WO2007080917A1

WO2007080917A1 - 回転センサ付き転がり軸受

Info

Publication number: WO2007080917A1
Application number: PCT/JP2007/050229
Authority: WO
Inventors: Hiroyoshi Ito; Seiichi Takada
Original assignee: Ntn Corporation
Priority date: 2006-01-12
Filing date: 2007-01-11
Publication date: 2007-07-19
Also published as: US7982455B2; US20090256551A1; DE112007000136T5

Abstract

　磁気エンコーダを外径寸法が大きいものであっても安価に製造可能とすることと、センサ素子を組み込んだセンサケースをコンパクトで容易に着脱可能とすることと、予圧付与手段を設けた回転センサ付きの複列転がり軸受を、部品点数を少なくして組立てに手間がかからないようにすることである。　磁気エンコーダ１１の磁性体１２をゴムによって磁性材料を結合したものとし、この磁性体１２を芯金を兼ねる環状の押さえ部材８に接着剤１３で接着することにより、加硫接着用の金型や設備を不要として、磁気エンコーダ１１を外径寸法が大きいであっても安価に製造可能とした。

Description

明細書

回転センサ付き転がり軸受

技術分野

[0001] 本発明は、回転センサ付き転がり軸受に関する。

背景技術

[0002] 各種回転機器の回転軸等を支持する転がり軸受には、その回転速度（回転数)を検出するために回転センサ付き転がり軸受が使用されることがある。この回転センサ付き転がり軸受は、内外輪の軌道輪のうちの回転側軌道輪に、円周方向で交互に異なる磁極に着磁された環状の磁性体を芯金に固着した磁気エンコーダを装着し、この磁気エンコーダの回転に伴う磁極の変化を検出するセンサ素子を固定側軌道輪に装着して、回転側軌道輪の回転を検出するものである。

[0003] 前記磁気エンコーダの磁性体は、フェライト等の磁性材料を熱可塑性榭脂ゃゴムを結合剤として用いたものが一般的であり、磁性材料と結合剤を混合した原料を射出成形等の成形用金型によって所定の寸法形状に成形して、る。成形された磁性体は、熱可塑性榭脂を結合剤としたものは圧入や接着によって芯金に固着され、ゴムを結合剤としたものは加硫接着によって芯金に固着されている（例えば、特許文献 1 参照)。なお、成形された磁性体は、芯金に固着される前、または芯金に固着された後に、着磁装置を用いて、所望の磁極数に着磁される。

[0004] 通常、前記センサ素子はセンサケースに組み込まれ、固定側軌道輪端部の内径面または外径面に圧入される環状の芯金に取り付けて、固定側軌道輪に装着されている（例えば、特許文献 2参照)。特許文献 2に記載されたものでは、センサケースを芯金に接着するとともに、芯金に形成した凸部とセンサケースに設けた凹部を係合させて、センサケースを芯金に固定し、芯金を固定側軌道輪としての外輪の端部の内径面に圧入している。センサケースにはセンサ素子の基板も組み込まれ、基板にはセンサ素子の出力信号を処理する電気回路が実装されることが多い。

[0005] また、医療機器やロボット等の回転部を支持する複列転がり軸受には、回転部のがたつきや振動を抑えるために、外輪に設けられた複列の軌道面と対向するように、 1 列ずつの軌道面が設けられた 2分割の内輪間に軸方向隙間を設け、 2分割された一方の内輪の側方に環状の押さえ部材を配設して、この押さえ部材で軸方向隙間を縮小させることにより、予圧を付与するようにしたものがある (例えば、特許文献 3参照)。このように医療機器やロボット等の回転部を支持する複列転がり軸受では、回転部の回転を検出するために、回転センサを取り付けることが望まれて、る。

[0006] 特許文献 1：特開 2002— 349556号公報

特許文献 2：特開 2002— 295465号公報

特許文献 3：特開 2000— 329143号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0007] 特許文献 1に記載されたように、磁性材料の結合剤に熱可塑性榭脂ゃゴムを用いた磁性体は、軸受寸法が大きくなつて磁気エンコーダの外径寸法も大きくなると、成形用金型のサイズが大きくなるとともに、射出成形用等の設備も大型化し、製造コストが高くなる問題がある。また、ゴムを結合剤として用い、加硫接着によって芯金に固着される磁性体は、芯金に磁性体を接触させた状態で保持するための金型も必要であり、この加硫接着用の金型や設備も大型化する。

[0008] また、特許文献 2に記載されたように、センサ素子を組み込んだセンサケースは、センサ素子の出力信号を処理する電気回路を実装した基板も組み込まれることが多いので、磁気エンコーダよりも振動等によって故障する可能性が高い。このため、センサケースを取り付けた環状の芯金を固定側軌道輪端部の内径面または外径面に圧入した従来の回転センサ付き転がり軸受は、このような故障が発生したときに、センサケースを容易に取り外すことができず、分解修理や部品の交換を行うのが難しい問題がある。環状の芯金のために余分なスペースを必要とし、コンパクトな設計が阻害される問題もある。

[0009] さらに、特許文献 3に記載されたような予圧付与手段を設けた複列転がり軸受に、特許文献 1に記載されたような回転センサを取り付けると、もとより部品点数が多い複列転がり軸受に、回転センサの磁気エンコーダやセンサ素子を装着することになり、さらに、部品点数が多くなつて組立てに手間が力かる問題がある。 [0010] そこで、本発明の課題は、磁気エンコーダを外径寸法が大きいものであっても安価に製造可能とすることと、センサ素子を組み込んだセンサケースをコンパクトで容易に着脱可能とすることと、予圧付与手段を設けた回転センサ付きの複列転がり軸受を、部品点数を少なくして組立てに手間が力からな、ようにすることである。

課題を解決するための手段

[0011] 上記の課題を解決するために、本発明は、内外輪の軌道輪のうちの回転側軌道輪に、円周方向で交互に異なる磁極に着磁された環状の磁性体を芯金に固着した磁気エンコーダを装着し、この磁気エンコーダの回転に伴う磁極の変化を検出するセンサ素子を固定側軌道輪に装着して、前記回転側軌道輪の回転を検出する回転センサ付き転がり軸受におヽて、前記磁性体をゴムによって磁性材料を結合したものとし、この磁性体を前記芯金に接着剤で固着した構成を採用した。

[0012] すなわち、磁気エンコーダの磁性体をゴムによって磁性材料を結合したものとし、この磁性体を前記芯金に接着剤で固着することにより、加硫接着用の金型や設備を不要として、磁気エンコーダを外径寸法が大きいものであっても安価に製造可能とした。なお、前記ゴムは、天然ゴムや合成ゴム等、磁性材料を結合できて弾性を有する高分子化合物であればよい。

[0013] 前記磁性体が金型を用いて加硫成形されたものであり、この金型で加硫成形される形状を、前記芯金に環状に固着されたときに囲む領域の面積よりも、その囲む領域の面積が狭くなるように部分的に屈曲した形状とすることにより、加硫成形用の金型のサイズを小さくして、製造コストをより低減することができる。

[0014] 前記磁性体が前記芯金の外周面に固着されるものである場合は、前記芯金に固着される前の前記磁性体の内周長を、この磁性体が固着される前記芯金の外周長よりも短くすること〖こより、磁性体中のゴムの弾性力によって、磁性体をより強固に芯金の外周面に固着することができる。

[0015] 前記芯金の前記磁性体が固着される表面に凹部を形成することにより、この凹部を接着剤溜まりとして、磁性体をより強固に芯金に接着することができる。

[0016] また、本発明は、内外輪の軌道輪のうちの回転側軌道輪に、円周方向で交互に異なる磁極に着磁された環状の磁性体を芯金に固着した磁気エンコーダを装着し、この磁気エンコーダの回転に伴う磁極の変化を検出するセンサ素子を固定側軌道輪に装着して、前記回転側軌道輪の回転を検出する回転センサ付き転がり軸受において、前記磁性体を熱硬化性榭脂によって磁性材料を結合したものとした構成も採用した。

[0017] すなわち、磁気エンコーダの磁性体を熱硬化性榭脂によって磁性材料を結合したものとすることにより、射出成形用等の大がかりな設備や、加硫接着用の金型や設備を不要として、磁気エンコーダを外径寸法が大き、ものであっても安価に製造可能とした。

[0018] 前記磁気エンコーダは、前記芯金の表面と間隙を隔てて成形用治具を設置し、この芯金の表面と成形用治具の間の間隙に、前記磁性体となるべき磁性材料と熱硬化性榭脂を含む原料を配置し、この間隙に配置された原料を加熱することにより、前記熱硬化性榭脂を硬化させて前記磁性体を成形するとともに、この磁性体を前記芯金の表面に固着させたものとすることができ、熱硬化性榭脂を硬化させる程度の低い温度で加熱すればよ!ヽので、榭脂等からなる成形用治具を用いて成形することができ、加硫接着する際に必要な金属製の金型や加圧設備を不要とすることができる。

[0019] 前記成形用治具をシリコーンゴムで形成することにより、磁性材料と熱硬化性榭脂を含む原料が成形用治具に付着しないようにして、成形される磁性体に形状不良が発生する確率を低減することができる。

[0020] 前記原料に磁界を印加した状態で、前記原料を加熱することにより、原料中の熱硬化性榭脂が熱硬化する際に、比重の大きい磁性材料が重力によって下方に沈殿するのを防止して、磁性材料が均一に分散した磁性体を成形することができる。したがつて、磁性体を着磁する際の着磁精度を向上させることができ、磁性体表面から生じる磁束密度にムラのないものとすることができる。

[0021] 前記磁性体を成形すると同時に、この磁性体を着磁することにより、磁気ェンコ一ダの製造効率を高めることができる。

[0022] また、本発明は、内外輪の軌道輪のうちの回転側軌道輪に、円周方向で交互に異なる磁極に着磁された環状の磁性体を芯金に固着した磁気エンコーダを装着し、この磁気エンコーダの回転に伴う磁極の変化を検出するセンサ素子を固定側軌道輪に装着して、前記回転側軌道輪の回転を検出する回転センサ付き転がり軸受において、前記磁性体を熱可塑性榭脂によって磁性材料を結合したものとして、この磁性体を円周方向で複数のセグメントに分割し、この円周方向で複数に分割されたセグメントを前記芯金に接着剤で固着した構成も採用した。

[0023] すなわち、磁気エンコーダの磁性体を熱可塑性榭脂によって磁性材料を結合したものとして、この磁性体を円周方向で複数のセグメントに分割し、この円周方向で複数に分割されたセグメントを芯金に接着剤で固着することにより、分割されたセグメントを小寸法の成形用金型と小型の設備で成形できるようにし、磁気エンコーダを外径寸法が大きいものであっても安価に製造可能とした。

[0024] 前記分割された各セグメントは、射出成形で成形するとよい。

[0025] 前記芯金に固着される複数のセグメントに分割された磁性体に、円周方向の少なくとも 1箇所で隙間を設け、この隙間の位置を前記異なる磁極の境界位置と合致させることにより、分割されたセグメントを、隙間で余裕代を持たせて重なり合わないように芯金に密着させて固着でき、この隙間の位置で発生する磁気波形の乱れの影響を小さくすることがでさる。

[0026] 後の図 17 (b)に示すように、前記隙間の位置では磁気波形の乱れが発生するが、隙間の位置を磁極の境界位置と合致させることにより、磁気波形の乱れを、センサ素子で検出される磁束の変化の N極側と S極側の各閾値 W、Wを越えない波形の中

N S

腹部で発生させ、この磁気波形の乱れによる回転センサの誤検出を防止することができる。

[0027] 前記磁性体のセグメントを円周方向で等分割されたものとすることにより、各セグメントを同じ成形用金型で成形することができる。

[0028] 前記磁性体の一周の全磁極数 nと、前記等分割されたセグメントの分割数 nとの

P S

比 n Znが整数となるようにすることにより、セグメントの分割位置を異なる磁極の境

P S

界位置に合致させて、セグメントの分割位置で発生する磁気波形の乱れの影響を小さくすることができる。

[0029] 前記セグメントの分割位置でも、前記隙間の位置ほどではな、が磁気波形の乱れが発生する。したがって、セグメントの分割位置を磁極の境界位置に合致させることにより、この磁気波形の乱れも、センサ素子で検出される磁極の変化の N極側と S極の各閾値 W 、Wを越えない波形の中腹部で発生させ、回転センサの誤検出を防止

N S

することができる。

[0030] また、本発明は、内外輪の軌道輪のうちの回転側軌道輪に、円周方向で交互に異なる磁極に着磁された環状の磁性体を芯金に固着した磁気エンコーダを装着し、この磁気エンコーダの回転に伴う磁極の変化を検出するセンサ素子を固定側軌道輪に装着して、前記回転側軌道輪の回転を検出する回転センサ付き転がり軸受において、前記磁性体を、前記磁性材料を溶射によって基材の表面に結合したものとした構成も採用した。

[0031] すなわち、磁気エンコーダの磁性体を、磁性材料を溶射によって基材の表面に結合したものとすることにより、成形用や加硫接着用の金型や設備を不要として、磁気エンコーダを外径寸法が大きいものであっても安価に製造可能とした。

[0032] 前記磁性材料は、安価な酸化鉄を主成分とするフェライト系のものとすることができる。

[0033] 前記磁性材料は、 Sm—Co系ゃNd—Fe— B系等の希土類系のものとすることもできる。

[0034] 前記磁性材料は、アルミニウム、ニッケル、コバルトと鉄を主成分とするアルニコ系のちのとすることちでさる。

[0035] 前記センサ素子をセンサケースに糸且み込み、このセンサケースを、前記固定側軌道輪に 2箇所で位置決めして、前記固定側軌道輪に設けたタップ穴にねじで固定することにより、センサケース取り付け用の環状の芯金を不要として、センサケースをコンパタトで容易に着脱できるように固定側軌道輪に装着することができる。

[0036] 前記センサケースを固定側軌道輪に 2箇所で位置決めする手段のうち、少なくとも 1箇所で位置決めする手段を、ピン穴とピン状突起の係合によるものとすることにより、センサケースを簡単で精度よく固定側軌道輪に位置決めすることができる。

[0037] 前記ピン穴を前記固定側軌道輪に設け、このピン穴の径寸法を前記タップ穴の下穴径寸法と等しくすることにより、ドリルを交換することなぐピン穴とタップ穴の下穴を効率よく短時間でカ卩ェすることができる。 [0038] 前記センサ素子をセンサケースに糸且み込み、このセンサケースを、前記固定側軌道輪に設けた鍔部の内径面または肩部の外径面で位置決めして、前記固定側軌道輪に設けたタップ穴にねじで固定することによつても、センサケース取り付け用の環状の芯金を不要として、センサケースをコンパクトで容易に着脱できるように固定側軌道輪に装着することができる。

[0039] 前記センサケースを固定側軌道輪に固定するねじの本数を 1本とすることにより、センサケースをより容易に短時間で固定側軌道輪に着脱することができる。

[0040] 前記転がり軸受が、前記固定側軌道輪に複列の軌道面が設けられ、前記回転側軌道輪がこれらの複列の軌道面と対向する 1列ずつの軌道面が設けられるように 2分割され、これらの 2分割された回転側軌道輪の間に軸方向隙間を設けて、この軸方向隙間を縮小させて予圧を付与する環状の押さえ部材を、前記 2分割された一方の回転側軌道輪の側方に配設した複列転がり軸受である場合は、この環状の押さえ部材を前記磁気エンコーダの芯金とすることにより、別途の磁気エンコーダの芯金を不要として、予圧付与手段を設けた回転センサ付きの複列転がり軸受を、部品点数が少なぐ組立てに手間が力からないものとすることができる。

[0041] 前記環状の押さえ部材に、前記一方の回転側軌道輪の軌道面と反対側の径面に嵌合されるように突出する筒部を設けることにより、センサ素子と微小な隙間を開けて半径方向で対向する磁気エンコーダを容易に位置決めすることができる。

発明の効果

[0042] 本発明の回転センサ付き転がり軸受は、磁気エンコーダの磁性体をゴムによって磁性材料を結合したものとし、この磁性体を芯金に接着剤で固着した構成を採用したので、加硫接着用の金型や設備を不要として、磁気エンコーダを外径寸法が大きいものであっても安価に製造することができる。

[0043] 前記磁性体が金型を用いて加硫成形されたものであり、この金型で加硫成形される形状を、芯金に環状に固着されたときに囲む領域の面積よりも、その囲む領域の面積が狭くなるように部分的に屈曲した形状とすることにより、加硫成形用の金型のサイズを小さくして、製造コストをより低減することができる。

[0044] 前記磁性体が芯金の外周面に固着されるものである場合は、芯金に固着される前の磁性体の内周長を、この磁性体が固着される芯金の外周長よりも短くすることにより、磁性体中のゴムの弾性力によって、磁性体をより強固に芯金の外周面に固着することがでさる。

[0045] 前記芯金の磁性体が固着される表面に凹部を形成することにより、この凹部を接着剤溜まりとして、磁性体をより強固に芯金に接着することができる。

[0046] また、本発明の回転センサ付き転がり軸受は、磁気エンコーダの磁性体を熱硬化性榭脂によって磁性材料を結合した構成も採用したので、射出成形用等の大がかりな設備や、加硫接着用の金型や設備を不要として、磁気エンコーダを外径寸法が大き!、ものであっても安価に製造することができる。

[0047] 前記磁気エンコーダは、芯金の表面と間隙を隔てて成形用治具を設置し、この芯金の表面と成形用治具の間の間隙に、磁性体となるべき磁性材料と熱硬化性榭脂を含む原料を配置し、この間隙に配置された原料を加熱することにより、熱硬化性榭脂を硬化させて磁性体を成形するとともに、この磁性体を芯金の表面に固着させたものとして、榭脂等力もなる成形用治具を用いて成形することができ、加硫接着する際に必要な金属製の金型や加圧設備を不要とすることができる。

[0048] 前記成形用治具をシリコーンゴムで形成することにより、磁性材料と熱硬化性榭脂を含む原料が成形用治具に付着しないようにして、成形される磁性体に形状不良が発生する確率を低減することができる。

[0049] 前記原料に磁界を印加した状態で、原料を加熱することにより、磁性材料が均一に分散した磁性体を成形して、磁性体を着磁する際の着磁精度を向上させることができ、磁性体表面から生じる磁束密度にムラのないものとすることができる。

[0050] 前記磁性体を成形すると同時に、この磁性体を着磁することにより、磁気ェンコ一ダの製造効率を高めることができる。

[0051] また、本発明の回転センサ付き転がり軸受は、磁気エンコーダの磁性体を熱可塑性榭脂によって磁性材料を結合したものとして、この磁性体を円周方向で複数のセグメントに分割し、この円周方向で複数に分割されたセグメントを芯金に接着剤で固着した構成も採用したので、分割されたセグメントを小寸法の成形用金型と小型の設備で成形でき、磁気エンコーダを外径寸法が大き、ものであっても安価に製造することがでさる。

[0052] 前記芯金に固着される複数のセグメントに分割された磁性体に、円周方向の少なくとも 1箇所で隙間を設け、この隙間の位置を異なる磁極の境界位置と合致させることにより、分割されたセグメントを、隙間で余裕代を持たせて重なり合わないように芯金に密着させて固着でき、この隙間の位置で発生する磁気波形の乱れの影響を小さくすることができる。

[0053] 前記磁性体のセグメントを円周方向で等分割されたものとすることにより、各セグメントを同じ成形用金型で成形することができる。

[0054] 前記磁性体の一周の全磁極数 nと、等分割されたセグメントの分割数 nとの比 n

P S P

Znが整数となるようにすることにより、セグメントの分割位置を異なる磁極の境界位

S

置に合致させて、セグメントの分割位置で発生する磁気波形の乱れの影響を小さくすることができる。

[0055] また、本発明の回転センサ付き転がり軸受は、磁気エンコーダの磁性体を、磁性材料を溶射によって基材の表面に結合した構成も採用したので、成形用や加硫接着用の金型や設備を不要として、磁気エンコーダを外径寸法が大き、ものであっても安価に製造することができる。

[0056] 前記センサ素子をセンサケースに組み込み、このセンサケースを、固定側軌道輪に 2箇所で位置決めして、固定側軌道輪に設けたタップ穴にねじで固定することにより、センサケース取り付け用の環状の芯金を不要として、センサケースをコンパクトで容易に着脱できるように固定側軌道輪に装着することができる。

[0057] 前記センサケースを固定側軌道輪に 2箇所で位置決めする手段のうち、少なくとも 1箇所で位置決めする手段を、ピン穴とピン状突起の係合によるものとすることにより、センサケースを簡単で精度よく固定側軌道輪に位置決めすることができる。

[0058] 前記ピン穴を固定側軌道輪に設け、このピン穴の径寸法をタップ穴の下穴径寸法と等しくすることにより、ドリルを交換することなぐピン穴とタップ穴の下穴を効率よく短時間でカ卩ェすることができる。

[0059] 前記センサ素子をセンサケースに組み込み、このセンサケースを、固定側軌道輪に設けた鍔部の内径面または肩部の外径面で位置決めして、固定側軌道輪に設けたタップ穴にねじで固定することによつても、センサケース取り付け用の環状の芯金を不要として、センサケースをコンパクトで容易に着脱できるように固定側軌道輪に装着することができる。

[0060] 前記センサケースを固定側軌道輪に固定するねじの本数を 1本とすることにより、センサケースをより容易に短時間で固定側軌道輪に着脱することができる。

[0061] 前記転がり軸受が、固定側軌道輪に複列の軌道面が設けられ、回転側軌道輪がこれらの複列の軌道面と対向する 1列ずつの軌道面が設けられるように 2分割され、これらの 2分割された回転側軌道輪の間に軸方向隙間を設けて、この軸方向隙間を縮小させて予圧を付与する環状の押さえ部材を、 2分割された一方の回転側軌道輪の側方に配設した複列転がり軸受である場合は、この環状の押さえ部材を磁気ェンコ一ダの芯金とすることにより、別途の磁気エンコーダの芯金を不要として、予圧付与手段を設けた回転センサ付きの複列転がり軸受を、部品点数が少なぐ組立てに手間が力からないものとすることができる。

[0062] 前記環状の押さえ部材に、一方の回転側軌道輪の軌道面と反対側の径面に嵌合されるように突出する筒部を設けることにより、センサ素子と微小な隙間を開けて半径方向で対向する磁気エンコーダを容易に位置決めすることができる。

図面の簡単な説明

[0063] [図 1]第 1の実施形態の回転センサ付き転がり軸受を示す縦断面図

[図 2]aは図 1の II II線に沿った断面図、 bは aの磁性体の着磁状態を示す概念側面図

[図 3]aは図 1の磁性体を加硫成形する金型を示す平面図、 bは aの金型で成形されたままの磁性体を固着後の状態と比較して示す平面図

[図 4]図 3の磁性体を芯金を兼ねる押さえ部材に固着して仕上げ加工する方法を説明する縦断面図

[図 5]第 1の実施形態の回転センサ付き転がり軸受の第 1変形例を示す縦断面図 [図 6]第 1の実施形態の回転センサ付き転がり軸受の第 2変形例を示す縦断面図 [図 7]第 1の実施形態の回転センサ付き転がり軸受の第 3変形例を示す縦断面図 [図 8]図 7の VIII— VIII線に沿った断面図 [図 9]第 1の実施形態の回転センサ付き転がり軸受の第 4変形例を示す縦断面図 [図 10]図 9の X— X線に沿った断面図

[図 11]第 1の実施形態の回転センサ付き転がり軸受の第 5変形例を示す縦断面図 [図 12]図 11の XII— XII線に沿った断面図

[図 13]第 2の実施形態の回転センサ付き転がり軸受を示す縦断面図

[図 14]図 13の磁性体を熱硬化で成形、固着する方法を説明する縦断面図

[図 15]第 3の実施形態の回転センサ付き転がり軸受を示す縦断面図

[図 16]aは図 15の磁性体の着磁状態を示す概念側面図、 bは aのセグメントを示す概念側面図

[図 17]aは図 15のセンサ素子で検出される磁気波形を示すグラフ、 bは図 16 (a)の隙間 δの位置での磁気波形を示すグラフ

[図 18]第 4の実施形態の回転センサ付き転がり軸受を示す縦断面図

符号の説明

1、 la、 lb 外輪

2a、 2b 軌道面

3a, 3b 内輪

4a、 4b 軌道面

5 ボーノレ

6 保持器

7 軸方向隙間

8 押さえ部材

8a ボノレ卜孑し

8b 筒部

8c 鍔部

8d 凹部

8e 環状溝

9 ボルト孔

10 シール磁気エンコーダ、 12a 磁性体b 原料c セグメントd 磁性材料接着剤センサ素子センサケース基板モールド樹脂出力ケープノレピン穴ピン状突起タップ穴ねじ金属カバー内方部材a L 段差部凸部鍔部

円弧面鳄部

肩部

金型

a 無端凹部芯出しテーブルa 中心軸バイト 54 成形用治具

55 永久磁石

発明を実施するための最良の形態

[0065] 以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図 1乃至 4は、第 1の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受は、図 1に示すように、固定側軌道輪としての外輪 1の内径面に 2列の軌道面 2a、 2bが設けられ、回転軌道輪としての 2分割された内輪 3a、 3bの外径面に、外輪 1の各軌道面 2a、 2bと対向する軌道面 4a、 4bが 1列ずつ設けられて、これらの外輪 1の各軌道面 2a、 2bと内輪 3a、 3bの各軌道面 4a 、 4bの間に、転動体としての 2列のボール 5が保持器 6で保持された複列玉軸受であり、一方の内輪 3aが他方の内輪 3bの外径段差部に軸方向隙間 7を設けて外嵌され、内輪 3aの側方に配設された環状の押さえ部材 8で軸方向隙間 7を縮小させて予圧を付与するようになって!/、る。外輪 1の外周部にはハウジング等への固定用のボルト孔 9が設けられ、外輪 1の両端部の内径面には軸受内部をシールするシール 10が取り付けられている。

[0066] 図 1および図 2 (a)に示すように、前記押さえ部材 8にはボルト孔 8aが設けられ、ボルト孔 8aに通されるボルトで内輪 3bに締め付けられて、内輪 3aの側面を押圧することにより、軸方向隙間 7を縮小させて予圧が付与される。押さえ部材 8は、回転センサを構成する磁気ェンコーダ 11の芯金を兼ね、その外径面に磁気ェンコーダ 11の環状の磁性体 12が接着剤 13で接着されている。押さえ部材 8の内端面側には、内輪 3 aの内径面に嵌合するように突出する筒部 8bが設けられ、磁気エンコーダ 11の軸心を位置決めするようになっている。また、押さえ部材 8の外端面側の外径面には、磁気エンコーダ 11の磁性体 12の軸方向位置を位置決めする鍔部 8cが設けられている。磁気エンコーダ 11の磁性体 12は、図 2 (b)に示すように、周方向に N極と S極が交互に存在する所望の磁極数に着磁されて！/ヽる。

[0067] 前記磁性体 12は磁性材料をゴムで結合したものであり、図 3 (a)に示すような金型 5 1に設けられた屈曲して連なる無端凹部 51aに、磁性材料と結合剤としてのゴムを含む原料を流し込んで加硫成形され、図 3 (b)に示すように、加硫成形されたままの磁性体 12aは、押さえ部材 8の外周面に環状に固着されたときに磁性体 12が囲む領域の面積よりも、その囲む領域の面積が狭くなるように、部分的に屈曲した形状となっている。したがって、磁気エンコーダ 11の外径寸法が大きい場合であっても、加硫成形用の金型 51のサイズを小さくして、製造コストを低減することができる。

[0068] 前記結合剤のゴムとしては、 NBR (二トリルゴム）、 H— NBR (水素添加-トリルゴム )等の耐熱性-トリルゴム、 ACM (アクリルゴム）、 AEM (エチレンアクリルゴム）および FKM (フッ素ゴム)等を用いることが好ましい。また、磁性材料としては、フェライト系、 Sm—Co系ゃNd—Fe— B系等の希土類系、アルミニウム、ニッケル、コバルトと鉄を主成分とするアルニコ系のものを用いることができ、これらの磁性材料の配合割合は、 70質量％以上で 95質量％以下、より好ましくは 75質量％以上で 90質量％以下とするのがよい。

[0069] 前記加硫成形されたままの磁性体 12aの内周長は、環状の押さえ部材 8の外周長よりも短く形成されており、押さえ部材 8の外周面に固着されたときに、ある程度伸ばされた状態となる。したがって、磁性体 12を形成するゴムの弾性力によって、押さえ部材 8の外周面に強固で確実に固着することができる。なお、磁性体 12aの内周長は、押さえ部材 8の外周長の 0. 5倍以上で 1. 0倍未満とするのがよぐより好ましくは 0. 7倍以上で 0. 98倍以下、さらに好ましくは 0. 95倍以下とするのがよい。

[0070] 前記磁性体 12を外周面に固着された押さえ部材 8は、図 4に示すように、中心軸 5 2aの回りに回転する芯出しテーブル 52に筒部 8bで固定され、磁性体 12の外周面がノイト 53によって研削されて、その外径寸法が所定の寸法となるように、仕上げ加工される。こののち、押さえ部材 8を同じ芯出しテーブル 52に固定したまま、磁性体 12 が別途の着磁装置によって、図 2 (b)に示したように、周方向で N極と S極とに交互に着磁される。なお、磁性体 12の厚みは、 0. 5mm以上で 10mm以下、より好ましくは 0. 7mm以上で 3mm以下とされる。また、着磁工程は仕上げカ卩ェ工程と別に行ってもよいが、このように、仕上げカ卩ェ用の芯出しテーブル 52をそのまま着磁用に用いることにより、製造工程を簡略ィ匕して短縮できるとともに、着磁精度を向上させることができる。

[0071] 図 1および図 2 (a)に示したように、前記センサ素子 14はセンサケース 15に組み込まれ、その基板 16と一緒にモールド榭脂 17で固定されており、基板 16にはセンサ素子 14で検出される内輪 3a、 3bの回転速度を出力する出力ケーブル 18が接続されている。基板 16は、フィルム状のフレキシブル基板やエポキシ榭脂製基板とされ、センサ素子 14の出力信号を処理する電気回路が実装されている。

[0072] 前記センサケース 15は、外輪 1の端面の円周方向で 2箇所に設けられたピン穴 19 に、自身の側端面の円周方向両端部に設けられたピン状突起 20を係合させて、センサ素子 14が磁気エンコーダ 11の磁性体 12と所定のセンシングギャップで対向するように位置決めされ、外輪 1の端面に設けられたタップ穴 21と 1本のねじ 22で中央部を取り付けられている。なお、外輪 1の端面に設けられた各ピン穴 19の径寸法は、タップ穴 21の下穴径寸法と等しくされ、ドリルを交換することなく効率よく短時間で加工されるようになつている。

[0073] また、前記センサケース 15の外周面と外側面は、センサ素子 14が外部磁界の影響を受けて誤作動することを防止するために、金属カバー 23で覆われている。金属力バー 23は、例えば、フェライト系ステンレス鋼板や軟鋼板等の磁性材をプレス成形して形成することができ、センサケース 15と一体とすることが好ましい。なお、金属カバ一 23に非磁性材を用い、その表面に磁性材の表面処理を施してもよ!ヽ。

[0074] 図 5は、第 1の実施形態の第 1変形例を示す。この第 1変形例は、前記 2分割された内輪 3a、 3bが、別体の内方部材 24の外径面に軸方向隙間 7を設けて外嵌され、内輪 3bが内方部材 24の段差部 24aで軸方向を位置決めされている点と、磁気ェンコーダ 11の芯金を兼ねる押さえ部材 8の外周面に、接着剤溜まりとなる凹部 8dが形成されている点とが異なる。接着剤溜まりとなる凹部 8dは、前記内周長が押さえ部材 8 の外周長よりも短く成形された磁性体 12を押さえ部材 8の外周面に接着するときに、接着剤 13がこれらの間から押し出されて接着不良が生じるのを防止する。なお、凹部 8dは必ずしも押さえ部材 8の全周に溝状に連なる必要はなぐ円周方向で間隔を開けて部分的に設けられたものとしてもよい。

[0075] 図 6は、第 1の実施形態の第 2変形例を示す。この第 2変形例は、外輪 la、 lbも 2分割され、軌道面 2aが設けられた外輪 laが、ボルト孔 9を設けられた外輪 lbの内径段差部に内嵌され、外輪 lbの側端面にねじ 22で取り付けられたセンサケース 15によつて抜け止めされている点が異なる。 [0076] 図 7および図 8は、第 1の実施形態の第 3変形例を示す。この第 3変形例は、前記センサケース 15が、その側端面の円周方向一端部に設けられたピン状突起 20を、外輪 1の端面に設けられた 1つのピン穴 19に係合させるとともに、ピン状突起 20と反対側の円周方向端部の外径面に設けられた凸部 25を、外輪 1の端面に設けられた鍔部 26の内径面に押し当てて、位置決めされている点が異なる。

[0077] 図 9および図 10は、第 1の実施形態の第 4変形例を示す。この第 4変形例は、前記センサケース 15の外径面が円弧面 27で形成され、この円弧面 27で形成された外径面を外輪 1の端面に設けられた鍔部 26の内径面に沿わせて、センサケース 15が位置決めされている点が異なる。

[0078] 図 11および図 12は、第 1の実施形態の第 5変形例を示す。この第 5変形例は、前記センサケース 15の側端面に、内径面が円弧面で形成された鍔部 28が設けられ、この円弧面で形成された鍔部 28の内径面を、外輪 1の肩部 29の外径面に沿わせて、センサケース 15が位置決めされている点が異なる。

[0079] 図 13および図 14は、第 2の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受は、図 13に示すように、基本的な構成は第 1の実施形態のものと同じであり、前記磁気ェンコーダ 11の磁性体 12が、磁性材料を熱硬化性榭脂で結合したものとされ、成形されると同時に、芯金を兼ねる押さえ部材 8の外周面に固着されている点と、磁性体 12 の軸方向位置を位置決めする押さえ部材 8の鍔部 8cが内端面側の外径面に設けられている点が異なる。このため、射出成形用等の大がかりな設備や、加硫接着用の金型や設備を不要として、外径寸法の大きい磁気エンコーダ 11を安価に製造することができる。なお、熱硬化性榭脂としては、ウレタン榭脂ゃエポキシ榭脂等を用いることがでさる。

[0080] 以下に、前記磁気エンコーダ 11を製造する方法を説明する。図 14に示すように、芯金を兼ねる押さえ部材 8の外周面と間隙を隔てて環状の成形用治具 54を設置し、この間隙に磁性材料と熱硬化性榭脂を含む磁性体 12の原料 12bを配置して、これらを恒温槽等に入れ、所定の温度に加熱、保持することにより、熱硬化性榭脂を硬化させて、原料 12bを磁性体 12として成形するとともに、押さえ部材 8の外周面に固着する。成形用治具 54は原料 12bが付着しないシリコーンゴムで形成され、その外周側には、比重の大きい磁性材料が沈殿しないように、原料 12bが配置された間隙に磁界を印加する永久磁石 55が配設されて、る。

[0081] 前記原料 12bの加熱温度は 90°C以上で 110°C以下、より好ましくは 95°C以上で 1 05°C以下とされ、その保持時間は 2時間以上で 4時間以下、より好ましくは 2. 5時間以上で 3. 5時間以下とされる。このように、原料 12bの加熱温度はあまり高くないので、恒温槽等に入れる替りに、ホットプレート等を用いて原料 12bを加熱してもよい。また、成形用治具 54は、シリコーンゴム以外にフッ素ゴムやフッ素榭脂等で形成してもよぐ任意の基材の表面にフッ素ゴムやフッ素榭脂等を含む離型剤を塗布してもよい

[0082] 前記押さえ部材 8の外周面に固着された磁性体 12は、第 1の実施形態のものと同様に、別途の着磁装置を用いて、周方向で N極と S極とに交互に着磁されるが、成形用治具 54の外周面に着磁コイルを巻いた着磁ヨークを設け、原料 12bの加熱を行うと同時に、着磁ヨークによって磁性体 12を着磁することもできる。

[0083] 図 15乃至図 17は、第 3の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受は、図 1 5に示すように、基本的な構成は第 2の実施形態のものと同じであり、前記磁気ェンコーダ 11の磁性体 12が、磁性材料を熱可塑性榭脂で結合したものとされ、図 16 (a)、 (b)に示すように、分割数 nを 10個とした扇形のセグメント 12cに等分割され、これら

S

の各セグメント 12cが、芯金を兼ねる押さえ部材 8の外周面に固着されている点が異なる。熱可塑性榭脂としては、ポリアミド、ポリフエ-レンサルファイド等が用いられ、各セグメント 12cは射出成形で成形されている。したがって、分割された各セグメント 12 cを小寸法の成形用金型と小型の設備で成形でき、外径寸法の大き!、磁気ェンコ一ダ 11を安価に製造することができる。

[0084] 前記 10個のセグメント 12cに分割された磁性体 12は、隣接するセグメント 12c同士が重なり合わないように、円周方向の 1箇所で隙間 δを設けて押さえ部材 8の外周面に接着剤で接着されており、接着された後に着磁装置を用いて、周方向に交互に存在する Ν極と S極の全磁極数 ηが 50となるように着磁されている。したがって、分割

Ρ

数 ηが 10個とされたセグメント 12cは 5個ずつの磁極数に着磁され、隙間 δの位置を

S

含む各セグメント 12cの分割位置が磁極の境界位置と合致している。なお、磁性体 1 2への着磁は、押さえ部材 8に固着する前に、各セグメント 12c毎に行なってもよい。また、全磁極数 nとセグメント 12cの分割数 nは、磁気エンコーダ 11の外径寸法等

P S

に応じて任意に設定することができ、各セグメント 12cは必ずしも等分割する必要はなぐ例えば、一部のセグメント 12cを細分割することもできる。

[0085] 図 17 (a)は、前記磁気エンコーダ 11の磁性体 12が内輪 3a、 3bと一緒に回転したときに、前記センサ素子 14で検出される磁気波形を示す。磁気波形は、磁性体 12の N極と S極が交互に通過する毎に、磁束が N極側と S極側へ波状に変化するものとなり、前記基板 16に実装された電気回路は、センサ素子 14で検出される磁束の変化が N極側と S極側の各閾値 W 、Wよりも大きくなつたときに、回転をカウントする。

N S

[0086] 図 17 (b)に示すように、前記磁気波形は隙間 δの位置で乱れを生じる力隙間 δ の位置は磁極の境界位置と合致してヽるので、この磁気波形の乱れは Ν極側と S極側の各閾値 W 、 Wを越えない波形の中腹部で発生する。したがって、この磁気波

N S

形の乱れによってセンサ素子 14の基板 16に実装された電気回路が回転を誤カウントすることはない。なお、隙間 δのない各セグメント 12cの分割位置でも小さな磁気波形の乱れが発生する力上述したように、各セグメント 12cの分割位置は磁極の境界位置と合致しているので、この磁気波形の乱れも各閾値 W 、Wを越えない波形の

N S

中腹部で発生する。

[0087] 図 18は、第 4の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受は、基本的な構成は第 1の実施形態のものと同じであり、前記押さえ部材 8の外径面に環状溝 8eが設けられ、この環状溝 8e内に磁性材料 12dが溶射され、押さえ部材 8を基材として結合されて、磁気エンコーダ 11とされている点が異なる。したがって、成形用や加硫接着用の金型や設備を不要として、外径寸法の大きい磁気エンコーダ 11を安価に製造することができるとともに、小ロット生産のものでも、金型製作のリードタイムをなくして、短期間に製造することができる。溶射される磁性材料 12dとしては、酸化鉄を主成分とするフェライト系、 Sm— Co系や Nd— Fe— B系等の希土類系、およびアルミユウム、ニッケル、コノレトと鉄を主成分とするアルニコ系のものが用いられ、溶射後に着磁装置を用いて、周方向で N極と S極とに交互に着磁されて、る。

[0088] 上述した各実施形態では、転がり軸受を内輪が回転側軌道輪とされた複列玉軸受とし、回転センサの磁気エンコーダとセンサ素子を半径方向で対向させた力本発明に係る回転センサ付き転がり軸受は、単列の玉軸受ゃころ軸受等の他のタイプの転がり軸受にも適用することができる。また、外輪が回転側軌道輪とされた転がり軸受にも適用でき、この場合は、回転センサの磁気エンコーダを外輪側に、センサ素子を内輪側に装着すればよい。さらに、磁気エンコーダとセンサ素子を軸方向で対向させることちでさる。

Claims

請求の範囲

[1] 内外輪の軌道輪のうちの回転側軌道輪に、円周方向で交互に異なる磁極に着磁された環状の磁性体を芯金に固着した磁気ェンコーダを装着し、この磁気ェンコーダの回転に伴う磁極の変化を検出するセンサ素子を固定側軌道輪に装着して、前記回転側軌道輪の回転を検出する回転センサ付き転がり軸受において、前記磁性体をゴムによって磁性材料を結合したものとし、この磁性体を前記芯金に接着剤で固着したことを特徴とする回転センサ付き転がり軸受。

[2] 前記磁性体が金型を用いて加硫成形されたものであり、この金型で加硫成形される形状を、前記芯金に環状に固着されたときに囲む領域の面積よりも、その囲む領域の面積が狭くなるように部分的に屈曲した形状とした請求項 1に記載の回転センサ付き転がり軸受。

[3] 前記磁性体が前記芯金の外周面に固着されるものであり、前記芯金に固着される前の前記磁性体の内周長を、前記芯金の外周面の外周長よりも短くした請求項 1または 2に記載の回転センサ付き転がり軸受。

[4] 前記芯金の前記磁性体が固着される表面に凹部を形成した請求項 1乃至 3のいずれかに記載の回転センサ付き転がり軸受。

[5] 内外輪の軌道輪のうちの回転側軌道輪に、円周方向で交互に異なる磁極に着磁された環状の磁性体を芯金に固着した磁気ェンコーダを装着し、この磁気ェンコーダの回転に伴う磁極の変化を検出するセンサ素子を固定側軌道輪に装着して、前記回転側軌道輪の回転を検出する回転センサ付き転がり軸受において、前記磁性体を熱硬化性榭脂によって磁性材料を結合したものとしたことを特徴とする回転センサ付き転がり軸受。

[6] 前記磁気エンコーダが、前記芯金の表面と間隙を隔てて成形用治具を設置し、この芯金の表面と成形用治具の間の間隙に、前記磁性体となるべき磁性材料と熱硬化性榭脂を含む原料を配置し、この間隙に配置された原料を加熱することにより、前記熱硬化性榭脂を硬化させて前記磁性体を成形するとともに、この磁性体を前記芯金の表面に固着させたものである請求項 5に記載の回転センサ付き転がり軸受。

[7] 前記成形用治具をシリコーンゴムで形成した請求項 6に記載の回転センサ付き転がり軸受。

[8] 前記原料に磁界を印加した状態で、前記原料を加熱するようにした請求項 6または 7に記載の回転センサ付き転がり軸受。

[9] 前記磁性体を成形すると同時に、この磁性体を着磁するようにした請求項 6乃至 8 の!、ずれかに記載の回転センサ付き転がり軸受。

[10] 内外輪の軌道輪のうちの回転側軌道輪に、円周方向で交互に異なる磁極に着磁された環状の磁性体を芯金に固着した磁気ェンコーダを装着し、この磁気ェンコーダの回転に伴う磁極の変化を検出するセンサ素子を固定側軌道輪に装着して、前記回転側軌道輪の回転を検出する回転センサ付き転がり軸受において、前記磁性体を熱可塑性榭脂によって磁性材料を結合したものとして、この磁性体を円周方向で複数のセグメントに分割し、この円周方向で複数に分割されたセグメントを前記芯金に接着剤で固着したことを特徴とする回転センサ付き転がり軸受。

[11] 前記分割された各セグメントを、射出成形で成形した請求項 10に記載の回転センサ付き転がり軸受。

[12] 前記芯金に固着される複数のセグメントに分割された磁性体に、円周方向の少なくとも 1箇所で隙間を設け、この隙間の位置を前記異なる磁極の境界位置と合致させた請求項 10または 11に記載の回転センサ付き転がり軸受。

[13] 前記磁性体のセグメントを円周方向で等分割されたものとした請求項 10乃至 12の V、ずれかに記載の回転センサ付き転がり軸受。

[14] 前記磁性体の一周の全磁極数 nと、前記等分割されたセグメントの分割数 nとの

P S

比 n Znが整数となるようにした請求項 13に記載の回転センサ付き転がり軸受。

P S

[15] 内外輪の軌道輪のうちの回転側軌道輪に、円周方向で交互に異なる磁極に着磁された環状の磁性体を芯金に固着した磁気ェンコーダを装着し、この磁気ェンコーダの回転に伴う磁極の変化を検出するセンサ素子を固定側軌道輪に装着して、前記回転側軌道輪の回転を検出する回転センサ付き転がり軸受において、前記磁性体を、前記磁性材料を溶射によって基材の表面に結合したものとしたことを特徴とする回転センサ付き転がり軸受。

[16] 前記磁性材料をフェライト系のものとした請求項 15に記載の回転センサ付き転がり軸受。

[17] 前記磁性材料を希土類系のものとした請求項 15に記載の回転センサ付き転がり軸受。

[18] 前記磁性材料をアルニコ系のものとした請求項 15に記載の回転センサ付き転がり軸受。

[19] 前記センサ素子をセンサケースに糸且み込み、このセンサケースを、前記固定側軌道輪に 2箇所で位置決めして、前記固定側軌道輪に設けたタップ穴にねじで固定した請求項 1乃至 18の、ずれかに記載の回転センサ付き転がり軸受。

[20] 前記センサケースを固定側軌道輪に 2箇所で位置決めする手段のうち、少なくとも 1箇所で位置決めする手段を、ピン穴とピン状突起の係合によるものとした請求項 19 に記載の回転センサ付き転がり軸受。

[21] 前記ピン穴を前記固定側軌道輪に設け、このピン穴の径寸法を前記タップ穴の下穴径寸法と等しくした請求項 19または 20に記載の回転センサ付き転がり軸受。

[22] 前記センサ素子をセンサケースに糸且み込み、このセンサケースを、前記固定側軌道輪に設けた鍔部の内径面または肩部の外径面で位置決めして、前記固定側軌道輪に設けたタップ穴にねじで固定した請求項 1乃至 18のいずれかに記載の回転センサ付き転がり軸受。

[23] 前記センサケースを固定側軌道輪に固定するねじの本数を 1本とした請求項 19乃至 22の、ずれかに記載の回転センサ付き転がり軸受。

[24] 前記転がり軸受が、前記固定側軌道輪に複列の軌道面が設けられ、前記回転側軌道輪がこれらの複列の軌道面と対向する 1列ずつの軌道面が設けられるように 2分割され、これらの 2分割された回転側軌道輪の間に軸方向隙間を設けて、この軸方向隙間を縮小させて予圧を付与する環状の押さえ部材を、前記 2分割された一方の回転側軌道輪の側方に配設した複列転がり軸受であり、この環状の押さえ部材を前記磁気エンコーダの芯金とした請求項 1乃至 23のいずれかに記載の回転センサ付き転がり軸受。

[25] 前記環状の押さえ部材に、前記一方の回転側軌道輪の軌道面と反対側の径面に嵌合されるように突出する筒部を設けた請求項 24に記載の回転センサ付き転がり軸

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