４を有する範囲Ｈ１の高伸長応力部Ｇａよりも低い第２低伸長応力部を有していても良い。但し、第２低伸長応力部のＸ方向の長さは、高伸長応力部Ｇａより股下部側に位置する低伸長応力部ＧｂのＸ方向の長さよりも短いことが好ましく、より好ましくは５０％以下、更に好ましくは２０％以下であることが好ましい。

　また、伸縮部１３０は、Ｙ方向の全体に代えて一部が柔軟伸縮部１３８であっても良い。柔軟伸縮部１３８に形成する融着部列Ｓの本数も、図４２や図４６に示す６本に代えて、３本～１２本、又は１３本以上（例えば５～２０本等）とすることもできる。また、融着部列Ｓを構成するドット状融着部１３９の個数も、サイドパネルに配する弾性部材１３３の本数等に応じて適宜に決定することができる。また、ドット状融着部１３９の形状は、矩形、長円、円、楕円、菱形、三角形、五角形等の適宜の形状とすることができる。
　融着部列Ｓに代えて、２枚の不織布間が、接着剤又はヒートシール等により、Ｙ方向に連続して接合されている線又は帯状の接合部を設けても良い。
　また、一枚のサイドパネルに配する弾性部材１３３の本数も、適宜に変更することができ、例えば、５～２０本とすることができ、好ましくは１０～１５本程度である。

　また、タブ１０４の止着部は、機械的面ファスナーのオス部材に代えて、粘着剤を塗布した粘着部であっても良い。機械的面ファスナーのオス部材からなる止着部１４１を止着するランディングゾーンは、裏面シート１２２の外面に、機械的面ファスナーのメス部材を接合して形成しても良いし、裏面シート１２２の外面を、係合性に富む不織布から構成し、その所定領域をランディングゾーンとしても良い。
　また、融着部１３９は、熱エンボス加工の他、超音波エンボス、高周波エンボスにより形成したものであっても良い。また、先端側接合部及び基端側接合部も、接着剤に代えて、熱エンボス加工、超音波エンボス、高周波エンボスによる融着等により形成したものであっても良い。また、接着剤と熱エンボス加工等の併用による接合部であっても良い。

　また、図４３には、タブ１０４のテープ基材１４２を、不織布１３１，１３２間に接着剤１４２Ａを介して固定した例を示したが、該テープ基材１４２を、不織布１３１，１３２間に、熱エンボス加工等による熱融着により固定しても良いし、該テープ基材１４２を、不織布１３２の外面（不織布１３１側ではない面）側に接着剤や熱融着等により接合しても良い。
　サイドパネル１０３の吸収性本体１０２に対する固定も同様であり、図４３には、サイドパネルを、立体ガード形成用シート１２４と裏面シート１２２との間に接着剤１２７を介して固定した例を示したが、サイドパネルを、吸収性本体１０２を構成するシート間に熱融着等により固定しても良いし、サイドパネルを、裏面シート１２２の外面（立体ガード形成用シート１２４側ではない面）側に接着剤や熱融着等により接合しても良い。
　また、使い捨ておむつは、立体ガードを有しないものであっても良く、サイドパネルを、吸収性本体１０２の両側部において、表面シートと裏面シートとの間や表面シート上に固定しても良い。

　第６発明の第１実施形態の使い捨ておむつ２０３について更に説明すると、サイドパネル２０３は、その延出方向（Ｙ方向）の先端側に、３本の帯状の連続接合部２３５を有している。これらの連続接合部２３５（以下、先端側連続接合部ともいう）は、図５０に示すように、２枚の不織布１３１，１３２間を、接着剤２３５Ａを介して接合することにより形成されており、その接着剤２３５Ａは、図４９に示すように、サイドパネル２０３のＸ方向に連続的に配されている。

　連続接合部２３５を形成する接着剤２３５Ａは、サイドパネル２０３に配された総ての弾性部材１３３を、不織布１３１及び／又は１３２に対して固定するように配されている。連続接合部２３５を形成する接着剤２３５Ａは、サイドパネル２０３の上端縁２０３ｃに最も近い弾性部材１３３の配置位置から下端縁２０３ｄに最も近い弾性部材１３３の配置位置に亘って配されていることが好ましく、サイドパネル２０３の平面視において、連続接合部２３５が総ての弾性部材１３３と交差していることがより好ましい。

　また、連続接合部２３５が、サイドパネル２０３のＸ方向の全長に亘って形成されていることも好ましい。サイドパネル２０３の上端縁２０３ｃは、サイドパネル２０３のＸ方向において、おむつのウエスト端１０２ｂ側に位置する端縁であり、下端縁２０３ｄは、サイドパネル２０３のＸ方向において、おむつの股下部Ｃ側に位置する端縁である。
　また、連続接合部を形成する接着剤２３５Ａは、不織布１３１，１３２の何れか一方に塗工した後、その塗工部上に弾性部材１３３を配し、その上に他方の不織布を配したものであっても良いし、不織布１３１，１３２の両者に塗工し、その塗工部同士間に弾性部材１３３を挟んだものであっても良い。後述する接着剤１３７Ａや中央連続接合部１４０を形成する接着剤（図示せず）についても同様である。

　先端側連続接合部２３５のＹ方向の幅Ｗ１（図４９参照）は、サイドパネルに硬い部分をできるだけ作らないようにする観点及び弾性部材１３３を不織布１３１，１３２間に強固に固定する必要性から、１～６ｍｍ、特に２～５ｍｍであることが好ましい。
　また、Ｙ方向に隣り合う先端側連続接合部２３５どうし間の幅Ｗ２（図４９参照）は、弾性部材の伸縮物性の効率的な発現と視覚的印象の点から、２～８ｍｍ、特に３～６ｍｍであることが好ましい。隣り合う連続接合部２３５どうし間は、不織布１３１と不織布１３２との間が接合されていない非接合部１３６となっており、非接合部１３６においては、弾性部材１３３と不織布１３１との間、弾性部材１３３と不織布１３２との間及び不織布１３１と不織布１３２との間の何れもが接合されていない。

　また、パネルの良好な伸縮性発現と透湿性や通気性の確保の観点から、複数本の先端側連続接合部２３５が形成されるＹ方向長さＬ１（最も先端２０３ａに近い先端側連続接合部２３５の先端２０３ａ側の端縁から、最も基端２０３ｂに近い先端側連続接合部２３５における基端２０３ｂ側の端縁までの距離）は、サイドパネル２０３の伸縮部２３０の長さＬ２に対して１０～５０％であることが好ましく、特に２０～４０％であることがより好ましい。
　本明細書中に記載の寸法は、弾性部材１３３等の弾性部材を伸長させて、サイドパネルを設計寸法（弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ）となるまで拡げた状態で測定する。

　本実施形態におけるサイドパネル２０３は、その延出方向（Ｙ方向）の基端側にも、前述した先端側連続接合部２３５と同様の構成を有する基端側連続接合部２３７を有している。基端側連続接合部２３７も、２枚の不織布１３１，１３２間を、接着剤２３７Ａを介して接合することにより形成されており、その接着剤２３７Ａも、図４９に示すように、サイドパネル２０３のＸ方向に連続的に配されている。基端側連続接合部２３７を形成する接着剤２３７Ａは、サイドパネル２０３に配された総ての弾性部材１３３を、不織布１３１及び／又は１３２に対して固定するように配されている。基端側連続接合部２３７を形成する接着剤２３７Ａも、サイドパネル２０３の上端縁２０３ｃに最も近い弾性部材１３３の配置位置から下端縁２０３ｄに最も近い弾性部材１３３の配置位置に亘って配されていることが好ましく、サイドパネル２０３の平面視において、基端側連続接合部２３７が総ての弾性部材１３３と交差していることがより好ましい。また、基端側連続接合部２３７が、サイドパネル２０３のＸ方向の全長に亘って形成されていることも好ましい。

　基端側連続接合部２３７のＹ方向の幅Ｗ３（図４９参照）は、サイドパネルに硬い部分をできるだけ作らないようにする観点及び弾性部材１３３を不織布１３１，１３２間に強固に固定する必要性から、１～６ｍｍ、特に２～５ｍｍであることが好ましい。

　また、本実施形態におけるサイドパネル２０３は、サイドパネルの基端２０３ｂと先端側連続接合部２３５との間に、２枚の不織布１３１，１３２間が、分散配置された多数の融着部１３９において融着されていると共に弾性部材１３３が、それらの融着部１３９を通らないように配されている中間伸縮領域２３８を有している。
　具体的には、先端側連続接合部２３５のうちの最も基端２０３ｂ側の先端側連続接合部２３５と基端側連続接合部２３７との間に、不織布１３１，１３２間が熱エンボス加工により熱融着された多数のドット状融着部１３９が形成されており、それらのドット状融着部１３９は、サイドパネル２０３のＹ方向及びＸ方向に分散している。
　本実施形態におけるドット状融着部１３９は、複数個（図示例では１１個）のドット状融着部１３９がＸ方向に直列してなる融着部列Ｓを形成しており、その融着部列Ｓが、Ｙ方向に複数列（図示例では４列）形成されている。

　中間伸縮領域２３８においては、サイドパネルに配された複数本の弾性部材１３３の何れもが、Ｘ方向において隣り合うドット状融着部１３９，１３９間を通るように配されており、何れも弾性部材１３３も、ドット状融着部１３９を通らないように配されている。
　そして、それらの弾性部材１３３は、中間伸縮領域２３８においては、何れの不織布１３１，１３２にも接合されていない。但し、融着部列Ｓ内の隣り合う融着部１３９，１３９間においては、不織布１３１，１３２が、中間伸縮領域２３８における他の部位に比して強く弾性部材１３３に接触している。

　第１実施形態のおむつ２０１を、着用者に装着する際には、タブ１０４を手で引っ張り、サイドパネル２０３を伸長させた状態で、該タブ１０４をランディングゾーン１０５に押し付けて止着する。
　そのようにして、おむつ２０１を装着する際、あるいは、そのようにして装着したおむつ２０１の着用中には、サイドパネル２０３に、強い引っ張り力が加わることがある。
　本実施態様のおむつ２０１によれば、サイドパネル２０３に強い引っ張り力が加わった場合であっても、引っ張り力のかかる端部、特に力が集中し易いタブ１０４を有する先端側の端部に、複数本の連続接合部２３５を有するため、一本の連続接合部２３５から弾性部材１３３が抜けてしまっても、他の連続接合部２３５による固定状態は維持されるため、サイドパネル全体の伸縮性が損なわれることは防止される。これに対して、例えば、図５３に示すように、先端側連続接合部２３５が１本の場合には、その接合部２３５で固定されていた弾性部材１３３がその接合部２３５から外れると、その弾性部材の伸長状態が解除され、サイドパネルの伸縮部全体の伸縮性が損なわれる恐れがある。

　サイドパネル２０３のＹ方向における先端側連続接合部２３５よりも基端２０３ｂ側は、おむつ２０１の着用中に、肌に直接当接した状態となり易い。本実施形態のおむつ２０１における中間伸縮領域２３８は、比較的、肌に当たり易い部位に配されるが、不織布１３１，１３２間が分散配置された融着部１３９で接合されているため、サイドパネル２０３に良好な透湿性や通気性が維持されており、ムレ等による肌トラブルが生じにくい。また、融着部１３９が、サイドパネルのＸ方向に連続して形成されていないため、中間伸縮領域２３８は、柔軟である。そのため、肌に当たる感触が優しく、着用者に不快感等を与えにくい。しかも、本実施形態のサイドパネル２０３は、伸長した際に、パネル自体がネックインしにくいので、引っ張り力がパネル全体に分散し、肌当たりが一層優しい。

　更に、本実施形態のサイドパネル２０３においては、サイドパネルの基端２０３ｂ側にも、上述した構成の先端側連続接合部２３５を有するため、サイドパネルの基端側においても、弾性部材１３３に抜けが発生し難い。そのため、サイドパネル２０３の伸縮性が損なわれることが一層確実に防止される。

　また、中間伸縮領域２３８に形成された融着部１３９は、複数個の融着部１３９がＸ方向に直列した融着部列ＳをＹ方向に複数列形成している。そのため、弾性部材１３３が収縮したときに、融着部列Ｓどうし間における２枚の不織布１３１，１３２が、それぞれ弾性部材１３３から離れる方向に断面凸状に変形し易く、複数本の弾性部材１３３に跨ってＹ方向に延びる襞１３４が形成されやすい。そのため、中間伸縮領域２３８における、着用者の肌に当たる部分が一層柔軟となり、追従変形性も一層良好であるため、肌に当たる感触等が一層向上する。

　上述したような一又は二以上の効果をより確実に得る観点から、中間伸縮領域２３８のＹ方向の長さＬ３（図４９参照）は、サイドパネル２０３の伸縮部２３０の長さＬ２（図４９参照）に対して、５０～９０％であることが好ましく、６０～８０％であることがより好ましい。
　また、融着部列ＳのＹ方向の合計長さは、中間伸縮領域２３８のＹ方向の長さＬ３に対して、５～４０％であることが好ましく、１０～２０％であることがより好ましい。

　サイドパネル２０３における弾性部材１３３の幅（又は径）は、例えば、０．１～３ｍｍであり、好ましくは０．５～２ｍｍである。
　タブ１０４としては、不織布等のテープ基材の一方の面上にメカニカルファスナーのフック部材を熱融着や接着剤等により貼り付けてなるものを用いることができる。
　一枚のサイドパネルに配置する弾性部材１３３は、同一種類のものを同一の伸長率で配することが、製造コストや製造工程の簡易化等の観点から好ましい。

　次に、本発明（第６発明）の第２実施形態の使い捨ておむつについて図５１を参照して説明する。第２実施形態の使い捨ておむつは、サイドパネルの構成が第１実施形態と異なる。第２実施形態については、第１実施形態と異なる点について主として説明し、同様の点については説明を省略する。特に言及しない点については、第１実施形態に関する説明が適宜適用される。

　第２実施形態のおむつにおけるサイドパネル２０３Ａにおいては、図５１に示すように、先端側連続接合部２３５が２本形成され、基端側連続接合部２３７が１本形成されている。そして、サイドパネル２０３Ａの延出方向（Ｙ方向）における、先端側連続接合部２３５と基端側連続接合部２３７との間に、中央連続接合部２４０が形成されている。
　そして、Ｙ方向における、中央連続接合部２４０を挟む両側に、中間伸縮領域２３８Ａ及び中間伸縮領域２３８Ｂが形成されている。
　中間伸縮領域２３８Ａ，２３８Ｂには、それぞれ、第１実施形態におけるサイドパネル２０３の中間伸縮領域２３８における融着部列と同様の構成を有する融着部列Ｓが複数列形成されている。中間伸縮領域２３８Ａ，２３８Ｂは、それぞれ、融着部列Ｓの本数が異なる以外は、第１実施形態の中間伸縮領域２３８と同様の構成を有している。
　また、サイドパネル２０３Ａに形成された先端側連続接合部２３５は、設けられた本数が異なる以外は、第１実施形態における先端側連続接合部２３５と同様の構成を有しており、サイドパネル２０３Ａに形成された基端側連続接合部２３７は、第１実施形態における基端側連続接合部２３７と同様の構成を有している。

　中央連続接合部２４０も、２枚の不織布１３１，１３２間を、接着剤（図示せず）を介して接合することにより形成されており、その接着剤も、図５１に示すように、サイドパネル２０３ＡのＸ方向に連続的に配されている。中央連続接合部２４０を形成する接着剤は、サイドパネル２０３Ａに配された総ての弾性部材１３３を、不織布１３１及び／又は１３２に対して固定するように配されている。中央連続接合部２４０を形成する接着剤も、サイドパネル２０３Ａの上端縁２０３ｃに最も近い弾性部材１３３の配置位置から下端縁２０３ｄに最も近い弾性部材１３３の配置位置に亘って配されていることが好ましく、サイドパネル２０３Ａの平面視において、中央連続接合部２４０が総ての弾性部材１３３と交差していることがより好ましい。また、中央連続接合部２４０が、サイドパネル２０３のＸ方向の全長に亘って形成されていることも好ましい。

　中央連続接合部２４０のＹ方向の幅Ｗ４（図５１参照）は、サイドパネルに硬い部分をできるだけ作らないようにする観点及び弾性部材１３３を不織布１３１，１３２間に強固に固定する必要性から、１～６ｍｍ、特に２～５ｍｍであることが好ましい。
　第２実施形態によっては、第１実施形態と同様の効果が得られるほか、以下の効果が得られる。
　通常、サイドパネルの先端側では、装着しようと引っ張る際の引っ張り方向が斜めになったりねじれたりして不織布と接着剤塗工部分に負荷がかかりやすい。また、装着中においても腹部や脚の動きにより不織布にヨレや伸長方向に平行でない引っ張り力がかかり大きな負荷がかかる。このため、テープ基材接合部分に近い弾性部材固定部では特に弾性部材の抜けが生じやすい。一方、第２実施形態では、装着時の引っ張り方向や装着後の動作による不織布１３１，１３２と接着剤塗工部分にかかる負担が影響しにくいサイドパネル２０３Ａの中央部付近に中央連続接合部２４０を設けることで、より効果的に弾性部材１３３の抜けを防ぎ伸縮部２３０全体の伸縮性が失われることを防ぐことが出来る。

　本発明（第６発明）は、上記の各実施形態に制限されず、種々の変更可能である。

　例えば、基端側連続接合部２３７を、先端側連続接合部２３５と同様にＹ方向に離間させて複数本設けても良い。図５２に、先端側連続接合部２３５を２本設けた例を示した。先端側連続接合部２３５を複数本設けることで、サイドパネルの基端２０３ｂ側における弾性部材１３３の所謂ゴム抜けを一層確実に防止することができる。

　また、先端側連続接合部２３５の本数は、図４９に示す３本に代えて、図５２に示すように２本とすることもでき、また４本以上（例えば４～８本等）とすることもできる。また、中間伸縮領域２３８に形成する融着部列Ｓの本数も、図４９に示す４本に代えて、１本、２本、３本又は５本以上（例えば４～１５本等）とすることもできる。また、融着部列Ｓを構成するドット状融着部１３９の個数も、サイドパネルに配する弾性部材１３３の本数等に応じて適宜に決定することができる。また、ドット状融着部１３９の形状は、矩形、長円、円、楕円、菱形、三角形、五角形等の適宜の形状とすることができる。
　また、一枚のサイドパネルに配する弾性部材１３３の本数も、適宜に変更することができ、例えば、５～２０本とすることができ、好ましくは１０～１５本程度である。

　また、タブ１０４の止着部は、機械的面ファスナーのオス部材に代えて、粘着剤を塗布した粘着部であっても良い。機械的面ファスナーのオス部材からなる止着部１４１を止着するランディングゾーンは、裏面シート１２２の外面に、機械的面ファスナーのメス部材を接合して形成しても良いし、裏面シート１２２の外面を、係合性に富む不織布から構成し、その所定領域をランディングゾーンとしても良い。
　また、サイドパネル２０３の先端２０３ａ近傍に、直接、機械的面ファスナーのオス部材等を固定して止着部１４１としても良い。
　また、中間伸縮領域２３８，２３８Ａ，２３８Ｂ等に設ける融着部１３９は、熱エンボス加工の他、超音波エンボス、高周波エンボスにより形成したものであっても良い。

　また、図５０には、タブ１０４のテープ基材１４２を、不織布１３１，１３２間に接着剤１４２Ａを介して固定した例を示したが、該テープ基材１４２を、不織布１３１，１３２間に、熱エンボス加工等による熱融着により固定しても良いし、該テープ基材１４２を、不織布１３２の外面（不織布１３１側ではない面）側に接着剤や熱融着等により接合しても良い。
　サイドパネル２０３の吸収性本体１０２に対する固定も同様であり、図５０には、サイドパネルを、立体ガード形成用シート１２４と裏面シート１２２との間に接着剤１２７を介して固定した例を示したが、サイドパネルを、吸収性本体１０２を構成するシート間に熱融着等により固定しても良いし、サイドパネルを、裏面シート１２２の外面（立体ガード形成用シート１２４側ではない面）側に接着剤や熱融着等により接合しても良い。
　また、使い捨ておむつは、立体ガードを有しないものであっても良く、サイドパネルを、吸収性本体１０２の両側部において、表面シートと裏面シートとの間や表面シート上に固定しても良い。

　第７発明の第１実施形態の使い捨ておむつ３０１について更に説明すると、サイドパネル３０３は、図５６に示すように、２枚の不織布（パネル材）３３１，３３２と、その間に配置された複数本の弾性部材３３３とを有している。また、サイドパネル３０３は、伸長状態及び自然に収縮させた状態のいずれにおいても略矩形状である。
　弾性部材３３３は、それぞれ、吸収性本体１０２の幅方向と同方向であるサイドパネル３０３の延出方向（Ｙ方向）に沿って延びており、複数本が、該延出方向と直交する直交方向（Ｘ方向）に略等しい間隔を開けて配されている。また、吸収性本体１０２の幅方向に沿うサイドパネル３０３の延出方向を単にＹ方向、サイドパネルの延出方向に交差する方向を単にＸ方向ともいう。

　サイドパネル３０３に配された複数本の弾性部材３３３は、サイドパネル３０３に、Ｙ方向に伸縮する伸縮部３３０を形成している。伸縮部３３０は、弾性部材３３３の弾性伸縮力によってサイドパネル３０３のＹ方向に伸縮する。

　第１実施形態におけるサイドパネル３０３について、より詳細に説明すると、図５５及び図５６に示すように、サイドパネル３０３は、その延出方向（Ｙ方向）の先端３０３ａ側に、２枚の不織布３３１，３３２間が、Ｘ方向に沿って連続的に接合された先端側固定部３３６を有し、その延出方向（Ｙ方向）の基端３０３ｂ側に、２枚の不織布３３１，３３２間が、Ｘ方向に沿って連続的に接合された基端側固定部３３７を有している。そして、サイドパネル３０３に配された弾性部材３３３は、何れも、先端側固定部３３６と基端側固定部３３７との間に亘るように配されていると共に、先端側固定部３３６及び基端側固定部３３７のそれぞれにおいて、接着剤３３６ａ，３３７ａを介して不織布３３１，３３２間に固定されている。

　そして、サイドパネル３０３のＹ方向における、先端側固定部３３６と基端側固定部３３７との間が、Ｙ方向に伸縮する伸縮部３３０となっており、該伸縮部３３０の全体が、柔軟伸縮部３３８となっている。柔軟伸縮部３３８においては、図５８に示すように、２枚の不織布３３１，３３２間が、分散配置された多数の融着部３３９において融着されていると共に弾性部材３３３が、それらの融着部３３９を通らないように配されている。

　図５８に示すように、サイドパネル３０３における、先端側固定部３３６と基端側固定部３３７との間には、不織布３３１，３３２間が熱エンボス加工により熱融着された多数のドット状融着部３３９が形成されており、それらのドット状融着部３３９は、サイドパネル３０３のＹ方向及びＸ方向に分散している。また、ドット状融着部３３９は、その複数個（図示例では１１個）がＸ方向に直列してなる融着部列Ｓを形成しており、その融着部列Ｓが、Ｙ方向に複数列（図示例では８列）形成されている。

　柔軟伸縮部３３８である伸縮部３３０においては、サイドパネル３０３に配された複数本の弾性部材３３３の何れもが、Ｘ方向において隣り合うドット状融着部３３９，３３９間を通るように配されており、何れの弾性部材３３３も、ドット状融着部３３９を通らないように配されている。そのため、それらの弾性部材３３３は、先端側固定部３３６と基端側固定部３３７との間においては、何れの不織布３３１，３３２にも接合されていない。但し、融着部列Ｓ内の隣り合う融着部３３９，３３９間においては、不織布３３１，３３２が、伸縮部３３０における他の部位に比して強く弾性部材３３３に接触している。

　収縮状態の伸縮部３３０においては、融着部列Ｓどうし間における２枚の不織布３３１，３３２が、それぞれ弾性部材３３３から離れる方向に変形して、Ｘ方向に延びる襞３３４，３３５が形成されている。おむつ外面側に配された不織布３３１は、襞３３４を形成し、おむつ内面側に配された不織布３３２は、Ｙ方向における襞３３４と重なる位置に、襞３３５を形成している。襞３３４及び襞３３５は、何れも、複数本の弾性部材３３３に跨ってＸ方向に延びている。

　ファスニングテープ３０４は、図５５及び図５６に示すように、サイドパネル３０３に重ねた状態に固定されたテープ固定部３４４を有しており、該テープ固定部３４４の伸縮部３３０上に位置する部分３４４ａは、伸縮部３３０が収縮して生じた襞３３４，３３４上に固定されている。テープ固定部３４４は、接着剤３４４ｃを介して、不織布３３１のおむつ外面側の面に接合されており、伸縮部３３０上に位置する部分３４４ａが、複数本の襞３３４の少なくとも頂部に接合されている。また、テープ固定部３４４における、伸縮部３３０上に位置する部分３４４ａは、図５６に示すように、不織布３３２によって形成された複数本の襞３３５，３３５とも重なっている。

　テープ固定部３４４は、サイドパネル３０３のＸ方向の一部Ｒ１に設けられている。サイドパネル３０３は、Ｘ方向において、テープ固定部３４４より下方に延出する部分Ｒ２を有しており、テープ固定部３４４の下方隣接部位４Ｎにも、伸縮部３３０が収縮して生じた複数本の襞３３４，３３４を有している。
　サイドパネル３０３は、装着時における吸収性本体１０２の背中部分のフィット性向上と、サイドパネル３０３の脚周りに対するつっぱりの防止の観点から、テープ固定部３４４より下方に延出する部分Ｒ２のＸ方向の長さＬ２（図５５参照）が、Ｘ方向の全長Ｌの２５～７０％、特に３５～６０％であることが好ましい。

　本実施形態におけるサイドパネル３０３は、Ｙ方向における伸縮部３３０の両側に、非伸縮部３４０を有している。サイドパネル３０３の先端側の非伸縮部３４０は、図５６に示すように、弾性部材３３３が、何れの不織布３３１，３３２にも接合されていない非接合部となっている。なお、非伸縮部３４０として、２枚の不織布３３１，３３２間が、先端側固定部や基端側固定部の接着剤等に比して低坪量の接着剤により、弾性部材３３３と不織布３３１，３３２との間にずれを生じ得る程度に弱く接合された弱接合部を設けることもできる。

　本実施形態のおむつ３０１を、着用者に装着する際には、ファスニングテープ３０４を手で引っ張り、サイドパネル３０３を、図５９に示すように伸長させた状態で、該ファスニングテープ３０４をランディングゾーン１０５に対して止着する。
　このようにして装着したおむつにおいては、装着の際や着用中に、ファスニングテープ３０４のサイドパネル３０３に対する接合部（テープ固定部３４４）付近に大きな引っ張り力が掛かり易い。特に、サイドパネル３０３の下部付近における着用者の周囲長は、着用者の足の付け根や臀部を通り長く、また、着用者の脚の動きにより伸縮の負荷がかかり易い。そのため、テープ固定部３４４を、伸縮部３３０よりもＹ方向の外方側に位置する非伸縮部３４０の平坦なパネル材のみに固定した場合には、ファスニングテープ３０４の下縁部付近に伸びや破れが発止し易く、ファスニングテープ３０４のサイドパネル３０３からの剥離も生じ易い。なお、ファスニングテープ３０４の下縁部付近が伸びることは、例えば、ファスニングテープの先端部がＸ方向の上側に向くことになり、吸収性本体１０２における着用者の腹側外面に止着する際に、試着する方向（Ｙ方向）にスムーズに伸ばしながら止着しづらくなるといった不都合がある。

　これに対して、本実施形態のおむつ３０１においては、テープ固定部３４４の下方隣接部位４Ｎに、伸縮部３３０が収縮して生じた複数本の襞３３４，３３４を有しているため、図５９に示すように、下方隣接部位４Ｎが柔軟に変形して、テープ固定部３４４の下縁部３４４ｄ付近に加わる引っ張り力を緩和する。そのため、ファスニングテープ３０４に伸びや破れが生じたり、ファスニングテープ３０４がサイドパネル３０３から剥離したりことが効果的に防止される。
　斯かる効果は、本実施形態のサイドパネル３０３のように、テープ固定部３４４の一部３４４ａが、伸縮部３３０が収縮して生じた襞３３４上に固定されていると一層確実に奏される。

　なお、本実施形態におけるテープ固定部３４４は、図５６に示すように、伸縮部３３０上に固定された部分３４４ａと、サイドパネル３０３の先端側の非伸縮部３４０上に固定された部分３４４ｂとを有している。

　テープ固定部３４４の下方隣接部位４Ｎに位置する襞３３４の本数、及びテープ固定部３４４と重なる部位に存する襞３３４の本数は、図示例では３本であるが、何れも、複数本であることが好ましく、より好ましくは２～６本であり、更に好ましくは２～４本である。

　また、本実施形態における伸縮部３３０は、上記構成の柔軟伸縮部３３８であり、襞３３４，３３５の柔軟性やＹ方向への変形性に優れるため、掛かる効果が一層確実に奏される。

　おむつ３０１の構成材料について説明する。
　サイドパネル３０３を構成する不織布３３１，３３２、ファスニングテープ３０４のテープ基材３４２としては、従来、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられている各種の不織布等を、特に制限なく用いることができる。また、サイドパネル３０３を構成するパネル材や、ファスニングテープのテープ基材３４２としては、不織布に代えて、樹脂フィルムや、不織布と樹脂フィルムとを積層一体化したシート等を用いることもできる。

　吸収性本体１０２を構成する表面シート１２１、裏面シート１２２、吸収体１２３としては、それぞれ、従来、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられるもの等を、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート１２１としては、親水性且つ液透過性の不織布等を用いることができ、裏面シート１２２としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体１２３としては、パルプ繊維等の繊維の集合体（不織布であっても良い）又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。立体ガードを構成する立体ガード形成用シート１２４としては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。

　弾性部材３３３、立体ガードを構成する弾性部材１２５、レッグ部弾性部材１２６としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン－ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン－ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル－エチレン等のポリエチレン－αオレフィン共重合体等からなる糸状ないし紐状の弾性部材を用いることができる。糸状ないし紐状の弾性部材としては、断面が円形、正方形状のものの他、断面が楕円形、断面矩形等の細幅帯状のものを用いることもでき、マルチフィラメントタイプのものを用いることもできる。

　第１実施形態のおむつ３０１の好ましい製造方法は、サイドパネルを製造するサイドパネルの製造工程、及び前記ファスニングテープを、その一部が、製造したサイドパネルにおける収縮した伸縮部に重なるようにサイドパネルに接合するファスニングテープ接合工程を具備する。
　サイドパネルの製造工程においては、サイドパネルを構成する２枚の不織布（パネル材）３３１，３３２間に、弾性部材３３３を伸長状態で固定し、図５８に示すようなサイドパネル３０３を製造する。例えば、先端側固定部３３６及び基端側固定部３３７を形成するための接着剤３３６ａ，３３７ａを、不織布３３１，３３２の何れか一方に塗工した後、弾性部材３３３を、その塗工部間に架け渡すようにして伸長状態で配し、更にその伸長状態を維持しながら、それらの弾性部材上に他方の不織布を配し、それらを、ニップローラーや公知のプレス装置等を用いて加圧して一体化させる。また、不織布３３１，３３２間に弾性部材３３３を配した後、熱エンボス加工、超音波エンボス加工、高周波エンボス加工等を用いて、ドット状融着部３３９を形成する。

　ファスニングテープ接合工程においては、図６０に示すように、サイドパネル３０３の伸縮部３３０を収縮させて前述した襞３３４，３３５を生じさせた後、片面の所定箇所に接着剤３４４ｃを塗工したファスニングテープのテープ基材３４２を、その接着剤塗工部の一部を収縮した伸縮部３３０に重ねるようにしてサイドパネル３０３に重ね、それらを、ニップローラーや公知のプレス装置等を用いて加圧して一体化させる。ファスニングテープ接合工程においてサイドパネル３０３に接合するファスニングテープは、その時点で、既に機械的面ファスナーのオス部材３４３等が固定されて止着部３４１が形成されているものであっても良いし、止着部３４１を形成する前のものであっても良い。

　そして、このようにして得られたファスニングテープ及びサイドパネルの複合体を、吸収性本体１０２の構成部材、例えば、表面シート１２１の両側に立体ガード形成用シート１２４が接合されている複合シートに公知の接合方法により接合し、更に吸収性本体１０２の他の構成部材、例えば、裏面シート１２２や吸収体１２３を一体化させて、使い捨ておむつ３０１を得る。
　なお、ファスニングテープ接合工程は、サイドパネルの製造工程で製造したサイドパネル３０３を、本体１０２の構成部材に固定した後に行っても良い。また、製造方法に関し特に説明しない点は、サイドパネルを有する使い捨ておむつの従来の製造方法と同様に行うことができる。

　次に、第７発明の他の実施形態の使い捨ておむつについて図６１～図６３を参照して説明する。他の実施形態の使い捨ておむつは、サイドパネル及び／又はファスニングテープの構成が第１実施形態のおむつ３０１と異なる。他の実施形態については、第１実施形態のおむつ３０１と異なる点について主として説明し、同様の点については説明を省略する。特に言及しない点については、第１実施形態のおむつ３０１に関する説明が好ましい構成を含めて適宜適用される。

　第２実施形態のおむつにおいては、第１実施形態のおむつ３０１におけるのと同一構成のサイドパネル３０３に、第１実施形態とは異なる態様で、ファスニングテープ３０４Ａが設けられている。
　即ち、第２実施形態におけるファスニングテープ３０４Ａは、図６１及び図６２に示すように、サイドパネル３０３の片面側にテープ基材３４２を重ねると共に該サイドパネル３０３の他面側に補助シート３４７を重ね、両者間にサイドパネル３０３を介在させた状態で、これらを熱エンボス加工により一体的に加熱及び加圧することにより、サイドパネル３０３に固定されている。補助シート３４７としては、不織布や、不織布と樹脂シートとの積層体等が用いられる。第２実施形態のファスニングテープ３０４Ａには、テープ基材３４２の片面に粘着剤が塗工されて止着部３４１が形成されている。

　第２実施形態のおむつにおいても、テープ固定部３４４の下方隣接部位４Ｎに、伸縮部３３０が収縮して生じた複数本の襞３３４，３３４が形成されている。また、テープ固定部３４４は、熱エンボス加工により形成されたドット状の融着部３４５，３４６により、サイドパネル３０３に固定されており、テープ固定部３４４の一部３４４ａは、伸縮部３３０が収縮して生じた襞３３４上に固定されている。
　そのため、第２実施形態によれば、第１実施形態と同様の効果が得られる。

　第３及び第４実施形態におけるサイドパネル３０３Ａは、図６３に示すように、２枚の不織布（パネル材）３３１，３３２間が、サイドパネルの延出方向（Ｙ方向）と交差する交差方向（Ｘ方向）に連続的に接合されている連続接合部３３６'を、該延出方向に複数本有している。弾性部材３３３は、各連続接合部３３６'において、パネル材３３１，３３２間に図示しない接着剤を介して固定されている。
　そして、収縮状態のサイドパネル３０３Ａにおいては、隣り合う連続接合部３３６'，３６'どうし間における不織布（パネル材）３３１，３３２が互いに離れる方向に膨出して、サイドパネル３０３Ａの両面のそれぞれに、Ｘ方向に沿って延びる複数本の襞（図示せず）が形成される。

　図示しないが、第３実施形態におけるサイドパネル３０３Ａには、第１実施形態におけるファスニングテープと同様の構成を有するファスニングテープが第１実施形態と同様の態様で固定されており、第４実施形態におけるサイドパネル３０３Ａには、第２実施形態におけるファスニングテープと同様の構成を有するファスニングテープが第２実施形態と同様の態様で固定されている。
　第３及び第４実施形態においても、ファスニングテープのテープ固定部の一部が、伸縮部３３０の収縮により生じた襞上に固定されており、また、テープ固定部の下方隣接部位に、伸縮部３３０の収縮により生じた複数本の襞が形成されている。
　そのため、第１実施形態と同様の効果が得られる。

　本発明（第７発明）は、上記の各実施形態に制限されず、種々の変更可能である。

　例えば、伸縮部３３０は、Ｙ方向の全体に代えて一部が柔軟伸縮部３３８であっても良い。柔軟伸縮部３３８に形成する融着部列Ｓの本数も、図５８に示す８本に代えて、１本～７本、又は９本以上（例えば４～１５本等）とすることもできる。また、融着部列Ｓを構成するドット状融着部３３９の個数も、サイドパネルに配する弾性部材３３３の本数等に応じて適宜に決定することができる。また、ドット状融着部３３９の形状は、矩形、長円、円、楕円、菱形、三角形、五角形等の適宜の形状とすることができる。
　また、一枚のサイドパネルに配する弾性部材３３３の本数も、適宜に変更することができ、例えば、５～２０本とすることができ、好ましくは１０～１５本程度である。

　また、ファスニングテープ３０４，４Ａの止着部は、機械的面ファスナーのオス部材に代えて、粘着剤を塗布した粘着部であっても良い。機械的面ファスナーのオス部材からなる止着部を止着するランディングゾーンは、裏面シート１２２の外面に、機械的面ファスナーのメス部材を接合して形成しても良いし、裏面シート１２２の外面を、係合性に富む不織布から構成し、その所定領域をランディングゾーンとしても良い。また、腹側部Ａにおける吸収性本体１０２の両側に腹側サイドパネルを設け、該腹側サイドパネルに、ファスニングテープの止着部３４１を止着させるようにしても良い。
　また、融着部３３９、融着部３４５及び融着部３４６は、それぞれ、熱エンボス加工の他、超音波エンボス、高周波エンボスにより形成したものであっても良い。また、先端側固定部及び基端側固定部も、接着剤に代えて、熱エンボス加工、超音波エンボス、高周波エンボスによる融着等により形成したものであっても良い。また、接着剤と熱エンボス加工等の併用による接合部であっても良い。

　また、図５６及び図６２には、ファスニングテープ３０４，４Ａのテープ基材３４２を、不織布３３１のおむつ外面側の面に固定した例を示したが、不織布３３２のおむつ内面（着用者の肌側に向けられる面）側の面に固定しても良い。
　また、テープ固定部３４４は、サイドパネル３０３の伸縮部３３０上のみに固定され、サイドパネル３０３の先端側の非伸縮部３４０上には固定されていないものであっても良い。また、先端側の非伸縮部３４０自体を実質的に有しないものであっても良い。

　サイドパネル３０３の吸収性本体１０２に対する固定に関し、図５６には、サイドパネルを、立体ガード形成用シート１２４と裏面シート１２２との間に、図示しない接着剤を介して固定した例を示したが、サイドパネルを、吸収性本体１０２を構成するシート間に熱融着等により固定しても良いし、サイドパネルを、裏面シート１２２の外面（立体ガード形成用シート１２４側ではない面）側に接着剤や熱融着等により接合しても良い。

　また、サイドパネルは、サイドパネル３０３における融着部列Ｓの何れか１以上を連続接合部３３６'に代えたものであっても良いし、サイドパネル３０３Ａにおける連続接合部３３６'の何れか１以上（好ましくはＹ方向に連続する２以上）を融着部列Ｓに代えたものであっても良い。
　また、使い捨ておむつは、立体ガードを有しないものであっても良く、サイドパネルを、吸収性本体１０２の両側部において、表面シートと裏面シートとの間や表面シート上に固定しても良い。

　第８発明の第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａ（以下、「おむつ４０１Ａ」ともいう。）は、図６４に示すように、多数の係合突起を有するフックテープ４４１をシート基材４４２上に固定したファスニングテープ４０４０４が、吸収体１２３を含む長方形状の吸収性本体１０２の背側部Ｂの両側縁２ｓ１，２ｓ１それぞれから延出する伸縮性ウエストパネル４０３に固定された使い捨ておむつである。
　おむつ４０１Ａは、図６４に示すように、中心線ＣＬに対して左右対称に形成されている。従って以下の説明では、左右対称な部分については、主に、左側について説明する。
　尚、各図中に示す「Ｘ」方向は、おむつ４０１Ａの長手方向であり、中心線ＣＬに平行な方向であり、各図中に示す「Ｙ」方向は、おむつ４０１Ａの幅方向であり、中心線ＣＬに垂直な方向である。以下、具体的に、おむつ４０１Ａについて説明する。

　おむつ４０１Ａは、図６４に示すように、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部Ａ、背側に位置する背側部Ｂ、及び腹側部Ａと背側部Ｂとの間に位置する股下部Ｃを有する吸収性本体１０２と、吸収性本体１０２の背側部Ｂの両側縁２ｓ１，２ｓ１それぞれから延出する伸縮性ウエストパネル４０３，４０３とを有する展開型の使い捨ておむつである。

　吸収性本体１０２は、図６４に示すように、平面状に拡げた状態において、長方形状である。長方形状の吸収性本体１０２は、図６４に示すように、液透過性の表面シート１２１と、液不透過性又は撥水性の裏面シート１２２と、これら両シート２１，２２間に介在された液保持性の吸収体１２３とを有している。吸収性本体１０２は、図６４に示すように、おむつ４０１の内面をなす表面シート１２１と、おむつ４０１の外面をなす裏面シート１２２とを、これら両シート２１，２２間に吸収体１２３を介在させて接合することにより形成されている。また、表面シート１２１は、図６４に示すように、Ｙ方向の長さが裏面シート１２２のＹ方向の長さよりも短く形成されている。吸収性本体１０２には、図６４に示すように、Ｘ方向の両側部２ｓ，２ｓそれぞれに、表面シート１２１を介してサイドシート１２４が配されている。

　サイドシート１２４は、図６４に示すように、表面シート１２１の肌対向面であって、Ｘ方向の側部全域に亘って配設固定されている。各サイドシート１２４のＹ方向の内方（中心線ＣＬ寄り）の端部は、図６４に示すように、自由端となっており、股下部Ｃにおける自由端近傍には立体ギャザー形成用の弾性部材１２５が長手方向（Ｘ方向）に伸長状態で配設固定されており、着用時には、その弾性部材の収縮力により、自由端から所定幅の部分が表面シート１２１から離間して立体ギャザーを形成する。また、吸収性本体１０２の両側部２ｓ，２ｓには、図６４に示すように、Ｙ方向の外方に延出したサイドシート１２４と裏面シート１２２とが接合され、フラップ部が形成されている。股下部Ｃにおけるフラップ部には、レッグギャザー形成用の弾性部材１２６が長手方向（Ｘ方向）に伸長状態で配設固定されており、着用時には、その弾性部材の収縮力により、レッグギャザーが形成される。

　伸縮性ウエストパネル４０３としては、２枚の不織布の間に、エラストマーフィルム、エラストマーからなるネット、複数本の糸状の糸状弾性体等を配設固定した複合体を用いることができ、おむつ４０１Ａにおいては、図６４に示すように、２枚の不織布の間に複数本の糸状の糸状弾性体を配設固定した複合体を用いている。尚、糸状弾性体には、断面が略円形、正方形状のものの他、断面矩形等の細幅帯状のものも含まれる。おむつ４０１Ａの伸縮性ウエストパネル４０３は、図６４，図６５に示すように、平面状に拡げた状態において、長方形状である。おむつ４０１Ａの伸縮性ウエストパネル４０３は、図６５に示すように、２枚のシート４３１，４３２と、２枚のシート４３１，４３２の間に伸長した状態で配された複数本の略円形断面の糸状弾性体４３３とを有している。おむつ４０１Ａの伸縮性ウエストパネル４０３は、同形同大の長方形状の２枚のシート４３１，４３２の間に、Ｙ方向に伸長した糸状弾性体４３３を、Ｘ方向に略等間隔を空けて配して、接着剤や融着等の手段により一体的に固定して形成されている。このように形成されたおむつ４０１Ａの伸縮性ウエストパネル４０３は、そのＹ方向内方側（中心線ＣＬ側）の端部が接着剤や融着等の公知の手段により吸収性本体１０２の背側部Ｂに固定され、背側部ＢのＹ方向外方に連設されている。

　ファスニングテープ４０４は、多数の係合突起を有するフックテープ４４１とシート基材４４２とを有し、シート基材４４２の一方の面にフックテープ４４１を固定して形成されている。シート基材４４２は、おむつ４０１Ａにおいては、図６４，図６５に示すように、吸収性本体１０２の幅方向（Ｙ方向）に長い長方形状である。即ち、おむつ４０１Ａのシート基材４４２は、シート基材４４２におけるＸ方向の両端縁、具体的には、上端縁４４２ｂ及び下端縁４４２ａそれぞれが、吸収性本体１０２の幅方向（Ｙ方向）に平行に延びるＹ方向に長い長方形状である。このような長方形状のシート基材４４２の肌対向面にフックテープ４４１を固定して形成されたファスニングテープ４０４が、伸縮性ウエストパネル４０３に固定されている。尚、シート基材４４２が長方形状であると、ファスニングテープ４０４の連続体をカットして各ファスニングテープ４０４を製造する際に簡単に製造でき、材料ロスを抑えることできる。

　本発明の使い捨ておむつにおいては、図６５に示すように、ファスニングテープ４０４の重心Ｇ１が伸縮性ウエストパネル４０３の重心Ｇ２よりも吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）上方に位置しており、おむつ４０１Ａにおいては、図６５に示すように、ファスニングテープ４０４の全体が、伸縮性ウエストパネル４０３の重心Ｇ２よりも長手方向（Ｘ方向）上方に位置している。尚、前記のように、おむつ４０１Ａにおいては、ファスニングテープ４０４の全体が伸縮性ウエストパネル４０３の重心Ｇ２よりも長手方向（Ｘ方向）上方に位置しているが、ファスニングテープ４０４の全体が上方に位置していなくてもよく、ファスニングテープ４０４の重心Ｇ１が伸縮性ウエストパネル４０３の重心Ｇ２よりも長手方向（Ｘ方向）上方に位置していればよい。

　本発明の使い捨ておむつは、図６４，図６５に示すように、フックテープ４４１とシート基材４４２とが固定された第１固定部４０６と、ファスニングテープ４０４と伸縮性ウエストパネル４０３とが固定された第２固定部４０７とを有している。第１固定部４０６と、第２固定部４０７とは重なっておらず、おむつ４０１Ａにおいては、図６５に示すように、Ｙ方向に間隔ｄ１を空けて離間している。間隔ｄ１が長くなると、おむつ着用時にフックテープ４４１と、ファスニングテープ４０４及び伸縮性ウエストパネル４０３が固定された第２固定部４０７との間で図６５のＸ方向への湾曲が起こりやすくなり、これによっておむつ着用時でのフィット性を損ねる。間隔ｄ１が０ｍｍより小さくなる（即ち、第１固定部４０６と第２固定部４０７とが重なる場合）と、おむつ着用時にフックテープ４４１にかかる伸縮性ウエストパネル４０３の収縮力が第１固定部４０６の内側縁４０６ｓのみならずフックテープ４４１の上端縁４４１ｂならびに下端縁４４１ａにもかかることになり、その結果フックテープ４４１の上端縁４４１ｂならびに下端縁４４１ａの反り返りが生じる。着用中にフックテープ４４１の上端縁４４１ｂならびに下端縁４４１ａが反り返ると、この反り返り部分がおむつの上に着用する服等に引っかかり、着用中にフックテープ４４１がターゲットシートから剥がれる起因となり好ましくない。このような観点から間隔ｄ１は０～２０ｍｍが好ましい。

　図６５に示すように、第１固定部４０６における吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）下端縁４０６ａとシート基材４４２における吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）下端縁４４２ａとは一致している。具体的には、おむつ４０１Ａのフックテープ４４１は、図６５に示すように、Ｘ方向に長い長方形状である。図６５に示すように、フックテープ４４１におけるＸ方向の上端縁４４１ｂ及び下端縁４４１ａそれぞれと、シート基材４４２におけるＸ方向の上端縁４４２ｂ及び下端縁４４２ａそれぞれとが同一形状であり、Ｘ方向に同じ位置に配されているため、フックテープ４４１の上端縁４４１ｂ及び下端縁４４１ａそれぞれと、シート基材４４２の上端縁４４２ｂ及び下端縁４４２ａそれぞれとは一致している。また、フックテープ４４１の全面がシート基材４４２の一方の面（肌対向面）に固定されている。そのため、図６５に示すように、第１固定部４０６のＸ方向の上端縁４０６ｂ及び下端縁４０６ａそれぞれと、シート基材４４２のＸ方向の上端縁４４２ｂ及び下端縁４４２ａそれぞれとが一致している。図６５に示すように、おむつ４０１Ａの第１固定部４０６は、おむつ４０１Ａのフックテープ４４１と同一形状であり、Ｘ方向に長い長方形状に形成されている。

　図６５に示すように、第２固定部４０７における吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）下端縁４０７ａは、第１固定部４０６の吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）下端縁４０６ａよりも吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）上方に位置しており、シート基材４４２の吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）下端縁４４２ａから離間している。具体的には、図６５に示すように、ファスニングテープ４０４と伸縮性ウエストパネル４０３との固定は、ファスニングテープ４０４のＹ方向内方側（中心線ＣＬ側）の端部全域が伸縮性ウエストパネル４０３に固定されているのではなく、一部の領域である第２固定部４０７を介して固定されている。図６５に示すように、第２固定部４０７のＸ方向の下端縁４０７ａと第１固定部４０６のＸ方向の下端縁４０６ａとは、Ｘ方向に同じ位置に配されておらず、第２固定部４０７のＸ方向の下端縁４０７ａが第１固定部４０６のＸ方向の下端縁４０６ａよりもＸ方向の上方に位置しており、第２固定部４０７のＸ方向の下端縁４０７ａがシート基材４４２のＸ方向の下端縁４４２ａから間隔ｄ２を空けて離間している。尚、第２固定部４０７のＸ方向の上端縁４０７ｂとシート基材４４２のＸ方向の上端縁４４２ｂとは一致している。言い換えれば、ファスニングテープ４０４と伸縮性ウエストパネル４０３とは、第２固定部４０７を介して固定されているが、第２固定部４０７の下端縁４０７ａとシート基材４４２の下端縁４４２ａとの間では固定されていない。図６５に示すように、おむつ４０１Ａの第２固定部４０７は、Ｘ方向に長い長方形状に形成されている。

　第１固定部４０６における吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）内側縁４０６ｓの最下端点α及び第２固定部４０７における吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）外側縁４０７ｓの最下端点βを結ぶ直線と、吸収性本体１０２の幅方向（Ｙ方向）に延びる中心線ＣＷに平行な仮想直線とのなす角γは、３０～９０°であることが好ましく、６０～９０°であることが更に好ましい。なす角γの好ましい範囲の理由について、以下具体的に説明する。おむつ着用時及び着用中には胴回り方向に伸縮ウエストパネル４０３の収縮力がファスニングテープ４０４に常にかかることになる。また、ファスニングテープ４０４の重心Ｇ１が伸縮性ウエストパネル４０３の重心Ｇ２よりも吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）上方に位置しているので、ファスニングテープ４０４の上端側よりも下端側の方により収縮力が掛かることになる。また、第１固定部４０６におけるフックテープ４４１の下端縁４４１ａの、シート基材４４２の下端縁４４２ａからの剥がれは、シート基材４４２の下端縁４４２ａ、特に第１固定部４０６における吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）内側縁４０６ｓの最下端点αでの延びによって引き起こされ易い。しかし、最下端点αでは上記の角γが９０°に近くなるに連れて伸縮ウエストパネル４０３の収縮力が掛かり難くなるため、フックテープ４４１の下端縁４４１ａがシート基材４４２の下端縁４４２ａから剥がれ難くなり、おむつ着用時及び着用中のフックテープ４４１とシート基材４４２との剥がれを防止できるからである。
　第２固定部４０７の下端縁４０７ａとシート基材４４２の下端縁４４２ａとの間隔ｄ２は、２～２０ｍｍであることが好ましく、５～１５ｍｍであることが更に好ましい。シート基材４４２のＸ方向の長さＬに対する間隔ｄ２の比（ｄ２／Ｌ）は、５０～９０であることが好ましく、６５～７５であることが更に好ましい。

　また、おむつ４０１Ａは、吸収性本体１０２の腹側部Ａの裏面シート１２２上に、ファスニングテープ４０４と係合するターゲットシート（不図示）を有している。

　おむつ４０１Ａの形成材料について説明する。
　吸収性本体１０２を構成する表面シート１２１、裏面シート１２２としては、それぞれ、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート１２１としては、親水性且つ液透過性の不織布等を用いることができ、裏面シート１２２としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体１２３としては、パルプ繊維等の繊維の集合体（不織布であっても良い）又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。立体ギャザーを形成するサイドシート１２４としては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。
　立体ギャザー形成用の弾性部材１２５及びレッグギャザー形成用の弾性部材１２６としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン－ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン－ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル－エチレン等のポリエチレン－αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料を用いることができる。

　伸縮性ウエストパネル４０３を構成するシート４３１，４３２としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。具体的には、シート４３１，４３２としては、撥水性の不織布、例えば、スパンボンド不織布（Ｓ）とメルトブロー不織布（Ｍ）が特定の層順で積層されて複合化されたシート（例えばＳＭ、ＳＭＳ、ＳＭＭＳなど）等を用いることができる。伸縮性ウエストパネル４０３を構成する糸状弾性体４３３としては、天然ゴム（又は合成ゴム）、ポリウレタンのスパンデックス弾性繊維等を用いることができる。

　糸状弾性体４３３として天然ゴム（合成ゴム）を用いる場合には、厚みが０．２～１．５ｍｍ、幅が０．５～２ｍｍの弾性体が用いられる。このような天然ゴム（合成ゴム）は、単糸での１００％伸長時の応力が５～６５ｇｆであることが好ましく、１５～５０ｇｆであることが好ましい。このような応力の天然ゴム（合成ゴム）の単糸を、１００％以上、特に１５０％以上の伸長倍率となるように配することが好ましい。尚、伸長倍率は、自然長に対する、伸長されて増加した分の長さの割合であり、例えば、長さ１０ｃｍのものを２０ｃｍに伸長するとその伸長率は１００％とされる。
　糸状弾性体４３３としてポリウレタンのスパンデックス弾性繊維を用いる場合には、単糸のサイズが３００～１５００デシテックスのもの、特に５００～１２００デシテックスのものを好ましく用いることができる。デシテックスは糸の太さを表す単位であり、１００００ｍで１ｇある糸を１デシテックスと呼ぶ。このようなスパンデックス弾性繊維を、１００％以上、特に１５０％以上の伸長倍率となるように配することが好ましい。

　ファスニングテープ４０４を構成するシート基材４４２としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、シート基材４４２としては、撥水性の不織布等を用いることができる。ファスニングテープ４０４を構成する多数の係合突起を有するフックテープ４４１としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、フックテープ４４１の係合突起としては、「マジックテープ（登録商標）」（クラレ社製）、「クイックロン（登録商標）」（ＸＫＫ社製）、「マジクロス（登録商標）」（カネボウベルタッチ社製）等におけるオス部材等を用いることができる。ターゲットシート（不図示）としては、係合突起を押しつけることにより、係合突起を止着可能なものを特に制限なく用いることができる。例えば、例えば上述した各種公知の機械的面ファスナーにおけるメス部材や係合性に富む不織布を用いることができる。

　表面シート１２１、裏面シート１２２、サイドシート１２４及びターゲットシート（不図示）の固定には、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられる接着剤が用いられる。
　また、フックテープ４４１とシート基材４４２との固定（第１固定部４０６）、ファスニングテープ４０４と伸縮性ウエストパネル４０３との固定（第２固定部４０７）には、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられる接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等の融着手段が用いられる。

　次に上述した本発明の第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａを使用した際の作用効果について説明する。
　おむつ４０１Ａは、図６４，図６５に示すように、ファスニングテープ４０４の重心Ｇ１が伸縮性ウエストパネル４０３の重心Ｇ２よりもＸ方向上方に位置するようにファスニングテープ４０４が配されて形成されており、第１固定部４０６と第２固定部４０７とが重なっていない。また、おむつ４０１Ａは、図６４，図６５に示すように、第１固定部４０６のＸ方向下端縁４０６ａとシート基材４４２のＸ方向下端縁４４２ａとが一致し、第２固定部４０７のＸ方向下端縁４０７ａが、第１固定部４０６のＸ方向下端縁４０６ａよりもＸ方向上方に位置し、シート基材４４２のＸ方向下端縁４４２ａから離間して形成されている。このように形成されたおむつ４０１Ａを着用すると、図６６に示すように、着用時及び着用中に、ファスニングテープ４０４には、伸縮性ウエストパネル４０３による胴周り方向の収縮力が常に掛かるようになる。しかし、第２固定部４０７の下端縁４０７ａが、第１固定部４０６の下端縁４０６ａよりも上方に位置し、シート基材４４２の下端縁４４２ａから離間しているので、図６６に示すように、着用時及び着用中のファスニングテープ４０４を構成するシート基材４４２の下端縁４４２ａには、伸縮性ウエストパネル４０３による胴周り方向の収縮力が掛かり難く、下端縁４４２ａが延び難い。また、第１固定部４０６の下端縁４０６ａにも前記胴周り方向の収縮力が掛かり難い。従って、シート基材４４２の下端縁４４２ａ及び第１固定部４０６の下端縁４０６ａへの前記胴周り方向の収縮力が集中し難く、フックテープ４４１の下端縁４４１ａがシート基材４４２の下端縁４４２ａから剥がれ難く、着用者の肌を傷つけ難く、使用感が向上する。

　次に、本発明の第２実施形態の使い捨ておむつについて、図６７に基づいて説明する。
　第２実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｂ（以下、「おむつ４０１Ｂ」ともいう）については、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａと異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ４０１Ａと同様であり、おむつ４０１Ａの説明が適宜適用される。

　おむつ４０１Ｂにおいては、図６７に示すように、第１固定部４０６における吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）内側縁４０６ｓと第２固定部４０７における吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）外側縁４０７ｓとが一致し接しているが、第１固定部４０６と、第２固定部４０７とは重なっていない。具体的には、図６７に示すように、フックテープ４４１におけるＸ方向の内側縁４４１ｓ及び伸縮性ウエストパネル４０３におけるＸ方向の外側縁４０３ｓそれぞれが同一形状であり、Ｙ方向に同じ位置に配されているため、フックテープ４４１の内側縁４４１ｓと伸縮性ウエストパネル４０３の外側縁４０３ｓとは一致している。また、フックテープ４４１の全面がシート基材４４２の一方の面（肌対向面）に固定されている。そのため、図６７に示すように、第１固定部４０６のＸ方向の内側縁４０６ｓと、第２固定部４０７のＸ方向の外側縁４０７ｓとが一致しており、間隔ｄ１は０ｍｍである。

　尚、図６７に示すおむつ４０１Ｂにおいては、第１固定部４０６における吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）内側縁４０６ｓの最下端点α及び第２固定部４０７における吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）外側縁４０７ｓの最下端点βを結ぶ直線と、吸収性本体１０２の幅方向（Ｙ方向）に延びる中心線ＣＷに平行な仮想直線とのなす角γは９０°である。

　第２実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｂの形成材料について説明する。第２実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｂについては、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａの形成材料と同様である。

　上述した本発明の第２実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｂを使用した際の作用効果について説明する。
　第２実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｂの効果については、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａの効果と同様であり、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａの効果の説明が適宜適用される。

　おむつ４０１Ｂは、図６７に示すように、なす角γが９０°であり、第１固定部４０６の内側縁４０６ｓと第２固定部４０７の外側縁４０７ｓとが一致するように形成されている。その為、着用時及び着用中の伸縮性ウエストパネル４０３による胴周り方向の収縮力が、第１固定部４０６の長手方向（Ｘ方向）内側縁４０６ｓの最下端点αに集中し難く、フックテープ４４１がシート基材４４２から更に剥がれ難く、着用者の肌を傷つけ難く、使用感が向上する。

　次に、本発明の第３実施形態の使い捨ておむつについて、図６８に基づいて説明する。
　第３実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｃ（以下、「おむつ４０１Ｃ」ともいう）については、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａと異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ４０１Ａと同様であり、おむつ４０１Ａの説明が適宜適用される。

　おむつ４０１Ｃにおいては、図６８に示すように、シート基材４４２が台形状に形成されている。おむつ４０１Ｃの台形状のシート基材４４２は、図６８に示すように、Ｙ方向外方側の上底の長さが内方側（中心線ＣＬ側）の下底の長さよりも短く、シート基材４４２の上端縁４４２ｂが吸収性本体１０２の幅方向（Ｙ方向）に平行に延びている。おむつ４０１Ｃのシート基材４４２は、図６８に示すように、上端縁４４２ｂと下端縁４４２ａとの間隔がＹ方向外方に向かって漸次短くなっている。

　おむつ４０１Ｃのフックテープ４４１は、図６８に示すように、上端縁４４１ｂがＹ方向に平行に延び、Ｙ方向外方側の上底の長さが内方側（中心線ＣＬ側）の下底の長さよりも短い台形状である。図６８に示すように、フックテープ４４１におけるＸ方向の上端縁４４１ｂ及び下端縁４４１ａそれぞれと、シート基材４４２におけるＸ方向の上端縁４４２ｂ及び下端縁４４２ａそれぞれとが同一形状であり、Ｘ方向に同じ位置に配されているため、フックテープ４４１の上端縁４４１ｂ及び下端縁４４１ａそれぞれと、シート基材４４２の上端縁４４２ｂ及び下端縁４４２ａそれぞれとは一致している。また、フックテープ４４１の全面がシート基材４４２の一方の面（肌対向面）に固定されている。そのため、図６８に示すように、第１固定部４０６のＸ方向の上端縁４０６ｂ及び下端縁４０６ａそれぞれと、シート基材４４２のＸ方向の上端縁４４２ｂ及び下端縁４４２ａそれぞれとが一致している。具体的には、おむつ４０１Ｃの第１固定部４０６は、おむつ４０１Ｃのフックテープ４４１と同一形状であり、上端縁４０６ｂがＹ方向に平行に延び、Ｙ方向外方側の上底の長さが内方側（中心線ＣＬ側）の下底の長さよりも短い台形状に形成されており、おむつ４０１Ｃの第１固定部４０６は、上端縁４０６ｂと下端縁４０６ａとの間隔がＹ方向外方に向かって漸次短くなっている。

　図６８に示すように、第２固定部４０７における吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）下端縁４０７ａは、第１固定部４０６の吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）下端縁４０６ａよりも吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）上方に位置しており、シート基材４４２の吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）下端縁４４２ａから離間している。図６８に示すように、おむつ４０１Ｃの第２固定部４０７は、Ｘ方向に長い長方形状に形成されている。上述したように、おむつ４０１Ｃの第１固定部４０６は、Ｙ方向外方側の上底の長さが内方側（中心線ＣＬ側）の下底の長さよりも短い台形状に形成されている。その為、おむつ４０１Ｃの第２固定部４０７の下端縁４０７ａは、図６８に示すように、おむつ４０１Ｃの第１固定部４０６の下端縁４０６ａの中で最もＸ方向の最上方に位置する点（下端縁４０６ａにおけるＹ方向最外方点）よりもＸ方向上方に位置している。

　第３実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｃの形成材料について説明する。第３実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｃについては、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａの形成材料と同様である。

　上述した本発明の第３実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｃを使用した際の作用効果について説明する。
　第３実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｃの効果については、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａの効果と同様であり、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａの効果の説明が適宜適用される。

　おむつ４０１Ｃは、図６８に示すように、シート基材４４２の下端縁４４２ａがＹ方向（幅方向）と平行でなく、Ｙ方向外側に行くに従い上方に位置するように傾いた直線となるよう形成されている。その為、ファスニングテープ４０４が着用中に着用者が脚を引き上げる動作を阻害し難い形状となっており、使用感が向上する。

　次に、本発明の第４実施形態の使い捨ておむつについて、図６９に基づいて説明する。
　第４実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｄ（以下、「おむつ４０１Ｄ」ともいう）については、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａと異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ４０１Ａと同様であり、おむつ４０１Ａの説明が適宜適用される。

　おむつ４０１Ｄにおいては、図６９に示すように、シート基材４４２が台形状に形成されている。おむつ４０１Ｄの台形状のシート基材４４２は、図６９に示すように、Ｙ方向外方側の上底の長さが内方側（中心線ＣＬ側）の下底の長さよりも短く、おむつ４０１Ｄのシート基材４４２は、図６９に示すように、上端縁４４２ｂと下端縁４４２ａとの間隔がＹ方向外方に向かって漸次短くなっている。

　おむつ４０１Ｄのフックテープ４４１は、図６９に示すように、Ｙ方向外方側の上底の長さが内方側（中心線ＣＬ側）の下底の長さよりも短い台形状である。図６９に示すように、フックテープ４４１におけるＸ方向の上端縁４４１ｂ及び下端縁４４１ａそれぞれと、シート基材４４２におけるＸ方向の上端縁４４２ｂ及び下端縁４４２ａそれぞれとが同一形状であり、Ｘ方向に同じ位置に配されているため、フックテープ４４１の上端縁４４１ｂ及び下端縁４４１ａそれぞれと、シート基材４４２の上端縁４４２ｂ及び下端縁４４２ａそれぞれとは一致している。また、フックテープ４４１の全面がシート基材４４２の一方の面（肌対向面）に固定されている。そのため、図６９に示すように、第１固定部４０６のＸ方向の上端縁４０６ｂ及び下端縁４０６ａそれぞれと、シート基材４４２のＸ方向の上端縁４４２ｂ及び下端縁４４２ａそれぞれとが一致している。具体的には、おむつ４０１Ｄの第１固定部４０６は、おむつ４０１Ｄのフックテープ４４１と同一形状であり、Ｙ方向外方側の上底の長さが内方側（中心線ＣＬ側）の下底の長さよりも短い台形状に形成されており、おむつ４０１Ｄの第１固定部４０６は、上端縁４０６ｂと下端縁４０６ａとの間隔がＹ方向外方に向かって漸次短くなっている。

　図６９に示すように、第２固定部４０７における吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）下端縁４０７ａは、第１固定部４０６の吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）下端縁４０６ａよりも吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）上方に位置しており、シート基材４４２の吸収性本体１０２の長手方向（Ｘ方向）下端縁４４２ａから離間している。図６９に示すように、おむつ４０１Ｄの第２固定部４０７は、Ｘ方向に長い長方形状に形成されている。上述したように、おむつ４０１Ｄの第１固定部４０６は、Ｙ方向外方側の上底の長さが内方側（中心線ＣＬ側）の下底の長さよりも短い台形状に形成されている。その為、おむつ４０１Ｄの第２固定部４０７の下端縁４０７ａは、図６９に示すように、おむつ４０１Ｄの第１固定部４０６の下端縁４０６ａの中で最もＸ方向の最上方に位置する点（下端縁４０６ａにおけるＹ方向最外方点）よりもＸ方向上方に位置している。

　第４実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｄの形成材料について説明する。第４実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｄについては、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａの形成材料と同様である。

　上述した本発明の第４実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｄを使用した際の作用効果について説明する。
　第４実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｄの効果については、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａの効果と同様であり、第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａの効果の説明が適宜適用される。

　おむつ４０１Ｄは、図６９に示すように、シート基材４４２の下端縁４４２ａがＹ方向（幅方向）と平行でなく、Ｙ方向外側に行くに従い上方に位置するように傾いた直線となるよう形成されており、また、シート基材４４２の上端縁４４２ｂがＹ方向（幅方向）と平行でなく、Ｙ方向外側に行くに従い下方に位置するように傾いた直線となるよう形成されている。その為、ファスニングテープ４０４が着用中に着用者が脚を引き上げる動作を阻害し難く、また、着用者がお腹を膨らませた時にも圧迫し難い形状となっており、使用感が向上する。

　本発明の使い捨ておむつは、上述の第１実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａ、第２実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｂ、第３実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｃ及び第４実施形態の使い捨ておむつ４０１Ｄに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の第１，第２，第３，第４，第５実施形態の使い捨ておむつにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。

　例えば、上述の第１，第２，第３，第４実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａ，１Ｂ，１Ｃ，１Ｄにおいては、図６５，図６７，図６８，図６９に示すように、第２固定部４０７は、Ｘ方向に長い長方形状に形成されているが、長方形状でなくてもよい。第２固定部４０７が長方形状でない場合に、第２固定部４０７の下端縁４０７ａが、第１固定部４０６の下端縁４０６ａよりもＸ方向上方に位置しているとは、第２固定部４０７の下端縁４０７ａの中で最もＸ方向の最下方に位置する点が、第１固定部４０６の下端縁４０６ａの中で最もＸ方向の最上方に位置する点よりもＸ方向上方に位置していることを意味する。
　また、上述の第１，第２，第３，第４実施形態の使い捨ておむつ４０１Ａ，１Ｂ，１Ｃ，１Ｄにおいては、図６５，図６７，図６８，図６９に示すように、伸縮性ウエストパネル４０３が、平面状に拡げた状態において、長方形状であるが長方形状でなくてもよい。

　本発明の使い捨ておむつは、幼児又は成人用の使い捨ておむつであってもよい。
　前述した実施形態に関し、更に以下の付記（使い捨ておむつ）を開示する。

［１］表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に介在配置された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の本体長手方向に沿う両側縁部に固定された一対の伸縮パネルとを有し、一対の該伸縮パネルそれぞれの本体長手方向に沿う外側縁部に固定されたファスニングテープの止着部を、該吸収性本体の非肌対向面に止着して着用者に装着するようになされている使い捨ておむつであって、
　前記伸縮パネルは、前記外側縁部よりも本体幅方向内方に、本体幅方向に伸縮性を有する伸縮部を有しており、該伸縮部は、パネル材と、該パネル材に伸長状態で固定され且つ本体幅方向に延びる複数本の弾性部材とを含んで構成されており、該複数本の弾性部材は、本体長手方向に所定間隔を置いて配置されており、
　前記外側縁部を含む、前記伸縮パネルの前記伸縮部よりも本体幅方向外方に位置する領域には、該伸縮パネルの構成部材どうしが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在しておらず、
　前記ファスニングテープは、前記止着部を有するテープ基材を含んで構成されており、該テープ基材は、前記伸縮パネルの前記外側縁部に固定されたテープ基端部と、該テープ基端部に連接され該外側縁部から本体幅方向外方に突出し且つ該止着部を有する、テープ先端部とを有しており、該テープ基端部は、本体幅方向に沿う外側端及び内側端を有し、該外側端よりも本体長手方向内方に位置する、該内側端が、前記複数本の弾性部材のうち本体長手方向の最内方に配置された、弾性部材よりも本体長手方向外方に位置している使い捨ておむつ。
［２］前記伸縮パネルは、本体幅方向に伸縮性を有する伸縮部と、本体幅方向に伸縮性を有さない非伸縮部とを本体幅方向に有しており、前記伸縮パネルの前記外側縁部が該非伸縮部を含んでおり、
　複数本の前記弾性部材は、前記伸縮部で前記パネル材に伸長状態で固定され且つ該伸縮部から前記非伸縮部に延出しており、該非伸縮部では該弾性部材と該パネル材とが接合されていない［１］に記載の使い捨ておむつ。
［３］前記非伸縮領域において、前記伸縮パネルを構成するパネル材どうしが直接接合されている［１］又は［２］に記載の使い捨ておむつ。
［４］前記非伸縮領域において、前記伸縮パネルを構成するパネル材どうしの接合に用いられる接着剤の塗布量が０ｇ／ｍ²である［１］～［３］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［５］前記伸縮パネルは、該伸縮パネルの本体長手方向に沿う内側縁部にて前記吸収性本体に固定されており、
　前記伸縮パネルの前記内側縁部と前記外側縁部との間に、本体幅方向に伸縮性を有する伸縮部が存しており、該伸縮部は、該伸縮部を本体幅方向に横断する複数本の前記弾性部材が、前記パネル材に設けられた第１の接着部にて該パネル材に伸長状態で固定されて形成されており、
　前記伸縮パネルの前記外側縁部に、前記伸縮部を本体幅方向に横断する前記弾性部材の一端部が存しており、該外側縁部に存する該弾性部材の一端部は、該外側縁部を構成する前記パネル材に設けられた第２の接着部にて該パネル材に固定され且つ平面視して本体幅方向に延びる直線状であり、該第２の接着部は、前記第１の接着部よりも接着力が低い、［１］に記載の使い捨ておむつ。
［６］前記第１の接着部及び前記第２の接着部は、それぞれ、前記パネル材に接着剤を塗布して設けられており、該第２の接着部は、該第１の接着部よりも該接着剤の塗布量が少ない［５］に記載の使い捨ておむつ。
［７］前記伸縮パネルの前記内側縁部に、前記伸縮部を本体幅方向に横断する前記弾性部材の他端部が存しており、該内側縁部に存する該弾性部材の他端部は、該内側縁部を構成する前記パネル材に設けられた第３の接着部にて該パネル材に固定され且つ平面視して本体幅方向に延びる直線状であり、該第３の接着部は、前記第１の接着部よりも接着力が低い［５］又は［６］に記載の使い捨ておむつ。
［８］前記第１の接着部の接着剤の塗布量Ｖ１は、５～９０ｇ／ｍ²、好ましくは３０～７０ｇ／ｍ²である［５］～［７］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［９］前記第２の接着部の接着剤の塗布量Ｖ２は、０．３～３．０ｇ／ｍ²、好ましくは０．５～２．０ｇ／ｍ²である［５］～［８］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［１０］前記第３の接着部の接着剤の塗布量Ｖ３は、０．３～３．０ｇ／ｍ²、好ましくは０．５～２．０ｇ／ｍ²である［５］～［９］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［１１］前記伸縮パネルは、非伸縮性の外側縁部と、該外側縁部とは本体幅方向の反対側に位置する非伸縮性の内側縁部とを有する［１］～［１０］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［１２］前記外側縁部における前記弾性部材は、非伸長状態とされている［１］～［１１］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［１３］前記内側縁部における弾性部材は、非伸長状態とされている［１］～［１２］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［１４］前記伸縮パネルは、平面視して四角形形状である、［１］～［１３］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［１５］自然状態における伸縮パネルの本体長手方向Ｘの長さｗ１が、５０～１２０ｍｍ、好ましくは６０～１００ｍｍである、［１］～［１４］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［１６］自然状態における伸縮パネルの、吸収性本体から本体幅方向Ｙの外方に延出している部分の長さｗ２が、２０～６０ｍｍ、好ましくは２５～５０ｍｍである、［１］～［１５］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［１７］前記テープ先端部の本体長手方向の長さが、前記テープ基端部の本体長手方向の長さと同じかそれよりも短い［１］～［１６］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［１８］前記テープ先端部の本体長手方向の長さが、前記伸縮パネルの本体長手方向の長さの半分と同じかそれよりも短い［１］～［１７］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［１９］前記テープ先端部を本体長手方向に二分する仮想直線が、前記伸縮パネルを本体長手方向に二分する仮想直線よりも本体長手方向外方に位置している［１］～［１８］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［２０］前記吸収体は、液保持性の吸収性コア及び該吸収性コアを包む液透過性のコアラップシートを含んで構成されている［１］～［１９］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［２１］前記吸収性本体は、その本体長手方向Ｘの少なくとも一端部側に、吸収性コアが配置されていない吸収性コア非配置領域を有している［２０］に記載の使い捨ておむつ。
［２２］前記吸収性コア非配置領域は、おむつの着用者のウエスト部に位置する部位であり、背側部及び腹側部それぞれにおけるおむつのウエスト端縁（長手方向端縁）１ｔから本体長手方向Ｘの内方におむつの本体長手方向Ｘ全長のおよそ１０％の長さの領域である［２１］に記載の使い捨ておむつ。
［２３］前記吸収性コア非配置領域は、表面シート及び裏面シートを含んで構成されており、更にコアラップシートを含んで構成されている［２１］又は［２２］に記載の使い捨ておむつ。
［２４］前記テープ先端部を本体長手方向に二分する仮想直線が、前記吸収性コア非配置領域を本体幅方向に横断している［２１］～［２３］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［２５］前記吸収性コアは、前記吸収性本体と同方向（着用時に着用者の前後方向に向けられる方向）に長い形状を有し、本体長手方向Ｘの中央部が括れている［２０］～［２４］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［２６］前記テープ基端部は、前記伸縮パネルの前記外側縁部に、融着を含む接合手段により固定されている［１］～［２５］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［２７］前記テープ基端部は、伸縮パネルの外側縁部に、融着及び接着剤により固定されている［１］～［２６］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［２８］前記伸縮パネルの前記外側縁部に、前記テープ基端部が固定されておらず且つ複数枚の前記パネル材を含んで構成されている領域が存しており、該領域における該複数枚のパネル材が、互いに融着されている［１］～［２７］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［２９］前記伸縮パネルの前記外側縁部が、本体幅方向に伸縮性を有さない非伸縮部を含んでおり、該伸縮パネルの前記外側縁部における、前記テープ基端部よりも本体長手方向内方に位置する、テープ非固定領域が、前記非伸縮部である［１］～［２８］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［３０］前記伸縮部における複数本の前記弾性部材は、本体長手方向に延びる複数の直線状の接合部で、前記パネル材に固定されている［１］～［２９］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［３１］前記弾性部材の前記伸縮部から前記非伸縮部への延出長さは、複数の前記接合部のうちで該非伸縮部に最も近い２本の接合部の間隔よりも長い［３０］に記載の使い捨ておむつ。
［３２］前記弾性部材の延出長さＬａと本体幅方向Ｙの最外方に位置する接合部どうしの間隔Ｌｂとの比（Ｌａ／Ｌｂ）が０．８～２である［３０］に記載の使い捨ておむつ。
［３３］前記伸縮パネルは、その本体長手方向に沿う内側縁部における前記弾性部材が配置されていない部位で、前記吸収性本体に固定されている［１］～［３２］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［３４］前記伸縮パネルは、複数本の前記弾性部材が離間配置された伸縮部を有し、先端部に、前記ファスニングテープに相当する、止着部を有するタブが設けられており、
　前記伸縮部は、前記伸縮パネルの延出方向と交差する交差方向における前記タブを有する範囲に位置する部分が、伸長応力が高い高伸長応力部となっており、同方向における該高伸長応力部よりも股下部側に位置する部分が、該高伸長応力部よりも伸長応力が低い低伸長応力部となっている、［１］～［３３］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［３５］前記伸縮パネルの前記交差方向における前記タブを有する範囲に配された弾性部材の伸長率が、該範囲よりも股下部側に配された弾性部材の伸長率よりも高いことにより、前記高伸長応力部及び前記低伸長応力部が形成されている、［３４］に記載の使い捨ておむつ。
［３６］前記伸縮パネルの前記交差方向における前記タブを有する範囲に配された弾性部材のピッチが、該範囲よりも股下部側に配された弾性部材のピッチよりも狭いことにより、前記高伸長応力部及び前記低伸長応力部が形成されている、［３４］に記載の使い捨ておむつ。
［３７］前記伸縮パネルの前記交差方向における前記タブを有する範囲に配された弾性部材の太さが、該範囲よりも股下部側に配された弾性部材の太さよりも太いことにより、前記高伸長応力部及び前記低伸長応力部が形成されている、［３４］に記載の使い捨ておむつ。
［３８］前記伸縮パネルは、その延出方向の先端側に、複数本の連続接合部を有しており、該連続接合部のそれぞれにおいては、前記複数本の弾性部材が、前記延出方向の交差方向に連続的に配された接着剤を介して、前記パネル材としての不織布間に固定されており、
　前記伸縮パネルの基端と前記連続接合部との間に、前記パネル材間が、分散配置された多数の融着部において融着されていると共に前記弾性部材が、それらの融着部を通らないように配されている中間伸縮領域を有している、［１］～［３７］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［３９］前記中間伸縮領域に、複数個の前記融着部が前記交差方向に直列した融着部列が、前記延出方向に複数列形成されている、［３８］に記載の使い捨ておむつ。
［４０］前記伸縮パネルは、その延出方向の基端側に、基端側連続接合部を有しており、該基端側連続接合部においては、前記複数本の弾性部材が、前記延出方向の交差方向に連続的に配された接着剤を介して前記パネル材間に固定されている、請求項［３８］又は［３９］記載の使い捨ておむつ。
［４１］前記伸縮パネルの延出方向の先端側に形成された前記連続接合部と前記基端側連続接合部との間に、中央連続接合部が形成されており、該中央連続接合部を挟む両側に、前記中間伸縮領域が形成されており、前記中央連続接合部においては、前記複数本の弾性部材が、前記伸縮パネルの延出方向の交差方向に連続的に配された接着剤を介して前記パネル材間に固定されている、［４０］に記載の使い捨ておむつ。
［４２］前記ファスニングテープは、前記伸縮パネルに重ねた状態に固定されたテープ固定部を有し、前記伸縮パネルは、該テープ固定部の下方隣接部位に、前記伸縮部が収縮して生じた複数本の襞を有している、［１］～［４１］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［４３］前記テープ固定部は、少なくとも一部が、前記伸縮部が収縮して生じた襞上に固定されている、［１］～［４２］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［４４］前記伸縮パネルは、その延出方向の先端側に、前記２枚のパネル材間が、該延出方向と交差する交差方向に沿って連続的に接合されている先端側固定部を有し、その延出方向の基端側に、前記２枚のパネル材間が、該延出方向と交差する交差方向に沿って連続的に接合されている先端側固定部を有し、該先端側固定部と該基端側固定部との間に、前記伸縮部として、前記２枚のパネル材間が、分散配置された多数の融着部において融着されていると共に前記弾性部材が、それらの融着部を通らないように配されている柔軟伸縮部を有している、［３４］～［４３］記載の使い捨ておむつ。
［４５］前記伸縮パネルは、前記パネル材間が、該サイドパネルの延出方向と交差する交差方向に連続的に接合されている連続接合部を、該延出方向に複数本有しており、隣り合う連続接合部どうし間に前記襞が形成されている、［１］～［４３］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［４６］前記ファスニングテープの重心が前記伸縮パネルの重心よりも前記吸収性本体の長手方向上方に位置しており、
　前記フックテープと前記テープ基材とが固定された第１固定部と、前記ファスニングテープと前記伸縮パネルとが固定された第２固定部とは重なっておらず、
　前記第１固定部における前記吸収性本体の長手方向下端縁と前記テープ基材における前記吸収性本体の長手方向下端縁とは一致しており、
　前記第２固定部における前記吸収性本体の長手方向下端縁は、前記第１固定部の前記長手方向下端縁よりも前記吸収性本体の長手方向上方に位置しており、前記シート基材の前記長手方向下端縁から離間している、［１］～［４５］の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
［４７］前記テープ基材は、前記吸収性本体の幅方向に長い長方形状である［４６］に記載の使い捨ておむつ。
［４８］前記第１固定部における前記吸収性本体の長手方向内側縁と前記第２固定部における前記吸収性本体の長手方向外側縁とが一致し接している［４６］又は［４７］に記載の使い捨ておむつ。
［４９］前記第１固定部における前記吸収性本体の長手方向内側縁の最下端点及び前記第２固定部における前記吸収性本体の長手方向外側縁の最下端点を結ぶ直線と、前記吸収性本体の幅方向に延びる中心線に平行な仮想直線とのなす角が、３０～９０°である［４６］～［４８］の何れか１項に記載の使い捨ておむつ。

　以下、第８発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。

〔実施例１〕
　実施例１では、上述した図６４，図６５に示す第８発明の第１実施形態に示す構造の使い捨ておむつを作製した。吸収体を含む吸収性本体１０２には、花王株式会社製のメリーズ（登録商標）さらさらエアスルーを、図６４に示すように、伸長させて拡げた状態で長方形状となるようにカットしたものを用いた。
　伸縮性ウエストパネル４０３を構成する長方形状の２枚のシート４３１，４３２には、坪量１３ｇ／ｍ²のＳＭＳ不織布を用いた。２枚のシート４３１，４３２は、Ｙ方向の長さが１００ｍｍ、Ｘ方向の長さが８４ｍｍであった。伸縮性ウエストパネル４０３を構成する複数本の糸状弾性体４３３には７８０デシテックスのスパンデックス弾性繊維を用いた。伸縮性ウエストパネル４０３は、２枚のシート４３１，４３２の間に、糸状弾性体４３３を２００％の伸長倍率に伸長したものをＸ方向に７ｍｍの間隔で配し、Ｘ方向に連続な縞状（塗布部２ｍｍ、非塗布部４ｍｍ）に塗布されたホットメルト接着剤（坪量５０ｇ／ｍ²）で固定して作製した。
　ファスニングテープ４０４を構成する多数の係合突起を有する長方形状のフックテープ４４１は、Ｙ方向の長さが２０ｍｍ、Ｘ方向の長さが２５ｍｍであった。ファスニングテープ４０４を構成する長方形状のシート基材４４２には、坪量５５ｇ／ｍ²のＳＭＳ不織布を用いた。
シート基材４４２は、Ｙ方向の長さが５０ｍｍ、Ｘ方向の長さが３５ｍｍであった。ファスニングテープ４０４は、フックテープ４４１及びシート基材４４２を面状に塗布されたホットメルト接着剤（坪量２０ｇ／ｍ²）で固定して作製した。尚、第１固定部４０６は、フックテープ４４１と同一形状の長方形状であった。

　ファスニングテープ４０４及び伸縮性ウエストパネル４０３は、面状にホットメルト接着剤（坪量２０ｇ／ｍ²）を塗布し、ファスニングテープ４０４の重心Ｇ１が伸縮性ウエストパネル４０３の重心Ｇ２よりもＸ方向に２５ｍｍ上方に位置するように、第２固定部４０７にて固定した。第２固定部４０７は長方形状であり、Ｙ方向の長さが１０ｍｍ、Ｘ方向の長さが２５ｍｍであった。
　第１固定部４０６と第２固定部４０７との間隔ｄ１は５ｍｍであり、第２固定部４０７の下端縁４０７ａとシート基材４４２の下端縁４４２ａとの間隔ｄ２は１０ｍｍであった。第１固定部４０６の最下端点αと第２固定部４０７の最下端点βを結ぶ直線と中心線ＣＷに平行な仮想直線とのなす角γは６３°であった。
　実施例１の使い捨ておむつは、上述のようにファスニングテープ４０４を固定した伸縮性ウエストパネル４０３を、面状にホットメルト接着剤（坪量３０ｇ／ｍ²）を塗布して吸収性本体１０２に固定して作製した。

〔実施例２〕
　実施例２では、上述した図６７に示す伸縮性ウエストパネル４０３を有する第２実施形態に示す構造の使い捨ておむつを作製した。実施例２の使い捨ておむつにおいては、間隔ｄ１、なす角γを変更する以外は、実施例１と同様にして使い捨ておむつを作製した。
　実施例２の使い捨ておむつにおいては、第１固定部４０６と第２固定部４０７との間隔ｄ１は０ｍｍであり、第２固定部４０７の下端縁４０７ａとシート基材４４２の下端縁４４２ａとの間隔ｄ２は１０ｍｍであった。第１固定部４０６の最下端点αと第２固定部４０７の最下端点βを結ぶ直線と中心線ＣＷに平行な仮想直線とのなす角γは９０°であった。

〔実施例３〕
　実施例３では、上述した図６４，６５に示す第１実施形態に示す構造の使い捨ておむつを作製した。実施例３の使い捨ておむつにおいては、間隔ｄ１、なす角γを変更する以外は、実施例１と同様にして使い捨ておむつを作製した。
　実施例３の使い捨ておむつにおいては、第１固定部４０６と第２固定部４０７との間隔ｄ１は１０ｍｍであり、第２固定部４０７の下端縁４０７ａとシート基材４４２の下端縁４４２ａとの間隔ｄ２は１０ｍｍであった。第１固定部４０６の最下端点αと第２固定部４０７の最下端点βを結ぶ直線と中心線ＣＷに平行な仮想直線とのなす角γは４５°であった。

〔実施例４〕
　実施例４では、上述した図６８に示す伸縮性ウエストパネル４０３を有する第３実施形態に示す構造の使い捨ておむつを作製した。実施例４の使い捨ておむつにおいては、フックテープ４４１の形状、シート基材４４２の形状、第１固定部４０６の形状、間隔ｄ２及びなす角γ以外は、実施例１と同様にして使い捨ておむつを作製した。
　実施例４に用いるフックテープ４４１は、台形状であり、Ｙ方向外方側の上底のＸ方向長さが３６．５ｍｍ下底のＸ方向長さが３８．５ｍｍＹ方向の高さが２０ｍｍであった。実施例４に用いるシート基材４４２は、台形状であり、Ｙ方向外方側の上底のＸ方向長さが３５ｍｍ下底のＸ方向長さが４０ｍｍＹ方向の高さが５０ｍｍであった。尚、実施例４の使い捨ておむつにおける第１固定部４０６は、実施例４に用いるフックテープ４４１と同一形状の台形状であった。
　実施例４の使い捨ておむつにおいては、第１固定部４０６と第２固定部４０７との間隔ｄ１は５ｍｍであり、第２固定部４０７の下端縁４０７ａとシート基材４４２の下端縁４４２ａとの間隔ｄ２は１４ｍｍであった。第１固定部４０６の最下端点αと第２固定部４０７の最下端点βを結ぶ直線と中心線ＣＷに平行な仮想直線とのなす角γは７０°であった。
　尚、実施例４の使い捨ておむつにおける間隔ｄ２は、第２固定部４０７の下端縁４０７ａと第１固定部４０６の下端縁４０６ａの中で最もＸ方向の最上方に位置する点との間の距離である。

〔実施例５〕
　実施例５では、上述した図６９に示す伸縮性ウエストパネル４０３を有する第４実施形態に示す構造の使い捨ておむつを作製した。実施例５の使い捨ておむつにおいては、フックテープ４４１の形状、シート基材４４２の形状、第１固定部４０６の形状、間隔ｄ２及びなす角γ以外は、実施例１と同様にして使い捨ておむつを作製した。
　実施例５に用いるフックテープ４４１は、台形状であり、Ｙ方向外方側の上底のＸ方向長さが３５．５ｍｍ下底のＸ方向長さが３９．５ｍｍＹ方向の高さが２０ｍｍであった。実施例５に用いるシート基材４４２は、台形状であり、Ｙ方向外方側の上底のＸ方向長さが３２．５ｍｍ下底の長さが４２．５ｍｍＹ方向の高さが５０ｍｍであった。尚、実施例５の使い捨ておむつにおける第１固定部４０６は、実施例５に用いるフックテープ４４１と同一形状の台形状であった。
　実施例５の使い捨ておむつにおいては、第１固定部４０６と第２固定部４０７との間隔ｄ１は５ｍｍであり、第２固定部４０７の下端縁４０７ａとシート基材４４２の下端縁４４２ａとの間隔ｄ２は１４ｍｍであった。第１固定部４０６の最下端点αと第２固定部４０７の最下端点βを結ぶ直線と中心線ＣＷに平行な仮想直線とのなす角γは７０°であった。
　尚、実施例５の使い捨ておむつにおける間隔ｄ２は、第２固定部４０７の下端縁４０７ａと第１固定部４０６の下端縁４０６ａの中で最もＸ方向の最上方に位置する点との間の距離である。

〔参考例１〕
　参考例１では、図７０に示す伸縮性ウエストパネル４０３を有する使い捨ておむつを作製した。参考例１の使い捨ておむつにおいては、第２固定部４０７の形状及び間隔ｄ２以外は、実施例１と同様にして使い捨ておむつを作製した。
　参考例１の使い捨ておむつにおける第２固定部４０７は、シート基材４４２の上端縁４４２ｂと下端縁４４２ａとの間に亘る長方形状であった。
　参考例１の使い捨ておむつにおいては、第１固定部４０６と第２固定部４０７との間隔ｄ１は５ｍｍであり、第２固定部４０７の下端縁４０７ａとシート基材４４２の下端縁４４２ａとの間隔ｄ２は０ｍｍであった。

〔参考例２〕
　参考例２では、図７１に示す伸縮性ウエストパネル４０３を有する使い捨ておむつを作製した。参考例１の使い捨ておむつにおいては、第１固定部４０６の形状、第２固定部４０７の形状、間隔ｄ２及びなす角γ以外は、実施例１と同様にして使い捨ておむつを作製した。
　参考例２の使い捨ておむつにおける第１固定部４０６は、第１固定部４０６の下端縁４０６ａとシート基材４４２の下端縁４４２ａとの間に間隔１０ｍｍを空けて長方形状に形成した。
　参考例２の使い捨ておむつにおける第２固定部４０７は、シート基材４４２の上端縁４４２ｂと下端縁４４２ａとの間に亘る長方形状であった。
　参考例２の使い捨ておむつにおいては、第１固定部４０６と第２固定部４０７との間隔ｄ１は５ｍｍであり、第２固定部４０７の下端縁４０７ａとシート基材４４２の下端縁４４２ａとの間隔ｄ２は０ｍｍであった。第１固定部４０６の最下端点αと第２固定部４０７の最下端点βを結ぶ直線と中心線ＣＷに平行な仮想直線とのなす角γは１１７°であった。

〔参考例３〕
　参考例３では、図７２に示す伸縮性ウエストパネル４０３を有する使い捨ておむつを作製した。参考例３の使い捨ておむつにおいては、第１固定部４０６の形状以外は、実施例１と同様にして使い捨ておむつを作製した。
　参考例３の使い捨ておむつにおける第１固定部４０６は、第１固定部４０６の下端縁４０６ａとシート基材４４２の下端縁４４２ａとの間に間隔１０ｍｍを空けて長方形状に形成した。
　参考例３の使い捨ておむつにおいては、第１固定部４０６と第２固定部４０７との間隔ｄ１は５ｍｍであり、第２固定部４０７の下端縁４０７ａとシート基材４４２の下端縁４４２ａとの間隔ｄ２は１０ｍｍであった。

〔参考例４〕
　参考例４では、図７３に示す伸縮性ウエストパネル４０３を有する使い捨ておむつを作製した。参考例４の使い捨ておむつにおいては、フックテープ４４１の形状、シート基材４４２の形状、第１固定部４０６の形状、第２固定部４０７の形状及び間隔ｄ２以外は、実施例１と同様にして使い捨ておむつを作製した。
　参考例４に用いるフックテープ４４１は、台形状であり、Ｙ方向外方側の上底のＸ方向長さが３２ｍｍ下底の長さが２８ｍｍＹ方向の高さが２０ｍｍであった。参考例４に用いるシート基材４４２は、台形状であり、Ｙ方向外方側の上底のＸ方向長さが３５ｍｍ下底のＸ方向長さが２５ｍｍＹ方向の高さが５０ｍｍであった。尚、参考例４の使い捨ておむつにおける第１固定部４０６は、参考例４に用いるフックテープ４４１と同一形状の台形状であった。
　参考例４の使い捨ておむつにおいては、第１固定部４０６と第２固定部４０７との間隔ｄ１は５ｍｍであり、第２固定部４０７の下端縁４０７ａとシート基材４４２の下端縁４４２ａとの間隔ｄ２は０ｍｍであった。

〔参考例５〕
　参考例５では、図７４に示す伸縮性ウエストパネル４０３を有する使い捨ておむつを作製した。参考例５の使い捨ておむつにおいては、間隔ｄ１、なす角γを変更する以外は、実施例１と同様にして使い捨ておむつを作製した。
　参考例５の使い捨ておむつにおいては、第１固定部４０６と第２固定部４０７との間隔ｄ１は－５ｍｍであり、第１固定部４０６と第２固定部４０７とが重なっていた。また、参考例５の使い捨ておむつにおいては、第２固定部４０７の下端縁４０７ａとシート基材４４２の下端縁４４２ａとの間隔ｄ２は１０ｍｍであった。第１固定部４０６の最下端点αと第２固定部４０７の最下端点βを結ぶ直線と中心線ＣＷに平行な仮想直線とのなす角γは１１７°であった。

〔評価〕
　実施例１～５、参考例１～５の各使い捨ておむつについて、下記の方法により、フックテープ４４１とシート基材４４２との剥がれ易さを評価すると共に、フックテープ４４１の下端縁４４１ａの反り返りを評価した。フックテープ４４１の下端縁４４１ａの反り返りを評価した理由は、着用中にフックテープ４４１の下端縁４４１ａが反り返ると、おむつの上に着用する服等に引っかかり、着用中にフックテープ４４１がターゲットシートから剥がれる起因となるからである。尚、剥がれ易さ及び反り返りのそれぞれについて、実施例１～５、参考例１～５の使い捨ておむつを評価した。これらの結果を下記表１に示す。

＜評価方法＞
　実施例１の使い捨ておむつを用いて説明する。先ず、実施例１の使い捨ておむつの腹側部を切り出してターゲットシートが上面となるように平面の実験台に固定する。一方でファスニングテープ４０４が固定された伸縮性ウエストパネル４０３を吸収性本体１０２との固定部に沿って切り出し、ファスニングテープ４０４のフックテープ４４１をターゲットシート上に係合させた後、伸縮性ウエストパネル４０３の吸収性本体１０２側がターゲットシート幅方向と直交するように保持しながら、ターゲットシートの幅方向に沿って、伸縮性ウエストパネル４０３が２００％伸長になる状態まで引っ張り、固定する。その状態でフックテープ４４１のターゲットシートに対しての反り返り状態を観察した。また、伸縮性ウエストパネル４０３を伸長状態で５分間放置した後に、フックテープ４４１のフックテープ４４１とシート基材４４２との剥がれ状態を観察した。実施例２～５、参考例１～５の使い捨ておむつについても同様に観察した。

＜剥がれ易さの評価＞
　下記を基準に判定した。
×××：フックテープの剥離が第１固定部４０６の下端縁４４１ａに沿って点αから４ｍｍ以上。
××：フックテープの剥離が第１固定部４０６の下端縁４４１ａに沿って点αから２ｍｍ以上～４ｍｍ未満。
×：フックテープの剥離が第１固定部４０６の下端縁４４１ａに沿って点αから１ｍｍ以上～２ｍｍ未満。
○：フックテープの剥離が第１固定部４０６の下端縁４４１ａに沿って点αから１ｍｍ未満。
＜反り返りの評価＞
　下記を基準に判定した。
×：ターゲットシートに対してフックテープの浮きが認められる。
○：ターゲットシートに対してフックテープの浮きが認められない。

　表１の結果から明らかなように、実施例１～５の使い捨ておむつは何れも、着用中にフックテープ４４１がターゲットシートから剥がれ難いことが分かった。従って、着用者の肌を傷つけ難く、使用感の向上が期待できる。また、表１の結果から明らかなように、実施例１～５の使い捨ておむつは何れも、着用中にフックテープ４４１の下端縁４４１ａが反り返り難く、着用中にフックテープ４４１がターゲットシートから剥がれ難いことが分かった。従って、使用感の向上が期待できる。

　以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、融着部７５の平面視における形状は、楕円形状に制限されず、連続直線状、ドット状等の比較的小さな複数の小融着部が一方向に所定間隔を置いて列をなすように配置されてなる破線状、格子状等種々の形状を選択することができる。また、前述した一の実施形態のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。

　また、第３及び／又は第４発明については、例えば、前記実施形態では、伸縮パネル６を構成する弾性部材６２の長さ方向（本体幅方向Ｙ）の両端部６２ｐ，６２ｑの両方が、平面視して本体幅方向Ｙに延びる直線状であったが、少なくとも伸縮パネル６の外側縁部６Ａに存する弾性部材６２の一端部６２ｐが平面視して本体幅方向Ｙに延びる直線状であれば良く、内側縁部６Ｃに存する他端部６２ｑは本体幅方向Ｙに延びる直線状でなくても良い。即ち、内側縁部６Ｃには、接着剤が塗布されていなくても良く、第３の接着部６９は無くても良い。また、前述した一の実施形態のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。

　また、上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。

　本発明の使い捨ておむつは、着用者の背中に密着して隙間を生じ難く、該隙間からの液漏れを効果的に防止し、且つ着用者の脚周りをフィット性良く適度に締め付けるため、脚周りに締め付け跡を付け難い。特に、本発明の使い捨ておむつにおいては、装着時に、伸縮パネルに取り付けられたファスニングテープを胴周り方向にまっすぐ引いてその止着部を所定の被止着領域に止着したときに、該伸縮パネルの本体長手方向の内方端側の実質的な伸長長さが長くなるため、着用者の脚周りの締め付け力が軽減され、それにより締め付け跡が付きにくくなる等、前記効果が奏される。

　本発明（第２発明）の使い捨ておむつは、伸縮パネルの外側縁部が柔軟性を有しているため、着用者の肌に優しく、また、伸縮パネルを構成する弾性部材の固定安定性に優れているため、装着時に伸縮パネルが伸縮されても弾性部材が外れ難い。

　本発明（第３及び第４発明）によれば、伸縮パネルの外観が良好な使い捨ておむつが提供される。

　本発明（第５発明）の使い捨ておむつによれば、着用者の背中側に隙間が生じ難く、身体に対するフィット性に優れている。

　本発明（第６発明）の使い捨ておむつによれば、サイドパネルの通気性及びフィット性に優れており、強い引っ張り力が加わってもサイドパネルの伸縮性が損なわれ難い。

　本発明（第７発明）の使い捨ておむつは、ファスニングテープに伸び、破れ、剥離等が生じ難いものである。

　本発明（第８発明）の使い捨ておむつによれば、フックテープがシート基材から剥がれ難く、着用者の肌を傷つけ難く、使用感が向上する。

Claims

　表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に介在配置された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の本体長手方向に沿う両側縁部に固定された一対の伸縮パネルとを有し、一対の該伸縮パネルそれぞれの本体長手方向に沿う外側縁部に固定されたファスニングテープの止着部を、該吸収性本体の非肌対向面に止着して着用者に装着するようになされている使い捨ておむつであって、
　前記伸縮パネルは、前記外側縁部よりも本体幅方向内方に、本体幅方向に伸縮性を有する伸縮部を有しており、該伸縮部は、パネル材と、該パネル材に伸張状態で固定され且つ本体幅方向に延びる複数本の弾性部材とを含んで構成されており、該複数本の弾性部材は、本体長手方向に所定間隔を置いて配置されており、
　前記外側縁部を含む、前記伸縮パネルの前記伸縮部よりも本体幅方向外方に位置する領域には、該伸縮パネルの構成部材どうしが接着剤によって接合された、接着剤接合部が存在しておらず、
　前記ファスニングテープは、前記止着部を有するテープ基材を含んで構成されており、該テープ基材は、前記伸縮パネルの前記外側縁部に固定されたテープ基端部と、該テープ基端部に連接され該外側縁部から本体幅方向外方に突出し且つ該止着部を有する、テープ先端部とを有しており、該テープ基端部は、本体幅方向に沿う外側端及び内側端を有し、該外側端よりも本体長手方向内方に位置する、該内側端が、前記複数本の弾性部材のうち本体長手方向の最内方に配置された、弾性部材よりも本体長手方向外方に位置している使い捨ておむつ。
　前記伸縮パネルは、本体幅方向に伸縮性を有する伸縮部と、本体幅方向に伸縮性を有さない非伸縮部とを本体幅方向に有しており、前記伸縮パネルの前記外側縁部が該非伸縮部を含んでおり、
　複数本の前記弾性部材は、前記伸縮部で前記パネル材に伸張状態で固定され且つ該伸縮部から前記非伸縮部に延出しており、該非伸縮部では該弾性部材と該パネル材とが接合されていない請求項１記載の使い捨ておむつ。
　前記伸縮パネルは、該伸縮パネルの本体長手方向に沿う内側縁部にて前記吸収性本体に固定されており、
　前記伸縮パネルの前記内側縁部と前記外側縁部との間に、本体幅方向に伸縮性を有する伸縮部が存しており、該伸縮部は、該伸縮部を本体幅方向に横断する複数本の前記弾性部材が、前記パネル材に設けられた第１の接着部にて該パネル材に伸張状態で固定されて形成されており、
　前記伸縮パネルの前記外側縁部に、前記伸縮部を本体幅方向に横断する前記弾性部材の一端部が存しており、該外側縁部に存する該弾性部材の一端部は、該外側縁部を構成する前記パネル材に設けられた第２の接着部にて該パネル材に固定され且つ平面視して本体幅方向に延びる直線状であり、該第２の接着部は、前記第１の接着部よりも接着力が低い、請求項１又は２記載の使い捨ておむつ。
　前記テープ基端部は、前記伸縮パネルの前記外側縁部に、融着を含む接合手段により固定されている請求項１～３の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
　前記伸縮パネルの前記外側縁部に、前記テープ基端部が固定されておらず且つ複数枚の前記パネル材を含んで構成されている領域が存しており、該領域における該複数枚のパネル材が、互いに融着されている請求項１～４の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
　前記伸縮パネルの前記外側縁部が、本体幅方向に伸縮性を有さない非伸縮部を含んでおり、該伸縮パネルの前記外側縁部における、前記テープ基端部よりも本体長手方向内方に位置する、テープ非固定領域が、前記非伸縮部である請求項１～５の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
　前記伸縮部における複数本の前記弾性部材は、本体長手方向に延びる複数の直線状の接合部で、前記パネル材に固定されている請求項１～６の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
　前記弾性部材の前記伸縮部から前記非伸縮部への延出長さは、複数の前記接合部のうちで該非伸縮部に最も近い２本の接合部の間隔よりも長い請求項７記載の使い捨ておむつ。
　前記伸縮パネルは、その本体長手方向に沿う内側縁部における前記弾性部材が配置されていない部位で、前記吸収性本体に固定されている請求項１～８の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
　前記伸縮パネルは、複数本の前記弾性部材が離間配置された伸縮部を有し、先端部に、前記ファスニングテープに相当する、止着部を有するタブが設けられており、
　前記伸縮部は、前記伸縮パネルの延出方向と交差する交差方向における前記タブを有する範囲に位置する部分が、伸長応力が高い高伸長応力部となっており、同方向における該高伸長応力部よりも股下部側に位置する部分が、該高伸長応力部よりも伸長応力が低い低伸長応力部となっている、請求項１～９の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
　前記伸縮パネルは、その延出方向の先端側に、複数本の連続接合部を有しており、該連続接合部のそれぞれにおいては、前記複数本の弾性部材が、前記延出方向の交差方向に連続的に配された接着剤を介して、前記パネル材としての不織布間に固定されており、
　前記伸縮パネルの基端と前記連続接合部との間に、前記パネル材間が、分散配置された多数の融着部において融着されていると共に前記弾性部材が、それらの融着部を通らないように配されている中間伸縮領域を有している、請求項１～１０の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
　前記ファスニングテープは、前記伸縮パネルに重ねた状態に固定されたテープ固定部を有し、前記伸縮パネルは、該テープ固定部の下方隣接部位に、前記伸縮部が収縮して生じた複数本の襞を有している、請求項１～１１の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
使い捨ておむつ。
　前記テープ固定部は、少なくとも一部が、前記伸縮部が収縮して生じた襞上に固定されている、請求項１～１２の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。
　前記ファスニングテープの重心が前記伸縮パネルの重心よりも前記吸収性本体の長手方向上方に位置しており、
　前記フックテープと前記テープ基材とが固定された第１固定部と、前記ファスニングテープと前記伸縮パネルとが固定された第２固定部とは重なっておらず、
　前記第１固定部における前記吸収性本体の長手方向下端縁と前記テープ基材における前記吸収性本体の長手方向下端縁とは一致しており、
　前記第２固定部における前記吸収性本体の長手方向下端縁は、前記第１固定部の前記長手方向下端縁よりも前記吸収性本体の長手方向上方に位置しており、前記シート基材の前記長手方向下端縁から離間している、請求項１～１３の何れか一項に記載の使い捨ておむつ。