JP3547040B2 - 円筒状ヒ−タ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒状ヒ−タ及びその製造方法に関し、より詳細には、カーボンワイヤー発熱体を備えた円筒状ヒ−タであって、半導体製造プロセスにおけるウエハ等の熱処理用に好適に使用される円筒状ヒ−タ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造プロセスにおいて、例えば、半導体ウエハの熱処理においては、石英ガラスあるいは炭化珪素からなる管状体の外周に、モリブデンシリサイト(ス−パ−カンタル)からなるヒ−タあるいは加熱用ランプを配置し、管状体内部の半導体ウエハを熱処理する方法が、従来採用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法では、いずれにおいても、石英ガラスあるいは炭化珪素からなる管状体が間接的に加熱されることとなるため、管内の迅速な昇降温が困難であり、また、ヒ−タの発熱に相当の電力を要していた。また、モリブデンシリサイト(ス−パ−カンタル)からなるヒ−タを用いた場合には、当該ヒ−タから銅あるいはアルカリ金属等の不純物が上記管状体内に熱拡散し、半動体ウエハに悪影響を及ぼしたり、また前記ヒ−タは通常酸化性雰囲気におかれるため、その劣化が生じ易いといった技術的課題があった。
【0004】
本発明は上記技術的課題を解決するためになされたものであり、より迅速な昇降温制御を可能とし、消費電力量を低減化し、かつヒ−タ寿命を向上せしめ、また高純度な半導体ウエハの加熱処理を可能とし、更にまた加熱用ヒ−タ及び管状体を一体化することで、簡素化した円筒状ヒ−タを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる円筒状ヒータは、円筒側壁を構成する石英ガラス体の内部にカーボンワイヤー発熱体を封入し、円筒側壁の内周面に加熱面が形成された円筒状ヒータであって、前記カーボンワイヤー発熱体は、カーボンファイバーを束ねたファイバー束を複数束編み上げてなる編紐形状あるいは組紐形状のカーボンワイヤー発熱体であり、その表面にカーボンファイバーによる毛羽立ちが形成されていることを特徴としている。
また、本発明にかかる円筒状ヒータは、側壁の外周面に形成された溝内に発熱体を配設する円筒形状の第1の石英ガラス体と、前記第1の石英ガラス体の側壁外周面に密着可能に形成された側壁内周面を備える円筒形状の第2の石英ガラス体と、前記第1の石英ガラス体の溝内に配設されるカーボンワイヤー発熱体とを備え、全体として円筒形状の石英ガラス体の内部にカーボンワイヤー発熱体を配置した円筒状ヒータであって、前記カーボンワイヤー発熱体が、直径5乃至15μmのカーボンファイバーを束ねたファイバー束を複数束編み上げてなる編紐形状、あるいは組紐形状のカーボンワイヤー発熱体であることを特徴としている。
更に、本発明にかかる円筒状ヒータは、側壁の外周面に形成された溝内に発熱体を配設する円筒形状の第1の石英ガラス体と、前記第1の石英ガラス体の側壁外周面に密着可能に形成された側壁内周面を備える円筒形状の第2の石英ガラス体と、前記第1の石英ガラス体の溝内に配設されるカーボンワイヤー発熱体とを備えた円筒状ヒータであって、前記カーボンワイヤー発熱体が、直径5乃至15μmのカーボンファイバーを束ねたファイバー束を複数束編み上げてなる編紐形状、あるいは組紐形状のカーボンワイヤー発熱体であることを特徴としている。
このように、全体として円筒形状の石英ガラス体の内部にカーボンワイヤー発熱体を配置した構造であるため、迅速な昇降温制御が可能となり、かつ発熱体の寿命を長くすることができる。またこれを半導体ウエハの加熱処理に用いた場合には、高純度な半導体ウエハの加熱処理が可能となり、また構造的簡素化も図ることができる。
なお、本発明の円筒状ヒータは、両端が開口したもののみならず、一体に形成されたドーム状石英ガラス蓋体で一端が封じられたものにも適用することができる。
【0006】
ここで、前記カーボンワイヤー発熱体が、直径5乃至15μmのカーボンファイバーを束ねたファイバー束を複数束編み上げてなる編紐形状、あるいは組紐形状のカーボンワイヤー発熱体であることが望ましい。
このようなカーボンワイヤー発熱体である場合には、従来のような、むくのカーボン材からなる発熱体と比べ、フレキシビリティに富み、種々の構造、形状に容易に加工することができ、また溝内に容易に配置することができる。
【0007】
また、前記カーボンワイヤー発熱体が、直径5乃至15μmのカーボンファイバーを束ねたファイバー束を複数束編み上げてなる編紐形状、あるいは組紐形状の構成とすることによって、カーボンワイヤー(発熱体)の表面で毛羽立った多数の直径5乃至15μmのカーボンファイバーによって第1、2の石英ガラス体と接触する構造となるため、発熱体に通電を行い、高温に発熱させた状態にしたとして、カ−ボンと石英ガラスの反応が進行し、結果、カ−ボン質の発熱体が劣化するのを防止することができる。(発熱体の表面に毛羽立ったカ−ボンファイバーは、石英ガラス体と接触するため、接触した部分から珪化が進むが、この径が極めて微細であり、体積が小さいことから、この珪化反応が発熱体全体に進行するのを抑制するものと推測される。)つまり、このことは発熱ムラが生ずることを防止し、また耐用寿命の長期化が図れることを意味する。
【0008】
また、前記カーボンファイバーの含有不純物量が灰分重量として10ppm以下であることが望ましい。これによれば、前記カ−ボンワイヤ−発熱体の局部的異常発熱を防止することができ、かつ半導体ウエハの熱処理用として用いた場合には、ウエハの金属汚染を極力防止することができる。この場合、不純物量が灰分重量として3ppm以下であることがより好ましい。
【0009】
更に、前記第1の石英ガラス体の1430℃における粘度が3.0×1010ポイズ以上、かつ、前記第2の石英ガラス体の粘性が、前記第1の石英ガラス体の粘性の0.05乃至0.85倍であることが望ましく、特に、前記第2の石英ガラス体の粘性が、前記第1の石英ガラス体の粘性の0.35乃至0.55倍であることが望ましい。
このように、第1の石英ガラス体の高粘性石英ガラスに、第2の石英ガラス体の特定低粘性石英ガラスを組み合わせることにより、両者の融着時に過度の変形が生ずることなく、しかも接合面に未融着部分が生ずることなく所定形状に一体化することができる。また、未融着部分の存在が極力抑制されるため、急激な温度変化による割れが防止される。
【0010】
更にまた、前記第1の石英ガラス体が、溝の厚さ(深さ)を含まない厚さが1乃至15mmの石英ガラス体であって、側壁外周面から厚さ(深さ)1mm乃至5mmの溝が形成された石英ガラス体であることが望ましく、前記溝は断面形状が凸字形状を有していることが望ましい。
前記第1の石英ガラス体の前記溝の厚さを含まない厚さが15mmを越えると熱容量が大きくなるため伝熱応答が遅くなり、また第1の石英ガラス体の前記溝の厚さを含まない厚さが1mmより小さいと機械的強度が不足するためである。なお、前記第1の石英ガラス体の全体としての厚さは、2〜20mmであることが好ましい。前記第1の石英ガラス体の厚さが20mmを越えると熱容量が大きくなるため伝熱応答が遅くなり、また第1の石英ガラス体の厚さが2mmより小さいと機械的強度が不足するためである。
【0011】
また、前記第2の石英ガラス体が、厚さ1乃至5mmの薄肉体からなることが望ましい。
前記肉厚が、1mm未満では、前記第1の石英ガラス体と融着した際、この溝部に第2の石英ガラス体が垂れ、中のカ−ボンワイヤ−発熱体と面接触することとなり、結果石英ガラスとの反応で当該発熱体が劣化し、発熱ムラや耐用寿命の低下につながってしまう。
【0012】
また肉厚が、5mmを越えると、円筒状ヒ−タ全体として熱容量が大きくなるため、伝熱応答性が遅くなり、また製造時において第2の石英ガラス体の外側から加熱する際に、充分な融着が行われず、その結果、その後石英ガラス体にクラックが発生し易い。
【0013】
本発明にかかる円筒状ヒ−タの製造方法は、円筒形状を有する第1の石英ガラス体の側壁の外周面に形成された溝内にカーボンワイヤー発熱体を配設する工程と、円筒形状を有する第2の石英ガラス体の内部に前記第1の石英ガラス体を収容する工程と、前記第1の石英ガラス体と第2の石英ガラス体との間の空隙を減圧すると共に、第2の石英ガラス体の側壁の外周面から酸水素火炎で第2の石英ガラス体を第1の石英ガラス体に融着する工程とからなること特徴としている。
【0014】
ここで、第2の石英ガラス体の側壁の外周面から、酸水素火炎で第2の石英ガラス体を第1の石英ガラス体に融着する際、第1の石英ガラス体及び第2の石英ガラス体は、酸水素火炎に対して、15rpm乃至50rpmで回転することが望ましく、また前記第1の石英ガラス体と第2の石英ガラス体との間の空隙を100torr以下に減圧し、第2の石英ガラス体が酸水素火炎で1300乃至1800℃に加熱する。
【0015】
このような製造方法によれば、第1の石英ガラス体及び第2の石英ガラス体を容易に融着することができ、しかも前記カーボンワイヤー発熱体を完全確実に封入することができ、第1の石英ガラス体及び第2の石英ガラス体を一体化した円筒状ヒ−タを得ることができる。
このようにして構成された円筒状ヒ−タは、第1の石英ガラス体及び第2の石英ガラス体を融着、一体化しているため、円筒状ヒ−タは十分な機械的強度を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図1乃至図5に基づいて説明する。なお、図1は一実施形態にかかる円筒状ヒ−タの概略斜視図、図2は、一実施形態にかかる円筒状ヒ−タの縦断面の一部を示した図、図3は一実施形態にかかる円筒状ヒ−タの横断面の一部を示した図、図4は、円筒状ヒ−タに用いられるカーボンワイヤー発熱体を示す図、図5は製造方法を説明するための該略図である。
円筒状ヒ−タ1は、その円筒側壁の内周面に加熱面1aが形成されており、円筒側壁を構成する石英ガラス体2の内部にカーボンワイヤー発熱体3が封入された構造になっている。前記石英ガラス体2は、図2、3に示されているように、第1の石英ガラス体2aと第2の石英ガラス体2bとが融着、一体化した構造となっている。すなわち、前記カーボンワイヤー発熱体3が収容される断面凸字形状の溝部(空間部)4を除いて、一体化された構造となっている。
前記断面凸字形状の溝部は、第1の石英ガラス体2aの一表面側において、複数回のドリル加工により同形状の形成することができ、このような形状にすることによって、製造時において溝部にカーボンワイヤー発熱体3を配置する際に、この発熱体3が上方に浮き上がることを防止し、第2の石英ガラス体2bと第1の石英ガラス体2aの融着をより容易にすることができる。
【0017】
前記カーボンワイヤー発熱体3としては、図4に示すように複数本のカーボンファイバーを束ねたファイバー束を複数束用いてワイヤー状に編み込んだもの等が用いられる。なお、カーボンワイヤー発熱体3の表面には、カーボンファイバーによる毛羽立ち3aが形成されている。前記毛羽立ち3aとはカーボンファイバーが切断されたものの一部が、カーボンワイヤーの外周面から突出したものである。また、前記カーボンワイヤー発熱体3は、図1に示すように円筒状ヒ−タ1の側壁に、いわゆるジグザグ形状に配置されている。
【0018】
前記カーボンワイヤー発熱体3の具体例としては、直径5乃至15μmのカーボンファイバー、例えば、直径7μmのカーボンファイバーを約300乃至350本程度束ねたファイバー束を9束程度用いて直径約2mmの編紐、あるいは組紐形状に編み込んだもの等が用いられる。
前記の場合において、ワイヤーの編み込みスパンは2乃至5mm程度、カーボンファイバーによる表面の毛羽立ち3aは0.5乃至2.5mm程度である。
【0019】
本発明の円筒状ヒ−タ1においては、図3に示すように、このようなカーボンワイヤー発熱体3を複数本用いても良く、複数本用いた場合は、発熱特性に関わる品質をより安定させることができる。
発熱性状の均質性、耐久安定性等の観点及びダスト発生回避上の観点から、前記カーボンファイバーは、高純度であることが好ましく、特に、カーボンファイバー中に含まれる不純物量が灰分重量として10ppm以下であることが好ましい。
【0020】
前記石英ガラス体2は、例えば、融着処理前の組立状態を示す断面図である図3に示すように、カーボンワイヤー発熱体3が内部に収容される溝4を上面に形成した第1の石英ガラス体2aと、前記溝4を上から封止するための蓋部を構成する第2の石英ガラス体2bとから形成される。
すなわち、石英ガラス体2は、第1の石英ガラス体2aと蓋部を構成する第2の石英ガラス体2bとを、カーボンワイヤー発熱体3を前記溝4内に配設し、前記溝4内を非酸化雰囲気とした後、両部材の接合面で融着して作製したものである。
【0021】
本発明においては、前記第1の石英ガラス体2aを構成する石英ガラス材として、その溶融軟化温度、即ち、1430℃における粘性が3.0×1010ポイズ以上、より好ましくは3.1×1010乃至3.4×1010ポイズ、の高粘性石英ガラスを選択して使用する。
前記第1の石英ガラス体2aを構成する石英ガラスには、円筒状ヒ−タとして、高温での安定した形状保持性、即ち所定温度での耐熱変形性を備えることが必要とされるからである。
また、第2の石英ガラス体2bを構成する石英ガラス材として、その粘性が、前記第2の石英ガラス体2bの粘性の0.05乃至0.85倍、特に好ましくは、0.35乃至0.55倍、の範囲にある低粘性石英ガラスを使用する。
【0022】
このように、第1の石英ガラス体2aの高粘性石英ガラスに、第2の石英ガラス体2bの特定低粘性石英ガラスを組み合わせることにより、両者の融着時に過度の変形が生ずることなく、しかも接合面に未融着部分が生ずることなく所定形状に一体化することができる。
また、未融着部分の存在が極力抑制されるため、急激な温度変化による割れを防止することができる。
【0023】
ここで、第2の石英ガラス体2bに用いる石英ガラスの粘性が、第1の石英ガラス体2aに用いる石英ガラスの粘性の0.05倍より小さい場合は、融着時の粘性が低すぎるため、第2の石英ガラス体2bが撓んで、第2の石英ガラス体2bが溝4の上面から内部に垂れ下がってしまい、溝4内に収容配置されているカーボンワイヤー発熱体3と接触する。
そして、この接触部において、石英ガラス(SiO2 )とカーボンワイヤー発熱体3の炭素(C)とが高温で反応して発熱体自体や溝4の石英ガラスの劣化を招き、この結果、カーボンワイヤー発熱体3の発熱ムラを生じさせたり、その耐久性を低下させる。
したがって、第2の石英ガラス体2bに用いる石英ガラスの粘性が、第1の石英ガラス体2aに用いる石英ガラスの粘性の0.05倍以上が好ましく、特に、第1の石英ガラス体2aに用いる石英ガラスの粘性の0.35倍以上が好ましい。
【0024】
なお、前記カーボンワイヤー発熱体3は、溝4の内部において第1の石英ガラス体2aとも接触している。しかし、カーボンワイヤー発熱体3のカーボンワイヤー外周面には毛羽立ち3aが存在する。この毛羽立ち3aはカーボンワイヤーが切断されたものが外周面から突出したものであり、溝4の内部において、毛羽立ち3aのみが第2の石英ガラス体2bと接触し、カーボンワイヤー発熱体3の本体は接触していない。
そのため、前記したような石英ガラス(SiO2 )とカーボンワイヤー発熱体3の炭素(C)との高温での反応が極力抑えられ、石英ガラスの劣化、カーボンワイヤーの耐久性の低下は抑制されている。
【0025】
これに対し、第2の石英ガラス体2bの粘性が低すぎると、前記したように第2の石英ガラス体2bが発熱体を収容する溝4の上面から内部に垂れ下がってしまい、溝4内に収容配置されているカーボンワイヤー発熱体3の本体と接触しするため、カーボンワイヤー発熱体3の寿命を短くする。
【0026】
一方、第2の石英ガラス体2bに用いる石英ガラスの粘性が、第1の石英ガラス体2aに用いる石英ガラスの粘性の0.85倍より大きい場合は、既に述べたように両部材に同質の石英ガラスを用いるのと同じ状態となり、石英ガラス体2の形状を所定に維持して接合部を完全に融着することが困難となる。
したがって、第2の石英ガラス体2bに用いる石英ガラスの粘性が、第1の石英ガラス体2aに用いる石英ガラスの粘性の0.85倍以下が好ましく、特に第1の石英ガラス体2aに用いる石英ガラスの粘性の0.55倍以下が好ましい。
【0027】
上記石英ガラス体2を構成する第1の石英ガラス体2a及び第2の石英ガラス体2b、特に、第2の石英ガラス体2bは、肉厚t2 が1乃至5mmの範囲にある薄肉体であることが好ましい。
前記肉厚t2 が、1mm未満では、前記第1の石英ガラス体と融着した際、この溝部に第2の石英ガラス体が垂れ、溝部内のカ−ボンワイヤ−発熱体と面接触することとなり、結果石英ガラスとの反応で当該発熱体が劣化し、発熱ムラや耐用寿命の低下につながってしまう。
一方、肉厚t2 が、5mmを越えると、円筒状ヒ−タ全体として熱容量が大きくなるため、伝熱応答性が遅くなり、また製造時において第2の石英ガラス体の外側から加熱する際に、充分な融着が行われず、その結果、石英ガラス体にクラックが発生し易い。
【0028】
この第1の石英ガラス体2aの厚さt1 (溝の厚さを含まない厚さ)が1mm乃至15mmであるのが好ましい。第1の石英ガラス体2aの厚さt1 が15mmを越えると熱容量が大きくなるため伝熱応答が遅くなり、また第1の石英ガラス体2aの厚さt1 が1mmより小さいと機械的強度が不足するためである。
なお、このとき第1の石英ガラス体2aに形成される溝4の深さdは1mm乃至5mmである。
【0029】
次に、図5を参照して、本発明にかかる円筒状ヒ−タ1の製造方法、特に、石英ガラス体2a、2bの融着処理について説明する。
図5に示すように、まず、第1の石英ガラス体2aの溝4にカーボンワイヤー発熱体3を配設する。その後、ガラス製の載置台5の上に載せ、第1の石英ガラス体2aの下端部と前記載置台5とを溶接する。そして第1の石英ガラス体2aを収納するように、第2の石英ガラス体2bを載置台5の上に載せ、前記第1の石英ガラス体2aと同様、第2の石英ガラス体2bの下端部と前記載置台5とを溶接する。
【0030】
その後、載置台5に設けられた排気管7から、第1の石英ガラス体2aと第2の石英ガラス体2bの間の空隙を、100torr以下に減圧する。
減圧後、酸水素火炎6によって、前記第2の石英ガラス体2b先端部から下方に向かって、徐々に加熱する。
このとき、第2の石英ガラス体2bは酸水素火炎6で1300乃至1800℃に加熱されるると共に、第1、2の石英ガラス体2a、2bは酸水素火炎に対して、15rpm乃至50rpmで回転し、第1、2の石英ガラス体2a、2bの全体が完全に融着されるようにする。
【0031】
冷却に際しては、石英ガラスの歪み点である1150℃付近での冷却を穏やかに行う。1150℃付近での冷却速度は、例えば50乃至150℃/時間程度の設定する。
このような熱処理によって、第1石英ガラス体2a、第2の石英ガラス体2b周面全体を融着して実質的に一体化される。即ち、上記カーボンワイヤー発熱体3の周辺部に実質的に中空の空間(溝)4が形成されており、この空間部4を除いて実質的に一体化された円筒状ヒ−タ1が製造される。
【0032】
次に、上記した実施形態の変形例について、図6、図7に基づいて説明する。図6に示した変形例は、溝4が、第1の石英ガラス体2aの上下部に周方向に形成された溝部4aと、第1の石英ガラス体2aの軸線方向に延設されると共に、前記溝4aと連結される溝部4bとによって構成されている点に特徴がある。図1に示すように、カーボンワイヤー発熱体3の形成位置に対応する位置に溝4をジグザグ状に形成することは作業工程上、時間がかかる。そのため、前記構成とすることによって、形成するための時間を短縮化することができる。すなわち、上下部に形成される溝部4aを切削加工した後、溝部4bを形成するため、短時間で溝4を形成することができる。
【0033】
図7に示した変形例は、カーボンワイヤー発熱体3の配置パターンをを螺旋状に形成した点に特徴がある。
すなわち、図1に示したカーボンワイヤー発熱体3のジグザク状配置パターンを螺旋状に変更したものである。特に、カーボンワイヤー発熱体3の配置パターンを下側を密に、そして上に行くにしたがって、徐々に疎になるようにカーボンワイヤー発熱体3を螺旋状に配置することにより、上下方向の温度管理をより厳密になすことができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、より迅速な昇降温制御を可能とし、消費電力量を低減化し、かつヒ−タ寿命を向上せしめた円筒状ヒ−タを得ることができる。また高純度な半導体ウエハの加熱処理を可能とし、更にまた加熱用ヒ−タ及び管状体を一体化することで、簡素化した円筒状ヒ−タを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の円筒状ヒ−タの一実施形態を示す平面図である。
【図2】図2は、図1の円筒状ヒ−タの縦断面の一部を示す図である。
【図3】図3は、図1の円筒状ヒ−タの横断面の一部を示す図である。
【図4】図4は、図1の円筒状ヒ−タに用いられるカーボンワイヤー発熱体である。
【図5】図5は、図1の円筒状ヒ−タの製造方法を説明するための概略図である。
【図6】図6は、本発明の円筒状ヒ−タの変形例を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の円筒状ヒ−タの変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 円筒状ヒ−タ
1a 加熱面
2 石英ガラス体
2a 第1の石英ガラス体
2b 第2の石英ガラス体
3 カーボンワイヤー発熱体
3a 毛羽立ち
4 溝(空間)
4a 溝部
4b 溝部
5 載置台
t1 第1の石英ガラス体の厚さ
t2 第2の石英ガラス体の厚さ
d 溝の深さ
Claims (12)
- v円筒側壁を構成する石英ガラス体の内部にカーボンワイヤー発熱体を封入し、円筒側壁の内周面に加熱面が形成された円筒状ヒータであって、
前記カーボンワイヤー発熱体は、カーボンファイバーを束ねたファイバー束を複数束編み上げてなる編紐形状あるいは組紐形状のカーボンワイヤー発熱体であり、その表面にカーボンファイバーによる毛羽立ちが形成されていることを特徴とする円筒状ヒータ。 - 側壁の外周面に形成された溝内に発熱体を配設する円筒形状の第1の石英ガラス体と、前記第1の石英ガラス体の側壁外周面に密着可能に形成された側壁内周面を備える円筒形状の第2の石英ガラス体と、前記第1の石英ガラス体の溝内に配設されるカーボンワイヤー発熱体とを備え、全体として円筒形状の石英ガラス体の内部にカーボンワイヤー発熱体を配置した円筒状ヒータであって、
前記カーボンワイヤー発熱体が、直径5乃至15μmのカーボンファイバーを束ねたファイバー束を複数束編み上げてなる編紐形状、あるいは組紐形状のカーボンワイヤー発熱体であることを特徴とする円筒状ヒータ。 - 側壁の外周面に形成された溝内に発熱体を配設する円筒形状の第1の石英ガラス体と、前記第1の石英ガラス体の側壁外周面に密着可能に形成された側壁内周面を備える円筒形状の第2の石英ガラス体と、前記第1の石英ガラス体の溝内に配設されるカーボンワイヤー発熱体とを備えた円筒状ヒータであって、
前記カーボンワイヤー発熱体が、直径5乃至15μmのカーボンファイバーを束ねたファイバー束を複数束編み上げてなる編紐形状、あるいは組紐形状のカーボンワイヤー発熱体であることを特徴とする円筒状ヒータ。 - 前記カーボンファイバーの含有不純物量が灰分重量として10ppm以下であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載された円筒状ヒータ。
- 前記第1の石英ガラス体の1430℃における粘度が3.0×1010ポイズ以上、かつ、前記第2の石英ガラス体の粘性が、前記第1の石英ガラス体の粘性の0.05乃至0.85倍であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載された円筒状ヒータ。
- 前記第2の石英ガラス体の粘性が、前記第1の石英ガラス体の粘性の0.35乃至0.55倍であることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項5のいずれかに記載された円筒状ヒータ。
- 前記第1の石英ガラス体が、溝の厚さ(深さ)を含まない厚さが、1乃至15mmの石英ガラス体であって、側壁外周面から厚さ(深さ)1乃至5mmの溝が形成された石英ガラス体であることを特徴とする請求項5に記載された円筒状ヒータ。
- 前記溝は断面形状が凸字形状を有していることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項7のいずれかに記載された円筒状ヒータ。
- 前記第2の石英ガラス体が、厚さ1乃至5mmの薄肉体からなることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項6のいずれかに記載された円筒状ヒータ。
- 円筒形状を有する第1の石英ガラス体の側壁の外周面に形成された溝内にカーボンワイヤー発熱体を配設する工程と、円筒形状を有する第2の石英ガラス体の内部に前記第1の石英ガラス体を収容する工程と、前記第1の石英ガラス体と第2の石英ガラス体との間の空隙を減圧すると共に、第2の石英ガラス体の側壁の外周面から酸水素火炎で第2の石英ガラス体を第1の石英ガラス体に融着する工程とからなることを特徴とする円筒状ヒータの製造方法。
- 第2の石英ガラス体の側壁の外周面から酸水素火炎で第2の石英ガラス体を第1の石英ガラス体に融着する際、第1の石英ガラス体及び第2の石英ガラス体は、酸水素火炎に対して、15rpm乃至50rpmで回転することを特徴とする請求項10に記載された円筒状ヒータの製造方法。
- 前記第1の石英ガラス体と第2の石英ガラス体との間の空隙は100torr以下に減圧し、第2の石英ガラス体が酸水素火炎で1300乃至1800℃に加熱することを特徴とする請求項10または請求項11に記載された円筒状ヒータの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35693698A JP3547040B2 (ja) | 1998-12-01 | 1998-12-01 | 円筒状ヒ−タ及びその製造方法 |
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