明 細 書
衣料用粉末洗剤組成物
技術分野
[0001] 本発明は、衣料用粉末洗剤組成物に関し、特にドラム式洗濯機で使用した際に泡 立を抑制した洗剤組成物に関するものである。
本願 ίま、 2004年 9月 29日(こ出願された特願 2004— 282950号 (こ基づレヽて優先 権を主張し、その内容をここに援用する。
背景技術
[0002] 日本における、衣料用洗濯機はトップローデイング型の全自動洗濯機が主流である 力 近年乾燥機能付きのドラム式洗濯機の出荷が増加している。一方、欧州ではドラ ム式洗濯機が主流であり、東南アジア諸国もドラム式洗濯機の保有率が日本と比較 して高い。
ドラム式洗濯機はトップローデイング型の全自動洗濯機と比べて洗濯水量が少なく 洗浄液の洗剤濃度が高い。また機種によっては高温 (60°C以上)で洗濯を行う機能 を有しているために洗濯時に発泡し、泡がオーバーフローするという問題が発生する 一方、洗剤組成も日本国内は無リンタイプの高嵩密度洗剤が主流となっているが、 東南アジア諸国では、有リンタイプの従来型の洗剤が主に使用されている。また従来 型の洗剤は一般に洗濯一回当たりの使用量も多いためより泡立ちやすくなつている
[0003] 洗浄時の泡立ちを抑制するために、低泡性の非イオン界面活性剤、石鹼とシリコー ンコンパウンドとを組み合わせた洗剤やシリコーン消泡剤造粒物を配合した洗剤等が 提案されている (例えば特許文献 1〜2参照)。
石鹼の消泡メカニズムは、石鹼が洗濯液中の Caイオンと反応して生成する不溶性 のカルシウム石鹼が泡を破泡するものである。そのため、リン系カルシウム捕捉剤や 高分子カルシウム捕捉剤など洗浄液中のカルシウムを強力に捕捉してしまうものを配 合すると、カルシウム石鹼が形成しにくくなるため抑泡効果が発揮できなくなる。
低泡タイプの非イオン界面活性剤は、上記の問題は起こらず、また洗浄効果も有す る利点を持っているが、主に液体の基材であるため粉末洗剤に多量に添加すると洗 剤がベタツいてしまうなど、商品価値上の問題が生じることがある。
また、シリコーン消泡剤は、消泡効果は非常に優れているが、低泡性の非イオン界 面活性剤、石鹼に比べると高価であること、消泡以外に洗浄効果は期待できないな どの問題がある。特に、高温(60°C以上)で洗濯を行う場合には、さらなる抑泡効果 が求められていた。
特許文献 1 :特開平 03— 269098号公報
特許文献 2:特開平 03— 186307号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] 本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、世界各地の様々なドラム式洗濯機 の使用環境に適合させるベく洗浄時の泡立ちが抑制された衣料用粉末洗剤組成物 に関する。
課題を解決するための手段
[0005] 本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の非ィォ ン界面活性剤と、高粘度のシリコーンとを組み合わせると、高温(60°C以上)で洗濯 を行う場合でも優れた抑泡効果が得られることを見出し、本発明を完成した。
[0006] 本発明は、 5質量%以上 30質量%以下の界面活性剤、および、 0. 01質量%以上
5質量%以下の、 60°Cでの粘度が 3, OOOmPa's以上であるシリコーンを含有し、前 記界面活性剤は、 0. 5質量%以上 8質量%以下の式 (I):
RXO- (EO) n- (PO) mM (I)
(式中、 Rは炭素数 7〜22のアルキル基又はアルケニル基を表し、 Xは—CH—又は
_C〇—を表し、 E〇はエチレンオキサイドの付加単位を表し、 nは、その平均付加モ ノレ数として 3〜30の数を表し、 POはプロピレンオキサイド又はブチレンオキサイドの 付加単位を表し、 mはその平均付加モル数として 1〜: 10の数を表し、 Mは水素原子 または炭素数 1〜4のアルキル基を表す)
で表わされる非イオン界面活性剤を含有することを特徴とする衣料用粉末洗剤組成
物に関する。
[0007] 前記洗剤組成物において、前記界面活性剤の含有量が 5質量%以上 15質量%未 満であり、前記非イオン界面活性剤の含有量が 0. 5質量%以上 4質量%未満であり 、前記組成物のかさ密度が 0. 2gZml以上 0. 6g/ml未満であることができる。 あるいは、前記洗剤組成物において、前記界面活性剤の含有量が 15質量%以上 30質量%以下であり、前記非イオン界面活性剤の含有量が 2質量%以上 8質量% 以下であり、前記組成物のかさ密度が 0. 6gZml以上 1. 5gZml未満であることがで きる。
[0008] 前記洗剤組成物は、更に、:!〜 30質量%の高分子系カルシウム捕捉剤及び/又 はリン系カルシウム捕捉剤を含有することができる。
また、本発明は、シリコーンを洗剤スラリーに添加する、もしくは噴霧乾燥粉に噴霧 することを特徴とする、前記洗剤組成物の製造方法に関する。
発明の効果
[0009] 本発明によれば、高温 (60°C以上)で洗濯を行う場合でも優れた抑泡効果を発揮 するドラム式洗濯機に好適な衣料用粉末洗剤組成物を提供することができる。
発明を実施するための最良の形態
[0010] 本発明の衣料用粉末洗剤組成物は下記 (a)成分、(b)成分及び (c)成分を含有す ることを特徴とする。
(a)総量として 5質量%以上 30質量%以下の界面活性剤。
(b) 0. 5質量%以上 8質量%以下の下記一般式 (I) :
RXO- (EO) n- (PO) mM (I)
(式中、 Rは炭素数 7〜22のアルキル基またはアルケニル基を表し、 Xは— CH—又
2 は— CO—を表し、 EOはエチレンオキサイドの付加単位を表し、 nは、その平均付加 モル数として 3〜30の数を表し、 POはプロピレンオキサイド又はブチレンオキサイド の付加単位を表し、 mはその平均付加モル数として 1〜: 10の数を表し、 Mは水素原 子または炭素数 1〜4のアルキル基を示す)
で表わされる非イオン界面活性剤。
(c) 0. 01質量%以上 5質量%以下の、 60°Cでの粘度が 3, OOOmPa's以上であるシ
リコーン。
さらに、上記衣料用粉末洗剤組成物は、(d)高分子系カルシウム捕捉剤及び Z又 はリン系カルシウム捕捉剤を、:!〜 30質量%含有することが好ましい。
[0011] 本発明の組成物は、(a)成分として界面活性剤を組成物中に総量として 5質量% 以上 30質量%以下含有する。より好ましい含有量は組成物の力さ密度により異なる 。力 ^密度が 0. 2g/ml以上 0. 6gZml未満である場合は、界面活性剤の総量が 5 質量%以上 15質量%未満であることが好ましい。また、力さ密度が 0. 6gZml以上 1 . 5g/ml未満である場合では、界面活性剤の総量が 15質量%以上 30質量%以下 であることが好ましい。
[0012] 界面活性剤として、ァニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性 剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤が挙げられ、洗剤に用いられる各種のもの を用いることができるが、好ましくは、ァニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤が用 いられる。
ァニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、 αォレフインスルホ ン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルキルエーテル力 ルボン酸塩、 α—スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、石鹼などが好ましい。
非イオン界面活性剤としては、後記の(b)成分の他に、アルキルエトキシレート、ポ リオキシエチレン脂肪酸エステル等が好ましく用いられる。
[0013] 本発明の組成物は、(b)成分として、下記一般式 (I)
RXO- (EO) n- (PO) mM (I)
で表わされる非イオン界面活性剤を含有する。
一般式 (I)において、 Rは炭素数 7〜22の(アルキル基またはアルケニル基)、好ま しくは、炭素数 10〜: 18のアルキル基または炭素数 17のアルケニル基を示す。
Xは -CH -又は _C〇—を表す。 EOはエチレンオキサイドの付加単位を表す。 ま
2
、その平均付加モル数として 3〜30の数、好ましくは 5〜20の数を表す。 POはプロピ レンオキサイド又はブチレンオキサイドの付カ卩単位を表し、好ましくはプロピレンォキ サイドの付加単位を表す。 mはその平均付加モル数として 1〜: 10の数、好ましくは、 1 〜5の数を表す。 Mは水素原子または炭素数 1〜4のアルキル基、好ましくは、水素
原子またはメチル基を表す。
[0014] 本発明の組成物における前記 (b)成分の含有量は、 0. 5質量%以上 8質量%以下 である。より好ましい含有量は組成物の力さ密度により異なる。力 ^密度が 0. 2g/ml 以上 0. 6gZml未満である場合は、 0. 5質量%以上 4質量%未満である。また、かさ 密度 0. 6gZml以上 1. 5g/ml未満ではある場合は、 2質量%以上〜 8質量%以下 である。
[0015] 本発明の組成物は、(c)成分として、 60°Cでの粘度が 3, OOOmPa' s以上、好ましく は、 10, OOOmPa's以上であるシリコーンを含有する。
上記粘度の上限値は、好ましくは 1, 000, 000mPa' s、更に好ましくは 500, 000m Pa' sである。粘度の測定方法を以下に示す。
<粘度測定法 >
シリコーン(純分 100%) 100gを PSNo. 11瓶に充填する。 60°C恒温槽に 1時間浸 漬させてサンプノレを一定温度にした後、 B型粘度計 (TOKIMEC製)を用レ、、測定温 度 60°C、ローター No. 4、回転数 12rpmで 10回転後の粘度値を測定を測定する。
[0016] 前記シリコーンが 60°Cで 3, OOOmPa' s以上の粘度を有することが必要である理由 は、洗剤製造時の原料スラリーにシリコーンを添加しても消泡効果が低下しないよう にするためである。また同様の理由でドラム式洗濯機の加温洗濯コース(60°C)を選 択した際に、上記より低粘度のシリコーンは洗濯液中で消泡効果が低下してしまうた めである。これは、シリコーンが微分散してしまったからであると推定している。また、 洗剤組成物中での保存安定性は高粘度(高分子量)の物の方が良好である。
上記シリコーンとしては、ジメチルシリコーンを使用する力 特に好ましくは、シリコー ン分子の一部もしくは全部にジメチルシリコーンの分岐または Zもしくは P〇E変性基 を有するものである。
前記シリコーンの含有量は、純分として 0. 01質量%以上 5質量%以下、好ましくは 0. 03質量%以上 1. 0質量%以下、より好ましくは 0. 1質量%以上 0. 5質量%以下 である。
[0017] 本発明の組成物は、さらに、(d)成分として、高分子系カルシウム捕捉剤及び Z又 はリン系カルシウム捕捉剤を 1〜30質量%を含有することが好ましい。
高分子系カルシウム捕捉剤としては、アクリル酸 Zマレイン酸モル比 = 9/:!〜 5/ 5、質量平均分子量が 10, 000〜100,000であるアクリル酸マレイン酸共重合体が 好ましく用いられる。組成物中における高分子系カルシウム捕捉剤の含有量は、好ま しくは:!〜 10質量%である。
リン系カルシウム捕捉剤としては、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、ヒドロキシエタンジ ホスホン酸が好ましく用いられる。組成物中におけるリン系カルシウム捕捉剤の含有 量は、好ましくは 5〜30質量%である。
前記高分子系カルシウム捕捉剤とリン系カルシウム捕捉剤は、併用して使用しても 良い。
本発明の組成物には、上述した成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、 さまざまな添加剤を含有させることができる。この添加剤としては、
(1)無機ビルダーとして、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム 、結晶性ゼオライトなど、
(2)有機ビルダーとして、クェン酸塩、コハク酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸とマレ イン酸の共重合体、エチレンジァミン四酢酸ナトリウム、二トリ口三酢酸塩、ポリアセタ ールカルボキシレート、ァスパラギン酸二酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、メチ ルグリシン二酢酸塩などのァミノカルボン酸塩など、
(3)吸油性担体として、非晶質シリカ、非晶質珪酸カルシウム、非晶質アルミノ珪酸 塩など、
(4)漂白剤及び漂白活性化剤として、過炭酸塩、過硼酸塩、 4ーデカノィルォキシ安 息香酸、 4—ドデカノィルォキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、 4—ノナノィルォキシ ベンゼンスノレホン酸ナトリウムなど、
(5)表面改質剤として、微粉炭酸カルシウム、微粉ゼオライト、ポリエチレングリコール 、顆粒ゼォライトなど、
(6)再汚染防止剤として、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリ エチレングリコール、ソィノレリリースポリマー、ポリビュルピロリドンなど、
(7)増量剤として、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなど、
(8)風合い向上剤として、ベントナイトなどの粘土鉱物など、
(9)還元剤として、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムなど、
(10)油ゲル化剤として、 12—ヒドロキシステアリン酸、金属石鹼など、
(11)香料類、
(12)色素類、蛍光剤、
(13)凝集抑制剤として、塩化ナトリウム、塩ィ匕カリウム、重炭酸カリウム、塩化バリウム の 2水塩、リン酸 2水素カリウム、リン酸水素カリウム、亜硫酸カリウム、塩ィ匕カルシウム の 6水塩、塩化マグネシウムの 6水塩、尿素、 L—ァスコルビン酸、
などを用いることができる。
[0019] 本発明の組成物を製造する際に、シリコーンを洗剤スラリーに添加する、もしくは噴 霧乾燥粉に添加する方法を用いて組成物を製造すると優れた効果が得られる。 シリコーンを洗剤スラリーに添加する場合には、水に、ァニオン界面活性剤(直鎖ァ ルキルベンゼンスルホン酸塩、 αォレフインスルホン酸塩など)、カルシウム捕捉剤( Α型ゼオライト、トリポリリン酸塩、高分子系カルシウム捕捉剤など)、無機塩 (炭酸塩、 硫酸塩、珪酸塩)、その他成分(亜硫酸塩、蛍光剤)及びシリコーンを混合して、水分 約 40%の噴霧乾燥用スラリーを調製する。これを噴霧乾燥塔にて、噴霧乾燥し、水 分 5 %〜 7%の噴霧乾燥粒子とする。
噴霧乾燥粉に噴霧する場合には、上記の噴霧乾燥用スラリーの調製において、シ リコーンを含まないスラリーを調製し、これを噴霧乾燥し、水分 5%〜7%の噴霧乾燥 粒子とする。これにシリコーンを噴霧して添加する。
以下に実施例で、その製造法の詳細を示す。
実施例
[0020] 以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の 実施例に制限されるものではない。
[0021] 製法 1 (シリコーン、非イオン界面活性剤を噴霧乾燥粉に噴霧する方法)
撹拌装置を有するジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を 60°Cにした。これにァ 二オン界面活性剤(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、 αォレフインスルホン酸塩 など)、カルシウム捕捉剤(必要に応じて Α型ゼオライト、トリポリリン酸塩、高分子系力 ルシゥム捕捉剤)、無機塩 (炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩)およびその他成分 (亜硫酸塩、
蛍光剤)を混合した。 20分間撹拌し、水分 38%の噴霧乾燥用スラリーを調製した。こ れを、向流式噴霧乾燥塔にて、熱風温度 280°Cの条件で噴霧乾燥し、水分 5%〜7 %の噴霧乾燥粒子を得た。
得られた噴霧乾燥粉に A型ゼオライト(組成物中の 3%分)を添加し表面処理を行 つた後、非イオン界面活性剤およびシリコーン、香料を噴霧した。なおシリコーンは予 め香料と混合してから噴霧した。最後に、酵素およびその他の乾式混合成分 (必要 に応じて、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩の一部を混合可能)を混合し洗剤組成物を得た
[0022] 製法 2 (シリコーン、非イオン界面活性剤をスラリーに混合し噴霧乾燥を行う方法) 撹拌装置を有するジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を 60°Cに調整した。これ にァニオン界面活性剤(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、 αォレフインスルホン 酸塩など)、カルシウム捕捉剤(必要に応じて Α型ゼオライト、トリポリリン酸塩、高分子 系カルシウム捕捉剤)、無機塩 (炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩)、非イオン界面活性剤、シ リコーン、およびその他成分 (亜硫酸塩、蛍光剤)を混合した。 20分間撹拌し、水分 3 8%の噴霧乾燥用スラリーを調製した。これを、向流式噴霧乾燥塔にて、熱風温度 2 80°Cの条件で噴霧乾燥し、水分 5 %〜 7 %の噴霧乾燥粒子を得た。
得られた噴霧乾燥粉に A型ゼオライト(組成物中の 3%分)を添加し表面処理を行 つた後、香料を噴霧した。最後に、酵素およびその他の乾式混合成分 (必要に応じ て、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩の一部を混合可能)を混合し洗剤組成物を得た。
[0023] 製法 3 (シリコーン造粒物を調整した後、洗剤粒子と乾式混合する方法)
本発明のシリコーン消泡剤溶液を用レ、、特開 2000— 063887号第 19段落に記載 のシリコーン消泡剤粒子の製造方法に準拠し、シリコーン造粒物を調整した。下記の 製法で得られる噴霧乾燥粉に混合して洗剤組成物とした。
撹拌装置を有するジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を 60°Cに調整した。これ にァニオン界面活性剤(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、 ひォレフインスルホン 酸塩など)、カルシウム捕捉剤(必要に応じて A型ゼオライト、トリポリリン酸塩、高分子 系カルシウム捕捉剤)、無機塩 (炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩)およびその他成分(亜硫 酸塩、蛍光剤)を混合した。 20分間撹拌し、水分 38%の噴霧乾燥用スラリーを調製
した。これを、向流式噴霧乾燥塔にて、熱風温度 280°Cの条件で噴霧乾燥し、水分 5 %〜 7 %の噴霧乾燥粒子を得た。
得られた噴霧乾燥粉に A型ゼオライト(組成物中の 3%分)を添加し表面処理を行 つた後、非イオン界面活性剤と香料を噴霧し、シリコーン造粒物を混合した。最後に 、酵素およびその他の乾式混合成分 (必要に応じて、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩の一 部を混合可能)を混合し洗剤組成物を得た。
[0024] 製法 4 (高嵩密度洗剤での配合方法)
(株)マツボー製のレディゲミキサー FKM— 50Dに、粉体原料として、炭酸ナトリウ ム、 A型ゼオライト、及び硫酸ナトリウムを投入し、主軸回転数
150rpmで 1分間撹拌した。その後造粒機を停止し、粉体が静止した状態で粉体層 の上にアルキルベンゼンスルホン酸水性スラリー(アルキル基の炭素数 8〜: 18、アル キルベンゼンスルホン酸含有量 96%、)を投入後、 20秒静置して該水性スラリーの 一部が粉体層にしみこんだ状態で、下記の条件にて撹拌して中和造粒を行った。
[0025] 中和造粒条件
充填率 30%、軸回転数 150rpm、チョッパー回転数 3000rpm、
Fr数 2. 2、ジャケット入口温度 15°C、ジャケット流量 600リットル/時間、中和造粒時 間 5分間で中和終了後、シリコンおよび高分子ポリマーの液体原料を添加し、同一条 件で 2分間造粒した。得られた高嵩密度洗剤ベースに A型ゼオライト (組成物中の 3 %分)を添加し表面処理を行った後、香料を噴霧した。最後に、酵素およびその他の 乾式混合成分 (必要に応じて、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩の一部を混合可能)を混合 し洗剤組成物を得た。
[0026] 実施例:!〜 7及び比較例 1
下記表 1及び 2に示す製造方法に従って、下記表 1及び 2に示す組成の洗剤組成 物を、各々、製造した。
[0027] シリコーンの粘度の測定方法
シリコーン基材(純分 100。/o) 100gを、 PSNo. 11瓶に充填し、 60°C恒温槽 1時間 浸漬させて一定温度にした後、 B型粘度計 (TOKIMEC製)を用いて、測定温度 60 °C、ローター No. 4、回転数 12rpmで、ローターが 10回転した後に粘度値を測定し
た。
[0028] ドラム式洗濯機での泡立ちの評価方法
シャープ製ドラム式洗濯機 (形式 ES61型)に綿肌シャツ 2kgを入れ、洗剤投入ケー スに、表 1に示す標準使用量 (洗剤組成毎に、設定した洗濯物 2kgあたりの標準使用 量)の前記洗剤組成物を加えた。
標準洗濯コース、温度 60°Cを選択し、洗浄を開始後、前面窓(直径約 250mm)に 取り付けたスケールを用いて、洗浄中に生じた泡の最大の高さを測定した。泡高さの 数値が低ければ、抑泡効果が高いことを意味する。
判定基準
A:泡立ちが 60mm未満(前面窓の約 1/4のレベル)
B:泡立ちが 60mm以上 120mm未満(前面窓の約 1/2未満のレベル) C:泡立ちが 120mm以上 250mm未満(前面窓の全面未満のレベル) D:泡立ちが 250mm以上(前面窓の全面を覆ってレ、るレベル)
なお、 Aおよび Bと判定された組成物について、良好な抑泡効果を有する洗剤組成 物と判定した。
[0029] 保存試験
実施例 1及び実施例 6の洗剤を、市販洗剤容器 (ライオン (株)スーパートップ 1. 2 Kg)に充填し、 50°Cで二週間保管し、熱履歴をかけた後の泡立ちを評価した。その 結果、実施例 1の洗剤の泡立ちは変化していなかった力 実施例 6の洗剤はやや泡 高くなつていた(前記判定基準の Aから Bに変化した)。
[0030] 使用原料
. LAS -H :直鎖アルキル(炭素数 10〜 14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(ライオン( 株)製ライボン LH— 200 (純分 96%) )
. LAS -Na:直鎖アルキル(炭素数 10〜: 14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(ライオン (株)製ライボン LH_ 200 (純分 96%)を 48%水酸化ナトリウム水溶液で中和したも の)
•AOS— Na :炭素数 14〜: 18のアルキル基をもつひ一ォレフインスルホン酸ナトリウ ム (ライオン (株)製)
' 1^£3 :炭素数12〜18のァルキル基をもっひ—スルホ脂肪酸メチルエステルのナト リウム塩 (ライオン (株)製、純分 70%、固形分 72〜73%)
'石鹼:炭素数 12〜: 18のアルキル基をもつ脂肪酸ナトリウム (ライオン (株)製、 C 12 : 0. 9%、 C 18 : 80. 2%、不飽禾口脂肪酸 80. 2%、分子量 289、純分 67〜68%、タイ ター 47. 0。C)
[0031] 'ノニオン A :ライオン化学(株)製商品名 LMAEP _ 15030 (炭素数 12〜14のアル コールに E〇平均 15モル、 PO平均 3モル、ブロック付加)
•ノニオン B:ライオン化学 (株)製商品名 EP5020 (炭素数 12〜: 14のアルコールに E 〇平均 5モル、 PO平均 2モル、ブロック付加)
'シリコン A:東レダウコ一二ング'シリコーン (株)製商品名 Q2— 3302 (粘度 38500 mPa - s/60°C)
•シリコーン B :信越化学 (株)製商品名 KS— 538 (粘度 3500mPa ' s/60°C) •高分子 A :日本触媒 (株)製商品名アクアリック TL500
•高分子 B: BASF (株)製商品名ソカラン CP7
•トリポリリン酸 Na:トリポリリン酸ナトリウム(三井化学製)
•ピロリン酸 Na:ピロリン酸ナトリウム (太平化学産業製)
[0032] *珪酸 Na :JIS 1号珪酸ナトリウム(大阪珪酸曹達社製)
•炭酸 Na :重質炭酸ナトリウム、ソーダ灰 (旭硝子 (株)製)
•炭酸 Ca:軽質炭酸カルシウム(白石工業製)
•亜硫酸 Na:無水亜硫酸ナトリウム (神州化学 (株)製)
•硫酸 Na:中性無水芒硝 K (日本化学 (株)製)
• A型ゼオライト: 4A型ゼオライト、シルトン B (水沢化学 (株)製、純分 80%)
•蛍光斉' JCBS:チノパール CBS—X (チバ 'スペシャルティ ·ケミカルズ社製)
•蛍光剤 AMS:チノパーノレ AMS _ GX (チバ ·スペシャルティ ·ケミカルズ社製) .酵素:サビナーゼ 12TK (粉末状、ノボザィムズ社製)
•香料:特開 2002 _ 146399号公報の表 1 1〜: 18に記載の香料組成物 A
[0035] 表 1及び 2に示す結果より、実施例:!〜 7の洗剤組成物は、 60°Cでの洗浄時におい ても良好な抑泡効果を発揮することができる洗剤組成物であることが示された。一方 、比較例 1の洗剤組成物は、泡立ちが激しぐドラム式洗濯機に適するものではなか つた。
産業上の利用可能性
[0036] 本発明の衣料用粉末洗剤組成物は、高温 (60°C以上)で洗濯を行う場合でも優れ
た抑泡効果を発揮することができ、ドラム式洗濯機に好適な洗剤組成物である。また 、本発明の洗剤組成物の製造方法によれば、高温 (60°C以上)で洗濯を行う場合で も優れた抑泡効果を発揮するドラム式洗濯機に好適な洗剤組成物を、組成物のベタ ツキなどを生じることなぐ安価に製造することができる。