1.用語の定義
本発明の界面活性剤担持用顆粒は、水溶性ポリマー及び水溶性塩類を含有する調製液を噴霧乾燥して得られる顆粒であって、液状界面活性剤組成物を担持させるために用いる顆粒をいい、その集合体を界面活性剤担持用顆粒群という。洗剤粒子とは、界面活性剤担持用顆粒に液状界面活性剤組成物を担持させてなる界面活性剤及びビルダー等を含有する粒子であり、洗剤粒子群とはその集合体を意味する。洗剤組成物とは、洗剤粒子群を含有し、所望により洗剤粒子群以外に別途添加された洗剤成分(例えば、ビルダー顆粒、蛍光染料、酵素、香料、消泡剤、漂白剤、漂白活性化剤等)を含有する組成物を意味する。本明細書において、調製液に関し、「第1調製液」、「第2調製液」に言及する場合がある。第2調製液は第1調製液を処理して得られるものである。第1調製液中に存在する水溶性塩類の粒子とは、水溶性塩類由来の未溶解物及び析出物を意味する。未溶解物とは、第1調製液に添加した原料のうち液相に溶けきれず固体として存在する水溶性塩類を意味し、析出物とは第1調製液の液相から生成した水溶性塩類由来の固体を意味する。また、「水溶性塩類由来」とは水溶性塩そのもの又はそれらの複塩又は錯塩を意味する。水溶性塩類とは、25℃の水に対する溶解度が0.5g/100g以上且つ分子量1千未満のものである。水溶性ポリマーとは、25℃の水に対する溶解度が0.5g/100g以上且つ分子量1千以上の有機性重合体である。水不溶性物質とは、25℃の水に対する溶解度が0.5g/100g未満の固体である。液状界面活性剤組成物とは、界面活性剤担持用顆粒群に担持させる際に液状又はペースト状である界面活性剤を含む組成物である。
2.界面活性剤担持用顆粒群の担持能向上
界面活性剤担持用顆粒(以下、担持用顆粒ともいう)が高い担持能を発現するために要求される特性としては、該顆粒内部に液状界面活性剤組成物(以下、液状組成物ともいう)を担持するための空間(担持サイト)を多く有すること、即ち顆粒内部の細孔容積が大きく液状組成物に対する担持容量が多いこと且つ顆粒内部の細孔径が小さく液状組成物に対する担持力が強いことである。又、担持用顆粒は、顆粒内部の担持サイトを有効に活用するための液状組成物に対する高い担持速度を有していること及び液状組成物を担持させるために混和する等の洗剤粒子を製造する際の操作に耐えうる顆粒強度を有していることが必要である。
水溶性ポリマー及び水溶性塩類を含有する調製液を噴霧乾燥して得られる界面活性剤担持用顆粒群において、担持能及び顆粒強度を飛躍的に向上させると共に担持速度を改善する方法について検討した。その結果、噴霧乾燥する調製液中に存在する水溶性塩類の粒子の個数を増大させておくことによって、該調製液を噴霧乾燥して得られる顆粒内部の細孔容積をより大きく且つ顆粒内部の細孔径をより小さくすることができると共に顆粒表面における被膜の形成が抑制されるという従来にない全く新しい事実を見出した。
調製液に存在する水溶性塩類の粒子は、個数を増大させることによって、該調製液においては微細な粒子として分散して存在することとなる。又、該微細な粒子は、調製液の液滴を噴霧乾燥する過程においては液滴内部に分散した状態で存在する。このように噴霧液滴内部に分散状態で存在する該微細な水溶性塩類の粒子は、噴霧乾燥して得られる顆粒内部においても分散した状態で留まって担持サイトの形成に寄与する。即ち、調製液に存在する水溶性塩類は、その数を増大させることによって比表面積が大きなものとなり、噴霧乾燥して得られる顆粒において液状組成物に対するより有効な担持サイトの形成に利用される。更には、該微細な水溶性塩類の粒子は、調製液の液相において溶解している水溶性塩類が噴霧乾燥過程において析出する際の種結晶としての役割を果たす場合のあることを見出した。該微細な水溶性塩類の粒子が調製液において溶解している水溶性塩類と同じ塩及び/又は該塩の複塩及び/又は錯塩の固体を含む場合等に種結晶となり得る。そして、噴霧乾燥過程において、調製液の液相に溶解している水溶性塩類が、噴霧液滴内部に分散した該種結晶を核として且つ水溶性ポリマーの結晶成長調整作用を受けた微細な針状結晶として析出し、顆粒内部の担持サイトを向上させるのにより有効に活用できる。この製法によって得られる担持用顆粒群は、顆粒内部の細孔径が小さくなることから液状組成物に対する担持能、特に担持力に優れたものであると共に顆粒強度も高いものとなる。
上述の界面活性剤担持用顆粒群の担持能向上技術は、リン酸塩を含む有リン洗剤、及び無リン洗剤のどちらを製造する際にも効果的であるが、担持能の向上が達成し難い無リン洗剤を製造する上で特に高い効果を発揮する技術である。
尚、本発明の界面活性剤担持用顆粒の内部構造は、担持用顆粒群の細孔容積分布として水銀ポロシメーターを用いて確認することができる。水銀ポロシメーター(例えば、島津製作所(株)製「SHIMADZU製ポアサイザ9320」)で測定される担持用顆粒内部の細孔径あたりの細孔容積の分布(以下、細孔容積分布という)において、細孔容積がより大きければ、液状組成物の担持容量は多くなり、そして、細孔径はより小さい方が、毛管現象により一旦吸収した液状組成物を保持する能力(担持力)は高くなる。従って、細孔容積がより大きく且つ細孔径がより小さい場合に、界面活性剤の担持能が高くなり、多くの液状組成物を担持すると共に液状組成物のシミ出しを抑制することができる。従って液状組成物を担持するのに適した本発明の界面活性剤担持用顆粒群は、細孔容積分布のモード径(得られる細孔容積分布中、最大の細孔容積を有する細孔径)が1.5μm以下であり、1.3μm以下が好ましく1.1μm以下がより好ましく、1.0μm以下がさらに好ましく、0.9μm以下が特に好ましく、0.8μm以下であることが最も好ましい。
又、本発明の界面活性剤担持用顆粒群の細孔容積に関しては、細孔径0.01〜3.0μmの細孔容積が0.3mL/g以上であり、細孔径0.01〜2.5μmの細孔容積が0.3mL/g以上であることが好ましく、細孔径0.01〜2.0μmの細孔容積が0.3mL/g以上であることがより好ましく、細孔径0.01〜1.5μmの細孔容積が0.3mL/g以上であることがさらに好ましく、細孔径0.01〜1.0μmの細孔容積が0.3mL/g以上であることが特に好ましい。又、各々の細孔径の範囲において、その細孔容積が0.35mL/g以上であることがより好ましく、0.4mL/g以上であることが更に好ましい。
本発明の界面活性剤担持用顆粒群の顆粒強度は、該顆粒群に液状界面活性剤組成物を添加する際に該顆粒群を構成する顆粒が崩壊して担持容量を減じてしまうことを防止する観点から、5〜200MPa、好ましくは10〜150MPa、更に好ましくは15〜100MPaであり、中でも好ましくは20〜80MPaであり、特に好ましくは25〜60MPaである。なお、該顆粒強度は、後述の物性の測定方法に記載の方法で測定することができる。
本発明の界面活性剤担持用顆粒群は上述の好ましい細孔容積分布と顆粒強度を兼ね備えていることがなお好ましい。好ましい物性としては細孔容積分布のモード径が1.5μm以下で且つ細孔径0.01〜3.0μmの細孔容積が0.3mL/g以上且つ顆粒強度が15〜100MPaである。より好ましい物性としては細孔容積分布のモード径が1.1μm以下で且つ細孔径0.01〜2.0μmの細孔容積が0.3mL/g以上且つ顆粒強度が20〜80MPaである。
3.調製液に存在する水溶性塩類の粒子の個数を増大させる方法
(a)水溶性ポリマー及び水溶性塩類を含有する溶液又はスラリーからなる第1調製液を調製する工程及び(b)水溶性塩類の粒子の個数を増大させる処理を前記第1調製液に施して第1調製液中に存在する水溶性塩類の粒子の個数と比較して粒子の個数の増大した第2調製液を調製する工程を含む、調製液の調製工程における、水溶性塩類の粒子の個数を増大させる処理について検討した結果、下記(1)〜(3)の手段を見出した。
尚、下記(1)〜(3)に例示される水溶性塩類の粒子の個数を増大させる手段を施した調製液を第2調製液という。
(1)第1調製液に溶解している水溶性塩類を析出させる。
(2)第1調製液中の水溶性塩類の粒子を湿式粉砕する。
(3)第1調製液に実質的に溶解しないで存在し得る条件下に、第1調製液中の水溶性塩類と同一又は異なる水溶性塩類の微粒子を第1調製液に添加する。
又、上述した(1)〜(3)の手段の二つ以上を組み合わせることは本発明の好ましい態様である。
更に、(1)に記載した第1調製液に溶解している水溶性塩類を析出させる方法について検討した結果、下記の手段を見出した。
(1−1)第1調製液に微細結晶析出剤を添加する。
(1−2)第1調製液を濃縮する。
(1−3)第1調製液に溶解している水溶性塩類の溶解量が低下するように第1調製液の温度を調整する。
又、(1−1)〜(1−3)の手段を二つ以上組み合わせることによって水溶性塩類を析出させることは本発明の好ましい態様である。
尚、第2調製液において水溶性塩類の粒子の個数が第1調製液より増大したことを確認する方法としては、例えば下記のインライン式粒体液滴モニタリングシステム(LASENTEC社製「TSUB-TEC M100 」)を用いることができる。該確認方法について以下に例示する。
1Lのステンレスビーカーに調製液1000gを秤採り、該調製液の温度と同じ温度に調整した恒温槽にて2×4cmの3枚のプロペラ羽のついた撹拌翼を200r/minの速度で回転させて撹拌する。これにLASENTEC社製インライン式粒体モニタリングシステム(TSUB-TEC M100 )を静置した調製液の液面に対し45°の角度で浸入させ、液面より下に3cm入る位置に取り付ける。これにより、攪拌した際に常に、ウインドウ表面に粒子が衝突する。ソフトウエアは「Control Interface for FBRM Ver5.4 Build 58b 」(LASENTEC社製)を用い、フォーカス位置はウインドウ表面から0.02mmフォーカスを内側に入れた位置に設定する。Measurement Duration(一回の測定時間)は14.5秒、Averaging (移動平均)は10で測定を行う。5分間測定した時点のカウント数(個/s)を測定する。
上記の測定を第1調製液と第2調製液について行い、得られるカウント数を比較する。即ち、第2調製液のカウント数が第1調製液のカウント数より多くなっていることで、第2調製液において水溶性塩類の粒子の個数が第1調製液より増大したことが確認できる。
又、該カウント数の増加は、第1調製液から第2調製液を調製する際に上記インライン式粒体液滴モニタリングシステムを用いて直接確認することもできる。
ここで、第1調製液中に存在する水溶性塩類の粒子の個数と比較して、増大させた水溶性塩類の粒子の数については、第1調製液中に存在する水溶性塩類の粒子の個数により一概には限定できないが、例えば、前記の方法で得られる第2調製液と第1調製液とのカウント数の差が好ましくは500個/s以上、より好ましくは1000個/s以上であればよい。
尚、上述の手段のうち第2調製液中に存在する水溶性塩類の粒子の個数のみでなく第2調製液に溶解していない水溶性塩類の量も増加させる処理(即ち、前記(1)若しくは前記(3)又は(1)〜(3)の二つ以上の手段を併用した処理)によって増加した、第2調製液に溶解していない水溶性塩類(即ち、水溶性塩類由来の析出物及び/又は第1調製液に添加した水溶性塩類の微粒子)の量は、該手段を行う前の第1調製液に溶解している水溶性塩類の量に対して3重量%以上であることが好ましく、噴霧乾燥後の顆粒内部に更に有効な担持サイトを形成することによって担持能を向上させる観点から、5重量%以上であることがより好ましく、8重量%以上であることが更に好ましく、10重量%以上であることが最も好ましい。一方、噴霧乾燥後に得られる界面活性剤担持用顆粒群の細孔容積の確保、及び上述の手段を行った後の第2調製液の取り扱い性の観点から、該手段によって増加した第2調製液に溶解していない水溶性塩類の量は、第1調製液に溶解している水溶性塩類の量に対して50重量%以下が好ましく、35重量%以下がより好ましく、30重量%以下が更に好ましく、25重量%以下が最も好ましい。
調製液に溶解していない水溶性塩類の量を増加させる手段によって増加した第2調製液に溶解していない水溶性塩類の量A(%)は、後述の方法によって該処理前と処理後の調製液の中における水溶性塩類の含有率、溶解率及び未溶解率を測定することによって求める。
先ず、第1及び第2調製液の水溶性塩類の含有率T(%)を、イオンクロマトグラフィー等によって求める。
又、水溶性塩類の溶解率は次のようにして求める。
調製液を減圧濾過し、濾液中の水分濃度P(%)を遠赤外線ヒータ式水分計(島津製作所(株)製)等で測定する。更に濾液中の水溶性塩類濃度S(%)をイオンクロマトグラフィー等で求める。調製液の水分をQ(%)とし、調製液の水溶性塩類の含有率をT(%)とすると、次式によって水溶性塩類の溶解率U(%)が求められる。
溶解率(%)=(100×S×Q)/(P×T) (I)
但し、算出される上記溶解率が100%を超える場合は、溶解率は100%とする。又、未溶解率V(%)を次式によって求める。
未溶解率(%)=100−U (II)
第1調製液における水溶性塩類の含有率をT1(%)、溶解率をU1(%)、未溶解率をV1(%)とし、第2調製液における水溶性塩類の含有率をT2(%)、未溶解率をV2(%)とすると、前述の第2調製液に溶解していない水溶性塩類の増加量A(%)は、次式によって求められる。
第2調製液に溶解していない水溶性塩類の増加量A(%)
=100×(T2×V2−T1×V1)/(T1×U1) (III )
又、水溶性ポリマー及び水溶性塩類を含有する第1調製液を調製し、続いて第1調製液中に存在する水溶性塩類の粒子の個数を増大させる処理において、該処理によって増加した第2調製液中に存在する水溶性塩類の粒子は微細であるほど噴霧乾燥して得られる担持用顆粒群の細孔径が小さくなって担持能向上効果が大きくなる。その観点から、該処理によって増加した第2調製液中に存在する水溶性塩類の粒子の平均粒径は、40μm以下であることが好ましく、35μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、25μm以下が中でも好ましく、20μm以下とすることがその中でも好ましく、15μm以下とすることが更にその中でも好ましく、10μm以下とすることが最も好ましい。
該平均粒径とは、下記の測定法によって測定される第2調製液中に存在する粒子の粒度分布から第1調製液中に存在する粒子の粒度分布を差し引いた粒度分布から求められた平均粒径のことである。
第1又は第2調製液中に存在する粒子の粒度分布は、前述したカウント数の測定に用いたインライン式粒体液滴モニタリングシステム(LASENTEC社製「TSUB-TEC M100 」)を用いることで測定できる。本明細書に記載した調製液中に存在する水溶性塩類の粒子の平均粒径は、この「TSUB-TEC M100 」を用いて計測した値である。測定は、5分間測定した時点の粒度分布を測定すること以外は前述したカウント数の測定と同様の方法で行う。尚、メジアンコード(粒子数の積算値が50%時の粒径)を平均粒径とする。尚、第2調製液中に存在する水溶性塩類の粒子としては、該調製液中に溶解している水溶性塩類と同じ塩及び/又は複塩の固体を含むものであって、調製液の液相において溶解している水溶性塩類が噴霧乾燥過程において析出する際の種結晶となり得るものであることが好ましい。該種結晶となり得る水溶性塩類の粒子としては、噴霧乾燥過程において、調製液の液相に溶解している水溶性塩類が析出する際の核となるものである。そして、噴霧した液滴中に分散状態で存在する種結晶を核として、噴霧乾燥過程で析出する水溶性塩類は、水溶性ポリマーの結晶成長調整作用を受けた微細な針状結晶として析出し、顆粒内部の担持サイトを向上させるのに有効に活用できる。噴霧乾燥によって得られる担持用顆粒の内部に微細な結晶を析出させて細孔径をより小さくし、液状組成物に対する担持力及び顆粒強度を向上させる観点から、該種結晶となり得る水溶性塩類の粒子は、微細で多数であることが好ましい。
4.陥没孔による液状界面活性剤組成物の吸収促進
界面活性剤担持用顆粒が高い担持能を発現するための条件としては、該顆粒内部に液状界面活性剤組成物を担持するための空間(担持サイト)を多く有することが必要であると共に、粉末洗剤を製造するにあたっては、液状界面活性剤組成物を速く吸収することが生産性を向上する上で特に重要である。
前述の如く、一般に水溶性ポリマー及び水溶性塩類を含んでなる調製液を噴霧乾燥すると、水分の蒸発は主として噴霧された液滴の表面で起こるため、乾燥の進行に伴い調製液に溶解している水溶性成分は水分と共に表面に移動し、噴霧乾燥後に得られる顆粒は、表面が主として水溶性塩類と水溶性ポリマーで構成される被膜で覆われた球状構造となる。この顆粒表面に形成される被膜が該顆粒内部への液状界面活性剤組成物の吸収を遅延もしくは阻害する要因となる。
そこで、担持用顆粒群の液状界面活性剤組成物の担持速度を高める方法を検討した。その結果、噴霧乾燥顆粒(担持用顆粒)の形状を変化させることによって、液状界面活性剤組成物の吸収が速まることを見出した。噴霧乾燥顆粒は、一般的に球状あるいは噴霧した液滴の干渉によって生ずる該球状顆粒の凝集体として得られるが、該噴霧乾燥顆粒の表面から内部にかけて少なくとも一ヶ所の穴をあけること、例えば針等で穴をあけることによって液状界面活性剤組成物の吸収が著しく速まることを見出した。すなわち、噴霧乾燥顆粒の内部に中空部を有し、且つ顆粒の表面が開口して内部の中空部と通じた(顆粒表面が陥没した)形状(陥没孔)に変えることで液状界面活性剤組成物の担持速度に優れる界面活性剤担持用顆粒群が得られることを見出した。
又、該陥没孔を有した担持用顆粒(陥没顆粒)を効率よく製造する方法として、噴霧乾燥を行なった時点で顆粒表面を陥没させる方法を検討した結果、組成を特定の範囲とすること及び調製液の水分量及び噴霧乾燥条件等を調整することによって、噴霧乾燥顆粒中の陥没顆粒の含有率を著しく増大させることができることを見出した。
本発明の陥没顆粒について更に詳述すると、陥没孔(穴)は、基本的には1個の顆粒に対して少なくとも一ヶ所存在している。この陥没孔により液状界面活性剤組成物の吸収を十分に早める作用を発現するが、乾燥塔内で液滴が干渉する等の原因で1個の顆粒に複数個の陥没孔が存在してもよい。
5.陥没顆粒の説明
本発明の担持用顆粒群に含まれる「 顆粒の表面が開口して内部の中空部と通じた形状(陥没孔)を有する顆粒(陥没顆粒)」 とは、例えば、図1に示されるような外観を有する顆粒であり、図2に示されるような断面を有している。
又、本発明の担持用顆粒群に含まれる陥没顆粒における好ましい陥没孔の大きさを規定する。顆粒の円相当直径は、図3に示されるように陥没孔の開口部を中心として顕微鏡を用いて顆粒を撮影し、撮影した顆粒画像から測定される顆粒の投影面積(S1)を用いて、式(IV)によって求めることができる。
顆粒の円相当直径=2×(S1/π)1/2 (IV)
又、穴(陥没孔)の円相当直径は、図3に示されるように開口部として上記の顆粒の投影面積と同様の方法で測定される穴の投影面積(S2)を用いて、式(V)によって求めることができる。
穴の円相当直径=2×(S2/π)1/2 (V)
尚、上記測定における顕微鏡としては、例えばKEYENCE社製デジタルマイクロスコープVH−6300や日立(株)製 S−4000形 電界放射形走査電子顕微鏡等のSEMを用いることができる。投影面積の算出には、例えば三谷製 WinRoof等を用いることができる。
本発明の担持用顆粒群に含まれる陥没顆粒に存在する穴の好ましい径については、〔(該穴の円相当直径)/(顆粒の円相当直径)〕×100が2%以上の穴である。又、液状界面活性剤組成物を陥没孔により容易に浸入させるという観点及び顆粒形状が球状により近い方が外観上望ましいとの観点から、該比率は、2〜70%が好ましく、4〜60%がより好ましく、6〜50%が更に好ましく、8〜40%が特に好ましく、10〜30%が最も好ましい。
本発明の担持用顆粒群に含まれる陥没顆粒に存在する穴の深さは、図4に示したように陥没孔の開口面の接線Xと接線Xと平行する穴の底との接線Yとの距離dと前述の顆粒の円相当直径との比率〔(距離d)/(顆粒の円相当直径)〕×100で表すものとする。尚、穴の深さは、例えば顆粒を図3の破線で示した様に陥没孔の開孔部に対して垂直な面でメス等によって割断し、該断面をSEM等で撮影することによって測定できる。本発明の界面活性剤担持用顆粒群に含まれる陥没顆粒に存在する穴の深さは、該比率が10%以上であることが好ましい。又、液状界面活性剤組成物の担持速度をより高めるという観点及び顆粒内部の液状界面活性剤組成物の担持容量をより多く確保するとの観点から、該比率は、10〜90%がより好ましく、15〜80%が更に好ましく、20〜70%が特に好ましい。
本発明の担持用顆粒群の構成顆粒における陥没顆粒の含有率は、液状界面活性剤組成物をより速く、効率的に吸収することによって生産性を高める観点から30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上、100%以下であることが望ましい。
又、本発明において前記陥没顆粒以外の構成顆粒としては、前記した陥没孔の大きさの規定外の穴を有する顆粒、割れた顆粒、陥没孔のない球状顆粒等が挙げられ、これらの含有率は70%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下、最も好ましくは10%以下であることが望ましい。
尚、本発明における陥没顆粒の含有率とは下記の方法で測定したものをいう。すなわち、担持用顆粒群をJIS Z 8801に規定の目開きが2000μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、355μm、250μm、180μm及び125μmである9段の篩と受け皿を用い、ロータップマシーン(HEIKO SEISAKUSHO製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、100gの試料を10分間振動して篩い分けを行った後、受け皿及び各篩上の顆粒群の重量を測定し、各粒度の重量頻度(T1重量%,…,T10重量%)を算出する。次に、篩い分けられた各粒度の試料から無作為に100個以上の顆粒(U1個,…,U10個)を採取し、各粒度において前述した陥没顆粒に該当する顆粒の個数(V1個,…,V10個)を調べる。そして、前記各粒度の陥没顆粒含有比率(V1/U1,…,V10/U10)それぞれに前記重量頻度を掛けたものの合計を陥没顆粒の含有率とした。
6.界面活性剤担持用顆粒群の組成
本発明の担持用顆粒群は、主として水溶性ポリマー及び水溶性塩類から構成されている。水溶性ポリマー及び水溶性塩類は、液状界面活性剤組成物に対する担持サイト及び陥没孔を形成するのに重要である。又、水溶性ポリマーは、顆粒に強度を付与する作用を有する。
水溶性ポリマーとしては、例えば、カルボン酸系ポリマー、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリグリオキシル酸塩、ポリアスパラギン酸塩等のアミノカルボン酸系のポリマー、可溶性澱粉、糖類等からなる群より選ばれる一種以上が好ましいものとして例示でき、中でもカルボン酸系ポリマーが水溶性塩類の微細化作用の点、並びに洗浄力、具体的には、金属イオンを封鎖する作用、固体粒子汚れを衣料から洗濯浴中へ分散させる作用及びその粒子が衣料へ再付着することを防ぐ作用の点からより好ましい。
カルボン酸系ポリマーの中で、アクリル酸単独重合体とその塩(Na、K、NH4 等)、アクリル酸−マレイン酸共重体とその塩(Na、K、NH4 等)が特に優れている。
これらの水溶性ポリマーの重量平均分子量は1千〜30万が好ましく、2千〜10万がより好ましく、2千〜8万が更に好ましく、5千〜5万が中でも好ましく、6千〜2万が特に好ましい。
分子量測定法としては、
1.換算標準物質:ポリアクリル酸(AMERICAN STANDARDS CORP)
2.溶離液:0.2mol/Lリン酸バッファー/CH3 CN:9/1(容量比)
3.カラム:PWXL+G4000PWXL +G2500PWXL (東ソー(株)製)
4.検出器:RI
5.試料濃度:5mg/mL
6.注入量:0.1mL
7.測定温度:40℃
8.流速:1.0mL/min
で行なう。
上記カルボン酸系ポリマー以外に、ポリグリオキシル酸塩等のポリマー、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体並びにポリアスパラギン酸塩等のアミノカルボン酸系のポリマーも金属イオン封鎖能、分散能及び再汚染防止能を有するものとして用いることができる。
その他にポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)等があげられる、PVPは、色移り防止剤として好ましく、又分子量1千〜2万程度のPEG及びPPGは、粉末洗剤が含水して生じるペースト粘度特性を改善することから好ましい。
水溶性ポリマーの担持用顆粒群中の含有量は2〜30重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、6〜26重量%がより好ましく、8〜24重量%が更に好ましく、10〜22重量%が最も好ましい。この範囲であると、顆粒の強度が十分高いものとなる。
水溶性塩類としては、炭酸基、硫酸基、炭酸水素基、亜硫酸基、硫酸水素基、リン酸基等を有する水溶性の無機塩(例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、又はアミン塩)を挙げることができる。又、アルカリ金属(例えば、ナトリウム又はカリウム)及びアルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム又はマグネシウム)の塩化物、臭化物、沃化物、弗化物等のハロゲン化物等が挙げられる。また、これらを含む複塩(例えばバーケアイトやセスキ炭酸ナトリウム等)も挙げられる。
これらの中で、炭酸塩、硫酸塩及び亜硫酸塩が好ましい。炭酸塩は洗濯液中で好適なpH緩衝領域を示すアルカリ剤として好ましく、硫酸塩、亜硫酸塩等の解離度の高い塩類は、洗濯液のイオン強度を高め、皮脂汚れ洗浄等に好適に作用する。又、亜硫酸塩は水道水中に含有されている次亜塩素酸イオンを還元し、酵素や香料等の洗剤成分の次亜塩素酸イオンによる酸化劣化を防止する効果を有する。
トリポリリン酸ナトリウムも水溶性塩類として使用できる。
水溶性塩類は単独成分からなっていても、炭酸塩と硫酸塩等の複数成分を併用しても良い。
又、水溶性塩類は、水溶性ポリマーの存在下で析出した場合に結晶の形態を変えることから、担持用顆粒群の担持能向上に重要な役割を果たす。中でも担持用顆粒群の担持サイトを形成する基剤としては、炭酸塩及び/又は硫酸塩がより好ましく、中でも炭酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムの組み合わせが最も好ましい。特に、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウムと硫酸ナトリウムの複塩であるバーケアイトは、担持用顆粒の担持サイトを形成させる基剤として重要である。
又、塩化ナトリウム等のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のハロゲン化物は、炭酸ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウムを含有する第1調製液に対して添加した場合に自身は溶解して代わりに炭酸ナトリウム又は硫酸ナトリウム又は両者の複塩の微細な結晶を析出させる効果を有することから、微細結晶析出剤として、担持用顆粒群の担持サイトの形成に有効に作用する。更に、これらのハロゲン化物は、乾燥過程における表面被膜の形成を部分的に抑制する作用も兼ね備えており、担持用顆粒群の液状組成物の担持速度を高める作用も有していることから特に好適である。
又、界面活性剤担持用顆粒群の担持能及び洗剤組成物とした時の洗浄性能を両立させる観点から、担持用顆粒群における(炭酸ナトリウム):(硫酸ナトリウム)の好ましい重量比率は、1:0〜1:5であり、より好ましくは1:0〜1:4であり、更に好ましくは1:0〜1:3であり、中でも好ましくは1:0〜1:2であり、最も好ましくは1:0〜1:1である。
又、界面活性剤担持用顆粒群の顆粒強度と洗剤組成物とした時の洗浄性能を両立させる観点から、担持用顆粒群での(炭酸ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウム):(水溶性ポリマー)の好ましい重量比率は、19:1〜1:1であり、より好ましくは15:1〜1.5:1であり、更に好ましくは10:1〜2:1であり、最も好ましくは8:1〜2.5:1である。
また、水溶性塩類として低分子量の水溶性有機酸塩類も使用することができ、例えば、クエン酸塩、フマル酸塩等のカルボン酸塩が挙げられる。又、洗浄力の点から、メチルイミノジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩、エチレンジアミンジコハク酸塩、タウリンジ酢酸塩、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、グルタミン酸ジ酢酸塩、アスパラギンジ酢酸塩、セリンジ酢酸塩等が好ましいものとして挙げられる。
水溶性塩類の担持用顆粒群中の含有量は、20〜90重量%が好ましく、30〜80重量%がより好ましく、40〜70重量%が最も好ましい。これらの範囲内であれば、担持用顆粒は顆粒強度が十分高いものとなり、又、洗剤粒子群の溶解性の点でも好ましい。
又、本発明の界面活性剤担持用顆粒群には水不溶性物質を含有することができる。水不溶性物質としては、結晶性アルミノ珪酸塩、非晶質アルミノ珪酸塩、二酸化珪素、水和珪酸化合物、パーライト、ベントナイト等の粘土化合物等を用いることができ、液状界面活性剤組成物の担持への寄与及び未溶解残留物の発生を促さない理由等から、結晶性アルミノ珪酸塩及び非晶質アルミノ珪酸塩が好ましい。又、該アルミノ珪酸塩の平均粒径は、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
結晶性アルミノ珪酸塩として好適なものは、A型ゼオライト(例えば、商品名:「トヨビルダー」;東ソー(株)製、商品名:「合成ゼオライト」;日本ビルダー(株)製、商品名:「VALFOR100」;PQ CHEMICALS(Thailand)Ltd、商品名:「ZEOBUILDER」;ZEOBUILDER Ltd、商品名:「VEGOBOND A」;OMAN CHEMICAL INDUSTRIES Ltd、商品名:「Zeolite」;THAI SILICATE CHEMICALS Ltd)であり、金属イオン封鎖能及び経済性の点でも好ましい。ここで、A型ゼオライトの、JIS K 5101法による吸油能の値は40〜50mL/100gであることが好ましい。その他、P型(例えば商品名「Doucil A24」や「ZSE064」等;Crosfild社製;吸油能60〜150mL/100g)やX型(例えば商品名:「WessalithXD」;Degussa社製;吸油能80〜100mL/100g)が挙げられる。国際公開9842622号記載のハイブリッドゼオライトも好適な結晶性アルミノ珪酸塩として挙げられる。
又、金属イオン封鎖能は低いが、高い吸油能を有する非晶質アルミノ珪酸塩や非晶質シリカ等も水不溶性物質として用いることが出来る。例えば特開昭62−191417号公報第2頁右下欄第19行〜第5頁左上欄第17行(特に初期温度は15〜60℃の範囲が好ましい。)、特開昭62−191419号公報第2頁右下欄第20行〜第5頁左下欄第11行(特に吸油量は170mL/100gが好ましい。)に記載の非晶質アルミノ珪酸塩や、特開平9−132794号公報第17欄第46行〜第18欄第38行、特開平7−10526号公報第3欄第3行〜第5欄第9行、特開平6−227811号公報第2欄第15行〜第5欄第2行、特開平8−119622号公報第2欄第18行〜第3欄第47行に記載されている非晶質アルミノ珪酸塩(吸油能285mL/100g)等を挙げることが出来る。例えば、「トクシールNR」(徳山ソーダ(株)社製:吸油能210〜270mL/100g)、「フローライト」(同:吸油能400〜600mL/100g)、「TIXOLEX25」(韓仏化学社製:吸油能220〜270mL/100g)、「サイロピュア」(富士ディビソン(株)社製:吸油能240〜280mL/100g)等の吸油担体を用いることが出来る。特に吸油担体としては特開平6−179899号公報第12欄第12行〜第13欄第1行、第17欄第34行〜第19欄第17行に記載のものが好適である。
水不溶性物質は、単独成分又は複数成分から構成されていても良い。
水不溶性物質を含有させる場合の担持用顆粒群中の含有量は、8〜49重量%が好ましく、16〜45重量%がより好ましく、24〜40重量%が最も好ましい。この範囲であれば、顆粒強度や溶解性に優れる界面活性剤担持用顆粒群が得られる。
特に、本発明の担持用顆粒群としては、水溶性ポリマーの含有量が2〜30重量%、水溶性塩類の含有量が20〜90重量%及び水不溶性物質の含有量が8〜49重量%であるものが好ましい。
その他の成分として担持用顆粒群には、界面活性剤の配合も可能であるが、第2調製液が界面活性剤を含有する場合、噴霧乾燥して担持用顆粒群を製造する工程において、得られる担持用顆粒の表面に被膜が形成される傾向があるため、結果として担持用顆粒群の液状界面活性剤組成物に対する吸収速度が低下する傾向があるのみならず、陥没孔の形成が阻害される。したがって、かかる観点からは、担持用顆粒群中の界面活性剤含有量はより少ない方が好ましく、むしろ界面活性剤を存在させない方が好ましい。以上のことから、界面活性剤の担持用顆粒群中の含有量は0〜3重量%が好ましく、0〜2重量%がより好ましく、0〜1重量%が特に好ましく、中でも実質的に含有しないことが最も好ましい。
界面活性剤の例としては、後述の担持用顆粒群に担持させる液状界面活性剤組成物と同じものを用いることができる。
尚、非晶質珪酸塩は、担持用顆粒群の顆粒強度を高める作用を有するが、担持用顆粒群にアルミノ珪酸塩等の水不溶性物質を含有する場合、非晶質珪酸塩が担持用顆粒群を製造するための第2調製液に含有されていると経時的に水に難溶化する凝集塊を形成することから、本発明の担持用顆粒群には実質的に含まれないことが好ましい。又、結晶性珪酸塩も第2調製液に溶解して非晶質化することから非晶質珪酸塩と同様に第2調製液に配合しないことが好ましい。又、アルミノ珪酸塩等の水不溶性物質を使用しない場合においても該珪酸塩を第2調製液に配合すると噴霧乾燥後に得られる担持用顆粒群の溶解速度が低下する傾向を示すことから、第2調製液に含有される珪酸塩は、第2調製液に含有される珪酸塩を除く水溶性塩類に対して10重量%以下とするのが好ましく、より好ましくは5重量%以下、更に好ましくは2重量%以下、最も好ましくは実質的に含まないことである。
又、担持用顆粒群中には、蛍光染料、顔料、染料、酵素等の補助成分を含むことができる。該補助成分の含有量は担持用顆粒群中の10重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下である。
7.界面活性剤担持用顆粒群の製法
本発明の界面活性剤担持用顆粒群は、以下に記す工程(a)及び工程(b)を含む方法により得られた第2調製液を噴霧乾燥することにより調製することが出来る。
工程(a):水溶性ポリマー及び水溶性塩類を含有する溶液又はスラリーからなる第1調製液を調製する工程、
工程(b):水溶性塩類の粒子の個数を増大させる処理を前記第1調製液に施して第1調製液中に存在する水溶性塩類の粒子の個数と比較して粒子の個数の増大した、第2調製液を調製する工程。
なお、工程(a)及び工程(b)を含む方法により調製された調製液を乾燥する工程に関しては、第2調製液を直接乾燥に供してもよいし、所望により、例えば調製液の取り扱い性を向上させるために、希釈や脱泡等の工程を経た後に乾燥に供しても構わない。乾燥方法に関しては、あらゆる乾燥方法、例えば凍結乾燥、減圧乾燥等を用いることができるが、粒子の個数を増大させた第2調製液に含まれる水溶性塩類の粒子を液状組成物の担持のために有効に作用させる観点から、乾燥に供した調製液は瞬間乾燥されることが好ましい。従って、特に好ましい乾燥法は噴霧乾燥法である。噴霧乾燥塔は向流塔、並流塔の何れの形態も使用可能であるが、生産性の点から向流塔が好ましい。又、噴霧乾燥塔の熱源としてパルス燃焼機を用いたパルス衝撃波乾燥機も好ましい乾燥装置の一つとして例示される。パルス衝撃波乾燥機では乾燥に供した調製液の液滴が衝撃波を伴った高温の燃焼ガス中で乾燥されるために、液滴の乾燥速度が速くなる。パルス衝撃波乾燥機の一例としてパルコン(大阪富士工業(株)製)がある。
工程(b)の好ましい態様について、前記のように
(1)第1調製液に溶解している水溶性塩類を析出させる態様、
(2)第1調製液中の水溶性塩類の粒子を湿式粉砕する態様、
(3)第1調製液に実質的に溶解しないで存在し得る条件下に水溶性塩類の微粒子を第1調製液に添加する態様
に大別される。
これらの態様について以下に詳述する。
7−1.第1調製液に溶解している水溶性塩類の析出
本態様は、工程(a)で水溶性ポリマーと水溶性塩類を含有する溶液又はスラリーからなる第1調製液を調製し、工程(b)で第1調製液に溶解している水溶性塩類を析出させるものである。本態様で析出する水溶性塩類は、第1調製液の液相より生成し、且つ水溶性ポリマーの作用を受けた微粒子である。水溶性塩類を析出させる前の第1調製液は公知の方法により調製されるものであり、水溶性ポリマー及び水溶性塩類はどのような順序で配合しても構わない。水不溶性物質を配合する場合は、水溶性塩類の析出による第2調製液の粘度上昇を抑制する観点から、第1調製液に溶解している水溶性塩類を析出させる前に水不溶性物質を配合してもよいし、該第2調製液の製造効率を上げる観点から、後に配合してもよい。
第1調製液に溶解している水溶性塩類を析出させる方法の例について以下に述べる。
7−1−1.微細結晶析出剤添加による析出
上述した水溶性塩類を析出させる方法について検討した結果、微細結晶析出剤によって析出させる方法を見出した。即ち、微細な水溶性塩類由来の結晶を析出させる効果を有する微細結晶析出剤を第1調製液に添加することによって、該微細結晶析出剤を添加する前の第1調製液に溶解していた水溶性塩類を微細な結晶として析出させて第2調製液を得ることができる。本発明の微細結晶析出剤について更に詳述する。尚、担持用顆粒群に有効な担持サイトを形成させる観点から、該析出する水溶性塩類としては、炭酸ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウムを含有することが好ましい。
微細結晶析出剤とは、第1調製液に添加することによって該析出剤とは異なる水溶性塩類由来の物質を析出させる効果を持つ物質である。
先ず、微細結晶析出剤が水溶性物質である場合について、微細結晶析出剤を添加する前の工程で、第1調製液が水溶性塩類a及び水溶性塩類bを含有する場合について示す。この場合、微細結晶析出剤は、該析出剤が添加された温度において、その溶解強度が水溶性塩類a又は水溶性塩類bの溶解強度よりも大きいものである。ここでいう溶解強度とは、溶解のし易さを意味する。微細結晶析出剤は、第1調製液に含まれる水溶性塩類の種類によって様々に選択できる。微細結晶析出剤として用いることのできる物質は次のような方法で求められる。例えば、水溶性塩類a及び水溶性塩類bを含有する飽和溶液に水溶性物質cを添加した際に、cが溶解して、b及び/又はaとbの複塩及び錯塩等のb由来の物質が析出する場合は、cはbよりも溶解強度が大きいことを意味し、cが微細結晶析出剤となる。
例えば、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウムの順に加えると、塩化ナトリウムが硫酸ナトリウムと炭酸ナトリウムとの飽和溶液に溶け込むことにより、炭酸ナトリウムと硫酸ナトリウムの複塩であるバーケアイトの微細な針状結晶が凝集することなく析出する。この場合、塩化ナトリウムは、炭酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムを含有する調製液に対する好ましい微細結晶析出剤である。
微細結晶析出剤によって調製液に析出する結晶は微細なものである。第2調製液中に析出した結晶の大きさについては、前述したインライン式粒体液滴モニタリングシステム(LASENTEC製「TSUB-TEC M100 」)を用いることで測定できる。
又、微細結晶析出剤による微細結晶析出効果は、該インライン式粒体液滴モニタリングシステムによって該析出剤を添加した後に見られる経時的な粒子数の増加として確認することができる。
上述の如く、微細結晶析出剤の確認は、如何なる組成の調製液においても確認可能であるが、炭酸ナトリウムと硫酸ナトリウムを含む調製液における微細結晶析出剤の確認方法について例示する。
先ず、下記の方法によって硫酸ナトリウムと炭酸ナトリウムを共に含む飽和溶液を調製する。第1調製液の調製温度に調整したイオン交換水1500gに硫酸ナトリウム(純度99%以上)を400g加え、第1調製液の調製温度とした恒温槽にて20分間十分に攪拌して溶解させる。更に炭酸ナトリウム(デンス灰、セントラル硝子(株)製)を400g加え、30分間攪拌することによって懸濁液を調製する。該懸濁液を静置した後の上澄み液を回収する方法或いは該懸濁液をろ過する方法によって硫酸ナトリウム/炭酸ナトリウムの飽和溶液を調製する。尚、ここでの第1調製液の調製温度とは、30〜80℃の温度範囲のいずれかの温度をいう。
1Lのステンレス鋼製ビーカーに上記の方法で調製した硫酸ナトリウム/炭酸ナトリウム飽和溶液1000gを秤採り、スラリー等の調製温度とした恒温槽にて2×4cmの3枚のプロペラ羽のついた撹拌翼を200r/minの速度で回転させて撹拌する。LASENTEC製インライン式粒体モニタリングシステムにて前述と同様の方法で測定を開始する。供試サンプル100gを30秒以内で添加して60分間撹拌と測定を続ける。60分後の平均粒径(粒子数の積算値が50%時のコード長)が40μm以下となる炭酸ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウムに由来する微細結晶、例えば、炭酸ナトリウム及びその水和物、硫酸ナトリウム及びその水和物、炭酸ナトリウムと硫酸ナトリウムの複塩の少なくともいずれかが析出した場合、該供試サンプルは、炭酸ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウムに対する微細結晶析出剤である。又、析出する微細結晶の平均粒径はより好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下、最も好ましくは10μm以下である。尚、析出物は、X線回折、元素分析等の分析を行うことで同定する。
微細結晶析出剤としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩化物、臭化物、沃化物、弗化物のような溶解強度の高い塩類があげられる。又、エタノール、メタノール、アセトン等の水と相溶する溶剤や(無水)ゼオライト等の水和力の大きい物質も微細結晶析出剤として挙げられる。即ち、微細結晶析出剤は、該微細結晶析出剤の溶解や水和等によって、第1調製液において水溶性塩類の溶解に使用されている水を奪うことにより、第1調製液の液相から水溶性塩類を析出させる効果を有する基剤である。
溶解強度の観点からは、臭化物、沃化物が好ましいが、洗剤粒子群の保存安定性等の点からは、塩化物が好ましく、又洗浄性能に与える影響から、アルカリ金属塩が好ましい。中でも経済的見地から塩化ナトリウムが特に好ましい。
尚、微細結晶析出剤の界面活性剤担持用顆粒群中の含有量は、十分な微細結晶析出効果を発現させる観点及び洗剤組成物とした時の洗浄性能を維持する観点から、0.2〜35重量%が好ましく、0.5〜30重量%がより好ましく、1〜25重量%が更に好ましく、2〜20重量%が中でも好ましく、4〜15重量%が特に好ましい。
又、第2調製液における水溶性の微細結晶析出剤の溶解率は、第1調製液の溶液部分により多く溶け込むことによって第2調製液中により多数の析出物を発生させて噴霧乾燥後に得られる担持用顆粒群の液状組成物に対する担持サイトをより好ましい構造とする観点から、高い方が好ましい。微細結晶析出剤の溶解率は、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは85重量%以上、中でも好ましくは90重量%以上、その中でも好ましくは95重量%以上、最も好ましくは完全に溶解することである。
第2調製液における微細結晶析出剤の溶解率は公知の分析手法を組み合わせることによって測定できる。例えば、第2調製液を減圧濾過し、濾液中の水分濃度P(%)を遠赤外線ヒータ式水分計(島津製作所(株)製)等で測定する。更に濾液中の微細結晶析出剤濃度S(%)をイオンクロマトグラフィ等で求める。第2調製液の水分量をQ(%)とし、第2調製液における微細結晶析出剤の含有率をT(%)とすると、次式によって微細結晶析出剤の溶解率が算出される。但し、算出される上記溶解率が100%を超える場合は、溶解率は100%とする。
溶解率(%)=(100×S×Q)/(P×T) (VI)
又、第1調製液に炭酸ナトリウムと硫酸ナトリウムを共に含有させる場合には、硫酸ナトリウムを十分に溶解させた後に炭酸ナトリウムを添加するのが担持用顆粒群の担持能を高める観点から好ましい。
第2調製液の水分量は、微細結晶でない水溶性成分の未溶解物を低減し、微細結晶析出剤の効果を有効に発現させる観点から、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは35〜65重量%、40〜60重量%が最も好ましい。又、調製液の温度に関しては、水溶性塩類の溶解量及びポンプ送液性の点で好ましくは30〜80℃であり、さらに好ましくは35〜75℃である。
本態様の製法具体例としては、例えば、最初に水の全て又は殆ど全てを混合槽に加え、好ましくは水温が設定温度にほぼ到達した後に、他の成分を逐次添加して第1調製液を得る。好ましい添加順序としては、最初に液状成分及び硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等を添加する。又、ゼオライト等の水不溶性物質及び染料等の少量の補助成分も添加できる。第1調製液の溶液部分が飽和している状態で微細結晶析出剤を添加する、或いは溶液部分が未飽和の状態の場合、微細結晶析出剤の添加により、溶液部分が飽和に達するに必要な量を越えて添加する。水不溶性物質は微細結晶析出剤の添加の前に添加しても、後に添加しても、前と後に分割して添加しても構わない。最終的に均質な第2調製液を得るために、調製液に全成分を添加した後に、好ましくは10分以上、さらに好ましくは30分以上混合する。
7−1−2.第1調製液の濃縮による析出
前述した水溶性塩類を析出させる方法について検討した結果、調製液を濃縮することによって析出させる方法を見出した。即ち、溶解状態にある水溶性塩類を水溶性ポリマーの存在下で濃縮により析出させる操作を行うことによって第2調製液中に微細な結晶を多数発生させることができる。本態様における調製液の濃縮について更に詳述する。
水溶性ポリマー及び水溶性塩類を含有する第1調製液を濃縮することによって該第1調製液に溶解している水溶性塩類の一部を析出させた濃縮スラリーを得る方法について述べる。
先ず、濃縮する前の第1調製液は公知の方法により調製すれば良く、水溶性ポリマー及び水溶性塩類はどのような順序で配合しても構わない。又、水不溶性物質を配合する場合は第1調製液の濃縮前に配合しても良く、濃縮後に配合してもよい。又、濃縮操作は例えば微細結晶析出剤の配合等の処理を施した第2調製液に対して行ってもよい。
濃縮前の第1調製液に存在している未溶解の水溶性塩類の粗粒量が少ないほど、噴霧乾燥後に得られる担持用顆粒群の担持能は高くなる。従って、該濃縮前の第1調製液における水溶性塩類の溶解率は50〜100重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましく、90〜100重量%が特に好ましい。溶解率が100重量%に満たない場合には、後述の湿式粉砕機等を用いて該第1調製液を粉砕して未溶解物を微細化することも好ましい態様である。第1調製液の湿式粉砕は濃縮スラリーに対して行っても構わない。尚、水溶性塩類の溶解率は前述した方法によって測定される。
次に、第1調製液を濃縮することにより、該第1調製液に溶解している水溶性塩類を析出させる。濃縮の程度は、第1調製液中の水分の低減量で測定することができる。該第1調製液中の水分の低減量としては、特に限定はなく、析出する水溶性塩類の量が好ましい範囲となる様に適宜設定すればよい。また、第1調製液中の水分量には、特に限定はない。濃縮のための装置としては、一般に普及している濃縮装置であればどのようなものでもよい。例えば、液が蒸発缶内部の加熱管内を沸騰しつつ上昇し、中央の濃縮液捕集管に集まって落下し自然循環する自然循環式蒸発缶や、蒸発缶と加熱缶の間を循環ポンプを用いて液を高速で循環させ、蒸発缶で水分を蒸発させる外側加熱強制循環式蒸発缶や、液を竪型加熱缶の上部から流入させ、加熱管内壁を均一な液膜となって流下する間に蒸発濃縮が行われる薄膜流下式蒸発缶があり、これらは単独で用いてもよいし多重効用化してもよい。減圧した蒸発缶中に沸点以上に加熱した液を射出することにより水分を蒸発させるフラッシュ型蒸発装置も有効である。
本態様で用いる第1調製液は濃縮に伴って水溶性塩類の結晶を生じさせるため、スケールが濃縮装置内に付着しやすい。そのため、付着したスケールを除去できる機能を有した濃縮装置やスケールが付着し難い構造の濃縮装置を用いることがより好ましい。前者の装置としては、上述した薄膜流下式蒸発缶にスケール掻き取り用の攪拌羽根を備えた装置、例えばワイプレン(神鋼パンテック(株)製)がある。後者の装置としては、プレートタイプのヒーティングエレメントを蒸発缶内部に持ち、減圧下でこのヒーティングエレメントの表面に液を流すことにより濃縮を行うロスコエバポレーター(住友重機(株)製)がある。
7−1−3.第1調製液の温度調整による溶解量の低減による析出
前述した水溶性塩類を析出させる方法について検討した結果、水溶性塩類の溶解量が低下するように第1調製液の温度を変える方法を見出した。即ち、第1調製液における水溶性塩類の溶解量が低下するように温度調整を行い、溶解状態にある水溶性塩類を水溶性ポリマーの存在下で析出させることによって調製液に微細な結晶を多数析出させることができる。本態様における調製液の温度調整による溶解量の低減による析出について更に詳述する。
水溶性ポリマー及び水溶性塩類を含有する第1調製液において水溶性塩類の溶解量が低下するように該第1調製液の温度を変化させることによって、溶解している水溶性塩類の一部を析出させた第2調製液を得る方法について述べる。
先ず、温度変化操作を行う前の第1調製液は公知の方法により調製すればよい。又、水不溶性物質を配合する場合は第1調製液の温度変化操作前に配合しても良く、温度変化操作後に配合してもよい。又、水溶性ポリマーの一部を該操作後の第2調製液に配合しても良い。それにより析出する水溶性塩類の結晶の大きさを調節することもできる。又、温度変化操作は濃縮操作と同様に第2調製液に対して行ってもよい。
温度変化操作前の第1調製液に存在している未溶解の水溶性塩類の粗粒量が少ないほど、得られる界面活性剤担持用顆粒群の担持能は高くなる。従って、温度変化操作前の第1調製液における水溶性塩類の溶解率は、50〜100重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましく、90〜100重量%が特に好ましい。溶解率が100重量%に満たない場合には、後述の湿式粉砕機等を用いて第1調製液を粉砕して未溶解物を微細化することも好ましい態様である。調製液の湿式粉砕は温度変化操作後の第2調製液に対して行っても構わない。尚、水溶性塩類の溶解率は前述した方法によって測定される。
次に、第1調製液の温度を変化させることにより、溶解している水溶性塩類の一部を析出させる。第1調製液の温度を変化させる方法としては、第1調製液を調製する際に外部ジャケットや内部コイル等を備えた装置を使用し、これらを用いて加熱/冷却する方法等が挙げられる。
温度変化操作を行う前の第1調製液の温度は、該調製液に含まれる水溶性塩類の溶解率が高くなるように設定することが好ましく、配合する水溶性塩類の種類及び量により最適な温度を決定する。
温度変化操作後の第2調製液の温度は、該調製液における水溶性塩類の溶解率が低くなるように設定するが、配合する水溶性塩類の種類及び量により加熱/冷却の選択をしなければならない。洗剤原料として好適に用いられる硫酸ナトリウムや炭酸ナトリウムは40℃付近で最大の溶解量を示すため、これらの原料を用いる場合は温度変化操作前の第1調製液を40℃程度に調整し、温度変化操作後の第2調製液の温度を50〜70℃に調整して行うのが好ましい。
なお、第1調製液の温度を変化させることに併せて、例えば、フラッシュ濃縮等を行うことで、溶解している水溶性塩類の析出を促進することも好ましい態様である。
7−2.第1調製液中の水溶性塩類粒子の湿式粉砕
本態様は、工程(a)で水溶性ポリマーと水溶性塩類を含有する溶液又はスラリーからなる第1調製液を調製し、工程(b)で第1調製液中の水溶性塩類の粒子を湿式粉砕するものである。本態様において湿式粉砕する前の第1調製液は公知の方法により調製するが、水溶性ポリマー及び水溶性塩類はどのような順序で配合しても構わない。水不溶性物質は、第1調製液を湿式粉砕処理する前に配合してもよいし、湿式粉砕処理した後に配合してもよいが、水不溶性物質の凝集塊を解砕して均一に分散させる観点から湿式粉砕処理する前に配合する方が好ましい。例えば、結晶性アルミノ珪酸塩のカルシウム交換速度を向上することができる。
又、第1調製液中に存在する水溶性塩類の粒子は、細かく粉砕するほど後工程にて噴霧乾燥して得られる界面活性剤担持用顆粒群の担持能向上効果は大きくなる。
第1調製液の湿式粉砕処理は、該調製液中の水溶性塩類の粒子を粉砕することによって、後工程の噴霧乾燥によって得られる担持用顆粒中の担持サイトの形成に該水溶性塩類を利用し得るものとする処理である。該湿式粉砕は、第1調製液に炭酸ナトリウム由来の水溶性固体が存在している場合に効果が特に大きい。具体例を示せば、重合体ポリカルボキシレート及び硫酸ナトリウムを炭酸ナトリウムより前に混和することによって得られた第1調製液に炭酸ナトリウム由来の複塩であるバーケアイトを形成させた場合、該バーケアイトは、その大部分が添加した炭酸ナトリウムの表面で形成した粗大粒子として存在する。バーケアイトは、このような粗大粒子として存在すれば担持用顆粒群の担持サイトの形成に殆ど寄与し得ないが、湿式粉砕で微細化することによって担持用顆粒群における担持サイトの形成に有効に利用され、該顆粒群の担持能が向上される。
又、炭酸ナトリウムを第1調製液に配合した場合の利点を述べると、炭酸ナトリウムを乾式粉砕機にて微粉砕して該調製液に配合した場合、未溶解物は水和凝集して大きな粗粒を形成してしまうが、炭酸ナトリウムを第1調製液に配合した後に湿式粉砕をした場合は、このような凝集による粗粒の形成を抑制することができる。
湿式粉砕処理の条件は、第1調製液中の水溶性塩類の濃度、使用する粉砕装置等により一概には限定できない。本態様に使用しうる粉砕装置については、一般に知られている湿式粉砕装置であればどのようなものでもよい。通常用いられる湿式粉砕装置としては、(i)粉砕メディアを利用して微粉砕する形式の装置、(ii)粉砕刃とステーターとのギャップ間で微粉砕する形式の装置がある。
(i)としては、竪型の円筒状ベッセル内のメディアを攪拌翼もしくは攪拌ディスクで攪拌しながら、ベッセル下部より処理液を供給してメディアの流動速度差によって生じる剪断力により粉砕を行い、ベッセル上部より処理液を排出する装置がある。このような装置の連続型として、サンドグラインダー(五十嵐機械製造(株)製)、ユニバーサルミル((株)三井三池製作所製)があり、回分型としてアクアマイザ(ホソカワミクロン(株)製)がある。同様の構造を持った横型の連続型として、ダイノーミル(WAB社製)がある。又、円筒状のローターとそれを包むような環状のケーシングからなり、ローターの下部中心から供給した処理液をメディアの高速回転力によって粉砕を行うダイヤモンドファインミル(三菱重工業(株)製)、コボール・ミル(神鋼パンテック(株)製)がある。
(ii)としては、粉砕歯を持ったロータとステータから構成され、処理液がこの隙間を通過する際、剪断力を繰り返し与えることによって粉砕するコロイド・ミル(神鋼パンテック(株)製)、トリゴナル(三井三池化工機(株)製)がある。同様の粉砕機構を持つが、ロータとステータが砥石であるグローミル((株)グローエンジニアリング製)、スーパーマスコロイダー(増幸産業(株) 製)、コランダム・ミル(神鋼パンテック(株)製)がある。又、第1タービンとステーターで剪断粗粉砕し、第2ローターとステーターで微粉砕するホモミックラインミル(特殊機化工業(株)製)がある。更に、乳化分散・均一混合・微粒化機能を兼備えた湿式乳化分散機で、高速回転する特殊形状の回転子と、それに噛み合う固定子により液にメガヘルツ単位の強力な衝撃を与え、高圧ホモジナイザー並みの分散効果を得ることができるキャビトロン(太平洋機工(株)製)がある。
7−3.調製液への微粒子添加
本態様は、工程(a)で水溶性ポリマーと水溶性塩類を含有する溶液又はスラリーからなる第1調製液を調製し、工程(b)で第1調製液に実質的に溶解しないで存在し得る条件下に水溶性塩類の微粒子を第1調製液に添加するものである。本態様において、「第1調製液に実質的に溶解しないで存在し得る条件下」とは、第1調製液の溶液部分が飽和している場合には、添加する微粒子が溶解しないことを意味し、また、溶液部分が未飽和の状態にある場合には、微粒子の添加により飽和するまでは溶解するが、飽和に達した後はさらには溶解しないということを意味する。該水溶性塩類の微粒子は、第1調製液において溶け残った水溶性塩類と実質的に同じ塩類及び/又は最初に析出する水溶性塩類と同じ塩類及び/又は第2調製液において最も溶解強度の小さい塩類となるものである。
また、水溶性塩類の微粒子を添加する前の第1調製液は公知の方法により調製するが、水溶性ポリマー及び水溶性塩類はどのような順序で配合しても構わない。水不溶性物質を配合する場合は第1調製液に該微粒子を添加する前に配合してもよいし、後に配合してもよい。
尚、上述の水溶性塩類の微粒子としては、第1調製液から最初に析出する水溶性塩類と実質的に同一組成の微粒子が好ましい。「第1調製液から最初に析出する水溶性塩類と実質的に同一組成の微粒子」とは、該微粒子を添加する前の第1調製液中に水溶性塩類の粒子が存在しない場合には、該微粒子を添加する前の第1調製液において水分の一部を蒸発させた時に析出する物質及び/又は温度を変化させた時に析出する物質と実質的に同一の組成の微粒子を指す。尚、該微粒子の製造法としては、市販されている該当物質を微粉砕することが考えられるが、水溶性ポリマーの存在下で微細結晶化させることがより好ましい。具体的には、該微粒子と同一組成の物質を水溶性ポリマーとともに水に溶解させ、噴霧乾燥等により結晶化させ、これを粉砕機により微細化して該微粒子とする。微粉砕機としてはローラーミル、ボールミル、衝撃式粉砕機等があり、ローラーミルとしてはUSVミル(宇部興産(株)製)、MRSミル(三菱重工(株)製)、SHミル(IHI製)等があり、ボールミルとしてはダイナミックミル(三井三池化工機(株)製)、バイブレーションミル(中央化工機商事(株)製)等があり、衝撃式粉砕機としてはアトマイザー、パルペライザー(いずれも不二パウダル(株)製)等がある。
又、該微粒子は、平均粒径の小さいものほど後工程にて噴霧乾燥して得られる界面活性剤担持用顆粒群の担持能向上効果は大きくなる。この観点から、該微粒子の平均粒径は、40μm以下であることが好ましく、35μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、25μm以下が中でも好ましく、20μm以下とすることがその中でも好ましく、15μm以下とすることが更にその中でも好ましく、10μm以下とすることが特に好ましい。尚、該平均粒径は、下記の方法によって測定される。
1Lのステンレスビーカーにエタノール1000gを秤採り、20℃の恒温槽にて2×4cmの3枚のプロペラ羽のついた撹拌翼を200r/minの速度で回転させて撹拌する。続いて上述した微粒子を20g投入する。10分間測定した時点の粒度分布を前述したLASENTEC製インライン式粒体モニタリングシステム(TSUB-TEC M100 )にて同様の方法で測定する。尚、メジアンコード(粒子数の積算値が50%時の粒径)を平均粒径とする。
また、以上の態様において、工程(b)に関して、水溶性塩類の粒子の個数を増大させる処理が、(1)第1調製液に微細結晶析出剤を添加する、(2)第1調製液を濃縮する、(3)水溶性塩類の溶解量が低下するように第1調製液の温度を調整する、(4)第1調製液中の水溶性塩類の粒子を湿式粉砕する、(5)第1調製液に実質的に溶解しないで存在し得る条件下に、第1調製液中の水溶性塩類と同一又は異なる水溶性塩類の微粒子を第1調製液に添加する、からなる群より選ばれる1つ以上であることが好ましい。
以上のような態様の工程(a)及び工程(b)により、第2調製液が得られる。
8.陥没顆粒の調製法
本発明の担持用顆粒群は、該顆粒群を構成する顆粒の少なくとも一部の顆粒が内部に中空部を有し、且つ顆粒の表面が開口して内部の中空部と通じた形状(陥没孔)を有する顆粒(陥没顆粒)であるものが好ましく、界面活性剤を担持し得る顆粒の表面から内部にかけて微細な針等で穴を設けることによって調製される。
又、本発明の陥没顆粒をより効率的に製造する方法として、前記のようにして得られた主に水溶性ポリマー及び水溶性塩類を含有する第2調製液の界面活性剤含有量を0〜2重量%とし、且つ水溶性塩類の粒子の個数が増大された第2調製液の水分量を35〜65重量%の範囲に調整し、該調製液を噴霧乾燥する方法が挙げられる。
本発明においては、第2調製液の界面活性剤及び水分の含有量をそれぞれ前記範囲内に調整すること及び第2調製液に水溶性塩類の粒子の個数を増大させること、即ち水溶性塩類を未溶解の状態で存在させることにより、噴霧乾燥顆粒群中の陥没顆粒の含有率を著しく増大させることができるという効果が発現される。
第2調製液の界面活性剤の含有量は、該調製液を噴霧乾燥することによって得られる顆粒群中の陥没顆粒の含有率を高める観点から、0〜2重量%であり、好ましくは0〜1重量%、更に好ましくは0重量%である。
第2調製液の水分量は、35〜65重量%が好ましい。又、該水分量は、担持用顆粒群の担持容量を大きくすると共に十分な陥没孔を開ける観点から、35重量%以上、好ましくは37重量%以上、より好ましくは39重量%以上、更に好ましくは41重量%以上、特に好ましくは43重量%以上、最も好ましくは45重量%以上である。又、水分量は、液滴の温度上昇による破裂を抑制する観点から、65重量%以下、好ましくは62.5重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは57.5重量%以下、最も好ましくは55重量%以下である。
又、第2調製液におけるその他の成分の含有量として、水溶性ポリマーは1〜20重量%が好ましく、より好ましくは3〜15重量%、更に好ましくは5〜10重量%であり、水溶性塩類は7〜59重量%が好ましく、より好ましくは14〜45重量%、更に好ましくは20〜35重量%である。さらに水不溶性物質を含有する場合、3〜32重量%が好ましく、より好ましくは7〜25重量%、更に好ましくは10〜18重量%である。
かかる組成を有する調製液は、ポンプでの送液が可能で非硬化性であればよい。又、各成分の添加方法及び順序については、状況に応じて適宜変更することができる。
又、第2調製液には、水溶性塩類の一部が未溶解の状態で存在している。本発明においては、このように該調製液には、水溶性塩類の一部が未溶解の状態で存在していることにより、担持用顆粒群に陥没孔を発生させること及び液状界面活性剤組成物の担持能を高めることができるという利点がある。
水溶性塩類の未溶解量は、第2調製液の0.5〜15重量%が好ましく、より好ましくは1〜11重量%、更に好ましくは2〜9重量%、3〜7重量%が最も好ましい。又、上記の未溶解の水溶性塩類の粒子(以下、未溶解物質ともいう)の平均粒径は80μm以下であることが好ましく、より好ましくは60μm以下、更に好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下、最も好ましくは20μm以下である。
尚、未溶解物質を第2調製液に存在させる方法としては、例えば、水溶性塩類の量と水の量を前記範囲内に調整すること、水溶性塩類の溶解量を考慮して該調製液の温度を調整する等の手段が挙げられる。又、未溶解物の粒径を小さくする手段としては、第1調製液に実質的に溶解しないで存在し得る条件下に水溶性塩類の微粒子を第1調製液に添加する、第1調製液の未溶解物を粉砕等によって小さくする、第1調製液の温度を変動させることによって溶解量を下げて結晶を析出させる、第1調製液の水分の一部を蒸発させて結晶を析出させる、微細結晶析出剤を第1調製液に配合し、溶解している水溶性塩類の結晶を析出させる等の前述した手段が挙げられる。
尚、水溶性塩類の未溶解量の測定に関しては、第2調製液を遠心分離することによって上澄み液、即ち第2調製液の溶液部分を回収する。該溶液を約3g精密天秤で秤量a(g)し、105℃で4時間乾燥した後、デシケーター内で30分冷却し、上澄み液の乾燥残分を精密天秤で秤量b(g)する。ここでb/(a−b)×100で上澄み液の溶解量c(%)を算出する。又、乾燥残分中に含まれる水溶性塩類の含有率d(%)を分析する。第2調製液の水分含有率e(%)及び第2調製液の水溶性塩類含有率f(%)を用いて下記式によって水溶性塩類の未溶解量(%)を算出する。
未溶解量(%)=f−e×(c/100)×(d/100) (VII )
又、未溶解水溶性塩類の平均粒径の測定に関しては、前述したインライン式粒体液滴モニタリングシステム(LASENTEC製「TSUB-TEC M100 」)を用いることで測定できる。
第2調製液は、公知の方法を用いて第1調製液を得た後、該調製液に前述の水溶性塩類の粒子の個数を増大させる処理を施すことによって得られる。
噴霧乾燥過程において担持用顆粒群に陥没顆粒を発生させる方法としては、該担持用顆粒群の組成が異なると最適な制御範囲に差異が生じるものの、該組成に適した乾燥条件範囲に制御すること及び第2調製液の水分量を制御することが挙げられる。
乾燥条件の制御においては、噴霧された液滴を速く乾燥させる条件、即ち噴霧した直後の液滴周辺の温度を85℃以上とすることが好ましく、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは95℃以上とすることが好ましい。但し、含有成分の熱分解の観点から、送風温度は、好ましくは400℃以下、より好ましくは350℃以下、更に好ましくは325℃以下、中でも好ましくは300℃以下である。
9.界面活性剤担持用顆粒群の物性
本発明の担持用顆粒群の嵩密度は、液状界面活性剤組成物の担持容量を確保する観点及び液状界面活性剤組成物を担持した後の嵩密度を確保する観点から、300〜1000g/Lが好ましく、350〜800g/Lがより好ましく、400〜700g/Lが更に好ましく、450〜600g/Lが特に好ましい。
又、担持用顆粒群に液状界面活性剤組成物を担持してなる洗剤粒子群を含む洗剤組成物を使用した際の粉立ち性及び溶解性の観点から担持用顆粒群の平均粒径としては、140〜600μmが好ましく、160〜500μmがより好ましく、180〜400μmが更に好ましい。
担持用顆粒群の好ましい液状界面活性剤組成物の担持容量は、液状界面活性剤組成物配合量の許容範囲を大きくする観点から、0.35mL/g以上、さらに好ましくは0.40mL/g以上、特に好ましくは0.45mL/g以上、最も好ましくは0.50mL/g以上である。
担持用顆粒群の好ましい担持速度は、液状界面活性剤組成物をより速く効率的に吸収することによって生産性を高める観点から0.2mL/g以上が好ましく、0.3mL/g以上がより好ましく、0.4mL/g以上が更に好ましい。
担持用顆粒群の赤外線水分計で測定した水分量は、該顆粒群の液状界面活性剤組成物の担持容量を多くする観点から少ない方が好ましく、好ましくは14重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは6重量%以下である。
尚、前記嵩密度、平均粒径、液状界面活性剤組成物の担持容量、担持速度及び水分量は、後述の物性の測定方法に記載の方法で測定することができる。
10.洗剤粒子群の組成及び物性
本発明の洗剤粒子群は、前記担持用顆粒群に界面活性剤組成物を担持させてなるものである。
界面活性剤組成物において、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤をそれぞれ単独で用いることもできるが、両者を混合して用いるのがより好ましい。特に30℃以下に融点を有する非イオン性界面活性剤を用いる場合は、界面活性剤の融点を上昇させる作用を有する、融点45〜100℃、分子量1千〜3万の水溶性非イオン性有機化合物(以下、融点上昇剤という)又はこの水溶液を併用する事が好ましい。なお、本発明で用いることのできる融点上昇剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プルロニック型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。又、両性界面活性剤や陽イオン性界面活性剤を目的に合わせ併用することもできる。又、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の陰イオン性界面活性剤を洗剤粒子群中に5〜25重量%配合することによって、低温の水中における洗剤粒子群の分散性を向上する効果が発揮される。
界面活性剤組成物としては、例えば、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤よりなる群から選ばれた1種以上を用いることができる。陰イオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩又はこのエステル、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤等が例示される。特に炭素数10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10〜18のアルキル硫酸塩又はアルキルエーテル硫酸塩があげられ、対イオンとしてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミンが好ましい。
更に、消泡効果を得るために脂肪酸塩を併用することができる。好ましい脂肪酸の炭素数は、12〜18である。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル又はアルケニルエーテル、商標プルロニックに代表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド、アルキルグルコースアミド、アルキルアミンオキサイド等があげられる。中でも親水性の高いもの及び水と混和した際に生じる液晶の形成能の低い若しくは液晶を生じないものが好ましく、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルが特に好ましい。好ましくは炭素数が10〜18、好ましくは12〜14であり、平均付加モル数が5〜30、好ましくは7〜30、より好ましくは9〜30、より好ましくは11〜30であるアルコールのエチレンオキサイド(以下EO)付加物、その他に炭素数8〜18のアルコールのEO付加物及びプロピレンオキサイド(以下PO)付加物であることが好ましい。付加順序としてはEOを付加した後にPOを付加したもの、POを付加した後にEOを付加したもの、あるいはEOとPOをランダムに付加したものを用いることができるが、特に好ましい付加順序を有するものとしては、EOを付加した後、POをブロック付加し、更にEOをブロック付加した一般式:
R−O−(EO)X −(PO)Y −(EO)Z −H
〔式中、Rは炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、X、Y及びZはそれぞれ平均付加モル数を表す。〕
で表されるものであり、その中でも最も好ましい平均付加モル数の関係に関しては、X>0、Z>0、X+Y+Z=6〜14であり、X+Z=5〜12であり、Y=1〜4である。
陽イオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボベタイン型のもの、スルホベタイン型のもの等が例示される。
陰イオン性界面活性剤の配合量は、非イオン性界面活性剤100重量部に対し0〜300重量部が好ましく、更に好ましくは20〜200重量部、特に好ましくは30〜180重量部である。非イオン性界面活性剤の融点上昇剤の配合量は、非イオン性界面活性剤100重量部に対し1〜100重量部が好ましく、更に好ましくは5〜50重量部である。この範囲において、該組成物は、該組成物の流動点以上の温度で該組成物の粘度が10Pa・s以下、好ましくは5Pa・s以下、特に好ましくは2Pa・s以下となる温度域を有し、且つ該組成物の流動点より低く非イオン性界面活性剤の融点より高い温度範囲において該組成物の進入硬度が10kPa以上、好ましくは30kPa以上、特に好ましくは50kPa以上となる温度域を有することで、該組成物及び洗剤粒子群の製造時の取り扱い性が良好となることと洗剤粒子群の保存時における非イオン性界面活性剤のシミ出しを抑制できることから、好適である。
界面活性剤組成物の物性値は以下の方法により測定することができる。流動点は、JIS K 2269の方法により測定することができる。融点は、FP800サーモシステムの「メトラーFP81」(Mettler Instrumente AG製)を用い、昇温速度0.2℃/minで測定される。粘度は、B型粘度計(TOKYO KEIKI社製 「DVM−B型」)、ローターNo.3、60r/minの条件で測定して求める。又、該条件での測定値が2Pa・sを越え、測定不能となる場合は、ローターNo.3、12r/minの条件で測定して求める。進入硬度は、レオメーター(「NRM−3002D」、不動工業(株)製)と直径8mm、底面積0.5cm2 の円形アダプター(No.3、8φ)を用い、アダプターが界面活性剤組成物の内部に進入速度20mm/minで20mm進入したときの荷重を円形アダプターの底面積で除した値である。
界面活性剤組成物の添加量は、洗浄性及び溶解性の観点から、担持用顆粒群100重量部に対して、10〜100重量部の範囲が好ましく、20〜80重量部の範囲がより好ましく、30〜60重量部の範囲が特に好ましい。ここでいう界面活性剤組成物の添加量とは、調製液に界面活性剤が添加されていても、その界面活性剤の添加量を含まないものである。
界面活性剤組成物と担持用顆粒群とを混合する際に、所望により該顆粒群以外の粉体原料を添加してもよく、添加量としては該顆粒群100重量部に対して、0〜150重量部が好ましい。粉体原料としては、例えば、アルミノ珪酸塩、SKS−6(クラリアント社製)等の結晶性珪酸塩等が挙げられる。
又、洗剤粒子群には、上記の界面活性剤組成物以外の成分として担持用顆粒群において例示した水溶性ポリマー、水溶性塩類、水不溶性物質、その他の成分を含むことができる。尚、水不溶性物質を使用する際には、後述する結晶性珪酸塩等も含有することができる。
尚、バインダーとなりうる界面活性剤等の成分と粉体原料を用いて洗剤粒子群を製造した際には、洗剤粒子群は該成分による凝集層で被覆されて担持用顆粒群の形状を外観からのみでは確認できない場合がある。この場合における担持用顆粒群の形状を識別する方法の一つとして、洗剤粒子群から有機溶媒可溶分を抽出し、担持用顆粒群を分離することによって確認することがあげられる。又、抽出に用いる有機溶媒の種類は洗剤粒子の各構成単位を結合しているバインダー物質の種類によって適宜選択する。
以下に溶媒抽出による界面活性剤担持用顆粒群の形状の確認方法を例示する。
縮分・秤量した洗剤粒子群15gをウォーターバスで加温した95%エタノール300mLによって1時間還流操作した後、熱エタノールで十分に洗浄しながら徐々にエタノール不溶分を吸引濾過で濾別する。分離したエタノール不溶分を24時間減圧下で乾燥した後、不溶分の顆粒構造を破壊しないように注意深く回収する。このような操作を数回行い100gのエタノール不溶分を得る。得られたエタノール不溶分をJIS Z 8801の標準篩を用いて10分間振動させた後、各篩上の重量の測定及び上記各目開き篩にて分級された顆粒を観察・分析し、得られた顆粒群が本発明の担持用顆粒群であるか否かの確認及び後工程で添加されたエタノール不溶分の有無の確認を行う。エタノール不溶分中に担持用顆粒群に後工程で添加されたエタノール不溶分が確認される場合には、後工程添加分による粒度分布への影響を取り除いて担持用顆粒群の平均粒径を求める。即ち、適正に選択された溶媒あるいはその組み合わせによって溶媒不溶分の分別操作を行うことによって、界面活性剤組成物及び後工程で添加された成分等を除いた後、担持用顆粒群の形状を確認することができる。
本発明による洗剤粒子群の好ましい物性は、以下の通りである。
嵩密度は、好ましくは500〜1000g/L、より好ましくは600〜1000g/L、特に好ましくは650〜850g/Lである。
平均粒径は、好ましくは150〜500μm、より好ましくは180〜400μmである。
11.洗剤粒子群の製法
洗剤粒子群を得る好適な製法は、以下の工程(I)を含んでなり、更に必要に応じて工程(II)を含んでもよい。
工程(I):界面活性剤組成物が液状又はペースト状の条件下にて、本発明の製法で得られた界面活性剤担持用顆粒群と混合する工程。
工程(II):工程(I)で得られた混合物と表面被覆剤とを混合し、粉末洗剤粒子群の表面を該表面被覆剤で被覆する工程。但し、工程(II)は解砕が同時に進行する場合も含まれる。
<工程(I)>
担持用顆粒群へ界面活性剤組成物を担持させる方法としては、例えば、回分式や連続式の混合機を用いて、担持用顆粒群と界面活性剤組成物とを混合する方法が挙げられる。ここで、回分式で行う場合に、混合機への仕込み方法としては、(1)混合機に先ず担持用顆粒群を仕込んだ後、界面活性剤組成物を添加する、(2)混合機に担持用顆粒群と、界面活性剤組成物を少量ずつ仕込む、(3)担持用顆粒群の一部を混合機に仕込んだ後、残りの担持用顆粒群と界面活性剤組成物とを少量ずつ仕込む等の方法をとることができる。
界面活性剤組成物の中で、実用上の温度範囲内、例えば、50〜90℃において昇温しても固体あるいはペースト状で存在するものについては、これらを予め、粘性の低い非イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤水溶液又は水中に、分散又は溶解させて界面活性剤組成物の混合液又は水溶液を調製し、該混合液又は水溶液の形態で担持用顆粒群に添加すれば良い。この方法により、固体あるいはペースト状で存在する界面活性剤組成物をも容易に担持用顆粒群に添加することができる。粘性の低い界面活性剤組成物又は水と固体あるいはペースト状の界面活性剤組成物の混合比率は、得られる混合液又は水溶液が噴霧可能である粘度範囲であれば好ましい。
上記混合液の製法は、例えば、粘性の低い界面活性剤又は水に固体あるいはペースト状の界面活性剤組成物を投入して混合する方法や、粘性の低い界面活性剤中又は水中で界面活性剤の酸前駆体、例えば、陰イオン性界面活性剤の酸前駆体をアルカリ剤(例えば水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液)で中和することにより界面活性剤組成物の混合液を調製してもよい。
又、この工程において、界面活性剤組成物の添加前、界面活性剤組成物の添加と同時、界面活性剤組成物の添加途中、又は界面活性剤組成物添加後に陰イオン性界面活性剤の酸前駆体を添加することも可能である。陰イオン性界面活性剤の酸前駆体を添加することで、界面活性剤の高配合化、担持用顆粒群の担持能、担持能コントロール及び洗剤粒子群の非イオン性界面活性剤のシミ出し抑制、流動性等の物性・品質の向上が可能となる。
本発明で用いることのできる陰イオン性界面活性剤の酸前駆体としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸、アルキル又はアルケニル硫酸、α−オレフィンスルホン酸、α−スルホン化脂肪酸、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸、脂肪酸等が挙げられる。脂肪酸を界面活性剤の添加後に添加することが洗剤粒子群の流動性向上の観点より特に好ましい。
陰イオン性界面活性剤の酸前駆体の使用量は、担持用顆粒群100重量部に対して0.5〜30重量部が好ましく、1〜20重量部がより好ましく、1〜10重量部がさらに好ましく、1〜5重量部が特に好ましい。なお、該酸前駆体の使用量は、本発明における界面活性剤組成物の量には算入しない。又、陰イオン性界面活性剤の酸前駆体の添加方法としては、常温で液体のものは噴霧して供給することが好ましく、常温で固体のものは粉末として添加してもよく、溶融させた後噴霧して供給してもよい。ただし、粉末で添加する場合は、粉末が溶融する温度まで混合機中の洗剤粒子群の温度を昇温するのが好ましい。
好ましい混合装置として具体的には、以下のものが挙げられる。回分式で行う場合は、(1)〜(3)のものが好ましい。(1)ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)、レディゲミキサー(松坂技研(株)製)、プロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)、特開平10−296064号公報、特開平10−296065号公報記載の混合装置等、(2)リボンミキサー(日和機械工業(株)製)、バッチニーダー(佐竹化学機械工業(株)製)、リボコーン((株)大川原製作所製)等、(3)ナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製)、SVミキサー(神鋼パンテック(株)製)等がある。上記の混合機の中でも好ましくは、レディゲミキサー、プロシェアミキサー、特開平10−296064号公報、特開平10−296065号公報記載の混合装置等があり、後述の工程(II)を同一の装置で行うとこができるので、設備の簡略化の点から好ましい。中でも、特開平10−296064号公報、特開平10−296065号公報記載の混合装置は通気によって混合物の湿分や温度を調節し、界面活性剤担持用顆粒群の崩壊を抑制できることから好ましい。また、強い剪断力を与えることなく、粉体と液体の混合が可能なナウターミキサー、SVミキサー、リボンミキサー等の混合装置も、界面活性剤担持用顆粒群の崩壊を抑制できる点から好ましい。
又、上記の混合機の連続型の装置を用いて担持用顆粒群と界面活性剤組成物を混合させてもよい。又、上記以外の混合機の連続型の装置としては、フレキソミックス型((株)パウレック製)、タービュライザー(ホソカワミクロン(株)製)等がある。
又、この工程において、非イオン性界面活性剤が使用される場合、この界面活性剤の融点を上昇させる作用を有する、融点45〜100℃、分子量1千〜3万の水溶性非イオン性有機化合物(以下、融点上昇剤)又はこの水溶液を、界面活性剤組成物の添加前、界面活性剤組成物の添加と同時、界面活性剤組成物の添加途中、又は界面活性剤組成物添加後、あるいは界面活性剤組成物に予め混合して添加することが好ましい。融点上昇剤を添加することで、洗剤粒子群のケーキング性、洗剤粒子群中の界面活性剤のシミ出し性を抑制することができる。尚、これらの融点上昇剤としては、前述の洗剤粒子群の組成の融点上昇剤において例示したものと同じものを使用することができる。融点上昇剤の使用量は、担持用顆粒群100重量部に対して0.5〜8重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましく、1〜3重量部が最も好ましい。この範囲が、洗剤粒子群に含有される洗剤粒子の粒子間の凝集の抑制、高速溶解性、及びシミ出し性やケーキング性の抑制の点から好ましい。融点上昇剤の添加方法として、予め界面活性剤と任意の方法で混合して添加すること、又は界面活性剤の添加後に融点上昇剤を添加することが洗剤粒子群のシミ出し性やケーキング性の抑制に有利である。
本工程における混合機内の温度は、界面活性剤組成物の流動点以上に昇温して混合を行えば、より好ましい。なお、界面活性剤組成物の流動点は、JIS K 2269に規定の方法によって測定される。ここで、昇温させる温度としては、界面活性剤組成物の担持を促進させるために添加する界面活性剤組成物の流動点より高ければよいが、実用的な範囲を挙げると流動点を越えて流動点より50℃高い温度までが好ましく、流動点より10℃〜30℃高い温度がより好ましい。又、この工程で陰イオン性界面活性剤の酸前駆体を添加する場合は、当該陰イオン性界面活性剤の酸前駆体が反応できる温度に昇温して混合を行えばより好ましい。
好適な洗剤粒子群を得るための回分式の混合時間、及び連続式の混合における平均滞留時間は、1〜20分間が好ましく、2〜10分間が更に好ましい。
又、界面活性剤組成物として、界面活性剤の水溶液や水溶性非イオン性有機化合物水溶液を添加した場合には余剰の水分を混合中及び/又は混合後に乾燥する工程を有してもよい。
界面活性剤組成物の添加前、その添加と同時、その添加途中又はその添加後に粉末の界面活性剤及び/又は粉末ビルダーを添加することも可能である。粉末ビルダーを添加することで、洗剤粒子群の粒子径をコントロールすることができ、又洗浄力の向上を図ることができる。特に陰イオン性界面活性剤の酸前駆体を添加する場合は該酸前駆体を添加する前にアルカリ性を呈する粉末ビルダーを添加することが中和反応を促進する観点から有効である。尚、ここで言う粉末ビルダーとは、界面活性剤以外の、粉末の洗浄力強化剤を意味し、具体的には、ゼオライト、クエン酸塩等の金属イオン封鎖能を示す基剤や、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ能を示す基剤、結晶性珪酸塩等の金属イオン封鎖能・アルカリ能いずれも有する基剤、その他硫酸ナトリウム等のイオン強度を高める基剤等を指す。
ここで結晶性珪酸塩として、特開平5−279013号公報第3欄第17行(特に、500〜1000℃で焼成して結晶化させたものが好ましい。)、特開平7−89712号公報第2欄第45行、特開昭60−227895号公報第2頁右下欄第18行(特に第2表の珪酸塩が好ましい。)に記載の結晶性珪酸塩を好ましい粉末ビルダーとして用いることができる。ここで、アルカリ金属珪酸塩のSiO2 /M2 O(但しMはアルカリ金属を表す。)が0.5〜3.2のもの、好ましくは1.5〜2.6のものがより好適に用いられる。
当該粉末ビルダーの使用量としては、担持用顆粒群100重量部に対して0.5〜12重量部が好ましく、1〜6重量部がさらに好ましい。当該洗剤用粉末ビルダーの使用量はこの範囲において、溶解性の良好なものが得られる。
更に、工程(I)の後に、洗剤粒子群を表面改質する工程(II)を加えることが好ましい。
<工程(II)>
本発明においては、工程(I)により界面活性剤が担持された洗剤粒子群の粒子表面を改質するために、添加時の形態として以下の(1)微粉体、(2)液状物のような種々の表面被覆剤を添加する工程(II)を一工程以上行ってもよい。
本発明の洗剤粒子群の粒子表面を被覆すると、洗剤粒子群の流動性と耐ケーキング性が向上する傾向があるため、表面改質工程を設けることは好ましい。工程(II)で使用される装置は、例えば、工程(I)で例示した混合機のうち、攪拌翼と解砕翼を両方具備したものが好ましい。以下に表面被覆剤についてそれぞれ説明する。
(1)微粉体
微粉体としては、その一次粒子の平均粒径が10μm以下であることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。平均粒径がこの範囲において、洗剤粒子群の粒子表面の被覆率が向上し、洗剤粒子群の流動性と耐ケーキング性の向上の観点から好適である。当該微粉体の平均粒径は、光散乱を利用した方法、例えばパーティクルアナライザー(堀場製作所製)、又は顕微鏡観察による測定等で測定される。又、該微粉体が高いイオン交換能や高いアルカリ能を有していることが洗浄面から好ましい。
該微粉体としては、アルミノ珪酸塩が望ましく、結晶性、非晶質の何れでも構わない。アルミノ珪酸塩以外では、硫酸ナトリウム、珪酸カルシウム、二酸化珪素、ベントナイト、タルク、クレイ、非晶質シリカ誘導体、結晶性珪酸塩のような微粉体も好ましい。又、一次粒子が0.1〜10μmの金属石鹸、粉末の界面活性剤(例えばアルキル硫酸塩等)や水溶性有機塩も同様に用いることができる。結晶性珪酸塩を用いる場合、吸湿や吸炭酸ガスによる結晶性珪酸塩の凝集等による劣化を防ぐ目的から、結晶性珪酸塩以外の微粉体と混合して用いることが好ましい。
微粉体の使用量としては、洗剤粒子群100重量部に対して0.5〜40重量部が好ましく、1〜30重量部がより好ましく、2〜20重量部が特に好ましい。当該微粉体の使用量はこの範囲において、流動性が向上し、消費者に良好な使用感を与える。
(2)液状物
液状物としては、水溶性ポリマーや脂肪酸等が挙げられ、水溶液や溶融状態で添加することができる。
(2−1)水溶性ポリマー
水溶性ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸とマレイン酸の共重合体又はその塩等のポリカルボン酸塩等が挙げられる。当該水溶性ポリマーの使用量としては、洗剤粒子群100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましく、2〜6重量部が特に好ましい。当該水溶性ポリマーの使用量はこの範囲において、良好な溶解性、良好な流動性、耐ケーキング性を示す洗剤粒子群を得ることができる。
(2−2)脂肪酸
脂肪酸としては、例えば、炭素数10〜22の脂肪酸等が挙げられる。当該脂肪酸の使用量としては、洗剤粒子群100重量部に対して0.5〜5重量部が好ましく、0.5〜3重量部が特に好ましい。常温で固体のものの場合は、流動性を示す温度まで加温した後に、噴霧して供給することが好ましい。
12.洗剤組成物
本発明における洗剤組成物は、上述の洗剤粒子群を含有してなる組成物であり、さらに該洗剤粒子群以外に別途添加された洗剤成分(例えば、ビルダー顆粒、蛍光染料、酵素、香料、消泡剤、漂白剤、漂白活性化剤等)を含有してなる組成物である。
洗剤組成物中の洗剤粒子群の含有量は、洗浄力の点から50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上、100重量%以下が特に好ましい。
洗剤粒子群以外の洗剤成分の洗剤組成物中における含有量は、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、20重量%以下が特に好ましい。
13.物性の測定方法
本明細書における物性値は以下の方法で測定した。
(嵩密度):JIS K 3362により規定された方法で測定する。
(平均粒径):JIS Z 8801に規定の篩を用いて求める。例えば、目開きが2000μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、355μm、250μm、180μm及び125μmである9段の篩と受け皿を用い、ロータップマシーン(HEIKO SEISAKUSHO製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、100gの試料を10分間振動して篩い分けを行った後、受け皿、125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmの順番に受け皿及び各篩上に重量頻度を積算していくと、積算の重量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きをαμmとし、又αμmよりも一段大きい篩の目開きをβμmとした時、受け皿からαμmの篩までの重量頻度の積算をγ%、又αμmの篩上の重量頻度をθ%とした場合、
に従って求めることができる。
(顆粒強度):内径3cm×高さ8cmの円柱状の容器に試料20gを入れ、30回タッピング(筒井理化学器械(株)、TVP1型タッピング式密充填嵩密度測定器、タッピング条件;周期36回/分、60mmの高さから自由落下)を行い、その時の試料高さ(初期試料高さ)を測定する。その後、加圧試験機にて該容器内に保持した試料の上端面全体を10mm/minの速度で加圧し、荷重−変位曲線を求める。変位率が5%以下での直線部における傾きに初期試料高さをかけ、加圧面積で除した値を顆粒強度とする。
(液状界面活性剤組成物の担持容量と担持速度):内部に攪拌翼を備えた内径5cm×15cmの円筒型混合槽に顆粒群100gを入れ、350rpmで攪拌しながら30℃でポリオキシエチレンアルキルエーテル(C12/C14=6/4、EO=7.7、融点=25℃)を10mL/minの速度で滴下し、攪拌動力の経時変化を測定する。攪拌動力が最も高くなった時のポリオキシエチレンアルキルエーテルの投入量を顆粒群の重量(100g)で除した値を該顆粒群の担持容量(mL/g)とする。又、担持速度は、攪拌動力が最大値を示すまでに攪拌動力が上昇する過程において単位時間あたりの変化量が最も大きくなる時点のポリオキシエチレンアルキルエーテルの投入量を顆粒群の重量(100g)で除した値(mL/g)で表現され、この数値が大きいほど担持速度に優れる、即ち担持速度に優れる顆粒ほど顆粒表面でのポリオキシエチレンアルキルエーテルの余剰が抑制される結果、攪拌動力が上昇するまでの時間が遅延される。
(水分):顆粒群の水分測定は赤外線水分計法により行う。即ち、試料3gを重量既知の試料皿にはかり採り、赤外線水分計(ケット科学研究所(株)製(赤外線ランプ185W))により3分間試料の加熱、乾燥を行う。乾燥後、試料皿と乾燥試料の重量をはかる。前記操作により得られた乾燥前後の容器と試料の重量の差分を試料のはかり採り量で除し100を掛けることにより試料中の水分量を計算する。
(細孔容積分布):界面活性剤担持用顆粒群の細孔容積の測定は、水銀ポロシメータ「SHIMADZU製ポアサイザ9320」を用い、その取扱説明書に基づいて以下のように行う。即ち、200mgの界面活性剤担持用顆粒群をセルに入れ、圧入する水銀を低圧部(0〜14.2psia)と高圧部(14.2〜30000psia)に分け測定する。前後2個ずつのデータの平均をとって測定データの平滑化を行い、0.01μm〜3μmのモード径及び細孔容積を求める。
(流動性):流動時間は、JIS K 3362により規定された嵩密度測定用のホッパーから、100mLの洗剤粉末が流出するのに要する時間とする。
(耐ケーキング性):JIS P 3801に規定される2種型ろ紙(例えば、東洋濾紙(株)製「定性No2濾紙」)を用いた縦×横×高さ=10cm×6cm×4cmの上面が開口した容器を作る。この箱に試料100gを入れ、その上にアクリル樹脂板と鉛板(又は鉄板)の合計重量15g+250gをのせる。これを温度30℃、湿度80%の恒温恒湿器中に放置し、7日後にケーキング状態について判定を行う。判定は、以下のようにして通過率を求めることによって行う。通過率が高いほど、耐ケーキング性が高く、洗剤粒子群として好ましい物性である。
(通過率):試験後の試料を篩(JIS Z 8801規定の目開き4760μm)上に静かにあけ、通過した粉末の重量を計り、試験後の試料に対する通過率を求める。
(シミ出し性):JIS P 3801に規定される2種型ろ紙(例えば、東洋濾紙(株)製「定性No2濾紙」)を用いた縦×横×高さ=10cm×6cm×4cmの上面が開口した容器を作る。該容器の底面のサンプル充填面に油性マーカー(内田洋行(株)製「マジックインキM700−T1」)を用い対角線方向に線幅0.5〜1.0mmの線を引く。該容器に試料100gを充填し、その上にアクリル樹脂板と鉛板(又は鉄板)の合計重量15g+250gをのせる。これを防湿容器に入れ、温度30℃恒温器中に放置し、7日後に油性マーカーのにじみ具合を目視判定することにより、シミ出し性を判定した。判定基準は以下の通り。
ランク5:油性マーカーのにじみ幅が2cm以上
ランク4:油性マーカーのにじみ幅が1cm以上
ランク3:油性マーカーのにじみ幅が0.5cm以上
ランク2:油性マーカーのにじみがわずかに認められる
ランク1:油性マーカーのにじみが認められない。
14.洗剤組成物の製法
洗剤組成物の製法は、特に限定はなく、例えば、前記洗剤粒子群及び別途添加された洗剤成分を混合する方法が挙げられる。このようにして得られた洗剤組成物は、界面活性剤の担持容量の多い洗剤粒子を含有しているため、少量でも十分な洗浄効果を発現しうるものである。かかる洗剤組成物の用途としては粉末洗剤を用いる用途であれば特に限定はないが、例えば、衣料用粉末洗剤、自動食器用洗剤等が挙げられる。
本実施例においては、特に記載のない限り下記の原料を用いた。
硫酸ナトリウム:無水中性芒硝(四国化成(株)製)
亜硫酸ナトリウム:亜硫酸ソーダ(三井化学(株)製)
蛍光染料:チノパールCBS−X(チバスペシャリティケミカルス社製)
炭酸ナトリウム:デンス灰(平均粒径:290μm、セントラル硝子(株)製)
40重量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液:重量平均分子量1万(花王(株)製)
塩化ナトリウム:焼き塩S(日本製塩(株)製)
結晶性アルミノ珪酸ナトリウム(ゼオライト):トヨビルダー(4A型、平均粒径:3.5μm)(東ソー製)
ポリオキシエチレンアルキルエーテル:エマルゲン108KM(エチレンオキサイド平均付加モル数:8.5、アルキル鎖の炭素数:12〜14、花王(株)製)
ポリエチレングリコール:K−PEG6000(重量平均分子量:8500、花王(株)製)
無定形アルミノ珪酸塩:特開平9−132794号公報記載の調製例2を平均粒径8μmに粉砕したもの
実施例1
混合槽に水375重量部を入れ、水温が35℃に達した後に、硫酸ナトリウム127重量部、亜硫酸ナトリウム5重量部、蛍光染料1重量部を添加して10分間攪拌した。炭酸ナトリウム127重量部を添加し、40重量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液75重量部を添加し10分間攪拌して第1調製液とした。微細結晶析出剤である塩化ナトリウム24重量部を添加し、10分間攪拌した。更にゼオライト266重量部を添加し、30分間攪拌して均質な第2調製液を得た(スラリー水分42重量%)。この調製液の最終温度は40℃であった。塩化ナトリウムの添加により析出した水溶性無機塩の量は、第1調製液に溶解していたそれの16.3重量%であった。
第1調製液調製後及び塩化ナトリウム添加10分後に各調製液からサンプリングを行い、TSUB−TEC M100にて粒子個数及び粒度分布を測定した。 第1調製液中の粒子個数は778個/sで平均粒径(個数基準)は172μmであった。塩化ナトリウム添加後の第2調製液中の粒子個数は2634個/sで平均粒径は21.2μmであった。これらの測定結果より、塩化ナトリウムの添加により水溶性塩類の数は1856個/s増加し、増加した水溶性塩類の平均粒径は12.5μmであった。
第2調製液をポンプで噴霧乾燥塔(向流式)に供給し、塔頂付近に設置した圧力噴霧ノズルから噴霧圧2.5MPaで噴霧を行った。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が200℃で供給され、塔頂より90℃で排出された。得られた界面活性剤担持用顆粒群1の水分は4重量%であった。界面活性剤担持用顆粒群1を用いて次に示す方法で洗剤粒子群1を製造した。
界面活性剤組成物(ポリエオキシエチレンアルキルエーテル/ポリエチレングリコール/アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム/水=42/8/42/8(重量比))を80℃にした。次に、レディゲミキサー(松坂技研(株)製、容量130L、ジャケット付)に得られた界面活性剤担持用顆粒群1を100重量部投入し、主軸(攪拌翼、回転数:60rpm、周速:1.6m/s)の攪拌を開始した。尚、ジャケットに80℃の温水を10L/分で流した。そこに、上記界面活性剤組成物50重量部を2分間で投入し、その後5分間攪拌を行った。更に、洗剤粒子群のシミ出し性が1になる最低量として6重量部の無定形アルミノ珪酸塩を投入し、主軸(回転数:120rpm、周速:3.1m/s)とチョッパー(回転数:3600rpm、周速:28m/s)の攪拌を1分間行い、洗剤粒子群1を排出した。
実施例2
実施例1と同様の方法で界面活性剤担持用顆粒群2を得た。界面活性剤担持用顆粒群2を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群2を製造した。洗剤粒子群のシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は4重量部であった。
比較例1
水溶性塩類を添加する前に微細結晶析出剤である塩化ナトリウムを添加し、10分間攪拌して完全に溶解させた以外は実施例1と同様の方法で界面活性剤担持用顆粒群3を得た。得られた界面活性剤担持用顆粒群3を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群3を製造した。しかしながら、無定形アルミノ珪酸塩が実施例1と同じ6重量部ではレディゲミキサー内で攪拌中に界面活性剤担持用顆粒群3が界面活性剤組成物を担持しきれずに凝集状態となり、物性値は測定不能なまでに劣化した。
実施例3
微細結晶析出剤として臭化ナトリウム(大塚化学(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、界面活性剤担持用顆粒群4を得た。臭化ナトリウムの添加により析出した水溶性無機塩の量は、第1調製液に溶解していたそれの2.7重量%であった。得られた界面活性剤担持用顆粒群4を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群4を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は7重量部であった。
比較例2
微細結晶析出剤として臭化ナトリウム(大塚化学(株)製)を用いた以外は、比較例1と同様の方法で、界面活性剤担持用顆粒群5を得た。得られた界面活性剤担持用顆粒群5を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群5を製造した。しかしながら、無定形アルミノ珪酸塩が実施例3と同じ7重量部ではレディゲミキサー内で攪拌中に界面活性剤担持用顆粒群5が界面活性剤組成物を担持しきれずに凝集状態となり、物性値は測定不能なまでに劣化した。
得られた界面活性剤担持用顆粒群1〜5の組成及び物性を表1に、洗剤粒子群1〜5の物性を表2に示す。本発明の実施例は、微細結晶析出剤の効果により、スラリー中に析出する水溶性塩類の粒径が、細かいものとなっている。又、微細結晶析出剤の量を増加することにより、より多数の水溶性塩類を析出させることができる。従って、本発明の界面活性剤担持用顆粒群(界面活性剤担持用顆粒群1,2,4)は、比較例よりも細孔容積分布のモード径が小さくなり、担持能の向上に有利な細孔容積分布となっている。それにより、本発明の洗剤粒子群(洗剤粒子群1,2,4)は、無定形アルミノ珪酸塩の量を低減することができた。
実施例4
減圧装置及び攪拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水515重量部を入れ、温度を35℃に昇温した。これに炭酸ナトリウム108重量部、硫酸ナトリウム108重量部、亜硫酸ナトリウム4重量部、40重量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液58重量部、蛍光染料1重量部、ゼオライト206重量部を逐次加え、30分間攪拌して水溶性成分が完全に溶解している第1調製液を得た。この調製液の最終温度は60℃に調製した(水分55重量%)。
この第1調製液を100Torrの減圧下でジャケットに65℃の温水を通して加熱しながら水分を蒸発させ、水分45重量%まで濃縮した。濃縮操作により析出した水溶性無機塩(平均粒径:18μm)の量は、第1調製液に溶解していたそれの25重量%であった。
濃縮した第2調製液を実施例1と同様の方法で噴霧乾燥した。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が220℃で供給され、塔頂より110℃で排出された。得られた界面活性剤担持用顆粒群6の水分は4重量%であった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群6を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群6を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は1.5重量部であった。
実施例5
添加する水の量を調整して水分量が50重量%の第1調製液を調製し、水分45重量%まで濃縮して第2調製液を得た以外は実施例4と同様に行い、界面活性剤担持用顆粒群7を得た。第2調製液中の水溶性無機塩(平均粒径:20μm)の析出量は、第1調製液に溶解していた量の19重量%であった。
TSUB−TEC M100にて濃縮前後の調製液中の粒子個数及び粒度分布を測定した。尚測定に際しては、測定精度を高めるために、別の配合槽でゼオライトを配合せずに調製した第1調製液相当の液(スラリー水分64.9重量%)及び、これを濃縮した第2調製液相当の液(スラリー水分60.1重量%)を用いて測定を行った。第1調製液相当の液中の粒子個数は426個/sで平均粒径(個数基準)は114μmであった。濃縮後の第2調製液相当の液中の粒子個数は6351個/sで平均粒径は20.0μmであった。これらの測定結果より、濃縮により水溶性塩類の粒子数は5925個/s増加し、増加した水溶性塩類の平均粒径は18.5μmであった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群7を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群7を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は2.5重量部であった。
比較例3
添加する水の量を調整して水分量が45重量%の調製液を調製し、濃縮を行わなかった以外は実施例4と同様に行い、界面活性剤担持用顆粒群8を得た。得られた界面活性剤担持用顆粒群8を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群8を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は8重量部であった。該無定形アルミノ珪酸塩が8重量部未満であると、シミ出し性1は得られなかった。
比較例4
添加する水の量を調整して水分量が55重量%の調製液を調製し、濃縮を行わなかった以外は実施例4と同様に行い、界面活性剤担持用顆粒群9を得た。調製液中の水溶性成分は完全に溶解していた。得られた界面活性剤担持用顆粒群9を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群9を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は6重量部であった。該無定形アルミノ珪酸塩が6重量部未満であると、シミ出し性1は得られなかった。
実施例6
実施例4と同様の方法で第1調製液の調製を行い、水分46重量%まで濃縮した。その後、更に微細結晶析出剤である塩化ナトリウム19重量部を添加した後、30分間攪拌して第2調製液を得た(水分45重量%)。濃縮操作及び微細結晶析出剤の添加により析出した水溶性無機塩の量は、第1調製液に溶解していたそれの35.7重量%であった。
第2調製液を実施例1と同様の方法で噴霧乾燥し、界面活性剤担持用顆粒群10を得た。
得られた界面活性剤担持用顆粒群10を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群10を製造した。洗剤粒子群10は十分に良好な流動性を有しており、無定形アルミノ珪酸塩を添加しなくてもシミ出し性のレベルは1であった。
実施例7
実施例5と同様の方法で第1調製液の調製を行い、その後実施例6と同様の方法で界面活性剤担持用顆粒群11を得た。得られた界面活性剤担持用顆粒群11を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群11を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は1重量部であった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群6〜11の組成及び物性を表3に、洗剤粒子群6〜11の物性を表4に示す。
表3〜4の結果より、界面活性剤担持用顆粒群8,9は担持能が比較的低いため、かかる顆粒群を用いてシミ出し性が良好な洗剤粒子群を得ようとする場合、多くの無定型アルミノ珪酸塩を添加する必要があった。
一方、濃縮操作によって得られた界面活性剤担持用顆粒群6,7の細孔容積分布のモード径は1.5μm以下であり、かつその担持能は高いため、かかる顆粒群を用いれば、無定形アルミノ珪酸塩の量を少なくしても、シミ出し性が良好な洗剤粒子群を得ることができた。又、スラリーの濃縮操作と微細結晶析出剤の添加を併用することにより、界面活性剤担持用顆粒群の担持能を更に向上させることができた。
実施例8
攪拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水407重量部を入れ、ジャケットに40℃の温水を通した。これに硫酸ナトリウム132重量部、亜硫酸ナトリウム5重量部、蛍光染料1重量部を添加して10分間攪拌した。炭酸ナトリウム132重量部を添加し、40重量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液72重量部、及びゼオライト252重量部を逐次加え、15分間攪拌して40℃の第1調製液を得た。
次いで、ジャケットに60℃の温水を通し、30分間攪拌して調製液の温度を60℃として第2調製液を得た。昇温操作により、調製液粘度が60mPa・sから1200mPa・sに上昇した。該操作により析出した水溶性無機塩の量は、第1調製液に溶解していたそれの8.2重量%であった。
得られた第2調製液を実施例1と同様の方法で噴霧乾燥した。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が210℃で供給され、塔頂より105℃で排出された。得られた界面活性剤担持用顆粒群12の水分は4重量%であった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群12を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群12を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は6重量部であった。
実施例9
実施例8と同様の手順で40℃の第1調製液を調製し、該調製液をシェル&チューブタイプの熱交換器に通して、調製液の温度を70℃まで昇温して、第2調製液を得た。該調製液において、水溶性無機塩の微細結晶の析出を確認した。昇温操作により、調製液粘度が60mPa・sから2500mPa・sに増加した。該操作により析出した水溶性無機塩の量は、第1調製液に溶解していた量の10.2重量%であった。
TSUB−TEC M100にて濃縮前後の調製液中の粒子個数及び粒度分布を測定した。尚測定に際しては、実施例4と同様に、別の配合槽でゼオライトを配合せずに調製した第1調製液相当の液(スラリー水分60.1重量%)及び、これを70℃に昇温した第2調製液相当の液を用いて測定を行った。第1調製液相当の液中の粒子個数は769個/sで平均粒径(個数基準)は170μmであった。昇温後の第2調製液相当の液中の粒子個数は8255個/sで平均粒径は28.0μmであった。これらの測定結果より、昇温操作により水溶性塩類の粒子数は7486個/s増加し、増加した水溶性塩類の平均粒径は23.4μmであった。
得られた第2調製液を実施例1と同様の方法で噴霧乾燥した。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が220℃で供給され、塔頂より110℃で排出された。得られた界面活性剤担持用顆粒群2の水分は4重量%であった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群13を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群13を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は5重量部であった。
比較例5
実施例8と同様の手順で40℃の第1調製液を調製し、該調製液を昇温せずに、実施例8と同じ条件で噴霧乾燥して界面活性剤担持用顆粒群14を得た。得られた界面活性剤担持用顆粒群14を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群14を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は8重量部であった。該無定形アルミノ珪酸塩が8重量部未満であると、シミ出し性1は得られなかった。
比較例6
ジャケットに通す温水の温度を70℃として、70℃の第1調製液を得た以外は比較例5と同様の方法で界面活性剤担持用顆粒群15を得た。得られた界面活性剤担持用顆粒群15を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群15を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は10重量部であった。該無定形アルミノ珪酸塩が10重量部未満であると、シミ出し性1は得られなかった。
実施例10
実施例9と同様の方法で第1調製液を調製し、次いで該スラリーをシェル&チューブタイプの熱交換器に通して、調製液の温度を70℃まで昇温した後、更に微細結晶析出剤を添加して第2調製液を得た。調製液の昇温操作により析出した水溶性無機塩の量は、第1調製液に溶解していたそれの25.2重量%であった。
得られた第2調製液を実施例1と同様の方法で噴霧乾燥した。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が205℃で供給され、塔頂より95℃で排出された。得られた界面活性剤担持用顆粒群16の水分は4重量%であった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群16を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群16を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は3重量部であった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群12〜16の組成及び物性等を表5に、洗剤粒子群12〜16の物性を表6に示す。
表5〜6の結果より、界面活性剤担持用顆粒群14,15は担持能が比較的低いため、かかる顆粒群を用いてシミ出し性が良好な洗剤粒子群を得ようとする場合、多くの無定型アルミノ珪酸塩を添加する必要があった。
一方、界面活性剤担持用顆粒群12,13の細孔容積分布のモード径は1.5μm以下であり、かつその担持能は高いため、かかる界面活性剤担持用顆粒群を用いれば、無定形アルミノ珪酸塩の量を少なくしても、シミ出し性が良好な洗剤粒子群を得ることができた。
又、スラリーの濃縮操作に微細結晶析出剤の添加を併用することにより、更に界面活性剤担持用顆粒群の担持能を向上させることができた。
実施例11
比較例1と同様の方法で調製した第1調製液をコロイド・ミルMZ−80型(神鋼パンテック(株)製)にて800kg/hの流量で湿式粉砕した。
TSUB−TEC M100にて粉砕前後の調製液中の粒子個数及び粒度分布を測定した。尚測定に際しては、実施例4と同様に、別の配合槽でゼオライトを配合せずに調製した第1調製液相当の液、及びこれを800kg/hの流量で粉砕したものを第2調製液相当の液とした。第1調製液相当の液中の粒子個数は778個/sで平均粒径(個数基準)は172μmであった。粉砕後の第2調製液相当の液中の粒子個数は2648個/sで平均粒径は24.5μmであった。これらの測定結果より、粉砕により水溶性塩類の粒子数は2476個/s増加した。粉砕した第2調製液を実施例1と同様の方法で噴霧乾燥した。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が200℃で供給され、塔頂より90℃で排出された。得られた界面活性剤担持用顆粒群17の水分は4%であった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群17を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群17を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は8重量部であった。
実施例12
実施例1と同様の方法で調製した第2調製液をキャビトロンCD1010型(太平洋機工(株)製)にて回転数11200rpmの条件で800kg/hの流量で湿式粉砕した。
TSUB−TEC M100にて粉砕前後の調製液中の粒子個数及び粒度分布を測定した。尚測定は、実施例11と同様に行った。第1調製液相当の液中の粒子個数は778個/sで平均粒径は172μmであった。粉砕前の調製液中の粒子個数は2634個/sで平均粒径(個数基準)は21.2μmであり、粉砕後の第2調製液相当の液中の粒子個数は4675個/sで平均粒径は18.4μmであった。これらの測定結果より、粉砕により水溶性塩類の粒子数は2041個/s増加した。
粉砕した第2調製液を実施例1と同様の方法で噴霧乾燥した。また、得られた担持用粒子群を構成する顆粒について陥没孔に関する解析を行なった結果、顆粒の円相当直径に対して2〜70%の円相当直径且つ10%以上の深さを有する穴が1ヶ所以上存在する陥没顆粒を85%含んでいた。また、該90%の陥没顆粒について求めた陥没孔の〔穴の円相当直径/該顆粒の円相当直径〕×100の平均値は、15%であった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群18を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群18を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は5重量部であった。
実施例13
実施例5と同様の方法で調製した水分45重量%の第2調製液を、コロイド・ミルMZ−80型にて800kg/hの流量で湿式粉砕した。
TUB−TEC M100にて粉砕前後の調製液中の粒子個数及び粒度分布を測定した。尚測定は、実施例5においてゼオライトを配合せずに調製した第2調製液相当の液を粉砕することによりその前後で行った。粉砕前の調製液中の粒子個数は6351個/sで平均粒径(個数基準)は20.0μmであった。粉砕後の第2調製液相当中の粒子個数は8916個/sで平均粒径は17.0μmであった。これらの測定結果より、粉砕により水溶性塩類の粒子数は2565個/s増加した。
粉砕した第2調製液を実施例1と同様の方法で噴霧乾燥した。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が220℃で供給され、塔頂より110℃で排出された。得られた界面活性剤担持用顆粒群19の水分は4%であった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群19を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群19を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は0.5重量部であった。
実施例14
実施例9と同様の方法で調製した70℃の第2調製液を、キャビトロンCD1010型にて回転数11200rpmの条件で800kg/hの流量で湿式粉砕した。
TUB−TEC M100にて粉砕前後の調製液中の粒子個数及び粒度分布を測定した。尚測定は、実施例9においてゼオライトを配合せずに調製した第2調製液相当の液を粉砕することによりその前後で行った。粉砕前の調製液中の粒子個数は8255個/sで平均粒径(個数基準)は28.0μmであった。粉砕後の第2調製液相当の液中の粒子個数は11831個/sで平均粒径は20.3μmであった。これらの測定結果より、粉砕により水溶性塩類の粒子数は3576個/s増加した。粉砕した第2調製液を実施例1と同様の方法で噴霧乾燥した。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が220℃で供給され、塔頂より110℃で排出された。得られた界面活性剤担持用顆粒群20の水分は4%であった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群20を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群20を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は3.5重量部であった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群17〜20の組成及び物性等を表7に、洗剤粒子群17〜20の物性を表8に示す。
表7〜8の結果より、スラリー中の水溶性塩類の粒子を湿式粉砕して粒子数を増加させることにより、界面活性剤担持用顆粒群の担持能が向上し、無定形アルミノ珪酸塩の量が低減できた。又、湿式粉砕による界面活性剤担持用顆粒群の担持能向上効果は、スラリー中の未溶解物の量が多いほど大きかった。
実施例15
実施例4と同様の方法で水分51重量%の第1調製液を調製し、コロイド・ミルMZ−80型にて800kg/hの流量で湿式粉砕した後、水分48重量%まで濃縮操作を行い第2調製液を得た。この第2調製液を噴霧乾燥して界面活性剤担持用顆粒群21を得た。界面活性剤担持用顆粒群21を用いて、実施例1と同様の方法で洗剤粒子群21を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は7重量部であった。
比較例7
実施例15と同様の方法で水分48重量%の第1調製液を調整し、湿式粉砕も濃縮も行わずに噴霧乾燥して界面活性剤担持用顆粒群22を得た。界面活性剤担持用顆粒群22を用いて、実施例15と同様の方法で洗剤粒子群22を製造した。しかしながら、無定形アルミノ珪酸塩が実施例15と同じ7重量部ではレディゲミキサー内で攪拌中に界面活性剤担持用顆粒群22が界面活性剤組成物を担持しきれずに凝集状態となり、物性値は測定不能なまでに劣化した。
実施例16
実施例8と同様の方法で水分48重量%の第1調製液を調製し、コロイド・ミルMZ−80型にて800kg/hの流量で湿式粉砕した後、該調製液を70℃まで昇温して第2調整液を得た。この第2調製液を噴霧乾燥して界面活性剤担持用顆粒群23を得た。界面活性剤担持用顆粒群23を用いて、実施例1と同様の方法で洗剤粒子群23を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は7重量部であった。
比較例8
実施例16と同様の方法で水分48重量%の第1調製液を調整し、湿式粉砕も昇温操作も行わずに噴霧乾燥して界面活性剤担持用顆粒群24を得た。界面活性剤担持用顆粒群24を用いて、実施例16と同様の方法で洗剤粒子群24を製造した。無定形アルミノ珪酸塩は実施例16と同じ7重量部配合したが、界面活性剤担持用顆粒群24が界面活性剤組成物を担持しきれずに、レディゲミキサーから排出された洗剤粒子群の物性値は大幅に劣化した。
得られた界面活性剤担持用顆粒群21〜24の組成及び物性等を表9に、洗剤粒子群21〜24の物性を表10に示す。
表9〜10の結果より、第1調製液を湿式粉砕してから濃縮や昇温操作を行っても、界面活性剤担持用顆粒群の担持能が向上した。
実施例17
実施例12と同様の方法で界面活性剤担持用顆粒群25を得た。なお、40重量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液としては下記の方法に従って製造したものを用いた。
水80.3kgを仕込み100℃に昇温した。温度を100℃に保ちながら80重量%アクリル酸190kg(2.1kmol)と98%2−メルカプトエタノール水溶液3.9kg(48.6mol)を4時間かけて、また、30重量%過硫酸ソーダ水溶液5.0kg(6.3mol)を6時間かけて、一定速度で滴下し重合を行う。滴下重合終了後、脱臭のために35重量%過酸化水素水21.1kg(217.6mol)を1時間かけて滴下し、更に4時間熟成を行い冷却する。内部温度が60℃で還元剤として、35重量%重亜硫酸ナトリウム水溶液3.3kg(11.5mol)を加え1時間反応する。その後冷却し40℃以下を保ちながら、48重量%水酸化ナトリウム水溶液を167kg(2kmol)加え、濃調水を加えて、目的の40重量%ポリマー水溶液を485kg得た。得られたポリマーの重量平均分子量は10000であった。
分子量測定法
1. 換算標準物質:ポリアクリル酸(AMERICAN STANDARDS CORP )
2. 溶離液:0.2mol/Lリン酸バッファー/CH3CN :9/1(容量比)
3. カラム:PWXL+G4000PWXL +G2500PWXL (東ソー(株)製)
4. 検出器:RI
5. 試料濃度:5mg/mL
6. 注入量:0.1mL
7. 測定温度:40℃
8. 流速:1.0mL/min
また、得られた担持用粒子群を構成する顆粒について陥没孔に関する解析を行なった結果、顆粒の円相当直径に対して2〜70%の円相当直径且つ10%以上の深さを有する穴が1ヶ所以上存在する陥没顆粒を90%含んでいた。また、該90%の陥没顆粒について求めた陥没孔の〔穴の円相当直径/該顆粒の円相当直径〕×100の平均値は、19%であった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群25を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群21を製造した。洗剤粒子群25は十分に良好な流動性を有しており、無定形アルミノ珪酸塩を添加しなくてもシミ出し性のレベルは1であった。
実施例18
実施例6と同様の方法で水分55重量%の第1調製液を調製した後、水分51重量%まで濃縮操作を行い、更に微細結晶析出剤を添加して水分50重量%とした後、噴霧乾燥して界面活性剤担持用顆粒群26を得た。界面活性剤担持用顆粒群26を用いて、実施例1と同様の方法で洗剤粒子群26を製造した。その際に、界面活性剤組成物55重量部を投入した。
洗剤粒子群26は十分に良好な流動性を有しており、無定形アルミノ珪酸塩を添加しなくてもシミ出し性のレベルは1であった。
比較例9
比較例1と同様の方法で界面活性剤担持用顆粒群27を得た。得られた界面活性剤担持用顆粒群27を用いて実施例17と同様の方法で洗剤粒子群27を製造した。無定形アルミノ珪酸塩は実施例17と同様添加しなかったが、界面活性剤担持用顆粒群27の担持能は界面活性剤担持用顆粒群25に比べて低いため、界面活性剤組成物を担持しきれずにレディゲミキサー内で凝集状態となり、物性値は測定不能なまでに劣化した。
得られた界面活性剤担持用顆粒群25〜27の組成及び物性を表11に、洗剤粒子群25〜27の物性を表12に示す。
表11〜12の結果より、界面活性剤担持用顆粒群の組成/調製液の水分によっては、更に界面活性剤担持用顆粒群の担持能の向上が可能である。本発明の方法によって得られた界面活性剤担持用顆粒群25,26の細孔容積分布のモード径は1.5μm以下であり、かつその担持能は高いため、かかる顆粒群を用いれば、無定形アルミノ珪酸塩を添加しなくてもシミ出し性が良好な洗剤粒子群を得ることができ、界面活性剤の更なる高配合が可能であった。
実施例19
攪拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水650重量部を入れ、水温が35℃に達した後に、炭酸ナトリウム72重量部、硫酸ナトリウム194重量部、40重量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液83重量部を逐次加え、30分間攪拌して水溶性成分が完全に溶解している均質な水溶液を得た(水分70重量%)。
該水溶液を実施例1と同様の方法で噴霧乾燥した。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が230℃で供給され、塔頂より95℃で排出された。得られた顆粒の水分は5重量%であった。
該顆粒をアトマイザーEIIW−7.5型(不二パウダル(株)製)を用い、スクリーンメッシュφ0.5mm、粉砕供給量60kg/h、回転数5000rpmの条件で乾式粉砕し、平均粒径5μmの微細な粉末を得た(以下微細粉末と呼ぶ)。
又、別の攪拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水462重量部を入れ、水温が35℃に達した後に、硫酸ナトリウム95重量部、亜硫酸ナトリウム5重量部、蛍光染料1重量部を添加して10分間攪拌した。炭酸ナトリウム123重量部を添加し、40重量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液64重量部を添加し10分間攪拌した。この第1調製液に微細粉末52重量部を添加し、10分間攪拌した。更にゼオライト198重量部を添加し、30分間攪拌して第2調製液を得た(水分50重量%)。この第2調製液の最終温度は50℃であった。
第1調製液調製後及び微細粉末添加10分後に各調製液からサンプリングを行い、TSUB−TEC M100にて粒子個数及び粒度分布を測定した。第1調製液中には無機塩は全溶解しており、粒子個数はほとんど観測されなかった。微細粉末添加後の第2調製液中の粒子個数は4009個/sで平均粒径は10.5μmであった。
第2調製液を実施例1と同様の方法で噴霧乾燥した。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が220℃で供給され、塔頂より110℃で排出された。得られた界面活性剤担持用顆粒群28の水分は4重量%であった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群28を用いて実施例1と同様の方法で洗剤粒子群28を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になる最低量として投入した無定形アルミノ珪酸塩は3重量部であった。
比較例10
微細粒子を添加しなかった以外は実施例19と同様の方法で界面活性剤担持用顆粒群29を得た。得られた界面活性剤担持用顆粒群29を用いて実施例19と同様の方法で洗剤粒子群29を製造した。無定形アルミノ珪酸塩は実施例19と同様3重量部添加したが、界面活性剤組成物を担持しきれずにレディゲミキサー内で凝集状態となり、物性値は測定不能なまでに劣化した。
得られた界面活性剤担持用顆粒群28、29の組成及び物性を表13に、洗剤粒子群28、29の物性を表14に示す。
水溶性塩類の微粒子を添加しない比較例10の界面活性剤担持用顆粒群29は顆粒強度が弱く、細孔容積分布のモード径も大きいため、界面活性剤組成物を担持させる工程において顆粒の崩壊等により一旦吸収した界面活性剤組成物のシミ出しが見られ、洗剤粒子群の物性は大幅に劣化した。一方、界面活性剤担持用顆粒群28は同一組成でありながら顆粒強度も比較的高く、細孔容積分布のモード径は1.5μm以下であり、かつその担持能は高いため、かかる顆粒群を用いれば、無定形アルミノケイ酸塩を大幅に低減できた。
実施例20
混合槽に水430重量部を入れ、水温が35℃に達した後に、硫酸ナトリウム108重量部、亜硫酸ナトリウム5重量部、蛍光染料2重量部を添加して10分間攪拌した。炭酸ナトリウム115重量部を添加し、40重量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液150重量部を添加し10分間攪拌して第1調製液とした。微細結晶析出剤である塩化ナトリウム40重量部を添加し、10分間攪拌した後、コロイドミルMZ−80型にて800kg/hの流量で湿式粉砕した。その後ゼオライト150重量部を添加し、30分間攪拌して均質な第2調製液を得た(スラリー水分52重量%)。この調製液の最終温度は50℃であった。塩化ナトリウムの添加により析出した水溶性無機塩の量は、第1調製液に溶解していたそれの17.8重量%であった。
第1調製液調製後及び塩化ナトリウム添加10分後及び調製液粉砕後に各調製液からサンプリングを行い、TSUB−TEC M100にて粒子個数及び粒度分布を測定した。第1調製液中の粒子個数は557個/sで平均粒径(個数基準)は125μmであった。塩化ナトリウム添加後の調製液中の粒子個数は3798個/sで平均粒径は20.5μmであった。これらの測定結果より、塩化ナトリウムの添加により微細結晶の数は3241個/s増加し、増加した微細結晶の平均粒径は17.0μmであった。又、粉砕後の第2調製液中の粒子個数は5438個/sで平均粒径は18.2μmであり、粉砕により水溶性塩類の粒子数は更に1640個/s増加した。
実施例12と同様の方法で噴霧乾燥を行い、界面活性剤担持用顆粒群30を得た。界面活性剤担持用顆粒群30を用いて次に示す方法で洗剤粒子群30を製造した。
界面活性剤組成物(ポリエオキシエチレンアルキルエーテル/ポリエチレングリコール/アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム/水=25/5/25/5(重量比))を80℃にした。次に、レディゲミキサー(松坂技研(株)製、容量130L、ジャケット付)に得られた界面活性剤担持用顆粒群を100重量部投入し、主軸(攪拌翼、回転数:60rpm、周速:1 .6m/s)の攪拌を開始した。尚、ジャケットに80℃の温水を10L/分で流した。そこに、上記界面活性剤組成物60重量部を2分間で投入し、その後5分間攪拌を行った。更に、結晶性珪酸塩20重量部、及びゼオライトを投入し、主軸(回転数:120rpm、周速:3 .1m/s)とチョッパー(回転数:3600rpm、周速:28m/s)の攪拌を1分間行い、洗剤粒子群30を排出した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になるゼオライトの最低量は3重量部であった。
実施例21
実施例20と同様の方法で界面活性剤担持用顆粒群31を得た。ただし、第1調製液を調製する際に、水とともに40重量%のポリアクリル酸ナトリウム水溶液を投入した。得られた界面活性剤担持用顆粒群31を用いて実施例20と同様の方法で洗剤粒子群31を製造した。尚、洗剤粒子群31は十分に良好な流動性を有しており、ゼオライトを添加しなくてもシミ出し性のレベルは1であった。
比較例11
実施例1で微細結晶析出剤を添加しなかった以外は、同様の方法で界面活性剤担持用顆粒群32を得た。得られた界面活性剤担持用顆粒群32を用いて実施例20と同様の方法で洗剤粒子群32を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になるゼオライトの最低量は16重量部であった。
比較例12
比較例11と同様の方法で界面活性剤担持用顆粒群33を得た。ただし、第1調製液を調製する際に、水とともに40重量%のポリアクリル酸ナトリウム水溶液を投入した。得られた界面活性剤担持用顆粒群33を用いて実施例20と同様の方法で洗剤粒子群33を製造した。洗剤粒子群としてのシミ出し性が1になるゼオライトの最低量は13重量部であった。
得られた界面活性剤担持用顆粒群30〜33の組成及び物性を表15に、洗剤粒子群30〜33の物性を表16に示す。
本実施例より、本発明の技術を用いるとポリマーの配合量を増加した場合でも界面活性剤担持用顆粒群の担持能が向上し、表面改質のゼオライト量を大幅に低減できた。又、第1調製液を調製する際に、水溶性ポリマーを炭酸ナトリウムよりも先に添加すると界面活性剤担持用顆粒群の担持能は向上するが、本発明の技術による担持能向上効果に比べるとその効果は小さかった。
実施例22
実施例1と同様の方法で界面活性剤担持用顆粒群34を得た。なお、40重量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液としては特公平2−24283号公報の実施例に記載の方法に従って製造したものを用いた。反応は、中和度95%、濃度37.7重量%のアクリル酸ナトリウム水溶液を3.11kg/hで供給し、濃度35重量%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液を0.13kg/hで供給し、空気供給量を3m3 /hとして、ジャケットの平均温度20℃で行なった。重量平均分子量は1万であった。また、得られた界面活性剤担持用顆粒群を構成する顆粒について陥没孔に関する解析を行なった結果、顆粒の円相当直径に対して2〜70%の円相当直径且つ10%以上の深さを有する穴が1ヶ所以上存在する陥没顆粒を91%含んでいた。また、該91%の陥没顆粒について求めた陥没孔の〔穴の円相当直径/該顆粒の円相当直径〕×100の平均値は、17%であった。また、陥没孔の深さの平均値は、該顆粒の円相当直径に対して55%であった。得られた界面活性剤担持用顆粒群の組成及び物性値を表17に示す。尚、前述の方法で求めた液状活性剤組成物の吸収性は0.45mL/gと大きな値を示し、液状界面活性剤組成物の吸収性に優れていた。
比較例13
比較例3と同様の方法で界面活性剤担持用顆粒群35を得た。なお、50重量%アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液としてはネオペレックスF65(花王(株)製)を用い、噴霧乾燥に供した第1調製液は水溶性塩類が完全に溶解していた。また、得られた界面活性剤担持用顆粒群を構成する顆粒について陥没孔に関する解析を行なった結果、顆粒の円相当直径に対して2〜70%の円相当直径且つ10%以上の深さを有する穴が1ヶ所以上存在する陥没顆粒は実質的に存在しなかった。得られた界面活性剤担持用顆粒群の組成及び物性値を表17に掲載する。尚、前述の方法で求めた液状界面活性剤組成物の吸収性は0.10mL/gと小さく、液状界面活性剤組成物の吸収性に劣っていることを示した。
実施例22及び比較例13の界面活性剤担持用顆粒群34,35に対して表18に記載の比率にて界面活性剤を添加して担持させることにより、洗剤粒子群34,35を得た。80℃で混合下のポリオキシエチレンアルキルエーテル10重量部に対してポリエチレングリコール1.2重量%、パルミチン酸ナトリウム0.7重量%に相当するパルミチン酸(ルナックP−95、花王(株)製)及びアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム12重量部に相当するアルキルベンゼンスルホン酸前駆体(ネオペレックスGS、花王(株)製)及び中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を添加することによって表18に記載の組成となる含水界面活性剤組成物を作製した。次に、レディゲミキサー(松坂技研(株)製、容量20L、ジャケット付)に上記ベース顆粒群50重量部を投入し、主軸(150rpm)とチョッパー(4000rpm)の撹拌を開始した。尚、ジャケットに80℃の温水を10L/分で流した。そこに、上記含水界面活性剤組成物を2分間で投入し、その後4分間撹拌を行った後、結晶性珪酸塩10重量部及びゼオライト10重量部を添加して2分間の表面被覆操作を行うことによって洗剤粒子群34,35を得た。更に、ゼオライト2重量部及び酵素造粒物1重量%を添加することによって粒状洗剤組成物を得た。得られた洗剤組成物の組成及び物性を表18に示す。実施例22の界面活性剤担持用顆粒群34を用いた洗剤組成物が満足な物性値を示したのに対して、比較例13の界面活性剤担持用顆粒群35を用いた場合には、上記操作の時間内に界面活性剤組成物を担持しきれずに凝集状態となり、物性値は測定不能なまでに劣化した。