JPH1112192A - 骨粗鬆症予防・治療剤 - Google Patents

骨粗鬆症予防・治療剤

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JPH1112192A
JPH1112192A JP9161185A JP16118597A JPH1112192A JP H1112192 A JPH1112192 A JP H1112192A JP 9161185 A JP9161185 A JP 9161185A JP 16118597 A JP16118597 A JP 16118597A JP H1112192 A JPH1112192 A JP H1112192A
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JP
Japan
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collagen
bone
osteoporosis
gelatin
hydrolyzate
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JP9161185A
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English (en)
Inventor
Seiichiro Kawashima
誠一郎 川島
Riyuugo Yui
龍五 油井
Takeo Karakida
丈夫 唐木田
Yoichi Yamagishi
洋一 山岸
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Zenyaku Kogyo KK
Original Assignee
Zenyaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 閉経期骨粗鬆症および老人性骨粗鬆症に有用
な骨粗鬆症予防・治療剤を提供する。 【解決手段】 コラーゲンまたはゼラチンをブロメライ
ン、パパイン、フィシンなどの蛋白質分解酵素で処理し
て得られるコラーゲンまたはゼラチンの酵素分解物を有
効成分とする骨粗鬆症予防・治療剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコラーゲンまたはゼ
ラチンの酵素分解物を有効成分とする骨粗鬆症予防・治
療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】骨組織は骨細胞、骨芽細胞および破骨細
胞などの骨構成細胞とその間を埋める大量の骨基質から
構成されている。さらに、骨基質はコラーゲンを主体と
する有機性成分とヒドロキシアパタイトと呼ばれるリン
酸カルシウム結晶を主体とする無機性成分でできてい
る。骨は支持組織であると同時にカルシウムの貯蔵庫と
しての機能をもっている。すなわち、成長が停止した後
も活発な破骨細胞の骨吸収と骨芽細胞の骨形成により再
構築(リモデリング)を繰り返し、両過程間の動的平衡
によってその形態と強度を維持している。この平衡関係
が崩れたときに、骨粗鬆症をはじめとする様々な骨疾患
が生じる。
【0003】骨粗鬆症は骨量の持続的な低下と骨強度の
低下を特徴とする疾患であり、医学的には「低骨量と骨
組織の微小構造の破綻によって特徴づけられる疾患であ
り、骨の脆弱性亢進と骨折危険率の増大に結びつく疾
患」と定義され、我が国においては1,000万人を越す患
者が存在すると推定されている。
【0004】骨粗鬆症の発症には、骨代謝に関係するホ
ルモンバランスの変化、老化および栄養状態の低下など
が原因としてあげられる。
【0005】骨粗鬆症の代表例としては閉経期骨粗鬆症
および老人性骨粗鬆症があげられるが、前者は閉経後の
エストロジェンの血中濃度低下に伴って骨量減少速度が
亢進し病的レベルに達した状態を言う。一方、後者は一
般的に65歳以降に見られる疾患で、加齢に伴う骨形成
能の低下やカルシウムの消化管からの吸収能の低下によ
る血中カルシウム濃度減少を補うために、骨吸収が骨形
成を上回る状態、すなわち負のカルシウム平衡が長く続
くことにより病的レベルに達した状態を言う。
【0006】骨粗鬆症が進行すると、疼痛、関節痛、歩
行障害や病的な骨折を伴うことが多く、日常生活に支障
をきたす脊椎骨折や大腿骨頸部骨折を起こし易いことが
この疾患の大きな問題である。特に、高齢者では大腿骨
頸部骨折で入院した場合、40%の患者が退院できず寝た
きりの状態となり、骨折後1年以内に10〜20%の患者が
死亡するといわれている。
【0007】骨粗鬆症を治療する目的で種々の薬物、た
とえば、エストロジェン、カルシトニン、ビタミンDな
どが用いられているが、長期にわたり大量に服用する場
合が多く、性器出血、高カルシウム血症および高カルシ
ウム尿症とそれに伴う尿路結石などの副作用や治療抵抗
性の発現が問題となっている。
【0008】高齢者や閉経後女性の骨粗鬆症に対しては
カルシウム補充療法が有効であると報告されており、主
要な骨基質構成成分の1つであるカルシウムの製剤は他
の上記薬剤に比べて安全性が高いという点からも注目さ
れている。
【0009】また、骨基質のもう一つの主要構成成分で
あるコラーゲンは、トリプトファンを除く必須アミノ酸
を含み、保湿作用を有することから化粧品に使用され、
またその酸またはアルカリ処理物であるゼラチンは凝固
特性を利用した食品として用いられている。一方、骨粗
鬆症患者の骨ではコラーゲンの含量は変化せずにコラー
ゲン分子間の架橋形成が減少することが骨強度低下の原
因であるという報告[H.Oxlund等 Bone19(5):479-484(1
996)]はあるものの、実際にコラーゲン、ゼラチンやそ
れらの酵素分解物などを投与して骨粗鬆症が改善された
という報告も実験的証明も未だなされていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】骨粗鬆症の治療には長
い期間を必要とするため、食品としても利用可能な素材
を用いた安全性の高い薬剤開発が望まれていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、骨組織を
構成するコラーゲンに注目し、骨粗鬆症の予防・治療に
コラーゲンまたはゼラチンの酵素分解物を用いること
で、低カルシウム食摂取の状態においても骨破断強度の
低下が明らかに抑制されることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0012】すなわち、本発明はコラーゲンまたはゼラ
チンの酵素分解物を有効成分とし、骨強度の改善による
骨折の予防に有用な骨粗鬆症予防・治療剤を提供するも
のである。
【0013】本発明で用いるコラーゲンまたはゼラチン
の酵素分解物とは、牛や豚の骨や皮膚などより調製され
るコラーゲンまたはゼラチンを原料としてブロメライ
ン、パパイン、フィシンなどの蛋白質分解酵素で処理し
たものであり、また必要に応じて更に酵母菌、乳酸菌な
どで醗酵処理・精製したものを用いてもよい。その平均
分子量としては20,000以下のものが利用でき、特に平均
分子量が4,000〜6,000で分子量範囲が1,000〜30,000の
ものが好ましい。上記に該当するコラーゲンまたはゼラ
チンの酵素分解物は市販の食品素材としても入手可能で
ある。
【0014】本発明の薬剤を人体に適用する場合は、経
口投与が好ましく、剤型としては錠剤、コーティング錠
剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、
シロップ剤、液剤などが利用できる。
【0015】これらの剤型の調製は薬学的に許容される
賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、懸濁化剤、乳化剤、
防腐剤、安定化剤、分散剤など、例えば、乳糖、白糖、
澱粉、デキストリン、結晶セルロース、カオリン、炭酸
カルシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、蒸留
水、又は生理食塩水を用いて行われる。
【0016】投与量は患者の症状、年齢、体重などに応
じて異なるが、成人に対する一日量として、コラーゲン
またはゼラチンの酵素分解物1,000〜10,000mgを含む製
剤を2〜3回に分けて投与することができる。
【0017】本発明の薬剤は、従来骨粗鬆症治療に用い
られてきた薬物たとえばビタミンDやカルシウム剤を加
えた配合剤としてもよい。
【0018】なお、本発明で用いるコラーゲンまたはゼ
ラチンの酵素分解物は、食品としても広く利用されてい
るため、骨粗鬆症予防・治療を目的とした特定保健用食
品としても応用できる。
【0019】次に、実施例、試験例を挙げて本発明につ
いて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。
【0020】
【実施例】
実施例1 コラーゲンまたはゼラチンをブロメラインで処理して得
られる酵素分解物(市販乾燥粉末:新田ゼラチン製、平
均分子量約5,000)を用いた錠剤の処方例(15錠中) 市販乾燥粉末 2,000mg 結晶セルロース 1,250mg 粉末還元麦芽糖水飴 400mg ショ糖脂肪酸エステル 100mg
【0021】実施例2 実施例1と同じ市販乾燥粉末を用いた細粒剤の処方例
(2包中) 市販乾燥粉末 2,000mg パラチノース 1,600mg サイクロデキストリン 400mg
【0022】実施例3 実施例1と同じ市販乾燥粉末を用いた液剤の処方(30
ml中) 市販乾燥粉末 10,000mg ビタミンC 500mg ビタミンB群 27mg ガラクトオリゴ糖シロップ 3,000mg グラニュー糖 1,500mg 保存料 微量 香料 微量
【0023】次に、本発明の骨粗鬆症予防・治療剤の骨
に対する影響を骨粗鬆症モデル動物を用いた下記試験例
1にて説明する。
【0024】試験例1 ウィスター系雌ラット(8週齢、平均体重180g、1群
6〜7匹)を5群に分け、第1群のラットには偽手術を
施して対照とし、その他の群のラットは卵巣摘除手術を
施して閉経後骨粗鬆症モデルとした。ラットには1日20
gの粉末調製飼料の制限給餌を行い、イオン交換水を自
由摂取させて4週間飼育した。飼料中のカルシウム含量
は、第2群と第3群が低カルシウム食に相当する0.08
%、第1群、第4群および第5群が普通食に相当する0.
4%となるように調製した。更に、第3群と第5群の飼
料中には被験薬物として実施例1と同じ市販乾燥粉末を
4%含有するように調製した。
【0025】4週間飼育したのち、被験動物の脛骨の骨
塩密度と大腿骨の破断強度を測定した。その結果を、下
記表1に示す。また、被験群2と3を比較した腰椎断面
の走査電子顕微鏡写真を図1と図2に示す。
【0026】
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 被験群 処理 Ca含量 被験薬物 骨塩密度 破断強度 (%) (%) (g/cm2) (106dyn) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1 偽手術 0.4 − 0.238±0.002 17.5±0.5 2 卵巣摘除 0.08 − 0.186±0.003 10.7±1.0 3 卵巣摘除 0.08 4 0.189±0.003 17.6±0.9* 4 卵巣摘除 0.4 − 0.213±0.003 17.7±0.3 5 卵巣摘除 0.4 4 0.220±0.002 20.2±0.6* ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *:被験薬物を含まない群との有意差〔P<0.01〕
【0027】上記の試験結果から、被験薬物は飼料カル
シウム含量にかかわらず、ラット脛骨の骨塩密度に影響
を与えないが、0.08%および0.4%のいずれのカルシウ
ム含量の飼料においてもラット大腿骨の破断強度を統計
的に有意に増加させた。また、ラット腰椎の内部構造を
示す断面写真から、被験薬物を配合した群で明らかに骨
梁が太くなり本数も多くなっていた。
【0028】本発明の骨粗鬆症予防・治療剤は、低カル
シウム食摂取時においても骨破断強度の低下を有意に抑
制することが認められた。
【0029】試験例2 本発明の薬剤の毒性を確かめるため、コラーゲンまたは
ゼラチンの酵素分解物の代表例として実施例1と同じ市
販乾燥粉末を用いてICRマウスの急性毒性試験を実施
したが、5,000mg/kgの経口投与では死亡例はみられな
かった。
【0030】以上の結果より、本発明の薬剤は骨強度の
低下を抑制することから、閉経後の女性は勿論のこと高
齢者の骨組織の機能維持および骨折の予防に有用であ
る。
【0031】したがって、本発明の薬剤はこれからの高
齢化社会における代表的骨疾患である骨粗鬆症の予防な
らびに治療に有用である。
【0032】
【発明の効果】本発明の骨粗鬆症予防・治療剤は、骨強
度の低下を抑制することができ、よって閉経後の女性は
勿論のこと高齢者の骨組織の機能維持および骨折の予防
に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】被験群2のラットの腰椎断面写真である。
【図2】被験群3のラットの腰椎断面写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山岸 洋一 東京都練馬区大泉町2丁目33番7号 全薬 工業株式会社研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コラーゲンまたはゼラチンの酵素分解物
    を有効成分とする骨粗鬆症予防・治療剤。
  2. 【請求項2】 コラーゲンまたはゼラチンをブロメライ
    ン、パパイン、フィシンなどの蛋白質分解酵素で処理し
    て得られる酵素分解物を有効成分とする請求項1記載の
    骨粗鬆症予防・治療剤。
  3. 【請求項3】 平均分子量が20,000以下である酵素分解
    物を有効成分とする請求項1または2記載の骨粗鬆症予
    防・治療剤。
  4. 【請求項4】 骨破断強度を改善する請求項1又は2又
    は3記載の骨粗鬆症予防・治療剤。
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