JP2002047203A - 肺高血圧症予防・治療剤 - Google Patents
肺高血圧症予防・治療剤Info
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Abstract
その塩、MCP−1の拮抗阻害型ムテインをコードする
塩基配列を有するDNAまたはMCP−1に対する中和
抗体を含有してなる肺高血圧症予防・治療剤などの提
供。 【効果】MCP−1の拮抗阻害型ムテインもしくはその
塩、MCP−1の拮抗阻害型ムテインをコードする塩基
配列を有するDNAまたはMCP−1に対する中和抗体
は、血圧低下作用などを有しており、肺高血圧症(特
に、原発性肺高血圧症)の予防・治療剤として有用であ
る。
Description
防・治療剤などに関する。
protein-1:マクロファージ走化性因子)はC-Cケモカ
インファミリーに属し、動脈硬化症(アテローム性動脈
硬化症など)の病変部に多く発現していることが知られ
ている(Takeya, M. et.al., Hum. Pathol. 24:534-539
(1993);Yla-Herttuala, S. et.al., Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 88:5252-5257 (1991))。一方、原発性肺
高血圧症(primary pulmonary hypertension:PH)は予
後不良の疾患であり、現在のところ、心肺移植が唯一の
効果的な治療方法である。しかし、心肺移植療法はドナ
ーが少なく現実的は治療方法としてはかなり問題があ
る。
肺移植をすることなく、肺高血圧症(特に原発性肺高血
圧症)を治療することを可能たらしめる肺高血圧症の治
療剤の開発が期待されている。
hemoattractant protein-1:マクロファージ走化性因
子)はC-Cケモカインファミリーに属し、動脈硬化症
(アテローム性動脈硬化症など)の病変部に多く発現し
ていることが知られている(Takeya, M. et.al., Hum.
Pathol. 24:534-539 (1993);Yla-Herttuala, S. et.a
l., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:5252-5257 (199
1))。一方、原発性肺高血圧症では、その初期に肺小動
脈の炎症(単球/マクロファージを主体として炎症反
応)が生じ、ついで中膜肥厚による肺血管抵抗の増加、
右心室肥大などが起るが、本発明者らは上記MCP−1
の作用を抑制する作用を有するMCP−1の拮抗阻害型
ムテイン等(本明細書において「拮抗阻害型ムテイン」
とは、「ドミナントネガティブムテインまたはミュータ
ント」と同意義に用いられる場合がある)が、予想外に
も原発性肺高血圧症の予防・治療剤として用いられるこ
とを見出した。さらに研究を進めることにより、本発明
を完成するに至った。
拮抗阻害型ムテインもしくはその塩、MCP−1の拮抗
阻害型ムテインをコードする塩基配列を有するDNAま
たはMCP−1に対する中和抗体を含有してなる肺高血
圧症予防・治療剤、(2)MCP−1の拮抗阻害型ムテ
インが7ND−MCP−1である上記(1)記載の剤、
(3)肺高血圧症が原発性肺高血圧症である上記(1)
記載の剤、(4)肺高血圧症予防・治療作用を有する医
薬を製造するための上記(1)記載のMCP−1の拮抗
阻害型ムテインもしくはその塩、MCP−1の拮抗阻害
型ムテインをコードする塩基配列を有するDNAまたは
MCP−1に対する中和抗体の使用。(5)上記(1)
記載のMCP−1の拮抗阻害型ムテインもしくはその
塩、MCP−1の拮抗阻害型ムテインをコードする塩基
配列を哺乳動物に投与することを特徴とする肺高血圧症
予防・治療方法などに関する。
ムテイン(以下、単に本発明のムテインと称する場合が
ある)はMCP−1(Rollins, B.J. Chemokines. Bloo
d. 90:909-928 (1997));配列番号:1で表されるアミ
ノ酸配列からなるタンパク質)の有する作用(例えば、
単球/マクロファージ走化(遊走)作用など)を抑制す
る作用を有していれば、いかなるものであってもよい
が、具体的には、(1)MCP−1のN末端から2〜7
6番目の部分アミノ酸配列からなるムテイン、(2)M
CP−1のN末端から3〜76番目の部分アミノ酸配列
からなるムテイン、(3)MCP−1のN末端から4〜
76番目の部分アミノ酸配列からなるムテイン、(4)
MCP−1のN末端から5〜76番目の部分アミノ酸配
列からなるムテイン、(5)MCP−1のN末端から6
〜76番目の部分アミノ酸配列からなるムテイン、
(6)MCP−1のN末端から7〜76番目の部分アミ
ノ酸配列からなるムテイン、(7)MCP−1のN末端
から8〜76番目の部分アミノ酸配列からなるムテイ
ン、(8)MCP−1のN末端から9〜76番目の部分
アミノ酸配列からなるムテイン、(9)MCP−1のN
末端から10〜76番目の部分アミノ酸配列からなるム
テイン、(10)MCP−1のN末端から11〜76番
目の部分アミノ酸配列からなるムテイン、(11)MC
P−1のN末端から2〜8番目のアミノ酸残基が欠失し
たアミノ酸配列(配列番号:2)からなるムテイン(本
明細書においては、「7ND−MCP−1」と称す
る)、(12)MCP−1のN末端から3番目のAsp
がAlaに置換されたムテイン、(13)MCP−1の
N末端から22番目のValがAspに置換されたムテ
イン、(14) MCP−1のN末端から24番目のA
rgがLeuに置換されたムテインなどがあげられ、特
に、7ND−MCP−1が好ましく用いられる。本発明
のムテインは、例えば、ヒトや温血動物(例えば、モル
モット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒ
ツジ、ウシ、ウマ、サルなど)のあらゆる細胞(例え
ば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄
細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細
胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細
胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細
胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中
球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟
骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細
胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹
細胞もしくはガン細胞など)、またはそれらの細胞が存
在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅
球、扁桃核、大脳基底核、海馬、視床、視床下部、大脳
皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、
肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋
肉、肺、消化管(例、大腸、小腸、十二指腸)、血管、
心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵
巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋などに由来するタン
パク質のムテインであってもよく、また合成タンパク質
であってもよい。
−1の有する作用(例えば、単球/マクロファージ走化
(遊走)作用など)を抑制する作用を有しているかぎ
り、配列番号:2と実質的に同一のアミノ酸配列を有し
ていてもよく、配列番号:2と実質的に同一のアミノ酸
配列としては、例えば、配列番号:2で表わされるアミ
ノ酸配列と約40%以上、好ましくは60%以上、より
好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以
上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミ
ノ酸配列などがあげられる。
号:2で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上
(例えば1〜20個程度、好ましくは1〜9個程度、さ
らに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が欠失
したアミノ酸配列、配列番号:2で表わされるアミノ
酸配列に1または2個以上(例えば1〜20個程度、好
ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜
5)個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番
号:2で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上
(例えば1〜20個程度、好ましくは1〜9個程度、さ
らに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が他の
アミノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを
組み合わせたアミノ酸配列を含有するムテインも含まれ
る。上記のようにアミノ酸配列が欠失または置換されて
いる場合、その欠失または置換の位置としては、特に限
定されない。
に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端
(カルボキシル末端)である。配列番号:2で表わされ
るアミノ酸配列からなるムテインをはじめとする、本発
明のムテインは、C末端が通常カルボキシル基(−CO
OH)またはカルボキシレート(−COO-)であるが、
C末端がアミド(−CONH2)またはエステル(−C
OOR)であってもよい。ここでエステル基のRとして
は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロ
ピルもしくはn−ブチルなどのC1-6アルキル基、例え
ば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シク
ロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどの
C6-12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなど
のフェニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメ
チルなどのα−ナフチル−C1-2アルキル基などのC
7-14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用さ
れるピバロイルオキシメチル基などが用いられる。本発
明のムテインがC末端以外にカルボキシル基(またはカ
ルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基が
アミド化またはエステル化されているものも本発明のム
テインに含まれる。この場合のエステルとしては、例え
ば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
ムテインにおいて、N末端のアミノ酸残基のアミノ基が
保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6
アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されて
いるもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミ
ル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸
の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ
基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基な
ど)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基
などのC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で
保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる
糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれる。本
発明のムテインの塩としては、生理学的に許容される酸
(例、無機酸、有機酸)または塩基(例、アルカリ金
属)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容さ
れる酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例え
ば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫
酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プ
ロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石
酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスル
ホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられ
る。本発明のムテインまたはその塩は、前述したヒトや
温血動物の細胞または組織から自体公知のタンパク質の
精製方法によってMCP−1を製造した後、自体公知の
方法に準じて、アミノ酸残基または部分アミノ酸配列を
欠失させるなどすることによって製造することもできる
し、後述するムテインをコードするDNAを含有する形
質転換体を培養することによっても製造することができ
る。また、後述のタンパク質合成法またはこれに準じて
製造することもできる。ヒトや温血動物の組織または細
胞からMCP−1を製造する場合、ヒトや温血動物の組
織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行
い、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換ク
ロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わ
せることにより精製単離することができる。
タンパク質合成用樹脂を用いることができる。そのよう
な樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキ
シメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチ
ル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、
4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−
ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹
脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2',4'-ジメトキシ
フェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−
(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェ
ノキシ樹脂などを挙げることができる。このような樹脂
を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したア
ミノ酸を、目的とするムテインの配列通りに、自体公知
の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最
後に樹脂からムテインを切り出すと同時に各種保護基を
除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合
形成反応を実施し、目的のムテインまたはそれらのアミ
ド体を取得する。上記した保護アミノ酸の縮合に関して
は、タンパク質合成に使用できる各種活性化試薬を用い
ることができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カ
ルボジイミド類としては、DCC、N,N'-ジイソプロピルカ
ルボジイミド、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロリ
ル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによる活
性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt, HOOBt)と
ともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対
称酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステル
としてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なったのち
に樹脂に添加することができる。保護アミノ酸の活性化
や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、タンパク質
縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜
選択されうる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N−メチルピロリドン、クロロホルム、トリフルオ
ロエタノール、ジメチルスルホキシド、DMF、ジメチル
スルホキシド、ピリジン、クロロホルム、ジオキサン、
塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、
酢酸エチル、N-メチルピロリドンあるいはこれらの適
宜の混合物などが用いられる。反応温度はタンパク質結
合形成反応に使用され得ることがしられている範囲から
適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜
選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5
〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテ
ストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行
うことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を
行なうことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が
得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾ
ールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化することによ
って、後の反応に影響を与えないようにすることができ
る。
ば、Z、Boc、ターシャリーアミルオキシカルボニル、
イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジル
オキシカルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカ
ルボニル、トリフルオロアセチル、フタリル、ホルミ
ル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホス
フィノチオイル、Fmocなどが用いられる。カルボキシル
基は、例えば、アルキルエステル(例えば、メチル、エ
チル、プロピル、ブチル、ターシャリーブチル、シクロ
ペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオ
クチル、2−アダマンチルなどのエステル基)、ベンジ
ルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキ
シベンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベ
ンズヒドリルエステル、フェナシンエステル、ベンジル
オキシカルボニルヒドラジド、ターシャリーブトキシカ
ルボニルヒドラジド、トリチルヒドラジドなどに導くこ
とによって保護することができる。セリンの水酸基は、
例えば、エステル化またはエーテル化によって保護する
ことができる。このエステル化に適する基としては、例
えば、アセチル基などの低級アルカノイル基、ベンゾイ
ル基などのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、
エトキシカルボニル基などの炭素から誘導される基など
が用いられる。また、エーテル化に適する基としては、
例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基、t-ブチ
ル基などである。
しては、例えば、Bzl、Cl2-Bzl、2−ニトロベンジル、
Br-Z、ターシャリーブチルなどが用いられる。ヒスチジ
ンのイミダゾールの保護基としては、例えば、Tos、4-
メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、
ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが用
いられる。原料のカルボキシル基の活性化されたものと
しては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エス
テル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、
2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノー
ル、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、
HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタルイ
ミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原料の
アミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対応す
るリン酸アミドが用いられる。保護基の除去(脱離)方
法としては、例えば、Pd-黒あるいはPd-炭素などの触媒
の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フ
ッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスル
ホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液など
による酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエ
チルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処
理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども
用いられる。上記酸処理による脱離反応は、一般に約−
20℃〜40℃の温度で行なわれるが、酸処理において
は、例えば、アニソール、フェノール、チオアニソー
ル、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフ
ィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオールの
ようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒス
チジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4-ジニ
トロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、
トリプトファンのインドール保護基として用いられるホ
ルミル基は上記の1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジ
チオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希
水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカ
リ処理によっても除去される。原料の反応に関与すべき
でない官能基の保護および保護基、ならびにその保護基
の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の基
あるいは公知の手段から適宜選択しうる。
法としては、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カル
ボキシル基をアミド化して保護した後、アミノ基側にペ
プチド(タンパク質)鎖を所望の鎖長まで延ばした後、
該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除
いたタンパク質とC末端のカルボキシル基の保護基のみ
を除去したタンパク質とを製造し、この両タンパク質を
上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳
細については上記と同様である。縮合により得られた保
護タンパク質を精製した後、上記方法によりすべての保
護基を除去し、所望の粗タンパク質を得ることができ
る。この粗タンパク質は既知の各種精製手段を駆使して
精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望のムテイン
のアミド体を得ることができる。本発明のムテインのエ
ステル体を得るには、カルボキシ末端アミノ酸のα−カ
ルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エ
ステルとした後、本発明のムテインのアミド体と同様に
して、所望のエステル体を得ることができる。本発明の
ムテインは、自体公知のペプチドの合成法に従って、あ
るいはMCP−1を適当なペプチダーゼで切断すること
によって製造することができる。ペプチドの合成法とし
ては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっ
ても良い。すなわち、本発明のムテインを構成し得る部
分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、
生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することに
より目的の本発明のムテインを製造することができる。
公知の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下
の〜に記載された方法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド・シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptid
e), Academic Press, NewYork (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成
広川書店
媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマ
トグラフィー・再結晶などを組み合わせて本発明のムテ
インを精製単離することができる。上記方法で得られる
本発明のムテインが遊離体である場合は、公知の方法あ
るいはそれに準じる方法によって適当な塩に変換するこ
とができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法あ
るいはそれに準じる方法によって遊離体または他の塩に
変換することができる。本発明のムテインをコードする
DNAとしては、前述した本発明のムテインをコードす
る塩基配列を含有するものであればいかなるものであっ
てもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラ
リー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細
胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのい
ずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バ
クテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミ
ドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組
織よりmRNA画分を調製したものを用いて直接Revers
e Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、
RT-PCR法と略称する)によって増幅することもで
きる。
ミノ酸配列をからなるMCP−1をコードするDNAと
しては、例えば、配列番号:3で表わされる塩基配列を
有するDNA、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列
をからなる7ND−MCP−1をコードするDNAとし
ては、例えば、配列番号:4で表わされる塩基配列を有
するDNAなどが用いられる。
ローニングの手段としては、本発明のムテインをコード
するDNAの部分塩基配列を有する合成DNAプライマ
ーを用いて、PCR法によって鋳型となるDNAを増幅
するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを本
発明のムテインの一部あるいは全領域を有するDNA断
片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブ
リダイゼーションによって選別することができる。ハイ
ブリダイゼーションの方法は、例えば、モレキュラー・
クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook
et al., ColdSpring Harbor Lab. Press, 1989)に記
載の方法などに従って行なうことができる。また、市販
のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記
載の方法に従って行なうことができる。DNAの塩基配
列の変換(欠失・付加・置換)は、公知のキット、例え
ば、MutanTM-G(宝酒造(株))、MutanTM-K(宝酒造
(株))などを用いて、Gapped duplex法やKunkel法な
どの自体公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従っ
て行なうことができる。クローン化された本発明のムテ
インをコードするDNAは、目的によりそのまま、また
は所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加し
たりして使用することができる。該DNAはその5'末
端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3'
末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまた
はTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドン
や翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用
いて付加することもできる。本発明のムテインをコード
するDNAの発現ベクターは、例えば、(イ)本発明の
ムテインをコードするDNAから目的とするDNA断片
を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター
中のプロモーターの下流に連結することにより製造する
ことができる。ベクターとしては、例えば、大腸菌由来
のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pU
C12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、
pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラ
スミド(例、pSH19,pSH15)、λファージな
どのバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニア
ウイルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの
他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc
/RSV、pcDNAI/Neoなどが用いられる。用
いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる
宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるも
のでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場合
は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LT
Rプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロ
モーター、HSV-TKプロモーターなどが挙げられ
る。これらのうち、CMVプロモーター、SRαプロモ
ーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア
属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモ
ーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、
lppプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である
場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモータ
ー、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合
は、AOX1プロモーター、PHO5プロモーター、P
GKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモ
ーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、
ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが
好ましい。発現ベクターには、以上の他に、所望により
エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シ
グナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、
SV40oriと略称する場合がある)などを含有して
いるものを用いることができる。選択マーカーとして
は、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと
略称する場合がある)遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子
(以下、Amprと略称する場合がある)、ネオマイシ
ン耐性遺伝子(以下、Neoと略称する場合がある、G
418耐性)等が用いられる。dhfr遺伝子はメソト
レキセート(MTX)耐性を、NeoはG418耐性を
付与する。特に、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハム
スター細胞CHOを用いてdhfr遺伝子を選択マーカ
ーとして使用する場合、チミジンを含まない培地によっ
ても目的とする遺伝子を選択することができる。また、
必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、タンパク
質のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌であ
る場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列
などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラ
ーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列など
が、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、
SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場
合には、例えばインシュリン・シグナル配列、α−イン
ターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列
などがそれぞれ利用できる。
ンをコードするDNAを含有するベクターを細胞に導入
することによって形質転換体を製造することができる。
宿主としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属
菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられ
る。エシェリヒア属菌としては、例えば、エシェリヒア
・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔プロシー
ジングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・
サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA),60巻,160(196
8)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リサー
チ,(Nucleic Acids Research),9巻,309(19
81)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラ
ー・バイオロジー(Journal of Molecular Biolog
y)〕,120巻,517(1978)〕,HB101
〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,4
1巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティック
ス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用
いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・
サチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,
24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナ
ル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemis
try),95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ
(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22
R-,NA87−11A,DKD−5D,20B−1
2、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccharomy
ces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピ
キア パストリス(Pichia pastoris)KM71などが
用いられる。昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodop
tera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia ni
の中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のH
igh FiveTM細胞、Mamestrabrassicae由来の細胞また
はEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイ
ルスがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx m
ori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞と
しては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf2
1細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィトロ(in V
itro),13, 213-217,(1977))などが用いられる。
が用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315
巻,592(1985)〕。動物細胞としては、例えば、
サル細胞COS−7,Vero,チャイニーズハムスター
細胞CHO(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝
子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CH
O(dhfr-)細胞と略記),マウスL細胞,マウス
AtT−20,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,
ヒトFL細胞、293細胞、C127細胞、BALB3
T3細胞、Sp−2細胞などが用いられる。これらの中
でも、CHO細胞、CHO(dhfr-)細胞、293
細胞などが好ましい。エシェリヒア属菌を形質転換する
には、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナ
ル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユ
ーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69
巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,1
07(1982)などに記載の方法に従って行なうことが
できる。バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モ
レキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス
(Molecular & General Genetics),168巻,11
1(1979)などに記載の方法に従って行なうことがで
きる。酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ・イ
ン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology),1
94巻,182−187(1991)、プロシージング
ズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエ
ンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA),75巻,1929(1978)など
に記載の方法に従って行なうことができる。
ば、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47-5
5(1988))などに記載の方法に従って行なうことができ
る。動物細胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別
冊8 新細胞工学実験プロトコール.263−267
(1995)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virolog
y),52巻,456(1973)に記載の方法に従って
行なうことができる。発現ベクターの細胞への導入方法
としては、例えば、リン酸カルシウム法〔Graham, F.
L. and van der Eb, A. J.ヴィロロジー(Virology) 5
2, 456-467(1973)〕、電気穿孔法〔Nuemann, E. et a
l. エンボ・ジャーナル(EMBO J.) 1,841-845(198
2)〕等が用いられる。このようにして、本発明のムテ
インをコードするDNAを含有する発現ベクターで形質
転換された形質転換体を得ることができる。なお、動物
細胞を用いて、本発明のムテインを安定に発現させる方
法としては、上記の動物細胞に導入された発現ベクター
が染色体に組み込まれた細胞をクローン選択によって選
択する方法がある。具体的には、上記の選択マーカーを
指標にして形質転換体を選択することができる。さら
に、このように選択マーカーを用いて得られた動物細胞
に対して、繰り返しクローン選択を行なうことにより本
発明のムテインの高発現能を有する安定な動物細胞株を
得ることができる。また、dhfr遺伝子を選択マーカ
ーとして用いた場合、MTX濃度を徐々に上げて培養
し、耐性株を選択することにより、dhfr遺伝子とと
もに、本発明のムテインをコードするDNAを細胞内で
増幅させて、さらに高発現の動物細胞株を得ることもで
きる。上記の形質転換体を本発明のムテインをコードす
るDNAが発現可能な条件下で培養し、本発明のムテイ
ンを生成、蓄積せしめることによって、本発明のムテイ
ンを製造することができる。
ある形質転換体を培養する際、培養に使用される培地と
しては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体
の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せ
しめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デ
キストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源として
は、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチ
ープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆
粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機
物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナ
トリウム、塩化マグネシウムなどがそれぞれ用いられ
る。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子など
を添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例え
ば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー
(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イ
ン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Exp
eriments in Molecular Genetics),431−433,
Cold Spring Harbor Laboratory, New York1972〕
が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく
働かせるために、例えば3β−インドリル アクリル酸
のような薬剤を加えることができる。宿主がエシェリヒ
ア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24
時間行ない、必要により、通気や撹拌を加えることもで
きる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜
40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌
を加えることもできる。宿主が酵母である形質転換体を
培養する際、培地としては、例えば、バークホールダー
(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、プロシ
ージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ
・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA),77巻,4505(198
0)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitte
r, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナ
ル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユ
ーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81
巻,5330(1984)〕が挙げられる。培地のpH
は約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20
℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通
気や撹拌を加える。宿主が昆虫細胞である形質転換体を
培養する際、培地としては、Grace's Insect Medium(G
race, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(1962))
に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたも
のなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に
調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5
日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
る際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血
清を含むMEM培地〔サイエンス(Science),122
巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー
(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI
1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メ
ディカル・アソシエーション(The Journal of the Ame
rican Medical Association)199巻,519(196
7)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサ
イエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン
(Proceeding ofthe Society for the Biological Medi
cine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。p
Hは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃
〜40℃で約15〜72時間行ない、必要に応じて通気
や撹拌を加える。特に、CHO(dhfr-)細胞およ
びdhfr遺伝子を選択マーカーとして用いる場合、チ
ミジンをほとんど含まない透析ウシ胎児血清を含むDM
EM培地を用いるのが好ましい。上記培養物から本発明
のムテインを分離精製するには、例えば、下記の方法に
より行なうことができる。本発明のムテインを培養菌体
あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の
方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に
懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解な
どによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離
やろ過により本発明のムテインの粗抽出液を得る方法な
どが適宜用い得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジン
などのタンパク変性剤や、トリトンX−100TMなどの
界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にタンパク
質が分泌される場合には、培養終了後、それ自体公知の
方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集め
る。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液
中に含まれる本発明のムテインの精製は、自体公知の分
離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。
これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱
法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、
ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イ
オン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する
方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的
親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィ
ーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法
などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに
準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で
得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる
方法により、遊離体または他の塩に変換することができ
る。なお、組換え体が産生する本発明のムテインを、精
製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させるこ
とにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分
的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例
えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンド
ペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼな
どが用いられる。かくして生成する本発明のムテインの
存在は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイな
どにより測定することができる。MCP−1に対する中
和抗体(以下、本発明の抗体と称することがある)はM
CP−1を中和する作用を有し、MCP−1を認識し得
る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル
抗体の何れであってもよい。本発明の抗体は、MCP−
1を抗原として用い、自体公知の抗体または抗血清の製
造法に従って製造することができる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 MCP−1は、温血動物に対して投与により抗体産生が
可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投
与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全
フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバン
トを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ず
つ、計2〜10回程度行なうことができる。温血動物と
しては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マ
ウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが用いられる
が、マウスおよびラットが好ましく用いられる。モノク
ローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫さ
れた温血動物、例えば、マウスから抗体価の認められた
個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ
節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種また
は異種の骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクロ
ーナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができ
る。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化
タンパク質等と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合
した標識剤の活性を測定することにより行なうことがで
きる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミル
スタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (197
5)〕に従い実施できる。融合促進剤としては、例えば、
ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルス
などが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物由来の
骨髄腫細胞が用いられるが、P3U1が好ましく用いら
れる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫
細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であ
り、PEG(好ましくはPEG1000〜PEG600
0)が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40
℃、好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベ
ートすることにより効率よく細胞融合を実施することが
できる。モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスク
リーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、タ
ンパク質抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固
相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清
を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫
グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの
場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)また
はプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル
抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロ
テインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を
添加し、放射性物質や酵素などで標識したタンパク質を
加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方
法などが用いられる。
るいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。
通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジ
ン)を添加した動物細胞用培地で行なうことができる。
選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育
できるものならばどのような培地を用いても良い。例え
ば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清
を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血
清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハ
イブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水
製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、
通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時
間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間で
ある。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができ
る。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清
中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アル
コール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換
体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ
過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロ
テインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結
合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行な
うことができる。 〔ポリクローナル抗体の作製〕ポリクローナル抗体は、
それ自体公知あるいはそれに準じる方法にしたがって製
造することができる。例えば、免疫抗原(タンパク質抗
原)とキャリアー蛋白質との複合体をつくり、上記のモ
ノクローナル抗体の製造法と同様に温血動物に免疫を行
ない、該免疫動物からポリクローナル抗体含有物を採取
して、抗体の分離精製を行なうことにより製造すること
ができる。温血動物を免疫するために用いられる免疫抗
原とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋
白質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、
キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体
が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架
橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミンやウシ
サイログロブリン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン
1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合
でカプルさせる方法が用いられる。また、ハプテンとキ
ャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いること
ができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マ
レイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基
を含有する活性エステル試薬等が用いられる。縮合生成
物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ
自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に
際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュ
バントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよ
い。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜1
0回程度行なうことができる。ポリクローナル抗体は、
上記の方法で免疫された温血動物の血液、腹水など、好
ましくは血液から採取することができる。抗血清中のポ
リクローナル抗体価の測定は、上記の血清中の抗体価の
測定と同様にして測定できる。抗体の分離精製は、上記
のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリ
ンの分離精製法に従って行なうことができる。
ンをコードする塩基配列を有するDNAまたは本発明の
抗体は、例えば、肺高血圧症、より具体的には、原発性
肺高血圧症の予防・治療剤として用いることができる。
本発明のムテインをコードする塩基配列を有するDNA
を上記の治療・予防剤として使用する場合は、該DNA
を単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイル
スベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルス
ベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段
に従ってヒトまたは温血動物に投与することができる。
本発明のDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のた
めに補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製
剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカ
テーテルによって投与できる。本発明のムテインを上記
の治療・予防剤として使用する場合は、少なくとも90
%、好ましくは95%以上、より好ましく98%以上、
さらに好ましくは99%以上に精製されたものを使用す
るのが好ましい。本発明のムテインまたは本発明の抗体
を上記の予防・治療剤として使用する場合は、例えば、
必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシ
ル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるい
は水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌
性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に
使用できる。例えば、本発明のムテインを生理学的に認
められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安
定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に
要求される単位用量形態で混和することによって製造す
ることができる。これら製剤における有効成分量は指示
された範囲の適当な用量が得られるようにするものであ
る。錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加
剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラ
ガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロー
スのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギ
ン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムの
ような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような
甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのよ
うな香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセル
である場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のよう
な液状担体を含有することができる。注射のための無菌
組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻
油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解また
は懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方するこ
とができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食
塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例え
ば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリ
ウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例え
ば、アルコール(例えば、エタノールなど)、ポリアル
コール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレン
グリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポ
リソルベート80TM、HCO−50など)などと併用し
てもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油な
どが用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベ
ンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤
(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液な
ど)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調整された注射液は、通常、適当
なアンプルに充填される。上記のDNAが挿入されたベ
クターも上記と同様に製剤化され、通常、非経口的に使
用される。
毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与
することができる。また、上記の本発明のムテインをコ
ードするDNA、上記のDNAを含有してなるベクター
等は、肺高血圧症(特に、原発性肺高血圧症)の遺伝子
治療に用いることができる。本発明の予防・治療剤の投
与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差
異はあるが、例えば、原発性肺高血圧症患者に本発明の
ムテイン、本発明のDNAまたは本発明の抗体を注射剤の
形で成人(体重60kgとして)に投与する場合、一日
につき有効成分として約0.01〜30mg程度、好ま
しくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.
1〜10mg程度を患部に注射することにより投与する
のが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たり
に換算した量を投与することができる。
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commission on Biochemical Nomenclature による略号
あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体
があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すもの
とする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキ
サミド基 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニ
ル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニ
ル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェノール Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカル
ボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ
−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-
ジカルボキシイミド DCC :N、N’−ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド
列を示す。 〔配列番号:1〕MCP−1のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:2〕7ND−MCP−1のアミノ酸配列を
示す。 〔配列番号:3〕MCP−1をコードするDNAの塩基
配列を示す。 〔配列番号:4〕7ND−MCP−1をコードするDN
Aの塩基配列を示す。
的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではな
い。 実施例1 モノクロタリン(MCT)誘発ラット肺高血圧症
モデルにおけるMCP-1の拮抗阻害型ムテインの作用 方法:正常ラット(市販の雄性正常血圧ラット(6〜8
週齢))を4群に分けた。第1群は無処置対照群、第2群
はMCT(60mg/kg,s.c.)処置対照群、第3群はMCT処置+7ND
-MCP-1の1回投与群(MCT処置と同時投与)および第4群はM
CT処置+7ND-MCP-1の2回投与群(MCT処置時とMCT処置2週
間後)とした。すなわち、遺伝子導入3日前にマーカイン
500μlをラット両側大腿四頭筋に注入し、その3日後
に、MCT(60mg/kg,s.c.)処置対照群のラットには、MCT 6
0mg/kgを皮下注射した。7ND-MCP-1の1回投与群のラット
には、 MCT 60mg/kgと同時に7ND-MCP-1発現プラスミド5
00μgを数箇所に分けて両側大腿四頭筋に注入した。 M
CT処置+7ND-MCP-1の2回投与群のラットには、 MCT 60m
g/kgと同時に7ND-MCP-1発現プラスミド500μgを数箇所
に分けて両側大腿四頭筋に注入した後、14日目に7ND-MC
P-1発現プラスミド500μgを数箇所に分けて両側大腿四
頭筋に注入した。MCT処置1、2、3および4週間目
に、心エコーによる心室の形態および内腔サイズの変化
および右心室内圧、4週目に摘出した心臓について、心
重量、右心室壁厚および心室内腔サイズを、また肺につ
いて形態学的解析を行った。なお、7ND-MCP-1発現プラ
スミドは、MCP-1cDNAを鋳型として、自体公知のPCRに
より7ND-MCP-1cDNAを取得し(7ND-MCP-1の3'末端にはF
LAG配列が付加していてもよい)、該7ND-MCP-1cDNAをp
CDNA3発現プラスミドのBamHIサイトとNotIサイト
の間に5'端がBamHIサイト側、3'端がNotIサイトになる
ように導入することにより、作製した。結果を以下に示
す。 1.肺高血圧に対する作用 右心室圧は無処置対照群で26.2 ± 4.7 mmHgであったの
がMCT処置4週間後に69.7 + 2.1 mmHgと上昇していた
が、7ND-MCP-1(MCP−1の拮抗阻害型ムテイン)の
1回投与で37.3 ± 4.6 mmHg、2回投与でそれぞれ45.6
± 9.8 mmHgと有意に血圧低下作用が確認された。 2.心重量、心臓の形態変化に対する作用 MCT処置群では、右心室の肥大、特に右心室壁厚の肥厚
および内腔拡大が認められたが、7ND-MCP-1の投与でこ
れらの変化が抑制されていた。 3.血管および肺に対する作用 右心室の小動脈において、MCT投与群では中膜の有意な
肥厚が認められたが、7ND-MCP-1の投与でこれらの変化
が抑制された。また、MCT処置群では肺胞腔内を中心に
多数のマクロファージと単核球の浸潤を認めたが、7ND-
MCP-1の投与でこれらの変化が抑制された。7ND-MCP-1投
与によるラットにおけるモノクロタリン誘発肺高血圧症
とそれに附随して進展する肺動脈ならびに心室壁のリモ
デリングから、MCP-1の拮抗阻害型ムテインは、肺高血
圧症(特に、原発性肺高血圧症)に対する予防・治療剤
となりうる。
ン、MCP−1の拮抗阻害型ムテインをコードする塩基
配列を有するDNAまたはMCP−1に対する中和抗体
を含有してなる剤は、肺高血圧症(特に、原発性肺高血
圧症)の予防・治療のための医薬として有用である。
Claims (5)
- 【請求項1】 MCP−1の拮抗阻害型ムテインもしく
はその塩、MCP−1の拮抗阻害型ムテインをコードす
る塩基配列を有するDNAまたはMCP−1に対する中
和抗体を含有してなる肺高血圧症予防・治療剤。 - 【請求項2】 MCP−1の拮抗阻害型ムテインが7N
D−MCP−1である請求項1記載の剤。 - 【請求項3】 肺高血圧症が原発性肺高血圧症である請
求項1記載の剤。 - 【請求項4】 肺高血圧症予防・治療作用を有する医薬
を製造するための請求項1記載のMCP−1の拮抗阻害
型ムテインもしくはその塩、MCP−1の拮抗阻害型ム
テインをコードする塩基配列を有するDNAまたはMC
P−1に対する中和抗体の使用。 - 【請求項5】 請求項1記載のMCP−1の拮抗阻害型
ムテインもしくはその塩、MCP−1の拮抗阻害型ムテ
インをコードする塩基配列を哺乳動物に投与することを
特徴とする肺高血圧症予防・治療方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH1149700A (ja) * | 1997-07-31 | 1999-02-23 | Toray Ind Inc | 肺疾患治療剤 |
-
2001
- 2001-05-25 JP JP2001156252A patent/JP4827320B2/ja not_active Expired - Fee Related
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