JP4827320B2 - 肺高血圧症予防・治療剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な肺高血圧予防・治療剤などに関する。
【0002】
【従来の技術】
MCP−1(Monocyte chemoattractant protein-1:マクロファージ走化性因子)はC-Cケモカインファミリーに属し、動脈硬化症(アテローム性動脈硬化症など)の病変部に多く発現していることが知られている(Takeya, M. et.al., Hum. Pathol. 24:534-539 (1993);Yla-Herttuala, S. et.al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:5252-5257 (1991))。
一方、原発性肺高血圧症(primary pulmonary hypertension:PH)は予後不良の疾患であり、現在のところ、心肺移植が唯一の効果的な治療方法である。しかし、心肺移植療法はドナーが少なく現実的は治療方法としてはかなり問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況に鑑み、心肺移植をすることなく、肺高血圧症(特に原発性肺高血圧症)を治療することを可能たらしめる肺高血圧症の治療剤の開発が期待されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
MCP−1(Monocyte chemoattractant protein-1:マクロファージ走化性因子)はC-Cケモカインファミリーに属し、動脈硬化症(アテローム性動脈硬化症など)の病変部に多く発現していることが知られている(Takeya, M. et.al., Hum. Pathol. 24:534-539 (1993);Yla-Herttuala, S. et.al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:5252-5257 (1991))。
一方、原発性肺高血圧症では、その初期に肺小動脈の炎症(単球/マクロファージを主体として炎症反応)が生じ、ついで中膜肥厚による肺血管抵抗の増加、右心室肥大などが起るが、本発明者らは上記MCP−1の作用を抑制する作用を有するMCP−1の拮抗阻害型ムテイン等(本明細書において「拮抗阻害型ムテイン」とは、「ドミナントネガティブムテインまたはミュータント」と同意義に用いられる場合がある)が、予想外にも原発性肺高血圧症の予防・治療剤として用いられることを見出した。さらに研究を進めることにより、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)MCP−1の拮抗阻害型ムテインもしくはその塩、MCP−1の拮抗阻害型ムテインをコードする塩基配列を有するDNAまたはMCP−1に対する中和抗体を含有してなる肺高血圧症予防・治療剤、
(2)MCP−1の拮抗阻害型ムテインが7ND−MCP−1である上記(1)記載の剤、
(3)肺高血圧症が原発性肺高血圧症である上記(1)記載の剤、
(4)肺高血圧症予防・治療作用を有する医薬を製造するための上記(1)記載のMCP−1の拮抗阻害型ムテインもしくはその塩、MCP−1の拮抗阻害型ムテインをコードする塩基配列を有するDNAまたはMCP−1に対する中和抗体の使用。
(5)上記(1)記載のMCP−1の拮抗阻害型ムテインもしくはその塩、MCP−1の拮抗阻害型ムテインをコードする塩基配列を哺乳動物に投与することを特徴とする肺高血圧症予防・治療方法などに関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のMCP−1の拮抗阻害型ムテイン(以下、単に本発明のムテインと称する場合がある)はMCP−1(Rollins, B.J. Chemokines. Blood. 90:909-928 (1997));配列番号:1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質)の有する作用(例えば、単球/マクロファージ走化(遊走)作用など)を抑制する作用を有していれば、いかなるものであってもよいが、具体的には、
(1)MCP−1のN末端から2〜76番目の部分アミノ酸配列からなるムテイン、
(2)MCP−1のN末端から3〜76番目の部分アミノ酸配列からなるムテイン、
(3)MCP−1のN末端から4〜76番目の部分アミノ酸配列からなるムテイン、
(4)MCP−1のN末端から5〜76番目の部分アミノ酸配列からなるムテイン、
(5)MCP−1のN末端から6〜76番目の部分アミノ酸配列からなるムテイン、
(6)MCP−1のN末端から7〜76番目の部分アミノ酸配列からなるムテイン、
(7)MCP−1のN末端から8〜76番目の部分アミノ酸配列からなるムテイン、
(8)MCP−1のN末端から9〜76番目の部分アミノ酸配列からなるムテイン、
(9)MCP−1のN末端から10〜76番目の部分アミノ酸配列からなるムテイン、
(10)MCP−1のN末端から11〜76番目の部分アミノ酸配列からなるムテイン、
(11)MCP−1のN末端から2〜8番目のアミノ酸残基が欠失したアミノ酸配列(配列番号:2)からなるムテイン(本明細書においては、「7ND−MCP−1」と称する)、
(12)MCP−1のN末端から3番目のAspがAlaに置換されたムテイン、
(13)MCP−1のN末端から22番目のValがAspに置換されたムテイン、
(14) MCP−1のN末端から24番目のArgがLeuに置換されたムテインなどがあげられ、特に、7ND−MCP−1が好ましく用いられる。
本発明のムテインは、例えば、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、サルなど)のあらゆる細胞(例えば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など)、またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底核、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸、十二指腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋などに由来するタンパク質のムテインであってもよく、また合成タンパク質であってもよい。
【0007】
また、本発明のムテインとしては、MCP−1の有する作用(例えば、単球/マクロファージ走化(遊走)作用など)を抑制する作用を有しているかぎり、配列番号:2と実質的に同一のアミノ酸配列を有していてもよく、配列番号:2と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列と約40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などがあげられる。
【0008】
また、本発明のムテインには、▲1▼配列番号:2で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜20個程度、好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼配列番号:2で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(例えば1〜20個程度、好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、▲3▼配列番号:2で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜20個程度、好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または▲4▼それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するムテインも含まれる。
上記のようにアミノ酸配列が欠失または置換されている場合、その欠失または置換の位置としては、特に限定されない。
【0009】
本発明のムテインは、ペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:2で表わされるアミノ酸配列からなるムテインをはじめとする、本発明のムテインは、C末端が通常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート(−COO-)であるが、C末端がアミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)であってもよい。
ここでエステル基のRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1-6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6-12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などが用いられる。
本発明のムテインがC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のムテインに含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
【0010】
さらに、本発明のムテインには、上記したムテインにおいて、N末端のアミノ酸残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれる。
本発明のムテインの塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸)または塩基(例、アルカリ金属)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
本発明のムテインまたはその塩は、前述したヒトや温血動物の細胞または組織から自体公知のタンパク質の精製方法によってMCP−1を製造した後、自体公知の方法に準じて、アミノ酸残基または部分アミノ酸配列を欠失させるなどすることによって製造することもできるし、後述するムテインをコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによっても製造することができる。また、後述のタンパク質合成法またはこれに準じて製造することもできる。
ヒトや温血動物の組織または細胞からMCP−1を製造する場合、ヒトや温血動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行い、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
【0011】
本発明のムテインの合成には、通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることができる。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とするムテインの配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂からムテインを切り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のムテインまたはそれらのアミド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、タンパク質合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミド類としては、DCC、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt, HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なったのちに樹脂に添加することができる。保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、クロロホルム、トリフルオロエタノール、ジメチルスルホキシド、DMF、ジメチルスルホキシド、ピリジン、クロロホルム、ジオキサン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、N-メチルピロリドンあるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はタンパク質結合形成反応に使用され得ることがしられている範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化することによって、後の反応に影響を与えないようにすることができる。
【0012】
原料のアミノ基の保護基としては、例えば、Z、Boc、ターシャリーアミルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタリル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられる。
カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ターシャリーブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどのエステル基)、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエステル、フェナシンエステル、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド、ターシャリーブトキシカルボニルヒドラジド、トリチルヒドラジドなどに導くことによって保護することができる。
セリンの水酸基は、例えば、エステル化またはエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては、例えば、アセチル基などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭素から誘導される基などが用いられる。また、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基、t-ブチル基などである。
【0013】
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl2-Bzl、2−ニトロベンジル、Br-Z、ターシャリーブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、Tos、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられる。
保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd-黒あるいはPd-炭素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反応は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行なわれるが、酸処理においては、例えば、アニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオールのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護および保護基、ならびにその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の基あるいは公知の手段から適宜選択しうる。
【0014】
本発明のムテインのアミド体を得る別の方法としては、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミノ基側にペプチド(タンパク質)鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いたタンパク質とC末端のカルボキシル基の保護基のみを除去したタンパク質とを製造し、この両タンパク質を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上記と同様である。縮合により得られた保護タンパク質を精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗タンパク質を得ることができる。この粗タンパク質は既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望のムテインのアミド体を得ることができる。
本発明のムテインのエステル体を得るには、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、本発明のムテインのアミド体と同様にして、所望のエステル体を得ることができる。
本発明のムテインは、自体公知のペプチドの合成法に従って、あるいはMCP−1を適当なペプチダーゼで切断することによって製造することができる。ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、本発明のムテインを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的の本発明のムテインを製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の▲1▼〜▲5▼に記載された方法が挙げられる。
▲1▼M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド・シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York (1966年)
▲2▼SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptide), Academic Press, New York (1965年)
▲3▼泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株) (1975年)
▲4▼矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タンパク質の化学IV、 205、(1977年)
▲5▼矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成 広川書店
【0015】
また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー・再結晶などを組み合わせて本発明のムテインを精製単離することができる。上記方法で得られる本発明のムテインが遊離体である場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離体または他の塩に変換することができる。
本発明のムテインをコードするDNAとしては、前述した本発明のムテインをコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
【0016】
具体的には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列をからなるMCP−1をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:3で表わされる塩基配列を有するDNA、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列をからなる7ND−MCP−1をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:4で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
【0017】
本発明のムテインをコードするDNAのクローニングの手段としては、本発明のムテインをコードするDNAの部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いて、PCR法によって鋳型となるDNAを増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明のムテインの一部あるいは全領域を有するDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
DNAの塩基配列の変換(欠失・付加・置換)は、公知のキット、例えば、MutanTM-G(宝酒造(株))、MutanTM-K(宝酒造(株))などを用いて、Gapped duplex法やKunkel法などの自体公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って行なうことができる。
クローン化された本発明のムテインをコードするDNAは、目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5'末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3'末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
本発明のムテインをコードするDNAの発現ベクターは、例えば、(イ)本発明のムテインをコードするDNAから目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
ベクターとしては、例えば、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neoなどが用いられる。
用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、HSV-TKプロモーターなどが挙げられる。これらのうち、CMVプロモーター、SRαプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、AOX1プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
発現ベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合がある)遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amprと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)等が用いられる。dhfr遺伝子はメソトレキセート(MTX)耐性を、NeoはG418耐性を付与する。特に、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHOを用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、チミジンを含まない培地によっても目的とする遺伝子を選択することができる。
また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、タンパク質のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場合には、例えばインシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
【0018】
このようにして構築された本発明のムテインをコードするDNAを含有するベクターを細胞に導入することによって形質転換体を製造することができる。
宿主としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌としては、例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology)〕,120巻,517(1978)〕,HB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティックス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用いられる。
バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R-,NA87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピキア パストリス(Pichia pastoris)KM71などが用いられる。
昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞またはEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィトロ(in Vitro),13, 213-217,(1977))などが用いられる。
【0019】
昆虫としては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(1985)〕。
動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhfr-)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−20,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細胞、293細胞、C127細胞、BALB3T3細胞、Sp−2細胞などが用いられる。これらの中でも、CHO細胞、CHO(dhfr-)細胞、293細胞などが好ましい。
エシェリヒア属菌を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,107(1982)などに記載の方法に従って行なうことができる。
バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & General Genetics),168巻,111(1979)などに記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology),194巻,182−187(1991)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978)などに記載の方法に従って行なうことができる。
【0020】
昆虫細胞や昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988))などに記載の方法に従って行なうことができる。
動物細胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8 新細胞工学実験プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,456(1973)に記載の方法に従って行なうことができる。
発現ベクターの細胞への導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法〔Graham, F. L. and van der Eb, A. J.ヴィロロジー(Virology) 52, 456-467(1973)〕、電気穿孔法〔Nuemann, E. et al. エンボ・ジャーナル(EMBO J.) 1, 841-845(1982)〕等が用いられる。
このようにして、本発明のムテインをコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体を得ることができる。
なお、動物細胞を用いて、本発明のムテインを安定に発現させる方法としては、上記の動物細胞に導入された発現ベクターが染色体に組み込まれた細胞をクローン選択によって選択する方法がある。具体的には、上記の選択マーカーを指標にして形質転換体を選択することができる。さらに、このように選択マーカーを用いて得られた動物細胞に対して、繰り返しクローン選択を行なうことにより本発明のムテインの高発現能を有する安定な動物細胞株を得ることができる。また、dhfr遺伝子を選択マーカーとして用いた場合、MTX濃度を徐々に上げて培養し、耐性株を選択することにより、dhfr遺伝子とともに、本発明のムテインをコードするDNAを細胞内で増幅させて、さらに高発現の動物細胞株を得ることもできる。
上記の形質転換体を本発明のムテインをコードするDNAが発現可能な条件下で培養し、本発明のムテインを生成、蓄積せしめることによって、本発明のムテインを製造することができる。
【0021】
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどがそれぞれ用いられる。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Experiments in Molecular Genetics),431−433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば3β−インドリル アクリル酸のような薬剤を加えることができる。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,5330(1984)〕が挙げられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、Grace's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
【0022】
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイエンス(Science),122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Journal of the American Medical Association)199巻,519(1967)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of the Society for the Biological Medicine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
特に、CHO(dhfr-)細胞およびdhfr遺伝子を選択マーカーとして用いる場合、チミジンをほとんど含まない透析ウシ胎児血清を含むDMEM培地を用いるのが好ましい。
上記培養物から本発明のムテインを分離精製するには、例えば、下記の方法により行なうことができる。
本発明のムテインを培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により本発明のムテインの粗抽出液を得る方法などが適宜用い得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのタンパク変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。
培養液中にタンパク質が分泌される場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる本発明のムテインの精製は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
【0023】
かくして得られる本発明のムテインが遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、組換え体が産生する本発明のムテインを、精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。
かくして生成する本発明のムテインの存在は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
MCP−1に対する中和抗体(以下、本発明の抗体と称することがある)はMCP−1を中和する作用を有し、MCP−1を認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。
本発明の抗体は、MCP−1を抗原として用い、自体公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
(a)モノクロナール抗体産生細胞の作製
MCP−1は、温血動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なうことができる。温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが用いられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種または異種の骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化タンパク質等と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (1975)〕に従い実施できる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
【0024】
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物由来の骨髄腫細胞が用いられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施することができる。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、タンパク質抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したタンパク質を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが用いられる。
【0025】
モノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地で行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0026】
(b)モノクロナール抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、自体公知の方法、例えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
〔ポリクローナル抗体の作製〕
ポリクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じる方法にしたがって製造することができる。例えば、免疫抗原(タンパク質抗原)とキャリアー蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物からポリクローナル抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造することができる。
温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミンやウシサイログロブリン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことができる。
ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された温血動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
【0027】
上記の本発明のムテイン、本発明のムテインをコードする塩基配列を有するDNAまたは本発明の抗体は、例えば、肺高血圧症、より具体的には、原発性肺高血圧症の予防・治療剤として用いることができる。
本発明のムテインをコードする塩基配列を有するDNAを上記の治療・予防剤として使用する場合は、該DNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従ってヒトまたは温血動物に投与することができる。本発明のDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
本発明のムテインを上記の治療・予防剤として使用する場合は、少なくとも90%、好ましくは95%以上、より好ましく98%以上、さらに好ましくは99%以上に精製されたものを使用するのが好ましい。
本発明のムテインまたは本発明の抗体を上記の予防・治療剤として使用する場合は、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、本発明のムテインを生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80TM、HCO−50など)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調整された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。
上記のDNAが挿入されたベクターも上記と同様に製剤化され、通常、非経口的に使用される。
【0028】
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
また、上記の本発明のムテインをコードするDNA、上記のDNAを含有してなるベクター等は、肺高血圧症(特に、原発性肺高血圧症)の遺伝子治療に用いることができる。
本発明の予防・治療剤の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、原発性肺高血圧症患者に本発明のムテイン、本発明のDNAまたは本発明の抗体を注射剤の形で成人(体重60kgとして)に投与する場合、一日につき有効成分として約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を患部に注射することにより投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0029】
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
【0030】
また、本明細書中で繁用される置換基、保護基および試薬を下記の記号で表記する。
【0031】
本明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕
MCP−1のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:2〕
7ND−MCP−1のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:3〕
MCP−1をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:4〕
7ND−MCP−1をコードするDNAの塩基配列を示す。
【0032】
【実施例】
以下に、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
実施例1 モノクロタリン(MCT)誘発ラット肺高血圧症モデルにおけるMCP-1の拮抗阻害型ムテインの作用
方法:正常ラット(市販の雄性正常血圧ラット(6〜8週齢))を4群に分けた。第1群は無処置対照群、第2群はMCT(60mg/kg,s.c.)処置対照群、第3群はMCT処置+7ND-MCP-1の1回投与群(MCT処置と同時投与)および第4群はMCT処置+7ND-MCP-1の2回投与群(MCT処置時とMCT処置2週間後)とした。すなわち、遺伝子導入3日前にマーカイン500μlをラット両側大腿四頭筋に注入し、その3日後に、MCT(60mg/kg,s.c.)処置対照群のラットには、MCT 60mg/kgを皮下注射した。7ND-MCP-1の1回投与群のラットには、 MCT 60mg/kgと同時に7ND-MCP-1発現プラスミド500μgを数箇所に分けて両側大腿四頭筋に注入した。 MCT処置+7ND-MCP-1の2回投与群のラットには、 MCT 60mg/kgと同時に7ND-MCP-1発現プラスミド500μgを数箇所に分けて両側大腿四頭筋に注入した後、14日目に7ND-MCP-1発現プラスミド500μgを数箇所に分けて両側大腿四頭筋に注入した。MCT処置1、2、3および4週間目に、心エコーによる心室の形態および内腔サイズの変化および右心室内圧、4週目に摘出した心臓について、心重量、右心室壁厚および心室内腔サイズを、また肺について形態学的解析を行った。
なお、7ND-MCP-1発現プラスミドは、MCP-1cDNAを鋳型として、自体公知のPCRにより7ND-MCP-1cDNAを取得し(7ND-MCP-1の3'末端にはFLAG配列が付加していてもよい)、該7ND-MCP-1cDNAをpCDNA3発現プラスミドのBamHIサイトとNotIサイトの間に5'端がBamHIサイト側、3'端がNotIサイトになるように導入することにより、作製した。
結果を以下に示す。
1.肺高血圧に対する作用
右心室圧は無処置対照群で26.2 ± 4.7 mmHgであったのがMCT処置4週間後に69.7 + 2.1 mmHgと上昇していたが、7ND-MCP-1(MCP−1の拮抗阻害型ムテイン)の1回投与で37.3 ± 4.6 mmHg、2回投与でそれぞれ45.6 ± 9.8 mmHgと有意に血圧低下作用が確認された。
2.心重量、心臓の形態変化に対する作用
MCT処置群では、右心室の肥大、特に右心室壁厚の肥厚および内腔拡大が認められたが、7ND-MCP-1の投与でこれらの変化が抑制されていた。
3.血管および肺に対する作用
右心室の小動脈において、MCT投与群では中膜の有意な肥厚が認められたが、7ND-MCP-1の投与でこれらの変化が抑制された。また、MCT処置群では肺胞腔内を中心に多数のマクロファージと単核球の浸潤を認めたが、7ND-MCP-1の投与でこれらの変化が抑制された。
7ND-MCP-1投与によるラットにおけるモノクロタリン誘発肺高血圧症とそれに附随して進展する肺動脈ならびに心室壁のリモデリングから、MCP-1の拮抗阻害型ムテインは、肺高血圧症(特に、原発性肺高血圧症)に対する予防・治療剤となりうる。
【0033】
【配列表】
【0034】
【発明の効果】
本発明のMCP−1の拮抗阻害型ムテイン、MCP−1の拮抗阻害型ムテインをコードする塩基配列を有するDNAまたはMCP−1に対する中和抗体を含有してなる剤は、肺高血圧症(特に、原発性肺高血圧症)の予防・治療のための医薬として有用である。
Claims (5)
- 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列を有するDNAまたは前記DNAを含むベクターを含有してなる肺高血圧症予防・治療剤。
- 前記ベクターがプラスミドベクターまたはウイルスベクターである請求項1記載の剤。
- 肺高血圧症が原発性肺高血圧症である請求項1記載の剤。
- 肺高血圧症予防・治療作用を有する医薬を製造するための請求項1記載の配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列を有するDNAまたは前記DNAを含むベクターの使用。
- 筋肉投与製剤である、請求項1記載の剤。
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