WO2011121735A1

WO2011121735A1 - 貨幣移送システム、貨幣移送システムの貨幣移送方法及び貨幣処理装置用搬送カセット

Info

Publication number: WO2011121735A1
Application number: PCT/JP2010/055725
Authority: WO
Inventors: 土井　一宏; 稔東山; 健一田頭; 敬重中川
Original assignee: グローリー株式会社
Priority date: 2010-03-30
Filing date: 2010-03-30
Publication date: 2011-10-06
Also published as: EP2555172A1; EP2555172B1; EP2555172A4

Abstract

　出納機（１３）と、釣銭機（１２）と、出納機及び釣銭機双方に対して着脱可能とし、釣銭機から出納機へ移送する紙幣を収納する搬送カセット(１６)とを有する貨幣移送システムであって、紙幣の金種区分及び正損区分を識別する釣銭機側の識別部（２３）と、識別部の識別結果に基づき、搬送カセットに収納された紙幣毎の金種区分及び正損区分を管理する収納内訳情報を作成する釣銭機側の情報作成部（４５）と、収納内訳情報を取得すると、この収納内訳情報に基づき、当該搬送カセットに収納された各貨幣の金種区分及び正損区分を認識する出納機側の認識部（７６）とを有し、出納機側の紙幣識別の処理負担を大幅に軽減する。

Description

貨幣移送システム、貨幣移送システムの貨幣移送方法及び貨幣処理装置用搬送カセット

　本発明は、移送元貨幣処理装置及び移送先貨幣処理装置間、例えば、店舗内の釣銭機及び出納機間で貨幣を移送する貨幣移送システム、貨幣移送システムの貨幣移送方法及び貨幣処理装置用搬送カセットに関する。

　従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店やレストラン等のサービス店の精算所にあるＰＯＳ（Point　Of　Sales）レジスタ等のキャッシュレジスタに、硬貨入出金機及び紙幣入出金機等の釣銭機を接続したシステムが知られている（例えば、特許文献１参照）。

　特許文献１の釣銭機では、商品現金取引機能による商品代金の投入や釣銭紙幣の投出のみならず、銀行口座取引機能の引出サービスによる引出金や貸付サービスによる貸付金を顧客に投出できる。尚、商品現金取引機能とは、商品購入時に商品代金を現金で支払う現金決済機能に相当する。更に、銀行口座取引機能には、預金口座の引出や貸付と同時に商品代金を支払う際、その引出金や貸付金を外部に投出することなく、引出金額や貸付金額から商品代金を差し引いた代金をキャッシュアウト金として顧客に投出するサービスがある。

　銀行口座取引機能を備えた釣銭機では、例えば、５０００円の商品購入と同時に預金口座から３万円の預金を引き出す際、この引出金額３万円から商品代金５０００円を差し引いたキャッシュアウト金額２５０００円を顧客に投出する。

　その結果、特許文献１では、銀行口座取引機能を利用し、商品購入時に預金口座の引出金額から商品代金を差し引いたキャッシュアウト金額を投出するようにしたので、顧客は、預金を引き出しながら、その引出金額の一部を商品代金に充当できる。

　また、従来の釣銭機としては、入金紙幣の一部を釣銭紙幣として還流利用する機能を備えたものが知られている（例えば、特許文献２参照）。釣銭機は、入金紙幣を識別し、その入金紙幣が正券の場合、その入金紙幣をスタッカに収納する。また、釣銭機は、その入金紙幣が損傷度合の高い損券の場合、その入金紙幣をリジェクト収納部に収納する。

　その結果、特許文献２では、入金紙幣の識別結果に基づき、入金紙幣が正券の場合、その入金紙幣を釣銭紙幣として還流利用できると共に、入金紙幣が損券の場合、その入金紙幣を回収できる。

　また、流通店舗に配置された出納機は、紙幣の入金処理及び釣銭等の出金処理等の機能を備えている(例えば、特許文献３参照)。更に、出納機は、入金処理を通じて店舗内の売上金を回収する。そして、出納機で回収された店舗内の売上金は、回収業務を委託された現金配送会社によって現金処理センタに移送される。

　また、金融機関で使用する出納機としては、紙幣の正損区分を識別し、この識別結果に基づき、正券紙幣及び損券紙幣に分別して収納する機能が知られている(例えば、特許文献４参照)。この出納機では、正券紙幣を出金紙幣として流用し、損券紙幣を回収して出金紙幣としての流用を禁止している。

　また、流通店舗内の釣銭機及び出納機間での紙幣の搬送は手動で行われている。そこで、例えば、出納機から釣銭機へ貨幣を出金する際に通知される出金額と、その出金貨幣を釣銭機に入金した際に通知される入金額とを比較判定するシステムが知られている（例えば、特許文献５参照）。特許文献５のシステムでは、出金額と入金額とが同一額の場合に、釣銭機及び出納機間で正常な貨幣の入出金が行われたものと認識できる。

特開平１１－２５０３５０号公報（要約書及び段落００２４～００４９参照）特許第３２９５２８８号公報（請求項１及び図２参照）特許第３９８３９９２号公報（段落００４０及び図２参照）特許第３８０５４５８号公報（請求項１、段落００３７及び図１参照）特開２００５－２７５８０４(請求項１及び図１参照)

　欧州のユーロ圏においては、金融機関の金融取引、例えば、預金口座の引出サービスや貸付サービス等の銀行口座取引では、従来、ＥＣＢ第６条（Article　6　of　the　Council　Regulation　(EC)　No.1138/2001　of　28　June　2001）が適用されている。このＥＣＢ第６条では、金融機関の金融取引に際して、顧客への投出紙幣には正券紙幣を使用することが義務付けられている。また、近年、流通業界における釣銭機では、顧客に釣銭紙幣を投出する商品現金取引機能だけでなく、預金口座の引出サービスや貸付サービス等の銀行口座取引機能も利用できる。そこで、２０１１年からは金融機関の金融取引に限定することなく、流通市場での銀行口座取引においても、その投出紙幣は正券紙幣を使用することが義務付けられる可能性が高い。

　しかしながら、上記従来の釣銭機では、銀行口座取引での紙幣投出に際しては正券又は損券の区別なしに紙幣を投出しているため、２０１１年以降は銀行口座取引で損券紙幣を投出した場合にはＥＣＢ第６条の規定に違反することになる。

　しかも、ＥＣＢ第６条の規定を遵守するために、流通市場で使用する釣銭機では機内の正券保有枚数を増やす必要があるため、正券紙幣の需要増に伴って、流通市場から正券紙幣が不足して銀行口座取引のサービスが提供できなくなるといった事態も考えられる。

　そこで、このような流通市場の店舗内に配置した釣銭機の資金を管理する出納機においても、正券紙幣の需要増による正券紙幣の不足に対処すべく、機内の正券保有枚数を増やす必要がある。

　従って、今後、釣銭機及び出納機、すなわち、移送先及び移送元間での紙幣回収や紙幣補充に際しては、移送元から移送先へ正券及び損券が混在する混在紙幣を移送する機会が増える。しかしながら、移送先では、移送元から移送された混在紙幣の正損を認識するために、その混在紙幣の正損を再度識別する必要があるため、その処理負担は大きい。

　本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、移送元から移送先へ貨幣を移送した場合でも、貨幣識別の移送先側の処理負担を大幅に軽減できる貨幣移送システム、貨幣移送システムの貨幣移送方法及び貨幣処理装置用搬送カセットを提供することにある。

　上記目的を達成するために本発明の貨幣移送システムは、移送先貨幣処理装置と、移送元貨幣処理装置と、前記移送先貨幣処理装置及び前記移送元貨幣処理装置双方に対して着脱可能とし、前記移送元貨幣処理装置から前記移送先貨幣処理装置へ移送する貨幣を収納する搬送カセットとを有する貨幣移送システムであって、前記貨幣の金種区分及び、正券及び損券を区分する正損区分を識別する前記移送元貨幣処理装置側の識別部と、前記識別部の識別結果に基づき、前記搬送カセットに収納された貨幣毎の金種区分及び正損区分を管理する収納内訳情報を作成する前記移送元貨幣処理装置側の情報作成部と、前記情報作成部によって作成された前記搬送カセットの前記収納内訳情報を前記移送先貨幣処理装置に通知する通知部と、前記通知部によって通知された前記収納内訳情報を取得すると、この収納内訳情報に基づき、当該搬送カセットに収納された各貨幣の金種区分及び正損区分を認識する前記移送先貨幣処理装置側の認識部とを有するようにした。

　本発明の貨幣移送システムは、前記収納内訳情報が、前記搬送カセット内に収納する貨幣を識別するために、当該貨幣の収納位置を識別する収納位置識別情報を含む。

　本発明の貨幣移送システムは、前記収納内訳情報が、前記搬送カセット内に収納する貨幣を識別するために、当該貨幣の記番号情報を含む。

　本発明の貨幣移送システムは、前記搬送カセットが、特定金種の正券及び損券に区別して収納する、少なくとも２個の収納部を有するようにした。

　本発明の貨幣移送システムは、前記通知部が、前記移送先貨幣処理装置及び前記移送元貨幣処理装置間を通信接続するネットワーク経由で、前記搬送カセットの前記収納内訳情報を前記移送先貨幣処理装置に通知するようにした。

　本発明の貨幣移送システムは、前記通知部が、前記搬送カセットに備えた、前記収納内訳情報を記憶した記憶媒体経由で、当該搬送カセットの前記収納内訳情報を前記移送先貨幣処理装置に通知するようにした。

　本発明の貨幣移送システムは、前記移送先貨幣処理装置が、店舗内の出納機に相当し、前記移送元貨幣処理装置が、店舗内の釣銭機に相当するようにした。

　上記目的を達成するために本発明の貨幣移送システムの貨幣移送方法は、移送先貨幣処理装置と、移送元貨幣処理装置と、前記移送先貨幣処理装置及び前記移送元貨幣処理装置双方に対して着脱可能とし、前記移送元貨幣処理装置から前記移送先貨幣処理装置へ移送する貨幣を収納する搬送カセットとを有する貨幣移送システムの貨幣移送方法であって、前記貨幣の金種区分及び、正券及び損券を区分する正損区分を識別する前記移送元貨幣処理装置側の識別ステップと、前記識別ステップの識別結果に基づき、前記搬送カセットに収納された貨幣毎の金種区分及び正損区分を管理する収納内訳情報を作成する前記移送元貨幣処理装置側の情報作成ステップと、前記情報作成ステップによって作成された前記搬送カセットの前記収納内訳情報を前記移送先貨幣処理装置に通知する通知ステップと、前記通知ステップによって通知された前記収納内訳情報を取得すると、この収納内訳情報に基づき、当該搬送カセットに収納された各貨幣の金種区分及び正損区分を認識する前記移送先貨幣処理装置側の認識ステップとを含むようにした。

　また、本発明の貨幣搬送システムは、移送先貨幣処理装置と、移送元貨幣処理装置と、前記移送先貨幣処理装置及び前記移送元貨幣処理装置双方に対して着脱可能とし、前記移送元貨幣処理装置から前記移送先貨幣処理装置へ移送する貨幣を収納する搬送カセットとを有する貨幣移送システムであって、前記貨幣の金種区分及び、新券及び旧券を区分する新旧区分を識別する前記移送元貨幣処理装置側の識別部と、前記識別部の識別結果に基づき、前記搬送カセットに収納された貨幣毎の金種区分及び新旧区分を管理する収納内訳情報を作成する前記移送元貨幣処理装置側の情報作成部と、前記情報作成部によって作成された前記搬送カセットの前記収納内訳情報を前記移送先貨幣処理装置に通知する通知部と、前記通知部によって通知された前記収納内訳情報を取得すると、この収納内訳情報に基づき、当該搬送カセットに収納された各貨幣の金種区分及び新旧区分を認識する前記移送先貨幣処理装置側の認識部とを有するようにした。

　本発明の貨幣処理装置用搬送カセットは、移送先貨幣処理装置及び移送元貨幣処理装置双方に対して着脱可能にする装着インタフェースと、前記移送元貨幣処理装置から前記移送先貨幣処理装置へ移送する特定金種の貨幣を正券及び損券に区別して収納する、少なくとも２個の収納部とを有するようにした。

　本発明の貨幣移送システムは、移送先貨幣処理装置と、移送元貨幣処理装置と、前記移送先貨幣処理装置及び前記移送元貨幣処理装置双方に対して着脱可能とし、前記移送元貨幣処理装置から前記移送先貨幣処理装置へ移送する貨幣を収納する搬送カセットとを有する貨幣移送システムであって、前記移送先貨幣処理装置で管理する金種区分及び正損区分毎の保有貨幣の在高情報を取得する前記移送元貨幣処理装置側の在高情報取得部と、前記移送先貨幣処理装置の在高情報に基づき、前記移送先貨幣処理装置に補充する前記貨幣の補充内訳数を算出する前記移送元貨幣処理装置側の内訳算出部と、前記内訳算出部にて算出した前記補充内訳数に基づき、前記移送先貨幣処理装置に補充する貨幣を前記搬送カセット内に収納する前記移送元貨幣処理装置側の制御部とを有するようにした。

　本発明の貨幣移送システムは、前記内訳算出部が、前記移送先貨幣処理装置のキャッシュアウト機能の有無に基づき、前記移送先貨幣処理装置に補充する貨幣の補充内訳数を算出するようにした。

　本発明の貨幣移送システムは、前記貨幣の金種区分及び、正券及び損券を区分する正損区分を識別する前記移送元貨幣処理装置側の識別部と、前記識別部の識別結果に基づき、前記搬送カセットに収納された貨幣毎の金種区分及び正損区分を管理する収納内訳情報を作成する前記移送元貨幣処理装置側の情報作成部と、前記情報作成部によって作成された前記搬送カセットの前記収納内訳情報を前記移送先貨幣処理装置に通知する通知部と、前記通知部によって通知された前記収納内訳情報を取得すると、この収納内訳情報に基づき、当該搬送カセットに収納された各貨幣の金種区分及び正損区分を認識する前記移送先貨幣処理装置側の認識部とを有するようにした。

　本発明の貨幣移送システムは、前記移送先貨幣処理装置が、店舗内の釣銭機に相当し、前記移送元貨幣処理装置が、店舗内の出納機に相当するようにした。

　本発明の貨幣移送システムの貨幣移送方法は、移送先貨幣処理装置と、移送元貨幣処理装置と、前記移送先貨幣処理装置及び前記移送元貨幣処理装置双方に対して着脱可能とし、前記移送元貨幣処理装置から前記移送先貨幣処理装置へ移送する貨幣を収納する搬送カセットとを有する貨幣移送システムの貨幣移送方法であって、前記移送先貨幣処理装置で管理する金種区分及び正損区分毎の保有貨幣の在高情報を取得する前記移送元貨幣処理装置側の在高情報取得ステップと、前記移送先貨幣処理装置の在高情報に基づき、前記移送先貨幣処理装置に補充する前記貨幣の補充内訳数を算出する前記移送元貨幣処理装置側の内訳算出ステップと、前記内訳算出ステップにて算出した前記補充内訳数に基づき、前記移送先貨幣処理装置に補充する貨幣を前記搬送カセット内に収納する前記移送元貨幣処理装置側の制御ステップとを含むようにした。

　上記のように構成された本発明の貨幣移送システムでは、搬送カセットの収納内訳情報を移送元貨幣処理装置側で作成し、この作成した搬送カセットの収納内訳情報を移送先貨幣処理装置に通知する。更に、本発明の貨幣移送システムでは、移送先貨幣処理装置側で収納内訳情報を取得すると、収納内訳情報に基づき、当該搬送カセットに収納された各貨幣の金種区分及び正損区分を認識する。その結果、移送先貨幣処理装置では、搬送カセットに収納された各貨幣を識別しなくても、各貨幣の金種区分及び正損区分を認識できるため、その識別に要する処理負担を大幅に軽減できるという効果を奏する。

　本発明の貨幣移送システムでは、貨幣を識別するのに収納位置識別情報を収納内訳情報に含めるようにしたので、移送先貨幣処理装置は、収納位置識別情報に基づき、搬送カセット内の貨幣を識別できるという効果を奏する。

　本発明の貨幣移送システムでは、貨幣を識別するのに記番号情報を収納内訳情報に含めるようにしたので、移送先貨幣処理装置は、記番号情報に基づき、搬送カセット内の貨幣を識別できるという効果を奏する。

　本発明の貨幣移送システムでは、搬送カセットが少なくとも２個の収納部を有するので、特定金種の正券及び損券を区別して収納できるという効果を奏する。

　本発明の貨幣移送システムでは、搬送カセットの収納内訳情報をネットワーク経由で移送先貨幣処理装置に通知するようにしたので、移送先貨幣処理装置は、搬送カセットの収納内訳情報を取得できるという効果を奏する。

　本発明の貨幣移送システムでは、搬送カセットの収納内訳情報を記憶媒体経由で移送先貨幣処理装置に通知するようにしたので、移送先貨幣処理装置は、搬送カセットの収納内訳情報を取得できるという効果を奏する。

　本発明の貨幣移送システムでは、搬送カセットの収納内訳情報を釣銭機側で作成し、この作成した搬送カセットの収納内訳情報を出納機に通知する。更に、本発明の貨幣移送システムでは、出納機側で収納内訳情報を取得すると、収納内訳情報に基づき、当該搬送カセットに収納された各貨幣の金種区分及び正損区分を認識する。その結果、出納機では、搬送カセットに収納された各貨幣を識別しなくても、各貨幣の金種区分及び正損区分を認識できるため、その識別に要する処理負担を大幅に軽減できるという効果を奏する。

　上記のように構成された本発明の貨幣移送システムの貨幣移送方法では、搬送カセットの収納内訳情報を移送元貨幣処理装置側で作成し、この作成した搬送カセットの収納内訳情報を移送先貨幣処理装置に通知する。更に、本発明の貨幣移送方法では、移送先貨幣処理装置側で収納内訳情報を取得すると、収納内訳情報に基づき、当該搬送カセットに収納された各貨幣の金種区分及び正損区分を認識する。その結果、移送先貨幣処理装置では、搬送カセットに収納された各貨幣を識別しなくても、各貨幣の金種区分及び正損区分を認識できるため、その識別に要する処理負担を大幅に軽減できるという効果を奏する。

　本発明の貨幣移送システムでは、搬送カセットの収納内訳情報を移送元貨幣処理装置側で作成し、この作成した搬送カセットの収納内訳情報を移送先貨幣処理装置に通知する。更に、本発明の貨幣移送システムでは、移送先貨幣処理装置側で収納内訳情報を取得すると、収納内訳情報に基づき、当該搬送カセットに収納された各貨幣の金種区分及び新旧区分を認識する。その結果、移送先貨幣処理装置では、搬送カセットに収納された各貨幣を識別しなくても、各貨幣の金種区分及び新旧区分を認識できるため、その識別に要する処理負担を大幅に軽減できるという効果を奏する。

　本発明の貨幣処理装置用搬送カセットでは、移送先貨幣処理装置及び移送元貨幣処理装置双方に対して着脱可能とし、前記移送元貨幣処理装置から前記移送先貨幣処理装置へ移送する特定金種の貨幣を正券及び損券に区別して収納できるという効果を奏する。

　本発明の貨幣移送システムでは、移送先貨幣処理装置の在高情報を取得すると、この取得した在高情報に基づき、移送先貨幣処理装置に補充する貨幣の補充内訳数を算出する。更に、本発明の貨幣移送システムでは、算出した貨幣の補充内訳数に基づき、移送先貨幣処理装置に補充する貨幣を搬送カセット内に収納する。その結果、移送元貨幣処理装置は、移送先貨幣処理装置に補充すべき、金種区分及び正損区分毎の補充内訳数の貨幣を搬送カセットに自動的に収納できるという効果を奏する。

　本発明の貨幣移送システムでは、移送先貨幣処理装置のキャッシュアウト機能の有無に基づき、移送先貨幣処理装置に補充する貨幣の補充内訳数を算出するようにしたので、移送元貨幣処理装置は、キャッシュアウト機能の有無を考慮することで正券紙幣の補充有無を認識できるという効果を奏する。

　本発明の貨幣移送システムでは、補充貨幣を収納した搬送カセットの収納内訳情報を移送元貨幣処理装置側で作成し、この作成した搬送カセットの収納内訳情報を移送先貨幣処理装置に通知する。更に、本発明の貨幣移送システムでは、移送先貨幣処理装置側で収納内訳情報を取得すると、収納内訳情報に基づき、当該搬送カセットに収納された各補充貨幣の金種区分及び正損区分を認識する。その結果、移送先貨幣処理装置では、搬送カセットに収納された各補充貨幣を識別しなくても、各貨幣の金種区分及び正損区分を認識できるため、その識別に要する処理負担を大幅に軽減できるという効果を奏する。

　本発明の貨幣移送システムでは、移送先である釣銭機の在高情報を取得すると、この取得した在高情報に基づき、釣銭機に補充する貨幣の補充内訳数を算出する。更に、本発明の貨幣移送システムでは、算出した貨幣の補充内訳数に基づき、釣銭機に補充する貨幣を搬送カセット内に収納する。その結果、移送元である出納機は、釣銭機に補充すべき、金種区分及び正損区分毎の補充内訳数の貨幣を搬送カセットに自動的に収納できるという効果を奏する。

　本発明の貨幣移送システムの貨幣移送方法では、移送先貨幣処理装置の在高情報を取得すると、この取得した在高情報に基づき、移送先貨幣処理装置に補充する貨幣の補充内訳数を算出する。更に、本発明の貨幣移送システムでは、算出した貨幣の補充内訳数に基づき、移送先貨幣処理装置に補充する貨幣を搬送カセット内に収納する。その結果、移送元貨幣処理装置は、移送先貨幣処理装置に補充すべき、金種区分及び正損区分毎の補充内訳数の貨幣を搬送カセットに自動的に収納できるという効果を奏する。

図１は、実施例１の店舗内資金管理システムの構成を示すブロック図である。図２は、釣銭機の紙幣処理部の内部構成を示す説明図である。図３は、釣銭機の内部構成を示すブロック図である。図４は、釣銭機のサービス内容を示す説明図である。図５は、出納機の内部構成を示す説明図である。図６は、出納機の内部構成を示すブロック図である。図７は、釣銭機及び出納機間の搬送カセットの移送関係を示す説明図である。図８は、釣銭処理に関わる釣銭機の制御部の処理動作を示すフローチャートである。図９は、紙幣補充処理に関わる出納機の制御部の処理動作を示すフローチャートである。図１０は、収納内訳情報格納処理に関わる釣銭機の制御部の処理動作を示すフローチャートである。図１１は、収納内訳情報取得処理に関わる出納機の制御部の処理動作を示すフローチャートである。図１２は、実施例２の釣銭機の内部構成を示すブロック図である。図１３は、実施例２の出納機の内部構成を示すブロック図である。図１４は、紙幣補充処理に関わる出納機の制御部の処理動作を示すフローチャートである。図１５は、収納内訳情報格納処理に関わる出納機の制御部の処理動作を示すフローチャートである。図１６は、収納内訳情報取得処理に関わる釣銭機の制御部の処理動作を示すフローチャートである。図１７は、搬送カセット内部の構成を示す説明図である。

　以下、図面に基づき本発明の貨幣移送システム、貨幣移送システムの貨幣移送方法及び貨幣処理装置用搬送カセットに関わる実施例について詳細に説明する。

　まず、最初に本実施例の概要を説明するとすれば、その概要は、移送元貨幣処理装置及び移送先貨幣処理装置双方に着脱可能な搬送カセットを使用して移送元貨幣処理装置から移送先貨幣処理装置へ紙幣を移送する際に、搬送カセットに収納された貨幣の金種区分及び正損区分を含む収納内訳情報を移送先貨幣処理装置に通知する。その結果、移送先貨幣処理装置は、搬送カセットに収納された各貨幣を識別しなくても、各貨幣の金種区分及び正損区分を認識できるため、その識別に要する処理負担を大幅に軽減できるというものである。

　図１は、実施例１の店舗内資金管理システムの構成を示すブロック図である。図１に示す店舗内資金管理システム１は、ＰＯＳレジスタ１１、釣銭機１２、セルフレジユニット１１Ａ、出納機１３、ＡＴＭ機１４、回収機１５及び搬送カセット１６を有する。ＰＯＳレジスタ１１は、精算所に配置され、ＰＯＳ機能を利用して顧客の購入商品を管理すると共に、その購入商品の商品代金を精算する対面対応の有人レジスタに相当する。釣銭機１２は、ＰＯＳレジスタ１１に隣接配置し、ＰＯＳレジスタ１１等で精算した商品金額の現金を投入口から投入すると共に、商品金額から現金投入金額を差し引いた釣銭貨幣を投出口から投出する。尚、釣銭機１２には、釣銭貨幣の釣銭紙幣を投出する紙幣処理部１２Ａや、釣銭貨幣の釣銭硬貨を投出する硬貨処理部１２Ｂを有する。セルフレジユニット１１Ａは、精算所に配置され、顧客自らが精算を行えるように、前述のＰＯＳレジスタ１１、釣銭機１２及び不正防止用の計量装置等を一体的にシステム構成されたもので、顧客の購入商品を管理すると共に、その購入商品の商品代金を精算する無人精算ユニットに相当する。出納機１３は、店舗内の全釣銭機１２を通じて店舗内の現金資金を金種別及び正損別に管理する。ＡＴＭ機１４は、店舗内で銀行サービスを提供する現金自動払出機に相当する。回収機１５は、後述するが、例えば、店舗の入口に配置して来店した顧客の損券紙幣を回収し、その損券紙幣同額の正券紙幣を顧客に返却する。また、現金配送会社１７は、店舗からの配送依頼に応じて、出納機１３で管理する店舗内の現金資金の内、例えば、売上金を回収し、その回収した売上金を金融機関に配送する。更に、現金配送会社１７は、店舗からの配送依頼に応じて、金種別や正損別に店舗運用の準備金を店舗に配送する。

　図２は、釣銭機１２の紙幣処理部１２Ａの内部構成を示す説明図であり、以下、この紙幣処理部１２Ａを釣銭機１２として説明する。図３は、釣銭機１２の内部構成を示すブロック図である。図２に示す釣銭機１２は、投入口２１、搬送部２２、識別部２３、投出口２４、還流スタッカ２５、搬送カセット２６、リーダライタ２７及び制御部３３を有する。投入口２１は、釣銭機１２内に紙幣を投入する入口に相当する。搬送部２２は、搬送ベルト等で構成され、投入口２１、還流スタッカ２５、搬送カセット２６及び投出口２４間の搬送路上で紙幣を搬送する。尚、搬送路上の分岐箇所には、図示せぬ分岐部を配置し、図示せぬ検知センサを通じて紙幣の先端の進入を検知すると、図示せぬソレノイドが駆動することで搬送紙幣を振り分ける。

　識別部２３は、搬送路上に配置され、投入口２１から投入された紙幣の種別を識別する。尚、紙幣種別には、例えば、ユーロ紙幣の場合、５ユーロ、１０ユーロ、２０ユーロ、５０ユーロ、１００ユーロ、２００ユーロ及び５００ユーロの７種類の金種区分の他に、真券・偽券を識別する真偽区分、正券・損券を識別する正損区分がある。尚、正損区分は、ＥＣＢの規定による。更に、紙幣種別には、表裏を識別する表裏区分や、金種毎の新券・旧券を識別する刷版区分等がある。

　還流スタッカ２５は、指定金種毎に、投入口２１から投入された紙幣を収納すると共に、その収納された紙幣を投出口２４に投出する際に繰り出す。尚、還流スタッカ２５は、テープリール方式を採用して、１枚単位で紙幣をテープに巻付けながらリール２５Ａに収納する。図２に示す釣銭機１２の例では、合計５個の還流スタッカ２５を備えているものとする。

　搬送カセット２６は、回収対象の指定紙幣を回収する指定紙幣回収部２６Ａと、カセット表面に貼付され、後述する収納内訳情報を格納したＩＣタグ１６Ｃとを有する。尚、指定紙幣回収部２６Ａは、テープリール方式を採用している。投出口２４は、前述のように還流スタッカ２５から投出された紙幣の投出を行うと共に、投入口２４から投入された紙幣の識別結果に基づき、リジェクト対象の紙幣を釣銭機１２の外部に投出する。リーダライタ２７は、搬送カセット２６に貼付されたＩＣタグ１６Ｃに格納する収納内訳情報等をリードライトする。

　更に、図３に示す釣銭機１２は、通信インタフェース３１、記憶部３２及び制御部３３を有する。通信インタフェース３１は、ＰＯＳレジスタ１１と接続すると共に、図示せぬネットワーク経由で出納機１３と通信接続する。記憶部３２は、還流スタッカ２５や搬送カセット２６毎に、当該還流スタッカ２５及び搬送カセット２６内に収納された各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分を記憶管理する。更に、記憶部３２は、釣銭機１２内の金種別及び正損別の現在の在高情報を記憶管理する。

　制御部３３は、投出指示検出部４１、駆動制御部４２、記憶制御部４３、釣銭算出部４４及び情報作成部４５を有する。投出指示検出部４１は、商品現金取引に関わる取引金額対応の紙幣投出指示又は銀行口座取引に関わる取引金額対応の紙幣投出指示を検出する。尚、商品現金取引又は銀行口座取引は、図示せぬ操作部の所定操作に応じて起動する。

　釣銭算出部４４は、商品現金取引、すなわち現金決済の場合、商品購入に際して現金を投入口２１に投入し、現金投入金額から商品金額を差し引いた釣銭金額を算出する。ここで、図４により、釣銭機１２のサービス内容について説明する。図４（Ａ）に示すように、釣銭機１２は、現金投入金額が１００ユーロ、商品金額が２０ユーロとして現金決済する場合、８０ユーロの釣銭紙幣を投出口２４から投出することになるが、この場合は、正券であっても損券であっても良い。また、釣銭算出部４４は、銀行口座取引のキャッシュアウトサービス時に、商品購入に際して引出金額又は貸付金額から商品金額を差し引いたキャッシュアウト金額を算出する。図４（Ｂ）に示すように、釣銭機１２は、引出金額が１００ユーロ、商品金額が２０ユーロとしてデビット決済する場合、引出金額から商品金額を差し引いた８０ユーロのキャッシュアウト金額を正券紙幣として投出口２４から投出することになる。また、図４（Ｃ）に示すように、釣銭機１２は、例えば、引出サービスとして引出金額が１００ユーロの場合、引出金額を１００ユーロとして正券紙幣で投出口２４から投出することになる。

　駆動制御部４２は、銀行口座取引に関わる取引金額対応の紙幣の投出指示を検出すると、還流スタッカ２５に収納された銀行口座取引に関わる取引金額対応の正券紙幣を投出口２４から投出すべく、還流スタッカ２５及び搬送部２２を駆動制御する。尚、銀行口座取引では、引出サービス、貸付サービス及びキャッシュアウトサービスでも正券紙幣を投出することになるため、ＥＣＢ第６条の規定を遵守できる。

　駆動制御部４２は、商品現金取引に関わる取引金額対応の釣銭紙幣の投出指示を検出すると、還流スタッカ２５に収納された商品現金取引に関わる取引金額対応の損券紙幣を投出口２４から投出すべく、還流スタッカ２５及び搬送部２２を駆動制御する。

　記憶制御部４３は、識別部２３の識別結果に基づき、投入口２１から投入された紙幣を還流スタッカ２５又は搬送カセット２６に収納する場合、その収納位置毎に当該紙幣の金種区分及び正損区分を記憶部３２に記憶するものである。更に、記憶制御部４３は、釣銭機１２内に収納された全紙幣の金種区分及び正損区分を含む金種別及び正損別の現在の在高情報を記憶部３２内に記憶する。更に、情報作成部４５は、指定金種の紙幣を搬送カセット２６に収納した場合、当該搬送カセット２６に収納された各紙幣の収納位置、金種区分、正損区分及びレジ番号を含む収納内訳情報を作成する。更に、記憶制御部４３は、収納内訳情報を搬送カセット２６に貼付したＩＣタグに格納する。

　尚、還流スタッカ２５は、テープリール方式を採用して、正損区分に関係なく、指定金種の紙幣を収納している。従って、指定金種の正券紙幣又は損券紙幣のどちらか一方を指定して搬送部２２に繰り出すには時間を要する。例えば、還流スタッカ２５内に、図示せぬ収納口の直近位置から損券→正券→正券→正券→正券→損券→…の順に２０ユーロ紙幣が収納されたとする。この際、還流スタッカ２５から２０ユーロ紙幣の２枚の損券を繰り出す場合、駆動制御部４２は、１枚目の紙幣として損券を繰り出す。更に、駆動制御部４２は、２枚目～５枚目の紙幣として正券を順次繰り出し、これら正券を他の還流スタッカ２５に順次移送する。更に、駆動制御部４２は、６枚目の紙幣として損券を繰り出すことで、合計２枚の２０ユーロ紙幣の損券を繰り出したことになる。従って、２枚の２０ユーロ紙幣の損券を繰り出すのに合計６枚の紙幣を繰り出す必要がある。しかも、他の還流スタッカ２５に移送した４枚の正券は元の還流スタッカ２５に戻す必要があるため、時間を要する。

　そこで、駆動制御部４２は、還流スタッカ２５に収納された現金決済時の釣銭金額対応の損券紙幣を優先的に投出口２４から投出する場合でも、還流スタッカ２５から損券紙幣を繰り出すのに時間を要する場合、損券紙幣の代わりに、正券紙幣を投出口２４から投出すべく、還流スタッカ２５及び搬送部２２を駆動制御する。その結果、現金決済時の釣銭金額対応の紙幣を投出する処理負担を軽減しながら、その投出時間を大幅に短縮化できる。

　更に、駆動制御部４２は、還流スタッカ２５から損券紙幣を搬送部２２に繰り出すのに時間を要する場合、損券紙幣の代わりに、還流スタッカ２５に収納された損券紙幣同額の低額金種構成の損券紙幣を投出口２４から投出すべく、還流スタッカ２５及び搬送部２２を駆動制御する。尚、同額の低額金種構成の紙幣とは、例えば、４０ユーロの紙幣を投出する場合、通常金種構成なら２０ユーロ紙幣を２枚で賄うことになるが、低額金種構成なら１０ユーロ紙幣４枚や、２０ユーロ紙幣１枚、１０ユーロ紙幣２枚の金種構成等で賄うことになる。また、駆動制御部４２は、還流スタッカ２５から正券紙幣を搬送部２２に繰り出すのに時間を要する場合、正券紙幣の代わりに、還流スタッカ２５に収納された正券紙幣同額の低額金種構成の正券紙幣を投出口２４から投出すべく、還流スタッカ２５及び搬送部２２を駆動制御する。

　また、駆動制御部４２は、還流スタッカ２５に収納された現金決済時の釣銭金額対応の損券紙幣を優先的に投出口２４から投出するモードが設定された場合でも、現金決済に際して投入口２１から投入された紙幣が全て正券であった場合には、還流スタッカ２５に収納された当該商品現金取引に関わる取引金額対応の正券紙幣を投出口２４から投出すべく、還流スタッカ２５及び搬送部２２を駆動制御する。

　また、駆動制御部４２は、指定金種の損券紙幣を回収対象に指定した場合、還流スタッカ２５に収納された紙幣から損券紙幣を優先的に搬送カセット２６に搬送すべく、還流スタッカ２５及び搬送部２２を駆動制御する。尚、駆動制御部４２は、指定金種の正券紙幣を回収対象にした場合、同様に還流スタッカ２５に収納された紙幣から正券紙幣を優先的に搬送カセット２６に搬送する。尚、指定金種は複数金種であっても良いことは言うまでもない。

　また、駆動制御部４２は、回収対象として指定金種別枚数の損券紙幣を指定した場合、還流スタッカ２５に収納された指定金種の指定枚数分の損券紙幣を優先的に搬送カセット２６に搬送すべく、還流スタッカ２５及び搬送部２２を駆動制御する。尚、駆動制御部４２は、回収対象として指定金種別枚数の正券紙幣を指定した場合、還流スタッカ２５に収納された指定金種の指定枚数分の正券紙幣を優先的に搬送カセット２６に搬送する。

　また、駆動制御部４２は、回収対象として指定合計金額相当の損券紙幣を指定した場合、還流スタッカ２５に収納された指定合計金額分の損券紙幣を優先的に搬送カセット２６に搬送すべく、還流スタッカ２５及び搬送部２２を駆動制御する。尚、駆動制御部４２は、回収対象として指定合計金額相当の正券紙幣を指定した場合、還流スタッカ２５に収納された指定合計金額分の正券紙幣を優先的に搬送カセット２６に搬送する。

　また、駆動制御部４２は、回収対象として指定合計金額を超えた超過分の損券紙幣を指定した場合、還流スタッカ２５に収納された指定合計金額を超えた超過分の損券紙幣を優先的に搬送カセット２６に搬送すべく、還流スタッカ２５及び搬送部２２を駆動制御する。尚、駆動制御部４２は、回収対象として指定合計金額を超えた超過分の正券紙幣を指定した場合、還流スタッカ２５に収納された指定合計金額を超えた超過分の正券紙幣を優先的に搬送カセット２６に搬送する。

　また、駆動制御部４２は、回収対象として指定金種別枚数を超えた超過分の損券紙幣を指定した場合、還流スタッカ２５に収納された指定金種の指定枚数を超えた超過分の損券紙幣を優先的に搬送カセット２６に搬送すべく、還流スタッカ２５及び搬送部２２を駆動制御する。尚、駆動制御部４２は、回収対象として指定金種別枚数を超えた超過分の正券紙幣を指定した場合、還流スタッカ２５に収納された指定金種の指定枚数を超えた超過分の正券紙幣を優先的に搬送カセット２６に搬送する。

　また、駆動制御部４２は、搬送カセット２６に収納された紙幣を投出口２４及び還流スタッカ２５に搬送すべく、搬送カセット２６及び搬送部２２を駆動制御する。また、制御部３３は、搬送カセット２６に搬送すべき、回収対象の指定を、釣銭機１２又は出納機１３の図示せぬ操作部の指定操作で実行するものとする。また、釣銭機１２は、投入口２１への紙幣投入時に、当該投入紙幣が正券紙幣の場合、例えば、顧客会員カードに、正券紙幣の枚数に応じて特典ポイントを付与する機能を備えている。

　図５は、出納機１３の内部構成を示す説明図、図６は、出納機１３の内部構成を示すブロック図である。図５に示す出納機１３は、投入口５１、搬送部５２、識別部５３、投出口５４、還流スタッカ５５、搬送カセット５６(１６)、リーダライタ５７、操作・表示部５８及び制御部６３を有する。投入口５１は、出納機１３内に紙幣を投入する入口に相当する。搬送部５２は、搬送ベルト等で構成され、投入口５１、還流スタッカ５５及び搬送カセット５６間の搬送路上で紙幣を搬送する。尚、搬送路上の分岐箇所には、図示せぬ分岐部を配置し、図示せぬ検知センサを通じて紙幣の先端の進入を検知すると、図示せぬソレノイドが駆動することで搬送紙幣を振り分ける。

　還流スタッカ５５は、指定金種毎に９個備えられており、通常は指定金種毎に割り当てられているが、流通量の多い金種に２個の還流スタッカ５５を割り当てたり、キャッシュアウトの可能性の高い金種に正券専用の還流スタッカ５５を設定する等、任意に設定可能となっている。還流スタッカ５５は、投入口５１から投入された指定金種の投入紙幣を収納すると共に、その収納された紙幣を投出口５４に投出する際に繰り出す。尚、還流スタッカ５５は、テープリール方式を採用している。搬送カセット５６は、釣銭機１２の搬送カセット２６と同一タイプの装填インタフェースを備え、出納機１３は勿論のこと、釣銭機１２に対しても装填及び取外し可能である。更に、搬送カセット５６は、回収対象の指定紙幣を回収する指定紙幣回収部５６Ａと、カセット表面に貼付され、後述する収納内訳情報を格納したＩＣタグ１６Ｃとを有する。尚、釣銭機１２の搬送カセット２６は、搬送カセット５６と同一タイプの装填インタフェースを備え、出納機１３に対しても装填及び取外し可能である。リーダライタ５７は、搬送カセット５６（１６）に貼付されたＩＣタグ１６Ｃに格納する収納内訳情報等をリードライトする。操作・表示部５８は、タッチパネル式の操作・表示部に相当し、各種情報の入力及び表示を行う。

　図６に示す出納機１３は、搬送部５２及び識別部５３の他に、通信インタフェース６１、記憶部６２及び制御部６３を有する。通信インタフェース６１は、図示せぬネットワーク経由で各釣銭機１２と通信接続する。

　記憶部６２は、還流スタッカ５５や搬送カセット５６毎に、当該還流スタッカ５５及び搬送カセット５６内に収納された各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分を記憶管理する。更に、記憶部６２は、各釣銭機１２の金種別及び正損別の現在の在高情報を記憶管理する。制御部６３は、釣銭機１２が接続するＰＯＳレジスタ１１のレジ番号で、各釣銭機１２を識別管理する。

　制御部６３は、補充先指示検出部７１、駆動制御部７２、記憶制御部７３、補充枚数算出部７４、在高情報取得部７５及び認識部７６を有する。補充先指示検出部７１は、出納機１３が補充する紙幣の補充先、例えば、釣銭機１２やＡＴＭ機１４等の補充先を指定する。

　在高情報取得部７５は、通信インタフェース６１を通じてネットワーク経由で各釣銭機１２やＡＴＭ機１４の金種区分及び正損区分の現在の在高情報を収集する。更に、記憶制御部７３は、これら収集した各釣銭機１２及びＡＴＭ機１４の現在の在高情報を記憶部６２に記憶する。更に、認識部７６は、出納機１３内に釣銭機１２の搬送カセット２６が装填されると、搬送カセット２６のＩＣタグ１６Ｃを通じて収納内訳情報を収集する。更に、認識部７６は、収集した収納内訳情報に基づき、識別部５３を使用しなくても、搬送カセット２６に収納された各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分を認識する。

　補充枚数算出部７４は、補充先指示検出部７１にて補充先を指定した補充指示を検出すると、補充先の現在の在高情報と、補充先の理想の在高情報とに基づき、当該補充先に補充すべき、金種及び正損別の紙幣枚数を補充内訳枚数として算出する。尚、制御部６３は、補充先毎に理想の在高情報等をも記憶部６２に記憶管理しているものとする。補充先の理想の在高情報とは、補充先として保有すべき、金種及び正損別の紙幣枚数に相当する。

　駆動制御部７２は、銀行口座取引機能を備えた釣銭機１２を補充先として指定した補充指示を検出すると、補充枚数算出部７４の算出結果に基づき、還流スタッカ５５に収納された補充内訳枚数の正券紙幣及び損券紙幣を投出口５４から投出すべく、還流スタッカ５５及び搬送部５２を駆動制御する。尚、駆動制御部７２は、補充内訳枚数の正券紙幣及び損券紙幣を投出口５４に投出せず、補充内訳枚数の正券紙幣及び損券紙幣を回収対象として搬送カセット５６に搬送すべく、還流スタッカ５５及び搬送部５２を駆動制御するようにしても良い。

　駆動制御部７２は、銀行口座取引機能がない釣銭機１２を補充先として指定した補充指示を検出すると、補充枚数算出部７４の算出結果に基づき、還流スタッカ５５に収納された補充内訳枚数の損券紙幣を投出口５４から投出すべく、還流スタッカ５５及び搬送部５２を駆動制御する。尚、補充内訳枚数の紙幣を損券紙幣のみとしたが、正券紙幣のみ、若しくは正券紙幣を含む混在紙幣としても良い。また、駆動制御部７２は、補充内訳枚数の損券紙幣を回収対象として搬送カセット５６に搬送すべく、還流スタッカ５５及び搬送部５２を駆動制御するようにしても良い。

　駆動制御部７２は、ＡＴＭ機１４を指定先として指定した補充指示を検出すると、補充枚数算出部７４の算出結果に基づき、還流スタッカ５５に収納された補充内訳枚数の正券紙幣を投出口５４から投出すべく、還流スタッカ５５及び搬送部５２を駆動制御する。尚、駆動制御部７２は、補充内訳枚数の正券紙幣を回収対象として搬送カセット５６に搬送すべく、還流スタッカ５５及び搬送部５２を駆動制御するようにしても良い。

　更に、駆動制御部７２は、還流スタッカ５５から損券紙幣を搬送部５２に繰り出すのに時間を要する場合、損券紙幣の代わりに、還流スタッカ５５に収納された損券紙幣同額の低額金種構成の損券紙幣を投出口５４から投出すべく、還流スタッカ５５及び搬送部５２を駆動制御する。尚、同額の低額金種構成の紙幣とは、例えば、４０ユーロの紙幣を投出する場合、通常金種構成なら２０ユーロ紙幣を２枚で賄うことになるが、低額金種構成なら１０ユーロ紙幣４枚や、２０ユーロ紙幣１枚、１０ユーロ紙幣２枚の金種構成等で賄うことになる。また、駆動制御部７２は、還流スタッカ５５から正券紙幣を搬送部５２に繰り出すのに時間を要する場合、正券紙幣の代わりに、還流スタッカ５５に収納された正券紙幣同額の低額金種構成の正券紙幣を投出口５４から投出すべく、還流スタッカ５５及び搬送部５２を駆動制御する。

　また、駆動制御部７２は、指定金種の損券紙幣を回収対象に指定した場合、還流スタッカ５５に収納された損券紙幣を優先的に搬送カセット５６に搬送すべく、還流スタッカ５５及び搬送部５２を駆動制御する。尚、駆動制御部７２は、指定金種の正券紙幣を回収対象にした場合、同様に還流スタッカ５５に収納された正券紙幣を優先的に搬送カセット５６に搬送する。尚、指定金種は複数金種でも良いことは言うまでもない。

　また、駆動制御部７２が回収対象として指定金種別枚数の損券紙幣を指定した場合、還流スタッカ５５に収納された指定金種の指定枚数分の損券紙幣を優先的に搬送カセット５６に搬送すべく、還流スタッカ５５及び搬送部５２を駆動制御する。尚、駆動制御部７２は、回収対象として指定金種別枚数の正券紙幣を指定した場合、還流スタッカ５５に収納された指定金種の指定枚数分の正券紙幣を優先的に搬送カセット５６に搬送する。

　また、駆動制御部７２は、回収対象として指定合計金額相当の損券紙幣を指定した場合、還流スタッカ５５に収納された指定合計金額分の損券紙幣を優先的に搬送カセット５６に搬送すべく、還流スタッカ５５及び搬送部５２を駆動制御する。尚、駆動制御部７２は、回収対象として指定合計金額相当の正券紙幣を指定した場合、還流スタッカ５５に収納された指定合計金額分の正券紙幣を優先的に搬送カセット５６に搬送する。

　また、駆動制御部７２は、回収対象として指定合計金額を超えた超過分の損券紙幣を指定した場合、還流スタッカ５５に収納された指定合計金額を超えた超過分の損券紙幣を優先的に搬送カセット５６に搬送すべく、還流スタッカ５５及び搬送部５２を駆動制御する。尚、駆動制御部７２は、回収対象として指定合計金額を超えた超過分の正券紙幣を指定した場合、還流スタッカ５５に収納された指定合計金額を超えた超過分の正券紙幣を優先的に搬送カセット５６に搬送する。

　また、駆動制御部７２は、回収対象として指定金種別枚数を超えた超過分の損券紙幣を指定した場合、還流スタッカ５５に収納された指定金種別枚数を超えた超過分の損券紙幣を優先的に搬送カセット５６に搬送すべく、還流スタッカ５５及び搬送部５２を駆動制御する。尚、駆動制御部７２は、回収対象として指定金種別枚数を超えた超過分の正券紙幣を指定した場合、還流スタッカ５５に収納された指定金種別枚数を超えた超過分の正券紙幣を優先的に搬送カセット５６に搬送する。

　また、駆動制御部７２は、搬送カセット５６に収納された紙幣を投出口５４及び還流スタッカ５５に搬送すべく、搬送カセット５６及び搬送部５２を駆動制御する。また、制御部６３は、搬送カセット５６に搬送すべき、回収対象の指定紙幣を、釣銭機１２又は出納機１３の図示せぬ操作部の指定操作で実行するものとする。

　図７は、釣銭機１２及び出納機１３間の搬送カセット１６（２６、５６）の移送関係を示す説明図である。釣銭機１２の搬送カセット２６は、出納機１３に対しても装填取外し可能である。これに対して、出納機１３の搬送カセット５６は、釣銭機１２に対しても装填取外し可能である。釣銭機１２の情報作成部４５は、指定金種の紙幣を搬送カセット２６に収納した場合、当該搬送カセット２６に収納された各紙幣の収納位置、金種区分、正損区分及びレジ番号を含む収納内訳情報を作成する。釣銭機１２の記憶制御部４３は、収納内訳情報を作成すると、この収納内訳情報を搬送カセット２６に貼付したＩＣタグ１６Ｃに格納する。更に、店員は、釣銭機１２から搬送カセット２６を取り外し、この搬送カセット２６を出納室に搬送する。そして、店員は、その搬送カセット２６を出納機１３内に装填する。そして、出納機１３の認識部７６は、搬送カセット２６が装填されると、当該搬送カセット２６のＩＣタグ１６Ｃを通じて収納内訳情報を取得する。更に、認識部７６は、収納内訳情報に基づき、識別部５３を通じて搬送カセット２６に収納された各紙幣を識別しなくても、各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分を認識する。更に、記憶制御部７３は、その収納内訳情報を記憶部６２に記憶管理する。

　また、店舗内の釣銭機１２及び出納機１３では、店舗内での銀行口座取引を円滑に運用するために正券保有枚数を増やす必要がある。そこで、店舗内に流通する正券の流通比率を高める必要があるため、店舗入口等に回収機１５を配置した。回収機１５は、投入口から顧客の損券紙幣が投入されると、投入金額対応の正券紙幣を投出口から顧客に投出する。その結果、店舗内での顧客による損券紙幣の使用を抑制することで、店舗内に流通する正券の流通比率を高めることができる。

　次に、実施例１の店舗内資金管理システム１の動作について説明する。図８は、釣銭処理に関わる釣銭機１２の制御部３３の処理動作を示すフローチャートである。図８において釣銭機１２の制御部３３は、購入商品の商品金額が確定すると(ステップＳ１１)、支払方法がデビット決済であるか否かを判定する(ステップＳ１２)。尚、デビット決済は、銀行口座取引のキャッシュアウトサービスに相当する。制御部３３の釣銭算出部４４は、支払方法がデビット決済の場合(ステップＳ１２肯定）、デビット決済の引出金額又は貸付金額から商品金額を差し引いてキャッシュアウト金額を確定し(ステップＳ１３)、キャッシュアウト金額対応の紙幣があるか否かを判定する（ステップＳ１３Ａ）。

　制御部３３は、キャッシュアウト金額対応の紙幣がある場合(ステップＳ１３Ａ肯定)、キャッシュアウト金額対応の正券紙幣が還流スタッカ２５内にあるか否かを判定する(ステップＳ１４)。制御部３３は、キャッシュアウト金額対応の正券紙幣が還流スタッカ２５内にある場合に（ステップＳ１４肯定）、還流スタッカ２５内のキャッシュアウト金額対応の正券紙幣を投出口２４から投出し(ステップＳ１５)、図８に示す処理動作を終了する。

　また、制御部３３は、キャッシュアウト金額対応の紙幣がない場合(ステップＳ１３Ａ否定)、図８に示す処理動作を終了する。また、制御部３３は、キャッシュアウト金額対応の正券紙幣が還流スタッカ２５内にない場合に（ステップＳ１４否定）、還流スタッカ２５内に収納されたキャッシュアウト金額対応の低額金種構成の正券紙幣を投出口２４から投出し(ステップＳ１６）、図８に示す処理動作を終了する。

　また、制御部３３は、支払方法がデビット決済でない場合（ステップＳ１２否定）、現金決済と判断し(ステップＳ１７)、投入口２１からの現金投入を検出する(ステップＳ１８)。制御部３３の釣銭算出部４４は、現金投入金額から商品金額を差し引いて不足金があるか否かを判定する(ステップＳ１９)。

　制御部３３は、現金投入金額から商品金額を差し引いて不足金がある場合に（ステップＳ１９肯定）、不足金を報知し(ステップＳ２０)、投入口２１への現金投入を待機すべく、ステップＳ１８に移行する。尚、不足金の報知方法としては、表示や音声等で報知するようにしても良い。

　また、制御部３３は、現金投入金額から商品金額を差し引いて不足金がない場合に（ステップＳ１９否定）、釣銭金額が確定する(ステップＳ２１)。制御部３３は、釣銭金額が確定すると、釣銭金額対応の紙幣があるか否かを判定する(ステップＳ２２)。制御部３３は、釣銭金額対応の紙幣がある場合(ステップＳ２２肯定)、投入口２１に投入された全投入紙幣が正券であるか否かを判定する(ステップＳ２３)。

　制御部３３は、全投入紙幣が正券である場合(ステップＳ２３肯定)、還流スタッカ２５内に釣銭金額対応の正券紙幣があるか否かを判定する(ステップＳ２４)。制御部３３は、釣銭金額対応の正券紙幣がある場合(ステップＳ２４肯定）、還流スタッカ２５に収納された釣銭金額対応の正券紙幣を投出口２４から投出し(ステップＳ２５）、図８に示す処理動作を終了する。

　また、制御部３３は、釣銭金額対応の紙幣がない場合(ステップＳ２２否定)、図８に示す処理動作を終了する。制御部３３は、全投入紙幣が正券でない場合(ステップＳ２３否定)、還流スタッカ２５内に釣銭金額対応の損券紙幣があるか否かを判定する(ステップＳ２６)。制御部３３は、釣銭金額対応の損券紙幣がある場合(ステップＳ２６肯定)、還流スタッカ２５に収納された釣銭金額対応の損券紙幣を投出口２４から投出し(ステップＳ２７)、図８に示す処理動作を終了する。

　また、制御部３３は、釣銭金額対応の損券紙幣がない場合(ステップＳ２６否定)、還流スタッカ２５内に釣銭金額対応の低額金種構成の損券紙幣があるか否かを判定する(ステップＳ２８)。制御部３３は、低額金種構成の損券紙幣がある場合に(ステップＳ２８肯定)、還流スタッカ２５に収納された低額金種構成の損券紙幣を投出口２４から投出し(ステップＳ２９)、図８に示す処理動作を終了する。

　また、制御部３３は、釣銭金額対応の低額金種構成の損券紙幣がない場合(ステップＳ２８否定)、損券紙幣に限定することなく、還流スタッカ２５に収納された釣銭金額対応の正券紙幣を投出口２４から投出し(ステップＳ３０)、図８に示す処理動作を終了する。

　また、制御部３３は、還流スタッカ２５内に釣銭金額対応の正券紙幣がない場合(ステップＳ２４否定)、正券紙幣に限定することなく、還流スタッカ２５に収納された釣銭金額対応の損券紙幣を投出口２４から投出し(ステップＳ３１)、図８に示す処理動作を終了する。

　図８に示す釣銭処理では、商品購入のデビット決済時に、引出金額又は貸付金額から商品金額を差し引いたキャッシュアウト金額対応の紙幣がある場合、そのキャッシュアウト金額対応の紙幣を正券紙幣で投出口２４から投出する。その結果、釣銭機１２は、ＥＣＢ第６条の規定を遵守できる。

　釣銭処理では、商品購入の現金決済時に、投入金額から商品金額を差し引いた釣銭金額の紙幣がある場合、その釣銭金額の紙幣を損券紙幣で投出口２４から投出する。その結果、釣銭機１２は、正券紙幣の流出を抑制して機内の正券保有枚数を増やせる。

　釣銭処理では、現金決済時に、投入金額から商品金額を差し引いた釣銭金額の紙幣があり、その釣銭金額対応の損券紙幣がない場合、釣銭金額対応の低額金種構成の損券紙幣を投出口２４から投出する。その結果、釣銭機１２は、正券紙幣の流出を抑制しながら、顧客に釣銭紙幣を返却できる。

　釣銭処理では、現金決済時に、投入金額から商品金額を差し引いた釣銭金額の紙幣があり、その釣銭金額対応の損券紙幣がなく、釣銭金額対応の低額金種構成の損券紙幣がない場合、損券紙幣だけでなく、正券紙幣も含めて釣銭金額対応の紙幣を投出口２４から投出する。その結果、釣銭機１２は、顧客に釣銭紙幣を返却できる。

　また、釣銭処理では、現金決済時の投入紙幣が全て正券紙幣の場合、その釣銭金額対応の紙幣を正券紙幣で投出口２４から投出する。その結果、釣銭機１２は、現金決済に際して正券紙幣を使用した顧客に対して正券紙幣で釣銭を提供できる。

　図９は、紙幣補充処理に関わる出納機１３の制御部６３の処理動作を示すフローチャートである。図９に示す制御部６３の補充先指示検出部７１は、補充先の指定操作を検出したか否かを判定する(ステップＳ４１)。尚、補充先の指定操作は、補充先釣銭機１２を識別するレジ番号や補充先ＡＴＭ機１４を識別するＡＴＭ番号等の補充先機器の識別番号の指定操作に相当する。制御部６３は、補充先の指定操作を検出した場合(ステップＳ４１肯定)、補充先が釣銭機１２であるか否かを判定する(ステップＳ４２)。

　制御部６３は、補充先が釣銭機１２である場合(ステップＳ４２肯定)、補充先の釣銭機１２の現在の在高情報及び理想の在高情報を記憶部６２から取得する(ステップＳ４３)。制御部６３の補充枚数算出部７４は、補充先の釣銭機１２の現在及び理想の在高情報に基づき、補充先の釣銭機１２に対して金種正損別の補充内訳枚数を算出する(ステップＳ４４)。制御部６３は、補充先の釣銭機１２の補充内訳枚数を算出すると、この算出した補充内訳枚数の紙幣を投出口５４から投出し(ステップＳ４５)、図９に示す処理動作を終了する。

　また、制御部６３は、補充先が釣銭機１２でない場合（ステップＳ４２否定）、補充先がＡＴＭ機１４であるか否かを判定する(ステップＳ４６)。制御部６３は、補充先がＡＴＭ機１４の場合（ステップＳ４６肯定）、補充先ＡＴＭ機１４の現在の在高情報及び理想の在高情報を記憶部６２から取得する(ステップＳ４７)。制御部６３の補充枚数算出部７４は、補充先のＡＴＭ機１４の現在及び理想の在高情報に基づき、補充先のＡＴＭ機１４に対して金種正損別の補充内訳枚数を算出する(ステップＳ４８)。制御部６３は、この算出した補充内訳枚数の正券紙幣を投出口５４から投出し(ステップＳ４９)、図９に示す処理動作を終了する。また、制御部６３は、補充先がＡＴＭ機１４でない場合（ステップＳ４６否定）、補充先の指定操作を検出したか否かを判定すべく、ステップＳ４１に移行する。更に、補充先指示検出部７１は、補充先の指定操作を検出しなかった場合(ステップＳ４１否定)、図９に示す処理動作を終了する。

　図９に示す紙幣補充処理では、補充先が釣銭機１２の場合、補充先釣銭機１２の現在及び理想の在高情報に基づき、当該釣銭機１２に補充すべき金種正損別の補充内訳枚数を算出し、算出した補充内訳枚数の紙幣を投出口５４から投出する。その結果、出納機１３は、補充先の釣銭機１２に補充すべき、補充内訳枚数の紙幣を投出口５４から投出できる。

　紙幣補充処理では、補充先がＡＴＭ機１４の場合、ＡＴＭ機１４の現在及び理想の在高情報に基づき、当該ＡＴＭ機１４に補充すべき金種別の補充内訳枚数（正券枚数）を算出し、算出した補充内訳枚数の正券紙幣を投出口５４から投出する。その結果、出納機１３は、補充先のＡＴＭ機１４に補充すべき、補充内訳枚数の正券紙幣を投出口５４から投出できる。

　次に、釣銭機１２から出納機１３に搬送カセット１６（２６、５６)を移送する際の動作について説明する。図１０は、収納内訳情報格納処理に関わる釣銭機１２の制御部３３の処理動作を示すフローチャートである。

　図１０に示す釣銭機１２の制御部３３は、搬送カセット２６の取外し準備操作を検出したか否かを判定する(ステップＳ５１)。制御部３３は、搬送カセット２６の取外し準備操作を検出した場合(ステップＳ５１肯定)、搬送カセット２６内に収納された紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分を記憶部３２から取得する。更に、制御部３３の情報作成部４５は、これら取得した各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分に釣銭機１２を識別するレジ番号を付与して収納内訳情報を作成する(ステップＳ５２)。

　制御部３３の記憶制御部４３は、作成した収納内訳情報を搬送カセット２６のＩＣタグ１６Ｃに格納し(ステップＳ５３)、この搬送カセット２６を釣銭機１２から取り外し(ステップＳ５４)、図１０に示す処理動作を終了する。

　制御部３３は、搬送カセット２６の取外し準備操作を検出しなかった場合(ステップＳ５１否定)、この処理動作を終了する。

　図１０に示す収納内訳情報格納処理では、搬送カセット２６の取外し準備操作を検出すると、搬送カセット２６内に収納された各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分にレジ番号を付与した収納内訳情報を作成する。更に、収納内訳情報を搬送カセット２６のＩＣタグ１６Ｃに格納する。その結果、移送元である釣銭機１２は、取外して移送する、搬送カセット２６の収納内訳情報を移送先である出納機１３に通知することができる。

　図１１は、収納内訳情報取得処理に関わる出納機１３の制御部６３の処理動作を示すフローチャートである。図１１に示す制御部６３は、出納機１３に対する釣銭機１２の搬送カセット２６の装填を検出したか否かを判定する(ステップＳ６１)。制御部６３の認識部７６は、搬送カセット２６の装填を検出した場合(ステップＳ６１肯定)、搬送カセット２６のＩＣタグ１６Ｃを通じて収納内訳情報を取得する(ステップＳ６２)。更に、制御部６３の記憶制御部７３は、この収納内訳情報を記憶部６２に格納する(ステップＳ６３)。

　制御部６３の認識部７６は、記憶部６２に収納内訳情報を格納すると、搬送カセット２６内に収納された各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分を認識し(ステップＳ６４)、図１１に示す処理動作を終了する。また、制御部６３は、出納機１３に対する釣銭機１２の搬送カセット２６の装填を検出したのでない場合(ステップＳ６１否定)、図１１に示す処理動作を終了する。

　図１１に示す収納内訳情報取得処理では、搬送カセット２６の装填を検出すると、当該搬送カセット２６のＩＣタグ１６Ｃに格納した収納内訳情報を取得し、この収納内訳情報を記憶部６２に格納する。その結果、出納機１３は、識別部５３を使用しなくても、搬送カセット２６に収納された各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分を認識できる。

　実施例１では、搬送カセット１６(２６、５６)の収納内訳情報を釣銭機１２側で作成し、この作成した搬送カセット１６（２６、５６）の収納内訳情報を出納機１３に通知する。更に、実施例１では、出納機１３側で収納内訳情報を取得すると、収納内訳情報に基づき、当該搬送カセット１６(２６、５６)に収納された各紙幣の金種区分及び正損区分を認識する。その結果、出納機１３では、搬送カセット１６(２６、５６)に収納された各紙幣を識別しなくても、各紙幣の金種区分及び正損区分を認識できるため、その識別に要する処理負担を大幅に軽減できる。

　実施例１では、搬送カセット１６（２６、５６）内の紙幣を識別するのに収納位置識別情報を収納内訳情報に含めるようにしたので、出納機１３は、収納位置識別情報に基づき、搬送カセット１６(２６、５６)内の紙幣を識別できる。

　実施例１では、搬送カセット１６(２６，５６)の収納内訳情報をＩＣタグ１６Ｃ経由で出納機１３に通知するようにしたので、出納機１３は、搬送カセット１６（２６，５６)の収納内訳情報を取得できる。

　実施例１の出納機１３では、図示せぬネットワーク経由で補充先から紙幣の金種区分及び正損区分(在高情報)を取得するようにしたので、機内に識別部５３を使用しなくても、搬送紙幣の金種区分及び正損区分を認識できる。

　尚、上記実施例１では、釣銭機１２の制御部３３内に情報作成部４５、出納機１３の制御部６３内に認識部７６を内蔵し、釣銭機１２側で作成した収納内訳情報に基づき、出納機１３側で搬送カセット１６内の各紙幣の金種区分及び正損区分を認識するようにした。しかしながら、出納機１３側で作成した収納内訳情報に基づき、釣銭機１２側で搬送カセット１６内の各紙幣の金種区分及び正損区分を認識するようにしても良い。この場合の実施例につき、以下に説明する。

　図１２は、実施例２の釣銭機１２の内部構成を示すブロック図である。尚、実施例１の店舗内資金管理システム１と同一の構成については、同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図１２に示す釣銭機１２の制御部３３は、投出指示検出部４１、駆動制御部４２、記憶制御部４３、釣銭算出部４４及び情報作成部４５の他に、認識部４６を有している。認識部４６は、搬送カセット１６(２６，５６)を装填すると、この搬送カセット１６のＩＣタグ１６Ｃに格納した収納内訳情報を収集する。更に、認識部４６は、収集した収納内訳情報に基づき、識別部２３を使用しなくても、搬送カセット１６(２６，５６)に収納された各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分を認識する。

　また、図１３は、実施例２の出納機１３の内部構成を示すブロック図である。図１３に示す出納機１３の制御部６３は、補充先指示検出部７１、駆動制御部７２、記憶制御部７３、補充枚数算出部７４、在高情報取得部７５及び認識部７６の他に、情報作成部７７を有している。情報作成部７７は、指定金種の紙幣を搬送カセット１６(２６、５６)に収納した場合、当該搬送カセット１６(２６、５６)に収納された各紙幣の収納位置、金種区分、正損区分及び補充先の識別番号を含む収納内訳情報を作成する。尚、補充先の識別番号は、補充先が釣銭機１２の場合はレジ番号、補充先がＡＴＭ機１４の場合はＡＴＭ番号に相当する。更に、記憶制御部７３は、収納内訳情報を搬送カセット１６(２６，５６)に貼付したＩＣタグ１６Ｃに格納する。

　出納機１３の情報作成部７７は、指定金種の紙幣を搬送カセット５６に収納した場合、当該搬送カセット５６に収納された各紙幣の収納位置、金種区分、正損区分及び補充先の識別番号を含む収納内訳情報を作成する。出納機１３の記憶制御部７３は、収納内訳情報を作成すると、この収納内訳情報を搬送カセット５６に貼付したＩＣタグ１６Ｃに格納する。そして、店員は、出納機１３から搬送カセット５６を取り外し、この搬送カセット５６を精算所に搬送する。そして、店員は、その搬送カセット５６を釣銭機１２内に装填する。

　釣銭機１２の認識部４６は、搬送カセット５６が装填されると、当該搬送カセット５６のＩＣタグ１６Ｃを通じて収納内訳情報を取得する。更に、認識部４６は、収納内訳情報内の補充先の識別番号が自分の釣銭機１２のレジ番号に合致した場合、収納内訳情報に基づき、識別部２３を通じて搬送カセット５６に収納された各紙幣を識別しなくても、各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分を認識する。更に、釣銭機１２の記憶制御部４３は、その収納内訳情報を記憶部３２に記憶管理する。

　次に、実施例２の店舗内資金管理システム１の動作について説明する。図１４は、紙幣補充処理に関わる出納機１３の制御部６３の処理動作を示すフローチャートである。図１４に示す制御部６３の補充枚数算出部７４は、ステップＳ４１～ステップＳ４３の処理を経て、補充先の釣銭機１２の現在及び理想の在高情報に基づき、補充先の釣銭機１２に対して金種正損別の補充内訳枚数を算出する(ステップＳ４４)。制御部６３は、補充先の釣銭機１２の補充内訳枚数を算出すると、この算出した補充内訳枚数の紙幣を搬送カセット５６（１６）に収納し(ステップＳ４５Ａ)、図１４に示す処理動作を終了する。

　また、制御部６３の補充枚数算出部７４は、ステップＳ４６及びステップＳ４７の処理を経て、補充先のＡＴＭ機１４の現在及び理想の在高情報に基づき、補充先のＡＴＭ機１４に対して金種正損別の補充内訳枚数を算出する(ステップＳ４８)。制御部６３は、この算出した補充内訳枚数の正券紙幣を搬送カセット５６（１６）に収納し(ステップＳ４９Ａ)、図１４に示す処理動作を終了する。

　図１４に示す紙幣補充処理では、補充先が釣銭機１２の場合、補充先釣銭機１２の現在及び理想の在高情報に基づき、当該釣銭機１２に補充すべき金種正損別の補充内訳枚数を算出し、算出した補充内訳枚数の紙幣を搬送カセット５６に収納する。その結果、出納機１３は、補充先の釣銭機１２に補充すべき、補充内訳枚数の紙幣を搬送カセット５６に自動的に収納できる。

　紙幣補充処理では、補充先がＡＴＭ機１４の場合、ＡＴＭ機１４の現在及び理想の在高情報に基づき、当該ＡＴＭ機１４に補充すべき金種別の補充内訳枚数（正券枚数）を算出し、算出した補充内訳枚数の正券紙幣を搬送カセット５６に収納する。その結果、出納機１３は、補充先のＡＴＭ機１４に補充すべき、補充内訳枚数の正券紙幣を搬送カセット５６に自動的に収納できる。

　次に、出納機１３から釣銭機１２やＡＴＭ機１４に搬送カセット１６（２６、５６)を移送する際の動作について説明する。図１５は、収納内訳情報格納処理に関わる出納機１３の制御部６３の処理動作を示すフローチャートである。

　図１５に示す出納機１３の制御部６３は、搬送カセット５６の取外し準備操作を検出したか否かを判定する(ステップＳ５１Ａ)。制御部６３は、搬送カセット５６の取外し準備操作を検出した場合(ステップＳ５１Ａ肯定)、搬送カセット５６内に収納された紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分を記憶部６２から取得する。更に、制御部６３の情報作成部７７は、これら取得した各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分に補充先の釣銭機１２を識別するレジ番号を付与して収納内訳情報を作成する(ステップＳ５２Ａ)。

　制御部６３の記憶制御部７３は、作成した収納内訳情報を搬送カセット５６のＩＣタグ１６Ｃに格納し(ステップＳ５３Ａ)、この搬送カセット５６を出納機１３から取り外し(ステップＳ５４Ａ)、図１５に示す処理動作を終了する。

　制御部６３は、搬送カセット５６の取外し準備操作を検出しなかった場合(ステップＳ５１Ａ否定)、この処理動作を終了する。

　図１５に示す収納内訳情報格納処理では、搬送カセット５６の取外し準備操作を検出すると、搬送カセット５６内に収納された各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分に補充先のレジ番号やＡＴＭ番号等を付与した収納内訳情報を作成する。更に、収納内訳情報を搬送カセット５６のＩＣタグ１６Ｃに格納する。その結果、移送元である出納機１３は、取外して移送する、搬送カセット５６の収納内訳情報を移送先である釣銭機１２やＡＴＭ機１４に通知することができる。

　図１６は、収納内訳情報取得処理に関わる釣銭機１２の制御部３３の処理動作を示すフローチャートである。図１６に示す制御部３３は、釣銭機１２に対する出納機１３の搬送カセット５６の装填を検出したか否かを判定する(ステップＳ６１Ａ)。制御部３３の認識部４６は、搬送カセット５６の装填を検出した場合(ステップＳ６１Ａ肯定)、搬送カセット５６のＩＣタグ１６Ｃを通じて収納内訳情報を取得する(ステップＳ６２Ａ)。更に、制御部３３の記憶制御部４３は、この収納内訳情報を記憶部３２に格納する(ステップＳ６３Ａ)。

　認識部４６は、記憶部３２に収納内訳情報を格納すると、搬送カセット５６内に収納された各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分を認識し(ステップＳ６４Ａ)、図１６に示す処理動作を終了する。また、制御部６３は、釣銭機１２に対する出納機１３の搬送カセット５６の装填を検出したのでない場合(ステップＳ６１Ａ否定)、図１６に示す処理動作を終了する。

　図１６に示す収納内訳情報取得処理では、搬送カセット５６の装填を検出すると、当該搬送カセット５６のＩＣタグ１６Ｃに格納した収納内訳情報を取得し、この収納内訳情報を記憶部３２に格納する。その結果、釣銭機１２は、識別部２３を使用しなくても、搬送カセット５６に収納された各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分を認識できる。

　実施例２では、移送先の釣銭機１２の在高情報を取得すると、この取得した在高情報に基づき、釣銭機１２に補充する紙幣の補充内訳枚数を算出する。更に、実施例２では、算出した紙幣の補充内訳枚数に基づき、釣銭機１２に補充する紙幣を搬送カセット５６内に収納する。その結果、出納機１３は、釣銭機１２に補充すべき、金種区分及び正損区分毎の補充内訳枚数の紙幣を搬送カセット５６に自動的に収納できる。

　更に、実施例２では、補充紙幣を収納した搬送カセット５６の収納内訳情報を出納機１３側で作成し、この作成した搬送カセット５６の収納内訳情報を釣銭機１２に通知する。更に、実施例２では、釣銭機１２側で収納内訳情報を取得すると、収納内訳情報に基づき、当該搬送カセット５６に収納された各補充紙幣の金種区分及び正損区分を認識する。その結果、釣銭機１２では、搬送カセット５６に収納された各補充紙幣を識別しなくても、各紙幣の金種区分及び正損区分を認識できるため、その識別に要する処理負担を大幅に軽減できる。

　尚、上記実施例では、釣銭機１２への紙幣補充指示を検出すると、釣銭機１２の現在及び理想の在高情報に基づき、当該釣銭機１２への正損別の補充内訳枚数を算出し、この補充内訳枚数に基づき混在紙幣を投出口５４から投出又は搬送カセット２６内に収納した。しかしながら、釣銭機１２内に銀行口座取引機能がない場合、釣銭機１２の現在及び理想の在高情報に基づき、損券の補充内訳枚数を算出し、この補充内訳枚数に基づき損券紙幣を投出口５４から投出又は搬送カセット２６内に収納するようにしても良い。

　上記実施例では、正損区分をＥＣＢの規定によると説明したが、正券をＡＴＭ機１４の払出使用に適しているフィット券、損券をＡＴＭ機１４の払出使用に不適なものの銀行窓口業務等の払出使用には使用可能なテラー窓口券とするようにしても良い。

　上記実施例では、損券を流用しながら、店舗内の釣銭機１２及び出納機１３内の正券保有枚数を増やすことで、釣銭機１２の銀行口座取引で正券紙幣を投出するＥＣＢ第６条の規定を遵守するようにした。例えば、旧券紙幣から新券紙幣の切替時期に、旧券を流用しながら、店舗内の釣銭機１２及び出納機１３内の新券保有枚数を増やし、徐々に旧券を回収するように、釣銭機１２及び出納機１３を設定するようにしても良い。

　更に、出納機１３は、投入口５１に投入された紙幣を新旧に関係なく、還流スタッカ５５に収納する。その結果、出納機１３は、新券紙幣は勿論のこと、旧券紙幣をも紙幣補充に流用することで機内での新券保有枚数を増やせる。更に、出納機１３では、新券紙幣を補充する紙幣補充指示を検出すると、還流スタッカ５５に収納された新券紙幣を投出口５４から投出又は搬送カセット５６内に収納する。その結果、補充先への紙幣補充に際して新券紙幣を投出できる。

　更に、出納機１３では、少なくとも旧券を含む混在紙幣の紙幣補充指示を検出すると、還流スタッカ５５に収納された旧券紙幣を投出口５４から投出又は搬送カセット５６内に収納する。その結果、補充先への紙幣補充に際して旧券紙幣を投出口５４から投出又は搬送カセット５６内に収納することで機内の新券保有枚数が増やせる。しかも、補充先では、補充紙幣を収納した搬送カセット５６を装填すると、補充紙幣を識別することなく、補充紙幣の金種区分及び新旧区分を認識できる。

　また、例えば、国境付近の店舗で自国紙幣の他に他国紙幣が使用されているような環境下では、他国紙幣を流用しながら、店舗内の釣銭機１２及び出納機１３内の自国紙幣保有枚数を増やし、徐々に他国紙幣を回収するように、本実施例の釣銭機１２及び出納機１３を設定するようにしても良い。更に、出納機１３は、投入口５１に投入された紙幣を国区分に関係なく、還流スタッカ５５に収納する。その結果、出納機１３は、自国紙幣は勿論のこと、他国紙幣をも紙幣補充に流用することで機内での自国紙幣保有枚数が増やせる。

　更に、出納機１３では、自国紙幣を補充する紙幣補充指示を検出すると、還流スタッカ５５に収納された自国紙幣を投出口５４から投出又は搬送カセット５６内に収納する。その結果、補充先への紙幣補充に際して自国紙幣を投出できる。更に、出納機１３では、少なくとも他国紙幣を含む混在紙幣の紙幣補充指示を検出すると、還流スタッカ５５に収納された他国紙幣を投出口５４から投出又は搬送カセット５６内に収納する。その結果、補充先への紙幣補充に際して他国紙幣を投出口５４から投出又は搬送カセット５６内に収納することで装置内の自国紙幣保有枚数が増やせる。しかも、補充先では、補充紙幣を収納した搬送カセット５６を装填すると、補充紙幣を識別することなく、補充紙幣の金種区分及び国区分を認識できる。

　上記実施例の回収機１５では、店舗に来店する顧客の損券紙幣を回収して正券紙幣を顧客に返却するようにしたが、回収した損券紙幣金額相当のプリペイドカードを発行するようにしても良い。この場合、店舗内に流通する正券紙幣の流通比率を一段と高めることができる。

　上記実施例の回収機１５では、顧客による損券紙幣の投入に応じて顧客の会員カードに特典ポイントを付与するようにしても良い。この場合、顧客に対して損券紙幣の回収機運用を高めることで、店舗内に流通する正券紙幣の流通比率を高めることができる。

　上記実施例の回収機１５では、顧客からの正券紙幣の投入を検出すると、正券紙幣をリジェクトするようにしても良い。

　上記実施例の回収機１５では、正損区分に基づき損券紙幣を回収するようにしたが、新旧区分に基づき旧券紙幣を回収するようにしても良い。この場合、店舗内の旧券紙幣を回収しながら、店舗内に流通する新券紙幣の流通比率を高めることができる。

　更に、回収機１５では、国区分に基づき、他国紙幣を回収するようにしても良い。この場合、店舗内の他国紙幣を回収しながら、店舗内に流通する自国紙幣の流通比率を高めることができる。尚、店舗に限定しなくても、広範囲な地域等に適用しても良い。

　上記実施例では、釣銭機１２及び出納機１３間、すなわち移送元紙幣処理機及び移送先紙幣処理機間で搬送カセット１６(２６，５６)を移送し、移送先紙幣処理機では、搬送カセット１６のＩＣタグ１６Ｃを通じて収納内訳情報を取得した。しかしながら、移送元紙幣処理機は、例えば、搬送カセット１６を移送先紙幣処理機に移送する際、ＩＣタグ１６Ｃではなく、ネットワーク経由で収納内訳情報を移送先紙幣処理機に通知するようにしても良い。この場合、移送先紙幣処理機は、搬送カセット１６にＩＣタグ１６Ｃが貼着されてなくても、その搬送カセット１６の収納内訳情報をネットワーク経由で取得し、その搬送カセット１６に収納された各紙幣の収納位置、金種区分及び正損区分を認識できる。また、ＩＣタグ１６Ｃではなく、収納内訳情報を印刷したレシート、バーコードやＱＲコード等を使用しても良い。

　また、上記実施例の制御部６３は、釣銭機１２が接続するＰＯＳレジスタ１１のレジ番号で、各釣銭機１２を識別管理するようにしたが、搬送カセット１６を識別するカセットＩＤで、釣銭機１２及び釣銭機１２に対応したＰＯＳレジスタ１１を識別管理するようにしても良い。

　また、上記実施例では、搬送カセット１６の収納内訳情報内に各紙幣の収納位置（収納位置識別情報）に紐付けて金種区分及び正損区分を格納したが、紙幣の収納位置ではなく、紙幣を識別する記番号に紐付けて金種区分及び正損区分を格納するようにしても良い。この場合、識別部２３及び識別部５３は、搬送紙幣の記番号を識別するものとする。

　また、上記実施例では、釣銭機１２及び出納機１３双方に着脱可能な搬送カセット１６を例に挙げて説明したが、当該搬送カセット１６は、ＡＴＭ機１４や回収機１５等に対しても着脱可能な構成としても良く。これらＡＴＭ機１４及び回収機１５についても、搬送カセット１６を使用して紙幣を搬送しながら、搬送カセット１６の収納内訳情報を通知する移送元紙幣処理機又は移送先紙幣処理機として機能させるようにしても良い。

　また、搬送カセット１６(２６，５６)は、１個のテープリール方式の収納部を内蔵するようにしたが、図１７に示すように、複数個、例えば、２個のテープリール方式の収納部１６Ａ,１６Ｂを内蔵しても良い。この場合、搬送カセット１６は、各収納部１６Ａ，１６Ｂに正損区別して回収対象の指定金種の紙幣を収納するようにしても良い。

　また、上記実施例の釣銭機１２内の搬送カセット２６及び出納機１３内の搬送カセット５６では、回収対象の指定金種に応じて、金種毎の正損別にレインボー状態で紙幣を収納するようにしても良い。

　また、上記実施例の釣銭機１２内の還流スタッカ２５及び搬送カセット２６、出納機１３内の還流スタッカ５５及び搬送カセット５６は、指定金種の紙幣をテープに巻き付けて回収するテープリール方式を採用したが、指定金種の紙幣を順次積載する積載収納方式を採用するようにしても良い。

　また、上記実施例の釣銭機１２内の還流スタッカ２５では、正券及び損券を混在収納しているため、例えば、正券のみを投出しようとした場合、収納紙幣を順次繰り出して正券を投出すると共に、損券については他の還流スタッカ２５に一時的に移送する。そして、正券の投出が完了すると、他の還流スタッカ２５に一時的に移送した損券を元の還流スタッカ２５に戻すようにした。しかしながら、損券を他の還流スタッカ２５に一時的に移送するのではなく、搬送カセット１６に一時的に移送するようにしても良い。尚、このことは、還流スタッカ２５に限定するものではなく、搬送カセット２６は勿論のこと、出納機１３の還流スタッカ５５及び搬送カセット５６にも適用可能であることは言うまでもない。

　また、上記実施例の釣銭機１２内の還流スタッカ２５及び出納機１３内の還流スタッカ５５は、テープリール方式で正損混在の混在紙幣を収納するようにしたが、還流スタッカ２５（５５）毎に正券用及び損券用に分別しても良い。

　上記実施例では、銀行口座を利用した銀行口座取引、例えば、引出サービス、貸付サービスやキャッシュアウトサービス等を例に挙げて説明した。しかしながら、例えば、クレジット会社による貸付金額から商品金額を差し引いて釣銭紙幣を投出するサービスにも適用可能であることは言うまでもない。

　更に、上記実施例では、説明の便宜上、現金決済時の釣銭金額、銀行口座取引時の引出金額、貸付金額やキャッシュアウト金額が紙幣金種で賄える金額で説明したが、紙幣金種では賄えない端数が生じた場合には、硬貨処理部１２Ｂから、その端数を硬貨として投出することは言うまでもない。

　上記実施例では、補充先の現在の在高情報と、理想の在高情報とに基づき、当該補充先に補充すべき、金種及び正損別の紙幣枚数を補充内訳枚数として算出するようにしたが、現在の在高情報ではなく、過去の経験上の在高推移から予測する予測在高情報を使用して補充枚数を算出しても良い。

　以上、本発明の実施例について説明したが、本実施例によって本発明の技術的思想の範囲が限定されるものではなく、請求の範囲に記載した技術的思想の範囲を逸脱しない限り、各種様々な実施例が実施可能であることは言うまでもない。また、本実施例に記載した効果は、これに限定されるものではない。

　また、本実施例で説明した各種処理の内、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動で行うことも可能であることは勿論のこと、その逆に、手動で行われるものとして説明した処理の全部又は一部を自動で行うことも可能であることは言うまでもない。また、本実施例で説明した処理手順、制御手順、具体的名称、各種データやパラメータを含む情報についても、特記した場合を除き、適宜変更可能であることは言うまでもない。

　また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的に記載したものであって、必ずしも物理的に図示のように構成されるものではなく、その各装置の具体的な態様は図示のものに限縮されるものでは到底ないことは言うまでもない。

　さらに、各装置で行われる各種処理機能は、ＣＰＵ（Central　Processing　Unit）（又はＭＰＵ（Micro　Processing　Unit）、ＭＣＵ（Micro　Controller　Unit）等のマイクロ・コンピュータ）上、又は同ＣＰＵ（又はＭＰＵ、ＭＣＵ等のマイクロ・コンピュータ）で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。

　本発明の貨幣搬送システムでは、装置間で搬送カセットを使用して貨幣を移送する際、その搬送カセットの収納内訳情報を移送先に通知し、移送先では、搬送カセット内の貨幣を識別しなくても、その収納内訳情報に基づき、貨幣の金種区分及び正損区分を認識するため、例えば、店舗内で資金を搬送する店舗内資金管理システムに有用である。

　１２　釣銭機
　１３　出納機
　１４　ＡＴＭ機
　１５　回収機
　１６　搬送カセット
　２３　識別部
　２６　搬送カセット
　３３　制御部
　４３　記憶制御部
　４５　情報作成部
　４６　認識部
　５３　識別部
　５６　搬送カセット
　６３　制御部
　７３　記憶制御部
　７４　補充枚数算出部
　７５　在高情報取得部
　７６　認識部
　７７　情報作成部

Claims

　移送先貨幣処理装置と、移送元貨幣処理装置と、前記移送先貨幣処理装置及び前記移送元貨幣処理装置双方に対して着脱可能とし、前記移送元貨幣処理装置から前記移送先貨幣処理装置へ移送する貨幣を収納する搬送カセットとを有する貨幣移送システムであって、
　前記貨幣の金種区分及び、正券及び損券を区分する正損区分を識別する前記移送元貨幣処理装置側の識別部と、
　前記識別部の識別結果に基づき、前記搬送カセットに収納された貨幣毎の金種区分及び正損区分を管理する収納内訳情報を作成する前記移送元貨幣処理装置側の情報作成部と、
　前記情報作成部によって作成された前記搬送カセットの前記収納内訳情報を前記移送先貨幣処理装置に通知する通知部と、
　前記通知部によって通知された前記収納内訳情報を取得すると、この収納内訳情報に基づき、当該搬送カセットに収納された各貨幣の金種区分及び正損区分を認識する前記移送先貨幣処理装置側の認識部と
を有することを特徴とする貨幣移送システム。
　前記収納内訳情報は、
　前記搬送カセット内に収納する貨幣を識別するために、当該貨幣の収納位置を識別する収納位置識別情報を含むことを特徴とする請求項１記載の貨幣移送システム。
　前記収納内訳情報は、
　前記搬送カセット内に収納する貨幣を識別するために、当該貨幣の記番号情報を含むことを特徴とする請求項１記載の貨幣移送システム。
　前記搬送カセットは、
　特定金種の正券及び損券に区別して収納する、少なくとも２個の収納部を有することを特徴とする請求項１～３の何れか一つに記載の貨幣移送システム。
　前記通知部は、
　前記移送先貨幣処理装置及び前記移送元貨幣処理装置間を通信接続するネットワーク経由で、前記搬送カセットの前記収納内訳情報を前記移送先貨幣処理装置に通知することを特徴とする請求項１～４の何れか一つに記載の貨幣移送システム。
　前記通知部は、
　前記搬送カセットに備えた、前記収納内訳情報を記憶した記憶媒体経由で、当該搬送カセットの前記収納内訳情報を前記移送先貨幣処理装置に通知することを特徴とする請求項１～４の何れか一つに記載の貨幣移送システム。
　前記移送先貨幣処理装置は、
　店舗内の出納機に相当し、
　前記移送元貨幣処理装置は、
　店舗内の釣銭機に相当することを特徴とする請求項１～６の何れか一つに記載の貨幣移送システム。
　移送先貨幣処理装置と、移送元貨幣処理装置と、前記移送先貨幣処理装置及び前記移送元貨幣処理装置双方に対して着脱可能とし、前記移送元貨幣処理装置から前記移送先貨幣処理装置へ移送する貨幣を収納する搬送カセットとを有する貨幣移送システムの貨幣移送方法であって、
　前記貨幣の金種区分及び、正券及び損券を区分する正損区分を識別する前記移送元貨幣処理装置側の識別ステップと、
　前記識別ステップの識別結果に基づき、前記搬送カセットに収納された貨幣毎の金種区分及び正損区分を管理する収納内訳情報を作成する前記移送元貨幣処理装置側の情報作成ステップと、
　前記情報作成ステップによって作成された前記搬送カセットの前記収納内訳情報を前記移送先貨幣処理装置に通知する通知ステップと、
　前記通知ステップによって通知された前記収納内訳情報を取得すると、この収納内訳情報に基づき、当該搬送カセットに収納された各貨幣の金種区分及び正損区分を認識する前記移送先貨幣処理装置側の認識ステップと
を含むことを特徴とする貨幣移送システムの貨幣移送方法。
　移送先貨幣処理装置と、移送元貨幣処理装置と、前記移送先貨幣処理装置及び前記移送元貨幣処理装置双方に対して着脱可能とし、前記移送元貨幣処理装置から前記移送先貨幣処理装置へ移送する貨幣を収納する搬送カセットとを有する貨幣移送システムであって、
　前記貨幣の金種区分及び、新券及び旧券を区分する新旧区分を識別する前記移送元貨幣処理装置側の識別部と、
　前記識別部の識別結果に基づき、前記搬送カセットに収納された貨幣毎の金種区分及び新旧区分を管理する収納内訳情報を作成する前記移送元貨幣処理装置側の情報作成部と、
　前記情報作成部によって作成された前記搬送カセットの前記収納内訳情報を前記移送先貨幣処理装置に通知する通知部と、
　前記通知部によって通知された前記収納内訳情報を取得すると、この収納内訳情報に基づき、当該搬送カセットに収納された各貨幣の金種区分及び新旧区分を認識する前記移送先貨幣処理装置側の認識部と
を有することを特徴とする貨幣移送システム。
　移送先貨幣処理装置及び移送元貨幣処理装置双方に対して着脱可能にする装着インタフェースと、
　前記移送元貨幣処理装置から前記移送先貨幣処理装置へ移送する特定金種の貨幣を正券及び損券に区別して収納する、少なくとも２個の収納部と
を有することを特徴とする貨幣処理装置用搬送カセット。
　移送先貨幣処理装置と、移送元貨幣処理装置と、前記移送先貨幣処理装置及び前記移送元貨幣処理装置双方に対して着脱可能とし、前記移送元貨幣処理装置から前記移送先貨幣処理装置へ移送する貨幣を収納する搬送カセットとを有する貨幣移送システムであって、
　前記移送先貨幣処理装置で管理する金種区分及び正損区分毎の保有貨幣の在高情報を取得する前記移送元貨幣処理装置側の在高情報取得部と、
　前記移送先貨幣処理装置の在高情報に基づき、前記移送先貨幣処理装置に補充する前記貨幣の補充内訳数を算出する前記移送元貨幣処理装置側の内訳算出部と、
　前記内訳算出部にて算出した前記補充内訳数に基づき、前記移送先貨幣処理装置に補充する貨幣を前記搬送カセット内に収納する前記移送元貨幣処理装置側の制御部と
を有することを特徴とする貨幣移送システム。
　前記内訳算出部は、
　前記移送先貨幣処理装置のキャッシュアウト機能の有無に基づき、前記移送先貨幣処理装置に補充する貨幣の補充内訳数を算出することを特徴とする請求項１１記載の貨幣移送システム。
　前記貨幣の金種区分及び、正券及び損券を区分する正損区分を識別する前記移送元貨幣処理装置側の識別部と、
　前記識別部の識別結果に基づき、前記搬送カセットに収納された貨幣毎の金種区分及び正損区分を管理する収納内訳情報を作成する前記移送元貨幣処理装置側の情報作成部と、
　前記情報作成部によって作成された前記搬送カセットの前記収納内訳情報を前記移送先貨幣処理装置に通知する通知部と、
　前記通知部によって通知された前記収納内訳情報を取得すると、この収納内訳情報に基づき、当該搬送カセットに収納された各貨幣の金種区分及び正損区分を認識する前記移送先貨幣処理装置側の認識部と
を有することを特徴とする請求項１１又は１２に記載の貨幣移送システム。
　前記移送先貨幣処理装置は、
　店舗内の釣銭機に相当し、
　前記移送元貨幣処理装置は、
　店舗内の出納機に相当することを特徴とする請求項１１～１３の何れか一つに記載の貨幣移送システム。
　移送先貨幣処理装置と、移送元貨幣処理装置と、前記移送先貨幣処理装置及び前記移送元貨幣処理装置双方に対して着脱可能とし、前記移送元貨幣処理装置から前記移送先貨幣処理装置へ移送する貨幣を収納する搬送カセットとを有する貨幣移送システムの貨幣移送方法であって、
　前記移送先貨幣処理装置で管理する金種区分及び正損区分毎の保有貨幣の在高情報を取得する前記移送元貨幣処理装置側の在高情報取得ステップと、
　前記移送先貨幣処理装置の在高情報に基づき、前記移送先貨幣処理装置に補充する前記貨幣の補充内訳数を算出する前記移送元貨幣処理装置側の内訳算出ステップと、
　前記内訳算出ステップにて算出した前記補充内訳数に基づき、前記移送先貨幣処理装置に補充する貨幣を前記搬送カセット内に収納する前記移送元貨幣処理装置側の制御ステップと
を含むことを特徴とする貨幣移送システムの貨幣移送方法。