JP2004068196A - 部分かつら - Google Patents

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Yutaka Yamamoto
山本 豊
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Abstract

【課題】本発明は被着させ固定した際、形崩れしにくく丈夫であり、且つかつらの毛量が調整出来ると共に自然な毛流が得られる部分かつらを提供することを目的とする。
【解決手段】ネットベース1が、並列に配した細かいネットの帯11と、該ネットの帯11間が波形を呈するように左右に蛇行して編成された編糸12とから成り、この編糸12には毛体2の束が予め捲回して編込まれ、且つ少なくともネットの帯11に擬毛を植毛する構造と成す。また編糸12が2本の糸で撚り合わされると共に毛体2の束を捲回して編込んだものを使用すると良い。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はヘアピースなどの部分かつらを被着させ固定した際、形崩れしにくい部分かつらに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のかつらには、合成樹脂,合成ゴム,布,ネット等の柔軟性材料を用いてベースを形成し、このベースに植毛し、かつらを固定する際、自毛を糸や接着剤を用いて束ね、編成した取付部にかつらを縫い付けて頭部に固定する方法が多く行われている。しかし、前記ベースが合成樹脂や合成ゴム等の気密性を有する材料で形成されたものは、通気性が悪く、汗をかくと蒸れてしまい、且つ重量が大きく装着感が良くなかった。このため近年に於いては、通気性や吸湿性を確保し、軽量で装着感を良くしたベースとして、布等の繊維状材料やネット等で形成されるものが好まれ、特にネットベースは部分かつらに多く使用されている。このネットベースとしては網目地で形成したものが大半である。また特開平11−93010号に於いて、毛体が編込まれた毛編糸を平面三角形又は平面四角形の網目に編成させてネットベースにしたものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記網目地で形成したネットベースのかつらは、植毛した擬毛が抜け易く、網目地の強度が弱いため切れ易かった。この網目地が一旦切れると次々と切れ口が広がり易くなると共に網目地が切れた箇所は穴が開いて部分的に浮き上がってしまうため、部分かつらは使用出来ないものとなっていた。また網目地はゆるみを生じて形崩れし易く、且つ網目地に植毛する際、網目地に沿って植毛するため360度ネットベースを回転させながら植毛しなければならず、製造に手間が掛る等の問題点があった。一方、特開平11−93010号は、糸を複数本編込んで作るため太さが太くなり、手触りが悪く、且つ曲線が思うように形成出来ず、頭の形状に合わせることが難しかった。又、毛編糸の吸湿性が大きいため、洗髪時などに水を含むと、重量が増加して重くなると共に乾きが悪かった。しかも毛編糸に編込まれた毛体の量は一定であり、且つ図2(a)のように毛体(2)が垂直方向に編込まれているため、その編糸(12)を平面三角形又は平面四角形の網目が出来るように左右や前後に折曲させて編成すると、毛根部の向きが図2(b)のようにばらばらになってしまい、全体的に毛流が不自然なスタイルになっていた。更に自毛の量が少なくなると、それに合わせた毛量になるように網目の大きさを大きく編成するが、地肌は網目から見えてしまう恐れが生じる。他方、自毛の量が多い時には、それに合わせた毛量になるように網目の大きさを小さく編成させれば、図2(b)のようにばらばらな毛流がより目立つものとなるため、不自然なスタイルになり、特に分け目やつむじが不自然なものとなっていた。しかも編糸(12)だけのネットベースは全体が伸び易く、形崩れし易い等の問題点があった。
【0004】
本発明は被着させ固定した際、形崩れしにくく丈夫であり、且つかつらの毛量の調整が出来ると共に自然な毛流が得られ、更に製造が簡単になる部分かつらを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明は成されたものであり、つまり、ネットベースが、並列に配した細かいネットの帯と、該ネットの帯間が波形を呈するように左右に蛇行して編成された編糸とから成り、この編糸には毛体の束が予め捲回して編込まれ、且つ少なくともネットの帯に擬毛を植毛させる構造と成す。また編糸が2本の糸で撚り合わされると共に毛体の束を捲回して編込んだものを使用すると良く、ネットベースの周囲にネットの帯を配し、且つそれに擬毛を植毛させても良い。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態を示す図であり、これに基づいて説明する。(1)は並列に配した細かいネットの帯(11)と、該ネットの帯(11)間が波形を呈するように左右に蛇行して編成された編糸(12)とから成るネットベースである。前記ネットの帯(11)としては細かいネットで幅5mm前後のものを用いると良い。また前記編糸(12)としては2本の糸を撚り合わせると共に図2(a)に示す毛体(2)の束を捲回して編込んだものが好ましく、且つ、この編糸(12)としては本発明者が特願2001−017989で提案した中で用いるものを使用すると良い。更に前記ネットベース(1)の外周縁には前記ネットの帯(11)を取付けておくと良い。又、図中の中央には分髪部(13)を設けると良く、該分髪部(13)は細かいネットで形成されている。尚、本発明で言う「並列に配した」とは、ネットの帯(11)が前記ネットベース(1)の外周に対して、図1に示すように適宜間隔で複数本並べられて配置した状態を指す。
【0007】
次に本発明品の製造方法について説明する。先ずネットの帯(11)を並列に配し、そのネットの帯(11)間に、2本の糸が撚り合わされると共に毛体(2)の束を捲回して編込んだ編糸(12)が、波形を呈するように且つ左右に蛇行し、ネットの帯(11)と接する箇所を糸で結んで編成され、ネットベース(1)が形成されている。次にネットの帯(11)と分髪部(13)に擬毛を植毛して部分かつらが完成される。この時、ネットベース(1)の編糸(12)が左右に蛇行しているため、毛流は左右に蛇行して不自然な状態となる。しかしながらネットの帯(11)と分髪部(13)の植毛が後から行われると共にそれに植毛する際に擬毛が水平方向に植毛され、前記左右に蛇行する毛流の上を押えながら水平方向へ植毛することにより、ネットベース(1)の毛体(2)の流れは、自然な毛流となる。又、この場合、本発明品はネットの帯(11)が適宜間隔空けて配されると共にその間に編糸(12)が波形を呈するように左右に蛇行して編成されることにより、適宜に規制されたネットベース(1)の伸びを有することができ、且つ前記ネットの帯(11)と分髪部(13)に植毛する際には、一方向から植毛出来るため、網目地のようにネットベース(1)を360度回転させながら植毛する必要がなくなり、製造が簡単になると共に網目地を用いないため、植毛が抜けにくくなり、且つ形崩れがない丈夫なものとなる。更にネットの帯(11)や分髪部(13)へ植毛する際に毛量を調整して自毛の量に合わせることが簡単に行われるため、部分かつらを被着しても自然な状態となるのである。
【0008】
次に本発明の使用状態について説明する。先ず本発明品を一般的な取付け方法で頭の上に取付ける。すると、本発明の部分かつらは、吸水性が小さいネットの帯(11)が略半分で且つ適宜間隔空いていると共に、吸水性を有し且つ伸縮可能な編糸(12)が略半分であるので、洗髪しても重量が従来のものよりも軽くなると共に乾きも早いものとなる。また編糸(12)が2本の糸で撚り合わされたものを用いれば、手触りが良くなると共に曲線がきれいに形成出来るため、頭部の形状に合った部分かつらの製作が可能となると共に分け目やつむじがより自然に見えるものとなる。
【0009】
【発明の効果】
本発明はこのように構成させたことにより、下記に記載する効果を有する。
【0010】
請求項1のように並列に配した細かいネットの帯(11)と、該ネットの帯(11)間が波形を呈するように左右に蛇行して編成された編糸(12)とからネットベース(1)を構成し、編糸(12)には毛体(2)の束が予め捲回して編込まれ、且つ少なくともネットの帯(11)に擬毛を植毛することにより、本発明の部分かつらを被着させ固定した際、形崩れしにくく丈夫なものとなる。また自毛の量が少ない場合でも、ネットベース(1)の隙間から地肌が見えることなく、かつらの毛量の調整が出来ると共に自然な毛流が得られるため、自然な被着が可能となる部分かつらを得ることが可能となる。更に本発明品を製造する際、従来の如き網目地がないので、植毛するためにネットベース(1)を360度回転する必要がなくなり、一定方向から植毛ができ、生産性が良好なものとなる。
【0011】
請求項2のように編糸(12)が2本の糸で撚り合わされると共に毛体(2)の束を捲回して編込んだものを用いることにより、手触りが良くなると共に曲線が思うように形成出来るものとなるため、頭部に合わせ、自然な被着が可能となる部分かつらを得る。しかも毛体(2)を編込む時、糸の混乱がなく且つ絡みが防止されて、手際良く作業が進むため、部分かつらのコストダウンが可能となる。
【0012】
請求項3に示すようにネットベース(1)の周囲にネットの帯(11)を配すると共に擬毛を植毛させることにより、該ネットの帯(11)に植毛する際には、一方向から植毛出来るため、製造が簡単になる。またネットの帯(11)に植毛した時と同様に擬毛が水平方向に植毛され、且つネットベース(1)の周囲から植毛されることにより、編糸(12)による不自然な毛流は周囲から水平方向の植毛で覆われるため、ネットベース(1)の毛体(2)の流れは、より自然な毛流となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の要部であるネットベースを示す説明図である。
【図2】本実施形態の編糸が、複数本の糸で撚り合わされると共に毛体の束を捲回して編込んだ状態及びその使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ネットベース
11 ネットの帯
12 編糸
2 毛体

Claims (3)

  1. ネットベース(1)が、並列に配した細かいネットの帯(11)と、該ネットの帯(11)間が波形を呈するように左右に蛇行して編成された編糸(12)とから成り、この編糸(12)には毛体(2)の束が予め捲回して編込まれ、且つ前記ネットの帯(11)に擬毛を植毛したことを特徴とする部分かつら。
  2. 前記編糸(12)が2本の糸で撚り合わされると共に毛体(2)の束を捲回して編込んだ請求項1記載の部分かつら。
  3. 前記ネットベース(1)の周囲に前記ネットの帯(11)が配され、且つそれに擬毛を植毛した請求項1記載の部分かつら。
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