明 細 書
環状スルフイド化合物及びその中間体の製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、環状スルフイド化合物の製造方法、並びにその中間体の製造方法及び 精製方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、屈折率及びアッベ数の高い光学製 品の原料として有用な環状スルフイドィ匕合物の効率のよい製造方法、並びにその中 間体であるァシルォキシィヒ合物の製造方法、チォエステルィヒ合物の製造方法、チォ ール化合物の製造方法及び精製方法に関するものである。
背景技術
[0002] プラスチックは、ガラスに比較して軽量で割れにくく染色が容易であるため、近年、 レンズ等の各種光学用途に使用されている。光学用プラスチック材料としては、ポリ( ジエチレングリコールビスァリルカーボネート)(CR—39)やポリ(メチルメタタリレート) 力 一般的に用いられている。しかしながら、これらのプラスチックは 1. 50以下の屈 折率を有するため、それらを例えばレンズ材料に用いた場合、度数が強くなるほどレ ンズが厚くなり、軽量を長所とするプラスチックの優位性が損なわれてしまう。特に強 度の凹レンズは、レンズ周辺が肉厚となり、複屈折や色収差が生じることから好ましく ない。さらに眼鏡用途において肉厚のレンズは、審美性を悪くする傾向にある。肉薄 のレンズを得るためには、材料の屈折率を高めることが効果的である。一般的にガラ スゃプラスチックは、屈折率の増加に伴いアッベ数が減少し、その結果、それらの色 収差は増加する。従って、高い屈折率とアッベ数を兼ね備えたプラスチック材料が望 まれている。
[0003] このような性能を有するプラスチック材料として、 1, 6 ビス(2, 3 ェピチォプロピ ル)ー1, 2, 5, 6—テトラチアへキサン、 1, 5 ビス(2, 3 ェピチォプロピル) 1, 2, 4, 5—テトラチアペンタン、 1, 7 ジビュル一 4— (1, 2 ジチア一 3 ブテュル) —1, 2, 6, 7—テトラチアヘプタンなどの非対称スルフイドィ匕合物を用いた光学製品 が提案されて ヽる (特許文献 1参照)。
そして、同文献参考例 1の 1, 6 ビス(2, 3 ェピチォプロピル) 1, 2, 5, 6—テ
トラチアへキサンの屈折率 (n )は 1.666、同文献参考例 2の 1, 5 ビス(2, 3 ェピ
D
チォプロピル) 1, 2, 4, 5—テトラチアペンタンの屈折率 (n )は 1.681、同文献参考
D
例 3の 1, 7 ジビニルー 4ー(1, 2 ジチアー3 ブテュル)ー1, 2, 6, 7—テトラチ ァヘプタンの屈折率 (n )は 1.646であり、これらの化合物を使用して光学製品を作製
D
すれば、高屈折率の光学製品を得ることが期待できる。しかし、その一方、更なる高 屈折率であり高アッベ数を兼ね備えた光学製品の提供が望まれている。
[0004] また、前述のような性能を有するプラスチック材料としては、例えば (1)分子内に臭 素を有するポリオールとポリイソシァネートとの重付カ卩により得られるポリウレタン (特 許文献 2)、(2)ポリチオールとポリイソシァネートとの重付カ卩により得られるポリチォゥ レタン (特許文献 3、特許文献 4)が提案されている。そして、特に (2)のポリチォウレタ ンの原料となるポリチオールとして、ィォゥ原子の含有率を高めた分岐鎖を導入した ポリチオール (特許文献 5、特許文献 4)や、ィォゥ原子を高めるためジチアン構造を 導入したポリチオール (特許文献 6、特許文献 7)が提案されて ヽる。
し力しながら、上記 (1)のポリウレタンは、屈折率がわずかに改良されているものの、 アッベ数が低ぐかつ耐光性に劣る上、比重が高ぐ軽量性が損なわれるなどの欠点 を有している。また (2)のポリチォウレタンにおいて、原料のポリチオールとして高ィォ ゥ含有率のポリチオールを用いて得られたポリチォウレタンは、例えば屈折率が 1.60 〜 1.68程度に高められて 、るが、同等の屈折率を有する光学用無機ガラスに比べて アッベ数が低ぐさらにアッベ数を高めなければならな ヽと 、う課題を有して 、る。
[0005] 上記の要求を満たすポリチォウレタンとして、 4, 5—ジメルカプト 1, 3—ジチオラ ン、 1, 2, 2 トリメルカプトエタン等、高ィォゥ含有量チオールを用いた高屈折率レン ズ (特許文献 8及び 9)や前記チオールィ匕合物を原料とした 4, 5 ビスェピチォプロ ピルジチア 1 , 3 ジチオラン、 4, 5-ビスチイラニルジチア 1 , 3 ジチオラン等 、高ィォゥ含有量ジスルフイド化合物を用いた高屈折率レンズ (特許文献 10)が注目 されている。
これらチオール化合物はアルコール、アルデヒド、ジエステルを出発原料としてエス テル、チォエステルを経由して得られる。チォエステルの構造は、チオール基に対し ての保護基の構造に広く用いられるため、合成反応上有用である。し力しながら、 4,
5 ジメルカプト 1, 3 ジチオラン等に示される環状スルフイド構造を有するチォ 一ルイ匕合物を製造する際、ジチオアセチルメタン等のジチオアセチルイ匕合物カもチ オールを合成し、これにダリオキサール等のジアルデヒド化合物と混合することにより ジヒドロキシルイ匕合物を合成した後に、無水酢酸とピリジンによりァセチルイ匕合物を製 造するため、工程が多ぐ操作が煩雑であり、収率も高くない。さらにチオール化合物 を合成するため、悪臭が著しぐチオールィヒ合物の取扱のみならず、製造過程で発 生する廃液の処理も多大な負担となる。よって、チオール製造過程をスキップする製 造方法が必要不可欠である。そのような現状によりジチオアセチルイ匕合物カもジアル デヒド化合物を用いて直接、ァセチルイ匕合物を製造する方法の確立が望まれて 、る
[0006] また、前記チオールィヒ合物の中間体であるチオアセタールイヒ合物は上記文献に記 載の方法では、収率が低ぐまた、着色も著しいため、高収率、かつ、無着色の原料 を得ることが困難であり、工業的に大量生産することは非常に困難である。そのため 、高収率、かつ、著しい着色のないチォエステル化合物の製造方法の確立が望まれ ている。
従来のチォエステルイ匕合物の製造方法としては、例えば、 4, 5—ジチオアセトキシ 1, 3 ジチオランを以下の手順で合成していた。 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジ チオランの粉末を直接、チォ酢酸中に溶かし、ボロントリフルォロライド、 p—トルエン スルフォン酸等を触媒とし、氷浴で冷しながら直接滴下、反応させることにより、 4, 5 —ジチオアセトキシ一 1, 3 ジチオランのオイルを得ることができる。し力しながら、こ の合成方法は溶媒を使用しておらず、着色が著しぐまた、純度 ·収率も低いという問 題点があった。
[0007] また、前記チオール化合物は上記文献に記載の製造方法では、収率、純度が低!、 ため、工業的に大量生産することは非常に困難である。そのため、高収率、高純度の チオール化合物の製造方法の確立が望まれて 、る。
従来のチオールィ匕合物の製造方法としては、例えば、 4, 5 ジチオアセトキシー 1 , 3—ジチオランをエタノールとクロ口ホルムの混合溶媒中で濃硫酸を用い、室温〜 7 0°Cで 5〜20時間反応させることにより、 目的物の 4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチ
オランのオイルを得ることができる。
し力しながら、この合成方法は反応時間が長ぐ生成物の着色が著しぐまた、純度 •収率も低ぐポリマー容高粘性化合物が生成され、反応容器壁面に付着し、洗浄等 の操作上の問題点があった。さらに、生成物を精製するためには高真空 ·高温条件 下における蒸留精製方法が取られていたが、高温下では生成物の分解等の問題が あり、装置'コストの面力も製造上に大きな問題点を抱えていた。
[0008] 特許文献 1 特開 2002-131502号公報
特許文献 2特開昭 58一 164615号公報
特許文献 3特公平 4— -58489号公報
特許文献 4特開平 5 - 148340号公報
特許文献 5特開平 2 - -270859号公報
特許文献 6特公平 6— -5323号公報
特許文献 7特開平 7 - 118390号公報
特許文献 8 #112003一 192605号
特許文献 9 #112003一 192604号
特許文献 10: #112003 195673号
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] 本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであり、屈折率及びアッベ数 が高ぐかつ耐熱性、透明性にも優れる光学製品を提供できる環状スルフイドィ匕合物 の製造方法、製造工程が短縮できるァシルォキシ化合物の製造方法、高収率、かつ 著 、着色のな!、チォエステルイ匕合物の製造方法、高純度及び高収率なチオール 化合物の製造方法、並びに高純度となり、かつ着色が低減されるチオール化合物の 精製方法を提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段
[0010] 本発明者等は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ェピチォ基を 含む特定構造の環状スルフイドィ匕合物を必須モノマー成分として用いて得られた重 合体が屈折率及びアッベ数が高ぐかつ耐熱性、透明性にも優れる光学製品を提供
できることを見出し、本発明の環状スルフイド化合物の製造方法を完成させた。
すなわち、本発明は、下記一般式 (2)で表されるチオールィ匕合物を出発原料とす る下記一般式(1)で表される環状スルフイド化合物の製造方法を提供する。
[0011] [化 1]
S、 S
[0012] (式中、 Rは、炭素数 1〜3のアルカン残基、炭素数 4〜7のシクロアルカン残基、へ
1
テロ原子が酸素、窒素もしくは硫黄原子である炭素数 3〜7のへテロ環式ィヒ合物残基 又は炭素数 6〜10の芳香族化合物残基を示し、各残基は置換基を有していてもよい o )
[0013] また、本発明者等は、ァシルォキシィ匕合物を製造する際に、ジチオアシルォキシィ匕 合物とジアルデヒドィ匕合物とを反応させることにより前記の目的を達成しうることを見 出し、本発明のァシルォキシ化合物の製造方法を完成させた。
すなわち、本発明は、ジチオアシルォキシィ匕合物とジアルデヒドィ匕合物とを反応さ せる下記一般式 (3)で表されるァシルォキシィ匕合物の製造方法を提供する。
[0014] [化 2]
AcC OAc
(3)
[0015] (式中、 Rは、単結合、炭素数 1〜3のアルカン残基、炭素数 4〜7のシクロアルカン
2
残基、ヘテロ原子が酸素、窒素もしくは硫黄原子である炭素数 3〜7のへテロ環式ィ匕 合物残基又は炭素数 6〜10の芳香族化合物残基を示し、各残基は置換基を有して いてもよい。 Rは、前記と同じである。 Acはァシル基である。 )
1
[0016] また、本発明者等は、チォエステルイ匕合物を製造する際に、反応溶媒としてエーテ ル及びエステルカゝら選ばれる少なくとも 1種類を用いることにより前記の目的を達成す ることを見出し、本発明のチォエステル化合物の製造方法を完成させた。
すなわち、本発明は、エステルイ匕合物のチォエステルイ匕反応により、下記一般式( 4)で表されるチォエステルイ匕合物を製造する際に、反応溶媒としてエーテル及びェ ステルカも選ばれる少なくとも 1種類を用いるチォエステルイ匕合物の製造方法を提供 する。
[0017] [化 3]
(式中、 R及び Acは、前記と同じである。 )
1
[0018] また、本発明者等は、チオールィ匕合物を製造する際に、塩基性物質を用いることに より前記の目的を達成することを見出し、本発明のチオールィ匕合物の製造方法を完 成させた。
すなわち、本発明は、チォエステル化合物の加水分解反応により、上記一般式 (2) で表されるチオールィ匕合物を製造する際に、塩基性物質を用いるチオールィ匕合物 の製造方法を提供する。
[0019] また、本発明者等は、チオールィ匕合物を精製する際に、塩基性溶液を加えてチォ 一ル塩を生成し、精製溶媒を加えて結晶化させることにより前記の目的を達成するこ とを見出し、本発明のチオールィ匕合物の精製方法を完成させた。
すなわち、本発明は、上記一般式 (2)で表されるチオールィ匕合物を精製する際に、
塩基性溶液を加えてチオール塩を生成し、精製溶媒を加えて結晶化させて不純物 及び Z又は着色物質を取り除くチオール化合物の精製方法を提供する。
発明の効果
[0020] 本発明の環状スルフイドィ匕合物の製造方法は、一般式 (2)で表されるチオールィ匕 合物を出発原料とすることにより一般式(1)で表される環状スルフイドィ匕合物を効率 良く製造できる。
本発明のァシルォキシ化合物の製造方法によると、従来の製造方法に比べァシル ォキシィ匕合物の製造工程を短縮できる。
本発明のチォエステル化合物の製造方法は、高収率、かつ著しい着色のないチォ エステルイ匕合物を製造する方法として好適である。
本発明のチオール化合物の製造方法は、高純度及び高収率なチオール化合物を 製造する方法として好適であり、本発明のチオール化合物の精製方法は、高純度と なり、かつ着色が低減されるチオールィ匕合物の精製方法として好適である。
発明を実施するための最良の形態
[0021] 本発明で製造方法により得られる環状スルフイド化合物は、下記一般式(1)で表さ れる環状スルフイドィ匕合物であり、二つのィォゥ原子を含む環状構造の隣り合う炭素 原子に二つのェピチォプロピルチア基が結合したものである。
[化 4]
[0022] 一般式(1)において、 Rは、炭素数 1〜3のアルカン残基、炭素数 4〜7のシクロア
1
ルカン残基、ヘテロ原子が酸素、窒素もしくは硫黄原子である炭素数 3〜7のへテロ 環式化合物残基又は炭素数 6〜10の芳香族化合物残基を示し、各残基は置換基を 有していてもよい。
前記 Rのアルカン残基としては、例えば、メタン残基、ェタン残基、 n—プロパン残
1
基、 i プロパン残基等が挙げられ、メタン残基、ェタン残基等が好ましい。
前記 Rのシクロアルカン残基としては、例えば、シクロブタン残基、シクロペンタン残
1
基、シクロへキサン残基等が挙げられ、シクロペンタン残基、シクロへキサン残基等が 好ましい。
前記 Rのへテロ環式ィヒ合物残基としては、特にへテロ原子が硫黄原子であるもの
1
が好ましぐ例えば、 1, 3 ジチオラン残基、 1, 3 ジチアン残基、 1, 4ージチアン 残基等が挙げられ、 1, 3 ジチオラン残基、 1, 4ージチアン残基等が好ましい。 前記 Rの芳香族化合物残基としては、例えば、ベンゼン環残基、ナフタレン環残基
1
等が挙げられ、ベンゼン環残基等が好ましい。
また、これらの各残基の置換基としては、臭素、塩素、ヨウ素等のハロゲン原子、メ チル基、ェチル基、 n—プロピル基、 i—プロピル基等のアルキル基、フエ-ル基、ナ フチル基等の芳香族基等が挙げられる。
[0023] 前記一般式(1)で表される環状スルフイドィ匕合物のうち、特に好適なものとしては、 下式における左側のチオールィ匕合物力 合成される右側の化合物、すなわち、 4, 5 ビスェピチォプロピノレチア 1, 3 ジチオラン、 2, 3 ビスェピチォプロピノレチア —1, 4 ジチアン、 3, 4 ビスェピチォプロピルチア一ビシクロ [4. 3. 0]— 2, 5, 7 , 9ーテトラチアノナン、 2, 3 ビスェピチォプロピノレチア 1, 4 ベンゾジチアンが 挙げられる。
[0024] [化 5]
4, 5—ビスェピチォプロピルチア一 1, 3—ジチオラン
2, 3—ビスェピチォプロピルチア一 1 , 4—ジチアン
3, 4—ビスェピチォプロピルチア一ビシク口 [4.3.0] 2, 5, 7, 9—テトラチアノナン
2, 3—ビスェピチォプロピルチア一 1 , 4—ベンゾジチアン 上記の他、前記一般式(1)で表される環状スルフイド化合物としては下式で表され る化合物が挙げられる。
[化 6]
[0026] 前記一般式(1)で表される環状スルフイドィ匕合物は原子屈折の高いィォゥ原子を 高 、割合で含有しておりこの環状スルフイドィ匕合物を用いて得られた重合体の屈折 率を大きく高める。また、下記一般式 (2)の官能基である末端チオール基は重合体 主鎖への硫黄原子の導入に寄与するため、この環状スルフイド化合物を用いて得ら れた重合体の屈折率をさらに高める。通常、アモルファス材料のアッベ数はその屈折 率の増加とともに減少する傾向にある。ィォゥを高い割合で含有するポリマーの場合 、ィォゥの電子共鳴が顕著となりアッベ数の大きな低下がよく観測されるが、このスル フイドィ匕合物ではそのようなことがない。屈折率増加の別の要因として分子容の減少 が挙げられ、ポリマーの場合、高い架橋密度や強い分子間力によりそれが発現され る。前記一般式(1)の環状スルフイド化合物は複数の重合官能基を有しており、その 重合体は特に前者の効果により屈折率が高められる。
[0027] 本発明の前記一般式(1)で表される環状スルフイド化合物の製造方法は、下記一 般式 (2)で表されるチオールィ匕合物を出発原料として前記一般式(1)で表されるス ルフイドィ匕合物を製造する方法であり、ェピクロロヒドリンに代表されるェピノ、ロヒドリン とを反応させ、その後、エポキシ基をェピスルフイド化すると好ましい。
(式中、 Rは前記と同じである。 )
1
より具体的には、以下の手順で製造されるのが好ましい。
(1)チオール化合物の合成
前記一般式(2)で表されるチオールィヒ合物の合成法としては、特願 2003-192604 号記載の方法と同様に以下の方法が好ましく用いられる。
[化 8]
この反応式において、 Acはァシル基(例えば、 CH CO— )、 Pyはピリジン、 Etはェ
3
チル基である。
[0030] 前記一般式(2)で表されるチオールィ匕合物としては、 4, 5 ジメルカプト 1, 3— ジチオラン、 2, 3 ジメルカプト一 1, 4 ジチアン、 3, 4 ジメルカプト一ビシクロ [4 . 3. 0] - 2, 5, 7, 9—テ卜ラチアノナン、 3, 4 ジメルカプ卜—ビシクロ [4. 4. 0]— 2 , 5, 7, 10—テトラチアデカン、 2, 3 ジメルカプト一 1, 4 ベンゾジチアン等が挙 げられ、これらの化合物は、メルカプト基についてシス一,トランス 異性体を有する 場合がある。
[0031] 前記チオール化合物の代表的な製造法として、 4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチ
オランの合成を例として以下スキームに記す。下記反応式においては、 Acは CH C
3
O であり、 Pyはピリジン、 Etはェチル基である。
[化 9]
AcSH/BF3 EtOH/CHCl3 H2S04
[0032] この製造工程においては、まずダリオキサール水溶液にメタンジチオールを水浴で 冷しながら 0.5〜5時間攪拌して反応させる。反応が終わった後、水を除去して 4, 5 ージヒドロキシ 1, 3 ジチオランの白色結晶を得る。得られた 4, 5 ジヒドロキシー 1, 3 ジチオランを氷浴で冷しながら、ピリジン中で無水酢酸と反応させることにより 、4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランの白色粉末を得る。 4, 5 ジァセトキシー 1 , 3—ジチオランの粉末をチォ酢酸中に溶かし、(C H ) O'BF、 p トルエンスルフ
2 5 2 3
オン酸等を触媒とし、氷浴で冷しながら反応させることにより、 4, 5—ジチオアセトキシ - 1, 3—ジチオランの淡黄色のオイルを得る。次にエタノールとクロ口ホルムの混合 溶媒中で濃硫酸を用い、室温〜 70°Cで 2〜20時間反応させることにより、 目的物の 4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランを得ることができる。
[0033] 上記スキームに示すジメルカプトメタンの代わりに、下式における左側の化合物を 用いて同様の操作を行えば、その右側のチォ—ルイ匕合物を得ることができる。
[化 10]
2,3-ジメルカプ卜 1 ,4-ジチアン
3,4-ジメルカプト-ビシクロ
[4,3,0]-2,5,7,9-テトラチアノナン
2,3-ジメルカプト- 1,4-ベンゾジチアン
[0034] (2)チォ—ルイ匕合物からスルフイド化合物の合成
前記一般式(1)で表される環状スルフイド化合物は、前記一般式 (2)で表されるチ ォ—ルイ匕合物を用いて、例えば以下の方法により製造されると好ましい。
すなわち、一般式(2)に示したチオールィ匕合物をアルカリ存在下において、ェピノ、 ロヒドリンと反応させた後、チォ尿素により、エポキシをェピスルフイド化させることによ り、一般式(1)の環状スルフイドィ匕合物を製造することができる。
[0035] [化 11]
0 0 Thiourea/THF s
IS SH s
/EtOH/NaOH A^_S s, _ A MeOH/AcO ^ ^ S、 ^^ -^
H — C ι \
s、 ,s s s
※ はハロゲン原子 (例えば、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素原子等)、 Acはァシル基( 例えば、 CH CO—)、 Etはェチル基、 Meはメチル基である。
3
[0036] 上記製造方法は、一般式(2)で表されるチオールィ匕合物とェピノ、ロヒドリン (例えば ェピクロロヒドリン)を 1〜50%アルカリ(例えば水酸ィ匕ナトリウム)溶液 (溶媒は例えば エタノール)中にて 10〜30°Cで 5〜24時間反応させて脱ハロゲン水素化した後、 チォ尿素 (もしくはチォシアン酸ナトリウム、チォシアン酸カリウム、チォ硫酸ナトリウム 等)と溶媒 (例えば、テトラヒドロフラン、アセトン、メタノール)中にて一 10〜30°Cで 5 〜24時間反応させた後、加水分解塩基 (例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム
、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモ-ゥム、炭酸水素アンモ-ゥム)を加え ることにより、ェピスルフイドィ匕反応させることにより一般式(1)で表されるスルフイドィ匕 合物が製造される。
[0037] 本発明の製造方法により得られた一般式(1)で表される環状スルフイドィ匕合物は、 光学製品の原料として有用であり、一種又は二種以上を組み合わせて用いて重合 体とし、光学製品とすることができる。この光学製品は、一般式(1)で表される環状ス ルフイドィ匕合物を 10〜: L00重量%含有すると好ましぐ 50〜: L00重量%含有するとさ らに好ましい。さらに、この環状スルフイドィ匕合物を必須モノマー成分として得られる 重合体の物性などを適宜改良するための任意成分として、(0ェピスルフイドィ匕合物,
(ii)エポキシィ匕合物,チォウレタン原料である (m)ポリイソ (チォ)シァネートと Gv)ポリ チオールの混合物,ポリチオール及び (V)単独重合可能なビュルモノマーなどを適宜 配合して重合性組成物とすることにより、屈折率、アッベ数、耐熱性、耐候性、透明性 等を更に改善することができる。なお、ポリイソ (チォ)シァネートは、ポリイソシァネー トとポリイソチオシァネートの両者を意味する。
このようにして得られた光学製品の用途は限定されない。ここで、光学製品としては 、例えば、プラスチックレンズ、光ファイバ一、情報記録用基板、赤外線吸収フィルタ 一、着色フィルターなどが挙げられ、プラスチックレンズとして特に好ましく用いられる
[0038] 本発明のァシルォキシィ匕合物の製造方法は、前記一般式 (2)のチオール化合物 の合成工程において、中間体であるァシルォキシィ匕合物としても用いることができる 下記一般式(3)で表されるァシルォキシィヒ合物の製造方法であって、ジチオアシル ォキシィ匕合物とジアルデヒドィ匕合物とを反応させて製造する。
[0039] [化 12]
[0040] 一般式(3)にお 、て、 Rは、単結合、炭素数 1〜3のアルカン残基、炭素数 4〜7の
シクロアルカン残基、ヘテロ原子が酸素、窒素もしくは硫黄原子である炭素数 3〜7の ヘテロ環式化合物残基又は炭素数 6〜10の芳香族化合物残基を示し、各残基は置 換基を有していてもよい。 Rは、前記と同じである。 Acはァシル基である。
1
前記 R及び R示す各基の具体例及び置換基の例としては、前記一般式(1)の R
2 1 1 で挙げたものと同様の例が挙げられる。
前記 Acのァシル基としては、例えば、ァセチル基、ェタノ-ル基、プロピオ-ル基、 n プチリル基等が挙げられ、ァセチル基、ェタノ-ル基が好ましい。
[0041] 本発明で製造する一般式 (3)で表されるァシルォキシィ匕合物としては、例えば、 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオラン、 2, 3 ジァセトキシー 1, 4ージチアン、 3, 4 ジァセトキシービシクロ [4. 3. 0]— 2, 5, 7, 9ーテトラチアノナン、 3, 4 ジァセトキ シ一ビシクロ [4. 4. 0]— 2, 5, 7, 10—テトラチアデカン、 2, 3 ジァセトキシ一 1, 4 ベンゾジチアン、 2, 4 ジァセトキシー 1, 5 ジチアン、 3, 5 ジァセトキシービシ クロ [5. 3. 0]— 2, 6, 8, 10—テトラチアデカン、 3, 5 ジァセトキシ一ビシクロ [5. 4. 0]— 2, 6, 8, 11—テトラチアウンデカン、 2, 4 ジァセトキシ一 1, 5 ベンゾジ ヘプタン、 4, 5 ジェチ口キシー 1, 3 ジチオラン、 2, 3 ジェチ口キシー 1, 4ージ チアン、 4, 5 ジベンゾイロキシー 1, 3 ジチオラン、 2, 3 ジベンゾイロキシー 1, 4ージチアン、 4, 5 ジシクロへキシロキシー 1, 3 ジチオラン、 2, 3 ジシクロへキ シロキシ 1, 4ージチアン等が挙げられ、これらの化合物は、ァセチル基等のァシル ォキシ基にっ 、てシス ,トランス 異性体を有する場合がある。
[0042] 本発明の製造方法で用いるジチオアシルォキシィ匕合物としては、例えば、ジチオア セトキシメタン、 1, 1ージチ才ァセトキシェタン、 1, 2—ジチ才ァセトキシェタン、 1, 1 ージチオアセトキシプロパン、 2, 2—ジチオアセトキシプロパン、 1, 1ージチオアセト キシブタン、 2, 2—ジチオアセトキシブタン、 1, 1ージチオアセトキシー 2—メチルプ 口パン、 1, 1ージチオアセトキシシクロペンタン、 1, 1ージチ才ァセトキシシクロへキ サン、ジチォェチロキシメタン、 1, 2—ジチォェチロキシェタン、ジチォベンゾイロキ シメタン、 1, 2—ジチォベンゾイロキシェタン、ジチ才シクロへキシロキシメタン、 1, 2 ージチオシクロへキシロキシェタン等が挙げられ、ジチオアセトキシメタン、 1, 2—ジ チオアセトキシェタン等が好まし 、。
[0043] 本発明のァシルォキシィ匕合物の製造方法で用いるジアルデヒドィ匕合物としては、例 えば、ダリオキサール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド等が挙げられ、ダリオキ サーノレが好ましい。
[0044] 本発明にお ヽては、一般式(3)で表されるァシルォキシィ匕合物を製造する際に、少 なくとも 1種類の塩基性ィ匕合物の存在下で反応させると好ましく、少なくとも 1種類の 有機溶媒及び Z又は相間移動触媒の存在下で反応させると好ましい。また、少なく とも 1種類の塩基性化合物、並びに少なくとも 1種類の有機溶媒及び Z又は相間移 動触媒の存在下で反応させても好まし ヽ。
[0045] 前記塩基性ィ匕合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化力 リウム、水酸ィ匕セシウム、水酸ィ匕カルシウム、水酸化バリウム等の水酸ィ匕物、炭酸ナト リウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニゥム等の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素 カリウム、炭酸水素アンモ-ゥム等の炭酸水素塩、トリェチルァミン、ピリジン、ァ-リン 等のァミンが挙げられ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。
[0046] 前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等 のアルコール、ジェチノレエーテノレ、ジイソプロピルエーテル等のエーテル、アセトン、 メチルェチルケトン等のケトン、酢酸ェチル、酪酸ェチル、酢酸ブチル等のエステル が挙げられ、メタノール、アセトンが好ましい。
なお、前記相間移動触媒を使用する場合は、有機溶媒を使用してもしなくても良い
[0047] 前記相間移動触媒としては、例えば、テトラメチルアンモ -ゥムクロリド、テトラメチル アンモ-ゥムブロミド、テトラエチルアンモ -ゥムクロリド、テトラエチルアンモ-ゥムブ 口ミド、テトラプロピルアンモ-ゥムクロリド、テトラプロピルアンモ-ゥムブロミド、テトラ ブチルアンモ -ゥムクロリド、テトラプチルアンモ-ゥムブロミド、テトラペンチルアンモ ニゥムクロリド、テトラペンチルアンモ-ゥムブロミド、テトラオクチルアンモ -ゥムクロリ ド、テトラオクチルアンモ-ゥムブロミド、テトラドデシルアンモ -ゥムクロリド、テトラドデ シルアンモ-ゥムブロミド、テトラオクタデシルアンモ -ゥムクロリド、テトラオクタデシル アンモ-ゥムブロミド、テトラべンジルアンモ -ゥムクロリド、テトラべンジルアンモ-ゥ ムブロミド、ベンジルトリメチルアンモ -ゥムクロリド、ベンジルトリメチルアンモ-ゥムブ
口ミド、ベンジルトリェチルアンモ -ゥムクロリド、ベンジルトリェチルアンモ -ゥムブロミ ド、ベンジルトリブチルアンモ -ゥムクロリド、ベンジルトリブチルアンモ-ゥムブロミド、 テトラメチルホスフォ -ゥムクロリド、テトラメチルホスフォ-ゥムブロミド、テトラエチルホ スフォ-ゥムクロリド、テトラエチルホスフォ-ゥムブロミド、テトラプロピルホスフォ -ゥ ムクロリド、テトラプロピルホスフォ-ゥムブ口ミド、テトラブチルホスフォ -ゥムクロリド、 テトラブチルホスフォ-ゥムブロミド、テトラペンチルホスフォ -ゥムクロリド、テトラペン チルホスフォ-ゥムブロミド、テトラオクチルホスフォ-ゥムクロリド、テトラオクチルホス フォ-ゥムブ口ミド、テトラドデシルホスフォ -ゥムクロリド、テトラドデシルホスフォ-ゥ ムブロミド、テトラオクタデシルホスフォ-ゥムクロリド、テトラオクタデシルホスフォ-ゥ ムブロミド、テトラべンジルホスフォ -ゥムクロリド、テトラべンジルホスフォ -ゥムブロミ ド、ベンジルトリメチルホスフォ -ゥムクロリド、ベンジルトリメチルホスフォ-ゥムブロミド 、ベンジルトリェチルホスフォ -ゥムクロリド、ベンジルトリェチルホスフォ-ゥムブロミド 、ベンジルトリブチルホスフォ -ゥムクロリド、ベンジルトリブチルホスフォ-ゥムブロミド 、トリオクチルメチルアンモ -ゥムクロリド等が挙げられ、テトラプチルアンモ-ゥムブロ ミド、テトラブチルホスフォ-ゥムブロミド、ベンジルトリェチルアンモ -ゥムクロリド、トリ ォクチルメチルアンモ -ゥムクロリドが好まし 、。
本発明のァシルォキシィ匕合物の製造方法は、例えば以下のようにして実施される。 すなわち、先ず、ジチオアシルォキシィ匕合物に有機溶媒、さらにダリオキサール水溶 液を加え、これに炭酸ナトリウム等の塩基性水溶液を滴下する。その後、テトラブチル ホスフォ-ゥムブロミド等の相間移動触媒をカ卩え、反応させることにより、ァシルォキシ 化合物を得ることができる。
さらに具体的には以下のようにして行えばよい。例えば、ジチオアシルォキシ化合 物として、ジチオアセトキシメタンを溶媒、例えば、メタノールをジチオアセトキシメタン のグラム重量に対して通常 0〜5倍 ml体積量、好ましくは 0〜1. 5倍 ml体積量に溶 解し、これにダリオキサール 40質量%水溶液を通常 1〜8倍当量、好ましくは、 1〜3 倍当量を滴下する。その後、相間移動触媒、例えば、ベンジルトリェチルアンモ-ゥ ムクロリドをチオアセチル官能基に対し通常 0〜200モル0 /0、好ましくは 1〜50モル %を加えた後、 0〜80°C、好ましくは 10°C〜40°Cで、塩基性水溶液、例えば、炭酸
ナトリウム 0. 1〜20質量%水溶液、好ましくは、 15〜20質量%水溶液をチオアセチ ル官能基に対し通常 0. 5〜30モル%、好ましくは 5〜20モル%を 1〜10時間、好ま しくは 1〜5時間かけて滴下し、滴下終了後、 0〜80°C、好ましくは 10°C〜40°Cで、 1 〜72時間、好ましくは 2〜24時間、撹拌する。次いで、該反応混合物を場合により酢 酸ェチル等で抽出、水洗、有機層を乾燥させた後、溶媒を除去することにより、 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランを得る。
[0049] 上記製造方法により、 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオラン、 4ーァセトキシー 5 ーヒドロキシ 1, 3 ジチオラン、 4, 5 ジヒドロキシ 1, 3 ジチオランの混合物が 得られた場合は、その混合物を室温もしくは氷浴で冷しながら、ピリジン中で無水酢 酸と反応させればよい。加えるピリジン及び無水酢酸の量は NMRピーク力 4, 5— ジァセトキシー 1, 3 ジチオラン、 4ーァセトキシー 5 ヒドロキシー 1, 3 ジチオラン 、4, 5 ジヒドロキシ—1, 3 ジチオランの存在比率を求め、ヒドロキシ基 1モルに対 し、通常各 1〜5モル、好ましくは 1〜2モルカ卩えればよい。
[0050] 本発明の製造方法により得られるァシルォキシィ匕合物は、レンズに用いられる高屈 折率レンズ用ポリマー合成用モノマーとなるチオールの中間体もしくは原料として用 いると好ましい。このチオールを合成する場合には、公知の方法に準じて合成すれ ばよい。具体的には、例えば、 4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランを合成する場 合には、 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランの粉末を直接、チォ酢酸中に溶か し、ボロントリフルォロライド、 p—トルエンスルホン酸等を触媒とし、氷浴で冷しながら 直接滴下、反応させることにより、 4, 5 ジチオアセトキシー 1, 3 ジチオランのオイ ルを得ることができる。 4, 5 ジチオアセトキシ 1, 3 ジチオランをエタノールとク ロロホルムの混合溶媒中で濃硫酸を用い、室温〜 70°Cで 2〜20時間反応させること により、 目的物の 4, 5 ジメルカプト— 1, 3 ジチオランを得る。
[0051] 本発明のチォエステルイ匕合物の製造方法は、前記一般式 (2)のチオール化合物 の合成工程において、中間体であるチォエステルイ匕合物としても用いることができる チォエステルイ匕合物の製造方法であって、エステルイ匕合物のチォエステルイ匕反応に より、下記一般式 (4)で表されるチォエステルイ匕合物を製造する際に、反応溶媒とし てエーテル及びエステルカゝら選ばれる少なくとも 1種類を用いて製造する。
[0052] [化 13]
[0053] 一般式 (4)において、 R及び Acは、前記一般式(3)と同じであり、各基の具体例及
1
び置換基の例としても同様の例が挙げられる。
本発明で製造する一般式 (4)で表されるチォエステルイ匕合物としては、例えば、 4, 5 ジチオアセトキシー 1, 3 ジチオラン、 2, 3 ジチオアセトキシー 1, 4ージチア ン、 3, 4 ジチオアセトキシービシクロ [4. 3. 0]— 2, 5, 7, 9ーテトラチアノナン、 3 , 4 ジチオアセトキシ一ビシクロ [4. 4. 0]— 2, 5, 7, 10—テトラチアデカン、 2, 3 ージチオアセトキシー 1, 4 ベンゾジチアン等が挙げられ、これらの化合物は、チォ エステル基にっ 、てシス ,トランス 異性体を有する場合がある。
[0054] 本発明の製造方法で用いる反応溶媒としては、ジェチルエーテル、ジイソプロピル エーテル等のエーテル、酢酸ェチル、酪酸ェチル、酢酸ブチル等のエステルが挙げ られ、ジェチルエーテル、酢酸ェチルが好ましい。
[0055] 本発明のチォエステルイ匕合物の製造方法は、例えば以下のようにして実施される。
すなわち、先ず、エステル化合物を前記溶媒に溶解し、これにチォ酢酸等のチォカ ルボン酸を滴下する。ボロントリフルォロライド、 p トルエンスルフォン酸等を触媒とし 、氷浴で冷しながら滴下、反応させることにより、チォエステルイ匕合物を得ることがで きる。
さらに具体的には以下のようにして行えばよい。例えば、エステルイ匕合物として、 4, 5 ジァセトキシ— 1, 3 ジチオランを溶媒、例えば、酢酸ェチルを 4, 5 ジァセト キシ—1, 3 ジチオランのグラム重量に対して通常 0. 25〜5倍 ml体積量、好ましく は 0. 5〜1. 5倍 ml体積量に溶解し、これにチォ酢酸を通常 1〜2倍当量、好ましくは 、 1〜1. 4倍当量を滴下する。その後、通常 20〜20°C、好ましくは 5°C〜5°Cで 、触媒、例えば、ボロントリフルォロライドをエステル官能基に対し通常 0. 5〜30モル
%、好ましくは 5〜20モル%滴下し、滴下終了後、通常— 20〜30°C、好ましくは 5〜 25°Cで、通常 3〜72時間、好ましくは 8〜24時間、撹拌する。次いで、該反応混合 物を 20%の炭酸カリウム溶液で洗浄し、乾燥させた後、溶媒を除去することにより、 4 , 5 ジチオアセトキシー 1, 3 ジチオランを得る。
[0056] 本発明の製造方法により得られるチォエステルイ匕合物は、レンズに用いられる高屈 折率レンズ用ポリマー合成用モノマーとなるチオールの中間体もしくは原料として用 いると好ましい。このチオールを合成する場合には、公知の方法に準じて合成すれ ばよい。具体的には、例えば、 4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランを合成する場 合には、 4, 5 ジチオアセトキシ 1, 3 ジチオランをエタノールとクロ口ホルムの混 合溶媒中で濃硫酸を用い、室温〜 70°Cで 2〜20時間反応させることにより、 目的物 の 4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランを得る。
[0057] 本発明のチオール化合物の製造方法は、チォエステル化合物の加水分解反応に より、前記一般式 (2)で表されるチオールィ匕合物を製造する際に、塩基性物質を用 いて製造する。
前記塩基性物質としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸ィ匕カリウム、水酸 化カルシウム、水酸化バリウム等の水酸化物、アンモニア、ジェチルァミン、トリェチ ルァミン等のアミン等が挙げられ、水酸化ナトリウム、水酸ィ匕カリウム等が好ましい。使 用する塩基性物質の濃度は、反応物中に存在するチォエステル基 1モル当量に対し て通常 0. 5〜8モルであり、 0. 8〜3モルが好ましい。塩基性物質は、水やエタノー ル等の有機溶媒に溶解させ塩基性溶液にしてカゝら滴下するのが好ましぐ溶媒量は 通常 100〜10000mlであり、 200〜10001111カ^好まし1ヽ。
[0058] 本発明においては、チオール化合物を製造する際に、前記塩基性物質に加えて、 生成収率の向上のために反応溶媒を使用することが好ましい。
この反応溶媒としてし、例えば、水、メタノール、エタノール、 n—プロピルアルコー ル、 2—プロパノール、 n—ブタノール、イソブタノール等のアルコール、ジェチルエー テル、ジイソプロピルエーテル、ジー n—ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエー テル、アセトン、ブタノン、 2—ブタノン等のケトン、ァセトニトリル等が挙げられ、水、メ タノール、エタノール、ジェチルエーテル等が好ましい。
前記反応溶媒はこれらの溶媒を少なくとも 1種類以上選択すればよぐ例えば、水
Zメタノール、水 Zエタノール、水 Zジェチルエーテル、水 Zアセトン、エタノール Z ジェチルエーテル、エタノール Zアセトン、水 Zエタノール Zジェチルエーテル等の 混合溶媒が挙げられ、水 Zエタノール、エタノール Zジェチルエーテル、水 Zエタノ ール Zジェチルエーテルの混合溶媒が好ま 、。使用する溶媒量は反応物 1モルに 対して通常 50〜: LOOOOmlであり、 100〜2000ml力 ^好まし!/ヽ。
[0059] 本発明にお 、ては、反応終了後、通常、チオール生成のために塩酸、硫酸等の酸 性水溶液で中和する。酸性水溶液の濃度は 1〜30%、 5〜20%が好ましぐ pHを 5 〜8、好ましくは 5. 5〜7となるよう〖こ通常 20〜20°C、好ましくは一 10〜5°Cで冷却 しながら滴下するのが好ましい。滴下終了後、熟成のため温度を保ちながら、通常 1 0〜120分、好ましくは 30〜60分携枠するとよ!/、。
[0060] 本発明のチオール化合物の製造方法は、例えば以下のようにして実施される。
すなわち、先ず、チォエステルイ匕合物を反応溶媒に溶解し、冷却しながら塩基性溶 液を滴下し、反応させた後、酸性水溶液で中和することにより、チオール化合物を得 ることがでさる。
さらに具体的には以下のようにして行えばよい。例えば、チォエステルイ匕合物として 、4, 5 ジチオアセトキシ—1, 3 ジチオランを 1モルに対し、反応溶媒として、例え ば、通常 50〜5000ml、好ましくは 100〜2000mlのエタノール/ジェチルエーテル 混合溶液 (溶媒比は通常 1: 20-20: 1、好ましくは 1: 5〜5: 1)に溶解し、通常— 20 〜20°C、好ましくは— 10〜5°Cに冷却し、塩基性水溶液、例えば、水酸ィ匕ナトリウム 水溶液 (水酸ィ匕ナトリウムは通常 0. 8〜3モル、好ましくは 0. 9〜1. 5モル、濃度は 通常 0. 1〜8モル Zリットル好ましくは 0. 5〜6モル Zリットル)を温度を維持しながら 滴下する。滴下終了後、通常 1〜5時間、好ましくは 1〜3時間撹拌する。反応終了後 に酸性水溶液、例えば通常 1〜50%、好ましくは 10〜30%硫酸水溶液をカ卩え、 pH を通常 5〜8、好ましくは 5. 5〜7にする。中和終了後、ジクロロメタン等の有機溶媒 で抽出した後、水洗を十分繰り返し、乾燥させた後溶媒を除去し、蒸留すること〖こより 、4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランを得る。
[0061] 本発明の製造方法により得られるチオールィ匕合物は、レンズに用いられる高屈折
率レンズ用ポリマー合成用モノマーの中間体もしくは原料として用いると好ましく、レ ンズモノマーとなる環状ジスルフイドを合成する場合には、公知の方法に準じて合成 すればよい。具体的には、例えば、 4, 5 ビスェピチォプロピルジチア— 1, 3 ジチ オランを合成する場合には、 4, 5 ジメルカプト一 1, 3 ジチオランと S 置換スル フエニル— 0—メトキシチォカーボネートとの混合物を室温にて 12時間撹拌し、生成 した硫ィ匕カルボニルとメタノールを減圧下において除去することにより、 目的物を得る
[0062] 本発明のチオール化合物の精製方法は、前記一般式 (2)で表されるチオールィ匕 合物を精製する際に、塩基性溶液を加えてチオール塩を生成し、精製溶媒を加えて 結晶化させて不純物及び Z又は着色物質を取り除く。
本発明の精製方法で用いる塩基性溶液は、塩基性物質を水又は有機溶媒に溶解 した溶液であると好ま 、。
前記塩基性物質としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸ィ匕カリウム、水酸 ィ匕セシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の水酸化物、アンモニア、ジェチ ルァミン、トリェチルァミン等のアミン等が挙げられ、水酸ィ匕カリウム等が好ましい。使 用する塩基濃度は反応物中に存在するチオール基 1モル当量に対して 0. 5〜8モ ル、 0. 9〜2モルが好ましい。塩基性物質は、水やエタノール等の有機溶媒に溶解さ せてから滴下するのが好ましぐ溶媒量は通常 100〜10000ml、 200〜1000ml力 S 好ましい。
[0063] 本発明の精製方法で用いる精製溶媒としては、水と混和する水溶性溶媒であると 好ましぐ水溶性有機溶媒であるとさらに好ましぐ例えば、メタノール、エタノール、 n プロピルアルコール、 2—プロパノール、 n—ブタノール、 2—ブタノール等のアルコ ール、テトラヒドロフラン等のエーテル、アセトン、ブタノン、 2—ブタノン等のケトン、ァ セトニトリル等が挙げられ、メタノール、エタノール等が好ましい。前記精製溶媒は、上 記溶媒を少なくとも 1種類以上選択すればよぐ例えば、エタノール Zアセトン等の混 合溶媒でもよい。
[0064] 精製終了後、チオール化合物を塩酸、硫酸等の酸性水溶液で中和すると好ま 、 。酸性水溶液の濃度は、通常 1〜30%、好ましくは 5〜20%であり、 pHを通常 5〜8
、好ましくは 5. 5〜7となるように冷却しながら滴下するのが好ましい。
[0065] 本発明の精製方法は、例えば、以下のようにして実施される。
すなわち、先ず、粗チオールィ匕合物を冷却しながら塩基性溶液を滴下し、反応させ た後、精製溶媒を加え、沈殿物を生じさせる。沈殿物を回収した後、水に溶解後、冷 却しながら酸性水溶液で中和することにより、精製チオールィ匕合物を得ることができ る。
さらに具体的には以下のようにして行えばよい。例えば、チオール化合物として、 4 , 5 ジメルカプト— 1, 3 ジチオランを 1モルに対し、塩基性溶液として、例えば、 通常 1〜40%、好ましくは 10〜30%の水酸化カリウム水溶液 50〜2000ml、好まし くは 100〜600mlに溶解し、通常— 20〜20°C、好ましくは— 10〜0°Cに冷却し、有 機溶媒、例えば、エタノール 50〜2000ml、好ましくは 100〜600mlを加え、ジカリウ ム— 1, 3 ジチオラン— 4, 5 ジチォラートを析出させる。沈殿物を回収し、水 50〜 2000ml、好ましくは 100〜600mlを加え、塩を溶解した後、エタノールをカ卩える。こ の操作を 1〜5回繰り返した後、ジカリウム 1, 3 ジチオラン 4, 5 ジチォラート の沈殿物を酸性水溶液、例えば通常 1〜50%、好ましくは 10〜30%硫酸水溶液を 加え、 pHを通常 5〜8、好ましくは 5. 5〜7にする。中和終了後、有機層を回収した 後、水洗を十分繰り返し、乾燥させること〖こより、着色のない 4, 5 ジメルカプト 1, 3—ジチオランを得る。
[0066] 本発明の精製方法により得られるチオールィ匕合物は、レンズに用いられる高屈折 率レンズ用ポリマー合成用モノマーの中間体もしくは原料として用いると好ましく、レ ンズモノマーとなる環状ジスルフイドを合成する場合には、公知の方法に準じて合成 すればよい。具体的には、例えば、 4, 5 ビスェピチォプロピルジチア— 1, 3 ジチ オランを合成する場合には、 4, 5 ジメルカプト一 1, 3 ジチオランと S 置換スル フエニル— 0—メトキシチォカーボネートとの混合物を室温にて 12時間撹拌し、生成 した硫ィ匕カルボニルとメタノールを減圧下において除去することにより、 目的物を得る 実施例
[0067] 本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって
なんら限定されるものではな 、。
以下に、本発明の環状スルフイド化合物の製造方法の実施例 1、応用例 1及び応 用比較例 1〜3を説明する。なお、実施例 1で得られた化合物の物性及び応用例 1、 応用比較例 1〜3で得られた重合体力 なる光学製品の物性は、以下に示す方法に したがって測定した。
<環状スルフイドィ匕合物の物性 >
屈折率 (n )、アッベ数 ):カル-ユー社製精密屈折率計 KPR— 200を用いて
D D
25°Cにて測定した。
<重合体の物性 >
(a)屈折率 (n )、アッベ数 ):上記と同様にして測定した。
D D
(b)外 観: 肉眼により得られた重合体の透明性を観察した。
(c)耐熱性:リガク社製 TMA装置により直径 0. 5mmのピンを用いて、 98mN (10gf )の荷重で TMA測定を行ない、 10°CZ分の昇温で得られたチャートのピーク温度に より評価した。
実施例 1 (4, 5 ビスェピチォプロピルチア 1 , 3 ジチオランの合成)
(1) 4, 5 ジヒドロキシ 1, 3 ジチオランの合成
グリオキサールの 40重量0 /0水溶液(18. lg、 0. 124mol)にメタンジチオール(9. 98g、 0. 124mol)を水浴で冷しながら 1時間攪拌反応させた。反応が終わった後、 水を除去すると 4, 5 ジヒドロキシー 1, 3 ジチオランが白い結晶で得られた(17. 5 g)。得られた 4, 5 ジヒドロキシ一 1, 3 ジチオランを精製せずに後の工程に用い た。
この化合物の構造特定のための1!" I-NMR (溶媒: CDC1 )の分析結果を以下に示す
3
δ : 5.62[2H, d, J=8.4Hz,— CH (OH) S—]、 4.02 (2H,s, -SCH S—)、 2.36 (2H,d,J=8
2
.4Hz, -OH)
(2) 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランの合成
前記(1)の工程で得られた 4, 5 ジヒドロキシ 1, 3 ジチオラン(17. 5g)とピリ ジン(20ml)中に氷浴で冷しながら無水酢酸(27. 9g、 10%過剰)を 1時間かけて滴
下した。攪拌しながらさらに 1時間反応させた。室温で減圧蒸留により大部分のピリジ ンと酢酸を除去したのち、氷とジクロロメタン (40ml)をカ卩え、相分離させた。 5重量% の硫酸水溶液で洗いピリジンを完全に除去した。その後、純水でジクロロメタン溶液 を数回洗い、硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。ジクロロメタンを蒸留で除去するこ とにより、 4, 5 ジァセトキシ一 1, 3 ジチオランの白色粉末(28g)を得た。得られた 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランの白色粉末を精製せずに後工程に用いた。 この化合物の構造特定のための1 H-NMR (溶媒: CDC1 )の分析結果を以下に示す
3
δ : 6.48[2H,s,— CH (OAc) S—]、 4.11 (2H,s, -SCH S—)、 2.12 (6H,s,CH COO)
2 3
(3) 4, 5 ジチオアセトキシー 1, 3 ジチオランの合成
前記(2)の工程で得られた 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランの白色粉末(12 . 79g、 57. 5mmol)をチォ醉酸(11. 8g、 0. 155mol、 35%過乗 (J)中に溶力し、水 浴で冷しながら BFエーテル溶液 (0. 45ml)をゆっくり加えた。氷温で 3時間反応し
3
た後室温でさらに 8時間攪拌した。反応液に 40mlのジクロロメタンを加え、 20重量% の炭酸カリウム溶液で洗浄し、乾燥させた後、溶媒を除去することにより、 4, 5—ジチ オアセトキシ—1, 3 ジチオランの淡黄色のオイルを(13. 2g、収率 90. 4%)得た。 得られた 4, 5 ジチオアセトキシ 1, 3 ジチオランを精製せずに次の工程に用い た。
この化合物の構造特定のための1 H-NMR (溶媒: CDC1 )の分析結果を以下に示す
3
δ : 5.41[2H,s,— CH (SAc) S—]、 4.09 (2H,s, -SCH S— )、 2.35 (6H,s,CH COS)
2 3
(4) 4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランの合成
前記(3)の工程で得られた 4, 5 ジチオアセトキシー 1, 3 ジチオラン(13. 2g、 5 1. 9mmol)をエタノール(30ml)とクロ口ホルム (30ml)の混合溶媒中 98重量0 /0の 濃硫酸(1. 44g)を用い、 60°Cで 25時間反応させた。得られた反応液を純水で洗い 中性にした後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を除去し、蒸留することにより、 目 的物の 4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランのシス一とトランス一の異性体の混合 物を (4. 27g、収率 48. 3%)得た。沸点は、 78〜80。CZ0. 67Paであった。
この化合物の構造特定のための1!" I-NMR (溶媒: CDC1 )の分析結果を以下に示す
3 δ : 4.59— 4.64[2H,m,一 CH (SH) S―]、 4.09 (2H,s, -SCH S—)、 2.60— 2.65 (6H,m,
2
SH)
(5) 4, 5-ビスェピチォプロピルチア 1 , 3 ジチオランの合成
(i) 4, 5 ビスグリシジルチア 1, 3 ジチオランの合成
前記(4)工程で得られた 4, 5 ジメルカプト— 1, 3 ジチオラン(64. 31g、 0. 37 76mol)と、ェピクロロヒドリン(69. 88g、 0. 7552mol)をエタノーノレ(120ml)にカロえ 、— 2°Cに冷却した。この混合物に 33重量%水酸ィ匕ナトリウム(1. 62g)水溶液を 3時 間かけて滴下し、この反応混合物を 1時間撹拌した。この後、室温に放置し、 3時間 更に攪拌し、 0度に冷却した。 12. 5重量%水酸ィ匕ナトリウム水溶液(250g、 0. 781 2mol)を反応混合物に 1時間かけて滴下し、 4時間攪拌した。この後、室温に放置し 、 10時間更に攪拌し、蒸留水 100mlをカ卩え、ジクロロメタン 80mlで抽出した。この抽 出操作を 3回繰り返した後、反応混合物を中性になるまで水洗し、無水硫酸マグネシ ゥムで乾燥した。溶媒を溜去すると、 4, 5 ビスグリシジルチア 1, 3 ジチオラン( 105g、収率 98. 5%)を得た。
この化合物の構造特定のための1 H-NMR (溶媒: CDC1 )の分析結果を以下に示す
3 δ : 4.90-5.05 (2Η, m, —CHS— )、 4.05 (2H, s, —SCH S— )、 3.10— 3.30 (2H, m,
2
— CHO— )、 2.60— 2.80 (8H, m, — CH O— , —SCH -)
2 2
(ii) 4, 5 ビスェピチォプロピルチア 1, 3 ジチオランの合成
4, 5 ビスグリシジルチア— 1, 3 ジチオラン(105g、 0. 372mol)と、チォ尿素( 56. 6g、 0. 746mol)をテトラヒドロフラン(130ml)、メタノール(450ml)混合溶媒に 加え、無水酢酸(20g)を加え、 24時間攪拌した。この後、 10重量%炭酸ナトリウム水 溶液(200ml)を加え、よく攪拌した後、ジクロロメタン 250mlで抽出した。この抽出操 作を 3回繰り返した後、反応混合物を中性になるまで水洗し、無水硫酸マグネシウム で乾燥した。溶媒を溜去し、カラム精製することにより、 目的物(59. 7g、 51%)を得
この化合物の構造特定のための1!" I-NMR (溶媒: CDC1 )の分析結果を以下に示す δ :4.88-4.93 (2Η, m,—CHS— )、 4.08 (2H, s,—SCH S— )、 3.10— 3.25 (4H, m,
2
— CHO— )、 2.80— 3.00 (2H, m, thiirane— CH)、 2.58— 2.63 (2H, m, thiirane— CH )
2
、 2.31 (2H, d, J=5.4Hz, thiirane -CH)
この化合物の屈折率 (n )は 1.698、アッベ数( v )は 32.6であった。
D D
[0071] 応用例 1 (重合体からなる光学製品の製造)
実施例 1で得られた 4, 5 ビスェピチォプロピルチア 1, 3 ジチオラン 0.05モル と重合触媒であるジシクロへキシルメチルァミン 5 X 10—5モルの混合物を均一に攪拌 し、二枚のレンズ成型用ガラス型に注入し、 50°Cで 10時間、その後 60°Cで 5時間、 さらに 120°Cで 3時間加熱重合させてレンズ形状の重合体を得た。得られた重合体 の諸物性を表 1に示す。表 1から分力るように、得られた重合体は、透明で、屈折率( n )は 1. 75、アッベ数 )も 33と、高屈折率、低分散であり、耐熱性 (91°C)に優
D D
れたものであった。従って、得られた重合体は光学製品として好適であった。
[0072] 応用比較例 1 (重合体からなる光学製品の製造)
表 1に示すようにペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート(RM1) 0.1 モル、 m—キシリレンジイソシァネート(RM2) 0. 2モル及びジブチルスズジクロライド 1. 0 X 10— 4モルの混合物を均一に撹拌し、二枚のレンズ成形用ガラス型に注入し、 5 0°Cで 10時間、その後 60°Cで 5時間、さらに 120°Cで 3時間加熱重合させてレンズ形 状の重合体を得た。得られた重合体の諸物性を表 1に示す。表 1から分力るように、 得られた重合体は無色透明で光学歪みも観察されな力つたが、 n
D Z V が 1. 59/3 D
6と屈折率が低ぐ耐熱性も 86°Cと劣っていた。
[0073] 応用比較例 2及び応用比較例 3 (重合体からなる光学製品の製造)
表 1に示した原料組成物を使用した以外は、応用比較例 1と同様の操作を行ない、 レンズ形状の重合体を得た。これらの重合体の諸物性を表 1に示す。表 1から分かる ように、本応用比較例 2の重合体は n Z v が 1. 67Z28といずれも低ぐ耐熱性 (
D D
94°C)は比較的良好であるが、着色が見られ、光学歪が観察された。また、本応用比 較例 3の重合体は、 V 力 ¾6と比較的高ぐ無色透明で光学歪は観察されな力つた
力 nが 1. 70とそれほど高くなぐまた、重合体は脆弱であった。
D
[0074] [表 1] 表 1 応用例 モノマー原料 重合触媒 nD/vD 外観 耐熱性
No. (モル) (モル) (°C)
1 M1 CT1 1.75/33 無色透明 91
(0.05) (2.0 x 10-5) 硬質 応用
原料組成 重合触媒 nD/vD 外観 耐熱性 比較例
No. (モル) (モル) (°C)
1 RM1/RM2 CT2 1.59/36 無色透明 86
(0.1/0.2) (2.0 x 10-4) 硬質
2 RM3/R 2 CT2 1.67/28 淡黄色透明 94
(0.2/0.3) (2.0 X 10一4) 硬質
3 RM4 CT3 1.70/36 無色 2s明 90
(0.1 ) ( 1.0 X 10"4) 脆弱
[0075] ※表 1に示す略号は、下記のものを表す。
Ml :4, 5 ビスェピチォプロピノレチア 1, 3 ジチオラン
RM1:ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート
RM2: m キシリレンジイソシァネート
RM3 : 1, 3, 5 トリメルカプトベンゼン
RM4 : 2, 3-ェピチォプロピルスルフイド
CT1:ジシクロへキシノレメチノレアミン
CT2:ジブチルスズジクロライド
CT3:テトラ(n—ブチル)フォスフォ -ゥムブロマイド
[0076] 次に、本発明のァシルォキシ化合物の製造方法の実施例 2〜9及び比較例 2を説 明する。なお、実施例 2〜9及び比較例 2で得られたァシルォキシ化合物の着色具合 、純度は、以下に示す方法に従い測定した。
<着色具合 >
蛍光灯照射下で生成物の着色具合を観察した。
<純度の測定 >
日本電子社製 JNM- EX270型核磁気共鳴装置を用いてプロトン比力 4, 5 ジァ セトキシー 1, 3 ジチオラン、 4ーァセトキシー 5 ヒドロキシー 1, 3 ジチオラン、 4 , 5 ジヒドロキシ 1, 3 ジチオランの存在比率を求めた。
島津製作所社製 GC— 14BPFガスクロマトグラフィーを用いて 4, 5 ジァセトキシ - 1, 3 ジチオランの純度を求めた。ガス流量は 51mlZmin、温度範囲は 150〜3 00°Cまで、昇温速度は 5°CZ分で行った。
[0077] 実施例 2 (4, 5 ジァセトキシ一 1, 3 ジチオランの合成)
ジチオアセトキシメタン(15. Og)、メタノール(15ml)、グリオキサール 40質量0 /0水 溶液(26. 6g)に炭酸ナトリウム 20質量%水溶液 (63. Og)を 25°Cで 5時間かけてゆ つくり滴下した。滴下終了後、 2時間撹拌し続けた。この後、酢酸ェチル (20ml)で抽 出した。この操作を 5回繰り返した。酢酸ェチル溶液を無水硫酸マグネシウム乾燥し た後、濃縮すると赤色の油状物質(14. lg)が得られた。 NMRピーク力も 4, 5 ジァ セトキシー 1, 3 ジチオラン、 4ーァセトキシー 5 ヒドロキシー 1, 3 ジチオラン、 4 , 5 ジヒドロキシ— 1, 3 ジチオランの存在比率(モル比)は 41. 8/35. 5/22. 7 であった。赤色の油状物質に無水酢酸 (8. 4g)とピリジン(3. Og)を室温中でカロえ、 1時間撹拌した。冷水 (40ml)をカ卩えた後、ジクロロメタン(20ml)で生成物を抽出す る操作を 3回繰り返した後、溶媒を除去し、蒸留すると 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジ チオランの淡黄色油状物質(14. 2g、収率 67. 2%、純度 96. 1%)が得られた。
[0078] 実施例 3 (4, 5 ジァセトキシ一 1, 3 ジチオランの合成)
表 2に示す溶媒の量に代えた以外は実施例 2と同様に 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ージチオランを製造した結果、 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランの淡黄色油状 物質が得られ、収率 58. 1%、純度 96. 0%と高かった。
[0079] 実施例 4 (4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランの合成)
ジチオアセトキシメタン(12. 7g)、メタノール(20ml)、グリオキサール 40質量0 /0水 溶液(13. 3g)に炭酸水素ナトリウム粉末(13. Og)を加え、 40°Cで 12時間撹拌し続 けた。反応終了後、固体粉末をフィルター除去した後、酢酸ェチル (40ml)で抽出し
た。この操作を 5回繰り返した。酢酸ェチル溶液を無水硫酸マグネシウム乾燥した後 、濃縮すると赤色の油状物質(14. 2g)が得られた。 NMRピーク力 4, 5—ジァセト キシー 1, 3—ジチオラン、 4ーァセトキシー 5—ヒドロキシー 1, 3—ジチオラン、 4, 5 ージヒドロキシ—1, 3—ジチオランの存在比率(モル比)は 46. 7/42. 2/11. 1で あった。赤色の油状物質に無水酢酸 (4. 8g)とピリジン(1. 9g)を室温中でカ卩え、 1 時間撹拌した。冷水 (40ml)をカ卩えた後、ジクロロメタン(20ml)で生成物を抽出する 操作を 3回繰り返した後、溶媒を除去し、蒸留すると 4, 5—ジァセトキシー 1, 3—ジ チオランの淡黄色油状物質(10. 5g、収率 47. 6%、純度 92. 0%)が得られた。
[0080] 実施例 5 (4, 5—ジァセトキシ一 1, 3—ジチオランの合成)
ジチオアセトキシメタン(16. 4g)、ダリオキサール 40質量%水溶液(22. Og)にべ ンジルトリェチルアンモ -ゥムクロリド (0. 23g)をカ卩え、 20質量0 /0炭酸ナトリウム水溶 液 (37. 5g)を滴下し、室温下で 19時間撹拌し続けた。反応終了後、酢酸ェチル (3 Oml)で抽出した。この操作を 3回繰り返した。酢酸ェチル溶液を無水硫酸マグネシゥ ムで乾燥した後、濃縮するとオレンジ色の油状物質(16. 8g)が得られた。 NMRピー タカら 4, 5—ジァセトキシー 1, 3—ジチオラン、 4ーァセトキシー 5—ヒドロキシー 1, 3 ージチオラン、 4, 5—ジヒドロキシ—1, 3—ジチオランの存在比率(モル比)は 70. 2 /25. 9/3. 9であった。オレンジ色の油状物質に無水酢酸(6. Og)とピリジン(1. 4 g)を室温中でカ卩え、 1時間撹拌した。冷水(70ml)をカ卩えた後、ジクロロメタン(20ml )で生成物を抽出する操作を 3回繰り返した後、溶媒を除去し、蒸留すると 4, 5—ジ ァセトキシー 1, 3—ジチオランの淡黄色油状物質(17. 4g、収率 76. 0%、純度 97. 3%)が得られた。
[0081] 実施例 6〜8 (4, 5—ジァセトキシー 1, 3—ジチオランの合成)
表 2に示す相間移動触媒の種類及び量、反応時間に代えた以外は実施例 5と同様 に 4, 5—ジァセトキシー 1, 3—ジチオランを製造した結果、いずれも 4, 5—ジァセト キシー 1, 3—ジチオランの淡黄色油状物質が得られ、収率 64%以上、純度 89%以 上あり高かった。
[0082] 実施例 9 (4, 5—ジァセトキシ一 1, 3—ジチオランの合成)
表 2に示す相間移動触媒の種類及び量、炭酸ナトリウム水溶液の濃度及び量、反
応時間に代えた以外は実施例 5と同様に 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランを 製造した結果、 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランの淡黄色油状物質が得られ 、収率 67. 4%、純度 94. 6%と高かった。
[0083] 比較例 2 (4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランの合成)
ジチオアセ卜キシメタン(15. Og)に、水 200ml、 p 卜ルエンスルホン酸(20. Og)を 加え、 60°Cで 3時間加熱した後、油層を回収し、蒸留すると、ジメルカプトメタン(3. 7 3g)が得られた。これにダリオキサール 40質量%水溶液(6. 75g)を氷浴中にてカロえ た後、 1時間室温で撹拌した。この後、水を除去し、乾燥すると 4, 5 ジヒドロキシー 1, 3 ジチオラン(6. 42g)を得た。白色結晶粉末に無水酢酸(9. 96g)とピリジン(2 . 32g)を室温中でカ卩え、 1時間撹拌した。冷水 (40ml)を加えた後、ジクロロメタン(2 Oml)で生成物を抽出する操作を 3回繰り返した後、溶媒を除去し、蒸留すると 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランの淡黄色油状物質(10. 14g、収率 49. 9%、純 度 99. 5%)が得られた。
[0084] [表 2]
DHL :4, 5 ジヒドロキシー 1, 3 ジチオラン
AHL 4 ジァセトキシー 5 ジヒドロキシー 1 , 3 ジチオラン
DAL:4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオラン
MeOH :メタノール
Na CO:炭酸ナトリウム
2 3
NaHCO:炭酸水素ナトリウム
3
BzEt NCI:ベンジルトリェチルアンモニゥムクロリド
3
Bu NBr:テトラプチルアンモニゥムブロミド
4
Oct MeNCl:トリオクチルメチルアンモニゥムクロリド
3
Bu PBr:テトラブチルホスフォニゥムブロミド
4
[0086] 次に、本発明のチォエステルイ匕合物の製造方法の実施例 10〜14及び比較例 3〜 5を説明する。なお、実施例 10〜 14及び比較例 3〜5で得られたチォエステルイ匕合 物の着色具合、純度は、以下に示す方法に従い測定した。
<着色具合 >
蛍光灯照射下で生成物の着色具合を観察した。
<純度の測定 >
HPLCにより純度を求めた。カラムに ODS 80A、溶媒にァセトニトリル Z水(6Z 4)混合溶液を使用した。流速は 0. 6mlZminで、 UV検出器 (波長 254nm)を用い てピーク面積力 純度を求めた。
[0087] 実施例 10 (4, 5 ジチオアセトキシー 1, 3 ジチオランの合成)
4, 5 ジァセトキシ— 1, 3 ジチオランの白色粉末(12. 79g、 57. 5mmol)にジ ェチルエーテル(12. 79ml)をカ卩え、溶解させた後、チォ酢酸(11. 8g、 0. 155mol )を滴下し、さらに氷浴で冷しながらボロントリフルォロライド'エーテル溶液(2. 05ml )をゆっくり加えた。氷温で 1時間反応した後室温でさらに反応が終了するまで攪拌し た。反応液に 40mlのジクロロメタンを加え、 20%の炭酸カリウム溶液で洗浄し、乾燥 させた後、溶媒を除去することにより、 4, 5 ジチオアセトキシー 1, 3 ジチオランを 含む化合物を(14. 0g、収率 96%)得た。淡黄色のオイルで著しい着色もなぐ純度 も 78. 0%あり良好であった。これらの結果を表 3に示す。なお、反応時間は反応が 終了するまでの時間である。
[0088] 実施例 11〜14 (4, 5 ジチオアセトキシ 1, 3 ジチオランの合成)
表 3に示す溶媒の量、種類に代えた以外は実施例 10と同様にチォエステルイ匕合物
を製造し、結果を表 3に示す。いずれも淡黄色のオイルで著しい着色もなぐ純度も 6 7〜82%あり高かった。
[0089] 比較例 3 (4, 5—ジチオアセトキシー 1, 3—ジチオランの合成)
4, 5—ジァセトキシー 1, 3—ジチオランの白色粉末(12. 79g、 57. 5mmol)をチ ォ酢酸(11. 8g、 0. 155mol、 35%過剰)中に溶かし、氷浴で冷しながらボロントリフ ルォロライド'エーテル溶液 (0. 45ml)をゆっくり加えた。氷温で 3時間反応した後室 温でさらに 8時間攪拌した。反応液に 40mlのジクロロメタンを加え、 20%の炭酸カリ ゥム溶液で洗浄し、乾燥させた後、溶媒を除去することにより、 4, 5—ジチオアセトキ シー 1, 3—ジチオランを(13. 2g、収率 90. 4%)得た。オレンジ色のオイルで着色 が著しぐ純度も 60. 4%と低力つた。結果を表 3に示す。
[0090] 比較例 4 (4, 5—ジチオアセトキシー 1, 3—ジチオランの合成)
触媒に p—トルエンスルホン酸を用いた以外は比較例 3と同様に行った。赤色のォ ィルで着色が著しぐ純度も 54%と低カゝつた。結果を表 3に示す。
比較例 5 (4, 5—ジチオアセトキシー 1, 3—ジチオランの合成)
溶媒にトルエンを使用した以外は実施例 10と同様に行った。赤色のオイルで着色 が著しぐ純度も 57. 9%と低力つた。結果を表 3に示す。
[0091] [表 3]
表 3 溶 ¾|/反応物 触媒量 反応時間 収率
溶媒 (ml/g) (mol%) 純度(%)
(時間) (%)
BF - 実施例 10 Et20 1/1 3 Et 20
21 96.0 78.0
(41)
Et20/EtOAc BF3 -Et.O
実施例 11 1.4/1 48 95.6 78.6
(2/5) (9)
実施例 12 EtOAc 0.5/1 22 95.4 67.7 実施例 13 BF 3 -Et 2 O
EtOAc 1/1 24 93.9 81.3
(9)
実施例 14 BF3 -Et20
EtOAc 3/1 24 95.0 78.5 比較例 3 ― ― 20 88.2 60.4
〇
〇
BF3 -Et20
比較例 5 Toluene 2/1 24 75.5 57.9
(9)
[0092] ※反応物: 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオラン
Et O:ジェチルエーテル
2
EtOAc :酢酸ェチル
Toluene:トルエン
BF:ボロントリフルォロライド
3
TsOH: p -トルエンスルホン酸
[0093] 次に、本発明のチオールィ匕合物の製造方法の実施例 15及び比較例 6を説明する 。なお、実施例 15及び比較例 6で得られたチオールィ匕合物の純度は、以下に示す 方法に従い測定した。
<純度の測定 >
島津製作所社製 GC— 14BPFガスクロマトグラフィーを用いて純度を求めた。ガス 流量は 51mlZmin、温度範囲は 150〜300°Cまで、昇温速度は 5°CZ分で行った。
[0094] 実施例 15 (4, 5 ジメルカプト 1 , 3 ジチオランの合成)
(1) 4, 5 ジヒドロキシ 1, 3 ジチオランの合成
ダリオキサールの 40%水溶液(1161. 6g)にメタンジチオール(642g)を水浴で冷 しながら 1. 5時間かけて滴下後、 6時間攪拌反応した。反応が終わった後、水を除去 すると 4, 5 ジヒドロキシ一 1, 3 ジチオランが白い結晶で得られた(1105. 7g)。 得られた 4, 5 ジヒドロキシ一 1, 3 ジチオランを精製せずに後の工程に用いた。
(2) 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランの合成
(1)の工程で得られた 4, 5 ジヒドロキシ 1, 3 ジチオラン(260. 2g)とピリジン (82g)中に氷浴で冷しながら無水酢酸 (403. Og)を 3時間かけて滴下した。攪拌し ながらさらに 2時間反応させた。室温で減圧蒸留により大部分のピリジンと酢酸を除 去したのち、氷とジクロロメタン(200ml)をカ卩え、相分離させた。 5%の硫酸水溶液で 洗いピリジンを完全に除去した。その後、純粋でジクロロメタン溶液を数回洗い、硫酸 マグネシウムを加え乾燥させた。ジクロロメタンを蒸留で除去することにより、 4, 5—ジ ァセトキシ— 1, 3 ジチオランの白い粉末 (405g)を得た。得られた 4, 5 ジァセト キシ一 1 , 3 ジチオランの白 、粉末を精製せずに後工程に用いた。
(3) 4, 5 ジチオアセトキシー 1, 3 ジチオランの合成
4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランの白色粉末(492g)に酢酸ェチル(492ml )を加え、溶解させた後、チォ酢酸(354g)を滴下し、さらに氷浴で冷しながらボロント リフルォロライド'エーテル溶液(25ml)をゆっくり加えた。氷温で 1時間反応した後室 温でさらに反応が終了するまで攪拌した。反応液に 200mlのジクロロメタンをカ卩え、 2 0%の炭酸カリウム溶液で洗浄し、乾燥させた後、溶媒を除去することにより、 4, 5— ジチオアセトキシー 1, 3 ジチオランを含む化合物を(533g、収率 94. 6%)得た。
(4) 4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランの合成
4, 5 ジチオアセトキシ 1, 3 ジチオラン(354g、 1. 39mol)をエタノール(400 ml)とジェチルエーテル (400ml)の混合溶液にカ卩え、 5°Cに冷却した。水酸化ナト リウム水溶液 5. 85mol、 700ml)を 0°Cを超えないように滴下した。滴下終了後、 2時 間撹拌した。得られた反応液を 0°C以下を保持しながら、 20%硫酸冷水溶液(1400 ml)を加え、 30分撹拌した。ジクロロメタンで抽出した後、水洗し、硫酸マグネシウム で乾燥させ、溶媒を除去し、 4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランの粗体 (収率 82 . 2%、純度 83. 0%)を得た。 78〜80°CZ0. 67Paで蒸留することにより、 目的物の
4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランのシス一とトランス一の異性体の混合物を(1 60. 5g、収率 67. 7%)得た。蒸留後の純度は 99. 1%であり、生成物収率は 67. 1 %であった。
この化合物の構造特定のための1!" I-NMR (溶媒: CDC1 )の分析結果を以下に示す
3 δ :4.59— 4.64[2H,m,一 CH (SH) S―]、 4.09 (2H,s, -SCH S—)、 2.60— 2.65 (6H,m,
2
SH)
[0095] 比較例 6 (4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランの合成)
4, 5 ジチオアセトキシ— 1, 3 ジチオランの合成は実施例 15の(1)〜(3)と同 様に行った。得られた 4, 5 ジチオアセトキシ— 1, 3 ジチオラン(178g、 0. 700m ol)をエタノール(709g)溶媒中 98%の濃硫酸(32g)を用い、 68°Cで 5時間反応さ せた。得られた反応液中のエタノールを除去後、冷水 1000mlを加え、さらにジクロロ メタン 400mlをカ卩ぇ抽出した。抽出液を純水 500mlで 3回、洗い中性にした後、硫酸 マグネシウムで乾燥させ、溶媒を除去し、 4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランの 粗体 (収率 99. 85%、純度 62. 0%)を得た。蒸留することにより、 目的物の 4, 5 ジ メルカプト 1, 3 ジチオランのシス一とトランス一の異性体の混合物を(84. 2g、収 率 70. 6%)得た。蒸留後の純度は 88. 5%であり、生成物収率は 62. 5%であった。
[0096] 次に、本発明のチオールィ匕合物の精製方法の実施例 16及び比較例 7を説明する 。なお、実施例 16及び比較例 7で得られたチオールィ匕合物の着色具体、純度は、以 下に示す方法に従 、測定した。
<着色具合 >
蛍光灯照射下で生成物の着色具合を観察した。
<純度の測定 >
島津製作所社製 GC— 14BPFガスクロマトグラフィーを用いて純度を求めた。ガス 流量は 51mlZmin、温度範囲は 150〜300°Cまで、昇温速度は 5°CZ分で行った。
[0097] 実施例 16 (4, 5 ジメルカプト一 1, 3 ジチオランの合成〜精製)
(1)4, 5 ジヒドロキシ 1, 3 ジチオランの合成
ダリオキサールの 40%水溶液(1161. 6g)にメタンジチオール(642g)を水浴で冷
しながら 1. 5時間かけて滴下後、 6時間攪拌反応した。反応が終わった後、水を除去 すると 4, 5 ジヒドロキシ一 1, 3 ジチオランが白い結晶で得られた(1105. 7g)。 得られた 4, 5 ジヒドロキシ一 1, 3 ジチオランを精製せずに後の工程に用いた。
(2) 4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランの合成
(1)の工程で得られた 4, 5 ジヒドロキシ 1, 3 ジチオラン(260. 2g)とピリジン (82g)中に氷浴で冷しながら無水酢酸 (403. Og)を 3時間かけて滴下した。攪拌し ながらさらに 2時間反応させた。室温で減圧蒸留により大部分のピリジンと酢酸を除 去したのち、氷とジクロロメタン(200ml)をカ卩え、相分離させた。 5%の硫酸水溶液で 洗いピリジンを完全に除去した。その後、純粋でジクロロメタン溶液を数回洗い、硫酸 マグネシウムを加え乾燥させた。ジクロロメタンを蒸留で除去することにより、 4, 5—ジ ァセトキシ— 1, 3 ジチオランの白い粉末 (405g)を得た。得られた 4, 5 ジァセト キシ一 1 , 3 ジチオランの白 、粉末を精製せずに後工程に用いた。
(3) 4, 5 ジチオアセトキシー 1, 3 ジチオランの合成
4, 5 ジァセトキシー 1, 3 ジチオランの白色粉末(492g)に酢酸ェチル(492ml )を加え、溶解させた後、チォ酢酸(354g)を滴下し、さらに氷浴で冷しながらボロント リフルォロライド'エーテル溶液(25ml)をゆっくり加えた。氷温で 1時間反応した後室 温でさらに反応が終了するまで攪拌した。反応液に 200mlのジクロロメタンをカ卩え、 2 0%の炭酸カリウム溶液で洗浄し、乾燥させた後、溶媒を除去することにより、 4, 5— ジチオアセトキシー 1, 3 ジチオランを含む化合物を(533g、収率 94. 6%)得た。
(4) 4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランの合成
4, 5 ジチオアセトキシ 1, 3 ジチオラン(354g、 1. 39mol)をエタノール(400 ml)とジェチルエーテル (400ml)の混合溶液にカ卩え、 5°Cに冷却した。水酸化ナト リウム水溶液 5. 85mol、 700ml)を 0°Cを超えないように滴下した。滴下終了後、 2時 間撹拌した。得られた反応液を 0°C以下を保持しながら、 20%硫酸冷水溶液(1400 ml)を加え、 30分撹拌した。ジクロロメタンで抽出した後、水洗し、硫酸マグネシウム で乾燥させ、溶媒を除去し、 78〜80°CZ0. 67Paで蒸留することにより、 4, 5 ジメ ルカプト— 1, 3 ジチオランを(160. 5g、収率 67. 7%、純度 99. 1%)得た。色は 赤褐色であった。
(5)4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランの精製
(4)で得られた 4, 5 ジメルカプト— 1, 3 ジチオラン 82g (純度 99. 1%)に 26. 5 %水酸化カリウム水溶液 (204g)を 0°Cを超えな!/ヽように 40分かけて滴下した。滴下 終了後、 30分熟成した後、エタノール (450ml)を 2°Cを超えないように加え、 5°C で 1時間保持した。沈殿物を回収した後、 0°C以下を保持しながら、エタノール(100 ml)で洗浄を 2回繰り返した。 0°Cを保ちながら水(150ml)を加え、沈殿物を溶解し た後、 0°C以下を保持しながら、エタノール 600mlを加え、 1時間撹拌した。沈殿物を 回収した後、 0°C以下を保持しながら、エタノール(100ml)で洗浄を 3回繰り返した。 0°Cを保ちながら水(150ml)を加え、沈殿物を溶解した後、 2°C以下を保持しながら 、 18%塩酸水溶液 160gをカ卩え、 pHを 6にした。有機層を回収し、無水硫酸マグネシ ゥムで乾燥し、これを除去すると、 目的物の 4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランの シス一とトランス一の異性体の混合物を (67. 0g、収率 81. 7%)得た。精製後の純 度は 99. 6%であり、無色透明であった。
[0098] 比較例 7 (4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランの精製)
実施例 16の(4)で得られた 4, 5 ジメルカプト— 1, 3 ジチオラン 75g (純度 99. 1%)をさらに 85〜90°CZ0. 67Paで蒸留を 2回繰り返した。 1回の蒸留に 6時間か 力つた。 目的物の 4, 5 ジメルカプト 1, 3 ジチオランのシス一とトランス一の異性 体の混合物を (60g、収率 80. 0%、純度 99. 6%)得たが、黄色油状物質であり、無 色透明ではな力つた。
産業上の利用可能性
[0099] 本発明の環状スルフイドィ匕合物の製造方法は、一般式 (2)で表されるチオールィ匕 合物を出発原料とすることにより一般式(1)で表される環状スルフイドィ匕合物を効率 良く製造できる。
本発明のァシルォキシィ匕合物の製造方法によると、ァシルォキシィ匕合物を製造す る際に、ジチオアシルォキシィ匕合物とジアルデヒドィ匕合物から直接ァシルォキシィ匕合 物を製造可能であり、従来に比べ製造工程が短縮される。
本発明のチォエステルイ匕合物の製造方法はによると、チォエステルイ匕合物を製造 する際に、反応溶媒としてエーテル及びエステルカゝら選ばれる少なくとも 1種類を用
いることにより、高収率、かつ著しい着色のないチォエステルイ匕合物を製造可能であ る。
本発明のチオールィヒ合物の製造方法によると、チオール化合物を製造する際に、 塩基性物質を用いることにより、高純度及び高収率なチオール化合物を製造可能で あり、本発明のチオールィヒ合物の精製方法によると、チオール化合物を精製する際 に、塩基性溶液を加えてチオール塩を生成し、精製溶媒を加えて結晶化させること により、高純度となり、かつ着色が低減されたチオールィ匕合物が得られる。