WO2012023589A1 - 樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕 下記(1)~(3)を用いて得られるカルボン酸エステルを含み、酸価が1.00mgKOH/g以下、水酸基価が5.0mgKOH/g以下、数平均分子量が300~700であるエステル化合物と、脂肪族ポリエステルとを含有してなる樹脂組成物、
(1)炭素数が1~4のアルキル基を有する一価アルコール
(2)炭素数が2~4のアルキレン基を有するジカルボン酸
(3)炭素数が2~6のアルキレン基を有する二価アルコール
〔2〕 前記〔1〕記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体、
〔3〕 以下の工程を含む前記〔1〕記載の樹脂組成物の製造方法、
(工程1-1) 前記〔1〕に記載のジカルボン酸と前記〔1〕に記載の一価アルコールのエステル化反応を行ってジカルボン酸エステルを合成する工程
(工程1-2) 工程1-1で得られたジカルボン酸エステルと前記〔1〕に記載の二価アルコールとのエステル交換反応を行って、カルボン酸エステルを含み、酸価が1.00mgKOH/g以下、水酸基価が5.0mgKOH/g以下、数平均分子量が300~700であるエステル化合物を得る工程
(工程1-3) 工程1-2で得られたエステル化合物と脂肪族ポリエステルとを溶融混練する工程
〔4〕 以下の工程を含む前記〔1〕記載の樹脂組成物の製造方法
(工程2-1) 前記〔1〕に記載の一価アルコール、前記〔1〕に記載のジカルボン酸、及び前記〔1〕に記載の二価アルコールを一括反応させて、カルボン酸エステルを含み、酸価が1.00mgKOH/g以下、水酸基価が5.0mgKOH/g以下、数平均分子量が300~700であるエステル化合物を得る工程
(工程2-2) 工程2-1で得られたエステル化合物と脂肪族ポリエステルとを溶融混練する工程
に関する。
(1)炭素数が1~4のアルキル基を有する一価アルコール
(2)炭素数が2~4のアルキレン基を有するジカルボン酸
(3)炭素数が2~6のアルキレン基を有する二価アルコール
本発明におけるエステル化合物は次のカルボン酸エステルを含む。カルボン酸エステルは、(1)炭素数が1~4のアルキル基を有する一価アルコール、(2)炭素数が2~4のアルキレン基を有するジカルボン酸、及び(3)炭素数が2~6のアルキレン基を有する二価アルコールを用いて得られ、可塑剤として働くものである。
R1O-CO-R2-CO-〔(OR3)mO-CO-R2-CO-〕nOR1 (I)
(式中、R1は炭素数が1~4のアルキル基、R2は炭素数が2~4のアルキレン基、R3は炭素数が2~6のアルキレン基であり、mは1~6の数、nは1~6の数を示し、但し、全てのR2は同一でも異なっていてもよく、全てのR3は同一でも異なっていてもよい)
で表される化合物が挙げられる。よって、本発明の樹脂組成物は、好ましくは、前記(1)~(3)を用いて得られる式(I)で表されるカルボン酸エステルを含み、酸価が1.00mgKOH/g以下、水酸基価が5.0mgKOH/g以下、数平均分子量が300~700であるエステル化合物と、脂肪族ポリエステルとを含有する。式(I)で表されるカルボン酸エステルと脂肪族ポリエステルは、いずれも鎖状化合物であるために適度な相互作用が得られ、脂肪族ポリエステルとの相溶性が向上して可塑性が向上すると推定される。本明細書において、可塑剤の性能は、成形体の曲げ弾性率(G/Pa)、耐熱性(熱変形温度、℃)、及び耐ブリード性により確認できる。なお、本明細書において、式(I)における〔(OR3)mO-CO-R2-CO-〕を、式(I)における繰り返し単位とも言う。
炭素数が1~4のアルキル基を有する一価アルコールとしては、前記R1を含むアルコールであり、具体的には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、1,1-ジメチル-1-エタノールが挙げられる。なかでも、脂肪族ポリエステルとの相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点の他、エステル交換反応の効率を上げる観点から、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールがさらにより好ましい。
炭素数が2~4のアルキレン基を有するジカルボン酸としては、前記R2を含むジカルボン酸であり、具体的には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、及びそれらの誘導体(例えば、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、コハク酸ジメチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル)が挙げられる。なかでも、脂肪族ポリエステルとの相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、コハク酸、グルタル酸、及びそれらの誘導体(例えば、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、コハク酸ジメチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジメチル)が好ましく、コハク酸及びその誘導体(例えば、コハク酸無水物、コハク酸ジメチル)がより好ましく、可塑化効果を発現させる観点及び経済性の観点から、コハク酸、アジピン酸及びそれらの誘導体(例えば、コハク酸無水物、コハク酸ジメチル、コハク酸ジブチル、アジピン酸ジメチル)が好ましく、コハク酸及びその誘導体(例えば、コハク酸無水物、コハク酸ジメチル、コハク酸ジブチル)がより好ましい。
炭素数が2~6のアルキレン基を有する二価アルコールとしては、前記R3を含む二価アルコールであり、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオールが挙げられる。なかでも、脂肪族ポリエステルとの相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、テトラエチレングリコール、1,4-ブタンジオールが好ましく、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールがより好ましく、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオールがさらに好ましい。
(1)一価アルコールがメタノール、エタノール、1-プロパノール、及び1-ブタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、(2)ジカルボン酸がコハク酸、グルタル酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、(3)二価アルコールがジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、テトラエチレングリコール、及び1,4-ブタンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、
(1)一価アルコールがメタノール及びエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、(2)ジカルボン酸がコハク酸、グルタル酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、(3)二価アルコールがジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、及び1,3-プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、
(1)一価アルコールがメタノールであり、(2)ジカルボン酸がコハク酸及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、(3)二価アルコールがジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及び1,3-プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがさらに好ましい。
態様1:(2)ジカルボン酸と(1)一価アルコールのエステル化反応を行ってジカルボン酸エステルを合成する工程(工程1)と、得られたジカルボン酸エステルと(3)二価アルコールをエステル化反応させる工程(工程2)を含む方法
態様2:(1)一価アルコール、(2)ジカルボン酸、及び(3)二価アルコールを一括反応させる工程を含む方法
1)ジカルボン酸の中に一価アルコールの蒸気を吹き込んでエステル化反応を行うと共に、生成する水と未反応の一価アルコールを共に除く方法、
2)過剰の一価アルコールを用いてエステル化反応を行うと共に、生成する水と一価アルコールを共沸させて除く方法、
3)エステル化反応を行うと共に、水又は、水、一価アルコール等と共沸をする溶剤(例えばトルエン)を加えて水とアルコールを除く方法
等が挙げられる。
前記(1)~(3)を用いて得られるカルボン酸エステルを含み、酸価が1.00mgKOH/g以下、水酸基価が5.0mgKOH/g以下、数平均分子量が300~700、エーテル基価が0~8mmol/gであるエステル化合物が好ましく、
前記(1)~(3)を用いて得られるカルボン酸エステルを含み、酸価が0.05mgKOH/g以上、1.00mgKOH/g以下、水酸基価が0.1mgKOH/g以上、5.0mgKOH/g以下、数平均分子量が300~600、エーテル基価が0~8mmol/gであるエステル化合物がより好ましく。
前記(1)~(3)を用いて得られるカルボン酸エステルを含み、酸価が0.05mgKOH/g以上、0.90mgKOH/g以下、水酸基価が0.1mgKOH/g以上、4.0mgKOH/g以下、数平均分子量が300~600、エーテル基価が0~6mmol/gであるエステル化合物がさらに好ましく、
前記(1)~(3)を用いて得られるカルボン酸エステルを含み、酸価が0.1mgKOH/g以上、0.90mgKOH/g以下、水酸基価が0.2mgKOH/g以上、4.0mgKOH/g以下、数平均分子量が350~500、エーテル基価が1~5mmol/gであるエステル化合物がよりさらに好ましい。
本発明における脂肪族ポリエステルとしては、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2-オキセタノン)等が挙げられ、生分解性を有していることが好ましい。これらのなかでも、加工性、経済性、入手性、及び物性に優れることから、ポリブチレンサクシネート及びポリ乳酸樹脂が好ましく、ポリ乳酸樹脂がより好ましい。なお、本発明においては、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、グルテン、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、コラーゲン、ケラチン等の天然高分子と前記脂肪族ポリエステルも好適に用いることができる。
本発明においては、樹脂組成物の透明性及び成形性をさらに向上する観点から、前記エステル化合物と共に他の可塑剤を含有することができる。他の可塑剤としては、特に限定はないが、分子内に2個以上のエステル基を有するエステル化合物であって、該エステル化合物を構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2~3のアルキレンオキサイドを平均0.5~5モル付加したアルコールであるエステル化合物が好ましく、具体的には、特開2008-174718号公報及び特開2008-115372号公報に記載の可塑剤が例示される。
本発明においては、本発明の樹脂組成物の結晶化速度、該樹脂組成物からなる成形体の耐熱性及び成形性をさらに向上する観点から、結晶核剤を含有することが好ましい。よって、本発明の樹脂組成物としては、前記エステル化合物、脂肪族ポリエステル、及び結晶核剤を含有するものが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、耐久性、耐加水分解性を向上させる観点から、さらに加水分解抑制剤を含有することができる。よって、本発明の樹脂組成物としては、前記エステル化合物、脂肪族ポリエステル、及び加水分解抑制剤を含有するものが好ましく、前記エステル化合物、脂肪族ポリエステル、結晶核剤、及び加水分解抑制剤を含有するものがより好ましい。加水分解抑制剤としては、ポリカルボジイミド化合物やモノカルボジイミド化合物等のカルボジイミド化合物が挙げられ、樹脂組成物の耐久性、耐衝撃性を向上させる観点からポリカルボジイミド化合物が好ましく、樹脂組成物の耐久性、成形性(流動性)を向上させる観点から、モノカルボジイミド化合物が好ましい。また、樹脂組成物からなる成形体の耐久性、耐衝撃性、成形性をより向上させる観点から、モノカルボジイミドとポリカルボジイミドを併用することが好ましい。
無機充填剤としては、通常熱可塑性樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維及び硼素繊維などの繊維状無機充填剤、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、有機変性ベントナイト、有機変性モンモリロナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト及び白土などの板状や粒状の無機充填剤が挙げられる。これらの無機充填剤の中では、炭素繊維、ガラス繊維、ワラステナイト、マイカ、タルク及びカオリンが好ましい。また、繊維状充填剤のアスペクト比は5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。
有機充填剤としては、通常熱可塑性樹脂の強化に用いられるチップ状、繊維状、板状、粉末状のものを用いることができる。具体例としては、籾殻、木材チップ、おから、古紙粉砕材、衣料粉砕材などのチップ状のもの、綿繊維、麻繊維、竹繊維、木材繊維、ケナフ繊維、ジュート繊維、バナナ繊維、ココナッツ繊維などの植物繊維もしくはこれらの植物繊維から加工されたパルプやセルロース繊維及び絹、羊毛、アンゴラ、カシミヤ、ラクダなどの動物繊維などの繊維状のもの、パルプ粉、紙粉、木粉、竹粉、セルロース粉末、籾殻粉末、果実殻粉末、キチン粉末、キトサン粉末、タンパク質、澱粉などの粉末状のものが挙げられ、成形性の観点から、紙粉、木粉、竹粉、セルロース粉末、ケナフ粉末、籾殻粉末、果実殻粉末、キチン粉末、キトサン粉末、タンパク質粉末、澱粉などの粉末状のものが好ましく、紙粉、木粉、竹粉、セルロース粉末、ケナフ粉末がより好ましい。また靱性向上の観点から、振動ロッドミル、ビーズミル等で、セルロースを非晶化した粉末の有機充填剤を用いることが好ましい。
難燃剤としては、テトラブロムビスフェノール-A-エポキシオリゴマー、テトラブロムビスフェノール-A-カーボネートオリゴマー、ブロム化エポキシ樹脂等の臭素又は塩素を含有するハロゲン系化合物、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛等の無機系難燃剤、シリコーン樹脂、シリコーンオイル等のシリコーン系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機水和物(物性の観点からシランカップリング剤、なかでもイソシアネートシランで表面処理されていることが好ましい)、リン酸トリアリールイソプロピル化物、縮合リン酸エステル、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ホスファーゼン化合物等のリン化合物、及びメラミンシアヌレート等の含窒素化合物などが挙げられる。安全性の観点から、無機水和物又はリン化合物が好ましく、物性の観点から無機水和物とリン化合物の併用が好ましい。難燃剤の含有量は、脂肪族ポリエステル100重量部に対して、10~60重量部が好ましく、15~50重量部がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、強度、耐熱性、耐衝撃性等の物性向上の観点から、高強度有機合成繊維を含有することができる。高強度有機合成繊維の具体例としては、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、PBO繊維等が挙げられ、耐熱性を向上させる観点からアラミド繊維が好ましい。高強度有機合成繊維の含有量は、脂肪族ポリエステル100重量部に対して、3~20重量部が好ましく、5~10重量部がより好ましい。
相溶化剤(1):エチレン/酢酸ビニル共重合体
相溶化剤(2):エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体
相溶化剤(3):酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基、及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基(置換基)を有するポリオレフィン系樹脂
相溶化剤(4):酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基、及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基(置換基)を有するアクリル系樹脂又はスチレン系樹脂
相溶化剤(5):ポリエステル系樹脂、ならびに
相溶化剤(6):アイオノマー樹脂
からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。具体的には、住友化学工業社製「ボンドファースト 7M、7B、2C」(エポキシ基を有するポリエチレン樹脂)、東亞合成社製「ARUFON」(エポキシ基を有するアクリル系樹脂又はスチレン系樹脂)、DIC社製「プラメート PD-350」(PLA-脂肪族ポリエステル共重合体)等を好適に用いることができる。
(工程1-1) (2)ジカルボン酸と(1)一価アルコールのエステル化反応を行ってジカルボン酸エステルを合成する工程
(工程1-2) 工程1-1で得られたジカルボン酸エステルと(3)二価アルコールとのエステル交換反応を行って、カルボン酸エステルを含み、酸価が1.00mgKOH/g以下、水酸基価が5.0mgKOH/g以下、数平均分子量が300~700であるエステル化合物を得る工程
(工程1-3) 工程1-2で得られたエステル化合物と脂肪族ポリエステルとを溶融混練する工程
(工程2-1) (1)一価アルコール、(2)ジカルボン酸、及び(3)二価アルコールを一括反応させて、カルボン酸エステルを含み、酸価が1.00mgKOH/g以下、水酸基価が5.0mgKOH/g以下、数平均分子量が300~700であるエステル化合物を得る工程
(工程2-2) 工程2-1で得られたエステル化合物と脂肪族ポリエステルとを溶融混練する工程
重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記の測定条件で測定する。
<測定条件>
カラム:GMHHR-H+GMHHR-H
カラム温度:40℃
検出器:RI
溶離液:クロロホルム
流速:1.0mL/min
サンプル濃度:1mg/mL
注入量:0.1mL
換算標準:ポリスチレン
光学純度は、「ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準 第3版改訂版 2004年6月追補 第3部 衛生試験法 P12-13」記載のD体含有量の測定方法に従って、下記の測定条件で測定する。具体的には、精秤したポリ乳酸に水酸化ナトリウム/メタノールを加え、65℃に設定した水浴振とう器にセットして、樹脂分が均一溶液になるまで加水分解を行い、さらに加水分解が完了したアルカリ溶液に希塩酸を加え中和し、その分解溶液を純水にて定容した後、一定容量をメスフラスコに分液して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)移動相溶液により希釈し、pHが3~7の範囲になるように調整してメスフラスコに定容、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過し、この調整溶液をHPLCにてD-乳酸、L-乳酸を定量することによってポリ乳酸の光学純度を求める。
<HPLC測定条件>
カラム :光学分割カラム
スミキラルOA6100(46mmφ×150mm、5μm)、住化分析センター社製
プレカラム:光学分割カラム
スミキラルQA6100(4mmφ×10mm、5μm)、住化分析センター社製
カラム温度:25℃
移動相 :2.5%メタノール含有1.5mM硫酸銅水溶液
移動相流量:1.0mL/分
検出器 :紫外線検出器(UV254nm)
注入量 :20μL
ポリ乳酸樹脂の融点は、JIS-K7121に基づく示差走査熱量測定(DSC、パーキンエルマー社製、ダイアモンドDSC)の昇温法による結晶融解吸熱ピーク温度より求められる。融点の測定は、昇温速度10℃/分で20℃から250℃まで昇温して行う。
酸価:滴定溶媒としてトルエン/エタノール=2/1(体積比)を用いる他は、JIS K 0070の試験法に従って分析を行う。
水酸基価:アセチル化試薬として無水酢酸/ピリジン=1/4(体積比)を用い、添加量を3mLとする他は、JIS K 0070の試験法に従って分析を行う。
ケン化価:水浴の温度を95℃に、加熱温度を1時間にする他は、JIS K 0070の試験法に従って分析を行う。
分子量:本明細書においてエステル化合物、可塑剤の分子量とは数平均分子量を意味し、酸価、水酸基価、及びケン化価から次式により算出する。
平均分子量 M=(M1+M2-M3×2)×n+M1-(M3-17.01)×2+(M3-17.01)×p+(M2-17.01)×q+1.01×(2-p-q)
q=水酸基価×M÷56110
2-p-q=酸価×M÷56110
平均重合度 n=ケン化価×M÷(2×56110)-1
末端アルキルエステル化率:分子末端のアルキルエステル化率(末端アルキルエステル化率)は以下の式より算出することができ、分子末端のアルキルエステル化率は数値が大きいほうが、遊離のカルボキシル基や水酸基が少なく、分子末端が十分にアルキルエステル化されていることを示す。
末端アルキルエステル化率(%)=(p÷2)×100
ただし、M1:ニ塩基酸エステルの分子量
M2:二価アルコールの分子量
M3:一価アルコールの分子量
p:一分子中の末端アルキルエステル基の数
q:一分子中の末端水酸基の数
エーテル基価:以下の式より、エステル化合物、可塑剤1g中のエーテル基のミリモル(mmol)数であるエーテル基価を算出する。
エーテル基価(mmol/g)=(m-1)×n×1000÷M
ただし、m:オキシアルキレン基の平均の繰り返し数(m-1は二価アルコール一分子中のエーテル基の数を表す)
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にジエチレングリコール999g(9.41モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液23.6g(ナトリウムメトキシド0.122モル)を入れ、常圧(101.3kPa)、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)4125g(28.2モル)を3時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を2時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液4.4g(ナトリウムメトキシド0.023モル)を添加して、100℃で、圧力を2時間かけて常圧から2.9kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)41gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を4時間かけて70℃から190℃に上げ、残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体(エステル化合物A)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.51モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管付き)にコハク酸334g(2.83モル)、ジエチレングリコール100g(0.94モル)、メタノール242g(7.55モル)、及びパラトルエンスルホン酸一水和物6.8g(0.036モル)を入れ、1時間かけて72℃から140℃に昇温し、留分を除去した。得られた反応物を60℃に冷却してメタノール242g(7.55モル)を添加し、同様に留分を除去する操作を3回繰り返した後、圧力2.7kPa、103℃で留分7.8gを除去した。次いで、キョーワード500SH(協和化学工業社製)16gを添加し、圧力2.5kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を0.5時間かけて66℃から190℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温淡黄色の液体(エステル化合物B)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸100モルに対して1.27モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にジエチレングリコール363g(3.42モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液6.6g(ナトリウムメトキシド0.034モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)1000g(6.84モル)を3時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を1.5時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.8g(ナトリウムメトキシド0.030モル)を添加して、100℃で、圧力を2時間かけて常圧から2.9kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)18gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を1時間かけて70℃から190℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体(エステル化合物C)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.94モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にトリエチレングリコール342g(2.28モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液4.4g(ナトリウムメトキシド0.023モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)1000g(6.84モル)を3時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却して、圧力を2時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液3.8g(ナトリウムメトキシド0.020モル)を添加して、100℃で、圧力を3時間かけて常圧から2.9kPaまで徐々に下げて、メタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)12gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を1時間かけて70℃から165℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体(エステル化合物D)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.63モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に1,3-プロパンジオール86.8g(1.14モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液2.2g(ナトリウムメトキシド0.011モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)500g(3.42モル)を2時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を2時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液2.0g(ナトリウムメトキシド0.010モル)を添加し、100℃で、圧力を3時間かけて常圧から2.9kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)6gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力4.5kPaで、温度を1時間かけて114℃から194℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体(エステル化合物E)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.61モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に1,2-プロパンジオール260g(3.42モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液4.2g(ナトリウムメトキシド0.022モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)1500g(10.26モル)を1時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を2時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液3.7g(ナトリウムメトキシド0.019モル)を添加して、115℃で、圧力を2時間かけて常圧から5.1kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)6gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.8kPaで、温度を2時間かけて95℃から133℃に上げて、残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体(エステル化合物F)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.40モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にジエチレングリコール203g(1.91モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.5g(ナトリウムメトキシド0.029モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、アジピン酸ジメチル(和光純薬工業社製)1000g(5.74モル)を2時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留出させた。次に、75℃に冷却し、圧力を2時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液3.7g(ナトリウムメトキシド0.019モル)を添加して、100℃で、圧力を2時間かけて常圧から2.4kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)14gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を1時間かけて70℃から190℃に上げて残存アジピン酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体(エステル化合物G)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.84モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にネオペンチルグリコール263.5g(2.53モル)、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)1500g(4.05モル)、及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.6g(ナトリウムメトキシド0.029モル)を入れ、圧力3.7kPa、120℃で1.5時間反応させながら、反応により生じる2-エチルヘキサノールを留去させた。次に、75℃に冷却後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液3.0g(ナトリウムメトキシド0.016モル)を添加し、圧力0.4kPaで、温度を1時間かけて92℃から160℃に上げて、2-エチルヘキサノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)19gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を2時間かけて166℃から214℃に上げて残存アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)504gを留去し、常温黄色の液体(エステル化合物H)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して1.11モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、ディーンスタルク装置、窒素吹き込み管付き)に2-エチルヘキサノール(関東化学社製)2515g(19.3モル)、コハク酸(和光純薬工業社製)877g(7.43モル)、及びパラトルエンスルホン酸一水和物(和光純薬工業社製)14.1g(0.0742モル)を入れ、圧力16kPa、80℃の状態から圧力12kPa、90℃の状態まで、7時間かけて反応を行い、水を留出させた。その後、キョーワード500SH(協和化学工業社製)32gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に仕込み、圧力0.7kPa、95℃の状態から圧力0.5kPa、185℃の状態にして残存2-エチルヘキサノールを留去した後、再び、キョーワード500SHを16g添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行って、コハク酸ビス(2-エチルヘキシル)を得た。次に、4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に、このコハク酸ビス(2-エチルヘキシル)467g(1.36モル)、ジエチレングリコール250g(2.36モル)、及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液2.2g(ナトリウムメトキシド0.011モル)を入れ、110℃で、圧力を45分間かけて2.7kPaから0.9kPaに徐々に下げて、反応により生じる2-エチルヘキサノールを留去した。80℃まで冷却した後、再び、コハク酸ビス(2-エチルヘキシル)1953g(5.70モル)、28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.0g(ナトリウムメトキシド0.026モル)を添加し、5.5時間かけて110℃、0.8kPaの状態から158℃、0.4kPaの状態まで、昇温しながら圧力を徐々に下げて、反応により生じる2-エチルヘキサノールを留去した。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)10.5gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を4.5時間かけて178℃、0.3kPaの状態から220℃、0.1kPaの状態まで、昇温しながら圧力を徐々に下げて、残存コハク酸ビス(2-エチルヘキシル)を留去し、常温黄色の液体(エステル化合物I)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.53モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、ディーンスタルク装置、窒素吹き込み管付き)に1-ブタノール(和光純薬工業社製)1700g(22.9モル)、コハク酸(和光純薬工業社製)1042g(8.82モル)、及びパラトルエンスルホン酸一水和物(和光純薬工業社製)16.8g(0.0882モル)を入れ、74℃で、圧力を6.5時間かけて15.2kPaから6.9kPaまで徐々に下げて水を留去した。その後、キョーワード500SH(協和化学工業社製)28gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に仕込み、圧力4.9kPa、75℃の状態から圧力2.7kPa、159℃の状態まで1時間かけて残存1-ブタノールを留去した後、圧力2.7kPaで、159℃から162℃まで蒸留を行って、コハク酸ジブチルを得た。一方、4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にジエチレングリコール461g(4.34モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液9.8g(ナトリウムメトキシド0.051モル)を入れ、圧力3.6kPa、84℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、圧力2.7kPa、90℃で前記コハク酸ジブチル3000g(13.0モル)を3時間かけて滴下し、反応により生じる1-ブタノールを留去した。次に、130℃に昇温し、圧力を1時間かけて常圧から0.4kPaまで徐々に下げて1-ブタノールを留去した後、常圧にもどして80℃まで冷却し、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液2.5g(ナトリウムメトキシド0.013モル)を添加して、130℃で、圧力を1時間かけて2.7kPaから0.4kPaまで徐々に下げて1-ブタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)18gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.3kPaで、温度を2時間かけて112℃から180℃に上げ、残存コハク酸ジブチルを留去し、常温黄色の液体(エステル化合物J)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.49モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にジエチレングリコール369g(3.47モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.6g(ナトリウムメトキシド0.029モル)を入れ、圧力3.6kPa、84℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、圧力2.7kPa、79℃で製造例10と同様にして得られたコハク酸ジブチル1600g(6.95モル)を2.5時間かけて滴下し、反応により生じる1-ブタノールを留去した。次に、常圧にもどした後、28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液2.1g(ナトリウムメトキシド0.011モル)を添加し、1.5時間かけて85℃、2.1kPaの状態から146℃、1.1kPaの状態まで、徐々に昇温、減圧して、反応により生じる1-ブタノールを留出させた。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)11gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行い、常温黄色の液体(エステル化合物K)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.58モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にテトラエチレングリコール665g(3.42モル)、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)1000g(6.84モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液7.0g(ナトリウムメトキシド0.036モル)を入れ、1時間かけて、常圧、29℃の状態から16kPa、94℃の状態に、減圧、昇温して、メタノールを留去した。さらに、コハク酸ジメチル500g(3.42モル)を添加し、5kPa、90℃で15分間、メタノールを留去した。その後、28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液4.0g(ナトリウムメトキシド0.021モル)を入れ、2時間かけて、10kPa、79℃の状態から2kPa、85℃の状態に減圧、昇温し、メタノールを留去した。その後、キョーワード600S(協和化学工業社製)16gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.53kPaで、温度を2時間かけて85℃から198℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体(エステル化合物L)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.55モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に1,4-ブタンジオール308g(3.42モル)、及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液7.2g(ナトリウムメトキシド0.037モル)を入れ、常圧(101.3kPa)、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)1500g(10.26モル)を3時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、75℃に冷却し、圧力を2時間かけて常圧から6.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した後、常圧にもどし、さらに、触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液2.5g(ナトリウムメトキシド0.013モル)を添加して、100℃で、圧力を2時間かけて常圧から2.9kPaまで徐々に下げてメタノールを留出させた。その後、キョーワード600S(協和化学工業社製)14gを添加し、圧力4.0kPa、90℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.53kPaで、温度を2時間かけて85℃から180℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄白色の固体(エステル化合物M)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.49モルであった。
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)に1,3-プロパンジオール521g(6.84モル)及び触媒として28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.9g(ナトリウムメトキシド0.031モル)を入れ、常圧、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留去した。その後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)1500g(10.26モル)を1時間かけて滴下し、常圧、120℃で、反応により生じるメタノールを留去した。次に、60℃に冷却し、28重量%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液5.6g(ナトリウムメトキシド0.029モル)を入れ、2時間かけて120℃に昇温した後、圧力を1時間かけて常圧から3.7kPaまで徐々に下げてメタノールを留去した。その後、80℃に冷却してキョーワード600S(協和化学工業社製)18gを添加し、圧力4.0kPa、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力0.1kPaで、温度を2.5時間かけて85℃から194℃に上げて残存コハク酸ジメチルを留去し、常温黄色の液体(エステル化合物N)を得た。なお、触媒の使用量は、ジカルボン酸エステル100モルに対して0.58モルであった。
ポリ乳酸樹脂組成物として、表3~5に示す組成物原料を、2軸押出機(池貝鉄工社製、PCM-45)にて、回転数100r/min、溶融混練温度190℃で溶融混練し、ストランドカットを行い、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットは、70℃減圧下で1日乾燥し、水分量を500ppm以下とした。このペレットを、シリンダー温度を200℃とした射出成形機(日本製鋼所製、J75E-D)を用いて、金型温度80℃、冷却時間45秒で射出成形して、成形体〔平板状試験片(70mm×40mm×3mm)、角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)〕を得た。
実施例1において、ポリ乳酸樹脂の代わりにポリブチレンサクシネートを用いる以外は実施例1と同様にして、表4に示す組成物原料を用いて樹脂組成物のペレットを調製後、乾燥して水分量を500ppm以下とした。このペレットを、シリンダー温度を200℃とした射出成形機を用いて、金型温度30℃、冷却時間45秒で射出成形して、成形体〔平板状試験片(70mm×40mm×3mm)、角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)〕を得た。
実施例1で得られた溶融混練後のポリ乳酸樹脂組成物ペレットと、ポリプロピレン及び相溶化剤とを表4に示す組成比で、2軸押出機の回転数を100r/minから500r/minに変更する以外は、実施例1と同様にして溶融混練して、樹脂組成物のペレットを調製後、乾燥して水分量を500ppm以下とした。このペレットを、シリンダー温度を200℃とした射出成形機を用いて、金型温度80℃、冷却時間45秒で射出成形して、成形体〔平板状試験片(70mm×40mm×3mm)、角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)〕を得た。
<脂肪族ポリエステル>
*1:ポリ乳酸樹脂、ネイチャーワークスLLC社製、ポリ-L-乳酸、NatureWorks 4032D、光学純度98.5%、融点160℃、重量平均分子量141000、残存モノマー1200ppm
*8:ポリブチレンサクシネート、昭和高分子社製、ビオノーレ 1001
<その他の樹脂>
*9:ポリプロピレン、日本ポリプロ社製、BC03B
<エステル化合物>
エステル化合物A~N:表1~2に記載のもの
<可塑剤>
*2:メトキシPEG-400、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、東邦化学社製、酸価0.08mgKOH/g、水酸基価142.4mgKOH/g、数平均分子量390、エーテル基価20.9mmol/g
*3:メトキシPEG-1000、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、東邦化学社製、酸価0.15mgKOH/g、水酸基価56.6mgKOH/g、数平均分子量990、エーテル基価22.0mmol/g
<結晶核剤>
*4:エコプロモート、無置換のフェニルホスホン酸亜鉛塩、日産化学工業社製
*5:スリパックスH、エチレンビス12-ヒドロキシステアリン酸アミド、日本化成社製
<加水分解抑制剤>
*6:スタバクゾールI-LF、Rhein Chemie社製
<無機充填剤>
*7:ミクロンエースP-6、日本タルク社製
<相溶化剤>
*10:Bondfast 20C、住友化学社製
ジーエルサイエンス社製の10Lサンプリングバッグ(洗浄済みテドラーバッグ)に樹脂組成物の平板状試験片(70mm×40mm×3mm)3枚を入れ、バッグ内の空気を窒素で3回置換した後、ガスメータを用いて正確に3Lの窒素を入れて密封し、65℃、2h恒温槽に保存した。室温(25℃)まで冷却した後、サンプリングポンプを用いて0.5L/minの速度で、内部の気体を和光純薬工業社製の2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)含浸シリカゲルカートリッジ(Presep-C DNPH)に通過させた。次に、この内部の気体を含んだカートリッジを取り外し、アセトニトリルを1.5mL/minの速度で注入し、捕集した内容物を5mLメスフラスコに溶出させ、メスアップした。この溶出物を以下の条件で高速液体クロマトグラフ分析(HPLC)し、和光純薬工業社製の6種アルデヒド-DNPH混合標準溶液から予め作成しておいた検量線を適用して、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドを定量し、試験片から発生した各々のアルデヒドの量を算出した(μg/80cm2換算)。数値が低い方がアルデヒド発生量が少なく、優れている。
<HPLC測定条件>
HPLCカラム:Waters社製、Symmetry C18、4.6×150mm
温度:40℃
移動相:グラジエント分析 〔A液〕水
〔B液〕アセトニトリル
時間(min) %B
0 40
8 66
8.5 100
17 100
検出器:UV360nm
注入量:20μL
角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)について、JIS K7203に基づいて、テンシロン(オリエンテック社製、テンシロン万能試験機 RTC-1210A)を用いて、クロスヘッド速度を3mm/minに設定して曲げ試験を行い、曲げ弾性率を求めた。曲げ弾性率は、低いほうが柔軟性に優れていることを示す。
角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)について、JIS K7191に基づいて、熱変形温度測定機(東洋精機製作所製、B-32)を使用して、荷重1.80MPaにおいて0.25mmたわむときの温度を熱変形温度(℃)として測定した。熱変形温度が高い方が耐熱性に優れていることを示す。
樹脂組成物の平板状試験片(70mm×40mm×3mm)を25℃、相対湿度60%の部屋に28日間放置し、目視及び手触り感によりブリード性を以下の3段階で評価した。
3:ブリードが認められない
2:わずかにブリードが認められる
1:明らかにブリードが認められる
Claims (16)
- 下記(1)~(3)を用いて得られるカルボン酸エステルを含み、酸価が1.00mgKOH/g以下、水酸基価が5.0mgKOH/g以下、数平均分子量が300~700であるエステル化合物と、脂肪族ポリエステルとを含有してなる、樹脂組成物。
(1)炭素数が1~4のアルキル基を有する一価アルコール
(2)炭素数が2~4のアルキレン基を有するジカルボン酸
(3)炭素数が2~6のアルキレン基を有する二価アルコール - エステル化合物の酸価が0.05mgKOH/g以上、1.00mgKOH/g以下であり、水酸基価が0.1mgKOH/g以上、5.0mgKOH/g以下である、請求項1記載の樹脂組成物。
- エステル化合物のエーテル基価が0~8mmol/gである、請求項1又は2記載の樹脂組成物。
- エステル化合物の数平均分子量が300~600である、請求項1~3いずれか記載の樹脂組成物。
- 炭素数が1~4のアルキル基を有する一価アルコールが、メタノール及びエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでなる、請求項1~4いずれか記載の樹脂組成物。
- 炭素数が2~4のアルキレン基を有するジカルボン酸が、コハク酸、グルタル酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでなる、請求項1~5いずれか記載の樹脂組成物。
- 炭素数が2~6のアルキレン基を有する二価アルコールが、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、及び1,3-プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでなる、請求項1~6いずれか記載の樹脂組成物。
- エステル化合物を脂肪族ポリエステル100重量部に対して1~50重量部含有する、請求項1~7いずれか記載の樹脂組成物。
- 脂肪族ポリエステルがポリ乳酸樹脂を含んでなる、請求項1~8いずれか記載の樹脂組成物。
- さらに、結晶核剤を脂肪族ポリエステル100重量部に対して0.05~5重量部含有する、請求項1~9いずれか記載の樹脂組成物。
- 請求項1~10いずれか記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体。
- 以下の工程を含む、請求項1~10いずれか記載の樹脂組成物の製造方法。
(工程1-1) 請求項1に記載のジカルボン酸と請求項1に記載の一価アルコールのエステル化反応を行ってジカルボン酸エステルを合成する工程
(工程1-2) 工程1-1で得られたジカルボン酸エステルと請求項1に記載の二価アルコールとのエステル交換反応を行って、カルボン酸エステルを含み、酸価が1.00mgKOH/g以下、水酸基価が5.0mgKOH/g以下、数平均分子量が300~700であるエステル化合物を得る工程
(工程1-3) 工程1-2で得られたエステル化合物と脂肪族ポリエステルとを溶融混練する工程 - 工程1-1において、一価アルコールとジカルボン酸のモル比(一価アルコール/ジカルボン酸)が2/1~20/1である、請求項12記載の製造方法。
- 工程1-2において、ジカルボン酸エステルと二価アルコールのモル比(ジカルボン酸エステル/二価アルコール)が1.1/1~15/1である、請求項12又は13記載の製造方法。
- 以下の工程を含む、請求項1~10いずれか記載の樹脂組成物の製造方法。
(工程2-1) 請求項1に記載の一価アルコール、請求項1に記載のジカルボン酸、及び請求項1に記載の二価アルコールを一括反応させて、カルボン酸エステルを含み、酸価が1.00mgKOH/g以下、水酸基価が5.0mgKOH/g以下、数平均分子量が300~700であるエステル化合物を得る工程
(工程2-2) 工程2-1で得られたエステル化合物と脂肪族ポリエステルとを溶融混練する工程 - 工程2-1において、ジカルボン酸と、一価アルコール、二価アルコールのモル比(ジカルボン酸/一価アルコール/二価アルコール)が1.1/1.1/1~15/100/1である、請求項15記載の製造方法。
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