明 細 書
癌の予防 ·治療剤 技術分野 一
本発明は、 DDR1 (Discoidin Domain Receptor 1) の活性を中和する抗体、 該 抗体を含有するアポトーシス誘導剤又は癌の予防■治療剤、 アポトーシス誘導剤 又は癌の予防■治療剤のスクリーニングなどに関する。 背景技術
癌において、 遺伝子のマイクロアレイプロフアイリングデータでその病態が評 価しうることが予見され、 実際、 白血病においては遺伝子発現プロファイルによ る白血病の分類が可能であることが報告されている。 また個々の癌組織の遺伝子 発現プロファイルを明らかにし、 その分類を積み重ねることによって、 特定の癌 治療法に対する反応性を予測したり特定の癌に対する新たな創薬標的タンパク質 を発見したりすることが可能となると考えられる。 具体的には、 ある種の癌であ る種のタンパク質の発現亢進が認められる場合には、 新たに抗原陽性と診断され た患者に対して (i) その発現量を低下させる、 (i i) 機能を抑制する、
(i ii) 該タンパク質に対する宿主免疫応答を顕在化させる等の方法によって抗 腫瘍活性を導くことが可能となる。 これと同時に、 抗原陰性と診断された患者に 対しては別の治療法への切替が迅速に行えるなど、 患者に無用な負担をかける懸 念がなくなると予想される。 以上のように発現プロファイル解析は、 癌の分子診 断と分子標的治療薬の開発に多大な貢献をなしうるものと期待されている。
DDRla遺伝子 (RefSeq Accession No. NM_001954) はヒトケラチノサイト由 来の cDNA、 およびヒト胎児脳由来の cDNAよりクローニングされた遺伝子であり、 876アミノ酸からなるタンパク質をコードしている (RefSeq Accession No.
NP_001945) 。 DDRlb遺伝子 (GenBank Accession No. L11315) はヒト胎盤由来 の cDNAからクローユングされた遺伝子であり、 913アミノ酸からなるタンパク
質をコードしている (GenBank Accession No. AAA02866) 。 DDRlc遺伝子
(RefSeq Accession No. 蓮— 013994) はヒ ト胎児脳由来の cDNAからクローニン グされた遺伝子であり、 919アミノ酸からなるタンパク質をコードしている (RefSeq Accession No. NP_054700) 。 また、 DDRld遺云子、 および DDRle遺 伝子は癌細胞株で発現していることが知られている (FASEB J. (2001) .15 (7) , pl321-pl323) (以下、 DDRla、 DDRlb, DDRlc、 DDRld、 および DDRleをまとめて DDR1 と総称することもある) 。 さらに、 DDRlb遺伝子に相同性を示すマウス遺 伝子 (RefSeq Accession No. NM_007584) がクローユングされており、 911ァ ミノ酸からなるタンパク質をコードしている (RefSeq Accession No.
NP— 031610) 。 このマウス遺伝子は DDRlb遺伝子に対して塩基配列で約 86%、 ァ ミノ酸配列で約 93%の相同性を有している。 DDRlb遺伝子に相同性を示すラッ ト遺伝子 (RefSeq Accession No. 丽— 013137) もクローニングされており、 910 アミノ酸からなるタンパク質をコードしている (RefSeq Accession No.
NP— 037269) 。 このラット遺伝子は DDRlb遺伝子に対して塩基配列で約 86%、 ァ ミノ酸配列で約 93%の相同性を有している。 DDR1遺伝子は MCK10、 Cak、 NEP、 trkE、 PTK3、 RTK6、 CD167などの異名を持つ遺伝子であり、 DDRファミリ一に属 し、 DDRファミリ一は DDR1、 および DDR2より構成されている (以下、 これらを DDRと総称することもある) 。 DDRlb遺伝子は、 DDRla遺伝子のスプライシング バリアントであり、 DDRlb遺伝子によってコードされるタンパク質は、 DDRla遺 伝子によってコードされるタンパク質の 505番目と 506番目のアミノ酸の間に 37アミノ酸が付加されている。 この 37アミノ酸に含まれる配列である L L S N P A Yは Sheの PTB ドメインに結合する配列であることが知られている
(US2003070184号公報) 。 DDRlc遺伝子によってコードされるタンパク質は、 DDRla遺伝子によってコードされるタンパク質の 505番目と 506番目のアミノ酸 の間に 37アミノ酸が付加され、 665番目と 666番目のアミノ酸の間に 6ァミノ 酸が付カ卩された配列を有している。 DDRld遺伝子は 508アミノ酸からなるタンパ ク質をコードしており、 DDRla遺伝子によってコードされるタンパク質の 505番
目から C末端までの配列が 4アミノ酸よりなる別のアミノ酸配列に置換されて いる。 DDRle遺伝子は 767アミノ酸からなるタンパク質をコードしており、 DDRla遺伝子によってコードされるタンパク質の 450番目から 586番目に相当す る 137アミノ酸からなる配列が、 28アミノ酸よりなる!^のァミノ酸配列に置換 されている。
DDR1はコラーゲンをリガンドとする受容体であり、 コラーゲンが DDR1の細胞 外領域に結合すると DDR1は活性化され、 細胞内領域が触媒するキナーゼ活性が 上昇し自己リン酸化が誘発されることが知られている (Mol. Cel l (1997) 1 (1) Pl3-p23) 。 また、 DDRlb遺伝子は癌抑制遺伝子 p53によって発現が誘導される 遺伝子であるが、 リガンドであるコラーゲンによって MAPK (ERK1/2) のリン酸 化が亢進される、 Aktのリン酸化が亢進されるなど、 DDRlbによって癌細胞は増 殖促進シグナルを受けていると考えられている (EMBO J. (2003) 22 (6) , pl289-pl301) 。 さらに、 DDRlbに存在するキナーゼドメインを欠失きせた不活 性化型 DDRlbを用いると癌細胞にアポトーシスが誘導されることも知られてい る (EMBO J. (2003) 22 (6) , P1289-pl30l) 。 DDR1遺伝子の mRNAは卵巣癌細胞 での発現が知られているほか (Cel l Growth Differ. (1994) 5 (11) , pl l73_ pl l83) 、 種々の癌細胞において発現していることも知られており (US5677144 号公報および TO 03/085125号公報) 、 DDR1遺伝子は乳癌や肺癌の診断と治療に 有用な遺伝子のうちの 1つである (US2003124133号公報) 、 大腸癌の診断と治 療に有用な遺伝子のうちの 1つである (TO 01/22920号公報) 、 膝臓癌の診断と 治療に有用な遺伝子のうちの 1つである (TO 00/55320号公報) 、 卵巣癌の診断 に有用な遺伝子のうちの 1つである (W0 04/22778号公報) と報告されている。 発明の開示
癌細胞に特異的に発現する分子を標的とし、 癌細胞の増殖阻害を誘導する安全 な薬剤が切望されている。
本発明者らは、 上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、 DDR1遺
伝子が乳癌、 卵巣癌、 大腸癌、 肺癌および膝臓癌等の癌組織で発現が顕著に亢進 していることに注目した。 また、 DDR1遺伝子産物が細胞質膜タンパク質であり 抗体標的として好適であることから、 DDR1タンパク質機能を抑制する活性を有 する DDR1中和抗体が乳癌、 卵巣癌、 大腸癌、 肺癌およ 膝臓癌等の癌の治療剤 等として有用であることを見出した。 この知見に基づいて、 さらに検討を重ねた 結果、 本発明者らは DDR1中和抗体の作製に成功し、 以つて本発明を完成するに 至った。
即ち、 本発明は、 以下を提供する :
(1) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番 号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含 有するタンパク質もしくはその部分ぺプチドまたはその塩に対する中和抗体、
(2) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番 号: 9で表されるァミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含 有するタンパク質もしくはその部分べプチドまたはその塩とコラーゲンとの結合 によりもたらされるアポトーシス抑制刺激を中和する活性を有する抗体である、 ' 上記 (1) 記載の中和抗体、
(3) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番 号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含 有するタンパク質もしくはその部分ぺプチドまたはその塩とコラーゲンとの結合 によりもたらされる癌細胞増殖刺激を中和する活性を有する抗体である、 上記 ( 1) 記載の中和抗体、
(4) コラーゲンが I V型コラーゲンである、 上記 (2) または (3) 記載の中 和抗体、
( 5 ) 中和抗体が、 配列番号 3で表されるァミノ酸配列の 2 2番目から 4 1 6番 目のアミノ酸からなるポリぺプチドもしくはその部分ぺプチドまたはその塩に対 する抗体である、 上記 (1) 記載の中和抗体、
(6) DNA免疫法により作製されるものである、 上記 (1) 記載の中和抗体、
(7) 中和抗体がポリクローナル抗体である、 上記 (1) 記載の中和抗体、
(8) 中和抗体がモノクローナル抗体である、 上記 (1) 記載の中和抗体、
(9) 中和抗体がヒト化抗体である、 上記 (1) 記載の中和抗体、
(10) 中和抗体がヒト型抗体である、 上記 (1) 記載の中和抗体、
(1 1) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7ま.だは配列 番号: 9で表されるァミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を 含有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する中和抗体を 含有してなる医薬、
(1 2) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列 番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を 含有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する中和抗体を 含有してなる当該タンパク質もしくはその部分ぺプチドまたはその塩に対するァ ンタゴ二ス ト、
(1 3) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列 番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を 含有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する中和抗体を 含有してなるアポトーシス誘導剤、
(14) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列 番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を 含有するタンパク質もしくはその部分べプチドまたはその塩に対する中和抗体を 含有してなる癌細胞の増殖抑制剤、
(1 5) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列 番号: 9で表されるァミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を 含有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する中和抗体を 含有してなる癌の予防 ·治療剤、
(1 6) 癌が、 乳癌、 卵巣癌、 大腸癌、 肺癌または隨臓癌である、 上記 (1 5) 記載の剤、
( 1 7 ) 哺乳動物に対して、 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列 番号: 7または配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同 一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩 に対する中和抗体の有効量を投与することを特徴とする癌の予防 ·治療方法、 ( 1 8 ) 癌の予防 ·治療剤を製造するための配列番号: 1、 配列番号:. 3、 配列 番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるアミノ酸配列と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ぺプチ ドまたはその塩に対する中和抗体の使用。
本発明の中和抗体は、 アポトーシスの誘導、 所定の癌 (例えば、 乳癌、 卵巣癌、 大腸癌、 肺癌および膝臓癌) の予防 ·治療などに有用である。 図面の簡単な説明
図 1は、 血清除去により誘導されたアポトーシスにおける IV型コラーゲンの 効果を示す。
図 2は、 DDRlb強制発現細胞株 DDR1FL- #117および DDRlbDN— # 206に対する DDRlbゥサギポリクローナル抗体によるコラーゲン誘導細胞保護作用の阻害を 示す。
図 3は、 癌細胞株 HCT116に対する DDRlbゥサギポリクローナル抗体による コラーゲン誘導細胞保護作用の阻害を示す。 発明を実施するための最良の形態
配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるァミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を含有す るタンパク質 (以下、 本発明で用いられるレセプターと称することもある) は、 ヒ トゃ温血動物 (例えば、 モルモッ ト、 ラット、 マウス、 ニヮトリ、 ゥサギ、 ブ タ、 ヒッジ、 ゥシ、 サルなど) の細胞 (例、 肝細胞、 脾細胞、 神経細胞、 グリア 細胞、 膝臓 i3細胞、 骨髄細胞、 メサンギゥム細胞、 ランゲルハンス細胞、 表皮細
胞、 上皮細胞、 杯細胞、 内皮細胞、 平滑筋細胞、 線維芽細胞、 線維細胞、 筋細胞、 脂肪細胞、 免疫細胞 (例、 マクロファージ、 T細胞、 B細胞、 ナチュラルキラー 細胞、 肥満細胞、 好中球、 好塩基球、 好酸球、 単球) 、 巨核球、 滑膜細胞、 軟骨 細胞、 骨細胞、 骨芽細胞、 破骨細胞、 乳腺細胞、 肝細胞 しくは間質細胞、 また はこれら細胞の前駆細胞、 幹細胞もしくは癌細胞など) もしくはそれらの細胞が 存在するあらゆる組織、 例えば、 脳、 脳の各部位 (例、 嗅球、 扁桃核、 大脳基底 球、 海馬、 視床、 視床下部、 大脳皮質、 延髄、 小脳) 、 脊髄、 下垂体、 胃、 脖 S蔵、 腎臓、 肝臓、 生殖腺、 甲状腺、 胆のう、 骨髄、 副腎、 皮膚、 筋肉、 肺、 消化管 (例、 大腸、 小腸) 、 血管、 心臓、 胸腺、 脾臓、 顎下腺、 末梢血、 前立腺、 丸、 卵巣、 胎盤、 子宮、 骨、 関節、 骨格筋などに由来するタンパク質であってもよく、 合成タンパク質であってもよい。
配列番号: 1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列と約 5 0 %以上、 好ましくは約 6 0 %以上、 好ましくは約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 好ましくは約 9 0 %以上、 好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
配列番号: 1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有す るタンパク質としては、 例えば、 前記の配列番号 .' 1で表されるアミノ酸配列と 実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を 含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。 配列番号: 3で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、 配列番号: 3で表されるァミノ酸配列と約 5 0 %以上、 好ましくは約 6 0 %以上、 好ましくは約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 好ましくは約 9 0 %以上、 好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
配列番号: 3で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有す るタンパク質としては、 例えば、 前記の配列番号: 3で表されるァミノ酸配列と 実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 3で表されるアミノ酸配列を 含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。
配列番号: 5で表されるァミノ酸配列と実質的に同一のァミノ酸配列としては、 配列番号: 5で表されるァミノ酸配列と約 5 0 %以上、 好ましくは約 6 0 %以上、 好ましくは約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 好ましくは約 9 0 %以上、 好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有するァミノ酸配列などが挙げられる。
配列番号: 5で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有す るタンパク質としては、 例えば、 前記の配列番号: 5で表されるアミノ酸配列と 実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 5で表されるアミノ酸配列を 含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。 配列番号: 7で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、 配列番号: 7で表されるァミノ酸配列と約 5◦ %以上、 好ましくは約 6 0 %以上、 好ましくは約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 好ましくは約 9 0 %以上、 好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
配列番号: 7で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のァミノ酸配刿を含有す るタンパク質としては、 例えば、 前記の配列番号: 7で表されるアミノ酸配列と 実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 7で表されるアミノ酸配列を '含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。
配列番号: 9で表されるァミノ酸配列と実質的に同一のァミノ酸配列としては、 配列番号: 9で表されるァミノ酸配列と約 5 0 %以上、 好ましくは約 6 0 %以上、 好ましくは約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 好ましくは約 9 0 %以上、 好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有するァミノ酸配列などが挙げられる。
配列番号: 9で表されるァミノ酸配列と実質的に同一のァミノ酸配列を含有す るタンパク質としては、 例えば、 前記の配列番号: 9で表されるァミノ酸配列と 実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列を 含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。 アミノ酸配列の相同性は、 相同性計算アルゴリズム NCBI BLAST (National Center for Biotechnology Information Basic Local Al ignment Search
Tool) を用い、 以下の条件 (期待値 = 10;ギャップを許す;マトリクス =
BL0SUM62;フィルタリング = 0FF) にて計算することができる。
上記の実質的に同質の活性としては、 例えばコラーゲン (例えば、 I型コラー ゲン、 II 型コラーゲン、 III 型コラーゲン、 IV型コラーゲン、 V型コラーゲン VI型コラーゲン、 VII I型コラーゲン) 等のリガンド結' 活性、 リン酸化される 活性 (例、 リガンド刺激によりリン酸化される活性など) などが挙げられる。 実 質的に同質とは、 それらの性質が性質的に (例、 生理学的に、 または薬理学的 に) 同質であることを示す。 したがって、 上記の活性が同等 (例、 約 0 . 0 1〜 1 0 0倍、 好ましくは約 0 . 1〜; L O倍、 より好ましくは 0 . 5〜2倍) である ことが好ましいが、 これらの活性の程度、 タンパク質の分子量などの量的要素は 異なっていてもよい。
上記結合活性の測定は、 自体公知の方法、 例えば EIA法、 免疫沈降法または これらに準じる方法に従って測定することができる。 具体的には、 例えば、 コラ 一ゲン等のリガンドおよび本発明で用いられるレセプターのそれぞれを、 タグを 付カ卩した組換え型タンパク質として動物細胞で発現させる。 該タグとしては、 FLAG, His, V5、 myc、 HAなどが用いられ、 リガンドに付加するタグ (タグ A) と、 本発明で用いられるレセプターに付加するタグ (タグ B ) とは異なるものを 用いる。 タグ Bに対する抗体で、 上記タグ A付加リガンドぉよび上記タグ B付加 レセプターの混合液を免疫沈降し、 得られた沈殿物を、 タグ Aに対する抗体を用 いてウェスタンブロッティング操作を行うことにより、 本発明で用いられるレセ プターに結合したリガンドの量を測定することができる。
リン酸化される活性の測定は、 自体公知の方法、 例えば Methods in
Enzymology 200卷、 98頁—107頁、 1991年に記載の方法またはそれに準じた方 法に従って測定する。 具体的には、 例えば、 タグ (例、 FLAG、 His, V5、 myc、 HAなど) を C末端に付加した本発明で用いられるレセプターを、 組換え型タン パク質として動物細胞に発現させ、 コラーゲン等のリガンドと反応させた後、 細 胞を破砕し、 無細胞抽出液を調製し、 抗タグ抗体で免疫沈降する。 リン酸化され た本発明で用いられるレセプターの生成量は、 抗リン酸化チロシン抗体などを用
いて公知の方法 (例、 ウェスタンプロット法など) により定量することができる。 本発明で用いられるレセプターとしては、 例えば、 (i) 配列番号: 1、 配列 番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるアミノ酸 配列中の 1または 2個以上 (例えば 1〜5 0個程度、 好ましくは 1〜3 0個程度、 より好ましくは 1〜 1 0個程度、 さらに好ましくは数 ( 1 - 5 ) 個) のアミノ酸 が欠失したアミノ酸配列、 (i i) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるアミノ酸配列に 1または 2個以上
(例えば 1〜5 0個程度、 好ましくは 1〜3 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0 個程度、 さらに好ましくは数 (1〜5 ) 個) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、 (i ii) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列 番号: 9で表されるアミノ酸配列に 1または 2個以上 (例えば 1〜5 0個程度、 好ましくは 1〜3 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは 数 (1〜5 ) 個) のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、 (iv) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるアミ ノ酸配列中の 1または 2個以上 (例えば 1〜 5 0個程度、 好ましくは 1〜3 0個 ' 程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数 (1〜5 ) 個) のァ ミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、 または (V) それらを組み合 わせたァミノ酸配列を含有するタンパク質などのいわゆるムテインも含まれる。 上記のようにアミノ酸配列が揷入、 欠失または置換されている場合、 その揷入、 欠失または置換の位置としては、 とくに限定されない。
本発明で用いられるレセプターの具体例としては、 例えば、 配列番号: 1で表 されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、 配列番号: 3で表されるアミノ酸配 列を含有するタンパク質、 配列番号: 5で表されるアミノ酸配列を含有するタン パク質、.'配列番号: 7で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、 配列番 号: 9で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質などがあげられる。
本明細書におけるタンパク質は、 ぺプチド標記の慣例に従って左端が N末端 (ァミノ末端) 、 右端が C末端 (カルボキシル末端) である。 本発明で用いられ
るレセプターは、 C末端がカルボキシル基 (-C00H) 、 カルボキシレ一ト(- C00— ) 、 アミ ド (- C0NH2) またはエステル (- C00R) の何れであってもよい。
ここでエステルにおける Rとしては、 例えば、 メチノレ、 ェチル、 n—プロピル、 イソプロピル、 n—ブチルなどの C Mアルキル基、 例えば、 シク口ペンチル、 シク口へキシルなどの C 3_8シクロアルキル基、 例えば、 フエニル、 a—ナフチ ルなどの C 6— 12ァリール基、 例えば、 ベンジル、 フエネチルなどのフェ二ルー C !_ 2アルキル基もしくは a一ナフチルメチルなどの α—ナフチルー アルキル基 などの C 7.14ァラルキル基、 ビバロイルォキシメチル基などが用いられる。
本発明で用いられるレセプターが C末端以外にカルボキシル基 (または力ルポ キシレート) を有している場合、 カルボキシル基がァミ ド化またはエステル化さ れているものも本発明で用いられるレセプターに含まれる。 この場合のエステル としては、 例えば上記した C末端のエステルなどが用いられる。
さらに、 本発明で用いられるレセプターには、 N末端のアミノ酸残基 (例、 メ チォニン残基) のァミノ基が保護基 (例えば、 ホルミノレ基、 ァセチル基などの C wアルカノィルなどの ァシル基など) で保護されているもの、 生体内で切 断されて生成する N末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、 分子 内のアミノ酸の側鎖上の置換基 (例えば - 0H、 - SH、 アミノ基、 イミダゾール基、 インドール基、 グァニジノ基など) が適当な保護基 (例えば、 ホルミル基、 ァセ チル基などの C wアルカノィル基などの C !_6ァシル基など) で保護されている もの、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク質など も含まれる。
本発明で用いられるレセプターの部分ぺプチド (本発明で用いられる部分ぺプ チド) としては、 前記した本発明で用いられるレセプターの部分ペプチドであつ て、 好ましくは、 前記した本発明で用いられるレセプターと同様の性質を有する ものであればいずれのものでもよい。
例えば、 本発明で用いられるレセプターの構成アミノ酸配列のうち少なくとも 2 0個以上、 好ましくは 5 0個以上、 さらに好ましくは 7 0個以上、 より好まし
くは 1 0 0個以上、 最も好ましくは 2 0 0個以上のアミノ酸配列を有するぺプチ ドなどが用いられる。 +
本発明で用いられる部分ペプチドの具体例としては、 配列番号: 1、 配列番 号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるアミノ酸配 列の 2 2番目から 4 1 6番目のアミノ酸からなるポリべプチドまたはその部分べ プチドが挙げられ、 なかでも配列番号 3で表されるァミノ酸配列の 2 2番目から 4 1 6番目のアミノ酸からなるポリペプチドまたはその部分ペプチドが好ましく 用いられる。
また、 上記部分ペプチドは、 そのアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好まし くは 1〜 2 0個程度、 より好ましくは 1〜 1 0個程度、 さらに好ましくは数 (1 〜5 ) 個) のアミノ酸が欠失し、 または、 そのアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましくは 1〜2 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましく は数 (1〜5 ) 個) のアミノ酸が付加し、 または、 そのアミノ酸配列 1または 2個以上 (好ましくは 1〜2 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに 好ましくは数 (1〜5 ) 個) のアミノ酸が揷入され、 または、 そのアミノ酸配列 ' 中の 1または 2個以上 (好ましくは 1〜2 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個 程度、 より好ましくは数個、 さらに好ましくは 1〜5個程度) のアミノ酸が他の アミノ酸で置換されていてもよい。
また、 本発明で用いられる部分ペプチドは C末端がカルボキシル基 (- C00H) 、 カルポキシレート (-C00— ) 、 アミド (- C0NH2) またはエステル (- C00R) の何れ であってもよい。
さらに、 本発明で用いられる部分ペプチドには、 前記した本発明で用いられる レセプターと同様に、 C末端以外にカルボキシル基 (またはカルボキシレート) を有しているもの、 N末端のアミノ酸残基 (例、 メチォニン残基) のァミノ基が 保護基で保護されているもの、 N端側が生体内で切断され生成したグルタミン残 基がピログルタミン酸化したもの、 分子内のァミノ酸の側鎖上の置換基が適当な 保護基で保護されているもの、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなど
の複合ぺプチドなども含まれる。
本発明で用いられる部分べプチドは抗体作成のための抗原としても用いること ができる。
本発明で用いられるレセプターまたは部分ペプチドの塩としては、 生理学的に 許容される酸 (例、 無機酸、 有機酸) や塩基 (例、 アルカリ金属塩) などとの塩 が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。 このような塩 としては、 例えば、 無機酸 (例、 塩酸、 リン酸、 臭化水素酸、 硫酸) との塩、 あ るいは有機酸 (例、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コハク 酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼ ンスルホン酸) との塩などが用いられる。
本発明で用いられるレセプター、 またはその部分ペプチドまたはその塩は、 前 述したヒトゃ温血動物の細胞または組織から自体公知のタンパク質の精製方法に よって製造することもできるし、 タンパク質をコードする D N Aを含有する形質 転換体を培養することによつても製造することができる。 また、 後述のペプチド 合成法に準じて製造することもできる。
ヒトゃ哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、 ヒトゃ哺乳動物の組織ま たは細胞をホモジナイズした後、 酸などで抽出を行ない、 該抽出液を逆相クロマ トグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み 合わせることにより精製単離することができる。
本発明で用いられるレセプターもしくは部分ペプチドまたはその塩、 またはそ のアミド体の合成には、 通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることができる。 そのような樹脂としては、 例えば、 クロロメチル樹脂、 ヒドロキシメチル樹脂、 ベンズヒ ドリルァミン樹脂、 アミノメチル樹脂、 4 _ベンジルォキシベンジルァ ルコール樹脂、 4—メチルベンズヒドリルァミン樹脂、 P AM樹脂、 4—ヒドロ キシメチルメチルフエニルァセトアミ ドメチル樹脂、 ポリアクリルアミ ド樹脂、 4— ( 2, , 4, 一ジメ トキシフエ二ルーヒ ドロキシメチル) フエノキシ樹脂、 4一 (2, , 4, ージメ トキシフエエル一 F m o cアミノエチル) フエノキシ樹
脂などを挙げることができる。 このような樹脂を用い、 ひーァミノ基と側鎖官能 基を適当に保護したアミノ酸を、 目的とするタンパク質の配列通りに、 自体公知 の各種縮合方法に従い、 樹脂上で縮合させる。 反応の最後に樹脂からタンパク質 または部分ぺプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、 さらに高希釈溶液 中で分子内ジスルフイ ド結合形成反応を実施し、 目的のタンパク質もし.くは部分 ペプチドまたはそれらのアミ ド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、 タンパク質合成に使用できる各種活 性化試薬を用いることができ、 特に、 カルポジイミド類がよい。 カルポジイミド 類としては、 D C C、 N, N, —ジイソプロピルカルボジィミ ド、 N—ェチルー N ' — (3—ジメチルァミノプロリル) カルポジイミ ドなどが用いられる。 これ らによる活性化にはラセミ化抑制添加剤 (例えば、 H O B t , H O O B t ) とと もに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、 対称酸無水物または H O B t エステルあるいは H O O B tエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を 行なった後に樹脂に添加することができる。
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、 タンパク質 '縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。 例えば、 N, N—ジメチルホルムアミ ド、 N, N—ジメチルァセトアミド、 N—メチルビ ロリ ドンなどの酸アミド類、 塩化メチレン、 クロ口ホルムなどのハロゲン化炭化 水素類、 トリフルォロエタノールなどのアルコーノレ類、 ジメチルスルホキシドな どのスルホキシド類、 ピリジン、 ジォキサン、 テトラヒドロフランなどのエーテ ル類、 ァセトニ トリノレ、 プロピオ二トリルなどの二ト リル類、 酢酸メチル、 酢酸 ェチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。 反応 温度はタンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜 選択され、 通常約一 2 0〜 5 0 °Cの範囲から適宜選択される。 活性化されたアミ ノ酸誘導体は通常 1 . 5〜4倍過剰で用いられる。 ニンヒドリン反応を用いたテ ストの結果、 縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行なうことなく縮合反応を 繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる。 反応を繰り返しても十分
な縮合が得られないときには、 無水酢酸またはァセチルイミダゾールを用いて未 反応アミノ酸をァセチル化することによって、 後の反応に影響を与えないように することができる。
原料のァミノ基の保護基としては、 例えば、 Z、 B o c;、 t—ペンチルォキシ カルボニル、 イソボルニルォキシカルボニル、 4—メ トキシベンジルォ.キシカノレ ボニル、 C I — Z、 B r— Z、 ァダマンチルォキシカノレポ二ノレ、 トリフノレオロア セチノレ、 フタロイル、 ホノレミル、 2—エトロフエニルスノレフエニル、 ジフエ二ノレ ホスフイノチオイル、 F m o cなどが用いられる。
カルボキシル基は、 例えば、 アルキルエステル化 (例えば、 メチル、 ェチル、 プロピノレ、 ブチノレ、 t—プチル、 シクロペンチノレ、 シクロへキシル、 シクロヘプ チル、 シクロォクチル、 2—ァダマンチルなどの直鎖状、 分枝状もしくは環状ァ ルキルエステル化) 、 ァラルキルエステル化 (例えば、 ベンジルエステル、 4一 エ トロべンジノレエステノレ、 4—メ トキシベンジノレエステノレ、 4一クロ口べンジノレ エステノレ、 ベンズヒ ドリノレエステノレ化) 、 フエナシノレエステノレ化、 ペンジノレオキ シカルボニルヒ ドラジド化、 t—ブトキシカルボ-ルヒ ドラジド化、 トリチルヒ ドラジド化などによって保護することができる。
セリンの水酸基は、 例えば、 エステル化またはエーテル化によって保護するこ とができる。 このエステル化に適する基としては、 例えば、 ァセチル基などの低 級 (〇ト6) アルカノィル基、 ベンゾィル基などのァロイル基、 ベンジルォキシカ ルポエル基、 エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられ る。 また、 エーテル化に適する基としては、 例えば、 ベンジル基、 テトラヒ ドロ ピラエル基、 t -プチル基などである。
チロシンのフエノール I1生水酸基の保護基としては、 例えば、 B z 1 、 C 1 2 - B z l 、 2—ニトロベンジル、 B r— Z、 t—ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、 例えば、 T o s、 4ーメ トキシ 一 2, 3 , 6—トリメチノレベンゼンスルホ二ノレ、 D N P、 ベンジルォキシメチノレ. B u m, B o c、 T r t、 F m o cなどが用いられる。
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応する酸無水 物、 アジド、 活性エステノレ 〔アルコール (例えば、 ペンタクロロフエノール、 2 , 4, 5— トリクロロフエノール、 2, 4 -ジニトロフエノール、 シァノメチルァ ルコール、 パラ二トロフエノール、 H O N B、 N—ヒ ド:ロキシスクシミ ド、 N— ヒドロキシフタルイミ ド、 H O B t ) とのエステル〕 などが用いられる。 原料の ァミノ基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応するリン酸アミドが用いら れる。
保護基の除去 (脱離) 方法としては、 例えば、 P d—黒あるいは P d—炭素な どの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、 また、 無水フッ化水素、 メタ ンスルホン酸、 トリフルォロメタンスルホン酸、 トリフルォロ酢酸あるいはこれ らの混合液などによる酸処理や、 ジイソプロピルェチルァミン、 トリェチルアミ ン、 ピぺリジン、 ピぺラジンなどによる塩基処理、 また液体アンモニア中ナトリ ゥムによる還元なども用いられる。 上記酸処理による脱離反応は、 一般に約 _ 2 0 °C〜4 0 °Cの温度で行なわれるが、 酸処理においては、 例えば、 ァニソール、 フエノール、 チオアエソーノレ、 メタクレゾ一ノレ、 パラクレゾーノレ、 ジメチノレスル フイド、 1, 4一ブタンジチオール、 1 , 2—エタンジチォーノレなどのような力 チオン捕捉剤の添加が有効である。 また、 ヒスチジンのイミダゾール保護基とし て用いられる 2, 4—ジニトロフエュル基はチォフエノール処理により除去され、 トリプトフアンのインドーノレ保護基として用いられるホルミル基は上記の 1 , 2 一エタンジチオール、 1 , 4一ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱 保護以外に、 希水酸化ナトリウム溶液、 希アンモニアなどによるアルカリ処理に よっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならぴに保護基、 およびその保護 基の脱離、 反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段から 適宜選択しうる。
タンパク質または部分ペプチドのアミ ド体を得る別の方法としては、 例えば、 まず、 カルボキシ末端アミノ酸のひ一カルボキシル基をアミド化して保護した後、
アミノ基側にペプチド (タンパク質) 鎖を所望の鎖長まで延ばした後、 該ぺプチ ド鎖の N末端のひーァミノ基の保護基のみを除いたタンパク質または部分ぺプチ ドと C末端の力ルポキシル基の保護基のみを除去したタンパク質または部分ぺプ チドとを製造し、 これらのタンパク質またはべプチド ¾:_上記したような混合溶媒 中で縮合させる。 縮合反応の詳細については上記と同様である。 縮合により得ら れた保護タンパク質またはペプチドを精製した後、 上記方法によりすベての保護 基を除去し、 所望の粗タンパク質またはペプチドを得ることができる。 この粗タ ンパク質またはべプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し、 主要画分を凍 結乾燥することで所望のタンパク質またはべプチドのァミド体を得ることができ る。
タンパク質またはペプチドのエステル体を得るには、 例えば、 カルボキシ末端 アミノ酸の α—力ルポキシル基を所望のァルコール類と縮合しアミノ酸エステル とした後、 タンパク質またはペプチドのアミド体と同様にして、 所望のタンパク 質またはペプチドのエステル体を得ることができる。
本発明で用いられる部分ペプチドまたはそれらの塩は、 自体公知のペプチドの ' 合成法に従って、 あるいは本発明で用いられるタンパク質を適当なぺプチダーゼ で切断することによって製造することができる。 ペプチドの合成法としては、 例 えば、 固相合成法、 液相合成法のいずれによっても良い。 すなわち、 本発明で用 いられる部分ぺプチドを構成し得る部分ぺプチドもしくはァミノ酸と残余部分と を縮合させ、 生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的の ペプチドを製造することができる。 公知の縮合方法や保護基の脱離としては、 例 えば、 以下の (i) 〜 (V) に記載された方法が挙げられる。
(i) M. Bodanszky および M. A. Ondetti, ペプチド ' シンセシス (Peptide Synthesis) , Interscience Publishers, New York (1966年)
(i i) Schroederおよび iebke ザ、ペプチド(The Peptide) , Academic Press, New York (1965年)
(iii) 泉屋信夫他、 ペプチド合成の基礎と実験、 丸善 (株) (1975年)
(iv) 矢島治明および榊原俊平、 生化学実験講座 1、 タンパク質の化学 IV、 205、 (1977年)
(V) 矢島治明監修、 続医薬品の開発、 第 14卷、 ペプチド合成、 広川書店 また、 反応後は通常の精製法、 例えば、 溶媒抽出 '蒸 _留 'カラムクロマトダラ フィ一.液体クロマトグラフィー ·再結晶などを組み合わせて本発明で用いられ る部分べプチドを精製単離することができる。 上記方法で得られる部分ぺプチド が遊離体である場合は、 公知の方法あるいはそれに準じる方法によって適当な塩 に変換することができるし、 逆に塩で得られた場合は、 公知の方法あるいはそれ に準じる方法によって遊離体または他の塩に変換することができる。
本発明で用いられるレセプターをコードするポリヌクレオチドとしては、 前述 した本発明で用いられるレセプターをコードする塩基配列を含有するものであれ ばいかなるものであってもよい。 好ましくは DNAである。 DNAとしては、 ゲ ノム DNA、 ゲノム DNAライブラリー、 前記した細胞 '組織由来の c DNA、 前記した細胞 ·組織由来の c DNAライブラリー、 合成 DN Aのいずれでもよい。 ライプラリーに使用するベクターは、 バタテリオファージ、 プラスミド、 コス ミド、 ファージミドなどいずれであってもよい。 また、 前記した細胞'組織より total R N Aまたは m R N A画分を調製したものを用いて直接 Reverse
Transcriptase Polymerase Chain Reaction (以下、 RT—PCR法と略称す る) によって増幅することもできる。
本発明で用いられるレセプターをコードする DNAとしては、 例えば、
(i) 配列番号: 2で表される塩基配列を含有する DNA、 または配列番号: 2 で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイプリダイズする塩基 配列を含有し、 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質と実 質的に同質の性質を有するタンパク質をコードする DNA、
(ii) 配列番号: 4で表される塩基配列を含有する DNA、 または配列番号:
4で表される塩基配列とハイス トリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩 基配列を含有し、 配列番号: 3で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質と
実質的に同質の性質を有するタンパク質をコ一ドする D N A、
(i ii) 配列番号: 6で表される塩基配列を含有する D N A、 または配列番号:
6で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩 基配列を含有し、 酉己列番号: 5で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質と 実質的に同質の性質を有するタンパク質をコードする D N A、
(iv) 配列番号: 8で表される塩基配列を含有する D N A、 または配列番号:
8で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダィズする塩 基配列を含有し、 配列番号: 7で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質と 実質的に同質の性質を有するタンパク質をコードする D N A、
(v) 配列番号: 1 0で表される塩基配列を含有する D N A、 または配列番号: 1 0で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする 塩基配列を含有し、 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質 と実質的に同質の性質を有するタンパク質をコードする D N Aなどが'挙げられる。 配列番号: 2で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイプリ ダイズできる D N Aとしては、 例えば、 配列番号: 2で表される塩基配列と約 5 0 %以上、 好ましくは約 6 0 %以上、 好ましくは約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 好ましくは約 9 0 %以上、 好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有する 塩基配列を含有する D N Aなどが用いられる。
配列番号: 4で表される塩基配列とハイス トリンジェントな条件下でハイブリ ダイズできる D N Aとしては、 例えば、 配列番号: 4で表される塩基配列と約 5 0 %以上、 好ましくは約 6 0 %以上、 好ましくは約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 好ましくは約 9 0 %以上、 好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有する 塩基配列を含有する D N Aなどが用いられる。
配列番号: 6で表される塩基配列とハイス トリンジェントな条件下でハイプリ ダイズできる D N Aとしては、 例えば、 配列番号: 6で表される塩基配列と約 5 0 %以上、 好ましくは約 6 0 %以上、 好ましくは約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 好ましくは約 9 0 %以上、 好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有する
塩基配列を含有する D N Aなどが用いられる。
配列番号.: 8で表される塩基配列とハイス トリンジェントな条件下でハイブリ ダイズできる D N Aとしては、 例えば、 配列番号: 8で表される塩基配列と約 5 0 %以上、 好ましくは約 6 0 %以上、 好ましくは約 7 0一%以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 好ましくは約 9 0 %以上、 好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有する 塩基配列を含有する D N Aなどが用いられる。
配列番号: 1 0で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブ リダィズできる D NAとしては、 例えば、 配列番号: 1 0で表される塩基配列と 約 5 0 °/0以上、 好ましくは約 6 0 %以上、 好ましくは約 7 0 %以上、 好ましくは 約 8 0 %以上、 好ましくは約 9 0 %以上、 好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有 する塩基配列を含有する D N Aなどが用いられる。
ハイブリダィゼーシヨンは、 自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、 例え ば、 Molecular Cloning 2nd Edition (J. Sarabrook et al. , Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行なうことができる。 ま た、 市販のライプラリーを使用する場合、 添付の使用説明書に記載の方法に従つ て行なうことができる。 より好ましくは、 ハイストリンジェントな条件に従って 行なうことができる。
ハイストリンジェントな条件とは、 例えば、 ナトリウム濃度が約 1 9〜 4 0 m M、 好ましくは約 1 9〜 2 0 mMで、 温度が約 5 0〜 7 0 °C、 好ましくは約 6 0 〜6 5 °Cの条件を示す。 特に、 ナトリゥム濃度が約 1 9 mMで温度が約 6 5 °Cの 場合が最も好ましい。
より具体的には、 (i) 配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を含有するタン パク質をコードする D N Aとしては、 配列番号: 2で表される塩基配列を含有す る D NAなどが、 (ii) 配列番号: 3で表されるアミノ酸配列を含有するタン パク質をコードする D N Aとしては、 配列番号: 4で表される塩基配列を含有す る D NAなどが、 (iii) 配列番号: 5で表されるアミノ酸配列を含有するタン パク質をコードする D N Aとしては、 配列番号: 6で表される塩基配列を含有す
る DNAなどが、 (iv) 配列番号: 7で表されるアミノ酸配列を含有するタン パク質をコードする DNAとしては、 配列番号: 8で表される塩基配列を含有す る DNAなどが、 (V) 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列を含有するタンパ ク質をコードする DNAとしては、 配列番号: 1 0で表される塩基配列を含有す る DNAなどが用いられる。
本発明で用いられる部分ペプチドをコードするポリヌクレオチド (例、 DN A) としては、 前述した本発明で用いられる部分ペプチドをコードする塩基配列 を含有するものであればいかなるものであってもよい。 また、 ゲノム DNA、 ゲ ノム DNAライブラリー、 前記した細胞 ·組織由来の cDNA、 前記した細胞 ' 組織由来の c DNAライブラリー、 合成 DN Aのいずれでもよい。
本発明で用いられる部分ペプチドをコードする DNAとしては、 例えば、 配列 番号: 2、 配列番号: 4、 配列番号: 6、 配列番号: 8または配列番号: 1 0で 表される塩基配列を含有する D N Aの一部分を有する D N A、 または配列番号: 2、 配列番号: 4、 配列番号: 6、 配列番号: 8または配列番号: 1 0で表され る塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダィズする塩基配列を含 有し、 本発明のタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質をコードす る DN Aの一部分を含有する DNAなどが用いられる。
本発明で用いられる部分ペプチドをコードする DNAの具体例としては、 配列 番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表 されるアミノ酸配列の 2 2番目から 4 1 6番目のアミノ酸からなるポリべプチド またはその部分べプチドをコードする D N A、 なかでも配列番号 3で表されるァ ミノ酸配列の 2 2番目から 4 1 6番目のアミノ酸からなるポリペプチドまたはそ の部分ペプチドをコードする DN Aが好ましく用いられる。
配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるアミノ酸配列の 2 2番目から 4 1 6番目のアミノ酸からなるポリぺ プチドまたはその部分ペプチドをコードする DNAとしては、 例えば、 それぞれ 配列番号: 2、 配列番号: 4、 配列番号: 6、 配列番号: 8または配列番号: 1
◦で表されるアミノ酸配列の 64番目から 1 248番目の塩基配列を含有する D NAが用いられる。
配列番号: 2、 配列番号: 4、 配列番号: 6、 配列番号: 8または配列番号: 1 0で表される塩基配列とノ、イブリダイズできる D N Aは、 前記と同意義を示す。 ハイブリダイゼーションの方法およびハイス トリンジェントな条件は前記と同 様のものが用いられる。
本発明で用いられるレセプター、 部分ペプチド (以下、 これらをコードする D N Aのクロー-ングおよび発現の説明においては、 これらを単に本発明のタンパ ク質と略記する場合がある) を完全にコードする DNAのクローユングの手段と しては、 本発明のタンパク質をコードする塩基配列の一部分を有する合成 DNA プライマーを用いて P CR法によって増幅する力、 または適当なベクターに組み 込んだ D N Aを本発明のタンパク質の一部あるいは全領域をコードする DNA断 片もしくは合成 DNAを用いて標識したものとのハイブリダィゼーションによつ て選別することができる。 ハイブリダィゼーシヨンの方法は、 例えば、
Molecular Cloning 2nd Edition (J. Sambrook et al. , Cold Spring Haroor ' Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行なうことができる。 また、 巿 販のライプラリーを使用する場合、 添付の使用説明書に記載の方法に従って行な うことができる。
DNAの塩基配列の変換は、 PCR、 公知のキット、 例えば、 Mutan™- super Express Km (Takara Bio (株) ) 、 Mutan™- K (Takara Bio (株) ) 等を用いて、 0DA-LA PCR法、 Gapped duplex法、 Kunkel法等の自体公知の方法あるいはそれ らに準じる方法に従って行なうことができる。
クローン化されたタンパク質をコードする DN Aは目的によりそのまま、 また は所望により制限酵素で消化したり、 リンカ一を付加したりして使用することが できる。 該 DNAはその 5 ' 末端側に翻訳開始コドンとしての ATGを有し、 ま た 3 ' 末端側には翻訳終止コドンとしての TAA、 TGAまたは TAGを有して いてもよい。 これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、 適当な合成 DNAァ
ダブターを用いて付加することもできる。
本発明のタンパク質の発現ベクターは、 例えば、 (ィ) 本発明のタンパク質を コードする DNAから目的とする DNA断片を切り出し、 (口) 該 DNA断片を 適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結する—ことにより製造すること ができる。
ベクターとしては、 大腸菌由来のプラスミ ド (例、 p BR 3 2 2, p BR 3 2 5, pUC 1 2, pUC 1 3) 、 枯草菌由来のプラスミ ド (例、 pUB 1 1 0, TP 5, p C 1 94) 、 酵母由来プラスミ ド (例、 p S H 1 9 , p S H 1 5 ) 、 λファージなどのバクテリオファージ、 レトロウイルス, ワクシニアウィルス, ノ キュロウィルスなどの動物ウィルスなどの他、 pA l _ l l、 p XT l、 R c/CMV、 p R cZR S V、 p c DNA I /N e oなどが用いられる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、 遺伝子の発現に用いる宿主に対応し て適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。 例えば、 動物細胞を宿主 として用いる場合は、 SRaプロモーター、 SV40プロモーター、 LTRプロ モーター、 CMVプロモーター、 HSV-TKプロモーターなどが挙げられる。 これらのうち、 CMV (サイトメガロウイノレス) プロモーター、 SRaプロモー ターなどを用いるのが好ましい。
宿主がェシエリヒア属菌である場合は、 t r pプロモータ一、 1 a cプロモータ 一、 r e c Aプロモーター、 PLプロモーター、 l p pプロモーター、 T 7プ 口モーターなどが、 宿主がバチルス属菌である場合は、 S PO lプロモーター、 S P02プロモーター、 p e n Pプロモーターなどが、 宿主が酵母である場合は、 PH05プロモーター、 PGKプロモーター、 GAPプロモーター、 ADHプロ モーターなどが好ましい。 宿主が昆虫細胞である場合は、 ポリヘドリンプロモー ター、 P 1 ◦プロモーターなどが好ましい。
発現ベクターには、 以上の他に、 所望によりェンハンサー、 スプライシングシ グナル、 ポリ A付加シグナル、 選択マーカー、 SV40複製オリジン (以下、 ' S V40 o r i と略称する場合がある) などを含有しているものを用いることがで
きる。 選択マーカーとしては、 例えば、 ジヒドロ葉酸還元酵素 (以下、 d h f r と略称する場合がある) 遺伝子 〔メソ トレキセート (MTX) 耐性〕 、 アンピシ リン耐性遺伝子 (以下、 Amp rと略称する場合がある) 、 ネオマイシン耐性遺 伝子 (以下、 N e o rと略称する場合がある、 G 4 1 8g"性) 等が挙げられる。 特に、 d h f r遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞を用いて d h f .r遺伝子 を選択マーカーとして使用する場合、 目的遺伝子をチミジンを含まない培地によ つても選択できる。
また、 必要に応じて、 宿主に合ったシグナル配列を、 本発明のタンパク質の N 端末側に付加する。 宿主がェシエリヒア属菌である場合は、 PhoA■ シグナル配 列、 OmpA ·シグナル配列などが、 宿主がバチルス属菌である場合は、 α—アミ ラーゼ ·シグナル配列、 サブチリシン ·シグナル配列などが、 宿主が酵母である 場合は、 MF a · シグナル配列、 SUC 2 · シグナル配列など、 宿主が動物細胞 である場合には、 インシュリン · シグナル配列、 aーィンターフェロン · シグナ ル配列、 抗体分子■シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築された本発明のタンパク質をコードする DNAを含有する ベクターを用いて、 形質転換体を製造することができる。
宿主としては、 例えば、 ェシエリヒア属菌、 バチルス属菌、 酵母、 昆虫細胞、 昆虫、 動物細胞などが用いられる。
ェシェリヒア属菌の具体例としては、 例えば、 ェシェリヒア 'コリ
(Escherichia coli) K 1 2 · DH 1 [Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 60 卷, 160(1968)〕 、 JM1 0 3 [Nucleic Acids Research, 9卷, 309 (1981)〕 、 J A 2 2 1 [Journal of Molecular Biology, 120巻, 517 (1978)〕 、 HB 1 0 1
[Journal of Molecular Biology, 41卷, 459 (1969)〕 、 C 6 0 0 [Genetics, 39 卷, 440 (1954)〕 などが用いられる。
バチルス属菌としては、 例えば、 バチルス .サブチルス (Bacillus
subtilis) M I 1 1 4 〔Gene, 24卷, 255 (1983)〕 、 2 0 7— 2 1 [Journal of Biochemistry, 95卷, 87 (1984)〕 などが用いられる。
酵母としては、 例えば、 サッカロマイセス セレビシェ (Saccharomyces cerevisiae) AH22、 AH22R―、 NA87— 1 1A、 DKD_5D、 20 B— 1 2、 シゾサッカロマイセス ポンべ (Schizosaccharomyces pombe) N C YC 1 9 1 3、 NCYC 2036、 ピキア ノヽ0ストリス (Pichia pastoris) K M71などが用いられる。
昆虫細胞としては、 例えば、 ウィルスが A c NPVの場合は、 夜盗蛾の幼虫由 来株化細胞 (Spodoptera frugiperda cell; Sf細胞) 、 Trichoplusia niの中 腸由来の MG1細胞、 Trichoplusia niの卵由来の High Five™細胞、 Maraestra brassicae由来の細胞または Estigmena acrea由来の細胞などが用いられる。 ゥ ィルスが BraNPVの場合は、 蚕由来株化細胞 (Bombyx mori N 細胞; BmN細 胞) などが用いられる。 該 Sf 細胞としては、 例えば、 Sf9細胞 (ATCC
CRL1711) 、 Sf21細胞 (以上、 Vaughn, J.し ら、 イン ' ヴイボ (In Vivo) ,13, 213-217, (1977)) などが用いられる。
昆虫としては、 例えば、 カイコの幼虫などが用いられる 〔前田ら、 ネイチヤー (Nature) , 3 15卷, 592 (1 985)〕 。
動物細胞としては、 例えば、 サル細胞 COS— 7、 Ve r o、 チャイニーズハ ムスター細胞 CHO (以下、 CHO細胞と略記) 、 d h f r遺伝子欠損チヤィニ ーズハムスター細胞 CHO (以下、 CHO (d h f r -) 細胞と略記) 、 マウス L細胞、 マウス At T— 20、 マウスミエローマ細胞、 マウス ATDC 5細胞、 ラット GH 3、 ヒ ト F L細胞などが用いられる。
ェシエリヒア属菌を形質転換するには、 例えば、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69卷, 2110 (1972)や Gene, 17卷, 107(1982)などに記載の方法に従って行な うことができる。
バチルス属菌を形質転換するには、 例えば、 Molecular & General
Genetics, 168巻, 111 (1979)などに記載の方法に従つて行なうことができる。 酵母を形質転換するには、 例えば、 Methods in Enzymology, 卷, 1δ2 - 187(1991)、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75巻, 1929 (1978)などに記載の方法
に従って行なうことができる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、 例えば、 Bio/Technology, 6, 47 - 55 (1988)などに記載の方法に従って行なうことができる。
動物細胞を形質転換するには、 例えば、 細胞工学別冊 8 新細胞工学実験プロ トコール. 263-267 (1995) (秀潤社発行) 、 Virology, 52卷, 456 (1973)に記載の 方法に従って行なうことができる。
このようにして、 タンパク質をコードする D N Aを含有する発現ベクターで形 質転換された形質転換体を得ることができる。
宿主がェシエリヒア属菌、 バチルス属菌である形質転換体を培養する際、 培養 に使用される培地としては液体培地が適当であり、 その中には該形質転換体の生 育に必要な炭素源、 窒素源、 無機物その他が含有せしめられる。 炭素源としては、 例えば、 グルコース、 デキストリン、 可溶性澱粉、 ショ糖など、 窒素源としては、 例えば、 アンモニゥム塩類、 硝酸塩類、 コーンスチープ' リカー、 ペプトン、 力 ゼイン、 肉エキス、 大豆粕、 バレイショ抽出液などの無機または有機物質、 無機 物としては、 例えば、 塩化カルシウム、 リン酸ニ水素ナトリゥム、 塩化マグネシ ゥムなどが挙げられる。 また、 酵母エキス、 ビタミン類、 成長促進因子などを添 カロしてもよい。 培地の p Hは約 5〜8が望ましい。
ェシエリヒア属菌を培養する際の培地としては、 例えば、 グルコース、 カザミ ノ酸を含む M 9培地 (Mil ler, Journal of Experiments in Molecular
Genetics, 431-433, Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕 が好ま しい。 ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、 例えば、 3 ]3 —インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。
宿主がエシュリヒァ属菌の場合、 培養は通常約 1 5〜 4 3 °Cで約 3〜 2 4時間 行ない、 必要により、 通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、 培養は通常約 3 0〜4 0 °Cで約 6〜2 4時間行な い、 必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、 培地としては、 例えば、 バークホ
一ノレタ、、一 (Burkholder) 最 /jヽ培地 [Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77 卷, 4505(1980)〕 や 0. 5 %カザミノ酸を含有する SD培地 〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81卷, 5330 (1984)〕 が挙げられる。 培地の p Hは約 5〜 8に調整する のが好ましい。 培養は通常約 20°C〜3 5°Cで約 24~7 2時間行ない、 必要に 応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する際、 培地としては、 Grace's Insect Medium (Nature, 195, 788(1962)) に非動化した 1 0%ゥシ血清 等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。 培地の p Hは約 6. 2〜6. 4 に調整するのが好ましい。 培養は通常約 2 7 °Cで約 3〜 5日間行ない、 必要に応 じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、 培地としては、 例えば、 約 5 〜 20%の胎児牛血清を含む MEM培地 [Science, 122巻, 501(1952)〕 , DM EM培地 [Virology, 8卷, 396(1959)〕 , RPMI 1 640培地 〔The Journal of the American Medical Association, 199卷, 519 (1967)〕 , 1 9 9培地
[Proceeding of the Society for the Biological Medicine, 73卷, 1 (1950)〕 などが用いられる。 pHは約 6〜8であるのが好ましい。 培養は通常約 30〜4 0°Cで約 1 5〜6 0時間行ない、 必要に応じて通気や撹拌を加える。
以上のようにして、 形質転換体の細胞内、 細胞膜または細胞外に本発明のタン パク質を生成せしめることができる。
上記培養物から本発明のタンパク質を分離精製するには、 例えば、 下記の方法 により行なうことができる。
本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、 培養後、 公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、 これを適当な緩衝液に懸濁し、 超音波、 リゾチームおよび または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したの ち、 遠心分離やろ過によりタンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられ る。 緩衝液の中に尿素や塩酸グァニジンなどのタンパク質変性剤や、 トリ トン X 一 1 00™などの界面活性剤が含まれていてもよい。 培養液中にタンパク質が
分泌される場合には、 培養終了後、 それ自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上 清とを分離し、 上清を集める。
このようにして得られた培養上清、 あるいは抽出液中に含まれるタンパク質の 精製は、 自体公知の分離 ·精製法を適切に組み合わせて _行なうことができる。 こ れらの公知の分離、 精製法としては、 塩析ゃ溶媒沈澱法などの溶解度を利用する 方法、 透析法、 限外ろ過法、 ゲルろ過法、 および S D S—ポリアクリルアミ ドゲ ル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、 イオン交換クロマトグ ラフィーなどの荷電の差を利用する方法、 ァフィユティークロマトグラフィーな どの特異的親和性を利用する方法、 逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水 性の差を利用する方法、 等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法など が用いられる。
かくして得られるタンパク質が遊離体で得られた場合には、 自体公知の方法あ るいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、 逆に塩で得られた場 合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、 遊離体または他の塩に 変換することができる。
なお、 組換え体が産生するタンパク質を、 精製前または精製後に適当なタンパ ク質修飾酵素を作用させることにより、 任意に修飾を加えたり、 ポリペプチドを 部分的に除去することもできる。 タンパク質修飾酵素としては、 例えば、 トリプ シン、 キモトリプシン、 アルギニルェンドぺプチダーゼ、 プロテインキナーゼ、 グリコシダーゼなどが用いられる。
かくして生成する本発明のタンパク質の存在は、 特異抗体を用いたェンザィム ィムノアツセィゃウェスタンプロッティングなどにより測定することができる。
「配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番 号: 9で表されるァミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のァミノ酸配列を含 有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩 (本発明で用いられる レセプター) に対する中和抗体」 としては、 本発明で用いられるレセプターとそ のリガンドとの結合を阻害し得る抗体であればいずれでもよく、 例えば、 本発明
で用いられるレセプターに特異的に反応する抗体、 本発明で用いられるレセプタ 一に特異的に反応する二重特異性抗体、 本発明で用いられるレセプターの活性
(例、 コラーゲン等のリガンド結合活性、 リン酸化される活性など) を阻害する 抗体 (以下、 これらをまとめて本発明の抗体と称するこ _ともある) などが挙げら れる。
本発明の抗体は、 ポリクローナル抗体、 モノクローナル抗体の何れであっても よい。
本発明の抗体はまた、 ヒ トにおける治療効果と安全性を考慮すると、 キメラ抗 体、 ヒト化又はヒト型抗体であってもよい。
本発明の抗体は好ましくは、 コラーゲン (例えば、 I型コラーゲン、 II型コ ラーゲン、 I II型コラーゲン、 IV型コラーゲン、 V型コラーゲン、 VI型コラー ゲン、 VI I I型コラーゲン) 等のリガンドと本発明で用いられるレセプターとの 結合によりもたらされるアポトーシス誘導刺激又は癌細胞増殖刺激を Φ和する活 性を有する抗体 (中和抗体) である。
本発明の抗体としては、 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番 号: 7または配列番号: 9で表されるアミノ酸配列の 2 2番目から 4 1 6番目の アミノ酸からなるポリペプチドもしくはその部分べプチドまたはその塩に対する 抗体が好ましく、 なかでも配列番号 3で表されるァミノ酸配列の 2 2番目から 4 1 6番目のアミノ酸からなるポリべプチドもしくはその部分ぺプチドまたはその 塩に対する抗体が好ましく用いられる。
以下に、 本発明の抗体の抗原の調製法、 および該抗体の製造法について説明す る。
( 1 ) 抗原の調製
本発明の抗体を調製するために使用される抗原としては、 例えば、 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表される アミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩と同 一の抗原決定基を 1種あるいは 2種以上有する (合成) ペプチドなど何れのもの
も使用することができる (以下、 これらを単に本発明の抗原と称することもあ る) 。 抗原として用いられる部分ペプチドは、 上記タンパク質の細胞外領域全体、 又は当該領域中に含まれる免疫原性ペプチド (ェピトープ) であり得る。 かかる 免疫原性ぺプチドの長さは免疫原性を有するような長さ一である限り特に限定され ないが、 例えば 8個、 好ましくは 1 0個、 より好ましくは 1 2個の連続するアミ ノ酸残基を有するものであり得る。
上記タンパク質もしくはその部分べプチドまたはその塩は、 後述の参考例や公 知の方法に準じて製造でき、 さらに、 (a) 例えばヒ ト、 サル、 ラット、 マウス などの哺乳動物の組織または細胞から公知の方法あるいはそれに準ずる方法を用 いて調製、 (b) ぺプチド ·シンセサイザ一等を使用する公知のぺプチド合成方 法で化学的に合成、 (c) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番 号: 7または配列番号: 9で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドまた はその塩をコードする DNAを含有する形質転換体を培養することによつても製 造される。
(a) 該哺乳動物の組織または細胞から本発明の抗原を調製する場合、 その組織 または細胞をホモジナイズした後、 粗分画物 (例、 膜画分、 可溶性画分) をその まま抗原として用いることもできる。 あるいは酸、 界面活性剤またはアルコール などで抽出を行い、 該抽出液を、 塩析、 透析、 ゲル濾過、 逆相クロマトグラフィ 一、 イオン交換クロマトグラフィー、 ァフィ二ティークロマトグラフィーなどの クロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することもできる。
(b) 化学的に本発明の抗原を調製する場合、 該合成ペプチドとしては、 例えば 上述の (a) の方法を用いて天然材料より精製した本発明の抗原と同一の構造を 有するもの、 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配歹番号: 7または 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列において 3個以上、 好ましくは 6個以上の アミノ酸力 らなる任意の箇所のァミノ酸配列と同一のァミノ酸配列を 1種あるい は 2種以上含有するぺプチドなどが用いられる。
(c) DNAを含有する形質転換体を用いて配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番
号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるアミノ酸配列を含有するタ ンパク質またはその塩を製造する場合、 該 DNAは、 公知のクローニング方法
〔例えは、 Molecular Cloning (2nd ed. ; J. Sambrook et al. , Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法など〕 に従つ!:作製することができる。 該クローニング方法とは、 (1) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質 またはその塩のァミノ酸配列に基づきデザィンした DNAプローブまたは DNAプ ライマーを用い、 cDNAライブラリーからハイブリダィゼーシヨン法により配列 番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表 されるアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩をコードする DNAを含 有する形質転換体を得る方法、 または (2) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列 番号: 5、 配列番号: 7または配列番号: 9で表されるアミノ酸配列を含有する ポリぺプチドまたはその塩のァミノ酸配列に基づきデザィンした DNAプライマ 一を用い、 PCR法により配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番 号: 7または配列番号: 9で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質または 'その塩をコードする DNAを含有する形質転換体を得る方法などが挙げられる。
本発明で用いられるレセプターを発現する哺乳動物細胞自体を、 本発明の抗原 として直接用いることもできる。 哺乳動物細胞としては、 上記 (a) 項で述べた ような天然の細胞、 上記 (c) 項で述べたような方法で形質転換した細胞などを 用いることができる。 形質転換に用いる宿主としては、 ヒト、 サル、 ラット、 マ ウス、 ハムスターなどから採取した細胞であれば何れのものでも良く、 HEK293、 C0S7、 CH0 - Kl、 NIH3T3 Balb3T3、 FM3A、 L929、 SP2/0、 P3U1、 B16、 または P388などが好ましく用いられる。 本発明で用いられるレセプターを発現する天 然の哺乳動物細胞または形質転換した哺乳動物細胞は、 組織培養に用いられる培 地 (例、 RPMI 1640) または緩衝液 (例、 Hanks ' Balanced Salt Solution) に 懸濁された状態で免疫動物に注射することができる。 免疫方法としては、 抗体産 生を促すことのできる方法であれば何れの方法でも良く、 静脈内注射、 腹腔内注
射、 筋肉内注射または皮下注射などが好ましく用いられる。
本発明の抗原としてのぺプチドは、 (1 ) 公知のぺプチドの合成法に従って、 または (2 ) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または 配列番号: 9で表されるアミノ酸配列を含有するタンパ-ク質を適当なぺプチダー ゼで切断することによって製造することもできる。
該ペプチドの合成法としては、 例えば固相合成法、 液相合成法のいずれによつ ても良い。 すなわち、 該ペプチドを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と 残余部分とを縮合させ、 生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することに より目的のペプチドを製造することができる。 公知の縮合方法や保護基の脱離と してはたとえば、 以下に記載された方法等が挙げられる。
( 1 M. Bodanszky および M. A. 0ndetti、 Peptide Synthesis, Interscience Publishers, New York (1966年)
(n Schroederおよび Luebke、 The Peptide, Academic Press, New York (1965年)
また、 反応後は通常の精製法、 例えば、 溶媒抽出、 蒸留、 カラムクロマトダラ フィ一、 液体クロマトグラフィー、 再結晶などを組み合わせて該ペプチドを精製 単離することができる。 上記方法で得られるペプチドが遊離体である場合は、 公 知の方法によって適当な塩に変換することができ、 逆に塩で得られた場合は、 公 知の方法によって遊離体に変換することができる。
ペプチドのアミド体は、 アミド形成に適した市販のペプチド合成用樹脂を用い ることができる。 そのような樹脂としては例えば、 クロロメチノレ樹脂、 ヒドロキ シメチル樹脂、 ベンズヒ ドリルアミン榭脂、 アミノメチル樹脂、 4 _ベンジルォ キシベンジルアルコール樹脂、 4一メチルベンズヒドリノレアミン樹脂、 P AM樹 月旨、 4ーヒ ドロキシメチルメチルフエニルァセトアミ ドメチル樹脂、 ポリアクリ ルアミド樹脂、 4一 (2,, 4 ' -ジメ トキシフエ二ルーヒ ドロキシメチル) フエ ノキシ樹脂、 4— ( 2,, 4 ' -ジメ トキシフエニル一 F m o cアミノエチル) ブ エノキシ樹月旨などを挙げることができる。 このような樹脂を用レ、、 ひーァミノ基
と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、 目的とするペプチドの配列通りに、 公知の各種縮合方法に従い、 樹脂上で縮合させる。 反応の最後に樹脂からぺプチ ドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、 目的のペプチドを取得する。 あるい はクロロトリチル樹脂、 ォキシム樹脂、 4ーヒドロキシ 息香酸系樹月旨等を用い、 部分的に保護したペプチドを取り出し、 更に常套手段で保護基を除去し.目的のぺ プチドを得ることもできる。
上記した保護されたァミノ酸の縮合に関しては、 ぺプチド合成に使用できる各 種活性化試薬を用いることができ、 特に、 カルポジイミ ド類がよい。 カルボジィ ミド類としては D C C、 N , N' —ジィソプロピルカルボジィミド、 N—ェチル — N ' - ( 3—ジメチルァミノプロリル) カルポジイミ ドなどが挙げられる。 こ れらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤 (例えば、 H O B t、 H O O B tな ど) とともに保護されたアミノ酸を直接樹脂に添加するか、 または、 対称酸無水 物または H O B tエステルあるいは H O O B tエステルとしてあらかじめ保護さ れたアミノ酸の活性化を行ったのちに樹脂に添加することができる。 保護された アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、 ペプチド縮合反応 に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。 たとえば N, N— ジメチルホルムアミド、 N , N—ジメチルァセトアミ ド、 N—メチルピロリ ドン などの酸アミド類、 塩化メチレン、 クロ口ホルムなどのハロゲン化炭化水素類、 トリフルォロエタノールなどのアルコール類、 ジメチルスルホキシドなどのスル ホキシド類、 ピリジンなどの三級アミン類、 ジォキサン、 テトラヒドロフランな どのエーテル類、 ァセトニトリル、 プロピオ二トリルなどの-トリル類、 酢酸メ チル、 酢酸ェチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いら れる。 反応温度はぺプチド結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲 から適宜選択され、 通常約一 2 0 °C〜約 5 0 °Cの範囲から適宜選択される。 活性 化されたアミノ酸誘導体は通常約 1 . 5ないし約 4倍過剰で用いられる。 ニンヒ ドリン反応を用いたテストの結果、 縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行う ことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行うことができる。 反応を
繰り返しても十分な縮合が得られないときには、 無水酢酸またはァセチルイミダ ゾールを用いて未反応アミノ酸をァセチル化して、 後の反応に影響を及ぼさない ようにすることができる。
原料アミノ酸のァミノ基の保護基としては、 たとえば:、 Z、 B o c、 ターシャ リ一ペンチルォキシカルボニル、 ィソボルニルォキシカルボニル、 4—メ トキシ ペンジノレオキシカルボ二ノレ、 C 1 _ Z、 B r— Z、 ァダマンチルォキシカノレポ二 ル、 トリフルォロアセチル、 フタロイル、 ホルミノレ、 2—ニトロフエニルスルフ ェニル、 ジフエニルホスフィノチオイル、 Fm o cなどが挙げられる。 カルボキ シル基の保護基としては、 たとえば Cwアルキル基、 C3_8シクロアルキル基、 C 7-ぃァラノレキノレ基、 2—ァダマンチル、 4一二トロべンジノレ、 4—メ トキシべ ンジノレ、 4 _クロ口べンジノレ、 フエナシノレおよびべンジノレォキシカノレポニノレヒ ド ラジド、 ターシャリーブトキシカルポニルヒ ドラジド、 トリチルヒ ドラジドなど が挙げられる。 ' セリンおよびスレオニンの水酸基は、 たとえばエステル化またはエーテル化に よって保護することができる。 このエステル化に適する基としては例えばァセチ ' ル基などの低級 (Cw) アルカノィル基、 ベンゾィル基などのァロイル基、 ベン ジルォキシカルボエル基、 エトキシカルボ-ル基などの炭酸から誘導される基な どが挙げられる。 また、 エーテル化に適する基としては、 たとえばベンジル基、 テトラヒ ドロビラニル基、 t_ブチル基などである。
チロシンのフエノール性水酸基の保護基としては、 たとえば B z 1、 C 1—B z 1、 .2—二トロベンジル、 B r—Z、 t-ブチルなどが挙げられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、 To s、 4—メ トキシ一 2, 3, 6—トリメチルベンゼンスルホニル、 DNP、 B om、 Bum、 B o c、 T r t、 Fmo cなどが挙げられる。
原料の力ルポキシル基の活性化されたものとしては、 たとえば対応する酸無水 物、 アジド、 活性エステル [アルコール (たとえば、 ペンタクロロフエノー Λ^、 2, 4, 5—トリクロロフエノ一ノレ、 2, 4—ジニトロフエノール、 シァノメチ
ノレアルコール、 パラ二ト口フエノール、 H O N B、 N—ヒ ドロキシスクシミ ド、 N—ヒドロキシフタルイミ ド、 H O B t ) とのエステル] などが挙げられる。 原 料のァミノ基の活性化されたものとしては、 たとえば対応するリン酸ァミ ドが挙 げられる。 ―
保護基の除去 (脱離) 方法としては、 たとえば P d _黒あるいは P d .—炭素な どの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、 また、 無水フッ化水素、 メタ ンスルホン酸、 トリフルォロメタンスルホン酸、 トリフルォロ酢酸あるいはこれ らの混合液などによる酸処理や、 ジイソプロピルェチルァミン、 トリェチルアミ ン、 ピぺリジン、 ピぺラジンなどによる塩基処理、 また液体アンモニア中ナトリ ゥムによる還元なども挙げられる。 上記酸処理による脱離反応は一般に一 2 0 °C 〜 4 0 °Cの温度で行われるが、 酸処理においてはァニソール、 フエノール、 チォ ァニソール、 メタクレゾ一ノレ、 パラクレゾーノレ、 ジメチノレスノレフイド、 1 , 4― ブタンジチオール、 1 , 2—エタンジチオールのようなカチオン捕捉剤の添加が 有効である。 また、 ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる 2, 4— ジニトロフエニル基はチォフエノール処理により除去され、 トリプトファンのィ ンドール保護基として用いられるホルミル基は上記の 1 ,' 2—エタンジチオール、 1 , 4一ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、 希水酸化 ナトリウム、 希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護および保護基、 ならびにその保護 基の脱離、 反応に関与する官能基の活性化などは公知の基あるいは公知の手段か ら適宜選択しうる。
ペプチドのアミド体を得る別の方法としては、 まず、 カルボキシル末端アミノ 酸の α—カルボキシル基をアミド化した後、 アミノ基側にペプチド鎖を所望の鎖 長まで延ばした後、 該ぺプチド鎖の Ν末端のひ一アミノ基の保護基のみを除いた ぺプチドと C末端のカルボキシル基の保護基のみを除いたぺプチド (またはアミ ノ酸) とを製造し、 この両ペプチドを上記したような混合溶媒中で縮合させる。 縮合反応の詳細については上記と同様である。 縮合により得られた保護ペプチド
を精製した後、 上記方法によりすベての保護基を除去し、 所望の粗ペプチドを得 ることができる。 この粗ペプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し、 主要 画分を凍結乾燥することで所望のぺプチドのァミド体を得ることができる。 ぺプチドのエステル体を得るには力ルポキシ末端ァミノ酸の a—力ルポキシル 基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、 ペプチドのアミド 体と同様にして所望のぺプチドのエステル体を得ることができる。
本発明の抗原は、 不溶化したものを直接免疫することもできる。 また、 本発明 の抗原を適当な担体に結合または吸着させた複合体を免疫してもよい。 該担体 (キャリアー) と本発明の抗原 (ハプテン) との混合比は、 担体に結合あるいは 吸着させた本発明の抗原に対して抗体が効率よくできれば、 どのようなものをど のような比率で結合あるいは吸着させてもよく、 通常ハプテン抗原に対する抗体 の作製にあたり常用されている天然もしくは合成の高分子担体を重量比でハプテ ン 1に対し 0 . 1〜1 0 0の割合で結合あるいは吸着させたものを使用すること ができる。 天然の高分子担体としては、 例えばゥシ、 ゥサギ、 ヒトなどの哺乳動 物の血清アルブミンや例えばゥシ、 ゥサギなどの哺乳動物のチログロブリン、 例 ' えばゥシ、 ゥサギ、 ヒト、 ヒッジなどの哺乳動物のヘモグロビン、 キーホーノレリ ンペットへモシァニンなどが用いられる。 合成の高分子担体としては、 例えばポ リアミノ酸類、 ポリスチレン類、 ポリアクリノレ類、 ポリビニノレ類、 ポリプロピレ ン類などの重合物または供重合物などの各種ラテックスなどを用いることができ る。
また.、 ハプテンとキャリアーの力プリングには、 種々の縮合剤を用いることが できる。 例えば、 チロシン、 ヒスチジン、 トリプトファンを架橋するビスジァゾ 化べンジジンなどのジァゾニゥム化合物、 アミノ基同士を架橋するグルタルアル デビトなどのジアルデヒド化合物、 トルエン一 2 , 4—ジイソシァネートなどの ジイソシァネート化合物、 チオール基同士を架橋する N, N ' — o—フヱニレン ジマレイミドなどのジマレイミド化合物、 ァミノ基とチオール基を架橋するマレ イミド活性エステル化合物、 ァミノ基とカルボキシル基とを架橋するカルポジィ
ミド化合物などが好都合に用いられる。 また、 アミノ基同士を架橋する際にも、 一方のァミノ基にジチォピリジル基を有する活性エステノレ試薬 (例えば、 3- (2 - ピリジルジチォ)プロピオン酸 N-スクシンィミジル (SPDP) など) を反応させ た後還元することによりチオール基を導入し、 他方の Tミノ基にマレイミド活性 エステル試薬によりマレイミ ド基を導入後、 両者を反応させることもできる。
( 2 ) モノクローナル抗体の作製
本発明の抗原は、 温血動物に対して、 例えば腹腔内注入、 静脈内注入、 皮下注 射などの投与方法によって、 抗体産生が可能な部位にそれ自体単独であるいは担 体、 希釈剤と共に投与される。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全フロ イントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。 投与は、 通常 2〜 6週毎に 1回ずつ、 計 2〜1 0回程度行われる。 また、 本発明のモノク ローナル抗体の作製に際しては、 DNA免疫法を利用してもよい (例えば Nature、 356巻、 152項- 154項参照) 。 温血動物としては、 例えばサル、 ゥサギ、 ィヌ、 モルモッ ト、 マウス、 ラット、 ヒッジ、 ャギ、 ニヮトリなどがあげられるが、 モ ノクローナノレ抗体作製にはマウスまたはゥサギが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体の作製に際しては、 本発明の抗原を免疫された温血動物、 たとえばマウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の 2〜 5 日後に脾 臓またはリンパ節を採取し、 それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合 させることにより、 本発明の抗体産生ハイプリ ドーマを調製することができる。 血清中の本発明の抗体の抗体価の測定は、 例えば本発明で用いられるレセプター を放射性物質まこは酵素などで標識し、 抗血清と反応させた後、 抗体に結合した 標識剤の活性を測定することによりなされる。 融合操作は既知の方法、 例えばケ 一ラーとミルスタインの方法 〔Nature、 256卷、 4%頁 (19ァ5年) 〕 に従い実施 できる。 融合促進剤としては、 ポリエチレングリコール (PEG) やセンダイウイ ルスなどが挙げられるが、 好ましくは PEGなどが用いられる。 骨髄腫細胞とし ては、 例えば NS- 1、 P3U1、 SP2/0、 AP-1などがあげられ、 P3U1などが好ましく 用いられる。 用いられる抗体産生細胞 (脾臓細胞) 数と骨髄細胞数との好ましい
比率は、 通常 1: 1〜20: 1程度であり、 PEG (好ましくは PEG1000〜PEG6000) 力 S 10〜80%程度の濃度で添加され、 通常 20〜40°C、 好ましくは 30〜37°C、 通常 1 〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。
本発明の抗体産生ハイプリ ドーマのスクリーニング は種々の方法が使用でき、 例えば配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列番 号: 9で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩あるいはそれ らの部分ペプチドを直接あるいは担体とともに吸着させた固相 (例、 マイクロプ レート) にハイプリドーマ培養上清を添加し、 次に放射性物質や酵素などで標識 した抗免疫グロブリン抗体 (細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、 抗マウ ス免疫グロブリン抗体が用いられる) またはプロテイン Aを加え、 固相に結合し た本発明の抗体を検出する方法、 抗免疫グロプリン抗体またはプロテイン Aを吸 着させた固相にハイプリ ドーマ培養上清を添加し、 放射性物質や酵素などで標識 した配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配刿番 号: 9で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドを加え、 固相に結合した 本究明の抗体を検出する方法などがあげられる。 本発明の抗体のスクリーニング、 育種は、 通常 HA T (ヒポキサンチン、 アミノプテリン、 チミジン) を添 b口した 動物細胞用培地で行なうことができる。 選別および育種用培地としては、 ハイブ リ ドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。 例えば、 1〜 2 0 %、 好ましくは 1 0〜 2 0 %の牛胎仔血清を含む R P M I 1 6 4 0培地、 1〜1 0 %の牛胎仔血清を含む G I T培地 (和光純薬工業 (株) ) またはハイブ リ ドーマ培養用無血清培地 (S F M— 1 0 1、 日水製薬 (株) ) などを用いるこ とができる。 培養温度は、 通常 2 0〜4 0 °C、 好ましくは約 3 7 °Cである。 培養 時間は、 通常 5日〜 3週間、 好ましくは 1週間〜 2週間である。 培養は、 通常 5 %炭酸ガス下で行なうことができる。
本発明の抗体の分離精製は、 通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免 疫グロプリンの分離精製法 〔例、 塩析法、 アルコール沈殿法、 等電点沈殿法、'電 気泳動法、 イオン交換体 (例、 DEAE) による吸脱着法、 超遠心法、 ゲルろ過法、
抗原結合固相あるいはプロティン Aまたはプロテイン Gなどの活性吸着剤によ り抗体のみを採取し、 結合を解離させて抗体を得る特異的精製法など〕 に従って 行われる。
以上のようにして、 ハイプリ ドーマ細胞を温血動物の-生体内又は生体外で培養 し、 その体液または培養物から抗体を採取することによって、 本発明の抗体を製 造することができる。
(a) 配列番号: 1、 配列番号: 3、 配列番号: 5、 配列番号: 7または配列 番号: 9で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質の一部領域と反応する本 発明の抗体を産生するハイプリ ドーマ、 および (b) 上記タンパク質とは反応す るが、 その一部領域とは反応しない本発明の抗体を産生するハイプリ ドーマのス クリーニングは、 例えば、 その一部領域に相当するペプチドとハイプリ ドーマが 産生する抗体との結合性を測定することにより行うことができる。
本発明で用いられるレセプターに特異的に反応する二重特異性モノクローナル 抗体は、 公知の方法に準じて製造することができる。
さらに、 キメラ抗体、 ヒト化抗体、 ヒト型抗体は、 公知の方法に準じて製造す ' ることができ、 例えばキメラ抗体は、 「実験医学 (臨時増刊号) , Vol. 6,
No. 10, .1988」 、 特公平 3- 73280号公報等を、 ヒト化抗体は、 特表平 4- 506458 号公報、 特開昭 62-296890号公報等を、 ヒト抗体は、 「Nature Genetics, Vol. 15, p. 146-156, 1997」 、 「Nature Genetics, Vol. 7, p. 13—21, 1994J 、 特表平 4-504365号公報、 国際出願公開 W094/25585 号公報、 「日経サイエンス、 6月号、 第 4 0〜第 5 0頁、 1 9 9 5年」 、 「Nature, Vol. 368, p. 856- 859, 1994」 、 特表平 6-500233号公報等を参考にそれぞれ製造することができる。
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、 自体公知またはそれに準じる方法に従って製 造することができる。 例えば、 免疫抗原自体、 またはそれとキャリアータンパク 質との複合体をつくり、 上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に温血動物に 免疫を行ない、 該免疫動物から本発明の抗体含有物を採取して、 抗体の分離精製
を行なうことにより製造することができる。
温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアータンパク質との複 合体に関し、 キャリアータンパク質の種類およびキャリアータンパク質とハプテ ンとの混合比は、 キヤリァータンパク質に架橋させて免 したハプテンに対して 抗体が効率良くできれば、 どのようなものをどのような比率で架橋させてもく、 例えば、 ゥシ血清アルブミンゃゥシサイ口グロブリン、 へモシァニン等を重量比 でハプテン 1に対し、 約 0 . 1〜2 0、 好ましくは約 1〜5の割合で架橋させる 方法が用いられる。
また、 ハプテンとキャリアータンパク質の架橋には、 種々の縮合剤を用いるこ とができ、 ダルタルアルデヒドゃカルボジイミ ド、 マレイミド活性エステル、 チ オール基、 ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。 縮合生成物は、 温血動物に対して、 抗体産生が可能な部位に、 それ自体または 担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全 フロイントアジュバントゃ不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。 投 与は、 通常約 2〜 6週毎に 1回ずつ、 計約 3〜1 0回程度行なわれる。
また、 本発明のポリクローナル抗体は、 DNA免疫法により作製できる (例えば Nature、 356卷、 152項- 154項参照) 。 DNA免疫法によれば、 非常に力価に優れ た抗体が得られる。
ポリクローナル抗体は、 上記の方法で免疫された温血動物の血液、 腹水など、 好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナノレ抗体価の測定は、 例えば上記 (2 ) で述べたハイプ リ ドーマ培養上清の抗体価の測定と同様にして測定できる。 ポリクローナル抗体 の分離精製は、 上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロプリンの 分離精製法に従って行なうことができる。
以下に、 本発明の抗体の用途を説明する。
〔1〕 癌の予防 ·治療剤、 癌細胞のアポトーシス誘導剤、 癌細胞の増殖抑制剤 本発明で用いられるレセプターは、 乳癌、 卵巣癌、 大腸癌、 癌、 勝臓癌等の
癌細胞で発現が亢進しており、 また、 コラーゲン等のリガンドが結合することに よって癌細胞のアポトーシスが抑制されている。 このような癌細胞のアポトーシ ス抑制現象は、 例えば (i) コラーゲン等のリガンドと本発明で用いられるレセ プターとの結合、 (ii) 本発明で用いられるレセプター一の活性化誘導 (例、 リ ン酸化される活性誘導 '促進など) などを阻害することにより消失し、 .アポトー シスが誘導される。
従って、 本発明の抗体 (その塩も含む) を含有する医薬は、 低毒性で安全な、 例えば、 癌 (例、 乳癌、 卵巣癌、 大腸癌、 肺癌、 膝臓癌など) の予防 ·治療剤、 癌細胞のアポトーシス誘導剤、 癌細胞の増殖抑制剤などの医薬として使用するこ とができる。
本発明の抗体または上記物質を含有する上記剤は低毒性であり、 そのまま液剤 として、 または適当な剤型の医薬組成物として、 ヒトまたは哺乳動物 (例、 ラッ ト、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して経口的また は非経口的 (例、 血管内投与、 腹腔内投与、 皮下投与など) に投与することがで きる。
本発明の抗体は、 それ自体を投与しても良いし、 または適当な医薬組成物とし て投与しても良い。 投与に用いられる医薬組成物としては、 本発明の抗体または 上記物質と薬理学的に許容され得る担体、 希釈剤もしくは賦形剤とを含むもので あっても良い。 このような医薬組成物は、 経口または非経口投与に適する剤形と して提供される。
非経口投与のための組成物としては、 例えば、 注射剤、 坐剤、 ワクチン等が用 いられ、 注射剤は静脈注射剤、 皮下注射剤、 皮内注射剤、 筋肉注射剤、 点滴注射 剤等の剤形を包含しても良い。 このような注射剤は、 公知の方?去に従って調製で きる。 注射剤の調製方法としては、 例えば、 本発明の抗体または上記物質を通常 注射剤に用いられる無菌の水性液、 または油性液に溶解、 懸濁または乳化するこ とによって調製できる。 注射用の水性液としては、 例えば、 生理食塩水、 ブドウ 糖やその他の補助薬を含む等張液等が用いられ、 適当な溶解補助剤、 例えば、 ァ
ノレコール (例、 エタノーノレ) 、 ポリアノレコーノレ (例、 プロピレングリコール、 ポ リエチレングリコール) 、 非イオン界面活性剤 〔例、 ポリソルベート 8 0、 H C O— 5 0 (polyoxyethylene (50mol) adduct of hydrogenated castor oil) 〕 等と併用してもよい。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油 _、 大豆油等が用いられ、 溶解補助剤として安息香酸ベンジル、 ベンジルアルコール等を併用してもよい。 調製された注射液は、 適当なアンプルに充填されることが好ましい。 直腸投与に 用いられる坐剤は、 本発明の抗体または上記物質を通常の坐薬用基剤に混合する ことによって調製されても良い。
経口投与のための組成物としては、 固体または液体の剤形、 具体的には錠剤 (糖衣錠、 フィルムコーティング錠を含む) 、 丸剤、 顆粒剤、 散剤、 カプセル剤 (ソフトカプセル剤を含む) 、 シロップ剤、 乳剤、 懸濁剤等が挙げられる。 この ような組成物は公知の方法によって製造され、 製剤分野において通常用いられる 担体、 希釈剤もしくは賦形剤を含有していても良い。 錠剤用の担体、 賦形剤とし ては、 例えば、 乳糖、 でんぷん、 蔗糖、 ステアリン酸マグネシウムが用いられる。 なお前記した各組成物は、 上記抗体または物質との配合により好ましくない相 互作用を生じない限り他の活性成分を含有してもよい。
上記の非経口用または経口用医薬組成物は、 活性成分の投与量に適合するよう な投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。 このような投薬単位の剤形 としては、 例えば、 錠剤、 丸剤、 カプセル剤、 注射剤 (アンプル) 、 坐剤が挙げ られる。 抗体または物質の含有量としては、 投薬単位剤形当たり通常 5〜500mg、 とりわけ注射剤では 5〜100mg、 その他の剤形では 10〜250mgの上記抗体または 物質が含有されていることが好ましい。
上記の剤の投与量は、 投与対象、 対象疾患、 症状、 投与ルートなどによっても 異なり、 例えば、 成人の乳癌の治療■予防のために使用する場合には、 本発明の 抗体または物質を 1回量として、 通常 0. 01〜20mg/kg体重程度、 好ましくは 0. 1 〜10mg/kg体重程度、 さらに好ましくは 0. l〜5mg/kg体重程度を、 1日 1〜5回 程度、 好ましくは 1 日 1〜3回程度、 静脈注射により投与するのが好都合である。
他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができる。 症状が特に重い場合には、 その症状に応じて増量してもよい。
さらに、 本発明の抗体は、 他の薬剤、 例えばアルキル化剤 (例、 サイクロフォ スフアミ ド、 ィフォスフアミ ド等) 、 代謝拮抗剤 (例、 メソトレキセート、 5— フルォロウラシル等) 、 抗癌性抗生物質 (例、 マイトマイシン、 アドリアマイシ ン等) 、 植物由来抗癌剤 (例、 ビンクリスチン、 ビンデシン、 タキソール等) 、 シスプラチン、 カルポプラチン、 エトポキシドなどと併用してもよい。 本発明の 抗体または上記物質および上記薬剤は、 同時または異なった時間に、 患者に投与 すればよレ、。
〔2〕 本発明で用いられるレセプターの定量
本発明の抗体を用レ、ることにより、 本発明で用いられるレセプタ一の測定また は組織染色などによる検出を行なうことができる。 これらの目的には、 抗体分子 そのものを用いてもよく、 また抗体分子の F (ab' ) 2、 Fab'または Fab画分などを 用いてもよい。
本発明の抗体を用いる測定法は、 特に制限されるべきものではなく、 被測定液 中の抗原量 (例えば、 本発明で用いられるレセプター量) に対応した抗体、 抗原 もしくは抗体一抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、 これを 既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれ ば、 いずれの測定法を用いてもよい。 例えば、 サンドイッチ法、 競合法、 ィムノ メ トリック法、 ネフロメトリーなどが用いられるが、 感度、 特異性の点で後述す るサンドイッチ法、 競合法が、 特にサンドイッチ法が好ましい。
( 1 ) サンドイッチ法
サンドイッチ法においては、 不溶化した本発明の抗体に被検液を反応 (1次反 応) させ、 さらに標識化された本発明の抗体を反応 (2次反応) させた後、 不溶 化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の本発明で用いられるレ セプターの量を定量することができる。 1次反応と 2次反応は同時に行なっても よいし時間をずらして行なってもよい。 標識化剤および不溶化の方法は前記のそ
れらに準じることができる。 また、 サンドイッチ法による免疫測定法において、 固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも 1種類である必要は なく、 測定感度を向上させる等の目的で 2種類以上の抗体の混合物を用いてもよ い。 すなわち、 1次反応および 2次反応に用いられる抗 j本は、 例えば、 2次反応 で用いられる抗体が、 本発明で用いられるレセプターの C端部を認識す.る場合、 1次反応で用いられる抗体は、 好ましくは C端部以外、 例えば N端部を認識する 抗体が用いられる。
( 2 ) 競合法
本発明の抗体、 被検液および標識化された本発明で用いられるレセプターとを 競合的に反応させ、 該抗体に結合した標識化された本発明で用いられるレセプタ 一の割合を測定することにより、 被検液中の本発明で用いられるレセプターを定 量する。
本反応法は、 例えば、 固相化法を用いて行う。
具体例としては、 抗マウス IgG抗体 (ICN/CAPPEL社製) を固相化抗体として 用い、 この固相化抗体の存在するプレートに、 (i) 本発明の抗体、 (ii) HRP ' で標識化された本発明で用いられるレセプター、 および (iii) 被検液を添加し、 反応後、 固相に吸着した HRP活性を測定し、 本発明で用いられるレセプターを 定量する。
( 3 ) ィムノメ トリック法
ィムノメ トリック法では、 被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化さ れた本発明の抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、 あるいは 被検液中の抗原と過剰量の標識化された本発明の抗体とを反応させ、 次に固相化 抗原を加え未反応の標識化された本発明の抗体を固相に結合させたのち、 固相と 液相を分離する。 次に、 いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量 する。
( 4 ) ネフロメ トリー
ネフロメ トリ一では、 ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶
性の沈降物の量を測定する。 被検液中の抗原量が僅かであり、 少量の沈降物しか 得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメ トリーなどが好 適に用いられる。
上記 (1 ) 〜 (4 ) において、 標識物質を用いる測定一法に用いられる標識剤と しては、 放射性同位元素、 酵素、 蛍光物質、 発光物質、 ランタニド元素などが用 いられる。 放射性同位元素としては、 例えば、 〔125 I〕 、 〔131 I〕 、 〔3H〕 、 〔" C〕 などが、 酵素としては、 安定で比活生の大きなものが好ましく、 例えば β —ガラク トシダーゼ、 β一ダルコシダーゼ、 アル力リフォスファターゼ、 パー 才キシダーゼ、 リンゴ酸脱水素酵素などが、 蛍光物質としては、 例えばシァニン 蛍光色素 (例、 Cy2、 Cy3、 Cy5、 Cy5. 5、 Cy7 (アマシャムバイオサイエンス社 製) など) 、 フルォレスカミン、 フルォレツセンイソチオシァネートなどが、 発 光物質としては、 例えばノレミノール、 ルミノール誘導体、 ルシフエリン、 ノレシゲ ニンなどがそれぞれ挙げられる。 さらに、 抗体と標識剤との結合にビォチンーァ ビジン系を用いることもできる。
抗原あるいは抗体の不溶化にあたっては、 物理吸着を用いてもよく、 また通常 タンパク質あるいは酵素等を不溶化、 固定化するのに用いられる化学結合を用い る方法でもよい。 担体としては、 例えばァガロース、 デキストラン、 セルロース などの不溶性多糖類、 例えばポリスチレン、 ポリアタリルァミド、 シリコンなど の合成樹脂あるいはガラスなどが挙げられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明法に適用するにあたっては、 特別の条件、 操作等の設定は必要とされない。 それぞれの方法における通常の条件、 操作法に 当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明の測定系を構築すればよい。 これらの 一般的な技術手段の詳細については、 総説、 成書などを参照することができる [例えば、 入江 寛編 「ラジオィムノアツセィ」 (講談社、 昭和 49年発行) 、 入江 寛編 「続ラジオィムノアッセィ j (講談社、 昭和 54年発行) 、 石川栄治 ら編 「酵素免疫測定法」 (医学書院、 昭和 53年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免 疫測定法」 (第 2版) (医学書院、 昭和 57年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免疫
測定法」 (第 3版) (医学書院、 昭和 62年発行) 、 「MethodS in
ENZYM0L0GYJ Vol. 70 (Immunochemical Techniques (Part A) ) 、 同書 Vol. 73
(Immunochemical Techniques (Part B) ) 、 同書 Vol. 74 (Immunochemical Techniques (Part C) ) 、 同書 Vol. 84 (Immunochemical Techniques (Part D e selected Immunoassays) ) 、 同書 Vol. 92 (Immunochemical
Techniques (Part E : Monoclonal Antibodies and General Immunoassay
Methods) ) 、 同書 Vol. 121 (Immunochemical 丄' echniques (Part I : Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies) ) (以上、 ァカデミックプレス社発 行) など参照] 。 したがって、 本発明のサンドイッチ免疫測定法などよる測定系 を構築する場合、 その方法は後述する実施例に限定されない。
以上のように、 本発明の抗体は、 本発明で用いられるレセプターを感度良く定 量することができるので、 本発明で用いられるレセプターの生理機能のさらなる 解明、 および本発明で用いられるレセプターの関与する疾患の診断に有用である。 具体的には、 本発明の抗体を用いて、 組織中や体液中 (血液、 血漿、 血清、 尿な ど) に含まれる本発明で用いられるレセプターの量を測定することにより、 例え 'ば、 癌 (例、 乳癌、 卵巣癌、 大腸癌、 肺癌、 膝臓癌など) などを診断することが できる。
〔3〕 疾病に対する医薬候補物のスクリーニング
本発明で用いられるレセプターは、 乳癌、 卵巣癌、 大腸癌、 肺癌、 If臓癌等の 癌細胞で発現が亢進しており、.また、 コラーゲン等のリガンドが結合することに よって癌細胞のアポトーシスが抑制されている。 このような癌細胞のアポトーシ ス抑制現象は、 例えば (i) コラーゲン等のリガンドと本発明で用いられるレセ プターとの結合、 (ii) 本発明で用いられるレセプターの活性化誘導 (例、 リ ン酸化される活性誘導 '促進など) などを阻害することにより消失し、 アポトー シスが誘導される。
従って、 本発明で用いられるレセプターの活性を阻害する化合物またはその塩 は、 例えば癌 (例、 乳癌、 卵巣癌、 大腸癌、 肺癌、 膝臓癌など) の予防 ·治療剤、
癌細胞のアポトーシス誘導剤、 癌細胞の増殖抑制剤などとして使用することがで さる。
したがって、 本発明で用いられるレセプターは、 本発明のレセプターの活性を 阻害する物質のスクリーニングのための試薬として、 有 _用である。
すなわち、 本発明は、 本発明で用いられるレセプターを用いることを.特徴とす る、 本発明で用いられるレセプターの活性を阻害する物質のスクリーニング方法 を提供する。
本発明で用いられるレセプターの活性 (例、 リン酸化される活性など) を阻害 する物質のスクリーニング方法の具体例としては、 例えば、 タグ (例、 FLAG、 His、 V5、 myc、 HA など) を C末端に付加した本発明で用いられるレセプターを、 組換え型タンパク質として動物細胞に発現させ、 (i) コラーゲン (例えば、 I 型コラーゲン、 Π型コラーゲン、 III型コラーゲン、 IV型コラーゲン、 V型コ ラーゲン、 VI型コラーゲン、 VI I I型コラーゲン) 等のリガンド、 または (i i) リガンドおよび試験化合物と、 それぞれ反応させた後、 細胞を破碎し、 無細胞抽 出液を調製し、 抗タグ抗体で免疫沈降し、 リン酸化された本発明で用いられるレ 'セプターの生成量を、 抗リン酸化チロシン抗体などを用いて公知の方法 (例、 ゥ エスタンプロット法など) により定量し、 上記 (i) の場合と (i i) の場合とで 比較する。
例えば、 上記 (i i ) の場合における本発明で用いられるレセプターの活性を、 上記 (i) の場合に比べて、 約 2 0 °/0以上、 好ましくは 3 0 %以上、 より好まし くは約 5 0 %以上阻害させる試験化合物を、 本発明で用いられるレセプターの活 性を阻害する化合物として選択することができる。
上記の本発明で用いられるレセプターを産生する能力を有する細胞としては、 例えば、 本発明で用いられるレセプターをコードする D N Aを含有するベクター で形質転換された宿主 (形質転換体) が用いられる。 宿主としては、 例えば、 C O S 7細胞、 C H O細胞、 H E K 2 9 3細胞などの動物細胞が好ましく用いられ る。 該スクリーニングには、 例えば、 前述の方法で培養することによって、 本発
明のタンパク質を細胞膜上に発現させた形質転換体が好ましく用いられる。 本発 明のタンパク質を発現し得る細胞の培養方法は、 前記した本発明の形質転換体の 培養法と同様である。 また、 本発明で用いられるレセプターを産生する能力を有 する細胞として、 該レセプターを高発現している癌 (例-えば、 乳癌、 卵巣癌、 大 腸癌、 肺癌、 瞎臓癌など) 細胞を用いることもできる。
試験化合物としては、 例えばペプチド、 タンパク質、 抗体、 非ペプチド性化合 物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液、 血漿 などがあげられる。
さらに、 本発明で用いられるレセプターの遺伝子も、 癌組織において発現が亢 進するので、 本発明で用いられるレセプターの遺伝子の発現を阻害する物質も、 例えば、 癌 (例、 乳癌、 卵巣癌、 大腸癌、 肺癌、 勝臓癌など) の予防 ·治療剤、 癌細胞のアポトーシス誘導剤、 癌細胞の増殖抑制剤などとして使用することがで きる。
したがって、 本発明で用いられるレセプターをコードするポリヌクレオチド (例、 D N A) は、 本発明で用いられるレセプターの遺伝子の発現を阻害する化 '合物またはその塩のスクリーニングのための試薬として有用である。
スクリーユング方法としては、 (iii) 本発明で用いられるレセプターを産生 する能力を有する細胞を培養した場合と、 (iv) 試験化合物の存在下、 本発明 で用いられるレセプターを産生する能力を有する細胞を培養した場合との比較を 行うことを特徴とするスクリ一二ング方法が挙げられる。
上記方法において、 (iii) と (iv) の場合における、 前記遺伝子の発現量 (具体的には、 本発明で用いられるレセプター量または本発明で用いられるレセ プターをコードする mR N A量) を測定して、 比較する。
試験ィヒ合物および本発明のタンパク質を産生する能力を有する細胞としては、 上記と同様のものが挙げられる。
タンパク質量の測定は、 公知の方法、 例えば、 本発明の抗体を用いて、 細胞抽 出液中などに存在する前記タンパク質を、 ウェスタン解析、 E L I S A法などの
方法またはそれに準じる方法に従い測定することができる。
m R N A量の測定は、 公知の方法、 例えば、 プローブとして配列番号: 2、 配 列番号: 4、 配列番号: 6、 配列番号: 8または配列番号: 1 0で表される塩基 配列またはその一部を含有する核酸を用いるノーザンハイプリダイゼーション、 あるいはプライマーとして配列番号: 2、 配列番号: 4、 配列番号: 6、 配列番 号: 8または配列番号: 1 0で表される塩基配列またはその一部を含有する核酸 を用いる P C R法またはそれに準じる方法に従い測定することができる。
例えば、 上記 (iv) の場合における遺伝子の発現を、 上記 (ii i) の場合に比 ベて、 約 2 0 %以上、 好ましくは 3 0 °/0以上、 より好ましくは約 5 0 %以上阻害 させる試験化合物を、 本発明で用いられるレセプターの遺伝子の発現を阻害する 化合物として選択することができる。
本発明のスクリーニング用キットは、 本発明で用いられるレセプター、 または 本発明で用いられるレセプターを産生する能力を有する細胞などを含有する。 本発明のスクリーユング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる 物質は、 上記した試験化合物、 例えば、 ペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化 合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液、 血 漿などから選ばれる。
該塩としては、 前記した本発明のタンパク質の塩と同様のものが用いられる。 本発明のスクリーユング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる 物質を上述の剤として使用する場合、 常套手段に従って製剤化することができる。 例えば、 経口投与または非経口投与のための組成物としては、 上記 〔1〕 で記 載した組成物と同様のものが挙げられ、 同様に製造でき、 同様に使用できる。 本願明細書の配列表の配列番号は、 以下の配列を示す。
〔配列番号: 1〕
DDRlaのァミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 2〕
配列番号: 1で表されるアミノ酸配列を有する DDRlaをコードする DNAの塩基
配列を示す。
〔配列番号: 3〕
DDRlbのァミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 4〕 一
配列番号: 3で表されるァミノ酸配列を有する DDRlbをコードする DNA.の塩基 配列を示す。
〔配列番号: 5〕
DDRlcのァミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 6〕
配列番号: 5で表されるアミノ酸配列を有する DDRlcをコードする DNAの塩基 配列を示す。
〔配列番号: 7〕
DDRldのァミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 8〕
配列番号: 7で表されるアミノ酸配列を有する DDRldをコードする DNAの塩基 ' 配列を示す。
〔配列番号: 9〕
DDRleのァミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 1 0〕
配列番号: 9で表されるアミノ酸配列を有する DDRleをコードする DNAの塩基 配列を示す。
〔配列番号: 1 1〕
参考例 4および参考例 8で用いられたプライマー 1の塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 2〕
参考例 4で用いられたプライマー 2の塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 3〕
参考例 5で用いられたプライマー 3の塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 4〕
参考例 5で用いられたプライマー 4の塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 5〕
DDRlbDNのァミノ酸配列を示す。 ―
〔配列番号: 1 6〕
配列番号: 1 5で表されるァミノ酸配列を有する DDRlbDNをコードする DNAの 塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 7〕
参考例 1で用いられたブライマ一 5の塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 8〕
参考例 1で用いられたプライマー 6の塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 9〕
参考例 1で用いられた TaqManプローブ 1の塩基配列を示す。
〔配列番号: 20〕
参考例 2および参考例 3で用いられたプライマー 7の塩基配列を示す。
〔配列番号: 2 1〕
参考例 2および参考例 3で用いられたプライマー 8の塩基配列を示す。
〔配列番号: 2 2〕
参考例 2および参考例 3で用いられた TaqManプローブ 2の塩基配列を示す。 〔配列番号: 2 3〕
参考例.8で用いられたプライマー 9の塩基配列を示す。
〔配列番号: 24〕
DDRlbED-Fcのァミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 2 5〕
配列番号: 24で表されるァミノ酸配列を有する DDRlbED- Fcをコードする DNA の塩基配列を示す。
〔配列番号: 2 6〕
DDRlbED- Flagのァミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 2 7〕
配列番号: 2 6で表されるアミノ酸配列を有する DDRlbED-Flagをコードする DNAの塩基配列を示す。 _
〔配列番号: 2 8〕
参考例 8で用いられたプライマー 1 0の塩基配列を示す。
〔配列番号: 2 9〕
参考例 8で用いられたプライマー 1 1の塩基配列を示す。
本明細書において、 塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、 IUPAC-IUB Commission on Biocnemical Nomenclature による略号あるいは当 分里 fにおけ る慣用略号に基づくものであり、 その例を下記する。 またアミノ酸に関し光学異 性体があり得る場合は、 特に明示しなければ L体を示すものとする。
DNA :デォキシリボ核酸
c DNA :相補的デォキシリボ核酸
A :アデユン
T :チミン
G :グァニン
C : シトシン
RNA : リボ核酸
mRNA :メッセンジャーリボ核酸
d AT P :デォキシアデノシン三リン酸
d TT P :デォキシチミジン三リン酸
d GT P :デォキシグアノシン三リン酸
d CT P :デォキシシチジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA : エチレンジァミン四酢酸
SD S : ドデシル硫酸ナトリウム
G 1 y : グリシン
A 1 a :ァラニン
V a 1 : ノ ジン
L e u : ロイシン
I 1 e :イソロイシン
S e r :セリン
T h r :スレオニン
C y s :システィン
M e t : メチォニン
G 1 u : グルタミン酸
A s P :ァスパラギン酸
L y s : リジン
A r g :アルギニン
H i s : ヒスチジン
P h e : フエニノレアラニン
T y r :チロシン
T r P : トリブトファン
P r o :プロリン
A s n :ァスパラギン
G 1 n :グルタミン
p G 1 u : ピログルタミン酸
S e c :セレノシスティン ^selenocysteine)
また、 本明細書中で繁用される置換基、 保護基および試薬を下記の記号で表記 する。
M e メチル基
E t ェチル基
B u ブチル基
フエ二ノレ基
TC チアゾリジン一 4 (R) 一カルボキサミ ド基
Γ o s p―トゾレエンスゾレフォニノレ
CHO ホルミル
B z 1 ベンジノレ
Cl2-Bzl 2, 6—ジクロロべンジノレ
B om ベンジルォキシメチル
Z ペンジノレオキシカノレボニノレ
C 1一 z 2—クロ口べンジルォキシカノレポ二ノレ
B r— Z 2一ブロモベンジルォキシカノレポ二ノレ
B o c t一ブトキシカノレポ二ノレ
DNP ジニト口フエ二ノレ
T r t トリチル
Bum t一ブトキシメチル
F m o c N— 9—フノレオレニノレメ トキシカノレポ二ノレ
HOB t 1ーヒ ドロキシベンズトリァゾーノレ
HOOB t 3, 4—ジヒ ドロー 3—ヒ ドロキシ一 4一ォキソ一
1, 2, 3—ベンゾト リ ァジン
HONB : 1 -ヒ ドロキシ- 5-ノルポルネン -2, 3 -ジカルボキシィミ ド DCC : N, N' —ジシクロへキシルカルポジイミ ド 実施例
以下、 実施例により本発明をさらに説明するが、 本発明はいかなる意味におい てもこれらに限定されない。
[参考例 1 ] ヒト癌組織における DDR1遺伝子 mRNA発現亢進の検討
本参考例においては、 DDRla遺伝子、 DDRlb遺伝子、 および DDRlc遺伝子を総
称して DDR1遺伝子と定義する。 DDR1遺伝子の tnRNA発現が癌組織において亢進 しているか否かを定量的 PCR法により検討した。 発現量測定には cDNA CeHAT-SD Breast Tumor 1 (コスモバイ才社) 、 cDNA CeHAT-SD Breast Tumor 2 (コスモ バイオ社) 、 Human Colon Matched cDNA Pair Panel — (CLONTECH社) 、 Human Lung Matched cDNA Pair Panel (CLONTECH社) 、 および Human Ovary Matched cDNA Pair Panel (CLONTECH社) を用いた。 1 Lの cDNAを铸型とし、 TaqMan Universal PCR Master Mix (Applied Biosystems社) 7. 5 L、 7ライマー 5 (配列番号: 1 7 ) およびプライマー 6 (配列番号: 1 8 ) を各 500 nM、 FAM 標識した TaqManプローブ 1 (配列番号: 1 9 ) を 100nMとなるように加え反応 液量 15 / L とした。 但し、 cDNA CeHAT-SD Breast Tumor 1 (コスモバイオ社) 、 および cDNA CeHAT-SD Breast Tumor 2 (コスモバイオ社) については铸型量を 0. 2 x Lとした。 PCR反応は、 50°C · 2分、 95°C · 10分の後、 95°C · 15秒、
60°C■ 1分のサイクルを 40回繰り返した。 一方、 同量の铸型 cDNA中に含まれる ]3 -ァクチン遺伝子発現量を測定し内部標準とした。 その結果、 正常組織に対す る癌組織での DDR1遺伝子発現量は、 cDNA CeHAT-SD Breast Tumor 1 (コスモバ ' ィォ社) に含まれる 3人のドナーで、 各々 2倍、 5. 1倍、 2. 5倍の増加が、 cDNA CeHAT-SD Breast Tumor 2 (コスモバイオ社) に含まれる別の 3人のドナーで、 各々 6. 9倍、 1. 1倍、 4. 3倍の増加が認められた。 同様にして、 Human Colon Matched cDNA Pair Panel (CLONTECH社) に含まれる 5人のドナーのうち 4人 で各々 6. 9倍、 2. 2倍、 1. 3倍、 1. 7倍の増加が、 Human Lung Matched cDNA Pair Panel (CLONTECH社) に含まれる 5人のドナーのうち 4人で各々 6. 5倍、 4. 9倍、 4. 6倍、 10. 3倍の増加が、 Human Ovary Matched cDNA Pair Panel
(CLONTECH社) に含まれる 5人のドナーのうち 3人で各々5. 4倍、 1. 8倍、 1. 4 倍の増加が確認された。 これらの結果より、 癌組織における DDR1遺伝子の発現 亢進が確認された。
[参考例 2 ] 癌組織における DDRlb遺伝子の raRNA発現亢進の検討
ヒト癌組織 (乳癌、 肺癌、 直腸癌、 卵巣癌) 由来の Matched Tumor /Normal cDNA Pair (CLONTECH社) を鎵型として、 FAM標識した TaqManプローブを用い た定量的 PCR反応を行うことにより、 癌組織と正常組織での DDRlb遺伝子の発 現量を測定した。 ―
該反応における反応液の糸且成は、 上記 cDNAを 1 μレ TaqMan Universal PCR Master Mix (Appl ied Biosystems社) を 10 /i L、 プライマー 7 (配列番号: 2 0 ) およぴプライマー 8 (配列番号: 2 1 ) を各 200nM、 TaqManプローブ 2 (配 列番号: 2 2 ) を 200nMとなるよう加え、 20 1の液量とした。 P C R反応は、 50°C · 2分、 95°C · 10分の後、 95°C■ 15秒、 60°C ' 1分のサイクルを 40回繰り 返した。
その結果、 周辺正常組織に対する癌組織での DDRlb遺伝子発現量は、 ヒト乳 癌組織 6例中 2例でそれぞれ約 3倍と約 5倍、 ヒ ト肺癌組織 5例中 4例でそれ ぞれ約 7倍、 約 5倍、 約 6倍および約 16倍、 ヒト直腸癌組織 5例中 1例で約 5 倍、 ヒト卵巣癌組織 5例中 2例でそれぞれ約 5倍と約 2倍の発現亢進が認めら れた。
[参考例 3 ] ヒ ト癌細胞株における DDRlb遺伝子の mRNAの定量
以下で使用される骨肉種細胞株 Saos- 2、 脳腫瘍細胞株 SK-N- MC、 SK- N- AS、 SK-N- BE、 SK-N_DZ、 SK- N- FI、 SK- N_SH、 D341 Med、 Daoy、 DBTRG- 05MG、 U- 118 MG、 U-87 MG、 CCF- STTG1、 SW 1088、 乳癌細胞株 HCC1937、 ZR- 75- 1、 AU565、 MCF- 7、 MDA- MB- 231、 SKBR- 3、 BT474、 MDA- MB- 435s、 大腸癌細胞株 Caco_2、 COLO 201、 COLO 205、 COLO 320DM、 DLD- 1、 HCT- 15、 HCT- 8、 HT- 29、 LoVo、 LS180、 LS123、 LS174T、 NCI-H548、 SNU- Cl、 SK- CO- 1、 SW 403、 SW 48、 SW 480 SW 620、 SW 837、 SW 948、 HCT 116、 小細胞肺癌細胞株 NCI- H187、 NCI- H378、 NCI- H526、 NCI- H889、 NCI- H1672、 NCI- H1836、 NCI- H2227、 NCI- N417、 SHP- 77、 非小細胞肺癌細胞株 A549、 NCI-H23N NCI- H226、 NCI- H358、 NCI- H460、 NCI - ' H522、 NCI- H661、 NCI- H810、 NCI- H1155、 NCI- H1299、 NCI_H1395、 NCI- H1417、
NCI_H1435、 NCI_H1581、 NCI- H1651、 NCI- H1703、 NCI_H1793、 NCI_H1963、 NCI- H2073、 NCI-H2085, NCI-H2106N NCI- H2228、 NCI- H2342、 NCI- H2347、 卵巣癌細 胞株 ES- 2、 Caov- 3、 MDAH2774、 NIH : 0VCAR3、 OV- 90、 SK- OV- 3、 TOV- 112D、 TOV- 21G、 前立腺癌細胞株 DU 145、 LNCaP、 網膜芽腫細胞株 TORI-Rb- 1、 Y79、 精巣癌 細胞株 Cates-ΙΒ は American Type Culture Collection (ATCC) より購入した。 大腸癌細胞株 C0CM1、 非小細胞肺癌細胞株 VMRC-LCDおよび前立腺癌細胞株 PC3 は、 Japanese Col lection of Research Bioresources (JCRB) より貝再入した。 上記癌細胞株をそれぞれ ATCCあるいは JCRBが推奨している培養方法に従って 培養し、 RNeasy Mini Total RNA Kit (QIAGEN社) を用いてトータル RNAを調 製した。 このトータル RNAを铸型としてランダムプライマーを用いた逆転写反 応で cDNAを調製し、 定量的 PCR反応を行うことにより、 DDRlb遺伝子発現量の 定量を行った。
該反応は上記トータル RNA 5ngより得られた cDNAを铸型とし、 参考例 2に記 載の方法に従って行った。 並行して上記トータル RNA 1 ngに含まれる] 3 -ァク チン遺伝子のコピー数を算出し内部標準とした。
上記遺伝子全体の発現量を、 ]3 -ァクチン遺伝子発現量で標準化した相対的発 現量を 〔表 1〕 に示す。 16株の癌細胞株が -ァクチン遺伝子発現量の 10 °/0以 上の発現を示し、 DDRlb遺伝子が高発現している細胞株の存在が明らかとなった。
1]
[参考例 4] 組換え型完全長 DDRlaおよび DDRlbタンパク質の動物細胞用発 現ベクターの構築
ヒト乳癌細胞 GI-101由来の Marathon - Ready cDNA (CLONTECH社) を铸型とし 制限酵素 BamHIの認識配列を付加したプライマー 1 (配列番号: 1 1) 、 およ び制限酵素 EcoRIの認識配列を付加したプライマー 2 (配列番号: 1 2) を用 いて PCR反応を行った。 該反応における反応液の組成は上記 cDNA 2/zLを鎵型
として使用し、 PfuUltra Hotstart DNA Polymerase (STRATAGENE社) 2.5U、 プ ライマー 1 (配列番号: 1 1) 、 およびプライマー 2 (配列番号: 1 2) を各 0.2μΜ、 dNTPsを 200μΜ、 および 10x Pfu Ultra Buffer (STRATAGENE社) を 5 /L加え、 50/zLの液量とした。 PCR反応は、 95°C · 2分—の後、 95°C ■ 30秒、 55°C · 30秒、 72°C · 3分のサイクルを 40回繰り返した後に、 72°C · 10分の反応 を行った。 次に PCR Purification Kit (QIAGEN社) にて該 PCR反応産物を精製 した後、 制限酵素 BamHI、 および EcoRIにて処理した。 pcDNA3.1 (+)
(Invitrogen社) も制限酵素 BamHI、 および EcoRIにて処理した。 これらを PCR Purification Kit (QIAGEN社) にて精製し、 それぞれの DNA断片を Ligation High (T0Y0B0社) を用いてライゲーシヨン反応を行った後、 大腸菌
TOPlOClnvitrogen社)に導入し、 アンピシリンを含む LB寒天培地中で選択した。 個々のクローンの配列を解析した結果、 DDRlaタンパク質 (配列番号: 1 ) をコ ードする cDNA配列 (配列番号: 2) を有する動物細胞用発現ベクター
pcDNA3.1 (+) -DDRlaおよび DDRlbタンパク質 (配列番号: 3) をコードする cDNA配列 (配列番号: 4) を有する動物細胞用発現ベクター pcDNA3.1(+)- DDRlb ' を得た。
[参考例 5 ] 組換え型ドミナントネガティブ型 DDRlbタンパク質の動物細胞 用発現ベクターの構築
キナーゼ活性を有さないドミナントネガティブ型 DDRlb (以下、 DDRlbDNと称 する) タンパク質の動物細胞用発現ベクターを構築した。 PcDNA3.1(+) - DDRlbを 鐯型とし、 制限酵素 Xholの認識配列を付加したプライマー 3 (配列番号: 1 3) および pcDNA3.1 (+)にハイプリダイズするプライマー 4 (配列番号: 1 4) を用いて、 DDRlb完全長 cDNA配列 (配列番号: 4) の 2710番目から 2739番目 までの配列と PcDNA3.1 (+)由来の配列を含む DNA断片を PCR反応により増幅した。 該反応における反応液の組成は上記 pcDNA3.1(+)- DDRlb 10ng、 PfuUltra
Hotstart DNA Polymerase (STRATAGENE社) 2.5U、 プライマー 3 (配列番号:
1 3 ) 、 およびプライマー 4 (配列番号: 1 4 ) を各 0. 2 /z M、 dNTPs を 200 /i M および 10x Pfu Ultra Buffer (STRATAGENE社) を 5 /i L加え、 50 z Lの液量と した。 PCR反応は、 95°C■ 2分の後、 95°C · 30秒、 60°C · 30秒、 72。C · 30秒の サイクルを 30回繰り返した後に、 72°C · 10分の反応を行った。 次に PCR Purification Kit (QIAGEN社) にて該 PCR反応産物を精製した後、 制限酵素 Xholにて処理した。 pcDNA3. 1 (+) -DDRlbも制限酵素 Xholにて処理し、 約 7kbの DNA断片を回収した。 これらを Wizard SV Gel and PCR C lean-Up System (Promega社) を用いて精製した。 それぞれの DM断片を Ligation High
(T0Y0B0社) を用いてライゲーシヨン反応を行った後、 大腸菌 T0P10
(Invitrogen社) に導入し、 アンピシリンを含む LB寒天培地中で選択した。 個々のクローンの配列を解析した結果、 DDRlbDNタンパク質 (配列番号: 1 5 ) をコードする cDNA配列 (配列番号: 1 6 ) を有する動物細胞用発現ベクター pcDNA3. 1 (+) -DDRlbDNを得た。 [参考例 6 ] 組換え型完全長 DDRlbタンパク質の安定発現細胞株の樹立
DDRlbタンパク質 (配列番号: 3 ) を構成的に発現する細胞株の樹立を参考例 3に記載したヒト大腸癌細胞株 HCT116を用いて行った。 HCT116細胞 1. 2 x l06 個を 10%牛胎仔血清 (JRH社) および 50 i g/ml ぺニシリン■ ス トレブトマイシ ン (Invitrogen社) を含むダルベッコ改変型イーグル最少培地 (Sigma社) 10mlに懸濁し、 10cmのぺトリディッシュに播種した後、 5。/。炭酸ガス気流下、 37°Cで一晚培養した。 予め室温で 20分間放置しておいた FuGENE6 トランスフエ クシヨン試薬 18 μ 1 (Roche Diagnostics社) 、 プラスミ ド pcDNA3. 1 (+) -DDRlb 6 μ gおよび 0PTI- MEM I (Invitrogen社) 600 μ 1の混合液を添加し培養を継続 した。 2日後に lmg/mlの G418 (Promega社) を含む上記培地 (G418選択培地) に交換した。 G418選択培地で培養を継続しトリプシン · EDTA (Invitrogen社) を用いて 2回継代培養した後、 1ゥエルあたり細胞 1個となるように 96プレー トに播種し、 G418選択培地で培養を継続した。 コロニーを形成したゥエルから
14日後に細胞を回収し、 24穴プレートに播種した。 さらに 5日後 6穴プレート に播種し、 G418選択培地で培養を継続した後、 1%の 2-メルカプトエタノールを 含む SDS-PAGE用サンプルバッファー (Bio-Rad社) 200 μ ΐ に細胞を懸濁した。 100 でで 3分間加熱処理した後、 20 /Ζ 1を 10%ァクリル_ァミ ドゲルでの SDS - PAGEに供した。 抗 DDR1抗体 (Santa Cruz社) を用いてウェスタンブロ.ッティ ングを行い、 DDRlbタンパク質を発現する細胞株 DDRlbFL-#117を得た。
[参考例 7 ] 組換え型 DDRlbDNタンパク質の安定発現細胞株の樹立
DDRlbDNタンパク質 (配列番号: 1 5 ) を構成的に発現する細胞株の樹立は、 トランスフエクシヨンに用いるプラスミ ドを pcDNA3. 1 (+) -DDRlbDNに変更し、 参考例 6に記載した方法に従って行った。 その結果、 DDRlbDNタンパク質を発現 する細胞株 DDRlbDN- #206、 および DDRlbDN- #218を得た。
[参考例 8 ] 組換え型 DDRlb細胞外領域タンパク質の動物細胞用発現べクタ 一の構築 (その 1 )
( 1 ) ヒト IgGl ■ Fcフラグメントのクローニング
ヒ ト脾臓由来 Marathon- Ready cDNA (CL0NTECH社) を錄型とし、 制限酵素 EcoRIの認識配列を付加したプライマー 1 0 (配列番号: 2 8 ) 、 および制限酵 素 Xholの認識配列を付加したプライマー 1 1 (配列番号: 2 9 ) を用いて PCR 反応を行った。 該反応における反応液の組成は上記 cDNA 1 L、 PfuTurbo
Hotstart DNA Polymerase (STRATAGENE社) 1U、 プライマー 1 0 (配列番号: 2 8 ) およびプライマー 1 1 (配列番号: 2 9 ) を各 1 μ Μ、 dNTPsを 200 /i Μ、 および 2xGC Buffer I (TaKaRa Bio社) を lO /^ L加え、 20 /_t Lの液量とした。 PCR反応は、 95°C · 1分の後、 95°C · 20秒、 60°C■ 15秒、 72°C · 2分のサイクル を 30回繰り返した。 次に PCR Purification Kit (QIAGEN社) にて該 PCR反応 産物を精製し、 制限酵素 EcoRI、 および Xholにて処理した。 pcDNA3. 1 (+)
(Invitrogen社) も制限酵素 EcoRI、 および Xholにて処理した。 これらを PCR
Purification Kit (QIAGEN社) にて精製し、 それぞれの DNA断片を DNA
Ligation Kit ver. 2 (TaKaRa Bio 社) を用いてライゲーシヨン反応を行った後、 大腸菌 T0P10 (Invitrogen社)に導入し、 アンピシリンを含む LB寒天培地中で選 択した。 個々のクローンの配列を解析した結果、 ヒ ト IgGlの Fc領域をコード する cDNA配列を有する動物細胞用発現ベクター pcDNA3. 1 (+) - IgGlFcを得た。
( 2 ) DDRlb細胞外領域 · Fcキメラタンパク質発現べクタ一の構築
pcDNA3. 1 (+) -DDRlbを铸型とし、 制限酵素 BamHIの認識配列を付加したプラ イマ一 1 (配列番号: 1 1 ) および制限酵素 EcoRIの認識配列を付加したブラ イマ一 9 (配列番号: 2 3 ) を用いて DDRlb細胞外領域をコ一ドする cDNAを増 幅した。 該反応における反応液の組成は上記 pcDNA3. l (+) -DDRlb 10 ng、
PfuUltra Hotstart DNA Polymerase (STRATAGENE社) 2. 5U、 プライマー 1 (配 列番号: 1 1 ) 、 およびプライマー 9 (配列番号: 2 3 ) を各 0. 2 /x M、 dNTPs を 200 μ Μ、 および 10x Pfu Ultra Buffer (STRATAGENE社) を 加え、 50 μ Lの液量とした。 PCR反応は、 95°C · 2分の後、 95°C · 30秒、 60°C■ 30秒、 72°C · 1分 15秒のサイクルを 30回繰り返した後に、 72°C■ 10分の反応を行つ た。 次に PCR Purification Kit (QIAGEN社) にて該 PCR反応産物を精製した後、 制限酵素 BamHI、 および EcoRIにて処理した。 また、 前項 (1 ) で取得した pcDNA3. l (+) -IgGlFcを制限酵素 BamHI、 および EcoRIにて同様に処理した。 そ れぞれの DNA断片を Wizard SV Gel and PCR Clean- Up System (Pr omega社) を 用いて精製し、 Ligation High (T0Y0B0社) を用いてライゲーシヨン反応を行つ た後、.大腸菌 TOP10 (Invitrogen社) に導入してアンピシリンを含む LB寒天培 地中で選択した。 個々のクローンの配列を解析した結果、 DDRlb細胞外領域と IgGlの Fc領域が融合したタンパク質 (配列番号: 2 4 ) をコードする cDNA配 列 (配列番号: 2 5 ) を有する動物細胞用発現ベクター pcDNA3, 1 (+) - DDRlbED- Fcを得た。
[参考例 9 ] 組換え型 DDRlb細胞外領域タンパク質の動物細胞用発現べクタ
一の構築 (その 2 )
参考例 8— ( 2 ) で作製した pcDNA3. 1 (+) -DDRlbED- Fcおよび pCMV-Tag4
(STRATAGENE社) を制限酵素 EcoRIと BamHIにて処理し、 Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega社) を用いてそれぞれの DNA断片を精製した後、 Ligation High (TOYOBO社) を用いてライゲーシヨン反応を行った。 得られたプ ラスミドを大腸菌 T0P10 (Invitrogen社) に導入し、 カナマイシンを含む LB寒 天培地中で選択した。 個々のクローンの配列を解析した結果、 DDRlb細胞外領域 の C末端に Flagタグが融合したタンパク質 (配列番号: 2 6 ) をコードする cDNA配列 (配列番号: 2 7 ) を有する動物細胞用発現ベクター pCMV- Tag4- DDRlbED-Flagを得た。
[参考例 1 0 ] DDRlbFL-#117、 および DDRlbDN- #206、 #218のアポトーシス感 受性の検討 (その 1 )
参考例 6にて作製した DDRlbFL- #117、 および参考例 7にて作製した DDRlbDN- #206、 DDRlbDN- #218のアポトーシス感受性を親株である HCT116細胞と比較した。 . HCT116細胞、 DDRlbFL- #117、 および DDRlbDN- #206、 DDRlbDN- #218をそれぞ れ 5 x 105個となるように 10 %牛胎仔血清 (JRH社) おょぴ 50 μ g/ml ぺニシリ ン .ストレプトマイシン (Invitrogen社) を含むダルベッコ改変型イーグル最 少培地 (Sigma社) 1. 5 mlに懸濁し、 6穴プレートに播種した後、 5%炭酸ガス気 流下、 37 °Cで培養した。 翌日ドキソルビシン塩酸塩 0. 5 /i g/ml (Wako社) を含 む上言己培地に交換した。 36時間後、 トリプシン ' EDTA (Invitrogen |±) を用い てそれぞれの細胞を回収し、 PBS (Invitrogen社) にて 2回洗浄した。 さらに Annexin V-FITC (BECKMAN COULTER社) を加え、 4°Cにて 15分間静置した後、 FACScan (BD Bioscience社) を用いて細胞に結合した Annexin V-FITCの蛍光 強度を解析した。 HCT116細胞では Annexin V- FITC結合細胞が約 36%であったの に対し、 DDRlbFL_#117では約 27 °/。、 DDRlbDN- #206、 DDRlbDN- #218ではそれぞ れ約 70%、 約 66%であった。 このことから DDRlbの発現あるいは活性増加によ
り、 ドキソルビシン誘導性アポトーシスに耐性を示すことが明らかとなった。
[参考例 1 1 ] DDRlbDN発現細胞 #206、 #218のアポトーシス感受性 (その 2 ) - HCT116細胞、 および DDRlbDN-#206、 #218をそれぞれ 1. 5 x 106個とな.るよう に 50 z g/ml ペニシリン ' ス トレプトマイシン (Invitrogen社) を含むダルべ ッコ改変型イーグル最少培地 (Sigma社) 1. 5 mlに懸濁し、 6穴プレートに播種 した。 5。/。炭酸ガス気流下、 37°Cで 48時間培養した後、 トリプシン · EDTA (Invitrogen社)を用いてそれぞれの細胞を回収し、 PBS (Invitrogen社) にて 2回洗浄した。 さらに Annexin V-FITC (BECKMAN COULTER社) を加え 4°Cにて 15分間静置した後、 FACScan (BD Bioscience社) を用いて細胞に結合した Annexin V- FITCの蛍光強度を解析した。 親株である HCT116細胞では Annexin V- FITC結合細胞が約 52%であったのに対し、 DDRlbDN_#206、 DDRlbDN- #218では それぞれ約 77%、 約 73%であった。 このことから DDRlbの機能抑制によりアポ トーシス誘導が促進されることが明らかとなった。
[実施例 1 ] DNA免疫法を用いた抗ヒト DDRlbゥサギポリクローナル抗体の作 製と精製
ヒト DDRlbに対するゥサギポリクローナル抗体の作製は、 DNA免疫法による抗 体作製技術を有する Genovac社に委託して行った。 免疫にはヒ ト DDRlb (配列番 号: 3 ) の 22番目から 416番目のアミノ酸配列をコードする cDNAを使用し、 Genovac社出願の特許文献 (W0 00/29442) に記載されている方法に従い、 ゥサ ギ 2羽に対して抗原感作を行った。 識別番号 No. 1のゥサギからは約 150 mLの 抗血清 (rASl) を、 識別番号 No. 2のゥサギからは 120 mLの抗血清 (rAS2) を 得た。
次にそれぞれの抗血清から IgG画分を調製した。 まず、 12. 5 mLの上記 rASl あるいは rAS2に 0. 2Mのリン酸ナトリゥム緩衝液 (pH 7. 0) 1. 25 mLを加え緩や
かに攪拌しつつ 13. 75 mLの硫酸アンモニゥム飽和水溶液を滴下した。 氷中で 1 時間攪拌した後、 10, 600 X gで 30分間遠心分離し沈殿画分を回収した。 50%硫 酸アンモニゥム水溶液 10 mLで懸濁し、 再び 10, 600 x gで 20分間遠心分離し 沈殿画分を回収した。 20 mMのリン酸ナトリゥム緩衝液 (pH 7. 0) 5 tnLを加え 沈殿を溶解した後、 5 Lのリン酸ナトリゥム緩衝液 (pH 7. 0) に対して 4°Cで一 晚透析し脱塩操作を行った。 ポアサイズ 0. 45 / mの Mi ll ex-HVフィルター
(Mil l ipore社) でろ過した後、 20 mMのリン酸ナトリゥム緩衝液 (pH 7. 0) 25 mLで平衡ィ匕した Hi Trap rProtein A FF (カラム容量: 5 mレ Amershara
Bioscience社) に IgGを吸着させた。 20 mMのリン酸ナトリゥム緩衝液 (pH 7. 0) 25 mLで未吸着画分を洗浄除去した後、 0. 1Mのクェン酸緩衝液 (PH 3. 0) 25 mLで溶出した。 溶出後直ちに 1/10容量の 1 M トリス塩酸緩衝液 (pH 9. 0) で中和し、 0. 5 /i L相当分を 5- 20°/。アクリルアミ ド 'グラジェントゲルを用いた SDS- PAGEに供した。 Bio-Safe Cooraassie (Bio_Rad社) を用いてタンパク質を 染色し IgGを含有するフラクションを集めた後、 20 mMのリン酸ナトリゥム緩衝 液 (PH 7. 0) 2 Lに対する透析を 4°Cで 2回繰り返した。 排除分子量 30, 000の VIVA SPIN 6 (ザノレトリウス社) を用いて濃縮し、 終容量 1 mLに調整した。 280 nmの吸光度を測定し、 光路長 1 cmの時の分子吸光係数を 2. 24 x 105 M— 1として 濃度を算出し IgGの回収量を計算したところ、 rASlからは 30 mg、 rAS2からは 72 mgの IgGを回収できたことが判明した。
[実施例 2 ] 抗ヒト DDRlbゥサギポリクローナル抗体のアポトーシス誘導活 性 (1 )
( 1 ) 血清除去によるアポトーシス誘導と IV型コラーゲンの細胞保護作用 参考例 6に記載した DDR1FL- #117、 および参考例 7に記載した DDRlbDN- #206 をトリプシン · EDTA (Invitrogen社) 処理で分散し、 10 raLの PBSで 1回洗浄 した。 さらに 50 μ g/ml ゲンタマイシン (Invitrogen社) を含むダルベッコ改 変型イーグル最少培地 (Invitrogen社) (以後、 無血清 DMEMと称する) を用い
て、 l x lO4個 /50 / Lとなるように懸濁し、 予め 800 /z g/mLの IV型コラーゲン
(Sigma社) を含む無血清 DMEMを 50 L入れておいた平底 96穴プレートの各 ゥエルに播種した。 陰性対照として、 IV型コラーゲンを含まない無血清 DMEMを 入れておいたゥエルにも同様に細胞を播種した。 5%炭酸 _ガス気流下、 37°Cで 3 日間培養した後、 Cel l Death Detection ELISAPLUS (Roche Diagnostics社) を 用いて各々の細胞に誘導されたアポトーシスを検出したところ、 DDR1FL- #117で は IV型コラーゲンの添カ卩によりアポトーシスが約 53%抑制されたのに対し、 DDRlbDN-#206では約 34%しか抑制されなかった (図 1 ) 。 即ち、 血清除去によ り誘導されるアポトーシスは IV型コラーゲン添加で一部回復し、 且つその回復 には DDRlbが関与していることが明らかとなった。
( 2 ) 抗ヒト DDRlbゥサギポリクローナル抗体のアポトーシス誘導活性
実施例 1に記載したゥサギポリクローナル抗体が IV型コラーゲンの細胞保護 作用を抑制するか否か調べた。 前項 (1 ) 記載の DDR1FL- #117を Cell
dissociation buffer (Invitrogen社) で分散し 10 mLの PBSで 1回洗浄した 後、 800 ; u g/mLの IV型コラーゲン (Sigma社) を含む無血清 DMEMで 2 x 104個 ' /50 しとなるように懸濁した。 非免疫ゥサギ IgG (Jackson Immunoresearch 社) あるいは実施例 1に記載したゥサギポリクローナル抗体を種々の濃度になる よう無血清 DMEMで希釈した溶液を、 1ゥュルあたり 50 ずつ予め分注して おいた平底 96穴プレートに上記細胞懸濁液 50 を播種した。 比較の為に、 無血清 DMEMのみを入れたゥエルにも同様に細胞を播種した。 5。/。炭酸ガス気流 下、 37°Cで 3日間培養した後に、 Cel l Death Detection ELISAPLUS (Roche Diagnostics社) を用いて各々の細胞に誘導されたアポトーシスを検出した。 IV 型コラーゲン添加によって回復した吸光度変化 (アポトーシス指数) を 100%と して、 各々のポリクローナル抗体 1 mg/mL添加時の細胞保護阻害活性を算出し たところ、 非免疫ゥサギ IgGでは 1. 7%、 rAS lから精製した IgGでは 58. 6°/。、 ま
'
た rAS2から精製した IgGでは 46. 3%の阻害活性が得られたことから (図 2 ) 、' 抗 DDRlbゥサギポリクローナル抗体は IV型コラーゲンと DDRlbの結合を阻害し、
IV型コラ一ゲンの細胞保護作用を消失させたことが示された。
[実施例 3 ] 抗ヒ ト DDRlbゥサギポリクローナル抗体のアポトーシス誘導活 性 (2 ) _
実施例 1に記載したゥサギポリクローナル抗体が IV型コラーゲンの細胞保護 作用を抑制するか否か調べた。 DDRlbを強制発現していない癌細胞株 HCT116を Cell dissociation buffer (Invitrogen社) で分散し 10 mLの PBSで 1回洗净 した後、 100 Ai g/mLの IV型コラーゲン (Sigma社) を含む無血淸 DMEMで 2 x 104個 /50 / Lとなるように懸濁した。 非免疫ゥサギ IgG (Jackson
Immunoresearch社) あるいは実施例 1に記載したゥサギポリクローナル抗体を 種々の濃度になるよう無血清 DMEMで希釈した溶液を、 1ゥエルあたり 50 μ ΐ ずつ予め分注しておいた平底 96穴プレートに上記細胞懸濁液 50 /TLを播種し た。 比較の為に、 無血清 DMEMのみを入れたゥエルにも同様に細胞を播種した。 5%炭酸ガス気流下、 37°Cで 3日間培養した後に、 Caspase- Glo™ 3/7 Assay (Promega社) を用いて各々の細胞に誘導されたアポトーシスを検出した。 IV 型コラーゲン添加によって回復した吸光度変化 (アポトーシス指数) を 100%と して、 各々のポリクローナル抗体 33 ; g/mL添加時の阻害活性を算出したとこ ろ、 非免疫ゥサギ IgGでは 0%、 rASlから精製した IgGでは 290%、 また rAS2力、 ら精製した IgGでは 139%の細胞保護阻害活性が得られたことから (図 3 ) 、 抗 DDRlbゥサギポリクローナル抗体は IV型コラーゲンと DDRlbの結合を阻害し、 IV型コラーゲンの細胞保護作用を消失させ、 さらには癌細胞株 HCT116のアポト 一シスを誘導したことが示された。 産業上の利用可能' 14
本発明の中和抗体は、 例えば、 癌 (例、 乳癌、 卵巣癌、 大腸癌、 肺癌、 勝臓癌 など) の予防■治療剤、 癌細胞のアポトーシス誘導剤、 癌細胞の増殖抑制剤、' D D R 1に対するアンタゴニストなどとして有用である。
本出願は、 2 0 0 5年 3月 1 5日に日本で出願された特願 2 0 0 5 - 7 4 0 6 を基礎としており、 その内容は本明細書中に援用される。