WO2007037200A1

WO2007037200A1 - 増毛具及びその製造方法

Info

Publication number: WO2007037200A1
Application number: PCT/JP2006/318959
Authority: WO
Inventors: Sakiko Imai; Katsuo Sugai
Original assignee: Aderans Holdings Co., Ltd.
Priority date: 2005-09-27
Filing date: 2006-09-25
Publication date: 2007-04-05
Also published as: PL1929890T3; JP2007092202A; HK1122709A1; JP4883554B2; CA2621515C; US20100163069A1; KR100991223B1; ES2336143T3; MY143717A; KR20080055943A; CA2621515A1; TWI313162B; EP1929890A1; DE602006010414D1; EP1929890A4; US8104486B2; RU2008109366A; AU2006296017A1; TW200727803A; CN100577047C

Abstract

　線材が視認されにくく、また結び目が緩みにくく、ボリューム感に優れると共に、ヘアスタイルの自由性を向上する増毛具（１０）において、各毛髪（１２）が、植設フレーム（１１）を構成するリブ（１１ｂ）に対して、一側（１２ａ）で二回掛け、そして他側（１２ｂ）で一回掛け後払いにより結着されるように構成する。植設された毛髪の一側（１２ａ）がリブに対して立ち上がるよう支持され、他側（１２ｂ）はリブ（１１ｂ）上でこれに沿って横たわって延び出るように結着されることで、毛流が複数本のリブ（１１ｂ）上でその長手方向に形成されるので、リブ（１１ｂ）が覆い隠されて視認されにくくなる。

Description

明細書

増毛具及びその製造方法

技術分野

[0001] 本発明は頭部の薄毛の部位を覆うかつらに利用できる増毛具に係り、たとえば、フイラメントを縦横に格子状に配置して成るネット部材を主体としたかつらベースに対して、或いは、剛性と弾力性を有する細長い線状のリブを組み合わせて形成した植設フレームに対して、見栄えよく毛髪を取り付け得る増毛具と、その製造方法に関するものである。

背景技術

[0002] かつらは、一般に、薄、合成樹脂で形成した人工皮膚製のシート状又はフィルム状のかつらベースとこのかつらベースに植設した毛髪とで構成されて、る。この人工皮膚等の面状に形成されたかつらベースに毛髪を植設する場合は、シングル植え、パンシングル植え、パンダブル植えという公知の植毛技術を用いて、毛流や毛量を使用者の好みやヘアスタイルに応じて自由に表現することができる。例えば、バックスタィルに仕上げた!/、場合は、前額部から頭頂部へかけて毛髪が後方へ延びるように毛植えし、側頭部は斜め後方の毛流を呈するように毛植え作業を行なうことができる。また、人工皮膚のかつらベースでは、分髪部を形成する場合やつむじを形成する場合にも、毛流が所定の方向に延びるように、毛髪の毛流や植毛密度を自由に設定して作業することができる。このように、シート状、フィルム状又は緻密な織布などで面状に形成されたかつらベースに対しては、公知の植毛方法を適宜織りまぜることで使用者の好みに応じたヘアスタイルを自由に表現することが可能である。

[0003] ところで、薄毛の状態が軽度の場合や、頭部の一部分だけを毛髪量を増やしたヽ場合などには、人工皮膚で面状に形成したかつらベースを装着すると気密性が高いため、鬱陶しいこともあって、より手軽に扱えるヘアピースとして、人工皮膚製のベースに代えて軽量で通気性に優れたネットを主体とした増毛具が用いられる。この種の増毛具は、フィラメントを格子状に配置したネットベースや、剛性と弾力性を有する細長、線状のリブを組み合わせて骨格状に形成した植設フレームなどが多用されてヽる。

例えば、図 13の概略斜視図に示すように、骨格様の植設フレーム 32とこの植設フレーム 32に結束された毛髪 33とから構成された増毛具 30は、軽量で通気性に優れることに加え、所望の適度な増毛が可能であり、し力も自毛を十分に活用しつつ自在にヘアスタイルのノリエーシヨンを表現し得ることから、近時普及しつつある。骨格様の増毛具 30は、中心の連結用リブ 32aとこの連結用リブ 32aから両側に延びる複数本のリブ 32bとを備えた植設フレーム 32からなり、この植設フレーム 32は使用者の頭部形状に沿うように湾曲して形成されている（特許文献 1参照)。毛髪 33は、図 13では一部のみが示され、大部分の毛髪 33が省略されている力実際には、植設フレーム 32の各ジブ 32a, 32bに対して密に結着されて!/、る。

[0004] 毛髪 33は、上記植設フレーム 32の各リブ 32a, 32bに対して上記公知の結び方で結着される。図 14は、図 13のリブ 32a, 32bへ公知の、例えばパンシングル植えの技法を用いて結着した毛髪 33による毛流を模式的に示す拡大斜視図である。各毛髪 3 3は、 1本又は 2, 3本の毛髪を揃えて中央部を二つ折りにして、その折り返し部分を 3 2a,リブ 32bに結び目 33cを設けてそれぞれ植設する。なお、「植設」又は「植毛」の用語は、ここでは毛髪を線材に結着したり又は面状のかつらベースに縫着、接着などで取り付ける場合を広く含む概念で用いて、る。

[0005] ところで、上記ネットベースゃ植設フレームに対して毛髪を植設する場合は、フイラメントやリブ（以下、これらをまとめて、線材と総称する。）が細長い線材であるため、この線材に毛髪を卷回して、上記シングル植え、パンシングル植え、パンダブル植えという公知の植毛技術を用いて結びつけることになる。そのため、人工皮膚への植毛と異なり、フィラメント又はリブに取り付けた毛の流れは一定方向に制限されざるを得ない。すなわち、ネット部材ゃ植設フレームの何れの場合も、縦横或いは斜め方向に線材を組み合わせて形成していることから、例えば、頭部の前後方向に配置した線材に対して毛髪を結着する場合は、結着した毛髪の一側と他側とが共に線材に対して直交する方向、すなわち左右に毛分かれした毛流となってしまい、例えばバックスタィルに整えたい場合にも後方への毛流を出現することが困難である。

[0006] いま、図 14に示すように、植設フレーム 32の前後方向に配置した線材 32bに対して公知のシングル植え、パンシングル植え、パンダブル植えを用いて毛髪 33を結着する場合を、図 15〜図 17を参照して説明する。

図 15において、線材 32bの上端側が前額部方向、下端側が後頭部方向に配置されているとする。先ず、シングル植えは、二つ折りにした毛髪 33を捻転してループ 34 を形成し（図 15 (A)参照）、このループ 34を毛植え針で線材 32bの下側から上側に卷回して毛髪の一側 33aと他側 33bの双方をループ 34から引き出して結着する方法である（同図（B) , (C)参照)。従って、シングル植えで結着された毛髪の一側 33aと他側 33bは共に頭部の前後方向に配置した線材 32bに対して直角方向に水平状態で支持され、図において右側の毛流となる。

[0007] パンシングル植えは、図 16に示すように、二つ折りにした毛髪 33を捻転してループ 34を形成し（図 16 (A)参照）、上記と同様にこのループ 34を毛植え針で線材 32bの下側から上側に卷回し（同図（B)参照）、次に毛髪の他側 33bだけをループ 34から引き出して線材に結着する方法である（同図（C)参照)。この方法では、図において毛髪の一側 33aは線材 32bに対して左側に、他側 33bは右側に直交した、左右方向の毛流となり、且つ、植設状態では毛髪の一側も他側も立ち上がることなく横に寝た状態で結着される。

[0008] 図 17に示すパンダブル植えは、（A)に示すように二つ折りにした毛髪 33を時計方向に捻転してループ 34を形成し（同図（B)参照）、上記と同様にしてループ 34に毛髪の他側 33bを通してこの他側 33bで第二のループ 35を形成し（同図（C)参照）、次いで第二のループ 35から一側 33aを引き出して線材に結着する方法である（同図（ D)参照）。この方法では、図において毛髪の一側 33aは線材 32bに対して斜め上方に立ち上がる力他側 33bは線材に対して左側に寝て直交した毛流となる。なお、図示例では時計方向に捻転してループ 34を形成して、るので、毛髪の一側 33aと他側 33bは図 17 (D)のような毛流を呈する力反時計方向に捻転してループ 34を形成し、順次結着すると、毛髪の他側 33bは線材 32bに対して斜め上方に立ち上がる力一側 33aは線材に対して直角方向に寝て直交した毛流となるのは同様である。特許文献 1 :特開 2002— 115115号

発明の開示発明が解決しょうとする課題

[0009] 上記のように、公知の何れの植毛法にあっても、毛髪 33は線材 32bに対して左右方向に直交して結着されざるを得なヽ。

従って、第一に、頭部の前後方向に配置する線材 32bに対して毛髪が左右に延び出るため、前頭部方向又は後頭部方向への毛流を出し難ぐ左右に毛分かれする傾向を呈することからヘアスタイルの自由度が制限される。即ち、前頭部から後頭部に力けて後方への自然な毛流を作ろうとしても、毛髪の結び目に近い基端側が横方向、即ち、左右側頭部方向に結着されていることから、毛髪の先端側を後方へ流れるように整髪しても、毛髪の弾性により暫くすると毛髪が横方向の流れとなってしまい、自毛との毛分かれが生じてしまう。このようにして、従来の結着方法ではヘアスタイルの自由性或いは多様性が制限されざるを得ない。

第二に、毛髪 33の毛流方向に対して線材 32bが直交して配設されるため、線材 32 bが毛髪で完全に覆われ難、ことから、線材が使用者の前方や上方から縦の線として視認される恐れがあり、増毛具を装着して、ることが露見され易、と、う課題がある第三に、公知の毛髪結着方法、とくにシングル植えやパンシングル植えでは、何れも結着した毛髪が上記のように側方に寝てしまうことになり、毛髪を緻密に結着しても毛髪が垂直に立ち上がらず毛量感 (ボリューム感）に乏しい。また、パンダブル植えでは毛髪の一側は立ち上がるとしても、他側は同様に線材と直角方向に寝てしまう。第四に、公知の何れの方法でも結び目が緩くなり易い。このため、線材 32a, 32b に毛髪 33を結着した後に確実に固定する為の毛止め工程が不可欠である。毛髪を確実に固定するためには、毛髪 33を結着した後、線材 32a, 32bの裏面力も有機溶剤で希釈した接着用溶液を塗布し硬化させて所謂、榭脂コーティング (図示せず)を施し、毛髪 33の結着部をリブ 32a, 32bと榭脂コーティングとの間でサンドイッチ状に挟んで固定保持しなければならな、。

[0010] 以上のように、ネットベースやリブ式の植設フレームの線材に対して毛髪を結着する場合は、従来の植毛技法では、毛髪 33が線材に対して直角方向に延びるように結着されることになるため、毛髪の立ち上がりがなく毛髪が寝てしまって毛量感が出ない。また、毛髪が線材に対して横断方向に結着されるため線材が毛髪によって隠されにくい。このため、毛髪の隙間を通して線材が視認されやすぐかつらの使用が露見してしまうという課題がある。さらに、線材に植設した毛髪 33をブラッシングによって整髪しても、毛流を線材 32a, 32bの長手方向に沿って揃えること、すなわち、後頭部又は前額部に向けての毛流を付与することが困難であり、ヘアスタイルの自由性に乏しいという課題がある。

[0011] 本発明は、上記課題に鑑み、線材が毛髪によって覆い隠されるため線材が視認されにくぐまた毛髪の結び目が緩みにくぐ且つ植設した毛髪の立上りが良好で、前頭部から後頭部への毛流を自由に付与し得るようにした増毛具を提供することを一目的としている。

本発明は、増毛具への毛髪の新規な植設方法、並びにこの方法を適用した増毛具の製造方法を提供することを他の目的としている。

なお、本発明で増毛具とは、フィラメントを縦横に組み合わせて形成したネット部材を主体とするかつらベース及びテニスラケットのガットのような剛性且つ弾性を有する合成繊維で例えば骨格様に形成した植設フレームに毛髪を結着したものを言うが、それらに限らず、人工皮膚等の面状のかつらベースで形成した公知のかつらも増毛具の概念に含まれる。また、本発明に係る毛髪植設方法もどのような種類のかつらにも適用し得る。

課題を解決するための手段

[0012] 上記一目的を達成するため、本発明の一態様による増毛具は、線材と線材に植設した毛髪とを有し、この線材に二つ折りにした毛髪が結着されていて、その一側が結び目力も線材に対して上方へ立ち上がって延びると共に、他側が結び目から線材に沿ってこの線材上に延びて、ることを特徴とする。

すなわち、本発明の増毛具は、二つ折りにした毛髪の折り返し部を、線材に対して毛髪の一側で二回掛け、そして毛髪の他側で一回掛け後払いにより結着することで、毛髪の一側が線材に対して上方へ立ち上がると共に、毛髪の他側が線材上で該線材の長手方向に沿って延びる毛流となるよう植設されて、る。

具体的には、本発明の増毛具は、二つ折りにした毛髪の折り返し部を捻転して形成した第一の輪と、第一の輪を線材に卷回し、折り返した毛髪の一側を第一の輪に通して該ー側で形成した第二の輪と、さらに、上記一側を第二の輪に通して該ー側で形成した第三の輪と、これらの第一、第二及び第三の輪が緊縛されることで毛髪の一側と他側とで形成された結び目と、を備え、毛髪の一側が結び目力線材に対して上方へ立ち上がって延びていると共に、毛髪の他側が第三の輪から引き出されて結び目力線材に沿って線材上に延びていることを特徴としている。すなわち、毛髪の一側は第三の輪から引き出されると共にこの第三の輪に支持されて線材に対して上方へ立ち上がって延び、一方、毛髪の他側は第三の輪によって倒伏した第二の輪の下側と線材との間で挟圧されてこの線材上で横たわって延出する。

[0013] 上記各構成によれば、各毛髪が、線材に対して二つ折りにした毛髪の折り返し部を、一側で二回掛けにより、また他側で一回掛けした後、払いによって毛髪の他側を引き出し、該毛髪の一側と他側とが線材に対して結束されているので、結び目が緩まず確実に結束される。

また、線材に結束された毛髪は、一側が、上方へ直立する方向の毛流を呈して線材からほぼ垂直に立ち上がるように延びるので、毛量感（ボリューム感）が増し、比較的少な、毛髪植設量で増毛感が出現する。

さらに、毛髪の他側は、線材の長手方向に沿って線材上に横たわって延びるので、線材の表面（上面)側が多数並列して結着した毛髪の他側によって覆、隠されることができる。従って、線材が毛髪によって隠蔽されて視認されに《なるので、増毛具の使用が露見する恐れがない。

[0014] 上記他の目的を達成するため、本発明の、増毛具を構成する線材に対して毛髪を結着する方法では、線材の下側に毛植え針を持ち来たし、毛髪の二つ折りにした折り返し部を毛植え針に引っ掛けてすくい取った後、捻転して第一の輪を形成する第一の段階と、第一の輪を線材に卷回し、第一の輪の間から毛植え針を挿入して毛髪の一側をすくい取り、第一の輪に通して該すくい取った毛髪の一側で第二の輪を形成する第二の段階と、第二の輪の間から毛植え針を挿入して再び毛髪の一側をすくい取り、第二の輪に通して該すくい取った毛髪の一側で第三の輪を形成する第三の段階と、次に、第三の輪の間から毛植え針を挿入して毛髪の他側をすくい取り、該すくい取った毛髪の他側を第三の輪から完全に引き出す第四の段階と、最後に、第一 ,第二及び第三の輪を締め付けることにより、毛髪の一側を線材に対して上方へ立ち上がらせると共に、他側を線材に沿って該線材上で横たわって延出させる第五の段階と、を含むことを特徴とする。

さらに上記他の目的を達成するため、本発明の、線材と線材に植設した毛髪とを有する増毛具の製造方法では、線材への毛髪結着工程を、線材の下側に毛植え針を持ち来たし、毛髪の二つ折りにした折り返し部を毛植え針に引っ掛けてすくい取った後捻転して第一の輪を形成する第一の段階と、第一の輪を線材に卷回し、第一の輪の間力毛植え針を挿入して毛髪の一側をすくい取り、第一の輪に通して該すくい取った毛髪の一側で第二の輪を形成する第二の段階と、第二の輪の間から毛植え針を挿入して再び毛髪の一側をすくい取り、第二の輪に通して該すくい取った毛髪の一側で第三の輪を形成する第三の段階と、次に、第三の輪の間から毛植え針を揷入して毛髪の他側をすくい取り、該すくい取った毛髪の他側を第三の輪から完全に引き出す第四の段階と、最後に、第一，第二及び第三の輪を締め付けることにより、毛髪の一側を線材に対して上方へ立ち上がらせると共に、他側を線材に沿って該線材上で横たわって延出させる第五の段階とで構成し、上記第一乃至第五の段階を順次繰り返すことで、毛髪の他側により上記線材を覆ヽつつ該線材に対して植毛することを特徴とする。

上記第一の輪は、毛髪の二つ折りにした折り返し部を半回転捻転させて毛髪の一側上に他側を交差させることにより形成することができる。第二の段階において、すく V、取った毛髪の一側を第一の輪に通して第二の輪を形成すると共に、該第二の輪を半回転捻転してもよい。第三の段階において、毛髪の一側を第二の輪に通して第三の輪を形成すると共に、該第二の輪を半回転捻転してもよ、。

第五の段階において、毛髪の一側を引っ張ると前記第一の輪、第二の輪及び第三の輪が緊締し、その際、第三の輪が第二の輪を通って該第二の輪から突出し最上位で線材に対して上下方向に開口し、毛髪の一側が該第三の輪の下側から開口を通つて上方へ突出することで第三の輪に支持されて前記線材に対して上方へ立ち上がり、さらに、第三の輪が第二の輪を下向きに圧迫することで、毛髪の他側が第二の輪と線材との間で挟圧されて線材に沿って該線材上で横に延びることになる。

[0016] 本発明で用いる線材は、かつらベースのネット部材を構成するフィラメントであってもよぐ又は、弾性を有する剛性の合成繊維で複数本を組み合わせて形成した骨格様のリブで成って!/ヽてもよヽ。リブを複数本で組み合わせて所定形状のフレームを増毛用の植設フレームとして用いてもょ、。

上記構成にぉヽて、リブを複数本縦横に組み合わせて所定形状の植設フレームを形成した後、植設フレームを構成する各リブに毛髪を結着してもよぐ又は、リブに予め毛髪を結着し、結着した複数本のリブを縦横に組み合わせて植設フレームを構成してちよい。

なお、本発明の毛髪の植設方法は、人工皮膚や織布などで形成した面状のかつらベースにも適用できることは勿論であり、この場合も本発明の範囲内である。

発明の効果

[0017] 本発明法によれば、線材に結束された毛髪は、毛髪の一側が線材からほぼ垂直に立ち上がるように延びるので、立上りが良好でボリューム感に優れ、またその他側は線材上でその長手方向に沿って延びるので線材の長手方向と同じ方向の毛流を形成することができる。従って、線材が毛髪の他側によって覆い隠されるため視認され難くなると共に、結び目が緩みにくぐ見栄え及びボリューム感に優れ、種々のへァスタイルを自由に出現し得る増毛具を容易に製造することができる。

[0018] また、本発明の毛髪結着方法によれば、上記線材のみならず面状のかつらベースに対しても、自由なヘアスタイルを出現できるように植設することが可能で、し力も結び目が緩みに《立ち上りが良好に結着することができる。

図面の簡単な説明

[0019] [図 1]本発明による増毛具の一実施形態の概略斜視図である。

[図 2]図 1のリブに植設される毛髪による毛流を、模式的に示す拡大斜視図である。

[図 3]毛髪結着の第一の段階において、第一の輪の形成途中の部分拡大斜視図である。

[図 4]毛髪結着の第一の段階にぉ、て、第一の輪を半回転して捻転した状態の部分拡大斜視図である。 [図 5]第二の段階における、第二の輪の形成途中の部分拡大図で、（A)は正面図、 ( B)は右側面図である。

[図 6]第二の段階にお、て、第二の輪を形成した状態を示す部分拡大正面図である [図 7]上記第二の輪の右側面図である。

[図 8]第三の段階において、第三の輪の形成途中の部分拡大図で、（A)は正面図、 (B)は第二の輪に毛髪の一側を通して第三の輪を形成している右側面図、 (C)は左側面図である。

[図 9]毛髪結着の第四の段階において、第三の輪に毛髪の他側を挿入する状態の部分拡大図であり、（A)は正面図、（B)は第三の輪に毛髪の他側を引き込む状態の右側面図、（C)は第三の輪に毛髪の他側を引き込んだ状態の正面図である。

[図 10]毛髪結着の第四の段階において、第三の輪から毛髪の他側を引き出した状態の部分拡大図で、（A)は正面図、（B)は右側面図である。

[図 11]毛髪結着の最終段階において、毛髪の一側を引っ張ることで他側と離反する状態の部分拡大図で、（A)は左側面図、（B)は緊縛途中の左側面図である。

[図 12]毛髪結着の完成状態において、毛髪の緊縛後の一側と他側との延出方向を示し、（A)は正面図、（B)は右側面図、（C)は左側面図である。

[図 13]従来の増毛具の一例の構成を示す概略斜視図である。

[図 14]図 13の線材に植設される毛髪による毛流を模式的に示す拡大斜視図である。

[図 15]従来のシングル植えによる植毛法を順次示す説明図である。

[図 16]従来のパンシングル植えによる植毛法を順次示す説明図である。

[図 17]従来のパンダブル植えによる植毛法を順次示す説明図である。

符号の説明

10 :増毛具

11 :植設フレーム

11a:連結用リブ

l ib :リブ (線材）

12 :毛髪 12a :毛髪の一側

12b :毛髪の他側

20 :毛植え針

21 :第一の輪

22 :第二の輪

23 :第三の輪

発明を実施するための最良の形態

[0021] 以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。

本発明の増毛具は、縦横に配置された線材とこれらの線材に植設した毛髪とから成り、 1本又は 2, 3本の毛髪を揃えて中間部付近で二つ折りにして一対とした毛髪が線材に結着されて、て、この一対の毛髪の一側が結び目力線材に対して上方へ立ち上がって延びると共に、他側が結び目から線材に沿ってこの線材上に横たわつて延出している。そのため、本発明に従って多数本の毛髪を緻密に線材に結着することで、毛髪の一側は線材に対して上方に立ち上がるので毛量感 (ボリューム感）に優れたものとなる。また、毛髪の他側が線材の長手方向に沿って延びるので、線材は毛髪の他側により覆い隠されることができる。

[0022] 図 1は本発明による増毛具の一実施形態の構成を示している。以下の実施形態では、線材として、剛性且つ弾力性に富む比較的大径の合成繊維で形成したリブ 11a , l ibを用い、このリブを複数本組み合わせた骨格様の植設フレーム 11と、この植設フレーム 11に結束された毛髪 12と、力も構成した増毛具を例にとって説明する。上記植設フレーム 11は、図 13に示した従来のリブ式増毛具 1の植設フレーム 2と同様に構成されており、中心の連結用リブ 11aと、この連結用リブ 11aに連結されて両側に延びる複数本のリブ 1 lbを備えて、る。連結用リブ 1 laも他の複数のリブ 1 lbとほぼ同じ径の同じ材料で形成されており、例えば連結用リブ 11aが横方向（すなわち、使用者の左右側頭部方向）の骨格を、また、他の複数のリブ l ibが縦方向（使用者の前頭部から後頭部への方向）の骨格を示す。

上記植設フレーム 11は、これらのリブ 11a, l ibを含む全体力使用者の頭部形状に沿うように湾曲して形成されている。各リブ 11a, l ibの両先端には、好ましくは、膨出部 l ieが形成される。この膨出部 11cを略球形状に膨らませて形成することで、各リブに取り付ける毛髪が抜け落ちるのを防ぐとともに、頭皮との接触をソフトにして頭皮を傷つけるのを防止することができる。

[0023] リブ 11a, l ibは、装着者の頭皮を傷つけず、また、ドライヤー等により熱変形しにくい材料、例えばナイロン (ポリアミド系合成繊維）、ポリエステル等の合成樹脂製材料が好ましぐその他、金属、硬質紙、硬質ゴム、木、竹、ガラス繊維、カーボン繊維等の弾性及び剛性を備えた材料を使用できる。

[0024] 上記毛髪 12は人毛または人工毛力も成り、 1本又は複数本の毛髪 12を揃えて、例えば中間部付近を二つ折りにしてこの折り返し部分で形成されるループ側で、リブ 11 a, l ibに結着されている。

[0025] 図 2は、図 1のリブ l ibに植設された毛髪 12の毛流を模式的に示す拡大斜視図である。図示するように、各毛髪 12は、 1本又は複数本の毛髪を揃えてこれらを中間部付近で折り返して一側 12aと他側 12bの一対とし、該ー側 12aはリブ 1 lbからほぼ垂直方向に立ち上がるように結着されている。毛髪の一側 12aの基端部側が垂直方向に結着されていると、頭皮に沿って寝てしまった毛髪に比べて、少ない毛髪植設量で毛量感（ボリューム感）が出現できる。

毛髪部分のうち他側 12bはリブ l ibの長手方向に沿って結着されてリブ l ibの上面に横たわって長手方向に延びている。従って、リブ l ibは毛髪 12の他側 12bにより覆い隠される。これにより、リブ l ibの長手方向に沿って毛流が形成されるので、自然な毛流が形成できヘアスタイルの自由度が向上すると共に、増毛具の露顕が防止され得る。なお、連結用リブ 11aへの毛髪結着も同様に行うことができるが、横断方向、即ち使用者の左右側頭部方向に装着する連結用リブ 1 laへの毛髪は公知の結着方法であってもよい。

[0026] 増毛具 10の植設フレーム 11に結束された各毛髪 12は、後述するように、それぞれ毛髪の一側 12aで二回掛け、そして毛髪の他側 12bで一回掛け後払いにより結着されているので、図 12に示す結び目 12cが緩みにくぐさらに他側 12bで一回掛けであることから結び目 12cがあまり大きくならい。またリブの上側 (頭皮と反対側)で結着するので、増毛具 10の装着時に結び目 12cが頭皮に当たって肌触りが悪くなることがない。そして、毛髪の一側 12aは上記結び目 12cによって両側力も垂直に立ち上がるように支持されるので、少な、毛髪植設量でボリューム感を増大させることができる。一方、毛髪の他側 12bは上記結び目 12cによってリブ l ibの長手方向に延びるように水平に保持されるので、毛髪の他側 12bによってリブが隠蔽されると共に、使用者の前頭部力も後頭部に掛けての前後方向の毛流を形成することができる。

[0027] 本発明の増毛具 10は、広い網目のネット部材で成るかつらベースを用い又は上記の例のような骨格様の植設フレームを用いて、使用者の自毛と絡み合わせて使用する所謂、自毛活用型のかつらとして好適である。本発明の増毛具 10を頭部に装着する場合には、増毛具 10の裏面に専用のストッパーを取り付けて頭部の自毛をこのストッパーにて挟持したり、自毛をかつらの毛髪に編み込んだり或いはベースの周縁に設けた紐部材などに自毛を結着するなどにより装着することができる。

[0028] 次に、本発明による増毛具 10の製造方法にっ、て、上記植設フレームを用いてリブに毛髪を取り付ける場合の一例を説明する。

最初に、所定形状の植設フレームを製作する。具体的には、植設フレーム 11を構成するリブ 11a, l ibとして、例えば直径 0. 1〜3. Ommのナイロン繊維の撚り線などを用意し、被着者の頭部形状に適合した所定形状となるように、適宜の本数を組み合わせ、これらの交点を互いに、接着、結着、縫着、溶着などの各種の方法で接合することにより形成する。その際、図 1に示すように、横リブとしての連結用リブ 11aに適宜の間隔で順次縦リブ 1 lbを接合してヽく。

次に、連結して植設フレーム 11としたものを、予め用意した装着者の頭部形状の型、例えば石膏型に被せ、所定の温度で所定時間加熱することで装着者の頭部を模した湾曲形状に型付けする。なお、各リブ 11a, l ibの表面をサンドペーパーなどで粗面化処理を施すと、リブの表面の艷を抑えるとともに、後の工程で取り付ける毛髪 12 の抜け落ちゃズレがー層防止される。また、各リブ 11a, l ibの両先端に、結着した毛髪 12の脱落防止と頭皮保護のため膨出部 11cを形成する。このようにして成形した植設フレーム 11に対して、本発明の毛髪植設方法に従って順次毛髪を取り付ける

[0029] 以下、本発明に従う毛髪 12の結着方法の実施形態を説明する。図 3〜図 11は、毛髪 12をリブ l ibに結着する各段階を示す図であり、図 12は結着した毛髪を緊縛して完成した状態を示す図である。

第一の段階として、図 3に示すように頭部の前後方向に配置したリブ l ibの、図において左方から、リブ l ibの下側に持ってきた 1本又は 2〜4本ほどを一組とした毛髪 12 (図では 1本で示す)を、リブ l ibの右方からその下側 (頭皮に接触する側）に持つてきた鉤針状の毛植え針 20で引っ掛ける。この際、先ず、毛髪 12を例えば中間部付近で折り返してループを形成しておき、このループに毛植え針 20を引っ掛け、図 4に示すように、毛植え針 20を図面上、反時計周りに半回転させてループを捻転させる。図 4では、折り返して一対とした毛髪の一側 12a上に毛髪の他側 12bを載せるように捻転している。これにより第一の輪 21を形成する。この第一の輪 21をリブ l ibの下側力持ち上げてリブ 1 lbの上方へ卷回する。

[0030] 上記第一の段階において、実際の植毛作業では、第一の輪 21に毛植え針 20を引つ掛けた後、毛植え針 20の鈎が上方を向くよう、図面上、反時計回りに 1回転捻転させる（図示省略)。この状態で、毛植え針 20をリブ l ibの下側力上方へ移動して、第一の輪 21をリブ l ibに卷回する。その際、毛髪の一側 12aと他側 12bとの位置を入れ換えれば第一の輪 21は半回転捻転（図 4参照）した状態となる。

[0031] リブ l ibに卷回した第一の輪 21を向かい側（図において左側）に折り返した後、第二の段階として、図 5に示すように、第一の輪 21の間から毛植え針 20を挿入して毛髪 12の一側 12aを引っ掛けてすくい取って第一の輪 21内に引き込む。図 5 (A)は毛植え針 20を用いて毛髪 12の一側 12aを第一の輪 21の中に引き込む途中の正面図、同図（B)は右側面図である。図 6に示すように、すくい取った毛髪の一側 12aによつて第二の輪 22が形成される。この際、毛植え針 20を半回転させて第二の輪 22を反転させてもょ、。反転させることなく次工程に進んでも勿論構わな、。

[0032] 第三の段階として、図 7に示すように上記第二の輪 22を毛植え針 20を用いて向かい側（図において左側）に折り返し、図 8に示すように、この第二の輪 22の間から毛植え針 20を挿入して、再び上記毛髪 12の一側 12aを引っ掛けてすくい取り、第二の輪 22の中に引き込む。すくい取った毛髪の一側 12aにより、第二の輪 22の上側に第三の輪 23を形成する。なお、図 8 (A)は毛髪の一側 12aを毛植え針 20ですくい取る状態の正面図、（B)はすくい取った毛髪の一側 12aを第二の輪 22に引き込む状態の右側面図であるが、結び工程を明瞭に示すため緊縛する前の状態を表している。 (C )は左側面図である。

[0033] 続いて、第四の段階として、図 9 (A)の正面図に示すように第三の輪 23の中から毛植え針 20を挿入し、こんどは毛髪の他側 12bを引っ掛けてすくい取る。そして、図 9 ( B)及び (C)に示すように毛植え針 20を払って、図 10に示すように、すくい取った毛髪の他側 12bを上記第三の輪 23から完全に引き出す。第三の輪 23から毛髪の他側 12bを引き出した状態を図 10 (B)に示す。この状態では、毛髪の一側 12aは図面上左側に延出し、他側 12bは図面上右側に延出している。リブへの毛髪結着工程はこれで完了する。

[0034] 最終段階は、結着した毛髪をきつく縛る工程である。この場合、上記毛髪 12の両側 12a, 12bを手指で保持して、例えば左指で一側 12aを掴むと共に、右指で他側 12b を掴んで、一側 12aを図 11の矢印方向に引っ張れば、緩い結び目が徐々に緊締していき、図 11に示すように、毛髪の一側 12aと他側 12bとがリブ l ibに沿って離反する方向（図において、下上方向）にスライドして、各第一，第二及び第三の輪 21, 22 , 23が締め付けられる。

[0035] 毛髪の一側 12aを図 11 (B)の矢印方向へさらにきつく締め上げると、最終的に、図 12に示すように、第三の輪 23が第二の輪 22の開口を通って該第二の輪 22の上側に持ち来されて、第三の輪 23は最上部でほぼ水平方向の輪を形成する。このため、毛髪の一側 12aは該第三の輪 23の下側から開口を通って上方へ突出することで第三の輪 23に支持されてリブ l ibに対して上方へ立ち上がって延びる。

また、第二の輪 22は、第三の輪 23の下側で該第三の輪 23によりリブ l ib上に押圧される。このため、毛髪の他側 12bは第二の輪 22とリブ l ibとの間に挟圧された状態でリブ l ibの先端（図面において上方側）に向力つて水平方向にこのリブ l ib上に横たわって延在する（図 12 (A) , (B)参照)。

[0036] このようにして、最終の第五の段階では、毛髪の一側 12aを引っ張ってきつく締め上げると、図 12に示すように、毛髪 12の一側 12aの周囲が主に第三の輪 23に支持されてリブ l ibに対して垂直に上方へ延出することができる。すなわち、第三の輪 23 は結び目の最上位で上下方向に開口するようほぼ水平に形成されるので、リブ 1 lb に対して上方へ向けて開口する第三の輪 23が閉じるのに伴って、毛髪の一側 12aはその周囲をリング状の毛髪によって締め付けられて支持される。こうして、毛髪の一側 12aの基端側は第三の輪 23に垂直に支持されてリブ l ibに対して垂直方向に延出する。ただし、毛髪 12aの先端側では可撓性により下方へ湾曲する。

一方、毛髪の他側 12bは、第三の輪 23によって押圧された第二の輪 22の下側にぉ、てリブ 1 lbとの間で挟圧され、このリブ 1 lbの長手方向に沿ってこのリブ 1 lb上で延出する。従って、毛髪 12をリブ l ibに対して多数本緻密に結着していけば、リブ 11 bはこれら毛髪の他側 12bにより完全に覆い隠されることになるので、リブ l ibが露見し難くなると共に、リブ l ibの長手方向に沿った毛髪の他側 12bにより頭部の前後方向への毛流を出現することができる。

[0037] 以上の植設方法を繰り返し行うことにより、各リブ l ibに所定の本数の毛髪 12を植設して増毛具 10を製造することができる。

なお、図 1に示す連結用リブ l la、すなわち横断方向のリブに対しては、公知の結着方式、例えばパンダブル植えなどを用いて植設すれば、前後方向の毛流を形成できるので、上記毛髪の毛流と同一方向となって良く馴染む。或いは、本発明の結着方式と公知の結着方式とを、適宜、植毛部位により変化をつけると、興趣に富んだ種々の毛流が出現できることになる。

[0038] 本発明の実施形態による増毛具 10は、使用者の頭部の所定位置に装着されて使用される。この増毛具 10は、各毛髪 12の一側 12aがリブ l ibからほぼ垂直方向に立ち上がるように植設されているので、ボリューム感が豊かになる。また、毛髪の他側 12 bはリブ 1 lb上でその長手方向に沿って延びて!/、ること力、リブ 1 lbが毛髪 12の他側 12bで覆われることになつて目立たなくなる。毛髪の他側 12bはリブ l ibの長手方向に沿った毛流を呈するので、毛髪 12で各リブ 1 lbを外部力も露顕しな、ように覆うことができ、また、毛流が各リブ l ibの長手方向に沿って容易に形成されるので、バリエーシヨンの豊富なヘアスタイルが出現できる。

[0039] 増毛具 10の植設フレーム 11に結束された各毛髪 12は、それぞれ一側で二回掛け、そして他側で一回掛け後払いにより結束されているので、結び目が緩みにくぐさらに他側で一回掛けであることから、結び目があまり大きくならず、増毛具 10の装着時に結び目が頭皮に当たって、肌触りが悪くなるようなこともない。

[0040] 以上述べたように、本発明によれば、植設フレーム及びそのリブが視認されにくく、また結び目が緩みにくぐ立ち上りが良好であるようにした、増毛具及びその植設方法が提供される。

実施例

[0041] 最初に、線材として、撚り線力もなる直径 1. 2mmのナイロン線を所定の寸法で切断することにより適宜の本数のリブ 11a, l ibを用意し、被着者の頭部形状に適合した所定形状となるように組み合わせてこれらの各交点を互、に超音波接着で連結して、植設フレーム 11を製作した。

次に、連結した植設フレーム 11を、予め用意したかつら被着者の頭部形状を模した石膏型に被せ、 170°Cで 3時間加熱することで、かつら被着者の頭部形状に類似する湾曲形状の型付けを行うとともに、各リブ 11a, l ibの表面をサンドペーパーで粗面化処理を施す。その後、各リブ 11a, l ibの両先端部を、ナイロンを有機溶媒に溶解して作った溶液に浸漬して冷却固化する力、又は、熱硬化性榭脂液を塗布或いは浸漬し乾燥することで、各膨出部 11cを形成した。

続いて、上記の製造方法で説明した植設方法 (図 3〜図 12参照）により、所定本数の毛髪を、各リブ l ibに植設した。最後に、植設した毛髪を、毛髪用接着剤により各リブ l ibに接着固定して、本発明の増毛具 10を得た。

[0042] (比較例）

実施例と同じ植設フレーム 11及びリブ l ibを用い、同一本数の毛髪の植設を従来の方法で行い、比較例の増毛具を製造した。

[0043] 次に、実施例及び比較例の外観検査を行った。

実施例の増毛具 10の場合には、比較例に比し植設された毛髪 12による毛流力リブ l ibの長手方向に形成されており、リブ l ibが露顕せずに見栄えに優れていることが分力つた。これに対して比較例の場合には、毛流がリブ l ibの側方に形成されているため、ブラッシングして整髪しても、時間が経過するに従って毛髪が毛分かれを生じてリブが露顕し易ぐ実施例に対して見栄えが悪いことが分力つた。また、毛髪が寝てしまうのでボリューム感にも乏し力つた。

[0044] 次に、実施例の増毛具 10を被試験者に装着させて自毛とブレンドした後、外観観察を行ったところ、リブ l ibの存在は観察されな力つた。また、装着者の自毛の流れ（毛流)と増毛具 10に植設した毛髪 12の流れ (毛流)が良く合って馴染んでおり、長時間装着してヽても増毛具 10を装着して、ることは分力もず、見栄えがよ！、ことが判明した。

[0045] 以上、本発明の好適な実施の形態について説明した力本発明は実施形態にのみ限定されるものでなぐ本発明の範囲内で適宜変更等が可能である。たとえば、毛髪 12の色や太さなどはなんでも良ぐ特に装飾用の場合には、種々の色の毛髪 12 力 Sリブ 11a, l ibに対して結束されるようにしてもよい。また、線材としては、上記実施例で示したリブ 11a, l ibに限らず、通常のネット部材で成るかつらベースを構成するフィラメント、その他の線状、棒状、帯状など種々の素材に適用できることは明らかである。また、本発明の毛髪植設法は、人工皮膚製や織布製のシート又はフィルムで形成した面状のかつらベースにも適用し得ることは明白である。さらに、上記実施形態で説明した具体的数値等は、必要に応じて適宜変更可能である。本発明により毛髪を植設後、毛髪用接着剤により線材に接着固定する工程を追加してもよいことは勿論である。

なお、実施の形態では、第一の段階において、毛髪の折り返し部を反時計方向に捻転して毛髪の他側 12bを一側 12aの上に重ねてループ 21を形成し、順次、結着していく例を示したが、折り返し部を時計方向に捻転し、毛髪の一側 12aを他側 12bの上に重ねてループ 21を形成して、次段に進んでもよい（図示省略)。この場合は、毛髪の一側 12aと他側 12bとは上記説明とは逆に順次結着され、最終的に、毛髪の他側が結び目力線材に対して上方へ立ち上がって延びると共に、一側が結び目から線材に沿って該線材上に横たわって延びることになる。本出願で毛髪の一側と他側は相対的概念であり、何れを一側又は他側と称するかは本発明の重要な要素でないことは明白である。

Claims

請求の範囲

[1] 線材と該線材に植設した毛髪とを有する増毛具におヽて、

二つ折りにした毛髪が上記線材に結着されて、て、

上記二つ折りにした毛髪の一側が結び目から上記線材に対して上方へ立ち上がつて延びると共に、他側が結び目力も線材に沿って該線材上に延びていることを特徴とする、増毛具。

[2] 線材と該線材に植設した毛髪とを有する増毛具におヽて、

二つ折りにした毛髪の折り返し部を、上記線材に対して毛髪の一側で二回掛け、そして該毛髪の他側で一回掛け後払いにより結着することで、毛髪の一側が上記線材に対して上方へ立ち上がって延びると共に、毛髪の他側が該線材の長手方向に沿つて横に延びる毛流となるよう植設したことを特徴とする、増毛具。

[3] 線材と該線材に植設した毛髪とを有する増毛具におヽて、

二つ折りにした毛髪の折り返し部を捻転して形成した第一の輪と、

該第一の輪を線材に卷回し、折り返した毛髪の一側を該第一の輪に通して該ー側で形成した第二の輪と、

さらに、上記一側を該第二の輪に通して該ー側で形成した第三の輪と、上記第一、第二及び第三の輪が緊縛されることで毛髪の一側と他側とで形成された結び目と、を備え、

毛髪の一側が上記結び目力線材に対して上方へ立ち上がって延びると共に、上記第三の輪から引き出された毛髪の他側が上記結び目から引き出されて線材上で該線材に沿って延びて!/、ることを特徴とする、増毛具。

[4] 前記第一、第二及び第三の輪が緊縛された際、前記第三の輪が最上位で線材に対して上下方向に開口し該第三の輪から上方へ突出した毛髪の一側が該第三の輪に支持されて前記線材に対して上方へ立ち上がると共に、前記毛髪の他側が倒伏した第二の輪の下側で該第二の輪と前記線材との間に挟圧されて線材に沿って該線材上で横に延びることを特徴とする、請求項 3に記載の増毛具。

[5] 前記線材が、かつらベースのネット部材を構成するフィラメントであることを特徴とする、請求項 1〜3の何れかに記載の増毛具。

[6] 前記線材が、弾性を有する剛性の合成繊維で複数本を組み合わせて形成した骨格様のリブで成ることを特徴とする、請求項 1〜3の何れかに記載の増毛具。

[7] 前記リブを複数本組み合わせて植設フレームとし、この植設フレームを使用者の頭部に装着して自毛と混ぜ合わせるようにしたことを特徴とする、請求項 6に記載の増毛具。

[8] 増毛具を構成する線材に対して毛髪を結着する方法であって、

線材の下側に毛植え針を持ち来たし、毛髪の二つ折りにした折り返し部を該毛植え針に引っ掛けてすくい取った後、捻転して第一の輪を形成する第一の段階と、上記第一の輪を線材に卷回して、該第一の輪の間から毛植え針を挿入して毛髪の一側をすくい取り、上記第一の輪に通して該すくい取った毛髪の一側で第二の輪を形成する第二の段階と、

上記第二の輪の間力毛植え針を挿入して再び上記毛髪の一側をすくい取り、上記第二の輪に通して該すくい取った毛髪の一側で第三の輪を形成する第三の段階と、

次に、上記第三の輪の間から毛植え針を挿入して上記毛髪の他側をすくい取り、該すくい取った上記毛髪の他側を第三の輪から完全に引き出す第四の段階と、最後に、上記第一，第二及び第三の輪を締め付けることにより、毛髪の一側を線材に対して上方へ立ち上がらせると共に、他側を線材に沿って該線材上で延出させる第五の段階と、を含むことを特徴とする、線材への毛髪結着方法。

[9] 線材と該線材に植設した毛髪とを有する増毛具の製造方法にお!ヽて、

上記線材への毛髪結着工程が、

次に、上記第三の輪の間から毛植え針を挿入して上記毛髪の他側をすくい取り、該すくい取った上記毛髪の他側を第三の輪から完全に引き出す第四の段階と、最後に、上記第一，第二及び第三の輪を締め付けることにより、毛髪の一側を線材に対して上方へ立ち上がらせると共に、他側を線材に沿って該線材上で延出させる第五の段階と、

上記第一乃至第五の段階を順次繰り返すことで、毛髪の他側により上記線材を覆いつつ該線材に対して植毛することを特徴とする、増毛具の製造方法。

[10] 前記第一の輪は、毛髪の二つ折りにした折り返し部を半回転捻転させて毛髪の一側上に他側を交差させることにより形成することを特徴とする、請求項 9に記載の増毛具の製造方法。

[11] 前記第二の段階にお!、て、前記すく!、取った毛髪の一側を第一の輪に通して第二の輪を形成すると共に、該第二の輪を半回転捻転することを特徴とする、請求項 9〖こ記載の増毛具の製造方法。

[12] 前記第三の段階にお!、て、前記毛髪の一側を前記第二の輪に通して第三の輪を形成すると共に、該第二の輪を半回転捻転することを特徴とする、請求項 9に記載の増毛具の製造方法。

[13] 前記第五の段階において、前記毛髪の一側を引っ張って前記第一の輪、第二の輪及び第三の輪を緊締することにより、

第三の輪が第二の輪を通って該第二の輪から突出し最上位で線材に対して上下方向に開口すると共に、毛髪の一側が該第三の輪の下側から開口を通って上方へ突出することで該第三の輪に支持されて前記線材に対して上方へ立ち上がり、さらに、前記第三の輪が前記第二の輪を下向きに圧迫することで、毛髪の他側が該第二の輪と線材との間で挟圧されて線材に沿って該線材上で横に延びることを特徴とする、請求項 9に記載の増毛具の製造方法。

[14] 前記線材が、かつらベースのネット部材を構成するフィラメントであることを特徴とする、請求項 8又は 9に記載の増毛具の製造方法。

[15] 前記線材が、弾性を有する剛性の合成繊維で複数本を組み合わせて形成した骨格様のリブで成ることを特徴とする、請求項 8又は 9に記載の増毛具の製造方法。前記リブを複数本で組み合わせて所定形状のフレームを形成した後、該フレームを構成する各リブに前記毛髪を結着することを特徴とする、請求項 15に記載の増毛具の製造方法。