JP4175678B2 - 新規ペプチド、その製造法および用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な生理活性ペプチド、特にヒト由来のソマトスタチン様活性またはコルチスタチン様活性を有するペプチドおよびその前駆体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ソマトスタチンは、成長ホルモン抑制因子としてヒツジ視床下部から単離同定された〔Guillemin, R. et al.、サイエンス(Science)、179巻、77-79頁、1973年〕。ソマトスタチンは14個のアミノ酸から成り、3位のCysと14位のCysによるS−S結合によって環状構造をしている(ソマトスタチン-14)。また、ソマトスタチン-14のN端に14個のアミノ酸が付加した、ソマトスタチン-28も同定されている。
ソマトスタチンは、広く中枢神経系に分布し、また末梢では膵臓、消化管などの臓器や末梢神経にも存在する。現在では、成長ホルモンの分泌抑制のみならず、甲状腺刺激ホルモン、プロラクチンなどの下垂体ホルモンや、ガストリン、インシュリンなどの消化管ホルモン分泌を抑制するほか、神経伝達物質としても作用することが知られている〔Brownstain, M. et al.、エンドクリノロジー(Endocrinology)、96巻、1456-1461頁、1975年〕。さらに、細胞増殖をも抑制することが明らかにされた。したがって、ホルモンの過剰分泌や腫瘍増殖を抑制する目的で、ソマトスタチンの種々の誘導体が合成され臨床応用が試みられてきた。
スクリプス研究所のチームが、ソマトスタチンに類似した構造を有する新しい神経ペプチドについて報告している。ラットコルチスタチン(cortistatin)と名付けられたこのペプチド(前駆体はプレプロコルチスタチンと呼ばれる)はソマトスタチンとは違う遺伝子の産物であることが分かっている。しかし、コルチスタチンは、睡眠のうちレム睡眠の相だけを短くする作用があり、大脳皮質に低周波数の波を生じさせる。また、コルチスタチンは、それ自身がレム睡眠の誘発物質であるアセチルコリンの効果を妨げる。コルチスタチンは、神経活動や睡眠の調節物質として働いていると推定されている〔L. de Lecea et al. ネイチャー(Nature) 381, 16 MAY 1996〕。
【0003】
ソマトスタチンの作用は、ソマトスタチンが細胞膜上に存在する高親和性で特異的なレセプター(ソマトスタチンレセプター)と結合し、GTP結合蛋白質を介して細胞内情報伝達系に伝わることによる。最初に、ソマトスタチンレセプターサブタイプ1(以下、SSTR1と略称する場合がある)およびサブタイプ2(以下、SSTR2と略称する場合がある)の構造が決定され、報告された〔山田ら、プロシージング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci., USA)、89巻、251-255頁、1992年〕。さらに、サブタイプ3(以下、SSTR3と略称する場合がある)、サブタイプ4(以下、SSTR4と略称する場合がある)およびサブタイプ5(以下、SSTR5と略称する場合がある)をコードするDNAがクローニングされた(〔SSTR3;山田ら、モレキュラー・エンドクリノロジー(Molecular Endocrinology)、6巻、2136-2142頁、1992年〕および〔SSTR4およびSSTR5;山田ら、バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem. Biophys. Res. Commun.)195巻、844-852頁、1993年〕)。これまでに知られている5種のソマトスタチンレセプターサブタイプは、互いにアミノ酸で42〜60%の相同性がある。
【0004】
コルチスタチンの作用もまた、細胞膜上に存在する高親和性の特異的なレセプターと結合し、GTP結合蛋白質を介して細胞内情報伝達系に伝わることによって発揮されると考えられている。実際、コルチスタチン-14は、ラットpituitary cell GH4細胞膜上で、〔125I〕標識ソマトスタチンの結合に対してソマトスタチンと同様のdisplacementを示す〔L. de Lecea et al. ネイチャー(Nature) 381, 16 MAY 1996〕。しかしながら、ソマトスタチン−14とコルチスタチン-14はラットの脳室内投与において睡眠等に対する効果は異なる可能性が示唆されており、ソマトスタチンレセプターサブタイプあるいはソマトスタチン類似のレセプター間に対する各々のペプチドの親和性、作用点の違いが予想されている。さらに、コルチスタチンはソマトスタチンレセプター以外のレセプターについても作用する可能性が考えられている。例えば、ソマトスタチンレセプターに高いホモロジーを示すけれど、ソマトスタチンとの結合が確認できていないレセプターとして、GPR7(U22491)とGPR8(U22492)が報告されている〔Genomics 28, 84-91 (1995)〕が、コルチスタチンはこの様なレセプターに対して作用する可能性も考えられる。以上のように、コルチスタチンについては生体内において特異的なレセプターを介して生理機能の調節に重要な役割を果たしているものと考えられているが、ヒトに関するソマトスタチン様またはコルチスタチン様ペプチドについては、これまで全く知られていなかった。
cDNAライブラリーからランダムに選んだcDNAクローンの部分配列(expressed sequence tags、ESTsと略される)を決定することにより、その臓器や細胞における遺伝子発現のレベルや新規遺伝子を見いだす試みが報告されている。M. D. Adamsらは脳のcDNAライブラリーから得たESTsを多数報告している(ネイチャージェネティクス、4巻、373-380頁、1993年)。
【0005】
ソマトスタチン様またはコルチスタチン様活性を有する新たな生理活性ペプチドは、急性バクテリア髄膜炎,急性心筋梗塞,急性膵炎,急性ウイルス脳炎,成人呼吸促迫症候群,アルコール性肝炎,アルツハイマー病,喘息,動脈硬化,アトピー性皮膚炎,バクテリア肺炎,膀胱がん,骨折,乳がん,過食症,多食症,火傷治癒,子宮頸部がん,慢性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,慢性膵炎,肝硬変,大腸がん(結腸/直腸がん),クローン病,痴呆,糖尿病性合併症,糖尿病性腎症,糖尿病性神経障害,糖尿病性網膜症,胃炎,ヘリコバクター・ピロリ感染症,肝不全,A型肝炎,B型肝炎,C型肝炎,肝炎,単純ヘルペスウイルス感染症,水痘帯状疱疹ウイルス感染症,ホジキン病,エイズ感染症,ヒトパピローマウイルス感染症,高カルシウム血症,高コレステロール血症,高グリセリド血症,高脂血症,感染症,インフルエンザ感染症,インシュリン依存性糖尿病(I型),侵襲性ブドウ状球菌感染症,悪性黒色腫,がん転移,多発性骨髄腫,アレルギー性鼻炎,腎炎,非ホジキン性リンパ腫,インシュリン非依存性糖尿病(II型),非小細胞肺がん,臓器移植,骨関節炎,骨軟化症,骨減少症,骨粗鬆症,卵巣がん,骨ペーチェット病,消化性潰瘍,末梢血管疾患,前立腺がん,逆流性食道炎,腎不全,リウマチ関節炎,精神分裂症,敗血症,敗血症ショック,重症全身性真菌感染症,小細胞肺がん,脊髄損傷,胃がん,全身性エリテマトーサス,一過性脳虚血発作,結核,心弁膜症,血管性/多発梗塞痴呆,創傷治癒,不眠症,関節炎,神経変成疾患等の予防や治療に役立つ新たな医薬品の開発を可能にする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有用な生理活性を有する新規ペプチド、その前駆体またはそれらの塩、該ペプチドまたはその前駆体をコードするDNA、組換えベクター、形質転換体、該ペプチドまたはその前駆体の製造方法、該ペプチドまたはその前駆体を含有してなる医薬、該ペプチドまたはその前駆体に対する抗体、該ペプチドとレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法並びにスクリーニング用キット、および該スクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ESTの配列情報を基にプライマーを作製し、ヒト脳poly(A)+RNAを鋳型とするRT−PCRにより、新規な塩基配列を有するcDNAをクローニングすることに成功した。そして、本発明者らは、得られたcDNAにコードされるタンパク質から有用なソマトスタチン様またはコルチスタチン様生理活性ペプチドが生成することを見いだし、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列またはそのアミノ酸配列において1〜5個のアミノ酸が欠失、置換もしくは挿入したアミノ酸配列(ただし、配列番号:31または配列番号:32で表わされるアミノ酸配列を除く)を含有するペプチド、その前駆体またはそれらの塩、
(2)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列またはそのアミノ酸配列中の1〜5個のアミノ酸が欠失もしくは置換したアミノ酸配列を含有する第(1)項記載のペプチドまたはその前駆体、
(3)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有する第(1)項記載のペプチド、
(4)配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を有する第(1)項記載のペプチド、
(5)配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を有する第(1)項記載のペプチド、
(6)配列番号:35〜配列番号:55のいずれかの配列番号で表わされるアミノ酸配列を有する第(1)項記載のペプチド、
(7)配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6または配列番号:7で表わされるアミノ酸配列を有する第(1)項記載の前駆体、
(8)コルチスタチン様活性またはソマトスタチン様活性を有する第(1)項記載のペプチドまたはその前駆体、
【0009】
(9)第(1)項記載のペプチドまたは前駆体をコードする塩基配列を有するDNAを含有するDNA、
(10)配列番号:13で表わされる塩基配列を有する第(9)項記載のDNA、
(11)配列番号:14で表わされる塩基配列を有する第(9)項記載のDNA、
(12)配列番号:15で表わされる塩基配列を有する第(9)項記載のDNA、
(13)配列番号:16〜配列番号:23のいずれかの配列番号で表わされる塩基配列を有する第(9)項記載のDNA、
(14)配列番号:62〜配列番号:82のいずれかの配列番号で表わされる塩基配列を有する第(9)項記載のDNA、
(15)第(9)項記載のDNAを含有する組換えベクター、
(16)第(15)項記載の組換えベクターを保持する形質転換体、
(17)第(16)項記載の形質転換体を培養し、第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩を生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩の製造方法、
(18)第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩を含有してなる医薬、
(19)第(9)項記載のDNAを含有してなる医薬、
(20)ホルモン産生腫瘍,先端巨大症,巨人症,痴呆症もしくは胃潰瘍の治療・予防剤、ホルモン分泌抑制剤、腫瘍増殖抑制剤または神経活動もしくは睡眠の調節剤である第(18)項または第(19)項記載の医薬、
(21)第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩に対する抗体、
【0010】
(22)第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩を用いることを特徴とする、第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩と該ペプチド、その前駆体またはそれらの塩が結合するレセプター、その部分ペプチドまたはそれらの塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(23)第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩を含有することを特徴とする第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩と第(1)項記載のペプチド,その前駆体またはそれらの塩に対するレセプター、その部分ペプチドまたはそれらの塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(24)第(22)項記載のスクリーニング方法または第(23)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる、第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩と第(1)項記載のペプチド,その前駆体またはそれらの塩に対するレセプター、その部分ペプチドまたはそれらの塩との結合性を変化させる化合物またはその塩、
(25)第(22)項記載のスクリーニング方法または第(23)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩に対するレセプターに対するアゴニストを含有してなる医薬、
(26)ホルモン産生腫瘍,先端巨大症,巨人症,痴呆症もしくは胃潰瘍の治療・予防剤、ホルモン分泌抑制剤、腫瘍増殖抑制剤または神経活動もしくは睡眠の調節剤である第(25)項記載の医薬、
(27)第(22)項記載のスクリーニング方法または第(23)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩に対するレセプターに対するアンタゴニストを含有してなる医薬、
(28)小人症,乳汁分泌不全もしくは糖尿病の治療・予防剤、ホルモン分泌促進剤または消化管の機能調節剤である第(27)項記載の医薬、および
(29)アミノ末端側を構成するアミノ酸またはペプチドとカルボキシ末端側を構成するアミノ酸またはペプチドとを縮合させ、所望により、分子内にジスルフィド結合を形成させることを特徴とする第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩の製造法を提供する。
【0011】
さらに、本発明は、
(30)式
X1-X2-Asn-Phe-Phe-Trp-Lys-Thr-Phe-X3-Ser-X4 (I)
〔X1はAsp-Arg-Met-Pro-Cys、Arg-Met-Pro-Cys、Met-Pro-Cys、Pro-CysまたはCysを、X2はArgまたはLysを、X3はSerまたはThrを、X4はCys-LysまたはCysを示す〕で表わされるアミノ酸配列(ただし、X1がPro-Cys、X2がLya、X3がSer、X4がCys-Lysであるアミノ酸配列であるアミノ酸配列を除く)を含有する請求項1記載のペプチド、
(31)(i)第(1)項記載のペプチド,その前駆体もしくはそれらの塩が結合するレセプター、その部分ペプチドまたはそれらの塩に、第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩を接触させた場合と、(ii)第(1)項記載のペプチド,その前駆体またはそれらの塩が結合するレセプター、その部分ペプチドまたはそれらの塩に、第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩および試験化合物を接触させた場合における、第(1)項記載のペプチド,その前駆体またはそれらの塩と該レセプター、その部分ペプチドまたはそれらの塩との結合量を測定し、比較することを特徴とする、第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩と該レセプター、その部分ペプチドまたはそれらの塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(32)(i)第(1)項記載のペプチド,その前駆体またはそれらの塩が結合するレセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に、第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩を接触させた場合と、(ii)第(1)項記載のペプチド,その前駆体またはそれらの塩が結合するレセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に、第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩および試験化合物を接触させた場合における、(1)第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩と該レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分との結合量を測定するか、または(2)該レセプターを介する細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする、第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩と該レセプター、その部分ペプチドまたはそれらの塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
【0012】
(33)第(21)項記載の抗体と、第(1)項記載のペプチド,その前駆体またはそれらの塩とを接触させることを特徴とする第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩の定量法、
(34)第(21)項記載の抗体と、被検液および標識化された第(1)項記載のペプチド,その前駆体またはそれらの塩とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された第(1)項記載のペプチド,その前駆体またはそれらの塩の割合を測定することを特徴とする被検液中の第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩の定量法、
(35)被検液と担体上に不溶化した第(21)項記載の抗体および標識化された別の第(21)項記載の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の第(1)項記載のペプチド、その前駆体またはそれらの塩の定量法、
(36)第(21)項記載の抗体(好ましくは、第(1)項記載のペプチド,その前駆体またはそれらの塩の活性を中和する活性を有する第(21)項記載の抗体)を含有してなる医薬、
(37)小人症,乳汁分泌不全もしくは糖尿病の治療・予防剤、ホルモン分泌促進剤または消化管の機能調節剤である第(36)項記載の医薬、
【0013】
(38)第(9)項記載のDNAに相補的または実質的に相補的な塩基配列を有し、該DNAの発現を抑制し得る作用を有するオリゴヌクレオチド誘導体(アンチセンスDNA)またはその塩、
(39)第(9)項記載のDNAに実質的に相補的な塩基配列が、該DNAに相補的な塩基配列の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約70%以上(好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上)の相同性を有する塩基配列である第(38)項記載のオリゴヌクレオチド誘導体、
(40)第(38)項記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩を含有してなる医薬、
(41)小人症,乳汁分泌不全もしくは糖尿病の治療・予防剤、ホルモン分泌促進剤または消化管の機能調節剤である第(40)項記載の医薬、
(42)第(9)項記載のDNAに相補的または実質的に相補的な塩基配列を有し、該DNAの発現を促進し得る作用を有するオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩、
(43)第(9)項記載のDNAに実質的に相補的な塩基配列が、該DNAに相補的な塩基配列の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約70%以上(好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上)の相同性を有する塩基配列である第(42)項記載のオリゴヌクレオチド誘導体、
(44)第(42)項記載のオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩を含有してなる医薬、および
(45)ホルモン産生腫瘍,先端巨大症,巨人症,痴呆症もしくは胃潰瘍の治療・予防剤、ホルモン分泌抑制剤、腫瘍増殖抑制剤または神経活動もしくは睡眠の調節剤である第(44)項記載の医薬を提供する。
【0014】
本発明のペプチドは、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドである。本発明のペプチドは、例えば、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)のあらゆる細胞(例えば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など)、またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁頭核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、視床下核、大脳皮質、延髄、小脳、後頭葉、前頭葉、側頭葉、被殻、尾状核、脳染、黒質)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、末梢血球、腸管、前立腺、睾丸、精巣、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋などに由来するペプチドであってもよく、また合成ペプチドであってもよい。
【0015】
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列とは、例えば、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を示す。
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するペプチドとしては、例えば、前記した配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチドと実質的に同質の活性を有するペプチドなどが用いられる。すなわち、本発明のペプチドは、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチド(以下、hCS−17と略記する場合がある)のムテインであってもよい。
実質的に同質の活性としては、例えば、後述するソマトスタチン様活性、コルチスタチン様活性などが挙げられる。
実質的に同質とは、それらの活性が性質的に(例、生理化学的に、薬理学的に)同質であることを示す。したがって、ソマトスタチン様活性やコルチスタチン様活性などの活性が同等(例、0.1〜100倍、好ましくは約0.5〜10倍、より好ましくは約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度、ペプチドの分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
ソマトスタチン様活性またはコルチスタチン様活性は、自体公知の方法、例えば、特開平8−116979号、ネイチャー(Nature)381, 16 MAY 1996などに記載の方法あるいはそれに準じる方法に従って測定することができる。
【0016】
本発明のペプチドのムテインとしては、例えば、▲1▼配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の数個(好ましくは、1〜5個程度)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の数個(好ましくは、1〜5個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、▲3▼配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中に数個(好ましくは、1〜5個程度)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、または▲4▼それらを組み合わせたアミノ酸配列を有するペプチドなどが用いられる。なかでも、本発明のペプチドのムテインとしては、例えば、▲1▼配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の数個(好ましくは、1〜5個程度)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の数個(好ましくは、1〜5個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または▲3▼それらを組み合わせたアミノ酸配列を有するペプチドなどが好ましい。
本発明のペプチドとしては、例えば、式
X1-X2-Asn-Phe-Phe-Trp-Lys-Thr-Phe-X3-Ser-X4 (I)
〔X1はAsp-Arg-Met-Pro-Cys、Arg-Met-Pro-Cys、Met-Pro-Cys、Pro-CysまたはCysを、X2はArgまたはLysを、X3はSerまたはThrを、X4はCys-LysまたはCysを示す〕で表わされるアミノ酸配列(ただし、X1がPro-Cys、X2がLya、X3がSer、X4がCys-Lysであるアミノ酸配列であるアミノ酸配列を除く)を含有するペプチドなどが好ましい。
【0017】
欠失型または(および)置換型ムテインとしては、具体的には、例えば、
(1)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)が欠失したアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:2)
(以下、hCS−15と略記する場合がある)、
(2)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)が欠失したアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:3)
(以下、hCS−13と略記する場合がある)、
(3)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失したアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:35)
(以下、des Lys17−hCS−17と略記する場合がある)、
(4)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失したアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:36)
(以下、des Lys15−hCS−15と略記する場合がある)、
(5)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失したアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:37)
(以下、des Lys13−hCS−13と略記する場合がある)、
(6)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の6番目のArgがLysで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:38)
(以下、〔Lys6〕hCS−17と略記する場合がある)、
(7)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)が欠失し、4番目のArgがLysで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:39)
(以下、〔Lys4〕hCS−15と略記する場合がある)、
【0018】
(8)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)が欠失し、2番目のArgがLysで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:40)
(以下、〔Lys2〕hCS−13と略記する場合がある)、
(9)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、6番目のArgがLysで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:41)
(以下、des Lys17−〔Lys6〕hCS−17と略記する場合がある)、
(10)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、第4番目のArgがLysで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:42)
(以下、des Lys15−〔Lys4〕hCS−15と略記する場合がある)、
(11)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、第2番目のArgがLysで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:43)
(以下、des Lys13−〔Lys2〕hCS−13と略記する場合がある)、
(12)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の14番目のSerがThrで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:44)
(以下、〔Thr14〕hCS−17と略記する場合がある)、
(13)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)が欠失し、12番目のSerがThrで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:45)
(以下、〔Thr12〕hCS−15と略記する場合がある)、
(14)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)が欠失し、10番目のSerがThrで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:46)
(以下、〔Thr10〕hCS−13と略記する場合がある)、
【0019】
(15)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、14番目のSerがThrで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:47)
(以下、des Lys17−〔Thr14〕hCS−17と略記する場合がある)、
(16)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、12番目のSerがThrで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:48)
(以下、des Lys15−〔Thr12〕hCS−15と略記する場合がある)、
(17)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、10番目のSerがThrで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:49)
(以下、des Lys13−〔Thr10〕hCS−13と略記する場合がある)、
(18)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第6番目のArgがLysに置換され、14番目のSerがThrで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:50)
(以下、〔Lys6,Thr14〕hCS−17と略記する場合がある)、
(19)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)が欠失し、第4番目のArgがLysに置換され、12番目のSerがThrで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:51)
(以下、〔Lys4,Thr12〕hCS−15と略記する場合がある)、
(20)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)が欠失し、第2番目のArgがLysに置換され、10番目のSerがThrで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:52)
(以下、〔Lys2,Thr10〕hCS−13と略記する場合がある)、
(21)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、第6番目のArgがLysに置換され、14番目のSerがThrで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:53)
(以下、des Lys17−〔Lys6,Thr14〕hCS−17と略記する場合がある)、
【0020】
(22)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、第4番目のArgがLysに置換され、12番目のSerがThrで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:54)
(以下、des Lys15−〔Lys4,Thr12〕hCS−15と略記する場合がある)、
(23)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、第2番目のArgがLysに置換され、10番目のSerがThrで置換されたアミノ酸配列を有するペプチド(配列番号:55)
(以下、des Lys13−〔Lys2,Thr10〕hCS−13と略記する場合がある)などが用いられる。
ただし、配列番号:31で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチド(公知のラット由来コルチスタチン、図3のr cortistatin)および配列番号:32で表わされるアミノ酸配列を有するペプチド(公知のラット由来ソマトスタチン、図3のr somatostatin)は本発明のペプチドから除かれる。
本発明のペプチドが2個以上のシステイン残基を有する場合、それらシステイン残基が分子内でジスルフィド結合を形成しているのが好ましい。例えば、hCS−17の場合は第5番目と第16番目のシステイン残基、hCS−15の場合は第3番目と第14番目のシステイン残基、hCS−13の場合は第1番目と第12番目のシステイン残基がジスルフィド結合を形成していてもよい。
さらに、本発明のペプチドには、上記したペプチドにおいて、N末端のアミノ酸残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミル化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基、メチル基などのC1-6アルキル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
【0021】
本発明の前駆体は、上記した本発明のペプチドを含有するものであれば何れのペプチドまたはタンパク質であってもよい。例えば、本発明のペプチドのN末端側または(および)C末端側に、1個または2個以上(好ましくは、2〜100個程度)のアミノ酸が付加したペプチドまたはタンパク質などが用いられる。なかでも、本発明のペプチドのN末端側に1個または2個以上(好ましくは、2〜100個程度)のアミノ酸が付加したペプチドまたはタンパク質が好ましい。
より具体的には、本発明の前駆体としては、例えば、本発明のペプチド、好ましくは配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端側に、配列番号:29で表わされるアミノ酸配列(88個のアミノ酸)のC末端側から数えて1個または2個以上のアミノ酸が付加したペプチドなどが用いられる。
例えば、
▲1▼配列番号:4(29アミノ酸)で表わされるアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチド(以下、hCS−29と略記する場合がある)、
▲2▼配列番号:5(62アミノ酸)で表わされるアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチド(以下、hCS−62と略記する場合がある)、
▲3▼配列番号:6(85アミノ酸)で表わされるアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチド(以下、hCS−85と略記する場合がある)、
▲4▼配列番号:7(105アミノ酸)で表わされるアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチド(以下、hCS−105と略記する場合がある)、または
▲5▼配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6または配列番号:7で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチドなどが用いられる。
【0022】
配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6または配列番号:7で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチドとしては、例えば、
(1)▲1▼配列番号:4で表わされるアミノ酸配列中の1〜10個程度のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼配列番号:4で表わされるアミノ酸配列に1〜15個程度のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、または▲3▼配列番号:4で表わされるアミノ酸配列中の1〜8個程度のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有するペプチド、
(2)▲1▼配列番号:5で表わされるアミノ酸配列中の1〜15個程度のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼配列番号:5で表わされるアミノ酸配列に1〜10個程度のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、または▲3▼配列番号:5で表わされるアミノ酸配列中の1〜20個程度のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有するペプチド、
(3)▲1▼配列番号:6で表わされるアミノ酸配列中の1〜10個程度のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼配列番号:6で表わされるアミノ酸配列に1〜10個程度のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、または▲3▼配列番号:6で表わされるアミノ酸配列中の1〜20個程度のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有するペプチド、
(4)▲1▼配列番号:7で表わされるアミノ酸配列中の1〜10個程度のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼配列番号:7で表わされるアミノ酸配列に1〜20個程度のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、または▲3▼配列番号:7で表わされるアミノ酸配列中の1〜20個程度のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有するペプチドなどが用いられる。
【0023】
具体的には、
▲1▼配列番号:4で表わされるアミノ酸配列の18番目のArgがLysで置換されたアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチド(配列番号:56)
(以下、〔Lys18〕hCS−29と略記する場合がある)、
▲2▼配列番号:4で表わされるアミノ酸配列の26番目のSerがThrで置換されたアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチド(配列番号:57)
(以下、〔Thr26〕hCS−29と略記する場合がある)、
▲3▼配列番号:4で表わされるアミノ酸配列の18番目のArgがLysで置換され、26番目のSerがThrで置換されたアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチド(配列番号:58)
(以下、〔Lys18,Thr26〕hCS−29と略記する場合がある)、
▲4▼配列番号:4で表わされるアミノ酸配列の18番目のArgがLysで置換され、29番目のLysが欠失したアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチド(配列番号:59)
(以下、des Lys29−〔Lys18〕hCS−29と略記する場合がある)、
▲5▼配列番号:4で表わされるアミノ酸配列の26番目のSerがThrで置換され、29番目のLysが欠失したアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチド(配列番号:60)
(以下、des Lys29−〔Thr26〕hCS−29と略記する場合がある)、
▲6▼配列番号:4で表わされるアミノ酸配列の18番目のArgがLysで置換され、26番目のSerがThrで置換され、29番目のLysが欠失したアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチド(配列番号:61)
(以下、des Lys29−〔Lys18,Thr26〕hCS−29と略記する場合がある)、▲7▼配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6または配列番号:7で表わされるアミノ酸配列のC末端のLysが欠失したアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチド(以下、des Lys29 hCS−29、des Lys62 hCS−62、des Lys85 hCS−85またはdes Lys105 hCS−105と略記する場合がある)などが用いられる。
【0024】
本発明の前駆体ペプチドが2個以上のシステイン残基を有する場合、それらシステイン残基が分子内でジスルフィド結合を形成しているのが好ましい。例えば、hCS−29の場合、第17番目と第28番目のシステイン残基がジスルフィド結合を形成していてもよい。
さらに、本発明の前駆体ペプチドには、前記した本発明のペプチドと同様に、N末端のアミノ酸残基のアミノ基が保護基で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミル化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
本明細書におけるペプチドおよびその前駆体は、ペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチドをはじめとする、本発明のペプチドおよびその前駆体は、C末端が通常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート(−COO-)であるが、C末端がアミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)であってもよい。
ここでエステル基のRとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1-6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのなどのC6-12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などが用いられる。
本発明のペプチドまたはその前駆体がC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のペプチドに含まれる。この時のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
本発明のペプチドまたはその前駆体の塩としては、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
【0025】
本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩は、前述したヒトや温血動物の細胞または組織から自体公知のペプチドの精製方法によって製造することもできるし、後述するペプチドをコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによっても製造することができる。また、後述のペプチド合成法に準じて製造することもできる。
ヒトや温血動物の組織または細胞から製造する場合、ヒトや温血動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行ない、該抽出液を塩析、透析、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
本発明のペプチド、その前駆体またはそれらのアミド体の合成には、通常、市販のペプチド合成用樹脂を用いることができる。そのような樹脂としては、例えばクロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とするペプチドの配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂からペプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに必要により、自体公知の方法、例えば、ザ・ペプチド(The Peptide),Vol.1, 275(1965)などに記載の方法に従って、高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のペプチド、その前駆体またはそれらのアミド体を取得する。
【0026】
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、ペプチド合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミド類としては、DCC、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt, HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後に、樹脂に添加することができる。保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、ペプチド縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、クロロホルム、トリフルオロエタノール、ジメチルスルホキシド、DMF、ジメチルスルホキシド、ピリジン、クロロホルム、ジオキサン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、N-メチルピロリドンあるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はペプチド結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行なうことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化して、後の反応に影響を及ぼさないようにすることができる。
【0027】
原料のアミノ基の保護基としては、例えば、Z、Boc、t−アミルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタリル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられる。
カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどのエステル基)、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエステル、フェナシンエステル、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド、t−ブトキシカルボニルヒドラジド、トリチルヒドラジドなどに導くことによって保護することができる。
セリンの水酸基は、例えば、エステル化またはエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては、例えば、アセチル基などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭素から誘導される基などが用いられる。また、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基、t−ブチル基などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl2-Bzl、2−ニトロベンジル、BrZ、t−ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、Tos、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。
【0028】
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられる。
保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd黒あるいはPd-炭素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反応は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行われるが、酸処理においてはアニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオールのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護および保護基、およびその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは、公知の基または公知の手段から適宜選択しうる。
【0029】
ペプチドまたはその前駆体のアミド体を得る別の方法としては、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミノ基側にペプチド鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いたペプチドとC末端のカルボキシル基の保護基のみを除去したペプチドとを製造し、この両ペプチドを上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上記と同様である。縮合により得られた保護ペプチドを精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗ペプチドを得ることができる。この粗ペプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望のペプチドまたはその前駆体のアミド体を得ることができる。
ペプチドまたはその前駆体のエステル体を得るには、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、ペプチドまたはその前駆体のアミド体と同様にして、所望のペプチドまたはその前駆体のエステル体を得ることができる。
【0030】
本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩は、自体公知のペプチドの合成法に従って製造することができ、また、本発明のペプチドは本発明の前駆体を適当なペプチダーゼで切断することによって製造することができる。
ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、本発明のペプチドまたは前駆体を構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドまたは前駆体を製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離として、例えば、以下の▲1▼〜▲5▼に記載された方法が挙げられる。
▲1▼M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York (1966年)
▲2▼SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide), Academic Press, New York (1965年)
▲3▼泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株) (1975年)
▲4▼矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 ペプチドまたは前駆体の化学IV、 205、(1977年)
▲5▼矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成、広川書店
分子内にジスルフィド結合を有するペプチドは、分子内に2つ以上で偶数個のシステイン残基を有するペプチドを自体公知の方法に従い、酸化することによって得ることができる。酸化反応は通常、ペプチドを空気酸化またはヨウ素酸化することにより行なうことができる。
また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー・再結晶などを組み合わせて本発明のペプチドまたは前駆体を精製単離することができる。上記方法で得られるペプチドまたは前駆体が遊離体である場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離体または他の塩に変換することができる。
【0031】
本発明の前駆体は、本発明のペプチドを製造するための中間体として有用である。さらに、本発明の前駆体は本発明のペプチドと実質的に同質の活性、すなわち、ソマトスタチン様活性、コルチスタチン様活性を有しており、本発明のペプチドと同様の有用性を有している。
また、本発明の前駆体が切断され成熟体である本発明のペプチドが生成される際に生じるペプチド断片またはその塩も、生理学上、有用なペプチドである。このようなペプチド断片としては、例えば、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11または配列番号:12で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドなどが用いられる。これらペプチド断片の塩としては、上記した本発明のペプチド等の塩と同様のものが用いられる。
これらペプチド断片またはそれらの塩は、前述した本発明の前駆体を適当なペプチダーゼを用いて切断することによって製造することもできるし、後述のペプチド合成法に準じて製造することもできる。
これらペプチド断片またはそれらの塩は、例えば、本発明の前駆体に対する抗体を製造する際に用いる抗原としても有用である。また、これらペプチド断片またはそれらの塩は、生体内における本発明のペプチドの生成機構の解明にも重要であり、さらには、中枢神経または生殖機能を調節する作用を有しており、中枢神経または生殖機能の調節剤としても有用である。
【0032】
本発明のペプチドまたは前駆体をコードするDNAとしては、前述した本発明のペプチドまたは前駆体をコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりtotalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
具体的には、本発明の配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するペプチドをコードするDNAとしては、例えば、▲1▼配列番号:13で表わされる塩基配列を含有するDNA、または▲2▼配列番号:13で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドと同質の活性(例、ソマトスタチン様活性、コルチスタチン様活性)を有するペプチドをコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:13で表わされる塩基配列とハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:13で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
より具体的には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:13で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
【0033】
また、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する本発明のペプチドの欠失型ムテインをコードするDNAとしては、例えば、▲1▼配列番号:14で表わされる塩基配列を含有するDNA、または▲2▼配列番号:14で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドと同一の活性(例、ソマトスタチン様活性、コルチスタチン様活性)を有するペプチドをコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:14で表わされる塩基配列とハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:14で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する本発明のペプチドの欠失型ムテインをコードするDNAとしては、例えば、▲1▼配列番号:15で表わされる塩基配列を含有するDNA、または▲2▼配列番号:15で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドと同一の活性(例、ソマトスタチン様活性、コルチスタチン様活性)を有するペプチドをコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:15で表わされる塩基配列とハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:15で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0034】
ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができる。
ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。
ただし、配列番号:31で表わされるアミノ酸配列を有するラットコルチスタチンをコードする塩基配列(例、配列番号:33で表わされる塩基配列)を含有するDNA、および配列番号:32で表わされるアミノ酸配列を有するラットソマトスタチンをコードする塩基配列(例、配列番号:34で表わされる塩基配列)を含有するDNAは、本発明のペプチドをコードするDNAから除かれる。
【0035】
より具体的には、
(1)配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:14で表わされる塩基配列を有するDNA(配列番号:14)、
(2)配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:15で表わされる塩基配列を有するDNA(配列番号:15)、
(3)配列番号:35で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:13で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失した塩基配列を有するDNA(配列番号:62)、
(4)配列番号:36で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:14で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失した塩基配列を有するDNA(配列番号:63)、
(5)配列番号:37で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:15で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失した塩基配列を有するDNA(配列番号:64)、
(6)配列番号:38で表わされるアミノ酸配列を含有する置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:13で表わされる塩基配列の第16〜18番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:65)、
(7)配列番号:39で表わされるアミノ酸配列を含有する置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:14で表わされる塩基配列の第10〜12番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:66)、
(8)配列番号:40で表わされるアミノ酸配列を含有する置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:15で表わされる塩基配列の第4〜6番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:67)、
【0036】
(9)配列番号:41で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失・置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:13で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失し、第16〜18番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:68)、
(10)配列番号:42で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失・置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:14で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失し、第10〜12番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:69)、
(11)配列番号:43で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失・置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:15で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失し、第4〜6番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:70)、
(12)配列番号:44で表わされるアミノ酸配列を含有する置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:13で表わされる塩基配列の第40〜42番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:71)、
(13)配列番号:45で表わされるアミノ酸配列を含有する置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:14で表わされる塩基配列の第34〜36番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:72)、
(14)配列番号:46で表わされるアミノ酸配列を含有する置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:15で表わされる塩基配列の第28〜30番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:73)、
【0037】
(15)配列番号:47で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失・置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:13で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失し、第40〜42番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:74)、
(16)配列番号:48で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失・置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:14で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失し、第34〜36番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:75)、
(17)配列番号:49で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失・置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:15で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失し、第28〜30番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:76)、
(18)配列番号:50で表わされるアミノ酸配列を含有する置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:13で表わされる塩基配列の第16〜18番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に、第40〜42番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:77)、
(19)配列番号:51で表わされるアミノ酸配列を含有する置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:14で表わされる塩基配列の第10〜12番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に、第34〜36番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:78)、
【0038】
(20)配列番号:52で表わされるアミノ酸配列を含有する置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:15で表わされる塩基配列の第4〜6番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に、第28〜30番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:79)、
(21)配列番号:53で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失・置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:13で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失し、第16〜18番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に、第40〜42番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:80)、
(22)配列番号:54で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失・置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:14で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失し、第10〜12番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に、第34〜36番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:81)、
(23)配列番号:55で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失・置換型ムテインをコードするDNAとしては、配列番号:15で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失し、第4〜6番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に、第28〜30番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:82)などが用いられる。
【0039】
本発明の配列番号:4で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有する本発明の前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、▲1▼配列番号:16または配列番号:17で表わされる塩基配列を含有するDNA、または▲2▼配列番号:16または配列番号:17で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、前記した本発明のペプチドを生成し得る前駆体ペプチドをコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:16または配列番号:17で表わされる塩基配列とハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:16または配列番号:17で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
より具体的には、配列番号:4のアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:16または配列番号:17で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
本発明の配列番号:5で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、▲1▼配列番号:18または配列番号:19で表わされる塩基配列を含有するDNA、または▲2▼配列番号:18または配列番号:19で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、前記した本発明のペプチドを生成し得る前駆体ペプチドをコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:18または配列番号:19で表わされる塩基配列とハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:18または配列番号:19で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
より具体的には、配列番号:5のアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:18または配列番号:19で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
【0040】
本発明の配列番号:6で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有する本発明の前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、▲1▼配列番号:20または配列番号:21で表わされる塩基配列を含有するDNA、または▲2▼配列番号:20または配列番号:21で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、前記した本発明のペプチドを生成し得る前駆体ペプチドをコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:20または配列番号:21で表わされる塩基配列ハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:20または配列番号:21で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
より具体的には、配列番号:6のアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:20または配列番号:21で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
本発明の配列番号:7で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、▲1▼配列番号:22または配列番号:23で表わされる塩基配列を含有するDNA、または▲2▼配列番号:22または配列番号:23で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、前記した本発明のペプチドを生成し得る前駆体ペプチドをコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:22または配列番号:23で表わされる塩基配列とハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:22または配列番号:23で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
より具体的には、配列番号:7のアミノ酸配列を含有する前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:22または配列番号:23で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
ハイブリダイゼーションの方法およびハイストリンジェントな条件は、前記と同様のものが用いられる。
【0041】
さらに、
(1)配列番号:56で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:16または配列番号:17で表わされる塩基配列の第52〜54番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:83または配列番号:84)、
(2)配列番号:57で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:16または配列番号:17で表わされる塩基配列の第76〜78番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:85または配列番号:86)、
(3)配列番号:58で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:16または配列番号:17で表わされる塩基配列の第52〜54番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に置換さ、第76〜78番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:87または配列番号:88)、
(4)配列番号:59で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:16または配列番号:17で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失し、第52〜54番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:89または配列番号:90)、
【0042】
(5)配列番号:60で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:16または配列番号:17で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失し、第76〜78番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:91または配列番号:92)、
(6)配列番号:61で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:16または配列番号:17で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)を欠失し、第52〜54番目のAGGがAAR(RはGまたはAを示す)に置換さ、第76〜78番目のTCCがACN(NはA、C、GまたはTを示す)に置換された塩基配列を有するDNA(配列番号:93または配列番号:94)、
(7)配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6または配列番号:7で表わされるアミノ酸配列のC末端のLysが欠失した前駆体ペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:16〜配列番号:23のいずれかの塩基配列で表わされる塩基配列の3'末端から3塩基(AAA)が欠失した塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
【0043】
上記した本発明の前駆体から成熟体ペプチドが生成される際に生ずるペプチド断片をコードするDNAとしては、前述した該ペプチド断片をコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。
例えば、配列番号:8で表わされるアミノ酸配列を有するペプチド断片をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:24または配列番号:25で表わされる塩基配列を有するDNAが、配列番号:9で表わされるアミノ酸配列を有するペプチド断片をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:26で表わされる塩基配列を有するDNAが、配列番号:10で表わされるアミノ酸配列を有するペプチド断片をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:27で表わされる塩基配列を有するDNAが、配列番号:11で表わされるアミノ酸配列を有するペプチド断片をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:28で表わされる塩基配列を有するDNAが、配列番号:12で表わされるアミノ酸配列を有するペプチド断片をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:29または配列番号:30で表わされる塩基配列を有するDNAが用いられる。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明のペプチドまたは前駆体をコードするDNAのクローニングの手段としては、(1)本発明のペプチドまたは前駆体をコードするDNAの部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いて、PCR法によって前記DNAライブラリー等から目的とするDNAを増幅するか、または(2)適当なベクターに組み込んだDNAと、本発明のペプチドまたは前駆体の一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合成DNAを標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別すること、などが挙げられる。
ハイブリダイゼーションの方法は、前記と同様のものが用いられる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
また、DNAの塩基配列の変換(欠失・付加・置換)は、公知のキット、例えば、MutanTM−G(宝酒造(株))、MutanTM−K(宝酒造(株))などを用いて、Gapped duplex法やKunkel法などの自体公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。
クローン化された本発明のペプチドまたは前駆体をコードするDNAは、目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5'末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3'末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
本発明のペプチドまたは前駆体をコードするDNAの発現ベクターは、例えば、(イ)本発明のペプチドまたは前駆体をコードするDNAから目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
【0045】
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neoなどが用いられる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、HSV-TKプロモーターなどが挙げられる。これらのうち、CMVプロモーター、SRαプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーター、T7プロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
【0046】
発現ベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合がある)遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amprと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、Neoと略称する場合がある)などが用いられる。dhfr遺伝子はメソトレキセート(MTX)耐性を、NeoはG418耐性を付与する。特に、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHOを用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、チミジンを含まない培地によっても選択できる。
また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、ペプチドまたは前駆体のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場合には、例えばインシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築された本発明のペプチドまたは前駆体をコードするDNAを含有するベクターを細胞に導入することによって形質転換体を製造することができる。
【0047】
宿主としては、例えばエシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌の具体例としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology)〕,120巻,517(1978)〕,HB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティックス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用いられる。
バチルス属菌としては、例えばバチルス・サチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R-,NA87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Shizosaccharomyces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピキア パストリス(Pichia pastoris)などが用いられる。
昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞またはEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(in Vivo),13, 213-217,(1977))などが用いられる。
昆虫としては、例えばカイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(1985)〕。
【0048】
動物細胞としては、例えば、マウスAtT−20,ラットGH1,ラットGH3,ラットGH3,ラットMtT,マウスMIN6,サル細胞COS−7,Vero細胞,チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhfr-)細胞と略記),L細胞,ミエローマ細胞,ヒトFL細胞,293細胞,C127細胞,BALB3T3細胞,Sp-2/O細胞などが用いられる。これらの中でも、AtT−20,マウスMIN6,CHO細胞、CHO(dhfr-)細胞、293細胞などが好ましい。
エシェリヒア属菌を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,107(1982)などに記載の方法に従って行なうことができる。
バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & General Genetics),168巻,111(1979)などに記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988)),194巻,182−187(1991)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978)に記載の方法に従って行なうことができる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988))などに記載の方法に従って行なうことができる。
動物細胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8 新細胞工学実験プロトコール,263−267(1995)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,456(1973)に記載の方法に従って行なうことができる。
【0049】
発現ベクターの細胞への導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法〔Graham, F. L. and van der Eb, A. J.ヴィロロジー(Virology) 52, 456-467(1973)〕、電気穿孔法〔Neumann, E. et al. エンボ・ジャーナル(EMBO J.) 1, 841-845(1982)〕などが挙げられる。
このようにして、本発明のペプチドまたは前駆体をコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体が得られる。
なお、動物細胞を用いて、本発明のペプチドまたは前駆体を安定に発現させる方法としては、上記の動物細胞に導入された発現ベクターが染色体に組み込まれた細胞をクローン選択によって選択する方法がある。具体的には、上記の選択マーカーを指標にして形質転換体を選択する。さらに、このように選択マーカーを用いて得られた動物細胞に対して、繰り返しクローン選択を行なうことにより本発明のペプチドまたは前駆体の高発現能を有する安定な動物細胞株を得ることができる。また、dhfr遺伝子を選択マーカーとして用いた場合、MTX濃度を徐々に上げて培養し、耐性株を選択することにより、dhfr遺伝子とともに、本発明のペプチドまたは前駆体をコードするDNAを細胞内で増幅させて、さらに高発現の動物細胞株を得ることもできる。
上記の形質転換体を本発明のペプチドまたは前駆体をコードするDNAが発現可能な条件下で培養し、本発明のペプチドまたは前駆体を生成、蓄積せしめることによって、本発明のペプチドまたは前駆体またはその塩を製造することができる。
【0050】
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、例えばグルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例えばアンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては例えば塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Experiments in Molecular Genetics),431−433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行い、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。
【0051】
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,5330(1984)〕が挙げられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、Grace's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは、約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイエンス(Seience),122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Jounal of the American Medical Association)199巻,519(1967)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of the Society for the Biological Medicine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
特に、CHO(dhfr-)細胞およびdhfr遺伝子を選択マーカーとして用いる場合、チミジンをほとんど含まない透析ウシ胎児血清を含むDMEM培地を用いるのが好ましい。
【0052】
上記培養物から本発明のペプチドまたは前駆体を分離精製するには、例えば、下記の方法により行なうことができる。
本発明のペプチドまたは前駆体を培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により本発明のペプチドまたは前駆体の粗抽出液を得る方法などが適宜用い得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのたんぱく変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。
培養液中にペプチドまたは前駆体が分泌される場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる本発明のペプチドまたは前駆体の精製は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
かくして得られる本発明のペプチドまたは前駆体が遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、組換え体が産生する本発明のペプチドまたは前駆体を、精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。
かくして生成する本発明のペプチドまたは前駆体の存在は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
【0053】
本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩に対する抗体は、本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩を認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。該抗体は、本発明のペプチドまたはその前駆体のいかなる部位を認識するものであってよい。また、該抗体としては、本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩の活性を中和するものが好ましい。
本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩(以下、抗体の説明の項において、本発明のペプチドと略記する)に対する抗体は、本発明のペプチド等を抗原として用い、自体公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
【0054】
〔モノクローナル抗体の作製〕
(a)モノクロナール抗体産生細胞の作製
本発明のペプチドは、温血動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行われる。用いられる温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが用いられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化ペプチド等と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は、既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (1975)〕に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが用いられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0、AP−1などがあげられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施することができる。
【0055】
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、ペプチド抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合した抗ペプチド等抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したペプチド等を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが用いられる。
モノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができるが、通常、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地で行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0056】
(b)モノクロナール抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、自体公知の方法、例えが、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
【0057】
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じる方法にしたがって製造することができる。例えば、免疫抗原(ペプチド抗原)とキャリアー蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物から本発明のペプチド等に対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造できる。
温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミンやウシサイログロブリン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカップルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なわれる。
ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された温血動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取される。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
本発明の前駆体が切断され本発明のペプチドが生成する際に生じる前記の断片ペプチドに対する抗体も上記と同様に製造し、使用することができる。
【0058】
本発明のペプチドまたはその前駆体をコードする塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩としては、本発明のDNAに実質的に相補的な塩基配列を有し、該DNAに結合し得るものであれば、いずれのオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩であってもよい。
本発明のペプチドまたはその前駆体をコードする塩基配列に実質的に相補的な塩基配列とは、例えば、本発明のDNAに相補的な塩基配列(すなわち、本発明のDNAの相補鎖)の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列などが挙げられる。特に、本発明のDNAの相補鎖の全塩基配列うち、本発明のペプチド等のN末端部位をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コドン付近の塩基配列など)の相補鎖と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するオリゴヌクレオリド誘導体またはその塩が好適である。これらのオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩は、公知のDNA合成装置などを用いて製造することができる。
【0059】
本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩は、例えば、ソマトスタチ様活性、コルスタチン様活性などの有用な生理活性を有しているペプチドである。具体的には、(i)成長ホルモンの分泌抑制作用、(ii)甲状腺刺激ホルモン、プロラクチンなどの下垂体ホルモンの分泌抑制作用、(ii)ガストリン、インシュリンなどの消化管ホルモンの分泌抑制作用、(iv)神経伝達作用、(v)細胞増殖作用、(vi)レム睡眠の誘発物質であるアセチルコリン作用の抑制作用、(vii)平滑筋の収縮の抑制作用などを有している。したがって、本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩は、さまざまな用途に用いることができる。
以下に、本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩(以下、本発明のペプチド等と略記する場合がある)、本発明のペプチドまたはその前駆体をコードするDNA(以下、本発明のDNAと略記する場合がある)、本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩に対する抗体(以下、本発明の抗体と略記する場合がある)およびオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩の用途を説明する。
【0060】
(1)各種疾病の治療・予防剤などの医薬
本発明のペプチド等は、上記したとおり、(i)成長ホルモンの分泌抑制作用、(ii)甲状腺刺激ホルモン、プロラクチンなどの下垂体ホルモンの分泌抑制作用、(iii)ガストリン、インシュリンなどの消化管ホルモンの分泌抑制作用、(iv)神経伝達作用、(v)細胞増殖作用、(vi)レム睡眠の誘発物質であるアセチルコリン作用の抑制作用、(vii)平滑筋の収縮の抑制作用などを有している。
したがって、本発明のペプチド等または本発明のDNAは、生体内におけるコルチスタチンまたはソマトスタチンの欠失・損傷や、コルチスタチンまたはソマトスタチンをコードするDNAの発現低下などに起因する種々の疾病の治療・予防剤などの医薬として有用である。
具体的には、本発明のペプチド等または本発明のDNAは、例えば、ホルモン産生腫瘍、先端巨大症、巨人症、痴呆症、糖尿病、胃潰瘍などの治療・予防剤、ホルモン分泌抑制剤、腫瘍増殖抑制剤、神経活動もしくは睡眠の調節剤などの医薬として有用である。
【0061】
さらには、本発明のペプチド等または本発明のDNAは、例えば、急性バクテリア髄膜炎,急性心筋梗塞,急性膵炎,急性ウイルス脳炎,成人呼吸促迫症候群,アルコール性肝炎,アルツハイマー病,喘息,動脈硬化,アトピー性皮膚炎,バクテリア肺炎,膀胱がん,骨折,乳がん,過食症,多食症,火傷治癒,子宮頸部がん,慢性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,慢性膵炎,肝硬変,大腸がん(結腸/直腸がん),クローン病,痴呆,糖尿病性合併症,糖尿病性腎症,糖尿病性神経障害,糖尿病性網膜症,胃炎,ヘリコバクター・ピロリ感染症,肝不全,A型肝炎,B型肝炎,C型肝炎,肝炎,単純ヘルペスウイルス感染症,水痘帯状疱疹ウイルス感染症,ホジキン病,エイズ感染症,ヒトパピローマウイルス感染症,高カルシウム血症,高コレステロール血症,高グリセリド血症,高脂血症,感染症,インフルエンザ感染症,インシュリン依存性糖尿病(I型),侵襲性ブドウ状球菌感染症,悪性黒色腫,がん転移,多発性骨髄腫,アレルギー性鼻炎,腎炎,非ホジキン性リンパ腫,インシュリン非依存性糖尿病(II型),非小細胞肺がん,臓器移植,骨関節炎,骨軟化症,骨減少症,骨粗鬆症,卵巣がん,骨ペーチェット病,消化性潰瘍,末梢血管疾患,前立腺がん,逆流性食道炎,腎不全,リウマチ関節炎,精神分裂症,敗血症,敗血症ショック,重症全身性真菌感染症,小細胞肺がん,脊髄損傷,胃がん,全身性エリテマトーサス,一過性脳虚血発作,結核,心弁膜症,血管性/多発梗塞痴呆,創傷治癒,不眠症,関節炎,神経変成疾患などの各種疾病の治療・予防剤などの医薬としても有用である。特に、本発明のペプチド等または本発明のDNAは、不眠症の治療・予防剤として有用である。
【0062】
本発明のペプチド等を上記の医薬として使用する場合は、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、本発明のペプチド等を生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
本発明のペプチド等を上記の治療・予防剤として使用する場合は、少なくとも90%、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上に精製されたものを使用するのが好ましい。
本発明のDNAを上記の治療・予防剤として使用する場合は、該DNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従ってヒトまたは温血動物に投与することができる。本発明のDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
【0063】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。
注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調整された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。
【0064】
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
本発明のペプチド等の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、不眠症治療の目的で本発明のペプチド等を経口投与する場合、一般的に該ペプチド等を成人(60kgとして)においては、一日につき約0.1mg〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合、本発明のペプチド等の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、不眠症治療の目的で本発明のペプチド等を注射剤の形で通常成人(体重60kgとして)に投与する場合は、一日につき該ペプチド等を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
本発明のDNAが挿入されたベクターも上記と同様に製剤化され、通常、非経口的に使用される。
【0065】
(2)遺伝子診断剤
本発明のDNAは、プローブとして使用することにより、ヒトまたは温血動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)における本発明のペプチドまたはその前駆体をコードするDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出することができるので、例えば、該DNAまたはmRNAの損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAまたはmRNAの増加あるいは発現過多などに起因する各種疾病を診断するための遺伝子診断剤として有用である。
本発明のDNAを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、自体公知のノーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法(ゲノミックス(Genomics),第5巻,874〜879頁(1989年)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceedings of the Natinal Academy of Sciences of the United States of America),第86巻,2766〜2770頁(1989年))などにより実施することができる。 すなわち、本発明のDNAは、例えば、ホルモン産生腫瘍、先端巨大症、巨人症、痴呆症、糖尿病、胃潰瘍、小人症、乳汁分泌不全などの他、アルツハイマー病,喘息,動脈硬化,アトピー性皮膚炎,過食症,多食症,慢性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,クローン病,糖尿病性合併症,ホジキン病,高カルシウム血症,高コレステロール血症,高グリセリド血症,高脂血症,インシュリン依存性糖尿病(I型),アレルギー性鼻炎,精神分裂症,不眠症などの疾病の遺伝子診断剤として有用である。特に、不眠症の遺伝子診断剤として有用である。
【0066】
例えば、ノーザンハイブリダイゼーションにより該mRNAの発現低下が検出された場合は、例えば、ホルモン産生腫瘍、先端巨大症、巨人症、痴呆症、糖尿病、胃潰瘍、不眠症などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
一方、ノーザンハイブリダイゼーションにより該mRNAの発現過多が検出された場合は、例えば、小人症、乳汁分泌不全、糖尿病などの疾患である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、PCR−SSCP法によりDNAの突然変異が検出された場合、例えば、ホルモン産生腫瘍、先端巨大症、巨人症、痴呆症、糖尿病、胃潰瘍、小人症、乳汁分泌不全などの他、アルツハイマー病,喘息,動脈硬化,アトピー性皮膚炎,過食症,多食症,慢性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,クローン病,糖尿病性合併症,ホジキン病,高カルシウム血症,高コレステロール血症,高グリセリド血症,高脂血症,インシュリン依存性糖尿病(I型),アレルギー性鼻炎,精神分裂症,不眠症などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
【0067】
(3)本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩の定量
本発明の抗体は、本発明のペプチド等を特異的に認識することができるので、被検液中の本発明のペプチド等の定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用することができる。
すなわち、本発明は、
(i)本発明のペプチド等に対する抗体と、被検液および標識化された本発明のペプチド等とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された本発明のペプチド等の割合を測定することを特徴とする被検液中の本発明のペプチド等の定量法、および
(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された別の本発明の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の本発明のペプチド等の定量法を提供する。
上記(ii)の定量法においては、一方の抗体が本発明のペプチド等のN端部を認識する抗体で、他方の抗体が本発明のペプチド等のC端部に反応する抗体であることが望ましい。
【0068】
また、本発明のペプチド等に対するモノクローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体と略記する)を用いて本発明のペプチド等の定量を行なえるほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、あるいはFab画分を用いてもよい。
本発明の抗体を用いる本発明のペプチド等の定量法は、 特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、ペプチド量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが挙げられる。放射性同位元素としては、例えば〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが、上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素等が、蛍光物質としては、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが、発光物質としては、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどがそれぞれ挙げられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
【0069】
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常ペプチドあるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラス等が挙げられる。
サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノクローナル抗体を反応させ(2次反応)た後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の本発明のペプチド量等を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行なっても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドイッチ法による本発明のペプチド等の測定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗体は、本発明のペプチド等の結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、本発明のペプチド等のC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が用いられる。
【0070】
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることができる。
競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0071】
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のペプチド等の測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。
例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
以上のようにして、本発明の抗体を用いることによって、本発明のペプチド等を感度良く定量することができる。
【0072】
さらには、本発明の抗体を用いて本発明のペプチド等の濃度を定量することによって、本発明のペプチド等が関与する種々の疾病の診断をすることができる。
具体的には、本発明のペプチド等の濃度の減少が検出された場合は、例えば、ホルモン産生腫瘍、先端巨大症、巨人症、痴呆症、糖尿病、胃潰瘍、不眠症などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
一方、本発明のペプチド等の濃度の増加が検出された場合は、、例えば、小人症、乳汁分泌不全、糖尿病などの疾患である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
その他、本発明のペプチドの濃度の異常が検出された場合、例えば、急性バクテリア髄膜炎,急性心筋梗塞,急性膵炎,急性ウイルス脳炎,成人呼吸促迫症候群,アルコール性肝炎,アルツハイマー病,喘息,動脈硬化,アトピー性皮膚炎,バクテリア肺炎,膀胱がん,骨折,乳がん,過食症,多食症,火傷治癒,子宮頸部がん,慢性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,慢性膵炎,肝硬変,大腸がん(結腸/直腸がん),クローン病,糖尿病性合併症,糖尿病性腎症,糖尿病性神経障害,糖尿病性網膜症,胃炎,ヘリコバクター・ピロリ感染症,肝不全,A型肝炎,B型肝炎,C型肝炎,肝炎,単純ヘルペスウイルス感染症,水痘帯状疱疹ウイルス感染症,ホジキン病,エイズ感染症,ヒトパピローマウイルス感染症,高カルシウム血症,高コレステロール血症,高グリセリド血症,高脂血症,感染症,インフルエンザ感染症,インシュリン依存性糖尿病(I型),侵襲性ブドウ状球菌感染症,悪性黒色腫,がん転移,多発性骨髄腫,アレルギー性鼻炎,腎炎,非ホジキン性リンパ腫,インシュリン非依存性糖尿病(II型),非小細胞肺がん,臓器移植,骨関節炎,骨軟化症,骨減少症(骨粗鬆症),骨粗鬆症,卵巣がん,骨ペーチェット病,消化性潰瘍,末梢血管疾患,前立腺がん,逆流性食道炎,腎不全,リウマチ関節炎,精神分裂症,敗血症,敗血症ショック,重症全身性真菌感染症,小細胞肺がん,脊髄損傷,胃がん,全身性エリテマトーサス,一過性脳虚血発作,結核,心弁膜症,血管性/多発梗塞痴呆,創傷治癒,関節炎,神経変成疾患などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在する本発明のペプチド等を検出するために使用することができる。また、本発明のペプチド等を精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明のペプチド等の検出、被検細胞における本発明のペプチド等の挙動の分析などのために使用することができる。
【0073】
(4)医薬候補化合物のスクリーニング
本発明のペプチド等は、ソマトスタチンレセプター、本発明のペプチド等に対するレセプター、GPR7、GPR8などの本発明のペプチド等が結合するレセプター(以下、単にレセプターと略称する)に特異的に結合することができるので、本発明のペプチド等と該レセプターを用いたリガンド・レセプター結合アッセイ系を構築することによって、ソマトスタチン様活性またはコルチスタチン様活性を有する医薬候補化合物のスクリーニングや、本発明のペプチド等,ソマトスタチンもしくはコルチスタチンの作用を促進または抑制する医薬候補化合物のスクリーニングを行なうことができる。すなわち、本発明は、本発明のペプチド等を用いることを特徴とする、本発明のペプチド等と該レセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
【0074】
より具体的には、本発明は、
(I)(i)レセプター、その部分ペプチドまたはそれらの塩に、本発明のペプチド等を接触させた場合と(ii)レセプター、その部分ペプチドまたはそれらの塩に、本発明のペプチド等および試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする本発明のペプチド等とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、および
(II)(i)レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に、本発明のペプチド等を接触させた場合と(ii)レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に、本発明のペプチド等および試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする本発明のペプチド等とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
具体的には、本発明のスクリーニング方法においては、(i)と(ii)の場合における、例えば、レセプターまたはレセプターを含有する細胞に対する本発明のペプチド等の結合量、細胞刺激活性などを測定して、比較することを特徴とするものである。
【0075】
本発明のペプチド等とレセプターとの結合性を変化させる化合物には、▲1▼レセプターと結合して、細胞刺激活性を示す化合物(いわゆる、レセプターアゴニスト)、▲2▼レセプターと結合して、アゴニストによる細胞刺激活性を阻害する化合物(いわゆる、レセプターアンタゴニスト)、▲3▼本発明のペプチド等とレセプターとの結合力を増強する化合物、または▲4▼本発明のペプチド等とレセプターとの結合力を減少させる化合物などが含まれる。
より具体的には、本発明は、
(Ia)(i)標識した本発明のぺプチド等を、レセプター,その部分ペプチドまたはそれらの塩に接触させた場合と、(ii)標識した本発明のペプチド等および試験化合物を、レセプター,その部分ペプチドまたはそれらの塩に接触させた場合における、標識した本発明のペプチド等の該レセプター,その部分ペプチドまたはそれらの塩に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする本発明のペプチド等とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(IIa)(i)標識した本発明のペプチド等を、レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合と、(ii)標識した本発明のペプチド等および試験化合物を、レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合における、標識した本発明のペプチド等の該細胞またはその細胞膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする本発明のペプチド等とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(IIb)本発明のペプチド等を、レセプターを含有する細胞に接触させた場合における、レセプターを介した細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、細胞の遊走活性などを促進する活性または抑制する活性など、特に、細胞内cAMP生成を促進する活性または抑制する活性)を測定し、比較することを特徴とするレセプターアゴニストのスクリーニング方法、および
(IIc)(i)本発明のペプチド等を、レセプターを含有する細胞に接触させた場合と、(ii)本発明のペプチドおよび試験化合物を、レセプターを含有する細胞に接触させた場合における、レセプターを介した細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、細胞の遊走活性などを促進する活性または抑制する活性など、特に、細胞内cAMP生成を促進する活性または抑制する活性)を測定し、比較することを特徴とするレセプターアンタゴニストのスクリーニング方法を提供する。
【0076】
上記の(Ia)または(IIa)のスクリーニング方法において、レセプターに結合して、本発明のペプチド等とレセプターとの結合を変化させる(または該結合を阻害する)化合物を、レセプターアゴニストまたはレセプターアンタゴニストとして選択できる。
上記の(Ia)または(IIa)のスクリーニング方法において、レセプターとは結合しないが、本発明のペプチド等とレセプターとの結合力を増強する化合物を、本発明のペプチド等とレセプターとの結合力を増強する化合物として選択できる。
上記の(Ia)または(IIa)のスクリーニング方法において、レセプターとは結合しないが、本発明のペプチド等とレセプターとの結合力を減少させる化合物を、本発明のペプチド等とレセプターとの結合力を減少させる化合物として選択できる。
上記(IIb)のスクリーニング方法において、レセプターに結合し、該レセプターを介して細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、細胞の遊走活性などを促進する活性または抑制する活性など)、特に、細胞内cAMP生成を抑制する活性を有する化合物をレセプターアゴニストとして選択することができる。
上記(IIc)のスクリーニング方法において、レセプターに結合し、本発明のペプチド等の細胞刺激活性を阻害する活性を有する化合物をレセプターアンタゴニストとして選択することができる。
特に、本発明のスクリーニング方法においては、上記(Ia)または(IIa)のスクリーニングを行ない、本発明のペプチド等とレセプターとの結合を阻害する活性を有する化合物を選択した後、得られた化合物を用いて上記の(IIb)または(IIc)のスクリーニングを実施することによって、上記細胞刺激活性を有する化合物をレセプターアゴニストとして選択し、一方、本発明のペプチド等の細胞刺激活性を阻害する化合物をレセプターアンタゴニストとして選択することが望ましい。
【0077】
本発明のスクリーニング方法に用いられるレセプターのうち、ソマトスタチンレセプターとしては、例えば、ソマトスタチンレセプターサブタイプ1(SSTR1)もしくはサブタイプ2(SSTR2)〔山田ら、プロシージング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci., USA)、89巻、251-255頁、1992年〕、サブタイプ3(SSTR3)〔SSTR3;山田ら、モレキュラー・エンドクリノロジー(Molecular Endocrinology)、6巻、2136-2142頁、1992年〕、サブタイプ4(SSTR4)もしくはサブタイプ5(SSTR5)〔山田ら、バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem. Biophys. Res. Commun.)195巻、844-852頁、1993年〕などを用いることができる。GPR7またはGPR8としては、ゲノミックス(Genomics),28,84-91(1995)に記載のものを用いることができる。本発明のペプチド等に対するレセプターは自体公知のタンパク質の精製方法に従って入手することができるし、また、自体公知の遺伝子工学的手法に従って該レセプターをコードするDNAをクローニングした後、前記した本発明のペプチド等の発現方法に従って目的とするレセプターを入手することもできる。
該レセプターの部分ペプチドとしては、全長レセプターを適当に切断して得られる部分ペプチドを用いることができる。
【0078】
レセプターを含有する細胞としては、前記した本発明のペプチド等を発現させるために用いる宿主細胞として列記したものと同様のものを用いることができるが、なかでも、CHO細胞などが好ましい。レセプターを含有する細胞は、レセプターをコードするDNAを用いて、自体公知の方法、例えば、前記した本発明のペプチドの発現方法などに従って製造することができる。レセプターをコードするDNAは、自体公知の遺伝子工学的手法に従って入手することができるが、例えばソマトスタチンレセプターサブタイプ1〜5、GPR7またはGPR8は、上記の文献に従って入手することができる。
本発明のスクリーニング方法において、レセプターを含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化することができる。固定化方法は、それ自体公知の方法に従って行うことができる。また、レセプターを含有する組織として、各種動物の脳、下垂体、肺等またはそれらの膜画分を用いることができる。
標識した本発明のペプチド等としては、例えば、〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識した本発明のペプチド等などを用いることができる。
試験化合物としては、例えばペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
【0079】
具体的には、上記の(Ia)または(IIa)のスクリーニング方法を実施するには、まず、本発明のレセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分、あるいはレセプターまたはその部分ペプチドを、スクリーニングに適したバッファーに懸濁することによりレセプター標品を調製する。バッファーには、pH約4〜10(望ましくは、pH約6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどの、本発明のペプチド等とレセプターとの結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるレセプターやリガンドの分解を抑える目的で、PMSF、ロイペプチン、バシトラシン、アプロチニン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。一方、細胞が固定化細胞の場合、培養器に固定化させたまま、つまり細胞を生育させた状態で、あるいはグルタルアルデヒドやパラホルムアルデヒドで固定した細胞を用いて、本発明のペプチド等とレセプターを結合させることができる。
この場合、該緩衝液は培地やハンクス液などが用いられる。そして、0.01ml〜10mlの該レセプター溶液に、一定量(例えば、2000Ci/mmolの場合、約10000cpm〜1000000cpm)の標識した本発明のペプチド等(例えば、〔125I〕で標識した本発明のペプチド等)を添加し、同時に10-4M〜10-10Mの試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識の本発明のペプチド等を加えた反応チューブも用意する。反応は約0℃〜50℃、望ましくは約4℃〜37℃で、約20分〜24時間、望ましくは約30分〜3時間行なう。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性(例えば、〔125I〕の量)を液体シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで測定する。濾過には、マニホールドやセルハーベスターを用いることができるが、セルハーベスターを用いることが効率を上げるために望ましい。拮抗する物質がない場合のカウント(B0)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B0−NSB)を100%とした時、特異的結合量(B−NSB)が、例えばカウント(B0−NSB)の50%以下になる試験化合物をアゴニストまたはアンタゴニスト候補化合物として選択することができる。
【0080】
また、上記(IIb)または(IIc)のスクリーニング方法を実施するためには、レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fos活性化、pHの低下、細胞の遊走活性などを促進する活性または抑制する活性など)を公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。具体的には、まず、レセプターを含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。スクリーニングを行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
【0081】
本発明のスクリーニング用キットは、本発明のペプチド等、好ましくはさらに、レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分、あるいはレセプターまたはその部分ペプチドを含有するものである。
本発明のスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
〔スクリーニング用試薬〕
▲1▼測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
▲2▼ソマトスタチンレセプター標品
ソマトスタチンレセプターを含有するCHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養したもの。
▲3▼標識した本発明のペプチド等
市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識した本発明のペプチド(例、〔125I〕hCS−17など)
溶液の状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。
▲4▼本発明のペプチド等標準液
本発明のペプチド等を0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含むPBSで0.1mMとなるように溶解し、−20℃で保存する。
【0082】
〔測定法〕
▲1▼12穴組織培養用プレートにて培養した組換え型ソマトスタチンレセプターを含有するCHO細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
▲2▼10-3〜10-10Mの試験化合物溶液を5μl加えた後、5nMの標識した本発明のペプチド等を5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知るためには試験化合物のかわりに10-4Mの本発明のペプチド等を5μl加えておく。
▲3▼反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄する。細胞に結合した標識した本発明のペプチド等を0.5mlの0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
▲4▼液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding(PMB)を次の式〔数1〕で求める。なお、〔125I〕で標識されている場合は、液体シンチレーターと混合することなしに直接ガンマーカウンターで測定できる。
【0083】
〔数1〕
PBM=〔(B−NSB)/(B0−NSB)〕×100
PMB:Percent Maximum Binding
B :検体を加えた時の値
NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量)
B0 :最大結合量
【0084】
以上のとおり、本発明のペプチド等は、本発明のペプチド等とレセプターとの結合性を変化させる化合物をスクリーニングするための試薬として有用である。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、本発明のペプチド等とレセプターとの結合性を変化させる化合物であり、具体的には、▲1▼レセプターと結合し、細胞刺激活性を示す化合物(いわゆる、レセプターアゴニスト)、▲2▼レセプターと結合し、アゴニストによる細胞刺激活性を阻害する化合物(いわゆる、レセプターアンタゴニスト)、▲3▼本発明のペプチド等とレセプターとの結合力を増強する化合物、または▲4▼本発明のペプチド等とレセプターとの結合力を減少させる化合物である。
レセプターアゴニストは、本発明のペプチド等あるいはソマトスタチンが有する生理活性の全部または一部を有しているので、該生理活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用である。例えば、成長ホルモン、下垂体ホルモン(例えば、甲状腺刺激ホルモン、プロラクチンなど)、消化管ホルモン(例えば、ガストリン、インシュリンなど)などのホルモンの分泌抑制剤などとして有用であり、さらにはホルモン産生腫瘍、先端巨大症、巨人症、痴呆症、糖尿病、胃潰瘍などの治療・予防治療剤、ホルモン分泌抑制剤、腫瘍増殖抑制剤、神経活動もしくは睡眠の調節剤などとして有用である。
【0085】
一方、レセプターアンタゴニストは、本発明のペプチド等あるいはソマトスタチンが有する生理活性の全部または一部を抑制することができるので、該生理活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用である。例えば、成長ホルモン、下垂体ホルモン(例えば、甲状腺刺激ホルモン、プロラクチンなど)、消化管ホルモン(例えば、ガストリン、インシュリンなど)などのホルモンの分泌促進剤などとして有用であり、さらには小人症、乳汁分泌不全、糖尿病などの治療・予防剤、あるいは消化管諸臓器の機能調節剤(例えば、胃、小腸、膵臓、肝臓などの臓器の機能調節剤)などとして有用である。
本発明のペプチド等とレセプターとの結合力を増強する化合物は、本発明のペプチド等あるいはソマトスタチンが有する生理活性を増強することができるので、前記したレセプターアゴニストと同様な医薬として有用である。
本発明のペプチド等とレセプターとの結合力を減少させる化合物は、本発明のペプチド等あるいはソマトスタチンが有する生理活性を減少させることができるので、前記したレセプターアンタゴニトと同様な医薬として有用である。
【0086】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の治療・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、前記した本発明のペプチド等を含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などに製剤化し、ヒトまたは温血動物に投与することができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投与することができる。
該化合物の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、不眠症治療の目的でレセプターアゴニストを経口投与する場合、一般的に該レセプターアゴニストを成人(60kgとして)においては、一日につき約0.1mg〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合、該レセプターアゴニストの1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、不眠症治療の目的で該レセプターアゴニストを注射剤の形で通常成人(体重60kgとして)に投与する場合は、一日につき該レセプターアゴニストを約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射するが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
一方、小人症治療の目的でレセプターアンタゴニストを経口投与する場合、一般的に該レセプターアンタゴニストを成人(60kgとして)においては、一日につき約0.1mg〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合、該レセプターアンタゴニストの1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、小人症治療の目的で該レセプターアンタゴニストを注射剤の形で通常成人(体重60kgとして)に投与する場合は、一日につき該レセプターアンタゴニストを約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射するが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0087】
(5)オリゴヌクレオチド誘導体またはその塩を含有する医薬
オリゴヌクレオチド誘導体またはその塩は、本発明のDNAに結合して本発明のDNAもしくは本発明のペプチド等の発現を促進することができるオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩(以下、オリゴヌクレオチド誘導体Aと略記する)と、本発明のDNAに結合して本発明のDNAもしくは本発明のペプチド等の発現を抑制することができるオリゴヌクレオチド誘導体またはその塩(アンチセンスDNA、以下、オリゴヌクレオチド誘導体Bと略記する)に分類される。
前記のとおり、本発明のペプチド等は、(1)成長ホルモンの分泌抑制作用、(2)甲状腺刺激ホルモン、プロラクチンなどの下垂体ホルモンの分泌抑制作用、(3)ガストリン、インシュリンなどの消化管ホルモンの分泌抑制作用、(4)神経伝達作用、(5)細胞増殖作用、(6)レム睡眠の誘発物質であるアセチルコリン作用の抑制作用、(7)平滑筋の収縮の抑制作用などを有している。
したがって、オリゴヌクレオチド誘導体Aは、生体内において上記の作用を発揮する本発明のペプチド等またはそれらをコードするDNAの機能を促進することができるので、例えば、成長ホルモン、下垂体ホルモン(例えば、甲状腺刺激ホルモン、プロラクチンなど)、消化管ホルモン(例えば、ガストリン、インシュリンなど)などのホルモンの分泌抑制剤などとして有用であり、さらにはホルモン産生腫瘍、先端巨大症、巨人症、痴呆症、糖尿病、胃潰瘍などの治療・予防治療剤、ホルモン分泌抑制剤、腫瘍増殖抑制剤、神経活動もしくは睡眠の調節剤などの医薬として使用することができる。
【0088】
一方、オリゴヌクレオチド誘導体B(アンチセンスDNA)は、生体内において上記の作用を発揮する本発明のペプチド等またはそれらをコードするDNAの機能を抑制することができるので、例えば、成長ホルモン、下垂体ホルモン(例えば、甲状腺刺激ホルモン、プロラクチンなど)、消化管ホルモン(例えば、ガストリン、インシュリンなど)などのホルモンの分泌促進剤などとして有用であり、さらには小人症、乳汁分泌不全、糖尿病などの治療・予防剤、あるいは消化管諸臓器の機能調節剤(例えば、胃、小腸、膵臓、肝臓などの臓器の機能調節剤)などの医薬として使用することができる。
上記オリゴヌクレオチド誘導体またはその塩を上記の医薬として使用する場合、前記した本発明のDNAを含有する医薬と同様にして製剤化し、ヒトまたは温血動物に投与することができる。例えば、該オリゴヌクレオチド誘導体またはその塩を単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従ってヒトまたは温血動物に投与することができる。該オリゴヌクレオチド誘導体またはその塩は、そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
【0089】
(6)本発明の抗体を含有する医薬
本発明のペプチド等の活性を中和する活性を有する本発明の抗体は、本発明のペプチド等、ソマトスタチンあるいはコルチスタチンが有する生理活性の全部または一部を抑制することができるので、例えば、成長ホルモン、下垂体ホルモン(例えば、甲状腺刺激ホルモン、プロラクチンなど)、消化管ホルモン(例えば、ガストリン、インシュリンなど)などのホルモンの分泌促進剤などの医薬として、さらには小人症、乳汁分泌不全、糖尿病などの治療・予防剤、あるいは消化管諸臓器の機能調節剤(例えば、胃、小腸、膵臓、肝臓などの臓器の機能調節剤)などの医薬として使用することができる。
本発明の抗体を含有する上記疾患の治療・予防剤は、そのまま液剤として、または適当な剤型の医薬組成物として、ヒトまたは哺乳動物(例、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して経口的または非経口的に投与することができる。投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、成人の小人症の治療・予防のために使用する場合には、該抗体を1回量として、通常0.01〜20mg/kg体重程度、好ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、さらに好ましくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1日1〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射により投与するのが好都合である。他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができる。症状が特に重い場合には、その症状に応じて増量してもよい。
該抗体は、それ自体または適当な医薬組成物として投与することができる。上記投与に用いられる医薬組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。かかる組成物は、経口または非経口投与に適する剤形として提供される。
すなわち、例えば、経口投与のための組成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。かかる組成物は自体公知の方法によって製造され、製剤分野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウムなどが用いられる。
【0090】
非経口投与のための組成物としては、例えば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などの剤形を包含する。かかる注射剤は、自体公知の方法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製する。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられる坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合することによって調製される。
上記の経口用または非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するような投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞれの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜250mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ましくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有してもよい。
【0091】
(7)本発明のDNAを有する非ヒト動物の作製
本発明のDNAを用いて、本発明のペプチド等を発現するトランスジェニック非ヒト動物を作製することができる。非ヒト動物としては、哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)など(以下、動物と略記する)が挙げれるが、特に、マウス、ラット、ウサギなどが好適である。
本発明のDNAを対象動物に転移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合した遺伝子コンストラクトとして用いるのが一般に有利である。例えば、ウサギ由来の本発明のDNAを転移させる場合、これと相同性が高い動物由来のプロモーターであって、本発明のDNAを動物細胞で発現させうる各種プロモーターの下流に結合した遺伝子コンストラクトを、例えば、ウサギ受精卵へマイクロインジェクションすることによって本発明のペプチド等を高産生するDNA転移動物を作出できる。このプロモーターとしては、例えば、ウイルス由来プロモーター、メタロチオネイン等のユビキタスな発現プロモーターも使用しうる。
【0092】
受精卵細胞段階における本発明のDNAの転移は、対象動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明のペプチド等が存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞及び体細胞の全てに本発明のペプチド等を有することを意味する。遺伝子を受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明のペプチド等を有する。
本発明のDNA転移動物は、交配により遺伝子を安定に保持することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼育環境で飼育継代を行うことができる。さらに、目的DNAを保有する雌雄の動物を交配することにより、導入遺伝子を相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを有するように繁殖継代することができる。
本発明のDNAが転移された動物は、本発明のペプチド等が高発現させられているので、本発明のペプチド等の発現過多などに起因する疾病の治療・予防剤のスクリーニング用の動物などとして有用である。
本発明のDNA転移動物を、組織培養のための細胞源として使用することもできる。例えば、本発明のDNA転移マウスの組織中のDNAもしくはRNAを直接分析するか、または遺伝子により発現された本発明のペプチドが存在する組織を分析することにより、本発明のペプチド等について分析することができる。本発明のペプチド等を有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、これらを使用して、例えば、脳や末梢組織由来のような一般に培養困難な組織からの細胞の機能を研究することができる。また、その細胞を用いることにより、例えば、各種組織の機能を高めるような医薬の選択も可能である。また、高発現細胞株があれば、そこから、本発明のペプチド等を単離精製することも可能である。
【0093】
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commision on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA :相補的デオキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グアニン
C :シトシン
RNA :リボ核酸
mRNA :メッセンジャーリボ核酸
dATP :デオキシアデノシン三リン酸
dTTP :デオキシチミジン三リン酸
dGTP :デオキシグアノシン三リン酸
dCTP :デオキシシチジン三リン酸
dNTPs :dATP,dTTP,dGTPおよびdCTPの混合物
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA :エチレンジアミン四酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
EIA :エンザイムイムノアッセイ
【0094】
Gly :グリシン
Ala :アラニン
Val :バリン
Leu :ロイシン
Ile :イソロイシン
Ser :セリン
Thr :スレオニン
Cys :システイン
Met :メチオニン
Glu :グルタミン酸
Asp :アスパラギン酸
Lys :リジン
Arg :アルギニン
His :ヒスチジン
Phe :フェニルアラニン
Tyr :チロシン
Trp :トリプトファン
Pro :プロリン
Asn :アスパラギン
Gln :グルタミン
pGlu :ピログルタミン酸
【0095】
また、本明細書中で繁用される置換基、保護基および試薬を下記の記号で表記する。
Me :メチル基
Et :エチル基
Bu :ブチル基
Ph :フェニル基
TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
BHA :ベンズヒドリルアミン
pMBHA :p−メチルベンズヒドリルアミン
Tos :p−トルエンスルホニル
CHO :ホルミル
cHex :シクロヘキシル
OcHex :シクロヘキシルエステル
Bzl :ベンジル
Bom :ベンジルオキシメチル
Z :ベンジルオキシカルボニル
Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル
Boc :t−ブチルオキシカルボニル
DNP :ジニトロフェニル
Trt :トリチル
Bum :t−ブトキシメチル
DCM :ジクロロメタン
Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル
HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール
HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−
1,2,3−ベンゾトリアゾール
DCC :N、N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミド
TFA :トリフルオロ酢酸
DIEA :ジイソプロピルエチルアミン
PAM :フェニルアセトアミドメチル
MeBzl :4−メチルベンジル
Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル
DCC :N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMF :N,N−ジメチルホルムアミド
NMP :N−メチル−2−ピロリドン
EDTA :エチレンジアミン四酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0096】
本明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕
本発明の成熟体ペプチド(図2のアミノ酸配列の第89番目〜105番目、hCS−17)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:2〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有する成熟体ペプチドのN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)が欠失したペプチド(図2のアミノ酸配列の第91番目〜105番目、hCS−15)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:3〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有する成熟体ペプチドのN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)が欠失したペプチド(図2のアミノ酸配列の第93番目〜105番目、hCS−13)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:4〕
本発明の前駆体(図2のアミノ酸配列の第77番目〜105番目)のアミノ酸配列を示す(hCS−29)。
〔配列番号:5〕
本発明の前駆体(図2のアミノ酸配列の第44番目〜105番目)のアミノ酸配列を示す(hCS−62)。
〔配列番号:6〕
本発明の前駆体(図2のアミノ酸配列の第21番目〜105番目)のアミノ酸配列を示す(hCS−85)。
〔配列番号:7〕
本発明の前駆体(図2のアミノ酸配列の第1番目〜105番目)のアミノ酸配列を示す(hCS−105)。
【0097】
〔配列番号:8〕
断片ペプチド(図2のアミノ酸配列の第77番目〜88番目)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:9〕
断片ペプチド(図2のアミノ酸配列の第44番目〜76番目)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:10〕
断片ペプチド(図2のアミノ酸配列の第21番目〜43番目)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:11〕
断片ペプチド(図2のアミノ酸配列の第1番目〜20番目)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:12〕
断片ペプチド(図2のアミノ酸配列の第1番目〜88番目)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:13〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列をコードする(図2の塩基配列の268番目〜318番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:14〕
配列番号:2で表わされるアミノ酸配列をコードする(図2の塩基配列の274番目〜318番目)塩基配列を示す。
【0098】
〔配列番号:15〕
配列番号:3で表わされるアミノ酸配列をコードする(図2の塩基配列の280番目〜318番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:16〕
配列番号:4で表わされるアミノ酸配列をコードする(図2の塩基配列の232番目〜318番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:17〕
配列番号:4で表わされるアミノ酸配列をコードする(図3の塩基配列の229番目〜315番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:18〕
配列番号:5で表わされるアミノ酸配列をコードする(図2の塩基配列の133番目〜318番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:19〕
配列番号:5で表わされるアミノ酸配列をコードする(図3の塩基配列の130番目〜315番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:20〕
配列番号:6で表わされるアミノ酸配列をコードする(図2の塩基配列の64番目〜318番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:21〕
配列番号:6で表わされるアミノ酸配列をコードする(図3の塩基配列の61番目〜315番目)塩基配列を示す。
【0099】
〔配列番号:22〕
配列番号:7で表わされるアミノ酸配列をコードする(図2の塩基配列の4番目〜318番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:23〕
配列番号:7で表わされるアミノ酸配列をコードする(図3の塩基配列の1番目〜315番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:24〕
配列番号:8で表わされるアミノ酸配列をコードする(図2の塩基配列の232番目〜267番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:25〕
配列番号:8で表わされるアミノ酸配列をコードする(図3の塩基配列の229番目〜264番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:26〕
配列番号:9で表わされるアミノ酸配列をコードする(図2の塩基配列の133番目〜231番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:27〕
配列番号:10で表わされるアミノ酸配列をコードする(図2の塩基配列の64番目〜132番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:28〕
配列番号:11で表わされるアミノ酸配列をコードする(図2の塩基配列の4番目〜63番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:29〕
配列番号:12で表わされるアミノ酸配列をコードする(図2の塩基配列の4番目〜267番目)塩基配列を示す。
〔配列番号:30〕
配列番号:12で表わされるアミノ酸配列をコードする(図3の塩基配列の1番目〜264番目)塩基配列を示す。
【0100】
〔配列番号:31〕
公知のラット由来コルチスタチンのアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:32〕
公知のラット由来ソマトスタチンのアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:33〕
配列番号:31で表わされる公知のラット由来コルチスタチンのアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:34〕
配列番号:32で表わされる公知のラット由来ソマトスタチンのアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:35〕
欠失型ペプチドのアミノ酸配列(16アミノ酸)を示す。
〔配列番号:36〕
欠失型ペプチドのアミノ酸配列(14アミノ酸)を示す。
〔配列番号:37〕
欠失型ペプチドのアミノ酸配列(12アミノ酸)を示す。
【0101】
〔配列番号:35〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドノC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失したペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys17 hCS−17)。
〔配列番号:36〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失したペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys15 hCS−15)。
〔配列番号:37〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失したペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys13 hCS−13)。
〔配列番号:38〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドの6番目のArgがLysで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(〔Lys6〕hCS−17)。
〔配列番号:39〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)が欠失し、4番目のArgがLysで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(〔Lys4〕hCS−15)。
〔配列番号:40〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)が欠失し、2番目のArgがLysで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(〔Lys2〕hCS−13)。
【0102】
〔配列番号:41〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、6番目のArgがLysで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys17 〔Lys6〕hCS−17)。
〔配列番号:42〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、第4番目のArgがLysで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys15 〔Lys4〕hCS−15)。
〔配列番号:43〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、第2番目のArgがLysで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys13 〔Lys2〕hCS−13)。
〔配列番号:44〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドの14番目のSerがThrで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(〔Thr14〕hCS−17)。〔配列番号:45〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)が欠失し、12番目のSerがThrで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(〔Thr12〕hCS−15)。
【0103】
〔配列番号:46〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)が欠失し、10番目のSerがThrで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(〔Thr10〕hCS−13)。
〔配列番号:47〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、14番目のSerがThrで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys17 〔Thr14〕hCS−17)。
〔配列番号:48〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、12番目のSerがThrで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys15 〔Thr12〕hCS−15)。
〔配列番号:49〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、10番目のSerがThrで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys13 〔Thr10〕hCS−13)。
〔配列番号:50〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドの第6番目のArgがLysに置換され、14番目のSerがThrで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(〔Lys6,Thr14〕hCS−17)。
【0104】
〔配列番号:51〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)が欠失し、第4番目のArgがLysに置換され、12番目のSerがThrで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(〔Lys4,Thr12〕hCS−15)。
〔配列番号:52〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)が欠失し、第2番目のArgがLysに置換され、10番目のSerがThrで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(〔Lys2,Thr10〕hCS−13)。
〔配列番号:53〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、第6番目のArgがLysに置換され、14番目のSerがThrで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys17 〔Lys6,Thr14〕hCS−17)。
〔配列番号:54〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端から2個のアミノ酸(Asp-Arg)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、第4番目のArgがLysに置換され、12番目のSerがThrで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys15 〔Lys4,Thr12〕hCS−15)。
〔配列番号:55〕
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのN末端から4個のアミノ酸(Asp-Arg-Met-Pro)およびC末端から1個のアミノ酸(Lys)が欠失し、第2番目のArgがLysに置換され、10番目のSerがThrで置換されたペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys13 〔Lys2,Thr10〕hCS−13)。
【0105】
〔配列番号:56〕
配列番号:4で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドの18番目のArgがLysで置換された前駆体ペプチドのアミノ酸配列を示す(〔Lys18〕hCS−29)。
〔配列番号:57〕
配列番号:4で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドの26番目のSerがThrで置換された前駆体ペプチドのアミノ酸配列を示す(〔Thr26〕hCS−29)。
〔配列番号:58〕
配列番号:4で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドの18番目のArgがLysで置換され、26番目のSerがThrで置換された前駆体ペプチドのアミノ酸配列を示す(〔Lys18,Thr26〕hCS−29)。
〔配列番号:59〕
配列番号:4で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドの18番目のArgがLysで置換され、29番目のLysが欠失した前駆体ペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys29〔Lys18〕hCS−29)。
〔配列番号:60〕
配列番号:4で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドの26番目のSerがThrで置換され、29番目のLysが欠失した前駆体ペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys29〔Thr26〕hCS−29)。
〔配列番号:61〕
配列番号:4で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドの18番目のArgがLysで置換され、26番目のSerがThrで置換された前駆体ペプチドのアミノ酸配列を示す(des Lys29〔Lys18,Thr26〕hCS−29)。
【0106】
〔配列番号:62〕
配列番号:35で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:63〕
配列番号:36で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:64〕
配列番号:37で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:65〕
配列番号:38で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:66〕
配列番号:39で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:67〕
配列番号:40で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:68〕
配列番号:41で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
【0107】
〔配列番号:69〕
配列番号:42で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:70〕
配列番号:43で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:71〕
配列番号:44で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:72〕
配列番号:45で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:73〕
配列番号:46で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:74〕
配列番号:47で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:75〕
配列番号:48で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
【0108】
〔配列番号:76〕
配列番号:49で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:77〕
配列番号:50で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:78〕
配列番号:51で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:79〕
配列番号:52で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:80〕
配列番号:53で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:81〕
配列番号:54で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:82〕
配列番号:55で表わされるアミノ酸配列を含有する欠失型ムテインをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:83〕
配列番号:56で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:84〕
配列番号:56で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAの塩基配列を示す。
【0109】
〔配列番号:85〕
配列番号:57で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:86〕
配列番号:57で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:87〕
配列番号:58で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:88〕
配列番号:58で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:89〕
配列番号:59で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:90〕
配列番号:59で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:91〕
配列番号:60で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:92〕
配列番号:60で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:93〕
配列番号:61で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:94〕
配列番号:61で表わされるアミノ酸配列を有する前駆体ペプチドをコードするDNAの塩基配列を示す。
【0110】
〔配列番号:95〕
ヒト・ソマトスタチンレセプタータンパク質サブタイプ1(SSTR1)をコードするcDNAのクローニングに用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:96〕
ヒト・ソマトスタチンレセプタータンパク質サブタイプ1(SSTR1)をコードするcDNAのクローニングに用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:97〕
ヒト・ソマトスタチンレセプタータンパク質サブタイプ2(SSTR2)をコードするcDNAのクローニングに用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:98〕
ヒト・ソマトスタチンレセプタータンパク質サブタイプ2(SSTR2)をコードするcDNAのクローニングに用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:99〕
ヒト・ソマトスタチンレセプタータンパク質サブタイプ3(SSTR3)をコードするcDNAのクローニングに用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:100〕
ヒト・ソマトスタチンレセプタータンパク質サブタイプ3(SSTR3)をコードするcDNAのクローニングに用いたプライマーの塩基配列を示す。
【0111】
〔配列番号:101〕
ヒト・ソマトスタチンレセプタータンパク質サブタイプ4(SSTR4)をコードするcDNAのクローニングに用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:102〕
ヒト・ソマトスタチンレセプタータンパク質サブタイプ4(SSTR4)をコードするcDNAのクローニングに用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:103〕
ヒト・ソマトスタチンレセプタータンパク質サブタイプ5(SSTR5)をコードするcDNAのクローニングに用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:104〕
ヒト・ソマトスタチンレセプタータンパク質サブタイプ5(SSTR5)をコードするcDNAのクローニングに用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:105〕
本発明のペプチドをコードするDNAをクローニングするために使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:106〕
本発明のペプチドをコードするDNAをクローニングするために使用したプライマーの塩基配列を示す。
【0112】
後述の実施例2で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109/phCSP6は、平成8年6月6日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−5564として、平成8年6月5日から財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 15967として寄託されている。
【0113】
【実施例】
以下に、参考例および実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法はモレキュラー・クローニング(Molecular cloning)に記載されている方法に従った。
【0114】
【参考例1】
ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ1(SSTR1)発現細胞の作製
(1)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ1(SSTR1)DNAのクローニング
報告されたヒト・SSTR1cDNAの塩基配列〔山田ら、プロシージング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci., USA)、89巻、251-255頁、1992年〕に基づき、DNAオリゴマーS1−1およびS1−2を合成した。S1−1の配列は、5'−GGTCGACCTCAGCTAGGATGTTCCCCAATG−3'(配列番号:95)であり、S1−2の配列は、5'−GGTCGACCCGGGCTCAGAGCGTCGTGAT−3'(配列番号:96)であった。
鋳型としては、ヒト染色体DNA(クロンテック社、カタログ番号CL6550−1)を用いた。該DNA 0.5ngに上記DNAオリゴマーをそれぞれ25pmolずつ加え、PfuDNAポリメラーゼ(スタラタジーン(株))2.5単位を用いてポリメラーゼ連鎖反応を行なった。反応液組成は、PfuDNAポリメラーゼに添付された指示書に従った。
反応は、94℃で1分間、63℃で1分間、75℃で2分間を1サイクルとして、35サイクル繰り返した。反応液を1%アガロースゲルで電気泳動したところ、目的とするサイズ(約1.2kb)のDNA断片が特異的に増幅されていた。該DNA断片をアガロースゲルから常法にしたがって回収し、HincIIサイトで開裂したpUC118に接続し、コンピテントセルであるエシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109に導入した。該DNA断片を含むプラスミドを有する形質転換体を選抜し、蛍光色素を用いた自動塩基配列解析装置ALF DNAシーケンサー(ファルマシア社製)で挿入DNA断片の塩基配列を確認したところ、塩基配列から予想されるアミノ酸配列は、前記の山田らの報告に記載された配列と完全に一致した。
【0115】
(2)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ1(SSTR1)DNAの発現プラスミドの構築
CHO細胞での発現ベクターとしては、pAKKO−111を用いた。pAKKO−111は次のようにして構築した。特開平5−076385公報に記載のpTB1417からHindIIIおよびClaI処理によってSRαプロモーターおよびpolyA付加シグナルを含む1.4kbのDNA断片を得た。また、pTB348〔Naruo, K. et al.バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem. Biophys. Res. Commun.)128, 256-264 (1985)〕からClaIおよびSalI処理によりジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子を含む4.5kbのDNA断片を得た。これらのDNA断片をT4ポリメラーゼ処理により末端を平滑末端にした後、T4リガーゼにより連結し、pAKKO−111プラスミドを構築した。
次に、(1)で得られたヒト・SSTR1 DNA断片を有するプラスミド 5μgを制限酵素SalIで消化した後、1%アガロースゲル電気泳動を行ない、ヒト・SSTR1をコードする1.2kbのDNA断片を回収した。そして、上記の発現ベクターpAKKO−111(5.5kb)1μgをSalIで消化し、ヒト・SSTR1 DNA断片を挿入するためのクローニング部位を作製した。該発現ベクター断片と1.2kbのDNA断片をT4DNAリガーゼを用いて結合し、反応液を塩化カルシウム法にて大腸菌JM109に導入し、形質転換体の中からヒト・SSTR1 DNA断片がプロモーターに対して順方向に挿入された発現プラスミドpA1−11−SSTR1を得た。このプラスミドを保持する形質転換体をエシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109/pA−1−11−SSTR1と表示する。
【0116】
(3)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ1(SSTR1)DNAのCHO(dhfr-)細胞への導入と発現
CHO(dhfr-)1×106細胞を、直径8cmのシャーレを用いて、10%ウシ胎児血清を含むハムF12培地で24時間培養し、この細胞に(2)で得たヒト・SSTR1 cDNA発現プラスミドpA−1−11−SSTR1、10μgをリン酸カルシウム法(Cell Phect Transfection Kit;Pharmacia)で導入した。導入24時間後、培地を10%透析ウシ胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に換えて、本培地でコロニーを形成する細胞(すなわち、DHFR+細胞)を選択した。さらに、選択された細胞を限界希釈法によって単一細胞からクローニングし、ソマトスタチンレセプター蛋白質活性を以下の方法で測定した。ヒト・SSTR1 cDNA発現細胞株を測定用緩衝液〔50mM トリス−塩酸、1mM EDTA、5mM 塩化マグネシウム、0.1% 牛血清アルブミン(BSA)、0.2mg/ml バシトラシン、10μg/ml ロイペプチン、1μg/ml ペプスタチン、200units/ml アプロチニン(pH7.5)〕で希釈し、細胞数を200μlあたり2×104個に調整した。200μlをチューブに分注し、5nM〔125I〕−ソマトスタチン−14(2000Ci/mmol,Amersham)2μlを添加し、25℃、60分間インキュベーションした。また、非特異的結合量(NSB)を測定するために、ソマトスタチン−14(10-4M)2μlを加えたチューブもインキュベーションした。洗浄用緩衝液〔50mM トリス−塩酸、1mM EDTA、5mM 塩化マグネシウム(pH7.5)〕(1.5ml)を添加し、GF/Fガラス繊維濾紙(ワットマン社)で濾過、さらに同緩衝液(1.5ml)で洗浄した。濾紙の〔125I〕をγ−カウンターで測定した。このようにして、ソマトスタチン結合活性の高い細胞株、SSTR1−8−3を選択した。
【0117】
【参考例2】
ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ2(SSTR2)発現細胞の作製
(1)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ2(SSTR2)cDNAのクローニング
報告されたヒト・SSTR2cDNAの塩基配列〔山田ら、プロシージング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci., USA)、89巻、251-255頁、1992年〕に基づき、DNAオリゴマーPT−1およびPT−2を合成した。PT−1は、5'−GGTCGACACCATGGACATGGCGGATGAG−3'(配列番号:97)で表わされる配列を有し、5'末端に制限酵素SalIの認識配列と−2〜+18(翻訳開始部位を+1とする)のセンス配列を含むオリゴマーであった。PT−2は、5'−GGTCGACAGTTCAGATACTGGTTTGG−3'(配列表の配列番号:98)で表わされる配列を有し、5'末端に制限酵素SalIの認識配列と+1095〜+1114のアンチセンス配列を含むオリゴマーであった。ヒト下垂体cDNA(クロンテック社、カタログ番号7173-1)を鋳型として用いた。該cDNA1ngに上記DNAオリゴマーをそれぞれ25pmolずつ加え、TaqDNAポリメラーゼ(宝酒造(株))2.5単位を用いてポリメラーゼ連鎖反応を行なった。反応液組成は、TaqDNAポリメラーゼに添付された指示書に従った。
【0118】
反応は、94℃で30秒間、52℃で20秒間、72℃で60秒間を1サイクルとして、30サイクル繰り返した。反応液を1%アガロースゲルで電気泳動したところ、目的とするサイズ(約1.1kb)のDNA断片が特異的に増幅されていた。該DNA断片をアガロースゲルから常法にしたがって回収し、HincIIサイトで開裂したpUC118に接続し、コンピテントセルであるエシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109に導入した。該DNA断片を含むプラスミドを有する形質転換体を2株(No.5およびNo.7)選抜し、蛍光色素を用いた自動塩基配列解析装置373A(アプライドバイオシステムズ社)で挿入DNA断片の塩基配列を確認したところ、No.5株のSalI-BstPI間の770ベース断片の配列中に点変異が一カ所確認され、No.7株のBstPI-SalI間の360ベース断片の配列中に点変異が一カ所確認された。そこで、No.5株のBstPI-SalI断片およびNo.7株のBstPI-SalIを除いた残りの断片を、アガロースゲル電気泳動で精製し、これらをライゲーション反応で繋げたプラスミドを構築した。本プラスミドの挿入DNA断片の塩基配列を確認したところ、前記の山田らの報告に記載されたヒト・SSTR2cDNAの塩基配列と完全に一致した。
【0119】
(2)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ2(SSTR2)cDNAの発現プラスミドの構築
CHO細胞の発現ベクターとしては、参考例1(1)記載のpAKKO−111を用いた。
(1)で得られたヒト・SSTR2cDNA断片を有するプラスミド 5μgを制限酵素SalIで消化した後、1%アガロースゲル電気泳動を行ない、ヒト・SSTR2をコードする1.1kbのDNA断片を回収した。そして、上記の発現ベクターpAKKO1.11(5.5kb)1μgをSalIで消化し、ヒト・SSTR2cDNA断片を挿入するためのクローニング部位を作製した。該発現ベクター断片と1.1kbのDNA断片をT4DNAリガーゼを用いて結合し、反応液を塩化カルシウム法にて大腸菌JM109に導入し、形質転換体の中からヒト・SSTR2cDNA断片がプロモーターに対して順方向に挿入された発現プラスミドpAC01を得た。このプラスミドpAC01を保持する形質転換体をエシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109/pAC01と表示する。
【0120】
(3)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ2(SSTR2)cDNAのCHO(dhfr-)細胞への導入と発現
CHO(dhfr-)細胞1×106細胞を、直径8cmのシャーレを用いて、10%ウシ胎児血清を含むハムF12培地で24時間培養し、この細胞に実施例1で得たヒト・SSTR2cDNA発現プラスミドpAC01 10μgをリン酸カルシウム法(Cell Phect Transfection Kit;Pharmacia)で導入した。導入24時間後、培地を10%透析ウシ胎児血清を含むDMEM培地に換えて、本培地でコロニーを形成する細胞(すなわち、DHFR+細胞)を選択した。さらに、選択された細胞を限界希釈法によって単一細胞からクローニングし、ヒト・SSTR2を高発現する細胞株SSTR2−HS5−9を選択した。
【0121】
【参考例3】
ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ3(SSTR3)発現細胞の作製
(1)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ3(SSTR3)DNAのクローニング
報告されたヒト・SSTR3 cDNAの塩基配列〔山田ら、モレキュラー・エンドクリノロジー(Molecular Endocrinology)、6巻、2136-2142頁、1992年〕に基づき、DNAオリゴマー、S3−1およびS3−2を合成した。S3−1の配列は、5'−GGTCGACCTCAACCATGGACATGCTTCATC−3'(配列番号:99)であり、S3−2の配列は、5'−GGTCGACTTTCCCCAGGCCCCTACAGGTA−3'(配列番号:100)であった。
鋳型としては、ヒト染色体DNA(クロンテック社、カタログ番号CL6550−1)を用いた。該DNA 0.5ngに上記DNAオリゴマーをそれぞれ25pmolずつ加え、PfuDNAポリメラーゼ(スタラタジーン(株))2.5単位を用いてポリメラーゼ連鎖反応を行なった。反応液組成は、PfuDNAポリメラーゼに添付された指示書に従った。
反応は、94℃で1分間、63℃で1分間、75℃で2分間を1サイクルとして、35サイクル繰り返した。反応液を1%アガロースゲルで電気泳動したところ、目的とするサイズ(約1.3kb)のDNA断片が特異的に増幅されていた。参考例1(1)記載の方法により該DNA断片の塩基配列を確認したところ、塩基配列から予想されるアミノ酸配列は、前記の山田らの報告に記載された配列と完全に一致した。
【0122】
(2)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ3(SSTR3)DNAの発現プラスミドの構築
CHO細胞での発現ベクターとしては、参考例1(2)記載のpAKKO−111を用いた。(1)で得られたヒト・SSTR3 DNA断片を有するプラスミド 5μgを制限酵素SalIで消化した後、1%アガロースゲル電気泳動を行ない、ヒト・SSTR3をコードする1.3kbのDNA断片を回収した。そして、上記の発現ベクターpAKKO−111(5.5kb)1μgをSalIで消化し、ヒト・SSTR3 DNA断片を挿入するためにクローニング部位を作製した。該発現ベクター断片と1.3kbのDNA断片をT4DNAリガーゼを用いて結合し、反応液を塩化カルシウム法にて大腸菌JM109に導入し、形質転換体の中からヒト・SSTR3 DNA断片がプロモーターに対して順方向に挿入された発現プラスミドpA1−11−SSTR3を得た。このプラスミドpA1−11−SSTR3を保持する形質転換体をエシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109/pA−1−11−SSTR3と表示する。
【0123】
(3)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ3(SSTR3)DNAのCHO(dhfr-)細胞への導入と発現
CHO(dhfr-)1×106細胞を、直径8cmのシャーレを用いて、10%ウシ胎児血清を含むハムF12培地で24時間培養し、この細胞に(2)で得たヒト・SSTR3 DNA発現プラスミドpA−1−11−SSTR3、10μgをリン酸カルシウム法(Cell Phect Transfection Kit;Pharmacia)で導入した。導入24時間後、培地を10%透析ウシ胎児血清を含むDMEM培地に換えて、本培地でコロニーを形成する細胞(すなわち、DHFR+細胞)を選択した。さらに、選択された細胞を限界希釈法によって単一細胞からクローニングし、これらの細胞のソマトスタチンレセプター蛋白質発現能を参考例1(3)記載のバインディングアッセイにより測定した。このようにして、ソマトスタチン結合活性の高い細胞株、SSTR3−15−19を選択した。
【0124】
【参考例4】
ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ4(SSTR4)発現細胞の作製
(1)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ4(SSTR4)DNAのクローニング
報告されたヒト・SSTR4 DNAの塩基配列〔Rohrerら、プロシージング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci., USA)、90巻、4196-4200頁、1993年〕に基づき、DNAオリゴマー、S4−1およびS4−2を合成した。S4−1の配列は、5'−GGCTCGAGTCACCATGAGCGCCCCCTCG−3'(配列番号:101)であり、S4−2の配列は、5'−GGGCTCGAGCTCCTCAGAAGGTGGTGG−3'(配列番号:102)であった。
鋳型としては、ヒト染色体DNA(クロンテック社、カタログ番号CL6550−1)を用いた。該DNA 0.5ngに上記DNAオリゴマーをそれぞれ25pmolずつ加え、PfuDNAポリメラーゼ(スタラタジーン(株))2.5単位を用いてポリメラーゼ連鎖反応を行なった。反応液組成は、PfuDNAポリメラーゼに添付された指示書に従った。
反応は、94℃で1分間、63℃で1分間、75℃で2分間を1サイクルとして、35サイクル繰り返した。反応液を1%アガロースゲルで電気泳動したところ、目的とするサイズ(約1.2kb)のDNA断片が特異的に増幅されていた。参考例1(1)記載の方法により該DNA断片の塩基配列を確認したところ、塩基配列から予想されるアミノ酸配列は、前記のRohrerらの報告に記載された配列と完全に一致した。
【0125】
(2)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ4(SSTR4)DNAの発現プラスミドの構築
CHO細胞での発現ベクターとしては、参考例1(2)記載のpAKKO−111を用いた。
(1)で得られたヒト・SSTR4 DNA断片を有するプラスミド 5μgを制限酵素XhoIで消化した後、1%アガロースゲル電気泳動を行ない、ヒト・SSTR4をコードする1.2kbのDNA断片を回収した。そして、上記の発現ベクターpAKKO−111(5.5kb)1μgをSalIで消化し、ヒト・SSTR4 DNA断片を挿入するためのクローニング部位を作製した。該発現ベクター断片と1.2kbのDNA断片をT4DNAリガーゼを用いて結合し、反応液を塩化カルシウム法にて大腸菌JM109に導入し、形質転換体の中からヒト・SSTR4 DNA断片がプロモーターに対して順方向に挿入された発現プラスミドpA1−11−SSTR4を得た。このプラスミドを保持する形質転換体をエシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109/pA−1−11−SSTR4と表示する。
【0126】
(3)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ4(SSTR4)DNAのCHO(dhfr-)細胞への導入と発現
CHO(dhfr-)1×106細胞を、直径8cmのシャーレを用いて、10%ウシ胎児血清を含むハムF12培地で24時間培養し、この細胞に(2)で得たヒト・SSTR4 DNA発現プラスミドpA−1−11−SSTR4、10μgをリン酸カルシウム法(Cell Phect Transfection Kit;Pharmacia)で導入した。導入24時間後、培地を10%透析ウシ胎児血清を含むDMEM培地に換えて、本培地でコロニーを形成する細胞(すなわち、DHFR+細胞)を選択した。さらに、選択された細胞を限界希釈法によって単一細胞からクローニングし、これらの細胞のソマトスタチンレセプター蛋白質発現能を参考例1(3)記載のバインディングアッセイにより測定した。このようにして、ソマトスタチン結合活性の高い細胞株、SSTR4−1−2を選択した。
【0127】
【参考例5】
ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ5(SSTR5)発現細胞の作製
(1)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ5(SSTR5)DNAのクローニング
報告されたヒト・SSTR5 cDNAの塩基配列〔山田ら、バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem. Biophys. Res. Commun.)195巻、844-852頁、1993年〕に基づき、DNAオリゴマー、S5−1およびS5−2を合成した。S5−1の配列は、5'−GGTCGACCACCATGGAGCCCCTGTTCCC−3'(配列番号:103)であり、S5−2の配列は、5'−CCGTCGACACTCTCACAGCTTGCTGG−3'(配列番号:104)であった。
鋳型としては、ヒト染色体DNA(クロンテック社、カタログ番号CL6550−1)を用いた。該DNA 0.5ngに上記DNAオリゴマーをそれぞれ25pmolずつ加え、PfuDNAポリメラーゼ(スタラタジーン(株))2.5単位を用いてポリメラーゼ連鎖反応を行なった。反応液組成は、PfuDNAポリメラーゼに添付された指示書に従った。
反応は、94℃で1分間、66℃で1分間、75℃で2分間を1サイクルとして、35サイクル繰り返した。反応液を1%アガロースゲルで電気泳動したところ、目的とするサイズ(約1.1kb)のDNA断片が特異的に増幅されていた。参考例1(1)記載の方法により該DNA断片の塩基配列を確認したところ、塩基配列から予想されるアミノ酸配列は、前記の山田らの報告に記載された配列と完全に一致した。
【0128】
(2)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ5(SSTR5)DNAの発現プラスミドの構築
CHO細胞での発現ベクターとしては、参考例1(2)記載のpAKKO−111を用いた。
(1)で得られたヒト・SSTR5 DNA断片を有するプラスミド 5μgを制限酵素SalIで消化した後、1%アガロースゲル電気泳動を行ない、ヒト・SSTR5をコードする1.1kbのDNA断片を回収した。そして、上記の発現ベクターpAKKO−111(5.5kb)1μgをSalIで消化し、ヒト・SSTR5 DNA断片を挿入するためのクローニング部位を作製した。該発現ベクター断片と1.1kbのDNA断片をT4DNAリガーゼを用いて結合し、反応液を塩化カルシウム法にて大腸菌JM109に導入し、形質転換体の中からヒト・SSTR5 DNA断片がプロモーターに対して順方向に挿入された発現プラスミドpA1−11−SSTR5を得た。このプラスミドpA1−11−SSTR5を保持する形質転換体をエシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109/pA−1−11−SSTR5と表示する。
【0129】
(3)ヒト・ソマトスタチンレセプター蛋白質サブタイプ5(SSTR5)DNAのCHO(dhfr-)細胞への導入と発現
CHO(dhfr-)1×106細胞を、直径8cmのシャーレを用いて、10%ウシ胎児血清を含むハムF12培地で24時間培養し、この細胞に(2)で得たヒト・SSTR5 cDNA発現プラスミドpA−1−11−SSTR5、10μgをリン酸カルシウム法(Cell Phect Transfection Kit;Pharmacia)で導入した。導入24時間後、培地を10%透析ウシ胎児血清を含むDMEM培地に換えて、本培地でコロニーを形成する細胞(すなわち、DHFR+細胞)を選択した。さらに、選択された細胞を限界希釈法によって単一細胞からクローニングし、これらの細胞のソマトスタチンレセプター蛋白質発現能を参考例1(3)記載のバインディングアッセイにより測定した。このようにして、ソマトスタチン結合活性の高い細胞株、SSTR5−32−4を選択した。
【0130】
【参考例6】
ヒト・ソマトスタチンレセプターを含有するCHO細胞膜画分の調製
ヒト・ソマトスタチンレセプター発現CHO細胞株、SSTR1−8−3、SSTR2−HS5−9、SSTR3−15−19、SSTR4−1−2およびSSTR5−32−4(109個)をそれぞれ5mM EDTAを添加したリン酸緩衝生理食塩水(PBS−EDTA)に浮遊させ遠心した。細胞のペレットに細胞用ホモジネートバッファー(10mM NaHCO3、5mM EDTA、pH=7.5)を10ml加え、ポリトロンホモジナイザーを用いてホモジネートした。400×gで15分遠心して得られた上清をさらに100,000×gで1時間遠心し、膜画分の沈殿物を得た。この沈殿物を2mlのアッセイバッファー(25mM Tris−HCl、1mM EDTA、0.1% BSA、0.25mM フェニルメタンスルホニルフルオライド(PMSF)、1μg/ml ペプスタチン、20μg/ml ロイペプチン、10μg/ml フォスフォラミドン、pH=7.5)に懸濁し、100,000×gで1時間遠心した。沈殿物として回収された膜画分を再び20mlのアッセイバッファーに懸濁し、分注して、−80℃で保存し、使用の都度、解凍して用いた。
【0131】
【実施例1】
ヒト脳 poly(A)+RNA画分からのcDNAの合成とRT-PCR法による生理活性ペプチドcDNAの増幅
クローンテック社より購入したヒト脳 poly(A)+RNA画分5μgにプライマーとしてランダムDNAヘキサマー(BRL社)を加え、モロニイマウス白血病ウイルスの逆転写酵素(BRL社)により、添付バッファーを用いて相補DNAを合成した。反応後の産物はフェノール:クロロホルム(1:1)で抽出し、エタノール沈殿を行なった後、30μlのTE(10mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA)に溶解した。調製したcDNA 1μlを鋳型として、次の2つのプライマーを用いて、PCRによる増幅を行なった。
反応液の組成は、合成DNAプライマー(5'プライマー配列および3'プライマー配列)各20pM、0.25mM dNTPs、Ex Taq DNA polymerase 0.5μlおよび酵素に付属のバッファー10μlで、総反応溶液量は100μlとした。増幅はサーマルサイクラー(パーキン・エルマー社)を用い、95℃・30秒、65℃・1分、72℃・30秒のサイクルを35回繰り返した。増幅産物の確認は1.2%アガロース電気泳動およびエチジウムブロミド染色によって行なった。
【0132】
【実施例2】
PCR産物のプラスミドベクターへのサブクローニングおよび挿入cDNA部分の塩基配列の解読による新規生理活性ペプチド候補クローンの選択実施例1で行なったPCR後の反応産物は1.2%のアガロースゲルを用いて分離し、バンドの部分をカミソリで切り出した後、SUPRECOITM(タカラ)、フェノール抽出、エタノール沈殿を行なってDNAを回収した。TAクローニングキット(インビトロゲン社)の処方に従い、回収したDNAをプラスミドベクターpCRTMIIへサブクローニングした。これを大腸菌JM109 competent cell(宝酒造(株))に導入したのち、cDNA挿入断片を持つクローンをアンピシリン、IPTGおよびX−galを含むLB寒天培地中で選択し、白色を呈するクローンのみを滅菌した爪楊枝を用いて分離し、形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109/phCSP6を得た。
このクローンをアンピシリンを含むLB培地で一晩培養し、自動プラスミド抽出装置(クラボウ)を用いてプラスミドDNAを調製した。調製したDNAの一部を用いてEcoRIによる切断を行ない、挿入されているcDNA断片の大きさを確認した。残りのDNAの一部をさらにRNase処理、フェノール・クロロホルム抽出し、エタノール沈殿によって濃縮した。塩基配列の決定のための反応はDyeDeoxy Terminator Cycle Sequencing Kit(ABI社)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読した。得られた塩基配列の情報は、DNASIS(日立システムエンジニアリング社)を用いて行なった。決定した塩基配列を〔図1〕に示した。
決定した塩基配列〔図1〕をもとにホモロジー検索を行なった結果、形質転換体E. coli JM109/phCSP6の保有するプラスミドに挿入されたcDNA断片は、新規生理活性ペプチドをコードすることが分かった。さらに、それを確認するために、DNASIS(日立システムエンジニアリング社)を用い、塩基配列をアミノ酸配列に変換後〔図2〕、疎水性プロット〔図4〕およびアミノ酸配列に基づくホモロジー検索を行ない、ラットコルチスタチン(U51919)、ラットソマトスタチン(J00788)との相同性を見いだした〔図5〕。上記の( )内の略語は、NBRF−PIRにデータとして登録される際の整理番号であり、通常Accession Numberと呼ばれるものである。
【0133】
【実施例3】
ヒト・ペプチドhCS−17(配列番号:1):
【化1】
の合成
【0134】
1)Boc-Asp(OcHex)-Arg(Tos)-Met-Pro-Cys(MeBzl)-Arg(Tos)-Asn-Phe-Phe-Trp(CHO)-Lys(Cl-Z)-Thr(Bzl)-Phe-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Cys(MeBzl)-Lys(Cl-Z)-OCH2-PAM 樹脂の合成
市販のBoc-Lys(Cl-Z)-OCH2-PAM 樹脂(0.65m mole/gram)をペプチド合成機ABI−410Aの反応容器に入れ、Boc/HOBT/NMP方式でBoc-Cys(MeBzl), Boc-Ser(Bzl), Boc-Phe, Boc-Thr(Bzl), Boc-Lys(Cl-Z), Boc-Trp(CHO), Boc-Asn, Boc-Arg(Tos), Boc-Pro, Boc-Met, Boc-Asp(OcHex)をヒト型コルチスタチン様ペプチド(配列番号:1)のC末端からのアミノ酸配列順序通りに縮合した。縮合反応をニンヒドリンテストで点検し、未反応アミノ基がある場合には十分な縮合が得られるまで再縮合を実施して配列通りの全アミノ酸を樹脂に導入し、0.9235gの保護ペプチド樹脂を得た。
2)1)で得た樹脂0.15gをパラ−クレゾール 1.7g、1,4−ブタンジチオール 2.5ml、弗化水素 25mlで0℃/1時間処理した。弗化水素、1,4−ブタンジチオールを減圧留去し、残留物にジエチルエーテル100mlを加え撹拌後、グラスフィルター上に濾取し、乾燥した。これを50%(v/v、以下同様)酢酸水溶液 50ml中に懸濁、撹拌し、ペプチドを抽出した後、樹脂と分離し減圧下に約5mlまでに濃縮した後、セファデックスG−25(2×90cm)のカラムに付し50%酢酸水で展開し120〜170mlの部分を集め溶媒を留去した。これを2M−酢酸アンモニウム水溶液2mlに溶解しさらに脱気した蒸留水を加え400mlに希釈した後、希アンモニア水を加えてpH8とし、室温下に空気をゆるく吹き込み酸化した。HPLCで原料ペプチドピークが消失したことを確認後酢酸を加えpH4以下としてペプチドを逆相カラム(LiChroprep RP-18、2.6×10cm;E. MERCK)にかけ、0.1%−トリフルオロ酢酸水と0.1%−トリフルオロ酢酸含有50%−アセトニトリル水溶液との間のグラジエント溶出を行ない30〜35%の溶出部分を集め凍結乾燥し、白色粉末38mgを得た。次に、この白色粉末を弱酸性イオン交換クロマトカラム(Cellulofine C-500、2.6×5cm;生化学工業(株))にかけ、酢酸アンモニウム水のグラジエント溶出を行ない、0.3M前後に溶出する画分を集め、凍結乾燥して18.8mgを得た。さらに、得られた標品を50%−酢酸水でセファデックスG−25のゲル濾過クロマトカラム(2×90cm)に付し同溶媒で溶出し、183〜225mlの画分を集め凍結乾燥し、ヒト・ペプチドhCS−17を18.24mg得た。
【0135】
【0136】
【実施例4】
欠失型ヒト・ペプチドhCS−15(配列番号:2):
【化2】
の合成
【0137】
1)Boc-Met-Pro-Cys(MeBzl)-Arg(Tos)-Asn-Phe-Phe-Trp(CHO)-Lys(Cl-Z)-Thr(Bzl)-Phe-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Cys(MeBzl)-Lys(Cl-Z)-OCH2-PAM 樹脂の合成
実施例3と同様にして配列通りの全アミノ酸を樹脂に導入し、0.477gの保護ペプチド樹脂を得た。
2)1)で得た樹脂0.20gを実施例3と同様に弗化水素処理、空気酸化によるS−S結合形成、クロマト精製を行ない、欠失型ヒト・ペプチドhCS−1517.7mgを得た。
【0138】
【実施例5】
欠失型ヒト・ペプチドhCS−13(配列番号:3):
【化3】
の合成
【0139】
1)Boc-Cys(MeBzl)-Arg(Tos)-Asn-Phe-Phe-Trp(CHO)-Lys(Cl-Z)-Thr(Bzl)-Phe-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Cys(MeBzl)-Lys(Cl-Z)-OCH2-PAM 樹脂の合成
実施例3と同様にして配列通りの全アミノ酸を樹脂に導入し、0.603gの保護ペプチド樹脂を得た。
2)1)で得た樹脂0.14gを実施例3と同様に弗化水素処理、空気酸化によるS−S結合形成、クロマト精製を行ない、欠失型ヒト・ペプチドhCS−1317.0mgを得た。
【0140】
【実施例6】
欠失型ヒト・des Lys17 hCS−17(配列番号:35):
【化4】
の合成
実施例3のBoc-Lys(Cl-Z)-OCH2-PAM 樹脂をBoc-Cys(MeBzl)-OCH2-PAM 樹脂に変え、同様の操作を行ない合成することができる。
【0141】
【実施例7】
欠失型ヒト・ペプチドdes Lys15 hCS−15(配列番号:36):
【化5】
の合成
実施例4で用いるBoc-Lys(Cl-Z)-OCH2-PAM 樹脂をBoc-Cys(MeBzl)-OCH2-PAM 樹脂に変え、同様の操作を行ない合成することができる。
【0142】
【実施例8】
欠失型ヒト・ペプチドdes Lys13 hCS−13(配列番号:37):
【化6】
の合成
実施例5で用いるBoc-Lys(Cl-Z)-OCH2-PAM 樹脂をBoc-Cys(MeBzl)-OCH2-PAM 樹脂に変え、同様の操作を行ない合成することができる。
【0143】
【実施例9】
phCSP6のノーザンハイブリダイゼーション
phCSP6にコードされるヒト新規生理活性ペプチドのヒトの臓器での発現をmRNAレベルで検出するため、ノーザンハイブリダイゼーションを行なった。ノーザンブロット用のフィルターは、Human Multiple tissue Northern Blot,II, Human Brain Multiple tissue Northern Blot II, III, (CL 7760−1,CL 7759−1,CL 7755−1,CL 7750−1)クローンテック社を用いた。ハイブリダイゼーションは、上に述べたフィルターとphCSP6をEcoRIで切断して切り出される約300bpの断片を回収後、ランダムプライムDNAラベリングキット(アマシャム社)を用いて〔32P〕dCTP(デュポン社)を取り込ませることによって標識したプローブを、Express Hybri solution(クローンテック社)中で68℃、1時間インキュベートすることによって行なった。フィルターの洗浄は0.1×SSC,0.1% SDSで50℃にて行ない、風乾後18日間−80℃でX線フィルム(XAR5、コダック)に感光させた。その結果を〔図6〕に示す。また、Internal controlとしてG3PDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)のノーザンブロットの結果を〔図6〕に示す。
これらの結果から、phCSP6がコードする新規生理活性ペプチド遺伝子は、精巣、尾状核、脊髄、大脳皮質、扁頭核、海馬などで発現していることが分かった。
【0144】
【実施例10】
〔125I〕−ソマトスタチン結合阻害率の測定
参考例6で調製した膜画分をアッセイバッファーで希釈して、3μg/mlとし、チューブに173μlずつ分注した。ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した化合物2μlと、200pMの放射標識化ソマトスタチン(〔125I〕−ソマトスタチン:アマシャム社製)25μlとを同時に添加した。最大結合量を測定するために、DMSO 2μlと、200pMの〔125I〕−ソマトスタチン 25μlとを添加した反応液を調製した。また、非特異的結合を測定するために、DMSOに溶解した100μMのソマトスタチン 2μlと、200pMの〔125I〕−ソマトスタチン 25μlとを添加した反応液も同時に調製した。25℃で60分反応させた後、ポリエチレンイミン処理したワットマングラスフィルター(GF−B)を用いて反応液を吸引濾過した。濾過後、γ−カウンターを用いて濾紙上に残った〔125I〕−ソマトスタチンの放射活性を測定した。式
PBM=(B−NSB)/(B0−NSB)×100
(PBM:Percent Maximun Binding、B:検体を加えたときの放射活性、B0:最大結合放射活性、NSB:非特異結合放射活性)
によって各被検物質の結合阻害率(%)を求めた。また、被検物質の濃度変化させて阻害率を求め、50%結合を阻害する被検物質の濃度(IC50値)をHillプロットより算出した。
上記の方法でhCS−13、hCS−15、hCS−17を測定したときのIC50値を〔表1〕に示す。〔表1〕から、hCS−13、hCS−15、hCS−17はSSTR1、SSTR2、SSTR3、SSTR4およびSSTR5のすべてのレセプターに対して〔125I〕−ソマトスタチンの結合を強く阻害することが明らかになった。
【0145】
【表1】
【0146】
【実施例11】
hCS15、hCS17のヒトソマトスタチンレセプター発現CHO細胞に対するcAMP蓄積阻害作用
細胞内サイクリック アデノシン3',5'−1リン酸(cAMP)蓄積量を測定するため、参考例2(3)、参考例3(3)、参考例4(3)および参考例5(3)に記載のヒト・ソマトスタチンレセプター発現細胞株、それぞれSSTR2−HS5−9、SSTR3−15−19、SSTR4−1−2およびSSTR5−32−4を24穴プレートにコンフルエントになるまで増殖させた。該細胞を1mlの培地A〔ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、20mM 2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕エタンスルホン酸(HEPES)(pH7.5)、0.2% BSA、0.2mM 3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)〕で2回洗浄した後、400μlの培地Aを各穴に加え、37℃で1時間インキュベートした。50μlのhCS−15またはhCS−17溶液(いずれも終濃度の10倍濃度になるように培地Aで希釈したもの)と50μlのフォルスコリン溶液(終濃度10μM)を各穴に加え、37℃で30分間インキュベートした。細胞を1mlの培地Aで2回洗浄した後、500μlの培地Aと100μlの20%過塩素酸水溶液を各穴に加え、20分間4℃で静置することにより細胞を溶解した。この溶解液をエッペンドルフチューブに移し、遠心分離(15,000rpm、10分間)し、上清液500μlを別のエッペンドルフチューブに移して1.5M 塩化カリウムを含む60mM HEPES水溶液で中和した。この抽出液中に含まれるcAMPの量をアマシャム社製のキット(cAMP EIAシステム)を用いて測定した。その結果、各サブタイプのヒトソマトスタチンレセプターを単独で発現させたCHO細胞におけるフォルスコリン(10μM)刺激時の細胞内cAMP蓄積量は、hCS−15およびhCS−17の添加濃度に依存して減少した。そのときのED50値を〔表2〕に示す。このように、hCS15およびhCS−17は、SSTR2、SSTR3、SSTR4、およびSSTR5発現CHO細胞のアデニレートシクラーゼ活性を阻害することから、これらのレセプターに対し、アゴニスト作用を有することが明らかとなった。
【0147】
【表2】
【0148】
【実施例12】
hCS−17のラット脳波に対する作用
雄性Jcl:Wistar(体重約300〜350g)を用い、ペントバルビタール(50mg/kg、i.p.)麻酔下、ラット用脳定位固定装置に頭部を固定した。ラットの頭蓋に穿孔し、大脳皮質脳波誘導電極用ネジ電極、海馬脳波誘導用ステンレススチール製双極電極(A:−2.6,L:2.5,H:3.5 ,Pellegrino and Cushman Brain Atlas)を埋め込んだ。また、筋電図記録用の双極性ステンレススチール線を背側の頸部筋肉層に埋め込んだ。すべての電極は頭蓋上のソケットに接続し歯科用セメントを用いて固定した。側脳室内薬液注入のために、27ゲージのステンレススチール製ガイドカニューレを先端の座標がA:−0.4,L:1.7,H:1.7になるように埋め込みを脳電図用電極と共に歯科用セメントで固定した。ガイドカニューレはスタイレットを挿入し、組織や血液による管腔の閉塞を阻止した。術後の回復をまって実験に供した。ラットは実験環境に1時間以上馴化させたのち、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)に溶解したhCS−17またはPBSを30ゲージの注入用カニューレを用いて側脳室内投与した。脳波測定は薬物投与後4時間にわたり行なった。投与容量は5μlとし、注入量は0.1または1nmolとした。対照群には同様にPBSを投与した。すべての電気情報はポリグラフを通して脳波解析装置を用いてアナログおよびデジタル表示した。
【0149】
睡眠覚醒判定は、得られたポリグラムを目で判読すると同時に周波数解析およびパワー解析より次の4段階に分類した。
(1)Wakefulness(覚醒):
大脳皮質脳波はα波(低振幅速波)を、海馬脳波はθ波(律動波)を示し、筋電図活性が高い時を示す。
(2)SWS1(浅徐波睡眠)およびSWS2(深徐波睡眠):
ラットは睡眠時の姿勢をとり、大脳皮質にδ波(紡錘波)または高振幅徐波が発現し、海馬脳波についても高振幅徐波が認められ、筋電図活性が低下(SWS1)または消失(SWS2)している時を示す。
(3)PS(逆説睡眠):
大脳皮質にα波(低振幅速波)が、海馬脳波にθ波(律動波)が認められ、筋電図活性が消失している時を示す。
一群5〜6匹のラットを用い、同一ラットにhCS−17およびPBSの注入を行ない、睡眠覚醒に及ぼす作用を検討した。有意差の検定にはPaired t-testを用いた。
hCS−17 1nmol注入直後の典型的な脳波パターンを〔図7〕に示す。hCS−17投与直後から皮質および海馬における脳波の平坦化が認められ、3〜5分間持続した。この脳波平坦化は0.1nmol投与群では5例中2例に、1nmol投与群では6例中4例に認められた。
4時間の総測定時間の各脳波パターンにおける占有時間を〔図8〕〜〔図11〕に示す。hCS−17 0.1nmol投与群は覚醒時間においてはPBS投与対照群と差はなかったが、SWS1の減少およびSWS2の増加傾向を示した。また、PSは有意に減少した。1nmol投与群では有意なSWS1の減少とSWS2の増加およびPSの減少が認められた。
以上の結果から、本発明の成熟体ペプチドhCS−17が睡眠調節作用を有することが分かった。
【0150】
【発明の効果】
本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩は、(i)成長ホルモンの分泌抑制作用、(ii)甲状腺刺激ホルモン、プロラクチンなどの下垂体ホルモンの分泌抑制作用、(iii)ガストリン、インシュリンなどの消化管ホルモンの分泌抑制作用、(iv)神経伝達作用、(v)細胞増殖作用、(vi)レム睡眠の誘発物質であるアセチルコリン作用の抑制作用、(vii)平滑筋の収縮の抑制作用などのソマトスタチン様活性もしくはコルスタチン様活性を有している。したがって、本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩は、例えば、ホルモン産生腫瘍、先端巨大症、巨人症、痴呆症、糖尿病、胃潰瘍などの治療・予防剤、ホルモン分泌抑制剤、腫瘍増殖抑制剤、神経活動もしくは睡眠の調節剤などの医薬として有用である。
本発明のペプチドまたはその前駆体をコードするDNAは、例えば、ホルモン産生腫瘍、先端巨大症、巨人症、痴呆症、糖尿病、胃潰瘍などの遺伝子治療・予防剤、ホルモン分泌抑制剤、腫瘍増殖抑制剤、神経活動もしくは睡眠の調節剤などの医薬として有用である。さらに、本発明のDNAは、例えば、ホルモン産生腫瘍、先端巨大症、巨人症、痴呆症、糖尿病、胃潰瘍などの疾病の遺伝子診断剤として有用である。
本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩に対する抗体は、本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩を特異的に認識することができるので、被検液中の本発明のペプチド等の定量などに使用することができる。
本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩は、本発明のペプチド、その前駆体またはそれらの塩とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩をスクリーニングするための試薬として有用である。
該スクリーニングで得られる化合物またはその塩は、種々の疾病の治療・予防剤などの医薬として有用である。
【0151】
【配列表】
【配列番号:1】
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【0257】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られた本発明のペプチドhCS−17およびその前駆体をコードするDNAの塩基配列を示す。
【図2】実施例2で得られた本発明のペプチドhCS−17およびその前駆体をコードするDNAの塩基配列、およびそれから推定されるアミノ酸配列を示す。
【図3】本発明のペプチドhCS−17およびその前駆体をコードするDNAの塩基配列、およびそれから推定されるアミノ酸配列を示す。図2の第85番目のアミノ酸Serをコードするコドンが、図2ではTCCであるのに対して、図3ではTCTである。
【図4】図2に示される本発明の前駆体のアミノ酸配列の疎水性プロット分析の結果を示す。
【図5】図2に示される本発明の前駆体(phCSP6)と、ラットコルチスタチン(r cortistatin;U51919)およびラットソマトスタチン(r somatoatatin;J00788)とのアミノ酸配列を比較した結果を示す。
【図6】本発明のペプチドhCS−17をコードするmRNAのヒトの各組織における発現量をノーザンハイブリダイゼーションで調べた結果を示す。
Testisは精巣を、Cerebral Cortexは大脳皮質を、Spinal Cordは脊髄を、Amygdalaは扁頭核を、Caudate Nucleusは尾状核を、Hippocampusは海馬を示す。左側の数字(kb)はRNA分子量マーカーの大きさを示す。
上段はプラスミドphCSP6に含まれる本発明のペプチドhCS−17をコードするDNAをプローブとして用いた結果を示す。下段はグリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(G3PDH)をコードするDNAをプローブとして用いた結果を示す。
【図7】ラットの脳波に対する本発明のペプチドhCS−17の効果を調べた結果を示す。PBSはリン酸緩衝生理食塩液を投与した時の脳波のパターンを、hCS−17は本発明のペプチドhCS−17 1nmolをラットに投与した時の脳波のパターを示す。CCはCerebral Cortex(大脳皮質)の脳波を示す。HIPはHippocampus(海馬)の脳波を示す。EMGはElectromyogram(筋電図)を示す。PREは投与前を示す。minは分を示す。
【図8】本発明のペプチドhCS−17をラットに投与した後、4時間の総測定時間の覚醒の脳波パターンの占有時間を示す。縦軸は総測定時間に対する占有%を示す。横軸のVehicleはPBSを投与した時の結果を、hCS−17は本発明の成熟ペプチドを投与した時の結果を、数字は投与濃度を示す。
【図9】本発明のペプチドhCS−17をラットに投与した後、4時間の総測定時間の浅徐波睡眠の脳波パターンの占有時間を示す。縦軸は総測定時間に対する占有%を示す。横軸のVehicleはPBSを投与した時の結果を、hCS−17は本発明の成熟ペプチドを投与した時の結果を、数字は投与濃度を示す。
【図10】本発明のペプチドhCS−17をラットに投与した後、4時間の総測定時間の深徐波睡眠の脳波パターンの占有時間を示す。縦軸は総測定時間に対する占有%を示す。横軸のVehicleはPBSを投与した時の結果を、hCS−17は本発明の成熟ペプチドを投与した時の結果を、数字は投与濃度を示す。
【図11】本発明のペプチドhCS−17をラットに投与した後、4時間の総測定時間の逆説睡眠の脳波パターンの占有時間を示す。縦軸は総測定時間に対する占有%を示す。横軸のVehicleはPBSを投与した時の結果を、hCS−17は本発明の成熟ペプチドを投与した時の結果を、数字は投与濃度を示す。
Claims (22)
- 式 X 1 - X 2 -Asn-Phe-Phe-Trp-Lys-Thr-Phe- X 3 -Ser- X 4 (I)
〔X 1 は Asp-Arg-Met-Pro-Cys 、 Arg-Met-Pro-Cys 、 Met-Pro-Cys 、 Pro-Cys または Cys を、X 2 は Arg または Lys を、X 3 は Ser または Thr を、X 4 は Cys-Lys または Cys を示す〕で表わされるアミノ酸配列(ただし、X 1 が Pro-Cys 、X 2 が Lys 、X 3 が Ser 、X 4 が Cys-Lys であるアミノ酸配列であるアミノ酸配列を除く)からなるペプチドまたはそれらの塩であって、(i)成長ホルモン分泌抑制作用、(ii)下垂体ホルモン分泌抑制作用、(iii)消化管ホルモン分泌抑制作用、(iv)神経伝達作用、(v)細胞増殖作用、(vi)アセチルコリン作用の抑制作用、および(vii)平滑筋の収縮の抑制作用から選ばれる1種以上のソマトスタチン様活性またはコルチスタチン様活性を有するペプチドまたはその塩。 - 配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなる請求項1記載のペプチドまたはその塩。
- 配列番号:2で表わされるアミノ酸配列からなる請求項1記載のペプチドまたはその塩。
- 配列番号:3で表わされるアミノ酸配列からなる請求項1記載のペプチドまたはその塩。
- 配列番号:35〜55のいずれかの配列番号で表わされるアミノ酸配列からなる請求項1記載のペプチドまたはその塩。
- 配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6または配列番号:7で表わされるアミノ酸配列からなる請求項1記載のペプチドまたはその塩。
- 請求項1記載のペプチドをコードする塩基配列からなるDNAを含有するDNA。
- 配列番号:13で表わされる塩基配列からなる請求項7記載のDNA。
- 配列番号:14で表わされる塩基配列からなる請求項7記載のDNA。
- 配列番号:15で表わされる塩基配列からなる請求項7記載のDNA。
- 配列番号:16〜23のいずれかの配列番号で表わされる塩基配列からなる請求項7記載のDNA。
- 配列番号:62〜82のいずれかの配列番号で表わされる塩基配列からなる請求項7記載のDNA。
- 請求項7記載のDNAを含有する組換えベクター。
- 請求項13記載の組換えベクターを保持する形質転換体。
- 請求項14記載の形質転換体を培養し、請求項1記載のペプチドまたはそれらの塩を生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする請求項1記載のペプチドまたはそれらの塩の製造方法。
- 請求項1記載のペプチドまたはそれらの塩を含有してなる医薬。
- 請求項7記載のDNAを含有してなる神経活動もしくは睡眠の調節剤である医薬。
- 神経活動もしくは睡眠の調節剤である請求項16または17記載の医薬。
- 請求項1記載のペプチドまたはそれらの塩に対する抗体。
- 請求項1記載のペプチドまたはそれらの塩を用いることを特徴とする、ソマトスタチンレセプター、その部分ペプチドまたはそれらの塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法。
- 請求項1記載のペプチドまたはそれらの塩を含有することを特徴とする請求項1記載のペプチドまたはそれらの塩とソマトスタチンレセプター、その部分ペプチドまたはそれらの塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
- アミノ末端側を構成するアミノ酸またはペプチドとカルボキシ末端側を構成するアミノ酸またはペプチドとを縮合させ、分子内にジスルフィド結合を形成させることを特徴とする請求項1記載のペプチドまたはそれらの塩の製造法。
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