WO2011040517A1 - インク組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、保存安定性に優れ、滲みにくく、紙への定着性が良好であり、鮮明な画像を印刷することができるインク組成物を提供することを主目的とする。 本発明は、表面処理顔料を含む顔料分散体と樹脂エマルションとを含有するインク組成物であって、上記表面処理顔料は、顔料の表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されたものであり、上記樹脂エマルションは、上記樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が300μS/cm以下となるものであることを特徴とするインク組成物を提供することにより、上記目的を達成する。

Description

インク組成物
 本発明は、保存安定性に優れ、滲みにくく、紙への定着性が良好であり、鮮明な画像を印刷することができるインク組成物に関するものである。
 紙にはセルロースの水酸基が多数存在するので親水性物質で水になじみ易い性質があり水を吸収して膨潤する。このため、印刷用紙に耐水性を付与する目的で、紙の製造段階でにじみ止めの疎水性物質(主として中性サイズ剤)が加えられる。また、印刷用紙には白色度と透明度を持たせるために白色無機顔料(クレーや炭酸カルシウム等)が加えられるがその粒子径は繊維自体の凹凸より小さいので表面に繊維から形成される粗さが残っており、そのままで印刷すると印字の精細度は制限される。粒子径が0.1~0.3μm程度のカオリンと炭酸カルシウムを主体とする顔料塗工が行われて、表面は平滑化されるが、この顔料を固定するために使用される合成ラテックス等のバインダーは、顔料粒子間の空隙を埋めて表面を疎水性にする。このようにして塗工紙の表面は平滑化されて疎水性を有するようになる。アート紙・コート紙・グラビア紙などの塗工紙、上質紙・中質紙・ライスペーパーなどの内添紙に通常、重質炭酸カルシウム(天然の石灰石を粉砕分級したもの)が使われている。このように、非塗工紙や塗工原紙には炭酸カルシウムなどのカルシウム塩を含有するものが多く、塗工紙のコート層にも炭酸カルシウムなどのカルシウム塩を含有するものが殆どである。
 紙の印刷分野ではインクジェットによる印刷方式が発達し、広く実用化している。
 インクジェットプリンターを用いて印刷する際、プリントヘッドから吐出したインク滴は印刷用紙に着弾した後、浸透、定着してドットを形成し、このドットが多数集まることによって画像が形成される。このドットの形成過程は鮮明な画像を形成する上で重要である。
 また、インクジェットの画像形成を考えるうえで、ドット径が吐出インク滴径の何倍になるかという数値である「にじみ率」という概念を用いると、吐出されたインク滴径をd、印刷紙上のドット径をDとすれば、にじみ率bはb=D/dで表される。
 印刷紙上のドット形成は着弾現象と浸透現象とに分けて考えられるから、印刷紙上に着弾したときのドット径D’を用いて、b=(D/D’)×(D’/d)と記載できる。
 ここで、着弾拡がり率sと、浸透拡がり率pを、s=D’/d、p=D/D’とすれば、にじみ率bは、b=s×pと表すことができる(日本画像学会編、「インクジェット」、東京電気大学出版局、2008年9月10日発行 参照)。従って、鮮明な画像を形成するためには、インク組成物中の顔料、樹脂エマルション等を変性することにより定着性を向上して、浸透拡がり率pが大きくならないようにする必要がある。
 また、普通紙にインク組成物を浸透させれば、普通紙を形成するセルロース繊維の網目を反映して画像周辺部が毛羽立ったような現象(フェザリング)が発生する。インクが紙に浸透すると多かれ少なかれこの現象は起きるので、フェザリングを避けるためにはインクの組成を調整することにより浸透を抑える必要がある。一方、浸透を抑えるとインクの定着に時間がある程度必要になり、高速で記録を行う上で支障をきたすことがある。インク設計では、フェザリングと定着時間の両立を図るためにインクの浸透性を調整して定着を図る必要がある。
 印刷本紙に使用される紙媒体には、塗工紙、非塗工紙など種々の紙が使用されている。しかしながら、非塗工紙の場合、紙繊維にインクが浸透しやすいために色材が紙表面に留まらないので、滲みやすく、十分な濃度が得られないという問題がある。また、塗工紙の場合、紙表面にコート層が存在するためにインクが浸透し難く色材が定着し難いので、滲みやすく、鮮明な画像が得られないという問題がある。
 そこで、色材の紙への定着性を向上させるために、顔料の表面に所定のカルシウム指数値を有する官能基が結合された変性顔料が提案されている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
 ここで、カルシウム指数値とは、溶解状態のカルシウムイオンを配位結合させる、すなわち補足するべき官能基の能力の尺度を指す。カルシウム指数値が高ければ高いほど、その官能基は一層強くまたは効果的にカルシウムイオンを配位結合させえる。
 また、非塗工紙や塗工原紙には炭酸カルシウムなどのカルシウム塩を含有するものが多く、塗工紙のコート層にも炭酸カルシウムなどのカルシウム塩を含有するものが多い。
 上述の特許文献によれば、上記のような変性顔料を含有するインク組成物が紙に印刷されると、変性顔料と、紙中または紙表面に存在するカルシウム塩もしくは他の二価金属塩とが相互作用または結合し、その結果、色材が紙に定着しやすくなると考えられると述べられている。
特表2009-513802号公報 特表2009-515007号公報
 しかしながら、上述のインク組成物において、紙との反応性、具体的には、紙中または紙表面に存在するカルシウム塩もしくは他の二価金属塩との反応性の高い変性顔料は、カルシウム塩のような二価金属塩以外の金属イオンや対イオン(ナトリウムイオン・アンモニウムイオン等)との相互作用も起こりやすく、樹脂エマルション等の他の対イオンが含まれる化合物をバインダーとして混合した際に、インクの凝集やゲル化が起こるという新たな問題があることがわかった。
 また、前述のインク組成物に使用される、無機顔料であるカーボンブラック、及び有機顔料である、青色、茶色、シアン色、緑色、バイオレット色、マゼンタ色、赤色、橙色、黄色等のすべての顔料を表面処理して変性顔料として用いることは製造と経済性の課題が残る。さらに、これらの変性顔料を用いるだけでは画像のにじみの抑制が十分でなく、鮮明な画像を得ることができなかった。
 本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、保存安定性に優れ、滲みにくく、紙への定着性が良好であり、鮮明な画像を印刷することができるインク組成物を提供することを主目的とする。
 本発明は、上記目的を達成するために、表面処理顔料を含む顔料分散体と樹脂エマルションとを含有するインク組成物であって、上記表面処理顔料は、顔料の表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されたものであり、上記樹脂エマルションは、上記樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が300μS/cm以下となるものであることを特徴とするインク組成物を提供する。
 本発明によれば、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が低いので、すなわち樹脂エマルション中に溶解しているイオン性基およびその対イオンあるいはイオン性不純物が少なく、表面処理顔料の分散安定性を阻害しないので、優れた保存安定性を実現することが可能となる。また本発明によれば、顔料の表面にカルシウム指数値が大きい官能基が結合された表面処理顔料を含有する顔料分散体を用いるので、滲みにくく、紙への定着性が良好であり、鮮明な画像を印刷することができるインク組成物とすることが可能である。
 また本発明は、表面処理顔料を含む顔料分散体と樹脂エマルションとを含有するインク組成物であって、上記表面処理顔料は、顔料の表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されたものであり、上記顔料分散体および上記樹脂エマルションは、上記顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率をA(μS/cm)、上記樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率をB(μS/cm)としたとき、下記式(1)を満足するものであることを特徴とするインク組成物を提供する。
   A×B<4.0×10   (1)
 本発明によれば、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率と樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率との積の値を小さくすることで、樹脂エマルションに含まれるイオン性基およびその対イオンあるいはイオン性不純物が顔料分散体の分散性に影響を及ぼすのを低減し、優れた保存安定性を実現することが可能となる。また本発明によれば、顔料の表面にカルシウム指数値が大きい官能基が結合された表面処理顔料を含有する顔料分散体を用いるので、滲みにくく、紙への定着性が良好であり、鮮明な画像を印刷することができるインク組成物とすることが可能である。
 上記発明においては、上記顔料分散体の顔料の含有量が当該インク組成物全量に対して0.5質量%~20質量%の範囲内であり、上記樹脂エマルションの固形分の含有量が当該インク組成物全量に対して0.5質量%~20質量%の範囲内であり、上記顔料分散体の顔料および上記樹脂エマルションの固形分の含有量の和が当該インク組成物全量に対して1.0質量%~20質量%の範囲内であることが好ましい。
 上記発明においては、水溶性有機溶媒をさらに含むことが好ましい。
 上記発明においては、水溶性有機溶媒が当該インク組成物全量に対して10質量%~70質量%の範囲内であることが好ましい。
 また、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、少なくとも顔料、樹脂エマルション、及び界面活性剤を含有する水系溶媒からなるインク組成物において、顔料の定着性の向上を目的として、添加される樹脂エマルションを形成している樹脂に特定のリン含有官能基を結合させて改質することにより、該リン含有官能基と、印刷用紙に含まれるカルシウムイオンとの反応性を利用して、インク組成物で印刷用紙に印刷する際ににじみを抑制して定着性を向上することにより、鮮明な画像が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
 本発明は、少なくとも顔料、樹脂エマルション、及び界面活性剤を含有する水系溶媒からなるインク組成物であって、該樹脂エマルションを形成している樹脂に少なくとも1つのP-OまたはP=O結合を有するリン含有官能基が1つ又は2つ以上結合されていることを特徴とするインク組成物を提供する。
 本発明によれば、ピエゾ方式のインクジェット記録装置に用いられると、目詰まりを抑制して、安定した吐出が可能であり、にじみが抑制されて、紙への定着性が向上し、鮮明な画像を得ることができる。
 上記発明においては、前記リン含有官能基がホスホン酸基、ホスフィン酸基、亜ホスフィン酸基、ホスファイト基、ホスフェート基、ジホスフェート基、トリホスフェート基、及びピロホスフェート基、並びにこれらの部分エステル及び塩から選択された1種又は2種以上であることが好ましい。上記樹脂エマルション中のP-O又はP=O結合を有するリン含有官能基が紙に含まれるカルシウムと配位結合を起こし易いので、顔料の印刷用紙への定着性がより良好になり、にじみを効果的に抑制できるからである。
 上記発明においては、前記樹脂エマルションの平均粒子径が500nm以下であることが好ましい。該インク中の樹脂の平均粒子径が500nm以下であると画像の耐擦過性が向上するからである。
 上記発明においては、前記樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が300μS/cm以下であることが好ましい。前記樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が300μS/cm以下であると樹脂エマルションと表面処理顔料との反応性を低くすることができ、樹脂エマルションと表面処理顔料を含有する顔料分散体とを混合してインクを調製した際には表面処理顔料の分散性を向上して、インク組成物の保存安定性をより良好なものとすることができる。
 上記発明においては、前記顔料がその表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されたものであることが好ましい。前記顔料がその表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されていると、顔料のにじみが一層抑制されて紙への定着性が良好となり、より鮮明な画像を印刷することができるインク組成物とすることができるからである。
 上記発明においては、前記インク組成物中に樹脂エマルションが固形分として0.05~20質量%含有されていることが好ましい。上記インク組成物中に改質された樹脂エマルションが固形分として0.05~20質量%含有されていると、顔料の紙への定着性が良好になるからである。
 上記発明においては、前記インク組成物に、顔料が0.05~20質量%、樹脂エマルションが固形分として0.05~20質量%、かつ顔料と樹脂エマルションの固形分が併せて0.1~30質量%含有されていることが好ましい。上記インク組成物に、顔料が固形分として0.05~20質量%、樹脂エマルションが固形分として0.05~20質量%、かつ顔料と樹脂エマルションの固形分が併せて0.1~30質量%含有されていると、高解像度で、インクにじみの少ない印画物を得ることができるからである。
 上記発明においては、インク組成物中に3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールが0.5~25質量%含有されていることが好ましい。上記の3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールがインク組成物中に0.5~25質量%含有されていると分散安定性と速乾性が向上するからである。
 また本発明のインク組成物は、ピエゾ方式のインクジェット記録装置に用いられることが好ましい。本発明のインク組成物は、任意のインクジェット記録装置に用いることができるが、常温下で操作可能なピエゾ素子の駆動圧力を利用したヘッドを用いて、インクを記録媒体上に付着するインクジェット記録方式、すなわち、ピエゾ方式のインクジェット記録装置に用いるのが好ましい。また、上記に記載の、本発明のインク組成物がピエゾ方式のインクジェット記録装置に用いられるとインクジェットヘッドでの目詰まりを抑制して、安定した吐出が可能になるからである。
 上記発明においては、少なくともグリセリンまたはジエチレングリコールを含むことが好ましい。
 上記発明においては、粘度が、25℃において、1.5mPa・s~15mPa・sの範囲内であることが好ましい。
 上記発明においては、表面張力が20mN/m~45mN/mの範囲内であることが好ましい。
 上記発明においては、pHが7~11の範囲内であることが好ましい。
 さらに本発明は、紙上に上述のインク組成物を用いて印刷された画像を有することを特徴とする記録物を提供する。
 本発明によれば、上述のインク組成物を用いて印刷するので、紙の種類によらず、インク滲みがなく、鮮明な画像を得ることができる。
 本発明は、上述のインク組成物を使用して記録媒体上に画像を形成することを特徴とする記録方法を提供する。
 本発明においては、保存安定性に優れ、滲みにくく、紙への定着性が良好であり、鮮明な画像を印刷することができるインク組成物を得ることができるという効果を奏する。
実施例における画像再現性の評価を説明するための写真である。 実施例における画像再現性の評価を説明するための写真である。
 以下、本発明のインク組成物、それを用いた記録方法およびそれを用いた記録物について詳細に説明する。
 A.インク組成物
 まず、本発明のインク組成物について説明する。
 本発明のインク組成物は、表面処理顔料を含む顔料分散体と樹脂エマルションとを含有し、上記表面処理顔料は、顔料の表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されたものである態様(A態様)と、少なくとも顔料、樹脂エマルション、及び界面活性剤を含有する水系溶媒からなるインク組成物であって、該樹脂エマルションを形成している樹脂に少なくとも1つのP-OまたはP=O結合を有するリン含有官能基が1つ又は2つ以上結合されている態様(B態様)との2つの態様に分けることができる。
 なお、本発明において、「表面処理顔料」とは顔料の表面に所定の官能基が結合されたものを意味し、「顔料」とはその表面に所定の官能基が結合されるものを意味する。
 以下、各態様に分けて説明する。
1.A態様
 本態様のインク組成物は、表面処理顔料を含む顔料分散体と樹脂エマルションとを含有し、上記表面処理顔料は、顔料の表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されたものであり、上記顔料分散体および上記樹脂エマルションの導電率により2つの実施形態に分けることができる。すなわち、本態様のインク組成物の第1実施形態において、樹脂エマルションは、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が300μS/cm以下となるものである。一方、本態様のインク組成物の第2実施形態において、顔料分散体および樹脂エマルションは、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率をA(μS/cm)、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率をB(μS/cm)としたとき、式(1):A×B<4.0×10を満足するものである。
 以下、各実施形態についてそれぞれ説明する。
 (1)第1実施形態
 本実施形態のインク組成物(以下、単にインクと称する場合がある。)は、表面処理顔料を含む顔料分散体と樹脂エマルションとを含有するインク組成物であって、上記表面処理顔料は、顔料の表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されたものであり、上記樹脂エマルションは、上記樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が300μS/cm以下となるものであることを特徴とするものである。
 なお、「樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液」とは、樹脂エマルションを固形分濃度が1質量%となるように水に分散させた液をいう。
 本実施形態においては、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が低いことで、樹脂エマルションと表面処理顔料との反応性が低くなると考えられる。
 樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が低いことは、樹脂エマルション自体が有するイオン性基およびそのイオン性基の対イオンのインク中の存在量がわずかであることを示すものと考えられる。また、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が低いことは、樹脂エマルションの製造に由来するイオン性物質などの不純物のインク中の存在量がわずかであることを示すものと考えられる。
 表面処理顔料におけるカルシウム指数値が大きい官能基は、樹脂エマルションに含まれるイオン性基、そのイオン性基の対イオン、イオン性不純物と相互作用しやすいと推量される。この官能基は表面処理顔料の分散安定性に寄与しているため、樹脂エマルションにおけるイオン性基、対イオン、イオン性不純物がインク中に多量に存在すると、上記相互作用によって分散機能が低下する。したがって、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が高いと、樹脂エマルションと表面処理顔料を含有する顔料分散体とを混合してインクを調製した際には表面処理顔料の分散状態も悪くなると考えられる。
 これに対し本実施形態においては、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が低い樹脂エマルションを選択することで、樹脂エマルション中に存在するイオン性基、対イオン、イオン性不純物を少量に抑え、表面処理顔料におけるカルシウム指数値が大きい官能基と、樹脂エマルションにおけるイオン性基、対イオン、イオン性不純物との相互作用、およびその相互作用による表面処理顔料の凝集を低減することができるものと推量される。したがって本実施形態においては、インク組成物の保存安定性を良好なものとすることができる。
 また本実施形態においては、顔料の表面にカルシウム指数値が大きい官能基が結合された表面処理顔料を含有する顔料分散体を用いるので、滲みにくく、紙への定着性が良好であり、鮮明な画像を印刷することができるインク組成物とすることができる。
 以下、本実施形態のインク組成物における各構成について説明する。
 (i)顔料分散体
 本実施形態に用いられる顔料分散体は、表面処理顔料を含むものである。この表面処理顔料は、顔料の表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されたものである。以下、表面処理顔料における各構成について説明する。
 (a)顔料
 本実施形態における表面処理顔料に用いられる顔料としては、有機顔料を用いることができる。また、無機顔料であるカーボンブラックも用いられる。
 顔料の色としては、青色、黒色、茶色、シアン色、緑色、白色、バイオレット色、マゼンタ色、赤色、橙色、黄色のいずれであってもよい。異なる色の顔料の混合物も用いることができる。
 顔料の一次粒子径は、特に限定されるものではなく、例えば5nm~200nmの範囲内とすることができ、中でも30nm~150nmの範囲内が好ましい。
 顔料のBET表面積としては、特に限定されるものではない。
 また、顔料のジブチルフタレート(DBP)吸収値としては、特に限定されるものではない。
 (b)官能基
 本実施形態における表面処理顔料に用いられる官能基は、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有し、顔料の表面に結合されたものである。
 ここで、「カルシウム指数値」は、溶解状態のカルシウムイオンを配位結合させる、すなわち捕捉するべき官能基の能力の尺度を指す。カルシウム指数値が高ければ高いほど、その官能基は一層強くまたは効果的にカルシウムイオンを配位結合させることができる。
 カルシウム指数値の測定方法としては、例えば、可溶性カルシウムイオンおよび呈色指示薬を含有する標準溶液中の化合物により配位結合されたカルシウムの量を紫外-可視分光法を用いて測定する方法を採用することができる。また、濃い色を有する化合物については、カルシウム指数値は、NMR法を用いて測定することができる。以下、各方法に分けて説明する。
 (紫外-可視分光法)
 紫外-可視分光法の一例について説明する。
 まず、0.087mMのコンゴーレッド指示薬、5mMの塩化セシウム、1wt%のMW350ポリエチレングリコールメチルエーテルおよび0mM~7mM(0.2、0.5、1、2、3、4、4.5、5、6、7mM)の範囲の濃度の塩化カルシウムを含有する一連の溶液をpH9にて調製する。これらの溶液の紫外-可視スペクトルをそれらの調製の1時間以内に、UV-2501PCを用いて記録する。これらのスペクトルを用いて、520nmにおける吸光度とカルシウム濃度との関係を示す検量線を作成する。
 次に、顔料の表面に結合された特定の官能基に対応する化合物を選択する。例えば、顔料の表面に3,4,5-トリカルボキシフェニル基またはその塩が結合されている表面処理顔料については、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸を選択する。次いで、0.087mMのコンゴーレッド指示薬、1wt%のMW350ポリエチレングリコールメチルエーテル、5mMの塩化カルシウムおよびpH9におけるイオン濃度が5mMであるような関係化合物のセシウム塩を含有する検査溶液を、pH9にて調製する。非錯化カルシウムの濃度を、検量線との比較により決定する。続いて、カルシウム指数値をlog10((0.005-非錯化カルシウム)/((非錯化カルシウム)2))として算出する。測定を二重反復にて行い、平均する。
 上記の紫外-可視分光法を用いて、表面処理顔料における官能基に関する種々の化合物のカルシウム指数値を決定する。下記の表1に具体例を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1におけるデータが示しているように、2-ヒドロキシピリジンN-オキシド(1-ヒドロキシピリドン)、8-ヒドロキシキノリンおよびメチレンジホスホン酸は、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値より大きいカルシウム指数値を有する。これらの官能基または同様な官能基(他のビスホスホネート、または少なくとも2個のホスホン酸基、その部分エステルもしくはその塩を有する基など)を含む化合物もまた、同様に高いカルシウム指数値を有することが予想される。
 (NMR法)
 濃い色を有するために上記の紫外-可視分光法を適用するのが困難である化合物については、NMR法を用いることができる。NMR法の一例について説明する。
 まず、43CaCl2について0.01M、NaClについて0.01M、10%のD2Oであり、かつpH8または9にある水溶液を、43CaCO3、HCl/D2O、NaOH/D2O、D2Oおよび水から調製する。pHは、調査対象の化合物をイオン化するように、かつその化合物を溶解するように選択される。約0.65gの重さのその溶液の一部を5mmNMR管に添加し、0.001gまで計量する。ブルッカー・アヴァンス(Bruker Avance)II分光計を用いて、400.13MHzにおけるプロトン共鳴周波数で、非結合43Caの化学シフトを測定する。調査対象の化合物(配位子)の0.2~1.0M溶液を連続的増分にて添加する。各添加後、43Caの化学シフトを測定し、サンプルの化学シフトと非結合カルシウムの化学シフトとの間の差であるδを算出する。連続的増分は、L0/Ca0比率(ここで、L0は配位子からの錯化された、プロトン化されたおよび遊離のアニオンの総濃度であり、Ca0は存在するすべての化学種中のカルシウムの総濃度である。)が0.25、0.5、1、2、3、4、6、8になるようにする。カルシウム結合指数(NMR)をlog10(X)として算出し、下記の方程式中のパラメーターXおよびδmをデータとその方程式からの予測化学シフトの間のRMS差が最小になるように適合させることによりXを決定する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
 ここで、
 δは、サンプルの43Caの化学シフト対遊離水性43Ca2+の化学シフトについての差であり、
 δmは、無限L/Caにおける43Caの化学シフト対遊離43Ca2+の化学シフトについての算出された差であり、
 L0は、配位子からの錯化された、プロトン化されたおよび遊離のアニオンの総濃度であり、
 Ca0は、存在するすべての化学種中のカルシウムの総濃度であり、
 Xは、適合させるパラメーターであり、
 Kaは、配位子LHについてのプロトン解離定数である。
 上記のNMR法を用いて、表面処理顔料における官能基に関する種々の化合物のカルシウム指数値を決定する。下記の表2に具体例を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 NMR法によるカルシウム指数値は、紫外-可視分光法によるカルシウム指数値とは異なっており、紫外-可視分光法によるカルシウム指数値と直接的に比較されることはできない。
 本実施形態において、カルシウム指数値の対照は1,2,3-ベンゼントリカルボン酸である。顔料の表面に結合された官能基は、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値より大きいカルシウム指数値を有する。官能基のカルシウム指数値は、紫外-可視分光法を用いて測定する場合には、2.8より大きいことが好ましく、中でも3.0より大きいことが好ましく、特に3.2より大きいことが好ましい。
 官能基としては、顔料の表面に結合しえるものであり、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有するものであれば特に限定されるものではない。このような官能基としては、例えば、P-OまたはP=O結合を有するリン含有基、その部分エステルまたはその塩を含む基(以下、第1形態とする。);ヒドロキサム酸基またはその塩を含む基(以下、第2形態とする。);OH基またはその塩を有する複素環式基を含む基(以下、第3形態とする。);ホスホン酸基またはその塩と、第2のイオン基、イオン化性基または塩基性基とを含む基(以下、第4形態とする。);カルボン酸基またはその塩を有するヘテロアリール基(以下、第5形態とする。);ニトロソ基またはその塩と、OH基またはその塩とを有するアリール基を含む基(以下、第6形態とする。);少なくとも2個のOH基、少なくとも2個のNH2基、または少なくとも1個のOH基および少なくとも1個のNH2基を有するアゾアレーン基を含み、かつ式Ar1-N=N-Ar2(ここで、Ar1およびAr2は同じであっても異なっていてもよく、アリーレン基またはアリール基であり、かつAr1またはAr2の少なくとも一方はアリーレン基である。)を含む基(以下、第7形態とする。);が挙げられる。
 (第1形態)
 官能基は、少なくとも1個のP-OまたはP=O結合を有する少なくとも1個のリン含有基を含むことが好ましい。リン含有基としては、例えば、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、亜ホスフィン酸基、ホスファイト基、ホスフェート基、ジホスフェート基、トリホスフェート基、ピロホスフェート基、それらの部分エステルまたはそれらの塩などが挙げられる。中でも、官能基は、少なくとも1個のホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含むことが好ましく、特に、少なくとも2個のホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含むことが好ましい。
 なお、「その部分エステル」とは、ホスホン酸基が、式-PO3RHを有する部分ホスホン酸エステル基またはその塩であることを意味する。ここで、Rはアリール、アルカリール、アラルキルまたはアルキル基である。
 官能基が少なくとも2個のホスホン酸基またはその塩を含む場合、これらのホスホン酸基の一方または両方は部分ホスホン酸エステル基であってもよい。また、これらのホスホン酸基の一方が式-PO32を有するホスホン酸エステルであり、他方が部分ホスホン酸エステル基、ホスホン酸基またはその塩のいずれかであってもよい。中でも、これらのホスホン酸基の少なくとも一つは、ホスホン酸、その部分エステルまたはその塩であることが好ましい。
 なお、「その塩」とは、ホスホン酸基が、カチオン対イオンを有し、部分的にまたは完全にイオン化されていることを意味する。
 官能基が少なくとも2個のホスホン酸基を含む場合、これらのホスホン酸基の一方または両方は、部分イオン化形態または完全イオン化形態のいずれかであってもよい。中でも、官能基は少なくとも2個のホスホン酸基を含み、これらのホスホン酸基の一方または両方は式-PO32、-PO3-+(一塩基塩)または-PO3 -2+2(二塩基塩)を有することが好ましい。ここで、M+は、Na+、K+、Li+またはNR4 +などのカチオンである。Rは、同じであっても異なっていてもよく、水素または有機基(置換されたまたは置換されていないアリールおよび/またはアルキル基など)を表す。
 官能基が少なくとも2個のホスホン酸基を含む場合、官能基としては、少なくとも1個のジェミナルビスホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含む基を挙げることができる。すなわち、官能基としては、同じ炭素原子に直接的に結合されている少なくとも2個のホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。このような基は、1,1-ジホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩と称される場合がある。
 このような官能基としては、例えば、式-CQ(PO322を有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。Qは、ジェミナル位に結合されており、H、R、OR、SRまたはNR2(ここで、Rは同じであっても異なっていてもよく、H、C~C18の飽和もしくは不飽和の分枝状もしくは非分枝状アルキル基、C~C18の飽和もしくは不飽和の分枝状もしくは非分枝状アシル基、アラルキル基、アルカリール基またはアリール基である。)である。Qは、例えば、H、R、OR、SRまたはNR2(ここで、Rは同じであっても異なっていてもよく、H、C~C6アルキル基またはアリール基である。)であり、H、OHまたはNH2であることが好ましい。
 なお、C~C18は、C~C18は炭素原子数が1~18であることを意味する。
 さらに、上記官能基としては、式-(CH2n-CQ(PO322を有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。ここで、Qは上述したとおりである。nは0~9であり、0~3であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。
 また、上記官能基としては、式-X-(CH2n-CQ(PO322を有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。ここで、Qおよびnは上述したとおりである。Xは、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、ビニリデン基、アルカリーレン基、アラルキレン基、環式または複素環式基である。Xは、フェニレン基、ナフタレン基またはビフェニレン基などのアリーレン基(1個またはそれ以上のアルキル基またはアリール基などの任意の基でさらに置換されていてもよい。)であることが好ましい。Xがアルキレン基である場合、Xとしては、置換または非置換アルキレン基(分枝状であっても非分枝状であってもよく、1個またはそれ以上の基(芳香族基など)で置換されていてもよい。)が例示される。また、Xとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基などのC1~C12基が例示される。Xは、顔料に直接的に結合されていることが好ましい。これは、顔料とXとの間に他の原子または基がないことを意味する。
 Xは、1個またはそれ以上の有機基でさらに置換されていてもよい。このような有機基としては、例えば、R′、OR′、COR′、COOR′、OCOR′、カルボン酸塩、ハロゲン、CN、NR′2、SO3H、スルホネート、サルフェート、NR′(COR′)、CONR′2、イミド、NO2、ホスフェート、ホスホネート、N=NR′、SOR′、NR′SO2R′およびSO2NR′2が挙げられる。ここで、R′は、同じであっても異なっていてもよく、独立に水素、分枝状または非分枝状C1~C20の置換されたまたは置換されていない飽和または不飽和炭化水素(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換アルカリールまたは置換もしくは非置換アラルキル)である。
 さらに、上記官能基としては、式-X-Sp-(CH2n-CQ(PO322を有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。ここで、X、Qおよびnは上述したとおりである。Spは、スペーサー基(二つの基の間の連結体である。)である。Spとしては、結合または連結基が挙げられる。連結基としては、例えば、-CO2-、-O2C-、-CO-、-OSO2-、-SO3-、-SO2-、-SO224O-、-SO224S-、-SO224NR″-、-O-、-S-、-NR″-、-NR″CO-、-CONR″-、NR″CO2-、-O2CNR″-、-NR″CONR″、-N(COR″)CO-、-CON(COR″)-、-NR″COCH(CH2CO2R″)-およびその環式イミド、-NR″COCH2CH(CO2R″)-およびその環式イミド、-CH(CH2CO2R″)CONR″-およびそれの環式イミド、-CH(CO2R″)CH2CONR″-およびそれの環式イミド(フタルイミドおよびマレイミドを含む。)、スルホンアミド基(-SO2NR″-および-NR″SO2-基を含む。)、アリーレン基、アルキレン基が挙げられる。R″は、同じであっても異なっていてもよく、水素または有機基(置換されたまたは置換されていないアリール基またはアルキル基など)を表す。上記式の構造に示すように、少なくとも2個のホスホン酸基またはその塩を含む基は、スペーサー基Spを通じてXに結合される。Spは、-CO2-、-O2C-、-O-、-NR″-、-NR″CO-または-CONR″-、-SO2NR″-、-SO2CH2CH2NR″-、-SO2CH2CH2O-または-SO2CH2CH2S-(ここで、R″はHまたはC~Cアルキル基である。)であることが好ましい。
 また、官能基が少なくとも2個のホスホン酸基を含む場合、官能基としては、少なくとも1個の式-N-[(CH2m(PO32)]2を有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基を挙げることができる。ここで、mは同じであってもよく異なっていてもよく、1~9であり、1~3であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。
 さらに、官能基が少なくとも2個のホスホン酸基を含む場合、官能基としては、少なくとも1個の式-(CH2n-N-[(CH2m(PO32)]2を有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基を挙げることができる。ここで、nは0~9(例えば1~9)であり、0~3(例えば1~3)であることが好ましい。mは上述したとおりである。
 また、官能基が少なくとも2個のホスホン酸基を含む場合、官能基としては、少なくとも1個の式-X-(CH2n-N-[(CH2m(PO32)]2を有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基を挙げることができる。ここで、X、mおよびnは上述したとおりである。Xはアリーレン基であることが好ましい。
 さらに、官能基が少なくとも2個のホスホン酸基を含む場合、官能基としては、少なくとも1個の式-X-Sp-(CH2n-N-[(CH2m(PO32)]2を有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基を挙げることができる。ここで、X、m、nおよびSpは上述したとおりである。
 また、官能基が少なくとも2個のホスホン酸基を含む場合、官能基としては、少なくとも1個の式-CR=C(PO322を有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基を挙げることができる。Rは、H、C~C18の飽和もしくは不飽和の分枝状もしくは非分枝状アルキル基、C~C18の飽和もしくは不飽和の分枝状もしくは非分枝状アシル基、アラルキル基、アルカリール基またはアリール基である。Rは、H、C~Cアルキル基またはアリール基であることが好ましい。
 さらに、官能基が少なくとも2個のホスホン酸基を含む場合、官能基としては、2個より多いホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含む基であってもよい。このような官能基としては、例えば、式-X-[CQ(PO322pを有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。XおよびQは上述したとおりである。Xはアリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基、アルカリーレン基またはアラルキレン基であることが好ましい。pは1~4であり、好ましくは2である。
 また、官能基が少なくとも2個のホスホン酸基を含む場合、官能基としては、少なくとも1個のビシナルビスホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含む基であってもよい。この場合、これらの基が互いに隣接していることを意味する。このような官能基は、例えば、隣接炭素原子に結合された2個のホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。このような基は、1,2-ジホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩と称される。2個のホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩を含む基としては、芳香族基またはアルキル基が挙げられる。ビシナルビスホスホン酸基としては、ビシナルアルキル基もしくはビシナルアリールジホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩が挙げられる。具体的に、官能基としては、式-C63-(PO322を有する基、その部分エステルまたはその塩を含む基が挙げられる。ここで、それらの酸、エステルまたは塩基は互いにオルトの位置にある。
 (第2形態)
 官能基は、少なくとも1個のヒドロキサム酸基またはその塩を含むものであってもよい。
 (第3形態)
 官能基は、少なくとも1個のOH基またはその塩を有する少なくとも1個のヘテロアリール基を含むものであってもよい。
 (第4形態)
 官能基は、少なくとも1個のホスホン酸基、その部分エステルまたはその塩と、少なくとも1個の第2のイオン基、イオン化性基または塩基性基とを含むものであってもよい。第2の基は、ホスホン酸基またはその塩ではない。
 (第5形態)
 官能基は、少なくとも1個のカルボン酸基またはその塩を有するヘテロアリール基を含むものであってもよい。
 (第6形態)
 官能基は、少なくとも1個のニトロソ基またはその塩と少なくとも1個のOH基またはその塩とを有するアリール基を含むものであってもよい。
 (第7形態)
 官能基は、アゾアレーン基を含むものであってもよい。このような官能基としては、式Ar1-N=N-Ar2を有する基を含む基が挙げられる。ここで、Ar1およびAr2は同じであっても異なっていてもよく、アリーレン基(フェニレン基またはナフチレン基など)またはアリール基(フェニル基またはナフチル基など)であり、かつAr1またはAr2の少なくとも一方はアリーレン基である。アゾアレーン基は、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個のOH基、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個のNH2基、または少なくとも1個のOH基と少なくとも1個のNH2基とを有する。アゾアレーン基としては、例えば、式-(HO)Ar1-N=N-Ar2(OH)(ビス-ヒドロキシアゾアレーン基)、-(H2N)Ar1-N=N-Ar2(NH2)(ビス-アミノアゾアレーン基)または-(HO)Ar1-N=N-Ar2(NH2)もしくは(HN2)Ar1-N=N-Ar2(OH)(アミノ-ヒドロキシアゾアレーン基)を有するものが挙げられる。
 (他の形態)
 後述するように、顔料の表面に上述の官能基とは異なる第2官能基が結合されている場合であって、第2官能基がポリマー基を含む場合、官能基としては、少なくとも2個のカルボン酸基を含むアリールまたはアルキルポリ酸を含む基を挙げることができる。中でも、官能基は、少なくとも3個のカルボン酸基を含むアリールまたはアルキルポリ酸を含む基であることが好ましい。このような官能基としては、少なくとも2個の酸基、少なくとも3個、4個またはそれ以上の酸基(例えば少なくとも2個のカルボン酸基、少なくとも3個またはそれ以上のカルボン酸基など)および/または他の酸基を有するアルキルポリ酸基が挙げられる。また、官能基としては、少なくとも2個のカルボン酸基を有するアリールポリ酸基を挙げることができる。これらのカルボン酸基はビシナルであることが好ましい。ビシナルとは、それらが互いに隣接していることを意味する。アリールポリ酸基は、2個の隣接カルボン酸基を含む少なくとも1個の基で置換されていてもよい。このようなアリールポリ酸基としては、3個またはそれ以上のカルボン酸基を有する基であって、これらのカルボン酸基の少なくとも二つが互いに隣接していてビシナルジカルボン酸基を形成している基を含むものが挙げられる。例えば、-C62-(COOH)3基などの1,2,3-または1,2,4-トリカルボン酸基、あるいは-C6H-(COOH)4基のような1,2,3,4-または1,2,4,5-テトラカルボン酸基が挙げられる。他の置換パターンも可能である。
 上述の官能基は、水に分散可能な程度に顔料の表面に結合されていることが好ましい。官能基の量としては、本実施形態のインク組成物の用途および官能基の種類に応じて適宜調整される。具体的に、官能基の総量は、顔料の表面積(窒素吸着(BET法)により測定される場合)に対して、0.01μmol/m2~10.0μmol/m2の範囲内であることが好ましく、中でも0.5μmol/m2~5.0μmol/m2の範囲内、特に1μmol/m2~3μmol/m2の範囲内、さらには2μmol/m2~2.5μmol/m2の範囲内であることが好ましい。
 官能基は顔料の表面に直接的に結合されていることが好ましい。
 (c)第2官能基
 本実施形態において、顔料の表面には上記官能基とは異なる第2官能基が結合されていてもよい。第2官能基としては、例えば、米国特許第5,630,868号明細書に記載された基と同様とすることができる。
 第2官能基としては、例えば、少なくとも1個のイオン基、少なくとも1個のイオン化性基またはそれらの混合物を含む基が挙げられる。
 中でも、第2官能基は、フェニルホスホン酸のカルシウム指数値より大きいカルシウム指数値を有することが好ましい。
 また、第2官能基としては、ポリマー基が挙げられる。第2官能基は、ポリマーを含む結合ポリマー基であることが好ましい。ポリマー基のポリマーの製造方法としては、一般的な方法を用いることができる。
 (d)表面処理顔料および顔料分散体
 本実施形態において、顔料の表面に官能基が結合された表面処理顔料は、例えば、米国特許第5,554,739号明細書、第5,707,432号明細書、第5,837,045号明細書、第5,851,280号明細書、第5,885,335号明細書、第5,895,522号明細書、第5,900,029号明細書、第5,922,118号明細書および第6,042,643号明細書、ならびに国際公開第99/23174号パンフレットに記載された方法を用いて製造することができる。
 また、表面処理顔料は、例えば、米国特許第6,723,783号明細書に記載されているように、官能基を有する反応剤と、その官能基と反応しえる他の官能基を有する顔料とを反応させることにより製造することもできる。
 さらに、表面処理カーボンブラックは、例えば、米国特許第6,831,194号明細書および第6,660,075号明細書、米国特許出願公開第2003-0101901号明細書および第2001-0036994号明細書、カナダ国特許第2,351,162号明細書、欧州特許第1,394,221号明細書、国際公開第04/63289号パンフレット、ならびにN.Tsubokawa,Polym. Sci.,17,417,1992に記載された方法により製造することができる。
 顔料の表面に第2官能基としてポリマー基が結合された表面処理顔料は、例えば、米国特許第5,085,698号明細書、第5,998,501号明細書、第6,074,467号明細書および第6,852,777号明細書並びに国際公開第2004/111140号パンフレットに記載されている方法を用いて製造することができる。
 さらに、顔料の表面に官能基および第2官能基(ポリマー基)が結合された表面処理顔料は、例えば、ポリマーの官能基と顔料の官能基との反応(例えば米国特許第6,723,783号明細書または欧州特許第0,272,127号明細書参照)(末端官能性ポリマーと顔料との反応を含む。)、またはポリマー(末端官能性ポリマーを含む。)のアミン含有官能基とジアゾ化剤との反応(次いで顔料とさらに反応される。)(例えば米国特許第6,478,863号明細書参照)により製造することができる。
 また、顔料の表面に官能基および第2官能基(ポリマー基)が結合された表面処理顔料は、顔料からモノマーの重合により製造することができる。例えば、顔料の表面に官能基および第2官能基(ポリマー基)が結合された表面処理顔料は、制御重合法であるラジカル重合(原子移動ラジカル重合(ATRP)、安定フリーラジカル(SFR)重合および可逆的付加開裂型連鎖移動重合(RAFT)など)、イオン重合(アニオンまたはカチオン)(グループトランスファー重合(GTP)など)および縮重合により製造することができる。
 さらに、顔料の表面に官能基および第2官能基(ポリマー基)が結合された表面処理顔料は、例えば、米国特許第6,372,820号明細書、第6,350,519号明細書、第6,551,393号明細書もしくは第6,368,239号明細書または国際公開第2006/086599号パンフレットおよび第2006/086660号パンフレットに記載された方法を用いて製造することができる。
 表面処理顔料の形態としては、粉末もしくはペーストのような固体形態または分散液形態のいずれであってもよい。例えば、表面処理顔料は、分散液の形態で生成され、噴霧乾燥によって分散液から固体の形態で単離され得る。表面処理顔料の形態は、分散液の形態であることが好ましい。この場合、それが顔料分散体となる。
 顔料分散体は、未反応原料、副生成物塩および他の反応不純物を除去するために、例えば、濾過、遠心分離またはこれらの二つの方法の組み合わせなどの洗浄により精製することができる。生成物は、例えば、蒸発により単離することができ、あるいは濾過および乾燥により回収することができる。
 表面処理顔料は、液体媒質中に分散することができ、顔料分散体とすることができる。顔料分散体は、この顔料分散体中に共存し得る不純物および他の望ましくない遊離化学種を除去するために、精製または分級してもよい。例えば、顔料分散体は、限外濾過/ダイアフィルトレーション、逆浸透またはイオン交換などを用いて、未反応処理剤のような不所望な遊離化学種を除去するために、精製することができる。中でも、総合分散安定性を改善するために、表面処理顔料の大粒子濃度も低減することが好ましい。例えば、500nmより大きい粒子径を有する粒子は、遠心分離などを用いて除去することができる。
 顔料分散体の含有量としては、十分な画像濃度を実現できれば特に限定されるものではない。具体的には、顔料分散体の顔料の含有量が、インク組成物全量に対して、0.5質量%~20質量%の範囲内であることが好ましい。この際、顔料分散体の顔料および樹脂エマルションの固形分の含有量の和が、インク組成物全量に対して、1.0質量%~20質量%の範囲内であることが好ましい。
 顔料分散体には、顔料分散のための対イオンとしての塩基性物質や、防腐剤が含有されていてもよい。
 (ii)樹脂エマルション
 本実施形態に用いられる樹脂エマルションは、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が300μS/cm以下となるものである。
 樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率は、300μS/cm以下であり、好ましくは200μS/cm以下、さらに好ましくは150μS/cm以下である。上記導電率が高いと、樹脂エマルション中のイオン性基およびその対イオンあるいはイオン性不純物が表面処理顔料の分散安定性に影響を及ぼすおそれがある。このように、樹脂エマルション中のイオンを減らすことで表面処理顔料の分散性への影響を抑えることから、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率は低ければ低いほど好ましいが、下限値は20μS/cm程度である。上記導電率が低すぎるものは樹脂エマルションの分散性が劣ったり、安定した品質の樹脂エマルションを製造したりすることが困難である。
 なお、上記導電率の測定方法としては、まず樹脂エマルションをイオン交換水で希釈して固形分1質量%に調整して樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液を調製し、次いでEutech Instruments 製 EC Testr 11+を使用し、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率を測定する方法とする。
 樹脂エマルションとしては、上述の導電率を満たすものであれば特に限定されるものではないが、連続相が水であり、分散相が、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ブチラール樹脂等のビニル系共重合樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタンアクリル系樹脂、繊維素系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、シリコーンアクリル系樹脂、ロジン系樹脂、アクリルアミド系樹脂、(メタ)、あるいはこれらの混合系であることが好ましい。特に、分散相に(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸のような酸基を含有するアクリル系樹脂および/またはスチレンアクリル系樹脂あるいはこれらの混合形を含むことが好ましい。さらに好ましくは、分散相に(メタ)アクリル樹脂を含むことが好ましい。
 また、必要に応じて、酸性基、塩基性基等の親水性基、シラノール基等の架橋基等を付加することができる。
 さらに、これら樹脂は、共重合の形態は特に限定されるものではなく、例えばブロックコポリマー、ランダムコポリマーなどとすることができる。
 樹脂エマルションの合成には乳化剤を使用してもよく使用しなくてもよい。乳化剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および両性界面活性剤を用いることができる。また、反応性界面活性剤を用いることもできる。
 重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸水素、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t-ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシドなどを用いることができる。
 重合のための連鎖移動剤としては、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、キサントゲン類であるジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィド、ジペンテン、インデン、1,4-シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテン等を用いることができる。
 また、中和剤としては、塩生成基の種類に応じて酸または塩基を使用することができる。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の有機酸が挙げられる。塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、アンモニア、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
 中和度としては、特に限定されるものではない。中でも、樹脂エマルションのpHは7~10であることが好ましいが、イオン性成分の濃度は、樹脂エマルションの導電率が高くならないように、適宜調節されるべきである。
 樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率は、例えば、樹脂成分の種類、モノマー種、反応機構、乳化剤の種類、乳化剤の添加の有無、中和剤の種類などによって調整することができる。
 樹脂エマルションの分子量は、1,000以上であることが好ましく、より好ましくは1,000~100,000程度である。
 樹脂エマルションの含有量としては、特に限定されるものではないが、樹脂エマルションの固形分の含有量が、インク組成物全量に対して、例えば0.5質量%~20質量%程度とすることができる。この際、上述したように、顔料分散体の顔料および樹脂エマルションの固形分の含有量の和が、インク組成物全量に対して、1.0質量%~20質量%の範囲内であることが好ましい。
 (iii)溶媒
 本実施形態のインク組成物は、通常、溶媒を含む。溶媒としては、水溶性有機溶媒、水およびこれらの混合溶媒が用いられる。
 水溶性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-ペンタノール等の炭素数1~5のアルキルアルコール類や、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-1-プロパノール、1-メトキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-n-ブタノール等の1価のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレンまたはオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール等のトリオール類;メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等の4価アルコール類;エチレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ヘキシル、2-エチルヘキシル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ヘキシル、2-エチルヘキシル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル)エーテル等のモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールのジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の含窒素複素環化合物;γブチロラクトン、スルホラン等の環状化合物;等が挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は、単独でもまたは混合物としても使用することができる。
 また、水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、脱イオン水を使用することが好ましい。
 インク組成物が水を含有する場合、水の含有量は、特に限定されるものではないが、インク組成物全量に対して、例えば30質量%~90質量%程度とすることができ、40質量%~80質量%の範囲内であることが好ましい。
 また、水溶性有機溶媒としては、10質量%~70質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、20質量%~50質量%の範囲内であることが好ましい。上記水溶性有機溶媒の含有量が10%よりも少ない場合には、水の揮発によってインクの安定性が損なわれることがある。逆に、70質量%よりも多い場合には、インクの粘度が高くなり、吐出性が不安定になることがある。
 (iv)界面活性剤
 本実施形態のインク組成物は、通常、界面活性剤を含む。
 界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤および/またはアセチレングリコール系界面活性剤が好ましく用いられる。具体例としては、サーフィノール104、82、465、485、またはTG(いずれも、アセチレングリコール系界面活性剤;エアープロダクツ社)、サーフロン(フッ素系界面活性剤;AGCセイミケミカル社製)、BYK302,307,331,348(いずれもシリコーン系界面活性剤;ビッグケミー社製)などが挙げられる。
 界面活性剤の含有量は、水溶性有機溶媒や他の界面活性剤の含有量に応じて適宜調整される。界面活性剤の含有量は、インク組成物全量に対して、0.01質量%~3質量%程度とすることができ、0.1質量%~1.5質量%の範囲内であることが好ましい。
 (v)添加剤
 本実施形態のインク組成物は、上記成分に加えて他の任意成分を含んでいてもよい。本実施形態のインク組成物には、例えば、防腐剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、酸素吸収剤などを添加することができる。また、必要に応じて、後述する浸透剤、湿潤剤、分散安定性と速乾性向上剤等を含むことが好ましい。本実施形態においては、インクの保湿性を維持することを目的として、水よりも沸点が高い溶媒や、水よりも蒸気圧が低い溶媒を湿潤剤として含むことが好ましく、なかでも、少なくともグリセリンまたはジエチレングリコールを湿潤剤として含むことが好ましい。
 (vi)用途
 本実施形態のインク組成物は、一般的な印刷インキや塗料としても使用可能であるが、特に、インクジェットインクに用いられることが好ましい。また、インクジェットインクとしては、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式などのいずれのインクジェット記録装置にも適用することができるが、中でも、ピエゾ方式のインクジェット記録装置に用いられることが好ましい。ピエゾ方式の記録ヘッドは、圧力発生素子として圧電振動子を用い、圧電振動子の変形(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)により圧力室内を加圧・減圧してインク滴を吐出させる。このような記録ヘッドでは、さらなる高画質化や記録速度の向上を図る試みとして、ノズル列の数を増やすことで記録可能な色の種類を増やしてさらなる高画質化を図る試みがなされ、また、1つのノズル列を構成するノズル開口部の数を増やすことで記録速度の向上を図る試みがなされている。しかしながら、ヘッドのノズルが微細化されると、付着・残留したインクにより、飛行曲がりやノズル詰まりが引き起こされやすくなる。また、長期間の使用においてインク成分中に凝集物が発生すると、インク滴の飛翔の障害となり、曲がりや吐出欠といったトラブルが発生する。そのため、インクジェットヘッドでの目詰まりが発生せず、安定した吐出が可能なインク組成物の開発が急務となっている。したがって、サーマルジェット等のように加熱による凝集物を発生しやすい方式に比べ、その駆動方式から凝集物を発生し難い上、さらにその凝集物の発生を抑制できる本発明のインク組成物はピエゾ方式のインクジェット記録装置に好適である。
 (vii)その他
 本実施形態のインク組成物の粘度としては、所望の塗布性を有するものとすることができるものであれば特に限定されるものではなく、用途等に応じて適宜設定されるものであるが、25℃において、1.5mPa・s~15mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、2.0mPa・s~10mPa・sの範囲内であることが好ましい。
 なお、粘度の測定方法については、粘度を精度良く測定できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、レオメーター、B型粘度計、キャピラリー式粘度計等の粘度測定装置を用いる方法が挙げられる。
 本実施形態のインク組成物の表面張力としては、25℃において、20mN/m~45mN/mの範囲内であることが好ましい。表面張力が20mN/m未満になるとインク組成物がインクジェット記録用プリンタヘッドの表面に濡れ広がるか、または潜み出してしまい、インク滴の吐出が困難になることがある。また、表面張力が50mN/mを越えると、記録媒体の表面において濡れ広がらず、良好な印刷ができない場合や、浸透が遅くなることによって乾燥時間が遅くなる場合があるからである。
 なお、表面張力の測定方法については、粘度を精度良く測定できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、Wilhelmy法(プレート法)、懸滴法(ペンダント・ドロップ法)、Young-Laplace法、du Nouy法等が挙げられる。
 本実施形態のインク組成物のpHとしては、所望の塗布性を有するものとすることができるものであれば特に限定されるものではなく、用途等に応じて適宜設定されるものであるが、7~11の範囲内であることが好ましい。pHがこの範囲に調整されることにより、インク中の顔料分散体や樹脂エマルションが安定に存在することができ、インクの安定性を良好に保つことができるからである。
 (2)第2実施形態
 本実施形態のインク組成物は、表面処理顔料を含む顔料分散体と樹脂エマルションとを含有するインク組成物であって、上記表面処理顔料は、顔料の表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されたものであり、上記顔料分散体および上記樹脂エマルションは、上記顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率をA(μS/cm)、上記樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率をB(μS/cm)としたとき、下記式(1)を満足するものであることを特徴とするものである。
   A×B<4.0×10   (1)
 なお、「顔料分散体の顔料1質量%水溶液」とは、顔料分散体を顔料濃度が1質量%となるように水に分散させた液をいう。
 本実施形態においては、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率と樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率との積の値が小さいことで、顔料分散体および樹脂エマルションに含まれるフリーのイオンの量を極力抑え、顔料分散体の分散性を維持し、インクの分散安定性を保つことができる。
 カルシウム指数値が大きい官能基を表面に多く有する表面処理顔料を含有する顔料分散体は、導電率が高くなる傾向があり、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率が低いことは、表面処理顔料におけるカルシウム指数値が大きい官能基が少量存在していることを示すものと考えられる。
 一方、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が低いことは、樹脂エマルション自体が有するイオン性基およびそのイオン性基の対イオンのインク中の存在量がわずかであることを示すものと考えられる。また、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が低いことは、樹脂エマルションの製造に由来するイオン性物質などの不純物のインク中に含まれる量が少ないことを示すものと考えられる。
 表面処理顔料における官能基はカルシウム指数値が大きい官能基は、樹脂エマルションに含まれるイオン性基、そのイオン性基の対イオン、イオン性不純物と相互作用しやすいと推量される。この官能基は表面処理顔料の分散安定性に寄与しているため、樹脂エマルションにおけるイオン性基、対イオン、イオン性不純物がインク中に多量に存在すると、上記相互作用によって分散機能が低下する。したがって、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が高いと、樹脂エマルションと表面処理顔料を含有する顔料分散体とを混合してインクを調製した際には表面処理顔料の分散状態も悪くなると考えられる。
 一方、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が比較的低ければ、樹脂エマルションにおけるイオン性基、そのイオン性基の対イオン、イオン性不純物は少量のみ存在することになるので、表面処理顔料におけるカルシウム指数値が大きい官能基と、樹脂エマルションにおけるイオン性基、対イオン、イオン性不純物との相互作用は低減されると推量される。したがって、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率が多少高い場合であっても、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が比較的低ければ、表面処理顔料におけるカルシウム指数値が大きい官能基と、樹脂エマルションにおけるイオン性基、対イオン、イオン性不純物との相互作用、およびその相互作用による表面処理顔料の凝集は軽減されると考えられる。
 同様に、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率が比較的低ければ、表面処理顔料におけるカルシウム指数値が大きい官能基は少量のみ存在することになるので、表面処理顔料におけるカルシウム指数値が大きい官能基と、樹脂エマルションにおけるイオン性基、対イオン、イオン性不純物との相互作用は低減されると推量される。したがって、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が多少高い場合であっても、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率が比較的低ければ、表面処理顔料におけるカルシウム指数値が大きい官能基と、樹脂エマルションにおけるイオン性基、対イオン、イオン性不純物との相互作用、およびその相互作用による表面処理顔料の凝集は軽減されると考えられる。
 そこで本実施形態においては、顔料分散体および樹脂エマルション中のイオン性成分の量を指標とし、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率と樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率との積を採用した。顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率が多少高くとも、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が比較的低ければ、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率と樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率との積の値は所定の値よりも小さくなる。同様に、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が多少高くとも、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率が比較的低ければ、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率と樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率との積の値は所定の値よりも小さくなる。
 すなわち、本実施形態においては、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率と樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率との積の値を小さくすることで、表面処理顔料におけるカルシウム指数値が高い官能基と、樹脂エマルション中のイオン性基、対イオン、イオン性不純物との相互作用を低減できると推量される。
 ここで、導電率については顔料分散体の顔料1質量%水溶液および樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液を対象としており、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率と樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率との積の値にはインク組成物中の実際の顔料分散体の顔料および樹脂エマルションの固形分の含有量は考慮されていないため、顔料分散体の顔料および樹脂エマルションの固形分の含有量をそれぞれ変化させた場合においても、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率と樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率との積の値と、両者をインクとして混合した場合の分散安定性との関係性が成立するかが懸念される。しかしながら、一般的にインク組成物を調製するに際して顔料分散体の顔料および樹脂エマルションの固形分のそれぞれの含有量は広い範囲で変化させるものではなく狭い範囲で変化させるものであるため、本実施形態においては、インク組成物中の実際の顔料分散体の顔料および樹脂エマルションの固形分の含有量を考慮していない、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率と樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率との積を採用した。
 以下、本実施形態のインク組成物における各構成について説明する。
 (i)顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率と樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率との積
 本実施形態において、顔料分散体および樹脂エマルションは、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率をA(μS/cm)、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率をB(μS/cm)としたとき、式(1):A×B<4.0×10を満足するものである。
 A×Bの値は、樹脂エマルション中のイオン性基およびその対イオンあるいはイオン性不純物の表面処理顔料への影響度を表すパラメーターであるため、小さければ小さいほど好ましい。よって、A×Bの値の下限は特に限定されるものではない。なお、A×Bの値が小さすぎるものは、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率が低すぎる、または樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が低すぎることになるので、安定な分散性を有する顔料分散体または樹脂エマルションの製造が困難になると考えられる。
 顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率としては、上記式(1)を満たすものであれば特に限定されるものではない。なお、上記導電率が低すぎると、カルシウム塩等との反応性が低くなり、紙へのインクの定着性が損なわれるおそれがある。
 ここで、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率は、上記第1実施形態の項に記載した樹脂エマルションの1質量%水溶液の導電率と同様の方法により測定することができる。
 また、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率としては、上記式(1)を満たすものであれば特に限定されるものではないが、上記第1実施形態における樹脂エマルションの1質量%水溶液の導電率と同様であることが好ましい。
 (ii)顔料分散体
 本実施形態に用いられる顔料分散体は、表面処理顔料を含むものである。この表面処理顔料は、顔料の表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されたものである。また、顔料分散体は、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率をA(μS/cm)、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率をB(μS/cm)としたとき、式(1):A×B<4.0×10を満足するものである。
 顔料分散体の含有量としては、十分な画像濃度を実現できれば特に限定されるものではないが、具体的には、顔料分散体の顔料の含有量が、インク組成物全量に対して、0.5質量%~20質量%の範囲内であることが好ましい。この際、顔料分散体の顔料および樹脂エマルションの固形分の含有量の和が、インク組成物全量に対して、1.0質量%~20質量%の範囲内であることが好ましい。
 なお、表面処理顔料および顔料分散体のその他の点については、上記第1実施形態に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
 顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率は、例えば、官能基の種類、官能基の量、第2官能基の種類、第2官能基の量などによって調整することができる。
 (iii)樹脂エマルション
 本実施形態に用いられる樹脂エマルションは、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率をA(μS/cm)、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率をB(μS/cm)としたとき、式(1):A×B<4.0×10を満足するものである。
 樹脂エマルションの固形分の含有量としては、インク組成物全量に対して、0.5質量%~20質量%の範囲内であることが好ましい。この際、上述したように、顔料分散体の顔料および樹脂エマルションの固形分の含有量の和が、インク組成物全量に対して、1.0質量%~20質量%の範囲内であることが好ましい。
 なお、樹脂エマルションのその他の点については、上記第1実施形態に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
 (iv)その他
 本実施形態のインク組成物は、上記第1実施形態と同様に、通常、溶媒および界面活性剤を含有するものであり、また添加剤を含有することができる。
 また、本実施形態のインク組成物は、上記第1実施形態と同様に、インクジェットインクに用いられることが好ましく、なかでも、ピエゾ方式のインクジェット記録装置に用いられることが好ましい。
 また、本実施形態のインク組成物の粘度、表面張力およびpHについては、上記第1実施形態と同様とすることができる。
2.B態様
 次に本発明のインク組成物のB態様について説明する。
 本態様のインク組成物は、少なくとも顔料、樹脂エマルション、及び界面活性剤を含有する水系溶媒からなるインク組成物であって、該樹脂エマルションを形成している樹脂に少なくとも1つのP-OまたはP=O結合を有するリン含有官能基が1つ又は2つ以上結合されていることを特徴とする。本発明のインク組成物は、主にピエゾ方式等のインクジェット記録装置に用いられる水系溶媒からなるインク組成物で主溶媒が水からなるものである。
 以下、インク組成物の主な成分である、顔料、樹脂エマルション、界面活性剤、及び水系溶剤について説明する。
(1)樹脂エマルション
 本態様において樹脂エマルションとは、連続相が水であり、分散粒子が樹脂微粒子である水性分散液を意味する。上記樹脂エマルションは、一般に連続相である水が蒸発や浸透などにより減少すると、増粘・凝集する性質を持ち、顔料の印刷用紙への浸透を抑制して該用紙への定着を促進する効果を有するが、樹脂エマルションを形成している樹脂に少なくとも1つのP-OまたはP=O結合を有するリン含有官能基が1又は2つ以上結合されていると、樹脂エマルションが印刷用紙中のカルシウムと反応して、顔料の印刷用紙への浸透をいっそう抑制してにじみを防止する効果が発揮される。
 樹脂エマルションは、例えば、水と、モノマーと、乳化剤と、重合開始剤とを混合して乳化重合反応させ、反応後に中和させて製造することができる。乳化剤としては、通常の高分子型界面活性剤を用いても良く、不飽和結合を有する反応性乳化剤を用いても良い。モノマーおよび反応性乳化剤にP-OまたはP=O結合を有するリン含有官能基が含まれていることで、樹脂エマルション中の樹脂に直接リン含有官能基が結合され、該樹脂と印刷用紙中のカルシウムとの反応が直接起こり、にじみの防止効果がより高いと考えられるからである。また場合により乳化剤不存在下で重合反応させることも出来る。また、樹脂エマルションは、乳化重合反応させることなく、樹脂微粒子を、界面活性剤と共に、水と混合することによっても得ることができる。例えば、少なくとも1つのP-OまたはP=O結合を有するリン含有官能基が1つ又は2つ以上結合されている(メタ)アクリル酸エステル、又はスチレンと(メタ)アクリル酸エステルからなる樹脂微粒子を、界面活性剤とを水中に添加して混合することにより得ることができる。この場合、樹脂成分と界面活性剤との混合割合(重量比)は、通常10:1~5:1程度が好ましく、界面活性剤の使用量が該範囲より少ないとエマルションが形成しづらくなり、一方、前記範囲以外では、インクの耐水性や浸透性が低下するおそれがあり好ましくない。
 樹脂エマルションを構成する樹脂成分の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ブチラール系樹脂等のビニル系共重合樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタンアクリル系樹脂、繊維素系樹脂、シリコーン系樹脂、シリコーンアクリル系樹脂、ロジン系樹脂、アクリルアミド系樹脂、エポキシ樹脂、あるいはこれらの混合形であることが好ましい。特に、樹脂微粒子に(メタ)アクリル系樹脂を含むことが好ましい。これら樹脂は、共重合の形態が特に限定されるものではなく、例えばブロックコポリマー、ランダムコポリマーなどとすることができる。
 これらの樹脂成分としては、親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体が好ましく、また、その平均粒子径はエマルションを形成できれば特に限定されないが、500nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。樹脂エマルションを構成する樹脂成分の粒子径が500nmより大きく、顔料粒子径との差が大きくなると、インク組成物から吐出されてドットを形成する際に樹脂、エマルション粒子から形成される樹脂粒子同士が接触してその隙間に顔料粒子が存在するようになると海島構造を形成して、顔料の定着性が阻害されるおそれがある。
(イ)乳化剤、重合開始剤
 前記乳化重合の際に使用する乳化剤、及び重合開始剤については、上記「1.A態様」の項に記載したものと同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
(ロ)モノマー成分
〈1〉モノマー
 前記乳化重合の際に使用するモノマーは、好ましくは、不飽和ビニルモノマーを用いる。不飽和ビニルモノマーの具体例としては、一般的に乳化重合で使用されるアクリル酸エステルモノマー類、メタクリル酸エステルモノマー類、芳香族ビニルモノマー類、ビニルエステルモノマー類、ビニルシアン化合物モノマー類、ハロゲン化モノマー類、オレフィンモノマー類、ジエンモノマー類が挙げられる。
 その具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、等のアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル、等のハロゲン化モノマー類;スチレン、2-メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、クロルスチレン等の芳香族ビニルモノマー類;エチレン、プロピレン、イソプロピレン、等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニルモノマー類が挙げられる。カルボキシル基を有さないモノマーには、カルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーの利用が必須となるが、好ましいその例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸が挙げられ、メタクリル酸の利用が好ましい。
〈2〉架橋性モノマー
 また、樹脂エマルションを形成している樹脂微粒子を、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーによって架橋された構造とすることができる。重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーの例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート等のジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート等のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物;ジビニルベンゼンが挙げられる。
さらに、上記モノマーに加えて、アクリルアミド類または水酸基含有モノマーを添加することによって、さらに印刷安定性を向上させることが出来る。アクリルアミド類の具体例としてはアクリルアミドおよびN,N-ジメチルアクリルアミドが挙げられる。また、水酸基含有モノマーの具体例としては2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられ、これらを一種または二種以上の混合物として使用することができる。
〈3〉リン含有官能基
 印刷用紙に含まれるカルシウムイオンとの反応性を利用して顔料の定着性を向上するために、樹脂エマルションの樹脂に結合されるリン含有官能基としては、上記「1.A態様」の項に記載した官能基と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記リン含有官能基の樹脂エマルション中の樹脂への導入は、重合により樹脂エマルションを製造する際にモノマー成分中にリン含有官能基を有するモノマーを一定割合使用して樹脂エマルション中の樹脂に導入する方法でもよく、また公知の方法によりリン含有官能基を有する化合物を樹脂エマルション中の樹脂に付加させる方法でもよい。
〈4〉その他のリン含有官能基
 リン含有官能基を有するモノマーとしてリンを有する反応性界面活性剤を使用することができる。
 P=O結合を有するリン酸エステル型反応性界面活性剤として、(株)ADEKA製のアデカリアソープPP-70、SDX-334、SDX-731等、又第一工業製薬(株)製のH-3330PL等が市販されている。
 尚、アデカリアソープPP-70の分子式は[CH2=CHCH2O(CH2C(CH3)HO)m]LP(=O)-(OH)3-)3-L (L:1又は2)である。
 また、少なくとも1つのP-OまたはP=O結合を有するリン含有官能基と重合性二重結合を有するモノマーとして、CH=CH-φ-P(O)(OH)、CH=CH-φ-OP(O)(OR)、CH=CH-φ-OP(S)(OR)、CH=CH-φ-OP(O)ClR(前記式中、φはベンゼン環を示し、Rは炭素原子数1~6のアルキル基である)等が例示でき、更に、特開2000-178478号公報、特開2000-314030号公報、及び特開平3-095209号公報に開示されているモノマーを使用することが可能である。
〈5〉リン含有官能基のカルシウム指数値
 前述の通り、樹脂エマルションを形成している樹脂微粒子の主鎖又は側鎖に少なくとも1つのP-OまたはP=O結合を有するリン含有官能基が1つ又は2つ以上結合されていると、顔料の印刷用紙への浸透を抑制してにじみを抑制する効果が発揮される。この場合、該リン含有官能基は、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有するものであることが好ましい。ここで、カルシウム指数値およびその測定方法としては、上記「1.A態様」の項に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
 特許文献1によれば、上記のようなリン含有官能基が結合した顔料成分を含有するインク組成物が印刷用紙に印刷されると、該リン含有官能基と、印刷用紙中またはその紙面に存在するカルシウム塩もしくは他の二価金属塩とが相互作用または結合し、その結果、顔料が紙に定着しやすくなると記載されている。
(ハ)中和剤
 乳化重合反応終了後に、使用する中和剤および中和度としては、上記「1.A態様」の項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(ニ)樹脂エマルション
 樹脂エマルションの分子量は、1,000以上であることが好ましく、より好ましくは1,000~200,000程度である。インク組成物中の樹脂エマルションの含有量としては、特に限定されるものではないが、樹脂エマルションの固形分の含有量が、インク組成物全量に対して、例えば0.05~20質量%程度とすることができる。この際、上述したように、顔料分散体の顔料および樹脂エマルションの固形分含有量の和が、インク組成物全量に対して、0.1~30質量%の範囲内であることが好ましい。
(ホ)樹脂エマルションの導電率
 本態様のインク組成物中に顔料として後述する表面処理顔料を使用する場合には、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が低いことで、樹脂エマルションと表面処理顔料との反応性を低くすることができると考えられる。
 樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率は、300μS/cm以下が好ましく、200μS/cm以下がより好ましく、150μS/cm以下が更に好ましい。なお、好ましい理由については、上記「1.A態様」の項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(2)顔料
 インク組成物を使用される色材から分類すると、染料インクと顔料インクに分けられるが、顔料インクは、染料インクと比較して耐光性、耐水性、耐ガス性などの画像保存性に優れるためにインクジェット記録への利用が進められてきており、本態様では顔料インクを使用する。
 顔料はインク中で粒子として存在しかつ基本的に結晶構造を通して発色している。
 顔料をインク組成物中に分散させる方法として、樹脂分散型と自己分散型の2種類があり、樹脂分散型は、顔料を高分子分散剤(界面活性剤)で分散する方法で、高分子分散剤は、低分子量の界面活性剤と比較すると、電荷による粒子間の静電反発の他に立体的な反発効果が働くため,より安定に顔料を分散することができる。自己分散型は、顔料表面に直接、親水性基を修飾させて分散するタイプであり、親水性基としてカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、またはスルホン基の少なくとも一種の官能基またはその塩が結合するような表面処理が挙げられる。
 顔料の平均一次粒子径(D50)は、例えば5nm~200nmの範囲内とすることができ、中でも30nm~150nmの範囲内が好ましい。顔料粒子径を特定の粒子径以下にすることで印字画像部の顔料粒子の乱反射を防ぎ、かつ濃度均一な印字画像を提供できるからである。一方、顔料の平均一次粒子径が200nmより大きくなると印字画像部の顔料粒子が乱反射を起こし、画像彩度の低下かつ濃度不均一となる。その理由は、より印字画像部の顔料粒子の乱反射を防ぐ効果があることに基づく。尚、本態様における顔料の平均一次粒子径は、23℃、55%RHの環境において、粒度分析計(日機装(株)製、型式:マイクロトラックUPA)で測定した値を示す。顔料としては、有機顔料を用いることができる。また、無機顔料であるカーボンブラックも用いられる。顔料の色としては、青色、黒色、茶色、シアン色、緑色、白色、バイオレット色、マゼンタ色、赤色、橙色、黄色のいずれであってもよい。異なる色の顔料の混合物も用いることができる。
 本態様に用いられる顔料分散体は、上記表面処理顔料の中でも、顔料の表面に前記1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されたものが望ましい。以下、表面処理顔料における各構成について説明する。
 本態様において、該樹脂エマルションを形成している樹脂に前述の少なくとも1つのP-OまたはP=O結合を有するリン含有官能基を1つ又は2つ以上結合させた改質樹脂と、顔料表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基を1つ又は2つ以上結合させた表面処理顔料とを組み合わせて使用するとにじみが一層抑制されて紙への定着性が良好となり、より鮮明な画像を印刷することができるインク組成物とすることができる。
 尚、顔料表面に、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基として、少なくとも1つのP-OまたはP=O結合を有するリン含有官能基を使用することも可能であり、この場合のリン含有官能基については、前述の樹脂エマルションの項に記載したリン含有官能基の記載内容と同様である。
 又、顔料の表面に少なくとも1つのP-OまたはP=O結合を有するリン含有官能基が結合された表面処理顔料の製造方法については、上記「1.A態様」の項に記載したものと同様に、例えば、米国特許第5,554,739号明細書、第5,707,432号明細書、第5,837,045号明細書等に記載されていることが紹介されている特許文献1に記載された方法を採用することができる。表面処理顔料の形態としては、上記「1.A態様」の項に記載したもの同様とすることができる。
 顔料分散体は、未反応原料、副生成物塩および他の反応不純物を除去するために、例えば、濾過、遠心分離またはこれらの二つの方法の組み合わせなどの洗浄により精製することができる。生成物は、例えば、蒸発により単離することができ、あるいは濾過および乾燥により回収することができる。
 顔料分散体の含有量としては、十分な画像濃度を実現できれば特に限定されるものではない。具体的には、顔料分散体の顔料の含有量が、インク組成物全量に対して、0.05~20質量%の範囲内であることが好ましい。この際、顔料分散体の顔料および樹脂エマルションの固形分の含有量の和が、インク組成物全量に対して、0.1~30質量%の範囲内であることが好ましい。
(3)界面活性剤
 本態様のインク組成物は、通常、界面活性剤を含む。界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、上記「1.A態様」の項に記載したもの同様とすることができる。また、界面活性剤の含有量についても上記「1.A態様」の項に記載したもの同様とすることができる
(4)添加剤
 本態様のインク組成物は、上記成分に加えて他の任意成分を含んでいてもよい。本態様のインク組成物には、例えば、浸透剤、湿潤剤、防腐剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、脱酸素剤などを添加することができる。
(イ)浸透剤
 本態様の好ましい態様によれば、インク組成物は、浸透剤を含んでいることが好ましい。後述する水溶性有機溶媒のある種のものは浸透剤として機能しうるが、本態様にあっては、好ましい浸透剤の例としては、1,2-アルキルジオール、グリコールエーテル、アセチレングリコール系界面活性剤、およびアセチレンアルコール系界面活性剤が挙げられ、これらは一種または二種以上の混合物であってもよい。1,2-アルキルジオールの具体例としては、1,2-ヘキサンジオールまたは1,2-ペンタンジオールが挙げられる。グリコールエーテルの具体例としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、が挙げられる。1,2-アルキレングリコールまたはグリコールエーテルの添加量は、インク組成物の全重量に対して好ましくは1~15重量%、さらに好ましくは1~10重量%である。
(ロ)湿潤剤
 本態様の好ましい態様によれば、インクは、湿潤剤をさらに含んでいることが好ましい。湿潤剤は、180℃以上の沸点を有し、且つ、吸水性と保水性を有する水溶性有機溶媒からなるものが好ましくは利用される。好ましい湿潤剤は、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールである。本態様においては、なかでも、グリセリン、ジエチレングリコールが好ましい。湿潤剤の添加量はインクジェット記録用インク組成物の全重量に対して、好ましくは5~30重量%の範囲であり、より好ましくは5~20重量%の範囲である。本態様にあっては、湿潤剤として、三級アミンを利用することもできる。三級アミンの例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらは一種または二種以上混合して使用されてよい。これら三級アミンの添加量は、インク組成物全量に対して好ましくは0.3~15重量%範囲程度であり、より好ましくは、0.5~10重量%範囲程度である。
(ハ)分散安定性と速乾性向上剤
 インク組成物中に3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールが含有されていると分散安定性と速乾性が向上する。顔料が含まれるインク組成物に、グリコールエーテル系浸透剤の添加量が多いと、経時における顔料の分散安定性が低下して吐出性能に問題を生ずることがある。3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールは、従来の浸透剤の問題を何等伴わず、経時における顔料の分散安定性を大幅に高め、粒子径の増加およびインク粘度の増加を抑制できる。こうした効果は、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールに含まれている疎水基に起因するものと推測される。すなわち、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールに含まれている疎水基はメチル基およびメトキシ基であり、疎水度が比較的小さい。顔料、分散剤、および水で構成される分散系において、顔料疎水表面への3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールの吸着が少なく、顔料と分散剤との吸着を妨げることがない。このため、結果的に顔料、分散剤、水からなる分散系が安定化するためと考えられる。3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールは、本態様のインク組成物中に0.5~20重量%の量で含有されている場合には、特に不都合を伴うことなく顔料の分散安定性と速乾性を向上して、高い品質の画像を普通紙に形成することが可能であり、30重量%以上の水溶性有機溶媒を配合することに起因して、間欠吐出においても目詰まりを生じることない。
(5)溶媒
 本態様のインク組成物は、水系溶媒として、水溶性有機溶媒、水およびこれらの混合溶媒が用いられる。水溶性有機溶媒としては、上記「1.A態様」の項に記載したもの同様のものを使用することができる。また、水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、脱イオン水を使用することが好ましい。インク組成物が水を含有する場合、水の含有量は、特に限定されるものではないが、インク組成物全量に対して、例えば20~80質量%程度とすることができ、30~50質量%の範囲内であることが好ましい。また、水溶性有機溶媒の含有量としては、上記インク組成物全量に対して、例えば、10質量%~70質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、20質量%~50質量%の範囲内であることが好ましい。
 (6)用途
 本態様のインク組成物の用途としては、上記「1.A態様」の項に記載したもの同様とすることができる。
 (7)その他
 また、本実施形態のインク組成物の粘度、表面張力およびpHについては、上記「1.A態様」の項に記載したもの同様とすることができる。
 B.記録物
 次に、本発明の記録物について説明する。
 本発明の記録物は、紙上に上述のインク組成物を用いて印刷された画像を有することを特徴とするものである。
 本発明によれば、上述のインク組成物を用いて印刷するので、紙の種類によらず、インク滲みがなく、鮮明な画像を得ることができる。
 本発明に用いられる紙としては、特に限定されるものではなく、中でも、填料としてカルシウム塩を含有する、上質紙などの紙であることが望ましい。また、上記紙としては、印刷用紙として用いられるものであることが好ましい。
 また、本発明の記録物としては、具体的には、印刷物等を挙げることができる。
C.記録方法
 次に、本発明の記録方法について説明する。
 本発明の記録方法は、上述のインク組成物を使用して記録媒体上に画像を形成することを特徴とするものである。
 本発明によれば、上述のインク組成物を用いて画像を形成するので、記録媒体の種類によらず、インク滲みがなく、鮮明な画像を得ることができる。
 なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
 以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1-1~1-2)
 [製造例]
 (顔料分散体1~4の調製)
 Kieczykowski等,J. Org. Chem.,1995,60,8310~8312ならびに米国特許第4,922,007号明細書に示された手順と同様の手順を用いて、[2-(4-アミノフェニル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジイル]ビスホスホン酸一ナトリウム塩を製造した。まず、500mL三つ口フラスコに、凝縮器の頂部にガス出口を備えた凝縮器、温度計および乾燥窒素入口、ならびに100mL均圧添加漏斗を取り付けた。このフラスコに、最初に、32gの亜リン酸(380mmol)および160mLのメタンスルホン酸(溶媒)を添加した。この撹拌混合物に、57.4gのアミノフェニル酢酸(380mmol)を少しずつ添加した。この撹拌混合物を65℃に1~2時間加熱して、固体分を完全に溶解させた。この系全体を乾燥窒素でフラッシュし、固体分のすべてが溶解した後に温度を40℃に減じた。この加熱溶液に、添加漏斗を通じて70mLのPCl3(800mmol)をゆっくり添加した。HClガスが反応から発生し、このガスはガス出口を通じて乾燥管中に、次いで漏斗を通じてビーカー中の濃NaOH溶液中に流れた。添加が完了した後、反応混合物を2時間撹拌かつ40℃にて加熱した。この時間後、温度を65~70℃に上げ、この混合物を一晩撹拌した。生じた清澄な茶色溶液を室温に冷却し、600gの氷/水混合物中への添加によりクエンチした。この水性混合物を1Lビーカー中に入れ、90~95℃に4時間加熱した(ビーカーの頂部をガラス板で覆った)。次いで、この混合物を室温に冷却し、この混合物のpHを50%NaOH溶液で4~5に調整した(クエンチングの結果として温度が上昇するので、該NaOH溶液はゆっくり添加した)。この混合物を氷浴で5℃に2時間冷却し、次いで生じた固体分を吸引濾過により集め、1Lの冷脱イオン水で洗浄し、60℃にて一晩乾燥して、白色またはオフホワイト色の固体生成物(収量は48g,39%であった。)を得た。この化合物についての1H-NMRデータ(D2O/NaOH)は、次のとおりであった。すなわち、7.3(2H,d)、6.76(2H,d)、3.2(2H,t)。この化合物についての13C-NMRデータ(D2O/NaOH)は、次のとおりであった。すなわち、141、130、128、112、73。
 上記化合物について、次の一般手順に従い顔料修飾を行なった。カーボンブラックに関してはBlack Pearls(登録商標)700カーボンブラック(Cabot社製)を用い、黄色顔料についてはピグメントイエロー74(Sun Chemical製)を用い、赤色顔料についてはピグメントレッド122(Sun Chemical製)を用い、そして青色顔料についてはピグメントブルー15:4(Sun Chemical製)を用いた。
 20gの顔料、20mmolの上記において製造された物質、20mmolの硝酸および200mLの脱イオン水を、室温にてシルヴァーソン(Silverson)混合機(6000rpm)で混合した。30分後、この混合物中に少量の水中の亜硝酸ナトリウム(20mmol)をゆっくり添加した。温度は混合によって60℃に達し、これを1時間進行させた。これにより、表面処理顔料が生成された。pHをNaOH溶液で10に調整した。30分後、表面処理顔料(少なくとも2個のホスホン酸基またはその塩が結合されている顔料を含む。)の生じた分散液を、20容量部の脱イオン水を用いてスペクトラム(Spectrum)メンブランでダイアフィルトレーションし、おおよそ12%固体分に濃縮した。音波プローブでの30分の音波処理後、分散液中の表面処理顔料の平均体積粒子サイズ(mV)を決定した。
 [実施例1-1]
 下記組成となるように、顔料分散体および樹脂エマルションなどの各成分を25℃で混合、攪拌し、インク組成物を調製した。
<インク組成物の組成1>
 ・顔料分散体     6質量%(顔料含有量)
 ・樹脂エマルション  6質量%(固形分含有量)
 ・水         残量
 <インク組成物の組成2>
 ・顔料分散体     8質量%(顔料含有量)
 ・樹脂エマルション  4質量%(固形分含有量)
 ・水         残量
 <インク組成物の組成3>
 ・顔料分散体     4質量%(顔料含有量)
 ・樹脂エマルション  8質量%(固形分含有量)
 ・水         残量
 <インク組成物の組成4>
 ・顔料分散体    10質量%(顔料含有量)
 ・樹脂エマルション  2質量%(固形分含有量)
 ・水         残量
 表3に、顔料分散体1~6について示す。顔料分散体5してはCab-O-Jet200(Cabot社製)を用い、顔料分散体6してはCab-O-Jet300(Cabot社製)を用いた。なお、表3において、カルシウム指数値は上述の表1を参照した。また、顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率Aは上述した方法により測定した。顔料分散体のpHは、Eutech Instruments 製 WP pH Scan BNC を使用して、温度25℃下で測定した。
 また、樹脂エマルションは表4に示すものを用いた。なお、表4において、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率Bは上述した方法により測定した。樹脂エマルションのpHは、Eutech Instruments 製 WP pH Scan BNC を使用して、温度25℃下で測定した。また、表4中、Tgはガラス転移温度、MFTは最低造膜温度をそれぞれ示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 各インク組成物をガラス瓶に入れ、50℃で1週間保存し、保存後の沈殿物析出の有無を調べ、混合安定性について下記の基準で評価した。結果を表5に示す。
 <評価基準>
 ○:凝集物が析出しない。
 △:凝集物がわずかに析出するが、流動性に影響しない。
 ×:凝集物が析出し、流動性が低下する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 顔料分散体1~4を用いたインク(試験番号:1~32)のうち、樹脂エマルション1~4を用いたインク(試験番号:1~4、9~12、17~20、25~28)では、表面処理顔料の官能基のカルシウム指数値が大きく、かつ樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率Bが300μS/cm以下であり、混合安定性が良好であった。表面処理顔料の官能基のカルシウム指数値が高い場合に、樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率Bを300μS/cm以下とすることで、凝集を生じ難く、安定なインクを作製することができることがわかった。
 また、顔料分散体1~4を用いたインク(試験番号:1~32)のうち、A×Bの値が4.0×104未満であるインク(試験番号:1~4、9~14、17~20、25~28)でも、混合安定性が良好であった。表面処理顔料の官能基のカルシウム指数値が高い場合に、A×Bの値を4.0×104未満とすることで、凝集を生じ難く、安定なインクを作製することができることがわかった。
 また、試験番号41~45のインクでは、顔料および樹脂エマルションの比率を変更しても、その比率にかかわらず、A×Bの値が4.0×104を超えると凝集を生じ、不安定であったのに対して、A×Bの値が4.0×104未満の場合には、凝集を生じ難く、安定であった。顔料および樹脂エマルションの比率によらず、A×Bの値を4.0×104未満とすることで、凝集を生じ難く、安定なインクを作製することができることがわかった。
 一方、表面処理顔料の官能基のカルシウム指数値が低い顔料分散体5,6を用いたインク(試験番号:33~40)においては、凝集とA×Bの値とに相関性を見出すことは困難であった。
 [実施例1-2]
 下記組成となるように、顔料分散体および樹脂エマルションなどの各成分を25℃で混合、攪拌し、インク組成物を調製した。顔料分散体および樹脂エマルションは表3および表4に示すものを用いた。
 <インク組成物1の組成>
 ・顔料分散体                     6質量%(顔料含有量)
 ・樹脂エマルション                  6質量%(固形分含有量)
 ・グリセリン                    18質量%
 ・ジエチレングリコール               10質量%
 ・トリメチロールプロパン               5質量%
 ・1,2-ヘキサンジオール              4質量%
 ・サーフィノール465(エアープロダクツ社)     1質量%
 ・水                         残量
 <インク組成物2の組成>
 ・顔料分散体                     6質量%(顔料含有量)
 ・樹脂エマルション                  6質量%(固形分含有量)
 ・グリセリン                    15質量%
 ・ジエチレングリコール               15質量%
 ・サーフィノール465(エアープロダクツ社)     1質量%
 ・水                         残量
 まず、各インク組成物を用い、インクジェット塗布装置(DMP-2831;FUJIFILM Dimatix社製)で1ドット幅でドットピッチ40μmに設定し、ピエゾ電圧は20V、駆動周波数は5kHzで常温(25℃)で印字した。紙は、再生紙(再生PPC-W;大王製紙)、上質紙(ニューNPi上質;日本製紙)、コート紙(OKトップコート;王子製紙)、コート紙(PODコート;王子製紙)、ノーカーボン紙(ノーカーボン中用紙;三菱製紙)を用いた。
 印刷物のベタ部濃度(光学濃度;OD)は、分光測色計(X-Rite 938;X-Rite社製)を使用して測定した。
 次に、各インク組成物について、下記の評価を行なった。
 (インク保存性)
 各インク組成物をポリエチレン容器に入れ密封し、60℃で1週間保存した後の顔料の粒径、インクの表面張力およびインクの粘度を測定し、初期物性との変化率により、下記の基準で評価した。
 インク中の顔料の平均粒径は、濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR-1000;大塚電子製)を用いて測定した。
 インクの表面張力は、温度25℃下で、自動表面張力計(CBVP-Z型;協和界面科学製)を用いて、白金プレートを用いたプレート法により測定した。
 インクの粘度は、粘度計(AMVn;アントンパール社製)を使用して、温度25℃下で測定した。
 <評価基準>
 ○:粒径、表面張力および粘度のすべてで変化率が10%未満である。
 ×:粒径、表面張力および粘度の少なくとも1つで変化率が10%以上である。
 (吐出信頼性)
 吐出の状態を高速度カメラで観測し、下記の基準で評価した。
 <評価基準>
 ○:吐出曲がりやノズル詰まりが発生しない。
 ×:吐出曲がりやノズル詰まりが発生する。
 (乾燥性)
 印字後、5分間室温で放置した後、指触で乾燥性を評価した。
 <評価基準>
 ○:指にインクが付着しない。
 ×:指にインクが付着する。
 (印刷物の耐擦過性)
 得られた各印刷物サンプルを乾燥させた後、耐擦過性を下記の基準で評価した。
 <評価基準>
 ○:紙種によらず、乾いた綿布でこすっても色落ちしない。
 ×:乾いた綿布でこすると剥げる。
 (印刷物の耐水性)
 得られた各印刷物サンプルを25℃の水に10分間浸漬し、印字部からのインクの溶出の状態を下記の基準で評価した。
 <評価基準>
 ○:インクの溶け出しによる濃度低下や滲みが認められない。
 △:インクの溶け出しにより濃度低下や滲みがわずかに認められる。
 ×:インクの溶け出しにより濃度低下や滲みが著しい。
 (画像再現性)
 7ポイントで「鷹」の文字を印刷し、滲みについて下記の基準で評価した。
 <評価基準>
 ○:滲みがなく非常に鮮明な文字である。部首のトリ部分が鮮明である。見本を図1(a)に示す。
 ×:滲みがみられ鮮明さが劣る。部首のトリ部分の鮮明さに劣る。見本を図1(b)に示す。
 結果を表6に示す。なお、表6において、混合安定性については実施例1-1と同様に評価した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 試験番号7aのインクでは、上述の表5に示すように樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率Bが300μS/cmを超えているため、あるいは上述の表5に示すようにA×Bの値が4.0×10を超えているため、凝集が生じ、吐出信頼性やインク保存性が劣っていた。
 顔料分散体5,6を用いたインク(試験番号:33a,37a)では、上述の表5に示すように表面処理顔料の官能基のカルシウム指数値が低いため、特に上質紙において印刷物の濃度が低く、鮮明さが劣っており、耐久性も十分ではなかった。
 これに対し、顔料分散体1,2を用いたインク(試験番号:1a,2a)では、上述の表5に示すように表面処理顔料の官能基のカルシウム指数値が高く、かつ樹脂エマルション1質量%水溶液の導電率Bが300μS/cm以下あるいはA×Bの値が4.0×10未満であり、吐出信頼性やインク保存性が良好で、濃度が高く鮮明な画像を得ることができた。
(実施例2-1~2-7および比較例1~3)
(1)樹脂エマルションの調製
 下記方法により、樹脂エマルション2-1~2-3を調製した。尚、得られた樹脂エマルションの平均粒子径は濃厚系粒径アナライザー(大塚電子(株)製、型式:FPAR-1000)を用いて測定した。
(イ)樹脂エマルション2-1の調製
 機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、リン酸エステル型反応性界面活性剤((株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープPP-70)0.75g、過硫酸カリウム0.04g、アクリル酸3gと純水150gを仕込み、25℃にて攪拌し混合した。これに、スチレン22.5g、メタクリル酸メチル60g、メタクリル酸エチル30g、アクリル酸2-エチルヘキシル34.5gの混合物を滴下してプレエマルションを調製した。また、機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、前記アデカリアソープPP-70((株)ADEKA製)3g、過硫酸カリウム0.01gと純水200gを70℃にて攪拌し混合した。その後、調製した前記プレエマルションを3時間かけてフラスコ内に滴下した。70℃でさらに3時間加熱熟成した後冷却し、アンモニア水溶液でpHを8となるよう調整し、#150メッシュ(日本織物製)にて濾過し、500gの樹脂エマルション2-1(固形分30質量%)を得た。得られた樹脂の平均粒子径は90nmであった。
(ロ)樹脂エマルション2-2の調製
 機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、前記アデカリアソープPP-70((株)ADEKA製)1g、過硫酸カリウム0.04g、アクリル酸3gと純水150gを仕込み、25℃にて攪拌し混合した。次に、スチレン22.5g、メタクリル酸メチル60g、メタクリル酸エチル30g、アクリル酸2-エチルヘキシル34.5gの混合物を滴下してプレエマルションを調製した。
また、機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、前記アデカリアソープPP-70((株)ADEKA製)2.75g、過硫酸カリウム0.01gと純水200gを70℃にて攪拌し混合した。その後、調製した前記プレエマルションを3時間かけてフラスコ内に滴下した。70℃でさらに3時間加熱熟成した後冷却し、アンモニア水溶液でpHを8となるよう調整し、#150メッシュ(日本織物製)にて濾過し、500gの樹脂エマルション2-2(固形分30質量%)を得た。得られた樹脂の平均粒子径は150nmであった。
(ハ)樹脂エマルション2-3の調製
 前記アデカリアソープPP-70((株)ADEKA製)をラテムルPD-104(花王(株)製)に変更した以外は、樹脂エマルション2の調製と同様にして樹脂エマルション2-3(固形分30質量%)を得た。得られた樹脂の平均粒子径は150nmであった。調製した樹脂エマルション2-1~2-3を表7に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
(2)顔料分散体の調製
本実施例、比較例で使用した顔料分散体2-1~2-3を以下に記載する。
また、顔料分散体2-1~2-3を表8に示す。
(イ)顔料分散体2-1の作製方法
 Kieczykowski等,J.Org.Chem.,1995,Vol.60,P.8310~8312ならびに米国特許第4,922,007号明細書に示された手順と同様の手順を用いて、[2-(4-アミノフェニル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジイル]ビスホスホン酸一ナトリウム塩を製造した。まず、500mL三つ口フラスコに、凝縮器の頂部にガス出口を備えた凝縮器、温度計および乾燥窒素入口、ならびに100mL均圧添加漏斗を取り付けた。このフラスコに、最初に、32gの亜リン酸(380mmol)および160mLのメタンスルホン酸(溶媒)を添加した。この撹拌混合物に、57.4gのアミノフェニル酢酸(380mmol)を少しずつ添加した。この撹拌混合物を65℃に1~2時間加熱して、固体分を完全に溶解させた。この系全体を乾燥窒素でフラッシュし、固体分のすべてが溶解した後に温度を40℃に減じた。この加熱溶液に、添加漏斗を通じて70mLのPCl(800mmol)をゆっくり添加した。HClガスが反応から発生し、このガスはガス出口を通じて乾燥管中に、次いで漏斗を通じてビーカー中の濃NaOH溶液中に流れた。添加が完了した後、反応混合物を2時間撹拌かつ40℃にて加熱した。この時間後、温度を65~70℃に上げ、この混合物を一晩撹拌した。生じた清澄な茶色溶液を室温に冷却し、600gの氷/水混合物中への添加により急冷した。
 この水性混合物を1Lビーカー中に入れ、90~95℃に4時間加熱した(ビーカーの頂部をガラス板で覆った)。次いで、この混合物を室温に冷却し、この混合物のpHを50%NaOH溶液で4~5に調整した(急冷の結果として温度が上昇するので、該NaOH溶液はゆっくり添加した)。この混合物を氷浴で5℃に2時間冷却し、次いで生じた固体分を吸引濾過により集め、1Lの冷脱イオン水で洗浄し、60℃にて一晩乾燥して、白色またはオフホワイト色の固体生成物(収量は48g,39%であった。)を得た。この化合物についてのH-NMRデータ(DO/NaOH)は、次のとおりであった。すなわち、7.3(2H,d)、6.76(2H,d)、3.2(2H,t)。この化合物についての13C-NMRデータ(DO/NaOH)は、それぞれ、141、130、128、112、73であった。
 上記化合物について、次の一般手順に従い顔料修飾を行なった。カーボンブラックに関してはBlack Pearls(登録商標)700カーボンブラック(Cabot社製)を用いた。
20gの顔料、20mmolの上記において製造された物質、20mmolの硝酸および200mLの脱イオン水を、室温にてシルヴァーソン(Silverson)混合機(6000rpm)で混合した。30分後、この混合物中に少量の水中の亜硝酸ナトリウム(20mmol)をゆっくり添加した。温度は混合によって60℃に達し、これを1時間進行させた。これにより、表面処理顔料が生成された。pHをNaOH溶液で8~9に調整した。30分後、表面処理顔料(少なくとも2つのホスホン酸基またはその塩が結合されている顔料を含む。)の生じた分散液を、20容量部の脱イオン水を用いてスペクトラム(Spectrum)メンブランでダイアフィルトレーションし、固体分15質量%に濃縮した。
(ロ)顔料分散体2-2の調製
[2-(4-アミノフェニル)-1-ヒドロキシエタン-1,1-ジイル]ビスホスホン酸一ナトリウム塩を、p-アミノ安息香酸一ナトリウム塩に変更した以外は、上記顔料分散体2-1で記載したと同様にして顔料分散体2-2を得た。
(ハ)顔料分散体2-3
樹脂分散型の顔料分散体として、黒色顔料分散体(クラリアント社(スイス)製、商品名:Hostajet Black O-PT)を使用した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
(3)各種測定方法
(イ)表面張力
ポータブル表面張力計(英弘精機(株)製、型式:SITA science line t60-2)を用いて、温度25℃下で、最大泡圧法により表面張力の測定を行い、表10、11に気泡周波数5Hzにおける表面張力を示した。
(ロ)粘度
粘弾性測定装置(アントンパール社製、型式:Physica MCR 301)を使用して、温度25℃下で測定した。樹脂エマルションの測定にはコーンプレートCP50-1を用い、ずり速度が100s-1における粘度を示した。
(4)各種評価方法
(イ)印画物濃度と画像再現性
ピエゾ駆動方式によるインクジェット塗布装置(FUJIFILM Dimatix社製、型式:DMP-2831)を用いて、ドットピッチ(ドット間隔)20μmに設定し、吐出速度は10m/sec、駆動周波数は5kHzで常温(25℃)で印字した。上質紙(王子製紙(株)製、商品名:OKプリンス)に印画を行い、印字物のベタ部濃度(OD)を、分光測色計(X-Rite社製、型式:X-Rite 938)を使用して測定した。
また、同様に7pointの文字を印画し、下記基準により画像再現性を評価した。
〔画像再現性評価基準〕
◎:にじみがなく非常に鮮明な文字である
○:にじみがなく鮮明な文字である
△:にじみが若干みられ鮮明さが劣る
×:にじみがみられ鮮明でない
(ロ)乾燥性
コート紙(王子製紙(株)製、商品名:OKトップコート+)に印画後、5分間室温で放置した後、指触で乾燥性を評価した。
〔評価基準〕
◎:指にインクが全く付着しない
○:指にインクが殆ど付着しない
×:指にインクが付着する
(ハ)画像の耐擦過性
コート紙(王子製紙(株)製、商品名:OKトップコート+)に印画・乾燥後、500gの加重を加えてコピー用紙(再生紙:FS-PAPER)で擦って下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:コピー用紙にインクが付着せず、画像にも変化が見られない
○:コピー用紙にインクが若干付着し、画像の濃度低下が認められる。
×:コピー用紙にインクが付着し、画像の濃度低下が著しい。
(ニ)画像の耐水性
得られた各画像サンプルを25℃の水に2時間浸漬し、印画部からのインクの溶出の状態を下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:インクの溶け出しによる濃度低下やにじみが認められない。
○:インクの溶け出しによる濃度低下やにじみがわずかに認められる。
×:インクの溶け出しによる濃度低下やにじみが著しい。
[実施例2-1]
 インク組成物として、表7に示す樹脂エマルション2-1、表8に示す顔料分散体2-1、水溶性有機溶剤としてグリセリンとジエチレングリコール、表面張力を調製するための界面活性剤(エアープロダクツ社製、商品名:サーフィノール465)、及び水からなる、表9に示すインク組成2-1のインクを調製した。該インクの表面張力と粘度を測定した。前記インクジェット塗布装置を用いて紙基材に印画後、印画物濃度、画像再現性、乾燥性、画像の耐擦過性、及び画像の耐水性の評価を行った。結果をまとめて表10に示す。
 又、図2(a)に実施例2-1における画像再現性の評価を説明するために印画した文字(文字サイズ:7point)の写真を示す。図2(a)では文字のにじみが抑制されて鮮明な画像が得られている。
[実施例2-2~2-6]
 顔料分散体、樹脂エマルションをそれぞれ表10、11に示すとおりとした以外は実施例2-1に記載したと同様に表9に示すインク組成2-1のインクを調製した。実施例2-1に記載したと同様に、該インクの表面張力と粘度を測定し、前記インクジェット塗布装置を用いて紙基材に印画後、印画物濃度、画像再現性、乾燥性、画像の耐擦過性、及び画像の耐水性の評価を行った。結果をまとめて表10、11に示す。
[実施例2-7]
 顔料分散体、樹脂エマルションをそれぞれ表11に示す通りとし、表9に示すインク組成2-2のインクを調製した。実施例2-1に記載したと同様に、該インクの表面張力と粘度を測定し、前記インクジェット塗布装置を用いて紙基材に印画後、印画物濃度、画像再現性、乾燥性、画像の耐擦過性、及び画像の耐水性の評価を行った。結果をまとめて表11に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 [比較例1~3]
顔料分散体、樹脂エマルション、インク組成をそれぞれ表11に示すとおりとした以外は実施例2-1に記載したと同様にインク組成2-1のインクを調製した。実施例2-1に記載したと同様に、該インクの表面張力と粘度を測定し、前記インクジェット塗布装置を用いて紙基材に印画後、印画物濃度、画像再現性、乾燥性、画像の耐擦過性、及び画像の耐水性の評価を行った。結果をまとめて表11に示す。
 又、図2(b)に比較例3における画像再現性の評価を説明するために印画した文字(文字サイズ:7point)の写真を示す。図2(b)では文字のにじみがやや多く、図2(a)と比較すると鮮明性が低下していることが観察される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012

Claims (20)

  1.  表面処理顔料を含む顔料分散体と樹脂エマルションとを含有するインク組成物であって、
     前記表面処理顔料は、顔料の表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されたものであり、
     前記樹脂エマルションは、前記樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が300μS/cm以下となるものであることを特徴とするインク組成物。
  2.  表面処理顔料を含む顔料分散体と樹脂エマルションとを含有するインク組成物であって、
     前記表面処理顔料は、顔料の表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されたものであり、
     前記顔料分散体および前記樹脂エマルションは、前記顔料分散体の顔料1質量%水溶液の導電率をA(μS/cm)、前記樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率をB(μS/cm)としたとき、下記式(1)を満足するものであることを特徴とするインク組成物。
       A×B<4.0×10   (1)
  3.  前記顔料分散体の顔料の含有量が当該インク組成物全量に対して0.5質量%~20質量%の範囲内であり、前記樹脂エマルションの固形分の含有量が当該インク組成物全量に対して0.5質量%~20質量%の範囲内であり、上記顔料分散体の顔料および上記樹脂エマルションの固形分の含有量の和が当該インク組成物全量に対して1.0質量%~20質量%の範囲内であることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のインク組成物。
  4.  水溶性有機溶媒をさらに含むことを特徴とする請求の範囲第1項から第3項までのいずれかに記載のインク組成物。
  5.  水溶性有機溶媒が当該インク組成物全量に対して10質量%~70質量%の範囲内であることを特徴とする請求の範囲第4項に記載のインク組成物。
  6.  少なくとも顔料、樹脂エマルション、及び界面活性剤を含有する水系溶媒からなるインク組成物であって、該樹脂エマルションを形成している樹脂に少なくとも1つのP-OまたはP=O結合を有するリン含有官能基が1つ又は2つ以上結合されていることを特徴とするインク組成物。
  7.  前記リン含有官能基がホスホン酸基、ホスフィン酸基、亜ホスフィン酸基、ホスファイト基、ホスフェート基、ジホスフェート基、トリホスフェート基、及びピロホスフェート基、並びにこれらの部分エステル及び塩から選択された1種又は2種以上であることを特徴とする請求の範囲第6項に記載のインク組成物。
  8.  前記樹脂エマルションの平均粒子径が500nm以下であることを特徴とする請求の範囲第6項又は第7項に記載のインク組成物。
  9.  前記樹脂エマルションの固形分1質量%水溶液の導電率が300μS/cm以下であることを特徴とする請求の範囲第6項から第8項までのいずれかに記載のインク組成物。
  10.  前記顔料がその表面に1,2,3-ベンゼントリカルボン酸のカルシウム指数値よりも大きいカルシウム指数値を有する官能基が結合されたものであることを特徴とする請求の範囲第6項から第9項までのいずれかに記載のインク組成物。
  11.  前記インク組成物中に樹脂エマルションが固形分として0.05~20質量%含有されていることを特徴とする請求の範囲第6項から第10項までのいずれかに記載のインク組成物。
  12.  前記インク組成物に、顔料が0.05~20質量%、樹脂エマルションが固形分として0.05~20質量%、かつ顔料と樹脂エマルションの固形分が併せて0.1~30質量%含有されていることを特徴とする請求の範囲第6項から第11項までのいずれかに記載のインク組成物。
  13.  前記インク組成物中に3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールが0.5~25質量%含有されていることを特徴とする請求の範囲第6項から第12項までのいずれかに記載のインク組成物。
  14.  少なくともグリセリンまたはジエチレングリコールを含むことを特徴とする請求の範囲第1項から第13項までのいずれかに記載のインク組成物。
  15.  粘度が、25℃において、1.5mPa・s~15mPa・sの範囲内である、請求の範囲第1項から第14項までのいずれかに記載のインク組成物。
  16.  表面張力が20mN/m~45mN/mの範囲内である、請求の範囲第1項から第15項までのいずれかに記載のインク組成物。
  17.  pHが7~11の範囲内である、請求の範囲第1項から第16項までのいずれかに記載のインク組成物。
  18.  ピエゾ方式のインクジェット記録装置に用いられることを特徴とする請求の範囲第1項から第17項までのいずれかに記載のインク組成物。
  19.  請求の範囲第1項から第18項までのいずれかに記載のインク組成物を用いて印刷された画像を有することを特徴とする記録物。
  20.  請求の範囲第1項から第18項までのいずれかに記載のインク組成物を使用して記録媒体上に画像を形成することを特徴とする記録方法。
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