WO2007058158A1

WO2007058158A1 - 位置調整式ステアリング装置

Info

Publication number: WO2007058158A1
Application number: PCT/JP2006/322622
Authority: WO
Inventors: Toshiyuki Yamada; Masayuki Nagaoka; Isao Matsui; Yota Uesaka
Original assignee: Fuji Kiko Co., Ltd.
Priority date: 2005-11-16
Filing date: 2006-11-14
Publication date: 2007-05-24
Also published as: JP4882127B2; JP2007137180A

Abstract

　位置調整式ステアリング装置(1) が、クランプ(7) のチルト用長孔(19)及びブラケット(8) のテレスコピック用長孔(38)に挿通された支軸(9) を備える。支軸(9) の軸線(9a)の回りに操作部材(10)が回動されると、カム機構(21,22) が、ロック解除用付勢部材(46)に抗して、第１の可動部材(48;48A)の第１のロック歯(61)及び第２の可動部材(47;47A)の第２のロック歯(54)を、クランプ(7) のチルトロック歯(20)及びブラケット(8) のテレスコピックロック(39)にそれぞれ噛合させる。クランプ(7) の第１の案内規制部(60)がチルト用長孔(19)の長手方向への第１の可動部材(48;48A)の移動を案内する。ブラケット(8) の第２の案内規制部(56)がテレスコピック用長孔(38)の長手方向への第２の可動部材(47;47A)の移動を案内する。第１及び第２の可動部材(48,47;48A,47A) が上記軸線(9a)を中心として相対回動可能に嵌め合わされている。

Description

明細書

位置調整式ステアリング装置

技術分野

[0001] 本発明は、ステアリングホイールの位置をチルト調整およびテレスコピック調整可能な位置調整式ステアリング装置に関する。

背景技術

[0002] 運転者の体格や運転姿勢等に応じて、ステアリングホイールの高さを変えるためのチルト調整機能と、ステアリングホイールをステアリングシャフトの軸方向に沿って位置調整する、いわゆるテレスコピック調整機能とを付加した、位置調整式ステアリング装置が提供されている。

この種の位置調整式ステアリング装置として、チルトロックおよびテレスコピックロックの状態を保持する力を向上させるために、歯の嚙み合、を用いる場合がある（例えば特許文献 1および特許文献 2を参照)。

特許文献 1：特開平 8— 99640号公報

特許文献 2：特開 2004 - 1758号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0003] チルト調整では、ステアリングコラムがチルト中心軸を中心として円弧運動される。したがって、嚙み合わされる歯も円弧状に配列する必要があり、実際上、製造が困難である。

また、ステアリング装置の仕様毎に、円弧運動の旋回半径が異なるので、歯を有する部品の汎用性がない。その結果、製造コストが高くなる。

[0004] そこで、本発明の目的は、製造が簡単で汎用性が高、位置調整式ステアリング装置を提供することである。

課題を解決するための手段

[0005] 上記目的を達成するため、本発明は、一態様において、車体に固定されたクランプと、ステアリングシャフトを回転可能に支持するステアリングコラムと、ステアリングコラムに固定され、上記クランプの内側に配置されたブラケットと、上記クランプに形成されたチルト用長孔および上記ブラケットに形成されたテレスコピック用長孔に揷通された支軸と、上記チルト用長孔の縁に形成されたチルトロック歯と、上記テレスコピック用長孔の縁に形成されたテレスコピックロック歯とを備えた位置調整式ステアリング装置を提供する。

[0006] また、上記位置調整式ステアリング装置は、上記チルトロック歯に嚙合可能な第 1のロック歯を有し、上記支軸に軸方向移動可能に嵌合した第 1の可動部材と、上記テレスコピックロック歯に嚙合可能な第 2のロック歯を有し、上記支軸に軸方向移動可能に嵌合した第 2の可動部材とを備える。また、上記位置調整式ステアリング装置は、上記第 1の可動部材および上記第 2の可動部材を、それぞれ、チルトロック歯およびテレスコピックロック歯力離れる方向に付勢するロック解除用付勢部材と、上記支軸の軸線の回りに回動操作可能な操作部材と、上記操作部材の回動に伴って、上記口ック解除用付勢部材に抗して、上記第 1の可動部材および上記第 2の可動部材を、それぞれ、上記チルトロック歯および上記テレスコピックロック歯に嚙合させるカム機構とを備える。

[0007] また、上記位置調整式ステアリング装置は、上記クランプに設けられ、上記支軸の上記軸線回りの、上記第 1の可動部材の回動を規制し、且つ上記チルト用長孔の長手方向への、上記第 1の可動部材の移動を案内する第 1の案内規制部と、上記ブラケットに設けられ、上記支軸の上記軸線回りの、上記第 2の可動部材の回動を規制し、且つ上記テレスコピック用長孔の長手方向への、上記第 2の可動部材の移動を案内する第 2の案内規制部とを備える。上記第 1の可動部材および上記第 2の可動部材カ上記支軸の上記軸線を中心として相対回動可能に嵌め合わされている。

[0008] 上記チルト用長孔が直線状に延びるレイアウトを採用した場合、チルト調整をするときに、チルト調整に伴って、チルト方向とテレスコピック方向との交差角が変化する。本態様では、チルトロックおよびテレスコピックロックが解除された状態で、上記第 1の可動部材および上記第 2の可動部材が相対回動できるので、上記交差角が変化しても、歯の嚙み合わせに支障が生ずることがない。

[0009] その結果、可及的に、上記チルト用長孔が直線状に延びているレイアウトを採用することが実質的に可能となる。また、上記チルトロック歯やこれに嚙み合う上記第 1の可動部材の上記ロック歯を円弧状に配列する必要がない。したがって、上記クランプや上記第 1の可動部材の汎用性を高めることができる。

また、チルトロックおよびテレスコピックロックが解除された状態で、上記第 1の可動部材および上記第 2の可動部材が相対回動できるので、各可動部材を、対応する案内規制部によってそれぞれの調整方向に案内しながら、チルト調整ゃテレスコピック調整を実施できるという利点もある。

[0010] また、上記第 1の可動部材および第 2の可動部材を相対回動可能とするために、好ましくは、上記第 1の可動部材および上記第 2の可動部材は、互いに嵌め合わされた嵌合面を含み、上記第 1の可動部材および上記第 2の可動部材の嵌合面のそれぞれは、上記支軸の上記軸線を中心とする円筒面の少なくとも一部を含んでいる。また、好ましくは、上記支軸の上記軸線の延びる方向に関して、上記第 2の可動部材が、上記ロック解除用付勢部材と上記第 1の可動部材との間に介在し、上記ロック解除用付勢部材が、上記第 2の可動部材を介して上記第 1の可動部材を付勢するようにしてある。この場合、唯一のロック解除用付勢部材を設けるのみでよいので、安価で且つスペースを削減できる。

[0011] また、好ましくは、上記第 1の案内規制部は、上記チルト用長孔の内面に設けられている。この場合、構造を簡素化できる。

また、好ましくは、上記ブラケットに形成された圧入孔に圧入された溝形部材を備え、上記溝形部材は、ウェブと、上記ウェブ力延設された一対のフランジとを含み、上記ウェブに、上記テレスコピック用長孔および上記テレスコピックロック歯が設けられており、上記一対のフランジのそれぞれ内面に、上記第 2の案内規制部が設けられている。この場合、溝形部材の仕様を種々設定することにより、安価に多品種のブラゲットを製造することができる。

[0012] なお、本発明において、カム機構として、ねじとナットが組み合わされた機構が用いられる場合がある。

図面の簡単な説明

[0013] [図 1]本発明の一実施の形態の位置調整式ステアリング装置の要部の断面図である [図 2]上記位置調整式ステアリング装置の要部の分解斜視図である。

[図 3]上記位置調整式ステアリング装置の要部の断面図であり、チルトロックおよびテレスコピックロックが達成された状態を示して、る。

[図 4]上記位置調整式ステアリング装置の要部の断面図であり、チルトロックおよびテレスコピックロックが解除された状態を示して、る。

[図 5]第 1の可動部材の背面図である。

[図 6]本発明の別の実施の形態の第 2の可動部材の背面図である。

[図 7]図 6の第 2の可動部材の正面図である。

[図 8]図 6の VIII— VIII線に沿う断面図である。

[図 9]図 6の第 2の可動部材と組み合わされる第 1の可動部材の背面図である。

[図 10]図 6の第 2の可動部材と図 9の第 1の可動部材との嵌合状態を示す、概略断面図である。

発明の実施の形態

[0014] 本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。

図 1は本発明の一実施の形態の位置調整式ステアリング装置の要部の縦断面図である。図 1を参照して、本位置調整式ステアリング装置 1 (以下では、単にステアリング装置 1ともいう）は、軸方向上端にステアリングホイール (不図示）が固定されるステアリングシャフト 2を回動可能に支承するステアリングコラム 3を備えている。

[0015] ステアリングコラム 3は、軸方向に相対摺動可能に嵌め合わされた、アウターのアツパージャケット ₄およびインナ一のロアージャケット 5を備えて、る。これらのジャケット

4, 5は、ステアリングシャフト 2を回動可能に支承するチューブにより構成されている。ロアージャケット 5の軸方向下端部は、図示しないチルト中心軸の回りに回動可能に支持されており、これにより、ステアリングコラム 3の全体がチルト中心軸の回りに回動可能となっている。

[0016] 図 1および分解斜視図である図 2を参照して、ステアリング装置 1は、車体 6に固定された下向きに開放する溝形をなすクランプとしてのアッパークランプ 7と、ステアリングコラム 3のアッパージャケット 4に固定され、アッパークランプ 7の内側に配置されたブラケットとしてのディスタンスブラケット 8と、アッパークランプ 7およびディスタンスブラケット 8を挿通する支軸 9とを備えている。また、ステアリング装置 1は、上記支軸 9の軸線 9aの回りに回動操作される操作部材としての操作レバー 10と、その操作レバー 10の回動に伴って、アッパークランプ 7によってディスタンスブラケット 8をクランプさせて、チルトロックおよびテレスコピックロックを達成するためのカム機構 11とを備えている。

[0017] アッパークランプ 7は、相対向する一対の側板 12, 13と、これらの側板 12, 13の上部を互いに連結する上板 14とを有している。アッパークランプ 7の上部は溝形の補強板 15によって補強されている。アッパークランプ 7は、補強板 15とともに、取付ブラケット 16によって、車体 6に固定されている。

アッパークランプ 7の一方の側板 12には、縦長直線状の圧入孔 17が形成され、その圧入孔 17に、チルト用長孔形成体 18が圧入により固定されている。そのチルト用長孔形成体 18には、直線状に延びる縦長のチルト用長孔 19が形成されており、そのチルト用長孔 19の縁には、チルトロック歯 20が形成されている。そのチルトロック歯 20は、チルト用長孔 19の長手方向に直交する鋸歯状に形成されている。チルトロック歯 20として、鋸歯に代えて、周期的に繰り返す凹凸を用いてもよい。また、アッパークランプ 7の他方の側板 13には、縦長の直線状に延びたチルト用長孔 21が形成されている。

[0018] カム機構 11は、支軸 9の外周に嵌め合わされた環状の第 1のカム部材 22および環状の第 2のカム部材 23を備えている。第 1および第 2のカム部材 22, 23は互いの対向面にカム突起を形成して、る。これらのカム突起が周方向に位相をずらすことにより、第 1および第 2のカム部材 22, 23が軸方向に互いに押圧する。

第 1のカム部材 22は操作レバー 10と一体回転可能に連結されている。具体的には、操作レバー 10の基端部に形成された角形の圧入孔 24に、第 1のカム部材 22の一部が圧入され固定されている。また、操作レバー 10の基端部付近には、ねじ 25によつて、ストッパプレート 26が固定されている。そのストッパプレート 26は、支軸 9の一端に形成された角形の頭部 27の周面に、相対回転不能に係合する角形の係合孔 28 を有している。 [0019] 第 2のカム部材 23は、アッパークランプ 7の他方の側板 13の外側面に沿う主体部 2 9と、主体部 29から突出してチルト用長孔 21に嵌合される角形の凸部 30とを有している。チルト用長孔 21は、凸部 30を介して、第 2のカム部材 23を、チルト用長孔 21 の長手方向 Y1に沿って移動可能に案内する一方、第 2のカム部材 23の回動を規制している。

[0020] これにより、操作レバー 10が回動操作されると、第 1および第 2のカム部材 22, 23 が相対回動し、これにより、操作レバー 10とアッパークランプ 7の他方の側板 13との間隔が調整される。

ディスタンスブラケット 8は、上向きに開放された溝形をなしており、一対の側板 31, 32を有している。一方の側板 31には、圧入孔 33が形成され、その圧入孔 33に、テレスコ用長孔形成体としての溝形部材 34が取り付けられている。具体的には、溝形部材 34は、ウェブ 35と一対のフランジ 36とを有し、ウェブ 35の裏面に形成された凸部 37が上記の圧入孔 33に圧入されている。

[0021] ウェブ 35には、上記凸部 37を貫通し直線状に延びるテレスコ用長孔 38が形成されている。また、ウェブ 35の表面において、テレスコ用長孔 38の縁に、テレスコピック口ック歯 39が形成されている。テレスコピックロック歯 39は、テレスコ用長孔 38の長手方向に直交する鋸歯状に形成されている。テレスコピックロック歯 39として、鋸歯に代えて、周期的に繰り返される凹凸を用いてもよい。

[0022] ディスタンスブラケット 8の他方の側板 32には、第 2のカム部材 23の凸部 30を嵌合させる直線状に延びるテレスコ用長孔 40が形成されている。

ディスタンスブラケット 8は、一対の側板 31, 32の下端部間を連結する連結板 41を有しており、この連結板 41と平行にカラー 42が配置されている。カラー 42は、一対の側板 31, 32間で、支軸 9を挿通させている。カラー 42は、凸部 43を有し、凸部 43は、図 1に示すように、アッパージャケット 4を貫通して、インナージャケット 5の周面に軸方向に摺動可能に接触して!/、る。

[0023] また、ディスタンスブラケット 8の連結板 41は、カラー 42に対向する起伏部 44を有している。上記起伏部 44は、ディスタンスブラケット 8の剛性を向上する働きをする。図 2に示すように、支軸 9は、溝形部材 34のテレスコ用長孔 38を貫通した先で、ヮッシャ力もなるばね座 45、圧縮コイルばね力もなるロック解除用付勢部材 46、第 2の可動部材 47、第 1の可動部材 48、スラストベアリング 49、環状のヮッシャ 50を順次に挿通しており、支軸 9の先端はナット 51にねじ込まれて固定されている。第 1の可動部材 48および第 2の可動部材 47は、環状または環状の一部を形成する形状をなし、支軸 9の軸方向に移動可能に嵌合されている。

[0024] チルトロックおよびテレスコピックロックが達成された状態を示す図 3、および上記口ックが解除された状態を示す図 4を参照して、ばね座 45は、溝形部材 34のウェブ 35 のテレスコ用長孔 38の縁によって受けられている。ウェブ 35は、テレスコピックロック歯 39よりもテレスコ用長孔 38に近い平坦部で、ばね座 45を受けている。

図 2、図 3および図 4を参照して、第 2の可動部材 47は、上記ロック解除用付勢部材 46を収容した有底の円筒状の筒状部 52と、筒状部 52の開放端に延設されたフランジ 53とを備えている。フランジ 53の端面には、テレスコピックロックされるときにテレスコピックロック歯 39と嚙み合う第 2のロック歯 54が形成されている。

[0025] 第 2の可動部材 47は、チルト用長孔 19を遊びを有して挿通しており、この状態で、第 2の可動部材 47のフランジ 53が、溝形部材 34の内側に嵌め合わされている。具体的には、第 2の可動部材 47のフランジ 53は、上下一対の被案内部 55を有しており、一対の被案内部 55が、溝形部材 34の一対のフランジ 36の内面に沿わされているすなわち、溝形部材 34の一対のフランジ 36の内面に、第 2案内規制部 56が設けられている。第 2案内規制部 56は、支軸 9の軸線 9a回りの、第 2の可動部材 47の回動を規制し、且つテレスコ調整するときに、テレスコ用長孔 38の長手方向 XI (テレスコ方向）への、第 2の可動部材 47の移動を案内する。

[0026] 第 1の可動部材 48は、第 2の可動部材 47の筒状部 52の外周に回動可能に嵌め合わされた筒状部 57と、筒状部 57の底から両側方に延設された一対の延設部 58とを備えている。筒状部 57の内周面は、第 2の可動部材 47の筒状部 52の外周に合致する円筒面に形成されている。

第 2の可動部材 47の筒状部 52の外周は、支軸 9の軸線 9aを中心とする円筒面の少なくとも一部により構成された嵌合面を含んでいる。第 1の可動部材 48の筒状部 5 7の内周は、支軸 9の軸線 9aを中心とする円筒面の少なくとも一部により構成された嵌合面を含んでいる。第 2の可動部材 47の筒状部 52の上記外周の上記嵌合面と、第 1の可動部材 48の筒状部 57の上記内周の上記嵌合面とが、互いに嵌め合わされている。

[0027] 第 1の可動部材 48の筒状部 57は、チルト用長孔 19の内側に嵌め合わされている。

具体的には、第 1の可動部材 48の筒状部 57の外周面は、相対向する一対の平坦面力もなる被案内部 59を有しており、一対の被案内部 59が、チルト用長孔 19の内面に沿わされている。

すなわち、チルト用長孔 19の内面に、第 1案内規制部 60が設けられている。第 1案内規制部 60は、支軸 9の軸線 9a回りの、第 1の可動部材 48の回動を規制し、且つチルト調整するときに、チルト用長孔 19の長手方向 Y1 (チルト方向）への、第 1の可動部材 48の移動を案内する。また、第 1の可動部材 48の一対の延設部 58には、チルトロッタされるときに、チルトロック歯 20と嚙み合う第 1のロック歯 61 (図 5参照）が形成されている。

[0028] 図 3および図 4を参照して、上記のロック解除用付勢部材 46は、ばね座 45と第 2の可動部材 47の筒状部 52の底との間に介在している。ロック解除用付勢部材 46は、第 2の可動部材 47をテレスコピックロックが解除される方向に付勢するとともに、第 2 の可動部材 47を介して第 1の可動部材 48をチルトロックが解除される方向に付勢している。

[0029] 操作レバー 10をロック方向に回動操作すると、第 2のカム部材 23が、アッパークランプ 7の側板 13を押圧する。また、ナット 51が、ロック解除用付勢部材 46に抗して、ヮッシャ 50およびスラストベアリング 49を介して、第 1の可動部材 48をアッパークランプ 7の側板 12のチルトロック歯 20に押圧する。その結果、図 3に示すように、チルトロックが達成される。また、第 1の可動部材 48によって押圧された第 2の可動部材 47の第 2のロック歯 54力テレスコピックロック歯 39に係合し、テレスコピックロックが達成される。

[0030] 一方、操作レバー 10をロック解除方向に回動操作すると、アッパークランプ 7によるクランプが解除される。その結果、ロック解除用付勢部材 46によって、図 4に示すように、第 2の可動部材 47および第 1の可動部材 48を一括してロック解除方向に移動され、チルトロック歯 20およびテレスコピックロック歯 39とそれぞれ対応するロック歯 61 , 54との係合が解除される。これにより、チルトロックおよびテレスコピックロックが解除される。

[0031] 以上説明した本実施の形態によれば、下記の利点がある。すなわち、本実施の形態のように、チルト用長孔 19, 21が直線状に延びるレイアウトを採用した場合、チルト調整をするときに、チルト調整に伴ってチルト方向（上記のチルト用長孔 19, 21の長手方向 Y1に相当）とテレスコピック方向（テレスコピック用長孔 38, 40の長手方向 XI に相当）との交差角が変化する。

[0032] 本実施の形態では、チルトロックおよびテレスコピックロックが解除された状態で、第 1の可動部材 48および第 2の可動部材 47が相対回動できるので、上記の交差角が変化しても、対応するロック歯 20, 61 ; 39, 54の嚙み合わせに支障が生ずることがない。

これにより、チルト用長孔 19, 21が直線状に延びているレイアウトを採用することが実質的に可能となる。チルト用長孔 19, 21が直線状に延びているので、チルトロック歯 20やこれに嚙み合う第 1の可動部材 48の第 1のロック歯 61を円弧状に配列する必要がない。したがって、アッパークランプ 7や第 1の可動部材 48の汎用性を高めることができる。

[0033] また、チルトロックおよびテレスコピックロックが解除された状態で、第 1の可動部材 48および第 2の可動部材 47が相対回動できるので、各可動部材 48, 47を対応する案内規制部 60, 56によってそれぞれの調整方向に案内しながら、チルト調整ゃテレスコ調整を実施することができる。

また、上記支軸 9の軸線 9aの方向に関して、第 2の可動部材 47が、ロック解除用付勢部材 46と第 1の可動部材 48との間に介在し、ロック解除用付勢部材 46が、第 2の可動部材 47を介して第 1の可動部材 48をロック解除方向に付勢するようにしたので、ロック解除用付勢部材 46は唯一設けるのみでよい。したがって、安価であり省スぺ一ス化を通じて小型化を達成することができる。

[0034] また、チルトロック用のロック歯 20, 61およびテレスコピックロック用のロック歯 39, 5 4力アッパークランプ 7の一方側（側板 12側）のみに配置され、チルトおよびテレスコのロック方向が互いに同じ方向であり、且つこれらのロック解除方向が互いに同じ方向であるので、ロックストロークやロック解除ストロークを少なくすることができる。また、チルトロックおよびテレスコピックロックに係わる部品である、ロック解除用付勢部材 4

6、第 1の可動部材 48および第 2の可動部材 47等を同方向から組み付けることができ、組立性を向上することができる。

[0035] また、上記第 1案内規制部 60が、チルト用長孔 19の内面に設けられているので、構造を簡素化することができる。

また、テレスコ用長孔 38、テレスコピックロック歯 39および第 2案内規制部 56を有する溝形部材 34を、ディスタンスブラケット 8の圧入孔 33に圧入固定するようにしたので、溝形部材 34の仕様を種々設定することにより、安価に多品種のディスタンスブラケット 8を製造することができるという利点がある。

[0036] 同様に、チルト用長孔 19およびチルトロック歯 20を有するチルト用長孔形成体 18 をアッパークランプ 7の圧入孔 17に圧入固定するようにしたので、安価に多品種のァッパークランプ 7を製造することができるという利点がある。

次いで、図 6から図 10は、本発明の別の実施の形態として、第 1の可動部材および第 2の可動部材の変更例を示している。図 6から図 8を参照して、第 1の可動部材 47 Aは、有底の筒状部 52Aを有しており、その筒状部 52Aの開放端の端面 62に、テレスコピックロックのための一対の第 2のロック歯 54が形成されている。また、筒状部 52 Aの底壁 63には、支軸揷通孔 64が貫通形成されており、底壁 63の環状の内面 63a によって、上記のロック解除用付勢部材 46の一端が受けられるようになって、る。

[0037] 筒状部 52Aの外周は、互いの間に二面幅を形成する相対向する一対の平坦面 65 と、相対向する一対の嵌合面 66とを含んでいる。各嵌合面 66は、円弧状面、すなわち、円筒面の一部により構成されている。

また、筒状部 52Aの外周の一対の円弧状面 66の一部は、筒状部 52Aの開放端から所定距離までの部分において切り欠かれ、これにより、上記の溝形部材 34の上記一対のフランジ 36の内面によって案内される一対の被案内部 55が設けられている。

[0038] 一方、図 9を参照して、第 2の可動部材 48Aは有底の筒状部 67を有している。その筒状部 67の開放端の端面 68に、チルトロック用の一対の第 1のロック歯 61が形成されている。また、筒状部 67の底壁 69には、支軸揷通孔 70が貫通形成されている。また、筒状部 67の開放端の端面 68には、筒状部 67の径方向に相対向する一対の嵌合壁 71が延設されている。各嵌合壁 71は円弧状をなし、嵌合面 72を含んでいる。各嵌合面 72は、円弧状面、すなわち、円筒面の一部により構成されている。

[0039] 図 10に示すように、第 1の可動部材 48Aの一対の嵌合面 72が、第 2の可動部材 4 7Aの一対の嵌合面 66に、それぞれ嵌合している。これにより、第 1の可動部材 48A および第 2の可動部材 47Aが相対回動可能となっている。

なお、本発明において、第 2の可動部材 47, 47Aの第 2のロック歯 54とテレスコピックロック歯 39間に支軸 9の軸力を作用させないようにすることもできる。支軸 9の軸力が作用しない状態においても、両ロック歯 54, 39が係合していれば、テレスコピック口ックを達成することができる。

[0040] また、図 3の実施の形態において、第 1の可動部材 48の筒状部 57の底と第 2の可動部材 47の筒状部 52の底との間に、第 2の可動部材 47の第 2のロック歯 54をテレスコピックロック歯 39に弹性的に付勢するための、例えば皿ばね力もなる付勢部材を介在するようにしてもよい。また、図 6〜図 10の実施の形態において、第 1の可動部材 4 8Aの筒状部 67の底壁 69と第 2の可動部材 47Aの筒状部 52Aの底壁 63との間に、第 2の可動部材 47Aの第 2のロック歯 54をテレスコピックロック歯 39に弹性的に付勢するための、例えば皿ばね力なる付勢部材を介在するようにしてもよい。これらの場合、各部品の寸法交差が多少ばらついたとしても、チルトロックが達成された状態で、第 2のロック歯 54をテレスコピックロック歯 39に確実に係合させて、テレスコピック口ックを確実に達成することができる。

[0041] また、カム機構 11として、ねじとナットの組み合わせを用いてもよい。

以上、本発明を具体的な態様により詳細に説明したが、上記の内容を理解した当業者は、その変更、改変及び均等物を容易に考えられるであろう。したがって、本発明はクレームの範囲とその均等の範囲とするべきである。

本出願は 2005年 11月 16日に日本国特許庁に提出された 2005— 331802号に対応しており、この出願の全開示はここに引用により組み込まれるものとする。

Claims

請求の範囲

[1] 車体に固定されたクランプと、

ステアリングシャフトを回転可能に支持するステアリングコラムと、

ステアリングコラムに固定され、上記クランプの内側に配置されたブラケットと、上記クランプに形成されたチルト用長孔および上記ブラケットに形成されたテレスコピック用長孔に揷通された支軸と、

上記チルト用長孔の縁に形成されたチルトロック歯と、

上記テレスコピック用長孔の縁に形成されたテレスコピックロック歯と、

上記チルトロック歯に嚙合可能な第 1のロック歯を有し、上記支軸に軸方向移動可能に嵌合した第 1の可動部材と、

上記テレスコピックロック歯に嚙合可能な第 2のロック歯を有し、上記支軸に軸方向移動可能に嵌合した第 2の可動部材と、

上記第 1の可動部材および上記第 2の可動部材を、それぞれ、チルトロック歯およびテレスコピックロック歯力離れる方向に付勢するロック解除用付勢部材と、上記支軸の軸線の回りに回動操作可能な操作部材と、

上記操作部材の回動に伴って、上記ロック解除用付勢部材に抗して、上記第 1の可動部材および上記第 2の可動部材を、それぞれ、上記チルトロック歯および上記テレスコピックロック歯に嚙合させるカム機構と、

上記クランプに設けられ、上記支軸の上記軸線回りの、上記第 1の可動部材の回動を規制し、且つ上記チルト用長孔の長手方向への、上記第 1の可動部材の移動を案内する第 1の案内規制部と、

上記ブラケットに設けられ、上記支軸の上記軸線回りの、上記第 2の可動部材の回動を規制し、且つ上記テレスコピック用長孔の長手方向への、上記第 2の可動部材の移動を案内する第 2の案内規制部とを備え、

上記第 1の可動部材および上記第 2の可動部材が、上記支軸の上記軸線を中心として相対回動可能に嵌め合わされている、位置調整式ステアリング装置。

[2] 請求項 1記載の位置調整式ステアリング装置において、上記チルト用長孔が直線状に延びている。

[3] 請求項 1記載の位置調整式ステアリング装置にぉ、て、

上記第 1の可動部材および上記第 2の可動部材は、互いに嵌め合わされた嵌合面を含み、

上記第 1の可動部材および上記第 2の可動部材の嵌合面のそれぞれは、上記支軸の上記軸線を中心とする円筒面の少なくとも一部を含む。

[4] 請求項 1記載の位置調整式ステアリング装置にぉ、て、

上記支軸の上記軸線の延びる方向に関して、上記第 2の可動部材が、上記ロック解除用付勢部材と上記第 1の可動部材との間に介在し、

上記ロック解除用付勢部材が、上記第 2の可動部材を介して上記第 1の可動部材を付勢するようにしてある。

[5] 請求項 1記載の位置調整式ステアリング装置において、上記第 1の案内規制部は、上記チルト用長孔の内面に設けられている。

[6] 請求項 1記載の位置調整式ステアリング装置にぉ、て、

上記ブラケットに形成された圧入孔に圧入された溝形部材を備え、

上記溝形部材は、ウェブと、上記ウェブ力延設された一対のフランジとを含み、上記ウェブに、上記テレスコピック用長孔および上記テレスコピックロック歯が設けられており、

上記一対のフランジのそれぞれ内面に、上記第 2の案内規制部が設けられている。