JP3472854B2 - 新規タンパク質およびその用途 - Google Patents

新規タンパク質およびその用途

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な分泌タンパ
ク質などに関する。
【0002】
【従来の技術】現在までに、癌関連の遺伝子としては、
細胞の増殖因子、あるいは受容体の遺伝子として、脳腫
瘍に関係するPDGF(Ross R., Nature 1993, 362:
801)、乳癌に関係するerb-B,erb-B2(Cell 1983;3
5,718, Burden S,Neuron 1997;18, 847)などが見出
されている他、シグナル伝達を促進する大腸癌に関係す
るKi-ras、白血病に関与するN-ras、細胞の増殖促進遺
伝子を活性化する転写因子の白血病、乳癌、胃癌などに
関与するc-myc(Maheswaran, Mol Cell Biol, 1994;14
(2) 1147)、神経芽腫に関与するN-myc(Schwab, Natu
re 1983 ; 305.245),肺癌に関与するL-myc(Nau, Na
ture 1985; 318,69)さらにBcl-2、Bcl-1、MDM2などの
濾胞性B細胞性リンパ腫、乳癌、頭頚部癌、p53癌抑制
蛋白質と拮抗する蛋白質などの蛋白類の遺伝子( Ree
d,Nature 1997;387,773, Donehower,Nature 1992,
356,215)など多数の遺伝子が見出されている。また、
これらの遺伝子とは異なり、癌細胞の増殖を抑制するよ
うに働く遺伝子であるAPC、DPC4、NF-1、NF-2、MTS1、R
B、P53、WT1など多数発見されている(Weinberg,Scien
tific American,1996,September,32)。これらの遺
伝子は細胞、組織が癌化した時に見出された特異的な蛋
白質を分析し、そのアミノ酸配列の情報を基にして同定
された物であり、その発見の経緯は種々である。 ま
た、現在発見されているこれらの遺伝子だけでは、癌の
発生、治癒を説明できるものではない。また、最近のヒ
ト遺伝子の解析から、機能が不明のEST(Expressed Sequ
ence Tag) の塩基配列が多数報告されてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、癌に特異的な
蛋白の遺伝子を機能が未知のESTから見出すことによ
る、新たな癌の予防・治療剤の開発が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ESTの塩基
配列を基に新規な塩基配列を有する分泌型タンパク質遺
伝子を見出し、それにコードされる分泌型タンパク質が
癌細胞で特異的に発現されることなどを見出した。本発
明者は、これらの知見を基づいて、さらに検討を重ねた
結果、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、(1)配列番号:1
で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一の
アミノ酸配列を含有することを特徴とするタンパク質ま
たはその塩、(2)配列番号:1で表されるアミノ酸配
列と実質的に同一のアミノ酸配列が配列番号:5で表さ
れるアミノ酸配列である上記(1)記載のタンパク質ま
たはその塩、(3)癌細胞で産生される上記(1)記載
のタンパク質またはその塩、(4)上記(1)記載のタ
ンパク質の部分ペプチドまたはその塩、(5)配列番
号:1で表されるアミノ酸配列の26番目から34番目
のアミノ酸配列を有する上記(4)記載の部分ペプチド
またはその塩、(6)配列番号:5で表されるアミノ酸
配列の166番目から190番目のアミノ酸配列を有す
る上記(4)記載の部分ペプチドまたはその塩、(7)
上記(1)記載のタンパク質または上記(4)記載の部
分ペプチドをコードするDNAを含有する組換えベクタ
ーで形質転換された形質転換体を培養し、該タンパク質
または該部分ペプチドを生成せしめることを特徴とす
る、上記(1)記載のタンパク質もしくは上記(4)記
載の部分ペプチドまたはその塩の製造法、(8)上記
(1)記載のタンパク質もしくは上記(4)記載の部分
ペプチドまたはその塩に対する抗体、(9)モノクロー
ナル抗体である上記(8)記載の抗体、(10)配列番
号:1で表されるアミノ酸配列の26番目から34番目
のアミノ酸配列を有する上記(4)記載の部分ペプチド
またはその塩に対する抗体である上記(8)記載の抗
体、(11)配列番号:5で表されるアミノ酸配列の1
66番目から190番目のアミノ酸配列を有する上記
(4)記載の部分ペプチドまたはその塩に対する抗体で
ある上記(8)記載の抗体、(12)上記(8)記載の
抗体を含有してなる診断剤、(13)上記(1)記載の
タンパク質もしくは上記(4)記載の部分ペプチドまた
はその塩または上記(8)記載の抗体を含有してなる医
薬、(14)上記(1)記載のタンパク質もしくは上記
(4)記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることを
特徴とする、上記(1)記載のタンパク質もしくは上記
(4)記載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進ま
たは阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方
法、(15)活性が細胞増殖活性である上記(14)記
載のスクリーニング方法、(16)上記(1)記載のタ
ンパク質もしくは上記(4)記載の部分ペプチドまたは
その塩を含有してなる、上記(1)記載のタンパク質も
しくは上記(4)記載の部分ペプチドまたはその塩の活
性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリー
ニング用キット、(17)上記(14)記載のスクリー
ニング方法または上記(16)記載のスクリーニング用
キットを用いて得られる、上記(1)記載のタンパク質
もしくは上記(4)記載の部分ペプチドまたはその塩の
活性を促進または阻害する化合物またはその塩、(1
8)上記(14)記載のスクリーニング方法または上記
(16)記載のスクリーニング用キットを用いて得られ
る、上記(1)記載のタンパク質もしくは上記(4)記
載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進または阻害
する化合物またはその塩を含有してなる医薬、(19)
癌の予防・治療剤である上記(18)記載の医薬などを
提供する。
【0006】さらには、本発明は、(20)配列番号:
1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配
列が、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と約70%
以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90
%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有す
るアミノ酸配列である上記(1)記載のタンパク質また
はその塩、(21)配列番号:1で表されるアミノ酸配
列と実質的に同一のアミノ酸配列が、配列番号:1で
表されるアミノ酸配列中の1〜5個(好ましくは、1〜
3個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番
号:1で表されるアミノ酸配列に1〜10個(好ましく
は、1〜5個(より好ましくは、1〜3個))のアミノ
酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:1で表される
アミノ酸配列中の1〜5個(好ましくは、1〜3個)の
アミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、ま
たはそれらを組み合わせたアミノ酸配列である上記
(1)記載のタンパク質またはその塩、
【0007】(22)(i)上記(1)記載のタンパク
質もしくは上記(4)記載の部分ペプチドまたはその塩
に基質を接触させた場合と、(ii)上記(1)記載のタ
ンパク質もしくは上記(4)記載の部分ペプチドまたは
その塩に基質および試験化合物を接触させた場合におけ
る、上記(1)記載のタンパク質もしくは上記(4)の
部分ペプチドまたはその塩の活性を測定し、比較するこ
とを特徴とする上記(14)記載のスクリーニング方
法、(23)上記(14)記載のスクリーニング方法ま
たは上記(16)記載のスクリーニング用キットを用い
て得られる、上記(1)記載のタンパク質もしくは上記
(4)記載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進す
る化合物またはその塩を含有してなる医薬、(24)疾
患組織摘出後の再生剤である上記(23)記載の医薬、
(25)上記(14)記載のスクリーニング方法または
上記(16)記載のスクリーニング用キットを用いて得
られる、上記(1)記載のタンパク質もしくは上記
(4)記載の部分ペプチドまたはそれらの塩の活性を阻
害する化合物またはその塩を含有してなる医薬、(2
6)癌の治療・予防剤である上記(25)記載の医薬、
【0008】(27)上記(8)記載の抗体と、被検液
および標識化された上記(1)記載のタンパク質もしく
は上記(4)記載の部分ペプチドまたはそれらの塩とを
競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された上記
(1)記載のタンパク質もしくは上記(4)記載の部分
ペプチドまたはその塩の割合を測定することを特徴とす
る、被検液中の上記(1)記載のタンパク質もしくは上
記(4)記載の部分ペプチドまたはその塩の定量法、お
よび(28)被検液と担体上に不溶化した上記(8)記
載の抗体および標識化された上記(8)記載の抗体とを
同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の
標識剤の活性を測定することを特徴とする、被検液中の
上記(1)記載のタンパク質もしくは上記(4)記載の
部分ペプチドまたはその塩の定量法などを提供する。ま
た、本発明は、(29)上記(9)記載のモノクローナ
ル抗体を産生する能力を有するハイブリドーマ、(3
0)中和抗体である上記(8)記載の抗体、(31)ヒ
ト化抗体である上記(8)記載の抗体、(32)上記
(31)記載の抗体を含有する医薬、(33)癌の予防
・治療剤である上記(32)記載の医薬、(34)上記
(1)記載のタンパク質もしくはその塩または上記
(4)記載の部分ペプチドもしくはその塩によるナチュ
ラルキラー細胞の細胞増殖阻害を阻害する活性を有する
化合物またはその塩を含有する医薬、(35)癌の予防
・治療剤である上記(34)記載の医薬などを提供す
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の配列番号:1で表わされ
るアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸
配列を有するタンパク質(以下、本発明のタンパク質と
称する)は、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラ
ット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウ
シ、サルなど)の細胞(例えば、肝細胞、脾細胞、神経
細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウ
ム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内
皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免
疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュ
ラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸
球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨
芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細
胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくは癌細
胞など)もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組
織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳
基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小
脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、
甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管
(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下
腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関
節、骨格筋など、または血球系の細胞もしくはその培養
細胞(例えば、MEL,M1,CTLL−2,HT−
2,WEHI−3,HL−60,JOSK−1,K56
2,ML−1,MOLT−3,MOLT−4,MOLT
−10,CCRF−CEM,TALL−1,Jurka
t,CCRT−HSB−2,KE−37,SKW−3,
HUT−78,HUT−102,H9,U937,TH
P−1,HEL,JK−1,CMK,KO−812,M
EG−01など)に由来するタンパク質であってもよ
く、合成タンパク質であってもよい。本発明のタンパク
質は、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、
マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サル
など)の胎児の細胞(特に胎児の脳細胞、肺の細胞)ま
たは癌細胞に由来するものが好ましい。
【0010】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:1で
表わされるアミノ酸配列と約70%以上、好ましくは約
80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ま
しくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列など
があげられる。本発明の配列番号:1で表わされるアミ
ノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパ
ク質としては、例えば、前記の配列番号:1で表わされ
るアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するタンパ
ク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質などが好
ましい。具体的には配列番号:5で表されるアミノ酸配
列を有するタンパク質などが挙げられる。実質的に同質
の活性としては、例えば、細胞増殖活性などがあげられ
る。実質的に同質とは、それらの活性が性質的に(例、
生理化学的に、または薬理学的に)同質であることを示
す。従って、細胞増殖などの活性が同等(例、約0.1
〜100倍、好ましくは約0.5〜10倍、より好まし
くは約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これら
の活性の程度、タンパク質の分子量などの量的要素は異
なっていてもよい。細胞増殖の測定は、自体公知の方法
に準じて行なうことができるが、例えば、後述するスク
リーニング方法に従って測定することができる。
【0011】また、本発明のタンパク質としては、例え
ば、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1〜
5個(好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が欠失したア
ミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列
に1〜10個(好ましくは、1〜5個(より好ましく
は、1〜3個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1〜5個
(好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が挿入されたアミ
ノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中
の1〜5個(好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が他の
アミノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを
組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質などの
いわゆるムテインも含まれる。前記のようにアミノ酸配
列が挿入、欠失または置換されている場合、その挿入、
欠失または置換の位置としては、特に限定されない。
【0012】本明細書におけるタンパク質は、ペプチド
標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端
がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で
表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をはじめ
とする、本発明のタンパク質は、C末端が通常カルボキ
シル基(−COOH)またはカルボキシレート(−CO
-)であるが、C末端がアミド(−CONH2)または
エステル(−COOR)であってもよい。ここでエステ
ルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−
プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC
1-6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキ
シルなどのC3-8シクロアルキル基、例えば、フェニ
ル、α−ナフチルなどのC6-12アリール基、例えば、ベ
ンジル、フェネチルなどのフェニル−C1-2アルキル基
もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C
1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基のほか、経口
用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基
などが用いられる。本発明のタンパク質がC末端以外に
カルボキシル基(またはカルボキシレート)を有してい
る場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化さ
れているものも本発明のタンパク質に含まれる。この場
合のエステルとしては、例えば前記したC末端のエステ
ルなどが用いられる。さらに、本発明のタンパク質に
は、N末端のアミノ酸残基(例、メチオニン残基)のア
ミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基など
のC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護
されているもの、生体内で切断されて生成するN末端の
グルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内
のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば−OH、−SH、
アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ
基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチ
ル基などのC1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基な
ど)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したい
わゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれ
る。本発明のタンパク質の具体例としては、例えば、配
列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するヒト由来
のタンパク質(図1)または配列番号:5で表わされる
アミノ酸配列を有するヒト由来のタンパク質(図5)な
どが用いられる。また、本発明のタンパク質は癌細胞、
または胎児の脳、胎児の肺など、好ましくは癌細胞など
で特異的に発現されるという特徴を有する。
【0013】本発明のタンパク質の部分ペプチドとして
は、前記した本発明のタンパク質の部分ペプチドであっ
て、好ましくは、前記した本発明のタンパク質と同様の
活性(例、細胞増殖など)を有するものであればいかな
るものでもよい。例えば、本発明のタンパク質の構成ア
ミノ酸配列中の少なくとも20%以上、好ましくは50
%以上、さらに好ましくは70%以上、より好ましくは
90%以上、最も好ましくは95%以上のアミノ酸配列
を有し、細胞増殖活性を有するペプチドなどが用いられ
る。これらペプチドの中でも、例えば、配列番号:1で
表わされるアミノ酸配列の第22〜252番目、第26
〜252番目または第26〜34番目(特に第26〜2
52番目または第26〜34番目が好ましく、とりわけ
第26〜34番目が好ましい)のアミノ酸配列を含有す
るアミノ酸配列、配列番号:5で表わされるアミノ酸配
列の第22〜246番目、第26〜246番目、第16
6〜190番目(特に第26〜246番目、第166〜
190番目が好ましく、とりわけ第166〜190番目
が好ましい)のアミノ酸配列を含有するアミノ酸配列な
どが用いられる。また、本発明の部分ペプチドは、その
アミノ酸配列中の1〜5個(好ましくは、1〜3個)の
アミノ酸が欠失し、または、そのアミノ酸配列に1〜1
0個(好ましくは、1〜5個(より好ましくは、1〜3
個))のアミノ酸が付加し、または、そのアミノ酸配列
に1〜5個(好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が挿入
され、または、そのアミノ酸配列中の1〜5個(好まし
くは、1〜3個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換され
ていてもよい。
【0014】また、本発明の部分ペプチドはC末端が通
常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレー
ト(−COO)であるが、前記した本発明のタンパク
質のごとく、C末端がアミド(−CONH2)またはエ
ステル(−COOR)(Rは前記と同意義を示す)であ
ってもよい。さらに、本発明の部分ペプチドには、前記
した本発明のタンパク質と同様に、N末端のアミノ酸残
基(例、メチオニン残基)のアミノ基が保護基で保護さ
れているもの、N端側が生体内で切断され生成したグル
タミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のア
ミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されてい
るもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドな
どの複合ペプチドなども含まれる。また、本発明の部分
ペプチドは抗体作成のための抗原として用いることがで
きるので、必ずしも細胞増殖活性を有する必要はない。
【0015】本発明のタンパク質または部分ペプチドの
塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有
機酸)や塩基(例、アルカリ金属塩)などとの塩が用い
られ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好まし
い。このような塩としては、例えば、無機酸(例えば、
塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有
機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、
マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、
蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸)との塩などが用いられる。本発明のタンパク質また
はその塩は、前述したヒトや温血動物の細胞(特に癌細
胞など)または組織(特に胎児脳・肺など)から自体公
知のタンパク質の精製方法によって製造することもでき
るし、後述するタンパク質をコードするDNAを含有す
る形質転換体を培養することによっても製造することが
できる。また、後述のペプチド合成法に準じて製造する
こともできる。ヒトや哺乳動物の組織または細胞(特に
癌細胞、胎児脳・肺など)から製造する場合、ヒトや哺
乳動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸など
で抽出を行ない、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、
イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィ
ーを組み合わせることにより精製単離することができ
る。
【0016】本発明のタンパク質、部分ペプチド、もし
くはそれらの塩、またはそれらのアミド体の合成には、
通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることができ
る。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹
脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹
脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルア
ルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、
PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセ
トアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−
(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェ
ノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocア
ミノエチル)フェノキシ樹脂などをあげることができ
る。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基
を適当に保護したアミノ酸を、目的とするタンパク質の
配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で
縮合させる。反応の最後に樹脂からタンパク質を切り出
すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で
分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のタン
パク質またはそれらのアミド体を取得する。前記した保
護アミノ酸の縮合に関しては、タンパク質合成に使用で
きる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カ
ルボジイミド類がよい。カルボジイミド類としては、DC
C、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、N-エチル-N'-
(3-ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドなどが用
いられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤
(例えば、HOBt, HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹
脂に添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステ
ルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ
酸の活性化を行なった後に樹脂に添加することができ
る。
【0017】保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用
いられる溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しう
ることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチル
アセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド
類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化
水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジ
ン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル
類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル
類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいは
これらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はタ
ンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られてい
る範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範
囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は
通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応
を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基
の脱離を行なうことなく縮合反応を繰り返すことにより
十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても
十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセ
チルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化
することによって、後の反応に影響を与えないようにす
ることができる。
【0018】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、t−ペンチルオキシカルボニル、イソボ
ルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシ
カルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカルボニ
ル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2
−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノ
チオイル、Fmocなどが用いられる。カルボキシル基は、
例えば、アルキルエステル化(例えば、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、t−ブチル、シクロペンチル、
シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2
−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状もしくは環状アル
キルエステル化)、アラルキルエステル化(例えば、ベ
ンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メ
トキシベンジルエステル、4−クロロベンジルエステ
ル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシルエステル
化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド化、t−ブト
キシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒドラジド化な
どによって保護することができる。セリンの水酸基は、
例えば、エステル化またはエーテル化によって保護する
ことができる。このエステル化に適する基としては、例
えば、アセチル基などの低級(C1-6)アルカノイル
基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカ
ルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導
される基などが用いられる。また、エーテル化に適する
基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニ
ル基、t-ブチル基などである。チロシンのフェノール性
水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl2-Bzl、2−
ニトロベンジル、Br-Z、t−ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、
Tos、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニ
ル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmoc
などが用いられる。
【0019】原料のカルボキシル基の活性化されたもの
としては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エ
ステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノー
ル、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノ
ール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノー
ル、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタ
ルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原
料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対
応するリン酸アミドが用いられる。保護基の除去(脱
離)方法としては、例えば、Pd−黒あるいはPd-炭
素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、
また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれら
の混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルア
ミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなど
による塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによ
る還元なども用いられる。前記酸処理による脱離反応
は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行なわれるが、
酸処理においては、例えば、アニソール、フェノール、
チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジ
メチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタン
ジチオールなどのようなカチオン捕捉剤の添加が有効で
ある。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用
いられる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理
により除去され、トリプトファンのインドール保護基と
して用いられるホルミル基は前記の1,2-エタンジチオー
ル、1,4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による
脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニア
などによるアルカリ処理によっても除去される。
【0020】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段
から適宜選択しうる。タンパク質のアミド体を得る別の
方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ酸
のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミ
ノ基側にペプチド(タンパク質)鎖を所望の鎖長まで延
ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護
基のみを除いたタンパク質とC末端のカルボキシル基の
保護基のみを除去したタンパク質とを製造し、この両タ
ンパク質を前記したような混合溶媒中で縮合させる。縮
合反応の詳細については前記と同様である。縮合により
得られた保護タンパク質を精製した後、前記方法により
すべての保護基を除去し、所望の粗タンパク質を得るこ
とができる。この粗タンパク質は既知の各種精製手段を
駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望の
タンパク質のアミド体を得ることができる。タンパク質
のエステル体を得るには、例えば、カルボキシ末端アミ
ノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合
しアミノ酸エステルとした後、タンパク質のアミド体と
同様にして、所望のタンパク質のエステル体を得ること
ができる。
【0021】本発明の部分ペプチドまたはその塩は、自
体公知のペプチドの合成法に従って、あるいは本発明の
タンパク質を適当なペプチダーゼで切断することによっ
て製造することができる。ペプチドの合成法としては、
例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良
い。すなわち、本発明の部分ペプチドを構成し得る部分
ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生
成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することによ
り目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合
方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の〜に
記載された方法があげられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド・シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptid
e), Academic Press, NewYork (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発、第14巻、ペプチド合
成、広川書店 また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留
・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー
・再結晶などを組み合わせて本発明の部分ペプチドを精
製単離することができる。前記方法で得られる部分ペプ
チドが遊離体である場合は、公知の方法あるいはそれに
準じる方法によって適当な塩に変換することができる
し、逆に塩で得られた場合は、公知の方法あるいはそれ
に準じる方法によって遊離体または他の塩に変換するこ
とができる。
【0022】本発明のタンパク質をコードするDNAと
しては、前述した本発明のタンパク質をコードする塩基
配列を含有するものであればいかなるものであってもよ
い。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、
前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組
織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれで
もよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリ
オファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなど
いずれであってもよい。また、前記した細胞・組織より
totalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用い
て直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain React
ion(以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅す
ることもできる。本発明のタンパク質をコードするDN
Aとしては、例えば、配列番号:2で表わされる塩基
配列を含有するDNA、または配列番号:2で表わされ
る塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリ
ダイズする塩基配列を有し、本発明のタンパク質と実質
的に同質の活性(例、細胞増殖活性など)を有するタン
パク質をコードするDNA、配列番号:6で表わされ
る塩基配列を含有するDNA、または配列番号:6で表
わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハ
イブリダイズする塩基配列を有し、本発明のタンパク質
と実質的に同質の活性(例、細胞増殖活性など)を有す
るタンパク質をコードするDNAなどであれば何れのも
のでもよい。
【0023】より具体的には、配列番号:1で表わされ
るアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA
としては、配列番号:2で表わされる塩基配列を有する
DNAなどが、配列番号:5で表わされるアミノ酸配列
を有するタンパク質をコードするDNAとしては、配列
番号:6で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用
いられる。
【0024】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、前述した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリ
ー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞
・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいず
れでもよい。本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、例えば、配列番号:2で表わされる塩基配
列を有するDNAの部分塩基配列を有するDNA、また
は配列番号:2で表わされる塩基配列とハイストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、
本発明のタンパク質と実質的に同質の活性を有するタン
パク質をコードするDNAの部分塩基配列を有するDN
A、配列番号:6で表わされる塩基配列を有するDN
Aの部分塩基配列を有するDNA、または配列番号:6
で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下
でハイブリダイズする塩基配列を有し、本発明のタンパ
ク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質をコード
するDNAの部分塩基配列を有するDNAなどが用いら
れる。
【0025】本発明のタンパク質または部分ペプチド
(以下、これらタンパク質等をコードするDNAのクロ
ーニングおよび発現の説明においては、これらタンパク
質等を単に本発明のタンパク質と略記する場合がある)
を完全にコードするDNAのクローニングの手段として
は、本発明のタンパク質の部分塩基配列を有する合成D
NAプライマーを用いて自体公知のPCR法によって増
幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを
本発明のタンパク質の一部あるいは全領域をコードする
DNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものと
のハイブリダイゼーションによって選別することができ
る。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、モレキ
ュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J.
Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 19
89)に記載の方法などに従って行なうことができる。ま
た、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説
明書に記載の方法に従って行なうことができる。DNA
の塩基配列の変換は、公知のキット、例えば、MutanTM-
G(宝酒造(株))、MutanTM-K(宝酒造(株))などを
用いて、Gapped duplex法やKunkel法などの自体公知の
方法あるいはそれらに準じる方法に従って行なうことが
できる。クローン化されたタンパク質をコードするDN
Aは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で
消化したり、リンカーを付加したりして使用することが
できる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンと
してのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コド
ンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していても
よい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適
当な合成DNAアダプターを用いて付加することもでき
る。本発明のタンパク質の発現ベクターは、例えば、
(イ)本発明のタンパク質をコードするDNAから目的
とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適
当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結するこ
とにより製造することができる。
【0026】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB11
0,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド
(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバ
クテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイル
ス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、p
A1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RS
V、pcDNAI/Neoなどが用いられる。本発明で
用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用い
る宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなる
ものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場
合は、SRαプロモーター、SV40初期プロモータ
ー、HIV・LTRプロモーター、CMVプロモータ
ー、HSV-TKプロモーターなどがあげられる。これ
らのうち、CMV(サイトメガロウイルス)プロモータ
ー、SRαプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿
主がエシェリヒア属菌である場合は、trpプロモータ
ー、lacプロモーター、recAプロモーター、λP
Lプロモーター、lppプロモーター、T7プロモータ
ーなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1
プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモ
ーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモ
ーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、A
DHプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞であ
る場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモー
ターなどが好ましい。
【0027】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neorと略称する場合がある、G418耐
性)等があげられる。特に、dhfr遺伝子欠損チャイ
ニーズハムスター細胞を用いてdhfr遺伝子を選択マ
ーカーとして使用する場合、組換え体細胞をチミジンを
含まない培地によっても選択できる。また、必要に応じ
て、宿主に合ったシグナル配列を、本発明のタンパク質
のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である
場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列な
どが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラー
ゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列など
が、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、
SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場
合には、インシュリン・シグナル配列、α−インターフ
ェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などが
それぞれ利用できる。このようにして構築された本発明
のタンパク質をコードするDNAを含有するベクターを
用いて、形質転換体を製造することができる。
【0028】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K1
2・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユー
エスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60
巻,160(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・
アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9
巻,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オ
ブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecul
ar Biology)〕,120巻,517(1978)〕,HB
101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジ
ー,41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネテ
ィックス(Genetics),39巻,440(1954)〕な
どが用いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチ
ルス・サブチルス(Bacillus subtilis)MI114
〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21
〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of
Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用
いられる。酵母としては、例えば、サッカロマイセス
セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,A
H22R-,NA87−11A,DKD−5D,20B
−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccha
romyces pombe)NCYC1913,NCYC203
6、ピヒア パストリス(Pichia pastoris)KM71
などが用いられる。
【0029】昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodop
tera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia ni
の中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のH
igh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞または
Estigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイル
スがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mor
i N 細胞;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞
としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL17
11)、Sf21細胞(以上、Vaughn, J.
L.ら、イン・ヴィボ(In Vivo),13, 213-217,(197
7))などが用いられる。昆虫としては、例えば、カイコ
の幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Natur
e),315巻,592(1985)〕。動物細胞として
は、例えば、サル細胞COS−7,Vero,チャイニー
ズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記),
dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO
(以下、CHO(dhfr-)細胞と略記),マウスL
細胞,マウスAtT−20,マウスミエローマ細胞,ラ
ットGH3,ヒトFL細胞などが用いられる。さらに、
各種の正常ヒト細胞、例えば肝細胞、脾細胞、神経細
胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム
細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮
細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫
細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラ
ルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、
単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細
胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、ま
たはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくは癌細胞な
ど)などを用いることも可能である。エシェリヒア属菌
を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オブ
・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ
・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci.
USA),69巻,2110(1972)やジーン(Gen
e),17巻,107(1982)などに記載の方法に従
って行なうことができる。
【0030】バチルス属菌を形質転換するには、例え
ば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティッ
クス(Molecular & General Genetics),168巻,
111(1979)などに記載の方法に従って行なうこと
ができる。酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ
・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymolog
y),194巻,182−187(1991)、プロシ
ージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ
・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(197
8)などに記載の方法に従って行なうことができる。昆
虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ
/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988))
などに記載の方法に従って行なうことができる。
【0031】動物細胞を形質転換するには、例えば、細
胞工学別冊8 新細胞工学実験プロトコール.263−
267(1995)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Vi
rology),52巻,456(1973)に記載の方法に従
って行なうことができる。このようにして、タンパク質
をコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換
された形質転換体を得ることができる。宿主がエシェリ
ヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する
際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であ
り、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒
素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源として
は、例えば、グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、
ショ糖など、窒素源としては、例えば、アンモニウム塩
類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カ
ゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無
機または有機物質、無機物としては、例えば、塩化カル
シウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムな
どがあげられる。また、酵母エキス、ビタミン類、生長
促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8
が望ましい。
【0032】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431−
433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York1
972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを
効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルア
クリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエ
シェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約
3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加える
こともできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常
約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通
気や撹拌を加えることもできる。
【0033】宿主が酵母である形質転換体を培養する
際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkho
lder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、プロシージング
ズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエ
ンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA),77巻,4505(1980)〕や
0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A.
ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,53
30(1984)〕があげられる。培地のpHは約5〜
8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35
℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌
を加える。宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体
を培養する際、培地としては、Grace's Insect Medium
(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(196
2))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加え
たものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.
4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3
〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。宿
主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地とし
ては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM
培地〔サイエンス(Science),122巻,501(19
52)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),
8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地
〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・ア
ソシエーション(The Jounal of the American Medical
Association)199巻,519(1967)〕,199
培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォ
ー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of
the Society for the Biological Medicine),73
巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8
であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約
15〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加え
る。以上のようにして、形質転換体の細胞外に本発明の
タンパク質を生成せしめることができる。
【0034】前記培養物から本発明のタンパク質を分離
精製するには、例えば、下記の方法により行なうことが
できる。本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞か
ら抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体ある
いは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音
波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌
体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により
タンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられ
る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変
性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含ま
れていてもよい。培養液中にタンパク質が分泌される場
合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるい
は細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにし
て得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれるタン
パク質の精製は、自体公知の分離・精製法を適宜組み合
わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製
法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する
方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分
子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィ
ーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロ
マトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆
相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用
する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用す
る方法などが用いられる。
【0035】かくして得られるタンパク質が遊離体で得
られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる
方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られ
た場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法に
より、遊離体または他の塩に変換することができる。な
お、組換え体が産生するタンパク質を、精製前または精
製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任
意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去する
こともできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプ
シン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダー
ゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いら
れる。かくして生成する本発明のタンパク質またはその
塩の存在または活性は、標識したリガンドとの結合実験
および特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなど
により測定することができる。
【0036】本発明のタンパク質もしくは部分ペプチド
またはその塩に対する抗体は、本発明のタンパク質もし
くは部分ペプチドまたはその塩を認識し得る抗体であれ
ば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れで
あってもよい。本発明の部分ペプチドまたはその塩に対
する抗体としては、例えば、配列番号:1で表わされ
るアミノ酸配列の第22〜252番目、第26〜252
番目または第26〜34番目(特に第26〜252番目
または第26〜34番目が好ましく、とりわけ第26〜
34番目が好ましい)のアミノ酸配列を含有するアミノ
酸配列を有する部分ペプチドまたはその塩、配列番
号:5で表わされるアミノ酸配列の第22〜246番
目、第26〜246番目、第166〜190番目(特に
第26〜246番目、第166〜190番目が好まし
く、とりわけ第166〜190番目が好ましい)のアミ
ノ酸配列を含有するアミノ酸配列を有する部分ペプチド
またはその塩に対する抗体などが好ましい。本発明のタ
ンパク質もしくは部分ペプチドまたはその塩(以下、抗
体の説明においては、これらタンパク質等を単に本発明
のタンパク質と略記する場合がある)に対する抗体は、
本発明のタンパク質を抗原として用い、自体公知の抗体
または抗血清の製造法に従って製造することができる。
【0037】〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のタンパク質は、温血動物に対して投与により抗
体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤と
ともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるた
め、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントア
ジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に
1回ずつ、計2〜10回程度行われる。用いられる温血
動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモッ
ト、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリがあげら
れるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。モ
ノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原で免
疫された温血動物、例えばマウスから抗体価の認められ
た個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリン
パ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種ま
たは異種動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、モ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することが
できる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標
識化タンパク質と抗血清とを反応させたのち、抗体に結
合した標識剤の活性を測定することにより行なうことが
できる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミ
ルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (1
975)〕に従い実施することができる。融合促進剤として
は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセン
ダイウィルスなどがあげられるが、好ましくはPEGが
用いられる。
【0038】骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、
P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物の骨髄
腫細胞があげられるが、P3U1が好ましく用いられ
る。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細
胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、
PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)
が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、
好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベート
することにより効率よく細胞融合を実施できる。モノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには
種々の方法が使用できるが、例えば、タンパク質抗原を
直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイク
ロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に
放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体
(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス
免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインA
を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する
方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着
させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性
物質や酵素などで標識したタンパク質を加え、固相に結
合したモノクローナル抗体を検出する方法などがあげら
れる。モノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいは
それに準じる方法に従って行なうことができる。通常H
AT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を
添加した動物細胞用培地で行なうことができる。選別お
よび育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できる
ものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1
〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含む
RPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含
むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリ
ドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬
(株))などを用いることができる。培養温度は、通常
20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間
は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間であ
る。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができ
る。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、前記の抗血清
中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0039】(b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、自体公知の方法、例
えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アル
コール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換
体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ
過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロ
テインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結
合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行な
うことができる。
【0040】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じ
る方法に従って製造することができる。例えば、免疫抗
原(タンパク質抗原)自体、あるいはそれとキャリアー
蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体
の製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物
から本発明のタンパク質に対する抗体含有物を採取し
て、抗体の分離精製を行なうことにより製造することが
できる。温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原
とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白
質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キ
ャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が
効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋
させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミンやウシサ
イログロブリン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン1
に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合で
カプルさせる方法が用いられる。また、ハプテンとキャ
リアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることが
できるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレ
イミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を
含有する活性エステル試薬等が用いられる。縮合生成物
は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自
体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際
して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバ
ントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよ
い。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜1
0回程度行なわれる。ポリクローナル抗体は、上記の方
法で免疫された温血動物の血液、腹水など、好ましくは
血液から採取することができる。抗血清中のポリクロー
ナル抗体価の測定は、上記の抗血清中の抗体価の測定と
同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製
は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫
グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
【0041】以下に、本発明のタンパク質もしくは部分
ペプチドまたはその塩(以下、本発明のタンパク質等と
略記する場合がある)、および本発明のタンパク質もし
くは部分ペプチドまたはその塩に対する抗体(以下、本
発明の抗体と略記する場合がある)の用途を説明する。
【0042】(1)本発明のタンパク質等を含有する各
種疾病の治療・予防剤 本発明のタンパク質等は細胞増殖活性を有しているの
で、本発明のタンパク質等は疾患組織摘出(全摘出・部
分摘出の双方を含むが、部分摘出が好ましい)後の組織
再生剤などの医薬として使用することができる。本発明
のタンパク質等を上記の治療・予防剤として使用する場
合は、少なくとも90%、好ましくは95%以上、より
好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上に
精製されたものを使用するのが好ましい。
【0043】本発明のタンパク質等は、例えば、必要に
応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、
マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水も
しくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶
液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用
できる。例えば、本発明のタンパク質等を生理学的に認
められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安
定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に
要求される単位用量形態で混和することによって製造す
ることができる。これら製剤における有効成分量は指示
された範囲の適当な用量が得られるようにするものであ
る。
【0044】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)、
ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリ
エチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例
えば、ポリソルベート80TM、HCO−50など)など
と併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、
大豆油などがあげられ、溶解補助剤として安息香酸ベン
ジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。ま
た、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム
緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウ
ム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清
アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤
(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸
化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は、
通常、適当なアンプルに充填される。
【0045】このようにして得られる製剤は、安全で低
毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、など)に対
して投与することができる。本発明のタンパク質等の投
与量は、対象疾患、投与対象などにより差異はあるが、
例えば、疾患組織摘出後の組織再生剤として本発明のタ
ンパク質等を投与する場合、一般的に成人(60kgと
して)においては、一日につき該タンパク質等を約0.
1mg〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、
より好ましくは約1.0〜20mg投与する。
【0046】(2)疾病に対する医薬候補化合物のスク
リーニング ナチュラルキラー(NK)細胞は癌細胞の増殖を阻害す
る。本発明のタンパク質等は正常細胞の増殖に影響を与
えないが、NK細胞の増殖を阻害する為、本発明のタン
パク質等によるNK細胞増殖阻害を阻害する活性を有す
る化合物またはその塩は、例えば、各種癌(例、子宮体
癌、子宮内膜腫瘍、乳癌、大腸癌、前立腺癌、肺癌、腎
臓癌、神経芽腫、膀胱癌、黒色腫等)などの疾病の治療
・予防剤などの医薬として使用できる。従って、本発明
のタンパク質等は、本発明のタンパク質等によるNK細
胞増殖阻害を阻害する活性を有する化合物またはその塩
のスクリーニングのための試薬として有用である。すな
わち、本発明は、(1)本発明のタンパク質もしくは
その部分ペプチドまたはその塩を用いることを特徴とす
る、本発明のタンパク質もしくはその部分ペプチドまた
はその塩のNK細胞増殖阻害を阻害する活性を有する化
合物(「(2)疾病に対する医薬候補化合物のスクリー
ニング」において阻害剤と略記する場合がある)のスク
リーニング方法(「(2)疾病に対する医薬候補化合物
のスクリーニング」において本発明のスクリーニング方
法と称することもある)、本発明のタンパク質もしく
はその部分ペプチドまたはその塩を含有することを特徴
とする、阻害剤のスクリーニング用キット(「(2)疾
病に対する医薬候補化合物のスクリーニング」において
本発明のスクリーニング用キットと称することもある)
を提供し、より具体的には、例えば、(2)(i)本
発明のタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその
塩にNK細胞を接触させた場合と(ii)本発明のタンパ
ク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩にNK細胞
および試験化合物を接触させた場合との比較を行なうこ
とを特徴とする阻害剤のスクリーニング方法、本発明
のタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩お
よびNK細胞を含有することを特徴とする阻害剤のスク
リーニング用キットを提供する。具体的には、上記スク
リーニング方法、スクリーニング用キットにおいては、
例えば、(i)と(ii)の場合における、本発明のタン
パク質等のNK細胞増殖阻害活性などを測定して、比較
することを特徴とするものである。
【0047】本発明のタンパク質等のNK細胞増殖阻害
活性は、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法など
に従って測定することができ、後述の実施例に記載の方
法で行なうことが好ましい。試験化合物としては、例え
ば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化
合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織
抽出液などがあげられ、これら化合物は新規な化合物で
あってもよいし、公知の化合物であってもよい。
【0048】例えば、上記(ii)の場合におけるNK細
胞増殖阻害活性が上記(i)の場合に比べて、約20%
以上、好ましくは30%以上、より好ましくは約50%
以上阻害する試験化合物を本発明のタンパク質等のNK
細胞増殖阻害活性を阻害する化合物として選択すること
ができる。
【0049】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、上記した試験化合物、例えば、ペプチド、タンパ
ク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細
胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などから
選ばれた化合物であり、本発明のタンパク質等のNK細
胞増殖阻害を阻害する活性を有する化合物である。該化
合物の塩としては、上記した本発明のタンパク質の塩と
同様のものが用いられる。
【0050】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の治療
・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施す
ることができる。例えば、上記した本発明のタンパク質
等を含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エ
リキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液
剤などとすることができる。このようにして得られる製
剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血
動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サルなど)に対し
て投与することができる。該化合物またはその塩の投与
量は、その作用、対象疾患、投与対象、投与ルートなど
により差異はあるが、例えば、子宮内膜腫瘍の治療目的
で本発明のタンパク質等のNK細胞増殖阻害を阻害する
活性を有する化合物を経口投与する場合、一般的に成人
(体重60kgとして)においては、一日につき該化合
物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50
mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非
経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与
対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、子宮
内膜腫瘍の治療目的で本発明のタンパク質等のNK細胞
増殖阻害を阻害する活性を有する化合物を注射剤の形で
通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につ
き該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約
0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10
mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。
他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与
することができる。
【0051】(3)疾病に対する医薬候補化合物のスク
リーニング 本発明のタンパク質等は細胞増殖活性を有するため、本
発明のタンパク質等の機能(例、細胞増殖活性など)を
促進する化合物またはその塩は、例えば、疾患組織摘出
後の組織再生剤などの医薬として使用できる。一方、本
発明のタンパク質等の機能を阻害する化合物またはその
塩は、例えば、各種癌(例、子宮体癌、子宮内膜腫瘍、
乳癌、大腸癌、前立腺癌、肺癌、腎臓癌、神経芽腫、膀
胱癌、黒色腫等)などの疾病の治療・予防剤などの医薬
として使用できる。従って、本発明のタンパク質等は、
本発明のタンパク質等の機能を促進または阻害する化合
物またはその塩のスクリーニングのための試薬として有
用である。すなわち、本発明は、(1)本発明のタン
パク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を用いる
ことを特徴とする、本発明のタンパク質もしくはその部
分ペプチドまたはその塩の機能(例えば、細胞増殖活性
など)を促進する化合物もしくはその塩(「(3)疾病
に対する医薬候補化合物のスクリーニング」において促
進剤と略記する場合がある)、または本発明のタンパク
質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の機能(例え
ば、細胞増殖活性など)を阻害する化合物(「(3)疾
病に対する医薬候補化合物のスクリーニング」において
阻害剤と略記する場合がある)のスクリーニング方法、
本発明のタンパク質もしくはその部分ペプチドまたは
その塩を含有することを特徴とする、促進剤または阻害
剤のスクリーニング用キット(「(3)疾病に対する医
薬候補化合物のスクリーニング」において本発明のスク
リーニング用キットと称することもある)を提供し、よ
り具体的には、例えば、(2)(i)本発明のタンパ
ク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に細胞
(例、上記の各種組織(好ましくはヒトなど)由来の正
常細胞または上記の癌細胞など)を接触させた場合と
(ii)本発明のタンパク質もしくはその部分ペプチドま
たはその塩に細胞(例、上記の各種組織(好ましくはヒ
トなど)由来の正常細胞または上記の癌細胞など)およ
び試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを
特徴とする促進剤または阻害剤のスクリーニング方法、
本発明のタンパク質もしくはその部分ペプチドまたは
その塩および細胞(例、上記の各種組織(好ましくはヒ
トなど)由来の正常細胞または上記の癌細胞など)を含
有することを特徴とする、促進剤または阻害剤のスクリ
ーニング用キットを提供する。具体的には、上記スクリ
ーニング方法においては、例えば、(i)と(ii)の場
合における、本発明のタンパク質等の細胞増殖活性など
を測定して、比較することを特徴とするものである。
【0052】本発明のタンパク質等の細胞増殖活性は、
自体公知の方法あるいはそれに準じる方法などに従って
測定することができる。細胞としては、例えば、上記の
各種組織(好ましくはヒトなど)由来の正常細胞または
上記の癌細胞などが用いられる。試験化合物としては、
例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合
成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物
組織抽出液などがあげられ、これら化合物は新規な化合
物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。上
記のスクリーニング方法を実施するには、本発明のタン
パク質等を、スクリーニングに適したバッファーに懸濁
することにより本発明のタンパク質等の標品を調製す
る。バッファーには、pH約4〜10(望ましくは、p
H約6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッフ
ァーなどの、本発明のタンパク質等と試験化合物との反
応を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。
【0053】例えば、上記(ii)の場合における細胞増
殖活性が上記(i)の場合に比べて、約20%以上、好
ましくは30%以上、より好ましくは約50%以上上昇
させる試験化合物を本発明のタンパク質等の細胞増殖活
性を促進する化合物として、一方、上記(ii)の場合に
おける細胞増殖活性が上記(i)の場合に比べて、約2
0%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは約5
0%以上阻害する試験化合物を本発明のタンパク質等の
細胞増殖活性を阻害する化合物として選択することがで
きる。
【0054】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、上記した試験化合物、例えば、ペプチド、タンパ
ク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細
胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などから
選ばれた化合物であり、本発明のタンパク質等の機能
(例、細胞増殖活性など)を促進または阻害する化合物
である。該化合物の塩としては、上記した本発明のタン
パク質の塩と同様のものが用いられる。
【0055】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の治療
・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施す
ることができる。例えば、上記した本発明のタンパク質
等を含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エ
リキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液
剤などとすることができる。このようにして得られる製
剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血
動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サルなど)に対し
て投与することができる。該化合物またはその塩の投与
量は、その作用、対象疾患、投与対象、投与ルートなど
により差異はあるが、例えば、疾患組織摘出後の組織再
生剤として、本発明のタンパク質等の機能を促進する化
合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kg
として)においては、一日につき該化合物を約0.1〜
100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ま
しくは約1.0〜20mg投与する。他の動物の場合
も、60kg当たりに換算した量を投与することができ
る。
【0056】一方、子宮内膜腫瘍の治療目的で本発明の
タンパク質等の機能を阻害する化合物を経口投与する場
合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、
一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましく
は約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20
mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の
1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なる
が、例えば、子宮内膜腫瘍の治療目的で本発明のタンパ
ク質等の機能を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人
(60kgとして)に投与する場合、一日につき該化合
物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜
20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度
を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物
の場合も、60kg当たりに換算した量を投与すること
ができる。
【0057】(4)本発明のタンパク質もしくはその部
分ペプチドまたはその塩の定量 本発明のタンパク質等に対する抗体(以下、本発明の抗
体と略記する場合がある)は、本発明のタンパク質等を
特異的に認識することができるので、被検液中の本発明
のタンパク質等の定量、特にサンドイッチ免疫測定法に
よる定量などに使用することができる。すなわち、本発
明は、(i)本発明の抗体と、被検液および標識化され
た本発明のタンパク質等とを競合的に反応させ、該抗体
に結合した標識化された本発明のタンパク質等の割合を
測定することを特徴とする被検液中の本発明のタンパク
質等の定量法、および(ii)被検液と担体上に不溶化し
た本発明の抗体および標識化された本発明の別の抗体と
を同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上
の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の
本発明のタンパク質等の定量法を提供する。上記(ii)
の定量法においては、一方の抗体が本発明のタンパク質
等のN端部を認識する抗体で、他方の抗体が本発明のタ
ンパク質等のC端部に反応する抗体であることが望まし
い。
【0058】また、本発明のタンパク質等に対するモノ
クローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体と
称する場合がある)を用いて本発明のタンパク質等の定
量を行なえるほか、組織染色等による検出を行なうこと
もできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用い
てもよく、また、抗体分子のF(ab')2、Fab'、あ
るいはFab画分を用いてもよい。本発明の抗体を用い
る本発明のタンパク質等の定量法は、特に制限されるべ
きものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、タンパ
ク質量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合
体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを
既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線よ
り算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いても
よい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリ
ック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感
度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるの
が特に好ましい。標識物質を用いる測定法に用いられる
標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光
物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素とし
ては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14
C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活
性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダ
ーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファター
ゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用い
られる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミ
ン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられ
る。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノー
ル誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられ
る。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオ
チン−アビジン系を用いることもできる。
【0059】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常タンパク質あるいは酵
素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用
いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキス
トラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレ
ン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、ある
いはガラス等があげられる。サンドイッチ法においては
不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応
させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノ
クローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化
担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の
本発明のタンパク質量を定量することができる。1次反
応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行な
ってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤
および不溶化の方法は上記のそれらに準じることができ
る。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、
固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ず
しも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等
の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。本
発明のサンドイッチ法による本発明のタンパク質等の測
定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発
明のモノクローナル抗体は、本発明のタンパク質等の結
合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すな
わち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例
えば、2次反応で用いられる抗体が、本発明のタンパク
質等のC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗
体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する
抗体が用いられる。
【0060】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体
に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原
(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し
(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被
検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として
可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコー
ル、上記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、お
よび、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるい
は、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相
化抗体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリ
ック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の
標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離
するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗
体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化
抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。
次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量
を定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるい
は溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の
量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の
沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用す
るレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0061】これら個々の免疫学的測定法を本発明の定
量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のタンパク質等の測定系を構築すればよい。これらの
一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを
参照することができる。例えば、入江 寛編「ラジオイ
ムノアッセイ〕(講談社、昭和49年発行)、入江 寛
編「続ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和54年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭
和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第
2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編
「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年
発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol. 70(Immunochem
ical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochem
ical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochem
ical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochem
ical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、
同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Mono
clonal Antibodies and General Immunoassay Method
s))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part
I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodie
s))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照する
ことができる。以上のようにして、本発明の抗体を用い
ることによって、本発明のタンパク質等を感度良く定量
することができる。さらには、本発明の抗体を用いて本
発明のタンパク質等の濃度を定量することによって、本
発明のタンパク質等の濃度の増加が検出された場合、例
えば、各種癌(例、子宮体癌、子宮内膜腫瘍、乳癌、大
腸癌、前立腺癌、肺癌、腎臓癌、神経芽腫、膀胱癌、黒
色腫等)などの疾病である、または将来罹患する可能性
が高いと診断することができる。また、本発明の抗体
は、体液や組織などの被検体中に存在する本発明のタン
パク質等を検出するために使用することができる。ま
た、本発明のタンパク質等を精製するために使用する抗
体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明のタンパク
質等の検出、被検細胞内における本発明のタンパク質の
挙動の分析などのために使用することができる。
【0062】(5)本発明の抗体を含有する医薬 本発明のタンパク質等の活性を中和する作用を有する本
発明の抗体(中和抗体)は、例えば、 各種癌(例、子
宮体癌、子宮内膜腫瘍、乳癌、大腸癌、前立腺癌、肺
癌、腎臓癌、神経芽腫、膀胱癌、黒色腫等)などの疾病
の治療・予防剤などの医薬として使用することができ
る。本発明のタンパク質等に対する本発明のヒト化抗体
は、例えば、各種癌(例、子宮体癌、子宮内膜腫瘍、乳
癌、大腸癌、前立腺癌、肺癌、腎臓癌、神経芽腫、膀胱
癌、黒色腫等)などの疾病の治療・予防剤などの医薬と
して使用することができる。該ヒト化抗体は、Nat Biot
echnol,14,845‐851.(1996) 、Nat Genet.15,146
‐156.(1997)、PNAS,97(2),722−727 (2000)等
に記載の方法に準じて作製することができる。以下、
「(5)本発明の抗体を含有する医薬」において、本発
明の中和抗体およびヒト化抗体を本発明の抗体と総称す
る。本発明の抗体を含有する上記疾患の治療・予防剤
は、そのまま液剤として、または適当な剤型の医薬組成
物として、ヒトまたは哺乳動物(例、ラット、ウサギ、
ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して
経口的または非経口的に投与することができる。投与量
は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっ
ても異なるが、例えば、成人の子宮内膜腫瘍患者の治療
・予防のために使用する場合には、本発明の抗体を1回
量として、通常0.01〜20mg/kg体重程度、好
ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、さらに好ま
しくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1日1〜5回
程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射により投
与するのが好都合である。他の非経口投与および経口投
与の場合もこれに準ずる量を投与することができる。症
状が特に重い場合には、その症状に応じて増量してもよ
い。本発明の抗体は、それ自体または適当な医薬組成物
として投与することができる。上記投与に用いられる医
薬組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許容され得
る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。か
かる組成物は、経口または非経口投与に適する剤形とし
て提供される。すなわち、例えば、経口投与のための組
成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤
(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆
粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、
シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。かかる組
成物は自体公知の方法によって製造され、製剤分野にお
いて通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有
するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤として
は、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウム
などが用いられる。
【0063】非経口投与のための組成物としては、例え
ば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射
剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤
などの剤形を包含する。かかる注射剤は、自体公知の方
法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射
剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁
または乳化することによって調製する。注射用の水性液
としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補
助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、
例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコー
ル(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、
HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of
hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。
油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いら
れ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアル
コールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通
常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられ
る坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に
混合することによって調製される。上記の経口用または
非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するよ
うな投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。
かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル
剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞ
れの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ
注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜2
50mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお上記した各組成物は、上記抗体との配合により好ま
しくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有し
てもよい。
【0064】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commission on Biochemical Nomenclatureによる略号あ
るいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、
その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があ
り得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとす
る。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン I :イノシン R :アデニン(A)またはグアニン(G) Y :チミン(T)またはシトシン(C) M :アデニン(A)またはシトシン(C) K :グアニン(G)またはチミン(T) S :グアニン(G)またはシトシン(C) W :アデニン(A)またはチミン(T) B :グアニン(G)、グアニン(G)またはチミン(T) D :アデニン(A)、グアニン(G)またはチミン(T) V :アデニン(A)、グアニン(G)またはシトシン(C) RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸
【0065】 Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸
【0066】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2−Bzl :2,6−ジクロロベンジル MBzl :メトキシベンジル MeBzl :4−メチルベンジル OcHex :シクロヘキシルエステル OBzl :ベンジルエステル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェニル Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド DMF :N、N−ジメチルホルムアミド TEA :トリエチルアミン WSCD :1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル) −カルボジイミド EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0067】 本願明細書の配列表の配列番号は、以下
の配列を示す。 〔配列番号:1〕 本発明のヒト由来タンパク質(TG
C839タンパク質)のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:2〕 配列番号:1で表わされるアミノ酸
配列を有する本発明のヒト由来タンパク質をコードする
DNAの塩基配列を示す。 〔配列番号:3〕 実施例3で用いられたプライマー
(合成)DNAの塩基配列を示す。 〔配列番号:4〕 実施例3で用いられたプライマー
(合成)DNAの塩基配列を示す。 〔配列番号:5〕 本発明のヒト由来タンパク質(TG
C838タンパク質)のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:6〕 配列番号:5で表わされるアミノ酸
配列を有する本発明のヒト由来タンパク質をコードする
DNAの塩基配列を示す。 〔配列番号:7〕 実施例7および実施例20で用いら
れたプライマー(合成)DNAの塩基配列を示す。 〔配列番号:8〕 実施例7で用いられたプライマー
(合成)DNAの塩基配列を示す。 〔配列番号:9〕 実施例20で用いられたプライマー
(合成)DNAの塩基配列を示す。
【0068】 後述の実施例3で得られた形質転換体エ
シェリヒア コリ(Escherichia coli)SURE/pC
AN618/H839Fは、平成11年3月10日から
通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIB
H)に寄託番号FERM BP−6677として、平成
11年2月25日から財団法人・発酵研究所(IFO)
に寄託番号IFO 16259として寄託されている。
また、後述の実施例7で得られた形質転換体エシェリ
ヒア コリ(Escherichia coli)XL10-Gold/pCAN618/H83
8Fは、平成11年8月2日から通商産業省工業技術院生
命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM
BP−6809として、平成11年7月21日から財
団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 16
297として寄託されている。 また、後述の実施例1
5で得られたハイブリドーマ(hybridoma)クローンNo.
112-3は839N-112として、平成12年3月2日から通商
産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)
に寄託番号FERM BP−7068として寄託されて
いる。 また、後述の実施例15で得られたハイブリド
ーマ(hybridoma)クローンNo.128-18は839N-128とし
て、平成12年3月2日から通商産業省工業技術院生命
工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM
BP−7069として寄託されている。 また、後述の
実施例22で得られたCHO-K1/TGC838N-4は、平成12年
3月10日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術
研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−708
8として寄託されている。 また、後述の実施例23で
得られたCHO-K1/618/839F6-3は、平成12年3月10日
から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(N
IBH)に寄託番号FERM BP−7089として寄
託されている。 また、後述の実施例28で得られたハ
イブリドーマ(hybridoma)839-01は平成12年3月1
0日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所
(NIBH)に寄託番号FERM BP−7086とし
て寄託されている。 また、後述の実施例28で得られ
たハイブリドーマ(hybridoma)839-02は平成12年3
月10日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研
究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−7087
として寄託されている。
【0069】
【実施例】 以下に、実施例をあげて本発明をさらに具
体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものでは
ない。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、モレキ
ュラー・クローニング(Molecular Cloning)に記載さ
れている方法に従った。 実施例1 データベースからのクローン選択 スミスクラインビーチャム(SB)社から供給されて
いるデータベースの中から 蛋白の分泌配列に特有なア
ミノ酸配列を持つクローンを選択した。 すなわち各E
STの塩基配列をアミノ酸の配列に翻訳した後に、5’
端にMetが存在して5’端側には疎水性のアミノ酸配列
が認められ、さらに下流には親水性、疎水性のアミノ酸
配列が存在し、最初のMetから10-30のアミノ酸が蛋白の
分泌に必要なシグナル配列を有するESTクローンを選
択した。その中の一つをHGS:2772893として
見出した。このクローンをSB社から取り寄せてTGC
839とした。この遺伝子を含むプラスミドで形質転換
したE.coliを定法通り培養してプラスミドを精製し、制
限酵素のEcoRIとXhoIでこの遺伝子を切出した結果、約
0.9kbと約0.5Kbの2つの遺伝子断片が見出された
ことから、この遺伝子の大きさは約1.4 Kbである事が
明らかになった。 次にこの遺伝子の塩基配列をT7と
T3プライマーを用いてABI 377Prism 蛍光DNA s
equencerで解析した。その塩基配列とアミノ酸配列を図
1に示す。 この遺伝子は252のアミノ酸残基を有す
る蛋白質をコードしており、N末端から25番目のアミノ
酸残基(Ala)と26番目のアミノ酸残基(Gly)との間で
シグナル配列として切断されると推定された。
【0070】実施例2 遺伝子の発現確認 実施例1で得られた遺伝子の機能を予測するために、
ヒトの各組織と癌細胞株での発現を検討した。 まず、
遺伝子をEcoRIとXhoIで切断した約900塩基のDNA断片を
プローブとして使用して、それぞれの組織、細胞から抽
出したmRNAのノザンブロット解析を行った。クロンテッ
ク社のヒトのmulti tissue northern (MTN) Blot,ヒト
癌細胞(Human Caner cell line)のmRNA Blot、あるいは
各種のヒト癌細胞のmRNAをナイロン フィルターにブロ
ットしたフィルターとアイソトープ標識のDNAプローブ
を定法通りに反応させ、フィルターを洗浄後にオートラ
ジオグラフを取り、この遺伝子の発現組織、細胞を検討
した。 この遺伝子は正常の成人ヒトの組織ではほとん
ど発現は認められなく、癌細胞、胎児の脳、肺、でのみ
特異的な発現が認められた (図2、図3)。
【0071】実施例3 ヒトTGC839タンパク質の
動物細胞中での発現ベクターの構築 ヒトTGC839タンパク質を動物細胞中で発現させ
るための発現ベクターを構築した。その際、後に行う発
現産物の検出を容易にするために、 TGC839タン
パク質のC末端側に 8アミノ酸からなるFLAG配列 (DYK
DDDDK)を導入した。 以下、FLAG配列が付加されたTG
C839タンパク質を特にTGC839FLAGタンパク質と呼ぶ
ことがある。 まず、TGC839タンパク質をコ−ド
している cDNA 断片を鋳型にして翻訳開始コドンのATG
の直前にEcoRI制限酵素部位がくるように設計した合成
DNA [5' GCGCTCGAATTCCACCATGGCAGCAGCCGCCGCTACCAAG
3':(配列番号:3)]とTGC839タンパク質のC
末端に DYKDDDDKで表されるアミノ酸配列、続いて終止
コドン、NotI制限酵素部位がくるように設計した合成DN
A[5'GCGGCCGCTCACTTGTCATCGTCGTCCTTGTAGTCCTCTAAAGGA
CTCTCCTCAGATGCCAGGGAGGATGAAGCAG 3,:(配列番号:
4)]を用いてPCRを行い、TGC839のORFを含
むDNA 断片を得た。この DNA 断片を制限酵素 EcoRI(宝
酒造社製)、EagI( New England Biolabs社製)で二重消
化した後、pCAN618のEcoRI、NotI部位に導入しヒトTG
C839タンパク質の C末端側に FLAG 配列を持つT
GC839FLAGの動物細胞発現ベクター pCAN618/H
839F を得た。該pCAN618/H839F を用いて大腸菌 (Esche
richia coli) SURE 株を自体公知の方法で形質転換し、
Escherichia coli SURE/pCAN618/H839F を得た。
【0072】実施例4 ヒトTGC839タンパク質の
COS-7 培養上清中への分泌発現 ヒトTGC839タンパク質が分泌タンパク質である
ことを確認するために、COS-7 細胞を用いてTGC83
9FLAGタンパク質を発現させ、培地中に分泌される
かどうかを検証した。実施例3で作製した発現ベクタ-
をトランスフェクションする前日に COS-7 細胞を4×10
5 cell/well とになるようにまき、10% FBS (Hyclone社
製) を含む DMEM 培地 (Gibco-BRL社製) で 24 時間 CO
2 incubator 中で培養した。pCAN618/H839F DNA と Eff
ectene (Qiagen社製) を用いてトランスフェクションを
行った後、24 時間後に 1ml の 0.1mM ABSF(4-(2-amin
oethyl)-benzenesulfonyl fluoride (hydrocloride))
(和光純薬社製) と 0.05% CHAPS(3-[(3-cholamidopropy
l) dimethyl-ammonio] propanesulfonic acid) (同仁化
学社製) を含む Opti-MEM 培地 ( Bibco-BRL社製) に培
地交換を行ない、さらに36時間培養を続けた。培養上清
は eppendorf サンプルチューブに移して遠心し、浮い
ている細胞を除去した後、centricon-10 ( Amicon社製)
を用いて 1/10 にまで濃縮し、同量の DTT を含む SDS
-PAGE サンプル bufferを加え、SDS-PAGEにかけた。Wes
tern blotting は一次抗体に抗 FLAG mouse IgG monocl
onal抗体 ( M12 : 5mg/ml, Sigma社製)、二次抗体にHRP
(horseraddish peroxidase) 標識抗 mouse IgG 抗体 (
1/2000, Amersham社製) 用い、発色は ECL western blo
tting kit ( Amersham社製) を用いて行った。 その結
果、 TGC839FLAGタンパク質は細胞内で約34k
Da の一本のバンドとして、培養上清では細胞内でみら
れた同じバンドとそれよりも大きくブロ−ドなバンドと
して検出された(図4)。このことから、TGC839
タンパク質はタンパク質中に2カ所存在する N 型糖鎖付
加部位に糖鎖が付加し培地中に分泌されていると考えら
れた。
【0073】実施例5 データベースからのクローン選
択 スミスクラインビーチャム(SB)社から供給されて
いるデータベースの中から 蛋白の分泌配列に特有なア
ミノ酸配列を持つクローンを選択した。 すなわち各E
STの塩基配列をアミノ酸の配列に翻訳した後に、5’
端にMetが存在して5’端側には疎水性のアミノ酸配列
が認められ、さらに下流には親水性、疎水性のアミノ酸
配列が存在し、最初のMetから10-30のアミノ酸が蛋白の
分泌に必要なシグナル配列を有するESTクローンを選
択した。その中の一つをHGS:951123として見
出した。このクローンをSB社から取り寄せてTGC8
38とした。この遺伝子を含むプラスミドで形質転換し
たE.coliを定法通り培養してプラスミドを精製し、制限
酵素のEcoRIとXhoIでこの遺伝子を切出した結果、約
1.0kbと約0.4Kbの2つの遺伝子断片が見出された
ことから、この遺伝子の大きさは約1.4 Kbである事が
明らかになった。 次にこの遺伝子の塩基配列をT7と
T3プライマーを用いてABI 377Prism 蛍光DNA s
equencerで解析した。その塩基配列とアミノ酸配列を図
5に示す。 この遺伝子は246のアミノ酸残基を有す
る蛋白質をコードしており、N末端から25番目のアミノ
酸残基(Ala)と26番目のアミノ酸残基(Gly)との間で
シグナル配列として切断されると推定された。
【0074】実施例6 遺伝子の発現確認 実施例5で得られた遺伝子の機能を予測するために、
ヒトの各組織と癌細胞株での発現を検討した。 まず、
遺伝子をEcoRIとXhoIで切断した約1.0kbのDNA断片を
プローブとして使用して、それぞれの組織、細胞から抽
出したmRNAのノザンブロット解析を行った。クロンテッ
ク社のヒトのmulti tissue northern (MTN) Blot,ヒト
癌細胞(Human Caner cell line)のmRNA Blot、あるいは
各種のヒト癌細胞のmRNAをナイロン フィルターにブロ
ットしたフィルターとアイソトープ標識のDNAプローブ
を定法通りに反応させ、フィルターを洗浄後にオートラ
ジオグラフを取り、この遺伝子の発現組織、細胞を検討
した。 この遺伝子は正常の成人ヒトの組織ではほとん
ど発現は認められなく、癌細胞、胎児の脳、肺、でのみ
特異的な発現が認められた (図6)。
【0075】実施例7 ヒトTGC838タンパク質の
動物細胞中での発現ベクターの構築 ヒト TGC838 タンパク質を動物細胞中で 発現させる
ための 発現ベクターを構築した。その際、後に行う発
現産物の検出を容易にするために、TGC838 タンパク質
の C 末端側に 8アミノ酸からなるFLAG 配列 ( DYKDDDD
K )を導入した。 以下、FLAG配列が付加されたTGC
838タンパク質を特にTGC838FLAGタンパク
質と呼ぶことがある。 まず、TGC838 タンパク質をコ
−ドしている cDNA 断片を鋳型にして翻訳開始コドンの
ATG の直前に EcoRI制限酵素部位がくるように設計し
た合成 DNA [ 5' GCGCTGAATTCCCACCATGGCAGCAGCCGCCGC
TACCAAGATCCTTCTGTGCCTCCCGCTTCT 3':(配列番号:
7)]と TGC838 タンパク質のC 末端に DYKDDDDK で表
されるアミノ酸配列、続いて終止コドンNotI制限酵素部
位がくるように設計した合成 DNA [5'TTGCGGCCGCTCACT
TGTCATCGTCGTCCTTGTAGTCGATGCCAGGGAGGATGAAGCAGGGGAGG
ATGATG 3':(配列番号:8)]を用いて PCR を行い、
TGC838 のOFR を含むDNA 断片を得た。この DNA 断片
を制限酵素 EcoRI、NotIで二重消化し、 pCAN618の Eco
RI、NotI部位に導入しヒトTGC838 タンパク質の C 末端
側に FLAG 配列を持つTGC838FLAGタンパク質 の動物細
胞発現ベクター pCAN618/H838F を得た。 本発明の、
プラスミドpCAN618/H838Fを大腸菌 ( Escherichia coli
) XL10-Gold 株に導入して、形質転換体大腸菌 ( Esc
herichia coli ) XL10-Gold/ pCAN618/H838Fを得た。
【0076】実施例8 ヒト TGC839 タンパク質の COS
-7細胞培養上清からの精製 実施例4において、ヒト TGC839 タンパク質が COS-7
細胞培養上清中へ分泌されることを確認されたので、
ヒト TGC839FLAG タンパク質を、COS-7 細胞培養上清中
から精製した。実施例3で作製した発現ベクタ-をトラ
ンスフェクションする前日に、10cmシャ−レ10枚に、
COS-7 細胞を 2×106 cell/plate となるようにまき、
10% FBS ( Hyclone社製 ) を含む DMEM 培地 ( Gibco-B
RL社製 ) で 24 時間 CO2 incubator 中で培養した。pC
AN618/H839F DNA と Effectene ( Qiagen社製 ) を用い
てトランスフェクションを行った後、24 時間後に 4ml
の 0.1mM ABSF ( 和光純薬社製 ) と 0.05% CHAPS ( 同
仁化学社製 ) を含む Opti-MEM 培地 ( Gibco-BRL社製
) に培地交換を行ない、さらに 36 時間培養を続け
た。10cm シャーレ 10 枚分の培養上清を 50 ml 遠心管
に集め、遠心して浮いている細胞を除去した後、0.2μm
の限外濾過膜で濾過した。20倍濃度のTBSを終濃度が
1倍濃度となるように濾液に加え、ANTI FLAG M2-Agaro
se Affinity Gel ( Sigma社製 ) に二回吸着させた
後、Glycine-HClバッファー (pH3.5) で目的タンパク質
を溶出した。この溶出液を脱塩カラム ( PD-10, Amersh
ampharmacia社製 )で PBS に バッファー交換した後、C
entriplus-10, Centricon-10 ( Amicon社製 ) を用いて
約 60μlにまで濃縮し精製標品を得た。この精製標品を
SDS-PAGE にかけ、CBB 染色をおこなったところ約 45k
Da のブロ−ドなバンドが一本観察された。
【0077】実施例9 精製ヒト TGC839FLAG タンパク
質の N 末端アミノ酸配列の決定 実施例8で得られた精製標品のうち 2μl を気相アミ
ノ酸シークエンサー LF3000 protein sequencer ( ベ
ックマンコ−ルタ−社製) にかけ、N末端アミノ酸配列
を決定した。その結果、N 末端から順に 1. グリシン
( 5.10pmol )、2. アルギニン ( 6.53pmol )、3. アラ
ニン ( 3.97pmol )、4. アスパラギン酸 ( 6.92pmol )
の各アミノ酸残基が検出された。 このことからヒト T
GC839 タンパク質は ヒト TGC839 前駆タンパク質のN
末端の25アミノ酸残基のシグナル配列が切断され、2
6残基目のグリシン残基から始まるヒト TGC839 成熟タ
ンパク質として培地中に分泌されることがわかった。
【0078】実施例10 Gly-Arg-Ala-Asp-Pro-His-Se
r-Leu-Cys:TGC-839ペプチド(26-34)の製造 Boc-Cys(MBzl)-OBzl 2.27gを出発物質としてBoc基を
4N-HCl・酢酸エチルで除去、 HCl塩を当モルのTEAで中
和し、Boc-Leu・H2OをHONB/WSCD・HClで縮合した。 反
応液を酢酸エチルに抽出し、0.1N−HCl, 5%-重曹水で
洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を除去し
て、残渣を酢酸エチルとヘキサンから結晶として濾取し
た。 2.3g(80.3%) このBoc-Leu-Cys(MBzl)-OBzlを用
い同様にBoc-Ser(Bzl), Boc-His(Bom)を縮合し、Boc-Hi
s(Bom)-Ser(Bzl)-Leu-Cys(MBzl)-OBzl:(I) 1.2
3gを得た。 Pro-OBzlを出発物質としてBoc-Asp(OcHex)-
Pro-OBzlを合成し、これを接触還元処理でベンジルエス
テルを除去し、油状のBoc-Asp(OcHex)-Pro-OH:(II)
を得た。 Ala-OBzlを出発物質としてBoc-Arg(Tos),B
oc-Glyを縮合し、Boc-Gly-Arg(Tos)-Ala-OBzlを得、こ
れを接触還元し、Boc-Gly-Arg(Tos)-Ala-OH:(III)を
アセトニトリルとジエチルエーテルから粉末として濾取
した。 (I)0.407gを4N-HCl・酢酸エチルで処理しBoc
基を除去した後DMFに溶解し、TEA62μlで中和した後、
(II)0.23g、HOBt 225mg、WSCD・HCl 160mgで縮合し
た。 反応液を酢酸エチルに抽出し、5%-重曹水で洗浄
し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を除去して、残
渣をアセトニトリルとジエチルエーテルから粉末として
濾取し、Boc-Asp(OcHex)-Pro-His(Bom)-Ser(Bzl)-Leu-C
ys(MBzl)-OBzl :(IV)338mg (63.8%)を得た。 (I
V)187mgを4N-HCl・酢酸エチルで処理しBoc基を除去し
た後DMFに溶解し、TEA22μlで中和した後、(III)90
g、HOBt 79mg、WSCD・HCl 56mgで縮合した。 溶媒を留
去し、酢酸エチルからゲル状のBoc- Gly-Arg(Tos)-Ala-
Asp(OcHex)-Pro-His(Bom)-Ser(Bzl)-Leu-Cys(MBzl)-OBz
l 228mg を得た。 117.8mgをp-クレゾール974mg共存下
無水弗化水素10mlとともに0℃、60分処理し、全保護基
を除去した。 ペプチド画分を50%酢酸水で充填したセフ
ァデックスTMG-25カラム(2.0 x 80 cm)で分画し、主要
画分を更にLiChroprepTM RP-18を充填した逆相クロマト
カラム(2.6 x8.0 cm)に付け主要画分を凍結乾燥し、白
色粉末30mgを得た。 質量分析による(M+H)+ 955.4 (計算値 955.4) HPLC溶出時間 10.5分 カラム条件 カラム Wakosil 5C18T 4.6 x 100mm 溶離液:A液−0.1% TFA水、B液−0.1%TFA含有アセト
ニトリルを用い A/B : 95/5〜45/55へ直線型濃度勾配溶出(25分) 流速:1.0 ml / 分
【0079】実施例11 TGC-839ペプチド(26-34)を含
む免疫原の作製 上記実施例10で得られたTGC-839ペプチド(26-34)と
牛チログロブリン(BTG)との複合体を作製し、免疫原
とした。すなわち、BTG 10.5 mgを、0.1Mリン酸緩衝液
(PH6.7)0.9 mlに溶解させ、N-(γ-マレイミドブチリ
ロキシ)サクシニミド(GMBS)1.2 mgを含むDMF溶液100
μlと混合し、室温で30分反応させた。2 mM EDTAを含む
0.1Mリン酸緩衝液(PH6.5)で平衡化したセファテック
スG−25カラムで過剰のGMBS試薬を除去した後、マレイ
ミド基の導入されたBTG 7.5 mgと0.2 mlのDMFに溶解さ
せたTGC-839ペプチド(26-34)1.5 mgとを混合し、4℃で2
日間反応させた。反応後、生理食塩水に対し、4℃で2日
間透析した。
【0080】実施例12 免疫 7週齢のBALB/C雌マウスに、上記実施例11記載の免
疫原TGC-839ペプチド(26-34)-BTG複合体、約120μg/匹
を完全プロインドアジュバントとともに皮下免疫した。
6週間後同量の免疫原を不完全プロインドアジュバント
とともに追加免疫し、その1週間後に採血した。
【0081】実施例13 酵素標識化抗原の作製 西洋ワサビパーオキシダーゼ(HRP)標識化TGC-839ペ
プチド(26-34)の作製 上記実施例10で得られたTGC-839ペプチド(26-34)とH
RP(酵素免疫測定法用、ベーリンガーマンハイム社製)
とを架橋し、酵素免疫測定法(EIA)の標識体とした。
すなわち、HRP 11.6 mgを0.95 mlの0.1 Mリン酸緩衝
液、pH6.7に溶解させ、GMBS 1.2 mgを含むDMF溶液50 μ
1と混合し、室温で30分間反応させたのち、0.1 Mリン酸
緩衝液、pH6.5で平衡化させたセファデックスG-25カラ
ムで分画した。このようにして作製したマレイミド基の
導入されたHRP 2.7 mgと実施例1で作製されたTGC-839ペ
プチド(26-34) 0.38 mgとを混合し、4℃で1日反応させ
た。反応後、0.1 Mリン酸緩衝液、pH6.5で平衡化させた
ウルトロゲルAcA54(ファルマシア社製)カラムで分画
し、HRP標識化TGC-839ペプチド(26-34)を得た。
【0082】実施例14 TGC-839ペプチド(26-34)を免
疫したマウスの抗血清中の抗体価の測定 マウス抗血清中の抗体価を以下の方法により測定し
た。抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロフレー
トを作製するため、まずヤギ抗マウスイムノグロブリン
抗体(IgG画分、カッペル社製)を100 μg/ml含む0.1
M炭酸緩衝液、pH9.6溶液を96ウェルマイクロプレートに
100 μ1ずつ分注し、4℃で24時間放置した。次に、プレ
ートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)で洗浄した
のち、ウェルの余剰の結合部位をふさぐため25%ブロッ
クエース(雪印乳業社製)および0.1% NaN3を含むPBS、
pH7.2を300 μ1ずつ分注し、4℃で少なくとも24時間処
理した。 上記、抗マウスイムノグロブリン抗体結合マ
イクロプレートの各ウエルにバッファーEC [0.2% BSA、
0.4 M NaCl、0.4%ブロックエース、0.05% CHAPS〔3−
〔(コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ〕プロパン
スルホン酸〕、2 mM EDTAおよび0.1% NaN3を含む0.02 M
リン酸緩衝液、pH7.0]で希釈したマウス抗血清100 μ1
を加え4℃で16時間反応させた。次に、該プレートをPB
S、pH7.4で洗浄したのち、バッファーC[1% BSA、0.4 M
NaCl、および2 mM EDTAを含む0.02 Mリン酸緩衝液、PH
7.0]で120倍に希釈した上記実施例13で作製したHRP
標識化TGC-839ペプチド(26-34) 100 μ1を加え室温で7
時間反応させた。次に、該プレートをPBS、pH7.4で洗浄
したのち、固相上の酵素活性をTMBマイクロウェルパー
オキシダーゼ基質システム(KIRKEGAARD&PERRY LAB.
フナコシ薬品取り扱い)100 μ1を加え室温で10分間反
応させることにより測定した。反応を1Mリン酸100 μ1
を加え停止させたのち、450 nmの吸光度(Abs.450)を
プレートリーダー(MTP-120、コロナ社製)で測定し
た。結果を図7に示す。免疫した8匹のマウス全てにTGC
-839ペプチド(26-34)に対する抗体価の上昇が認められ
た。
【0083】実施例15 モノクローナルTGC-839ペプ
チド(26-34)抗体の作製 比較的高い抗体価を示したマウスNo.3およびNo.8に対
して240 μgの免疫原TGC-839ペプチド(26-34)-BTGを静
脈内に投与することにより最終免疫を行なった。最終免
疫4日後のマウスから脾臓を摘出し、ステンレスメッシ
ュで圧迫ろ過し、イーグルズ・ミニマム・エッセンシヤ
ルメデイウム(MEM)に浮遊させ、膵臓細胞浮遊液を得
た。細胞融合に用いる細胞として、BALB/Cマウス由来
ミエローマ細胞P3−X63.Ag 8.U1(P3U1)を用いた
〔カレントトピックスインマイクロバイオロジーアンド
イムノロジー、81、1(1978)〕。細胞融合は、原法
〔ネイチャー、256、495(1975)〕に準じて行なった。
すなわち、脾臓細胞およびP3U1をそれぞれ血清を含有し
ないMEMで3度洗浄し、脾臓紬砲とP3U1数の比率を6.6:1
になるよう混合して、750回転で15分間遠心を行なって
細胞を沈澱させた。上清を充分に除去した後、沈殿を軽
くほぐし、45%ポリエチレン・グリコール(PEG)6000
(コッホライト社製)を0.3m 1加え、37℃温水槽中で7
分間静置して融合を行なった。融合後細胞に徐々にMEM
を添加し、合計15 mlのMEMを加えた後750回転15分間遠
心して上清を除去した。この細胞沈殿物を10%牛胎児血
清を含有するGITメデイウム(和光純薬)(GIT−10%FC
S)にP3U1が1m 1当リ2×105個になるように浮遊し、24
穴マルチディッシュ(リンブロ社製)に1ウェル1 mlず
つ168ウェルに播種した。播種後、細胞を37℃で5%炭酸
ガスインキュベーター中で培養した。24時間後HAT(ヒ
ポキサンチン1×10-4 M、アミノプテリン4×10-7 M、チ
ミジン1.6×10-3 M)を含んだGIT−10%FCS培地(HAT培
地)を1ウェル当リ1 mlずつ添加することにより、HAT選
択培養を開始した。HAT選択培養は、培養開始4、7日後
に旧液を1 ml捨てたあと、1 mlのHAT培地を添加するこ
とにより継続した。ハイブリドーマの増殖は、細胞融合
後9日目で認められ、上清を採取した。 培養上清中の
抗体価は、実施例14に記載の方法を改変して実施し
た。すなわち、抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイ
クロプレートの各ウエルに培養上清100μ1およびバッフ
ァーCで200倍に希釈したHRP標識化TGC-839ペプチド(26-
34) 100 μ1を加え4℃で一晩反応させた。該プレート
をPBSで洗浄したのち、実施例14に記載の方法に従い
固相上の酵素活性を測定した。その結果、168ウェルの
中から抗体価の認められた60ウェルを選択し、ハイブリ
ドーマを凍結保存した。さらに9ウェルのハイブリドー
マ、No.39、 No.53、No.61、 No.76、 No.85、 No.11
2、 No.128、 No.139、 およびNo.151については、希釈
法によるクローニングに付した。クローニングに際して
は、フィーダー細胞としてBALB/Cマウスの胸腺細胞を
ウェル当リ5×105個になるように加えた。クローニング
後、 培養上清中の抗体価を同様の方法に従って測定し
た。陽性クローンは、No.39からは20ウェル中6ウェル
に、No.53からは20ウェル中2ウェルに、No.61からは20
ウェル中5ウェルに、 No.76からは20ウェル中9ウェル
に、 No.85からは20ウェル中8ウェルに、 No.112からは
40ウェル中3ウェルに、 No.128からは50ウェル中13ウェ
ルに、 No.139からは30ウェル中2ウェルに、 およびNo.
151からは20ウェル中4ウェルに検出された。 これらの
クローンの中から、モノクローナルTGC-839ペプチド(26
-34)抗体産生ハイブリドーマとしてNo.39-35、 No.53-1
6、 No.61-2、 No.76-12、 No.85-16、 No.112-3、 No.
128-18、 No.139-26、 No.151-2を選択した。
【0084】実施例16 モノクローナル抗体のクラス
・サブクラスの決定 実施例14記載の方法に従い、抗ウサギIgG抗体結合
マイクロプレートを作製した。すなわち、ヤギ抗ウサギ
イムノグロブリン抗体(IgG画分、カッペル社製)を100
μg/ml含む0.1 M炭酸緩衝液、pH9.6溶液を96ウェルマ
イクロプレートに100 μ1ずつ分注し、4℃で24時間放置
した。次に、プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS、p
H7.4)で洗浄したのち、ウェルの余剰の結合部位をふさ
ぐため25%ブロックエース(雪印乳業社製)および0.1%
NaN3を含むPBS、pH7.2を300 μ1ずつ分注し、4℃で少
なくとも24時間処理した。次に、抗ウサギIgG抗体結合
マイクロプレートに、バッファーEC 50μ1およびバイオ
ラッド社製アイソタイプタイピングキットに含まれるサ
ブタイプ特異的抗体100 μ1を加え、4℃で1日反応さ
せた。プレートをPBS、pH7.4で洗浄後、上記ハイブリド
ーマ培養上清を加え、4℃で1日反応させた。プレート
をPBSpH7.4で洗浄後、バッファーCで400倍に希釈した上
記実施例13で作製したHRP標識化TGC-839ペプチド(26-
34) 100 μ1を加え室温で6時間反応させた。該プレー
トをPBS、pH7.4で洗浄したのち、実施例14に記載の方
法に従い固相上の酵素活性を測定した。その結果、 こ
れらのハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体の
クラス・サブクラスはNo.39-35(IgG3)、 No.53-16(I
gG3)、 No.61-2(IgG2a,λ)、 No.76-12(IgG3)、 N
o.85-16(IgG2b, κ)、 No.112-3(IgG1)、 No.128-1
8(IgG1, κ)、 No.139-26(IgG1)、 およびNo.151-2
(IgG2a)であった。
【0085】実施例17 競合法-EIA 選択された各モノクローナル抗TGC-839ペプチド(26-
34)抗体のTGC839ペプチド(26-34)に対する反応性を
競合法-EIAにより調べた。まず、各モノクローナル抗体
を含む培養上清の抗体価を実施例14記載の方法により
調べ、競合法-EIAに用いる抗体濃度を決定した。次に、
抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレート
に、決定された濃度にバッファーCで希釈された抗体溶
液50 μ1、段階的(0, 0.156, 0.625, 2.5, 10, 40 ng/
ml)に希釈されたTGC-839ペプチド(26-34)のバッファ
ーC溶液50 μ1、およびHRP標識化TGC-839ペプチド(26-
34)(バッファーCで1500倍希釈)を50 μ1加え、4℃で
1日反応させた。反応後、PBS、pH7.4で洗浄したのち固
相上の酵素活性を上記実施例14記載の方法により測定
した。結果を図8に示す。これらのモノクローナル抗体
とHRP標識化TGC-839ペプチド(26-34)との結合は、40
ng/mlのTGC-839ペプチド(26-34)により33-92%阻害さ
れたことから、これらの抗体がTGC-839ペプチド(26-3
4)と反応することが分かった。とりわけ、No. 128-18
およびNo. 112-3はB/Boの50%結合阻害値がそれぞれ2 ng
/mlおよび7 ng/mlであり、高い親和性を示した。なお、
B/Boは[TGC-839ペプチド(26-34)存在下でのHRP標識化
TGC-839ペプチド(26-34)の各抗体への結合量/ TGC-83
9ペプチド(26-34)非存在下でのHRP標識化TGC-839ペプ
チド(26-34)の各抗体への結合量]を表す。
【0086】実施例18 ハイブリドーマのマウス腹水
化 ハイブリドーマ、No.128-18およびNo. 112-3について
マウス腹水化を実施した。あらかじめミネラルオイル0.
5 mlを腹腔内投与されたマウス(BALB/C、雌)に1〜3
×106セル/匹の上記ハイブリドーマを腹腔内投与した
のち、6〜20日後に抗体含有腹水を採取した。モノクロ
ーナル抗体は得られた腹水よリプロテインーAカラムに
よリ精製した。即ち、腹水約25 mlを等量の結合緩衝液
(3.5 M NaCl、0.05% NaN3を含む1.5 Mグリシン、pH9.
0)で希釈したのち、あらかじめ結合緩衝液で平衡化し
たリコンビナントプロテインーA−アガロース(Replige
n社製)カラムに供し、特異抗体を溶離緩衝液(0.05%
NaN3)を含む0.1 Mクエン酸緩衝液、pH3.0)で溶出し
た。溶出液はPBS、pH7.4に対して4℃、2日間透析したの
ち、0.22 μmのフィルター(ミリポア社製)により除
菌濾過し4℃あるいは-80℃で保存した。得られたモノク
ローナル抗体を128-18抗体、112-3抗体と命名した。
【0087】実施例19 TGC838 の部分ペプチドを認
識するウサギ抗血清の作出 実施例10と同様の方法で TGC838 タンパクの Tyr
166 - Cys190 (翻訳開始コドンの Met を 1 番目とし
て)に相当する 25 アミノ酸残基からなるペプチドを合
成した。このペプチド 8.2 mg に対して、N-(6-Maleimi
docaproyloxy)succinimide 及び Keyhoke Lympet Hemoc
yanin 19.7 mg を用いて、8 M 尿素及び 0.9% NaCl 含
むリン酸緩衝液( 20 mM、pH 7.4 )中室温で 15 時間
反応させてコンジュゲートを作製した。得られたコンジ
ュゲート 10 mg を何回かに分けてアジュバントと混合
してウサギの皮下に免疫した。免疫後、採血した血液は
遠心によって血球成分を除去し、抗血清を得た。
【0088】実施例 20 TGC838 発現ベクターの構築 ヒト TGC838 タンパクを動物細胞中で発現させるため
の発現ベクターを構築した。まず TGC838 タンパクをコ
ードしている cDNA 断片を鋳型にして翻訳開始コドンの
直前に制限酵素 Eco RI 認識部位がくるように設計した
合成 DNA [ 5'- GCGCTGAATTCCCACCATGGCAGCAGCCGCCGCTA
CCAAGATCCTTCTGTGCCTCCCGCTTCT - 3' :(配列番号:7
)] と終止コドンの直後に制限酵素 Not I 認識部位
がくるように設計した合成 DNA [ 5'- TTGCGGCCGCTCAGA
TGCCAGGGAGGATGAAGCAGGGGAGGATGATG - 3' :(配列番
号:9 )] を用いて PCR を行ない、TGC838 の ORF を
含む断片を得た。この DNA 断片を制限酵素 Eco RI 及
び Not I で切断し、pCAN618 の Eco RI、Not I 部位に
挿入してヒト TGC838 タンパクの動物細胞での発現ベク
ター pCAN618/H838 を得た。
【0089】実施例 21 TGC838 及び TGC839 タンパク
の COS7 細胞での発現 COS7 細胞 4×105個 を、10% の FBS(ウシ胎児血
清)を含む DMEM(培地;GibcoBRL )中、6-well プレ
ートで 24 時間培養した。この細胞に、実施例 20 、実
施例 3 または実施例 7 で得た発現ベクター pCAN618/
H838 DNA 、 pCAN618/H838F DNA または pCAN618/H83
9F DNA を LipofectAMINE( GibcoBRL )を用いて導入
し、さらに 18 時間培養した。次に培地を 0.05% CHAP
S を含む Opti-MEM(培地;GibcoBRL )に換えてさらに
24 時間培養し、培養上清を回収した。上清は遠心によ
って浮いている細胞を除いた後、そのまま、または限外
濾過( Centricon-10;Amicon )で濃縮して発現産物を
調べた。
【0090】実施例 22 TGC838 タンパクの CHO-K1 細
胞での発現 TGC838 タンパク発現ベクターの CHO-K1 細胞への導
入はリン酸カルシウム共沈法を用いて行なった。まず C
HO-K1 細胞 1×105 を 10% の FBS を含む Ham's F12
培地( GibcoBRL )中 10 cm シャーレで 24 時間培養
した。一方実施例 20 で得た pCAN618/H838 DNA を Ce
llPhect Transformation Kit( Pharmacia )を用いて
リン酸カルシウムとの沈澱とし、先の CHO-K1 細胞に加
えた。これを 12 時間培養後、5 ml の Ham's F12 培地
( FBS を含まない)で 2 回洗浄し、3 ml のグリセロ
ール溶液( 15% glycerol、150 mM NaCl、20 mM HEPES
( pH 7.4 ))を加えて 3 分放置した。さらに 5 ml の
Ham's F12 培地( FBS を含まない)で 1 回洗浄し、1
0% の FBS を含む Ham's F12 培地を加えて 36 時間培
養した。培地を 500μg/ml のGeneticin(和光純薬)
及び 10% の FBS を含む Ham's F12 培地に換えてさら
に 24 時間培養した。次に限界希釈によって単一細胞か
らの発現細胞クローンを得るために、500μg/ml の Ge
neticin 及び 10% の FBS を含む Ham's F12 培地中 9
6-well プレートで、様々な希釈倍率で細胞を培養し
た。このようにして、単一細胞由来の TGC838 タンパク
発現 CHO-K1 細胞株 CHO-K1/TGC838N-4 を得た。CHO-K
1/TGC838N-4 からの培養上清の回収は、対数増殖期の
細胞の培地を 0.05% CHAPS を含む Opti-MEM に換えて
24 時間培養後に行なった。上清は遠心によって浮いて
いる細胞を除いた後、発現産物を調べた。
【0091】実施例 23 TGC839 タンパクの CHO-K1 細
胞での発現 TGC839 タンパク発現ベクターの CHO-K1 細胞への導
入はリン酸カルシウム共沈法を用いて実施例 22 と同様
の方法で行なった。10 cm シャーレで培養した CHO-K1
細胞に、実施例 3 で得た pCAN618/H839F DNA を導入
し、Geneticin で選択した。成育してきた細胞は、まず
コロニー選択によって発現細胞を選んだ後、限界希釈に
よって単一細胞由来の TGC839 タンパク発現 CHO-K1 細
胞株 CHO-K1/618/839F6-3 を得た。CHO-K1/618/839
F6-3 からの培養上清の回収は、実施例 22 と同様の方
法で行なった。
【0092】実施例 24 TGC838 タンパク及び TGC839
タンパクの Western Blot による解析 実施例 21-23 で得た培養上清(発現ベクター pCAN61
8/H838 DNA または pCAN618/H838F DNA または発現ベ
クター pCAN618/H839F DNA を導入した COS7 細胞もし
くは CHO-K1 細胞の培養上清)に、2-メルカプトエタノ
ールを含む SDS-Sample Buffer を加えて Peptide-PAGE
( TEFCO )で電気泳動し、これを PVDF 膜( Amersham
)に電気的に移した。一次抗体として、実施例 19 で
得たウサギ抗血清( 2000 倍希釈)、または実施例 12
で得たマウス抗血清( 50000 倍希釈)、または実施例
18 で得たマウス IgG( 2μg/ml )、または抗 FLAG
マウス IgG( 10μg/ml;Sigma )を用い、二次抗体に
は HRP( Horseradish peroxidase )標識抗マウス IgG
抗体( 2000 倍希釈;Amersham )または HRP 標識抗
ウサギ IgG 抗体( 2000 倍希釈;Amersham )を用い
た。発色は ECLplus Western Blot Detection System
( Amersham )を用いて行なった。その結果、TGC838
タンパク及び TGC839 タンパクは培養上清中に分泌され
ることが分った(図9)。また、pCAN618/H838 DNA ま
たは pCAN618/H838F DNA を導入した COS7 細胞の培養
上清において、分泌産物は電気泳動上は同じ移動度であ
り、さらにこれらが抗 FLAG ペプチドに対する抗体で検
出できないことから、TGC838 タンパクは C 末がプロセ
シングされた形で分泌されていることが分った(図10
および図11)。
【0093】実施例 25 TGC838 タンパク及び TGC839
タンパクの各抗体を用いた免疫沈降 10μl の Protein G Sepharose( Pharmacia )を TB
S-T/BSA( 25 mM Tris-Hcl ( pH 7.2 )、150 mM NaC
l、0.05% Tween 20、0.01% BSA )で 30 分処理した
後、TBS-T/BSA で希釈したマウス IgG 10μg またはウ
サギ抗血清 5μl を加えて 2 時間反応させた。TBS-T/
BSA で 3 回洗浄後、実施例 21 で得た培養上清(発現
ベクター pCAN618/H838F DNA または発現ベクター pCA
N618/H839F DNA を導入した COS7 細胞の培養上清を限
外濾過で濃縮したもの)を加えて 2 時間反応させた。T
BS-T/BSA で 4 回洗浄後、SDS-Sample Buffer を加え
て 90℃、2 分間結合しているタンパクを溶出した。こ
れに2-Mercaptoethanol を含む同量の SDS-Sample Buff
er を加えて Peptide-PAGE( TEFCO )で電気泳動し、
これを PVDF 膜( Amersham )に電気的に移して Weste
rn Blot 解析を行なった(図12)。一次抗体としてマ
ウス抗血清( No. 8 マウス;実施例 14 に記載)を用
い、二次抗体には HRP 標識抗マウス IgG 抗体( 2000
倍希釈)を用いた。発色は ECLplus Western Blot Dete
ction System( Amersham )を用いて行なった。
【0094】実施例 26 TGC838 タンパク及び TGC839
タンパクの糖鎖付加の確認 TGC838 タンパク及び TGC839 タンパクのアミノ酸配
列から予測される 2 箇所の N 型糖鎖付加部位に実際に
糖鎖が付いていることを確かめるために、これらの糖鎖
の酵素処理による除去を行なった。実施例 21 で得た C
OS7 細胞の培養上清を限外濾過で 10 倍に濃縮し、N-Gl
ycosidase F Deglycosylation Kit( Boehringer )を
用いて糖鎖を除去した。反応産物は限外濾過で濃縮した
後、実施例 24 と同様の方法で Western Blot 解析を行
なった。その結果、TGC838 タンパク及び TGC839 タン
パクともに約 10 kDa 分子量が小さいほうにシフトし、
これらのタンパクが明らかに N 型糖鎖を付加されてい
ることが実証された(図13)。
【0095】実施例 27 ヒト Chondrosarcoma 細胞株
( SW1353 )の培養と培養上清の回収 SW1353 細胞は 10% FBS を含む L15 培地( ICN Bioc
hemicals )で対数増殖期後半まで培養し、その培養上
清を回収した。遠心によって浮いている細胞を除いた
後、上清中の発現産物を調べた。
【0096】実施例 28 抗TGC839FLAG モノクローナル
抗体を用いた EIA の設定 TGC839FLAGは以下の方法にて調製した。すなわち、実
施例23で得られたTGC839FLAG産生細胞CHO-K1/61
8-839F6-3の培養上清1000mLをホローファイバーを用
いて20mLに濃縮した。該濃縮液に1.5M NaCl含有500mM
MOPS緩衝液(pH7.5)を1/10量添加し、これを150mM NaC
l含有50mM MOPS緩衝液(pH7.5)で平衡化したAnti-FLAG
M2 Affinity GEL(SIGMA社)5mLに供してTGC839FLAGを
吸着させた。同ゲルを150mM NaCl含有50mM MOPS緩衝
液(pH7.5)で十分洗浄した後、TGC839FLAGは100mM Glyc
ine-HCl緩衝液(pH3.5)で溶出させた。該TGC839FLAG溶液
はさらに1M Tris-HCl緩衝液(pH9.0)で中和した後、Cen
tricon30 (Amicon社)で1mLにまで濃縮した。精製標品
のタンパク濃度はBCA Protein Assay Reagent (PIE
RCE社)を用いて測定した。その結果、培養上清1000mL
より約500μgのTGC839FLAGが得られた。 抗TGC839FLA
Gモノクローナル抗体産生細胞の作製は、実施例15に
準じて行った。すなわち、上記の方法により精製したTG
C839FLAGをマウスに免疫した後、同マウスより脾細胞を
単離し、これをマウスミエローマ細胞P3X63Ag8U.1と
融合させることによりハイブリドーマを作製した。その
後TGC839FLAGに対する抗体価を有するクローンの中か
ら、抗TGC839FLAGモノクローナル抗体産生ハイブリドー
マとして、モノクローナル抗体No.839-01を産生するハ
イブリドーマ839−01及びモノクローナル抗体No.8
39-02を産生するハイブリドーマ839−02を選択し
た。 抗TGC839FLAGモノクローナル抗体を用いたEIA
系は下記の方法により調製した。すなわち、抗TGC839FL
AGモノクローナル抗体No.839-01(20μg/mL)含有50mM
MOPS緩衝液(pH7.5)に1/8インチポリスチレンビーズ
(イムノケミカル社)を浸漬し4℃で一晩静置した後、
これを1%BSA含有50mM MOPS緩衝液(pH7.5)で3回洗浄
した。次いで該ビーズを1%BSA含有50mM MOPS緩衝液(p
H7.5)に浸漬し、さらに4℃で一晩静置することにより
抗TGC839FLAGモノクローナル抗体ビーズを作製した。一
方、抗TGC839FLAGモノクローナル抗体No.839-02は常法
(石川英治著、「酵素標識法」、学会出版センター、1
991年、p62の方法)に従いペルオキシダーゼ(PO
D、Roche社)標識した。 TGC839FLAGの測定は上記のよ
うに調製した試薬を用いて、全自動化学発光酵素免疫測
定装置・スフィアライト180(オリンパス光学工業)
を用いて行った。すなわち、上記の抗TGC839FLAGモノク
ローナル抗体ビーズ1個を該測定装置内で、各濃度に調
製した標準TGC839FLAG液 50μLと2%BSA含有50mM MOPS
緩衝液(pH7.5)90μLとともに37℃、7分間反応させた
後、該ボールを取り出して生理食塩液で洗浄した。これ
を2%BSA含有50mM MES緩衝液(pH6.5)で5μg抗体/mL
濃度に希釈したPOD標識抗TGC839FLAGモノクローナル抗
体溶液140μLと37℃、7分間反応させた。反応後に該ボ
ールを生理食塩液で洗浄後、5mMルミノール及び0.02%過
酸化水素含有50mM Tris-HCl緩衝液(pH8.5)140μLと
反応させることにより発光量(cps)を測定した(表
1)。得られた検量線の結果を図14に示す。
【表1】
【0097】 次に、設定したEIA系を用いて、各種
細胞株の培養上清中、健常者及び癌患者より採取した血
漿中のTGC838量を測定した。CHO-K1/TGC83
8N-4及びCOS7/TGC838細胞の培養上清は下
記の方法を用いて採取した。すなわち、実施例22で得
られたCHO-K1/TGC838N-4細胞を6穴プレート
にサブコンフルエントに培養した後、培養液を0.05% C
HAPSを含有したOpti-MEM培地(ライフテック オリエン
タル(株))に交換して2日間培養した。一方COS7
/TGC838細胞の培養上清は、実施例21の方法に
準じて採取した。SW1353細胞の培養上清は、10
%牛胎児血清を含有したMEM培地でサブコンフルエン
トに培養した後採取した。また実際に、健常者(男
(M)5例、女(F)3例)、及び癌患者(肝臓癌患者
(HCC)5例、大腸癌患者(Large intestine)3
例)から採取した血漿中におけるTGC838量につい
て測定した。各々の結果を表2、表3および表4、図1
5および図16に示すが、ここで健常者及び癌患者から
採取した血漿中におけるTGC838量は490nmでの
吸光量で示した。また各種培養細胞より得た上清中のT
GC838量は精製組換えTGC838タンパク量をコ
ントロールとして検量線から割り出した値を示した。
【表2】
【表3】
【表4】
【0098】実施例29 FACSを用いたTGC83
9タンパク結合細胞の同定 (1)血球細胞の調製 ヒト末梢血より比重遠心法により血球細胞を調製し
た。 EDTA2ナトリウム塩を0.1 % 加えたヒト末梢血40
mlを等量のPBSで希釈した。 Ficoll-Paque PLUS [ Amer
sham Pharmacia Biotech AB社( Uppsala, Sweden ) 17-
1440-02 ] を3.5 mlずつ 15 ml 遠心チューブにとり、
その上に希釈した血液を 7 mlずつ重層した。400 x gで
30分間遠心し、リンパ球と単球からなる血球層を分離
・回収した。回収した血球細胞に 3倍容量の PBSを加え
た後遠心し、洗浄した細胞を回収し、更にPBSで3回洗浄
して血球細胞を回収した。 (2)得られた血球細胞の染色 2x106個ずつの血球細胞に対して TGC839-FLAGタンパ
ク 10 ng/μl を含む洗浄液 ( PBS / 0.1 % NaN3 / 1
% FBS ) または洗浄液のみ ( 陰性対照 ) を 100 μl
加えて懸濁し、 4 ℃ で一時間反応させた。反応させた
後、遠心して反応液を除き、反応後の血球細胞を洗浄液
500 μl で二回洗浄した。次に洗浄液を除き、抗 FLAG
M2 抗体 [ シグマ社 ( MO, USA ) F-3165 ] 10 ng/μ
l を含む洗浄液を 100 μl 加えて懸濁し、 4 ℃ で 40
分間反応させた後、洗浄液 500 μl で二回洗浄した。
その後、FITC 標識 - ヤギ抗マウス免疫グロブリン抗体
[ PharMingen ( CA, USA ) 12064D ] 10 ng/μl を含
む洗浄液を 100 μl 加えて懸濁し、暗所にて 4 ℃ で
40 分間反応させ、洗浄液 500 μl で二回洗浄した。
洗浄液 100 μl で再懸濁した後、PE(Phycoerythrin)
標識 - 抗ヒト CD56 抗体 ( B159 ) 液 [ PharMingen
( CA, USA ) 31665X ] を 20 μl 加えて混合し、暗所
にて室温で 25 分間反応させ、洗浄液 1000 μl で二
回洗浄した。さらに洗浄液 500 μl にて懸濁し、セル
ストレーナーで細胞塊などを除いた後 FACS に供した。 (3)FACS解析 FACSは BECTON DICKINSON社 ( NJ, USA ) の FACScan
を用い、解析ソフトは BECTON DICKINSON の CellQuest
version 1.2.2を使用した。測定データについては、
各サンプル 1x105 ずつの細胞について解析した。 そ
の結果、測定した全ての細胞について x 軸に FITC強
度、 y 軸に細胞数をとって TGC839-FLAGタンパク に結
合した細胞数について解析したところ、TGC839-FLAGタ
ンパク を添加したサンプルでは TGC839-FLAGタンパク
を添加しなかった陰性対照よりも FITC に染まった細胞
が多く見られたことから、TGC839タンパクに結合するリ
ンパ球が存在することが確認された(図17)。さら
に、このことからリンパ球に TGC838タンパク と結合す
る細胞が含まれていることが示唆された。 さらに測定
した全ての細胞について x 軸にFITC強度、 y 軸に SSC
( 側方散乱光 ) をとって細胞分布を調べ、 TGC839-FL
AG に結合した細胞群にゲートをかけた ( R1 ) 。次に
R1 細胞群について FITC強度、 y 軸に PE強度をとって
細胞分布を調べ、 TGC839-FLAG に結合し CD56を発現す
る細胞群 ( R2 ) とTGC839-FLAG に結合し CD56を発現
していない細胞群 ( R3 ) とに分けたところ、TGC839-F
LAG に結合する細胞のほとんどが CD56 を発現している
ことが示され、NK 細胞に TGC839に対する受容体が発現
していることが判明した(図18および表5)。さら
に、このことからNK 細胞に TGC838 の受容体が発現し
ていることが示唆された。
【表5】
【0099】実施例30 NK 細胞の細胞傷害性に対す
る TGC839 タンパクの影響 新鮮なヒトの末梢血から Ficoll-Paque( Pharmacia
)を用いて白血球を分離し、これを MACS 及び NK cel
l Isolation kit(ともに Miltenyi Biotec )を用いて
NK 細胞を得た。得られた細胞を 10% FBS 及び IL15
( 50 ng/ml;R & D Systems )を含む RPMI1640 Medi
um 中で 24 時間培養した。細胞を洗浄した後、10% FBS
及び IL12( 1 ng/ml;R & D Systems )及び TGC839
FLAG( 0 - 500 ng/ml )を含む RPMI1640 Medium (
GibcoBRL )中で 16 時間培養し、さらに細胞を洗浄し
た後 Effector 細胞として細胞傷害性を調べた。一方標
的細胞として、ヒト白血病細胞株 K562( ATCC ) を
51Cr で標識して用いた。5×106 細胞の K562 細胞を R
PMI1640 Medium で洗浄後、 [ 51Cr ] Na2CrO4 ( N
EN )を 100μCi を加えて 37℃ で 1 時間標識
した。細胞を洗浄後、10% FBS を含む RPMI1640 Medium
中で 1 時間培養した。細胞を洗浄し、104 /well で
96-well plate にまいた。これに 1 - 12 倍の比で先の
Effector 細胞を加え、7 時間培養した。細胞傷害性
は、遊離してきた培養上清中の放射活性をγ-カウンタ
ー( Beckman )で測定し、次の式で求めた(図1
9)。
【数1】
【0100】実施例31 NK 細胞及び K562 細胞の増
殖に対する TGC839 タンパクの影響 ヒトの末梢血から実施例 1 と同様の方法で NK 細胞
を得た。得られた細胞は 10% FBS 及び IL15( 50 ng/
ml )を含む RPMI1640 Medium 中で 24 時間培養した
後、細胞を洗浄した。この NK 細胞( 105 /well )及
びK562 細胞( 2×104 /well )を 96-well plate に
まき、10% FBS 及び IL12( 1 ng/ml )及び TGC839FL
AG( 0 - 500 ng/ml )を含む RPMI1640 Medium 中で
40 時間培養した。最後の 12 時間は BrdU での標識を
行ない、Cell Proliferation ELISA( Boehringer )を
用いて細胞の増殖を調べた。検出は 450 nm の吸光(A
450)で調べた(図20、図21)。 また、遠心で細
胞を除いた後、Quantokine IFN-γImmunoassay( R & D
Systems )を用いて培養上清中の IFN-γ の値を調べ
た(図22)。
【0101】
【発明の効果】 本発明のタンパク質などは、例えば、
細胞増殖活性などを有するため、疾患組織摘出後の組織
再生剤などとして使用することができる。また、本発明
のタンパク質は、本発明のタンパク質の活性を促進もし
くは阻害する化合物またはその塩のスクリーニングのた
めの試薬として有用であり、スクリーニングによって得
られる阻害剤は各種癌(例、子宮体癌、子宮内膜腫瘍、
乳癌、大腸癌、前立腺癌、肺癌、腎臓癌、神経芽腫、膀
胱癌、黒色腫等)の予防・治療剤として期待される。
さらに、本発明のタンパク質に対する抗体は、本発明の
タンパク質を特異的に認識することができるので、被検
液中の本発明のタンパク質の定量などに使用することが
でき、上記各種癌の診断剤として利用することができ
る。また、本発明のタンパク質に対するヒト化抗体は、
上記各種癌の予防・治療剤として用いることができる。
【0102】
【配列表】 <110> Takeda Chemical Industries, Lt
d. <120> Novel Protein and its Use <130> B00033 <150> JP 11−068302 <151> 1999−03−15 <150> JP 11−213635 <151> 1999−07−28 <150> JP 11−222200 <151> 1999−08−05 <160> 9 <210> 1 <211> 252 <212> PRT <213> Human <400> 1 Met Ala Ala Ala Ala Ala Thr Lys Ile
Leu Leu Cys Leu Pro Leu Leu 1 5
10 15 Leu Leu Leu Ser Gly|Trp Ser Arg Ala
Gly Arg Ala Asp Pro His Ser 20 25
30 Leu Cys Tyr Asp Ile Thr Val Ile Pro|
Lys Phe Arg Pro Gly Pro Arg 35 40
45 Trp Cys Ala Val Gln Gly Gln Val Asp
Glu Lys Thr Phe Leu His Tyr 50 55
60 Asp Cys Gly Asn Lys Thr Val Thr Pro
Val Ser Pro Leu Gly Lys Lys 65 70
75 80 Leu Asn Val Thr Thr Ala Trp Lys Ala
Gln Asn Pro Val Leu Arg Glu 85
90 95 Val Val Asp Ile Leu Thr Glu Gln Leu
Arg Asp Ile Gln Leu Glu Asn 100 105
110 Tyr Thr Pro Lys Glu Pro Leu Thr Leu
Gln Ala Arg Met Ser Cys Glu 115 120
125 Gln Lys Ala Glu Gly His Ser Ser Gly
Ser Trp Gln Phe Ser Phe Asp 130 135
140 Gly Gln Ile Phe Leu Leu Phe Asp Ser
Glu Lys Arg Met Trp Thr Thr 145 150
155 160 Val His Pro Gly Ala Arg Lys Met Lys
Glu Lys Trp Glu Asn Asp Lys 165
170 175 Val Val Ala Met Ser Phe His Tyr Phe
Ser Met Gly Asp Cys Ile Gly 180 185
190 Trp Leu Glu Asp Phe Leu Met Gly Met
Asp Ser Thr Leu Glu Pro Ser 195 200
205 Ala Gly Ala Pro Leu Ala Met Ser Ser
Gly Thr Thr Gln Leu Arg Ala 210 215
220 Thr Ala Thr Pro Ser Ser Phe Ala Ala
Ser Ser Ser Ser Ser Pro Ala 225 230
235 240 Ser Ser Ser Leu Ala Ser Glu Glu Ser
Pro Leu Glu 245
250 252 <210> 2 <211> 756 <212> DNA <213> Human <400> 2 ATGGCAGCAG CCGCCGCTAC CAAGATCCTT CTG
TGCCTCC CGCTTCTGCT CCTGCTGTCC 60 GGCTGGTCCC GGGCTGGGCG AGCCGACCCT CAC
TCTCTTT GCTATGACAT CACCGTCATC 120 CCTAAGTTCA GACCTGGACC ACGGTGGTGT GCG
GTTCAAG GCCAGGTGGA TGAAAAGACT 180 TTTCTTCACT ATGACTGTGG CAACAAGACA GTC
ACACCTG TCAGTCCCCT GGGGAAGAAA 240 CTAAATGTCA CAACGGCCTG GAAAGCACAG AAC
CCAGTAC TGAGAGAGGT GGTGGACATA 300 CTTACAGAGC AACTGCGTGA CATTCAGCTG GAG
AATTACA CACCCAAGGA ACCCCTCACC 360 CTGCAGGCCA GGATGTCTTG TGAGCAGAAA GCT
GAAGGAC ACAGCAGTGG ATCTTGGCAG 420 TTCAGTTTCG ATGGGCAGAT CTTCCTCCTC TTT
GACTCAG AGAAGAGAAT GTGGACAACG 480 GTTCATCCTG GAGCCAGAAA GATGAAAGAA AAG
TGGGAGA ATGACAAGGT TGTGGCCATG 540 TCCTTCCATT ACTTCTCAAT GGGAGACTGT ATA
GGATGGC TTGAGGACTT CTTGATGGGC 600 ATGGACAGCA CCCTGGAGCC AAGTGCAGGA GCA
CCACTCG CCATGTCCTC AGGCACAACC 660 CAACTCAGGG CCACAGCCAC CCCCTCATCC TTT
GCTGCCT CCTCATCATC CTCCCCTGCT 720 TCATCCTCCC TGGCATCTGA GGAGAGTCCT TTA
GAG 756 <210> 3 <211> 40 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 3 GCGCTCGAAT TCCACCATGG CAGCAGCCGC CGC
TACCAAG 40 <210> 4 <211> 76 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 4 GCGGCCGCTC ACTTGTCATC GTCGTCCTTG TAG
TCCTCTA AAGGACTCTC CTCAGATGCC 60 AGGGAGGATG AAGCAG
76 <210> 5 <211> 246 <212> PRT <213> Human <400> 5 Met Ala Ala Ala Ala Ala Thr Lys Ile
Leu Leu Cys Leu Pro Leu Leu 1 5
10 15 Leu Leu Leu Ser Gly Trp Ser Arg Ala
Gly Arg Ala Asp Pro His Ser 20 25
30 Leu Cys Tyr Asp Ile Thr Val Ile Pro
Lys Phe Arg Pro Gly Pro Arg 35 40
45 Trp Cys Ala Val Gln Gly Gln Val Asp
Glu Lys Thr Phe Leu His Tyr 50 55
60 Asp Cys Gly Asn Lys Thr Val Thr Pro
Val Ser Pro Leu Gly Lys Lys 65 70
75 80 Leu Asn Val Thr Thr Ala Trp Lys Ala
Gln Asn Pro Val Leu Arg Glu 85
90 95 Val Val Asp Ile Leu Thr Glu Gln Leu
Arg Asp Ile Gln Leu Glu Asn 100 105
110 Tyr Thr Pro Lys Glu Pro Leu Thr Leu
Gln Ala Arg Met Ser Cys Glu 115 120
125 Gln Lys Ala Glu Gly His Ser Ser Gly
Ser Trp Gln Phe Ser Phe Asp 130 135
140 Gly Gln Ile Phe Leu Leu Phe Asp Ser
Glu Lys Arg Met Trp Thr Thr 145 150
155 160 Val His Pro Gly Ala Arg Lys Met Lys
Glu Lys Trp Glu Asn Asp Lys 165
170 175 Val Val Ala Met Ser Phe His Tyr Phe
Ser Met Gly Asp Cys Ile Gly 180 185
190 Trp Leu Glu Asp Phe Leu Met Gly Met
Asp Ser Thr Leu Glu Pro Ser 195 200
205 Ala Gly Ala Pro Leu Ala Met Ser Ser
Gly Thr Thr Gln Leu Arg Ala 210 215
220 Thr Ala Thr Thr Leu Ile Leu Cys Cys
Leu Leu Ile Ile Leu Pro Cys 225 230
235 240 Phe Ile Leu Pro Gly Ile 245 246 <210> 6 <211> 738 <212> DNA <213> Human <400> 6 ATGGCAGCAG CCGCCGCTAC CAAGATCCTT CTG
TGCCTCC CGCTTCTGCT CCTGCTGTCC 60 GGCTGGTCCC GGGCTGGGCG AGCCGACCCT CAC
TCTCTTT GCTATGACAT CACCGTCATC 120 CCTAAGTTCA GACCTGGACC ACGGTGGTGT GCG
GTTCAAG GCCAGGTGGA TGAAAAGACT 180 TTTCTTCACT ATGACTGTGG CAACAAGACA GTC
ACACCTG TCAGTCCCCT GGGGAAGAAA 240 CTAAATGTCA CAACGGCCTG GAAAGCACAG AAC
CCAGTAC TGAGAGAGGT GGTGGACATA 300 CTTACAGAGC AACTGCGTGA CATTCAGCTG GAG
AATTACA CACCCAAGGA ACCCCTCACC 360 CTGCAGGCCA GGATGTCTTG TGAGCAGAAA GCT
GAAGGAC ACAGCAGTGG ATCTTGGCAG 420 TTCAGTTTCG ATGGGCAGAT CTTCCTCCTC TTT
GACTCAG AGAAGAGAAT GTGGACAACG 480 GTTCATCCTG GAGCCAGAAA GATGAAAGAA AAG
TGGGAGA ATGACAAGGT TGTGGCCATG 540 TCCTTCCATT ACTTCTCAAT GGGAGACTGT ATA
GGATGGC TTGAGGACTT CTTGATGGGC 600 ATGGACAGCA CCCTGGAGCC AAGTGCAGGA GCA
CCACTCG CCATGTCCTC AGGCACAACC 660 CAACTCAGGG CCACAGCCAC CACCCTCATC CTT
TGCTGCC TCCTCATCAT CCTCCCCTGC 720 TTCATCCTCC CTGGCATC
738 <210> 7 <211> 63 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 7 GCGCTGAATT CCCACCATGG CAGCAGCCGC CGC
TACCAAG ATCCTTCTGT GCCTCCCGCT 60 TCT
63 <210> 8 <211> 71 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 8 TTGCGGCCGC TCACTTGTCA TCGTCGTCCT TGT
AGTCGAT GCCAGGGAGG ATGAAGCAGG 60 GGAGGATGAT G
71 <210> 9 <211> 47 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> <400> 9 TTGCGGCCGC TCAGATGCCA GGGAGGATGA AGC
AGGGGAG GATGATG 47
【0103】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた本発明のタンパク質をコー
ドするDNAの塩基配列および該塩基配列から推定され
るアミノ酸配列を示す。
【図2】実施例2で行われたノーザンブロットの結果を
示す電気泳動図を示す。図のA.(Normal tissue)
中、レーン1は脳、レーン2は心臓、レーン3は骨格
筋、レーン4は大腸、レーン5は胸腺、レーン6は脾
臓、レーン7は腎臓、レーン8は肝臓、レーン9は小
腸、レーン10は胎盤、レーン11は肺、レーン12は
末梢血を示し、図のB.(Cancer cell)中、レーン1は
前骨髄性白血病細胞HL60、レーン2は子宮頚癌Hela
細胞、レーン3は慢性骨髄性白血病細胞K−562、レ
ーン4はリンパ芽球性白血病細胞MOLT4、レーン5
はバーキットリンパ腫細胞Raji、レーン6は結腸癌
細胞SW480、レーン7は肺癌細胞A549およびレ
ーン9は黒色腫細胞 G361を示す。
【図3】実施例2で行われたノーザンブロットの結果を
示す電気泳動図を示す。図のC−1中、レーン1はヒト
肺癌細胞 RERF−LC−A1、レーン2はヒト肺癌細胞 N
CI-H345、レーン3はヒト肺癌細胞 NCI-H4
60、レーン4はヒト肺癌細胞 NCI-H1299、レ
ーン5はヒト胎児正常繊維芽細胞 MRC-5、レーン6
はヒト胎児正常繊維芽細胞 WI-38、レーン7は大腸
癌細胞 HT-29、レーン8は大腸癌細胞 WiDr、
レーン9は乳癌細胞 MCF-7を示す。図のC−2中、
レーン1は神経芽腫細胞 GOTO-P3、レーン2は神
経芽腫細胞 IMR-32、レーン3は神経膠腫細胞 U-
251、レーン4は神経膠腫細胞KNS42、レーン5
は神経膠腫細胞 KNS81を示す。図のC−3中、レ
ーン1は肺癌細胞 NCI-H345、レーン2は神経芽
腫細胞IMR-32、レーン3は前立腺癌細胞 LNCa
p、レーン4は前立腺癌細胞PC-3、レーン5は神経
芽腫細胞 GOTO-P3、レーン6は前骨髄性白血病細
胞 HL-60、レーン7は黒色腫細胞 Bowes、レ
ーン8は乳癌細胞 MCF-7を示す。
【図4】実施例4で行われたウエスタンブロットの結果
を示す電気泳動図を示す。図中、レーン1、2は細胞溶
解物(Cell lysate)、レーン3、4は培養上清(Cultu
re supernatant)、レーン5はMock(COS-7細胞のみの培
養上清)を示す。
【図5】実施例5で得られた本発明のタンパク質をコー
ドするDNAの塩基配列および該塩基配列から推定され
るアミノ酸配列を示す。
【図6】実施例6で行われたノーザンブロットの結果を
示す電気泳動図を示す。図中、レーン9はヒト胃癌細胞
AGS、レーン10はヒト膵臓癌細胞 PANC−1、
レーン11はヒト子宮内膜腫細胞 AN3CA、レーン
12はヒト子宮内膜腫細胞 KLE、レーン13および
レーン14はヒト軟骨腫細胞 SW1353、レーン1
5はヒト子宮内膜腫細胞 SKN、レーン16は腎臓腺
癌細胞 ACHNを示す。
【図7】実施例14で行われたマウス抗血清中の抗体価
の測定結果を示す。図中、■はマウス1の抗血清を、□
はマウス2の抗血清を、▲はマウス3の抗血清を、△はマ
ウス4の抗血清を、●はマウス5の抗血清を、○はマウス
6の抗血清を、┃はマウス7の抗血清を、◇はマウス8の
抗血清を、それぞれ加えたウエルの吸光度を示す。
【図8】実施例17で行われた競合法-EIAの結果を示
す。図中、■はハイブリドーマNo.39-35が、□はハイブ
リドーマNo.53-16が、▲はハイブリドーマNo.61-2が、
△はハイブリドーマNo.76-12が、●はハイブリドーマN
o.85-16が、○はハイブリドーマNo.112-3が、◆はハイ
ブリドーマNo.128-18が、◇はハイブリドーマNo.139-26
が、×はハイブリドーマNo.151-2がそれぞれ産生するモ
ノクローナル抗体のB/B0値を示す。また、各培養上
清の希釈倍率は以下のとおりである。 No.39-35:50倍 No.53-16:50倍 No.61-2:120倍 No.76-12:60倍 No.85-16:120倍 No.112-3:450倍 No.128-18:450倍 No.139-26:120倍 No.151-2:60倍
【図9】実施例 24で行われたTGC838 タンパク及び TGC
839 タンパクの WesternBlot による解析結果を示す。
図中、レーン1、3、5はCHO-K1/TGC838N-4の培養上清
を、レーン2、4、6はCHO-K1/618/839F6-3の培養上清
を電気泳動したレーンを示す。また、レーン1、2は12
8-18抗体(実施例18)を、レーン3、4は112-3抗体
(実施例18)を、レーン5、6はウサギ抗血清(実施
例19)をそれぞれ一次抗体として用いた。
【図10】実施例 24で行われたTGC838 タンパク及び T
GC839 タンパクの Western Blot による解析結果を示
す。図中、レーン1、2はpCAN618/H838 DNA を、レー
ン3、4はpCAN618/H838F DNA を、レーン5、6は pC
AN618/H839F DNA を、レーン7,8は pCAN618 DNA
を、それぞれ導入した COS7の培養上清を電気泳動した
レーンを示す。一次抗体としてマウス抗血清(実施例1
2)を用いた。
【図11】実施例 24で行われたTGC838 タンパク及び T
GC839 タンパクの Western Blot による解析結果を示
す。図中、レーン3、4はpCAN618/H838F DNA を、レ
ーン5、6は pCAN618/H839FDNA を、レーン7,8は
pCAN618 DNA を、それぞれ導入した COS7の培養上清を
電気泳動したレーンを示す。一次抗体として抗FLAGマウ
スIgGを用いた。
【図12】実施例 25で行われたTGC838 タンパク及び T
GC839 タンパクの各抗体を用いた免疫沈降の結果を示
す。図中、レーン1、3、5はpCAN618/H838F DNAを導
入した COS7 細胞の、レーン2、4、6はpCAN618/H83
9F DNAを導入した COS7 細胞の培養上清を示す。また、
レーン1、2は128-18抗体(実施例18)、レーン3、
4はウサギ抗血清(実施例19)を用いて免疫沈降した
ものを示し、レーン5、6はコントロール(抗体不添
加)を示す。
【図13】実施例26で行われた糖鎖付加の確認結果を
示す。図中、レーン1、2はpCAN618/H838 DNA を、レ
ーン3、4はpCAN618/H838F DNA を、レーン5、6は
pCAN618/H839F DNA を、レーン7,8は pCAN618 DNA
を、それぞれ導入した COS7の培養上清を電気泳動した
レーンを示す。レーン1、3、5はN-Glycosidaseで処
理したレーンを示す。
【図14】実施例28で得られた検量線を示す。表1に
対応する。
【図15】実施例28で行われたTGC838量の測定結果を
示す。図中、□はCHO-K1/TGC838N-4の、◇はpCAN618/H
838 DNA を導入した COS7の、○はSW1353-1の、△はSW1
353-2のそれぞれ培養上清中のTGC838量を示す。
【図16】実施例28で行われたTGC838量の測定結果を
示す。図中、○は健常者の、◇は肝臓癌患者の、△は大
腸癌患者のそれぞれ血漿中のTGC838量を示す。
【図17】実施例29で行われたFACS解析の結果を
示す。図中、実線はTGC839FLAGタンパク添加細胞群を、
破線はTGC839FLAGタンパク無添加細胞群を示す。
【図18】実施例29で行われたFACS解析の結果を
示す。図中、+FITC-TGC839FはTGC839FLAGタンパク添加
細胞群を-FITC-TGC839FはTGC839FLAGタンパク無添加細
胞群を示す。
【図19】実施例30で行われたNK細胞の細胞傷害性
に対するTGC839タンパクの影響の測定結果を示す。図
中、○は0 ng/mlを、□は50 ng/mlを、△は150 ng/ml
を、◇は500 ng/mlのTGC839FLAG濃度であることを示
す。
【図20】実施例31で行われたNK細胞の増殖に対す
るTGC839タンパクの影響の測定結果を示す。図中、□と
○は異なる個体由来の末梢血であることを示す。
【図21】実施例31で行われたK562細胞の増殖に
対するTGC839タンパクの影響の測定結果を示す。
【図22】実施例31で行われた培養上清中の IFN-γ
の値の測定結果を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/577 C12N 5/00 B (72)発明者 鈴木 伸宏 茨城県つくば市大字谷田部1077番地50 (72)発明者 新谷 靖 茨城県つくば市春日1丁目7番地9 武 田春日ハイツ703号 (72)発明者 菊地 久仁子 茨城県取手市新町五丁目8−18 サンハ イツ101号 (56)参考文献 国際公開99/031241(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 16/30 C12P 21/08 BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed SwissProt/PIR/GeneS eq GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)配列番号:1で表されるアミノ酸配
    列を含有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまた
    はその塩あるいは(ii)配列番号:1で表わされるアミ
    ノ酸配列中の1〜5個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配
    列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1〜5個
    のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:1で表
    わされるアミノ酸配列に1〜5個のアミノ酸が挿入され
    たアミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配
    列中の1〜5個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された
    アミノ酸配列またはそれらの欠失・付加・挿入・置換を
    組み合わせたアミノ酸配列を含有し、ナチュラルキラー
    細胞の増殖を阻害する活性を有するタンパク質もしくは
    その部分ペプチドまたはその塩、に対する抗体。
  2. 【請求項2】配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有
    するタンパク質またはその塩に対する抗体である請求項
    1記載の抗体。
  3. 【請求項3】配列番号:1で表されるアミノ酸配列の2
    6番目から34番目のアミノ酸配列を有するペプチドま
    たはその塩に対する抗体である請求項1記載の抗体。
  4. 【請求項4】配列番号:5で表されるアミノ酸配列の1
    66番目から190番目のアミノ酸配列を有するペプチ
    ドまたはその塩に対する抗体。
  5. 【請求項5】モノクローナル抗体である請求項1または
    4記載の抗体。
  6. 【請求項6】請求項1または4記載の抗体を含有してな
    る診断剤。
  7. 【請求項7】ヒト化抗体である請求項2記載の抗体。
  8. 【請求項8】請求項5記載のモノクローナル抗体を産生
    する能力を有するハイブリドーマ。
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