WO2007138981A1

WO2007138981A1 - 医療用器具

Info

Publication number: WO2007138981A1
Application number: PCT/JP2007/060625
Authority: WO
Inventors: Masaki Funada
Original assignee: Masaki Funada
Priority date: 2006-05-30
Filing date: 2007-05-24
Publication date: 2007-12-06
Also published as: US20090264905A1; DE112007001095B4; CN101500496B; JP2007319169A; CN101500496A; DE112007001095T5; JP5010178B2

Abstract

　生体内における結紮を、術者１名のみ、あるいは術者と補助者の２名でも効率良く安全に行うことができる医療用器具である。縫合糸挿入用穿刺針（２０）と、縫合糸把持用穿刺針（３０）と、該縫合糸把持用穿刺針（３０）の内部に摺動可能に挿入されたスタイレット（４０）と、縫合糸挿入用穿刺針（２０）および縫合糸把持用穿刺針（３０）が固定された固定部材（５０）とからなり、スタイレット（４０）の先端に形成された環状部材（４２）は、縫合糸把持用穿刺針（３０）の先端より突出させた時、縫合糸挿入用穿刺針（２０）の中心軸またはその延長線が、該環状部材（４２）の内部を貫通するように延び、縫合糸挿入用穿刺針（２０）の後端側に、縫合糸（Ｓ）を先端方向へ順次送り出す送出機構（６０）を設け、縫合糸把持用穿刺針（３０）の後端側に、該縫合糸把持用穿刺針（３０）の内部に収納された環状部材（４２）を縫合糸把持用穿刺針（３０）の先端より突出させる突出機構（７０）を設けた。

Description

明細書

医療用器具

技術分野

[0001] 本発明は、腹部内臓に、経皮的にカテーテルを揷入する際に、使用される医療用器具に関するものである。特に、栄養剤の補給、体液の排出などの目的で行われる内視鏡的胃瘻造設術などの際に、カテーテルの揷入を容易にするために行われる前腹壁と内臓壁との固定に使用される医療用器具に関するものである。

背景技術

[0002] 従来より、長期的な栄養投与が必要な患者には、開腹的胃瘻造設術が行われていた。しかし、一般的な胃瘻造設術は、過大な外科的侵襲を伴うため、患者の状態によつては、手術を行うことができないことも少なくない。そこで、最近では、外科的侵襲を極力低減した胃瘻造設術が考えられるようになつてきており、そのために使用する医療用器具も様々なものが提案されてレ、る。

[0003] 例えば、本件発明者は、縫合糸揷入用穿刺針と、該縫合糸揷入用穿刺針より所定距離離して、ほぼ平行に設けられた縫合糸把持用穿刺針と、該縫合糸把持用穿刺針の内部に摺動可能に揷入されたスタイレットと、前記縫合糸揷入用穿刺針および前記縫合糸把持用穿刺針の基端部が固定された固定部材とからなる医療用器具を既に提案している（例えば、特公平 6— 24533号公報参照。）。

発明の開示

[0004] しかしながら、前述した従来の発明であっても、一般的な胃瘻造設術に当たっては、術者 1名、内視鏡操作者 1名の他に、前記医療用器具を操作するための補助者 1 名が必要であり、内視鏡操作者がいない施設では胃瘻造設術を施行することは困難であった。また人件費も嵩むものであった。そのため、前記医療用器具に関しては、さらなる操作の簡略化により使い勝手を向上させることにより、内視鏡操作者がいな V、施設でも胃瘻造設術を行うことを容易にし、それに伴う人員の削減が希求されてレ、た。

[0005] 本発明は、以上のような従来技術が有する問題点に着目してなされたものであり、縫合糸揷入用穿刺針の内部に揷入された縫合糸を先端方向へ順次送り出す操作、および縫合糸把持用穿刺針の内部に収納されたスタイレットの環状部材を先端より突出ないし没入させる操作を、片手でも容易に行うことを可能とすることにより、術者 1 名だけでも結紮と内視鏡操作を行えるようにして、術者 1名のみ、あるいは術者と補助者の 2名で施術を効率良く安全に行うことができる医療用器具を提供することを目的としている。

[0006] 前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項に存する

[1]縫合糸揷入用穿刺針と、該縫合糸揷入用穿刺針より所定距離離して、ほぼ平行に設けられた縫合糸把持用穿刺針と、該縫合糸把持用穿刺針の内部に摺動可能に揷入されたスタイレットと、前記縫合糸揷入用穿刺針および前記縫合糸把持用穿刺針が固定された固定部材とからなり、

前記スタイレットは、先端に弾性材料により形成され、前記縫合糸把持用穿刺針の内部に収納可能な環状部材を有しており、該環状部材は、前記縫合糸把持用穿刺針の先端より突出させた時、前記縫合糸揷入用穿刺針の中心軸またはその延長線カ該環状部材の内部を貫通するように前記縫合糸揷入用穿刺針方向に延びるものであり、

前記縫合糸揷入用穿刺針の後端側に、該縫合糸揷入用穿刺針の後端より内部に揷入された縫合糸を先端方向へ順次送り出すための送出機構を設け、

前記縫合糸把持用穿刺針の後端側に、該縫合糸把持用穿刺針の内部に収納された前記スタイレットの環状部材を縫合糸把持用穿刺針の先端より突出させるための突出機構を設けたことを特徴とする医療用器具。

[0007] [2]前記縫合糸揷入用穿刺針は、その後端が前記固定部材に開口する状態に固定され、

前記送出機構は、前記固定部材において前記縫合糸揷入用穿刺針の後端が開口する位置に固定された送出ガイド部材を有してなり、

前記送出ガイド部材は、前記縫合糸揷入用穿刺針の後端に連通するガイド孔と、該ガイド孔を通して前記縫合糸揷入用穿刺針の内部に案内される縫合糸の途中に圧接する状態で回転操作可能に配され、該回転操作により、縫合糸を縫合糸揷入用穿刺針の先端方向へ順次送り出すローラーとを備えたことを特徴とする [1]に記載の医療用器具。

[0008] [3]前記縫合糸把持用穿刺針は、その後端が前記固定部材に開口した状態に固定され、

前記突出機構は、前記固定部材にお!/、て前記縫合糸把持用穿刺針の後端が開口する位置に固定された突出ガイド部材を有してなり、

前記突出ガイド部材は、前記スタイレットの後端側に配された押しボタンを直線方向に移動可能に案内する筒状に形成され、前記押しボタンを前記環状部材が前記縫合糸把持用穿刺針の内部に収納される後端方向へ付勢する付勢手段と、前記環状部材が前記縫合糸把持用穿刺針の先端より突出すベぐ前記付勢手段の付勢力に抗して先端方向へ押された前記押しボタンを当該位置に一時的に係止可能なロック手段とを備えたことを特徴とする [1]に記載の医療用器具。

[0009] [4]前記縫合糸揷入用穿刺針および前記縫合糸把持用穿刺針が、摺動可能に貫通された平板状部材を有し、

前記平板状部材に、前記縫合糸揷入用穿刺針および前記縫合糸把持用穿刺針とほぼ平行に延びる操作扦の先端を固定し、該操作扦の途中を前記固定部材に対して摺動可能に貫通させて、該操作扦の後端に前記平板状部材を摺動操作するためのハンドルを設けたことを特徴とする [1]に記載の医療用器具。

[0010] [5]前記縫合糸揷入用穿刺針と前記送出機構、および前記縫合糸把持用穿刺針と前記突出機構を、それぞれ 2組ずつ備えたことを特徴とする [1]に記載の医療用器ンペ。

[0011] 前記本発明は次のように作用する。

本発明に係る医療用器具によれば、縫合糸揷入用穿刺針と縫合糸把持用穿刺針の先端側を生体内に穿刺した状態で上下に重なる生体膜同士の結紮を行う際には、縫合糸把持用穿刺針の後端側に設けた突出機構により、縫合糸把持用穿刺針の内部に収納されたスタイレットの先端にある環状部材を、縫合糸把持用穿刺針の先端より突出させる。すると、環状部材は、縫合糸揷入用穿刺針の中心軸またはその延長線が、該環状部材の内部を貫通するように縫合糸揷入用穿刺針方向に延びる。

[0012] 続いて、縫合糸揷入用穿刺針の後端側に設けた送出機構により、縫合糸揷入用穿刺針の後端より内部に揷入された縫合糸を先端方向へ順次送り出し、縫合糸揷入用穿刺針の先端より突出させて、縫合糸を前記環状部材の内部を通過させる。その後、スタイレットを引き戻し、環状部材を縫合糸把持用穿刺針の内部に収納する。力、かる操作により、環状部材は、その環状空間が徐々に狭くなるように変形し、縫合糸が把持され、最終的に環状部材により把持された部分の縫合糸は、環状部材と共に、縫合糸把持用穿刺針の内部に収納される。

[0013] このように、微細かつ慎重な操作が必要となる縫合糸を送り出す操作、および環状部材を先端より突出ないし没入させる操作を、それぞれ送出機構、突出機構により、確実かつ容易に行うことができるので、例えば、胃瘻造設術を行う場合であれば、術者 1名だけでも胃壁固定と内視鏡操作を行うことが可能となり、術者 1名のみ、あるいは術者と補助者の 2名で胃瘻造設術を効率良く安全に行うことができる。

[0014] 前記送出機構は、具体的には例えば、固定部材において縫合糸揷入用穿刺針の後端が開口する位置に固定された送出ガイド部材を有し、この送出ガイド部材が、縫合糸揷入用穿刺針の後端に連通するガイド孔と、該ガイド孔を通して縫合糸揷入用穿刺針の内部に案内される縫合糸の途中に圧接する状態で回転操作可能に配され、該回転操作により、縫合糸を縫合糸揷入用穿刺針の先端方向へ順次送り出すローラーとを備えるものであれば、ローラーを指で回すだけで容易かつ任意の量だけ正確に縫合糸を繰り出すことができる。

[0015] また、前記突出機構は、具体的には例えば、固定部材において縫合糸把持用穿刺針の後端が開口する位置に固定された突出ガイド部材を有し、この突出ガイド部材カ S、スタイレットの後端側に配された押しボタンを直線方向に移動可能に案内する筒状に形成され、押しボタンを環状部材が縫合糸把持用穿刺針の内部に収納される後端方向へ付勢する付勢手段と、環状部材が縫合糸把持用穿刺針の先端より突出すべぐ付勢手段の付勢力に杭して先端方向へ押された押しボタンを当該位置に一時的に係止可能なロック手段とを備えるものであれば、押しボタンを指で押すだけで容易かつ正確な位置に環状部材を突出させることができる。 [0016] また、縫合糸揷入用穿刺針および縫合糸把持用穿刺針が、摺動可能に貫通された平板状部材を有し、この平板状部材に、縫合糸揷入用穿刺針および縫合糸把持用穿刺針とほぼ平行に延びる操作扦の先端を固定し、該操作扦の途中を固定部材に対して摺動可能に貫通させて、該操作扦の後端に平板状部材を摺動操作するためのハンドルを設ければ、穿刺時に縫合糸揷入用穿刺針と縫合糸把持用穿刺針の位置関係が変化すること、具体的には、それぞれ穿刺針間の距離が変化すること (例えば、近接すること）を防止することができ、また、ハンドルを掴んで摺動させれば任意の位置に平板状部材を移動させることができ、穿刺時に平板状部材が穿刺作業を阻害することもない。

[0017] さらに、縫合糸揷入用穿刺針と送出機構、および縫合糸把持用穿刺針と突出機構を、それぞれ 2組ずつ備えた場合には、例えば、前腹壁と胃体部前壁とを容易、かつ短時間に、安全かつ確実に 2箇所を同時に固定することができ、この固定に伴う患者への侵襲も、この医療用器具の 1回の穿刺という極めて少ないものであり、患者に与える負担も少ない。

図面の簡単な説明

[0018] [図 1]本発明の一の実施の形態に係る医療用器具を示す断面図である。

[図 2]本発明の一の実施の形態に係る医療用器具において、スタイレットの先端部の環状部材が突出した状態を示す断面図である。

[図 3]本発明の一の実施の形態に係る医療用器具を示す側面図である。

[図 4]本発明の一の実施の形態に係る医療用器具を示す平面図である。

[図 5]本発明の一の実施の形態に係る医療用器具の作用を説明するための説明図である。

[図 6]本発明の一の実施の形態に係る医療用器具の作用を説明するための説明図である。

[図 7]本発明の一の実施の形態に係る医療用器具の作用を説明するための説明図である。

[図 8]本発明の一の実施の形態に係る医療用器具の作用を説明するための説明図である。 [図 9]本発明の一の実施の形態に係る医療用器具の作用を説明するための説明図である。

[図 10]本発明の一の実施の形態に係る医療用器具の作用を説明するための説明図である。

[図 11]本発明の一の実施の形態に係る医療用器具の作用を説明するための説明図である。

[図 12]本発明の一の実施の形態に係る医療用器具にカバー体を装着した状態を示す斜視図である。

発明を実施するための最良の形態

[0019] 以下、図面に基づき本発明を代表する実施の形態を説明する。

図 1〜図 12は、本発明の一実施の形態を示している。

図 1および図 2は、本実施の形態に係る医療用器具 10の縦断面図であり、図 3は、医療用器具 10の側面図である。

[0020] 図 1および図 2に示すように、医療用器具 10は、縫合糸揷入用穿刺針 20と、縫合糸揷入用穿刺針 20より所定距離離して、ほぼ平行に設けられた縫合糸把持用穿刺針 30と、縫合糸把持用穿刺針 30の内部に摺動可能に揷入されたスタイレット 40と、縫合糸揷入用穿刺針 20および縫合糸把持用穿刺針 30の基端部を固定する固定部材 50とを有している。以下、順次説明する。

[0021] 縫合糸揷入用穿刺針 20は、その内部に縫合糸 Sを揷入可能な中空状のものであり、金属、例えば、ステンレスにより形成されており、先端に皮膚への穿刺用の刃面を有している。本実施の形態では、縫合糸揷入用穿刺針 20の先端は、その軸心と斜めに交差する一平面で切断された刃面を有している。また、縫合糸揷入用穿刺針 20の内部は、縫合糸揷入用穿刺針 20の後端から先端に向かって一方向に縫合糸 Sを誘導する通路となっている。

[0022] 縫合糸揷入用穿刺針 20は、縫合糸把持用穿刺針 30と共に固定部材 50に固定されており、縫合糸揷入用穿刺針 20の後端が固定部材 50に開口する状態に固定されている。縫合糸揷入用穿刺針 20としては、皮膚への穿刺と縫合糸 Sの揷入ができればどのようなものでも良いが、具体的には、外径が 21G〜； 17G程度が好ましぐ特に好ましくは、 20〜； 18Gであり、長さが 70mm〜； 120mm程度のものが好ましぐ特に 80〜； 100mm程度のものが好ましい。

[0023] 縫合糸揷入用穿刺針 20の後端側には、該縫合糸揷入用穿刺針 20の後端より内部に挿入された縫合糸 Sを先端方向へ順次送り出すための送出機構 60が設けられている。送出機構 60は、固定部材 50において縫合糸揷入用穿刺針 20の後端が開口する位置に固定された送出ガイド部材 61を有してなる。送出ガイド部材 61の内部には、縫合糸揷入用穿刺針 20の後端に連通するガイド孔 61aが形成されている。

[0024] 送出ガイド部材 61のガイド孔 61aは、縫合糸揷入用穿刺針 20の軸方向に延びており、さらに送出ガイド部材 61の後端には、中空のブロック 62がー体に取り付けられている。このブロック 62の内部通路 62aは、基端側に向力、つて漸次拡径してテーパ一状に形成され、縫合糸 Sを容易に揷入できるようになつている。送出ガイド部材 61 およびブロック 62は、塩化ビュル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフイン、ポリカーボネートなどの合成樹脂により形成される。

[0025] 送出ガイド部材 61には、ガイド孔 61aを通して縫合糸揷入用穿刺針 20の内部に案内される縫合糸 Sの途中に圧接する状態で回転操作可能に配され、該回転操作により、縫合糸 Sを縫合糸揷入用穿刺針 20の先端方向へ順次送り出すローラー 63が内設されている。詳しく言えば、ローラー 63は、枢軸 64を介して送出ガイド部材 61の内部に回転可能に軸支されており、ローラー 63の一端側は、ガイド孔 61aの内部を臨む状態で内壁面との間に縫合糸 Sを圧接でき、かつローラー 63の他端側は、送出ガイド部材 61の外周面上に露出して指により回転操作ができるように設定されている。

[0026] 縫合糸把持用穿刺針 30は、その内部にスタイレット 40を摺動可能に揷通する中空状のものであり、金属、例えば、ステンレスにより形成されており、先端に皮膚への穿刺用の刃面を有している。縫合糸把持用穿刺針 30としては、前述した縫合糸揷入用穿刺針 20と同じもの、また同程度の外径のものを用いても良い。さらに、後述するスタイレット 40の環状部材 42が、確実に縫合糸揷入用穿刺針 20の方向に延びるようにするために、縫合糸把持用穿刺針 30の先端の刃面は、図 1に示すように、縫合糸揷入用穿刺針 20の方向に向かって開口して!/、ること力 S好ましレ、。

[0027] 縫合糸把持用穿刺針 30は、縫合糸揷入用穿刺針 20と共に固定部材 50に固定されており、縫合糸把持用穿刺針 30の後端が固定部材 50に開口する状態に固定されている。縫合糸把持用穿刺針 30としては、皮膚への穿刺とスタイレット 40の揷入ができればどのようなものでも良いが、具体的には、前記縫合糸揷入用穿刺針 20と同様の外径および長さのものを採用することが好ましい。また、前記縫合糸揷入用穿刺針 20の方向に向力、う縫合糸把持用穿刺針 30の先端は糸が切れないように面取りしてあるのが好ましい。

[0028] スタイレット 40は、縫合糸把持用穿刺針 30の内部に摺動可能に揷入されており、縫合糸把持用穿刺針 30の内径より小さい外径を有する棒状部材 41と、この棒状部材 41の先端に固定された環状部材 42とからなる。棒状部材 41の基端部には、後述する突出機構 70の押しボタン 72がー体に固定されている。環状部材 42は、弹性材料により形成されており、縫合糸把持用穿刺針 30の先端より突出した状態では、図 2 および図 3に示すような環状となり、突出させない状態では、図 1に示すように変形し、ほぼ直線状となり縫合糸把持用穿刺針 30の内部に収納可能である。

[0029] スタイレット 40の棒状部材 41および環状部材 42は、縫合糸把持用穿刺針 30の内部を摺動可能となっている。スタイレット 40の環状部材 42は、縫合糸把持用穿刺針 3 0の先端より突出した状態において、図 2および図 3に示すように、縫合糸揷入用穿刺針 20の中心軸またはその延長線力環状部材 42の内部を貫通するように縫合糸揷入用穿刺針 20方向に延びるように形成されて!/、る。

[0030] 具体的には、図 3に示すように、環状部材 42は、棒状部材 41の先端にある程度の角度をもって固定されており、さらに、環状部材 42は、側面から見た状態にて、中央部または中央部より若干先端側部分が底部となる湾曲形状となっていることが好ましい。このように形成することにより、縫合糸揷入用穿刺針 20の中心軸またはその延長線力より確実に環状部材 42の内部を貫通するようになる。さらに、環状部材 42の先端部は、ほぼ先端を中心とする V字または U字状となっており、距離が狭くなつた縫合糸把持部 42aを形成していることが好ましい。このような、縫合糸把持部 42aを設けることにより、縫合糸揷入用穿刺針 20より突出する縫合糸 Sをより確実に、把持すること力 Sできる。

[0031] スタイレット 40の棒状部材 41の形成材料としては、金属（例えば、ステンレス）、合成樹脂（例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフイン、 PTFE, ETFEなどのフッ素樹脂）などが好適に使用できる。また、環状部材 42の形成材料としては、ステンレス鋼線 (好ましくは、ばね用高張力ステンレス鋼）、ピアノ線 (好ましくは、ニッケルメツキあるいはクロムメツキが施されたピアノ線）、または超弾性合金線、例えば、 Ti— Ni合金、 Cu— Zn合金、 Cu— Zn— X合金（X = Be, Si, Sn, Al, Ga)、 Ni— Al 合金等の弾性金線が好適に使用される。

[0032] 縫合糸把持用穿刺針 30の後端側に、該縫合糸把持用穿刺針 30の内部に収納されたスタイレット 40の環状部材 42を縫合糸把持用穿刺針 30の先端より突出させるための突出機構 70が設けられている。突出機構 70は、固定部材 50において縫合糸把持用穿刺針 30の後端が開口する位置に固定された突出ガイド部材 71を有してなる。この突出ガイド部材 71は、スタイレット 40の後端に同軸上に固定された押しボタン 72を直線方向（同軸方向）に移動可能に案内する筒状に形成されている。

[0033] 押しボタン 72は、指で押し込む部位である基端部は中実に形成されているが、先端部側にかけては中空部を有する筒状に弾性変形可能な合成樹脂により形成されている。棒状部材 41の基端部は、押しボタン 72の中空部を揷通した状態で中実の基端部に一体に固定されている。また、突出ガイド部材 71の内部において、押しボタン 72の先端部の端面と固定部材 50の表面との間には、棒状部材 41を中心軸とするコイルばね 73が配設されている。このコイルばね 73は、押しボタン 72を前記環状部材 42が縫合糸把持用穿刺針 30の内部に収納される後端方向へと付勢する付勢手段である。

[0034] また、押しボタン 72の略中央の外周には、上下に離隔して並ぶストッパ 72aとノブ 7 2bがそれぞれ突設されている。これらに対応すべく突出ガイド部材 71には、押しボタン 72が先端側に押し込まれていない通常の状態において、ストツバ 72aが嵌合するロック溝 71aと、ノブ 72bが上端側に位置するガイド孔 71bが設けられている。ストツバ 72a、ノブ 72b、ロック溝 71a、ガイド孔 71bにより、押しボタン 72を先端側に押し込まれた位置に一時的に係止可能なロック手段が構成されている。

[0035] 図 1および図 2に示すように、押しボタン 72を、コイルばね 73の付勢力に抗して先端側に押し込むと、押しボタン 72の先端側が軸心側へ弾性変形することに伴い、ストッパ 72aは、そのテーパー面側よりロック溝 71aから離脱し、下方へ移動してガイド孔 71bの上端縁に係合する。この時、ノブ 72bは、ガイド孔 71bの下端側へ移動する。一方、押しボタン 72を元の上方へ突出した位置に戻す際は、ノブ 72bを突出ガイド部材 71の内側方向へ押すことにより、ストツバ 72aはガイド孔 71bの上端縁から離脱し、コイルばね 73の付勢力により上方へ移動して、ロック溝 71aに嵌合するように設定されている。

[0036] 突出ガイド部材 71の形成材料としては、金属（例えば、ステンレス）、合成樹脂（例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフイン、 PTFE, ETFEなどのフッ素樹脂）などが好適に使用できる。また、押しボタン 72の形成材料としては、合成樹脂（例えば、塩化ビュル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフイン）などの弾性変形しやすい材質が好適に使用される。

[0037] 固定部材 50は、縫合糸揷入用穿刺針 20および縫合糸把持用穿刺針 30それぞれの後端を開口した状態に固定するものであり、これにより、縫合糸揷入用穿刺針 20と縫合糸把持用穿刺針 30とは互いに所定距離だけ離され、かつほぼ平行な状態に保持されている。両者間の距離は、縫合糸 Sが前腹壁と内臓壁とを固定する長さとなるものであり、例えば 10mm〜30mm程度が好適である。力、かる範囲内であれば、前腹壁と内臓壁との固定も十分に行え、また、 2本の穿刺針 20, 30を穿刺する際の抵抗もあまり大きなものとはならな!/、。

[0038] 固定部材 50は、医療用器具 10を穿刺する際の把持部となる部分であり、図 4に示すように、指をかけることができる部分 51 , 51を有すること力 S好ましい。さらに、固定部材 50は、その把持を容易なものとするために、図 1および図 2に示すように、平板状となっていることが好ましい。固定部材 50としては、合成樹脂、例えば塩化ビュル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフイン、ポリカーボネートなどにより形成される。

[0039] また、医療用器具 10は、図 1および図 2に示すように、縫合糸揷入用穿刺針 20および縫合糸把持用穿刺針 30が、摺動可能に貫通された平板状部材 80を有していることが好ましい。このような平板状部材 80を設けることにより、穿刺時に縫合糸揷入用穿刺針 20と縫合糸把持用穿刺針 30との距離が変化すること、具体的には、両者の距離が近くなることを防止することができる。また、摺動可能に形成すれば、穿刺時に

、平板状部材 80が穿刺作業を阻害することもない。

[0040] 平板状部材 80としては、図 3に示すように、下面側が皮膚に刺激などを与えないような平坦面となっている矩形の板材の他、図示省略したが円、または多角形の板材により成形しても良い。さらに、平板状部材 80には、縫合糸揷入用穿刺針 20および縫合糸把持用穿刺針 30とほぼ平行に延びる操作扦 81の先端が固定されており、該操作扦 81の途中は固定部材 50に対して摺動可能に貫通され、該操作扦 81の後端に平板状部材 80を摺動操作するためのハンドル 82が設けられている。

[0041] 本実施の形態では、図 3に示すように、操作扦 81は略 U字形に金属棒を屈曲して形成されており、その屈曲部分にハンドル 82が設けられている。また、操作扦 81の一対の先端部が平板状部材 80の上面側に一体に固設され、固定部材 50には、操作扦 81の一対となる途中部位を揷通させるために一対の小孔が穿設されている。

[0042] 次に、本実施の形態に係る医療用器具 10により、前腹壁と内臓壁、例えば、前腹壁と胃体部前壁とを固定する作用につ!/、て説明する。

患者の胃内に、術者の一人が内視鏡を揷入し、さらに十分に送気し、胃内に空気を充満させて、胃体部前壁を前腹壁に密着させる。そして、もう一人の術者又は補助者力腹部皮膚を消毒し、内視鏡からの透過光により胃の位置を確認し、この部位の腹壁に局所麻酔を行う。

[0043] 続いて、図 1に示すように、スタイレット 40の環状部材 42が、縫合糸把持用穿刺針

30の内部に収納され、また、縫合糸揷入用穿刺針 20の内部には、その先端より、縫合糸 Sの端部が突出しない状態に揷入された医療用器具 10を準備し、この医療用器具 10を、図 5に示すように、術者は腹壁 100に穿刺し、胃体部前壁 110より、胃内に縫合糸揷入用穿刺針 20および縫合糸把持用穿刺針 30を突出させる。

[0044] この状態を、術者や補助者が確認したのち、術者は、図 6に示すように、突出機構 7 0により、縫合糸把持用穿刺針 30の内部に収納されたスタイレット 40の先端にある環状部材 42を、縫合糸把持用穿刺針 30の先端より突出させる。すると、環状部材 42は、縫合糸揷入用穿刺針 20の中心軸またはその延長線が、該環状部材 42の内部を貫通するように縫合糸揷入用穿刺針 20方向に延びる。 [0045] 突出機構 70の操作は、図 1において、押しボタン 72を、コイルばね 73の付勢力に抗して先端側に押し込むと、押しボタン 72の先端側が軸心側へ弾性変形することに伴い、ストッパ 72aが、そのテーパー面側よりロック溝 71aから離脱し、図 2に示すように、下方へ移動してガイド孔 7 lbの上端縁に係合する。これにより、押しボタン 72が先端側に押し込まれた状態、すなわち環状部材 42が縫合糸把持用穿刺針 30の先端より突出した状態に一時的に係止される。

[0046] 図 3に示すように、突出機構 70の押しボタン 72を先端側に押し込んだ結果、環状部材 42が縫合糸把持用穿刺針 30の先端力も突出すると、環状部材 42が自然状態に復元する。この状態においては、環状部材 42は、縫合糸揷入用穿刺針 20の中心軸またはその延長線が、該環状部材 42の内部を貫通するように縫合糸揷入用穿刺針 20の方向に延びた状態に維持される。

[0047] 続いて、図 2に示すように、送出機構 60により、縫合糸揷入用穿刺針 20の後端より内部に揷入された縫合糸 Sを先端方向へ順次送り出し、縫合糸揷入用穿刺針 20の先端より突出させて、縫合糸 Sを環状部材 42の内部を通過させる。送出機構 60の操作は、図 1において、ローラー 63を指で転がすように図中の矢印方向に適宜回転させれば良い。縫合糸 Sが環状部材 42の内部を通過した状態を術者や補助者が確認した後、図 7に示すように、術者が、突出機構 70を操作して、押しボタン 72を元の突出した状態に戻す。

[0048] すなわち、図 2において、ノブ 72bを突出ガイド部材 71の内側方向へ押すことにより、ストッパ 72aはガイド孔 71bの上端縁から離脱し、コイルばね 73の付勢力により上方へ移動して、ロック溝 71aに嵌合する。力、かる動作に伴って、環状部材 42が縫合糸把持用穿刺針 30の内部に収納される力このとき環状部材 42は、環状部材 42が形成する環状空間が、徐々に狭くなると共に、形状も徐々に長円形に変化する。

[0049] それにより、縫合糸 Sは、環状部材 42の縫合糸把持部 42aにより把持され、最終的には、図 7に示すように、環状部材 42により把持された部分の縫合糸 Sは、環状部材 42と一緒に縫合糸把持用穿刺針 30の内部に収納される。この状態を術者や補助者が確認したのち、術者は、患者より医療用器具 10を抜去する。すると、図 8に示すように、縫合糸揷入用穿刺針 20より挿入された縫合糸 Sの先端部が、体外に露出する。 [0050] 図 9に示すように、露出した縫合糸 Sのそれぞれの端部は結紮する。この結紮により、胃体部前壁 110と腹壁 100とが固定される。さらに、この縫合糸 Sによる結紮部分と所定距離、例えば、 20〜30mm程度離した位置にほぼ平行に、再び医療用器具 10 を穿刺し、前述したように、縫合糸 Sを用いて、腹壁 100と胃体部前壁 110とを固定する。ここで穿刺に使用する医療用器具 10としては、前述した穿刺に用いたものでも良ぐまた別に準備したものでも良い。

[0051] 2つの結紮部位のほぼ中央に、図 10に示すように、先端に刃面を有する金属針 12 1と、この金属針 121を内部に揷通した軸方向に破断可能な樹脂製チューブ 122と力もなる穿刺器具 120を穿刺し、金属針 121を抜去した後、図 11に示すように、チューブ 122の内部にバルーンカテーテル 123を揷入する。そして、バルーン力テーテル 123のバルーン部分を含む先端部が、胃内に到達したことを、術者や補助者が確認した後、蒸留水などによりバルーンを膨張させるとともに、チューブ 122の基端部を外側に 2方向より引っ張り、チューブ 122を軸方向に破断させて、患者より除去する。

[0052] そして、バルーンカテーテル 123を基端側に引っ張り、膨張したバルーン部分を胃体部前壁 110に密接させ、さらに、皮膚表面より露出する部分のバルーン力テーテノレ 123に適度な固定具をあて縫合し、バルーンカテーテル 123を胃体部前壁 110に固定する。以上により、内視鏡的胃瘻造設術が完了する。

[0053] 以上のような内視鏡的胃瘻造設術において、微細かつ慎重な操作が必要となる縫合糸 Sを送り出す操作、および環状部材 42を先端より突出ないし没入させる操作を、それぞれ送出機構 60、突出機構 70により、確実かつ容易に行うことができるので、胃瘻造設術を行う場合は術者 1名だけでも胃壁固定と内視鏡操作を行うことが可能となり、術者 1名のみ、あるいは術者と補助者の 2名で胃瘻造設術を効率良く安全に行うこと力 Sできる。特に、前記突出機構 70によれば、押しボタン 72を指で押すだけで容易かつ正確な位置に環状部材 42を突出させることができる。また、前記送出機構 60 によれば、ローラー 63を指で回すだけで容易かつ任意の量だけ正確に縫合糸 Sを繰り出すこと力 Sでさる。

[0054] また、本実施の形態に係る医療用器具 10は、平板状部材 80を有するので、穿刺時に縫合糸揷入用穿刺針 20と縫合糸把持用穿刺針 30の位置関係が変化すること、具体的には、それぞれの穿刺針 20, 30間の距離が変化すること（例えば、近接すること）を防止すること力でさる。

[0055] また、ハンドル 82を掴んで摺動させれば任意の位置に平板状部材 80を移動させることができ、穿刺時に平板状部材 80が穿刺作業を阻害することもない。さらに、図 12 に示すように、前述した縫合糸揷入用穿刺針 20、縫合糸把持用穿刺針 30、固定部材 50などの構成部品を内装することができるカバー体 90を備えることにより、医療用器具 10は片手で握って容易に操作を行うことができる。

[0056] 以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなぐ本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、別の実施の形態として、縫合糸揷入用穿刺針 20と送出機構 60、および縫合糸把持用穿刺針 30と突出機構 70を、それぞれ 2組ずつ備えるように構成しても良い。それぞれの具体的な構成は、前述した医療用器具 10と同一のものを用いることができる。

[0057] 具体的には例えば、第 1の縫合糸揷入用穿刺針 20、第 2の縫合糸揷入用穿刺針 2 0、第 1の縫合糸把持用穿刺針 30、第 2の縫合糸把持用穿刺針 30のそれぞれの基端部を、四角形の頂点を形成するように固定部材 50に固定するように構成すると良い。このような構成によれば、腹壁 100と胃体部前壁 110とを容易、かつ短時間に、安全かつ確実に 2箇所を同時に固定することができ、この固定に伴う患者への侵襲も、この医療用器具 10の 1回の穿刺という極めて少ないものであり、患者に与える負担も少ない。

[0058] また、 4つの穿刺針 20, 20, 30, 30力摺動可能に貫通された平板状部材 80を有していることが好ましい。このような平板状部材 80を設けることにより、穿刺時に 4つの穿刺針の位置関係が変化すること、具体的には、それぞれ穿刺針間の距離が変化すること（例えば、近接すること）を防止することができ、また、摺動可能であるため、穿刺時に平板状部材 80が穿刺作業を阻害することもない。

[0059] また、前記実施の形態では、縫合糸揷入用穿刺針 20の中心軸の延長線力環状部材 42の内部を貫通するよう構成されているが、環状部材 42の縫合糸把持用穿刺針 30内部からの突出作業および収納作業を阻害しないものであれば、縫合糸揷入用穿刺針 20の中心軸、言い換えれば、縫合糸揷入用穿刺針 20の先端部そのもの力環状部材 42が形成する環状空間を直接貫通するように構成しても良い。

[0060] また、前記送出機構 60は、 1つのローラー 63の回転操作により縫合糸 Sを送り出すように構成したが、他に例えば、互いに回転可能に嚙み合う 2つのローラーを用意し、一方のローラーを縫合糸 Sの途中に圧接する状態に配し、他方のローラーを外部力、ら回転操作できる状態に配して構成することにより、ローラーの回転操作の方向と、縫合糸 Sが送り出される方向とがー致する順送りとなるように設定しても良い。

[0061] また、前記突出機構 70は、押しボタン 72の押し込み操作により環状部材 42を突出させる一方、突出させた状態の解除は、押しボタン 72とは別に設けたノブ 72bにより行うように構成したが、他に例えば、一般的なボールペンのノック機構における周知技術であるように、押しボタン 72のみの押し操作により、交互に突出ないし没入の動作を行えるように構成しても良い。

[0062] さらにまた、前記突出機構 70として、押しボタン 72などによる構成の代わりに、スタィレット 40の途中に圧接する状態で回転操作可能に配され、該回転操作により、スタィレット 40を縫合糸把持用穿刺針 30の先端方向へ順次送り出すローラーを備えるように構成してもかまわない。

産業上の利用可能性

[0063] 本発明に係る医療用器具によれば、縫合糸揷入用穿刺針の内部に揷入された縫合糸を先端方向へ順次送り出す操作、および縫合糸把持用穿刺針の内部に収納されたスタイレットの環状部材を先端より突出ないし没入させる操作を、片手でも容易に行うことを可能とすることにより、術者 1名だけでも結紮と内視鏡操作を行えるようにして、術者 1名のみ、あるいは術者と補助者の 2名で施術を効率良く安全に行うことができる。

Claims

請求の範囲

[1] 縫合糸揷入用穿刺針 (20)と、該縫合糸揷入用穿刺針 (20)より所定距離離して、ほぼ平行に設けられた縫合糸把持用穿刺針 (30)と、該縫合糸把持用穿刺針 (30) の内部に摺動可能に揷入されたスタイレット (40)と、前記縫合糸揷入用穿刺針 (20) および前記縫合糸把持用穿刺針（30)が固定された固定部材（50)とからなり、前記スタイレット (40)は、先端に弾性材料により形成され、前記縫合糸把持用穿刺針（30)の内部に収納可能な環状部材 (42)を有しており、該環状部材 (42)は、前記縫合糸把持用穿刺針 (30)の先端より突出させた時、前記縫合糸揷入用穿刺針（ 20)の中心軸またはその延長線力 S、該環状部材 (42)の内部を貫通するように前記縫合糸揷入用穿刺針（20)方向に延びるものであり、

前記縫合糸揷入用穿刺針 (20)の後端側に、該縫合糸揷入用穿刺針 (20)の後端より内部に揷入された縫合糸（S)を先端方向へ順次送り出すための送出機構（60) を設け、

前記縫合糸把持用穿刺針 (30)の後端側に、該縫合糸把持用穿刺針 (30)の内部に収納された前記スタイレット（40)の環状部材 (42)を縫合糸把持用穿刺針（30)の先端より突出させるための突出機構（70)を設けたことを特徴とする医療用器具（10)

[2] 前記縫合糸揷入用穿刺針 (20)は、その後端が前記固定部材（50)に開口する状態に固定され、

前記送出機構（60)は、前記固定部材（50)において前記縫合糸揷入用穿刺針（2 0)の後端が開口する位置に固定された送出ガイド部材（61)を有してなり、

前記送出ガイド部材（61)は、前記縫合糸揷入用穿刺針 (20)の後端に連通するガイド孔（61a)と、該ガイド孔（61a)を通して前記縫合糸揷入用穿刺針（20)の内部に案内される縫合糸（S)の途中に圧接する状態で回転操作可能に配され、該回転操作により、縫合糸（S)を縫合糸揷入用穿刺針 (20)の先端方向へ順次送り出すローラー（63)とを備えたことを特徴とする請求項 1に記載の医療用器具（10)。

[3] 前記縫合糸把持用穿刺針 (30)は、その後端が前記固定部材（50)に開口した状態に固定され、前記突出機構（70)は、前記固定部材（50)において前記縫合糸把持用穿刺針（3 0)の後端が開口する位置に固定された突出ガイド部材（71)を有してなり、

前記突出ガイド部材（71)は、前記スタイレット（40)の後端側に配された押しボタン (72)を直線方向に移動可能に案内する筒状に形成され、前記押しボタン（72)を前記環状部材 (42)が前記縫合糸把持用穿刺針（30)の内部に収納される後端方向へ付勢する付勢手段（73)と、前記環状部材 (42)が前記縫合糸把持用穿刺針 (30)の先端より突出すベぐ前記付勢手段（73)の付勢力に杭して先端方向へ押された前記押しボタン（72)を当該位置に一時的に係止可能なロック手段とを備えたことを特徴とする請求項 1に記載の医療用器具（10)。

[4] 前記縫合糸揷入用穿刺針 (20)および前記縫合糸把持用穿刺針 (30)が、摺動可能に貫通された平板状部材（80)を有し、

前記平板状部材（80)に、前記縫合糸揷入用穿刺針（20)および前記縫合糸把持用穿刺針（30)とほぼ平行に延びる操作扦（81)の先端を固定し、該操作扦（81)の途中を前記固定部材（50)に対して摺動可能に貫通させて、該操作扦（81)の後端に前記平板状部材（80)を摺動操作するためのハンドル（82)を設けたことを特徴とする請求項 1に記載の医療用器具（10)。

[5] 前記縫合糸揷入用穿刺針 (20)と前記送出機構（60)、および前記縫合糸把持用穿刺針 (30)と前記突出機構（70)を、それぞれ 2組ずつ備えたことを特徴とする請求項 1に記載の医療用器具（10)。