JP2011509076A - 膵臓内分泌細胞の前駆体を介した該細胞のddr1媒介性細胞精製 - Google Patents
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Abstract
Description
一態様においては、膵臓内分泌前駆体細胞及び初期の内分泌細胞を含む組成物、細胞培養体及び細胞個体群、並びに成熟した内分泌細胞を生成させ、内分泌前駆体細胞及び初期の内分泌細胞を検出する方法が考慮される。いくつかの態様においては、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞及び/又は十分に分化した内分泌細胞を含む組成物、細胞培養体及び細胞個体群、並びに成熟した内分泌細胞を生成させ、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞を検出する方法が考慮される。
同定されると、細胞外マーカーは、マーカーを発現する細胞が滅菌条件下で選別可能で、生存し続けるという利点を提供する。上皮細胞付着分子、例えばEp-CAM及びインテグリンは、膵臓島前駆体マーカーとして研究されている。例えば、Cirulliら, J. Cell Biol. 140: 1519-1534 (1998);及び Cirulliら, J. Cell Biol. 150: 1445-1460 (2000)を参照のこと。
いくつかの態様において、本発明は、DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む:管/内分泌前駆体細胞、膵臓内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の培養体を得る方法に関する。
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載された方法に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞において、細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増やす方法に関する。
いくつかの態様において、本発明は、a)DDR1結合試薬と細胞とを接触させ;b)細胞表面マーカーとして、DDR1を示す細胞(DDR1ポジティブ細胞)の量を測定する;ことによる、DDR1ポジティブ細胞を定量する方法に関する。
いくつかの態様において、本発明は、インビトロプロトコルを最適化する方法に関し、ここでDDR1発現細胞(DDR1ポジティブ細胞)の数は、定期的にモニターされる。
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載された方法により得られた、単離された内分泌前駆体細胞に関する。
いくつかの態様において、本発明は、ここに記載された方法により得られた、単離され、十分に分化した内分泌細胞に関する。
いくつかの態様において、本発明は、細胞表面マーカーとしての、DDR1タンパク質を発現する細胞を同定又は選択するための、DDR1結合試薬の使用に関する。
いくつかの態様において、本発明は、膵臓内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしての、DDR1タンパク質の使用に関する。
また本発明の他の態様は、上述した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞において、それらの分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞の培養体を得る方法に関する。
さらなる態様において、本発明は、上述した方法に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞において、細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞の数を増やす方法に関する。
さらなる態様において、本発明は、a)DDR1結合試薬と細胞とを接触させ;b)細胞表面マーカーとして、DDR1を示す細胞(DDR1ポジティブ細胞)の量を測定することによる、膵臓細胞を含む細胞の培養体をモニターする方法に関する。
本発明の方法で単離されたDDRポジティブ細胞は、種々の膵臓内分泌細胞型に分化する可能性を有している。重要な態様において、DDRポジティブ細胞は、インスリン生成細胞ににおいてさらに分化し−このことは、膵臓ポリペプチド及び/又はスマトスタチン及び/又はグルカゴン生成細胞を含む、細胞の培養体が生成されるように、又はインスリン生成細胞が単独で得られるように実施されてもよい。
膵臓においては、いくつかの異なった種類の膵臓細胞が見出される。膵臓細胞には、例えば、多能性の膵臓前駆体細胞、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は十分に分化した内分泌細胞が含まれる。これらの細胞型の概略は、図3に見出すことができる。
ここで使用される場合、「膵臓管/内分泌前駆体細胞」(「管/内分泌前駆体細胞」とも称される)は、膵臓外分泌細胞において発育する可能性を失い、Ptf1aを発現せず、ホルモン発現をしないが、膵臓内分泌細胞又は膵臓ホルモン分泌細胞細胞に分化する可能性を有し、通常、これらの細胞の表現型特徴の少なくとも一部を共有する細胞のことである。
ここで使用される場合、「膵臓の十分に分化した内分泌細胞」(「十分に分化した内分泌細胞」、「膵臓の成熟した内分泌細胞」又は「膵臓の成人内分泌細胞」とも称される)とは、成人膵臓のランゲルハンス島に見出される、十分に分化した膵臓内分泌細胞の全ての特徴を共有する細胞のことである。ここで使用される場合、「ベータ細胞系列」とは、転写因子PDX1、及び次の転写因子:Ngn-3、Nkx2.2、Nkx6.1、NeuroD、IsI-1、Hnf-3 ベータ、MafA、Pax4、及びPax6の少なくとも一に対して、ポジティブな遺伝子発現を有する細胞を称する。ベータ細胞系列に特徴的な細胞発現マーカーにはベータ細胞が含まれる。
ここで使用される場合、「マーカー」は、関心ある細胞内で、差異的に発現する核酸又はポリペプチド分子である。文中で、差異的発現とは、ポジティブマーカーに対してはレベルの上昇、ネガティブマーカーに対してはレベルの低下を意味する。マーカー核酸又はポリペプチドの検出可能なレベルは、関心ある細胞が、当該技術で公知の種々の任意の方法を使用し、同定及び他の細胞と区別できるように、他の細胞と比較して、関心ある細胞内で十分に高い又は低いことである。
ここで使用される場合、「膵臓細胞を含む細胞個体群」なる用語は、膵臓内分泌前駆体細胞、初期の膵臓内分泌細胞、膵臓内分泌細胞、膵臓ホルモン分泌細胞、胎児膵臓細胞、成人膵臓細胞、及び他の非膵臓細胞からなる群から選択される、一又は複数の細胞型を含む細胞個体群を称する。いくつかの態様において、ここで使用される場合、「膵臓細胞を含む細胞個体群」とは、腺房細胞、中心-腺房細胞、管細胞、複数の強力な膵臓前駆体細胞、管/内分泌前駆体細胞、膵臓内分泌前駆体細胞、初期の膵臓内分泌細胞、膵臓内分泌細胞、膵臓ホルモン分泌細胞、胎児膵臓細胞、成人膵臓内分泌細胞、及び他の非膵臓細胞からなる群から選択される、一又は複数の細胞型を含む細胞個体群を称する。細胞の「個体群」とは、出発細胞に特定の単離及び培養手順により得られる、複数の細胞を称する。細胞個体群の特性は、一般的に、特定の特性を有する個々の細胞のパーセンテージ(例えば、特定のマーカーでポジティブ染色される細胞のパーセンテージ)、又は全個体群で測定した場合の特性のバルク平均値(例えば、細胞個体群から作製された溶菌液中のmRNA量、又はNgn3、Pax6、インスリン又はグルカゴン等、組織化学的マーカーに対してポジティブな細胞のパーセント年齢)により定められる。
さらなる態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は胚性幹(ES、例えば多能性)細胞である。さらなる態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は、胚性幹(ES、例えば多能性)細胞から得られる。いくつかの態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は多能性細胞、例えばES様細胞である。
さらなる態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は、分化した胚幹(ES又は多能性)細胞である。分化は、胚様体及び/又は単層細胞培養、又はその組合せで生じる。
本発明の一態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は、一又は複数の提供膵臓から得られる。ここに記載された方法は、提供膵臓の年齢に依存しない。従って、胎児から成人の年齢範囲のドナーから単離された膵臓物質を使用することができる。
第2の界面は、典型的には、島、腺房、及び管細胞を含む細胞の混合個体群である。低層はペレットであり、傾斜の底部に形成される。
この層は、典型的には、主として腺房細胞、いくつかの捕捉された島、及びいくつかの管細胞を含有している。管状樹状成分(ductal tree components)を、さらなるマニピュレ−ション用に、別に収集することもできる。
さらなるマニピュレーション用に選択されたフラクションの細胞支持層は、選択される勾配フラクション、及び各単離の最終結果に応じて変化するであろう。
幹細胞は、単細胞レベルで、自己再生前駆体、非再生前駆体、及び末端で分化する細胞を含む子孫細胞を生成するために、自己再生し分化するといった、それらの能力により定められる未分化細胞である。また幹細胞は、複数の胚葉(内胚葉、中胚葉及び外胚葉)から、種々の細胞系列の機能的細胞においてインビトロで分化する、並びに、移植後、複数の胚様組織を生じせしめ、胚胎盤への注射後、全てではないならば、ほとんどの組織に対してかなり寄与する能力により特徴付けられる。
体細胞、又はES様細胞等、多能性細胞への脱分化が誘発される体細胞から、膵臓細胞を得るためのプロトコルは、限定されるものではないが、Aoi, Tら. (2008), Science, 2008年2月14日, [Epub印刷準備中]; D'Amour, K. Aら. (2006), Nat Biotechnol 24, 1392-401; Jiang, Jら. (2007), Stem Cells 25, 1940-53; Kroon, Eら. (2008), Nat Biotechnol, 2008年2月20日, [Epub印刷準備中]; Takahashi, Kら. (2007), Cell 131, 861-72; Takahashi, K., 及びYamanaka, S. (2006), Cell 126, 663-76; 及びWernig, Mら. (2007), Nature 448, 318-24により記載されたプロトコルに例証される。
ここで使用される場合、「DDR1タンパク質」又は「Ddr1タンパク質」とは、DDR/TKT型タンパク質キナーゼ、ジスコイジンドメインレセプターファミリー、メンバー1を称する。ここで使用される場合、本用語は、全てが大文字で書かれている「DDR1」、又は最初の文字のみが大文字である「Ddr1」があってよく、ヒト及びマウスを含む任意の哺乳動物からの、ジスコイジンドメインレセプターファミリー、メンバー1を意味する。いくつかの態様においては、マウス又はラット等の哺乳動物からのDDR1が、本発明での使用を考慮される。いくつかの態様においては、ニワトリ等の脊椎動物からのDDR1が、本発明での使用を考慮される。DDR1はI型からIV型までを含む、色々なタイプのコラーゲンにより活性化される。DDR1タンパク質にコラーゲンが結合すると自己リン酸化し、チロシンキナーゼの活性化が遅延化するが、持続的になる。DDR1は細胞対細胞の相互作用、又は認識においても機能する。876、913及び919アミノ酸の異なるタンパク質アイソフォームに帰する、少なくとも3つのmRNA変異体が、ヒトにおいては報告されている。マウスには2つのアイソフォーム、それぞれ874及び911アミノ酸が報告されている。DDR1タンパク質は、ヒトの乳房、卵巣、食道、及び小児脳腫瘍で過剰発現することが示されている。タンパク質は細胞内レセプターチロシンキナーゼ活性を有し、種々のタイプのコラーゲンにより活性化される。その自己リン酸化は、今までテストされた全てのコラーゲン(I型からVI及びXI型)でなされている。
DDR1結合試薬は、細胞表面マーカーとして、DDR1タンパク質を発現する細胞の同定又は選択に使用される。
一態様において、DDR1結合試薬は、蛍光染料、例えばPE、cy2、cy3、cy5、又はAlexa488から選択されるもので標識される。他の態様において、DDR1結合試薬は、ハプテン、例えばDIG、ビオチン、エピトープ、例えばFLAG、HA、又はMycで標識される。
いくつかの態様において、本発明は、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞を同定する方法に関し、該方法は、膵臓細胞を含む細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させることを含む。さらなる態様においては、DDR1結合試薬に結合する細胞、すなわちDDR1ポジティブ細胞の数/比率が測定されてよい。いくつかの態様において、本発明は、膵臓管/内分泌前駆体細胞を同定する方法に関し、該方法は、膵臓細胞を含む細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させることを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌前駆体細胞を同定する方法に関し、該方法は、膵臓細胞を含む細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させることを含む。いくつかの態様において、本発明は、初期の内分泌細胞を同定する方法に関し、該方法は、膵臓細胞を含む細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させることを含む。
いくつかの態様において、本発明は、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の培養体を得る方法に関し、該方法は、DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む。いくつかの態様において、本発明は、培養体を得る方法に関し、該方法は、DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌前駆体細胞を含む培養体を得る方法に関し、該方法は、DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む。
また、DDR1ポジティブ細胞は、固体状支持体に結合し、DDR1に特異的に結合する分子を使用することにより、DDR1ネガティブ細胞から分離することができる。当業者であれば、DDR1特異的抗体が、抗体結合分子、例えばプロテインG又はプロテインAを介して、固体状支持体に結合可能であり、又は固体状支持体に直接コンジュゲート可能であることを認識しているであろう。DDR1抗体が結合した固体状支持体は、例えばStem Cell Technologiesから、磁気ビーズであるStemSep及びEasySepTMを、商業的に入手可能である。分離工程は、磁気活性化細胞分取(MACS)を使用して、実施されてよい。
膵臓細胞は表面に添加され、DDR1結合試薬との結合が可能になる。
ついで、培養皿が洗浄され、皿からDDR1ネガティブ細胞が除去される。好ましい実施態様において、DDR1特異的抗体は、膵臓細胞個体群において、DDR1ポジティブ細胞用の培養皿及び「パン」を被覆するために使用される。
当業者であれば、DDR1についてはっきりと提示されてはいるが、分離方法に関して上述した部分の詳細は、他の細胞外タンパク質に適用されてもよいことは理解しているであろう。こような細胞外タンパク質には、DDR1、プロミニン1(CD33としても公知)、及びCD49fからなる群から選択されるタンパク質が含まれる。
いくつかの態様において、本発明は、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含有する細胞培養体を得る方法に関し、該方法は:ここに記載の方法に従い、精製された細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞において、膵臓細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。いくつかの態様において、本発明は、管/内分泌前駆体細胞を含有する培養体を得る方法に関し、該方法は:上述した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞において、膵臓細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌前駆体細胞を含有する培養体を得る方法に関し、該方法は:ここに記載の方法に従い、精製された細胞を得、ついで、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び/又は十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞において、膵臓細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。
DDR1の細胞外発現は、膵臓の種々のドメインで変化し、膵臓内分泌細胞の発育段階中に変化する可能性がある。図3の略図を参照。
さらに、DDR1ポジティブ細胞個体群は、発育の十分に分化した段階未満であり、十分に分化した内分泌細胞に分化する可能性、及び増殖する能力を保持していると信じられている。DDR1ポジティブ細胞は、増殖し、また最終的には内分泌ホルモンを発現し、又は膵臓の初期の内分泌細胞からさらに成熟した内分泌細胞型へと成熟し、よって任意のタイプの島細胞における欠点を矯正するために使用される可能性を有している細胞に分化可能な、発育経路における前駆体の具体例であると信じられている。
膵臓細胞の同一性、分化又は成熟度の特徴付けに使用され得る一つのマーカーは、インスリンmRNAのレベルである。例えば、本発明の中間細胞個体群は、定められた範囲でインスリンmRNA発現を示す。インスリンmRNAを定量する方法には、ノーザンブロット法、ヌクレアーゼプロテクション、及びプライマー伸長法が含まれる。
いくつかの態様において、本発明は、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む細胞の数を増やす方法に関し、該方法は:上述した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。いくつかの態様において、本発明は、数を増加させる方法に関し、該方法は:上述した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、内分泌前駆体細胞の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。いくつかの態様において、本発明は、内分泌前駆体細胞の数を増加させる方法に関し、該方法は:上述した方法に従い、精製された細胞を得、ついで、内分泌前駆体細胞の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む。
ベータ細胞の重要な機能の一つは、グルコースレベルに応じて、そのインスリン分泌を調製することである。典型的には、静的グルコース刺激(SGS)アッセイは、種々のグルコースレベルに応じてインスリンを分泌可能であるかどうかを同定するために、増殖する粘着性膵臓細胞において実施される。細胞は、ほぼコンフルエントになるまで、適切な基質において培養される。SGSテストの3日前、培養培地を、インスリンを欠き、及び、1g/Lのグルコースのみを含有する以外は同様の特性の培地に置き換える。3日間、毎日培地を交換し、4日目にSGSテストを実施する。
いくつかの態様において、本発明は、少なくとも一の膵臓ホルモンの生成に欠損がある哺乳動物に、膵臓内分泌機能を提供する方法に関し、ここで細胞は上述した任意の方法により得られたものであり、該方法は、哺乳動物において、少なくとも一の膵臓ホルモンを測定可能な量生成するのに十分な量の得られた細胞を、哺乳動物にインプラントする工程をさらに含む。
いくつかの態様において、膵臓ホルモンの量は、移植後の日より早くには測定されない。いくつかの態様において、分化した膵臓細胞を使用して移植を実施した場合、ベータ細胞機能、例えば膵臓ホルモン及び血糖値の測定は、移植直後、例えば移植後12時間経過前、24時間経過前、又は36時間経過前に実施すべきである。
いくつかの態様において、膵臓ホルモンの量は、インビボ成熟の後、例えば移植後少なくとも1、2、3又は4週間に測定される。いくつかの態様において、未熟な膵臓細胞を含む膵臓細胞を使用する移植を実施した場合は、ベータ細胞機能の測定、例えば膵臓ホルモン及び血糖値のこのような測定は、移植後少なくとも2週間、例えば4週間、少なくとも6週間、又は少なくとも8週間に実施すべきである。当業者であれば、DDR1選択細胞又はさらに培養され分化した細胞が、インプラント用の再生可能な資源であり、哺乳動物における膵臓機能を回復させると認識しているであろう。
哺乳動物において、インプラント前のDDR1ポジティブ膵臓細胞の分化は、グルコース反応性インスリン生成ベータ細胞を含む、十分に分化した内分泌細胞、すなわち単離されたランゲルハンス島のベータ細胞と同等のものからなる群から選択される分化の状態のものであってよい。いわゆるエドモントンプロトコルを使用する単離されたランゲルハンス島のインプラント例は、Shapiro AM (2000), N Engl J Med.; 343(4):230-8に見出すことができる。
カプセル化の方法は当該技術で公知であり、以下の参照:van Schelfgaarde & de Vos, J. Mol. Med. 77: 199-205 (1999), Uludagら. Adv. DrugDel Rev. 42: 29-64 (2000)、及び米国特許第5762959号、同5550178号、及び同5578314号に開示されている。
カプセル化の方法は、参照としてここに導入される、出願PCT/US02/41616に詳細に記載されている。
受容者における、カプセル化された細胞の機能は、グルコースに対する受容者の反応をモニターすることにより測定することができる。カプセル化された細胞のインプラントにより、血糖値をコントロールすることができる。さらに、膵臓内分泌ホルモン、インスリン、C-ペプチド、グルカゴン、及びソマトスタチンのレベルが増加したという証拠により、カプセル化された細胞の機能を示すことができる。
他の実施態様において、膵臓細胞を含む細胞個体群は、(この発明の)培養源から単離される。ついで、単離された細胞は、例えば、さらなる培養に使用されるか、又は米国特許第5762959号のマイクロカプセル化法に従いマイクロカプセル化される。
「インプラント」は、受容者に細胞をグラフトする又は配置することである。それには、カプセル化した細胞又は非カプセル化が含まれる。細胞は、当該技術で公知の方法により、皮下、筋肉内、門脈内、又は腹腔内に配することができる。
一実施態様において、膵臓内分泌細胞を含有し、他の細胞型を実質的に含有しない組成物が生成され得る。本発明の一態様において、細胞培養体又は細胞個体群に対して、表現「実質的に含有しない」とは、細胞培養体又細胞個体群が、細胞の全数に対して、膵臓内分泌前駆体細胞より、他の細胞型を20%少なく含有することと理解される。
本発明のいくつかの態様において、膵臓細胞を含むインビトロ培養体は、DDR1の発現について、定期的にモニターされる。本発明のいくつかの態様において、一又は複数の付加的なマーカーが、同時又は逐次的に、DDR1と組合せて使用されてよい。いくつかの態様において、付加的なマーカーは、プロミニン(CD133としても公知)、及びCD49fからなる群から選択される。DDR1の発現には、内分泌細胞になることに関連しているが、Ngn3タンパク質の発現の前、中又は後の発育段階にある細胞を含む。
胚性幹細胞の分化の最適化について、十分に分化した内分泌細胞に向かった膵臓細胞の発育の種々の段階を同定するマーカーを有することが、非常に重要である。DDR1は、今までは、他のマーカーを使用して検出可能でなかった、細胞分化の重要かつ特定の段階を特定するために、単独で、又は組合せて使用されてよい。DDR1は、一又は複数の付加的なマーカーと組合せて使用されてよい。
DDR1を発現する細胞は、上述した方法、例えばFACS又はMACSを使用し、同定、富化、及び/又は単離することができる。
DDR1+細胞を単離することで、例えばES細胞-誘導性の限定的内胚葉細胞個体群から、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞及び/又は内分泌前駆体細胞の純粋な培養体の生成に、かなりの利点が提供される。よって、より純粋な内分泌細胞個体群に向かっての、さらなる増殖及び/又は分化にかけることのできる培養体が得られる。
ヒトにおけるDDR1の3つのアイソタイプ(図1)、及びマウスに見出される2つのアイソタイプ(図2)間でのアミノ酸差異を研究するために、タンパク質のアミノ酸配列をClustal W (http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw2/index.html)を使用して整列させた。 細胞外及び膜貫通ドメインを見出すために、全てのアイソタイプを、CBS(http://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM/)にて、膜貫通プレディクターTMHMMサーバーv.2.0に通した(データは、マウスDdr1の最も長い形態:アイソフォーム1)、及びヒトDDR1の最も長い形態:アイソフォームcのみを示す)。これにより、3つ全てのヒトアイソタイプは、同じ場所、すなわちアミノ酸417-439(図1のボールド体)に膜貫通ドメインを有し、2つのマウスアイソタイプはアミノ酸415-437(図2のボールド体)にドメインをすることが示された。これにより、DDR1の3つのヒトアイソタイプとDdr1の2つのマウスアイソタイプが、それぞれ細胞外側に同じアミノ酸配列を有していることが確認された。特に、結果には、マウスDdr1、アイソフォーム1が、細胞外側にアミノ酸1-414を有する、単一の膜貫通タンパク質であることが示されている。さらに、結果には、ヒトDDR1、アイソフォームcが、細胞外側にアミノ酸1-416を有する、単一の膜貫通タンパク質であることが示された。
PCRを、e15.5マウス腸組織(膵臓、胃、十二指腸及び脾臓を含む)のcDNA において実施した。標準的条件下(97℃180秒、ついで96℃30秒を35サイクル、55℃30秒、及び72℃30秒)、アイソフォーム1と比較して、アイソフォーム2に欠けている37アミノ酸の側面にあるプライマーを用い、PCRを実施した。
結果には、Ddr1アイソフォーム1(911aa)が、e15.5マウス腸において、アイソフォーム2よりも高い発現レベルを示すことが示された。アイソフォーム1がテンプレートである場合は328bd、又はアイソフォーム2がテンプレートであるならば215bpのいずれかで、アイソフォーム2に欠けている37アミノ酸についてコードする配列のいずれかの側に位置するPCTプライマーが増幅した。e15.5腸組織からのcDNAがテンプレートとして使用される。半定量用ゲルから、双方のアイソフォームが腸で発現し、アイソフォーム1はアイソフォーム2よりも高レベルで発現することが観察された。
Ddr1アイソフォーム1及び2に相当する、2つのバンドが観察された。よって、双方のDdr1アイソフォームはマウス腸において発現する。
マウス膵臓における、Ddr1についてのインサイツハイブリダイゼーションを、製造者の使用説明書に従い、Rocheからの試薬を使用するインビトロ転写により生成した、ジゴキシゲニン標識cRNAプローブを使用して実施した。凍結切片を解凍し、ハイブリダイゼーション溶液に1ng/μlまで希釈させた変性cRNAプローブを、切片に直接添加した。切片をカバースリップで覆い、65℃の保湿チャンバー内に一晩配した。スライドを、洗浄溶液にて、65℃で洗浄し、続いて室温でMABTにおいて数回洗浄した。溶液を1時間ブロックし、APコンジュゲートヒツジ-抗-DIG(Roche)と共に、一晩インキュベートした。切片をMABTで洗浄し、ついでNTMTで平衡にした。NTMTにおいて、NBT/BCIPを用い、AP活性を可視化した。
e15.5マウス膵臓において、Ddr1の局在化を測定するために、蛍光染色を実施した。マウスe15.5の胚を収集し、PBSに4%のパラホルムアルデヒド(PFA)が入ったものにおいて、一晩(O/N)固定した。PBSに30%のスクロースが入ったもので組織を平衡にし、TissueTechに包埋した。8μm切片に切断し、−80℃で保管した。切片を室温(RT)で解凍し、PBSで洗浄し、0.01Mのクエン酸バッファーでマイクロ波処理し、PBSに1%のH2O2が入ったものと共に、30分インキュベートし、ついで、0.5%のTNBブロック試薬(Perkin-Elmerからのもの)を用いてブロックした。ついで、1:150のヤギ抗-Ddr1(R&D systems、AF2396)、1:1000のウサギ抗-グレリン(C.Tomasetto, 1882)、1:4000のウサギ抗-Ngn3(BCBC Abcore、2369A)、1:450のウサギ抗-Ki-67(NeoMarker、RB081−0A)、及び1:250のウサギ抗-Pcna(Santa Cruz、sc-7907)を添加し、室温でO/Nインキュベートした。次の日、スライドをPBSで洗浄し、ビオチニル化した抗-ヤギ抗体と、ロバ抗-ウサギ-cy5を添加し、45分インキュベートした。PBSにおいてスライドを洗浄後、ストレプトアビジン-HRPを添加し、15分、インキュベートした。ついで、スライドをPBSで洗浄した。最終的に、TSA-cy3を添加して、染色を展開し、スライドをPBSで洗浄して配した。
結果には、蛍光染色で可視化された場合に、細胞増殖のマーカーであるKi-67についてポジティブであるため、e15.5膵臓において、約10-20%のDdr1ポジティブ細胞が増殖していることがさらに示された。
結果には、e15.5で、Ddr1は、管から十二指腸への接合部に近接した主な膵臓管のほとんど全ての細胞で発現したことがさらに示された。特にDdr1は膵臓でのみ発現しており、主な膵臓管のDdr1ポジティブ細胞と、十二指腸のDdr1ネガティブ細胞とのはっきりとした境界が、蛍光染色による可視化により観察された。
生存しているベータTC3のDdr1選別を、FACSにより実施した。ベータTC3細胞をトリプシンで処理し、洗浄した。上清を除去するために、10mlのチューブにおいて、室温で5分、1400rpmにて細胞をペレット状にした。次に、この細胞を、0.1%のBSAを含有するPBSで洗浄した。一次抗体溶液を添加し、+4℃で45分、インキュベートした。次に、この細胞を、0.1%のBSAを含有するPBSで洗浄した。二次抗体を添加し、+4℃で30分、インキュベートした。0.1%のBSAを含有するPBS(1.8ml使用)で、細胞を3x5分、洗浄した。最後に、0.1%のBSAを含有するPBSで洗浄された、リリー固定液で、45分、細胞を固定し、FACSによりアッセイした。特に、1:50のマウス抗-Ddr1(R&D Systems、MAB2396)を使用し、ロバ抗-マウス-cy2(Jackson ImmunoResearch)(1:300)と共に展開させた。
いくつかのe15.5マウスの胚からの膵臓を、マイクロ分析した。単細胞を得るために、1400rpmにて、36℃で5分、時々ペレット化しつつ、組織をトリプシン処理した。ついで、血清を含有しない10mlの培地に、細胞を再懸濁させた。トリプシンを洗浄しきるために、血清を含有しない10mlの培地で3回、細胞を洗浄し、インキュベーターにおいて1.5時間、培地において再度インキュベートした。その後、0.1%のBSAを含有する10mlのPBSで細胞を洗浄し、6つのチューブに分けた。第1のチューブには、10μg/mlのマウス抗-Ddr1(R&D Systems、MAB2396)抗体を入れた。第2のチューブには、10μg/mlのアイソタイプ(IgG2a)ネガティブコントロール抗体を入れた。第3のチューブには、2.5μg/mlのマウス抗-Ddr1(R&D Systems、MAB2396)抗体を入れた。第4のチューブには、2.5μg/mlのアイソタイプ(IgG2a)ネガティブコントロール抗体を入れた。第5及び第6のチューブには何の抗体も入れなかった。ついで、細胞を4℃で45分インキュベートし、0.1%のBSAを含有するPBSで洗浄した。1:300の二次ロバ抗-マウス-cy2抗体を、第6のチューブ以外の全てのチューブに添加した。ついで、細胞を4℃で30分、インキュベートした。その後、0.1%のBSAを含有するPBSで細胞を洗浄し、最終的に、リリー固定液において30分、細胞を固定し、ついで0.1%のBSAを含有するPBSで洗浄し、FACSにおいて分析した。
本実験の目的は、e15.5膵臓から生じたDdr1ポジティブ細胞が、何の細胞型であるのかを決定することである。
e15.5から細胞を調製し、次の修正がある以外は、実施例6に記載したようにして、Ddrについて染色する:10ug/mlのマウス抗-Ddr1(R&D Systems、MAB2396)抗体を使用する。二次抗体及び洗浄後、細胞を固定せず、しかしDMEM/F12+10%のFCS+P/Sを含有する2つのチューブに、FACSArianにおいて、生存している状態で選別する。Ddr1ポジティブ細胞を、一方のチューブに選別する。Ddr1ネガティブ細胞を他方のチューブに選別する。その後、Kroon, Eら. (2008), Nat Biotechnol, 2008年2月20日, [Epub印刷準備中]に記載されたようにして、腎臓の下にカプセルをインプラントする。腎臓の下で、30-60日間、カプセルをインビボ成熟させた後、移植された細胞を収集し、リリー固体液で固定し、包埋し、切片化する。インプラントの切片を、1:100のマウス抗-インスリン(Biolabs、HUI-18)、1:100のマウス抗-グルカゴン(Biolabs、Glu-001)、及び1:500のウサギ-抗-アミラーゼ(Sigma、A8273)、ウサギ抗-Nkx6.1(Hagedorn、#174.4 1:700)、Gt-Pdx1(Chris Wright、1:10000)、1:500のウサギ抗-ソマトスタチン(Dako、A0566)、1:300のウサギ抗-PP(Dako、A0169);1:300のヤギ抗-グレリン(Santa Cruz Biotechnology、SC-10368)、1:200のウサギ抗-C-ペプチド(Acris、BP302)について染色した。一次抗体を検出するために、二次-cy2、cy3及びcy5抗体を使用するであろう:
Ddr1ポジティブ個体群を有するインプラントは、インスリン/グルカゴン発現細胞を含んでおり、Ddr1ネガティブ細胞を有するインプラントは、アミラーゼポジティブ細胞を含んでいるであろうと予期される。
本実験の目的は、胚幹細胞から生じたDdr1ポジティブ細胞が、何の細胞型であるのかを決定することである。
胚幹細胞を単離し、段階4に達するまで、Kroon, Eら. (2008), Nat Biotechnol, 2008年2月20日, [Epub印刷準備中]に記載されたプロトコルに従い、分化させてよい。ついで、ES誘導性細胞を調製し、次の修正がある以外は、実施例6に記載したようにして、Ddrについて染色する:10ug/mlのマウス抗-Ddr1(R&D Systems、MAB2396)抗体を使用する。二次抗体及び洗浄後、細胞を固定せず、しかしDMEM/F12+10%のFCS+P/Sを含有する2つのチューブに、FACSArianにおいて、生存している状態で選別する。Ddr1ポジティブ細胞を、一方のチューブに選別する。Ddr1ネガティブ細胞を他方のチューブに選別する。その後、Kroon, Eら. (2008), Nat Biotechnol, 2008年2月20日, [Epub印刷準備中]に記載されたようにして、腎臓の下にカプセルをインプラントする。実施例7に記載したようにして、移植片を処理し、IHCにより染色する。
Ddr1ポジティブ個体群を有するインプラントは、インスリン/グルカゴン発現細胞を含んでおり、Ddr1ネガティブ細胞を有するインプラントは、アミラーゼポジティブ細胞を含んでいるであろうと予期される。
幹細胞、例えばES細胞の分化を最適化するために、十分に分化した内分泌細胞への、膵臓細胞の種々の発育段階を同定するマーカーを有することが非常に重要である(図3を参照)。DDR1は、今までは、他のマーカーを使用して検出可能でなかった、細胞分化の重要かつ特定の段階を特定するために、又は一又は複数の付加的なマーカーと組合せて、又は単独で使用されてよい。
いくつかの態様において、幹細胞の分化についてのインビトロプロトコルを最適化する方法は、最適な培養条件をスクリーニングする方法である。
a)1)細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させ、2)細胞表面マーカーとしてDDR1を示す細胞(DDR1ポジティブ細胞)の量を測定することによる、DDR1ポジティブ細胞の定量;
b)場合によっては、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離。
c)場合によっては、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、DDR1ポジティブ細胞を含む細胞個体群を培養することによる、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増加。
d)管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞において、それらの分化を容易にする条件下にて、DDR1ポジティブ細胞を含む細胞個体群を培養。
e)場合によっては、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、DDR1ポジティブ細胞を含む細胞個体群を培養することによる、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増加
f)1)細胞個体群とDDR1結合試薬とを接触させ、2)細胞表面マーカーとしてDDR1を示す細胞(DDR1ポジティブ細胞)の量を測定することによる、DDR1ポジティブ細胞の定量;
g)工程f)のDDR1ポジティブ細胞の量が、工程a)のDDR1ポジティブ細胞の量より多いかどうかを測定;
h)場合によっては、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離;
i)場合によっては、分化に影響を与える条件を変えることにより、DDR1ポジティブ細胞の量を増加させるための培養条件、例えば1)分化因子の濃度又は組合せ、2)成長培地の濃度又は組成、3)成長培地へのサプリメントの濃度又は組成、4)インキュベート時間、及び/又は5)酸素分圧、を調節することを導入;
j)場合によっては、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離;
k)満足のいく量のDDR1ポジティブ細胞が得られるまでの、工程a)ないしh)のシーケンスの繰り返し。
管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び/又は初期の内分泌細胞の同定は、場合によっては、他の内胚葉マーカーについての付加的な結合試薬(例えば、Pdx1結合試薬)と組合せて、DDR1結合試薬と細胞個体群とを接触させ、染色を評価することにより達成され得る。結合試薬の選択は、例えばDDR1は内胚葉をマークするが、膵臓を神経支配する神経細胞はマークしないため、神経細胞が存在するかどうか等、細胞培養体の組成に依存してよい。二重ポジティブである、Ngn3及びDDR1細胞に対する同時染色により、内分泌前駆体群のグルーピングが可能となる。この分析は、FACS、MACS、IHC、又はパニング等の方法を使用して実施されてよい。
1.管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞を同定する方法であって、該方法が、DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させることを含む方法。
2.DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む:管/内分泌前駆体細胞、膵臓内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の培養体を得る方法。
3.実施態様2の方法に従い、精製された細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞において、それらの分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の培養体を得る方法。
5.実施態様4に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞において、細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増やす方法。
7.膵臓ホルモンの量が、移植後又はインビボ成熟の後の日より早くには測定されない、例えば、移植後少なくとも1、2、3又は4週間で測定される、実施態様6の方法。
8.前記少なくとも一の膵臓ホルモンがインスリンである、実施態様6又は7の方法。
9.哺乳動物がヒトである、実施態様6-8のいずれかの方法。
10.前記少なくとも一の膵臓ホルモンが、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、及び膵臓ポリペプチド、及びグレリンからなる群から選択される、実施態様1-9のいずれか一つの方法。
12.インビトロプロトコルを最適化する方法であって、ここでDDR1発現細胞(DDR1ポジティブ細胞)の数が、定期的にモニターされる方法。
14.付加的な結合試薬が、プロミニン(CD133としても公知)、及びCD49f結合試薬からなる群から選択される、実施態様13の方法。
16.膵臓細胞を含む細胞個体群が膵臓から得られる、実施態様1-15のいずれか一つの方法。
17.膵臓細胞を含む細胞個体群が体細胞個体群である、実施態様1-15のいずれか一つの方法。
18.体細胞個体群が、ES様細胞、特に、IPS細胞、胚盤葉上層幹細、又は生殖細胞等の多能性細胞への脱分化を誘発する、実施態様17の方法。
19.膵臓細胞を含む細胞個体群が、ES細胞等の多能性細胞から得られる、実施態様1-15のいずれか一つの方法。
21.膵臓細胞を含む細胞個体群が哺乳動物由来である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
22.膵臓細胞を含む細胞個体群がヒト由来である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
23.膵臓細胞を含む細胞個体群がマウス由来である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
24.膵臓細胞を含む細胞個体群がラット由来である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
25.膵臓細胞を含む細胞個体群がニワトリ由来である、実施態様20の方法。
27.細胞分化が、一又は複数の分化因子(類)を含有する培地において、細胞を培養することを含む、実施態様26の方法。
29.膵臓細胞を含む細胞個体群がptprn/IA2-ポジティブフラクションである、実施態様1-27のいずれか一つの方法。
30.膵臓細胞を含む細胞個体群がAbcc8/Sur1-ポジティブフラクションである、実施態様1-27のいずれか一つの方法。
31.膵臓細胞を含む細胞個体群がSlc30a8/ZnT-8-ポジティブフラクションである、実施態様1-27のいずれか一つの方法。
33.上述した実施態様のいずれかの方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体が、Ptprn/IA2-ポジティブフラクションにさらに分離される、実施態様1-27のいずれか一つの方法。
34.上述した実施態様のいずれかの方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体が、Abcc8/Sur1-ポジティブフラクションにさらに分離される、実施態様1-27のいずれか一つの方法。
35.上述した実施態様のいずれかの方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体が、Slc30a8/ZnT-8-ポジティブフラクションにさらに分離される、実施態様1-27のいずれか一つの方法。
36.DDR1結合試薬が、DDR1に特異的に結合する抗体である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
38.分離又はモニター工程が磁気活性化細胞分取によりなされる、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
39.分離工程がパニングによりなされる、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
40.細胞が内分泌前駆体細胞である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
42.実施態様1-40のいずれかに定められた方法により得られた、単離された内分泌前駆体細胞。
43.実施態様3又は5-40のいずれかに定められた方法により得られた、単離され、十分に分化した内分泌細胞。
46.膵臓内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしてのDDR1タンパク質の使用。
47.一又は複数のさらなる細胞表面マーカーが、膵臓内分泌細胞の培養体を得るために、同時又は逐次使用される、実施態様46の使用。
48.さらなる細胞表面マーカーが、プロミニン(CD133としても公知)、及びCD49fからなる群から選択される、実施態様47の使用。
1.DDR1結合試薬と、膵臓細胞を含む細胞個体群とを接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む:膵臓内分泌前駆体細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞の培養体を得る方法。
2.実施態様1の方法に従い、精製された細胞を得、ついで、膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞において、それらの分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞の培養体を得る方法。
4.実施態様3に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞において、細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む:膵臓内分泌細胞及び/又は膵臓ホルモン分泌細胞及び/又は初期の内分泌細胞及び/又は成熟した内分泌細胞の数を増やす方法。
6.前記少なくとも一の膵臓ホルモンが、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、及び膵臓ポリペプチドからなる群から選択される、実施態様1-5のいずれか一つの方法。
8.DDR1ポジティブ細胞が、場合によってはグルカゴン及び/又はソマトスタチ及び/又は膵臓ポリペプチド生成細胞にさらに分化される細胞と共に、インスリン生成細胞にさらに分化される、実施態様1-7のいずれか一つの方法。
10.膵臓細胞を含む細胞個体群が体細胞個体群である、実施態様1-7のいずれか一つの方法。
11.体細胞個体群が、ES様細胞等の多能性様細胞への脱分化を誘発する、実施態様10の方法。
12.膵臓細胞を含む細胞個体群が、ES様細胞等の多能性様細胞である、実施態様1-7のいずれか一つの方法。
14.膵臓細胞を含む細胞個体群がヒト由来である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
15.細胞個体群が膵臓内分泌系列に分化する、実施態様13又は14のいずれかの方法。
16.細胞分化が、一又は複数の分化因子(類)を含有する培地において、細胞を培養することを含む、実施態様15の方法。
18.膵臓細胞を含む細胞個体群がAbcc8-ポジティブフラクションである、実施態様1-16のいずれか一つの方法。
19.膵臓細胞を含む細胞個体群がGlut-2/1-ポジティブフラクションである、実施態様1-16のいずれか一つの方法。
20.膵臓細胞を含む細胞個体群がSlc30a8-ポジティブフラクションである、実施態様1-16のいずれか一つの方法。
22.上述した実施態様のいずれかの方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体が、Abcc8-ポジティブフラクションにさらに分離される、実施態様1-16のいずれか一つの方法。
23.上述した実施態様のいずれかの方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体が、Glut-2/1-ポジティブフラクションにさらに分離される、実施態様1-16のいずれか一つの方法。
24.上述した実施態様のいずれかの方法により得られた膵臓内分泌細胞の培養体が、Slc30a8-ポジティブフラクションにさらに分離される、実施態様1-16のいずれか一つの方法。
25.DDR1結合試薬が、DDR1タンパク質に特異的に結合する抗体である、上述した実施態様のいずれか一つの方法。
27.分離工程がパニングによりなされる、実施態様1-26のいずれか一つの方法。
29.膵臓内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしてのDDR1タンパク質の使用。
31.哺乳動物がヒトである、実施態様30の方法。
全ての表題及び副題は、ここでは便宜的に使用され、決して本発明を限定するものと解するべきではない。
ここに提供される任意かつ全ての例、又は例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に請求項に記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も請求項に記載していない要素が本発明の実施に必須であることを示しているものと解するべきではない。
ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。 この発明は、適用される法律に容認される場合、ここに付加される請求項に列挙された主題事項の全ての修正点及び等価物を含む。
ここに記載の本発明は、バンダービルト大学を通し、NIH/NIDDKからの付与(#5U01-DK072473)により支持されている。
Claims (14)
- 管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞を同定する方法であって、該方法が、膵臓細胞を含む細胞個体群をDDR1結合試薬と接触させることを含む方法。
- 膵臓細胞を含む細胞個体群をDDR1結合試薬と接触させ、DDR1結合試薬と結合しない細胞から、DDR1ポジティブ細胞のフラクション中の、DDR1結合試薬と結合した細胞を分離することを含む、管/内分泌前駆体細胞、膵臓内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の培養体を得る方法。
- 請求項2の方法に従い、精製された細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞において、それらの分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される細胞を含む膵臓細胞の培養体を得る方法。
- 請求項2に従い、精製された細胞を得、ついで、得られた細胞型(類)の増殖を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増やす方法。
- 請求項4に従い、精製され、増殖した細胞を得、ついで、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞において、細胞の分化を容易にする条件下にて、得られた細胞を培養することを含む、管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、及び初期の内分泌細胞からなる群から選択される膵臓細胞の数を増やす方法。
- 少なくとも一の膵臓ホルモンの生成に欠損がある哺乳動物に、膵臓内分泌機能を提供する方法であって、細胞が請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法により得られたもので、該方法が、哺乳動物において、少なくとも一の膵臓ホルモンを測定可能な量生成するのに十分な量の得られた細胞を、哺乳動物にインプラントする工程をさらに含む方法。
- a)DDR1結合試薬と細胞とを接触させ;b)細胞表面マーカーとして、DDR1を示す細胞(DDR1ポジティブ細胞)の量を測定することによる、DDR1ポジティブ細胞を定量する方法。
- インビトロプロトコルを最適化する方法であって、DDR1発現細胞(DDR1ポジティブ細胞)の数が、定期的にモニターされる方法。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法により得られた管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び請求項3又は5ないし8のいずれか1項に記載の方法により得られた十分に分化した内分泌細胞からなる群から選択される、単離された細胞。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法により得られた、単離された内分泌前駆体細胞。
- 請求項3又は5ないし8のいずれか1項に記載の方法により得られた、単離され、十分に分化した内分泌細胞。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法により得られた管/内分泌前駆体細胞、内分泌前駆体細胞、初期の内分泌細胞、及び十分に分化した内分泌細胞からなる群からの一又は複数の細胞から選択される単離された細胞を含有する組成物。
- 細胞表面マーカーとしての、DDR1タンパク質を発現する細胞を同定又は選択するためのDDR1結合試薬の使用。
- 膵臓内分泌細胞の培養体を得るための、細胞表面マーカーとしてのDDR1タンパク質の使用。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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