明 細 書
移動機
技術分野
[0001] 本発明は、ブルートゥース(以下、 Bluetooth)を塔載した移動機あるいはゲートゥヱ ィ装置等の無線通信装置、特に Bluetoothの仕様で規定されている「低消費モード」 に着目して構成される無線通信装置に関する。
背景技術
[0002] 近年、 Bluetoothを塔載した無線通信装置が広く普及し始めている。このような
Bluetoothを塔載した無線通信装置としては、上述した携帯電話等の移動機の他に、 ダイアルアップノレータ等の無線ゲートウェイ装置がある。
[0003] このような、 Bluetooth塔載の移動機や無線ゲートウェイ装置においては、一般に、 Bluetoothの仕様で規定されている「低消費モード」を採用することが多い。かかる低 消費モードの適用については、 Bluetooth塔載の上記移動機等の無線通信装置と、 これと Bluetoothによる近距離無線通信を行う Bluetooth塔載の対向装置との間にお レ、て送受信すべきデータがなくなったときに、適用されるのが一般的である。これは 上記の無線通信装置や対向装置に内蔵されるバッテリーの消費電力を節減するた めであることは言うまでもなレ、。
[0004] バッテリーの消費電力を節減することを意図した公知技術の一例としては、下記特 許文献 1 (ワイヤレス型送受話器セット)がある。そしてさらに、低消費モードを採用す る Bluetooth塔載無線通信装置において、バッテリーの消費電力を節減することを意 図した公知技術の一例としては、下記特許文献 2 (近距離無線機能付き移動局及び その消費電力低減方法)がある。
[0005] 後者の特許文献 2による Bluetooth塔載無線通信装置は、本発明に基づく
Bluetooth塔載無線通信装置と、その目的とするところは、低消費電力化という点で一 部共通するものの、 目的達成のための方策は、両者異なる。その特許文献 2に係る 方策は、無駄な電波は放射させない、というものである。一方、本発明の方策は、後 に詳述するとおり、提供するサービスの特性に応じて最適な低消費モードを設定する
、というものであり、単に無駄な電波は放射させないといった方策に止まるものではな レ、。したがって、後述するように、低消費モードにあえて移行させない、といった状況 も、提供する「サービス」の特性によっては、ありうる。
[0006] 特許文献 1 :特開 2002— 84361号公報
特許文献 2:特開 2003 - 37545号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 上述した「サービス」は、 Bluetoothにおいてブルートゥース.プロファイル(以下、
Bluetooth Profile)として代表的なものが既に 10数種規定されている。さらにこれら B1 uetooth Profileの中で、低消費モードが適用されることが多いプロファイル(以下、
Profile)として代表的なものに下記のものがある。
[0008] (i)ハンヅ—フリー'プロファイル(以下、 Hands-Free Profile : HFP)
(ii)ダイァノレ—アップ'ネットワーキング 'プロファイル(以下、 Did- up Networking Profile : DUNP)またはパーソナル.エリア.ネットワーク.プロファイル(以下、 Personal Area Network Profile : PANP)
(iii)ジェネリック'オブジェクト 'イクスチェンジ 'プロファイル(以下、 Generic Object Exchange Profile: GOEP)
[0009] 本発明では、上記(i), (ii)および(iii)のレ、ずれの Profile (サービス)に対しても共通 の方策を適用することができる。その共通思想は、場合によっては「低消費モード」を 適用しないこと、および「低消費モード」を適用するときは、そのときの通信状況に応 じて、各 Profileで規定される「時間パラメータ」を可変にすること、である。
[0010] 以下、上記 (i) , (ii)および (iii)について個別に、それぞれの課題を説明する。その ために、本発明が適用可能な無線通信システムの一例を図 19に示す。
[0011] 図 19において、無線通信システム 1は、無線通信装置 2と、対向装置 3と、相手装 置 4とを備え、中央の無線通信装置 2は、一方において近距離無線通信区間(いわ ゆる R点) 5を介して対向装置 3と通信を行い、他方において長距離無線通信区間( いわゆる U点) 6を介して相手装置 4と通信を行う。
[0012] なお本図の例では、より一層具体的に、無線通信装置 2を移動機 (携帯電話) 2Mと
して図示し、その対向装置 3をパーソナルコンピュータ(PC) 3Pとして図示し、またそ の相手装置 4を基地局 4Bとして図示している。以下の説明は、必要に応じこれら 2M , 3Pおよび 4Bを例にとって行うが、例えば無線通信装置 2は、移動機 2Mの代わりに 、無線ゲートウェイ装置であるものとしてもよい。
[0013] (i) Hands-Free Profile (HFP)では、移動機 2Mが、セルラー等の対応する無線通 信方式における長距離無線通信区間(U点)からの電波の受信レベル (例えば dB値 )もしくはユーザが視覚的に分力、り易いように例えば 0 3本に変化するアンテナ本数 に変換した値を、近距離 (Bluetooth)無線通信区間(R点) 5を介して、対向装置 3に 対して通知する。
[0014] その通知を行う場合、移動機 2Mが上記 R点において低消費モードに遷移している ときには、 U点における受信レベルを通知する際に R点での低消費モードを一旦解 除して、通常モードへ復帰した後に、当該受信レベル (もしくはアンテナ本数)情報を 送信する。移動機 2Mの実装は従来、受信レベル測定周期毎に必ず対向装置 3に 対してその受信レベル情報を送信するようになっているので、その R点における受信 レベル (またはアンテナ本数)の変動が大きい場合には、頻繁にその受信レベル情 報を対向装置 3に対して送信することになる。このような状況下では、上記の低消費 モードにおけるデータの送受信は禁止されることになつていることから頻繁に R点に おける低消費モード解除動作が行われてしまう。このため、 R点における低消費モー ドの効果が低減する、という問題がある。
[0015] 一方、相手装置 4との関係では、次のような問題がある。通常、移動機 2Mは省電 力のために、相手装置(基地局 4B)との間では間欠受信を行う。このように U点にお レ、て間欠受信を行っている場合、その間欠受信タイミングと、対向装置 4への受信レ ベル情報の送信タイミングとを切り離して制御していたため、その間欠受信による低 消費電力制御の効果が低減してしまうことがあった。
は、移動機 2M (もしくはデータターミナル (DT) )により送受信中データの処理が完 了すると、 R点において低消費モードへ遷移する。このとき、 Bluetoothの仕様では、 上述のとおり低消費モードでのデータ送受信は禁止されているため、新たな送信デ
ータが発生したときは、その R点の低消費モードを一旦削除して通常モードへ復帰さ せ、その後にそのデータの送信を開始しなければならなレ、。この場合、 U点のユーザ レートを考慮することなぐ低消費モードへの遷移やその解除が実施されていた。
[0017] ここで低消費モードからの復帰について見てみると、その復帰にかかる時間は、移 動機 2M (もしくは 3P)の処理時間と、低消費モードのパラメータ(Hold, Sniff, Park等 )とに依存するが、 U点にて高速ユーザレートで送受信を行う場合について考えると、 低消費モードからの復帰動作に時間を費やしてしまうために、その高速ユーザレート による送受信処理によるデータのスループットが向上しなレ、、という問題があり、また 中速/低速レートのように、スループットも重要であるが低消費モード動作も重要で あるようなユーザレートにおいては、従来の実装の場合であると、ユーザレートに関係 なく同一の低消費パラメータが用いられてレ、て、最適な低消費モードが実施されてレヽ なレ、、という問題もある。
[0018] (iii) Generic Object Exchange Profile (GOEP)においても、他の Profileと同様に、 R 点において低消費モード制御が適用されることが多い。この GOEPで取り扱うデータ は主に、移動機 2Mである携帯電話のメモリダイアル、メーノレ、画像等である。
[0019] このようなデータを送受信する場合、 1件分のデータの送受信ならば、低消費モー ドの解除に費やす時間は然程問題にはならない。しかし、移動機 2Mをなす携帯電 話では、メモリタイアルだけでも数 100件保存可能になっているため、これらのデータ を全件転送するとなると、送信データがなくなる度に低消費モードへの遷移が行われ てしまうから、低消費モードからの解除動作に時間がかかり、結局全件データの転送 時間がきわめて大きくなつてしまう、といった問題がある。
[0020] したがって本発明は、上記諸問題点に鑑み、 Bluetooth低消費モードが適用される 種々の Profileのもとで、それぞれ、システム効率の向上が図れるように、低消費モード の実施を最適化可能な無線通信装置を提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段
[0021] (i) Bluetooth Profileとして Hands-Free Profile (HFP)を含む無線通信装置 2におい ては、 U点での長距離無線通信(図 19の 6)における電波の受信レベル情報を対向 装置 3に伝送するタイミングを、単位時間当たりの伝送回数が少なくなるように、設定
するものである。
[0022] (ii) Bluetooth Profileとして Diaト up Networking Profile (DUNP)または Personal
Area Network Profile (PANP)を含む無線通信装置 2においては、相手装置 4との間 U点での長距離無線通信(図 19の 6)を行うときのユーザレートに応じて、(a)低消費 モードを有効にするか無効にするかを決定し、(b)低消費モードを有効にするときは 、さらに該当するモード(ホールド(以下、 Hold)、スニフ(以下、 Sniff)またはパーク(以 下、 Park)の各モード)における時間パラメータを可変とするものである。
[0023] あるいは、(a)相手装置 4との長距離無線通信(図 19の 6)において確立した呼が、 個別物理チャネルを使用し、かつ、対向装置 3との間の近距離無線通信(図 19の 5) が低消費モードに遷移しているときは、この低消費モードから通常モードへ復帰させ 、(b)—方、上述の確立した呼が、共通物理チャネルを使用しているときは、その通 信中のデータがなくなり次第、低消費モードへ遷移させるものである。
[0024] (iii) Bluetooth Profileとして Generic Object Exchange Profile (GOEP)を無 ,線通信 装置 2においては、対向装置 3との間のデータ転送力 データ量の少ない 1件データ 転送モードか、またはデータ量の多い全件データ転送モードか、に応じてそれぞれ、 低消費モードへの遷移を開始し、または禁止するよう設定するものである。
図面の簡単な説明
[0025] [図 1]図 1は、本発明に基づく無線通信装置の基本構成図である。
[図 2]図 2は、本発明に基づく無線通信装置の一実施例を示す図である。
[図 3]図 3は、間欠受信とフィルタリングの各タイミングが非同期の場合を示す図であ る。
[図 4]図 4は、本発明に基づくより好ましいフィルタリングの方法を示す図である。
[図 5]図 5は、 Hands-Free Profile (HFP)のもとでの低消費モード処理を表すシーケ ンス図(その 1)である。
[図 6]図 6は、 Hands-Free Profile (HFP)のもとでの低消費モード処理を表すシーケ ンス図(その 2)である。
[図 7]図 7は、 Holdモードを説明するための図である。
[図 8]図 8は、 Sniffモードを説明するための図である。
[図 9]図 9は、 Parkモードを説明するための図である。
[図 10]図 10は、 U点でのユーザレートに応じて低消費モードを制御する無線通信装 置の一実施例を示す図である。
[図 11]図 11は、 DUNPまたは PANPのもとでの低消費モード処理を表すシーケンス 図(その 1)である。
[図 12]図 12は、 DUNPまたは PANPのもとでの低消費モード処理を表すシーケンス 図(その 2)である。
[図 13]図 13は、各種パラメータの具体例を示す図である。
[図 14]図 14は、 GOEPのもとで主として低消費モードを制御する無線通信装置の一 実施例を示す図である。
[図 15]図 15は、 GOEPのもとで全件データ受信時の低消費モード処理を表すシーケ ンス図(その 1)である。
[図 16]図 16は、 GOEPのもとで全件データ受信時の低消費モード処理を表すシーケ ンス図(その 2)である。
[図 17]図 17は、 GOEPのもとで全件データ送信時の低消費モード処理を表すシーケ ンス図(その 1)である。
[図 18]図 18は、 GOEPのもとで全件データ送信時の低消費モード処理を表すシーケ ンス図(その 2)である。
[図 19]図 19は、本発明が適用可能な無線通信システムの一例を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
[0026] 図 1は本発明に基づく無線通信装置 2の基本構成図である。なお、全図を通じて同 様の構成要素には、同一の参照番号または記号を付して示す。
[0027] 本図に示すとおり、この無線通信装置 2は、全体として、相手装置 4と長距離無線通 信(6)を行う無線制御機能部 11と、対向装置 3との間で Bluetoothによる近距離無線 通信(5)を行う Bluetooth制御機能部 12と、これら無線制御機能部 11および
Bluetooth制御機能部 12と連携するユーザインタフェース部 13と、を備える。ここに、
(i) Bluetooth制御機能部 12が、 Bluetooth Profileとして少なくとも Hands-Free Profileを含む無線通信装置 2においては、この Bluetooth制御機能部 12は Bluetooth
低消費モード制御部 14を含み、この Bluetooth低消費モード制御部 14は、長距離無 線通信(6)における電波の受信レベル情報を対向装置 3に伝送するタイミングを、単 位時間当たりの伝送回数が少なくなるように、設定することを特徴とするものである。
[0028] さらには、無線制御機能部 11が相手装置 4との間で長距離無線通信(6)を間欠受 信により行うとき、 Bluetooth低消費モード制御部 14は、上述の受信レベル情報を対 向装置 3に伝送するタイミングを、その間欠受信タイミングと同期するように設定する ことを特徴とするものである。
[0029] さらにまた、 Bluetooth低消費モード制御部 14は、前回伝送済みの受信レベル情報 を記憶する記憶手段 15と、今回伝送することになる受信レベル情報とその記憶され た受信レベル情報とを比較する比較手段 16と、を有し、その比較の結果両者間に変 ィ匕があったときのみ当該受信レベル情報を伝送することを特徴とするものである。
[0030] (ii) Bluetooth制御機能部 12が、 Bluetooth Profileとして少なくとも Dia卜 up
Networking Profileまたは Personal Area Network Profileを含む無線通信装置にぉレヽ ては、この Bluetooth制御機能部 12は Holdモード、 Sniffモードおよび Parkモードのい ずれかによる Bluetooth低消費モード制御部 14を含み、この Bluetooth低消費モード 制御部 14は、相手装置 4との間で長距離無線通信(6)を行うときのユーザレートに応 じて、(a)低消費モードを有効にするか無効にするかを決定し、(b)低消費モードを 有効にするときは、さらに該当する上記のモードにおける時間パラメータを可変とする ことを特徴とするものである。
[0031] 以下に、上記のモードすなわち Hold、 Sniffおよび Parkの各モード毎に、具体的な機 能について説明する。
[0032] (Holdモード)
Bluetooth制御機能部 12が Holdモードを実行するとき、 Bluetooth低消費モード制 御部 14は、上記の(b)における時間パラメータを、この Holdモードでの Holdタイム(図 7の T1)とする。
[0033] (Sniffモード)
Bluetooth制御機能部 12が Sniffモードを実行するとき、 Bluetooth低消費モード制御 部 14は、上記の(b)における時間パラメータを、この Sniffモードでの低消費スロット送
信周期(図 8の T2)とする。
[0034] 可変される上記の Sniffモードでの低消費スロット送信周期(T2)に合わせて、この
Sniffモードでの同期維持用の送受信間隔(図 8の T3)も可変とする。
[0035] (Parkモード)
Bluetooth制御機能部 12が Parkモードを実行するとき、 Bluetooth低消費モード制御 部 14は、上記の(b)における時間パラメータを、この Parkモードでの同期補正周期( 図 9の T4)とする。
[0036] また Bluetooth制御機能部 12力 Bluetooth Profileとして少なくとも Dial-up
Networking Profileまたは Personal Area Profileを含む無線通信装置 2において、 Bluetooth低消費モード制御部 14は、 (a)相手装置 4との長距離無線通信(6)におレ、 て確立した呼が、個別物理チャネルを使用し、かつ、対向装置 3との間の近距離無 線通信(5)が低消費モードに遷移しているときは、この低消費モードから通常モード へ復帰させ、(b)—方、上述の確立した呼が、共通物理チャネルを使用しているとき は、その通信中のデータがなくなり次第、低消費モードへ遷移させる。
[0037] この場合、上記の(a)において、通信中のデータの処理が終わっても、低消費モー ドへ遷移させなレ、ようにする。
[0038] さらに、また、上記の(a)において、対向装置 3より低消費モードへの遷移要求があ つたとき、これを拒否するようにする。
[0039] (iii) Bluetooth制御機能部 12が、 Bluetooth Profileとして少なくとも Generic Object Exchange Profile (GOEP)を含む無線通信装置 2においては、この Bluetooth制御機 能部 12は Bluetooth低消費モード制御部 14を含み、この Bluetooth低消費モード制 御部 14は、対向装置 3との間のデータ転送が、データ量の少ない 1件データ転送モ ードか、またはデータ量の多い全件データ転送モードか、に応じてそれぞれ、低消費 モードへの遷移を許可し、または禁止するよう設定することを特徴とするものである。
[0040] さらにまた Bluetooth低消費モード制御部 14は、上記の全件データ転送モードが終 了すると、低消費モードへの遷移を開始するようにする。
[0041] 次に図 1に示す基本構成の一具体例を説明する。図 2は本発明に基づく無線通信 装置の一実施例を示す図である。
[0042] 本図において、図 1に示す、無線制御機能部 11、 Bluetooth制御機能部 12および ユーザインタフェース部 13は、それぞれ、機能ブロック 21— 26、機能ブロック 31— 3 4および機能ブロック 41として表されている。なお、ここで機能ブロックと称している部 分は、実際には主としてソフトウェアで構成されてレ、る。
[0043] (i)まず Hands-Free Profileのもとで、最適な低消費モードを実現する態様について 説明する。
[0044] Bluetooth制御機能部 12における Bluetooth Profile制御部 32は、上位アプリケーシ ヨンにあたる Bluetooth Profileアプリケーション群 31からの制御指示やユーザデータ を、 UART/USB33といった物理インタフェースを介して、 Bluetoothモジュール 34 へ送信する。逆に、 Bluetoothモジュール 34力、ら UARTZUSB33を介して受信した 制御イベントやユーザデータを、 Bluetooth Profile制御部 32を介して、 Bluetooth Profileアプリケーション群 31に送信する。
[0045] Bluetooth Profileアプリケーション群 31は、 Profile毎のアプリケーションの集合であ る。この場合、前述した DUNP, PANP, HFPおよび GOEPといった Profile (アプリケ ーシヨン)が存在する。各該アプリケーションは、 Human Machine Interface (HMI) 41 からのユーザ設定等を、 Bluetooth Profile制御部 32に送信する。逆に Bluetooth Profile制御部 32からのイベントを、画面に表示するために、この HMI41に対してィ ベントを通知する。
[0046] 一方、無線制御機能部 11における無線制御アプリケーション 21は、移動機 2Mで ある携帯電話に対応するセルラー等の無線方式の制御や、基地局 4Bほたは交換 局)との間での呼制御を行うアプリケーションであって、上記画面への表示や発着信 の制御を行うために、 HMI41との間でデータの送受信を行う。
[0047] 上記無線制御アプリケーション 21に連係する無線制御タスク 22は、移動機 2Mの 無線方式の制御を行うタスクであり、低位レイヤのソフトウェアであって、主に無線制 御アプリケーション 21からの指示によって、無線に関するハードウェアの制御を行う。 例えば特開 2003—298493号公報に開示された間欠受信制御システムを実現する ために、間欠受信ハンドラ 25から周期監視タスク 24に対して、その間欠受信タイミン グの通知を行う。これらの周期監視タスク 24と間欠受信ハンドラ 25ならびにタイマドラ
ィバ 26は、特開 2003-298493号公報に開示された「間欠受信制御システム」を実 現するためのハードウェアおよびソフトウェアを示している。また、 Hands-Free Profile (HFP)にてこの間欠周期タイマを用いるために、周期監視タスク 24への間欠情報の 登録や間欠の停止のためのインタフェースと、タイムアウトを通知するためのインタフ エースとを有する(ブロック 31および 24間の「登録」と「通知」参照)。
[0048] 上記アプリケーション 21とアプリケーション群 31に連携する HMI41は、表示画面 の制御やボタン押下時の動作等、ユーザインタフェースに関する制御を受け持つ。
[0049] 上記 Hands- Free Profile (HFP)のもとでは、無線制御アプリケーション 21から HMI 41に対して既述の受信レベル情報が渡される。そうすると HMI41では、表示画面へ の受信レベルの表示を行うために、通常、ユーザに分かり易いように、例えば 0— 3本 のアンテナの本数にその受信レベルを変換する。そしてこの HFPのもとでは、 HMI4 1で表示される受信レベル (dB値)もしくは受信レベルを分力、り易くするためにアンテ ナの本数に変換した値を受信レベル情報として対向装置 3に送信する。このため、 Bluetooth Profileアプリケーション群 31における HFPアプリケーションは、受信レベル dB値もしくはアンテナ本数に変化があった場合、もしくは受信レベル測定間隔になつ た場合に、その受信レベル情報を例えば HMI41から受け取る。これを受け取ると、 Bluetooth Profile制御部 32を介して、対向装置 3へその受信レベル情報を送信する
[0050] なお対向装置 3では、受信レベル dB値そのものを受信した場合には、ユーザに分 力り易く表示するため、その受信レベルをアンテナ本数に変換する。一方アンテナ本 数を通知された場合には、通知されたアンテナ本数そのものを画面に表示する。
[0051] 移動機 (携帯電話) 2Mと対向装置 3との間において今 Bluetoothの低消費モードに 遷移しているならば、 Bluetooth Profile制御部 32は低消費モードから通常モードへの 復帰動作を行い、この復帰動作の完了後に、上記受信レベル情報である dB値もしく はアンテナ本数を対向装置 3へ送信する。
[0052] ここで本発明のポイントに言及する。通常、上記受信レベル情報は、対向装置 3に おいてユーザに対する特定のアプリケーションとして用いられることはなレ、。したがつ て、対向装置 3において厳密に、携帯電話(2M)で表示される受信レベル dB値ある
いはアンテナ本数等の受信レベル情報と連動させてリアルタイムに該情報を表示す る必要はなレ、。にも拘らず、従来は受信レベル dB値あるいはアンテナ本数が変化す る毎に、もしくは受信レベル測定周期毎に、対向装置 3へそれらの情報を通知しようと しているので、その通知の都度 Bluetooth低消費モードが解除される。このため、その 低消費電力効果は低減してしまう。これが問題である。
[0053] 本発明の着想は、 R点における低消費電力の効果を維持するために、受信レベル dB値またはアンテナ本数の変化をフィルタリングすることにある。これにより、低消費 モードから通常モードに頻繁に遷移することを回避することができる。例えば、あるタ イミングで、受信レベル dB値またはアンテナ本数を対向装置 3に通知してから、一定 時間(例えば 10秒)内は、受信レベル dB値またはアンテナ本数の変化を携帯電話( 2M)側から送信することを中止し、対向装置 3へ通知しなレ、。これにより、低消費モ ードへの復帰動作の回数を減らすことができ、 Bluetooth低消費モード本来の効果を 得ること力 Sできる。
[0054] 次に本発明を、既述した特開 2003-298493号公報のシステムに適用したとすると 、携帯電話(2M)は、待ち受け時に間欠受信を行いながら、基地局 4Bから自局(2M )宛ての呼び出し信号を監視すると共に、本発明に係る上記のフィルタリングを行う目 的で間欠受信周期と異なるタイマ、例えば LSIに付随しているタイマを起動する。そう すると、その間欠受信周期とタイマとの間のタイミング(クロック)は非同期であるため、 間欠受信周期とは異なるタイミングでタイマのタイムアウトが発生する。この場合の様 子を図を用いて説明する。
[0055] 図 3は間欠受信とフィルタリングの各タイミングが非同期の場合を示す図である。本 図の 1)欄は、移動機 2Mと基地局 4Bとの間の上述した間欠受信のタイミングを表し ている。一例として 5秒(5s)の間隔を示す。また本図の 2)欄は、移動機 2Mから対向 装置 3へ、上述したフィルタリングによって間引きながら上記受信レベル情報を送信 するタイミングを表してレ、る一例として 10秒( 1 Os)の間隔を示す。
[0056] 図示するように間欠受信周期が 5s、フィルタリングを行うタイマが 10sとし、かつ、フ ィルタリングを行うタイマが、間欠受信周期(tl)の少し後にタイマを開始 (t2)した場 合、その開始点 (t2)とタイムアウト発生点 (t5)との間に、間欠受信処理が 2回 (t3と t
4)行われることになる。つまり移動機 2M内の CPUに 2度クロックが入ることになり、そ の分余計な電力を消費していることになる。
[0057] そこで、受信レベル情報をフィルタリングして対向装置 3に送信するに当たり、その 送信発生点 (t2)を、間欠受信の発生点 (tl)に合わせるようにする。つまり 1)欄と 2) 欄の両タイミングを同期させる。そうすると、間欠受信の処理は、上記の 2回から 1回( t3のみ)に減らすことができ、移動機 2Mの一層の低消費電力が図れる。また、後に 図 4を参照して説明するよう、前回と今回の受信レベル情報の間に変化があつたとき のみ、対向装置 3へその受信レベル情報を送信するようにすれば、本図の t5におけ る当該送信を省略できる可能性があり、さらなる低消費電力化が図れる。すなわち特 開 2003-298493号公報にある間欠受信周期と同期したタイマを使用することで、 通常の、 LSIに付随するタイマを使用することを避け、間欠受信の効果を低減させる ことなぐ受信レベル情報送信回数のフィルタリングが可能となる。
[0058] 図 4は上述したより好ましいフィルタリングの方法を表す図であり、上述したように、 前回の受信レベル情報と今回の受信レベル情報との間に変化があつたときのみ、そ の今回の受信レベル情報を対向装置 3に送信するようにしたフィルタリングを表して いる。
[0059] 本図において、縦軸 tは時間経過を示す。左端の n=0, n= 2…は間欠受信タイミ ングを示し、図 3の tl, t3, t4…のタイミング(5s)に対応する。中央の 3本、 1本、 1本 …は、対向装置 3に送信すべき一次フィルタリング前の受信レベル(アンテナ本数で 表示)情報を示す。そして右端の 3本、 2本…は、より一層フィルタリングされた受信レ ベル情報(アンテナ本数)の送信を示す。つまり、 1次フィルタリング後の受信レベル の中で、変化があった受信レベルのみを、 2次フィルタリングで選択的に送信する場 合を示す。
[0060] 図 3に示す 2)欄のフィルタリングによれば、本来、図 4の 1次 Z2次フィルタリングの 欄における 1次フィルタリングにて「3本、 2本、 2本…」のように対向装置 3に送信すベ きであるが、さらなる二次フィルタリングによれば前回の「2本」(図 4の a)と、今回の「2 本」(図 4の b)との間に変化がないから、一次フィルタリングによる「2本」(図 4の c)は、 二次フィルタリングによって、送信しないことになる。なお、図 4の説明は後にさらに補
足する。
[0061] 図 5は Hands-Free Profile (HFP)のもとでの低消費モード処理を表すシーケンス図
(その 1)であり、
図 6は同図(その 2)である。
[0062] ユーザは対向装置 3に接続する場合、 HMI41から「接続」のメニューを操作する。
逆に対向装置 3からの接続を待ち受ける場合、「待ち受け」のメニューを操作する。 H MI41は、 Bluetooth Profileアプリケーション群 31の HFPアプリケーションに「接続」が 選択されているなら、対向装置 3に関する情報 (例えば BD ADDR)を待ち受けが選 択されているなら、待ち受け条件に関する情報 (例えばセキュリティの要件等)を、そ れぞれ渡す。
[0063] 上記 HFPアプリケーションは、 HMI41からの指示で、 Bluetooth Profile制御部 32 に HMI41から渡された上記情報を渡す。この情報は図 5 (接続)の場合、対向装置 3 の固有番号(ブルートゥース'デバイス'アドレス(以下、 Bluetooth Device Address: B D ADDR) )である。
[0064] Bluetooth Profile制御部 32は、 USB/UART33を介して Bluetoothモジュール 34 に、「接続」に関連する設定、例えば認証の有無や暗号化の有無、ベースバンドに関 連するパラメータを設定し、その接続動作を開始する。
[0065] R点での Bluetooth接続が完了したならば、 Bluetoothモジュール 34から接続完了の イベントが、 USB/UART33を介して、 Bluetooth Profile制御部 32へ通知される。
Bluetooth Profile制御部 32は、 Bluetooth Profileアプリケーション群 31の中の HFPァ プリケーシヨンに「接続」が完了したことを通知する。さらに HFPアプリケーション(31) は、接続完了の画面を表示するために、 HMI41に対して接続完了を通知する。続 いて受信レベル情報の通知を行うため、周期タイマ(25, 26)を起動する。周期監視 タスク 24からの肯定応答受信により、直ちに対向装置 3に対して送信する受信レべ ル情報がなければ、 Bluetooth Profile制御部 32に、適用すべき低消費モード動作を 指定し、低消費モードへの遷移要求を通知する。
[0066] Bluetooth Profile制御部 32は、 UART/USB33を介して、低消費モードのパラメ ータを指定し、対向装置 3に低消費モードへの遷移要求を送信する。対向装置 3から
の肯定応答を受信(図示省略)することにより、 Bluetoothモジュール 34力 Bluetooth Profile制御部 32にイベントが通知される。このイベントを受信した Bluetooth Profile制 御部 32は、 HFPアプリケーション(31 )に対して低消費モード遷移開始(図示せず) を送信する。これにより HFPアプリケーション (31)は、移動機 (携帯電話) 2Mと対向 装置 3との間で低消費モードに遷移したことを認識する。
[0067] 図 6において無線制御アプリケーション 21は、一定間隔で受信レベルを測定する。
測定した受信レベル情報は、 HMI41の画面上に表示する必要があるので、この測 定のたびに HMI41に対してその受信レベル情報を通知する。 HMI41は、画面上に その受信レベル情報を表示すると同時に、 HFPアプリケーション(31)に対して、受 信レベル情報(dB値あるいはアンテナの本数に変換した値)を通知する。 dBか本数 かは、実装による。
[0068] 本発明のフィルタリングを適用していなければ、 HFPアプリケーション(31)は受信 レベル情報を対向装置 3に毎回通知しょうとする。しかし移動機 (携帯電話) 2Mと対 向装置 3との間が低消費モードに遷移していると、この低消費モード中はユーザデー タを送信することができないので、その受信レベル情報を通知するためには、一旦低 消費モードを解除する必要がある。 HFPアプリケーション(31)は、 Bluetooth Profile 制御部 32に対して低消費モードの解除要求を通知する。 Bluetooth Profile制御部 3 2はさらに、 UART/USB33を介して、 Bluetoothモジュール 34に低消費モードの解 除要求を通知する。
[0069] Bluetoothモジュール 34は、対向装置 3に対して低消費モードの解除を要求するメ ッセージを送信する。これに対し対向装置 3からその肯定応答を受信すると、
Bluetoothモジュール 34は、低消費モードが解除されたことを示すイベントを
Bluetooth Profile制御部 32に通知する。 Bluetooth Profile制御部 32は、 HFPアプリ ケーシヨン(31)に対して低消費モードの解除を通知する。この低消費モード解除通 知を受信した HFPアプリケーション(31)は、受信レベル情報を対向装置 3に送信す る。
[0070] 既に図 3で説明したとおり、間欠受信タイミングと異なるタイミングで、受信レベル情 報を対向装置 3に送信すると、間欠受信による省電力効果が低下すると共に、低消
費モードからの復帰動作を行わなければならず、低消費モードの効果も低下する。 そこで HFPアプリケーション(31)は、図 4で説明した動作を行う。もう一度図 4を参照 すると、フィルタリングの間隔は n=0, n= 3, n=6である。
[0071] Bluetooth接続が完了すると HFPアプリケーション(31)は、周期監視タスク 24が提 供する機能を使用してタイマを起動する。 HMI41からの受信レベル情報を受信した HFPアプリケーション(31)は、図 4に示す最初の間欠受信タイミングである n = 0に おいて、対向装置 3に対して受信レベル情報を送信し、この送信した情報 (ここでは アンテナ本数 3本)を記憶手段 15に記憶する。次に通知されるアンテナ本数(1本)、 さらにその次に通知されるアンテナ本数(1本)は、 1次フィルタリングにより、無視する 。 3回目に受信したアンテナ本数(2本)は、その 1次フィルタにより、対向装置 3に送 信するタイミングとなるので、 n = 0で送信したアンテナ本数(3本)と差があるかを判定 する。この場合、アンテナ本数が変わっているので、 n= 3のタイミングで対向装置 3 にアンテナ本数情報を送信し、アンテナ本数「2」を記憶手段 15に記憶する。同様に n=4および n= 5での送信は、 1次フィルタリングにより、見送り、 n= 6の時に、 n= 3 で送信したアンテナ本数とを比較する。この場合、 n= 3で送信したアンテナ本数情 報(2本)と今回送信しょうとするアンテナ本数情報(2本)に差がないので、 2次フィノレ タリングにより、対向装置 3へのその送信は見送る。なお図 4の例では、フィルタリング として n= 3に設定しているが、時間パラメータ nを延ばすことにより、さらなる低消費モ ード効果が可能となる。この時間パラメータ nは固定値でも良いし、あるいは送信する 受信レベル情報の変化に応じて可変としても良い。
[0072] (ii)次に、 Did—up Networking Profile (DUNP)または Personal Area Network
Profile (PANP)のもとで、最適な低消費モードを実現する態様について説明する。こ の態様において、 Holdモード、 Sniffモードおよび Parkモードのいずれかによる
Bluetooth低消費モード制御を行う Bluetooth低消費モード制御部 14は、相手装置 4 との間で長距離無線通信(6)を行うときのユーザレートに応じて、(a)低消費モードを 有効にするか無効にするかを決定し、(b)低消費モードを有効にするときは、さらに 該当する上記のモードにおける時間パラメータ Ptを可変とする。
[0073] DUNPあるいは PANPの場合、 U点において高速なスループットを必要とするとき
、R点における低消費モードからの復帰動作に時間力 Sかかって所要の高速スループ ットを達成できない場合がある。上記のとおり、 R点での低消費モードには、 Holdモー ド /Sniffモード/ Parkモードという 3種類が存在する。
[0074] 図 7は Holdモードを説明するための図である。 Bluetooth制御機能部 12がこの Hold モードを実行するとき、 Bluetooth低消費モード制御部 14は、上述した (b)における時 間パラメータ Ptを、 Holdモードでの Holdタイム T1とする。
[0075] 図 7は Bluetoothを形成する一対の親側(マスター)および子側(スレーブ)装置のう ち、マスターについて示す。図示する Holdタイム T1の時間間隔で、マスターはスロッ ト (送信 TXZ受信 RX)の送受信動作を停止する。スレーブも送受信動作を停止する 。したがって Holdタイム T1の時間が長いほど、低消費モードの効果が大きい。なぜな らこの Holdタイムで示す期間 T1は、データの送受信を行うことができないからである。 携帯電話 (2M) /ゲートウェイ側、すなわち無線通信装置 2側で、対向装置 3に対す るデータ送信契機が図 7の Aのタイミングで発生した場合、送受信可能となるインスタ ンスまでの時間は短レ、。しかし図 7の Bのタイミングで発生した場合、送受信可能とな るインスタンスまでの時間は長ぐこの間データの送受信を行うことができないことから 、 U点でのスループットへ影響が出る。
[0076] そこで Holdタイムで示す間隔 T1を短くすれば、送受信可能となるインスタンスまで の時間を短くすることができ、 U点でのスループットへの影響を小さくすることが可能と なる。し力 今度は、低消費モードの効果が低減してしまう。
[0077] そこで U点でのユーザレートの大小に応じて、 Holdタイム T1を短くまたは長く可変 にすれば、 U点でのスループットを低下させることのなレ、低消費モードが実現される。
[0078] 図 8は上述の Sniffモードを説明するための図である。 Bluetooth制御機能部 12が
Sniffモードを実行するとき、 Bluetooth低消費モード制御部 14は、上述した(b)におけ る時間パラメータ Ptを、 Sniffモードでの低消費スロット送信周期 T2とする。この場合、 可変される上記 Sniffモードでの低消費スロット送信周期 T2に合わせて、 Sniffモードで の同期維持用の送受信間隔 T3も可変とすることが望ましい。
[0079] 図 8は、マスター側を基準に記載している。送受信間隔 T3は、マスター/スレーブ 共にスロット (TX'RX)が送受信可能な時間で、低消費スロット送信周期 T2は送受
信間隔 T3が再び繰り返されるまでの時間である。図中、 Α— Cの時間と Α— Βの時間と の比が小さいほど、低消費モードの効果は高い。マスターは、送受信間隔 T3の TXス ロットでスレーブとの同期を維持するためのスロットを送信する。
[0080] スレーブは、マスター力ものスロットを受信し、 自分宛のスロットがあれば、送受信間 隔 T3内で送信可能なスロットを用いて応答し、 Sniffモードから通常モードへ遷移して 、当該ユーザデータを受信する。
[0081] Sniffモード中はユーザデータの送受信は行えない。携帯電話 Zゲートウェイ側、す なわち無線通信装置 2で対向装置 3へのデータ送信契機が、図 8の A— Bの間(D点) もしくは C点に近いタイミング(F点)ならば、 Sniffモードから通常モードへの復帰動作 が開始するまでの時間が短いため、 U点でのスループットへの影響を小さくすること が可能である。一方、送受信間隔 T3の直後付近 (E点)でそのデータ送信契機が発 生すると、 C点で示す時間まで通常モードへの復帰動作が待たされることになり、 U 点でのスループットへの影響が出てくる。結局、 A— Cの時間を短くするあるいは A— B の時間は長くすれば、復帰動作開始までの待ち時間を短くすることが可能である。し 力し低消費モードの効果は低減する。力べして、 U点でのユーザレートの大小に応じ て、上記の T2、さらには上記の Τ3を調整すれば、 U点でのスループットを低下させる ことのなレ、低消費モードが実現される。
[0082] 図 9は Parkモードを説明するための図である。 Bluetooth制御機能部 12がこの Park モードを実行するとき、 Bluetooth低消費モード制御部 14は、上述した (b)における時 間パラメータ Ptを、 Parkモードでの同期補正の周期 T4とする。
[0083] 図 9はマスター側を基準に記載している。 「周期」と記載されている期間 T4力 中間 にいくつかの「アクセスウィンドウ」を含む「同期補正」の出現間隔である。 「同期補正」 と記載されてレ、る期間は、マスターのタイミングと自分自身 (スレーブ)が保持するタイ ミングとの差を補正する期間である。「アクセスウィンドウ」と記載されている期間が、マ スターとスレーブとの間で低消費モードの解除が可能な期間であり、何度か繰り返さ れる。周期 T4を長くする力 \アクセスウィンドウの繰り返し数やその期間を短くするほ ど低消費モードの効果は高レ、。
[0084] Parkモード中は、ユーザデータの送受信は行えない。携帯電話 Zゲートウェイ側、
すなわち無線通信装置 2で対向装置 3に対するデータ送信契機が図 9の同期補正の タイミングもしくはアクセスウィンドウの期間であれば、 Parkモードから通常モードへの 復帰動作が開始するまでの時間が短いため、 U点でのスループットへの影響を小さく することが可能である。一方、「アクセスウィンドウ」が経過した直後付近でそのデータ 送信契機が発生すると、次の「同期補正」のインスタンスまで、通常モードへの復帰動 作が待たされることになり、 U点でのスループットへ影響が出てくる。結局、周期 T4を 短くするあるいはアクセスウィンドウの期間を長くしたり、アクセスウィンドウの繰り返し 数を増やすことにより、復帰動作開始までの待ち時間を短くすることが可能である。し かし、低消費モードの効果は低減する。力べして、 U点でのユーザレートの大小に応 じて、上記の T4を調整すれば、 U点でのスループットを低下させることのない低消費 モードが実現される。
[0085] 図 10は、上述した U点でのユーザレートに応じて低消費モードを制御する態様で の無線通信装置 2の一実施例を示す図である。なお、本図の構成は図 2に示した構 成から、不要な部分を取り除いた構成である。
[0086] まず一般論から始めると、低消費モードへ遷移する制御は、単純に送受信中デー タの有無に応じて行うのが一般的である。この一般的方法ではデータの有無といった 一元的な制御である。また低消費モードのパラメータも、ワンパターンであることが多 レ、。
[0087] ここで、 U点での所要スループットが高速である場合について考えると、 R点での低 消費モード動作を行わずにユーザデータを流したままにするという選択が考えられる 。し力し U点におけるスループットが複数のユーザレートをサポートするような場合で あると、前述のようなワンパターンの実装では、全てのユーザレートについて低消費 モードの制御を行わない、という動作となってしまう。
[0088] またそのような高速ユーザレートでは低消費モードの効果を犠牲にしてスループット を確保するとレ、う選択が可能である力 中速あるいは低速のユーザレートにぉレ、ては 、スループットの確保と共に、低消費モードを適用することによる消費電力の低減もま た必要である。特に中速のユーザレートでは、低速のユーザレートの低消費モードパ ラメータを適用せず、中速ユーザレート独自の低消費モードパラメータを適用すれば
、スループットの確保は可能である。
[0089] 本発明は、このように(a)スループットの確保と、(b)低消費モードの実施といった相 反する要求を両立するために、 U点におけるユーザレートの情報をもとに、低消費モ ードの適用有無の判断およびこの低消費モード適用時における時間パラメータの制 御を行うものである。
[0090] Bluetooth低消費モードの適用の有無を判断するために、 Bluetooth Profileアプリケ ーシヨン群 31と無線制御アプリケーション 21との間力 \ Bluetooth Profileアプリケーシ ヨン群 31と無線制御タスク 22との間のいずれかに新たなインタフェース(INF)を設け る(図 10の INF1および INF2参照)。
[0091] 図 11は Diaト up Networking Profile (DUNP)または Personal Area Network Profile ( PANP)のもとでの低消費モード処理を表すシーケンス図(その 1)であり、
図 12は同図(その 2)である。ここでは、無線制御アプリケーション 21と Bluetooth Profileアプリケーション群(DUNP/PANPアプリケーション) 31との間に、新規にィ ンタフェース(図 10の INF1)を追加した場合を記載する。
[0092] Bluetooth接続が完了し、対向装置 3である PC (3P)や PDA等から、「Bluetooth接 続」を用いて発信が行われる。 DUNP/PANPアプリケーション(31)は、その発信 信号を無線制御アプリケーション 21に渡す(図示省略)。これを受けた無線制御アブ リケーシヨン 21は、携帯電話の無線方式に従い、物理チャネルや論理チャネルの設 定を行う。これらのチャネル設定が正常に完了すると、無線制御タスク 22から無線制 御アプリケーション 21に、その完了の旨が通知される。無線制御アプリケーション 21 は、確立したチャネルに関する情報を、 DUNP/PANPアプリケーション(31)に渡 す。渡された DUNPZPANPのパラメータは、 DUNP/PANPアプリケーション(31 )で保持する。またこのときに受信した該パラメータから、後述の図 13の表を参照して 、上述した U点でのユーザレートを求め、 R点で使用するパケットタイプを決定し、低 消費モードを実施するかしないかのパラメータを、 Bluetooth Profile制御部 32へ渡す 。 Bluetooth Profile制御部 32は対向装置 3とパケットタイプのネゴシエーションを行レヽ 、その合意が得られれば、そのパケットタイプにて以降の通信を行う。
[0093] 送受信中にユーザデータがなくなつたと判断したときには、 DUNP/PANPアプリ
ケーシヨン(31)は、図 13の表を用いて、低消費モード制御の有無や低消費モード制 御時の時間パラメータを選択して、 Bluetooth Profile制御部 32に低消費モードの開 始要求を送信する。
[0094] 図 13は上述したパラメータの具体例を示す図である。本図において、
「1¾^6」は1;点でのユーザレートを表し、「LC (Logical Channel)」、「TB (Transport Block)」および「TFS (Transport Format Set)」は、 U点でのどのユーザレート(64Z 128/256kbps)が使われようとしているかを判断するための情報となる。 「AM」は、 Acknowledge Mode (確認型モード)を表す。また「TTI」は、 Transmission Time Intervalであり、 ms単位で表す。 「PHY」は、後述する個別物理チャネルカ 共通物 理チャネルか、の区別を示し、「D」は個別物理チャネルを表す。
[0095] 以上の「LC」一「PHY」の各情報をもとに、「適用」(低消費モードを適用するか(〇 )しなレ、か(X ) )、適用するならそのときの時間パラメータ Ptをどの位にするかを、「送 信周期」および「間隔」にて決定する。
[0096] まず無線制御アプリケーション 21もしくは無線制御タスク 22から渡されるパラメータ について説明する。上述の図 13 (表)を参照すると、この表の示すところは、パケット 交換方式の通信であって、 Rate : 64kbps、 128kbpsを切り替える場合のパラメータと 、低消費モード(ここでは Sniffモード)のパラメータが示してある。上記の LC sizeは、 論理チャネルの PDU (Protocol Data Unit)サイズである。 LC modeは、レイヤ 2の送 信モードを示しており、通常 TM (Transparent Mode (透過型モード)と、 UM ( Unacknowledge Mode (非確認型モード)と、既述の AMの 3種類が存在する。これら は、回線交換型またはパケット交換型の各チャネル設定を区別するために使用する
[0097] TB sizeは無線方式によっては存在しないパラメータで、下位レイヤ 2の PDUサイズ である。上記 TFSは上記 TTIで示す時間であって、 TBを幾つ送ることが可能かを示 してレ、る。図 13の表で示す数値のうち、最大となる数値が最大レートを示す。また上 記のとおり PHY chは、物理チャネルの属性を示し、既述のとおり個別物理チャネル か共通物理チャネルかのどちらを使用するかを示す。これらのパラメータから U点で のユーザレートを特定し、低消費モードを適用するか否かや、低消費モード適用時
の低消費パラメータ(時間パラメータ)を決定する。なお上記最大レートは、次の計算 式 C、求まる。
[0098] LC size X TFSの最大値 ÷ TTI X 1000
[0099] 上記計算式で求めたサイズより、高速転送可能な Bluetoothのパケットタイプを選択 する。 U点でのユーザレートが 128kbpsの場合、 R点でのレートとしては 387. 2kbps /477. 8kbps (共に誤り訂正有り)、 585. 6kbps/723. 2kbps (共に誤り訂正無し )が、選択できる。単純に考えると、 387. 2kbpsを選択した場合、 R点では U点の 3 ( 387. 2Z128)倍の速さでユーザデータを転送することが可能であるから、 U点で の送受信処理の間に、 R点では低消費モードへ遷移することができる。
[0100] DUNP/PANPアプリケーション(31)は、 Bluetooth上で送受信データがなくなつ たとき、上記で求めた、ユーザレートに対応するパラメータを用いて低消費モードへ 遷移する。一方対向装置 3からのデータ送信が発生すると、対向装置 3より低消費モ ードの解除要求が送信されてくる。 Bluetoothモジュール 34は、低消費モード解除の 応答を対向装置 3に送信し、 Bluetooth Profile制御部 32を介して DUNP/PANPァ プリケーシヨン(31)に、低消費モード解除の通知が送信される。その後ユーザデータ の送受信が開始される。
[0101] 携帯電話でのトラフィック量やネットワーク側からの指示によって、現在とは異なるレ ートに変更された場合には、そのレート変更が完了すると、無線制御アプリケーション 21は、 DUNP/PANPアプリケーション(31)に対しチャネル(個別/共通)情報を 通知する。 DUNP/PANPアプリケーション(31)は、その通知されたチャネル情報 より前述の最大レートを算出し、この最大レートに対応する低消費モードの時間パラ メータを選択する。
[0102] Bluetooth上で送受信するデータがなくなったときには、前述で求めた低消費モード の時間パラメータを使用して、再び低消費モードへ遷移する。この低消費モードの時 間パラメータ、特に「送信周期」については、最終的にはサポートするサービス( Profile)により、実験的に求める必要がある。その基本的な考え方の一例を示す。
[0103] R点においてフロー制御を行う場合、 1500byteの PPP (Point-to- Point Protocol) データを DT側から送信し、移動機 2M側(無線制御アプリケーション 21もしくは無線
制御タスク 22)では、 U点で送信するための PDUサイズに分割する。移動機 2M側 において PPPデータのバッファリングが 1PDUしかない場合、 1PPPデータを受信し た時点で R点ではフローが発生する。移動機 2M側でフローが発生すると、 R点上の 対向装置 3に対してフローであることを通知する信号が送信される。この信号を送信 後に R点では、低消費モードへ遷移する。このときのユーザレートを 64kbpsとした場 合、 1500byteのデータを U点で送信するために必要な時間は、次のようになる。
[0104] 1500 (byte) X 8 (bit) ÷ 320 (bit) ÷4 (Block) X 20 (ms) = 187. 5ms
[0105] U点上へのデータ送信が完了(187. 5ms)後、 R点上でフロー状態が解除された ことを通知するために、 R点上の対向装置 3に対してフロー解除を通知する信号を送 信しょうとする。このとき、 R点上では低消費モードへ遷移しているため、この信号を 送信するためには低消費モードが解除される。したがって、移動機 2M側で用意でき る PPPデータのバッファ量と、 U点へデータを送信するのに必要な時間とから、低消 費モードの周期の基準値を算出することができる。例えば移動機 2M側で用意可能 なバッファ量力 ¾PDUの場合には、低消費モードへの遷移周期としては 750msとな る。
[0106] R点においてフロー制御を行わない場合には、ダウンリンクでの通信において、無 線制御タスク 22あるいは無線制御アプリケーション 21は、 PPPデータの組み立てが 完了すると、 DUNP/PANPアプリケーション(31)に PDUを転送する。 IPDU組み 立てに必要な時間は、 U点のユーザレートが 64kbpsの場合、上記計算式で求めた 1 87. 5msである。一方 U点におけるユーザレート力 S387. 2kbpsの場合、 1500byte の転送に必要な時間は次のようになる。
[0107] 1500 (byte) X 8 (bit) ÷ 387. 2k (bps) = 31ms
[0108] つまり、次のデータが送信可能になるまでの時間は約 150 ( ^ 187. 5— 31) msであ るため、ここから低消費モード解除に費やす時間を差し引いた値が、低消費モードの 周期としての最適値を出すための基準値にすることができる。
[0109] 以上の動作により、中速のユーザレートにおいては、低消費モードの時間パラメ一 タを変化させることによって、 Bluetooth低消費モードへの遷移と所要スループットの 確保との両立が可能となる。
[0110] ここで上述した個別物理チャネルと共通物理チャネルとに着目すると、 Bluetooth低 消費モード制御部 14は、(a)相手装置 4との長距離無線通信(6)において確立した 呼が、個別物理チャネルを使用し、かつ、対向装置 3との間の近距離無線通信(5) が低消費モードに遷移しているときは、この低消費モードから通常モードへ復帰させ 、(b)—方、上述の確立した呼が、共通物理チャネルを使用しているときは、その通 信中のデータがなくなり次第、低消費モードへ遷移させるようにすることができる。
[0111] また上記の(a)において、通信中のデータの処理が終わっても、低消費モードへ遷 移させないようにする。
[0112] さらにまた上記の(a)において、対向装置 3より低消費モードへの遷移要求があつ たとき、これを拒否するようにする。
[0113] 携帯電話のようにシングルコールのみをサポートする場合や、マルチコールをサポ ートするが DUNPZPANPで動作する呼以外に呼が存在しなレ、場合、スループット を必要とするときは、 U点において個別物理チャネルを使用することが多レ、。逆にス ループットを必要としないときには、 U点において共通物理チャネルを使用することが 多レ、。このように高速(中速)ユーザレートと低速ユーザレートの 2種類のレートをサポ ートする場合、個別物理チャネルの使用時には、スループットを重視するために低消 費モードを適用せず、一方、共通物理チャネルを使用するときは、スループットを重 視せずに低消費モードを優先させる、といった制御が考えられる。無線制御アプリケ ーシヨン 21または無線制御タスク 22のいずれかは、物理チャネルが確立すると、そ の物理チャネルの情報を Bluetooth Profileアプリケーション群 31に渡す。以降、その 物理チャネルが解放されるまでの間に、個別物理チャネルから共通物理チャネルへ の変更が行われたならば、そのチャネル情報を Bluetooth Profileアプリケーション群 3 1に渡す。逆に、共通物理チャネルから個別物理チャネルへの変更が行われたとき にも、個別物理チャネルの情報を Bluetooth Profileアプリケーション群 31に渡す。こ の Bluetooth Profileアプリケーション群 31は、 DUNP/PANPにおいて確立中の呼 が個別物理チャネルを使用し、かつ Bluetooth低消費モードに遷移しているならば、 その低消費モードから通常モードへの復帰動作を行う。また、送受信中のデータの 処理が終わっても低消費モードに遷移しないように制御する。さらにまた、対向
Bluetooth機器 (3)力 の低消費モード要求を拒否する。一方共通物理チャネルの使 用時は、送受信中のデータがなくなれば直ちに Bluetooth低消費モードへ遷移するよ う制御する。
[0114] なおスループットを然程必要とはしなレ、、速度としては中速のユーザレートで、かつ Bluetoothにおける低消費モードを適用する場合は、 U点で個別物理チャネルのユー ザレートを変化させる。この場合、個別物理チャネルか共通物理チャネル力、、といつ た一元的な判断に基づく前述の制御を適用することはできない。
[0115] 携帯電話の通信方式にもよるが、マルチコール、例えば音声通話とパケット通信の 場合、同一の個別物理チャネル上に 2つのサービスがマッピングされるため、単なる 個別/共通チャネルの相違による判断に基づく前述の方法を用いることができなレ、。 そこで物理チャネルに関する情報に加えて、レイヤ 2に関連する情報を、 Bluetooth
Profileアプリケーション群 31に通知する。そうすればそのレイヤ 2の情報から、現在の ユーザレートを判断することが可能である。
[0116] 上記の Bluetooth Profileアプリケーション群 31は、無線制御アプリケーション 21また は無線制御タスク 22から受信した物理チャネル情報と、前記レイヤ 2に関する情報と を受信し、パケットの現在のユーザレートを判断する。アプリケーション群 31において 判断したユーザレートから、そのユーザレートに対応する低消費モードの時間パラメ ータを選択し、低消費モード遷移時にその時間パラメータを適用する。
[0117] 中速のユーザレートでの低消費モード時間パラメータは、各低消費モードにおける 周期に該当する時間パラメータを短い値に設定することで、低消費モードからの復帰 時間による遅延を小さくし、スループットを確保する。
[0118] (iii)最後に、ジェネリック'オブジェクト 'イクスチェンジ(以下、 Genric Object
Exchange : GOEP)のもとで、最適な低消費モードを実現する態様について説明する 。この態様において、 Bluetooth低消費モード制御部 14は、対向装置 3との間のデー タ転送が、データ量の少ない 1件データ転送モードか、またはデータ量の多い全件 データ転送モードか、に応じてそれぞれ、低消費モードへの遷移を許可し、または禁 止するよう設定するようにする。
[0119] この場合 Bluetooth低消費モード制御部 14は、上記の全件データ転送モードが終
了すると、低消費モードへの遷移を開始するようにする。
[0120] 図 14は GOEPモードのもとで主として低消費モードを制御する無線通信装置 2の 一実施例を示す図である。本図の構成は、図 10に示す構成において、本態様 (m) に直接関係しない無線制御機能部 11の部分を省略した構成に相当する。この態様 ( iii)は、例えば、ユーザインタフェースの状態やオブジェクト 'イクスチェンジ(以下、
Object Exchange : OBEX)プロトコルメッセージを解析した結果から、データ転送量を 特定し 1件転送の要求か全件転送の要求か判定して、低消費モードの遷移/解除 の制御を行うことができる。
[0121] 一般に GOEPでは、 1件の PUT (書き込み要求) ZGET (読み出し要求)動作であ れば、常に Bluetooth低消費モード実施を選択すれば良レ、。し力し、パーソナルコン ピュータ 3Pにおレ、て携帯電話(2M)のメモリやメールをバックアップする場合や、機 種交換等のために販売店にてこれまで使用していた機種のメモリダイアルやメールを 、新しく購入する機種に対して設定し直す場合、低消費モードの遷移/解除動作に 時間を費やし、全件データの移行に相当の時間がかかる。
[0122] Bluetoothのリンクが確立した後、上記 OBEXプロトコルによるセッションが確立し、 対向装置 3から全件データの PUT/GETの要求がきた場合、もしくは携帯電話 (2 M)で GOEPに関連するメニュー操作が行われ全件データの PUT動作または全件 データの GET動作であると判断した場合、 OBEXデータ制御部(図示せず)から Bluetooth Profileアプリケーション群 31に対して、全件データ転送動作である旨を通 知する。この通知を受信した Bluetooth Profileアプリケーション群 31はそれ以降、 Bluetooth低消費モードへの遷移動作は行わないようにする。そうすると Bluetooth低 消費モードへの遷移動作は行われなくなるから、転送時間の短縮を図ることができる
[0123] 反対に 1件分だけのデータ転送要求の場合は、上記の OBEXデータ制御部から Bluetooth Profileアプリケーション群 31に対し、全件データ転送動作ではない旨を通 知する。この通知を受信した Bluetooth Profileアプリケーション群 31はそれ以降、送 受信中のデータが存在しないことを確認する毎に、 Bluetooth低消費モードへの遷移 動作を実行する。以下に、実際の動作シーケンスを一例をもって説明する。
[0124] 図 15は、 GOEPのもとで、図 14の 2Mが 3P力 全件データ受信するときの低消費 モード処理を表すシーケンス図(その 1)、
図 16は同図(その 2)、
図 17は、 GOEPのもとで、図 14の 2Mから 3Pに全件データ送信時の低消費モード 処理を表すシーケンス図(その 1)、
図 18は同図(その 2)である。
[0125] まず図 15および図 16を参照すると、要約すれば、携帯電話がパソコンからデータ を受信すると一且は低消費モードに入るが(図 15の R)、それが全件データであること が分かると、直ちに低消費モードの解除に入り(図 15の S)、その後全件データの受 信が終了すると、直ちに低消費モードに入る(図 16の T)。
[0126] 一方図 17および図 18を参照すると、要約すれば、携帯電話はパソコンにデータを 送信しょうとする力 それが全件データであることは自ら分かっているから、直ちに低 消費モードを禁止し(図 17の U)、その後全件データの送信が終了したときに、直ち に低消費モードに入る(図 18の V)。以下に、もう少し詳しく説明する。
[0127] 全件データを受信する場合(図 15および図 16)、ユーザ操作によりそのモードへ遷 移するよう GOEPアプリケーションに設定 (全件転送の設定)が送信される。 GOEPァ プリケーシヨン(31)は、 Bluetooth接続がなければ「接続」を行う(もしくは「待ち受け」 を設定する)。この Bluetooth接続が完了すると、 OBEXコネクションを確立させる動作 に入る。なおこの GOEPアプリケーションの動作時は、デフォルトとして「低消費モー ドであり」として動作する。ここに OBEXコネクションが確立すると、 GOEPアプリケー シヨン(31)は、 Bluetooth Profile制御部 32に対して、低消費モードの開始要求を送 信する。
[0128] この低消費モードを一旦開始した後に、対向装置 3 (3P)から送信データが発生す るとこれによつてその低消費モードは解除され、最初の PUTメッセージを受信する。
GOEPアプリケーション(31)は、受信した PUTメッセージの情報要素から、 PUTしょ うとする転送データとしてファイル名を指定しているのカ それともパス(ディレクトリ)を 指定しているのか、を判断する。その転送データとしてパスを指定しているならば全 件データ転送であると判断し、その PUT動作が完了するまで低消費モードへの遷移
を禁止する。一方その転送データとしてファイル名が指定されているならば 1件デー タ転送と判断し、 PUT responseを送信した後直ちに Bluetooth Profile制御部 32に対 して低消費モードの開始要求を送信する。
[0129] 全件データを送信する場合(図 17および図 18)、 Bluetooth接続が完了して OBEX コネクションの確立が完了した後、 GOEPアプリケーション(31)は、 Bluetooth Profile 制御部 32へ低消費モードの禁止要求を送信する。 Bluetooth Profile制御部 32は、 Bluetoothモジュール 34に対し同じく低消費モードへの遷移を禁止するための低消 費モード禁止要求を送信する。これにより、対向装置 3 (3P)からの低消費モード遷 移要求に対してはこれを拒否することができる。
[0130] Bluetoothモジュール 34からの低消費モード禁止応答を受信した Bluetooth Profile 制御部 32は、 GOEPアプリケーション(31)に対して低消費モード禁止応答を送信 する。 GOEPアプリケーション(31)は、その低消費モード禁止応答の受信により、全 件データの送信を開始する。この間、移動機 (携帯電話) 2Mと対向装置 (パソコン 3P
)との間では、 Bluetooth低消費モードへの遷移は行われない。
[0131] 全件データの送信が完了すると、 GOEPアプリケーション(31)は低消費モードへ の遷移を許可するために、 Bluetooth Profile制御部 32に対し低消費モードの開始要 求を送信する。さらに Bluetooth Profile制御部 32は、 Bluetoothモジュール 34に対し て低消費モードの設定要求を送信する。対向装置 (3P)からの肯定応答を受信して 、 Bluetoothモジュール 34は、 Bluetooth Profile制御部 32に対し低消費モードの設定 応答を送信する。これにより Bluetooth Profile制御部 32は、 GOEPアプリケーション( 31)に対し低消費モードの開始を伝え、移動機 (携帯電話) 2Mと対向装置 (パソコン ) 3Pは共に低消費モードへ遷移する。
[0132] 以上の動作により、 GOEPの全件データ送信 Z全件データ受信に関してそのデー タ転送動作を短時間に完了することが可能となる。なお、 1件データ送信の場合は、 データ送信の完了後直ちに低消費モードへ遷移する。
[0133] 以上詳述したように本発明によれば、 Bluetoothの仕様で規定されている「低消費モ ード」を、 Bluetoothのもとで提供される各種のサービス(Profile)のそれぞれの特性に 応じて、最適となる態様で実施可能となる。