WO2011108289A1 - 弾性波フィルタ装置 - Google Patents
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Abstract
帯域通過フィルタ部と、帯域通過フィルタ部に接続されている帯域阻止フィルタ部とを備える弾性波フィルタ装置において、通過帯域における挿入損失を小さくすると共に、阻止帯域における減衰量を大きくする。 弾性波フィルタ装置1は、通過帯域と、通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域とを有する弾性波フィルタ装置であって、入力端子2と出力端子3との間に直列に接続されている帯域通過フィルタ部10及び第1の帯域阻止フィルタ部20を備えている。第1の帯域阻止フィルタ部20の第1の並列腕共振子P1は、阻止帯域に位置する共振周波数を有する。第2の並列腕共振子P2は、阻止帯域に位置し、第1の並列腕共振子P1の共振周波数よりも高い共振周波数を有する。第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値は、第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値よりも大きい。
Description
本発明は、弾性波フィルタ装置に関する。特に、本発明は、帯域通過フィルタ部と、帯域通過フィルタ部に接続されている帯域阻止フィルタ部とを備える弾性波フィルタ装置に関する。
従来、携帯電話機などの通信機器におけるRF回路に搭載されるフィルタ装置として、弾性波フィルタ装置が使用されている。弾性波フィルタ装置は、弾性表面波、弾性境界波、バルク波などの弾性波を利用するフィルタ装置である。弾性波フィルタ装置には、ある周波数帯域において信号を通過させる機能を有する弾性波帯域通過フィルタ装置や、ある周波数帯域において信号を通過させない機能を有する弾性波帯域阻止フィルタ装置などがある。
例えば、下記の特許文献1には、複数の並列腕弾性波共振子と、少なくとも一つの直列インダクタとからなるラダー型の弾性波帯域阻止フィルタ部を有する弾性波フィルタ装置が開示されている。特許文献1には、上記弾性波帯域阻止フィルタ部において、複数の並列腕弾性波共振子の共振周波数を異ならせることで、阻止帯域を広くすることが記載されている。
上記特許文献1には、上記弾性波帯域阻止フィルタ部を他の弾性波フィルタ部と組み合わせることも記載されている。その一例として、例えば、上記弾性波帯域阻止フィルタ部と、弾性波帯域通過フィルタ部とを組み合わせることも考えられる。図15に、弾性波帯域阻止フィルタ部と、弾性波帯域通過フィルタ部とを備える弾性波フィルタ装置の一例を示す。
図15に示すように、弾性波フィルタ装置100は、弾性波帯域通過フィルタ部110と、弾性波帯域阻止フィルタ部120とを有する。弾性波帯域通過フィルタ部110と、弾性波帯域阻止フィルタ部120とは、入力端子101と出力端子102との間に直列に接続されている。ここで、弾性波フィルタ装置100は、通過帯域と、通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域とを有する。通過帯域は、主に弾性波帯域通過フィルタ部110により形成されている。阻止帯域は、主に弾性波帯域阻止フィルタ部120により形成されている。このような構成にすることで、通過帯域よりも高域側における帯域外減衰量を大きくすることができる。図15に示すように、弾性波帯域阻止フィルタ部120は、第1の並列腕弾性波共振子P101と、直列インダクタL100と、第2の並列腕弾性波共振子P102とにより構成されている、ラダー型のフィルタ部である。
上記特許文献1に記載のように、第1の並列腕弾性波共振子P101の共振周波数f101と、第2の並列腕弾性波共振子P102の共振周波数f102とを異ならせることで、通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域を広くすることができる。しかしながら、弾性波フィルタ装置100では、通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域における減衰量を十分に大きくするのが困難である場合があった。
阻止帯域における減衰量を大きくする方法としては、弾性波帯域阻止フィルタ部120を構成している第1及び第2の並列腕弾性波共振子P101,P102のインピーダンスを小さくすることが考えられる。これは、第1及び第2の並列腕弾性波共振子P101,P102のインピーダンスを小さくした場合、並列腕を介してグラウンド電位に信号が流れやすくなるためである。
しかしながら、第1及び第2の並列腕弾性波共振子P101,P102のインピーダンスを小さくすると、通過帯域における高域側の挿入損失が悪化する場合があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、帯域通過フィルタ部と、帯域通過フィルタ部に接続されている帯域阻止フィルタ部とを備える弾性波フィルタ装置において、通過帯域における挿入損失を小さくすると共に、阻止帯域における減衰量を大きくすることにある。
本発明に係る第1の弾性波フィルタ装置は、通過帯域と、通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域とを有する弾性波フィルタ装置であって、入力端子と、出力端子と、帯域通過フィルタ部と、第1の帯域阻止フィルタ部とを備えている。帯域通過フィルタ部は、入力端子と出力端子との間に直列に接続されている。第1の帯域阻止フィルタ部は、入力端子と出力端子との間に直列に接続されている。第1の帯域阻止フィルタ部は、直列腕と、少なくともひとつのインダクタと、複数の並列腕と、複数の並列腕のそれぞれに設けられている複数の並列腕共振子とを有する。直列腕は、入力端子と出力端子との間に直列に接続されている。少なくともひとつのインダクタは、直列腕において直列に接続されている。複数の並列腕は、直列腕とグラウンド電位との間に接続されている。複数の並列腕共振子は、第1の並列腕共振子と、第2の並列腕共振子とを含む。第1の並列腕共振子は、阻止帯域に位置する共振周波数を有する。第2の並列腕共振子は、阻止帯域に位置し、第1の並列腕共振子の共振周波数よりも高い共振周波数を有する。第1の並列腕共振子のインピーダンス値は、第2の並列腕共振子のインピーダンス値よりも大きい。
本発明に係る第2の弾性波フィルタ装置は、通過帯域と、通過帯域よりも低域側に位置する阻止帯域とを有する弾性波フィルタ装置であって、入力端子と、出力端子と、帯域通過フィルタ部と、第1の帯域阻止フィルタ部とを備えている。帯域通過フィルタ部は、入力端子と出力端子との間に直列に接続されている。第1の帯域阻止フィルタ部は、入力端子と出力端子との間に直列に接続されている。第1の帯域阻止フィルタ部は、直列腕と、少なくともひとつのインダクタと、複数の並列腕と、複数の並列腕のそれぞれに設けられている複数の並列腕共振子とを有する。直列腕は、入力端子と出力端子との間に直列に接続されている。少なくともひとつのインダクタは、直列腕において直列に接続されている。複数の並列腕は、直列腕とグラウンド電位との間に接続されている。複数の並列腕共振子は、第1の並列腕共振子と、第2の並列腕共振子とを含む。第1の並列腕共振子は、阻止帯域に位置する共振周波数を有する。第2の並列腕共振子は、阻止帯域に位置し、第1の並列腕共振子の共振周波数よりも高い共振周波数を有する。第2の並列腕共振子のインピーダンス値は、第1の並列腕共振子のインピーダンス値よりも大きい。
本発明に係る第1,第2の弾性波フィルタ装置のある特定の局面では、第1の帯域阻止フィルタ部は、第1のグラウンド電極と、第2のグラウンド電極とをさらに有する。第1のグラウンド電極には、第1の並列腕共振子が設けられている並列腕が接続されている。第1のグラウンド電極は、グラウンド電位に接続される。第2のグラウンド電極には、第2の並列腕共振子が設けられている並列腕が接続されている。第2のグラウンド電極は、グラウンド電位に接続される。第1のグラウンド電極と第2のグラウンド電極とは、別個に設けられている。この構成によれば、阻止帯域における減衰量をより大きくすることができる。
本発明に係る第1,第2の弾性波フィルタ装置の他の特定の局面では、弾性波フィルタ装置は、第2の帯域阻止フィルタ部をさらに備えている。第2の帯域阻止フィルタ部は、入力端子と出力端子との間に直列に接続されている。第2の帯域阻止フィルタ部は、直列腕と、少なくともひとつのインダクタと、複数の並列腕と、複数の並列腕のそれぞれに設けられている複数の並列腕共振子とを有する。直列腕は、入力端子と出力端子との間に直列に接続されている。少なくともひとつのインダクタは、直列腕において直列に接続されている。複数の並列腕は、直列腕とグラウンド電位との間に接続されている。この構成によれば、通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域における減衰量をより大きくし得る。
本発明に係る第1,第2の弾性波フィルタ装置の別の特定の局面では、入力端子と出力端子との間において、第1の帯域阻止フィルタ部が帯域通過フィルタ部の一方側に直列に接続されており、第2の帯域阻止フィルタ部が帯域通過フィルタ部の他方側に直列に接続されている。この構成によれば、弾性波フィルタ装置の小型化を図ることができる。
本発明に係る第1,第2の弾性波フィルタ装置のさらに他の特定の局面では、第1の帯域阻止フィルタ部の複数の並列腕共振子と、第2の帯域阻止フィルタ部の複数の並列腕共振子とは、互いに異なる共振周波数を有する。この構成によれば、通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域の帯域幅を広くすることができる。
本発明に係る第1,第2の弾性波フィルタ装置のさらに別の特定の局面では、第1の帯域阻止フィルタ部の複数の並列腕共振子と、第2の帯域阻止フィルタ部の複数の並列腕共振子とのうち、2つ以上の並列腕共振子の共振周波数が等しい。この構成によれば、通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域における減衰量をより大きくし得る。
本発明に係る第1の弾性波フィルタ装置では、相対的に共振周波数が低く、共振周波数が通過帯域に近い第1の並列腕共振子のインピーダンス値が、相対的に共振周波数が高く、共振周波数が通過帯域から遠い第2の並列腕共振子のインピーダンス値よりも大きい。このため、第1の並列腕共振子が設けられている並列腕を経由して、信号がグラウンド電位に流れることを抑制することができる。また、第2の並列腕共振子が設けられている並列腕を経由して、信号がグラウンド電位に流れやすくすることができる。従って、通過帯域における高域側の挿入損失を小さくすると共に、阻止帯域における減衰量を大きくすることができる。
本発明に係る第2の弾性波フィルタ装置では、相対的に共振周波数が高く、共振周波数が通過帯域に近い第2の並列腕共振子のインピーダンス値が相対的に共振周波数が低く、共振周波数が通過帯域から遠い第1の並列腕共振子のインピーダンス値よりも大きい。このため、第2の並列腕共振子が設けられている並列腕を経由して、信号がグラウンド電位に流れることを抑制することができる。また、第1の並列腕共振子が設けられている並列腕を経由して、信号がグラウンド電位に流れやすくすることができる。従って、通過帯域における低域側の挿入損失を小さくすると共に、阻止帯域における減衰量を大きくすることができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明を実施した好ましい形態について、図1に示す弾性波フィルタ装置1を例に挙げて説明する。但し、弾性波フィルタ装置1は、単なる例示である。本発明に係る弾性波フィルタ装置は、弾性波フィルタ装置1に何ら限定されない。
以下、本発明を実施した好ましい形態について、図1に示す弾性波フィルタ装置1を例に挙げて説明する。但し、弾性波フィルタ装置1は、単なる例示である。本発明に係る弾性波フィルタ装置は、弾性波フィルタ装置1に何ら限定されない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波フィルタ装置1の等価回路図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波フィルタ装置1における帯域通過フィルタ部10の等価回路図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波フィルタ装置1の略図的断面図である。
図1に示すように、弾性波フィルタ装置1は、入力端子2と、出力端子3とを備えている。入力端子2と出力端子3との間には、帯域通過フィルタ部10と、第1の帯域阻止フィルタ部20とが直列に接続されている。なお、本実施形態では、帯域通過フィルタ部10が第1の帯域阻止フィルタ部20よりも入力端子2側に配置されているが、帯域通過フィルタ部10は、第1の帯域阻止フィルタ部20よりも出力端子3側に配置されていてもよい。
弾性波フィルタ装置1は、通過帯域と、通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域とを有する。具体的には、本実施形態では、阻止帯域は、2.50GHz~2.57GHzである。通過帯域は、2.40GHz~2.48GHzである。通過帯域は、主に帯域通過フィルタ部10により形成されている。阻止帯域は、主に第1の帯域阻止フィルタ部20により形成されている。
図2に示すように、帯域通過フィルタ部10は、入力端子2に接続されている端子10aと、第1の帯域阻止フィルタ部20を介して出力端子3に接続されている端子10bとを備えている。端子10aと端子10bとの間には、縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部11が接続されている。縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部11は、並列接続されている2つの3IDT型縦結合共振子型弾性表面波フィルタ素子11a,11bを有する。端子10aと縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部11との間には、1ポート型弾性表面波共振子12が接続されている。1ポート型弾性表面波共振子12と端子10aとの間の接続点と、グラウンド電位との間には、整合用インダクタL3が接続されている。縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部11と端子10bとの間の接続点と、グラウンド電位との間には、整合用インダクタL4が接続されている。
なお、本発明において、帯域通過フィルタ部は、通過帯域を形成できるものである限り特に限定されない。帯域通過フィルタ部は、図2に示す構成以外のフィルタ部により構成されていてもよい。帯域通過フィルタ部は、例えば、ラダー型のフィルタ部により構成されていてもよい。
図1に示すように、第1の帯域阻止フィルタ部20は、ラダー型のフィルタ部である。第1の帯域阻止フィルタ部20は、入力端子2と出力端子3との間に直列に接続されている直列腕21を有する。具体的には、直列腕21は、図2に示す端子10bと出力端子3との間に接続されている。
直列腕21には、少なくともひとつのインダクタL1が設けられている。本実施形態では、具体的には、直列腕21には、ひとつのインダクタL1が設けられている。もっとも、直列腕21には、複数のインダクタが設けられていてもよい。その場合は、複数のインダクタは、直列腕21において直列に接続される。なお、本実施形態では、インダクタL1のインダクタンス値は、3nHである。
直列腕21とグラウンド電位との間には、複数の並列腕22a,22bが接続されている。具体的には、本実施形態では、直列腕21とグラウンド電位との間には、2つの並列腕22a,22bが接続されている。並列腕22aは、帯域通過フィルタ部10とインダクタL1との間の接続点と、グラウンド電位との間に接続されている。並列腕22bは、インダクタL1と出力端子3との間の接続点と、グラウンド電位との間に接続されている。並列腕22aには、第1の並列腕共振子P1が設けられている。並列腕22bには、第2の並列腕共振子P2が設けられている。並列腕22aには、グラウンド電位に接続されるグラウンド電極24aが設けられている。並列腕22bには、グラウンド電位に接続されるグラウンド電極24bが設けられている。本実施形態では、並列腕22a,22bは、グラウンド電極24a,24bにより、それぞれ別個にグラウンド電位と接続されている。すなわち、本実施形態では、第1及び第2の並列腕共振子P1,P2は、グラウンド電極24a,24bにより、それぞれ別個にグラウンド電位と接続されている。グラウンド電極24a,24bとが一体として設けられていることにより、並列腕22a,22bが共通化された上でグラウンド電位と接続されていてもよいが、並列腕22a,22bはそれぞれ別個にグラウンド電位と接続されていることが好ましい。並列腕22a,22bがそれぞれ別個にグラウンド電位と接続されていることにより、すなわち、第1及び第2の並列腕共振子P1,P2がそれぞれ別個にグラウンド電位と接続されていることにより、阻止帯域における減衰量を大きくすることができる。
本実施形態においては、第1の並列腕共振子P1と第2の並列腕共振子P2とは、弾性波共振子である。具体的には、第1の並列腕共振子P1と第2の並列腕共振子P2とは、弾性表面波共振子である。弾性表面波共振子は、一般的に、圧電基板と、圧電基板上に形成されており、互いに間挿し合っている一対のくし歯電極を有するIDT電極と、IDT電極が設けられている領域の弾性表面波伝搬方向の両側に配置されている反射器とを有する。
もっとも、第1及び第2の並列腕共振子P1,P2は、弾性表面波共振子でなくてもよい。第1及び第2の並列腕共振子P1,P2は、弾性境界波共振子であってもよいし、バルク波共振子であってもよい。
第1の並列腕共振子P1は、共振周波数f1を有する。第2の並列腕共振子P2は、共振周波数f2を有する。第1の並列腕共振子P1の共振周波数f1と第2の並列腕共振子P2の共振周波数f2とは、阻止帯域に位置する。第2の並列腕共振子P2の共振周波数f2は、第1の並列腕共振子P1の共振周波数f1よりも高い。具体的には、本実施形態では、第1の並列腕共振子P1の共振周波数f1は、2.5GHzである。第2の並列腕共振子P2の共振周波数f2は、2.507GHzである。
第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値をz1とし、第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値をz2とする。第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1は、第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2よりも大きい。すなわち、相対的に共振周波数が低い第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1は、相対的に共振周波数が高い第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2よりも大きい。
次に、図3を主として参照しながら、本実施形態の弾性波フィルタ装置1の具体的構成について説明する。図3に示すように、弾性波フィルタ装置1は、弾性波フィルタチップ30を有する。弾性波フィルタチップ30は、圧電基板31と、圧電基板31の上に形成されている電極構造32とを有する。この電極構造32により、帯域通過フィルタ部10の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部11及び1ポート型弾性表面波共振子12と、第1の帯域阻止フィルタ部20の第1及び第2の並列腕共振子P1,P2とが構成されている。すなわち、本実施形態では、帯域通過フィルタ部10の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部11及び1ポート型弾性表面波共振子12と、第1の帯域阻止フィルタ部20の第1及び第2の並列腕共振子P1,P2とは、同一圧電基板上に形成されている。弾性波フィルタチップ30は、実装基板33上にフリップチップボンディングされている。弾性波フィルタチップ30は、実装基板33上に形成されている封止樹脂34により封止されている。インダクタL1及び整合用インダクタL3,L4は、圧電基板31上に形成された配線、実装基板33に形成された配線、チップ型インダクタのいずれかにより構成されている。インダクタL1及び整合用インダクタL3,L4のいずれかがチップ型インダクタによって構成されている場合には、チップ型インダクタは実装基板33上または実装基板33が搭載される回路基板上のいずれかに実装される。また、グラウンド電極24a,24bは実装基板33に形成されている。
以上説明したように、本実施形態では、相対的に共振周波数が低い第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1は、相対的に共振周波数が高い第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2よりも大きい。換言すれば、第1の並列腕共振子P1と第2の並列腕共振子P2とが、f1<f2,z1>z2の関係を満たすように構成されている。すなわち、通過帯域に近い共振周波数を有する第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1が、通過帯域から遠い共振周波数を有する第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2よりも大きくされている。本実施形態では、第1の並列腕共振子P1の共振周波数f1が、第2の並列腕共振子P2の共振周波数f2と異ならされているため、阻止帯域を広くすることができる。
また、通過帯域に近い共振周波数を有する第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1が大きいため、第1の並列腕共振子P1が設けられている並列腕22aを経由して、信号がグラウンド電位に流れにくい。すなわち、通過帯域に近い、第1の並列腕共振子P1の共振周波数f1付近の信号が、グラウンド電位に流れにくい。よって、通過帯域における高域側の挿入損失を小さくすることができる。
さらに、通過帯域から遠い共振周波数を有する第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2が小さいため、第2の並列腕共振子P2が設けられている並列腕22bを経由して、信号がグラウンド電位に流れやすい。すなわち、第2の並列腕共振子P2の共振周波数f2付近の信号が、グラウンド電位に流れやすい。従って、阻止帯域における減衰量を大きくすることができる。
なお、本明細書において、「通過帯域における高域側」とは、通過帯域内であって、高域側に位置する部分のことを意味する。「通過帯域よりも高域側」とは、通過帯域よりも高域側であって、通過帯域近傍に位置する部分のことを意味する。
以下、この効果について、実施例及び比較例に基づいて詳細に説明する。
上記第1の実施形態に係る弾性波フィルタ装置1を実施例1として用意した。第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1と第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2とをz1<z2の関係とした点以外は実施例1の弾性波フィルタ装置1と同じ構成を有する弾性波フィルタ装置を比較例1として用意した。第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1と第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2とをz1=z2の関係とした点以外は実施例1の弾性波フィルタ装置1と同じ構成を有する弾性波フィルタ装置を比較例2として用意した。なお、比較例2の弾性波フィルタ装置では、第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1が実施例1の弾性波フィルタ装置1と同じ大きさとされており、第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2が実施例1の弾性波フィルタ装置1よりも大きくされていることにより、第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1と第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2とがz1=z2の関係とされている。
図4~図6に、実施例1の弾性波フィルタ装置1の周波数特性と、比較例1の弾性波フィルタ装置の周波数特性とを示す。図5は、図4における領域Aを拡大して示したものである。図6は、図4における領域Bを拡大して示したものである。
図4及び図5から明らかなように、通過帯域における高域側の挿入損失は、f1<f2,z1>z2の関係である実施例1の弾性波フィルタ装置1の方が、f1<f2,z1<z2の関係である比較例1の弾性波フィルタ装置よりも小さい。実施例1の弾性波フィルタ装置1では、通過帯域に近い共振周波数を有する第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1が大きいため、通過帯域における高域側の挿入損失が小さくなっている。一方、比較例1の弾性波フィルタ装置では、通過帯域に近い共振周波数を有する第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1が小さいため、通過帯域における高域側の挿入損失が大きくなっている。また、通過帯域から減衰帯域への移行領域における急峻性は、f1<f2,z1>z2の関係である実施例1の弾性波フィルタ装置1の方が、f1<f2,z1<z2の関係である比較例1の弾性波フィルタ装置よりも高い。
図4及び図6から明らかなように、通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域における減衰量は、f1<f2,z1>z2の関係である実施例1の弾性波フィルタ装置1の方が、f1<f2,z1<z2の関係である比較例1の弾性波フィルタ装置よりも大きい。実施例1の弾性波フィルタ装置1では、通過帯域から遠い共振周波数を有する第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2が小さいため、阻止帯域における減衰量が大きくなっている。一方、比較例1の弾性波フィルタ装置では、通過帯域から遠い共振周波数を有する第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2が大きいため、阻止帯域における減衰量が小さくなっている。
図7~図9に、実施例1の弾性波フィルタ装置1の周波数特性と、比較例2の弾性波フィルタ装置の周波数特性とを示す。図8は、図7における領域Cを拡大して示したものである。図9は、図7における領域Dを拡大して示したものである。
図7及び図8から明らかなように、通過帯域における高域側の挿入損失は、f1<f2,z1>z2の関係である実施例1の弾性波フィルタ装置1とf1<f2,z1=z2の関係である比較例2の弾性波フィルタ装置とで、ほぼ同じである。実施例1の弾性波フィルタ装置1では、通過帯域に近い共振周波数を有する第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1が大きいため、通過帯域における高域側の挿入損失が小さくなっている。一方、比較例2の弾性波フィルタ装置においても、通過帯域に近い共振周波数を有する第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1が大きいため、通過帯域における高域側の挿入損失が小さくなっている。また、通過帯域から減衰帯域への移行領域における急峻性も、f1<f2,z1>z2の関係である実施例1の弾性波フィルタ装置1とf1<f2,z1=z2の関係である比較例2の弾性波フィルタ装置とで、ほぼ同じである。
図7及び図9から明らかなように、通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域における減衰量は、f1<f2,z1>z2の関係である実施例1の弾性波フィルタ装置1の方が、f1<f2,z1=z2の関係である比較例2の弾性波フィルタ装置よりも大きい。実施例1の弾性波フィルタ装置1では、通過帯域から遠い共振周波数を有する第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2が小さいため、阻止帯域における減衰量が大きくなっている。一方、比較例2の弾性波フィルタ装置では、通過帯域から遠い共振周波数を有する第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2が大きいため、阻止帯域における減衰量が小さくなっている。
以上の結果から、相対的に共振周波数が低い第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1を、相対的に共振周波数が高い第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2よりも大きくすることにより、すなわち、通過帯域に近い共振周波数を有する第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1を、通過帯域から遠い共振周波数を有する第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2よりも大きくすることにより、通過帯域における高域側の挿入損失を小さくすることができ、通過帯域から減衰帯域への移行領域における急峻性を高くすることができ、かつ通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域における減衰量を大きくすることができることが分かる。
以下、本発明を実施した好ましい形態の他の例について説明する。なお、上記第1の実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
(第2の実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態に係る弾性波フィルタ装置1aの等価回路図である。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る弾性波フィルタ装置1aの等価回路図である。
図10に示すように、本実施形態の弾性波フィルタ装置1aは、第2の帯域阻止フィルタ部40を更に有する点において、上記第1の実施形態の弾性波フィルタ装置1と異なっている。ここでは、第2の帯域阻止フィルタ部40について詳細に説明し、他の部分については、上記第1の実施形態の記載を援用する。また、本実施形態においても、図2及び図3を上記第1の実施形態と共通に参照する。
本実施形態の弾性波フィルタ装置1aでは、第2の帯域阻止フィルタ部40が、入力端子2と帯域通過フィルタ部10との間に接続されている。すなわち、帯域通過フィルタ部10は、第1の帯域阻止フィルタ部20と第2の帯域阻止フィルタ部40との間に接続されている。すなわち、入力端子2と出力端子3との間において、第1の帯域阻止フィルタ部20が帯域通過フィルタ部10の一方側に直列に接続されており、第2の帯域阻止フィルタ部40が帯域通過フィルタ部10の他方側に直列に接続されている。弾性波フィルタ装置1aは、上記第1の実施形態の弾性波フィルタ装置1と同様に、通過帯域と、通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域とを有している。通過帯域は、主に帯域通過フィルタ部10により形成されている。阻止帯域は、主に第1の帯域阻止フィルタ部20と第2の帯域阻止フィルタ部40とにより形成されている。
第2の帯域阻止フィルタ部40は、第1の帯域阻止フィルタ部20と実質的に同様の構成を有する。具体的には、図10に示すように、第2の帯域阻止フィルタ部40は、ラダー型のフィルタ部である。第2の帯域阻止フィルタ部40は、入力端子2と出力端子3との間において直列に接続されている直列腕41を有する。具体的には、直列腕41は、入力端子2と図2に示す端子10aとの間に接続されている。直列腕41には、少なくともひとつのインダクタL2が設けられている。本実施形態では、具体的には、直列腕41には、ひとつのインダクタL2が設けられている。もっとも、直列腕41には、複数のインダクタが設けられていてもよい。その場合は、複数のインダクタは、直列腕41において直列に接続される。
直列腕41とグラウンド電位との間には、複数の並列腕22c,22dが接続されている。具体的には、本実施形態では、直列腕41とグラウンド電位との間には、2つの並列腕22c,22dが接続されている。並列腕22cは、入力端子2とインダクタL2との間の接続点と、グラウンド電位との間に接続されている。並列腕22dは、インダクタL2と帯域通過フィルタ部10との間の接続点と、グラウンド電位との間に接続されている。
並列腕22cには、第3の並列腕共振子P3が設けられている。並列腕22dには、第4の並列腕共振子P4が設けられている。本実施形態においては、第3の並列腕共振子P3と第4の並列腕共振子P4とは、第1及び第2の並列腕共振子P1,P2と同様に、弾性表面波共振子である。そして、第3及び第4の並列腕共振子P3,P4も図3に示す圧電基板31上に形成されている。もっとも、第3及び第4の並列腕共振子P3,P4は、弾性表面波共振子でなくてもよい。第3及び第4の並列腕共振子P3,P4は、弾性境界波共振子であってもよいし、バルク波共振子であってもよい。
並列腕22cには、グラウンド電位に接続されるグラウンド電極24cが設けられている。並列腕22dには、グラウンド電位に接続されるグラウンド電極24dが設けられている。並列腕22c,22dは、グラウンド電極24c,24dにより、それぞれ別個にグラウンド電位と接続されている。すなわち、第3及び第4の並列腕共振子P3,P4は、グラウンド電極24c,24dにより、それぞれ別個にグラウンド電位と接続されている。本実施形態では、グラウンド電極24a~24dのそれぞれが別個に設けられており、並列腕22a~22dは、グラウンド電極24a~24dにより、それぞれ別個にグラウンド電位と接続されている。すなわち、第1~第4の並列腕共振子P1~P4は、グラウンド電極24a~24dにより、それぞれ別個にグラウンド電位と接続されている。グラウンド電極24c,24dは、グラウンド電極24a,24bと同様に実装基板33に形成されている。
インダクタL2は、インダクタL1及び整合用インダクタL3,L4と同様に、圧電基板31上に形成された配線、実装基板33に形成された配線、チップ型インダクタのいずれかにより構成されている。インダクタL2がチップ型インダクタによって構成されている場合には、チップ型インダクタは実装基板33上または実装基板33が搭載される回路基板上のいずれかに実装される。
第3の並列腕共振子P3は、共振周波数f3を有する。第4の並列腕共振子P4は、共振周波数f4を有する。第3の並列腕共振子P3の共振周波数f3と第4の並列腕共振子P4の共振周波数f4とは、阻止帯域に位置する。第4の並列腕共振子P4の共振周波数f4は、第3の並列腕共振子P3の共振周波数f3よりも高い。
第3の並列腕共振子P3のインピーダンス値をz3とし、第4の並列腕共振子P4のインピーダンス値をz4とする。第3の並列腕共振子P3のインピーダンス値z3は、第4の並列腕共振子P4のインピーダンス値z4よりも大きい。すなわち、相対的に共振周波数が低い第3の並列腕共振子P3のインピーダンス値z3は、相対的に共振周波数が高い第4の並列腕共振子P4のインピーダンス値z4よりも大きい。つまり、通過帯域に近い共振周波数を有する第3の並列腕共振子P3のインピーダンス値z3が、通過帯域から遠い共振周波数を有する第4の並列腕共振子P4のインピーダンス値z4よりも大きくされている。具体的には、第3の並列腕共振子P3の共振周波数f3におけるインピーダンス値z3は、第4の並列腕共振子P4の共振周波数f4におけるインピーダンス値z4よりも大きい。
本実施形態のように、帯域阻止フィルタ部を複数設けることにより、阻止帯域における減衰量をより大きくし得る。例えば、第1の並列腕共振子P1の共振周波数f1と、第3の並列腕共振子P3の共振周波数f3とを等しくしたり、第2の並列腕共振子P2の共振周波数f2と、第4の並列腕共振子P4の共振周波数f4とを等しくするなど、複数の並列腕共振子のうち、2つ以上の並列腕共振子の共振周波数を等しくすることにより、阻止帯域における減衰量をより大きくできる。
また、本実施形態のように、帯域阻止フィルタ部を複数設けることにより、阻止帯域をより広くし得る。例えば、第1の並列腕共振子P1の共振周波数f1と、第2の並列腕共振子P2の共振周波数f2と、第3の並列腕共振子P3の共振周波数f3と、第4の並列腕共振子P4の共振周波数f4とを全て異ならせることにより、阻止帯域を広くできる。
本実施形態においては、第1~第4の並列腕共振子P1~P4のうち、少なくとも1つの並列腕共振子の共振周波数が他の並列腕共振子の共振周波数と異なっており、通過帯域に近い共振周波数を有する並列腕共振子ほど、大きなインピーダンス値を有することが好ましい。そうすることにより、通過帯域における高域側の挿入損失を小さくすることができ、通過帯域から減衰帯域への移行領域における急峻性を高くすることができ、かつ通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域における減衰量を大きくすることができる。
なお、第2の帯域阻止フィルタ部40を、第1の帯域阻止フィルタ部20と同様に、帯域通過フィルタ部10と出力端子3との間に配置することも考えられる。しかしながら、その場合は、第1の帯域阻止フィルタ部20と第2の帯域阻止フィルタ部40との間に、整合用のインダクタを直列に接続する必要がある。このため、弾性波フィルタ装置が大型化する。
一方、本実施形態では、第1の帯域阻止フィルタ部20と第2の帯域阻止フィルタ部40との間に、帯域通過フィルタ部10が接続されている。この場合、帯域通過フィルタ部10が整合回路としても機能するため、上記整合用のインダクタを接続する必要はなくなる。よって、弾性波フィルタ装置の小型化を図ることができる。
(第3~第5の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態に係る弾性波フィルタ装置1bの等価回路図である。図12は、本発明の第4の実施形態に係る弾性波フィルタ装置1cの等価回路図である。図13は、本発明の第5の実施形態に係る弾性波フィルタ装置1dの等価回路図である。
図11は、本発明の第3の実施形態に係る弾性波フィルタ装置1bの等価回路図である。図12は、本発明の第4の実施形態に係る弾性波フィルタ装置1cの等価回路図である。図13は、本発明の第5の実施形態に係る弾性波フィルタ装置1dの等価回路図である。
図11~図13に示す弾性波フィルタ装置1b~1dは、上記第2の実施形態の弾性波フィルタ装置1aと並列腕22a~22dに設けられているグラウンド電極の態様のみが異なる。ここでは、第3~第5の実施形態における並列腕22a~22dに設けられているグラウンド電極の態様のみについて説明する。その他については、上記第1及び第2の実施形態の記載を援用する。
図11に示すように、第3の実施形態の弾性波フィルタ装置1bでは、並列腕22a~22dの全てが、グラウンド電極24eにより、共通化された上でグラウンド電位と接続されている。すなわち、第1~第4の並列腕共振子P1~P4は、グラウンド電極24eにより、共通化された上でグラウンド電位と接続されている。グラウンド電極24eは、実装基板33に形成されている。よって、弾性波フィルタ装置1bでは、並列腕22a~22dは実装基板33において共通に接続されている。
図12に示すように、第4の実施形態の弾性波フィルタ装置1cでは、第1の帯域阻止フィルタ部20の並列腕22a,22bがグラウンド電極24fにより共通化された上でグラウンド電位と接続されており、第2の帯域阻止フィルタ部40の並列腕22c,22dがグラウンド電極24fとは別個に設けられたグラウンド電極24gにより共通化された上でグラウンド電位と接続されている。すなわち、第1の帯域阻止フィルタ部20の第1及び第2の並列腕共振子P1,P2がグラウンド電極24fにより共通化された上でグラウンド電位と接続されており、第2の帯域阻止フィルタ部40の第3及び第4の並列腕共振子P3,P4がグラウンド電極24fとは別個に設けられたグラウンド電極24gにより共通化された上でグラウンド電位と接続されている。グラウンド電極24f,24gは、実装基板33に形成されている。よって、弾性波フィルタ装置1cでは、並列腕22a,22bは実装基板33において共通に接続されており、並列腕22c,22dは実装基板33において共通に接続されている。
図13に示すように、第5の実施形態の弾性波フィルタ装置1dでは、第2の帯域阻止フィルタ部40の並列腕22cはグラウンド電極24cによりグラウンド電位と接続されており、残りの並列腕22a,22b,22dはグラウンド電極24cとは別個に設けられたグラウンド電極24hにより、共通化された上でグラウンド電位と接続されている。すなわち、第2の帯域阻止フィルタ部40の第3の並列腕共振子P3がグラウンド電極24cによりグラウンド電位と接続されており、第1の帯域阻止フィルタ部20の第1及び第2の並列腕共振子P1,P2と第2の帯域阻止フィルタ部40の第4の並列腕共振子P4とがグラウンド電極24cとは別個に設けられたグラウンド電極24hにより共通化された上でグラウンド電位と接続されている。グラウンド電極24c,24hは、実装基板33に形成されている。よって、弾性波フィルタ装置1dでは、並列腕22a,22b,22dは実装基板33において共通に接続されている。
なお、弾性波フィルタ装置1b~1dでは、複数の並列腕が実装基板33において共通に接続されているが、圧電基板31上において共通に接続されていてもよい。
図14に、第2~第5の実施形態に係る弾性波フィルタ装置の周波数特性を示す。なお、図14において、実線が、第2の実施形態の弾性波フィルタ装置1aの周波数特性である。一点鎖線が、第3の実施形態の弾性波フィルタ装置1bの周波数特性である。点線が、第4の実施形態の弾性波フィルタ装置1cの周波数特性である。二点鎖線が、第5の実施形態の弾性波フィルタ装置1dの周波数特性である。
第2~第5の実施形態においては、通過帯域は、2.40GHz~2.48GHzである。阻止帯域は、2.50GHz~2.57GHzである。阻止帯域は、通過帯域よりも高域側に位置する。第1の並列腕共振子P1の共振周波数f1は、2.50GHzである。第2の並列腕共振子P2の共振周波数f2は、2.507GHzである。第3の並列腕共振子P3の共振周波数f3は、2.54GHzである。第4の並列腕共振子P4の共振周波数f4は、2.57GHzである。第1~第4の並列腕共振子P1~P4の共振周波数f1~f4は、阻止帯域に位置する。第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1、第2の並列腕共振子P2のインピーダンス値z2、第3の並列腕共振子P3のインピーダンス値z3、第4の並列腕共振子P4のインピーダンス値z4は、z1>z2>z3>z4の関係にある。インダクタL1のインダクタンス値は、3nHである。インダクタL2のインダクタンス値は、3nHである。
上記のように、第2~第5の実施形態では、第1~第4の並列腕共振子P1~P4が、f1<f2<f3<f4,z1>z2>z3>z4の関係を満たすように構成されている。第1~第4の並列腕共振子P1~P4において、共振周波数が最も低い第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1は、第2~第4の並列腕共振子P2~P4のインピーダンス値z2~z4よりも大きい。すなわち、通過帯域に最も近い共振周波数を有する第1の並列腕共振子P1のインピーダンス値z1が、通過帯域から遠い共振周波数を有する第2~第4の並列腕共振子P2~P4のインピーダンス値z2~z4よりも大きくされている。
図14から明らかなように、並列腕22a~22dのうち、少なくともひとつの並列腕が他の並列腕とは異なるグラウンド電極により、グラウンド電位と接続されている構成を有する弾性波フィルタ装置1a,1c,1dは、並列腕22a~22dがグラウンド電極24eにより、共通化された上でグラウンド電位と接続されている構成を有する弾性波フィルタ装置1bよりも阻止帯域における減衰量が大きい。この結果から、複数の並列腕のうち、少なくともひとつの並列腕を他の並列腕が接続されているグラウンド電極とは別個に設けられたグラウンド電極に接続することにより、阻止帯域における減衰量を大きくできることが分かる。
また、弾性波フィルタ装置1dよりも、弾性波フィルタ装置1cの方が阻止帯域における減衰量が大きい。さらに、弾性波フィルタ装置1cよりも、弾性波フィルタ装置1aの方が阻止帯域における減衰量が大きい。この結果から、複数の並列腕のうち、グラウンド電極により、共通化された上でグラウンド電位と接続されている並列腕の本数が少ない方が好ましく、複数の並列腕の全てが別個のグラウンド電極によりグラウンド電位と接続されていることがより好ましいことが分かる。
(変形例)
上記第1の実施形態では、阻止帯域が通過帯域よりも高域側に位置し、第1の帯域阻止フィルタ部20は共振周波数f1及びインピーダンス値z1を有する第1の並列腕共振子P1と共振周波数f2及びインピーダンス値z2を有する第2の並列腕共振子P2とを有し、第1の並列腕共振子P1の共振周波数f1と第2の並列腕共振子P2の共振周波数f2とは阻止帯域に位置し、f1<f2かつz1>z2の関係である例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、阻止帯域が通過帯域よりも低域側に位置し、第1の帯域阻止フィルタ部20は共振周波数f1及びインピーダンス値z1を有する第1の並列腕共振子P1と共振周波数f2及びインピーダンス値z2を有する第2の並列腕共振子P2とを有し、第1の並列腕共振子P1の共振周波数f1と第2の並列腕共振子P2の共振周波数f2とは阻止帯域に位置し、f1<f2かつz1<z2の関係であってもよい。
上記第1の実施形態では、阻止帯域が通過帯域よりも高域側に位置し、第1の帯域阻止フィルタ部20は共振周波数f1及びインピーダンス値z1を有する第1の並列腕共振子P1と共振周波数f2及びインピーダンス値z2を有する第2の並列腕共振子P2とを有し、第1の並列腕共振子P1の共振周波数f1と第2の並列腕共振子P2の共振周波数f2とは阻止帯域に位置し、f1<f2かつz1>z2の関係である例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、阻止帯域が通過帯域よりも低域側に位置し、第1の帯域阻止フィルタ部20は共振周波数f1及びインピーダンス値z1を有する第1の並列腕共振子P1と共振周波数f2及びインピーダンス値z2を有する第2の並列腕共振子P2とを有し、第1の並列腕共振子P1の共振周波数f1と第2の並列腕共振子P2の共振周波数f2とは阻止帯域に位置し、f1<f2かつz1<z2の関係であってもよい。
また、第2の実施形態において、阻止帯域が通過帯域よりも低域側に位置し、第1の帯域阻止フィルタ部20は共振周波数f1及びインピーダンス値z1とを有する第1の並列腕共振子P1と共振周波数f2及びインピーダンス値z2とを有する第2の並列腕共振子P2とを有し、第2の帯域阻止フィルタ部40は共振周波数f3及びインピーダンス値z3とを有する第3の並列腕共振子P3と共振周波数f4及びインピーダンス値z4とを有する第4の並列腕共振子P4とを有し、第1~第4の並列腕共振子P1~P4の共振周波数f1~f4は阻止帯域に位置し、f1<f2、f3<f4かつz1<z2、z3<z4であってもよい。
すなわち、複数の並列腕共振子のうち、通過帯域に近い共振周波数を有する並列腕共振子ほど、大きなインピーダンス値を有する構成であればよい。
また、第1及び第2の帯域阻止フィルタ部20,40は、2つの並列腕共振子を有する構成であったが、さらに段数の多いラダー型のフィルタ部であってもよい。
L1,L2…インダクタ
L3,L4…整合用インダクタ
1,1a~1d…弾性波フィルタ装置
P1…第1の並列腕共振子
P2…第2の並列腕共振子
P3…第3の並列腕共振子
P4…第4の並列腕共振子
2…入力端子
3…出力端子
10…帯域通過フィルタ部
10a,10b…端子
11…縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部
11a,11b…3IDT型縦結合共振子型弾性表面波フィルタ素子
12…1ポート型弾性表面波共振子
20…第1の帯域阻止フィルタ部
21…直列腕
22a~22d…並列腕
24a~24h…グラウンド電極
30…弾性波フィルタチップ
31…圧電基板
32…電極構造
33…実装基板
34…封止樹脂
40…第2の帯域阻止フィルタ部
41…直列腕
L3,L4…整合用インダクタ
1,1a~1d…弾性波フィルタ装置
P1…第1の並列腕共振子
P2…第2の並列腕共振子
P3…第3の並列腕共振子
P4…第4の並列腕共振子
2…入力端子
3…出力端子
10…帯域通過フィルタ部
10a,10b…端子
11…縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部
11a,11b…3IDT型縦結合共振子型弾性表面波フィルタ素子
12…1ポート型弾性表面波共振子
20…第1の帯域阻止フィルタ部
21…直列腕
22a~22d…並列腕
24a~24h…グラウンド電極
30…弾性波フィルタチップ
31…圧電基板
32…電極構造
33…実装基板
34…封止樹脂
40…第2の帯域阻止フィルタ部
41…直列腕
Claims (7)
- 通過帯域と、
前記通過帯域よりも高域側に位置する阻止帯域とを有する弾性波フィルタ装置であって、
入力端子と、
出力端子と、
前記入力端子と前記出力端子との間に直列に接続されている帯域通過フィルタ部と、
前記入力端子と前記出力端子との間に直列に接続されている第1の帯域阻止フィルタ部とを備え、
前記第1の帯域阻止フィルタ部は、前記入力端子と前記出力端子との間に直列に接続されている直列腕と、前記直列腕において直列に接続されている少なくともひとつのインダクタと、前記直列腕とグラウンド電位との間に接続されている複数の並列腕と、前記複数の並列腕のそれぞれに設けられている複数の並列腕共振子とを有し、
前記複数の並列腕共振子は、前記阻止帯域に位置する共振周波数を有する第1の並列腕共振子と、前記阻止帯域に位置し、前記第1の並列腕共振子の共振周波数よりも高い共振周波数を有する第2の並列腕共振子とを含み、
前記第1の並列腕共振子のインピーダンス値は、前記第2の並列腕共振子のインピーダンス値よりも大きい、弾性波フィルタ装置。 - 通過帯域と、
前記通過帯域よりも低域側に位置する阻止帯域とを有する弾性波フィルタ装置であって、
入力端子と、
出力端子と、
前記入力端子と前記出力端子との間に直列に接続されている帯域通過フィルタ部と、
前記入力端子と前記出力端子との間に直列に接続されている第1の帯域阻止フィルタ部とを備え、
前記第1の帯域阻止フィルタ部は、前記入力端子と前記出力端子との間に直列に接続されている直列腕と、前記直列腕において直列に接続されている少なくともひとつのインダクタと、前記直列腕とグラウンド電位との間に接続されている複数の並列腕と、前記複数の並列腕のそれぞれに設けられている複数の並列腕共振子とを有し、
前記複数の並列腕共振子は、前記阻止帯域に位置する共振周波数を有する第1の並列腕共振子と、前記阻止帯域に位置し、前記第1の並列腕共振子の共振周波数よりも高い共振周波数を有する第2の並列腕共振子とを含み、
前記第2の並列腕共振子のインピーダンス値は、前記第1の並列腕共振子のインピーダンス値よりも大きい、弾性波フィルタ装置。 - 前記第1の帯域阻止フィルタ部は、前記第1の並列腕共振子が設けられている並列腕が接続されており、グラウンド電位に接続される第1のグラウンド電極と、前記第2の並列腕共振子が設けられている並列腕が接続されており、グラウンド電位に接続される第2のグラウンド電極とをさらに有し、
前記第1のグラウンド電極と前記第2のグラウンド電極とは、別個に設けられている、請求項1または2に記載の弾性波フィルタ装置。 - 前記入力端子と前記出力端子との間に直列に接続されている第2の帯域阻止フィルタ部をさらに備え、
前記第2の帯域阻止フィルタ部は、前記入力端子と前記出力端子との間に直列に接続されている直列腕と、前記直列腕において直列に接続されている少なくともひとつのインダクタと、前記直列腕とグラウンド電位との間に接続されている複数の並列腕と、前記複数の並列腕のそれぞれに設けられている複数の並列腕共振子とを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の弾性波フィルタ装置。 - 前記入力端子と前記出力端子との間において、前記第1の帯域阻止フィルタ部が帯域通過フィルタ部の一方側に直列に接続されており、前記第2の帯域阻止フィルタ部が帯域通過フィルタ部の他方側に直列に接続されている、請求項4に記載の弾性波フィルタ装置。
- 前記第1の帯域阻止フィルタ部の前記複数の並列腕共振子と、前記第2の帯域阻止フィルタ部の前記複数の並列腕共振子とは、互いに異なる共振周波数を有する、請求項4または5に記載の弾性波フィルタ装置。
- 前記第1の帯域阻止フィルタ部の前記複数の並列腕共振子と、前記第2の帯域阻止フィルタ部の前記複数の並列腕共振子とのうち、2つ以上の並列腕共振子の共振周波数が等しい、請求項4または5に記載の弾性波フィルタ装置。
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