WO2007029642A1 - レチノイドx受容体関連化合物を用いた骨粗鬆症の治療剤 - Google Patents
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Abstract
本発明は、骨粗鬆症に対する新規な治療剤を提供することを目的とする。
レチノイドX受容体アンタゴニストとして合成され、脂肪細胞の分化を阻害する活性を有する、HX531を使用する。また、HX531を有効成分として含有する投与形態として使用することができる。
Description
明 細 書
レチノイド X受容体関連化合物を用いた骨粗鬆症の治療剤
技術分野
[0001] 本発明は、レチノイド X受容体関連化合物の骨粗鬆症に対する治療剤に関し、より 詳細には、レチノイド X受容体アンタゴ-ストとして合成された HX531の骨粗鬆症の 治療に対する新規な使用に関する。
背景技術
[0002] 社会の急激な高齢ィ匕が進むにつれて、骨粗鬆症人口は増加を続けて ヽる。骨粗 鬆症の最も重篤かつ問題となる合併症は骨折である。大腿骨頸部骨折及び椎体骨 折は、寝たきり状態を招くことにより、クォリティーォブライフ (QOL)を大幅に低下さ せ、介護や入院治療などによる社会的及び医療経済的負担の増加をもたらす。従つ て、骨粗鬆症の予防及び治療は、今後の超高齢化社会にとって克服すべき重大な 課題となっている。これらの社会的必要性を背景として、近年の骨代謝研究は目覚ま しい進化を遂げてきた。
[0003] 骨は、身体を支える、臓器を守る、骨髄で血球をつくるなどの他にカルシウムを蓄え るという重要な役割を有している。厳密には、骨はコラーゲンというタンパク質力もなる 骨基質と、カルシウム、リン、マグネシウムなどで構成される骨塩力もなる。また、骨も 他の細胞と同様に新陳代謝を繰り返しており、骨を壊す細胞(以下、破骨細胞という) と骨を作る細胞 (骨芽細胞)のバランスにより維持されている。
[0004] また、骨の重要な構成成分であるカルシウムは、生命維持に欠力せない元素である 。カルシウムを蓄えるという骨の役割に言及すると、血清中のカルシウム濃度が低下 した場合、身体機能を維持するために、破骨細胞が骨カゝらカルシウムを溶け出させ て、血中のカルシウム濃度を一定に保持するように機能している。このように、血清力 ルシゥム濃度は厳密に調節されているのである。
[0005] 一方、骨を壊す作用が骨を作る作用を上回った時に、骨粗鬆症が生じる。すなわち 、骨を構成するコラーゲンやカルシウムなどが減少し、粗になった状態を骨粗鬆症と 呼ぶ。特に閉経後の女性は、骨を保護する役割を担う女性ホルモンの分泌が低下し
、その結果として、骨芽細胞の骨形成能の低下と破骨細胞の骨吸収活性の亢進が 認められ、骨粗鬆症の症状を呈する可能性が高い。
[0006] したがって、骨粗鬆症の症状を改善するためには、骨芽細胞と破骨細胞のバランス を維持することが最重要である。
[0007] 現在、破骨細胞の骨吸収活性を抑制する薬剤としてカルシトニンとビスフォスフォネ ートがある。
[0008] カルシトニンは破骨細胞に特異的に発現している受容体に結合することにより、骨 吸収を強力に阻害する。しかしながら、カルシトニンの持続的な投与は、カルシトニン 受容体の消失 (ダウンレギュレーション)を招き、カルシトニンの効果が減弱してしまう という弱点が挙げられる。また、カルシトニン製剤は注射薬のみであるため、毎回投 与時に医師に受診しなければならない。つまり、カルシトニンの長期投与は困難な状 況となる。
[0009] 一方、ビスフォスフォネートは、破骨細胞に取り込まれることにより、強力に骨吸収を 抑制する。し力しながら、ビスフォスフォネート服用の副作用として、食道炎や胃潰瘍 などの胃腸障害が発生する可能性が指摘されている。破骨細胞と同様、胃の粘膜に ぉ 、て認められて!/、る酸性条件は、水溶性 (極性型)のビスフォスフォネートを脂溶性 (非極性型)に転換させ、胃壁細胞に容易に取り込まれるようにさせるものと考えられ る。
[0010] この副作用の他に、ビスフォスフォネートは骨に沈着する性質があるため、長期間 にわたるビスフォスフォネートの集積力 骨吸収と骨形成の正常なカップリング(共役) 機構に阻害作用がある可能性も問題視されて 、る。
[0011] よって、高齢化社会が到来した現在、骨粗鬆症に対してさらに有効に作用し、投与 が煩雑でなぐ副作用の少ない薬剤の開発が望まれている。
特許文献 1:特表 2003 - 526677
特許文献 2 :特表 2002— 539106
特許文献 3:特表 2003 - 531180
特許文献 4:特表 2003 - 519103
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0012] 骨吸収阻害物質であるォステオプロテゲリン (OPG)の遺伝子欠損マウス (ノックァ ゥトマウス)が作製された。このマウスは、骨吸収阻害物質が生体内に存在しないマウ スであるので、正常マウスと較べて破骨細胞が数多く認められ、活発に骨吸収が行わ れている。従って、週齢が進むと骨吸収が著しく亢進し、重篤な骨粗鬆症を呈する。
[0013] 一方、骨粗鬆症患者及び骨粗鬆症の症状を呈する OPG欠損マウスにぉ 、て、骨 髄内の脂肪化が顕著に認められている。未分化間葉系細胞は、骨組織において、軟 骨芽細胞'骨芽細胞および脂肪細胞へ分化する。骨粗鬆症を呈する病態では、破 骨細胞による骨吸収が起こった後、軟骨芽細胞'骨芽細胞ではなぐ脂肪細胞への 分化が進み、骨が吸収された部分が脂肪組織によって置換されているものと考えら れている。
[0014] このことから、本発明者らは、骨吸収を司る唯一の細胞である破骨細胞の分化と骨 吸収メカニズムの解明を目的に膨大な実験を行い、骨が吸収された部分での脂肪細 胞の存在は、単にその空間を充填するためのものではなぐ骨芽細胞分化がなされ な力つた間葉系細胞の末路であるのではないかとの知見に基づき、未分ィ匕間葉系細 胞を脂肪細胞でなく骨芽細胞に分化させることができれば、骨を再生し骨粗鬆症治 療の一助となるのではないかとの推論を導き、本発明を開発するに到った。
[0015] したがって、本発明は上述に鑑みてなされたものであり、レチノイド X受容体アンタ ゴニストとして合成され、脂肪細胞の分化を阻害する活性を有する、骨粗鬆症に対す る新規な治療剤として、 HX531の使用を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0016] 即ち、上記目的は、請求項 1に記載されるがごとぐレチノイド X受容体関連化合物 を含有する骨粗鬆症の治療薬によって達成される。
[0017] 請求項 1に記載の発明によれば、骨粗鬆症に対する新規な治療剤として、レチノィ ド X受容体関連化合物を使用することを提供できる。
[0018] 請求項 2にかかる発明は、請求項 1に記載の発明において、前記レチノイド X受容 体関連化合物が HX531であることを特徴とする。
[0019] 請求項 2に記載の発明によれば、レチノイド X受容体アンタゴ-ストとして合成され、
脂肪細胞の分化を阻害する活性を有する、骨粗鬆症に対する新規な治療剤として、
HX531の使用を提供できる。
発明の効果
[0020] 本発明によれば、骨粗鬆症のような全身性の骨代謝疾患および歯周病や関節リウ マチなどに認められる局所的骨吸収の亢進に対する治療剤として、脂肪細胞の分化 を阻害する活性を有する物質である核内受容体レチノイド X受容体アンタゴニストとし て合成されて、抗糖尿病薬 ·抗肥満薬としても応用可能である HX531を利用するこ とがでさる。
図面の簡単な説明
[0021] [図 1]腰椎海綿骨部における骨形態計測 (骨形成マーカー)で骨量を示す図である。
[図 2]腰椎海綿骨部における骨形態計測 (骨形成マーカー)で骨梁数を示す図であ る。
[図 3]腰椎海綿骨部における骨形態計測 (骨形成マーカー)で類骨量を示す図であ る。
圆 4]腰椎海綿骨部における骨形態計測 (骨形成マーカー)で骨芽細胞面 (骨面)を 示す図である。
[図 5]腰椎海綿骨部における骨形態計測 (骨形成マーカー)で骨石灰化速度を示す 図である。
[図 6]腰椎海綿骨部における骨形態計測 (骨形成マーカー)で骨形成速度を示す図 である。
[図 7]腰椎海綿骨部における骨形態計測 (骨吸収マーカー)で骨吸収速度を示す図 である。
[図 8]腰椎海綿骨部における骨形態計測 (骨吸収マーカー)で破骨細胞面を示す図 である。
[図 9]腰椎海綿骨部における骨形態計測 (骨吸収マーカー)で破骨細胞数 (骨面)を 示す図である。
[図 10]腰椎海綿骨部における骨形態計測 (骨吸収マーカー)で吸収面を示す図であ る。
[図 li]大腿骨皮質骨部における骨形態計測で粗鬆化面 Z皮質骨を示す図である。
[図 12]大腿骨皮質骨部における骨形態計測で多孔面を示す図である。
[図 13]大腿骨皮質骨部における骨形態計測で骨形成速度 (骨内膜面 Z年)を示す 図である。
[図 14]大腿骨皮質骨部における骨形態計測で骨形成速度 (骨外膜面 Z年)を示す 図である。図 17は削除
[図 15]大腿骨皮質骨部における骨形態計測で骨外膜面の類骨面を示す図である。
[図 16]大腿骨皮質骨部における骨形態計測で吸収面 Z骨外膜面を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
[0022] 以下、本発明の一つの好ましい態様について詳述して説明する力 本発明はこれ に限定されるものではない。
[0023] 本発明を説明する前に、まず核内受容体ついて説明する。
[0024] 核内受容体は、ステロイドホルモンや脂溶性ビタミンなどの低分子化合物によって 結合 ·活性化され、特異的遺伝子発現の制御を行う転写因子である。近年、核内受 容体が癌、糖尿病、動脈硬化などのさまざまな疾患の発症に関わっていることが示唆 され、薬剤開発における重要な分子標的と考えられるようになった。
[0025] HX531は、レチノイド X受容体関連化合物であり、より詳細には、レチノイド X受容 体 (以下、 RXRという)アンタゴニストとして合成されたものである。マウスを用いた実 験結果から、 RXRの活性低下は、糖尿病や肥満症の治療に結びつく可能性が明ら 力となったこと力ら、 HX531の薬剤としての応用がクローズアップされてきた。
[0026] 一般的に、核内受容体は、リガンドが結合すると複合体を形成して DNAに結合し て転写因子として働く物質である。最初に発見された核内受容体は、ステロイドホル モン受容体であり、 1980年代の中頃に遺伝子がクローユングされ配列が決定され、 互いの相同性が高いことが確認された。その後、遺伝子のクローユングと配列解析の 進歩で、配列の相同性を手掛りとして、多数の核内受容体類似のタンパク質が発見 された。最近のヒトゲノム解読では、類似タンパク質の数は 48に達し、これらは核内受 容体スーパーファミリーと呼ばれている。
[0027] 受容体 (レセプター)は細胞に存在して、物理'化学的な刺激を認識して細胞に応
答を誘起するタンパク質である。薬剤を含む情報伝達物質のことを総称してリガンド またはファーストメッセンジャーというが、リガンドは情報を伝える「鍵」であり、受容体 は「鍵穴」に相当するように考えられる。このように、「鍵」と「鍵穴」の作用によって、受 容体がリレーする情報は、細胞の分裂、増殖、死の制御を通じて発生や形態形成を 司っているほかに、知覚、認識、運動といったより高次の生命現象にも深く関与して V、ることが分かってきて!/、る。
[0028] 次に、受容体を理解するために細胞の機能を説明する。
[0029] 人の細胞は細胞膜、細胞質、核から成り立って 、る。
[0030] 細胞膜には先の受容体のほか、細胞内外のイオン環境の調節、細胞の興奮や分 泌などの活動を担うイオンチャンネルが存在する。なかにはイオンチャンネルと受容 体とが一緒になつているもの (イオンチャンネル共役型受容体)もあり、この場合ィォ ンの通過により生じる電位で細胞内に信号を伝達する。
[0031] 細胞質にはタンパク質合成、エネルギー産生および各種の情報伝達を行うため、リ ポソーム、ゴルジ体、ミトコンドリア、小胞体などのユニットがある。一方、核には遺伝 子(DNA)が収納されている。体の組織の再生や体内の化学反応の進行に関与して いるのは酵素などのタンパク質である。タンパク質はアミノ酸力も構成され、そのアミノ 酸の配列を決める情報を遺伝子 (DNA)からメッセンジャー RNAに読みとつた (転写 )後、リボソームで必要なタンパク質を合成する。
[0032] 受容体 (レセプター)は、その存在する場所で 2つに分けられ、核内受容体 (細胞内 受容体ともいう)と、細胞膜 (貫通型)受容体とがある。
[0033] 核内受容体は、細胞膜を自由に通過できる脂溶性ビタミン A、 Dやステロイドホルモ ンゃ甲状腺ホルモン等の脂溶性の物質を受容する。これらのリガンド (情報伝達物質 )により核内の DNAの特定配列に結合し転写して、必要なタンパク質を合成して生 体反応をひき起こす。
[0034] 特に、最近では、ステロイドホルモン受容体ファミリーであるペルォキシソーム増殖 因子活†¾ィ匕受容体、 peroxisome proliferator— activated receptor; PPAR) 7)^ 糖'脂質代謝に関与する種々の標的遺伝子を調節している転写因子として最近注目 されている。 PPARにリガンドが結合すると、レチノイド X受容体 (RXR)とへテロダイ
マーを形成し、標的遺伝子上流にある応答配列 PPRE (PPAR response eleme nt)に結合し、転写を制御する。
[0035] a型が肝臓、心臓、腎臓、褐色脂肪細胞などの脂肪消費臓器に、 β型は脳に、 y 型は白色脂肪細胞等の脂肪蓄積臓器に多く存在するとされ、例えば、高脂血症治 療薬のフイブラート系薬剤は PPAR aのリガンドとしても働き、脂質改善作用、抗炎症 作用、抗酸化作用などの多機能作用を発揮する。また PPAR yは、 RXRと結合体を つくることにより、脂肪細胞分ィ匕に関与する転写因子として働き、小型脂肪細胞を増 カロさせインスリン抵抗性を改善するとされている。 PPAR yのリガンドとしては、チアゾ リジン誘導体が知られて 、る。
[0036] また、細胞膜 (貫通型)受容体は、ペプチドホルモン、神経伝達物質、増殖因子な どの細胞膜を通過できない水溶性の物質を膜表面で受容する。受容後はセカンドメ ッセンジャーと言われる細胞質内の情報伝達物質を介して間接的に情報を伝達して 作用を発揮する。最終的には体内物質の活性の抑制や細胞の核に存在する特定の 遺伝子 (DNA)の転写を促してタンパク質を合成して生体反応をひき起こす。
[0037] 次に、受容体の構造と性質を説明する。
[0038] 上述したように、受容体はアミノ酸の結合体 (タンパク質)からできており、複雑な立 体構造から成り立つ「鍵穴」である。その鍵穴に適合することを親和性があると 、う。 本来生体内に存在しない化学合成物質が細胞に作用するのは、これらの物質に生 体内の真のリガンド(内因性リガンド)と共通した立体構造があり、受容体に親和性が あるからである。
[0039] また鍵穴(受容体)の数は細胞の環境に応じてダイナミックに変化し、状況に応じて 受容体の数を減らしたり(ダウンレギュレーション)、受容体の数を増やしたりもする(ァ ップレギュレーション)。
[0040] 次に、リガンド (情報伝達物質)の選択性と薬剤との関係を説明する。
[0041] 何種類かの鍵穴に適合するマスターキー的な選択性が低いリガンドもあれば、特定 の種類の鍵穴にのみ適合する選択性が高いリガンドも存在する。受容体に作用する 薬剤の視点からは受容体刺激剤と受容体遮断剤に大きく分けられる。
[0042] 薬物 (鍵)が鍵穴(受容体)に作用し、細胞に本来の情報を伝達し作用するものを受
容体刺激剤(ァゴ二スト)とよぶ。一方、薬物 (鍵)の中には、特定の鍵穴に適合し鍵 穴をふさぐことにより、真のリガンドが結合できなくしてしまう受容体遮断剤 (アンタゴ- スト)がある。
[0043] 本発明は、 RXR関連化合物として、 RXRアンタゴ-ストとして合成された HX531を 使用して、脂肪細胞への分ィ匕を抑制し、骨芽細胞への分化を亢進させたものである 。アンタゴニストは拮抗物質とも呼ばれ、前述のようにホルモンなどの生理活性物質 の受容体 (レセプター)に拮抗的に結合するが、それ自身は受容体を介した生理活 性作用を持たない物質を意味する。アンタゴニストである薬物や汚染物質 (環境ホル モン)は、ホルモンの「鍵」に類似した分子構造を有し、受容体には結合する力 それ 自身は受容体を介した生理活性作用を示さない。結果として、ホルモンが受容体へ 結合するのを妨げ、本来のホルモン作用を抑制する。
[0044] HX531は、我々によって合成された抗糖尿病薬 '抗肥満薬としての応用が考えら れる化合物である力 本発明においては、骨粗鬆症の治療剤として有用である。
[0045] したがって、本発明の治療剤は、核内受容体 RXRアンタゴニストとして合成された HX531を有効成分として含有する医薬組成物を用いることができ、その合成は容易 に可能である。
[0046] 本発明の核内受容体 RXRアンタゴニストである HX531を有効成分として含有する 医薬組成物を使用する際の骨粗鬆症の治療剤の使用形態は、特に限定されず、必 要に応じて適宜選択することができる。例えば、 HX531においては、錠剤、カプセル 剤、顆粒剤、細粒剤、散剤のような経口剤または注射剤としての臨床応用が可能で ある。
[0047] この場合、骨粗鬆症患者の年齢、性別、体重または疾患の程度により異なるが、通 常、成人に対して、 1日あたり 20mg乃至 2gの範囲であり、この投与量を 1日数回に 分けて投与するのが好まし 、。
[0048] 従来は骨粗鬆症の対処療法として、破骨細胞の骨吸収活性を抑制する薬剤として カルシトニンとビスフォスフォネートが使用されている力 本発明の RXR関連化合物 であり、 RXRアンタゴ-ストとして合成された HX531を経口摂取することで、骨芽細 胞の骨形成メカニズムに対して有効に作用することができ、カルシトニン注射の不応
答性やビスフォスフォネートによる胃腸障害などの副作用を引き起こすことなぐ骨粗 鬆症の治療剤として有効に活用することができる。
[0049] 以上説明したように、従来困難であった骨粗鬆症の治療において、 RXR関連化合 物である RXRアンタゴニストとして合成された HX531を有効成分として含有するィ匕 合物の投与によって、未分化間葉系細胞を脂肪細胞でなぐ骨芽細胞に分化させる ことから、 HX531は骨を再生する新たな薬剤となる。
実施例
[0050] 以下、本発明にしたがって実施した具体例を更に詳細に説明する力 本発明はこ れらの実施例に限定されるものではない。なお、本発明の趣旨及び範囲を逸脱しな い限り、その細部につ 、ては様々な態様が可能である。
(実施例 1)
OPGノックアウトマウス(6週齢)を 3タイプの群に分け、それぞれ 7匹ずつ用意した。 これらのマウスは、日本クレア (株)から入手した。 3タイプの群は、対照群(Cont)、H X531群(HX)および LE135群(LE)とした。 LE135は、核内受容体レチノイド A受 容体 (RAR)アンタゴ-ストとして合成されたィ匕合物である。
[0051] 滅菌固形飼料をシャーレに入れ、滅菌水をカ卩えて軟ィ匕させたものを練り餌とした。
HX531群、 LE135群は、それぞれの薬剤を練り餌に混ぜたものを与えた。 1日に与 える飼料は固形の状態で 1匹あたり 3gとした。薬剤は飼料重量に対して 0. 03%とし た。練り餌は毎日交換したが、すべての群においてほぼ完全に食していた。薬剤は 4 週間連続投与し、と殺 4日前と 2日前〖こテトラサイタリン ·力ルセインの腹腔投与による 二重標識を行なった。
[0052] 大腿骨 (皮質骨)と腰椎 (海綿骨)の骨形態計測を行なうと共に、大腿骨の組織学的 観察を行なった。また、と殺前に採血を行い、骨形成マーカーの測定を行なった。結 果を図 1乃至 16に示す。
[0053] 図 1乃至 6は、腰椎海綿骨部における骨形態計測 (骨形成マーカー)で骨量、骨梁 数、類骨量、骨芽細胞面 (骨面)、骨石灰化速度及び骨吸収速度をそれぞれ示す図 である。これらの図から分力るように、特に、図 1及び図 2から、 HX531を食したマウス の骨量と骨梁数は対照群や LE 135を食したマウスに対して数値が高ぐ HX531が
骨粗鬆症の処置に有効であることが分かる。
[0054] また、図 7乃至 10は、腰椎海綿骨部における骨形態計測 (骨吸収マーカー)で骨吸 収速度、破骨細胞面、破骨細胞数 (骨面)、吸収面、多核破骨細胞数及び単核破骨 細胞数をそれぞれ示す図である。これらの図から分力るように、特に、図 7及び図 8か ら、対照群と比較して、 HX531を食したマウスの骨吸収速度は著しく遅ぐ破骨細胞 面が低い。したがって、 HX531が骨粗鬆症の処置に有効であることが分かる。
[0055] また、図 11乃至 16は、大腿骨皮質骨部における骨形態計測で粗鬆化面 Z皮質骨 、多孔面、骨形成速度 (骨内膜面 Z年)、(骨外膜面 Z年)、骨外膜面の類骨面、及 び吸収面 Z骨外膜面を示す図である。これらの図から分力るように、特に、図 11から 、対照群と比較して、 HX531を食したマウスの粗鬆ィ匕面 Z皮質骨の比率は著しく低 く、さらに図 12から、多孔面が小さい。したがって、 HX531が骨粗鬆症の処置に有 効であることが分力ゝる。
[0056] 以上本発明の好ましい実施例について詳述した力 本発明はかかる特定の実施形 態に限定されるものではなぐ特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内 において、種々の変形 ·変更が可能である。
産業上の利用可能性
[0057] 本発明によると、骨粗鬆症の従来の治療剤の問題として挙げられた 1)カルシトニン 受容体の消失によるカルシトニン作用の減弱、 2)酸性条件におけるビスフォスフォネ ートの取り込み促進による胃腸障害、 3)骨組織におけるビスフォスフォネートの長期 にわたる沈着などを解決することが動物実験にお 、て、レチノイド X受容体アンタゴ- ストとして合成され、脂肪細胞の分化を阻害する活性を有する、 HX531をマウスに経 口投与することにより、十分効果を確認することができた。したがって、 HX531は、骨 粗鬆症の治療剤として新規な使用ができ、経口薬剤としての提供が可能である。
[0058] 本国際出願は、 2005年 9月 6日に出願した日本国特許出願 2005— 258480号に 基づく優先権を主張するものであり、 2005— 258480号の全内容を本国際出願に 援用する。
Claims
請求の範囲
レチノイド X受容体関連化合物を含有する骨粗鬆症の治療薬。
前記レチノイド X受容体関連化合物が HX531であることを特徴とする請求項 1に記 載の骨粗鬆症の治療薬。
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