JP2011107008A - 磁気エンコーダおよびこれを備えた車輪用軸受装置 - Google Patents

磁気エンコーダおよびこれを備えた車輪用軸受装置 Download PDF

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祐志郎 小野
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Abstract

【課題】低コストで高磁力が得られると共に、高精度で安定した速度検出ができる磁気エンコーダおよびこれを備えた車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】磁気エンコーダ23が、エラストマに磁性体粉が混入され、予め周方向等配に交互に磁極N、Sが着磁された円板状の複数枚の磁性ゴム23a、23b、23cと、回転側部材に圧入される円筒部18aと、この円筒部18aの端部から径方向外方に延びる立板部18bとを備えたスリンガ18とで構成され、磁性ゴムが、一方の側面に凹部24が形成され、この凹部24に係合する他方の側面に凸部25が形成されて磁極N、Sの位相を合わせた状態で接着剤を介して積層されると共に、スリンガ18の立板部18bの側面に接着剤によって一体固定されている。
【選択図】図9

Description

本発明は、自動車等の車輪の回転速度を検出する磁気エンコーダおよびこれを備えた車輪用軸受装置に関するものである。
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承すると共に、車輪の回転速度を検出し、アンチロックブレーキシステム(ABS)を制御する回転速度検出装置が軸受内部に内蔵された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置が一般的に知られている。従来、このような車輪用軸受装置は、転動体を介して転接する内方部材および外方部材の間にシール装置が設けられ、円周方向に磁極を交互に並べてなる磁気エンコーダを前記シール装置に一体化させている。この磁気エンコーダに対面配置され、車輪の回転に伴う磁気エンコーダの磁極変化を検出する回転速度センサは、懸架装置を構成するナックルに車輪用軸受装置が装着された後、当該ナックルに装着されている。
このような磁気エンコーダ50は、図11に示すように、金属環よりなるホルダ51のフランジ面52に被着され、ホルダ51が例えば軸受の内輪53の外周に嵌着されることにより内輪53とともに回転する。一方、磁気センサ54は回転することなく一箇所にとどまっており、よって磁気センサ54の正面にて磁気エンコーダ50が回転することにより被検出面50aの磁極ピッチ(パルス信号)が読み取られ、測定が行われる。また、ホルダ51の裏面側に、軸受の外輪55側に嵌着されるリップシール56が組み合わされることがあり、この場合、リップシール56のリップ端57がホルダ51に摺動自在に密接することにより外部ダストなどをシールする(例えば、特許文献1参照。)。
然しながら、この従来の磁気エンコーダ50では、被検出面50aがその全面に亙ってきわめて綺麗(平滑)な平坦面として成形されているために、その表面に異物が接触すると大きな傷が付きやすく、また、少しでも傷が付くと目立ってしまい、よって製品価値が低落する一因となっている。
こうした問題を解決したものとして図12に示すような磁気エンコーダ58が知られている。この磁気エンコーダ58は磁性ゴム材料にて環状に成形され、円周方向に多磁極化されて磁気センサに読み取られる被検出面59を有し、ホルダ60のフランジ面61に被着されている。そして、被検出面59における傷が付きやすい面積を縮小し、かつ被検出面59に傷が付いた時に、この傷付きを目立たなくするための立体形状62が予め被検出面59に設けられている。この立体形状62は、例えば、格子状に設けられた突起63からなる。これにより、被検出面59に大きな傷が付くのを抑えることができ、万一傷が付いてもあまり目立たず、よって製品価値が低落するのを抑えることができる(例えば、特許文献2参照。)。
特開2004−278619号公報 特開2008−157900号公報
然しながら、周辺構造によっては磁気センサとの距離(エアギャップ)が大きい状態での使用が要求されることがあるが、こうした従来の磁気エンコーダ58では、大きなエアギャップに対して磁気エンコーダ58の磁力(磁力密度)が小さくなるため、安定した速度検出が得られない恐れがあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、低コストで高磁力が得られると共に、高精度で安定した速度検出ができる磁気エンコーダおよびこれを備えた車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、回転速度センサに所定のエアギャップを介して対峙され、回転に伴う磁極変化によって車輪の回転速度を検出する磁気エンコーダにおいて、この磁気エンコーダが、エラストマに磁性体粉が混入され、予め周方向等配に交互に磁極N、Sが着磁された円板状の複数枚の磁性ゴムと、回転側部材に圧入される円筒部と、この円筒部の端部から径方向外方に延びる立板部とを備えたスリンガとで構成され、前記磁性ゴムが、前記磁極N、Sの位相を合わせた状態で接着剤を介して積層されると共に、前記スリンガの立板部の側面に接着剤によって一体固定されている。
このように、磁気エンコーダが、エラストマに磁性体粉が混入され、予め周方向等配に交互に磁極N、Sが着磁された円板状の複数枚の磁性ゴムと、回転側部材に圧入される円筒部と、この円筒部の端部から径方向外方に延びる立板部とを備えたスリンガとで構成され、磁性ゴムが、磁極N、Sの位相を合わせた状態で接着剤を介して積層されると共に、スリンガの立板部の側面に接着剤によって一体固定されているので、低コストで高磁力が得られると共に、高精度で安定した速度検出ができる磁気エンコーダを提供することができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記磁性ゴムの一方の側面に凹部が形成されると共に、この凹部に対応する他方の側面に凸部が形成され、これらの凹凸部を係合させた状態で積層されていれば、各磁性ゴムの磁極N、Sの位相の位置決め精度を容易に向上させることができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記スリンガの立板部から前記円筒部と反対側に延びる円筒状の鍔部が形成され、この鍔部に前記磁性ゴムが径方向に案内されていれば、複数枚の磁性ゴムの径方向の位置決め精度を向上させることができると共に、回転速度センサを磁気エンコーダに所定の径方向すきまを介して対峙させて車輪の速度検出をすることもでき、磁気エンコーダの適用範囲が大きくなって設計自由度が高くなる。
また、請求項4に記載の発明のように、前記スリンガに非磁性体からなるカバーが装着され、このカバーが前記スリンガの鍔部に固定される円筒部と、この円筒部の端部から径方向に延びる円板部とを備え、前記磁気エンコーダが、前記スリンガの立板部の側面と前記カバーの円板部とで挟持された状態で一体化されていれば、磁気エンコーダが外部に露出せずにその表面に異物が接触して損傷することがなく、耐久性と耐環境性を向上させることができる。
また、請求項5に記載の発明のように、前記カバーがオーステナイト系ステンレス鋼鈑からプレス加工によって形成されていても良いし、また、請求項6に記載の発明のように、前記カバーが合成樹脂から射出成形によって形成されていても良い。
また、請求項7に記載の発明のように、前記スリンガが強磁性体の鋼鈑からプレス加工によって形成されていれば、磁気エンコーダの磁気出力が強くなり安定した検出精度を確保することができる。
また、請求項8に記載の発明のように、前記スリンガの立板部の側面がショットブラスト加工により粗面化処理され、その表面粗さがRa0.8以上に設定されていれば、未処理の表面に比べ、接合面の凹凸部が増えて接触面積が増大し、磁気エンコーダとの密着性が向上する。したがって、過酷な環境下に曝されされても、スリンガと磁気エンコーダとが剥離するのを長期間に亘って防止することができる。
また、請求項9に記載の発明のように、前記磁性ゴムの表面に無数の微小な凹部が形成されていれば、磁性ゴム同士およびスリンガとの接合力を高めることができる。
また、本発明のうち請求項10に記載の発明は、ナックルに固定され、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に嵌合された少なくとも一つの内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、前記内輪または外側継手部材に前記請求項1乃至9に記載の磁気エンコーダが装着され、前記ナックルに装着された回転速度センサに所定のエアギャップを介して対向配置されている。
このように、従動輪側で内輪回転タイプの車輪用軸受装置において、内輪または外側継手部材に前記磁気エンコーダが装着され、ナックルに装着された回転速度センサに所定のエアギャップを介して対向配置されているので、低コストで高磁力が得られると共に、高精度で安定した速度検出ができる車輪用軸受装置を提供することができる。
また、請求項11に記載の発明のように、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部にシールが装着されると共に、これらシールのうちインナー側のシールが、前記内輪または外側継手部材の外径に圧入された前記スリンガと、このスリンガに対向して前記外方部材の端部内周に圧入された芯金、およびこの芯金に加硫接着によって一体に接合され、前記スリンガに摺接する複数のリップを有するシール部材からなる環状のシール板とで構成されていれば、長期間に亘って安定した密封性を確保することができ、軸受の長寿命化を図ることができる。
本発明に係る磁気エンコーダは、回転速度センサに所定のエアギャップを介して対峙され、回転に伴う磁極変化によって車輪の回転速度を検出する磁気エンコーダにおいて、この磁気エンコーダが、エラストマに磁性体粉が混入され、予め周方向等配に交互に磁極N、Sが着磁された円板状の複数枚の磁性ゴムと、回転側部材に圧入される円筒部と、この円筒部の端部から径方向外方に延びる立板部とを備えたスリンガとで構成され、前記磁性ゴムが、前記磁極N、Sの位相を合わせた状態で接着剤を介して積層されると共に、前記スリンガの立板部の側面に接着剤によって一体固定されているので、低コストで高磁力が得られると共に、高精度で安定した速度検出ができる磁気エンコーダを提供することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置を示す縦断面図である。 図1の検出部を示す要部拡大図である。 図2の磁気エンコーダを示す要部断面図である。 (a)は、図3の磁気エンコーダ単体を示す正面図、(b)は、(a)の側面図である。 図3の磁気エンコーダの変形例を示す分解図である。 本発明に係る磁気エンコーダの加工工程を示す説明図である。 図3の磁気エンコーダにおけるゴム磁石の積層前の磁束密度を示す模式図である。 図3の磁気エンコーダにおけるゴム磁石の積層後の磁束密度を示す模式図である。 本発明に係る磁気エンコーダの他の加工工程を示す説明図である。 図3の磁気エンコーダの他の変形例を示す要部断面図である。 従来の磁気エンコーダの組付および装着状態を示す要部断面図である。 従来の磁気エンコーダの要部断面図である。
回転速度センサに所定のエアギャップを介して対峙され、回転に伴う磁極変化によって車輪の回転速度を検出する磁気エンコーダにおいて、この磁気エンコーダが、エラストマに磁性体粉が混入され、予め周方向等配に交互に磁極N、Sが着磁された円板状の複数枚の磁性ゴムと、回転側部材に圧入される円筒部と、この円筒部の端部から径方向外方に延びる立板部とを備えたスリンガとで構成され、前記磁性ゴムが、一方の側面に凹部が形成され、この凹部に係合する他方の側面に凸部が形成されて前記磁極N、Sの位相を合わせた状態で接着剤を介して積層されると共に、前記スリンガの立板部の側面に接着剤によって一体固定されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る磁気エンコーダを備えた車輪用軸受装置を示す縦断面図、図2は
、図1の検出部を示す要部拡大図、図3は、図2の磁気エンコーダを示す要部断面図、図4(a)は、図3の磁気エンコーダ単体を示す正面図、(b)は、(a)の側面図、図5は、図3の磁気エンコーダの変形例を示す分解図、図6は、本発明に係る磁気エンコーダの加工工程を示す説明図、図7は、図3の磁気エンコーダにおけるゴム磁石の積層前の磁束密度を示す模式図、図8は、図3の磁気エンコーダにおけるゴム磁石の積層後の磁束密度を示す模式図、図9は、本発明に係る磁気エンコーダの他の加工工程を示す説明図、図10は、図3の磁気エンコーダの他の変形例を示す要部断面図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。
この車輪用軸受装置は駆動輪用の第3世代と称され、ハブ輪1と内輪2からなる内方部材3と、この内方部材3に複列の転動体(ボール)4、4を介して外挿された外方部材5とを備え、等速自在継手10が連結されている。
ハブ輪1は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ6を一体に有し、この車輪取付フランジ6の円周等配位置にハブボルト6aが植設されている。また、外周にはアウター側(一方)の内側転走面1aと、この内側転走面1aから軸方向に延びる円筒状の小径段部1bが形成され、内周にはトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)1cが形成されている。ハブ輪1の小径段部1bには外周に内輪2が所定のシメシロを介して圧入固定され、この内輪2の外周にインナー側(他方)の内側転走面2aが形成されている。
ハブ輪1はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼からなり、内側転走面1aをはじめ、後述するシール8のシールランド部となる車輪取付フランジ6のインナー側の基部6bから小径段部1bに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。内輪2および転動体4は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。
外方部材5はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼からなり、外周にナックル(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ5bを一体に有し、内周に前記内方部材3の複列の内側転走面1a、2aに対向する複列の外側転走面5a、5aが一体に形成されている。これら複列の外側転走面5a、5aは高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。この外方部材5の複列の外側転走面5a、5aと、これらに対向する内方部材3の複列の内側転走面1a、2a間には複列の転動体4、4がそれぞれ収容され、保持器7、7によって転動自在に保持されている。また、外方部材5と内方部材3との間に形成される環状空間の開口部にはシール8、9が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から軸受内部に雨水やダスト等が侵入するのを防止している。
なお、ここでは、転動体4をボールとした複列アンギュラ玉軸受で構成された車輪用軸受装置を例示したが、これに限らず転動体4に円すいころを使用した複列円すいころ軸受であっても良い。
等速自在継手10は、外側継手部材11と、図示しない継手内輪とケージおよびトルク伝達ボールとを備えている。外側継手部材11は、肩部12から軸方向に延びる軸部13を一体に有している。軸部13の外周にはハブ輪1のセレーション1cに係合するセレーション13aと、このセレーション13aの端部に雄ねじ13bが形成されている。そして、肩部12が内輪2の大端面と衝合するまでハブ輪1に外側継手部材11がセレーション1c、13aを介して内嵌され、雄ねじ13bに締結された固定ナット14によってハブ輪1と外側継手部材11がトルク伝達可能に、かつ着脱自在に結合されている。
インナー側のシール9は、図2に拡大してしめすように、内輪2の外径に圧入されたスリンガ18と、このスリンガ18に対向して外方部材5に装着され、断面略L字状に形成された環状のシール板19とからなる、所謂パックシールで構成されている。
シール板19は、外方部材5のインナー側の端部に内嵌される芯金20と、この芯金20に加硫接着されたシール部材21とからなる。芯金20は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)あるいは冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面略L字状に形成されている。一方、シール部材21は合成ゴム等の弾性部材からなり、サイドリップ21aと、グリースリップ21bおよび中間リップ21cからなる。
また、スリンガ18は、内輪2に圧入される円筒部18aと、この円筒部18aから径方向外方に延びる立板部18bとからなり、強磁性体の鋼鈑、例えば、フェライト系のステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)や防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工によって断面略L字状に形成されている。そして、シール部材21のサイドリップ21aが立板部18bに軸方向のシメシロを介して摺接されると共に、グリースリップ21bおよび中間リップ21cが円筒部18aに径方向のシメシロを介して摺接されている。なお、スリンガ18における立板部18bの外縁は、シール板19と僅かな径方向すきまを介して対峙してラビリンスシールが構成されている。
ここで、スリンガ18における立板部18bのインナー側の側面に積層された磁気エンコーダ22が接着剤によってそれぞれ一体に接合されている。この磁気エンコーダ22は、図3に示すように、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入された円板状の複数枚の磁性ゴム22a、22b、22cで構成されている。そして、図4に示すように、予め各磁性ゴム22a、22b、22cの周方向等配に交互に磁極N、Sが着磁されると共に、これら磁性ゴム22a、22b、22cの磁極N、Sの位相を合わせた状態で積層され、接着剤によって接合されている。本実施形態では、強磁性体の鋼鈑からなるスリンガ18に磁気エンコーダ22が一体に接合されているので、磁気エンコーダ22の磁力が強くなり安定した検出精度を確保することができる。また、こうした積層された磁気エンコーダ22では径方向の磁力を高めることができ、回転速度センサを磁気エンコーダ22に所定の径方向すきま(エアギャップ)を介して対峙させて車輪の速度検出をすることができ、磁気エンコーダ22の適用範囲が大きくなり、設計自由度が高くなる。
なお、接着剤としては、エポキシ樹脂系をはじめフェノール樹脂系、あるいは、ポリウレタン系やポリエチレン系等を例示することができる。また、テープ状のシートに予め接着剤が塗布または浸漬された、所謂粘着テープや粘着シートのようなものでも良い。
図5は、前述した磁気エンコーダの変形例を示す分解図である。この磁気エンコーダ23は、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入され、予め周方向等配に交互に磁極N、Sが着磁された円板状の複数枚の磁性ゴム23a、23bで構成されている。これら磁性ゴム23a、23bの一方の側面に凹部24が形成されると共に、この凹部24に対応する他方の側面に凸部25が形成されている。そして、これらの凹凸部24、25を係合させた状態で積層することにより、各磁性ゴム23a、23bの磁極N、Sの位相の位置決め精度を向上させた状態で接着することができる。
ここで、本実施形態では、スリンガ18の立板部18bの側面aに磁気エンコーダが接着剤によって接合されているが、この立板部18bの側面aが粗面化処理され、その表面粗さがRa0.8以上に設定されている。すなわち、スリンガ18の素材となる鋼板は、通常、表面粗さがRa0.2〜0.6の範囲であり、この表面がショットブラスト加工により粗面化処理されている。なお、Raは、JISの粗さ形状パラメータの一つで(JIS B0601−1994)、算術平均粗さ、すなわち、平均線から絶対値偏差の平均値を言う。
ショットブラスト加工は、図6に示すように、スリンガ18を回転治具26に載置させると共に、ショットブラスト用のノズル27をスリンガ18の立板部18bの側面aに対向させた状態で、回転治具26を旋回させ、スチールビーズ等のメディアを噴射させることにより行われる。ここで、スチールビーズの粒径は20〜100μm、噴射時間は約90秒、噴射圧は1〜3kg/cm2の条件でノズル27を矢印方向に移動させながらショットブラスト加工が施される。
このように、本実施形態では、スリンガ18の立板部18bの側面aがショットブラスト加工により粗面化処理され、その表面粗さがRa0.8以上に設定されているので、未処理の表面に比べ、接合面の凹凸部が増えて接触面積が増大し、磁気エンコーダとの密着性が向上する。したがって、過酷な環境下に曝されされても、スリンガ18と磁気エンコーダとが剥離するのを長期間に亘って防止することができる。なお、図示はしないが、磁気エンコーダを構成する複数枚の磁性ゴムの表面に無数の微小な凹部を形成するか、あるいは、磁性ゴムの表面を粗面化することにより、磁性ゴム同士およびスリンガとの接合力を高めることができる。
本実施形態では、磁気エンコーダ23が、予め周方向等配に交互に磁極N、Sが着磁された円板状の磁性ゴム23a、23b、23cで構成され、これら磁性ゴム23a、23b、23cのそれぞれの凹凸部24、25を係合させた状態で接着剤を介して積層されているので、磁極N、Sの位相を合わせが容易に、かつ正確にできるので、積層後に一括着磁するよりも大きな着磁強度が得られる。すなわち、図7に模式的に示すように、各磁性ゴム23a、23b、23c単体では、着磁力に限界があるため、例えば、軸方向すきま(エアギャップ)を介して回転速度センサ15によって検出する場合、高い磁束密度を確保することは難しいが、図8に示すように、各磁性ゴム23a、23b、23cの磁極N、Sの位相を合わせた状態で積層することにより、磁性ゴム単体からなる磁気エンコーダに比べ、低コストで高磁力が得られると共に、高精度で安定した速度検出ができる磁気エンコーダを提供することができる。
図9は、前述した磁気エンコーダの他の加工工程を示す説明図である。ここでは、各磁性ゴム23a、23b、23cの磁極N、Sの位相を合わせた状態で接着剤を介して積層して磁気エンコーダ23とし、この磁気エンコーダ23とスリンガ18とを最後に接着剤によって接合している。これにより、磁気エンコーダ23とスリンガ18の製造工程を別々にすることができ、コスト低減を図ることができる。
図10に前述した磁気エンコーダの他の変形例を示す。なお、前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符合を付して詳細な説明を省略する。
この磁気エンコーダ22は、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入された円板状の複数枚の磁性ゴム22a、22b、22cで構成され、予め周方向等配に交互に磁極N、Sが着磁されている。そして、これら磁性ゴム22a、22b、22cの磁極N、Sの位相を合わせた状態でスリンガ28における立板部18bのインナー側の側面aに積層され、カバー29によってスリンガ28に一体固定されている。
スリンガ28は、図示しない内輪に圧入される円筒部18aと、この円筒部18aから径方向外方に延びる立板部18b、および立板部18bから円筒部18aと反対側に延びる鍔部28aを備えている。このスリンガ28は、強磁性体の鋼鈑、例えば、フェライト系のステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)や防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工によって形成されている。ここでは、各磁性ゴム22a、22b、22cがスリンガ28の鍔部28aによって径方向に案内されているので、径方向の位置決め精度を向上させることができる。
一方、カバー29は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)等からなる非磁性の鋼鈑でプレス加工によって断面略L字状に形成され、スリンガ28の鍔部28aの外径に圧入される円筒部29aと、この円筒部29aの端部から径方向内方に延びる円板部29bとを備えている。そして、各磁性ゴム22a、22b、22cは、カバー29の円板部29bとスリンガ28の立板部18bとで挟持された状態で接着剤を介して一体化されている。本実施形態では、非磁性のカバー29によって磁気エンコーダ22がスリンガ28に固定されているので、検出精度に悪影響を及ぼさず、安定した検出精度を確保することができると共に、磁気エンコーダ22が外部に露出せずにその表面に異物が接触して損傷することがなく、耐久性と耐環境性を向上させることができる。
なお、カバー29の材質としては、検出精度に悪影響を及ぼさない、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の非磁性の樹脂材で射出成形によって形成されていても良い。また、それ以外に、アルミ合金、あるいはPA(ポリアミド)66、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の合成樹脂を例示することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る磁気エンコーダは、自動車等の車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置に装着され、車輪の回転速度を検出するロータリエンコーダとして適用することができる。
1 ハブ輪
1a、2a 内側転走面
1b 小径段部
1c、13a セレーション
2 内輪
3 内方部材
4 転動体
5 外方部材
5a 外側転走面
5b 車体取付フランジ
6 車輪取付フランジ
6a ハブボルト
6b 車輪取付フランジのインナー側の基部
7 保持器
8 アウター側のシール
9 インナー側のシール
10 等速自在継手
11 外側継手部材
12 肩部
13 軸部
13b 雄ねじ
14 固定ナット
15 回転速度センサ
18、28 スリンガ
18a、29a 円筒部
18b 立板部
19 シール板
20 芯金
21 シール部材
21a サイドリップ
21b グリースリップ
21c 中間リップ
22、23 磁気エンコーダ
22a、22b、22c、23a、23b、23c 磁性ゴム
24 凹部
25 凸部
26 回転治具
27 ノズル
28a 鍔部
29 カバー
29b 円板部
50、58 磁気エンコーダ
50a、59 被検出面
51、60 ホルダ
52、61 フランジ面
53 内輪
54 磁気センサ
55 外輪
56 リップシール
57 リップ端
62 立体形状
63 突起
a スリンガの立板部のインナー側の側面

Claims (11)

  1. 回転速度センサに所定のエアギャップを介して対峙され、回転に伴う磁極変化によって車輪の回転速度を検出する磁気エンコーダにおいて、この磁気エンコーダが、エラストマに磁性体粉が混入され、予め周方向等配に交互に磁極N、Sが着磁された円板状の複数枚の磁性ゴムと、回転側部材に圧入される円筒部と、この円筒部の端部から径方向外方に延びる立板部とを備えたスリンガとで構成され、前記磁性ゴムが、前記磁極N、Sの位相を合わせた状態で接着剤を介して積層されると共に、前記スリンガの立板部の側面に接着剤によって一体固定されていることを特徴とする磁気エンコーダ。
  2. 前記磁性ゴムの一方の側面に凹部が形成されると共に、この凹部に対応する他方の側面に凸部が形成され、これらの凹凸部を係合させた状態で積層されている請求項1に記載の磁気エンコーダ。
  3. 前記スリンガの立板部から前記円筒部と反対側に延びる円筒状の鍔部が形成され、この鍔部に前記磁性ゴムが径方向に案内されている請求項1または2に記載の磁気エンコーダ。
  4. 前記スリンガに非磁性体からなるカバーが装着され、このカバーが前記スリンガの鍔部に固定される円筒部と、この円筒部の端部から径方向に延びる円板部とを備え、前記磁気エンコーダが、前記スリンガの立板部の側面と前記カバーの円板部とで挟持された状態で一体化されている請求項3に記載の磁気エンコーダ。
  5. 前記カバーがオーステナイト系ステンレス鋼鈑からプレス加工によって形成されている請求項4に記載の磁気エンコーダ。
  6. 前記カバーが合成樹脂から射出成形によって形成されている請求項4に記載の磁気エンコーダ。
  7. 前記スリンガが強磁性体の鋼鈑からプレス加工によって形成されている請求項1乃至4いずれかに記載の磁気エンコーダ。
  8. 前記スリンガの立板部の側面がショットブラスト加工により粗面化処理され、その表面粗さがRa0.8以上に設定されている請求項7に記載の磁気エンコーダ。
  9. 前記磁性ゴムの表面に無数の微小な凹部が形成されている請求項1乃至3いずれかに記載の磁気エンコーダ。
  10. ナックルに固定され、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に嵌合された少なくとも一つの内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置において、
    前記内輪または外側継手部材に前記請求項1乃至9いずれかに記載の磁気エンコーダが装着され、前記ナックルに装着された回転速度センサに所定のエアギャップを介して対向配置されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  11. 前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部にシールが装着されると共に、これらシールのうちインナー側のシールが、前記内輪または外側継手部材の外径に圧入された前記スリンガと、このスリンガに対向して前記外方部材の端部内周に圧入された芯金、およびこの芯金に加硫接着によって一体に接合され、前記スリンガに摺接する複数のリップを有するシール部材からなる環状のシール板とで構成されている請求項10に記載の車輪用軸受装置。
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