明 細 書
メチン系色素とその用途
技術分野
[0001] この発明は、新規なメチン系色素とその用途に関するものであり、とりわけ、 2つのィ ンドレニン環が、それぞれの 3位の炭素原子を介して、 2価の連結基によって結合し てなるビスインドレニン骨格を有するメチン系色素に関するものである。
背景技術
[0002] 情報化時代の到来に伴い、紫外乃至赤外領域の光を吸収する有機化合物の需要 が急増している。その用途は、今や、フィルター用材におけるがごとぐ有機化合物が 光を吸収し、遮断する性質を利用する用途から、有機化合物を介して光のエネルギ 一を積極的に利用する情報記録、太陽光発電などの用途へと広がることとなった。
[0003] 斯カる用途へ適用される有機化合物が具備すべき特性としては、紫外乃至赤外領 域における吸光特性、耐光性が良好であること、溶剤への溶解性が良好であること、 そして、用途に応じた熱特性を発揮することなどが挙げられる。これまでに提案され た代表的な有機化合物としては、例えば、アントラキノン系色素、フタロシア-ン系色 素、メチン系色素としてのシァニン色素、スチリル色素などが挙げられるけれども(例 えば、特開平 1— 116611号公報、特開 2002— 202592号公報、特開 2003— 167 343号公報、特開平 11— 58961号公報、特開 2003— 231359号を参照)、このう ち、アントラキノン系色素は吸光特性に難があり、また、フタロシアニン系色素につい ては、吸光特性、溶剤への溶解性ともに難があるとされている。これまで、メチン系色 素は、置換基の導入、色素骨格の 2量化等により、吸光特性、溶解性の改善が試行 されてきたものの、依然として吸光特性、溶解性に加えて、耐光性、熱特性等の性能 までも満足するものは数少な 、のが現状である。
[0004] ところで、情報記録の分野では、マルチメディア時代の到来に伴!、、 CD— R、 DV D— R、追記型ブルーレイディスク(以下、 BD— Rと略記する)や HD
DVD— Rなどの光記録媒体が脚光を浴びている。光記録媒体は、光磁気記録媒体 、相変化記録媒体、カルコゲン酸化物光記録媒体、及び有機系光記録媒体に大別
することができる。
[0005] このうち、有機系光記録媒体は、通常、メチン系色素を 2, 2, 3, 3—テトラフルォロ —1—プロパノール (以下、「TFP」と略記する。)などの有機溶剤に溶解し、溶液をポ リカーボネートの基板に塗布し、乾燥して記録層を形成した後、金、銀、銅などの金 属による反射層及び紫外線硬化榭脂などによる保護層を順次密着させて形成するこ とによって作製される。有機系光記録媒体は、読取光や自然光などの環境光によつ て記録層が変化し易いという欠点はあるものの、吸光材料としてのメチン系色素を溶 液にして直接基板に塗布することによって記録層を構成し得ることから、光記録媒体 を低廉に作製できる利点がある。
[0006] 有機系光記録媒体における緊急の課題は、マルチメディア時代に対応するための さらなる記録密度の高密度化と情報記録速度の高速化である。さらなる高密度化の ためには、記録及び再生光の短波長化が推進されている。一方、さらなる高速化の ためには、より感度の高いメチン系色素を用いることが望ましいものの、メチン系色素 の高感度化にともなって、再生信号の時間方向の揺らぎ (ジッター)の増加や、光安 定性 (耐光性)の低下をともなう傾向がある。今後のさらなる高速化に対応すベぐ従 来公知のメチン系色素を斯力る光記録媒体へ適用したのでは、高速で情報を記録 するために充分な感度、ジッター及び光安定性を保つことが困難となりつつある。 発明の開示
[0007] 斯かる状況に鑑み、この発明は、紫外乃至赤外領域の光を吸収し、耐光性と溶剤 への溶解性に優れ、かつ、有機化合物が適用される用途に応じた熱特性を兼備する 新規な有機化合物を提供することによって、上記したごとき用途において、吸光材料 として選択し得る有機化合物の幅を広げることを課題とする。
[0008] さらに、この発明の課題は、斯かる有機化合物を含んでなる光記録媒体を提供する ことにある。
[0009] さらに、この発明の課題は、斯カる有機化合物を製造するために有用な中間体とそ の製造方法を提供することにある。
[0010] 本発明者が、従来、耐光性、熱特性に難があるとされていたメチン系色素に着目し
、鋭意研究し、検索したところ、 2つのインドレニン環が、それぞれの 3位の炭素原子
を介して、 2価の連結基によって結合してなるビスインドレニン骨格を含んでなるメチ ン系色素は、耐光性に優れ、紫外乃至赤外領域の光を効率良く吸収するとともに、 諸種の有機溶剤において実用上支障のない溶解性を発揮し、熱特性にも優れてい ることを見出した。然して、斯かるメチン系色素は、紫外乃至赤外領域の光を吸収す ることによって、これを遮断したり、紫外乃至赤外領域における光のエネルギーを利 用する新規な吸光材料として、斯カる性質を具備するメチン系色素を必要とする多 種多様の用途において有利に用い得るものであることが判明した。
[0011] さらに、斯カるメチン系色素を光記録媒体に適用することにより、良好な感度を有し ながら、耐光性及びジッタ一に優れる記録特性を発揮できることを見出した。
[0012] すなわち、この発明は、 2つのインドレニン環が、それぞれの 3位の炭素原子を介し て、 2価の連結基によって結合してなるビスインドレニン骨格を含んでなるメチン系色 素を提供することによって前記課題を解決するものである。
[0013] とりわけ、この発明は、好ましい実施態様として、一般式 1で表される原子団を含ん でなるメチン系色素を提供することによって前記課題を解決するものである。
[0014] 一般式 1 :
[化 1]
[0015] (一般式 1にお 、て、 Z1及び Z2はそれぞれ独立に芳香環を表し、それらの芳香環は 置換基を有していてもよい。 R1及び R2は、それぞれ独立に水素原子又は適宜の置 換基を表す。 R3及び R4は、互いに同じか異なる炭化水素基を表し、それらの炭化水 素基は置換基を有していてもよい。 Lは 2価の連結基を表し、その連結基は置換基を 有していてもよい。 Q1及び Q2は、それぞれ独立に他端側に芳香環基、複素環基、又
はアミノ基を有するモノメチン鎖又はポリメチン鎖を表し、それらのモノメチン鎖又はポ リメチン鎖は置換基及び Z又は環状基を有して 、てもよ 、。 )
[0016] さらに、この発明は、好ましい実施態様として、一般式 2で表される原子団を含んで なるメチン系色素を提供することによって前記課題を解決するものである。
[0017] 一般式 2:
[化 2]
[0018] (一般式 2にお 、て、 Z1乃至 Z4はそれぞれ独立に芳香環を表し、それらの芳香環は 置換基を有していてもよい。 R\ R2、 R5、 R6、 R7及び R8は、それぞれ独立に水素原 子又は適宜の置換基を表す。 R3、 R4、 R9及び R1C>は互いに同じか異なる炭化水素基 を表し、それらの炭化水素基は置換基を有していてもよい。また、 R5乃至 R8における 置換基、又は R9及び R1C>における炭化水素基のうちの 2つが、 2価の連結基により連 結されていてもよい。 Lは 2価の連結基を表し、その連結基は置換基を有していてもよ い。 J1及び J2は、それぞれ独立にモノメチン鎖又はポリメチン鎖を表し、それらのモノメ チン鎖及びポリメチン鎖は置換基及び Z又は環状構造を有して 、てもよ 、。 Y1及び Y2は、それぞれ独立に炭素原子又はへテロ原子を表し、 Y1及び Z又は Y2がへテロ 原子である場合、 R5乃至 R8の一部又は全部が存在しない。 )
[0019] さらに、この発明は、斯カるメチン系色素を含んでなる光記録媒体を提供することに よって前記課題を解決するものである。
[0020] さらに、この発明は、斯カるメチン系色素を製造するための有用な中間体としての、 一般式 3で表されるインドレ-ンィ匕合物を提供することによって前記課題を解決する ものである。
[0021] 一般式 3 :
[化 3]
[0022] (一般式 3において、 Z1及び Z2はそれぞれ独立に芳香環を表し、それらの芳香環は 置換基を有していてもよい。 R1及び R2は、それぞれ独立に水素原子又は適宜の置 換基を表す。 Lは 2価の連結基を表し、その連結基は置換基を有していてもよい。 )
[0023] さらに、この発明は、一般式 4で表されるジケトンィ匕合物と、一般式 5で表される 1種 又は 2種のヒドラジンィ匕合物を反応させる工程を経由する、インドレニン化合物の製 造方法を提供することによって前記課題を解決するものである。
[0024] 一般式 4 :
[化 4]
(一般式 4において、 Lは一般式 3における Lに対応する 2価の連結基を表し、その 連結基は置換基を有していてもよい。 )
[0025] 一般式 5 :
:— NHNH2
(一般式 5において、 Z5は一般式 3に対応する芳香環 Z1又は Z2を表し、それらの芳 香環は置換基を有していてもよい。 )
[0026] この発明は、紫外乃至赤外領域の光を実質的に吸収する、新規なメチン系色素の 創製と、その産業上有用な特性の発見に基づくものである。
図面の簡単な説明
[0027] [図 1]ビスインドレニン骨格を有する、この発明によるメチン系色素のうち、トリメチン系 色素の溶液状態における吸収スペクトルである。
[図 2]ビスインドレニン骨格を有する、従来公知のトリメチン系色素の溶液状態におけ る吸収スペクトルである。
[図 3]実施例で用いた光記録媒体の概略図である。
符号の説明
[0028] 1 基板
2 記録層
3 反射層
4 保護層
発明を実施するための最良の形態
[0029] 既述したとおり、この発明は、 2つのインドレニン環が、それぞれの 3位の炭素原子 を介して、 2価の連結基によって結合してなるビスインドレニン骨格を含んでなるメチ ン系色素に関するものである。
[0030] この発明でいうビスインドレニン骨格とは、 2つのインドレニン環が、それぞれの 3位 の炭素原子を介して、 2価の連結基によって結合してなるものを意味する。この発明 によるメチン系色素は、文献未記載の新規な化合物であり、いかなるメチン系色素で あろうとも、 2つのインドレニン環が、それぞれの 3位の炭素原子を介して、 2価の連結
基によって結合してなるビスインドレニン骨格を含んでなるものである限り、程度の差 はあるにしても、この発明にお ヽて有利に用いることができる。
[0031] この発明によるメチン系色素としては、ビスインドレニン骨格が、置換基を 1又は複 数有することのあるモノメチン鎖又はジメチン鎖、トリメチン鎖、テトラメチン鎖、ペンタ メチン鎖、へキサメチン鎖、ヘプタメチン鎖、ァザメチン鎖などのポリメチン鎖の一端 側と結合してなり、斯カるメチン鎖の他端側に、置換基を 1又は複数有することのある 芳香環、複素環又はアミノ基を結合してなるものが挙げられる。
[0032] 斯カるメチン系色素における芳香環としては、ベンゼン環を基本単位とする単環式 又は多環式芳香環、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フエナントレ ン環などが挙げられる。また、斯カるメチン系色素における複素環としては、イミダゾリ ン環、イミダゾール環、ベンゾイミダソール環、 α ナフトイミダゾール環、 β ナフト イミダゾール環、インドール環、イソインドール環、インドレ-ン環、イソインドレニン環 、ベンゾインドレニン環、ピリジノインドレニン環、ォキサゾリン環、ォキサゾール環、ィ ソォキサゾール環、ベンゾォキサゾール環、ピリジノォキサゾール環、 (X ナフトォキ サゾール環、 j8—ナフトォキサゾール環、セレナゾリン環、セレナゾール環、ベンゾセ レナゾール環、 (X ナフトセレナゾール環、 13 ナフトセレナゾール環、チアゾリン環 、チアゾール環、イソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、 a ナフトチアゾール環、 β ナフトチアゾール環、テルラゾリン環、テルラゾール環、ベンゾテルラゾール環、 a ナフトテルラゾール環、 β ナフトテルラゾール環、さらには、アタリジン環、アン トラセン環、イソキノリン環、イソピロール環、イミダゾキノキサリン環、インダンジオン環 、インダゾール環、インダリン環、ォキサジァゾール環、力ルバゾール環、キサンテン 環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、クロマン環、シクロへキサンジオン環、 シクロペンタンジオン環、シンノリン環、チォジァゾール環、チォォキサゾリドン環、チ オフヱン環、チォナフテン環、チォバルビツール酸環、チォヒダントイン環、テトラゾー ル環、トリアジン環、ナフタレン環、ナフチリジン環、ピぺラジン環、ピラジン環、ピラゾ ール環、ピラゾリン環、ビラゾリジン環、ピラゾロン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン 環、ピリミジン環、ピリリウム環、ピロリジン環、ピロリン環、ピロール環、フエナジン環、 フエナントリジン環、フエナントレン環、フエナント口リン環、フタラジン環、プテリジン環
、フラザン環、フラン環、プリン環、ベンゾォキサジン環、ベンゾピラン環、モノレホリン 環、口ダニン環などが挙げられる。また、斯カるメチン系色素におけるアミノ基としては 、例えば、フエ-ルァミノ基、ジフエ-ルァミノ基、 p—メトキシフエ-ルァミノ基、メチル アミノ基、ジメチルァミノ基、ェチルァミノ基、ジェチルァミノ基などが挙げられる。
[0033] この発明によるメチン系色素は、斯かるメチン鎖と芳香環、複素環、又はアミノ基の 組み合わせによるものであり、具体的には、例えば、シァニン色素、スチリル色素、メ ロシアニン色素、ォキソノール色素、ァズレニウム色素、スクァリリウム色素、ピリリウム 色素、チォピリリウム色素、フエナントレン色素、アミノビ-ル色素などの色素を挙げる ことができる。
[0034] 用途にもよるけれども、特に好ましいメチン系色素としては、例えば、一般式 1で表 される原子団を含んでなるものが挙げられる。
[0035] 一般式 1 :
[化 6]
[0036] 一般式 1にお 、て、 Z1及び Z2はそれぞれ独立に芳香環を表し、それらの芳香環は 置換基を有していてもよい。 z1及び z2における芳香環としては、ベンゼン環を基本単 位とする単環式又は多環式の、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、 フエナントレン環など力 選択される。この発明の目的を逸脱しない範囲で、斯かる芳 香環は置換基を 1又は複数有していてもよぐ個々の置換基としては、例えば、メチル 基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロぺニル基、 1 プロぺニル基、 2 プロべ-ル基、 2—プロピ-ル基、ブチル基、イソブチル基、 sec ブチル基、 tert ブチル基、 2 ブテュル基、 1, 3 ブタジェ-ル基、ペンチル基、イソペンチル基
、ネオペンチル基、 tert ペンチル基、 1ーメチルペンチル基、 2—メチルペンチル 基、 2 ペンテン 4 ィ-ル基などの脂肪族炭化水素基、シクロプロピル基、シクロ ブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへキセ-ル基などの脂環式 炭化水素基、フエ-ル基、 o トリル基、 m—トリル基、 p トリル基、キシリル基、メシ チル基、 o タメ-ル基、 m タメ-ル基、 p タメ-ル基、ビフヱ-リル基などの芳香 族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基 、イソブトキシ基、 sec ブトキシ基、 tert ブトキシ基、ペンチルォキシ基、フエノキシ 基などのエーテル基、メトキシカルボ-ル基、エトキシカルボ-ル基、プロポキシカル ボニル基、ァセトキシ基、ベンゾィルォキシ基などのエステル基、ジメチルァミノ基、ジ ェチルァミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルァミノ基、ジぺ ンチルァミノ基などのアミノ基、フルォロ基、クロ口基、ブロモ基、ョード基などのハロゲ ン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シァノ基、ニトロ基、さら〖こは、これらの組合わせに よる置換基が挙げられる。
一般式 1における R1及び R2は、それぞれ独立に水素原子又は適宜の置換基を表 す。 R1及び R2における置換基としては、例えば、メチル基、ェチル基、プロピル基、ィ ソプロピル基、イソプロぺ-ル基、 1 プロぺ-ル基、 2—プロぺ-ル基、 2—プロピ- ル基、ブチル基、イソブチル基、 sec ブチル基、 tert ブチル基、 2—ブテュル基、 1, 3 ブタジェ-ル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、 tert ペン チル基、 1ーメチルペンチル基、 2—メチルペンチル基、 2 ペンテン 4 ィ-ル基 などの脂肪族炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シ クロへキシル基、シクロへキセ-ル基などの脂環式炭化水素基、フエ-ル基、 o トリ ル基、 m トリル基、 p トリル基、キシリル基、メシチル基、 o タメ-ル基、 m タメ- ル基、 p タメ-ル基、ビフエ-リル基などの芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ 基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、 sec ブトキシ基、 t ert ブトキシ基、ペンチルォキシ基、フエノキシ基などのエーテル基、メトキシカルボ ニル基、エトキシカルボ-ル基、プロポキシカルボ-ル基、ァセトキシ基、ベンゾィル ォキシ基などのエステル基、ジメチルァミノ基、ジェチルァミノ基、ジプロピルアミノ基 、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルァミノ基、ジペンチルァミノ基などのアミノ基、フル
ォロ基、クロ口基、ブロモ基、ョード基などのハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、 シァノ基、ニトロ基、さら〖こは、これらの組合わせによる置換基が挙げられる。
[0038] 一般式 1における R3及び R4は、互いに同じか異なる炭化水素基を表し、それらの 炭化水素基は置換基を有して 、てもよ 、。 R3及び R4における炭化水素基としては、 炭素数 1から 20まで、通常、炭素数 1乃至 8の、例えば、メチル基、ェチル基、ビュル 基、ェチニル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロぺニル基、 1 プロぺニル基、 2—プロべ-ル基、 2—プロピ-ル基、ブチル基、イソブチル基、 sec ブチル基、 ter t ブチル基、 2 ブテュル基、 1, 3 ブタジェ-ル基、ペンチル基、イソペンチル基 、ネオペンチル基、 tert ペンチル基、 1ーメチルペンチル基、 2—メチルペンチル 基、 2 ペンテン 4 ィ-ル基、へキシル基、イソへキシル基、 5 メチルへキシル 基、ヘプチル基、ォクチル基などが挙げられ、斯カる脂肪族炭化水素基における水 素原子は、その 1又は複数が、例えば、フエ-ル基、 o トリル基、 m—トリル基、 p ト リル基、キシリル基、メシチル基、 o タメ-ル基、 m タメ-ル基、 p タメニル基など の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブト キシ基、イソブトキシ基、 sec ブトキシ基、 tert ブトキシ基、ペンチルォキシ基、フ エノキシ基、ベンジルォキシ基などのエーテル基、フルォロ基、クロ口基、ブロモ基、ョ ード基などのハロゲン基、さらには、カルボキシ基、ニトロ基、シァノ基などによって置 換されていてもよい。
[0039] 一般式 1における Lは 2価の連結基を表し、その連結基は置換基を有して!/、てもよ い。この発明でいう 2価の連結基とは、上記したごときインドレニン環同士を連結する ための、二つの結合部位を有する置換基を意味する。個々の 2価の連結基としては、 例えば、メチレン基、エチレン基、ビニレン基、トリメチレン基、プロピレン基、プロべ- レン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、へキサメチレン基、オタタメチレン基など の脂肪族炭化水素基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、 シクロへプチレン基、シクロオタチレン基、シクロへキセ-レン基、シクロへキサジェ- レン基などの脂環式炭化水素基、 o フエ二レン基、 m フエ二レン基、 p フエニレ ン基、ジフエ-レン基、ナフチレン基、 1, 2 フエ-レンジメチレン基、 1, 3 フエ-レ ンジメチレン基、 1, 4 フエ-レンジメチレン基、 1, 4 フエ-レンジエチレン基、メチ
レンジフエ-レン基、エチレンジフエ-レン基などの芳香族炭化水素基、ォキシ基、力 ルポニル基などの酸素を含む特性基、メチレンジォキシ基、エチレンジォキシ基など のエーテル基、ォキサリル基、マロ-ル基、スクシ-ル基、グルタリル基、アジボイル 基、スぺロイル基、。一フタロイル基、 m—フタロイル基、 p フタロイル基などのァシ ル基、チォ基、チォカルボニル基などの硫黄を含む特性基、イミノ基、ァゾ基などの 窒素を含む特性基、シクロペンチレンジメチレン基、シクロへキシレンジメチレン基な どのシクロアルキレンジアルキレン基、メチレンジシクロへキシレン基、エチレンジシク 口へキシレン基などのアルキレンジシクロアルキレン基、さらには、それらの組合わせ によるものが挙げられる。このうち、メチン系色素の合成し易さと、有機溶剤に対する メチン系色素の溶解性の点で、 2価の連結基の鎖長が炭素原子などの構成原子の 数に換算して 20個未満、詳細には、 1乃至 10個、より詳細には、 3乃至 8個のものが 好ましい。なお、斯かる 2価の連結基は、この発明の目的を逸脱しない範囲で、その 水素原子の 1又は複数力 例えば、アミノ基、カルボキシ基、シァノ基、ニトロ基、ハロ ゲン基、ヒドロキシ基などによって置換されて!、てもよ!/、。
[0040] 一般式 1における Q1及び Q2は、それぞれ独立に他端側に芳香環、複素環、又はァ ミノ基を有するモノメチン鎖又はポリメチン鎖を表し、それらのモノメチン鎖又はポリメ チン鎖は置換基及び Z又は環状基を有して 、てもよ 、。
[0041] Q1及び Q2における芳香環としては、ベンゼン環を基本単位とする単環式又は多環 式の、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フエナントレン環などから 選択される。この発明の目的を逸脱しない範囲で、斯カる芳香環は置換基を 1又は 複数有していてもよぐ個々の置換基としては、例えば、メチル基、ェチル基、プロピ ル基、イソプロピル基、イソプロぺ-ル基、 1 プロぺ-ル基、 2—プロぺ-ル基、 2— プロピ-ル基、ブチル基、イソブチル基、 sec ブチル基、 tert ブチル基、 2—ブテ -ル基、 1, 3 ブタジェ-ル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、 ter t—ペンチル基、 1ーメチルペンチル基、 2—メチルペンチル基、 2 ペンテンー4 ィ-ル基などの脂肪族炭化水素基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチ ル基、シクロへキシル基、シクロへキセニル基などの脂環式炭化水素基、フエ-ル基 、 o トリル基、 m—トリル基、 p トリル基、キシリル基、メシチル基、 o—タメ-ル基、 m
タメ二ル基、 p タメ-ル基、ビフエ-リル基などの芳香族炭化水素基、メトキシ基、 エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、 sec ブト キシ基、 tert ブトキシ基、ペンチルォキシ基、フエノキシ基などのエーテル基、メトキ シカルボニル基、エトキシカルボ-ル基、プロポキシカルボ-ル基、ァセトキシ基、ベ ンゾィルォキシ基などのエステル基、ジメチルァミノ基、ジェチルァミノ基、ジプロピル アミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルァミノ基、ジペンチルァミノ基などのアミノ 基、フルォロ基、クロ口基、ブロモ基、ョード基などのハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボ キシ基、シァノ基、ニトロ基、さらには、これらの組合わせによる置換基が挙げられる。
Q1及び Q2における複素環としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子 及びテルル原子などの周期律表における第 15族又は第 16族の元素から選ばれる ヘテロ原子を 1又は複数含んでなる単環式若しくは多環式の、例えば、イミダゾリン環 、イミダゾール環、ベンゾイミダソール環、 α ナフトイミダゾール環、 β ナフトイミダ ゾール環、インドール環、イソインドール環、インドレニン環、イソインドレニン環、ベン ゾインドレニン環、ピリジノインドレニン環、ォキサゾリン環、ォキサゾール環、イソォキ サゾール環、ベンゾォキサゾール環、ピリジノォキサゾール環、 (X ナフトォキサゾー ル環、 j8—ナフトォキサゾール環、セレナゾリン環、セレナゾール環、ベンゾセレナゾ ール環、 a ナフトセレナゾール環、 13 ナフトセレナゾール環、チアゾリン環、チア ゾール環、イソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、 α ナフトチアゾール環、 13— ナフトチアゾール環、テルラゾリン環、テルラゾール環、ベンゾテルラゾール環、 α— ナフトテルラゾール環、 β ナフトテルラゾール環、さらには、アタリジン環、アントラセ ン環、イソキノリン環、イソピロール環、イミダゾキノキサリン環、インダンジオン環、イン ダゾール環、インダリン環、ォキサジァゾール環、力ルバゾール環、キサンテン環、キ ナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、クロマン環、シクロへキサンジオン環、シクロ ペンタンジオン環、シンノリン環、チォジァゾール環、チォォキサゾリドン環、チォフエ ン環、チォナフテン環、チォバルビツール酸環、チォヒダントイン環、テトラゾール環、 トリアジン環、ナフタレン環、ナフチリジン環、ピぺラジン環、ピラジン環、ピラゾール環 、ピラゾリン環、ビラゾリジン環、ピラゾロン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリ ミジン環、ピリリウム環、ピロリジン環、ピロリン環、ピロール環、フエナジン環、フエナン
トリジン環、フエナントレン環、フエナント口リン環、フタラジン環、プテリジン環、フラザ ン環、フラン環、プリン環、ベンゾォキサジン環、ベンゾピラン環、モノレホリン環、ロダ ニン環などが挙げられる。斯かる複素環は、この発明の範囲を逸脱しない範囲で、置 換基を 1又は複数有していてもよぐ個々の置換基としては、前述した、芳香環にお けるのと同一の置換基が挙げられる。
[0043] Q1及び Q2におけるアミノ基としては、例えば、フエ-ルァミノ基、ジフエ-ルァミノ基 、 p—メトキシフエ-ルァミノ基、メチルァミノ基、ジメチルァミノ基、ェチルァミノ基、ジ ェチルァミノ基などが挙げられる。
[0044] Q1及び Q2におけるポリメチン鎖としては、例えば、トリメチン鎖、ペンタメチン鎖、へ プタメチン鎖などの、奇数個のメチン基が連なってなるポリメチン鎖、ジメチン鎖、テト ラメチン鎖、へキサメチン鎖などの、偶数個のメチン基が連なってなるポリメチン鎖、 又はァザメチン鎖などのポリメチン鎖力 選択される。斯カるモノメチン鎖又はポリメ チン鎖は置換基及び Z又は環状基を有していてもよぐ置換基の例としては、例えば 、メチル基、トリフルォロメチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基 、イソブチル基、 sec—ブチル基、 tert—ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネ ォペンチル基、 tert—ペンチル基などの脂肪族炭化水素基、メトキシ基、トリフルォロ メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、 tert—ブトキシ基などのエーテル 基、フルォロ基、クロ口基、ブロモ基、ョード基などのハロゲン基、ジフエ-ルァミノ基、 p—メトキシジフエ-ルァミノ基などのアミノ基、さらには、ニトロ基、シァノ基などが挙 げられ、また、環状基としては、例えば、シクロペンテン環、シクロペンタジェン環、シ クロへキセン環、シクロへキサジェン環、シクロヘプテン環、シクロオタテン環、シクロ ォクタジェン環、ベンゼン環などが挙げられる。
[0045] さらに好ましいメチン系色素としては、例えば、一般式 2で表される原子団を有する ものが挙げられる。
[0046] 一般式 2 :
[化 7]
[0047] 一般式 2にお 、て、 Z1乃至 Z4はそれぞれ独立に芳香環を表し、それらの芳香環は 置換基を有していてもよい。 z1及至 z4における芳香環としては、ベンゼン環を基本単 位とする単環式又は多環式の、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、 フエナントレン環など力 選択される。この発明の目的を逸脱しない範囲で、斯カる芳 香環は置換基を 1又は複数有していてもよぐ個々の置換基としては、一般式 1にお けるのと同一の置換基が挙げられる。
[0048] 一般式 2における Y1及び Y2は炭素原子又はへテロ原子を表し、ヘテロ原子の例と しては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子などの周 期律表における第 15族及び第 16族の原子が挙げられる。なお、 Y1及び Y2における 炭素原子は、例えば、エチレン基ゃビニレン基などの 2個の炭素原子を主体とする原 子団であってもよい。また、一般式 1における Y1及び Y2は互いに同じものであっても 異なるものであってもよい。
[0049]
R
2、 R
5乃至 R
8は、それぞれ独立に水素原子又は適宜の置 換基を表す。
R
2、 R
5乃至 R
8における置換基としては、例えば、一般式 1における R
1及び R
2と同一のものが挙げられる。なお、一般式 2において、 Y
1及び/又は Y
2が ヘテロ原子である場合、 R
5乃至 R
8の一部又は全部が存在しな ヽこととなる。
[0050] 一般式 2における R3、 R4、 R9及び R1C)は、互いに同じか異なる炭化水素基を表し、 それらの炭化水素基は置換基を有していてもよい。 R3、 R4、 R9及び R1Gにおける炭化 水素基としては、例えば、一般式 1における R3及び R4と同一のものが挙げられる。
[0051] なお、一般式 2において、 R5乃至 R8における置換基、又は R9及び R1C)における炭 化水素基のうちの 2つが、例えば、メチレン基、エチレン基、ビ-レン基、トリメチレン
基、プロピレン基、プロべ-レン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、へキサメチレ ン基、オタタメチレン基などの脂肪族炭化水素基、シクロブチレン基、シクロペンチレ ン基、シクロへキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオタチレン基、シクロへキセ- レン基、シクロへキサジェ-レン基などの脂環式炭化水素基、 o フエ-レン基、 m— フエ-レン基、 p フエ-レン基、ジフエ-レン基、ナフチレン基、 1, 2—フエ-レンジ メチレン基、 1, 3 フエ-レンジメチレン基、 1, 4 フエ-レンジメチレン基、 1, 4 フ ェ-レンジエチレン基、メチレンジフエ-レン基、エチレンジフエ-レン基などの芳香 族炭化水素基、ォキシ基、カルボ-ル基などの酸素を含む特性基、メチレンジォキシ 基、エチレンジォキシ基などのエーテル基、ォキサリル基、マロニル基、スクシニル基 、グルタリル基、アジボイル基、スぺロイル基、 o フタロイル基、 m—フタロイル基、 p フタロイル基などのァシル基、チォ基、チォカルボニル基などの硫黄を含む特性 基、イミノ基、ァゾ基などの窒素を含む特性基、シクロペンチレンジメチレン基、シクロ へキシレンジメチレン基などのシクロアルキレンジアルキレン基、メチレンジシクロへキ シレン基、エチレンジシクロへキシレン基などのアルキレンジシクロアルキレン基、さら には、それらの組合わせによるものなどの 2価の連結基によって結合して 、てもよ 、。
[0052] 一般式 2における Lは、一般式 1における Lに対応する 2価の連結基を表し、その連 結基は置換基を有していてもよい。個々の 2価の連結基としては、一般式 1における のと同一のものを挙げることができる。
[0053] 一般式 2における J1及び J2は、モノメチン鎖又はポリメチン鎖を表す。個々のポリメチ ン鎖としては、例えば、トリメチン鎖、ペンタメチン鎖、ヘプタメチン鎖などの、奇数個 のメチン基が連なってなるポリメチン鎖、または、ジメチン鎖、テトラメチン鎖、へキサメ チン鎖などの、偶数個のメチン基が連なってなるポリメチン鎖力も選択される。斯かる モノメチン鎖又はポリメチン鎖は、置換基及び Z又は環状基を有して 、てもよ 、。
[0054] モノメチン鎖又はポリメチン鎖の置換基の例としては、例えば、メチル基、トリフルォ ロメチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、 sec— ブチル基、 tert ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、 tert— ペンチル基などの脂肪族炭化水素基、メトキシ基、トリフルォロメトキシ基、エトキシ基 、プロポキシ基、ブトキシ基、 tert ブトキシ基などのエーテル基、シクロプロピル基、
シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテ-ル基、シクロへキシル基、シクロへ キセ-ル基などの脂環式炭化水素基、フエ-ル基、ナフチル基などの芳香族炭化水 素基、フルォロ基、クロ口基、ブロモ基、ョード基などのハロゲン基、ジフエ-ルァミノ 基、 P—メトキシジフエニルァミノ基などのアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基などの 複素環基、ニトロ基、シァノ基、さらには、それらの組合わせによる置換基が挙げられ る。また、ポリメチン鎖における環状構造としては、例えば、環状構造がエチレン性二 重結合などの不飽和結合を少なくとも一つ有し、かつ、その不飽和結合がポリメチン 鎖の一部として電子共鳴する、例えば、シクロペンテン環、シクロペンタジェン環、シ クロへキセン環、シクロへキサジェン環、シクロヘプテン環、シクロオタテン環、シクロ ォクタジェン環、ベンゼン環などが挙げられ、これらは、いずれも、上記したごとき、ポ リメチン鎖におけると同様の置換基を有して 、てもよ 、。
[0055] この発明のメチン系色素が対イオンを必要とする場合、斯カる対イオンは、有機溶 剤におけるメチン系色素の溶解度やガラス状態における安定性を勘案しながら適宜 のものとすればよぐ通常、弗素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、過塩 素酸イオン、過沃素酸イオン、六弗化燐酸イオン、六弗化アンチモン酸イオン、六弗 化錫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、硼弗化水素酸イオン、四弗硼素酸イオンな どの無機酸ァ-オン、サリチル酸、 p—ヒドロキシサリチル酸、チォシアン酸イオン、ベ ンゼンスノレホン酸ィ才ン、ナフタレンスノレホン酸ィ才ン、ナフタレンジスノレホン酸ィ才ン 、 p—トルエンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸ィォ ン、アルキルカルボン酸イオン、トリハロアルキルカルボン酸イオン、アルキル硫酸ィ オン、トリハロアルキル硫酸イオン、ニコチン酸イオンなどの有機酸ァ-オン、ァゾ系、 ビスフエニルジチォーノレ系、チォカテコーノレキレート系、チオビスフエノレートキレート 系、ビスジオール一 a—ジケトン系などの有機金属錯体ァユオン、さら〖こは、ビストリ フルォロメチルスルホ-ルイミド、ペンタフルォロェチルスルホ-ルイミドなどのビスァ ルキルスルホニルイミド系から選択する。
[0056] なお、一般式 1乃び一般式 2で表されるメチン系色素において、構造上、シス Zトラ ンス異性体、鏡像異性体などの異性体が存在する場合には、いずれの異性体もこの 発明に包含されるものとする。
[0057] この発明によるメチン系色素は、いずれも、紫外領域乃至赤外領域、詳細には、 30 Onmより長波長、より詳細には、波長 350乃至 850nm付近に主たる吸収極大を有し 、吸収極大波長における分子吸光係数 (以下、吸収極大波長における分子吸光係 数を「ε」と略記することがある。)も 1. 0 X 105以上、通常、 1. 5 X 105以上と著しく大 きいうえに、分解点が高ぐ耐熱性が大きい特徴がある。したがって、これらのメチン 系色素化合物は、書込光として波長 405nm付近のレーザー光を用いる、例えば、 B D— R及び HD
DVD— Rなどの記録容量が片面あたり 15乃至 23. 3GBの高密度光記録媒体、さら には、波長 635乃至 660nmのレーザー光を用いる DVD— R、及び波長 780nm付 近のレーザー光を用いる CD— Rなどの光記録媒体において極めて有利に用いるこ とがでさる。
[0058] ここで、ビスインドレニン骨格を有するこの発明のメチン系色素のうち、化学式 2で表 されるトリメチン系色素は、溶液状態において、図 1に見られるがごとき可視吸収スぺ タトルを示す。図 1の可視吸収スペクトルに示されるように、斯かるトリメチン系色素は 、波長 550nm及び 600nm付近にそれぞれ吸収極大を有し、それらの吸収極大の 長波長側において波長 635乃至 660nm付近の書込光を実質的に吸収する。一方、 ビスインドレニン骨格を有する、化学式 67で表される従来公知のトリメチン系色素は、 溶液状態において、図 2に見られるがごとき可視吸収スペクトルを示す。両者を比較 すると、吸収波形の違いが見られる。これは、インドレニン環における窒素原子を介し て、 2価の連結基により結合されたビスインドレニン骨格を有する、従来公知のトリメチ ン系色素と比較して、この発明によるトリメチン系色素は、ビスインドレニン骨格が、ィ ンドレニン環における 3位の炭素原子を介して、 2価の連結基により結合されて 、るこ とにより、メチン系色素の 2量体構造である H会合体を容易に形成するためと推定さ れる。したがって、この発明によるメチン系色素の吸収極大は、従来公知のメチン系 色素と比べ、やや短波長側にシフトすることとなる。
[0059] この発明によるメチン系色素の具体例としては、例えば、化学式 1乃至化学式 45で 表されるものが挙げられる。
[0060] 化学式 1 :
[化 8]
化学式 3:
[化 10]
化学式 4: [化 11]
[0064] 化学式 5 [化 12]
[0065] 化学式 6:
[化 13]
[0066] 化学式 7: [化 14]
[0067] 化学式 8:
[化 15]
[0070] 化学式 11 [化 18]
[0071] 化学式 12:
[化 19]
[0072] 化学式 13:
[0073] 化学式 14:
[0074] 化学式 15:
[0075] 化学式 16:
[化 23]
[化 24]
CH3SO3 化学式 19:
[化 26]
[化 27]
CIO,
[0080]
CIO,
[0081] 化学式 22:
[0082] 化学式 23:
[0083] 化学式 24:
[0088] 化学式 29:
[化 36]
[0089] 化学式 30:
[化 37]
CF3SO3
[0090] 化学式 31:
[化 38]
Fe
[0091] 化学式 32:
[化 39]
[0092] 化学式 33:
[0093] 化学式 34:
[0094] 化学式 35:
[0095] 化学式 36:
[化 45]
[化 47]
[0100] 化学式 41:
[0101] 化学式 42:
[化 49]
[0102] 化学式 43:
[0103] 化学式 44:
[化 51]
[化 52]
この発明によるメチン系色素は諸種の方法により合成できるけれども、経済性を重 視するのであれば、活性メチン基と適宜の脱離基との求核置換反応を利用する方法 が好適である。この方法によって一般式 1で表される原子団を有するメチン系色素を
合成する場合には、例えば、一般式 1に対応する Z1及び Z2、 R1乃至 R4、並びに Lを 有する一般式 6で表される化合物と、 Q1及び Z又は Q2に由来する、適宜の脱離基を 有する芳香族化合物又は複素化合物とを反応させるか、或いは、一般式 1に対応す る Z1及び Z2、 R1乃至 R4、並びに Lを有する一般式 7で表される化合物と、 Q1及び Z 又は Q2に由来する、芳香族化合物又は複素化合物とを反応させることによって、この 発明によるメチン系色素を所望量得ることができる。
[0106] 一般式 6 :
[化 53]
[0107] 一般式 7 :
[化 54]
また、斯カる方法によって一般式 2で表される原子団を有するメチン系色素を合成 する場合には、例えば、一般式 6で表される原子団を有する化合物と、一般式 2に対 応する Z
3、 R
5、 R
6、 R
9、及び Y
1を有する一般式 8で表される原子団を有する化合物 及び/又は一般式 2に対応する Z
4、 R
7、 R
8、 R
10,及び Y
2を有する一般式 9で表され る原子団を有する化合物とを反応させるか、あるいは、一般式 7で表される原子団を 有する化合物と、一般式 2に対応する Z
3、 R
5、 R
6、 R
9、及び Y
1を有する一般式 10で 表される化合物及び/又は一般式 2に対応する Z
4、 R
7、 R
8、 R
10,及び Y
2を有する一 般式 11で表される化合物を反応させることによって、この発明によるメチン系色素を 所望量得ることができる。なお、一般式 6乃至 11における X—及び X—は、例えば、
1 2
弗素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、弗素酸イオン、塩素酸イオン、臭 素酸イオン、沃素酸イオン、過塩素酸イオン、過沃素酸イオン、燐酸イオン、六弗化 燐酸イオン、六弗化アンチモン酸イオン、六弗化錫酸イオン、硼弗化水素酸イオン、 四弗硼素酸イオンなどの無機酸イオン、チォシアン酸イオン、ベンゼンスルホン酸ィ 才ン、ナフタレンスノレホン酸ィ才ン、ナフタレンジスノレホン酸ィ才ン、ベンゼン力ノレボン 酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、トリハロアルキルカルボン酸イオン、アルキル 硫酸イオン、トリハロアルキル硫酸イオン、ニコチン酸イオン、テトラシァノキノジメタン イオンなどの有機酸イオン、ビストリフルォロメチルスルホ-ルイミド、ペンタフルォロ ェチルスルホ-ルイミドなどのビスアルキルスルホ-ルイミドイオンをはじめとする適宜
の陰イオンを表す。また、一般式 7乃至 9における Mは適宜の脱離基であって、通常 、ァ-リノ基、 p—トルイジノ基、 p—メトキシァ-リノ基、 p—エトキシカルボ-ルァ-リノ 基、 N—ァセチルァ-リノ基などのァ-リン又はァ-リン誘導体の 1価基、或いはメル カプト基、メチルチオ基、ェチルチオ基、 3—スルホ-ルプロピル基、 4ースルホ-ル ブチル基などの含硫特性基が採用される。 nは 0乃至 3の整数を表す。
[0109] 一般式 8 :
[化 55]
[0110] 一般式 9 :
[化 56]
[0111] 一般式 10 :
[0112] 一般式 11 :
[化 58]
[0113] 合成に当たっては、反応容器に一般式 6で表される化合物と、一般式 8及び Z又は 一般式 9で表される化合物力 あるいは、一般式 7で表される化合物と一般式 10及 び Z又は一般式 11で表される化合物をそれぞれ適量とり、必要に応じて、適宜溶剤 に溶解し、例えば、水酸化ナトリウム、水酸ィ匕カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、 炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、アンモニア、トリェチルァミン、ピぺリジン、ピリ ジン、ピロリジン、ァ-リン、 N, N—ジメチルァ-リン、 N, N—ジェチルァ-リンなどの 塩基性化合物、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、トリフルォロ酢酸、 p—トルエンスルホン酸、 メタンスルホン酸、トリフルォロメタンスルホン酸などの酸性化合物、塩化アルミニウム 、塩化亜鉛、塩化錫、四塩ィ匕チタンなどのルイス酸性ィ匕合物を加えた後、加熱環流 などにより加熱 ·撹拌しながら周囲温度力周囲温度を上回る温度で反応させる。
[0114] 溶剤としては、例えば、ペンタン、へキサン、シクロへキサン、オクタン、ベンゼン、ト ルェン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、クロ口ホルム、 1, 2—ジクロロベン ゼン、 1, 2—ジブロモベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロ口ベン
ゼン、ブロモベンゼン、 a—ジクロ口ベンゼンなどのハロゲン化物、メタノール、ェタノ ール、 1 プロパノール、 2—プロパノール、 1ーブタノール、 2—ブタノール、イソブチ ノレァノレコーノレ、イソペンチノレアノレコーノレ、シクロへキサノーノレ、エチレングリコーノレ、 プロピレングリコール、 2—メトキシエタノール、 2—エトキシエタノール、フエノール、ベ ンジルアルコール、クレゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセ リンなどのアルコール類及びフエノール類、ジェチルエーテル、ジイソプロピルエーテ ル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、 1, 4 ジォキサン、ァニソール、 1, 2 ジメ トキシェタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジシクロへキシルー 18 クラ ゥンー 6などのエーテル類、酢酸、無水酢酸、トリクロ口酢酸、トリフルォロ酢酸、無水 プロピオン酸、酢酸ェチル、炭酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホルムアミ ド、 N—メチルホルムアミド、 N, N ジメチルホルムアミド、 N—メチルァセトアミド、 N , N ジメチルァセトアミド、へキサメチル燐酸トリアミドなどの酸及び酸誘導体、ァセト 二トリル、プロピオ-トリル、スクシノ-トリル、ベンゾ-トリルなどの-トリル類、ニトロメタ ン、ニトロベンゼンなどの-トロ化合物、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫 化合物、水などが挙げられ、必要に応じて、これらは組み合わせて用いられる。
[0115] 溶剤を用いる場合、一般に、溶剤の量が多くなると反応の効率が低下し、反対に、 少なくなると、均一に加熱 ·撹拌するのが困難になったり、副反応が起こり易くなる。し たがって、溶剤の量を質量比で原料化合物全体の 100倍まで、通常、 5乃至 50倍に するのが望ましい。原料化合物の種類や反応条件などにもよるけれども、反応は 10 時間以内、通常、 0. 5乃至 5時間で完結する。反応の進行は、例えば、薄層クロマト グラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどの汎用の方法に よってモニターすることができる。この発明によるメチン系色素は、この方法によるか、 この方法に準じて所望量を製造することができる。反応の進行は、例えば、薄層クロ マトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどの汎用の方法 によってモニターすることができる。
[0116] ここで、一般式 6及び一般式 7で表される化合物は、本発明による一般式 3で表され るインドレ-ンィ匕合物を経由して、例えば、速水正明監修、『感光色素』、 1997年 10 月 17日、産業図書株式会社発行、 24乃至 30頁などに記載された方法に準じて得る
ことができる。同様に、一般式 8、一般式 9、一般式 10及び一般式 11で表される化合 物は、例えば、速水正明監修、『感光色素』、 1997年 10月 17日、産業図書株式会 社発行、 24乃至 30頁などに記載された方法に準じて得ることができる。
[0117] 一般式 3 :
[化 59]
[0118] 本発明による一般式 3で表されるインドレ-ンィ匕合物は、一般式 4で表されるジケト ン化合物と、一般式 5で表される 1種又は 2種以上のヒドラジンィ匕合物を反応させるェ 程を経由して得ることができる。
[0119] 一般式 4 :
[化 60]
[0120] 一般式 5 :
[化 61]
[0121] なお、一般式 3で表されるインドレ-ンィ匕合物において、構造上、鏡像異性体など の異性体が存在する場合には、いずれの異性体もこの発明に包含されるものとする。
[0122] この発明によるインドレ-ンィ匕合物の具体例としては、例えば、化学式 46乃至化学 式 53で表されるものが挙げられる。これらは、いずれも、本発明によるメチン系色素を 製造するための中間体として機能する。
[0123] 化学式 46 :
[化 62]
[0124] 化学式 47 :
[化 63]
[0127] 化学式 50:
[0128] 化学式 51:
[化 67]
[0129] 化学式 52:
[0130] 化学式 53:
[化 69]
[0131] 斯カるインドレ-ンィ匕合物の合成にあたっては、反応容器に一般式 4及び一般式 5 で表される化合物をそれぞれ適量とり、必要に応じて、適宜溶剤に溶解し、さらに酢 酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、トリェチルァミン、 N, N— ジメチルァ-リン、ピぺリジン、モルホリン、ピリジン、 1, 8 ジァザビシクロ [5. 4. 0] 7 ゥンデセンなどの塩基性ィ匕合物を添加した後、加熱還流などにより加熱 ·撹拌 しながら周囲温度力周囲温度を上回る温度で反応させる。溶剤としては、上述したよ うな、この発明によるメチン系色素化合物の合成におけると同様の溶剤を用いること ができる。原料化合物の種類や反応条件にもよるけれども、反応は 10時間以内、通 常、 5時間以内に完結する。反応の進行は、例えば、薄層クロマトグラフィー、ガスク 口マトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどの汎用の方法によってモニターする ことができる。
[0132] 斯くして得られるメチン系色素及びインドレ-ンィ匕合物は、用途によっては反応混 合物のまま用いられることもあるけれども、通常、使用に先だって、溶解、分液、傾斜 、濾過、抽出、濃縮、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグ ラフィー、高速液体クロマトグラフィー、蒸留、昇華、結晶化などの類縁ィ匕合物を精製 するための汎用の方法により精製され、必要に応じて、それらの方法は組み合わせ て適用される。メチン系色素及びインドレ-ンィ匕合物の種類や用途にもよるけれども、 高純度の有機色素化合物を必要とする、例えば、情報記録や太陽光発電などへ適 用する場合には、使用に先だって、例えば、蒸留、昇華、結晶化などの方法により精
製しておくのが望ましい。
[0133] さて、この発明によるメチン系色素は、既述したとおり、溶液状態において 300nm より長波長域、通常、波長 350乃至 850nm付近に主たる吸収極大を有し、吸収極大 波長における分子吸光係数 (以下、吸収極大波長における分子吸光係数を「 ε」と 略記することがある。)も 1. 0 X 105以上、通常、 1. 5 X 105以上と著しく大きいことか ら、斯かる波長域の光を効率良く吸収する。し力も、この発明によるメチン系色素は、 例えば、情報記録、太陽光発電をはじめとする諸分野で頻用される、例えば、アミド 系、アルコール系、ケトン系、二トリル系、ハロゲン系の有機溶剤に対して実用上支障 のない溶解性を発揮するうえに、その多くが約 200°C以上の分解点を示す。周知の とおり、有機化合物における分解点は熱特性の重要な指標の一つとされており、分 解点が高いものほど熱安定性が大きいとされている。然して、この発明のメチン系色 素は、紫外乃至赤外領域の光を吸収することによって、これを遮断したり、紫外乃至 赤外領域における光のエネルギーを利用する吸光材料として、例えば、情報記録、 太陽光発電、電気機械器具、電気通信器具、光学器具、衣料、建寝装用品、保健 用品、農業資材をはじめとする多種多様の用途において極めて有用である。ちなみ に、メチン系色素などの有機化合物の分解点は、例えば、汎用の示差走査熱量分析 (以下、「DSC分析」と略記する。)により決定することができる。
[0134] すなわち、この発明によるメチン系色素は、情報記録の用途においては、紫外域乃 至赤外域の光を吸収し、光カード、製版、熱転写記録、感熱記録、ホログラム記録な どに用いられる重合性ィ匕合物や重合開始剤などを増感することによって、重合を促 進するための光増感剤又は光熱交換剤として有用である。光増感剤としての別の用 途としては、例えば、太陽光発電の分野において、この発明によるメチン系色素を色 素増感型湿式太陽電池の半導体電極へ担持せしめるときには、短波長の可視光に 対する半導体電極の感度が向上し、太陽電池の光電変換効率を著明に改善するこ とができる。この発明によるメチン系色素は、自然光、人工光などの環境光に対して 実用上支障のない耐光性を発揮することから、この発明によるメチン系色素を光増感 剤として用いる太陽電池は、長時間用いても、光増感剤に起因する起電力の低下を 招来し難い実益がある。
[0135] 電気通信器具、電気機械器具、光学器具の用途にぉ ヽては、この発明〖こよるメチ ン系色素をフィルター用材として、例えば、撮像管、半導体受光素子、光ファイバ一、 映像表示機器用前面部材などへ適用するときには、紫外乃至赤外領域の光に由来 する雑音や、輻射される熱線などにより周囲の温度が上昇するのを抑制したり、視感 度を所望のレベルに調節することができる実益がある。フィルター用材としての別の 用途としては、農業資材において、例えば、温室用のガラス板や、シート若しくはフィ ルム状に形成したビュルノヽウス用プラスチック基材へ塗布することによって、果榭、穀 物、野菜、花卉をはじめとする観賞植物、園芸植物、食用植物、薬用植物などの有 用植物へ到達する光の波長分布を調節し、植物の生長を制御することができる。
[0136] 以上の用途に加えて、この発明によるメチン系色素と、必要に応じて、紫外領域、 可視領域及び Z又は赤外領域の光を吸収する他の材料の 1又は複数とともに、遮光 剤、熱線遮断剤、断熱剤、保温蓄熱剤などとして衣料一般、とりわけ、保温蓄熱繊維 や、紫外線、可視光、赤外線などによる偵察に対して擬装性能を有する繊維を用い る衣料や、衣料以外の、例えば、ケースメント、シャーリング、ドレープ、プリーツ、プリ ント、ベネチアン 'ブラインド、レース、ローマン 'シェード、ロール'スクリーン、シャツタ 一、のれん、毛布、布団、布団地、布団カバー、シーツ、座布団、枕、枕カバー、タツ シヨン、マット、カーペット、寝袋、窓ガラス、建造物、車輛、電車、船舶、航空機など の内外装材、ウィンドガラスなどの建寝装用品、紙おむつ、おむつカバー、眼鏡、モ ノクル、ローネットなどの保健用品、靴の中敷き、靴の内張り地、鞫地、風呂敷、傘地 、パラソル、ぬいぐるみ、照明装置、サングラス、サンバイザー、サンルーフ、電子レン ジ、オーブンなどの覼き窓、さらには、これらの物品を包装、充填又は収容するため の包装用材、充填用材、容器などに用いるときには、望ましくない温度変化や、可視 光が病因となる眼精疲労、視細胞の老化、白内障をはじめとする生物や物品の障害 や不都合を防止したり、低減することができるだけではなぐ物品の色度、色調、色彩 、風合などを整えたり、物品から反射したり透過する光を所望のレベルに維持したり、 整えることができる実益がある。なお、この発明のメチン系色素は、可視光を吸収する 従来公知の有機化合物と同様に、改竄防止用インキ、改竄'偽造防止用バーコード インキ、吸光インキ、吸光塗料、写真やフィルムの位置決め用マーキング剤、プラス
チックをリサイクルする際の仕分け用染色剤、 PETボトルを成形加工する際のプレヒ 一ティング助剤、さらには、可視光に感受性があるとされている腫瘍一般を治療する ための医薬品の有効成分や、有効成分の働きを助ける成分として有用である。
[0137] この発明によるメチン系色素は、自然光、人工光などの環境光に対して著明な耐光 性を有するけれども、この発明によるメチン系色素を上記した用途へ供するに当たつ て、例えば、レーザー光などの照射に伴って発生することある一重項酸素などによる メチン系色素の退色、劣化、変性、変質、分解などを抑制する目的で、必要に応じて 、いわゆる、耐光性改善剤(タエンチヤー)の 1又は複数を併用する実施態様を除外 するものでは決してない。この発明によるメチン系色素と併用する耐光性改善剤とし ては、例えば、同じ出願人による再公表特許 WOOOZ075111号公報、社団法人色 材協会編集、『色材工学ハンドブック』、初版、 1, 274乃至 1, 282頁、株式会社朝倉 書店、 1989年、 11月 25日発行、深海正博ら『染料と薬品』、第 37卷、第 7号、 185 乃至 197頁(1992年)などに記載されているアミンィ匕合物、カロチンィ匕合物、スルフィ ド化合物、フエノール化合物や、ァセチルァセトナートキレート系、サリチルアルデヒド ォキシム系、ジインモ -ゥム系、ジチオール系、チォカテコールキレート系、チォビス フエノレ一トキレート系、ビスジチォ α—ジケトンキレート系、ホルマザン系の無機 錯体キレート錯体、有機金属錯体をはじめとする金属錯体が挙げられ、必要に応じ て、それらは組み合わせて用いられる。このうち、この発明によるメチン系色素の耐光 性を著明に改善する点と、この発明によるメチン系色素との混合状態において、良好 なアモルファス固体を実現する点で、ホルマザン系、ジチオール系の金属錯体が特 に好ましい。用途にもよるけれども、併用する耐光性改善剤の量としては、メチン系色 素に対して、通常、 1質量%以上、好ましくは、 3乃至 30質量%の範囲で加減する。 耐光性改善剤を併用する場合、この発明のメチン系色素は、あらかじめ耐光性改善 剤と均一に混合し、液状、半固状又は固状の組成物の形態で目的とする物品へ適 用するか、あるいは、物品におけるメチン系色素と耐光性改善剤との配合割合が所 定の範囲になるように加減しながら、それぞれを液状、半固状又は固状にて目的とす る物品へ個別に適用する。
[0138] この発明によるインドレ-ンィ匕合物は、既述したとおり、この発明のメチン系色素を
製造するための中間体として有用である。さらに、斯カるインドレ-ンィ匕合物は、紫外 領域の光、通常、波長 200乃至 350nmの光を吸収するので、紫外線吸収剤として、 例えば、コンピューターモニター、テレビスクリーンなどの光学ディスプレーにおける 紫外線カットフィルター、感熱紙、感圧紙などにおける電子供与性染料、自動車塗装 用塗料、家屋外装用塗料、被覆電線用塗料、磁性塗料などの塗料、ボールペン、万 年筆、ドットプリンター、複写機用トナー、インクジェット、永久マーカー、乾燥消去マ 一力一、新聞印刷、雑誌印刷、レーザージェットプリンターなどにおけるインキ、窓、 眼鏡用レンズ及び双眼鏡、ゴーグル、ハンドシールド、コンタクトレンズ、眼内レンズ などの眼用装置において極めて有用である。
[0139] ところで、この発明のメチン系色素は、紫外領域乃至赤外領域、通常、波長 300η mより長波長域、詳細には、波長 350乃至 850nm、より詳細には、波長 350乃至 45
Onm付近、 630乃至 680nm、及び 750乃至 800nmの光を実質的【こ吸収するう免【こ
、自然光や人工光などの環境光に対する耐光性が大きいので、書込光として波長 8
OOnm以下のレーザー光、とりわけ、波長 350乃至 450nm付近のレーザー光を用い る、例えば、 BO-RRX HO DVD— Rなどの記録容量が片面あたり 15乃至 23. 3
GBの高密度光記録媒体、波長 630乃至 680nm付近のレーザー光を用いる DVD
— R、及び波長 750乃至 800nm付近のレーザー光を用いる CD— Rなどの光記録媒 体の記録層を構成するための吸光材料として特に有用である。
[0140] そこで、この発明のメチン系色素の光記録媒体における用途について説明すると、 この発明のメチン系色素は、光記録媒体に用いるに際して特殊な処理や操作を必要 としな!/、ことから、この発明による光記録媒体は従来公知の光記録媒体に準じて作製 することができる。すなわち、吸光材料としてのこの発明のメチン系色素の 1又は複数 に、必要に応じて、記録層における反射率や光吸収率を調節すべく他の吸光材料の 1又は複数を含有せしめたり、光記録媒体の作製作業や性能を改善すべく汎用の耐 光性改善剤、バインダー、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑 剤などを 1又は複数添加したうえで有機溶剤に溶解し、溶液を噴霧法、浸漬法、ロー ラー塗布法、回転塗布法などにより基板の片面に均一に塗布し、乾燥させて記録層 となる吸光材料による薄膜を形成した後、必要に応じて、反射率が 45%以上、望まし
くは、 55%以上になるように真空蒸着法、化学蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ 一ティング法などにより金、銀、銅、白金、アルミニウム、コバルト、錫、ニッケル、鉄、 クロムなどの金属力、あるいは、汎用の有機系反射層用材による記録層に密着する 反射層を形成したり、傷、埃、汚れなどから記録層を保護する目的で、難燃剤、安定 剤、帯電防止剤などを含有せしめた紫外線硬化榭脂ゃ熱硬化榭脂などを回転塗布 し、光照射するか加熱して硬化させることによって反射層に密着する保護層を形成す る。
[0141] 耐光性改善剤としては、例えば、ニトロソジフエ-ルァミン、ニトロソァ-リン、ニトロソ フエノール、ニトロソナフトールなどの-トロソ化合物や、テトラシァノキノジメタン化合 物、ジインモ-ゥム塩、ビス [2'—クロ口一 3—メトキシ一 4— (2—メトキシェトキシ)ジ チォベンジル]ニッケル (商品名『NKX— 1199』、株式会社林原生物化学研究所製 造)、ァゾ色素金属錯体、ホルマザン金属錯体などの金属錯体が用いられ、必要に 応じて、これらは適宜組合せて用いられる。望ましい耐光性改善剤は-トロソ化合物 やホルマザン金属錯体を含んでなるものであり、特に望ましいのは、同じ特許出願人 による特開 2000— 344750号公報 (発明の名称「フ -ルピリジルァミン誘導体」)に 開示されたフエ-ルピリジルァミン骨格を有する-トロソ化合物力、あるいは、再公表 特許 WO00Z075111号公報 (発明の名称「ホルマザン金属錯体」)に開示された、 ホルマザン骨格における 5位の位置にピリジン環を有し、かつ、 3位の位置にピリジン 環若しくはフラン環が結合してなるホルマザンィ匕合物又はその互変異性体の 1又は 複数を配位子とする、例えば、ニッケル、亜鉛、コバルト、鉄、銅、ノ《ラジウムなどとの 金属錯体を含んでなるものである。斯カゝる耐光性改善剤と併用するときには、有機溶 剤におけるこの発明のメチン系色素の溶解性を低下させたり、望ましい光特性を実 質的に損なうことなぐ読取光や環境光などへの露光によるメチン系色素の劣化、退 色、変色、変性などの望ましくない変化を効果的に抑制することができる。配合比とし ては、通常、メチン系色素 1モルに対して、耐光性改善剤を 0. 01乃至 5モル、望まし くは、 0. 1乃至 1モルの範囲で加減しながら含有せしめる。
[0142] この発明のメチン系色素は、諸種の有機溶剤において実用上全く支障のない溶解 性を発揮するので、メチン系色素を基板に塗布するための有機溶剤にも制限がな ヽ
。したがって、この発明による光記録媒体の作製にあっては、例えば、光記録媒体の 作製に頻用される TFP力、あるいは、へキサン、シクロへキサン、メチルシクロへキサ ン、ジメチルシクロへキサン、ェチルシクロへキサン、イソプロビルシクロへキサン、 ter tーブチルシクロへキサン、オクタン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンな どの炭化水素類、四塩化炭素、クロ口ホルム、 1, 2—ジクロロエタン、 1, 2—ジブロモ ェタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロ口ベンゼン、ブロモベンゼン、 α ージクロ口ベンゼンなどのハロゲン化物、メタノール、エタノール、 2, 2, 2—トリフルォ 口エタノーノレ、 1 プロパノーノレ、 2—プロパノーノレ、 1ーメトキシ 2—プロパノーノレ、 1 エトキシー2 プロパノール、 1ーブタノール、 1ーメトキシー2 ブタノール、 3— メトキシー 1ーブタノール、 4ーメトキシー 1ーブタノール、イソブチルアルコール、ペン チルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロへキサノール、 2—メトキシエタノー ル(メチルセ口ソルブ)、 2—エトキシエタノール(ェチルセ口ソルブ)、 2—イソプロポキ シー 1 エタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコ ール、グリセリン、フエノール、ベンジルアルコール、クレゾール、ジアセトンアルコー ルなどのアルコール類及びフエノール類、ジェチルエーテル、ジイソプロピルエーテ ル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、 1, 4 ジォキサン、ァニソール、 1, 2 ジメ トキシェタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロへキシルー 18 クラウ ン 6、メチルカルビトール、ェチルカルビトールなどのエーテル類、フルフラール、 アセトン、ェチルメチルケトン、シクロへキサノンなどのケトン類、酢酸ェチル、酢酸ブ チル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、燐酸トリメチルなどのエステル類、ホルムアミド 、 Ν—メチルホルムアミド、 Ν, Ν ジメチルホルムアミド、へキサメチル燐酸トリアミドな どのアミド類、ァセトニトリル、プロピオ-トリル、スクシノ-トリルなどの-トリル類、 -ト ロメタン、ニトロベンゼンなどの-トロ化合物、エチレンジァミン、ピリジン、ピぺリジン、 モルホリン、 Ν—メチルピロリドンなどのアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホランな どの含硫化合物をはじめとする TFP以外の汎用の有機溶剤から選択し、必要に応じ て、これらを適宜混合して用いる。
とりわけ、この発明のメチン系色素は、例えば、 TFP、ジアセトンアルコール、メチル セロソルブ、ェチルセ口ソルブなどの蒸発し易 、有機溶剤における溶解度が大き ヽ
ので、斯カゝる溶剤にこの発明のメチン系色素を溶解し、基板に塗布しても、乾燥後、 色素の結晶が出現したり、記録層の膜厚や表面が不均一になることがない。また、こ の発明のメチン系色素は、非ハロゲン溶剤である、例えば、メチルセ口ソルブ、ェチ ルセ口ソルブ、ジアセトンアルコールなどのアルコール類や、シクロへキサノンなどの ケトン類においても良好な溶解性を発揮する。この発明のメチン系色素を斯カゝるアル コール類に溶解して基板に塗布するときには、斯カるアルコール類が非ハロゲン溶 剤のため、溶剤によって基板を傷めたり、環境を汚染し難くなる。
[0144] 基板も汎用のものでよぐ通常、圧出成形法、射出成形法、圧出射出成形法、フォ トポリマー法 (2P法)、熱硬化一体成形法、光硬化一体成形法などにより適宜の材料 を最終用途に応じて、例えば、直径 12cm、厚さ 0. 6mm又は 1. 2mmのディスク状 に形成し、これを単板で用いるか、あるいは、粘着シート、接着剤などにより適宜貼合 せて用いる。基板の材料としては、実質的に透明で、波長 300乃至 800nmの範囲で 80%以上、望ましくは、 90%以上の光透過率を有するものであれば、原理上、材質 は問わない。個々の材料としては、例えば、ガラス、セラミックスのほかに、ポリアクリレ ート、ポリメチルメタタリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン (スチレン共重合物)、ポ リメチルペンテン、ポリエステル、ポリオレフイン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリス ルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート'ポリスチレンーァロイ 、ポリエステルカーボネート、ポリフタレートカーボネート、ポリカーボネートアタリレート 、非晶質ポリオレフイン、メタタリレート共重合物、ジァリルカーボネートジエチレンダリ コール、エポキシ榭脂、フエノール榭脂などのプラスチックが用いられ、通常、ポリ力 ーボネートが頻用される。プラスチック製基板の場合、同期信号並びにトラック及びセ クタ一の番地を表示する凹部は、通常、成形の際にトラック内周に転写される。その 凹部は、形状については特に制限はないものの、平均幅が 0. 2乃至 1. の範 囲になるように、また、深さが 70乃至 200nmの範囲になるようにするのが望ましい。
[0145] この発明によるメチン系色素を含んでなる吸光材料は、粘度を勘案しながら、前述 のごとき有機溶剤における濃度 0. 5乃至 5質量%の溶液にして、乾燥後の記録層の 厚みが 10乃至 1, 000nm、望ましくは、 50乃至 300nmになるように基板に均一に塗 布される。なお、溶液の塗布に先立って、基板の保護や接着性の改善などを目的に
、必要に応じて、基板に下引層を設けてもよぐ下引層の材料としては、例えば、ィォ ノマー樹脂、ポリアミド榭脂、ビュル系榭脂、天然榭脂、シリコン、液状ゴムなどの高 分子物質が挙げられる。また、バインダーを用いる場合には、ニトロセルロース、燐酸 セノレロース、硫酸セノレロース、酢酸セノレロース、プロピオン酸セノレロース、酪酸セノレ口 ース、ノ ノレミチン酸セノレロース、酢酸'プロピオン酸セノレロースなどのセノレロースエス テノレ類、メチノレセノレロース、ェチノレセノレロース、プロピノレセノレロース、ブチノレセノレロー スなどのセルロースエーテル類、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビュル、ポリ ビニルァセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアルコ ール、ポリビュルピロリドンなどのビュル榭脂、スチレン ブタジエンコポリマー、スチ レン アクリロニトリルコポリマー、スチレン ブタジエン アクリロニトリルコポリマー、 塩ィ匕ビュル 酢酸ビュルコポリマー、無水マレイン酸共重合体などの共重合榭脂類 、ポリメチルメタタリレート、ポリメチルアタリレート、ポリアタリレート、ポリメタタリレート、 ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリルなどのアクリル榭脂類、ポリエチレンテレフタレ ートなどのポリエステル類、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレンなどの ポリオレフイン類などのポリマーを単独又は組合せて、質量比で、メチン系色素の 0. 01乃至 10倍用いられる。
この発明による光記録媒体の使用方法について説明すると、斯くして得られるこの 発明による、例えば、 BD— R及び HD
DVD— Rなどの記録容量が片面あたり 15乃至 23. 3GBの高密度光記録媒体、及 び DVD— R、 CD— Rなどの光記録媒体は、例えば、 GaN系、 AlGalnP系、 GaAsP 系、 GaAlAs系、 InGaP系、 InGaAsP系若しくは InGaAlP系の半導体レーザー力、 あるいは、分布帰還型、ブラッグ反射型などの第二高調波発生素子 (SHG素子)と 組合せた Nd—YAGレーザーなどによる波長 850nm以下のレーザー光、とりわけ、 波長 350乃至 450應、 630乃至 680應、又は 750乃至 800nmのレーザー光を用 いて諸種の情報を高密度に書き込むことができる。読取には、書込におけると同様の 波長か、あるいは、それをやや上回る波長のレーザー光を用いる。書込、読取の際 のレーザー出力につ 、て言えば、この発明にお 、てメチン系色素と糸且合せて用いる 耐光性改善剤の種類と配合量にもよるけれども、この発明による光記録媒体におい
ては、情報を書き込むときのレーザー出力は、マークが形成されるエネルギーの閾値 を越えて比較的強めに、一方、書き込まれた情報を読み取るときの出力は、その閾 値を下回って比較的弱めに設定するのが望ましい。一般的には、 lmWを上回り、 50 mWを越えない範囲で書き込み、読取は 0. 1乃至 4mWの範囲で加減する。記録さ れた情報は、光ピックアップにより、光記録媒体の記録面におけるマークとマークが 形成されていない部分の反射光量又は透過光量の変化を検出することによって読み 取る。
[0147] 斯くして、この発明による光記録媒体においては、波長 850nm以下のレーザー光 、とりわけ、波長 350乃至 450nm、 630乃至 680nm、又は 750乃至 800nm付近の レーザー光による光ピックアップを用いることによって、 1. 6 m以下のトラックピッチ で、マーク長 0. 9 m以下の安定にして微小なマークを高密度に形成することができ る。したがって、例えば、直径 12cmのディスク状基板において、波長 750乃至 800η m付近のレーザー光を用いる場合、記録容量が片面あたり 0. 7GB、波長 630乃至 6 80nm付近のレーザー光を用いる場合、記録容量が片面あたり 4. 7GB、波長 350 乃至 450nm付近のレーザー光を用いる場合、記録容量が片面あたり 15GB乃至 23 . 3GBを達成でき、極めて高密度の光記録媒体を実現できることとなる。
[0148] この発明による光記録媒体は、文字情報、画像情報、音声情報及びその他のデジ タル情報を高密度に記録できるので、文書、データ、コンピュータープログラムなどを 記録'保管するための民生用及び業務用記録媒体として極めて有用である。この発 明による光記録媒体を適用し得る個々の業種と情報の形態としては、例えば、建設- 土木における建築 ·土木図面、地図、道路'河川台帳、ァパチユアカード、建築物見 取図、災害防止資料、配線図、配置図、新聞 ·雑誌情報、地域情報、工事報告書な ど、製造における設計図、成分表、処方、商品仕様書、商品価格表、パーツリスト、メ ンテナンス情報、事故 ·故障事例集、苦情処理事例集、製造工程表、技術資料、デ ッサン、ディテール、自社作品集、技術報告書、検査報告書など、販売における顧客 情報、取引先情報、会社情報、契約書、新聞 ·雑誌情報、営業報告書、企業信用調 查、在庫一覧など、金融における会社情報、株価記録、統計資料、新聞'雑誌情報、 契約書、顧客リスト、各種申請 ·届出 ·免許 ·許認可書類、業務報告書など、不動産,
運輸における物件情報、建築物見取図、地図、地域情報、新聞 ·雑誌情報、リース契 約書、会社情報、在庫一覧、交通情報、取引先情報など、電力 'ガスにおける配線- 配管図、災害防止資料、作業基準表、調査資料、技術報告書など、医療における力 ルテ、病歴'症例ファイル、医療関係図など、大学'研究所における学術論文、学会 記録、研究月報、研究データ、文献、文献のインデックスなど、情報における調査デ ータ、論文、特許公報、天気図、データ解析記録、顧客ファイルなど、法律における 判例など、各種団体における会員名簿、過去帳、作品記録、対戦記録、大会記録な ど、観光における観光情報、交通情報など、マスコミ '出版における自社出版物のィ ンデッタス、新聞'雑誌情報、人物ファイル、スポーツ記録、テロップファイル、放送台 本など、官庁関係における地図、道路 ·河川台帳、指紋ファイル、住民票、各種申請
•届出 ·免許 ·許認可資料、統計資料、公共資料などが挙げられる。とりわけ、 1回の み書き込めるこの発明の光記録媒体は、記録情報が改竄されたり消去されてはなら ない、例えば、カルテや公文書などの記録保存に加えて、美術館、図書館、博物館、 放送局などの電子ライブラリ一として極めて有用である。
[0149] この発明による光記録媒体のやや特殊な用途としては、コンパクトディスク、デジタ ルビデオディスク、レーザーディスク、 MD (光磁気ディスクを用いる情報記録システ ム)、 CDV (コンパクトディスクを利用するレーザーディスク)、 DAT (磁気テープを利 用する情報記録システム)、 CD— ROM (コンパクトディスクを利用する読取専用メモ リ)、 DVD— ROM (デジタル多用途ディスクを利用する読取専用メモリ)、 DVD— R AM (デジタル多用途ディスクを利用する書込可能な読取メモリ)、デジタル写真、映 画、ビデオソフト、オーディオソフト、コンピューターグラフィック、出版物、放送番組、 コマーシャルメッセージ、ゲームソフトなどの編集、校正、さらには、大型コンピュータ 一、カーナビゲーシヨン用の外部プログラム記録手段としての用途が挙げられる。
[0150] この発明でいう光記録媒体とは、この発明のメチン系色素が波長 850nm以下の光 、とりわけ、波長 350乃至 450nm、 630乃至 680nm、又は 750乃至 800nm付近の 光を実質的に吸収するという性質を利用する記録媒体全般を意味するものであって 、熱変形型のもの以外に、例えば、メチン系色素の光吸収に伴う発熱による発色剤と 顕色剤との化学反応を利用する感熱発色方式や、基板の表面に設けられた周期的
な凹凸パターンが斯かる発熱によって平坦化される現象を利用する、いわゆる、「蛾 の目方式」のものであってもよ!/、。
[0151] 以下、この発明の実施の形態につき、実施例に基づいて説明する。
実施例 1
[0152] <インドレニン化合物 >
反応容器に、化学式 54で表される化合物 40gと、化学式 55で表される化合物 76. 6gとを加え、 1時間攪拌しながら加熱して反応させた。反応混合物を冷却した後、濃 塩酸 80mlを加え、さらに 30分間加熱して反応させた。反応混合物を冷却し、 25% 水酸化ナトリウム水溶液を滴々加えた後、クロ口ホルムを加えて抽出した。傾斜により クロ口ホルム層を採取し、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより 乾燥し、濾過した後、クロ口ホルムを留去した。得られた油状物をクロ口ホルム及びメ タノールの混液を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製したと ころ、白色の化学式 46で表される、この発明によるインドレ-ンィ匕合物の油状物が 29 . 8g得られた。
[0153] 化学式 54 :
[化 70]
[0154] 化学式 55 :
[化 71]
[0155] 油状物の一部をとり、吸光特性として、常法によりメタノール溶液における吸収スぺ タトルを測定したところ、本例のインドレニン化合物は波長 215nm乃至 305nm付近 の紫外域に複数の吸収ピークを示した( ε = 7. 94 X 103乃至 5. 45 Χ 104)。 Η— Ν MR分析において、クロ口ホルム d溶液にした本例のインドレニン化合物は化学シ フ卜 δ (ppm、 TMS)力^). 15乃至 0. 21 (2H、m、 一 CH —)、0. 30乃至 0. 36 (2H
2
、 m、 一 CH ―)、 1. 37 (6H、 s、 CH ―)、 1. 60乃至 1. 70 (2H、 m、 一 CH ―)、 2
2 3 2
. 00乃至 2. 10 (2H、 m、 一 CH ―)、 2. 14 (6H、 s、 CH—)、7. 41乃至 7. 51 (4
2 3
H、 m、 ArH)、 7. 68乃至 7. 72 (2H、 m、 ArH)、 7. 78乃至 7. 85 (4H、 m、 ArH) 、及び 7. 92乃至 7. 95 (2H、 m、 ArH)の位置にピークを示した。
[0156] 本例のインドレ-ンィ匕合物は、ビスインドレニン骨格を有する本発明のメチン系色素 を製造するための中間体として有用である。さらに、本例のインドレ-ンィ匕合物は、紫 外域の光を吸収するので、紫外線吸収剤として、紫外線カットフィルター、染料、イン キ、眼用装置において有用である。
実施例 2
[0157] <インドレニン化合物 >
化学式 54で表される化合物に代えて、化学式 56で表される化合物を用いた以外 は実施例 1におけると同様に反応させたところ、白色の化学式 51で表される、この発 明によるインドレ-ンィ匕合物の油状物が 8. 3g得られた。
[0158] 化学式 56 :
[0159] 油状物の一部をとり、吸光特性として、常法によりメタノール溶液における吸収スぺ タトルを測定したところ、本例のインドレニン化合物は波長 215nm乃至 305nm付近 の紫外領域に複数の吸収ピークを示した( ε = 8. 35 X 103乃至 5. 81 Χ 104)。
NMR分析において、クロ口ホルム d溶液にした本例のインドレニン化合物は化 学シフト δ (ppm、 TMS)力^). 10乃至 0. 25 (2H、 m、 一 CH —)、0. 30乃至 0. 45
2
(2H、 m、 - CHー)、 0. 70乃至 0. 85 (4H、 m、 一CH—)、 1. 43 (6H、 s、 CH
2 2 3 一)、 1. 74乃至 1. 84 (2H、 m、 — CH—)、2. 12乃至 2. 22 (2H、 m、 — CH—)、
2 2
2. 20 (6H、 s、 CH—)、7. 38乃至 7. 51 (4H、 m、 ArH)、及び 7. 70乃至 7. 92 (
3
8H、 m、 ArH)の位置にピークを示した。
[0160] 本例のインドレ-ンィ匕合物は、ビスインドレニン骨格を有する本発明のメチン系色素 を製造するための中間体として有用である。さらに、本例のインドレ-ンィ匕合物は、紫 外域の光を吸収するので、紫外線吸収剤として、紫外線カットフィルター、染料、イン キ、眼用装置において有用である。
実施例 3
[0161] <インドレニン化合物 >
化学式 54で表される化合物に代えて、化学式 57で表される化合物を用いた以外 は実施例 1におけると同様に反応させたところ、白色の化学式 47で表される、この発 明によるインドレ-ンィ匕合物の油状物が 12. 8g得られた。
[0162] 化学式 57 :
[化 73]
[0163] 油状物の一部をとり、吸光特性として、常法によりメタノール溶液における吸収スぺ タトルを測定したところ、本例のインドレニン化合物は波長 216nm乃至 350nm付近 の紫外領域に複数の吸収ピークを示した。 — NMR分析において、クロ口ホルム一 d溶液にした本例のインドレニン化合物は化学シフト δ (ppm、TMS)が 1. 52 (6H、 s、 CH )、 2. 20 (6H、 s、 CH )、 3. 00 (2H、 d、 CH )、 3. 38 (2H、 d、 CH )、 6. 0
3 3 2 2
1 (4H、 s、ArH)、7. 25乃至 7. 56 (6H、 m、ArH)、7. 74 (2H、 d、ArH)、7. 91 ( 2H、 d、 ArH)、 7. 98 (2H、 d、 ArH)の位置にピークを示した。
[0164] 本例のインドレ-ンィ匕合物は、ビスインドレニン骨格を有する本発明のメチン系色素 を製造するための中間体として有用である。さらに、本例のインドレ-ンィ匕合物は、紫 外域の光を吸収するので、紫外線吸収剤として、紫外線カットフィルター、染料、イン キ、眼用装置において有用である。
[0165] この発明によるインドレ-ンィ匕合物は、構造によって仕込条件や収率に若干の違!、 はあるものの、例えば、上記した以外の化学式 46乃至 53で表されるものを含めて、 いずれも、実施例 1乃至 3の方法による力 あるいは、それらの方法に準じて所望量 を得ることができる。
実施例 4
[0166] <メチン系色素 >
反応容器に、化学式 46で表される化合物 12. 5gと p—トルエンスルホン酸ェチル 1 6. 9gとをそれぞれ加え、 3. 5時間加熱攪拌した後、反応混合物へアセトン 125mlを 滴々加え、冷却したところ、化学式 58で表される化合物の白色結晶が 16. 65g得ら
れた。
[0167] 化学式 58 :
[化 74]
[0168] 次いで、反応容器にァセトニトリルを適量とり、先に得られた化学式 58で表される化 合物 1. 5g、化学式 59で表される化合物 1. 82g、及び無水酢酸 0. 75mlをカ卩え、 30 分間加熱撹拌させた後、さらにトリェチルァミン 0. 99mlを滴々加え 1. 5時間加熱撹 拌した。反応混合物へ適量のイソプロピルエーテルをカ卩え、デカンテーシヨンにより 上澄み液を除去した後、メタノール 15mlをカ卩えて、 30分間加熱還流した。その後、 反応溶液へへキサフルォロ燐酸アンモ-ゥム 0. 87gのメタノール溶液 8mlを滴々加 え、冷却したところ、化学式 1で表されるこの発明のメチン系色素の茶色結晶が 1. 37 g得られた。
[0169] 化学式 59 :
[化 75]
[0170] 結晶の一部をとり、熱特性として、 DSC分析により融点及び分解点を測定したとこ ろ、本例のメチン系色素は 252°C付近に融点を、 300°C付近に分解点を示した。吸 光特性として、常法によりメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したとこ ろ、本例のシァニン色素は波長 544nm付近に主たる吸収極大を示した( ε = 1. 94 X 105)。なお、ジメチルスルホキシドー d溶液における本例のメチン系色素の1 H—
6
核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、化学シフト (ppm、TMS)が 0. 15乃至 0. 3 2 (2H、 m、 -CHー)、 0. 65乃至 0. 82 (2H、 m、 一CH—)、 1. 10 (6H、 tゝ CH
2 2 3
―)、 1. 23 (6H、 t、 CH―)、 1. 62 (6H、 s、 CH―)、 1. 80 (6H、 s、 CH―)、 1.
3 3 3
87 (6H、 s、 CH―)、 1. 85乃至 2. 07 (2H、 m、 一 CH—)、2. 70乃至 2. 90 (2H
3 2
、 m、 一 CH—)、 3. 95乃至 4. 20 (8Hゝ m、 一 CH—)、 6. 39 (2H、 d、 一 CH = )、
2 2
6. 48 (2H、 d、— CH = )、 7. 51 (2H、 t、 ArH)、 7. 59 (2H、 t、 ArH)、 7. 61 (2H 、 d、 ArH)、 7. 66 (2H、 t、 ArH)、 7. 75 (2H、 d、 ArH)、 7. 78 (2H、 t、 ArH)、 8 . 01 (4H、t、 ArH)、 8. 13 (4H、 t、 ArH)、 8. 16 (2H、 d、 ArH)、 8. 24 (2H、 d、 ArH)、及び 8. 32 (2H、 t、—CH=)の位置にピークが観察された。
[0171] 本例のメチン系色素は、 500nm乃至 600nm付近の可視領域の光を効率良く吸収 し、溶剤への溶解性や熱特性にも優れていることから、例えば、情報記録、太陽光発 電、電気機械器具、電気通信器具、光学器具、衣料、建寝装用品、保健用品、農業 資材をはじめとする諸分野において、可視領域の光を吸収することによって、これを 遮断したり、可視領域における光のエネルギーを利用する吸光材料として有用であ
る。
実施例 5
[0172] 〈メチン系色素〉
化学式 59で表される化合物に代えて、化学式 60で表される化合物を用いた以外 は実施例 4におけると同様に反応させたところ、化学式 2で表されるこの発明のメチン 系色素の茶色結晶が 1. 71g得られた。
[0173] 化学式 60 :
[化 76]
[0174] 結晶の一部をとり、熱特性として、 DSC分析により融点及び分解点を測定したとこ ろ、本例のメチン系色素は 211°C付近に融点と区別し難い分解点を示した。吸光特 性として、常法によりメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、本 例のメチン色素は波長 551nm付近に主たる吸収極大を示した( ε = 1. 87 Χ 105)。 なお、ジメチルスルホキシドー d溶液における本例のメチン系色素の1 H—核磁気共
6
鳴スペクトルを測定したところ、化学シフト(ppm、TMS)が 0. 10乃至 0. 30 (2H、m 、 -CH —)、0. 70乃至 0. 90 (2H、 m、 一 CH —)、0. 50乃至 1. 30 (12H、 m、 C
2 2
H— )、 1. 50乃至 2. 00 (16H、 m、 CH―、 一 CH―)、 1. 90乃至 2. 10 (2H、 m
3 3 2
、 一 CH—)、2. 80乃至 3. 00 (2H、 m、 一 CH—)、3. 80至 4. 20 (8H、 m、 一 C
2 2
H一)、 5. 90乃至 8. 50 (40H、m、 ArH、—CH = )の位置にピークが観察された。
2
[0175] 本例のメチン系色素は、 500nm乃至 600nm付近の可視領域の光を効率良く吸収 し、溶剤への溶解性や熱特性にも優れていることから、例えば、情報記録、太陽光発
電、電気機械器具、電気通信器具、光学器具、衣料、建寝装用品、保健用品、農業 資材をはじめとする諸分野において、可視領域の光を吸収することによって、これを 遮断したり、可視領域における光のエネルギーを利用する吸光材料として有用であ る。
実施例 6
[0176] 〈メチン系色素〉
化学式 59で表される化合物に代えて、化学式 61で表される化合物を用いた以外 は実施例 4におけると同様に反応させたところ、化学式 3で表されるこの発明のメチン 系色素の緑色結晶が 1. 37g得られた。
[0177] 化学式 61 :
[化 77]
[0178] 結晶の一部をとり、熱特性として、 DSC分析により融点及び分解点を測定したとこ ろ、本例のメチン系色素は 235°C付近に融点と区別し難い分解点を示した。吸光特 性として、常法によりメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、本 例のメチン色素は波長 551nm付近に主たる吸収極大を示した( ε = 1. 92 Χ 105)。 なお、ジメチルスルホキシドー d溶液における本例のメチン系色素の1 H—核磁気共
6
鳴スペクトルを測定したところ、化学シフト(ppm、 TMS)が 0. 00乃至 0. 20 (2H、m 、 -CH—)、0. 60乃至 0. 75 (2H、 m、 一 CH―)、 1. 21 (6H、 t、 CH— )、 1. 3
2 2 3
3 (6H、 t、 CH―)、 1. 45乃至 2. 10 (18H、 m、 一 CH―)、 1. 78 (6H、 s、 CH -
3 2 3
)、 2. 25乃至 2. 50 (4H、 m、 一 CH— )、 2. 60乃至 2. 80 (2H、 m、 一 CH— )、 4
. 00乃至 4. 12 (4H、 m、 一 CH—)、4. 12乃至 4. 22 (4H、 m、 一 CH—)、6. 56
2 2
(2H、 d、 CH = )、 6. 72 (2H、 d、 CH = )、 7. 48乃至 7. 72 (12H、 m、 ArH)、
7. 98乃至 8. 21 (14H、 m、 ArH、—CH = )の位置にピークが観察された。
[0179] 本例のメチン系色素は、 500nm乃至 600nm付近の可視領域の光を効率良く吸収 し、溶剤への溶解性や熱特性にも優れていることから、例えば、情報記録、太陽光発 電、電気機械器具、電気通信器具、光学器具、衣料、建寝装用品、保健用品、農業 資材をはじめとする諸分野において、可視領域の光を吸収することによって、これを 遮断したり、可視領域における光のエネルギーを利用する吸光材料として有用であ る。
実施例 7
[0180] <メチン系色素 >
化学式 46及び 59で表される化合物に代えて、それぞれィ匕学式 47及び 60で表さ れる化合物を用いた以外は実施例 4におけると同様に反応させたところ、化学式 36 で表されるこの発明のメチン系色素の暗青色結晶が 10. 47g得られた。
[0181] 結晶の一部をとり、熱特性として、 DSC分析により融点及び分解点を測定したとこ ろ、本例のメチン系色素は 220°C付近に融点と区別し難い分解点を示した。吸光特 性として、常法によりメタノール溶液における吸収スペクトルを測定したところ、本例の メチン系色素は波長 599nmに主たる吸収極大を示した( ε = 1. 54 Χ 105)。なお、 ジメチルスルホキシド d溶液における本例のメチン系色素の1 H 核磁気共鳴スぺ
6
クトノレを柳』定したところ、ィ匕学シフト δ (ppm、 TMS)力 SO. 7乃至 0. 9 (6H、 m)、 2. 0 乃至 2. 2 (12H、 m)、 3. 2乃至 3. 6 (10H、 m)、 3. 9乃至 4. 2 (8H、 m)、 6. 0乃至
8. 8 (44H、 m)の位置にピークを示した。
[0182] 本例のメチン系色素は、 500nm乃至 600nm付近の可視領域の光を効率良く吸収 し、溶剤への溶解性や熱特性にも優れていることから、例えば、情報記録、太陽光発 電、電気機械器具、電気通信器具、光学器具、衣料、建寝装用品、保健用品、農業 資材をはじめとする諸分野において、可視領域の光を吸収することによって、これを 遮断したり、可視領域における光のエネルギーを利用する吸光材料として有用であ る。
実施例 8
[0183] <メチン系色素 >
反応容器に、化学式 51で表される化合物 2. Ogと P—トルエンスルホン酸ェチル 2.
54gとをそれぞれ加え、 2時間加熱攪拌した後、反応混合物へアセトン 20mlを滴々 加え、冷却したところ、化学式 62で表される化合物の白色結晶が 2. 64g得られた。
[0184] 化学式 62 :
[化 78]
[0185] 次いで、反応容器にァセトニトリルを適量とり、先に得られた化学式 62で表される化 合物 2. 0g、化学式 59で表される化合物 2. 35g、及び無水酢酸 0. 97mlをカ卩え、 30 分間加熱撹拌させた後、さらにトリェチルァミン 1. 28mlを滴々加え 1. 0時間加熱撹 拌した。反応混合物へ適量のイソプロピルエーテルをカ卩え、デカンテーシヨンにより 上澄み液を除去した後、メタノール 20mlをカ卩えて、 30分間加熱還流した。その後、 反応溶液にへキサフルォロ燐酸アンモ-ゥム 1. 12gのメタノール溶液 5mlを滴々加 え、冷却したところ、化学式 8で表されるこの発明のメチン系色素の暗青色結晶が 2. 31g得られた。
[0186] 結晶の一部をとり、熱特性として、 DSC分析により融点及び分解点を測定したとこ
ろ、本例のメチン系色素は 251°C付近に融点を、 300°C付近に分解点を示した。吸 光特性として、常法により塩化メチレン溶液における可視吸収スペクトルを測定したと ころ、本例のシァニン色素は波長 545nm付近に主たる吸収極大を示した( ε = 1. 7 9 Χ 105)。なお、ジメチルスルホキシドー d溶液における本例のメチン系色素の1 H—
6
核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、化学シフト (ppm、 TMS)が 0. 00乃至 0. 2 0 (2H、 m、 一 CH— )、 0. 50乃至 0. 65 (2H、 m、 一 CH— )、 0. 65乃至 0. 80 (4
2 2
H、 m、 一 CH ―)、 1. 25 (6H、 t、 CH ―)、 1. 35 (6H、 t、 CH ―)、 1. 72 (6H、 s
2 3 3
、 CH ―)、 1. 87 (6H、 s、 CH ―)、 1. 91 (6H、 s、 CH—)、2. 00乃至 2. 20 (2H
3 3 3
、 m、 一 CH—)、2. 60乃至 2. 75 (2H、 m、 一 CH—)、4. 15乃至 4. 30 (8H、 m
2 2
、 -CH—)、6. 49 (2H、 d、 一CH = )、 6. 51 (2H、 d、 一CH = )、 7. 38 (2H、 tゝ
2
ArH)、 7. 54 (4H、 m、 ArH)、 7. 67 (4H、 m、 ArH)、 7. 78 (2H、 t、 ArH)、 7. 8 9 (2H、 d、 ArH)、 7. 96 (2H、 d、 ArH)、 8. 06乃至 8. 16 (6H、 m、 ArH)、 8. 20 ( 2H、 d、 ArH)、及び 8. 42 (2H、 t、 一 CH = )の位置にピークが観察された。
[0187] 本例のメチン系色素は、 500nm乃至 600nm付近の可視領域の光を効率良く吸収 し、溶剤への溶解性や熱特性にも優れていることから、例えば、情報記録、太陽光発 電、電気機械器具、電気通信器具、光学器具、衣料、建寝装用品、保健用品、農業 資材をはじめとする諸分野において、可視領域の光を吸収することによって、これを 遮断したり、可視領域における光のエネルギーを利用する吸光材料として有用であ る。
実施例 9
[0188] <メチン系色素 >
反応容器にァセトニトリルを適量とり、化学式 63で表される化合物 5. 0g、化学式 6 4で表される化合物 7. 44g、及びトリェチルァミン 7. 37mlをカ卩え、 30分間加熱撹拌 した。反応混合物へ適量のイソプロピルアルコールを加えた後、冷却し析出した結晶 を濾取した。次いで、反応容器に、先に得られた結晶と適量のメタノールをカ卩えて、 3 0分間加熱還流した後、反応溶液へ過塩素酸ナトリウム 4. 5gの水溶液を滴々加え、 冷却したところ、化学式 21で表されるこの発明のメチン系色素の茶色結晶が 3. 17g 得られた。
[0189] 化学式 63 :
[化 79]
[0190]
[0191] 結晶の一部をとり、熱特性として、 DSC分析により融点及び分解点を測定したとこ ろ、本例のメチン系色素は 285°C付近に融点と区別し難い分解点を示した。吸光特 性として、常法によりメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、本 例のシァニン色素は波長 415nm付近に主たる吸収極大を示した( ε = 5. 52 X 105 ) οなお、ジメチルスルホキシドー d溶液における本例のメチン系色素の1 H—核磁気
6
共鳴スペクトルを測定したところ、化学シフト(ppm、TMS)が 0. 20乃至 0. 30 (2H、 m、 - CHー)、 0. 40乃至 0. 50 (2H、 m、 一CH—)、 1. 64 (6Hゝ s、 CH一)、 1.
2 2 3
80乃至 2. 00 (2H、 m、 一 CH—)、2. 70乃至 2. 90 (2H、 m、 一 CH―)、 3. 50 (
2 2
6H、 s、 CH―)、 3. 65 (6H、 s、 CH—)、5. 55 (2H、 s、 一 CH = )、及び 7. 20乃
3 3
至 7. 80 (20H、 m、 ArH)の位置にピークが観察された。
[0192] 本例のメチン系色素は、 400nm乃至 500nm付近の可視領域の光を効率良く吸収 し、溶剤への溶解性や熱特性にも優れていることから、例えば、情報記録、太陽光発 電、電気機械器具、電気通信器具、光学器具、衣料、建寝装用品、保健用品、農業 資材をはじめとする諸分野において、可視領域の光を吸収することによって、これを 遮断したり、可視領域における光のエネルギーを利用する吸光材料として有用であ る。
実施例 10
[0193] <メチン系色素 >
反応容器に、化学式 63で表される化合物 5. Og及び N、 N'—ジフエニルホルムアミ ジン 2. 08gを加え、 3時間加熱撹拌した。反応混合物へ適量のアセトンを加えた後、 冷却し析出した結晶を濾取した。次いで、反応容器に、先に得られた結晶と適量のメ タノールを加えて、 30分間加熱還流した後、反応溶液へ過塩素酸ナトリウム 4. 5gの 水溶液を滴々加え、冷却したところ、化学式 24で表されるこの発明のメチン系色素の 茶色結晶が 4. 19g得られた。
[0194] 結晶の一部をとり、熱特性として、 DSC分析により融点及び分解点を測定したとこ ろ、本例のメチン系色素は 300°C付近に融点と区別し難い分解点を示した。吸光特 性として、常法によりメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、本 例のシァニン色素は波長 428nm付近に主たる吸収極大を示した( ε = 1. 62 X 105 ) οなお、ジメチルスルホキシドー d溶液における本例のメチン系色素の1 H—核磁気
6
共鳴スペクトルを測定したところ、化学シフト(ppm、TMS)が 0. 15乃至 0. 30 (2H、 m、 - CHー)、 0. 65乃至 0. 82 (2H、 m、 一CH—)、 1. 62 (6H、 s、 CH一)、 1.
2 2 3
82乃至 2. 02 (2H、 m、 一 CH—)、2. 75乃至 2. 95 (2H、 m、 一 CH―)、 3. 40 (
2 2
6H、 s、 CH—)、6. 43 (2H、 d、 一 CH = )、 7. 20乃至 8. 20 (22H、 m、 ArH)、及
び 8. 51 (2H、 d、 一 CH = )の位置にピークが観察された。
[0195] 本例のメチン系色素は、 400nm乃至 500nm付近の可視領域の光を効率良く吸収 し、溶剤への溶解性や熱特性にも優れていることから、例えば、情報記録、太陽光発 電、電気機械器具、電気通信器具、光学器具、衣料、建寝装用品、保健用品、農業 資材をはじめとする諸分野において、可視領域の光を吸収することによって、これを 遮断したり、可視領域における光のエネルギーを利用する吸光材料として有用であ る。
[0196] この発明によるメチン系色素は、構造によって仕込条件や収率に若干の違!、はあ るものの、例えば、上記した以外の化学式 1乃至 45で表されるものを含めて、いずれ も、実施例 4乃至 10の方法による力、あるいは、それらの方法に準じて所望量を得る ことができる。
実施例 11
[0197] 〈メチン系色素の溶解性〉
表 1に示すこの発明のメチン系色素につき、常法にしたがって、 20°Cにおいて TFP
100mlに対して溶解した、当該メチン系色素の質量を溶解度として測定した。併行し て、化学式 65乃至化学式 67で表される公知の類縁ィ匕合物についても同様にして溶 解度を測定した。結果を表 1に示す。
[0198] [表 1]
[0199] 化学式 65 :
果から明らかなように、この発明によるメチン系色素は、 TFPにおいて、い
ずれも化学式 65乃至化学式 67で表される公知の類縁化合物を凌駕する溶解度を 示した。すなわち、公知の類縁化合物の溶解度が 1. 10%以下であつたのに対して 、試験に供したこの発明によるメチン系色素は、いずれも公知の類縁化合物を有意 に上回る溶解度を示した。
実施例 12
[0203] 〈シァニン色素の耐光性〉
実施例 4乃至 8の方法により得たィ匕学式 1乃至 3、 8及びィ匕学式 36で表されるメチン 系色素のいずれかを 15mgとり、 3mlの TFPへ加え、室温下において超音波を 5分 間印加して溶解させた。スピンコート法により、研磨したガラス基板(5cm X 5cm)の 片面へ溶液を均一に滴下し、基板を 1, OOOrpmで 1分間回転させることによって基 板上へ均一に塗布した後、温風及び冷風をこの順序で送風して乾燥させることによ つて、ガラス基板上へこの発明によるメチン系色素の薄膜を形成させた。
[0204] 次 ヽで、吸収極大波長(550nm付近)におけるメチン系色素の透過率 (T )を薄膜
0 状態で測定した後、ガラス基板から一定間隔を隔てて 7. 5kWキセノンランプを固定 し、基板へ冷風を送風しながらキセノンランプへ 2時間露光した (基板表面における 光照射エネルギー 180WZm2)。その後、直ちに、吸収極大波長における透過率 (T )を再度測定し、斯くして得られた透過率 T及び Tを数 1へ代入して色素残存率(%)
0
を計算した。併行して、化学式 65乃至 68で表される類縁化合物により形成した薄膜 にっき、これらを上記と同様に処置し、吸収極大波長における透過率をそれぞれ測 定して対照とした。結果を表 2に示す。
[0205] 化学式 68 :
[化 84]
[0206] [数 1]
100 一 τ
色素残存率 0 = 100
100 一 To
[0207] [表 2]
表 2の結果に見られるとおり、化学式 66乃至 68で表される化合物のみにより構成し た対照の薄膜においては、僅か 2時間の露光によって著量の化合物が変化し、当初 の吸光度が 50%乃至 60%に低下した。これに対して、化学式 1乃至 3、 8及び 36で 表されるこの発明のメチン系色素により構成した薄膜は、同様に露光させても、いず れも、 64乃至 75%という色素残存率に見られるように、吸光能の低下が緩和された。
ちなみに、化学式 65で表される、従来公知のメチン系色素によって構成した対照の 薄膜は、同様に露光させると、この発明のメチン系色素とほぼ同様の色素残存率(7 3%)を示した。
[0209] これらの実験結果は、この発明のメチン系色素が、従来公知のメチン系色素と比較 して、可視領域における耐光性がほぼ同等か有意に優れているものであることを物 語っている。
実施例 13
[0210] <メチン系色素の電気特性 >
常法にしたがって、図 3に示すがごとき、基板 記録層 2、反射層 3及び保護層 4を この順序で積層してなる光記録媒体を作製した。すなわち、適量の TFPに化学式 1 乃至 3、 8又は化学式 36で表されるこの発明のメチン系色素のいずれかを濃度 1. 6 質量%になるように加え、暫時加熱した後、超音波を印加して溶解させた。常法にし たがって、この溶液をポリカーボネート製のディスク状基板 1 (直径 12cm、厚さ 0. 6m m)の片面に均一に回転塗布し、乾燥することによって厚さ lOOnmの吸光材料によ る記録層 2を形成した。その後、基板 1へ銀を厚さ 30乃至 lOOnmまで蒸着して記録 層 2に密着する反射層 3を形成した後、汎用の接着剤を用いて、反射層 3に密着させ てポリカーボネート製のディスク状保護層 4 (直径 12cm、厚さ 0. 6mm)を貼り付ける ことによって試験用の光記録媒体を作製した。併行して、この発明のメチン系色素に 代えて、化学式 65又は 68で表される従来公知のメチン系色素を用いる以外は上記 と同様にして光記録媒体を作製し、対照とした。なお、化学式 66及び 67で表される 従来公知のメチン系色素は、 TFPに対する溶解度が低ぐ薄膜を形成することができ なかったので、光記録媒体を作製することができな力つた。
[0211] 斯くして作製した 7種類の光記録媒体につき、市販の光ディスク評価装置 (商品名『 DDU— 1000型』、パルステック工業株式会社製造)を用い、書込波長 658nm (開 口率 0. 60)で、転送レー卜 11. 08Mbps (1倍速)、 44. 32Mbps (4倍速)、 88. 64 Mbps (8倍速)において、 8— 16変調された試験信号を書き込み、そのときの記録感 度および電気特性 (再生光出力 0. 7mW)を測定した。結果は表 3に併記する。
[0212] [表 3]
表 3の結果は、この発明のメチン系色素を用いることによって、 1倍速、 4倍速、 8倍 速いずれの記録速度においても、従来公知のメチン系色素と比較して、反射率、変 調度及びジッター値などの電気特性を維持しつつ、光記録媒体の記録パワーを有 意に改善し得ていることを物語っている。とくに、本発明によるビスインドレニン骨格を 有することにより、記録感度が改善される知見は、本発明により、初めて明らかになつ
た点である。すなわち、この発明のメチン系色素を利用することにより、高感度化され 、ジッタ—などの電気特性に優れた光記録媒体を実現できる。
実施例 14
[0214] 〈光記録媒体〉
化学式 1乃至 3、 8又は化学式 36のいずれかで表されるメチン系色素を吸光材料と して、 TFPに単位体積あたり濃度 1. 2質量%になるように加え、さらに、耐光性改善 剤として、汎用のホルマザン金属錯体を吸光材料に対し濃度 5. 0質量%になるよう に添加し、暫時加熱した後、超音波を印加して溶解した。常法にしたがって、この溶 液を膜濾過した後、トラックの内周へ同期信号並びにトラック及びセクタ一の番地を 表示する凹部(トラックピッチ 0. 74 μ m、幅 0. 03 μ m、深さ 76nm)を射出成形によ り転写しておいたポリカーボネート製のディスク基板(直径 12cm、厚さ 1. 2mm)の片 面へ均一に回転塗布し、乾燥して厚さ 200nmの記録層を形成した。その後、基板へ 純銀を lOOnmの厚さになるようにスパッタリング法により蒸着して記録層に密着する 反射層を形成し、さらに、その反射層へ公知の紫外線硬化榭脂(商品名『ダイキュア クリア SD1700』、大日本インキ化学工業株式会社製造)を均一に回転塗布し、紫外 線照射して反射層に密着する保護層を形成することによって 5種類の光記録媒体を 作製した。実施例 13におけると同様に試験したところ、本例の光記録媒体は、いず れも実施例 13における光記録媒体と同等の、記録感度、及び変調特性、反射率、ジ ッター特性などの電気特性を発揮した。
[0215] 記録感度、変調特性、反射率、ジッター特性などの電気特性に優れた本例の光記 録媒体は、いずれも、 4GBを越える記録容量を有し、 700nmより短波長の可視光、 とりわけ、波長 630乃至 680nm付近のレーザー光による光ピックアップを用いること により、大量の文書情報、画像情報、音声情報及びその他のデジタル情報を高密度 に書き込むことができる。なお、発振波長 658nmの半導体レーザー素子を用いて情 報を書き込んだ本例の光記録媒体の記録面を電子顕微鏡で観察したところ、最小マ ーク長が、 1. 0 mを下回る微小マークを含むランダム信号が、トラック上に、高密度 に形成されていた。
実施例 15
[0216] 〈光記録媒体〉
化学式 26乃至化学式 28のいずれかで表されるメチン系色素を光吸収材料として T FPに濃度 1. 2% (w/vol)になるように加え、さらに、耐光性改善剤として、汎用の ホルマザン金属錯体を吸光材料に対して、濃度 5. 0% (w/w)になるように添加し、 暫時加熱した後、超音波を印加して溶解した。常法にしたがって、この溶液を膜濾過 した後、 CD— R用ディスク基板(直径 12cm、厚さ 1. 2mm、トラックピッチ 1. 6 /z m) の片面へ均一に回転塗布し、乾燥して厚さ 200nmの記録層を形成した。その後、ス ノッタリング法により、塗布基板へ、純銀を lOOnmの厚さになるように付加して、記録 層に密着する反射層を形成し、さらに、その反射層へ公知の紫外線硬化榭脂 (商品 名『ダイキュアクリア SD1700』、大日本インキ化学工業株式会社製造)を均一に回 転塗布し、紫外線照射して反射層に密着する保護層を形成することによって 3種類 の光記録媒体を作製した。実施例 13におけると同様に試験したところ、本例の光記 録媒体は、いずれも実施例 13における光記録媒体と同等の、記録感度、及び変調 特性、反射率、ジッター特性などの電気特性を発揮した。
[0217] 感度、変調特性、反射率、ジッター特性などの電気特性に優れた本例の光記録媒 体は、いずれも、 600MBを越える記録容量を有し、 850nmより短波長の可視光、と りわけ、波長 750乃至 800nm付近のレーザー光による光ピックアップを用いることに より、大量の文書情報、画像情報、音声情報及びその他のデジタル情報を高密度に 書き込むことができる。なお、発振波長 780nmの半導体レーザー素子を用いて情報 を書き込んだ本例の光記録媒体の記録面を電子顕微鏡で観察したところ、最小マー ク長が、 1. 0 mを下回る微小マークを含むランダム信号が、トラック上に、高密度に 形成されていた。
実施例 16
[0218] 〈光記録媒体〉
TFPに吸光材料として化学式 21又は化学式 24で表されるメチン系色素のいずれ かを濃度 1. 0質量%になるように加え、さらに、耐光性改善剤として、汎用のホルマ ザン金属錯体を吸光材料に対して濃度 20. 0質量%になるように添加した後、超音 波を印加して溶解した。この溶液を、 HD
DVD— R用ディスク基板(直径 12cm、厚さ 0. 6mm、トラックピッチ 0. 4 μ ΐη)に、ス ピンコート法で塗布し、スパッタリング法により、純銀の反射膜を 120nm設け、紫外線 硬化榭脂を用い、 0. 6mm厚の裏板に接着することで 2種類の光記録媒体を作製し た。
[0219] 本例の光記録媒体は、波長 405nm、 NA (開口数) 0. 65のテスター(パルステック 工業株式会社製造)を用いて、線速度 6. 61mZs、最短マーク長 0. で記録を 行った。記録及び再生試験は、 DVDフォーラムにより定められた HD
DVD-R¾½-Verl . 0に準拠した方式で行い、同規格にある PRSNR (Partial Re sponse SNR)の評価を行った。
[0220] 斯かる評価試験の結果、本例の光記録媒体記録は LOW TO HIGH型のメカ二 ズムを示し、最適な記録パワーでの PRSNRは、規格値の 15を大きく上回った。
[0221] この結果は、本例の光記録媒体が、いずれも、 15GB以上の記録容量を有し、発振 波長 405nm付近のレーザー素子を用いることによって大量の文書情報、画像情報 及び音声情報を高密度に書き込むことができることを物語っている。当然のことなが ら、本例の光記録媒体は光記録媒体一般に要求される耐用寿命を具備しており、加 速試験の結果によると、ー且書き込まれた情報は繰返し読み取ったり環境光に露光 しても長期間に亙って読み取ることができる。
産業上の利用可能性
[0222] 叙上のごとぐこの発明は新規なメチン系色素の創製と、その産業上有用な諸特性 の発見に基づくものである。この発明のメチン系色素は耐光性に優れ、紫外乃至赤 外領域の光を効率良く吸収するとともに、諸種の有機溶剤に対して実用上支障のな い溶解性を発揮し、熱特性にも優れていることから、紫外乃至赤外領域の光を吸収 することによって、これを遮断したり、紫外乃至赤外領域の光のエネルギーを利用す る吸光材料として、例えば、情報記録、太陽光発電、電気機械器具、電気通信器具 、光学器具、衣料、建寝装用品、保健用品、農業資材をはじめとする多種多様の用 途において極めて有用である。
[0223] とりわけ、情報記録の分野において、波長 350nm乃至 850nmの光に感度を有す るこの発明のメチン系色素は、例えば、 8倍速以上の記録速度の高速ィ匕に対応した、
DVD-R,さらには、 BD—R、 HD
DVD— Rなどの記録容量が片面あたり 15乃至 23. 3GBの高密度光記録媒体にお ける記録層を構成する吸光材料として極めて有用である。カロえて、この発明のメチン 系色素は、現行の CD— R、 1倍速及び 4倍速対応の DVD— Rなどの光記録媒体に おける記録層を構成する吸光材料としても有利に用いることができる。