面状ヒータ
技術分野
[0001] 本発明は面状ヒータに関し、より詳細には、カーボンワイヤー発熱体をシリカガラス 板状体中に封入した面状ヒータであって、半導体製造プロセスにおけるウェハ等の 熱処理用に好適に使用される面状ヒータに関する。
背景技術
[0002] 半導体製造プロセスでは、その工程にお 、てシリコンウェハ等に種々の熱処理が 施される。これらの熱処理には厳密な温度管理が求められると共に、熱処理雰囲気 を塵芥等のパーティクルが存在しな 、クリーンな雰囲気に保つことが要求されて 、る このため、熱処理に用いられる加熱用ヒータには、均熱性及び昇 ·降温制御性能に 優れ、かつ、パーティクル等の汚染物質を放出しない等の諸要件を満たすことが求 められている。
このような、半導体製造用ヒータの一つとして、発熱体を非酸化性雰囲気ガスと共 に石英ガラス部材等の支持部材中に封入した構造のヒータが存在して 、る。
[0003] また、本発明者等は、極めて好適な半導体製造用ヒータとして、極細いカーボン単 繊維を束ねたカーボンファイバー束を複数束編み上げて作製したカーボンワイヤー 発熱体を、非酸化性雰囲気ガスと共に石英ガラス部材等の支持部材中に封入した 半導体熱処理装置用ヒータを開発し、既に、特開 2000— 173750号 (特許文献 1)、 特開 2001— 332373号 (特許文献 2)として提案して 、る。
[0004] ここで、特許文献 1に示されたヒータについて図 11, 12に基づいて説明すると、こ のヒータ 50は、加熱面 50aが矩形平板状に形成されており、石英ガラス支持体 51内 にカーボンワイヤー発熱体 CWが封入された構造になって 、る。前記石英ガラス支 持体 51は、前記カーボンワイヤー発熱体 CWの周辺部に実質的に中空の空間が形 成されており、この空間部を除いて、一体化された構造となっている。
[0005] 前記カーボンワイヤー発熱体 CWとしては、複数本のカーボンファイバーを束ねた
ファイバ一束を複数束用いてワイヤー状に編み込んだもの等が用いられる。そして、 図 11に示すように、前記カーボンワイヤー発熱体 CWは石英ガラス支持体 51の面に 、いわゆるジグザグ形状に配置される。
[0006] また、カーボンワイヤー発熱体 CWの端部力 加熱面 50aに対してほぼ垂直に引き 出され、カーボン端子 52を介して Mo端子線 53に接続されている。これらは石英ガラ ス管 54内に配置されている。そして、 Mo端子線 53は Mo箔 55を介して 2本の Mo外 接線 56に接続されている。なお、 Mo箔 55はピンチシールされている。
[0007] また、特許文献 2に示されたヒータについて図 13, 14に基づいて説明すると、プレ ート状ヒータ 60の石英ガラス支持部材 61では、加熱面は円形平板状で、カーボンヮ ィヤー発熱体 CWは該支持部材 61内部の空間部 6 laに、いわゆるジグザグパターン 形状に配線されている。また、この石英ガラス支持部材 61には、この空間部 6 laを除 いて融着一体ィ匕された構造となっている。また、カーボンワイヤー発熱体 CWの両端 部には、それぞれ封止端子 62が接続され、前記空間部 61aには不活性ガスが注入 、封止されている。
[0008] このように、特許文献 1, 2に示された前記カーボンワイヤー発熱体は、金属発熱体 等に比べて熱容量力 、さく昇降温特性に優れ、また、非酸化性雰囲気中では高温 耐久性にも優れている。し力も、細いカーボン単繊維の繊維束を複数本編んで作製 されたものであるため、カーボン材のみ力 なる発熱体に比べ形状柔軟性に富み、 種々の構造、形状に容易にカ卩ェできると 、う利点を有して 、る。
従って、この発熱体を高純度な石英ガラス部材等のタリ ンな耐熱性支持部材内 に非酸ィ匕性ガスと共に封入したヒータは、パーティクル等を発生させることがなぐ前 記したように半導体製造用ヒータとして極めて好適である。
特許文献 1 :特開 2000— 173750号公報
特許文献 2:特開 2001— 332373号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] ところで、前記特許文献 1に示された面状ヒータにあっては、一つのカーボンワイヤ 一発熱体がいわゆるジグザグパターン形状に配線されている。また、前記特許文献 2
に示された面状ヒータにあっては、外周部から中央部に向力 、、中央部から外周部 に向力 カーボンワイヤー発熱体力 左右対称に配線されている。
[0010] このような、従来のカーボンワイヤー発熱体の配置パターンの場合、加熱面におけ る温度分布にむらが生じ、被加熱物の面内を均一に加熱することができないという技 術的課題があった。更に言えば、カーボンワイヤー発熱体を一定の間隔をもって、ジ グザグパターン形状ある 、は螺旋形状の配置パターンで形成すると、ヒータの加熱 面の中央部分が高温化し、その外周側部分の温度が低くなるという技術的課題があ つた o
その結果、ウェハ等の被加熱物の面内温度を均一に熱処理する場合、加熱面上 に直接、載置することができず、加熱面上に均熱板を載置し、その均熱板上に被カロ 熱物を載置しなければならな力つた。
[0011] このような状況下にあって、加熱面の不均一な加熱温度分布を是正し、均熱板を介 することなぐ加熱面に被加熱物を直接載置することができる面状ヒータの出現が望 まれていた。
本願発明者等は、加熱面の不均一な加熱温度分布を是正する一つの方法として、 カーボンワイヤー発熱体の配置パターンに着目し、鋭意研究した。その結果、加熱 面を略均一な加熱温度面になすことができる配置パターンを想到するに至り、本発 明に力かる面状ヒータが完成した。
[0012] 本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、加熱面を略均 一な加熱温度面になすことができる配置パターンを有するカーボンワイヤー発熱体 を備えた面状ヒータを提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段
[0013] 上記目的を達成するためになされた本発明に力かる面状ヒータは、カーボンワイヤ 一発熱体がシリカガラス板状体内部に平面状に配置、封止された面状ヒータであつ て、前記カーボンワイヤー発熱体の面内配置密度が、内側領域とこの外周に位置す る外側領域で異なっており、前記外側領域の面内配置密度が内側領域の面内配置 密度より密となっており、前記カーボンワイヤー発熱体に通電する接続線を有する電 源端子部が、前記シリカガラス板状体の裏面側の中央部に配置され、前記内側領域
のカーボンワイヤー発熱体と接続される接続線は、前記シリカガラス板状体の中央部 において、内側領域のカーボンワイヤー発熱体と接続され、前記外側領域のカーボ ンワイヤー発熱体と接続される接続線は、前記内側領域のカーボンワイヤー発熱体 と交差することなぐ前記シリカガラス板状体の中央部から外側領域に延設され、外 側領域のカーボンワイヤー発熱体と接続されることを特徴としている。
[0014] このように本発明に力かる面状ヒータにあっては、カーボンワイヤー発熱体の面内 配置密度が、内側領域とこの外周に位置する外側領域で異なっており、前記外側領 域の面内配置密度が内側領域の面内配置密度より密となっているため、加熱面の温 度分布を均一になすことができ、被加熱物の面内温度を均一にすることができる。ま た、本発明に力かる面状ヒータにあっては、前記カーボンワイヤー発熱体に通電する 接続線を有する電源端子部が、シリカガラス板状体の裏面側の中央部に配置されて いるため、図 14に示すような 2本の端子部を有するヒータに比べて、コンパクト化が図 られる。更に、前記外側領域のカーボンワイヤー発熱体と接続される接続線力 内側 領域のカーボンワイヤー発熱体と交差することなぐ中央部から外側領域に延設され 、外側領域のカーボンワイヤー発熱体と接続されているため、熱ごもりが抑制され、シ リカガラス板状体の失透による早期劣化を防止すると共に、加熱面の温度をより均一 になすことができる。
[0015] ここで、前記カーボンワイヤー発熱体及び前記接続線が、カーボンファイバーを束 ねたファイバ一束を複数束編み上げてなる編紐形状、ある!ヽは組紐形状のカーボン ワイヤーであることが望ましい。接続線が、前記カーボンワイヤー発熱体と同一構成 のカーボンワイヤーを多数本束ねたものからなる場合には、電気的接続を良好に維 持しつつ、より簡易に低抵抗領域を形成することができる。
[0016] また、前記シリカガラス板状体が円板形状であって、前記内側領域と外側領域の境 界カ 面内の円中心から半径の 79%〜86%の距離に存在することが望ましい。 前記シリカガラス板状体の面上での内側領域と外側領域の境界が、面内の円中心 力も半径の 79%未満の距離では、外側領域が大きくなり、従来技術のような中央部 分の高温化を解消することができず、その結果、加熱面の面内均一性が阻害される 。一方、配置パターンの内側領域と外側領域の境界力 面内の円中心から半径の 8
6%を超える距離にある場合には、外側領域が小さくなり、外側領域の発熱量が不足 し、加熱面の面内均一性が阻害される。
[0017] また、前記シリカガラス板状体が矩形形状であって、前記内側領域と外側領域の境 界カ 面内の矩形中心から一辺の 1Z2長さの 79%〜86%の距離に存在することが 望ましい。前記したように、前記シリカガラス板状体の面上での内側領域と外側領域 の境界が、面内矩形中心から半径の 79%未満の距離では、外側領域が大きくなり、 従来技術のような中央部分の高温ィ匕を解消することができず、その結果、加熱面の 面内均一性が阻害される。一方、配置パターンの内側領域と外側領域の境界が、面 内矩形中心から半径の 86%を超える距離にある場合には、外側領域が小さくなり、 外側領域の発熱量が不足し、加熱面の面内均一性が阻害される。
[0018] 更に、前記シリカガラス板状体が円板形状であって、前記中央部から外側領域に 延設され、外側領域のカーボンワイヤー発熱体と接続される接続線は、円板形状の シリカガラス板状体の直径位置に存在し、前記接続線を境に、内側領域側、外側領 域の各々において、前記カーボンワイヤー発熱体が電気的に並列接続されているこ とが望ましい。
このように接続線を配置することにより、内側領域を二つの領域に、また外側領域を 二つの領域に形成することができ、夫々の領域に均等に配電することができる。
[0019] また、前記シリカガラス板状体が矩形形状であって、中央部から外側領域に延設さ れ、外側領域のカーボンワイヤー発熱体と接続される接続線は、対向する二辺の各 々の中心点を結ぶ線上に存在し、前記接続線を境に、内側領域側、外側領域の各 々において、前記カーボンワイヤー発熱体が電気的に並列接続されていることが望 ましい。
このように接続線を配置することにより、内側領域を二つの領域に、また外側領域を 二つの領域に形成することができ、夫々の領域に均等に配電することができる。
[0020] また、外側領域のカーボンワイヤー発熱体と接続される接続線が配置される領域は 、中心力 外周側に向う直線的かつ連続的なカーボンワイヤー発熱体の不存在領域 であり、前記カーボンワイヤー発熱体の配置パターンにおいて、外側領域のカーボン ワイヤー発熱体と接続される接続線が配置される領域以外に、中心部から外周側に
向う直線的かつ連続的なカーボンワイヤー発熱体の不存在領域が存在しないことが 望ましい。
このように、前記配置パターンには、中心力も外周側に向力つて直線的かつ連続的 な、カーボンワイヤー発熱体の不存在領域が存在しないため、加熱面の面内温度を 均一にすることができ、被加熱物の面内を均一に加熱することができる。
[0021] なお、本発明に力かる面状ヒータにあっては、加熱面の面内温度を均一になすこと ができるため、均熱板を不要とすることができるが、シリカガラス板状体の上面に均熱 板を配置した場合には、被加熱物の面内をより均一に加熱することができる。
[0022] 本発明によれば、加熱面を略均一な加熱温度面になすことができる配置パターン を有するカーボンワイヤー発熱体を備えた面状ヒータを得ることができる。
図面の簡単な説明
[0023] [図 1]図 1は、本発明の一実施形態に力かる面状ヒータを示す平面図である。
[図 2]図 2は、図 1に示した面状ヒータの側面図である。
[図 3]図 3は、図 1の I I断面の左側部を示した断面図である。
[図 4]図 4は、図 1の II II断面図である。
[図 5]図 5は、図 2の ΠΙ-ΠΙ断面図である。
[図 6]図 6は、カーボンワイヤー発熱体を示す図である。
[図 7]図 7は、図 1に示した面状ヒータの分割された領域を示す図である。
[図 8A]図 8Aは、本発明の一実施形態に力かる面状ヒータの内側領域の等価回路図 である。
[図 8B]図 8Bは、本発明の一実施形態に力かる面状ヒータの外側領域の等価回路図 である。
[図 9]図 9は、本発明の一実施形態に力かる面状ヒータの変形例を示す図である。
[図 10]図 10は、本発明の一実施形態に力かる面状ヒータの変形例を示す図である。
[図 11]図 11は、従来の面状ヒータを示す平面図である。
[図 12]図 12は、従来の面状ヒータを示す側面図である。
[図 13]図 13は、従来の面状ヒータを示す平面図である。
[図 14]図 14は、従来の面状ヒータを示す側面図である。
符号の説明
1 面状ヒータ
l a 加熱面
2 シリカガラス板状体
2a 第 1のシリカガラス体
2b 第 2のシリカガラス体
2c 第 3のシリカガラス体
2d 溝
2e l 溝
2e2 溝
3a 接続線
3b 接続線
4a iS fe線
4b 接続線
5a シリカガラス管
5b シリカガラス管
6a シリカガラス管
6b シリカガラス管
7 大径のシリカガラス管
8 電源端子部
CW カーボンワイヤー発熱体
CWA 領域 Aのカーボンワイヤー発熱体
CWB 領域 Bのカーボンワイヤー発熱体
CWC 領域 Cのカーボンワイヤー発熱体
CWD 領域 Dのカーボンワイヤー発熱体
L 界
発明を実施するための最良の形態
以下に、本発明にかかる一実施形態について、図 1乃至図 8Bに基づいて説明する
。なお、図 1は本発明の一実施形態に力かる面状ヒータを示す平面図、図 2は図 1に 示した面状ヒータの側面図、図 3は図 1の I I断面図、図 4は図 1の II II断面図、図 5は図 2の ΠΙ-ΠΙ断面図、図 6はカーボンワイヤー発熱体を示す図、図 7は図 1に示し た面状ヒータの分割された 4つの領域を示す図、図 8A及び図 8Bは本発明の一実施 形態に力かる面状ヒータの等価回路図である。
[0026] 図 1、図 2に示すように、この面状ヒータ 1は、加熱面 laが円形平板状に形成されて おり、シリカガラス板状体 2内にカーボンワイヤー発熱体 CWが封入されている。前記 シリカガラス板状体 2は、第 1のシリカガラス体 2aと、第 2のシリカガラス体 2bと、第 3の シリカガラス体 2cとから構成されて 、る。
なお、本発明において「カーボンワイヤー発熱体が封入されている」とは、カーボン ワイヤー発熱体が外気に触れることがないように、密閉された状態になっていることを 意味する。
[0027] 第 1のシリカガラス体 2aと第 3のシリカガラス体 2cの上面及び下面は平板状に形成 されている。一方、第 2のシリカガラス体 2bの上面には、図 3、図 4に示すように、図 1 に示す配置パターンと同形状の溝 2dが形成され、またこの第 2のシリカガラス体 2bの 下面には、中心部力も直径方向に延びる溝 2el, 2e2が設けられている。
[0028] この面状ヒータは、図 1、図 7に示すように加熱面 laを 4つの領域 A, B, C, Dに分 割されている。即ち、加熱面 laの内側領域を 2分割した領域である領域 A、領域 B、 更に前記加熱面 laの内側領域の外周に位置する外側領域を 2分割した領域である 領域 C、領域 D毎に、カーボンワイヤー発熱体 CWが配置されている。尚、領域 Aに 配置されて 、るカーボンワイヤー発熱体 CWをカーボンワイヤー発熱体 CWA,領域 Bに配置されているカーボンワイヤー発熱体 CWをカーボンワイヤー発熱体 CWB, 以下同様に、領域 Cのカーボンワイヤー発熱体 CWをカーボンワイヤー発熱体 CWC ,領域 Dのカーボンワイヤー発熱体 CWをカーボンワイヤー発熱体 CWDと!、う。
[0029] また、前記加熱面 laの内側領域 (領域 A、領域 B)の溝 2dは、加熱面 la中央部の 位置 a、位置 bに形成された貫通穴に連通している。一方、加熱面 laの外側領域 (領 域 C、領域 D)の溝 2dは、加熱面 laの外周側位置 e、位置 fに形成された貫通穴に連 通している。
[0030] また、前記溝 2elの一端は加熱面 la中央部の位置 dに形成された貫通穴に連通し 、他端は加熱面 laの外周部の位置 fに形成された貫通穴に連通している。同様に、 この溝 2e2の一端は、加熱面 la中央部の位置 cに形成された貫通穴に連通し、他端 は加熱面 laの外周部の位置 eに形成された貫通穴に連通している。
[0031] そして、内側領域 (領域 A、領域 B)及び外側領域 (領域 C、領域 D)の溝 2dの内部 にはカーボンワイヤー発熱体 CWが収容され、また溝 2elには接続線 3bが収容され 、溝 2e2には接続線 3aが収容される。
[0032] 更に、第 1のシリカガラス体 2aの下面中央部には、図 2、図 5に示すように、前記力 一ボンワイヤー発熱体 CWに通電する接続線 3a, 3b、 4a, 4bを有する電源端子部 8 が設けられている。前記接続線 3a, 3bは、外側領域の領域 C, Dに通電するための 接続線であり、前記接続線 4a, 4bは、中央部側領域 A, Bに通電するための接続線 である。
[0033] 図 2、図 4、図 5に示すように、前記接続線 3aはシリカガラス管 5aに収容され、また 接続線 3bはシリカガラス管 5bに収容されている。この接続線 3a, 3bを収容するシリ 力ガラス管 5a, 5bは、第 1のシリカガラス体 2aを揷通し、第 2のシリカガラス体 2bの下 面に当接している。
したがって、接続線 3aは、位置 cにおいてシリカガラス管 5aから溝 2e2内に入り、位 置 eの貫通穴を通って、外側領域の領域 C, Dのカーボンワイヤー発熱体 CWC, C WDに接続される。同様に、接続線 3bは、位置 dにおいてシリカガラス管 5bから溝 2e 1内に入り、位置 fの貫通穴を通って、外側領域の領域 C, Dのカーボンワイヤー発熱 体 CWC, CWDに接続される。
[0034] また、前記接続線 4aはシリカガラス管 6aに収容され、接続線 4bはシリカガラス管 6b に収容されている。このシリカガラス管 6a, 6bは第 1のシリカガラス体 2aを揷通し、第 2のシリカガラス体 2bに形成された貫通穴が開口する内部底面に当接している。した がって、接続線 4aは、位置 aにおいてシリカガラス管 6aから貫通穴を通って、中央部 側領域 A, Bのカーボンワイヤー発熱体 CWA, CWBに接続される。また接続線 4b は、位置 bにおいてシリカガラス管 6bから貫通穴を通って、中央部側領域 A, Bの力 一ボンワイヤー発熱体 CWA, CWBに接続される。
[0035] また、前記接続線 3a, 3b, 4a, 4bを収容したすべてのシリカガラス管 5a, 5b, 6a, 6bの端部は封止され、大径のシリカガラス管 7の内部に収容される。この大径のシリ 力ガラス管 7は、ヒータを固定するためのフランジあるいはシャフトとして用いられる。 このように、接続線 3a, 3b, 4a, 4bを加熱面 laの裏面中央部に集め、電源端子部 8として構成したため、従来のように加熱面 laの外周部に 2本の端子部を有するヒー タに比べて、コンパクトィ匕を図ることができる。
[0036] そして、このような構成を有する面状ヒータを製造するには、前記第 2のシリカガラス 体 2の溝 2dにカーボンワイヤー発熱体 CWを収容し、各接続線 3a, 3b, 4a, 4bと接 続した状態で、第 3のシリカガラス体 2cと第 2のシリカガラス体 2bとを融着し、前記溝 2 dを封止すると共に、第 1のシリカガラス体 2aと第 2のシリカガラス体 2bとを融着し、前 記溝 2el, 2e2を封止する。
続いて、接続線 3a, 3b, 4a, 4bを収容したすべてのシリカガラス管 5a, 5b, 6a, 6b の端部を封止し、大径のシリカガラス管 7の内部に収容する。尚、この封止構造は、 従来力も知られているピンチンダシール構造を用いることによって、封止することがで きる。
[0037] 更に、カーボンワイヤー発熱体 CWの配置パターンについて具体的に説明する。
領域 Aに配置されるカーボンワイヤー発熱体 CWAは、加熱面 laの中央部分の位 置 aにおいて、接続線 4aと接続され、図 1に示す配置パターン形状に配置され、加熱 面 laの中央部分の位置 bにおいて接続線 4bに接続される。
[0038] 一方、領域 Bに配置されるカーボンワイヤー発熱体 CWBは、加熱面 laの中央部分 の位置 aにおいて、接続線 4aと接続され、図 1に示す配置パターン形状に配置され、 加熱面 laの中央部分の位置 bにおいて接続線 4bに接続される。
このように、領域 Aに配置されるカーボンワイヤー発熱体 CWAと領域 Bに配置され るカーボンワイヤー発熱体 CWBとは、接続線 4aと接続線 4bに接続されるため、図 8
Aに示すように、電気的に並列に接続されることになる。
[0039] また、領域 Cに配置されるカーボンワイヤー発熱体 CWCは、加熱面 laの外周側部 分の位置 dにおいて、接続線 3aと接続され、図 1に示す配置パターン形状に配置さ れ、加熱面 laの外周部分の位置 fにおいて接続線 3bに接続される。
[0040] 一方、領域 Dに配置されるカーボンワイヤー発熱体 CWDは、加熱面 laの外周側 部分の位置 dにおいて、接続線 3aと接続され、図 1に示す配置パターン形状に配置 され、加熱面 laの中央部分の位置 f〖こお ヽて接続線 3bに接続される。
このように、領域 Cに配置されるカーボンワイヤー発熱体 CWCと領域 Dに配置され るカーボンワイヤー発熱体 CWDとは、接続線 3aと接続線 3bに接続され、図 8Bに示 すように、並列に接続される。
[0041] このように接続線 3a, 3b, 4a、 4bを配置することにより、内側領域を二つの領域に
、また外側領域を二つの領域に形成することができ、夫々を電気的に並列接続する ことにより、夫々の領域に均等に配電することができる。
[0042] また、前記したように、前記接続線 3bは、加熱面 laの中央部分の位置 dから、第 2 のシリカガラス体 2bの下面に形成された径方向に延びる溝 2e 1を通って、位置 fまで 配設され、カーボンワイヤー発熱体 CWC, CWDと接続されている。
同様に、前記接続線 3aは、加熱面 laの中央部分の位置じから、第 2のシリカガラス 体 2bの下面に形成された径方向に延びる溝 2e2を通って、位置 eまで配設され、力 一ボンワイヤー発熱体 CWC、 CWDと接続されている。
[0043] この接続線 3a、 3bは、領域 A、 Bのカーボンワイヤー発熱体 CWA、 CWBと交差す ることなぐ加熱面 laの中央部力 外側領域に延設されている。
即ち、第 2のシリカガラス体 2bにおいて、溝 2dが形成されていない領域 (領域 Aと領 域 Bの境界領域)の下面に溝 2el, 2e2が形成されている。
[0044] 前記接続線 3a、 3b力 S領域 A、 Bのカーボンワイヤー発熱体 CWA、 CWBと交差す る場合には、熱のこもりが生じ、ガラスが失透化 (結晶ィ匕)し、失透によって破損する 虞がある。また、破損しない場合であっても、加熱面 la上の面内温度が不均一にな る虞がある。
したがって、溝 2dが形成されていない領域 (領域 Aと領域 Bの境界領域)に溝 2el, 2e2が形成されているため、熱のこもりが抑制され、加熱面の面内温度を均一になす ことができると共に、失透化、破損を防止できる。
[0045] また、内側領域の領域 A、領域 Bにおけるカーボンワイヤー発熱体 CWA, CWBの 配置パターンは、図 1に示すように点対称の形状に形成されている。同様に、外側領
域の領域 C、領域 Dにおけるカーボンワイヤー発熱体 CWC、 CWDの配置パターン も、点対称の形状に形成されている。このように、点対称とすることで、カーボンワイヤ 一発熱体 CWA, CWB及びカーボンワイヤー発熱体 CWC、 CWDの抵抗は各々同 等となり、並列に結線しても均熱ムラにならない。
[0046] し力も、内側領域の領域 A、領域 Bにおいて加熱面 laの径方向に、カーボンワイヤ 一発熱体 CWA, CWBが、寸法 tの間隔で略等間隔に配置されている。また外側領 域の領域 C、領域 Dにおいて加熱面 laの径方向に、カーボンワイヤー発熱体 CWC , CWDが、前記したカーボンワイヤー発熱体 CWA, CWBの間隔よりも小さな寸法 s (すなわち、密)の間隔で、略等間隔に配置されている。なお、ここで「略等間隔」とし ては上記寸法 t及び sにおいていずれも各々 ± 30%が好ましい。特に、シリカガラス 板状体の上面に均熱板を配置しない場合には、 ± 10%が好ましぐより好ましくは士 5%である。
[0047] また、前記配置パターンには、外側領域のカーボンワイヤー発熱体 CWC, CWD に接続される接続線 3a、 3bが配置される領域を除いて、カーボンワイヤー発熱体 C WA、 CWBの存在しない領域であって、中心から外周側に向かって直線的且つ連 続的な領域 (例えば、従来の面状ヒータを示す図 13の点線部分 70)は存在しない。 このように、中心力も外周側に向力つて直線的かつ連続的な、カーボンワイヤー発 熱体 CWA, CWBの不存在領域が存在しないため、加熱面 laの面内温度を均一に することができ、被加熱物 laの面内を均一に加熱することができる。
[0048] また、図 7に示すように、配置パターンの内側領域 A, Bと外側領域 C, Dの境界 Lは 、加熱面 laの面内円中心から半径 Rの 79%〜86%の距離に存在している。
この内側領域 A、 Bと外側領域 C、 Dの境界 Lが、面内円中心から半径 Rの 79%未 満では、外側領域 C、 Dが大きくなり、従来技術のような中央部分の高温ィヒを解消す ることができず、加熱面 laの面内均一性が阻害される。一方、内側領域 A、 Bと外側 領域 C、 Dの境界 Lが、面内円中心から半径 Rの 86%を超える場合には、外側領域 C、 Dが小さくなり、外側領域 C, Dの発熱量が不足し、加熱面 laの面内均一性が阻 害される。
[0049] また、前記カーボンワイヤー発熱体 CWは、図 6に示すように、直径 5乃至 15 μ mの
カーボンファイバー、例えば、直径 7 mのカーボンファイバーを約 300乃至 350本 程度束ねたファイバ一束を 9束程度用いて直径約 2mmの編紐、ある ヽは組紐形状 に編み込んだもの等を挙げることができる。
前記の場合において、ワイヤーの編み込みスパンは 2乃至 5mm程度、カーボンフ アイバーによる表面の毛羽立ちは 0. 5乃至 2. 5mm程度である。なお、前記毛羽立 ちとは図 6の符号 CWaに示すように、カーボンファイバーが切断されたものの一部が 、カーボンワイヤーの外周面力も突出したものである。
[0050] また、前記接続線 3a, 3b, 4a, 4bが前記カーボンワイヤー発熱体 CWと同一構成 のカーボンワイヤーを多数本束ねたものが用いられる。
このように、接続線 3a, 3b, 4a, 4b力 前記カーボンワイヤー発熱体 CWと同一構 成のカーボンワイヤーを多数本束ねたものからなる場合には、電気的接続を良好に 維持しつつ、より簡易に低抵抗の領域を形成することができる。
[0051] 尚、上記実施形態にあっては、前記シリカガラス板状体が円板形状である場合につ いて説明したが、図 9に示すようにシリカガラス板状体が矩形形状であっても良い。
[0052] シリカガラス板状体が矩形形状の場合には、配置パターンの内側領域と外側領域 の境界 L (L1、 L2)が、面内の矩形中心から一辺の 1Z2長さ Tl, T2の 79%〜86% の距離に存在することが望ましい。配置パターンの内側領域と外側領域の境界 L (L 1、 L2)が、面内矩形中心から半径の 79%未満の距離では、外側領域が大きくなり、 従来技術のような中央部分の高温ィ匕を解消することができず、その結果、加熱面の 面内均一性が阻害される。一方、配置パターンの内側領域と外側領域の境界 L (L1 、 L2)が、面内矩形中心から半径の 86%を超える距離にある場合には、外側領域が 小さくなり、外側領域の発熱量が不足し、加熱面の面内均一性が阻害される。
[0053] また、前記シリカガラス板状体が矩形形状の場合、図 10に示すように、中央部から 外側領域に延設され、外側領域のカーボンワイヤー発熱体と接続される接続線 3a, 3bは、対向する二辺の各々の中心点 PI, P2を結ぶ線上に存在するのが好ましい。
[0054] また、本発明に力かる面状ヒータにあっては、加熱面の面内温度を均一になすこと ができるため均熱板を用いる必要はないが、本発明に力かる面状ヒータにおいて、シ リカガラス板状体の上面に均熱板を配置した場合には、被加熱物の面内をより均一
に加熱することができる。
産業上の利用可能性
本発明に力かる面状ヒータにあっては、加熱面の面内温度を均一に維持することが できるため、被加工物の面内温度を均一になすことができ、特に半導体製造プロセス におけるウェハ等の熱処理用に好適に使用される。