特許文献1に示すような紙幣入出金機では、入金口を通じて外部から入金された入金紙幣を識別し、正常でないと識別された紙幣はリジェクト部に搬送されるようになっている。また、特許文献2に示すような紙幣計数機では、ホッパに載置された紙幣を筐体の内部に繰り出して識別し、特定金種以外の真券や、偽券等はリジェクト部に搬送されるようになっている。特許文献1や2に示すような装置では、リジェクト部に搬送される紙幣には、偽券、サスペクト券(真偽不確定券、すなわち偽券の疑いのある紙幣)、あるいは、斜行や重送、連鎖等といった搬送状態が適正ではないような搬送異常の真券が含まれる。しかしながら、リジェクト部においてこれらの複数の種類の紙幣が混合状態で集積されるため、偽券、サスペクト券、搬送異常の真券等の仕分けを操作者が容易に行うことができないという問題がある。
また、欧州では、偽券やサスペクト券を発見した場合には、これらの偽券やサスペクト券を流通させずに回収することが義務づけられている。このため、リジェクト部に集積された紙幣に偽券やサスペクト券が含まれている場合には、操作者は偽券やサスペクト券を抜き出す必要がある。しかしながら、リジェクト部において複数の種類の紙幣が混合状態で集積されるため、操作者にとって偽券やサスペクト券を抜き出すのは容易ではないという問題がある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、リジェクト部に送られた各紙葉類の紙葉類情報(例えば紙幣の記番号等)を操作者が視認することができるようにすることにより、リジェクト部内に混在する複数の種類の紙葉類の仕分け、具体的には例えばリジェクト部内に混在する複数の種類の紙幣における真券(搬送異常によりリジェクト部に送られた真券)と、偽券やサスペクト券との仕分けを容易に行うことができる紙葉類処理装置および紙葉類処理方法を提供することを目的とする。
本発明の紙葉類処理装置は、紙葉類の識別を行うことにより紙葉類の識別情報を得るとともに、紙葉類のイメージを取得し、取得された紙葉類のイメージから紙葉類情報を得る識別部と、前記識別部で正常な紙葉類であると識別された紙葉類が送られる集積部と、前記識別部で正常な紙葉類であると識別された紙葉類以外の紙葉類が送られるリジェクト部と、前記リジェクト部に送られた各紙葉類の紙葉類情報に係る表示情報を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする。
このような紙葉類処理装置によれば、操作者は、リジェクト部に送られた複数の紙葉類について、各紙葉類の紙葉類情報(例えば、紙幣の記番号や小切手のシリアル番号等)も視認することができるようになるので、リジェクト部内に混在する紙葉類について種類毎の仕分けを容易に行うことができるようになる。例えば紙葉類が紙幣である場合には、操作者は、リジェクト部に送られた複数の種類の紙幣について、各紙幣の記番号も見ることができるようになるので、リジェクト部内に混在する真券(具体的には、搬送異常によりリジェクト部に送られた真券)と、偽券やサスペクト券との仕分けを容易に行うことができるようになる。このことにより、操作者はより迅速かつ容易に、リジェクト部に送られた真券を投入部に再投入し、真券について再度処理することができるようになる。一方、リジェクト部に送られた紙幣のうち偽券やサスペクト券については、各紙幣の記番号を視認することにより、これらの偽券やサスペクト券の特定を容易に行うことができるようになる。
本発明の紙葉類処理装置においては、前記制御部により出力された表示情報を表示する表示部を更に備えていてもよい。
あるいは、前記制御部から出力された表示情報を、前記紙葉類処理装置とは別の外部装置であって前記表示情報を表示するための表示部を有する外部装置に送信するインターフェース部を更に備えていてもよい。
本発明の紙葉類処理装置においては、前記制御部は、前記リジェクト部に送られた各紙葉類について、前記識別部による識別情報に係る表示情報を更に出力するようになっていてもよい。
本発明の紙葉類処理装置においては、前記制御部には、前記リジェクト部に送られた各紙葉類の紙葉類情報に係る表示情報について、表示される順番を設定する表示順番設定部が設けられており、前記表示順番設定部は、前記リジェクト部に送られる紙葉類の集積順番通りに、または前記リジェクト部に送られる紙葉類の集積順番とは逆の順番で、表示情報における表示される順番を設定するようになっていてもよい。
本発明の紙葉類処理装置においては、前記制御部には、前記リジェクト部に送られた各紙葉類の紙葉類情報に係る表示情報について、表示される色を設定する表示色設定部が設けられており、前記表示色設定部は、前記識別部による識別情報に基づいて、表示情報における表示される色を紙葉類情報毎に設定するようになっていてもよい。
本発明の紙葉類処理装置においては、前記制御部には、前記リジェクト部に送られた各紙葉類の紙葉類情報に係る表示情報について、前記リジェクト部に送られた各種の紙葉類のうちどの種類の紙葉類の紙葉類情報を表示させるかを設定する表示有無設定部が設けられており、前記表示有無設定部は、前記識別部による識別情報に基づいて、前記リジェクト部に送られた各紙葉類のうちどの紙葉類の紙葉類情報を表示させるかを設定するようになっていてもよい。
この際に、前記制御部は、前記リジェクト部に送られた各紙葉類について、各々の種類の枚数を検出し、前記表示有無設定部は、前記制御部により検出された、前記リジェクト部に送られた紙葉類の各々の種類の枚数に基づいて、前記リジェクト部に送られた各種の紙葉類のうちどの紙葉類の紙葉類情報を表示させるかを自動的に設定するようになっていてもよい。
本発明の紙葉類処理装置においては、紙葉類は紙幣であり、紙葉類情報は紙幣の記番号であるようになっていてもよい。
あるいは、紙葉類は小切手であり、紙葉類情報は銀行コード、口座番号、シリアル番号、支払金額、署名、裏書き情報からなる群のうち少なくとも一つのものであるようになっていてもよい。
あるいは、紙葉類は帳票であり、紙葉類情報は品目、個数、単価、合計金額からなる群のうち少なくとも一つのものであるようになっていてもよい。
本発明の紙葉類処理方法は、紙葉類処理装置により紙葉類の処理を行う紙葉類処理方法であって、紙葉類の識別を行うことにより紙葉類の識別情報を得るとともに、紙葉類のイメージを取得し、取得された紙葉類のイメージから紙葉類情報を得る工程と、得られた紙葉類の識別情報に基づいて、正常な紙葉類であると識別された紙葉類を集積部に送る工程と、得られた紙葉類の識別情報に基づいて、正常な紙葉類であると識別された紙葉類以外の紙葉類をリジェクト部に送る工程と、前記リジェクト部に送られた各紙葉類の紙葉類情報に係る表示情報を出力する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明の紙葉類処理方法においては、出力された表示情報を、前記紙葉類処理装置に設けられた表示部に表示させる工程を更に備えていてもよい。
あるいは、出力された表示情報を、前記紙葉類処理装置とは別の外部装置であって前記表示情報を表示するための表示部を有する外部装置に送信する工程を更に備えていてもよい。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。以下に示す実施の形態においては、本発明の紙葉類処理装置として、紙幣を処理するための紙幣処理装置を適用した場合について説明している。図1乃至図3は、本実施の形態による紙幣処理装置を示す図である。より詳細には、図1は、本実施の形態における紙幣処理装置の構成の概略を示す概略構成図であり、図2は、図1に示す紙幣処理装置の制御ブロック図である。また、図3は、図1および図2に示す紙幣処理装置による紙幣の処理動作を示すフローチャートである。
図1に示すように、本実施の形態による紙幣処理装置10は、当該紙幣処理装置10の筐体10a内に紙幣を1枚ずつ投入するための投入部12と、投入部12により筐体10a内に投入された紙幣を1枚ずつ搬送するための搬送部16と、搬送部16に設けられ、当該搬送部16で搬送される紙幣の識別を行う識別部14とを備えている。また、識別部14の下流側において搬送部16は分岐しており、搬送部16の2つの分岐先にはそれぞれリジェクト部18および集積部20が接続されている。このため、識別部14により識別された紙幣は、搬送部16によりリジェクト部18または集積部20のいずれか一方に送られるようになっている。また、紙幣処理装置10の筐体10aには操作表示部22が設けられており、この操作表示部22は、操作者が紙幣処理装置10の操作を行ったり、紙幣処理装置10の処理状況を表示したりするために用いられるようになっている。また、紙幣処理装置10には、ターミナルやホストコンピュータ等の上位装置である外部装置40が通信接続されている。
以下、紙幣処理装置10の各構成要素について詳細に説明する。
投入部12は、操作者が外部から紙幣の束を載置することができるよう構成されている。操作者により投入部12に投入された紙幣は、投入部12に設けられた繰出機構(図示せず)により筐体10aの内部に1枚ずつ繰り出されるようになっている。
投入部12により筐体10aの内部に送られた紙幣は搬送部16により筐体10a内で1枚ずつ搬送される。この際に、識別部14により紙幣の金種、真偽、正損等の識別が行われる。また、識別部14は、この識別部14に設けられたスキャナ(図示せず)等により、少なくとも1面(片面または両面)の紙幣のイメージを取得するようになっている。識別部14は、取得された紙幣のイメージから紙幣の記番号情報を得るようになっている。なお、識別部14は、取得された紙幣のイメージに基づいて紙幣の金種、真偽、正損等の識別を行うとともに、このイメージから紙幣の記番号情報を抽出するようになっていてもよい。
識別部14により識別された紙幣は搬送部16により更に搬送される。この際に、識別部14で正常な紙幣であると識別された紙幣は集積部20に送られる。一方、識別部14で正常な紙幣であると識別された紙幣以外の紙幣はリジェクト部18に送られる。具体的には、識別部14により、偽券やサスペクト券(真偽不確定券、すなわち偽券の疑いのある紙幣)である紙幣はリジェクト部18に送られる。また、紙幣が真券である場合であっても、この真券が損券(折れ曲がった券)であったり、斜行や重送、連鎖等といった搬送状態が適正ではないような搬送異常が検出されたりしたときには、損券や搬送異常の真券はリジェクト部18に送られる。
リジェクト部18は、搬送部16から送られた紙幣が集積されるようになっており、このリジェクト部18は筐体10aの外部から操作者がアクセス可能となっている。このため、操作者はリジェクト部18に集積された紙幣の束を取り出すことができるようになっている。
集積部20は、搬送部16から送られた紙幣が集積されるようになっている。図1では1つの集積部20のみを示しているが、金種毎に複数の集積部20が設けられており、識別部14により識別された紙幣の金種に基づいて紙幣が金種毎に各集積部20に集積されるようになっていてもよい。
操作表示部22は、例えばタッチパネル等からなり、この操作表示部22に表示された各種キーを操作者が押下することにより様々な指令を後述する制御部30に送ることができるようになっている。また、操作表示部22には、紙幣処理装置10の処理状況、具体的には例えば集積部20に集積された紙幣の金種毎の枚数等が表示されるようになっている。
紙幣処理装置10は、当該紙幣処理装置10の各構成要素の制御を行う制御部30を有している。制御部30は紙幣処理装置10の筐体10a内に設置されている。以下、制御部30の構成について図2を用いて詳しく説明する。
図2に示すように、制御部30には、紙幣処理装置10の各構成要素、具体的には投入部12、識別部14、搬送部16、リジェクト部18、集積部20、操作表示部22がそれぞれ接続されている。制御部30には、識別部14により得られる、紙幣の識別結果に係る情報(例えば、真偽、正損、搬送状態(連鎖、斜行、重送等)のうち少なくとも1つの情報)および紙幣の記番号情報が送られるようになっている。また、制御部30には、操作表示部22から操作者による指令が送られるようになっている。また、制御部30は、紙幣処理装置10の投入部12、搬送部16、リジェクト部18、集積部20および操作表示部22の各々を制御するようになっている。ここで、制御部30は、操作表示部22へ表示情報(後述)を出力し、操作表示部22は、制御部30から送られた表示情報を表示するようになっている。
また、制御部30には記憶部32が接続されている。記憶部32には紙幣処理装置10による紙幣の処理結果に係る情報等が記憶されるようになっている。具体的には、識別部14により得られる、紙幣の識別結果に係る情報、紙幣のイメージおよび紙幣の記番号情報等が紙幣毎に記憶部32に記憶されるようになっている。
また、制御部30にはインターフェース部39が接続されており、このインターフェース部39を介して、制御部30は外部装置40と信号の送受信を行うことができるようになっている。ここで、後の確認、検索のために、記憶部32に記憶された情報のうち必要なデータを、インターフェース部39を介して外部装置40等へ送信することができるようになっていてもよい。
また、制御部30には、表示順番設定部34、表示色設定部36、表示有無設定部38がそれぞれ接続されている。これらの各種設定部34、36、38の詳細については後述する。
外部装置40には、偽券やサスペクト券、盗難された紙幣の記番号が予め記憶されている。なお、偽券やサスペクト券、盗難された紙幣の記番号は、外部装置40ではなく紙幣処理装置10の記憶部32に記憶されるようになっていてもよい。
次に、このような構成からなる紙幣処理装置10の動作(紙幣処理方法)について図3に示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す紙幣処理装置10の動作は、制御部30が紙幣処理装置10の各構成要素を制御することにより行われる。
まず、操作者が紙幣処理装置10の投入部12に紙幣の束を載置する(図3のSTEP1参照)。この際に、金種が混合した状態で紙幣の束を投入部12に投入してもよい。
次に、制御部30において、投入部12に投入された紙幣が全て筐体10a内に取り込まれ、投入部12が空になったか否かが判断される(図3のSTEP2参照)。投入部12に紙幣が残っている場合には(図3のSTEP2の「NO」参照)、投入部12に設けられた繰出機構(図示せず)により、投入部12に載置された紙幣が筐体10a内に1枚ずつ取り込まれる。筐体10a内に取り込まれた紙幣は搬送部16により搬送され、識別部14で金種、真偽、正損等について識別が行われる。この際に、識別部14に設けられたスキャナ(図示せず)により紙幣のイメージが取得され、この紙幣のイメージから紙幣の記番号情報が得られる(図3のSTEP3参照)。識別部14により得られた紙幣のイメージ、識別情報(金種、真偽、正損等)、および紙幣の記番号情報は制御部30に送られ、記憶部32に紙幣毎に記憶される。
識別部14による紙幣の識別情報に基づいて、制御部30において、識別された紙幣が正常な紙幣か否かの判断が行われる(図3のSTEP4参照)。ここで、識別された紙幣が正常な紙幣であると判断された場合には、この紙幣は集積部20に送られ、集積部20で集積される(図3のSTEP5参照)。一方、識別された紙幣が正常な紙幣ではないと判断された場合には、具体的には紙幣が真券、サスペクト券、または損券である場合、あるいは紙幣の搬送状態が適正ではないような搬送異常が検出された場合には、この紙幣はリジェクト部18に送られ、リジェクト部18で集積される(図3のSTEP6参照)。上述のような動作を、投入部12から紙幣がなくなるまで、すなわち投入部12に載置された紙幣が全て筐体10aに取り込まれるまで繰り返して行う。
投入部12に投入された紙幣が全て筐体10a内に取り込まれると(図3のSTEP2の「YES」参照)、このことが操作表示部22に表示される。この際に、操作表示部22には、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号が表示される(図3のSTEP7参照)。より具体的には、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号に係る表示情報が制御部30から出力されて操作表示部22に送られる。そして、操作表示部22は、制御部30により出力された表示情報を表示する。この際に、操作表示部22には各紙幣の記番号が1枚ずつ切り替え式により表示されるようになっていてもよいし、複数の紙幣の記番号がリストアップされて表示されるようになっていてもよい。また、本実施の形態の紙幣処理装置10においては、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号に加え、識別部14による紙幣のイメージ、識別情報(例えば紙幣の金種、真偽、正損等)も操作表示部22に表示されるようになっていてもよい。
この際に、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号の情報は制御部30からインターフェース部39を介して外部装置40に送られるようになっていてもよい。外部装置40は、当該外部装置40に記憶された偽券、サスペクト券、盗難された紙幣の記番号と、制御部30から送られた各紙幣の記番号とを比較し、両者が合致する場合にはこのことが外部装置40から制御部30に送信される。そして、操作表示部22において、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号を表示する際に、外部装置40に記憶された偽券、サスペクト券、または盗難された紙幣の記番号と一致する記番号については、偽券、サスペクト券、または盗難された紙幣である旨の表示も行う。なお、外部装置40ではなく紙幣処理装置10の記憶部32に偽券またはサスペクト券の記番号が記憶されている場合には、制御部30は、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号と、記憶部32に記憶された偽券またはサスペクト券の記番号とを比較することとなる。
その後、操作者は、リジェクト部18から紙幣の束を取り出し、この紙幣の束から真券のみを抜き出して、この抜き出された紙幣を投入部12に再投入し、真券を筐体10aの内部に繰り出させる。このようにして、リジェクト部18に送られた、損券や搬送異常の真券は再度紙幣処理装置10により処理されることとなる。
なお、操作表示部22に表示される、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号について、表示される順番を表示順番設定部34により設定することができるようになっている。より具体的には、リジェクト部18が、搬送部16から送られた紙幣を下から積み重ねていくような構成となっている場合には、表示順番設定部34は、リジェクト部18に送られる紙幣の集積順番とは逆の順番で操作表示部22に紙幣の記番号を表示させるよう、表示される順番を設定する。なぜならば、操作者がリジェクト部18から紙幣の束を取り出したときに、紙幣の束のうち上にある紙幣ほど、後で筐体10a内に投入され識別部14により識別されたものだからである。すなわち、リジェクト部18から取り出された紙幣の束のうち最も上面にある紙幣は、最後に識別部14により識別された紙幣となっており、最も下面にある紙幣は、最初に識別部14により識別された紙幣となっている。このため、リジェクト部18に送られる紙幣の集積順番とは逆の順番で操作表示部22に紙幣の記番号を表示させる必要がある。
リジェクト部18が、搬送部16から送られた紙幣を立位状態で水平方向に積み重ねていくような構成となっている場合には、表示順番設定部34は、リジェクト部18に送られる紙幣の集積順番通りに操作表示部22に紙幣の記番号を表示させるよう、表示される順番を設定する。なぜならば、操作者がリジェクト部18から紙幣の束を取り出したときに、紙幣の束のうち前にある紙幣ほど、先に筐体10a内に投入され識別部14により識別されたものだからである。すなわち、リジェクト部18から取り出された紙幣の束のうち最も前面にある紙幣は、最初に識別部14により識別された紙幣となっており、最も後面にある紙幣は、最後に識別部14により識別された紙幣となっている。このため、リジェクト部18に送られる紙幣の集積順番通りに操作表示部22に紙幣の記番号を表示させればよい。
表示順番設定部34による、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号についての表示される順番の設定は、紙幣処理装置10の設置時にリジェクト部18の構成に基づいて、紙幣処理装置10の設置を行う業者が行うようになっている。また、表示順番設定部34による、表示される順番の設定は、操作者が操作表示部22により適宜行うことができるようになっている。
また、操作表示部22に表示される、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号について、表示される色を表示色設定部36により設定することができるようになっている。より具体的には、表示色設定部36は、識別部14による紙幣の識別情報に基づいて、各紙幣の記番号における表示される色を記番号毎に設定するようになっている。より詳細には、表示色設定部36は、リジェクト部18に送られた偽券、サスペクト券、損券、搬送異常の真券についてそれぞれ異なる色で表示させるように(例えば、偽券は赤色、サスペクト券は青色、損券は緑色、搬送異常の真券は黄色といったように)、表示される色の設定を行う。
表示色設定部36による、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号についての表示される色の設定は、紙幣処理装置10の設置を行う業者が行うようになっている。また、表示色設定部36による、表示される色の設定は、操作者が操作表示部22により適宜行うことができるようになっている。
また、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号に係る表示情報について、リジェクト部18に送られた各種の紙幣のうちどの種類の紙幣の記番号を表示させるかを表示有無設定部38により設定することができるようになっている。表示有無設定部38は、識別部14による紙幣の識別情報に基づいて、リジェクト部18に送られた各紙幣のうちどの紙幣の記番号を表示させるかを設定するようになっている。より具体的には、例えば、表示有無設定部38は、リジェクト部18に送られた偽券、サスペクト券、損券、搬送異常の真券のうち、偽券、サスペクト券の記番号を操作表示部22に表示させ、損券や搬送異常の真券の記番号は操作表示部22に表示させないような設定を行うようになっている。このことにより、例えば欧州において偽券やサスペクト券を回収しなければならない場合でも、操作表示部22に表示された偽券やサスペクト券の記番号を確認することにより、操作者はリジェクト部18から取り出された紙幣の束から偽券やサスペクト券を迅速かつ確実に抜き出すことができるようになる。
表示有無設定部38による、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号についての紙幣の種類毎の表示の有無の設定は、紙幣処理装置10の設置を行う業者が行うようになっている。また、表示有無設定部38による、紙幣の種類毎の表示の有無の設定は、操作者が操作表示部22により適宜行うことができるようになっている。
なお、制御部30が、リジェクト部18に送られた各紙幣について、各々の種類(例えば、偽券、サスペクト券、損券、搬送異常の真券の各種類)の枚数を検出する場合において、表示有無設定部38は、制御部30により検出された紙幣の各々の種類の枚数に基づいて、リジェクト部18に送られた各種の紙幣のうちどの紙幣の記番号を表示させるかを自動的に設定するようになっていてもよい。より具体的には、制御部30は、リジェクト部18に送られた搬送異常の真券の枚数と、リジェクト部18に送られた偽券およびサスペクト券の合計の枚数とを比較し、搬送異常の真券の枚数が、偽券およびサスペクト券の合計の枚数よりも少ない場合には、表示有無設定部38は、搬送異常の真券の記番号のみを操作表示部22に表示させ、偽券やサスペクト券の記番号は操作表示部22に表示させないような設定を行う。このことにより、操作者は、リジェクト部18に送られた複数の紙幣のうち、比較的枚数の少ない搬送異常の真券について、操作表示部22に表示された記番号を見ることによりこの搬送異常の真券を抜き出して投入部12に再投入することができるようになる。この場合、残った紙幣が偽券またはサスペクト券とみなされることとなる。
以上のように本実施の形態の紙幣処理装置10によれば、識別部14は、紙幣の識別を行うことにより紙幣の識別情報を得るとともに、紙幣のイメージを取得し、取得された紙幣のイメージから紙幣の記番号を得るようになっており、制御部30は、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号の情報に係る表示情報を出力するようになっている。そして、 紙幣処理装置10の操作表示部22には、制御部30により出力された表示情報が表示されるようになっている。このため、操作者は、リジェクト部18に送られた複数の紙幣について、各紙幣の記番号も視認することができるようになるので、リジェクト部18内に混在する真券(具体的には、搬送異常によりリジェクト部18に送られた真券等)と、偽券やサスペクト券との仕分けを容易に行うことができるようになる。このことにより、操作者はより迅速かつ容易に、リジェクト部18に送られた真券を投入部12に再投入し、真券について紙幣処理装置10で再度処理することができるようになる。一方、リジェクト部18に送られた紙幣のうち偽券やサスペクト券については、紙幣の記番号を視認することにより、これらの偽券やサスペクト券の特定を容易に行うことができるようになる。
また、本実施の形態の紙幣処理装置10では、制御部30は、リジェクト部18に送られた各紙幣について、識別部14による識別情報に係る表示情報、具体的には各紙幣の金種、真偽、正損等の情報を更に出力するようになっており、紙幣処理装置10の操作表示部22には、制御部30により出力された表示情報が表示されるようになっている。このため、操作者は、リジェクト部18に送られた紙幣について、各紙幣の真偽や正損等をより容易かつ確実に確認することができるようになる。
また、制御部30には、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号に係る表示情報について、表示される順番を設定する表示順番設定部34が設けられており、表示順番設定部34は、リジェクト部18に送られる紙幣の集積順番通りに、またはリジェクト部18に送られる紙幣の集積順番とは逆の順番で、各紙幣の記番号について表示される順番を設定するようになっている。このような表示順番設定部34が設けられていることにより、リジェクト部18における紙幣の集積状態に基づいて、操作者が視認しやすいように各紙幣の記番号について表示される順番を設定することができるようになる。
また、制御部30には、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号に係る表示情報について、表示される色を設定する表示色設定部36が設けられており、表示色設定部36は、識別部14による識別情報(紙幣の金種、真偽、正損等)に基づいて、各紙幣の記番号について表示される色を記番号毎に設定するようになっている。このことにより、偽券、サスペクト券、損券、搬送異常の真券等の、紙幣の種別毎に記番号の表示の色を変えることができるようになるので、操作者にとってより確認しやすくなる。
また、制御部30には、リジェクト部18に送られた各紙幣の記番号に係る表示情報について、リジェクト部18に送られた各種の紙幣のうちどの種類の紙幣の記番号を表示させるかを設定する表示有無設定部38が設けられており、表示有無設定部38は、識別部14による識別情報に基づいて、リジェクト部18に送られた各紙幣のうちどの紙幣の記番号を表示させるかを設定するようになっている。このことにより、リジェクト部18に送られた複数の紙幣のうち例えば偽券やサスペクト券のみを抜き出したい場合に、偽券やサスペクト券のみを表示させるようにすることができる。
なお、制御部30は、リジェクト部18に送られた各紙幣について、各々の種類の枚数を検出し、表示有無設定部38は、制御部30により検出された、リジェクト部18に送られた紙幣の各々の種類の枚数に基づいて、リジェクト部18に送られた各種の紙幣のうちどの紙幣の記番号を表示させるかを自動的に設定するようになっていてもよい。例えば、表示有無設定部38は、リジェクト部18に送られた複数の紙幣のうち、最も枚数の少ない種類の紙幣のみの記番号を表示させるよう自動的に設定を行うようになっていてもよい。
なお、本実施の形態による紙幣処理装置10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、制御部30から出力された紙幣の記番号に係る表示情報は、操作表示部22に表示される代わりに、インターフェース部39を介して外部装置40に送られ、この外部装置40に設けられたモニタ等の表示部(図示せず)に表示されるようになっていてもよい。この場合、操作者は、リジェクト部18に送られた複数の紙幣について、外部装置40の表示部に表示された各紙幣の記番号を見ることができるようになり、リジェクト部18内に混在する真券(具体的には、搬送異常によりリジェクト部18に送られた真券等)と、偽券やサスペクト券との仕分けを容易に行うことができるようになる。
また、識別部14により得られる紙幣のイメージ自体が制御部30に送られ、この紙幣のイメージが記憶部32に記憶されたりインターフェース部39を介して外部装置40に送られたりするようになっていてもよい。この際に、紙幣のイメージが外部装置40に記憶されてもよい。この場合、紙幣のイメージ、識別情報、および紙幣の記番号が関連付けられて記憶部32に記憶されたり外部装置40に送られたりするようになっている。そして、記憶部32に記憶されたり外部装置40に送られたりした紙幣のイメージは、紙幣の識別情報や記番号とともに操作表示部22に表示させたり外部装置40の表示部に表示させたりすることができるようになっている。このことにより、リジェクト部18に送られた各紙幣について、操作者はより確実に仕分けを行うことができるようになる。
なお、本発明による紙葉類処理装置は、紙幣の処理を行う紙幣処理装置に限定されることはない。本発明による紙葉類処理装置として、紙幣の代わりに小切手の処理を行う小切手処理装置が用いられてもよい。この場合、小切手処理装置の識別部は、少なくとも1面(片面または両面)の小切手のイメージを取得し、取得された小切手のイメージから銀行コード、口座番号、シリアル番号、支払金額、署名、裏書き情報等からなる群のうち少なくとも一つのものを得るようになっている。そして、制御部は、リジェクト部に送られた各小切手における、銀行コード、口座番号、シリアル番号、支払金額、署名、裏書き情報等からなる群のうち少なくとも一つのものに係る表示情報を出力する。制御部から出力された表示情報は、小切手処理装置に設けられた表示部に表示されたり、あるいは小切手処理装置に通信接続された上位装置等の外部装置に送信され、この外部装置に設けられた表示部に表示されたりするようになる。
また、本発明による紙葉類処理装置として、振込伝票等の帳票の処理を行う帳票処理装置が用いられてもよい。この場合、帳票処理装置の識別部は、少なくとも1面(片面または両面)の帳票のイメージを取得し、取得された帳票のイメージから品目、個数、単価、合計金額からなる群のうち少なくとも一つのものを得るようになっている。そして、制御部は、リジェクト部に送られた各帳票における、品目、個数、単価、合計金額からなる群のうち少なくとも一つのものに係る表示情報を出力する。制御部から出力された表示情報は、帳票処理装置に設けられた表示部に表示されたり、あるいは帳票処理装置に通信接続された上位装置等の外部装置に送信され、この外部装置に設けられた表示部に表示されたりするようになる。