エポキシ樹脂組成物、新規フエノール樹脂、新規エポキシ樹脂、フエノー ル樹脂の製造方法、エポキシ樹脂の製造方法、及びエポキシ樹脂組成物の硬 化物
技術分野
[0001] 本発明は硬化性に優れ、かつ難燃性、耐熱性などに優れる硬化物を与えるフエノ ール榭脂の製造方法及びエポキシ榭脂の製造方法に関する。
背景技術
[0002] エポキシ榭脂及びその硬化剤を必須成分とするエポキシ榭脂組成物は、その硬化 物において一般的に硬化時の低収縮性 (寸法安定性)、電気絶縁性、耐薬品性など に優れた性能を発現する為に、最近のエレクトロニクス分野や高機能塗料分野など に広く用いられており、特に電子部品封止材料に特に適した材料として汎用されて いる。
[0003] 近年、電子部品封止材料等の電子部品材料用途では、高周波デバイス等の技術 革新やダイォキシン問題を代表とする環境問題に対応するために、従来よりも優れた 難燃性、耐熱性、耐湿性、柔軟性、硬化性などの特性が強く求められている。
[0004] このような要求に対応するための手段として、 2, 3, 6—トリメチルフエノールをホル マリンと反応させてフエノール榭脂をグリシジルエーテルィ匕したエポキシ榭脂を主剤と して用い、硬化物の耐水性や密着性を改善する技術も知られている(例えば、特許 文献 1参照)。然し乍ら、かかる技術では、 2, 3, 6—トリメチルフエノールがそのパラ 位のみでメチレンを介して他の 2, 3, 6—トリメチルフエノール結合するために、全て 2 核体の化合物になり、エポキシィ匕した際に硬化物の耐熱性に劣る他、その原料であ るフエノール榭脂の合成反応にぉ 、て結晶化しやす 、と 、う問題を有して ヽた。
[0005] 特許文献 1 :特開平 10— 237155
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 本発明が解決しょうとする課題は、トリアルキルフエノールを原料フエノールとして用
、ながらもその硬化物にぉ 、て高 、耐熱性を発現し得るフエノール榭脂、又は該フ エノール榭脂を原料とするエポキシ榭脂を含有するエポキシ榭脂組成物を提供し、 更に、これらのフエノール榭脂及びエポキシ榭脂を工業的に簡便な方法でかつ高収 率で製造する方法を提供する。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明者らは、前記の課題を解決するため、鋭意検討した結果、原料として用いる トリアルキルフ ノールとして、一般に反応性が低いものとして知られる 2, 4, 6—トリ アルキルフエノールを用い、所定の条件下にノボラック化反応させることにより、一般 に反応性が極めて低いものとして知られているにもかかわらず、前記した耐湿性及び 耐熱性の物性バランスに優れたフエノール榭脂が得られ、これをエポキシ化したェポ キシ榭脂も同様の性能を発現することを見出し本発明を完成するに至った。
[0008] 即ち、本発明は、エポキシ榭脂と硬化剤とを必須成分とするエポキシ榭脂組成物で あって、前記硬化剤が、下記構造式(1)
[0009] [化 1]
OH
(R〜Rは、それぞれ独立的に炭素原子数 1〜4のアルキル基、 R及び Rはそれぞ
1 3 4 5 れ独立的に水素原子、炭素原子数 1〜4のアルキル基、ァリール基、又はァラルキル 基を表す。 )
で表される構造を繰り返し単位とするノボラック榭脂であることを特徴とするエポキシ 榭脂組成物 (以下、これを「エポキシ榭脂 (I)」と略記する。 )に関する。
本発明は、更に、エポキシ榭脂と硬化剤とを必須成分とするエポキシ榭脂組成物で あって、前記エポキシ榭脂が、下記構造式 (2)
[化 2]
(R〜Rは、それぞれ独立的に、炭素原子数 1〜4のアルキル基、 R及び Rはそれ
1 3 4 5 ぞれ独立的に水素原子、炭素原子数 1〜4のアルキル基、ァリール基、又はァラルキ ル基、 Rは水素原子又はメチル基を表す。 )
で表される構造を繰り返し単位とするノボラック型エポキシ榭脂であることを特徴とす るエポキシ榭脂組成物(以下、これを「エポキシ榭脂 (II)」と略記する。 )に関する。 本発明は、更に、下記構造式(1)
[化 3]
(R〜Rは、それぞれ独立的に、炭素原子数 1〜4のアルキル基、 R及び Rはそれ
1 3 4 5 ぞれ独立的に水素原子、炭素原子数 1〜4のアルキル基、ァリール基、又はァラルキ ル基を表す。 )
で表される構造を繰り返し単位とするノボラック榭脂であって、かつ、 150°Cでの ICI コーン/プレート粘度計法による値が 0. 1〜2. OdPa' sの範囲にあるものであること を特徴とする新規フ ノール榭脂に関する。
本発明は、更に下記構造式 (2)
(Rは、炭素原子数 1〜4のアルキル基、 R及び Rはそれぞれ独立的に水素原子、
1 4 5
炭素原子数 1〜4のアルキル基、ァリール基、又はァラルキル基、 Rは水素原子又は
6
メチル基を表す。 )
で表される構造を繰り返し単位とするノボラック型エポキシ榭脂であって、かつ、 150 °Cでの ICIコーン/プレート粘度計法による値が 0. 1〜2. OdPa' sの範囲にあるもの であることを特徴とする新規エポキシ榭脂に関する。
本発明は、更に、下記構造式 A1
[化 5]
(式中、 R〜Rは、それぞれ独立的に炭素原子数 1〜4のアルキル基を表す。 )
1 3
で表される 2, 4, 6—トリアルキルフエノール (A)と、下記構造式 B1
[化 6] ΟόΗ
(R及び Rはそれぞれ独立的に水素原子、炭素原子数 1〜4のアルキル基、ァリー
4 5
ル基、又はァラルキル基を表す。 )
で表される化合物 (Β)とを、炭素原子数 1〜4のアルカンを分子構造内に有するスル ホン酸 (C)の存在下に反応させることを特徴とするフ ノール榭脂の製造方法に関 する。
本発明は、更に、上記の製造方法によって得られたフエノール榭脂を (メチル)ェピ ハロヒドリンと反応させることを特徴とするエポキシ榭脂の製造方法に関する。
本発明は、更に、上記エポキシ榭脂組成物 (I)又は (II)を硬化させてなることを特 徴とするエポキシ榭脂硬化物に関する。
[0015] また、本発明は、前記製造方法によって得られたフ ノール榭脂と、ェピノ、ロヒドリン とを反応させることを特徴とするエポキシ榭脂の製造方法に関する。
発明の効果
[0016] 本発明によれば、トリアルキルフエノールを原料フエノールとして用いながらもその 硬化物にぉ 、て高 、耐熱性を発現し得るフエノール榭脂、及び該フエノール榭脂を 原料とするエポキシ榭脂を含有するエポキシ榭脂組成物を提供でき、更に、これらの フエノール榭脂及びエポキシ榭脂を工業的に簡便な方法でかつ高収率で製造でき
る。
発明を実施するための最良の形態
[0017] 以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のエポキシ榭脂組成物 (I)で用いるフエノール榭脂は、下記構造式(1) [0018] [化 7]
(式中、 R〜Rは、それぞれ独立的に炭素原子数 1〜4のアルキル基、 R及び Rは
1 3 4 5 それぞれ独立的に水素原子、炭素原子数 1〜4のアルキル基、ァリール基、又はァラ ルキル基を表す。 )
で表される構造を繰り返し単位とするノボラック榭脂であり、例えば、下記一般式(1 2)で表すことができる。
(式中、 R〜Rは前記構造式(1)におけるものと同義であり、 nは 0〜8の整数をそれ
1 5
ぞれ表す。 )
力かる構造式(1)で表される化学構造の具体例は、例えば、下記 P1〜P14のもの が挙げられる。
[0021] [化 10]
[0022] ここで、エポキシ榭脂組成物の利用分野では、近年ダイォキシン問題から、ハロゲ ンフリーの難燃ィ匕システムの要求が高い。上記フエノール榭脂においてもその構造 の選択により、硬化物の難燃性を飛躍的に向上させることができ、具体的には、前記 構造式(1)において Rカ チル基であるフエノール榭脂を用いた場合、その硬化物 自体に UL— 94 V—0クラスの優れた難燃効果を特異的に付与することができる。 力かる構造としては、具体的には、構造式 P1〜P10のものが挙げられる。
[0023] また、工業的製造法が簡便である点からは前記構造式(1)中の R及び Rが共に水
4 5 素原子であることが好ましい。更に、得られる硬化物の難燃性と耐熱性を兼備する点 カゝらは、構造式 P4〜P9に代表される、前記構造式(1)中の R又は Rがナフチル基
4 5
、ビフヱニル基、又はこれらに更にメチル基が置換した基である事が好ましい。
[0024] また、前記フエノール榭脂は、 150°Cでの ICIコーン Zプレート粘度計法による値が
0. 1〜2. OdPa' sの範囲にある場合、流動性に優れたものとなり、半導体封止材料 用途などにおいて無機充填剤の高充填化を図ることができる点力も好ましい。
[0025] 以上詳述したフ ノール榭脂は、以下に詳述する本発明のフ ノール榭脂の製造 方法によって製造することができる。
即ち、本発明のフエノール榭脂の製造方法は、下記構造式 A1
[0026] [化 11]
(式中、 R〜Rは、それぞれ独立的に炭素原子数 1〜4のアルキル基を表す。 )
1 3
で表される 2, 4, 6—トリアルキルフエノール (A) (以下、単に「2, 4, 6—トリアルキル フ ノール (A)」と略記する。 )と、下記構造式 B1
[0027] [化 12]
(R及び Rはそれぞれ独立的に水素原子、炭素原子数 1〜4のアルキル基、ァリ、
4 5
ル基、又はァラルキル基を表す。 )
で表される化合物 (B) (以下、単に「化合物 (B)」と略記する。)とを、炭素原子数 1〜 4のアルカンを分子構造内に有するスルホン酸 (C)の存在下に反応させることを特徴 としている。
ここで、原料として用いる 2, 4, 6 トリアルキルフエノールは、通常、不活性なメタ 位のみに空位点をもつも係わらず、この製造方法によれば極めて良好に反応が進行 する点は特筆すべき点である。更に、トリアルキルフエノールを原料として用いる場合 、従来その目的物が結晶性であることから目的物の精製が極めて困難であったにも かかわらず、この製造方法によれば、 目的物であるフエノール榭脂の精製を簡便な 手段により行うことができる。
上記製造方法は、具体的には前記 2, 4, 6 トリアルキルフ ノール (A)と、前記化 合物 (B)とを、
工程 1 : 炭素原子数 1〜4のアルカンを分子構造内に有するスルホン酸 (C)の存在 下に反応させる工程、
工程 2 : 反応終了後、得られた反応性生物に前記化合物 (B)に対して質量基準 で 4. 5〜8倍量の非水溶性有機溶媒で反応粗生成物から目的物たるフエノール榭 脂を抽出してフ ノール榭脂溶液とする工程、
工程 3 : 工程 2で得られたフ ノール榭脂溶液を水洗する工程、及び、 工程 4: 次 、で、フエノール榭脂溶液力ゝら非水溶性有機溶媒を除去して目的物た るフエノール樹脂を得る工程、
を必須の製造工程とするものであることが生産性の点力も好ましい。
[0028] 本発明で用いる 2, 4, 6 トリアルキルフエノール (A)は、 2, 4, 6 トリメチルフエノ ール、 2, 4, 6 トリェチルフエノール、 2, 6 ジメチルー 4 t—ブチルフエノール等 が挙げられる。
[0029] これらのなかでも 2, 4, 6 トリメチルフエノールを用いた場合、前記したとおり、 目 的とするフエノール榭脂の硬化物自体に優れた難燃性を付与でき、難燃性と耐熱性 とのバランスが良好となるため好ましい。また、この際、 2, 4, 6 トリメチルフエノール 100重量部に対し、 2, 4ージメチルフエノールや 2, 6 ジメチルフエノールなどの混
合物を 5〜30重量部含むものを用いると難燃性が更に向上し、かつ溶解する温度が
100°C以下になって混練性が良好となるため特に好ましい。
[0030] 次に、前記化合物(B)は、具体的には、ホルムアルデヒド、ァセトアルデヒド、ベンズ アルデヒド、 4 メチルベンズアルデヒド、 3, 4ージメチルベンズアルデヒド、ビフエ- ルアルデヒド、ナフチルアルデヒド等のアルデヒド化合物、ベンゾフエノン、フルォレノ ン、インダノン等のケトンィ匕合物が挙げられる。これらのなかでも工業的製造方法が 簡便な点力 ホルムアルデヒドが好まし 、。
[0031] 前記第 1工程は、 2, 4, 6 トリアルキルフ ノール (A)と、化合物(B)とを、炭素原 子数 1〜4のアルカンを分子構造内に有するスルホン酸 (C)の存在下に反応させる 工程である。
ここで用いる炭素原子数 1〜4のアルカンを分子構造内に有するスルホン酸 (C)は 、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスル ホン酸などのアルカンスルホン酸、及びこれにアルカン部分にフッ素原子を有するパ 一フルォロアルカンスルホン酸が挙げられる。本発明ではかかる炭素原子数 1〜4の アルカンを分子構造内に有するスルホン酸 (C)を反応触媒として用いることにより、 一般に反応性の低い 2, 4, 6 トリアルキルフ ノール (A)を速やかに反応させること ができる。
[0032] 具体的反応方法は、例えば、攪拌機を内部に具備する反応容器内に 2, 4, 6 トリ アルキルフ ノール (A)と、酸存在下でカルボカチオン形成能を有する 2官能性化合 物 (B)とを仕込み、不活性ガス雰囲気下で攪拌し、前記炭素原子数 1〜4のアルカン を分子構造内に有するスルホン酸 (C)を、連続的乃至断続的に反応系内に加える。 この際、該反応は発熱反応であるため、反応系の発熱に留意し、具体的には系内の 温度が 20〜200°Cの範囲を維持するように前記炭素原子数 1〜4のアルカンを分子 構造内に有するスルホン酸 (C)を徐々にカ卩えることが好ま 、。
また、工程 1における反応温度は 40〜180°Cであることが好ましぐ前記ブロンステ ッド酸又は有機スルホン酸 (C)を反応系へ全て加え終えた後、系内の温度を当該反 応温度に昇温させることが好ま 、。
[0033] ここで、前記 2, 4, 6 トリアルキルフエノール (A)と、化合物(B)との仕込み割合は
、前者 Z後者 = 10Zl〜l. 5Ζ1 (モル比率)の範囲であることが該 2, 4, 6—トリア ルキルフ ノール (Α)の反応性が高くなる点から好ま 、。
また、触媒である炭素原子数 1〜4のアルカンを分子構造内に有するスルホン酸 (C )酸 (C)の使用量は、前記 (Α)、(Β)及び (C)の各成分の合計質量を基準にして 0. 1〜5質量%であることが好ましい。
[0034] 上記工程 1の反応は、有機溶剤の存在下で行うことができるが、本発明では反応性 を高める点力 有機溶媒の使用なしに行うことが好ましい。ここで使用し得る有機溶 剤の具体例は、メチルセ口ソルブ、ェチルセ口ソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソ プチルケトンなどが挙げられる。有機溶剤の使用量は仕込んだ原料の総重量に対し て通常 50〜300重量0 /0、好ましくは 100〜250重量%である。
この第 1工程の反応時間は 1〜 10時間である。
[0035] この工程 1の反応において反応の進行に伴い酸性ガス、アルコール、水等が副生 する場合には、これらの副生物を系外に分留管などを用いて留去することが、反応を 速やかに進行させる上で好ま 、。
[0036] また、工程 1にお 、て得られるフエノール榭脂の着色を抑制する点から、この反応 系に酸化防止剤や還元剤を添加しても良!ヽ。酸化防止剤としては特に限定されな ヽ 1S 例えば 2, 6—ジアルキルフエノール誘導体などのヒンダードフエノール系化合物 や 2価のィォゥ系化合物や 3価のリン原子を含む亜リン酸エステル系化合物などを挙 げることができる。還元剤としては、次亜リン酸、亜リン酸、チォ硫酸、亜硫酸、ハイド ロサルファイトまたはこれら塩などが挙げられる。
[0037] 次に、工程 2は、上記工程 1による反応が終了した後、得られた反応生成物に前記 2官能性化合物 (B)に対して質量基準で 4. 5〜8倍量の非水溶性有機溶媒で反応 生成物から目的物たるフエノール榭脂を抽出してフエノール榭脂溶液とする工程であ る。
ここで用いる非水溶性有機溶媒の中でも、目的物であるフエノール榭脂の抽出効 率が良好となる点から、非水溶性の脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、及び脂肪 族ケトン有機溶媒が好ましい。ここで、非水溶性の脂肪族アルコールとしては、 1ーブ タノール、 2—ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロへ
キサノール、 2—メトキシエタノール、 2—エトキシエタノール、及びジエチレングリコー ルが挙げられ、非水溶性の脂肪族エーテルとしては、ジエチレングリコールジメチル エーテルが挙げられ、非水溶性の脂肪族ケトンとしては、メチルイソプチルケトン、シ クロへキサノンが挙げられる。
[0038] これらの中でも特に、沸点が 100〜130°Cのものであることが工程 2における作業 効率が良好な点力 好ましぐ具体的には、 1ーブタノール、 2—ブタノール、イソプチ ルアルコール、イソペンチルアルコール、 2—メトキシエタノール、 2—エトキシェタノ ール、ジエチレングリコール、メチルイソブチルケトンが好ましい。
[0039] 本発明では、上記非水溶性溶媒を前記化合物 (B)に対して質量基準で 4. 5〜8倍 量用いることを特徴としている。即ち、このように常法よりも多い非水溶性溶媒を用い ることによって、 目的物の抽出効率が飛躍的に高められ、またその後の水洗又は中 和の工程で触媒の除去が容易になる。
ここで、本発明では前記したとおり、トリアルキルフエノールを原料に用いながらもこ の工程 2において目的物たるフエノール榭脂をほぼ完全に抽出できることを特徴とし ている。即ち、従来の 2, 3, 6—トリアルキルフエノールを用いた場合、得られるフエノ 一ル榭脂は、非常に結晶性が強ぐ溶剤溶解性が低いため、用いた触媒を完全に除 去するためには縮合反応後に濾過等の煩雑な操作を必要とし、かつ収率が低下して しまうという問題があり、工業的生産に不利なものであった。また、従来の 2, 3, 6—ト リアルキルフエノールを用いた場合、溶剤溶解性を改善するには、ホルマリンに対す るトリメチルフエノールのモル量を減少させ、生成する n=0体を減少させることで、結 晶性を低下させて溶剤溶解性を向上させることができるが、得られるフエノール榭脂 とェピノ、ロヒドリン類を反応させたエポキシ榭脂の粘度が大きく上昇してしまうもので あった。従って、本発明において低粘度で且つ非結晶性のフエノール榭脂が得られ る点は特筆すべき点である。
[0040] 次に工程 3は、工程 2で得られたフエノール榭脂溶液を水洗する工程である。水洗 は常法によって行うことができる力 フエノール榭脂溶液の pHが 3〜7、好ましくは 5 〜7になるまで行うことが好ましい。また、工程 3では水洗工程の前に塩基性物質を用 いて予め中和処理を行ってもよい。ここで用いられる塩基性物質は、具体的には、水
酸ィ匕ナトリウム、水酸ィ匕カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、トリエチレンテトラミン、 ァ-リン等が挙げられる。
[0041] 次に工程 4は、次 、で、フエノール榭脂溶液力 非水溶性有機溶媒を除去して目 的物たるフエノール榭脂を得る工程である。フエノール榭脂溶液から非水溶性有機 溶媒を除去する方法は、具体的には、加熱減圧蒸留によって非水溶性有機溶媒を 溜去すればよい。この際の条件は、 170〜200°C、 3kPa以下の範囲であることが好 ましい。
[0042] 以上の工程 1〜工程 4を経て目的とするフエノール榭脂が得られる。
[0043] 本発明のエポキシ榭脂組成物 (I)は、硬化剤として以上詳述したフエノール榭脂の 他に、本発明の効果を損なわない範囲で他の硬化剤と併用することができる。ェポキ シ榭脂組成物 (I)中の全硬化剤に占める本発明のフエノール榭脂の割合が 30重量 %以上となる範囲、特に 40重量%以上となる範囲であることが好まし 、。
[0044] 前記フ ノール榭脂と併用されうる他の硬化剤としては、特に制限されるものではな ぐ例えばアミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、前記したフ ノール 榭脂以外のフエノール系化合物、アミノトリアジン変性フエノール榭脂 (メラミンやベン ゾグアナミンなどでフエノール核が連結された多価フエノールイ匕合物)の多価フエノー ル化合物挙げられる。
[0045] これらの中でも、フエノールノボラック榭脂、クレゾ一ルノボラック榭脂、芳香族炭化 水素ホルムアルデヒド榭脂変性フエノール榭脂、フエノールァラルキル榭脂、ナフトー ルァラルキル榭脂、ナフトールノボラック榭脂、ナフトール フエノール共縮ノボラック 榭脂、ナフトールークレゾール共縮ノボラック榭脂、ビフエ-ル変性フエノール榭脂、 ビフエ-ル変性ナフトール榭脂、アミノトリアジン変性フエノール榭脂が難燃性に優れ ることから好ましぐ特にフエノールァラルキル榭脂、ナフトールァラルキル榭脂、ビフ ェニル変性フエノール榭脂、ビフ 二ル変性ナフトール榭脂等の高芳香族性、高水 酸基当量のフエノール榭脂ゃ窒素原子を含有するアミノトリアジン変性フエノール榭 脂等の化合物を用いることが、得られる硬化物の難燃性や誘電特性が優れる点から 好ましい。
[0046] 本発明のエポキシ榭脂組成物 (I)で用いるエポキシ榭脂は、例えば、ビスフエノー
ル A型エポキシ榭脂、ビスフエノール F型エポキシ榭脂、ビフエニル型エポキシ榭脂、 テトラメチルビフエ-ル型エポキシ榭脂、フエノールノボラック型エポキシ榭脂、クレゾ 一ルノボラック型エポキシ榭脂、ビスフエノール Aノボラック型エポキシ榭脂、トリフエ二 ルメタン型エポキシ榭脂、テトラフエニルェタン型エポキシ榭脂、ジシクロペンタジェ ンーフエノール付加反応型エポキシ榭脂、フエノールァラルキル型エポキシ榭脂、ナ フトールノボラック型エポキシ榭脂、ナフトールァラルキル型エポキシ榭脂、ナフトー ルーフェノール共縮ノボラック型エポキシ榭脂、ナフトールークレゾール共縮ノボラッ ク型エポキシ榭脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド榭脂変性フエノール榭脂型ェ ポキシ榭脂、ビフエ-ルノボラック型エポキシ榭脂等が挙げられる。
[0047] これらのなかでも、特にビフエ-ル型エポキシ榭脂、ナフタレン型エポキシ榭脂、フ エノールァラルキル型エポキシ榭脂、ビフエ二ルノボラック型エポキシ榭脂及びキサン テン型エポキシ榭脂が、難燃性や誘電特性に優れる点から特に好まし ヽ。
[0048] 本発明のエポキシ榭脂組成物 (I)におけるエポキシ榭脂と硬化剤の配合量としては 、特に制限されるものではないが、得られる硬化物特性が良好である点から、ェポキ シ榭脂のエポキシ基の合計 1当量に対して、前記フエノール榭脂を含む硬化剤中の 活性基が 0. 7〜1. 5当量になる量が好ましい。
[0049] また必要に応じて本発明のエポキシ榭脂組成物 (I)に硬化促進剤を適宜併用する こともできる。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化 合物、第 3級ァミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げら れる。特に半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特 性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフエ-ルフォスフィン、第 3 級ァミンでは 1, 8—ジァザビシクロ一 [5. 4. 0]—ゥンデセン(DBU)が好ましい。
[0050] 次に本発明のエポキシ榭脂組成物(II)で用いられるエポキシ榭脂は、前記したとお り、下記構造式 (2)
[0051] [化 13]
(R〜Rは、ぞれぞれ独立的に炭素原子数 1〜4のアルキル基、 R及び Rはそれぞ
1 3 4 5 れ独立的に水素原子、炭素原子数 1〜4のアルキル基、ァリール基、又はァラルキル 基、 R
6は水素原子又はメチル基を表す。 )
で表される構造を繰り返し単位とするノボラック型エポキシ榭脂であり、例えば、下記 一般式 (2— 2)で表すことができる。
[化 14]
(式中、 R〜Rは前記構造式(2)におけるものと同義であり、 nは 0〜8の整数をそれ
1 6
ぞれ表す。 )
力かる構造式(1)で表される化学構造の具体例は、例えば、下記 P1〜P14のもの が挙げられる。
である。
前記構造式(2)で表される繰り返し単位となる構造は、具体的には、以下のものが 挙げられる。
[化 15]
ここで、前記した通り、エポキシ榭脂組成物の利用分野では、近年ダイォキシン問 題から、ハロゲンフリーの難燃ィ匕システムの要求が高ぐ上記エポキシ榭脂において もその構造の選択により、硬化物の難燃性を飛躍的に向上させることができる。具体 的には、前記構造式(1)において R力 Sメチル基であるエポキシ榭脂を用いた場合、 その硬化物自体に UL— 94 V— 0クラスの優れた難燃効果を付与することができる 。力かる構造としては、具体的には、構造式 E1〜E10のものが挙げられる。
[0055] また、工業的製造法が簡便である点からは前記構造式(1)中の R及び Rが共に水
4 5 素原子であることが好ましい。更に、得られる硬化物の難燃性と耐熱性を兼備する点 カゝらは、構造式 E4〜E9に代表される、前記構造式(1)中の R又は Rがナフチル基
4 5
、ビフヱニル基、又はこれらに更にメチル基が置換した基である事が好ましい。
[0056] また、前記エポキシ榭脂は、 150°Cでの ICIコーン/プレート粘度計法による値が 0 . 1〜2. OdPa' sの範囲にある場合、流動性に優れたものとなり、半導体封止材料用
途などにおいて無機充填剤の高充填化を図ることができる点力 好ましい。
[0057] また、前記エポキシ榭脂 (A)は、異なる構造単位が同一分内に存在していてもよく
、また、 2, 4, 6—位にアルキル基を有する構造のみならず、下記構造式(3)
[0058] [化 17]
(式中、 Rは水素原子又はメチル基、 R及び Rはそれぞれ独立的に水素原子又は
6 7 8
炭素原子数 1〜4のアルキル基を表す。 )
で表される構造のものをフエノール榭脂 100質量部あたり、 5〜30質量部含有するこ とがより好ましい。
[0059] これらの中でも難燃性向上効果に特に優れることから、前記一般式 (4)の Rは水素
4 原子であり、かつ、 R
5がそれぞれメチル基であることが難燃効果の点から好ましい。
[0060] 以上詳述したエポキシ榭脂は、以下に詳述する本発明のエポキシ榭脂の製造方法 によって製造することができる。
[0061] 即ち、前記した本発明のフエノール榭脂の製造方法によって得られたフエノール榭脂
を、(メチル)ェピノ、ロヒドリンと反応させてエポキシ榭脂を製造することができる。 当該フエノール榭脂とェピノ、ロヒドリンとの反応は、具体的には、当該フエノール榭 脂のフエノール性水酸基 1モルに対し、ェピハロヒドリン 2〜10モルを添カ卩し、この混 合物に、当該フエノール榭脂のフエノール性水酸基 1モルに対し 0. 9〜2. 0モルの 塩基性触媒を一括添加または連続的若しくは断続的に添加しながら反応させる方法 が挙げられる。この際、反応温度は、 20〜120°Cの範囲であることが好ましぐまた、 反応時間は 0. 5〜 10時間であることが好ましい。
[0062] ここで用いる塩基性触媒は固形でもその水溶液を使用してもよい。この塩基性触媒 を水溶液として使用する場合、該水溶液を連続的に添加すると共に、反応混合物中 から減圧下、または常圧下、連続的に水及びェピノ、ロヒドリン類を留出せしめ、更に 分液して水は除去し、回収したェピノ、ロヒドリン類を反応混合物中に連続的に戻しな 力 反応を行うことがエポキシ榭脂の純度が向上する点から好ましい。
[0063] なお、工業生産を行う際、エポキシ榭脂生産の初バッチでは仕込み (メチル)ェピノ、 ロヒドリンの全てを新しいものを使用する力 次バッチ以降は、粗反応生成物から回 収されたェピノ、ロヒドリンと、反応で消費される分及で消失する分に相当する新しい( メチル)ェピノ、ロヒドリンとを併用することが好ましい。
[0064] ここで使用する(メチル)ェピノ、ロヒドリンは特に限定されな 、が、例えばェピクロルヒ ドリン、ェピブ口モヒドリン、メチルェピクロルヒドリン等が挙げられる。なかでも入手が 容易なこと力 ェピクロルヒドリンが好まし 、。
[0065] また、塩基性触媒も特に限定されな!ヽが、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金 属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。特にエポキシ榭脂合成反応 の触媒活性に優れる点からアルカリ金属水酸化物が好ましぐ例えば水酸化ナトリウ ム、水酸ィ匕カリウム、水酸ィ匕カルシウム等が挙げられる。使用に際しては、これらのァ ルカリ金属水酸ィ匕物を 10〜55質量%程度の水溶液の形態で使用してもよいし、固 形の形態で使用しても構わない。
[0066] また、有機溶媒を併用することにより、エポキシ榭脂の合成における反応速度を高 めることができる。このような有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルェチルケトン 等のケトン類、メタノール、エタノール、 1 プロピルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、 1ーブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコー ル類、メチルセ口ソルブ、ェチルセ口ソルブ等のセロソルブ類、テトラヒドロフラン、 1、 4 ジォキサン、 1、 3 ジォキサン、ジエトキシェタン等のエーテル類、ァセトニトリル 、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げら れる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、また、極性を調整す るために適宜二種以上を併用してもょ 、。
[0067] これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、加熱減圧下、蒸留によって未反応の ェピハロヒドリンや併用する有機溶媒を留去する。また更に加水分解性ハロゲンの少 ないエポキシ榭脂とするために、得られたエポキシ榭脂を再びトルエン、メチルイソブ チルケトン、メチルェチルケトンなどの有機溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸ィ匕 カリウムなどのアルカリ金属水酸ィ匕物の水溶液をカ卩えてさらに反応を行うこともできる 。この際、反応速度の向上を目的として、 4級アンモ-ゥム塩ゃクラウンエーテル等の 相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量とし ては、用いるエポキシ榭脂に対して 0. 1〜3. 0重量%の範囲が好ましい。反応終了 後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイ ソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより高純度のエポキシ榭脂を得ることがで きる。
[0068] 本発明のエポキシ榭脂組成物(II)は、以上詳述したエポキシ榭脂を主剤として用 V、るものであるが、本発明の特'性を損なわな ヽ範囲で他のエポキシ榭脂を併用して もよい。この場合、エポキシ榭脂組成物(Π)中、前記エポキシ榭脂が全エポキシ榭脂 中に占める割合が 30重量%以上、特に 40重量%以上となる範囲であることが好まし い。
[0069] 力かる併用可能な他のエポキシ榭脂としては、例えば、ビスフエノール A型エポキシ 榭脂、ビスフエノール F型エポキシ榭脂、ビフエニル型エポキシ榭脂、テトラメチルビフ ェニル型エポキシ榭脂、フエノールノボラック型エポキシ榭脂、クレゾ一ルノボラック型 エポキシ榭脂、ビスフエノール Aノボラック型エポキシ榭脂、トリフエ-ルメタン型ェポ キシ榭脂、テトラフエ-ルェタン型エポキシ榭脂、ジシクロペンタジェンーフエノール 付加反応型エポキシ榭脂、フエノールァラルキル型エポキシ榭脂、ナフトールノボラッ
ク型エポキシ榭脂、ナフトールァラルキル型エポキシ榭脂、ナフトール フエノール 共縮ノボラック型エポキシ榭脂、ナフトールークレゾール共縮ノボラック型エポキシ榭 脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド榭脂変性フエノール榭脂型エポキシ榭脂、ビフ ェニル変性ノボラック型エポキシ榭脂等が挙げられるがこれらに限定されるものでは ない。またこれらのエポキシ榭脂は単独で用いてもよぐ 2種以上を混合してもよい。 これらのエポキシ榭脂の中でも、特に低粘度である点では、ビスフエノール F型ェポ キシ榭脂、ビフエ-ル型エポキシ榭脂、テトラメチルビフエ-ル型エポキシ榭脂が好ま しぐ難燃性に優れる点では、フエノールァラルキル型エポキシ榭脂、ビフエ-ル変性 ノボラック型エポキシ榭脂が好ま 、。
[0070] また、エポキシ榭脂組成物(II)で用いる硬化剤は、前記エポキシ榭脂組成物(I)で 必須成分として用いるフエノールの他、例えば、ジアミノジフエ-ルメタン、ジエチレン トリァミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフエニルスルホン、イソホロンジァミン、イミ ダゾール、 BF アミン錯体、グァ-ジン誘導体等のアミン系化合物、ジシアンジアミ
3
ド、リノレン酸の 2量体とエチレンジァミンとより合成されるポリアミド榭脂等のアミド系 化合物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラ ヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、へキサヒ ドロ無水フタル酸、メチルへキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系化合物、フエノー ルノボラック榭脂、クレゾ一ルノボラック榭脂、ビスフエノール Aノボラック榭脂、芳香族 炭化水素ホルムアルデヒド榭脂変性フエノール榭脂、ジシクロペンタジェンフエノー ル付加型榭脂、フエノールァラルキル榭脂 (通称、ザィロック榭脂)、ナフトールァラル キル榭脂、トリメチロールメタン榭脂、テトラフエ-ロールエタン榭脂、ナフトールノボラ ック榭脂、ナフトール フエノール共縮ノボラック榭脂、ナフトールークレゾール共縮ノ ポラック榭脂、ビフエ-ル変性フエノール榭脂(ビスメチレン基でフエノール核が連結 された多価フエノールイ匕合物)、ビフエ-ル変性ナフトール榭脂(ビスメチレン基でフ ェノール核が連結された多価ナフトールイ匕合物)、アミノトリアジン変性フエノール榭 脂 (メラミンやべンゾグアナミンなどでフエノール核が連結された多価フエノールイ匕合 物)等の多価フ ノールィヒ合物、及びこれらの変性物等が挙げられる。
[0071] 本発明のエポキシ榭脂組成物におけるエポキシ榭脂と硬化剤の配合量としては、
特に制限されるものではな 、が、得られる硬化物の機械的物性等が良好である点か ら、エポキシ榭脂のエポキシ基の合計 1当量に対して、硬化剤中の活性基が 0. 7〜 1. 5当量になる量が好ましい。
[0072] また、必要に応じて本発明のエポキシ榭脂組成物 (Π)に硬化促進剤を適宜併用す ることもできる。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系 化合物、第 3級ァミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げ られる。特に半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気 特性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフエ-ルフォスフィン、第 3級ァミンでは 1, 8—ジァザビシクロ一 [5, 4, 0]—ゥンデセン(DBU)が好ましい。
[0073] 以上詳述したエポキシ榭脂組成物 (I)又は (Π)は、より高度な難燃性を発揮させる ために、封止工程での成形性や半導体装置の信頼性を低下させない範囲で、実質 的にハロゲン原子を含有しない非ハロゲン系難燃剤を配合することにより、非ハロゲ ン系難燃性榭脂組成物とすることが可能である。
[0074] ここでいう実質的にハロゲン原子を含有しない難燃性榭脂組成物とは、難燃性付 与の目的でハロゲン系の化合物を配合しなくても充分な難燃性を示す榭脂組成物を 意味するものであり、例えばエポキシ榭脂に含まれるェピノ、ロヒドリン由来の 5000pp m以下程度の微量の不純物によるハロゲン原子は含まれていても良い。
[0075] 前記非ハロゲン系難燃剤としては、塩素や臭素などのハロゲン原子を実質的に含 有しない化合物であって、難燃剤、或いは難燃助剤としての機能を有するものであれ ば何等制限されるものではなぐ例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系 難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられ、それらの使用に際して も何等制限されるものではなぐ単独で使用しても、同一系の難燃剤を複数用いても 良ぐまた、異なる系の難燃剤を組み合わせて用いることも可能である。
[0076] 前記リン系難燃剤としては、燐原子を含有する化合物であれば、無機系、有機系の いずれも使用することができる。無機系化合物としては、例えば、加水分解等の防止 を目的として表面処理が施されていてもよい赤リン、リン酸一アンモニゥム、リン酸二 アンモ-ゥム、リン酸三アンモ-ゥム、ポリリン酸アンモ-ゥム等のリン酸アンモ-ゥム
類、リン酸アミド等の無機系含窒素リンィ匕合物が挙げられる。
[0077] 前記有機リン系化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、ホスホン酸ィ匕合物 、ホスフィン酸ィ匕合物、ホスフィンォキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素 リンィ匕合物等が挙げられる。
[0078] 前記リン酸エステル化合物としての具体例としては、トリフエ-ルホスフェート、レゾ ルシノールビス(ジフエ-ルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジ 2, 6—キシレノール ホスフェート)、ビスフエノーノレ Aビス(ジフエ-ノレホスフェート)、ビスフエノーノレ Aビス ( ジクレジルホスフェート)、レゾルシ -ルジフエ-ルホスフェート等が挙げられる。
[0079] それらの配合量としては、リン系難燃剤の種類、エポキシ榭脂組成物 (I)又は(Π)の 他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、ェポ キシ榭脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材ゃ添加剤等全てを配 合したエポキシ榭脂組成物 100重量部中、赤リンを非ハロゲン系難燃剤として使用 する場合は 0. 1〜2. 0重量部の範囲で配合することが好ましぐ有機リン化合物を使 用する場合は同様に 0. 1〜10. 0重量部の範囲で配合することが好ましぐ特に 0. 5〜6. 0重量部の範囲で配合することが好ましい。
[0080] また前記リン系難燃剤を使用する場合、該リン系難燃剤にノヽイド口タルサイト、水酸 ィ匕マグネシウム、ホウ化合物、酸ィ匕ジルコニウム、黒色染料、炭酸カルシウム、ゼオラ イト、モリブデン酸亜鉛、活性炭等を併用してもよい。
[0081] 前記窒素系難燃剤としては、窒素原子を含有する化合物であれば特に制限される ものではなぐ例えば、トリアジンィ匕合物、シァヌル酸ィ匕合物、イソシァヌル酸ィ匕合物、 フエノチアジン等が挙げられ、トリァジン化合物、シァヌル酸化合物、イソシァヌル酸 化合物が好ましい。
[0082] 前記窒素系難燃剤の配合量としては、窒素系難燃剤の種類、エポキシ榭脂組成物 の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、ェ ポキシ榭脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材ゃ添加剤等全てを 配合したエポキシ榭脂組成物 100重量部中、 0. 05〜: LO重量部の範囲で配合する ことが好ましぐ特に 0. 1〜5重量部の範囲で配合することが好ましい。
[0083] 前記シリコーン系難燃剤としては、ケィ素原子を含有する有機化合物であれば特に
制限がなく使用でき、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン榭脂等が 挙げられる。
[0084] 前記シリコーン系難燃剤の配合量としては、シリコーン系難燃剤の種類、エポキシ 榭脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが 、例えば、エポキシ榭脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材ゃ添加 剤等全てを配合したエポキシ榭脂組成物 100重量部中、 0. 05〜20重量部の範囲 で配合することが好ましい。
[0085] また前記シリコーン系難燃剤を使用する際、モリブデンィ匕合物やアルミナを併用し てもよい。
[0086] 前記無機系難燃剤としては、例えば、水酸ィ匕アルミニウム、水酸化マグネシウム、ド ロマイト、ハイド口タルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニゥ ム等の金属水酸化物、モリブデン酸亜鉛、三酸ィ匕モリブデン、スズ酸亜鉛、酸化スズ 、酸ィ匕アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸ィ匕マンガン、酸ィ匕ジルコニウム、酸ィ匕亜 鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸ィ匕クロム、酸ィ匕ニッケル、酸ィ匕 銅、酸化タングステン等の金属酸化物、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシゥ ム、炭酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸鉄、炭酸コバル ト、炭酸チタン等の金属炭酸塩ィ匕合物、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、 モリブデン、コノ レト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ等の金属粉 、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物 、及び低融点ガラス等が挙げられる。
[0087] 前記無機系難燃剤の配合量としては、無機系難燃剤の種類、エポキシ榭脂組成物 の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、ェ ポキシ榭脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材ゃ添加剤等全てを 配合したエポキシ榭脂組成物 100重量部中、 0. 05〜20重量部の範囲で配合する ことが好ましぐ特に 0. 5〜 15重量部の範囲で配合することが好ましい。
[0088] 前記有機金属塩系難燃剤としては、例えば、フエ口セン、ァセチルァセトナート金属 錯体、有機金属カルボ二ルイ匕合物、有機コバルト塩ィ匕合物、有機スルホン酸金属塩 、金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合
物等が挙げられる。
[0089] 前記有機金属塩系難燃剤の配合量としては、有機金属塩系難燃剤の種類、ェポ キシ榭脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであ る力 例えば、エポキシ榭脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材ゃ 添加剤等全てを配合したエポキシ榭脂組成物 100重量部中、 0. 005〜: L0重量部の 範囲で配合することが好まし 、。
[0090] 本発明のエポキシ榭脂組成物 (I)又は (Π)には、必要に応じて無機質充填材を配 合することができる。前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、ァ ルミナ、窒化珪素、水酸ィ匕アルミ等が挙げられる。その充填率は難燃性を向上させる 点から高 、方が好ましぐ具体的にはエポキシ榭脂組成物 (I)又は (II)の全質量に対 して 65重量%以上が特に好ましい。特に半導体封止材料として用いる場合には、耐 湿耐半田性が向上する点から、エポキシ榭脂組成物 (I)又は (II)の全質量に対して 8 0〜95質量%であることが好ましい。
また、このように半導体封止材料用途において前記無機充填材の配合量を特に大 きくする場合は溶融シリカを用いることが好ましい。前記溶融シリカは破砕状,球状の いずれでも使用可能であるが,溶融シリカの配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度 の上昇を抑制するためには,球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカ の配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ま ヽ 。また導電ペーストなどの用途に使用する場合は,銀粉や銅粉等の導電性充填剤を 用!/、ることができる。
[0091] 本発明のエポキシ榭脂組成物 (I)又は (Π)は、必要に応じて、シランカップリング剤 、離型剤、顔料、乳化剤等の種々の配合剤を添加することができる。
[0092] 本発明のエポキシ榭脂組成物は,各成分を均一に混合することにより得られる。本 発明のエポキシ榭脂,硬化剤,更に必要により硬化促進剤の配合された本発明のェ ポキシ榭脂組成物は従来知られて ヽる方法と同様の方法で容易に硬化物とすること ができる。該硬化物としては積層物、注型物、接着層、塗膜、フィルム等の成形硬化 物が挙げられる
[0093] 本発明のエポキシ榭脂組成物 (I)又は (II)は、半導体封止材料、積層板や電子回
路基板等に用いられる榭脂組成物、榭脂注型材料、接着剤、ビルドアップ基板用層 間絶縁材料、絶縁塗料等のコーティング材料等が挙げられ、これらの中でも、半導体 封止材料に好適に用いることができる。
[0094] 本発明の硬化物を得る方法としては,一般的なエポキシ榭脂組成物の硬化方法に 準拠すればよいが,例えば加熱温度条件は,組み合わせる硬化剤の種類や用途等 によって,適宜選択すればよいが,上記方法によって得られた組成物を,室温〜 25 0°C程度の温度範囲で加熱すればよ!、。成形方法などもエポキシ榭脂組成物の一 般的な方法が用いられ,特に本発明のエポキシ榭脂組成物に特有の条件は不要で ある。
実施例
[0095] 次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び 「%」は特に断わりのない限り重量基準である。尚、 150°Cにおける溶融粘度及び GP C測定は以下の条件にて測定した。
[0096] 150°Cにおける溶融粘度: ASTM D4287に準拠
GPC :
装置 東ソー株式会社製 HLC-8220 GPC
カラム:東ソー株式会社製 TSK-GEL G2000HXL + G2000HXL + G3000 HXL + G4000HXL
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 : 1ml, mm
検出器: RI
[0097] 実施例 1 〔フエノール榭脂(C—1)の合成〕
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに、 80°Cで溶解させた 2 , 4, 6—トリメチルフエノール 272gを仕込み、 80°Cで撹拌を開始した。メタンスルホン 酸 3gを添カ卩後、液温が 80〜90°Cの範囲を保つように、 92%パラホルムアルデヒド 1 6. 3gを 1時間かけて分割添加した。添加終了後、 110°Cまで加熱し、更に 2時間反 応させた。反応終了後、更にメチルイソブチルケトン lOOOgをカ卩え、分液ロートに移し 水洗した。次いで洗浄水が中性を示すまで水洗後、有機層から溶媒及び未反応の 2
, 4, 6—トリメチルフエノールを加熱減圧下に除去し褐色固体である本発明のフエノ 一ル榭脂 (C- 1) 164gを得た。得られたフエノール榭脂 (C- 1)の軟ィ匕点は 74°C、 水酸基当量は 154gZeq、 GPCより求めた繰り返し数 mは 0. 2であった。 13C NM R (図 1)において、メチレン架橋の炭素原子に起因する 30ppm付近に見られるシグ ナルカら、 2, 4, 6 トリメチルフエノールがホルムアルデヒドとメタ位で反応した下記 構造式 (C 1)で表される化合物であることを確認した。
[化 18]
[0099] 実施例 2 〔フエノール榭脂(C— 2)の合成〕
実施 ί列: Uこお 、て、 2, 4, 6 トリメチノレフエノーノレ 100重量咅 こ対し、 2, 4 ジメチ ルフエノール 10重量部と 2, 6 ジメチルフエノール 5重量部が含まれたアルキルフエ ノール類の混合物 272gを用いた以外は実施例 1と同様にして、本発明のフエノール 榭脂(C— 2) 163gを得た。得られたフエノール榭脂(C— 2)の軟ィ匕点は 66°C、水酸 基当量は 154gZeq、 GPCより求めた繰り返し数 mは 0. 4であった。 13C NMR (図 2)とマススペクトル(図 3)力 構造式(C—1)の一部分が 2, 4 ジメチルフヱノール、 2, 6 ジメチルフエノールで置換された構造であることを確認した。
[0100] 実施例 3 〔フエノール榭脂(C 3)の合成〕
実施 ί列: Uこお 、て、 2, 4, 6 トリメチノレフエノーノレ 100重量咅 こ対し、 2, 4 ジメチ ルフエノール 10重量部と 2, 6 ジメチルフエノール 5重量部が含まれたアルキルフエ ノール類の混合物 272g、 92%パラホルムアルデヒド 44gを用いた以外は実施例 1と 同様にして、本発明のフエノール榭脂(C— 3) 184gを得た。得られたフエノール榭脂 (C— 3)の軟化点は 84°C、水酸基当量は 155gZeq、 GPCより求めた繰り返し数 m
は 1. 1であった。
[0101] 実施例 4 〔フエノール榭脂(C— 4)の合成〕
実施 ί列: Uこお 、て、 2, 4, 6 トリメチノレフエノーノレ 100重量咅 こ対し、 2, 4 ジメチ ルフエノール 15重量部と 2, 6 ジメチルフエノール 10重量部が含まれたアルキルフ ェノール類の混合物 272g、 92%パラホルムアルデヒド 44gを用いた以外は実施例 1 と同様にして、本発明のフエノール榭脂(C— 4) 179gを得た。得られたフエノール榭 脂の軟ィ匕点は 81°C、水酸基当量は 153gZeq、 GPCより求めた繰り返し数 mは 1. 1 であった。
[0102] 比較合成例 1 〔フエノール榭脂 (C, 一 1)の合成〕
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施 しながら 2, 3, 6 トリメチルフエノール 272g、トルエン 272g、 p トルエンスルホン酸 6. 8gを仕込み、攪拌下で 70°Cまで昇温し、次いで 35%ホルマリン水溶液 60gを 30 分かけて滴下し、更に 2時間攪拌して反応させた。その後 30%水酸ィ匕ナトリウム水溶 液 5gを加え中和し、得られた結晶を濾過により分離し更にトルエンで数回洗浄し、乾 燥させることにより下記構造式 (C ' 1 )で表される前記特許文献 1記載の化合物 17 lgを得た。
[0103] [化 19]
[0104] 比較合成例 2 〔フエノール榭脂 (C, — 2)の合成〕
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施 しながら 3, 5 ジメチルフエノール 244g、 p—トルエンスルホン酸 6. lgを仕込み、攪
拌下で 70°Cまで昇温し、次いで 35%ホルマリン水溶液 43gを 30分かけて滴下し、更 に 2時間攪拌して反応させた。反応終了後、更にメチルイソプチルケトン lOOOgをカロ え、分液ロートに移し水洗した。次いで洗浄水が中性を示すまで水洗後、有機層から 溶媒及び未反応の 3, 5—ジメチルフエノールを加熱減圧下で除去し黄色固体 158g を得た。
[0105] 実施例 5 〔エポキシ榭脂 (A—1)の合成〕
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施 しながら、実施例 1で得られたフエノール榭脂(C—l) 154g、ェピクロルヒドリン 463g (5. 0モル)、 n—ブタノール 139g、テトラエチルベンジルアンモ -ゥムクロライド 2gを 仕込み溶解させた。 65°Cに昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、 49%水酸ィ匕 ナトリウム水溶液 90g (l. 1モル)を 5時間かけて滴下した。その後、同条件で 0. 5時 間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラッ プで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、 未反応のェピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗ェポ キシ榭脂にメチルイソブチルケトン 590gと n—ブタノール 177gとをカ卩ぇ溶解した。更 にこの溶液に 10%水酸ィ匕ナトリウム水溶液 10gを添加して 80°Cで 2時間反応させた 後に洗浄液の pHが中性となるまで水 150gで水洗を 3回繰り返した。次いで共沸によ つて系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して、褐色の粘ちよう な液体である本発明のエポキシ榭脂 (A— 1)を得た。該エポキシ榭脂 (A- 1)のェポ キシ当量は 233gZeq.、 GPCより求めた繰り返し数 nは 0. 2であった。 13C— NMR ( 図 4)から下記構造式 (A— 1)であることを確認した。
[0106] [化 20]
[0107] 実施例 6 〔エポキシ榭脂 (A— 2)の合成〕
実施例 5において、フエノール榭脂(C— l) 154gの代わりに、実施例 3で得られた フエノール榭脂(C— 3) 155gを用いる以外は、実施例 5と同様にして褐色固体である 本発明のエポキシ榭脂 (A— 2)を得た。該エポキシ榭脂 (A— 2)のエポキシ当量は 2 37gZeq、 GPCより求めた繰り返し数 nは 1. 1であった。 13C— NMR (図 5)とマスス ベクトル(図 6)から構造式 (A—1)の一部分が 2, 4 ジメチルフエノール、 2, 6 ジメ チルフエノールで置換された構造であることを確認した。
[0108] 実施例 7 〔エポキシ榭脂 (A— 3)の合成〕
実施例 5において、フエノール榭脂(C— l) 154gの代わりに、実施例 4で得られた フエノール榭脂(C— 4) 153gを用いる以外は実施例 5と同様にして、褐色固体である 本発明のエポキシ榭脂 (A— 3)を得た。該エポキシ榭脂 (A— 3)のエポキシ当量は 2 35gZeq、 GPCより求めた繰り返し数 nは 1. 1であった。
[0109] 比較合成例 3 〔エポキシ榭脂 (Α' 1)の合成〕
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、比 較合成例 1で得られた化合物(C'— 1)を 145g、ェピクロルヒドリン 370g、ジメチルス ルホキシド 185gを仕込み溶解させた。更に 45°Cに加熱しフレーク状水酸ィ匕ナトリウ ム 40gを 100分かけて分割添加し、その後、更に 45°Cで 2時間、 70°Cで 30分反応さ せた。反応終了後、ロータリーエバポレーターを使用し、 130°Cで加熱減圧下ジメチ ルスルホキシド及び過剰のェピクロルヒドリン等を留去し、残留物に 402gのメチルイ
ソブチルケトンをカ卩ぇ溶解した。更にこのメチルイソブチルケトンの溶液を 70°Cに加 熱し 30%水酸ィ匕ナトリウム水溶液 10gを添加し 1時間反応させた後、洗浄液の pHが 中性となるまで水洗を繰り返した。更に水層は分離除去し、ロータリエバポレーターを 使用して油層から加熱減圧下メチルイソプチルケトンを留去し、結晶性のエポキシ榭 脂 (A, - 1) 187gを得た。得られたエポキシ榭脂 (Α' - 1)の融点は 95°C、エポキシ 当量は 215gZeqであった。
[0110] 比較合成例 4 〔エポキシ榭脂 (A,一 2)の合成〕
実施例 5において、フエノール榭脂(C— l) 154gの代わりに、比較例合成例 2で得 られたィ匕合物(C'—2)を 131g用いる以外は実施例 5と同様にして、褐色固体のェポ キシ榭脂 (Α' - 2)を得た。該エポキシ榭脂 (Α' - 2)のエポキシ当量は 213gZeqで めつに。
[0111] 参考例 1 〔エポキシ榭脂 (Α'— 3)の合成〕
実施例 5において、フエノール榭脂(C— l) 154gの代わりに、三井化学株式会社 製ミレックス XLC— 4L 168gを用いる以外は実施例 5と同様にして、褐色固体であ るエポキシ榭脂 (Α' 3)を得た。該エポキシ榭脂 (Α' 3)のエポキシ当量は 241g / eqでめった o
[0112] 実施例 8〜16及び比較例 1, 2
上記で得られたエポキシ榭脂 A—l、 A— 2、 A— 3、比較用のエポキシ榭脂として A, 1、 A,—2、 A,—3を用い、硬化剤として C— 1、 C— 3、フエノールァラルキル榭脂 (三井ィ匕学株式会社製ミレックス XLC— LL)、硬化促進剤としてトリフエ-ルホスフィ ン (TPP)、難燃剤として縮合燐酸エステル (大八化学工業株式会社製 PX— 200)、 水酸ィ匕マグネシウム (エア'ウォーター株式会社製エコーマグ Z— 10)、無機充填材と して球状シリカ (株式会社マイクロン製 S— COL)、シランカップリング剤として γ—グ リシドキシトリエトキシキシシラン (信越ィ匕学工業株式会社製 ΚΒΜ— 403)、カルナバ ワックス(株式会社セラリカ野田製 PEARL WAX No. 1—P)、カーボンブラックを 用いて第 1表に示した組成で配合し、 2本ロールを用いて 85°Cの温度で 5分間溶融 混練して本発明のエポキシ榭脂組成物である実施例 8〜 16、及び比較用のェポキ シ榭脂組成物である比較例 1〜2を得た。得られたエポキシ榭脂組成物を用いて、評
価用サンプルを下記の方法で作成し、ガラス転移温度、難燃性を下記の方法で測定 した。結果を表 1に示す。
[0113] ガラス転移温度:
幅 12. 7mm、長さ 127mm、厚み 1. 6mmの評価用サンプルを、トランスファ一成 形機を用い 175°Cの温度で 90秒成形した後、 175°Cの温度で 5時間後硬化させた。 得られた硬化物をダイヤモンドカッターにて、幅 5mm、長さ 54mmに切り出し試験片 とした。作成した試験片のガラス転移温度を、粘弾性測定装置 (レオメトリック社製 固体粘弾性測定装置 RSAII、二重カレンチレバー法;周波数 1Ηζ、昇温速度 3°CZ min)を用いて測定した。
[0114] 難燃性:
ガラス転移温度測定用試験片作製と同様にして作成した試験片を用い UL— 94試 験法に準拠し、厚さ 1. 6mmの試験片 5本を用いて、燃焼試験を行った。
[0115] [表 1] エポキシ樹脂組成物配合表 (部) 及び 硬化物の評価結果
[0116] 表 1の脚注:
燃焼時間 1: 1回の接炎における最大燃焼時間 (秒)
燃焼時間 2 :試験片 5本の合計燃焼時間 (秒)
図面の簡単な説明
[図 1]実施例 1で得られたフ ノール榭脂の13 C— NMRスペクトルである。
[図 2]実施例 2で得られたフ ノール榭脂の13 C— NMRスペクトルである。
[図 3]実施例 2で得られたフエノール榭脂のマススペクトルである。
[図 4]実施例 5で得られたエポキシ榭脂の13 C— NMR ^ベクトルである。
[図 5]実施例 6で得られたエポキシ榭脂の13 C— NMR ^ベクトルである。
[図 6]実施例 6で得られたエポキシ榭脂のマススペクトルである。