WO2007099655A1

WO2007099655A1 - 多層式マスク

Info

Publication number: WO2007099655A1
Application number: PCT/JP2006/311657
Authority: WO
Inventors: Jun Hayasi
Original assignee: Makino, Chosei
Priority date: 2006-03-01
Filing date: 2006-06-09
Publication date: 2007-09-07
Also published as: EP1990071A1; EP1990071A4; JP2007229222A

Abstract

【課題】　安価に製造可能でありながら、着用時の顔の曲面へのフィット性と不着用時の省スペース性とを備えた、ウイルスを確実に遮断して人体への侵入を防止することができる高機能なマスクを提供する。【解決手段】複数のマスク用シートを積層して構成した多層式マスクであって、少なくとも最外層はＰＰＳＢ（ポリプロピレン・スパンボンド）不織布から形成されると共に、その形状は、先端狭窄状のカップ状のマスク本体に形成すると共に、基部は開口して、口及び鼻を被覆する顔当て部としてなり、しかも顔当て部の両端に、固定用の紐体を懸架してなることとした。

Description

明細書

多層式マスク技術分野

[0001] 本発明は、多層式マスクに関する。

背景技術

[0002] 従来、マスクは、人が密集する場所において空気感染や飛沫感染により流行するィンフルェンザ等のウィルスの感染を防止するため等に使用されてきた。

[0003] 近年では、鳥インフルエンザウイルス等の新型ウィルスの脅威に人々が脅かされており、さらに今後についてもいかなる未知のウィルスが発生するか分からないため、感染力の強レ、ウィルスに対する不安感が増大してレ、る現状がある。

[0004] そのため、感染力の強いウィルスであっても高遮断 ·高捕集カを発揮することができる高性能なマスクの需要は増大しており、種々のマスクが提案されている。

[0005] 例えば、マスクを光触媒層と炭素繊維層とで多層状に形成して、ウィルスなどがマスクを通過する際に光触媒層で殺菌すると共に、炭素繊維層にウィルスを吸着させ、ウィルスの人体への侵入を防止する構成のマスクが提案されている。（例えば、特許文献 1参照）

また、口元及び鼻孔周辺を覆うカップ状のカバー部と、同カバー部内側に貼着されるシートカップと、同カバー部の左右両端に連設された耳掛け部とより、被覆部が顔表面の凹凸にフィットするように立体成形し、マスクと顔表面との間に生じる隙間を可及的に低減して、隙間からウィルスが侵入してしまうことを防止する構成のマスクが提案されている。（例えば、特許文献 2参照）

特許文献 1 :特開 2000-197711

特許文献 2：特開 2005-328937

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] し力ながら、上記特許文献 1におけるマスクは、通過するウィルスを光触媒層で殺菌すると共に炭素繊維層でウィルスを吸着する構成として高機能化を図っているものの、光触媒層、炭素繊維層などから形成しているため 2層といえどもコスト高になることが避けられなかったし、口元及び鼻孔周辺を覆う被覆体は顔の曲面にフィットし難く、マスクと顔表面との間に隙間が生じて、その隙間からウィルスが侵入する恐れがあるという問題が生じていた。

[0007] また、上記特許文献 2におけるマスクは、顔の曲面に合うよう立体的に形成してマスクと顔表面の間に生じる隙間を可及的に軽減してレ、るものの、立体形成の手間がか力てやはり高価になることが避けられなかったし、立体であるため収納時や載置時に場所を取り、また畳んで持ち歩いたり外力で潰れたりすると、折れ皺が入って元の形状に戻りにくぐ取り扱いに気を使うという問題が生じていた。

[0008] このように従来のマスクは、高機能化を図ることで、高価になってしまったり取扱いが煩雑になってしまったりしていたが、ウィルス拡散防止のためには、拡散が確認された国や地域、及びその近隣の住人が誰でも負担無く入手できる、或は国や地方自治体が住民に無償配布できる程度の廉価なものであって、なおかつ高機能なマスクであることが望まれる。

[0009] 本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、安価に製造可能でありながら、着用時の顔の曲面へのフィット性と不着用時の省スペース性とを備えた、ウィルスを確実に遮断して人体への侵入を防止することができる高機能なマスクを提供する。課題を解決するための手段

[0010] そこで、請求項 1に係る本発明では、複数のマスク用シートを積層して構成した多層式マスクであって、少なくとも最外層は PPSB (ポリプロピレン 'スパンボンド）不織布力形成されると共に、その形状は、先端狭窄状のカップ状のマスク本体に形成すると共に、基部は開口して、口及び鼻を被覆する顔当て部としてなり、しかも顔当て部の両端に、固定用の紐体を懸架してなることを特徴とする多層式マスクとした。

[0011] また、請求項 2に係る本発明では、請求項 1記載の多層式マスクであって、前記複数のマスク用シートにおいて、最外層及び最内層のマスク用シートは PPSB (ポリプロピレン 'スパンボンド）不織布マスク用シートであって、中間層のマスク用シートは MB (メルトブローン）不織布マスク用シートであることを特徴とした。

[0012] また、請求項 3に係る本発明では、請求項 2に記載の多層式マスクであって、前記中間層のマスク用シートは、それぞれ目の粗さの異なる複数の MB (メルトブローン）不織布マスク用シートからなることを特徴とした。

[0013] また、請求項 4に係る本発明では、請求項 1〜3のいずれ力 1項に記載の多層式マスクであって、前記マスク本体は、折り返して形成した上下二枚の略山型シートの左右側縁を縫合又は溶着してカップ状に形成し、折り返した略山型シートのカップ状の基部は開口して顔当て部とし、顔当て部の左右端に固定用紐体を懸架して構成したことを特徴とした。

[0014] また、請求項 5に係る本発明では、請求項 1〜4のいずれ力 4項に記載の多層式マスクであって、前記マスク用シートのいずれかに、使用者の所望の形状に変形可能とした帯状の金属箔を取り付けたことを特徴とした。

[0015] また、請求項 6に係る本発明では、請求項:!〜 5のいずれか一項に記載の多層式マスクであって、前記マスク用シートにおける最内層内面に、使用者の鼻に当接する帯状のクッション材を取り付けたことを特徴とした。

発明の効果

[0016] 請求項 1に記載の本発明では、複数のマスク用シートを積層して構成した多層式マスクであって、少なくとも最外層は PPSB (ポリプロピレン 'スパンボンド）不織布から形成されると共に、その形状は、先端狭窄状のカップ状のマスク本体に形成すると共に、基部は開口して、口及び鼻を被覆する顔当て部としてなり、し力も顔当て部の両端に、固定用の紐体を懸架してなることを特徴とする多層式マスクとしたため、多層状に構成したマスク本体がウィルスを確実に遮断 ·捕集する事ができて、ウィルスが侵入して口元まで到達することを防止しているし、マスク本体は、着用時に口前方に突出するカップ状の立体形態をなすため、口前方に適度な空間を生じさせて呼吸や会話がし易いし、立体形状により基部が顔の曲面に沿うようにフィットして、顔体との間に隙間が生じて隙間からウィルスが侵入してしまうことを防止している。また、 PPSB不織布は、耐磨耗性 '耐薬品性等を向上させた高強度な不織布であって、これより形成した PPSB不織布マスク用シートを最外層に位置させることによって、強度の高い多層式マスクとする事ができるし、撥水性を持たせて飛沫の飛散によるウィルスの侵入を効果的に防止する事ができる。 [0017] また、請求項 2に記載の本発明では、前記複数のマスク用シートにおいて、最外層及び最内層のマスク用シートは PPSB (ポリプロピレン 'スパンボンド）不織布マスク用シートであって、中間層のマスク用シートは MB (メルトブローン）不織布マスク用シートであることを特徴としたため、 PPSB不織布の原料となるポリプロピレンの性質を、最外層と最内層とで区別すれば、それぞれの層に最適な PPSB不織布とする事ができる。すなわち、最外層に位置する PPSB不織布には撥水性の高いポリプロピレンを、最内層には改質物の吸水性を有するポリプロピレンを、それぞれ原料とすれば、最外層において飛散してくる飛沫等を遮断して飛沫に含まれるウィルスの進入を防ぐ事ができるし、最内層においては、口から放出される水分を吸収することで、多層が水分を含んでマスクの機能が低下してしまうことを防止する事ができる。さらに、ポリプロピレンは原料が安価であるため、低コストにて本多層式マスクを製造する事ができる。また、中間層に位置させた MB不織布は、超極細繊維からなる不織布であるため、繊維の超微細な目でより確実にウィルスを捕集する事ができる。

[0018] また、請求項 3に記載の本発明では、前記中間層のマスク用シートは、それぞれ目の粗さの異なる複数の前記 MB不織布マスク用シートからなることを特徴としたため、中間第 1層で捕集できなかったウィルスがあつたとしても、中間第 2層以降で確実に捕集する事ができて、ウィルスが口元まで到達することを確実に防止する事ができる

[0019] また、請求項 4に記載の本発明では、前記マスク本体は、折り返して形成した上下二枚の略山型シートの左右側縁を縫合又は溶着してカップ状に形成し、折り返した略山型シートのカップ状の基部は開口して顔当て部とし、顔当て部の左右端に固定用紐体を懸架して構成したことを特徴としたため、マスク本体は、着用時に口前方に突出する、呼吸や会話のし易い立体形状に形成できながら、不使用時には上下二枚の略山形シートを重ねることにより薄く折り畳んで略平面形状とすることができるため、場所をとらず携帯 ·収納に便利である。また、顔当て部を顔の曲面にフィットさせる事ができるため、顔体との間に隙間が生じて隙間からウィルスが侵入してしまうことを防止している。

[0020] また、請求項 5に記載の本発明では、前記マスク用シートのいずれかに、使用者の所望の形状に変形可能とした帯状の金属箔を取り付けたことを特徴としたため、金属箔を、装着する使用者の鼻周りにおける凹凸に合わせて形成することができ、装着時に、被覆体を顔の曲面に可及的に密着させることができて、隙間からウィルスが侵入することを防止することができる。

[0021] また、請求項 6に記載の本発明では、前記マスク用シートにおける最内層内面に、使用者の鼻に当接する帯状のクッション材を取り付けたことを特徴としたため、マスク本体と鼻との当接箇所にクッション材が位置して、鼻当たりをよくして装着感を向上させているし、マスク本体を、鼻周辺の凹凸に合わせてより密着させることができて、マスク体と顔との間に隙間が生じてウィルスが侵入することを防止することができる。発明を実施するための最良の形態

[0022] 本発明に係る多層式マスクは、複数のマスク用シートを積層して構成した多層式マスクであって、少なくとも最外層は PPSB (ポリプロピレン 'スパンボンド）不織布から形成されると共に、その形状は、先端狭窄状のカップ状のマスク本体に形成すると共に、基部は開口して、口及び鼻を被覆する顔当て部としてなり、し力も顔当て部の両端に、固定用の紐体を懸架してなることを特徴とした。

[0023] すなわち、マスク本体を多層状に構成することにより、ウィルス等の捕集効率を向上させてウィルス等が口元まで到達する事を確実に防止しているし、マスク本体は、装着時に口前方に突出し、顔の曲面に沿うカップ状の立体形態とすることができる。従来の一般的な平面矩形状のマスクでは、マスク体が口に接触することで会話や呼吸を妨げ、女性であればマスク体が口紅等の化粧に接触して化粧が落ちてしまうという問題が生じていた力本多層式マスクは上記したように装着時に口前方に突出し、マスク体と口との間に空間を生じさせているため、会話や呼吸がし易ぐ女性の口紅等の化粧が落ちる心配がなレ、。

[0024] また、 PPSB不織布は、耐磨耗性 '耐薬品性等を向上させた高強度な不織布であつて、これより形成した PPSB不織布マスク用シートを最外層に位置させることによつて、強度の高い多層式マスクとする事ができるし、撥水性の高いポリプロピレンを原料とすることにより撥水性を向上させて、唾液などの体液が飛散してきた際に最外層で遮断できて飛沫の飛散によるウィルスの侵入を効果的に防止する事ができる。 [0025] また、最外層及び最内層のマスク用シートは PPSB (ポリプロピレン 'スパンボンド）不織布マスク用シートであって、中間層のマスク用シートは MB (メルトブローン）不織布マスク用シートであることを特徴とした。

[0026] すなわち、 PPSB不織布の原料となるポリプロピレンの性質を、最外層と最内層とで適当に区別してそれぞれの性質にあった PPSB不織布とする事ができる。すなわち、最外層に位置する PPSB不織布には撥水性の高いポリプロピレンを、最内層には改質物の吸水性を有するポリプロピレンを、それぞれ原料とすれば、最外層において飛散してくる飛沫等を遮断して飛沫に含まれるウィルスの進入を防ぐ事ができるし、最内層においては、口から放出される水分を吸収することで、多層が水分を含んでマスクの機能が低下してしまうことを防止する事ができる。また、ポリプロピレンは原料が安価であるため、低コストにて本多層式マスクを製造する事ができる。

[0027] また、耐磨耗性 *耐薬品性等を向上させた高強度な不織布である PPSBにより形成した不織布マスク用シートを最外層及び最内層に位置させることで、マスク本体に強度を与える事ができるし、中間層に位置した MB不織布マスク用シートは、最小繊維径 1 μ m程の超極細繊維によりなる不織布であるため、フィルタ一として機能して確実にウィルスを捕集する事ができる。

[0028] また、中間層の MB不織布をそれぞれ目の粗さの異なる複数の MB不織布マスク用シートとすれば、中間第 1層を通過したウィルスであったとしても、第 2層目以降で確実に捕集する事ができてウィルスが口元まで到達することを確実に防止する事ができる。

[0029] また、前記マスク本体は、折り返して形成した上下二枚の略山型シートの左右側縁を縫合又は溶着してカップ状に形成し、折り返した略山型シートのカップ状の基部は開口して顔当て部とし、顔当て部の左右端に固定用紐体を懸架して構成したことを特徴とした。

[0030] すなわち、マスク本体は、マスク本体が折り返して形成した上下二枚の略山型シートを基本形態とし、その両側縁を縫合してカップ状に形成したものであるため、携帯や保管時には折り返し部分と左右両側縁の縫合部分を折り目として二枚の略山型シートを重ねることにより平面的な収納形態とする事ができ、他方、使用に際しては、平面的に重ねた略山型シートを折り返し部と左右両側縁を中心に開口部から広げると、全体形状がカップ状となり、容易に口や鼻を被覆できる略先端先鋭状のマスク形状とする事ができる。

[0031] 従って、装着時にはマスク体と口との間に適度な空間が生じて呼吸や会話がし易いし、女性であれば、マスク体が口紅等に接触して化粧が落ちてしまう心配がない。また、携帯'収納等の不使用時等に、本多層式マスクを折り畳んで折り皺等がついたとしても、マスク本体の立体形成に支障が無取扱いに気を使う必要が無い。

[0032] また、マスク本体が上記の形状に構成されているために、固定用紐体を後頭部に掛止して顔面にマスク本体を固定した場合、同紐体はマスク本体の開口部の両端を後方、すなわち顔面方向に引っ張ることになる。従って、マスク本体そのものが略山型シートの折り返し形状で重ねて形成しているため、必然的に開口部、すなわち略山型シートの底辺両端部に引っ張り応力力 Sかかり同シートは中心方向に向かって変位することになり、必然的に重ねた或いは拡げた略山型シートは、開口部の上で開口幅を更に大きくし、口及び鼻の周辺を余裕を持って被覆する事ができ、かつ顔面の曲面にフィットした状態に密着固定する事が可能となる。

[0033] また、前記マスク用シートのいずれかに、使用者の所望の形状に変形可能とした帯状の金属箔を取り付けたことを特徴とした。

[0034] すなわち、金属箔を、装着する使用者の鼻周りにおける凹凸に合わせて形成することができ、装着時に被覆体を顔の曲面に可及的に密着させて、隙間からウィルスが侵入することを防止している。

[0035] また、前記マスク用シートにおける最内層内面に、使用者の鼻に当接する帯状のクッシヨン材を取り付けたことを特徴とした。すなわち、マスク本体と鼻との当接箇所にクッシヨン材が位置して、鼻当たりをよくして装着感を向上させているし、マスク本体を、鼻周辺の凹凸に合わせてより密着させることができて、マスク体と顔との間に隙間が生じてウィルスが侵入することを防止してレ、る。

[0036] 以下、本発明に係る多層式マスクの実施の形態について、図面を参照して説明する。

[0037] 図 1〜図 6に示すように、本実施形態における多層式マスク Aは、 2つの略山型のシート体が対向してなる袋状のマスク本体 10と、マスク本体 10における基部 12の角部に取り付けた、顔面固定用の紐体 11とから構成している。

[0038] マスク本体 10は、図 7に示すように、第 1〜第 4のマスク用シート:!〜 4を積層することにより 4層構成のマスク本体 10としている。

[0039] ここで、第 1〜第 4のマスク用シート:!〜 4はそれぞれ、後述する異なる性質を有する不織布を、略山型が短手底辺を対称軸として上下対称に位置するよう、中央部が 8 の字型にくびれた形状に型抜いて形成しており、型抜いた各マスク用シート 1〜4を、第 1のマスク用シート 1を最外層として、同第 1のマスク用シート 1の内側に第 2のマスク用シート 2、第 2のマスク用シート 2の内側に第 3のマスク用シート 3、第 3のマスク用シート 3の内側には第 4のマスク用シート 4を最内層として積層することにより、 4層に構成している。そして、 4層となったマスク用シートの対称軸線 18にて折り返して上下の山型状を重ね合わせ、両側縁 16, 16を溶着などして接着させれば、略山型の積層シート体 7, 8が対向してなる袋形状となすことができる。

[0040] この際、積層したマスク用シート：!〜 4の対称軸線 18上にて 4層を溶着して、マスク用シート:!〜 4を一体となした後、折り返して両側縁 16, 16を溶着等すれば、たるみやよれ等を生じさせずにマスク本体 10を袋状に形成する事ができる。

[0041] マスク本体 10において、第 1〜第 4のマスク用シート:!〜 4は、専用の金型で型抜いた後積層して溶着すればよいのであって、立体成形マスクのようにマスク本体を製造過程において立体形成する必要がないため、製造作業における手間がかからず低コストにて生産することができる。

[0042] 第 1のマスク用シート 1は、撥水性を有する不織布により形成しており、特に PPSB ( Polypropylene Spun Bondedポリプロピレン ·スパンボンデッド）不織布で形成することが望ましい。

[0043] PPSB不織布は、ポリプロピレンを原料として耐磨耗性 ·耐水性 ·耐薬品性を向上させた高強度な不織布であり、この第 1のマスク用シートにおいては撥水性を有するポリプロピレンを原料とすることにより高撥水性能の不織布としている。また、スパンボンド法により原料から直接紡糸してシートィ匕するため、生産性にすぐれ低コストであつて、さらに連続長繊維であるため、一般的に短繊維不織布より強度を向上させることができる。

[0044] このような特性を持つ PPSB不織布を、最外層に位置する第 1のマスク用シートに用いることにより、唾液や体液及び血液等の飛沫が飛散してきた場合にも、内層に浸透することを阻止して飛沫に含まれるウィルスの進入を防ぐことができる。

[0045] 第 2のマスク用シート 2は、第 1のマスク用シート 1よりも微細な繊維から成る医療用の抗菌不織布により形成しており、特に MB (Melt Blownメルトブローン）不織布により形成することが望ましレ、。メルトブローン不織布は、メルトブローン法により：!〜の超極細繊維で不織布を形成し、フィルタ一として構成することができ、したがって第 1層を通過したウィルスであってもこの微細な繊維の目によって確実に捕集する事ができる。また、この第 2のマスク用シート 2は、前記した第 1のマスク用シート 1よりもやや肉厚とすると、より捕集効果を上げる事ができて好ましレ、。

[0046] 第 3のマスク用シート 3は、帯電性を有する不織布により形成し、特に第 2のマスク用シート 2と同様に MB不織布により形成することが望ましい。また、例えばポリエステルを原料とする不織布とすれば静電気を良好に帯電することができ、第 2層を通過したウィルスであったとしても、表面に効果的に吸着させて捕集する事ができる。これにより第 2、第 3のマスク用シート 2， 3からなる中間層をフィルター状に構成することができ、主として浮遊病原菌等の通過を効果的に阻止することができる。この第 3のマスク用シート 3は、相対的に第 2のマスク用シート 2よりも微細な目を有する不織布より形成し、中間層を目の粗さの異なる不織布より構成することにより捕集効率を向上させている。加えて第 2のマスク用シート 2よりもやや肉厚とすると、この第 3層において良好に帯電させる事ができて好ましレ、。

[0047] 第 4のマスク用シート 4は、第 1層と同様に PPSB不織布により形成する。第 4のマスク用シート 4においては、吸水性を有する改質物のポリプロピレンを原料とすることにより、吸水性 ·拡散性の高い不織布とすることができて、使用者の口から放出される水分を吸収して、多層が水分を含むことによるマスクの機能低下を防止することができる。

[0048] 上記のように第 1〜第 4のマスク用シートを積層する構成によれば、まず、第 1のマスク用シート 1でウィルスの大半を吸着し、これより内層側でのウィルス吸着量を減じ、第 2のマスク用シート 2でウィルスを完全に遮断する。そして、万一各マスク用シート 1,2を通過したウィルスがあつたとしても、静電気を帯電させた第 3のマスク用シート 3 によって確実に遮断する。さらに、第 4のマスク用シート 4により、使用者の口から出る水分を吸着して、他層の機能が低下することを防止している。

[0049] なお、第 1〜第 4のマスク用シート:!〜 4を積層する順番は、上記したものに限らない力特に上記の順番で積層して構成すると、それぞれの機能を生力て最大の効果を発揮させることができ、望ましい。

[0050] また、マスク本体 10において、最外層に位置する第 1のマスク用シート 1の、少なくとも一側部における外面には、基部 12に沿って左右方向に伸延する帯状の金属箔 5 を取り付けている。なお、本実施形態において金属箔 5は、第 1の積層シート体 7外面に取り付けることとしている。

[0051] 金属箔 5は、多層式マスク Aを装着する際に使用者 Hの鼻部分に位置し、可撓性のある素材によって形成して使用者 Hの所望の形状に変形させることができるようにしている。したがって、金属箔 5の変形に伴って、マスク本体 10の形状を使用者 Hの所望の形状、例えば使用者 Hの顔面形状であって特に鼻の凹凸形状に沿って変形させること力 Sできるようにしてレ、る。

[0052] マスクと顔表面との間に隙間が生じ易いのは特に鼻周りであるため、このようにして、金属箔 5を多層式マスク Aの装着時に使用者 Hの顔面形状に沿って変形させた場合には、マスク本体 10を使用者 Hの顔面に密着させた状態で装着することができ、隙間からのウィルスの侵入を防止することができる。

[0053] また、マスク本体 10において、最内層に位置する第 4のマスク用シート 4の、前記金属箔 5を取り付けた側部の内面であって金属箔 5と略重なり合う位置に、基部 12に沿つて左右方向に伸延する、金属箔 5と略同一の大きさに形成した帯状のクッション材 6を取り付けている。なお、本実施形態においてクッション材 6は、金属箔 5を取り付けた第 1の積層シート体 7の内面に取り付けることとしている。

[0054] クッション材 6は、例えばウレタン素材等により 2〜5mm程度の厚みを持たせて形成しており、多層式マスク Aを装着した際には使用者 Hの鼻との当接材となる。

[0055] 顔面形状にフィットさせるため金属箔を取り付けたマスクは従来も提案されている力金属箔が可撓性を有していたとしても、やはり金属であるためある程度硬質であり、場合によっては使用者が鼻に痛みを感じる事があつたが、本多層式マスク Aにおいては、同クッション材 6を緩衝材として使用することで、多層式マスク Aの装着時、使用者 Hが鼻に違和感を覚えたり痛みを感じたりすることを防止し、鼻当たりをソフトにすることで付け心地を向上させている。

[0056] このクッション材 6は、使用者の好みに合わせて低反発ウレタンや高反発ウレタンを選択できるようにすると、鼻とマスク体とのフィット感をそれぞれの使用者に最適な状態とする事ができる。

[0057] また、このクッション材 6のクッション性により、よりマスク本体 10と顔表面とを密着させる事が出来て、隙間が生じてウィルス等が侵入してしまうことを防止している。

[0058] 前記金属箔 5は、ここでは最外層である第 1のマスク用シート 1の外面に取り付けることとしたが、層内に取り付けても良ぐ着用時にクッション材 6を介して鼻部分に位置すればこれに限られない。

[0059] マスク本体 10の開口部 13における左右両端の角部、すなわち、略山型シートの長手底辺左右角部を外方に折曲して角部先端 15をマスク本体 10に固着し、両折返し部分に形成された挿通空間部 14, 14のそれぞれに固定用紐体 11を挿通するように構成している。

[0060] この場合、この揷通空間部 14, 14に揷通した紐体 11は、図 6に示すように、角部の折返し片が略二等辺三角形状となるため、この三角形状の左右二辺からそれぞれ引出された形態となり、従って、折返し片の左右二辺から導出した紐体は、略二等辺三角形の底辺を間に挟んでそれぞれ左右二辺の傾斜辺に沿って上方斜めと下方斜めの二股に分岐した状態で後方に導出される。このとき、金属箔 5及びクッション材 6を取り付けてなる第 1の積層シート体 7側に導出された紐体部を上紐体 19、第 2の積層シート体 8側に導出された紐体部を下紐体 20とする。

[0061] 固定用紐体 11は、図 8に示すように、装着の際、上方斜めに分岐した上紐体 19を後頭部上部に、下方斜めに分岐した下紐体 20を後頭部下部に掛止すると、マスク本体の開口部を更に上下に開口しやすぐまたマスク本体を安定して顔面に固定する事ができる。 [0062] すなわち、この上下斜め方向に等出した上下紐体 19， 20は、マスク本体 10の両側端から上方斜め及び下方斜めに分岐し、後頭部分において、上下に隔たりをもつて後頭部を掛止することになる。従って、上下の紐体 19， 20が一ヶ所によることに伴いマスク本体 10の顔面安定を損なうという不測の事態を防止する事ができる。

[0063] また、マスク本体 10が上記した形状に構成されているために、固定用紐体 11を前述したように後頭部に掛止して顔面にマスク本体 10を固定した場合、同紐体 11はマスク本体 10の開口部 13の両端を後方 (顔面方向）に引っ張ることになる。従って必然的に開口部 13、すなわち略山型シートの長手底辺両端部に引っ張り応力がかかり同シートは中心方向に向かって変位することになり、積層した略山型シートは、開口部 13における開口幅を更に大きくし、口及び鼻の周辺を余裕を持って被覆する事ができ、かつ顔面の曲面にフィットした状態に密着固定する事が可能となる。

[0064] 上記してきたような構成の多層式マスク Aとすることにより、高機能な多層式マスクとする事ができ、顔表面に密着させて隙間を生じさせずウィルスの侵入を防ぎ事ができる。また、それぞれの機能を有するマスク用シートを、それぞれの効果を最大限に発揮できるような積層順に構成することでより確実にウィルスを遮断 ·捕集する事ができる。

[0065] 更に、上記構成によれば、本実施形態に力かる多層式マスク Aは血液不浸透性にも優れた多層式マスクとする事が出来る。

[0066] 下記に示す表 1は、本実施形態に係る多層式マスク Aの、血液透過性をについて試験した測定結果を示したものである。これは、 0. 076 x mの Naclの微粒子を含む濃度 12〜20mg/m³の水溶液を血液の代替として、毎分 32Lの流量において測定したものであって、表 1に示すように、本多層式マスクは、血液不透性に優れ、 99. 8 2-99. 86%の高い遮断率を有する高機能なマスクとする事ができた。

[0067] [表 1]

[0068] したがって、医療従事者が、外科手術時や患者の口内などの処置時などに患者の患部から血液や体液などが飛散することによる病原菌の吸引防止や AIDS感染の防止のためにも、本多層式マスクを使用する事が可能であって、高い効果を発揮する事ができる。

図面の簡単な説明

[0069] [図 1]本実施形態に力かる多層式マスクの斜視図である。

[図 2]本実施形態に力かる多層式マスクの正面図である。

[図 3]本実施形態に力かる多層式マスクの背面図である。

[図 4]本実施形態に力かる多層式マスクの平面図である。

[図 5]本実施形態に力かる多層式マスクの底面図である。

[図 6]本実施形態に力かる多層式マスクの右視側面図である。

[図 7]本実施形態に力かる多層式マスクの断面及び一部拡大説明図である。

[図 8]本実施形態に力かる多層式マスクの使用形態における説明図である。

符号の説明

[0070] A 多層式マスク

1 第 1のマスク用シート

2 第 2のマスク用シート

3 第 3のマスク用シート

4 第 4のマスク用シート

5 金属箔

6 クッション材

7 第 1の積層シート体

8 第 2の積層シート体

10 マスク本体

11 紐体

12 基部

13 開口部

14 揷通空間部 15 先端部

16 側縁部

18 対称軸線部

19 上紐体

20 下紐体

H 使用者

N 鼻産業上の利用可能性

本発明の多層式マスクは、日常生活や医療現場において使用することができ、ウイルスや病原菌の空気感染や飛沫感染を防止する事ができる。特に本発明の多層式マスクは血液不透性に優れているため、医療従事者が、外科手術時や患者の口内などの処置時に本発明の多層式マスクを着用する場合、患者の患部から血液や体液などが飛散することによる病原菌の吸引や AIDS感染等を効果的に防止する事ができる。

Claims

請求の範囲

[1] 複数のマスク用シートを積層して構成した多層式マスクであって、

少なくとも最外層は PPSB (ポリプロピレン 'スパンボンド）不織布から形成されると共に、

その形状は、先端狭窄状のカップ状のマスク本体に形成すると共に、基部は開口して、口及び鼻を被覆する顔当て部としてなり、し力も顔当て部の両端に、固定用の紐体を懸架してなることを特徴とする多層式マスク。

[2] 前記複数のマスク用シートにおいて、最外層及び最内層のマスク用シートは PPSB

(ポリプロピレン 'スパンボンド）不織布マスク用シートであって、中間層のマスク用シートは MB (メルトブローン)不織布マスク用シートであることを特徴とする請求項 1記載の多層式マスク。

[3] 前記中間層のマスク用シートは、それぞれ目の粗さの異なる複数の前記 MB不織布マスク用シートからなることを特徴とする請求項 2に記載の多層式マスク。

[4] 前記マスク本体は、折り返して形成した上下二枚の略山型シートの左右側縁を縫合又は溶着してカップ状に形成し、折り返した略山型シートのカップ状の基部は開口して顔当て部とし、顔当て部の左右端に固定用紐体を懸架して構成したことを特徴とする請求項 1〜3のいずれ力 4項に記載の多層式マスク。

[5] 前記マスク用シートのいずれかに、使用者の所望の形状に変形可能とした帯状の金属箔を取り付けたことを特徴とする請求項:!〜 4のいずれか一項に記載の多層式マスク。

[6] 前記マスク用シートにおける最内材層の内面に、使用者の鼻に当接する帯状のクッシヨン材を取り付けたことを特徴とする請求項 1〜5のいずれか一項に記載の多層式マスク。