JP4447400B2 - 界面活性剤担持用顆粒群 - Google Patents

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Description

本発明は、界面活性剤担持用顆粒群、該界面活性剤担持用顆粒群を含有する洗剤粒子群及び該洗剤粒子群を含有する洗剤組成物に関する。
1980年代後半の粉末洗剤の高嵩密度化は、そのコンパクトさが輸送ないし持ち運び並びに収納性に大きく寄与するものであったため、現在ではコンパクト洗剤が主流を占めるようになっている。
高嵩密度(コンパクト)洗剤の製造法に関して数多くの検討がなされているが、そのひとつに噴霧乾燥して得られる界面活性剤担持用顆粒群に界面活性剤を担持させるという技術が考案されている。該技術は、皮脂汚れ等の洗浄性に優れる常温で液状の非イオン性界面活性剤を多量に配合しうる点にメリットがある。
しかし、担持能が低い界面活性剤担持用顆粒では、洗浄性能を満足させるに十分な界面活性剤を担持させた際に、界面活性剤のシミだし等が懸念されるし、シミだしを抑制するために表面改質剤を多量に用いることは、コスト面などから好ましくはない。このため、この技術を活用するには、界面活性剤担持用顆粒群の担持能が極めて高いレベルにあることが必要となる。界面活性剤担持用顆粒群の担持能を向上させる技術として、特許文献1及び2には、クラッチャーミックス中に存在する重炭酸ナトリウムの一部が噴霧乾燥中に炭酸ナトリウムに分解して、二酸化炭素を放出することにより、界面活性剤担持用顆粒を膨張させて担持能を向上させる技術が開示されている。
界面活性剤担持用顆粒群の担持能、特に担持容量を向上させる技術に関しては、該プロセスでの生産を行う上で必要不可欠な技術であり、これまでにも数多くの技術が公開されてきた。その一方で、界面活性剤を吸収・担持するスピード(担持速度)に関しては、必ずしも生産上の必須条件ではないこともあって、これまであまり検討されることがなかった。
また、特許文献3には、水溶性ポリマー及び水溶性塩類を含有する溶液又はスラリー中に存在する水溶性塩類の粒子の個数を増大させる処理を施した後に噴霧乾燥することによって、液状界面活性剤組成物の担持能(担持容量/担持力)に優れた界面活性剤担持用顆粒群、該液状界面活性剤組成物の吸収特性(担持速度)に優れた界面活性剤担持用顆粒群の製造方法が開示されている。しかしながら、スラリー中における粒子の個数を増大させて、界面活性剤担持用顆粒群の細孔を細かくした場合には、担持能の向上という点では申し分ないものであるが、担持速度の面では必ずしも有利であるとは言えないことが明らかとなってきた。
特開昭57−159898号公報 特開昭60−262898号公報 国際公開第WO00/077148号パンフレット
しかしながら、前記プロセスにおける律速段階が界面活性剤の担持段階にある場合は、担持速度が上がることによって生産能力の向上が期待できる。
従って本発明は、界面活性剤の一定以上の担持能を有しながら、更に担持速度が高められた界面活性剤担持用顆粒群、及び該界面活性剤担持用顆粒群に界面活性剤を担持させてなる洗剤粒子群を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕スラリーを噴霧乾燥して得られる界面活性剤10重量%以下の界面活性剤担持用顆粒群であって、(A)重量平均分子量が1000〜100000であるアミノカルボン酸系のポリマーを2〜30重量部、(B)水溶性塩類を20〜90重量%含有する界面活性剤担持用顆粒群、
〔2〕 前記〔1〕記載の界面活性剤担持用顆粒群100重量部に対し、界面活性剤が1〜100重量部担持されてなる洗剤粒子群であって、平均粒径150〜750μm、嵩密度500g/L以上の洗剤粒子群、並びに
〔3〕 前記〔2〕記載の洗剤粒子群とその他の洗剤成分を含む洗剤組成物
に関する。
本発明の界面活性剤担持用顆粒群を使用することにより、短時間でも流動性、耐ケーキング性に優れる洗剤粒子群を製造することができるという効果が奏される。
本発明において、界面活性剤担持用顆粒とは、スラリーを噴霧乾燥して得られる界面活性剤含有量は10重量%以下であり、必須成分として(A)重量平均分子量が1000〜100000であるアミノカルボン酸系のポリマーを2〜30重量部、(B)水溶性塩類を20〜90重量%含有する顆粒であって、界面活性剤を素早く吸収・担持する顆粒であり、その集合体を担持用顆粒群(以下、担持用顆粒群)という。本発明において重要な点は、各種の水溶性ポリマーの中でも特に(A)重量平均分子量が1000〜100000であるアミノカルボン酸系のポリマーを含有することである。水不溶性物質は、洗浄性能や粒子強度及び界面活性剤担持用顆粒内部の構造が界面活性剤を担持しやすいものとする観点から、含有する方が好ましい。
また、本発明における洗剤粒子とは、界面活性剤及びビルダー等を含有してなる粒子であり、洗剤粒子群とはその集合体を意味する。そして洗剤組成物は、洗剤粒子群を含有し、さらに洗剤粒子群以外に別途添加された洗剤成分(例えば、蛍光染料、酵素、香料、消泡剤、漂白剤、漂白活性化剤等)を含有する組成物を意味する。
担持用顆粒群の担持能は、顆粒内部の細孔容量が多ければ多いほど多量の界面活性剤を吸収することが可能となるし、細孔径が小さくなればなるほど吸収した界面活性剤をより強く保持することが知られている。しかしながら一方で、細孔径があまりにも小さくなった場合、顆粒の表面状態が緻密になり界面活性剤を吸収する孔が少なく、界面活性剤が吸収されにくいため細孔容量の一部が使用されないという問題点を有している。特に、生産性の観点から担持速度を考慮した場合、この問題は顕著になる。
そこで、本発明者らは、重量平均分子量が1000〜100000のアミノカルボン酸系のポリマーを含有するスラリーを噴霧乾燥することによって、驚くべきことに高い担持速度を発現するのに適度な細孔径、中でも0.05〜1μmの細孔径を有する担持用顆粒群が得られることを見出した。
本発明におけるアミノカルボン酸系のポリマーとは、モノマー単位がアミノカルボン酸又はその塩であるポリマーのことをいう。ここで、アミノカルボン酸としては、アスパラギン酸やグルタミン酸等を挙げることができる。製法に関しては、特に限定はなく、アミノカルボン酸から誘導されても良いし、ポリアミン、ポリカルボン酸から誘導されるポリアミドやポリイミドに関しても最終的にアミノカルボン酸をモノマー構造に含んでいれば良い。
また、同じ種類のアミノカルボン酸であっても、用いる製法により、異なるポリマーが得られる。例えば、アスパラギン酸の場合、ポリ−α−アスパラギン酸塩、ポリ−β−アスパラギン酸塩又はα−とβ−の両者を含むポリアスパラギン酸塩のいずれであってもよい。
本発明に用いられるアミノカルボン酸系のポリマーのハンター白色度は、洗剤用途としての外観及び洗浄力の観点から50%以上、好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。尚、該ポリマーのハンター白色度の測定は、ハンター式測色色差計により、L(明度)、a・b(色相・彩度)を測定し、次式により求めることができる。
W(白色度)=100−〔(100−L)2+(a2+b2)〕1/2
本発明に用いられるアミノカルボン酸系のポリマーの重量平均分子量は、界面活性剤担持用顆粒に好適な強度を与えるという観点から、1000以上、好ましくは2000以上、更に好ましくは3000以上、特の好ましくは4000以上、最も好ましくは5000以上であり、分散能及び再汚染防止能の観点から、100000以下、好ましくは50000以下、更に好ましくは40000以下、特に好ましくは30000以下、最も好ましくは20000以下である。
本発明に用いられるアミノカルボン酸系のポリマーの重量平均分子量は1000〜100000であり、2000〜50000が好ましく、4000〜25000がより好ましく、5000〜20000が更に好ましい。
なお、前記ポリマーの重量平均分子量の測定は、
1.換算標準物質:ポリアクリル酸(AMERICAN STANDARDS CORP)
2.溶離液:0.2mol/Lリン酸バッファー/CH3CN:9/1(容量比)
3.カラム:PWXL+G4000PWXL +G2500PWXL (東ソー(株)製)
4.検出器:RI
5.試料濃度:5mg/mL
6.注入量:0.1mL
7.測定温度:40℃
8.流速:1.0mL/min
で行なう。
上記アミノカルボン酸系ポリマーの中でも、特にポリアスパラギン酸塩が好ましく、金属イオン封鎖能、分散能及び再汚染防止能の観点からポリアスパラギン酸ナトリウムが最も好ましい。
ポリアスパラギン酸塩として好適なものは、例えばBayer Chemicals製の「Baypure DS100」やDonlar Corporation製の「Donlar A−2C」、「A−3C」、「B−3D」、「A−5D」、「C−10D」、「C−20D」、「C−30D」、「C−50D」、「ALC−70」、「ALC−130」が挙げられる。なお、かぎ括弧内の用語は、商品名を示す(以下、同じ)。尚、アンモニアを原料として合成されるポリアスパラギン酸塩の場合は、洗浄力及び色相の観点から、脱色処理等を施した後に使用することが望ましい。
アミノカルボン酸系ポリマーの担持用顆粒群中の含有量は2〜30重量%であり、4〜26重量%が好ましく、5〜24重量%がより好ましく、6〜22重量%が更に好ましく、7〜20重量%が最も好ましい。この範囲であると、担持用顆粒群の担持能に加えて粒子強度も十分高いものとなる。
またカルシウム捕捉能、分散能の観点から、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸ナトリウム等のアミノカルボン酸系以外の水溶性のポリマー、を併用しても良い。
本発明の担持用顆粒群は、前記(A)成分に加えて、(B)水溶性塩類を含有する。水溶性塩類としては以下のものが好ましい。水溶性塩類とは、炭酸、硫酸、炭酸水素、亜硫酸、硫酸水素、リン酸等の水溶性の無機塩(例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、又はアミン塩)を挙げることができる。又、塩化物、臭化物、沃化物、弗化物等のハロゲン化アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩)及びアルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩又はマグネシウム塩)等が挙げられる。
これらの中で、炭酸塩、硫酸塩及び亜硫酸塩が好ましい。炭酸塩は洗濯液中で好適なpH緩衝領域を示すアルカリ剤として好ましく、硫酸塩、亜硫酸塩等の解離度の高い塩類は、洗濯液のイオン強度を高め、皮脂汚れ洗浄等に好適に作用する。また、亜硫酸塩は、水道水中に含有されている次亜塩素酸イオンを還元し、酵素や香料等の洗剤成分の次亜塩素酸イオンによる酸化劣化を防止する効果を有する。
トリポリリン酸ナトリウムも水溶性塩類として使用できる。
これらの水溶性塩類は単独成分からなっていても、炭酸塩と硫酸塩等の複数成分を併用しても良い。
また、水溶性塩類は、アミノカルボン酸系のポリマーの存在下で析出した場合に結晶の形態を変えることから、担持用顆粒群の担持能向上に重要な役割を果たす。中でも担持用顆粒群の担持サイトを形成する基剤としては、炭酸塩及び/又は硫酸塩がより好ましく、中でも炭酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムの組み合わせが好ましい。特に、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウムと硫酸ナトリウムの複塩であるバーケアイトは、担持用顆粒の担持サイトを形成させる基剤として好ましい。
この場合、担持用顆粒群の担持能及び洗剤組成物とした時の洗浄性能を両立させる観点から、スラリーにおける(炭酸ナトリウム):(硫酸ナトリウム)の好ましい重量比率は、1:0〜1:5であり、より好ましくは1:0〜1:4であり、更に好ましくは1:0〜1:3であり、中でも好ましくは1:0〜1:2であり、最も好ましくは10:1〜1:1である
又、担持用顆粒群の顆粒強度と洗剤組成物とした時の洗浄性能を両立させる観点から、スラリーでの(炭酸ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウム):(アミノカルボン酸系のポリマー)の好ましい重量比率は、19:1〜1:1であり、より好ましくは15:1〜1.5:1であり、更に好ましくは10:1〜2:1であり、最も好ましくは8:1〜2.5:1である。
また、塩化ナトリウム等のハロゲン化アルカリ金属塩は、炭酸ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウムを含有するスラリーに対して添加した場合に、自身は溶解して代わりに炭酸ナトリウム又は硫酸ナトリウム又は両者の複塩の微細な結晶を析出させる効果を有することから担持用顆粒群の担持サイトの形成に有効に作用する。更に、これらのハロゲン化アルカリ金属塩は、乾燥過程における表面被膜の形成を部分的に抑制する作用も兼ね備えており、担持用顆粒群の液状組成物の担持速度を高める作用も有していることから特に重要である。したがって、水溶性塩類は、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
また、低分子量の水溶性有機酸塩類も水溶性塩類として使用することができ、例えば、クエン酸塩、フマル酸塩等のカルボン酸塩が挙げられる。又、洗浄力の点から、メチルイミノジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩、エチレンジアミンジコハク酸塩、タウリンジ酢酸塩、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、グルタミン酸ジ酢酸塩、アスパラギンジ酢酸塩、セリンジ酢酸塩等が好ましいものとして挙げられる。
水溶性塩類の担持用顆粒群中の含有量は、20〜90重量%が好ましく、30〜80重量%がより好ましく、40〜70重量%が最も好ましい。これらの範囲内であれば、担持用顆粒は顆粒強度が十分高いものとなり、又、洗剤粒子群の溶解性の点でも好ましい。
その他の成分として担持用顆粒群には、界面活性剤の配合も可能であるが、界面活性剤を含有してなるスラリーを噴霧乾燥して担持用顆粒群を製造する場合、得られる担持用顆粒の表面に被膜が形成される傾向があるため、結果として担持用顆粒群の液状界面活性剤組成物に対する吸収速度が低下する傾向があるのみならず、陥没孔(担持用顆粒群にしばしば生じる表面と顆粒内部の中空部分とを貫通する陥没状の孔)の形成が阻害される。したがって、かかる観点からは、担持用顆粒群中の界面活性剤含有量はより少ない方が好ましく、むしろ界面活性剤を存在させない方が好ましい。以上のことから、界面活性剤の担持用顆粒群中の含有量は10重量%以下であり、0〜5重量%が好ましく、0〜3重量%がより好ましく、0〜1重量%がさらに好ましく、含有しないことが最も好ましい。
界面活性剤の例としては、後述の担持用顆粒群に担持させる液状界面活性剤組成物と同じものを用いることができる。
又、担持用顆粒群中には、蛍光染料、顔料、染料、酵素等の補助成分を含むことができる。該補助成分の含有量は担持用顆粒群中の10重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下である。
また、担持用顆粒群の細孔径としては、高い担持速度を発現する観点から、0.05〜1μmが好ましく、0.2〜1μmがより好ましく、0.4〜1μmが更に好ましい。
なお、該細孔径は、後述する実施例の水銀ポロシメーターの測定方法に記載の方法にしたがって測定することができる。
本発明の担持用顆粒群は、カルシウム捕捉能及び顆粒の粒子強度向上の観点から、結晶性アルミノ珪酸塩を含有することが好ましい。結晶性アルミノ珪酸塩として好適なものは、A型ゼオライト(例えば、「トヨビルダー」;東ソー(株)製、「合成ゼオライト」;日本ビルダー(株)製、「VALFOR100」;PQ CHEMICALS(Thailand)Ltd、「ZEOBUILDER」;ZEOBUILDER Ltd、「VEGOBOND A」;OMAN CHEMICAL INDUSTRIES Ltd、「Zeolite」;THAI SILICATE CHEMICALS Ltd)であり、金属イオン封鎖能及び経済性の点でも好ましい。ここで、A型ゼオライトの、JIS K 5101法による担持能の値は40〜50mL/100gであることが好ましい。その他、P型(例えば「Doucil A24」や「ZSE064」等;Crosfild社製;担持能60〜150mL/100g)やX型(例えば「WessalithXD」;Degussa社製;担持能80〜100mL/100g)が挙げられる。国際公開第98/42622号記載のハイブリッドゼオライトも好適な結晶性アルミノ珪酸塩として挙げられる。
また、担持用顆粒群は、金属イオン封鎖能は低いが、高い担持能を有する非晶質アルミノ珪酸塩や非晶質シリカ等を含有しても良い。例えば特開昭62−191417号公報第2頁右下欄第19行〜第5頁左上欄第17行(特に初期温度は15〜60℃の範囲が好ましい。)、特開昭62−191419号公報第2頁右下欄第20行〜第5頁左下欄第11行(特に吸油量は170mL/100gが好ましい。)に記載の非晶質アルミノ珪酸塩や、特開平9−132794号公報第17欄第46行〜第18欄第38行、特開平7−10526号公報第3欄第3行〜第5欄第9行、特開平6−227811号公報第2欄第15行〜第5欄第2行、特開平8−119622号公報第2欄第18行〜第3欄第47行に記載されている非晶質アルミノ珪酸塩(担持能285mL/100g)等を挙げることが出来る。例えば、「トクシールNR」(徳山ソーダ(株)社製:担持能210〜270mL/100g)、「フローライト」(同:担持能400〜600mL/100g)、「TIXOLEX25」(韓仏化学社製:担持能220〜270mL/100g)、「サイロピュア」(富士ディビソン(株)社製:担持能240〜280mL/100g)等の吸油担体を用いることが出来る。特に吸油担体としては特開平6−179899号公報第12欄第12行〜第13欄第1行、第17欄第34行〜第19欄第17行に記載のものが好適である。
尚、非晶質珪酸塩は、担持用顆粒群の顆粒強度を高める作用を有するが、担持用顆粒群にアルミノ珪酸塩を使用した場合、非晶質珪酸塩が担持用顆粒群を作製するためのスラリーに配合されていると経時的に水に難溶化する凝集塊を形成することから、本発明の担持用顆粒群に含有する場合は注意すべきである。又、結晶性珪酸塩もスラリーに溶解して非晶質化することから非晶質珪酸塩と同様にスラリーに配合する場合には注意を要する。又、アルミノ珪酸塩を使用しない場合においても該珪酸塩をスラリーに配合すると噴霧乾燥後に得られる担持用顆粒群の溶解速度が低下する傾向を示すことから、スラリーに含有される珪酸塩は、スラリーに含有される珪酸塩を除く水溶性塩類に対して3重量%以下とするのが好ましく、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下、最も好ましくは実質的に含まないことである。
本発明の担持用顆粒群は、アミノカルボン酸系ポリマー及び水溶性塩類を含有するスラリーを調製する工程(a)、上記スラリーを乾燥して担持用顆粒群を調製する工程(b)により製造することができる。また洗剤粒子群は、上記担持用顆粒群に界面活性剤を添加して担持させる工程(c)により製造することができる。更に、工程(c)の後に表面改質する工程を加えることが好ましい。以下、各工程について詳細に記述する。
<工程(a)>
工程(a)で用いるスラリーは、ポンプ送液が可能で非硬化性のスラリーであればよい。本発明において必須成分は、前記アミノカルボン酸系のポリマーと前記水溶性塩類であるが、洗浄性能の面からゼオライトのような水不溶性物質を含有してもよい。
水溶性塩類の溶解性に優れ、とけ残りが生じにくいという観点から、スラリー温度は、好ましくは30〜80℃であり、より好ましくは35〜65℃である。
またスラリー水分は、水溶性塩類の溶解性に優れ、ポンプ送液性にも優れる観点及び生産性にも優れる観点から、一般に好ましくは30〜70重量%、より好ましくは35〜60重量%、最も好ましくは40〜55重量%である。
スラリー形成方法として、成分の添加方法、順序については、状況に応じて適宜可変である。例えば、最初に水の全て又は殆ど全てを混合槽に加え、好ましくは水温が設定温度にほぼ到達した後に、他の成分を逐次又は同時に添加する。通常の添加順序としては、最初に界面活性剤、アミノカルボン酸系のポリマー等の液状成分を添加し、その後に、ソーダ灰等の水溶性の粉体原料を添加する。また、染料等の少量の補助成分も添加する。最後にゼオライト等の水不溶性物質などの水不溶性の成分を添加する。その際に、混合効率を向上させる目的で、水不溶性の成分を2回以上に分割して添加してもよい。また、粉体原料を予め混合後に水性媒体中に添加してもよい。また、全成分添加後に、粘度やスラリー水分調整のために水を添加してもよい。例えば、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム及び塩化ナトリウムを使用する場合、これらの配合順序としては、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウムの順に加えると担持能をより向上させることができる。これは、塩化ナトリウムが硫酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの飽和溶液に溶け込みバーカイト(硫酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの複塩)の微細結晶を析出させ、界面活性剤担持用顆粒内部の吸油サイトを増大させるという性質を有するからである。最終的に均質なスラリーを得るために、スラリー中に全成分を添加した後に、好ましくは10分以上、さらに好ましくは30分以上混合する。
<工程(b)>
スラリーの乾燥方法としては、粒子形状が実質的に球状となる噴霧乾燥が特に好ましい。噴霧乾燥塔としては、熱効率や、担持用顆粒群の粒子強度が向上することから向流塔がより好ましい。スラリーの微粒化装置としては圧力噴霧ノズル、2流体噴霧ノズル、回転円盤式のいずれの形態でも構わないが、所望の平均粒径を得るために、圧力噴霧ノズルが特に好ましい。
乾燥塔に供給されるガスの温度は、高ければ高いほど好ましいが、生産性、製造し易さの点や安全性の面も考慮し、好ましくは240〜420℃、より好ましくは260〜380℃、特に好ましくは270〜340℃である。また、乾燥塔より排出されるガスの温度は乾燥塔の熱効率の点で、好ましくは85〜130℃、より好ましくは85〜125℃、特に好ましくは85〜120℃である。又、噴霧乾燥後の担持用顆粒群を気流乾燥器、流動層乾燥器、回転乾燥器などによって更に乾燥して製造しても良い。
以上のようにして得られる担持用顆粒群の平均粒径は、好ましくは200〜400μm、より好ましくは250〜350μmである。また、その嵩密度は好ましくは400〜600g/L、より好ましくは450〜550g/Lである。
また、顆粒強度は、好ましくは20〜50MPa、より好ましくは25〜45MPaである。なお、平均粒径、嵩密度及び顆粒強度の測定方法は、後述の実施例に記載の方法が挙げられる。
<工程(c)>
本発明に用いられる担持用顆粒群に担持させる界面活性剤の量は、洗浄力を発揮させる点から、担持用顆粒群100重量部に対して1〜100重量部であり、5〜80重量部が好ましく、5〜60重量部がより好ましく、10〜60重量部がさらに好ましく、20〜60重量部が特に好ましい。ここで、陰イオン性界面活性剤の担持量は1〜60重量部が好ましく、1〜50重量部がより好ましく、3〜40重量部が特に好ましい。非イオン性界面活性剤の担持量は1〜45重量部が好ましく、1〜35重量部がより好ましく、4〜25重量部が好ましい。非イオン性界面活性剤は単独で用いることもできるが、好ましくは、陰イオン性界面活性剤と混合して用いるのが良い。また、両性界面活性剤や陽イオン性界面活性剤を目的に合わせ併用することも出来る。ここでいう界面活性剤の担持量とは、工程(a)でのスラリー調製時に界面活性剤が添加される場合、その界面活性剤の添加量を含まないものである。
担持用顆粒群への界面活性剤の担持方法は、例えば、回分式や連続式の公知の混合機を用いることができる。また、回分式で行う場合は、混合機への仕込み方法は、(1)混合機に先ず担持用顆粒群を仕込んだ後、界面活性剤を添加する、(2)混合機に担持用顆粒群と、界面活性剤を少量ずつ仕込む、(3)担持用顆粒群の一部を混合機に仕込んだ後、残りの担持用顆粒群と界面活性剤とを少量ずつ仕込む等の方法をとることができる。尚、(1)〜(3)の方法は、混合機を運転させながら行う。
これらの方法の中で、特に上記(1)が好ましい。また、界面活性剤は液体状態で添加することが好ましく、さらに液体状態の界面活性剤を噴霧して供給することが好ましい。
界面活性剤の中で、実用上の温度範囲内において昇温しても固体あるいはペースト状で存在するものについては、これらを予め粘性の低い例えば非イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤水溶液又は水中に分散又は溶解させて界面活性剤の混合液又は水溶液を調製し、該混合液又は水溶液の形態で担持用顆粒群に添加することができる。この方法により、固体あるいはペースト状で存在する界面活性剤をも容易に担持用顆粒群に添加することができ、更に単核性洗剤粒子を含有する洗剤粒子群の製造に有利である。粘性の低い界面活性剤又は水と固体あるいはペースト状の界面活性剤の混合比率は、得られる混合液又は水溶液が噴霧可能である粘度範囲であれば好ましく、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテルとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであれば、両者の比を1:1.4〜1.4:1の範囲で調整することで、容易に噴霧可能な界面活性剤混合液を得ることができる。
上記混合液の製法は、例えば、粘性の低い界面活性剤又は水に固体あるいはペースト状の界面活性剤を投入して混合する方法や、粘性の低い界面活性剤中又は水中で界面活性剤の酸前駆体をアルカリ剤(例えば苛性ソーダ水溶液や苛性カリ水溶液)で中和することにより界面活性剤混合液を調製してもよい。
本発明で用いることのできる陰イオン性界面活性剤の酸前駆体としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸、アルキル又はアルケニル硫酸、α−オレフィンスルホン酸、α−スルホン化脂肪酸、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸、脂肪酸等が挙げられる。特に脂肪酸を界面活性剤の添加後に添加することが洗剤粒子群の流動性向上の観点より好ましい。
陰イオン性界面活性剤の酸前駆体の使用量としては、担持用顆粒群100重量部に対して0.5〜30重量部が好ましく、1〜20重量部がさらに好ましい。陰イオン性界面活性剤の酸前駆体の使用量はこの範囲において、洗剤粒子群中の粒子の単核性が維持される傾向にあり、従って良好な高速溶解性を呈する。また、陰イオン性界面活性剤の酸前駆体の添加方法としては、常温で液体のものは噴霧して供給することが好ましく、常温で固体のものは粉末として添加してもよく、溶融させた後噴霧して供給してもよい。ただし、粉末で添加する場合は、粉末が溶融する温度まで混合機中の洗剤粒子群の温度を昇温するのが好ましい。
工程(c)で好ましく用いられる装置としては、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)、レディゲミキサー(松坂技研(株)製)、プロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製)等が挙げられる。
好ましい混合機としては、単核性洗剤粒子を多く含有する洗剤粒子群を製造する観点から界面活性剤担持用顆粒に強い剪断力がかかりにくい(界面活性剤担持用顆粒を崩壊させにくい)装置であり、界面活性剤の分散効率の観点から混合効率のよい装置が好ましい。上記の混合機の中で特に好ましくは、横型の混合槽で円筒の中心に攪拌軸を有し、この軸に攪拌羽根を取り付けて粉末の混合を行う形式のミキサー(横型混合機)でレディゲミキサー、プロシェアミキサー等がある。
また、上記混合機の連続型装置を用いて担持用顆粒群に界面活性剤を担持させてもよい。また、上記以外の混合機で連続型の装置としては、例えばフレキソミックス型((株)パウレック製)、タービュライザー(ホソカワミクロン(株)製)等がある。
また、この工程において、非イオン性界面活性剤が使用される場合、この界面活性剤の融点上昇剤となる融点45〜100℃、分子量1000〜30000の水溶性非イオン性有機化合物(以下、融点上昇剤という)又はこの水溶液を界面活性剤の添加前、界面活性剤の添加と同時、界面活性剤の添加途中、又は界面活性剤添加後、あるいは界面活性剤に予め混合して添加することも可能である。融点上昇剤を添加することで、耐ケーキング性、洗剤粒子群中の界面活性剤のシミ出し性を抑制することができる。本発明で用いることのできる融点上昇剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プルロニック型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
融点上昇剤の使用量は、担持用顆粒群100重量部に対して0.5〜5重量部が好ましく、0.5〜3重量部が好ましい。この範囲が、洗剤粒子群に含有される洗剤粒子の単核性の維持、高速溶解性、及びシミ出し性やケーキング性の抑制の点から好ましい。融点上昇剤の添加方法として、予め界面活性剤と任意の方法で混合して添加すること、又は界面活性剤の添加後に融点上昇剤を添加することが洗剤粒子群のシミ出し性やケーキング性の抑制に有利である。
混合機内の温度は、界面活性剤の融点以上に昇温して混合を行えば、より好ましい。ここで、昇温させる温度としては、界面活性剤の担持を促進させるために添加する界面活性剤の融点より高ければよいが、実用的な範囲を挙げると融点を越えて融点より50℃高い温度までが好ましく、融点より10℃〜30℃高い温度がより好ましい。また、この工程で陰イオン性界面活性剤の酸前駆体を添加する場合は、当該陰イオン性界面活性剤の酸前駆体が反応できる温度に昇温して混合を行えばより好ましい。
好適な洗剤粒子群を得るための回分式の混合時間、及び連続式の混合における平均滞留時間は、1〜20分間が好ましく、2〜10分間が更に好ましい。
また、界面活性剤の水溶液や水溶性非イオン性有機化合物水溶液を添加した場合には余剰の水分を混合中及び/又は混合後に乾燥する工程を有してもよい。
界面活性剤の添加前、界面活性剤の添加と同時、界面活性剤の添加途中、又は界面活性剤添加後に粉末の界面活性剤及び/又は粉末ビルダーを添加することも可能である。粉末ビルダーを添加することで、洗剤粒子群の粒子径をコントロールすることができ、また洗浄力の向上を図ることができる。特に陰イオン性界面活性剤の酸前駆体を添加する場合は該酸前駆体を添加する前にアルカリ性を呈する粉末ビルダーを添加することが中和反応を促進する観点から有効である。尚、ここで言う粉末ビルダーとは、界面活性剤以外の粉末の洗浄力強化剤を意味し、具体的には、ゼオライト、クエン酸塩等の金属イオン封鎖能を示す基剤や、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ能を示す基剤、結晶性珪酸塩等の金属イオン封鎖能・アルカリ能いずれも有する基剤、その他硫酸ナトリウム等のイオン強度を高める基剤等を指す。
また、特開平5−279013号公報第3欄第17行〜第6欄第24行(特に、500〜1000℃で焼成して結晶化させたものが好ましい。)、特開平7−89712号公報第2欄第45行〜第9欄第34行、特開昭60−227895号公報第2頁右下欄第18行〜第4頁右上欄第3行(特に第2表の珪酸塩が好ましい。)に記載の結晶性珪酸塩を粉末ビルダーとして用いることができる。ここで、アルカリ金属珪酸塩のSiO2 /M2 O(但しMはアルカリ金属を表す。)が0.5〜3.2好ましくは1.5〜2.6のものが好適に用いられる。
当該粉末ビルダーの使用量としては、担持用顆粒群100重量部に対して0.5〜12重量部が好ましく、1〜6重量部がさらに好ましい。当該洗剤用粉末ビルダーの使用量はこの範囲において、洗剤粒子群に含有される洗剤粒子の単核性を維持し、良好な高速溶解性を得られ、また、粒子径のコントロールも好適である。
表面改質工程
本発明においては、工程(c)により界面活性剤を担持させた洗剤粒子群の粒子表面を改質するために、添加時の形態として以下の(1)微粉体、(2)液状物のような種々の表面被覆剤を添加する表面改質工程を一工程あるいは二工程重複して行ってもよい。
本発明の洗剤粒子群の粒子表面を被覆すると、洗剤粒子群の流動性と非ケーキング性が向上する傾向があるため、表面改質工程は好ましい。表面改質工程で使用される装置は特に限定されず、公知の混合機を用いることができるが、前述の工程(c)で例示した混合機が好ましい。以下に表面被覆剤についてそれぞれ説明する。
一次粒子の平均粒径が10μm以下であることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。平均粒径がこの範囲において、洗剤粒子群の粒子表面の被覆率が向上し、洗剤粒子群の流動性と耐ケーキング性の向上の観点から好適である。当該微粉体の平均粒径は、光散乱を利用した方法、例えばパーティクルアナライザー(堀場製作所(株)製)、又は顕微鏡観察による測定等で測定される。また、該微粉体が高いイオン交換能や高いアルカリ能を有していることが洗浄面から好ましい。
該微粉体としては、アルミノ珪酸塩が望ましく、結晶性、非晶質の何れでも構わない。アルミノ珪酸塩以外では、硫酸ナトリウム、珪酸カルシウム、二酸化珪素、ベントナイト、タルク、クレイ、非晶質シリカ誘導体、結晶性シリケート化合物等のシリケート化合物のような微粉体も好ましい。また、一次粒子が0.1〜10μmの金属石鹸、粉末の界面活性剤(例えばアルキル硫酸塩等)や水溶性有機塩も同様に用いることができる。結晶性シリケート化合物を用いる場合、吸湿や吸炭酸ガスによる結晶性シリケートの凝集等による劣化を防ぐ目的から、結晶性シリケート化合物以外の微粉体と混合して用いることが好ましい。
微粉体の使用量としては、洗剤粒子群100重量部に対して0.5〜40重量部が好ましく、1〜30重量部がより好ましく、2〜20重量部が特に好ましい。当該微粉体の使用量はこの範囲において、流動性が向上し、消費者に良好な使用感を与える。
本発明の担持用顆粒群は、高嵩密度粒状洗剤組成物の原料として好適に利用することができる。洗剤組成物を製造する際に、工程(c)を行わずに工程(b)で得られた担持用顆粒群を界面活性剤とともに混合し、圧密化・造粒処理を行ってもよく、特に工程(c)のような界面活性剤を含浸させる方法に限定されるものではない。
前記のようにして得られる洗剤粒子群の平均粒径は150〜750μm、好ましくは200〜550μm、より好ましくは250〜350μmであり、且つその嵩密度が500g/L以上、好ましくは600〜1000g/L、より好ましくは700〜900g/Lである。なお、平均粒径と嵩密度の測定方法は、後述の実施例に記載の方法が挙げられる。
洗剤組成物
洗剤組成物の製法は、特に限定はなく、例えば、前記洗剤粒子群及び別途添加された洗剤成分を混合する方法が挙げられる。このようにして得られた洗剤組成物は、界面活性剤の担持容量の多い洗剤粒子を含有しているため、少量でも十分な洗浄効果を発現しうるものである。かかる洗剤組成物の用途としては粉末洗剤を用いる用途であれば特に限定はないが、例えば、衣料用粉末洗剤、自動食器用洗剤等が挙げられる。
該洗剤粒子群以外に別途添加された洗剤成分としては、例えば、ビルダー顆粒、蛍光染料、酵素、香料、消泡剤、漂白剤、漂白活性化剤等が好ましい。
洗剤組成物中の洗剤粒子群の含有量は、洗浄力の点から50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上、100重量%以下が特に好ましい。
洗剤粒子群以外の洗剤成分の洗剤組成物中における含有量は、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、20重量%以下が特に好ましい。
本発明において、実施例及び比較例において、得られた担持用顆粒群の物性は以下の試験方法により評価した。
(担持容量:非イオン界面活性剤滴下法):内部に攪拌翼を備えた内径5cm×15cmの円筒型混合槽に担持用顆粒群100gを入れ、350r/mで攪拌しながら30℃でポリオキシエチレンアルキルエーテル(C12/C14=6/4、EO=7.7、融点=25℃)を10mL/minの速度で滴下し、攪拌動力の経時変化を測定する。攪拌動力が最も高くなった時のポリオキシエチレンアルキルエーテルの投入量を担持用顆粒群の重量(100g)で除した値を該担持用顆粒群の担持容量(mL/g)とする。
(担持速度:非イオン界面活性剤滴下法):前記担持容量測定で得られた値をAとする。続いてポリオキシエチレンアルキルエーテルの投入速度を20mL/minに変更する以外は、担持容量測定と全く同じ方法で投入量を担持用顆粒群の重量で除した値Bを求める。担持速度Kaは、Ka=B/Aとし、値が1に近いほど担持速度は速い。
(水分):JIS K 0068により規定された方法で測定する。
(嵩密度):JIS K 3362により規定された方法で測定する。
(平均粒径):JIS Z 8801の標準篩(目開き2000〜125μm)を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率からメジアン径を算出する。
(顆粒強度):内径3cm×高さ8cmの円柱状の容器に試料20gを入れ、30回タッピング(筒井理化学器械(株)、TVP1型タッピング式密充填カサ密度測定器、タッピング条件;周期36回/分、60mmの高さから自由落下)を行い、その時の試料高さ(初期試料高さ)を測定する。その後、加圧試験機にて該容器内に保持した試料の上端面全体を10mm/minの速度で加圧し、荷重−変位曲線を求める。変位率が5%以下での直線部における傾きに初期試料高さをかけ、加圧面積で除した値を顆粒強度とする。
(水銀ポロシメーター):担持用顆粒群の孔径0.015〜0.5μm及び孔径0.5〜2μmの容積の測定は、島津製作所(株)製、「SHIMADZU製ポアサイザ9320」を用い、その取扱説明書に基づいて以下のように行う。即ち、200mgの孔径が制御された担持用顆粒群をセル容積5.0075mL、ステム容積0.38mLのセルに入れ、圧入する水銀を低圧部(0〜14.2psia)と高圧部(14.2〜30000psia)に分け測定する。前後5個ずつのデータの移動平均をとって測定データの平滑化を行い、モード径及び細孔容積を求める。
(流動性): 流動時間は、JIS K 3362により規定された嵩密度測定用のホッパーから、100mLの粉末が流出するのに要する時間とする。
(シミ出し性):JIS P 3801に規定される2種型ろ紙(例えば、東洋濾紙(株)製「定性No2濾紙」)を用いた縦×横×高さ=10cm×6cm×4cmの上面が開口した容器を作る。該容器の底面のサンプル充填面に油性マーカー(内田洋行(株)製「マジックインキM700−T1」)を用い対角線方向に線幅0.5〜1.0mmの線を引く。該容器に試料100gを充填し、その上にアクリル樹脂板と鉛板(又は鉄板)の合計重量15g+250gをのせる。これを防湿容器に入れ、温度30℃恒温器中に放置し、7日後に油性マーカーのにじみ具合を目視判定することにより、シミ出し性を判定した。判定基準は以下の通り。
ランク5:油性マーカーのにじみ幅が2mm以上
ランク4:油性マーカーのにじみ幅が1mm以上
ランク3:油性マーカーのにじみ幅が0.5mm以上
ランク2:油性マーカーのにじみがわずかに認められる
ランク1:油性マーカーのにじみが認められない。
本実施例においては、特に記載のない限り下記の原料を用いた。
硫酸ナトリウム:「無水中性芒硝」(四国化成(株)製)
亜硫酸ナトリウム:「亜硫酸ソーダ」(三井化学(株)製)
蛍光染料:「チノパールCBS−X」(チバスペシャリティケミカルス社製)
炭酸ナトリウム:「デンス灰」(平均粒径:290μm、セントラル硝子(株)製)
ポリアスパラギン酸ナトリウム水溶液:特開平8−59821号公報記載の実施例1記載の方法に準拠して得たもの。重量平均分子量1万5000
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液:花王(株)製、重量平均分子量1万
塩化ナトリウム:「焼き塩S」(日本製塩(株)製)
結晶性アルミノ珪酸ナトリウム(ゼオライト):「トヨビルダー」(4A型、平均粒径:3.5μm)、東ソー製)
ポリオキシエチレンアルキルエーテル:「エマルゲン108KM」(エチレンオキサイド平均付加モル数:8.5、アルキル鎖の炭素数:12〜14、花王(株)製)
ポリエチレングリコール:「K−PEG6000」(重量平均分子量:8500、花王(株)製)
無定形アルミノ珪酸塩:特開平9−132794号公報記載の調製例2を平均粒径8μmに粉砕したもの
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム:ネオペレックスGS(アルキルベンゼンスルホン酸未中和物、花王(株)製)を48%水酸化ナトリウムで中和して使用。
実施例
混合槽に水510重量部を入れ、水温が45℃に達した後に、硫酸ナトリウム126重量部、亜硫酸ナトリウム4.8重量部、蛍光染料1.2重量部を添加して10分間攪拌した。炭酸ナトリウム126重量部を添加し、40重量%ポリアスパラギン酸ナトリウム水溶液150重量部を添加し10分間攪拌し、塩化ナトリウム42重量部と、更にゼオライト240重量部を添加し、15分間攪拌して均質なスラリーを得た(スラリー水分50重量%)。このスラリーの最終温度は50℃であった。
スラリーをポンプで噴霧乾燥塔(向流式)に供給し、塔頂付近に設置した圧力噴霧ノズルから噴霧圧2.5MPaで噴霧を行った。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が285℃で供給され、塔頂より98℃で排出された。得られた担持用顆粒群1の水分は、0.4%であった。担持用顆粒群1を用いて次に示す方法で洗剤粒子群1A及び1Bを製造した。
界面活性剤組成物(ポリオキシエチレンアルキルエーテル/ポリエチレングリコール/アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム/水=42/8/42/8(重量比))を80℃にした。次に、レディゲミキサー(松坂技研(株)製、容量130L、ジャケット付)に得られた担持用顆粒群を100重量部投入し、主軸(攪拌翼、回転数:60rpm、周速:1.6m/s)の攪拌を開始した。尚、ジャケットに80℃の温水を10L/分で流した。そこに、上記界面活性剤組成物50重量部を2分間で投入し、その後5分間攪拌を行い、界面活性剤組成物を担持させた。更に、無定形アルミノ珪酸塩を2重量部投入し、主軸(回転数:120r/m、周速:3.1m/s)とチョッパー(回転数:3600r/m、周速:28m/s)の攪拌を30秒間行った。洗剤粒子群として良好な流動性を得られるまで、無定形アルミノ珪酸塩を2重量部投入、30秒間の撹拌を行い、洗剤粒子群1Aを排出した。投入した無定形アルミノ珪酸塩の総量は6重量部であった。
また、界面活性剤組成物50重量部を2分間で投入するまでは洗剤粒子群1Aと同様な方法で行った後、1分間撹拌をして界面活性剤組成物を担持させた。無定形アルミノ珪酸塩の投入方法も洗剤粒子群と同様な方法で行い、洗剤粒子群1Bを排出した。投入した無定形アルミノ珪酸塩の総量は6重量部であった。
比較例
実施例のポリアスパラギン酸ナトリウムをポリアクリル酸ナトリウムに変更した以外は実施例と同じ方法でスラリーを調製した。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が285℃で供給され、塔頂より97℃で排出された。得られた担持用顆粒群2の水分は、0.4%であった。担持用顆粒群2を用いて実施例と同様の方法で洗剤粒子群2A(担持時間5分)及び2B(担持時間1分)を製造した。投入した無定形アルミノ珪酸塩の総量は洗剤粒子群2Aでは6重量部、洗剤粒子群2Bでは10重量部であった。
得られた担持用顆粒群1〜2の組成及び物性を表1に、洗剤粒子群1〜2の物性を表2に示す。本発明品である担持用顆粒群1は、アミノポリカルボン酸系のポリマーであるポリアスパラギン酸ナトリウムを配合しているために、比較品である担持用顆粒群2に比べて担持容量はほぼ同等でありながら、細孔径が好ましい範囲にあるために担持速度が速い。従って比較例では、界面活性剤組成物の担持時間が短くなると必要な無定形アルミノ珪酸塩の量が増加するのに対して、実施例においては、界面活性剤の担持時間を変更しても、必要な無定形アルミノ珪酸塩の量が変わらない。従って担持時間の短縮が可能であり、製造効率を向上させることができる。
Figure 0004447400
Figure 0004447400
本発明によれば、液状界面活性剤組成物の担持速度に優れた界面活性剤担持用粒子群を得ることができる。更には該界面活性剤担持用粒子群に液状界面活性剤組成物を担持することにより、良好な洗浄性能、品質等を有する洗剤粒子群を効率的に得ることができる。

Claims (7)

  1. スラリーを噴霧乾燥して得られる界面活性剤10重量%以下の界面活性剤担持用顆粒群であって、(A)重量平均分子量が1000〜100000であるアミノカルボン酸系のポリマーを2〜30重量、(B)水溶性塩類を20〜90重量%含有する界面活性剤担持用顆粒群。
  2. 更に、結晶性アルミノ珪酸塩を含有する請求項1記載の界面活性剤担持用顆粒群。
  3. (A)重量平均分子量が1000〜100000であるアミノカルボン酸系のポリマーがポリアスパラギン酸塩を含有する請求項1又は2記載の界面活性剤担持用顆粒群。
  4. (B)水溶性塩類が塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び硫酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上を含有する請求項1〜3いずれか記載の界面活性剤担持用顆粒群。
  5. (B)水溶性塩類が塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び硫酸ナトリウムを含有する請求項1〜4いずれか記載の界面活性剤担持用顆粒群。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の界面活性剤担持用顆粒群100重量部に対し、界面活性剤が1〜100重量部担持されてなる洗剤粒子群であって、平均粒径150〜750μm、嵩密度500g/L以上の洗剤粒子群。
  7. 請求項6記載の洗剤粒子群とその他の洗剤成分を含む洗剤組成物。
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