明細書 力ソードパネル処理方法、 並びに、 冷陰極電界電子放出表示装置 及びその製造方法 技術分野
本発明は、 冷陰極電界電子放出表示装置を構成する力ソードパ ネルの処理方法、 並びに、 係るカゾードパネルの処理方法を適用 した冷陰極電界電子放出表示装置の掣造方法、 及び、 係る冷陰極 電界電子放出表示装置の製造方法によって得られる冷'陰極電界 電子放出表示装置に関する。 背景技術
現在主流の陰極線管 ( C R T) に代わる画像表示装置として、 平面型(フラッ トパネル形式)の表示装置が種々検討されている。 このような平面型の表示装置として、 液晶表示装置 ( L C D)、 エレク ト口ルミネッセンス表示装置 (E L D)、 プラズマ表示装 置 ( P D P ) を例示することができる。 また、 熱的励起によらず 固体から真空中に電子を放出することが可能な冷陰極電界電子 放出表示装置、所謂フィールド 'ェミッショ ン 'ディスプレイ ( F E D) も提案されており、 高解像度、 高輝度のカラー表示、及び、 低消費電力の観点から注目を集めている。
冷陰極電界電子放出表示装置 (以下、 表示装置と略称する場合 がある) は、 一般に、 2次元マトリ ックス状に配列された各サブ ピクセルに対応した電子放出領域を有する力ソー ドパネルと、 電 子放出領域から放出された電子との衝突によ り励起されて発光
する蛍光体領域を有するアノードパネルとが、 真空層を介して対 向配置された構成を有する。 力ソードパネルにおいて、 2次元マ ト リ ックス状に配列され、 それぞれが 1サブピクセルを構成する 電子放出領域には、通常、複数の冷陰極電界電子放出素子(以下、 電界放出素子と略称する場合がある) が設けられている。 尚、 電 界放出素子として、.スピント型、 エッジ型、 扁平型、 平面型等を 挙げることができる。
一例として、 スピント型電界放出素子を適用した従来の表示装 置の概念的な一部端面図を第 1 4図に示し、 カソ一ドパネル C P とアノー ドパネル A P とを分解したときの力ソー ドパ'ネル C P とアノードパネル A Pの一部分の模式的な斜視図を第 1 5 図に 示す。 かかる表示装置を構成するスピント型電界放出素子は、 支 持体 1 0に形成された力ソード電極 1 1 と、 絶縁層 1 2 と、 絶縁 層 1 2上に形成されたゲート電極 1 3 と、 開口部 1 4 (ゲー ト電 極 1 3 に設けられた第 1 開口部 1 4 Aと、 絶縁層 1 2 に設けられ た第 2開口部 1 4 B ) と、 第 2開口部 1 4 Bの底部に位置する力 ソー ド電極 1 1上に形成された円錐形の電子放出部 1 5から構 成されている。 力ソード電極 1 1 は、 第 1 の方向 (第 1 4図の紙 面と平行な方向) に延びるス トリ ップ状であり、 ゲート電極 1 3 は、 第 1の方向とは異なる第 2の方向 (第 1 4図の紙面と垂直な 方向) に延びるス トリ ップ状である。 ス トリ ップ状の力ソード電 極 1 1 とス ト リ ップ状のゲー ト電極 1 3 とが重複する重複領域 が電子放出領域 E Aに相当する。
—方、 アノードパネル A Pは、 基板 2 0上に所定のパターンを 有する蛍光体領域 2 2 (具体的には、 赤色を発光する蛍光体镇域 2 2 R、 緑色を発光する蛍光体領域 2 2 G、 及び、 青色を発光す
る蛍光体領域 2 2 B ) が形成され、 蛍光体領域 2 2がアノード電 極 2 4で覆われた構造を有する。 尚、 これらの蛍光体領域 2 2の 間は、 カーボン等の光吸収性材料から成る光吸収層 (ブラックマ トリ ックス) 2 3で埋め込まれており、 表示画像の色濁り、 光学 的クロス トークの発生を防止している。 尚、 第 1 4図中、 参照番 号 2 1 は隔壁を表し、 参照番号 2 5はスぺ一サを表し、 参照番号 2 6はスぺ一サ保持部を表す。 、
力ソー ド電極 1 1 とゲー ト電極 1 3 との間に電圧を印加する と、 その結果生じた電界によって電チ放出部 1 5の先端部から量 子トンネル効果に基づき電子が放出される。そして、 こ 'の電子は、 アノー ドパネル A Pに設けられたアノー ド電極 2 4に引き付け られ、 アノード電極 2 4と基板 2 0 との間に形成された蛍光体領 域 2 2 に衝突する。 その結果、 蛍光体領域 2 2が励起されて発光 し、 所望の画像を得ることができる。 電界放出素子の動作は、 基 本的に、 ゲート電極 1 3 とカソード電極 1 1 に印加される電圧に よって制御される。
表示装置の設計において、 最も明るい表示を達成するための目 標輝度及びコントラス トが設定されると、 最も暗い表示を達成す るための目標輝度が導かれる。 そして、 この最も暗い表示を達成 するための目標輝度となるときの放出電子電流を得るために、 ゲ ート電極に印加される電圧 。と力ソード電極に印加される電圧 V c。との間の電圧差 A V ( = V G0 - V co) が求まる。 この電圧差 Δ V ( = V G0 - V co) を、 カッ トオフ電圧 V CUTと呼ぶ。
ところで、 電子放出部 1 5、 特にその尖端部を均一に製造する ことは、 一般に、 困難である。 そして、 電子放出部 1 5の電子放 出特性にばらつきが生じると、 電子放出領域 E A間の電子放出状
態にバラツキが生じる。 表示装置の動作電圧がカッ トオフ電圧 V CUTあるいはその近傍である場合、表示装置にあっては最も暗い表 示がなされている。 然るに、 カツ トオフ電圧 V あるいはその近 傍にあっても電子を放出する電子放出領域が存在する場合、 表示 装置全体としては最も喑ぃ表示がなされているものの、 係る電子 放出領域が輝点として認識されてしまう。
電子放出領域 E A間における輝度が不均一なものとなること を防止するために、 力ソード電極と電子放出部の間に抵抗体層を 形成する技術が、 例えば、 米国特許第 4, 9 4 0 , 9 1 6号や米 国特許第 5, 1 9 4 , 7 8 0号に開示されている。 '
これらの米国特許に開示された技術は、 放出電子電流が大きな 場合には、 電子放出領域 E A間における輝度を均一なものとする 効果がある。 しかしながら、 カツ トオフ電圧 V あるいはその近 傍にあっては放出電子電流が小さいが故に、 低い電圧差 Δ ν ( = V G0 - V co) であっても多量の電子を放出する電子放出領域が輝 点として認識されてしまうことを防止することができない。 従って、 本発明の目的は、 動作電圧がカツ トオフ電圧 V CUTある いはその近傍である場合であっても、 即ち、 冷陰極電界電子放出 表示装置全体として最も暗い表示がなされている場合にあって も、 輝点として認識される電子放出領域が存在しないようなカソ 一ドパネルを得るための力ソードパネルの処理方法、 並びに、 係 る力ソー ドパネルの処理方法を適用した冷陰極電界電子放出表 示装置の製造方法、 及び、 係る冷陰極電界電子放出表示装置の製 造方法によって得られる冷陰極電界電子放出表示装置を提供す ることにある。
発明の開示
上記の目的を達成するための本発明のカソー ドパネル処理方 法は、
内部が所定の圧力値 P。 とされた冷陰極電界電子放出表示装置 を製造するための、 複数の電子放出領域が 2次元マ トリ ックス状 に配列された力ソードパネルの処理方法であって、
( A) 力ソー ドパネルを、 内部が所定の圧力値 P t (但し、 P i > P。、 好ましくは、 Ρ ,^ Ρ ο) とされた処理室内に配置した後、
(Β ) 全ての電子放出領域に検査電圧 VINSを印加することで全 ての電子放出領域から電子を放出させ、 電子放出量が他の電子放 出領域に比べて多い電子放出領域において放電を生じさせるこ とを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の冷陰極電界電子放出表 示装置の製造方法は、
( A) 2次元マ ト リ ックス状に配列された複数の電子放出領域 を備えた力ソードパネルを、 内部が所定の圧力値 P , とされた処 理室内に配置した後、
( B ) 全ての電子放出領域に検査電圧 V INSを印加することで全 ての電子放出領域から電子を放出させ、 電子放出量が他の電子放 出領域に比べて多い電子放出領域において放電を生じさせ、 次い で、
( C) 放電が生じた電子放出領域の部分を、 放電が生じなかつ た電子放出領域の部分から分離する、
ことによって得られた力ソードパネルと、 基板上に形成された蛍 光体領域及びアノード電極から成るアノードパネルとを、 それら の周縁部で接合し、 且つ、 内部を所定の圧力値 P。 (但し、 P。<
P 好ましくは、 P n^ P t) とすることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の冷陰極電界電子放出.表 示装置は、
( A) 2次元マ トリ ックス状に配列された複数の電子放出領域 を備えた力ソードパネルを、 内部が所定の圧力値 P , とされた処 理室内に配置した後、
(B ) 全ての電子放出領域に検査電圧 VINSを印加することで全 ての電子放出領域から電子を放出させ、 電子放出量が他の電子放 出領域に比べて多い電子放出領域において放電を生じさせ、 次い で、 ,
( C) 放電が生じた電子放出領域の部分を、 放電が生じなかつ た電子放出領域の部分から分離する、
ことによって得られた力ソードパネルと、 基板上に形成された蛍 光体領域及びアノード電極から成るアノードパネルとが、 それら の周縁部で接合されて成り、 内部が所定の圧力値 P。 (但し、 P 0 < P 好ましくは、 P。 : Ρ とされていることを特徴とする。
本発明の力ソー ドパネル処理方法、 本発明の冷陰極電界電子放 出表示装置、 あるいは、 本発明の冷陰極電界電子放出表示装置の 製造方法 (以下、 これらを総称して、 単に、 本発明と略称する) にあっては、
処理室には検査用電極が備えられており、
前記工程 (Α) においては、 力ソードパネルを、 内部が所定の 圧力値 とされ、 検査用電極を備えた処理室内に、 電子放出領 域が検査用電極と対向するように配置し、
前記工程 (Β ) においては、 検査用電極に正の電圧を印加した 状態で、全ての電子放出領域に検査電圧 VINSを印加することで全
ての電子放出領域から検査用電極に向かって電子を放出させる 構成とすることが望ましい。
このような構成にあっては、 力ソードパネルを、 内部が所定の 圧力値 P , とされ、 検査用電極を備えた処理室内に、 電子放出領 域が検査用電極と対向するように配置するが、 具体的には、
( 1 ) 予め内部が所定の圧力値 P i とされた処理室内に力ソード パネルを搬入して、 電子放出領域が検査用電極と対向するように 力ソードパネルを配置する方法
( 2 ) 処理室内に、 力ソ一ドパネルを搬入して、 電子放出領域が 検査用電極と対向するように力ソードパネルを配置し fこ後、 内部 が所定の圧力値 となるように処理室の内部を排気する方法
( 3 ) 処理室内に、 力ソードパネルを搬入して、 内部が所定の圧 力値 となるように処理室の内部を排気した後、 電子放出領域 が検査用電極と対向するように力ソードパネルを配置する方法 のいずれを採用してもよい。
本発明にあっては、 圧力値 P。の値は、 通常、 1 0— 3 P a乃至 1 0 _6 P aのオーダーである。 また、 圧力値 の値は、 多数のカソ —ドパネルにおいて、 また、 種々の圧力値 P , において、 全ての 電子放出領域に検査電圧 V I NS を印加することで全ての電子放出 領域から電子を放出させ、 電子放出量が他の電子放出領域に比べ て多い電子放出領域において放電を生じさせるといった試験を 行い、 最終的に決定すればよいが、 例えば、 1 0 3 P。を満足 することが好ましい。 あるいは又、 の値を、 l P a乃至 I X 1 0 2 P a とすることが好ましい。 尚、 P ,の値が高すぎると (即 ち、 処理室内の真空度が悪いと)、 電子放出量が少ない電子放出 領域においても放電が生じる虞がある。 一方、 の値が低すぎ
ると (即ち、 処理室内が高真空であると)、 電子放出量が他の電 子放出領域に比べて多い電子放出領域においても放電が生じな い虞がある。
本発明において、 検査電圧 V I NSの値は、 多数の力ソードパネル において、 また、 種々の検査電圧 V I NSにおいて、 全ての電子放出 領域に検査電圧 V 1 NS を印加することで全ての電子放出領域から 電子を放出させ、 電子放出量が他の電子放出領域に比べて多い電 子放出領域において放電を生じさせるといった試験を行い、 最終 的に決定すればよいが、 例えば、 上記の好ましい形態を含む本発 明にあっては、 冷陰極電界電子放出表示装置のカッ トオフ電圧を V CUT としたとき、 例えば、 V CUT≤V INS≤ 1 . 1 V CUT を満足する ことが好ましい。
以上の好ましい形態を含む本発明の力ソー ドパネル処理方法 にあっては、 放電が生じた電子放出領域の部分を、 放電が生じな かった電子放出領域の部分から分離することが好ましい。 このよ うな形態の本発明の力ソー ドパネル処理方法、 本発明の冷陰極電 界電子放出表示装置の製造方法、 あるいは、 本発明の冷陰極電界 電子放出表示装置にあっては、 放電が生じた電子放出領域の部分 (以下、 放電箇所と呼ぶ場合がある) を放電が生じなかった電子 放出領域の部分 (以下、 非放電箇所と呼ぶ場合がある) から分離 する具体的な方法として、 顕微鏡や画像検査装置を用いることで 放電箇所を特定した後、 あるいは又、 放電に起因して短絡が発生 している場合には短絡箇所検査装置を用いることで放電箇所を 特定した後、 放電箇所を非放電箇所から分離する。
放電箇所を非放電箇所から分離する方法として、 外部からの物 理的あるいは化学的な作用に基づき放電箇所を除去する方法を
挙げることができ、 より具体的な方法として、 放電箇所の全部又 は一部分を、 レーザを用いて溶断 · 溶融する方法や、 リソグラフ ィ技術及びエッチング技術に基づき切断,除去する方法を挙げる ことができる。 あるいは又、 例えば、 第 2方向と平行に延びる帯 状の第 2電極 (ゲート電極) の形成時、 係る第 2方向と平行に延 びる 1又は複数の溝部 (切欠部) を、 第 1電極 (力ソード電極) と第 2電極 (ゲー ト電極) とが重複する重複領域における第 2電 極 (ゲート電極) の部分に併せて形成しておき、'放電箇所におい て溝部の端部に位置する領域を溶断, 溶融、 切断、 除去すること で、 放電箇所を非放電箇所から分離することができる。'あるいは 又、 レーザビームを走査することによって、 放電箇所を非放電箇 所から分離してもよいし、 場合によっては、 放電箇所を消滅させ てもよい。 短絡箇所を検査する方法として、 第 1電極 (力ソード 電極) と第 2電極 (ゲート電極) との間の電気抵抗値や異常発熱 を測定して短絡の有無を検査する方法、第 1電極(力ソード電極) と第 2電極 (ゲー ト電極) に電圧を印加して流れる電流を測定す る方法、 第 1電極 (力ソード電極) と第 2電極 (ゲート電極) に 電流を流して第 1電極 (力ソード電極) と第 2電極 (ゲート電極) との間の電圧を測定する方法を例示することができ、 これらの試 験は大気中 (室内等) にて行う ことができるが、 真空中で行って もよい。 あるいは又、 特表 2 0 0 1 — 5 1 2 2 3 9 に開示された 力ソードパネルの検査方法のように、 磁気ヘッ ドを用いて、 第 1 電極 (力ソード電極) や第 2電極 (ゲート電極) に流れる電流に よって誘導された磁束の変化から短絡した箇所を検出してもよ い。 尚、 第 1電極 (力ソード電極)、 第 2電極 (ゲー ト電極) に ついては、 後述する。
以上の好ましい形態を含む本発明にあっては、 検査電圧 VINS の値を一定とする構成とすることもできるし、検査電圧 VINS 値 を経時的に増加させる構成とすることもできる。 後者の場合、 検 査電圧 VINSの値の経時的な増加を、 直線状としてもよいし、 階段 状としてもよい。 また、 後者の場合、 限定するものではないが、 電子放出領域から放出された電子に基づく放出電子電流 (例えば、 検査用電極を流れる放出電子電流) を測定し、 放出電子電流の値 が所定の値となったならば、検査電圧 VINSの値の増加を中止する 構成とすることができる。 尚、 放出電子電流の所定の値は、 多数 の力ソードパネルにおいて、 全ての電子放出領域に検^電圧 V INS を印加することで全ての電子放出領域から電子を放出させ、 電子 放出量が他の電子放出領域に比べて多い電子放出領域において 放電を生じさせるといった試験を行い、 最終的に決定すればょレ 。
本発明にあっては、 検査電圧 v を、 正弦波や、 パルス状の直 流電圧とすることが好ましく、 後者の場合、 パルス占有率 (デュ 一ティ , ファクター) を 1 0 %乃至 9 0 %とすることが、 短い印 加時間で放電を生じさせるといった観点から好ましい。 尚、 検査 電圧 VINSを印加する時間 (電圧印加時間) は、 多数のカソードパ ネルにおいて、全ての電子放出領域に検査電圧 V 1NSを印加するこ とで全ての電子放出領域から電子を放出させ、 電子放出量が他の 電子放出領域に比べて多い電子放出領域において放電を生じさ せるといった試験を行い、 最終的に決定すればよい。 検査電圧 V INS を正弦波とする場合、 検査電圧 VINS の値を一定とする構成に あっては、 正弦波の波形を常に一定にする。 一方、 検査電圧 VINS の値を経時的に増加させる構成にあっては、 正弦波の振幅を経時 的に増加させる。 また、 検査電圧 V1NSをパルス状の直流電圧とす
る場合、 検査電圧 V INSの値を一定とする構成にあっては、 パルス 状の直流電圧の電圧値を常に一定にする。 一方、 検査電圧 V I NS の値を経時的に増加させる構成にあっては、 パルス状の直流電圧 の電圧値を経時的に増加させる。
各電子放出領域が冷陰極電界電子放出素子から構成されてい る場合、 力ソード電極に印加する電圧を V C_I NS、 ゲート電極に印 加する電圧を V (^N Sとしたとき、
V i NS— G一 I NS— V c— I NS
である。
'本発明において、 検査用電極に印加する正の電圧は、'力ソード パネルの処理時、全ての電子放出領域に検査電圧 V I NSを印加する ことによって生じた電界によって電子放出領域から放出された 電子が検査用電極に引き付けられ、 電子の衝突によって力ソード パネルの不所望の部位が帯電することを確実に防止することが できる電圧であればよく、例えば、 1キロポルト程度、あるいは、 それ以下とすることができる。 検査用電極に印加する電圧が高す ぎると、 検査用電極と電子放出領域との間で不所望の放電が生じ る虞がある。
検査用電極を備えた処理室は、 例えば、
上部が開口したハウジング、
ハウジング内に配置され、 力ソー ドパネルを載置するための検 査台、
八ウジング内を真空にするための真空手段、
第 1電極 (力ソード電極) 及び第 2電極 (ゲート電極) の端部 に接触し得る構造の検査電圧印加部、
ハウジングの開口した上部に取り付けられ、 検査用電極を有す
る検査用基板、 並びに、
検査用電極、 第 1電極 (力ソード電極) 及び第 2電極 (ゲー ト 電極) に電圧を印加するための電圧制御手段、
から構成することができる。
以上の好ましい形態を含む本発明において、 各電子放出領域は、 限定するものではないが、 第 1 の方向に延びる第 1電極、 第 1の 方向とは異なる第 2の方向に延びる第 2電極、 及び、 第 1電極と 第 2電極との重複領域に設けられた 1 又は複数の電子放出素子 から構成されていることが好ましい.。
ここで、 各電子放出領域は 1又は複数の電子放出素ギから構成 されているが、 各電子放出素子は、 例えば、
( a ) 支持体上に形成された力ソード電極、
( b ) 支持体及び力ソード電極を覆う絶縁層、
( c ) 絶縁層上に形成されたゲー ト電極、
( d ) 力ソー ド電極とゲー ト電極との重複領域に位置するゲー ト電極の部分及び絶縁層の部分に設けられた複数の開口部、 並び に、
( e ) 各開口部の底部に露出した電子放出部、
から構成された冷陰極電界電子放出素子 (以下、 電界放出素子と 略称する場合がある) から成り、 力ソード電極が第 1電極に相当 し、 ゲー ト電極が第 2電極に相当する構成とすることができる。 尚、 力ソード電極とゲート電極との重複領域が電子放出領域に相 当する。
本発明にあっては、 電子放出量が他の電子放出領域に比べて多 い電子放出領域において放電を生じさせるが、 電子放出領域が上 述した電界放出素子から構成されている場合、 電子放出領域にお
ける放電とは、 具体的には、 ゲート電極と電子放出部との間、 あ るいは、 ゲート電極と力ソード電極との間で生じる。 そして、 .こ のような放電が生じた場合、 ゲート電極の損傷に起因して、 ゲー ト電極と電子放出部との間、 あるいは、 ゲート電極と力ソード電 極との間に短絡が発生する場合がある。
電界放出素子は、 .通常、 以下の方法で製造される。
(ィ) 支持体上に力ソード電極を形成する工程、
(口) 全面 (支持体及び力ソード電極上) に絶縁層を形成する 工程、
(八) 絶縁層上にゲート電極を形成する工程、 '
(二) 力ソー ド電極とゲート電極との重複領域におけるゲー ト 電極及び絶縁層に開口部を形成し、 開口部の底部に力ソード電極 を露出させる工程、 .
(ホ) 開口部の底部に位置する力ソード電極上に電子放出部を 形成する工程。
あるいは又、 電界放出素子は、 以下の方法で製造することもで さる。
(ィ) 支持体上に力ソード電極を形成する工程、
(口) 力ソード電極上に電子放出部を形成する工程、
(八) 全面 (支持体及び電子放出部上、 あるいは、 支持体、 力 ソード電極及び電子放出部上) に絶縁層を形成する'工程、
(二) 絶縁層上にゲート電極を形成する工程、
(ホ) 力ソード電極とゲート電極との重複領域におけるゲート 電極及び絶縁層に開口部を形成し、 開口部の底部に電子放出部を 露出させる工程。
電界放出素子の型式は、 特に限定されず、 スピント型電界放出
素子、 エッジ型電界放出素子、 平面型電界放出素子、 扁平型電界 放出素子、クラウン型電界放出素子のいずれであってもよい。尚、 力ソード電極及びゲート電極はス トリ ップ形状を有し、 力ソード 電極の射影像とゲート電極の射影像とは、 直交することが、 冷陰 極電界電子放出表示装置の構造の簡素化といった観点から好ま しい。
電界放出素子には収束電極が備えられていてもよい。 即ち、 ゲ 一ト電極及び絶縁層上には更に層間絶縁層が設けられ、 層間絶縁 層上に収束電極が設けられている電界放出素子、 あるいは又、 ゲ ー ト電極の上方に収束電極が設けられている電界放出素子とす ることもできる。 ここで、 収束電極とは、 開口部から放出され、 アノード電極へ向かう放出電子の軌道を収束させ、 以て、 輝度の 向上や隣接画素間の光学的クロス トークの防止を可能とするた めの電極である。 アノード電極と力ソード電極との間の電位差が 数キロポルトのオーダーであって、 アノード電極と力ソード電極 との間の距離が比較的長い、 所謂高電圧タイプの冷陰極電界電子 放出表示装置において、 収束電極は特に有効である。 収束電極に は、 収束電極制御回路から相対的な負電圧が印加される。 収束電 極は、 必ずしも各電界放出素子毎に設けられている必要はなく、 例えば、 電界放出素子の所定の配列方向に沿って延在させること により、 複数の電界放出素子に共通の収束効果を及ぼすこともで きる。
力ソード電極、 ゲート電極、 収束電極の構成材料として、 アル ミニゥム (A l )、 タングステン (W )、 ニオブ (N b )、 タンタ ル (T a )、 モリブデン (M o )、 クロム ( C r )、 銅 (C u )、 金 ( A u )、 銀 ( A g )、 チタン ( T i )、 ニッケル ( N i )、 コバル
ト ( C o )、 ジルコニウム ( Z r )、 鉄 ( F e )、 白金 ( P t: )、 亜 鉛 ( Z n ) 等の金属 ; これらの金属元素を含む合金あるいは化合 物(例えば T i N等の窒化物や、 W S i 2、 M o S i 2、 T i S i 2、 T a S i 2等のシリサイ ド) ; シリコン ( S i ) 等の半導体 ; ダイ ャモンド等の炭素薄膜 ; I T O (酸化インジウム—錫)、 酸化ィ ンジゥム、 酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができ る。 また、 これらの電極の形成方法として、 例えば、 電子ビーム 蒸着法や熱フィ ラメン ト蒸着法といった蒸着法、 スパッ夕リ ング 法、 C V D法ゃィオンプレーティ ング法とエッチング法との組合 せ ; スク リーン印刷法 ; メツキ法 (電気メツキ法や無電解メツキ 法) ; リ フ トオフ法 ; レーザアブレ一シヨ ン法 ; ゾル -ゲル法等 を挙げることができる。 スク リーン印刷法ゃメツキ法によれば、 直接、 例えばス トリ ップ状のこれらの電極を形成することが可能 である。
絶縁層や層間絶縁層の構成材料として、 S i 〇2、 B P S G ( B o r o P h o s p h o S i 1 i c a t e d G l a s s )、 P S G ( P h o s p h o S i l i c a t e d G l a s s )、 B S G ( B o r o S i l i c a t e d G l a s s ), A s S G ( A s S i l i c a t e d G l a s s ), P b S G ( P b S i l i c a t e d G l a s s )、 S i O N、 S O G (スピン オングラス)、 低融点ガラス、 ガラスペース トといった S i 02系 材料 ; S i N系材料 ; ポリイミ ド等の絶縁性樹脂を、 単独あるい は適宜組み合わせて使用することができる。 絶縁層や層間絶縁層 の形成には、 C V D法、 塗布法、 スパッタリ ング法、 スク リーン 印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
力ソー ド電極と電子放出部との間に高抵抗膜を設けてもよい。
高抵抗膜を設けることによって、 電界放出素子の動作安定化、 電 子放出特性の均一化を図ることができる。 高抵抗膜を構成する材 料として、 シリ コンカーバイ ド ( S i C) や S i C Nといった力 一ボン系材料; S i N系材料; アモルファスシリコン等の半導体 材料 ; 酸化ルテニウム ( R u〇2)、 酸化タンタル、 酸化クロム、 酸化チタン等の高融点金属酸化物を例示することができる。 高抵 抗膜の形成方法として、 スパッタリ ング法や、 C V D法やスクリ ーン印刷法を例示することができる。 1つの電子放出部あたりの 電気抵抗値は、 概ね 1 ズ 1 06〜 1 ズ 1 0110、 好ましくは数十ギ ガ Ωとすればよい。 '
ゲート電極や絶縁層に設けられた開口部の平面形状 (支持体表 面と平行な仮想平面で開口部を切断したときの形状) は、 円形、 楕円形、 矩形、 多角形、 丸みを帯びた矩形、 丸みを帯びた多角形 等、 任意の形状とすることができる。 開口部の形成は、 例えば、 等方性エッチング、 異方性エッチングと等方性エッチングの組合 せによって行う ことができ、 あるいは又、 ゲート電極の形成方法 に依っては、 ゲー ト電極に開口部を直接形成することもできる。 絶縁層や層間絶縁層における開口部の形成も、 例えば、 等方性ェ ツチング、 異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによつ て行う ことができる。
力ソードパネルを構成する支持体として、 あるいは又、 ァノー ドパネルを構成する基板として、 ガラス基板、 表面に絶縁膜が形 成されたガラス基板、 石英基板、 表面に絶縁膜が形成された石英 基板、 表面に絶縁膜が形成された半導体基板を挙げることができ るが、 製造コス ト低減の観点からは、 ガラス基板、 あるいは、 表 面に絶縁膜が形成されたガラス基板を用いることが好ましい。 ガ
ラス基板として、 高歪点ガラス、 ソーダガラス (N a 20 * C a Ο · S i 〇2)、 硼珪酸ガラス (N a 20 . Β 203 · S i 〇2)、 フォ ルステラィ ト ( 2 M g O ' S i 〇2)、 鉛ガラス (N a 2〇 ' P b O · S i O 2) を例示することができる。
冷陰極電界電子放出表示装置において、 アノード電極は、 全体 として 1つのアノード電極から構成されていてもよいし、 複数の アノード電極ユニッ トから構成されていてもよい。 後者の場合、 アノー ド電極ュニッ ト とアノー ド電極ュニッ 卜とは抵抗体膜に よ て電気的に接続されている必要がある。 抵抗体膜を構成する 材料として、 シリ コンカーバイ ド ( S i C ) や S i C N'といった カーボン系材料 ; S i N系材料 ; 酸化ルテニウム (R u 02)、 酸 化タンタル、 酸化クロム、 酸化チタン等の高融点金属酸化物 ; ァ モルファスシリ コン等の半導体材料を挙げることができる。 抵抗 体膜のシ一ト抵抗値として、 1 X 1 0— ロ乃至 1 X 1 010Ω / □、 好ましくは 1 X 1 03Ω ロ乃至 1 X 1 08Ω Ζ口を例示する ことができる。 アノード電極ユニッ トの数 (Ν) は 2以上であれ ばよく、 例えば、 直線状に配列された蛍光体領域の列の総数を η 列としたとき、 Ν = ηとし、 あるいは、 η = 0! · Ν ( αは 2以上 の整数であり、 好ましくは 1 0≤ α≤ 1 0 0、 一層好ましくは 2 0≤ ≤ 5 0 ) としてもよいし、 一定の間隔をもって配設される スぺーサ(後述する)の数に 1 を加えた数とすることができるし、 ピクセルの数あるいはサブピクセルの数と一致した数、 あるいは、 ピクセルの数あるいはサブピクセルの数の整数分の一とするこ ともできる。 また、 各アノード電極ユニッ トの大きさは、 ァノ一 ド電極ュニッ トの位置に拘わらず同じとしてもよいし、 アノード 電極ュニッ トの位置に依存して異ならせてもよい。
冷陰極電界電子放出表示装置がカラー表示の場合、 直線状に配 列された蛍光体領域の 1列は、 全てが赤色発光蛍光体領域で占め られた列、 緑色発光蛍光体領域で占められた列、 及び、 青色発光 蛍光体領域で占められた列から構成されていてもよいし、 赤色発 光蛍光体領域、 緑色発光蛍光体領域、 及び、 青色発光蛍光体領域 が順に配置された列から構成されていてもよい。 ここで、 蛍光体 領域とは、 アノードパネル上において 1つの輝点を生成する蛍光 体領域であると定義する。 また、 1画素 ( 1 ピクセル) は、 1つ の赤色発光蛍光体領域、 1つの緑色発光蛍光体領域、 及び、 1つ の青色発光蛍光体領域の集合から構成され、 1サブピクセルは、 1つの蛍光体領域 ( 1つの赤色発光蛍光体領域、 あるいは、 1つ の緑色発光蛍光体領域、 あるいは、 1つの青色発光蛍光体領域) から構成される。 更には、 アノード電極ユニッ トにおける 1サブ ピクセルに相当する大きさとは、 1つの蛍光体領域を囲むァノ一 ド電極ユニッ トの大きさを意味する。
アノード電極 (アノード電極ユニッ トを包含する) は、 導電材 料層を用いて形成すればよい。 導電材料層の形成方法として、 例 えば、 電子ビーム蒸着法や熱フィ ラメント蒸着法といった蒸着法、 スパッタリ ング法、 イオンプレーティ ング法、 レーザアブレーシ ヨ ン法といった各種の P V D法; 各種の C V D法; スク リーン印 刷法 ; リフ トオフ法 ; ゾル—ゲル法等を挙げることができる。 即 ち、 導電材料から成る導電材料層を形成し、 リ ソグラフィ技術及 びエッチング技術に基づき、 この導電材料層をパターエングして アノード電極を形成することができる。 あるいは又、 アノード電 極のパターンを有するマスクゃスク リーンを介して導電材料を P V D法やスクリーン印刷法に基づき形成することによって、 ァ
ノード電極を得ることもできる。 尚、. 抵抗体膜も同様の方法で形 成することができる。 即ち、 抵抗体材料から抵抗体膜を形成し、 リ ソグラフィ技術及びエッチング技術に基づきこの抵抗体膜を パターニングしてもよいし、 あるいは、 抵抗体膜のパターンを有 するマスクやスク リーンを介して抵抗体材料の P V D法ゃスク リーン印刷法に基づく形成により、 抵抗体膜を得ることができる。 基板上(あるいは基板上方)におけるアノード電極の平均厚さ(後 述するように隔壁を設ける場合、 隔壁の頂面上におけるアノード 電極の平均厚さ) として、 3 X 1 0— 8m ( 3 0 n m) 乃至 1 . 5 X 1 0— 7m ( 1 5 0 n m)、 好ましくは 5 X 1 0 -8m ( 5 0 n m) 乃至 1 X 1 0— 7m ( 1 0 0 n m) を例示することができる。 尚、 検査用電極の構成は、 例えば、 アノード電極と同様とすることが できる。
アノード電極の構成材料は、 冷陰極電界電子放出表示装置の構 成によって適宜選択すればよい。 即ち、 冷陰極電界電子放出表示 装置が透過型 (アノードパネルが表示面に相当する) であって、 且つ、 棊板上にアノード電極と蛍光体領域がこの順に積層されて いる場合には、 基板は元より、 アノード電極自身も透明である必 要があり、 I T O (インジウム錫酸化物) 等の透明導電材料を用 いる。 一方、 冷陰極電界電子放出表示装置が反射型 (力ソードパ ネルが表示面に相当する) である場合、 及び、 透過型であっても 基板上に蛍光体領域とアノー ド電極とがこの順に積層されてい る場合には、 モリブデン (M o )、 アルミニウム ( A 1 )、 クロム ( C r )、 タングステン (W)、 ニオブ (N b )、 タンタル (T a )、 金 ( A u )、 銀 ( A g )、 チタン ( T i )、 コバルト ( C o )、 ジル コニゥム ( Z r )、 鉄 ( F e )、 白金 ( P t )、 亜鉛 ( Z n ) 等の
金属; これらの金属元素を含む合金あるいは化合物 (例えば T i N等の窒化物や、 W S i 2、 M o S i 2、 T i S i 2、 T a S i 2 等 のシリサイ ド) ; シリコン ( S i ) 等の半導体 ; ダイヤモンド等 の炭素薄膜 ; I T O (酸化インジウム一錫)、 酸化インジウム、 酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。 尚、 抵 抗体膜を形成する場合、 抵抗体膜の抵抗値を変化させない導電材 料からアノー ド電極を構成することが好ましく、 例えば、 抵抗体 膜をシリコンカーバイ ド ( S i C ) から構成した場合、 アノード 電極をモリブデン (M o ) から構成.することが好ましい。
+ アノー ド電極と蛍光体領域の構成例として、 ( 1 ) 板上に、 アノード電極を形成し、 アノード電極の上に蛍光体領域を形成す る構成、 ( 2 ) 基板上に、 蛍光体領域を形成し、 蛍光体領域上に アノード電極を形成する構成、 を挙げることができる。 尚、 ( 1 ) の構成において、 蛍光体領域の上に、 アノード電極と導通した所 謂メタルバック膜を形成してもよい。 また、 ( 2 ) の構成におい て、 アノード電極の上にメタルバック膜を形成してもよい。
ァノー ドパネルには、蛍光体領域から反跳した電子、あるいは、 蛍光体領域から放出された二次電子が他の蛍光体領域に入射し、 所謂光学的クロス トーク (色濁り) が発生することを防止するた めの隔壁が、 複数、 設けられている構成とすることもできる。
隔壁の平面形状として、 格子形状 (井桁形状)、 即ち、 1サブ ピクセルに相当する、 例えば平面形状が略矩形 (ドッ ト状) の蛍 光体領域の四方を取り囲む形状を挙げることができ、 あるいは、 略矩形あるいはス トライブ状の蛍光体領域の対向する二辺と平 行に延びる帯状形状あるいはス トライプ形状を挙げることがで きる。 隔壁を格子形状とする場合、 1つの蛍光体領域の領域の四
方を連続的に取り囲む形状としてもよいし、 不連続に取り囲む形 状としてもよい。 隔壁を帯状形状あるいはス トライプ形状とする 場合、連続した形状としてもよいし、不連続な形状としてもよい。 隔壁を形成した後、 隔壁を研磨し、 隔壁の頂面の平坦化を図って もよい。
隔壁の形成方法として、スク リーン印刷法、 ドライフィルム法、 感光法、サン ドブラス 卜形成法を例示することができる。 ここで、 スクリーン印刷法とは、 隔壁を形成すべき部分に対応するスクリ ーンの部分に開口が形成されており.、 スク リーン上の隔壁形成用 材料をスキージを用いて開口を通過させ、 基板上に隔 形成用材 料層を形成した後、 かかる隔壁形成用材料層を焼成する方法であ る。 ドライフィルム法とは、 基板上に感光性フィルムをラミネ一 トし、 露光及び現像によって隔壁形成予定部位の感光性フィルム を除去し、 除去によって生じた開口に隔壁形成用の材料を埋め込 み、 焼成する方法である。 感光性フィルムは焼成によって燃焼、 除去され、 開口に埋め込まれた隔壁形成用の材料が残り、 隔壁と なる。 感光法とは、 基板上に感光性を有する隔壁形成用材料層を 形成し、 露光及び現像によってこの隔壁形成用材料層をパ夕一二 ングした後、焼成を行う方法である。サンドブラス ト形成法とは、 例えば、 スク リーン印刷やロールコ一夕一、 ドクターブレード、 ノズル吐出式コ一夕一等を用いて隔壁形成用材料層を基板上に 形成し、 乾燥させた後、 隔壁を形成すべき隔壁形成用材料層の部 分をマスク層で被覆し、 次いで、 露出した隔壁形成用材料層の部 分をサンドブラス ト法によって除去する方法である。
蛍光体領域は、 単色の蛍光体粒子から構成されていても、 3原 色の蛍光体粒子から構成されていてもよい。 また、 蛍光体領域の
配列様式は、 ドッ ト状であっても、ス トライプ状であってもよい。 尚、 ドッ ト状やス トライプ状の配列様式においては、 隣り合う.蛍 光体領域の間の隙間がコン トラス ト向上を目的とした光吸収層 (ブラックマ トリ ックス) で埋め込まれていてもよい。
蛍光体領域は、 発光性結晶粒子 (例えば、 粒径 5〜 1 0 n m程 度の蛍光体粒子) から調製された発光性結晶粒子組成物を使用し、 例えば、 赤色の感光性の発光性結晶粒子組成物 (赤色蛍光体スラ リー) を全面に塗布し、 露光、 現像して、 赤色発光蛍光体領域を 形成し、 次いで、 緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物 (緑色蛍 光体スラリー) を全面に塗布し、 露光、 現像して、 緑 発光蛍光 体領域を形成し、更に、青色の感光性の発光性結晶粒子組成物(青 色蛍光体スラリー) を全面に塗布し、 露光、 現像して、 青色発光 蛍光体領域を形成する方法にて形成することができる。 基板上に おける蛍光体領域の平均厚さは、 限定するものではないが、 3 β m乃至 2 O m、 好ましくは 5 /z m乃至 1 O /i mであることが望 ましい。
発光性結晶粒子を構成する蛍光体材料としては、 従来公知の蛍 光体材料の中から適宜選択して用いることができる。 カラー表示 の場合、 色純度が N T S Cで規定される 3原色に近く、 3原色を 混合した際の白バランスがとれ、 残光時間が短く、 3原色の残光 時間がほぼ等しくなる蛍光体材料を組み合わせる ことが好まし い。 赤色発光蛍光体領域を構成する蛍光体材料として、 (Y2O3 :
E u )、 ( Y2OzS : E u )、 ( Y3A 1 5012: E u )、 ( Y2S i 05 : E u)、 ( Z n 3 ( P 04) 2 : M n ) を例示することができるが、 中 でも、 (Y203 : E u )、 ( Y 202 S : E u ) を用いることが好まし い。 また、 緑色発光蛍光体領域を構成する蛍光体材料として、 ( Z
n S i 02: Mn)、 ( S r 4S i 3〇8C 14: E u)、 (Z n S : C u , A l )、 (Z n S : C u, A u, A 1 )、 [( Z n , C d ) S : C u , A l ]、 (Y3A l 5012: T b)、 ( Y2S i 〇5: T b)、 [Y3 (A 1, G a ) 5012 : T b]、 (Z n B a〇4 : Mn)、 (G b B 03 : T b)、 (S r 6S i 03C 13 : E u)、 (B a M g A l 14023 : Mn)、 ( S c B 03 : T b)、 (Z n2S i 04 : Mn)、 (Z n O : Z n)、 ( G d 202S : T b)、 ( Z n G a 204 : M n ) を例示することができる が、 中でも、 (Z n S : C u, A l )、 (Z n S : C u , A u , A 1 )、 [( Z n , C d ) S : C u, A l ]、 ( Y 3 A 15 O 12 : T b )、 [ Y 3 ( A 1 , G a ) 5012: T b]、 ( Y2S i 〇5 : T b ) を いること が好ましい。 更には、 青色発光蛍光体領域を構成する蛍光体材料 として、 (Y2S i 〇5 : C e )、 ( C a W ό 4: P b ) , C aW04、 Y P Q.85V。.15〇4、 (B a M g A 114023 : E u )、 ( S r 2P 207 : E u )、 (S r 2P2〇7 : S n)、 (Z n S : A g , A 1 )、 (Z n S : A g )、 Z nMg O、 Z n G a〇4を例示することができるが、 中で も、 (Z n S : A g)、 ( Z n S : A g , A 1 ) を用いることが好 ましい。
蛍光体領域からの光を吸収する光吸収層が隔壁と基板との間 に形成されていることが、 表示画像のコントラス ト向上といった 観点から好ましい。 ここで、 光吸収層は、 所謂ブラックマ トリ ツ クスとして機能する。 光吸収層を構成する材料として、 蛍光体領 域からの光を 9 9 %以上吸収する材料を選択する ことが好まし い。 このような材料として、 カーボン、 金属薄膜 .(例えば、 クロ ム、 ニッケル、 アルミニウム、 モリブデン等、 あるいは、 これら の合金)、 金属酸化物 (例えば、 酸化クロム)、 金属窒化物 (例え ば、 窒化クロム)、 耐熱性有機樹脂、 ガラスペース ト、 黒色顔料
や銀等の導電性粒子を含有するガラスペース ト等の材料を挙げ ることができ、 具体的には、 感光性ポリィミ ド榭脂、 酸化クロム や、 酸化クロム Zクロム積層膜を例示することができる。 尚、 酸 化クロム Zクロム積層膜においては、 クロム膜が基板と接する。 光吸収層は、 例えば、 真空蒸着法やスパッタリ ング法とエツチン グ法との組合せ、 真空蒸着法やスパッタリ ング法、 スピンコーテ イ ング法とリ フ トオフ法との組合せに、 スク リーン印刷法、 リソ グラフィ技術等、 使用する材料に依存して適宜選択された方法に て形成することができる。
+冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、' アノードパ'ネルと力 ソードパネルとによって挟まれた空間が真空状態 (圧力 P。) と なっているが故に、 アノードパネルとカソ一ドパネルとの間にス ぺーサを配しておかないと、 大気圧によって冷陰極電界電子放出 表示装置が損傷を受けてしまう虞がある。 係るスぺ一サは、 例え ばセラミ ックスから構成することができる。 スぺーサをセラミ ツ クスから構成する場合、 セラミックスとして、 ムライ トやアルミ ナ、 チタン酸バリ ウム、 'チタン酸ジルコン酸鉛、 ジルコニァ、 コ 一ディオラィ ト、 硼珪酸塩バリゥム、 珪酸鉄、 ガラスセラミ ック ス材料、 これらに、 酸化チタンや酸化クロム、 酸化鉄、 酸化バナ ジゥム、 酸化ニッケルを添加したもの等を例示することができる。 この場合、 所謂グリーンシートを成形して、 グリーンシートを焼 成し、 かかるグリーンシート焼成品を切断することによってスぺ ーサを製造することができる。 また、 スぺ一サの表面に、 金属や 合金から成る導電材料層を形成し、 あるいは又、 高抵抗層を形成 し、 あるいは又、 二次電子放出係数の低い材料から成る薄層を形 成してもよい。 スぺーサは、 例えば、 隔壁と隔壁との間に挟み込
んで固定すればよく、 あるいは又、 例えば、 アノー ドパネルにス ぺーサ保持部を形成し、 スぺーサ保持部とスぺーサ保持部との間 に挟み込んで固定すればよい。
力ソー ドパネルとアノー ドパネルとを周縁部において接合す るが、 接合は接着層を Mいて行ってもよいし、 あるいは、 ガラス やセラミ ックス等の絶縁剛性材料から成る枠体と接着層とを併 用して行ってもよい。 枠体と接着層とを併用する場合には、 枠体 の高さを適宜選択することにより、 接着層のみを使用する場合に 比べ、 力ソードパネルとァノードパネルとの間の対向距離をより 長く設定することが可能である。尚、接着層の構成材料'としては、 フリ ッ トガラスが一般的であるが、 融点が 1 2 0〜 4 0 0 °C程度 の所謂低融点金属材料を用いてもよい。 かかる低融点金属材料と しては、 I n (イ ンジウム : 融点 1 5 7 °C ) ; インジウム—金系 の低融点合金 ; S n 8。A g 2。 (融点 2 2 0〜 3 7 0 )、 S n 95C u 5 (融点 2 2 7〜 3 7 0 °C) 等の錫 ( S n ) 系高温はんだ ; P b 97.5A g 2.5 (融点 3 0 4 °C)、 P b 94.5A g 5.5 (融点 3 0 4〜 3 6 5 °C)、 P b 97.5A g ,.5S nし。 (融点 3 0 9 ) 等の鉛 ( P b ) 系 高温はんだ ; Z n95A 1 5 (融点 3 8 0 ) 等の亜鉛 ( Z n ) 系高 温はんだ; S n 5 P b 95 (融点 3 0 0〜 3 1 4 °C )、 S n 2 P b 98 (融 点 3 1 6〜 3 2 2 °C) 等の錫—鉛系標準はんだ; A u 88G a 12 (融 点 3 8 1で) 等のろう材 (以上の添字は全て原子%を表す) を例 示することができる。
基板と支持体と枠体の三者を接合する場合、 三者同時接合を行 つてもよいし、 あるいは、 第 1段階で基板又は支持体のいずれか 一方と枠体とを先に接合し、 第 2段階で基板又は支持体の他方と 枠体とを接合してもよい。 三者同時接合や第 2段階における接合
を高真空雰囲気中で行えば、 基板と支持体と枠体と接着層とによ り囲まれた空間は、 接合と同時に真空となる。 あるいは、 三者の 接合終了後、 基板と支持体と枠体と接着層とによって囲まれた空 間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気を行う場合、 接合時の雰囲気の圧力は常圧ノ減圧のいずれであってもよく、 ま た、 雰囲気を構成する気体は、 大気であっても、 あるいは窒素ガ スゃ周期律表 0族に属するガス (例えば A rガス) を含む不活性 ガスであってもよい。
接合後に排気を行う場合、 排気は、 基板及び Z又は支持体に予 め接続されたチップ管を通じて行う ことができる。 チップ管は、 典型的にはガラス管を用いて構成され、 基板及び/又は支持体の 無効領域 (即ち、 有効領域以外の領域) に設けられた貫通孔の周 囲に、 フリ ッ トガラス又は上述の低融点金属材料を用いて接合さ れ、 空間が所定の真空度に達した後、 熱融着によって封じ切られ る。 尚、 封じ切りを行う前に、 冷陰極電界電子放出表示装置全体 を一旦加熱してから降温させると、 空間に残留ガスを放出させる ことができ、 この残留ガスを排気により空間外へ除去することが できるので好適である。
冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、 力ソー ド電極及びゲ ー ト電極に印加された電圧によって生じた強電界が電子放出部 に加わる結果、 量子トンネル効果により電子放出部から電子が放 出される。 そして、 この電子は、 アノードパネルに設けられたァ ノード電極によってアノードパネルへと引き付けられ、 蛍光体領 域に衝突する。 そして、 蛍光体領域への電子の衝突の結果、 蛍光 体領域が発光し、 画像として認識することができる。
冷陰極電界電子放出表示装置において、 力ソード電極はカソー
ド電極制御回路に接続され、 ゲート電極はゲート電極制御回路に 接続され、 アノード電極はアノード電極制御回路に接続されてい る。 尚、 これらの制御回路は周知の回路から構成することができ る。 アノード電極制御回路の出力電圧 VAは、 通常、 一定であり、 例えば、 5キロポルト〜 1 0キロポルトとすることができる。 あ るいは又、 アノー ドパネルとカソー ドパネルとの間の距離を d (但し、 0. 5 mm≤d≤ 1 0 mm) としたとき、 VAZd (単 位 : キロポルト Zmm) の値は、 0. 5以上 2 0以下、 好ましく は 1以上 1 0以下、 一層好ましくは 5以上 1 0以下を満足するこ どが望ましい。
冷陰極電界電子放出表示装置の実動作時、 力ソード電極に印加 する電圧 V。及びゲート電極に印加する亀圧 に関しては、 階調 制御方式として電圧変調方式を採用した場合、
( 1 ) 力ソード電極に印加する電圧 Ve を一定とし、 ゲー ト電極 に印加する電圧 V6を変化させる方式
( 2 ) 力ソード電極に印加する電圧 Ve を変化させ、 ゲート電極 に印加する電圧 V6を一定とする方式
( 3 ) 力ソード電極に印加する電圧 Ve を変化させ、 且つ、 ゲー ト電極に印加する電圧 Veも変化させる方式
がある。
本発明にあっては、 内部が所定の圧力値 P, (但し、 ,〉?。、 好ましくは、 Ρ,^Ρο) とされた処理室内に力ソー ドパネルを配 置した後、全ての電子放出領域に検査電圧 VINSを印加することで、 全ての電子放出領域から電子を放出させる。 ここで、 処理室内の 圧力は P, (但し、 ? ,> ?()) となっているが故に、 電子放出領域 において放電が生じ易い状態となっている。 従って、 例えば、 冷
陰極電界電子放出表示装置のカツ トオフ電圧 V CUT あるいはその 近傍の電圧を検査電圧 V I NS として全ての電子放出領域に印加し た場合であっても、 電子放出量が他の電子放出領域に比べて多い 電子放出領域においては放電が生じる。
それ故、 放電が生じた電子放出領域の部分を放電が生じなかつ た電子放出領域の部分から分離してしまえば、 動作電圧がカツ ト オフ電圧 V CUTあるいはその近傍である場合であっても、 即ち、 冷 陰極電界電子放出表示装置全体として最も暗い表示がなされて いる場合にあっても、 輝点として認識される電子放出領域が存在 せず、 均一な画像を表示し得る力ソードパネル、 更に 、 係る力 ソードパネルを組み込んだ冷陰極電界電子放出表示装置を提供 することができる。 図面の簡単な説明
第 1 図は、 スピント型冷陰極電界電子放出素子を適用した本発 明における冷陰極電界電子放出表示装置の概念的な一部端面図 である。
第 2 A図乃至第 2 B図は、 本発明の冷陰極電界電子放出表示装 置における力ソー ドパネルの一部分の模式的な斜視図である。
第 3図は、 冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパ ネルにおける隔壁、 スぺ一サ及び蛍光体領域の配置を模式的に示 す配置図である。
第 4図は、 冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパ ネルにおける隔壁、 スぺーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示 す配置図である。
第 5図は、 冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパ
ネルにおける隔壁、 スぺーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示 す配置図である。
第 6図は、 冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパ ネルにおける隔壁、 スぺーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示 す配置図である。
第 7図は、 冷陰極.電界電子放出表示装置を構成するアノードパ ネルにおける隔壁、 スぺーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示 す配置図である。
第 8図は、 冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノー ドパ ネルにおける隔壁、 スぺーサ及び蛍光体領域の配置を模'式的に示 す配置図である。
第 9図は、 カソードパネルの処理方法の実施に適した処理室の 概要を示す図である。
第 1 O A図乃至第 1 0 B図は、 スピント型冷陰極電界電子放出 素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面 図である。
第 1 1 A図乃至第 1 1 B図は、 第 1 0 B図に引き続き、 スピン ト型冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持 体等の模式的な一部端面図である。
第 1 2図は、 力ソードパネルの処理方法の実施に適した処 ¾室 の変形例の概要を示す図である。 ,
第 1 3図は、 収束電極を有するスピント型冷陰極電界電子放出 素子の模式的な一部端面図である。
第 1 4図は、 スピント型冷陰極電界電子放出素子を適用した従 来の冷陰極電界電子放出表示装置の概念的な一部端面図である。
第 1 5図は、 従来の冷陰極電界電子放出表示装置におけるカソ
—ドパネルの一部分の模式的な斜視図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 図面を参照して、 実施例に基づき本発明を説明する。 実施例 1
実施例 1 は、 本発明の力ソードパネル処理方法、 並びに、 冷陰 極電界電子放出表示装置 (以下、 単に、 表示装置と呼ぶ)、 及び、 その製造方法に関する。
実施例 1 の表示装置の模式的な一部端面図を第 1 図に示し、 力 ゾー ドパネルの一部分の模式的な斜視図を第 2 A図及び第 2 B 図に示す。 更には、 蛍光体領域等の配列を、 模式的な部分的平面 図として、 第 3図〜第 8図に例示する。 尚、 第 1 図に示すァノー ドパネル A Pの模式的な一部端面図における蛍光体領域等の配 列を、 第 4図あるいは第 6図に示す構成としている。 また、 第 3 図〜第 8図においてはアノード電極の図示を省略している。 実施 例 1 におけるアノードパネル A Pの模式的な斜視図は、 第 1 5図 に示したアノードパネル A Pと同様である。
実施例 1の表示装置は、 カソ一ドパネル C Pとァノードパネル A P とがそれらの周縁部で接合されて成り、 力ソー ドパネル C P とアノードパネル A Pとによって挟まれた空間は真空状態 (圧力 P 0) とされている。 そして、 力ソードパネル C Pは、 支持体 1 0、 及び、 この支持体 1 0上に 2次元マ トリ ックス状に配置、 配 列された電子放出領域 E Aから構成されている。 一方、 アノード パネル A Pは、 基板 2 0、 並びに、 この基板 2 0上に形成された 蛍光体領域 2 2 (カラー表示の場合、赤色発光蛍光体領域 2 2 R、 緑色発光蛍光体領域 2 2 G、青色発光蛍光体領域 2 2 B )、及び、
蛍光体領域 2 2 を覆うアノード電極 2 4から構成されている。 実施例 1 にあっては、 各電子放出領域 E Aは、 第 1の方向 (第
1 図の紙面と平行な方向) に延びる第 1電極、 第 1 の方向とは異 なる第 2の方向(第 1 図の紙面と垂直な方向)に延びる第 2電極、 及び、 第 1電極と第 2電極との重複領域に設けられた 1又は複数 の電子放出素子から構成されている。
そして、 各電子放出素子は、 具体的には、
( a ) 支持体 1 0上に形成されたカソ一ド電極 1 1 、
( b ) 支持体 1 0及びカソード電極 1 1 を覆う絶縁層 1 2 、 ( c ) 絶縁層 1 2上に形成されたゲート電極 1 3 、 '
( d ) 力ソー ド電極 1 1 とゲート電極 1 3 との重複領域に位置 するゲー ト電極 1 3の部分及び絶縁層 1 2 の部分に設けられた 複数の開口部 1 4 (ゲート電極 1 3 に設けられた第 1 開口部 1 4 Aと、 絶縁層 1 2 に設けられた第 2開口部 1 4 B )、 並びに、 ( e ) 各開口部 1 4の底部に露出した電子放出部 1 5 、
から構成された冷陰極電界電子放,出素子 (以下、 電界放出素子と 略称する) から成る。 そして、 力ソード電極 1 1が第 1電極に相 当し、 ゲート電極 1 3が第 2電極に相当し、 1つの電子放出領域 E Aが 1つのサブピクセルに相当する。
実施例 1 における電子放出部 1 5は、 円錐形の電子放出部から 構成されている。 即ち、 実施例 1 における電界放出素子は、 スピ ン卜型電界放出素子である。
力ソード電極 1 1 は第 1 の方向 (第 1 図の紙面と平行な方向) に延びるス トリ ップ状であり、 ゲート電極 1 3は第 1 の方向とは 異なる第 2の方向 (第 1図の紙面と垂直な方向) に延びるス トリ ップ状である (第 2 A図乃至第 2 B図も参照)。 こ こで、 カソ一
'ド電極 1 1 の射影像とゲー ト電極 1 3 の射影像とは直交してい る。 即ち、 第 1 の方向と第 2の方向とは直交している。 ス トリ ツ プ状のカゾー ド電極 1 1 とス ト リ ップ状のゲー ト電極 1 3 とが 重複する重複領域が電子放出領域 E Aに相当する。 1サブピクセ ルは、 力ソー ドパネル側の電子放出領域 E Aと、 この電子放出領 域 E Aに対面したアノー ドパネル側の蛍光体領域 2 2 とによつ て構成されている。 有効領域には、 かかる画素が、 例えば数十万 〜数百万個ものオーダーにて配列されている。
アノードパネル A Pは、 より具体的には、 基板 2 0、 基板 2 0 上に形成された隔壁 2 1 と隔壁 2 1 との間の基板 2 0上に形成 され、 多数の蛍光体粒子から成る蛍光体領域 2 2 (赤色発光蛍光 体領域 2 2 R、 緑色発光蛍光体領域 2 2 G、 青色発光蛍光体領域 2 2 B )、 及び、 蛍光体領域 2 2上に形成されたアノード電極 2 4を備えている。 アノード電極 2 4は、 有効領域を覆う薄い 1枚 のシート状であり、 アノード電極制御回路 3 2 に接続されている。 アノード電極 2 4は、 厚さ約 7 0 n mのアルミニウムから成り、 隔壁 2 1及び蛍光体領域 2 2 を覆う状態で設けられている。 蛍光 体領域 2 2 と蛍光体領域 2 2 との間であって、 隔壁 2 1 と基板 2 0 との間には、 表示画像の色濁り、 光学的クロス トークの発生を 防止するために、 光吸収層 (ブラックマ トリ ックス) 2 3が形成 されている。
隔壁 2 1 とスぺーサ 2 5 と蛍光体領域 2 2 の配置状態の一例 を模式的に第 3図〜第 8図に示す。 隔壁 2 1 の平面形状としては、 格子形状 (井桁形状)、 即ち、 1サブピクセルに相当する、 例え ば平面形状が略矩形の蛍光体領域 2 2の四方を取り囲む形状 (第 3図、 第 4図、 第 5図、 第 6図参照)、 あるいは、 略矩形の (あ
るいはス トリ ップ状の) 蛍光体領域 2 2の対向する二辺と平行に 延びる帯状形状 (ス トライプ形状) を挙げることができる (第 7 図及び第 8図参照)。 尚、 第 7図に示す蛍光体領域 2 2にあって は、 蛍光体領域 2 2 R, 2 2 G, 2 2 Bを、 第 7図の上下方向に 延びるス トリ ップ状とすることもできる。 隔壁 2 1の一部は、 ス ぺーサ 2 5を保持するためのスぺーサ保持部 2 6 としても機能 する。
実施例 1の表示装置において、 第 1図に示すように、 力ソード 電極 1 1は力ソード電極制御回路 3 0に接続され、 ゲー ト電極 1 3はゲート電極制御回路 3 1に接続され、 アノード電極' 2 4はァ ノード電極制御回路 3 2に接続されている。 これらの制御回路は 周知の回路から構成することができる。 アノード電極制御回路 3 2の出力電圧 VA は、 通常、 一定であり、 例えば、 5キロポルト 〜 1 0キロボルトとすることができる。 一方、 表示装置の実動作 時、 力ソー ド電極 1 1に印加する電圧 V (;及びゲー ト電極 1 3に 印加する電圧 V eに関しては、
( 1 ) 力ソード電極 1 1 に印加する電圧 Ve を一定とし、 ゲート 電極 1 3に印加する電圧 Vsを変化させる方式
( 2 ) 力ソード電極 1 1 に印加する電圧 V (; を変化させ、 ゲート 電極 1 3に印加する電圧 V6を一定とする方式
( 3 ) 力ソード電極 1 1 に印加する電圧 Ve を変化させ、 且つ、 ゲート電極 1 3に印加する電圧 Veも変化させる方式
のいずれを採用してもよい。
力ソー ド電極 1 1 には相対的に負電圧がカゾー ド電極制御回 路 3 0から印加され、 ゲート電極 1 3には相対的に正電圧がゲー ト電極制御回路 3 1から印加され、 7ノード電極 2 4にはゲート
電極 1 3 より も更に高い正電圧がアノー ド電極制御回路 3 2か ら印加される。かかる表示装置において表示を行う場合、例えば、 力ソー ド電極 1 1 に力ソー ド電極制御回路 3 0から走査信号を 入力し、 ゲート電極 1 3 にゲー ト電極制御回路 3 1からビデオ信 号を入力する。 尚、 力ソー ド電極 1 1 に力ソード電極制御回路 3 0からビデオ信号を入力し、 ゲー ト電極 1 3 にゲート電極制御回 路 3 1から走査信号を入力してもよい。 力ソード電極 1 1 とゲ一 ト電極 1 3 との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、 量子 トンネル効果に基づき電子放出部 1 .5から電子が放出され、 この 電子がアノード電極 2 4に引き付けられ、 アノー ド電極 2 4を通 過して蛍光体領域 2 2に衝突する。 その結果、 蛍光体領域 2 2が 励起されて発光し、 所望の画像を得ることができる。 つまり、 こ の表示装置の動作は、 基本的に、 ゲート電極 1 3 に印加される電 圧、 及び力ソード電極 1 1 を通じて電子放出部 1 5 に印加される 電圧によって制御される。
表示装置の内部は、 所定の圧力値 P。(例えば、 1 X 1 Q _4 P a ) となっている。 また、 表示装置のカッ トオフ電圧 V CUTは、 2 0ポ ル卜に設定されている。
以下、 実施例 1 のカソードパネルの処理方法及び表示装置の製 造方法を説明する。
[工程— 1 0 0 ]
先ず、 多数の電子放出領域 E A、 電界放出素子が形成された力 ソードパネル C Pを準備する。 電界放出素子の形成方法について は、 後述する。
[工程一 1 1 0 ]
そして、 この力ソー ドパネル C Pを、 内部が所定の圧力値
(但し、 P , > P。であり、 具体的には、 l P a ) とされ、 検査用 電極 1 1 1 を備えた処理室内に、 電子放出領域 E Aが検査用電極 1 1 1 と対向するように配置する。
具体的には、 第 9図に概念図を示す処理室 1 0 0 を使用する。 尚、力ソードパネル C Pを真空雰囲気中に配置しない場合、即ち、 大気中にて力ソー ド電極 1 1 とゲー ト電極 1 3 に電圧を印加し たのでは、 力ソー ド電極 1 1 とゲ一 ト電極 1 3 との間の耐圧が低 すぎ、 処理を行う ことができない。
この処理室 1 0 0は、
上部が開口したハウジング 1 0 1 、
ハウジング 1 0 1 内に配置され、 力ソードパネルを載置するた めの検査台 1 0 2 、
ハウジング 1 0 1内を真空にするための真空手段、
力ソー ド電極 1 1及びゲー ト電極 1 3 の端部に接触し得る構 造の検査電圧印加部 1 0 8 、
ハウジング 1 0 1 の開口した上部に取り付けられ、 検査用電極 1 1 1 を有する検査用基板 1 1 0、 並びに、
検査用電極 1 1 1、 力ソード電極 1 1及びゲー ト電極 1 3 に電 圧を印加するための電圧制御手段 1 1 2 、
から構成されている。
具体的には、 この処理室 1 0 0は、 上部が開口したハウジング 1 0 1 を具備する。 アルミニウム製又はステンレススチール製の ハウジング 1 0 1 内には、 検査台 1 0 2が配設されており、 検査 台 1 0 2の下には検査台昇降シリ ンダー 1 0 3が取り付けられ ている。 検査台昇降シリンダー 1 0 3は、 図示しない移動台座に 乗せられており、 検査台 1 0 2 ごと第 9図の紙面垂直方向に移動
可能である,。 検査台 1 0 2の下には、 更に、 ピン昇降シリ ンダー 1 0 4が取り付けられており、 ピン昇降シリ ンダー 1 0 4の作動 によって検査台 1 0 2 を貫通した孔内をピン 1 0 5が上下する。 ハウジング 1 0 1 は、 バルブ 1 0 7 を介して、 ターボ分子ポンプ 及びドライポンプ等から構成された真空手段 (図示せず) に繋が れており、 ハウジング 1 0 1 の雰囲気を真空にすることができる。 ハウジング 1 0 1 内には、 更に、 力ソー ド電極 1 1及びゲート電 極 1 3 の端部に接触し得る構造の検査電圧印加部 1 0 8が配置 されている。
'全ての力ソー ド電極 1 1 をそれらの端部において短絡させて おけば、 カソー ド電極 1 1 の端部に接触し得る構造の検査電圧印 加部 1 0 8は 1本でよい。 また、 全てのゲー ト電極 1 3をそれら の端部において短絡させておけば、 ゲート電極 1 3の端部に接触 し得る構造の検査電圧印加部 1 0 8は 1本でよい。 一方、 全ての 力ソード電極 1 1 を P個のブロックに分け、 各ブロックに属する 力ソード電極 1 1 をそれらの端部において短絡させておけば、 力 ソー ド電極 1 1 の端部に接触し得る構造の検査電圧印加部 1 0 8は P本でよい。 また、 全てのゲート電極 1 3 を Q個のブロック に分け、 各ブロックに属するゲート電極 1 3 をそれらの端部にお いて短絡させておけば、 ゲート電極 1 3の端部に接触し得る構造 の検査電圧印加部 1 0 8は Q本でよい。 表示装置の組立前に、 短 絡された力ソード電極 1 1 の端部を力ソー ド電極 1 1 と切り離 し、 短絡されたゲート電極 1 3の端部をゲート電極 1 3 と切り離 せば、 表示装置の実動作時、 それぞれの力ソード電極 1 1、 ゲ一 ト電極 1 3への電圧の印加を独立して行う ことができる。
ハウジング 1 0 1 の開口した上部には、 アルミニウム層から成
る検査用電極 1 1 1 を有する検査甩基板 1 1 0が取り付けられ ている。 また、 電庄制御手段 1 1 2が、 検査電圧印加部 1 0 8及 び検査用電極 1 1 1 に接続されている。
力ソードパネル C Pの処理に際しては、 上昇位置にあるピン 1 0 5上に力ソードパネル C Pを乗せ、 ピン昇降シリ ンダー 1 0 4 を動作させることによってピン 1 0 5 を下降させて、 力ソードパ ネル C Pを検査台 1 0 2 に載置する。 そして、 ハウジング 1 0 1 に設けられた扉 (図示せず) を介して、 検査台 i 0 2 に載置され た力ソードパネル C Pをハウジング.1 0 1 内に搬入した後、 ハウ ジング 1 0 1 内を真空手段によって真空雰囲気 (例えば、 P 1 = 1 P a程度) とする。 ハウジング 1 0 1 内の圧力はピラニーゲ一 ジ又はイオンゲージ等の圧力計 1 0 6 によって測定することが できる。
そして、 ハウジング 1 0 1 内が所望の雰囲気 (例えば、 P 圧力 1 P a ) となったならば、 検査台昇降シリ ンダー 1 0 3 を作 動させて、 検査台 1 0 2を上昇させ、 力ソードパネル C Pに設け られた電子放出領域 E Aが検査用電極 1 1 1 と対向するように カソードパネル C Pを配置する。 カソ一ドパネル C P と検査用基 板 1 1 0 との間の距離を、 例えば 5 m mとする。 併せて、 カソー ド電極 1 1及びゲート電極 1 3 の端部に検査電圧印加部 1 0 8 を接触させる。
[工程— 1 2 0 ]
そして、 電圧制御手段 1 1 2から検査電圧印加部 1 0 8 を介し て全ての力ソード電極 1 1 と全てのゲート電極 1 3 との間に、 2 0ポルトの検査電圧 V 1 NSを印加する。 更には、 電圧制御手段 1 1 2から検査用電極 1 1 1 に例えば 0 . 8キロポルトを印加する。
実施例 1 においては、 検査電圧 V I NSの値を一定としている。 即 ち、 パルス状の直流電圧の電圧値を常に一定としている。 具体的 には、 検査電圧 V I NSは、 6 0 H z のパルス状の直流電圧 ( = 2 0 ポルト) であり、 パルス占有率 (デューティ · ファクタ一) を 5 0 %とし、 電圧印加時間 (T ) を 1分間とする。
このよう に力ソー ド電極 1 1及びゲー ト電極 1 3 に検査電圧 V I NSを印加することによって、全ての電子放出領域 E Aから検査 用電極 1 1 1 に向かって電子を放出させる。 即ち、 力ソード電極 1 1及びゲー ト電極 1 3 に検査電圧. V 1 NS を印加することによつ て生じた電界に基づき、 電子放出部 1 5の先端部から量子トンネ ル効果に基づき電子が放出される。 そして、 この電子は、 検査用 基板 1 1 0 に設けられた検査用電極 1 1 1 に引き付けられる。 従 つて、 電子の衝突によって力ソードパネル C Pの不所望の部位が 帯電することを確実に防止することができる。
そして、 以上の操作により、 電子放出量が他の電子放出領域に 比べて多い電子放出領域において放電を生じさせる。 この放電が 生じた電子放出領域 E Aの部分を、 第 2 A図及び第 2 B図におい ては、 「放電箇所」 で示す。 電子放出領域. E Aにおける放電箇所 での放電は、ゲー ト電極 1 3 と電子放出部 1 5 との間、あるいは、 ゲート電極 1 3 とカソー ド電極 1 1 との間で生じる。 そして、 こ のような放電が生じた場合、 ゲー ト電極 1 3 の損傷に起因して、 ゲート電極 1 3 と電子放出部 1 5 との間、 あるいは、 ゲート電極 1 3 と力ソード電極 1 1 との間に短絡が発生する場合がある。 力ソードパネル C Pの処理完了後、 ハウジング 1 0 1 内の雰囲 気を大気雰囲気とし、 検査台昇降シリ ンダー 1 0 3 を作動させて、 検査台 1 0 2を下降させ、 力ソー ドパネル C Pが載置された検査
台 1 0 2 をハウジング 1 0 1から搬出する。
[工程— 1 3 0 ]
そして、 大気雰囲気中で、 放電箇所を検出する。 具体的には、 特表 2 0 0 1 ― 5 1 2 2 3 9に開示された方法や、 画像検査装置 を用いる方法、 電子放出部の電気抵抗値や異常発熱を測定して短 絡の有無を検査する配線短絡試験を採用すればよい。 そして、 ゲ ー ト電極 1 3 における検出された放電箇所の部分を、 他のゲート 電極 1 3の部分から分離する。 具体的には、 レーザを用いてゲ一 ト電極の部分を溶断する。 実施例 1 .においては、 ゲート電極 1 3 の形成時、 第 2の方向と平行に延びる 1本の溝部 (切欠部) 1 3 Aを重複領域におけるゲート電極 1 3 の部分に併せて形成して おく (第 2 A図参照)。 そして、 溝部 1 3 Aの端部に位置するゲ ート電極 1 3 の領域を、 第 2 B図に模式的に示すように、 レーザ 切断処理装置を用いて切断することで、 ゲー ト電極 1 3 における 検出された放電箇所の部分を他のゲー ト電極の部分から分離す ることができる。 第 1 図には、 他のゲー ト電極の部分から分離さ せたゲー ト電極 1 3 における検出された放電箇所の部分を分離 部として表す。
[工程一 1 4 0 ]
一方、 蛍光体領域 2 2、 アノード電極 2 4等が形成されたァノ ードパネル A Pを準備する。そして、表示装置の組み立てを行う。 具体的には、 例えば、 アノードパネル A Pの有効領域に設けられ たスぺーサ保持部 2 6 にスぺーサ 2 5 を取り付け、 蛍光体領域 2 2 と電子放出領域 E Aとが対向するよう にアノー ドパネル A P と力ソードパネル C Pとを配置し、 アノードパネル A Pとカソー ドパネル C P (より具体的には、 基板 2 0 と支持体 1 .0 ) とを、
セラミックスやガラスから作製された枠体(図示せず)を介して、 周縁部において接合する。 接合に際しては、 枠体とアノードパネ ル A Pとの接合部位、 及び、 枠体と力ソー ドパネル C Pとの接合 部位にフリ ツ トガラスを塗布し、 アノードパネル A P と力ソード パネル C Pと枠体とを貼り合わせ、 予備焼成にてフリ ッ トガラス を乾燥した後、 約 4 5 0 で 1 0〜 3 0分の本焼成を行う。 その 後、 アノードパネル A Pと力ソードパネル C Pと枠体とフリ ツ ト ガラス (図示せず) とによって囲まれた空間を貧通孔 (図示せず) 及びチップ管 (図示せず) を通じて.排気し、 空間の圧力 P。 が 1 0 _4 P a程度に達した時点でチップ管を加熱溶融により封じ切る。 このようにして、 アノードパネル A Pと力ソードパネル C Pと枠 体とに囲まれた空間を真空にすることができる。 あるいは又、 例 えば、 枠体とアノードパネル A Pと力ソードパネル C Pとの貼り 合わせを高真空雰囲気中で行ってもよい。 あるいは又、 表示装置 の構造に依っては、 枠体無しで、 接着層のみによってアノードパ ネル A Pと力ソードパネル C Pとを貼り合わせてもよい。 その後、 必要な外部回路との配線接続を行い、 表示装置を完成させる。
こう して得られた表示装置にあっては、 カッ トオフ電圧 V CUT あるいはその近傍での作動にあっても、 即ち、 冷陰極電界電子放 出表示装置全体として最も暗い表示がなされている場合にあつ ても、 輝点として認識される電子放出領域が存在しなくなり、 均 一性に優れた画像を得ることができる。
以下、 スピント型電界放出素子の製造方法を、 力ソードパネル を構成する支持体 1 0等の模式的な一部端面図である第 1 O A 図乃至第 1 O B図及び第 1 1 A図乃至第 1 I B図を参照して説 明する。
このスピント型電界放出素子は、 基本的には、 円錐形の電子放 出部 1 5 を金属材料の垂直蒸着により形成する方法によって得 ることができる。 即ち、 ゲー ト電極 1 3 に設けられた第 1 開口部 1 4 Aに対して蒸着粒子は垂直に入射するが、 第 1 開口部 1 4 A の開口端付近に形成されるオーバーハング状の堆積物による遮 蔽効果を利用して、第 2開口部 1 4 Bの底部に到達する蒸着粒子 の量を漸減させ、 円錐形の堆積物である電子放出部 1 5 を自己整 合的に形成する。 ここでは、 不要なオーバ一ハング状の堆積物の 除去を容易とするために、 ゲート電極 1 3及び絶縁層 1 2上に剥 離層 1 6を予め形成しておく方法について説明する。 尚、 電界放 出素子の製造方法を説明するための図面においては、 1つの電子 放出部のみを図示した。
[工程— A 0 ]
先ず、 例えばガラス基板から成る支持体 1 0の上に、 例えばポ リ シリ コンから成る力ソー ド電極用導電材料層をプラズマ C V D法にて成膜した後、 リソグラフィ技術及びドライエッチング技 術に基づき力ソー ド電極用導電材料層をパターニングして、 ス ト リ ップ状の力ソード電極 1 1 を形成する。 その後、 全面に S i O 2から成る絶縁層 1 2 を C V D法にて形成する。
[工程— A 1 ]
次に、 絶縁層 1 2上に、 ゲート電極用導電材料層 (例えば、 A 1 層) をスパッタリ ング法にて成膜し、 次いで、 ゲート電極用導 電材料層をリ ソグラフィ技術及びドライエッチング技術にてパ ターニングすることによって、 ス トリ ップ状のゲート電極 1 3を 得ることができる。 尚、 ゲート電極 1 3の形成時、 第 2の方向と 平行に延びる 1本の溝部 (切欠部) 1 3 A (第 1 O A図乃至第 1
O B図〜第 1 1 A図乃至第 1 I B図には図示せず) を重複領域に おけるゲート電極 1 3の部分に併せて形成しておく。 ス トリ ップ 状の力ソード電極 1 1 は、 図面の紙面左右方向に延び、 ス トリ ツ プ状のゲート電極 1 3は、 図面の紙面垂直方向に延びている。 ゲー ト電極 1 3 を、 真空蒸着法等の P V D法、 C VD法、 電気 メツキ法や無電解メツキ法といったメツキ法、 スク リーン印刷法、 レーザアブレーシヨ ン法、 ゾルーゲル法、 U フ トオフ法等の公知 の薄膜形成と、 必要に応じてエッチング技術とめ組合せによって 形成してもよい。 スクリーン印刷法ゃメツキ法によれば、 直接、 例えばス トリ ップ状のゲー ト電極を形成することが可能である。
[工程一 A 2 ]
その後、 再びレジス ト層を形成し、 エッチングによってゲート 電極 1 3 に第 1開口部 1 4 Aを形成し、 更に、 絶縁層に第 2開口 部 1 4 Bを形成し、 第 2開口部 1 4 Bの底部に力ソード電極 1 1 を露出させた後、 レジス ト層を除去する。 こうして、 第 1 0 A図 に示す構造を得ることができる。
[工程一 A 3 ]
次に、 支持体 1 0を回転させながらゲート電極 1 3上を含む絶 縁層 1 2上にニッケル (N i ) を斜め真空蒸着することにより、 剥離層 1 6 を形成する (第 1 0 B図参照)。 このとき、 支持体 1 0 の法線に対する蒸着粒子の入射角を十分に大きく選択するこ とにより (例えば、 入射角 6 5度〜 8 5度)、 第 2開口部 1 4 B の底部にニッケルを殆ど堆積させることなく、 ゲー ト電極 1 3及 び絶縁層 1 2の上に剥離層 1 6 を形成することができる。 剥離層 1 6は、 第 1 開口部 1 4 Aの開口端から庇状に張り出しており、 これによつて第 1 開口部 1 4 Aが実質的に縮径される。
[工程一 A 4 ]
次に、 全面に例えば導電材料としてモリブデン (M o ) を垂直 蒸着する (入射角 3度〜 1 0度)。 このとき、 第 1 1 A図に示す ように、 剥離層 1 6上でオーバーハング形状を有する導電材料層 1 7が成長するに伴い、 第 1 開口部 1 4 Aの実質的な直径が次第 に縮小されるので、.第 2開口部 1 4 Bの底部において堆積に寄与 する蒸着粒子は、 次第に第 1 開口部 1 4 Aの中央付近を通過する ものに限られるようになる。 その結果、 第 2開 tl部 1 4 Bの底部 には円錐形の堆積物が形成され、 この円錐形の堆積物が電子放出 部 1 5 となる。
[工程一 A 5 ]
その後、 第 1 1 B図に示すように、 リフ トオフ法にて剥離層 1 6 をゲート電極 1 3及び絶縁層 1 2の表面から剥離し、 ゲート電 極 1 3及び絶縁層 1 2 の上方の導電材料層 1 7 を選択的に除去 する。 次いで、 絶縁層 1 2に設けられた第 2開口部 1 4 Bの側壁 面を等方的なエッチングによって後退させることが、 ゲート電極 1 3の開口端部を露出させるといった観点から、 好ましい。 尚、 等方的なエッチングは、 ケミカルドライエッチングのようにラジ カルを主エッチング種として利用する ドライエッチング、 あるい はエッチング液を利用するウエッ トエッチングにより行う こと ができる。 エツチング液としては、 例えば 4 9 %フッ酸水溶液と 純水の 1 : 1 0 0 (容積比) 混合液を用いることができる。 こう して、 複数のスピント型電界放出素子が形成されたカソードパネ ルを得ることができる。
以上、 本発明を、 好ましい実施例に基づき説明したが、 本発明 はこの実施例に限定されるものではない。 実施例にて説明した力
ソードパネルやアノードパネル、 冷陰極電界電子放出表示装置や 冷陰極電界電子放出素子の構成、 構造は例示であり、 適宜変更す ることができるし、 アノードパネルや力ソー ドパネル、 冷陰極電 界電子放出表示装置や冷陰極電界電子放出素子の製造方法も例 示であり、 適宜変更することができる。 更には、 アノー ドパネル や力ソー ドパネルの製造において使用した各種材料も例示であ り、 適宜変更することができる。 表示装置においては、 専らカラ 一表示を例にとり説明したが、 単色表示とすることもできる。
実施例においては、 検査電圧 VINS0値を一定としたが、 検査電 圧 VINSの値を経時的に増加させる構成とすることもで 、 この場 合、検査電圧 VINSの値の経時的な増加を、直線状としてもよいし、 階段状としてもよい。 そして、 電子放出領域から放出された電子 に基づき検査用電極 1 1 1 を流れる放出電子電流を、 検査用電極 1 1 1 と電圧制御手段 1 1 2 との間に配置された電流計 (図示せ ず) によって測定し、 放出電子電流の値が所定の値となったなら ば、検査電圧 VINSの値の増加を中止する構成とすることもできる。
また、 本発明における放電箇所の検出方法として、 力ソードパ ネルから実際に電子を放出させる画像表示試験とすることもで きる。 画像表示試験に基づく力ソードパネルの処理方法の実施に 適した処理室 1 2 0の概要を第 1 2図に示す。 この処理室 1 2 0 にあっては、 ハウジング 1 0 1 の開口した上部に、 検査用電極 1 3 1及び蛍光体領域 1 3 2 を有する検査用基板 1 3 0が取り付 けられている。 そして、 検査用基板 1 3 0の上方には C C Dを有 する受像装置 1 4 0が配設されている。 ここで、 受像装置 1 4 0 は、 画像検査ユニッ ト 1 4 1 に接続されている。 尚、 処理室 1 2 0のその他の構成、 構造は、 処理室 1 0 0の構成、 構造と同様と
すればよいので、 詳細な説明は省略する。
そして、 実施例 1 の [工程— 1 2 0 ] と同様の工程において、 電圧制御手段 1 1 2から検査電圧印加部 1 0 8 を介して全ての 力ソード電極 1 1 と全てのゲート電極 1 3 との間に、 2 0ポルト の検査電圧 V I NSを印加し、 更には、 電圧制御手段 1 1 2から検査 用電極 1 1 1 に例えば 0 . 8キロポルトを印加する。 これによつ て、 電子放出領域 E Aから電子が放出され、 検査用基板 1 3 0 に 設けられた検査用電極 1 3 1 に引き付けられ、 蛮光体領域 1 3 2 に衝突する。 その結果、 電子放出量が他の電子放出領域に比べて 多い電子放出領域に対向する蛍光体領域 1 3 2が励起されて発 光し、 所望の画像 (輝点) として認識される。
かかる画像を受像装置 1 4 0 にて受像し、 受像装置 1 4 0から の信号を画像検査ュニッ ト 1 4 1 にて処理する。 そして、 輝点を 生じさせた.電子放出領域 E Aの位置を画像検査ュニッ ト 1 4 1 にて解析し、 図示しないディスプレイに表示する。 あるいは、 係 る電子放出領域 E Aの位置データをレーザ切断処理装置に送る。
あるいは又、 以下に説明する方法に基づき、 ゲー ト電極 1 3 に おける検出された放電箇所の部分を他のゲー ト電極 1 3 の部分 から分離してもよい。 即ち、 力ソードパネル C Pの全面にレジス ト層を塗布し、 光ビームを用いてレジス ト層を露光し、 レジス ト 層を現像することによって、 分離すべきゲート電極 1 3の部分を 露出させる。 そして、 ドライエッチング法に基づき露出したゲー ト電極 1 3の部分をエッチングすることによって切断あるいは 除去した後、 レジス ト層を除去する。
場合によっては、 ゲート電極における検出された放電箇所の部 分を、 他のゲート電極の部分から分離する代わりに、 力ソード電
極における検出された放電箇所の部分を、 他の力ソード電極の部 分から分離してもよく、 これによつても、 放電箇所は冷陰極電界 電子放出表示装置の表示動作に何ら影響を及ぼすことがなくな る。
電界放出素子においては、 専ら 1つの開口部に 1つの電子放出 部が対応する形態を説明したが、 電界放出素子の構造に依っては、
1つの開口部に複数の電子放出部が対応した形態、 あるいは、 複 数の開口部に 1 つの電子放出部が対応する形態とすることもで きる。 あるいは又、 ゲート電極に複数の第 1 開口部を設け、 絶縁 層にかかる複数の第 1 開口部に連通した複数の第 2 開'口部を設 け、 1又は複数の電子放出部を設ける形態とすることもできる。 電界放出素子において、 ゲート電極 1 3及び絶縁層 1 2の上に 更に眉間絶縁層 4 2 を設け、 層間絶縁層 4 2上に収束電極 4 3 を 設けてもよい。 このような構造を有する電界放出素子の模式的な —部端面図を第 1 3図に示す。 層間絶縁層 4 2 には、 第 1 開口部 1 4 Aに連通した第 3開口部 4 4が設けられている。 収束電極 4 3の形成は、 例えば、 [工程— A 2 ] において、 絶縁層 1 2上に ス ト リ ップ状のゲート電極 1 3 を形成した後、 層間絶縁層 4 2を 形成し、 次いで、 層間絶縁層 4 2上にパターニングされた収束電 極 4 3 を形成した後、 収束電極 4 3、 層間絶縁層 4 2 に第 3開口 部 4 4を設け、 更に、 ゲート電極 1 3 に第 1 開口部 1 4 Aを設け ればよい。 尚、 収束電極のパターエングに依存して、 1又は複数 の電子放出部、 あるいは、 1又は複数の画素に対応する収束電極 ュニッ トが集合した形式の収束電極とすることもでき、 あるいは 又、 有効領域を 1枚のシート状の導電材料で被覆した形式の収束 電極とすることもできる。 尚、 第 1 3図においては、 スピント型
電界放出素子を図示したが、 その他の電界放出素子とすることも できることは云うまでもない。
ゲート電極を、 有効領域を 1枚のシート状の導電材料 (開口部 を有する) で被覆した形式のゲート電極とすることもできる。 こ の場合には、 かかるゲート電極に正の電圧を印加する。 そして、 各.画素を構成するカソー ド電極とカソー ド電極制御回路との間 に、 例えば、 T F Tから成るスイッチング素子を設け、 かかるス イッチング素子の作動によって、 各画素を構成する電子放出部へ の印加状態を制御し、 画素の発光状態を制御する。
'あるいは又、 力ソード電極を、 有効領域を 1枚のシート状の導 電材料で被覆した形式の力ソード電極とすることもできる。 この 場合には、 かかる力ソード電極に電圧を印加する。 そして、 各画 素を構成する電子放出部とゲート電極制御回路との間に、 例えば、
T F Tから成るスイッチング素子を設け、 かかるスイッチング素 子の作動によって、 各画素を構成するゲート電極への印加状態を 制御し、 画素の発光状態を制御する。
本発明における冷陰極電界電子放出表示装置において、 電界放 出素子は如何なる形態の電界放出素子とすることもでき、 例えば、 実施例にて説明したように、 電界放出素子を、
( 1 ) 円錐形の電子放出部が開口部の底部に位置する力ソード電 極上に設けられたスピント型電界放出素子とするだけでなく、 電界放出素子を、
( 2 ) 略平面状の電子放出部が開口部の底部に位置する力ソード 電極上に設けられた扁平型電界放出素子
( 3 ) 王冠状の電子放出部が開口部の底部に位置する力ソード電 極上に設けられ、 電子放出部の王冠状の部分から電子を放出する
クラウン型電界放出素子
( 4 ) 平坦な力ソード電極の表面から電子を放出する平面型電界 放出素子
( 5 ) 凹凸が形成されたカゾード電極の表面の多数の凸部から電 子を放出するクレー夕型電界放出素子
( 6 ) カソ一ド電極のエツジ部から電子を放出するエッジ型電界 放出素子
とすることもできる。
スピント型電界放出素子にあっては、 電子放出部を構成する材 料として、 実施例にて説明したモリブデン以外にも、 夕'ンダステ ン、 タングステン合金、 モリブデン合金、 チタン、 チタン合金、 ニオブ、 ニオブ合金、 タンタル、 タンタル合金、 クロム、 クロム 合金、 及び、 不純物を含有するシリ コン (ポリ シリ コンゃァモル ファスシリコン) から成る群から選択された少なく とも 1種類の 材料を挙げることができる。 スピント型電界放出素子の電子放出 部は、 真空蒸着法の他、 例えばスパッタリ ング法や C V D法によ つても形成することができる。
扁平型電界放出素子にあっては、 電子放出部を構成する材料と して、 力ソード電極を構成する材料より も仕事関数 Φの小さい材 料から構成することが好ましく、 どのような材料を選択するかは、 力ソード電極を構成する材料の仕事関数、 ゲー ト電極と力ソード 電極との間の電位差、 要求される放出電子電流密度の大きさ等に 基づいて決定すればよい。 電界放出素子における力ソード電極を 構成する代表的な材料として、タングステン( Φ = 4. 5 5 e V)、 ニオブ (Φ = 4. 0 2〜 4. 8 7 e V)、 モリブデン (Φ = 4. 5 3〜 4. 9 5 e V)、 アルミニウム (Φ = 4. 2 8 e V)、 銅 ( Φ
= 4 · 6 e V)、 タンタル (Φ = 4. 3 e V)、 クロム (Φ = 4. 5 e V)、 シリコン (Φ = 4. 9 e V) を例示することができる。 電子放出部は、 これらの材料よりも小さな仕事関数 Φを有してい ることが好ましく、 その値は概ね 3 e V以下であることが好まし い。 かかる材料として、 炭素 ( Φ < 1 e V)、 セシウム ( Φ = 2. 1 4 e V)、 L a B 6 ( Φ = 2. 6 6〜 2. 7 6 e V)、 B a O ( Φ = 1 . 6〜 2. 7 e V)、 S r O ( Φ = 1 . 2 5〜 : L . 6 e V)、 Y 203 ( Φ = 2. O e V), C a O (Φ = 1. 6〜 1 . 8 6 e V)、 B a S ( Φ = 2. 0 5 e V )、 T i N ( Φ = 2. 9 2 e V)、 Z r N ( Φ = 2. 9 2 e V) を例示することができる。 仕 関数 が 2 e V以下である材料から電子放出部を構成することが、 一層好 ましい。 尚、 電子放出部を構成する材料は、 必ずしも導電性'を備 えている必要はない。
あるいは又、 扁平型電界放出素子において、 電子放出部を構成 する材料として、 かかる材料の 2次電子利得 δが力ソード電極を 構成する導電性材料の 2次電子利得 δ よ り も大きくなるような 材料から適宜選択してもよい。 即ち、 銀 (A g )、 アルミニウム ( A 1 )、 金 ( A u )、 コバルト ( C o )、 銅 ( C u )、 モリブデン (M o ), ニオブ (N b )、 ニッケル (N i )、 白金 ( P t: )、 タン タル (T a )、 タングステン (W)、 ジルコニウム ( Z r ) 等の金 属 ; シリ コン ( S i )、 ゲルマニウム (G e ) 等の半導体 ; 炭素 やダイヤモンド等の無機単体;及び酸化アルミニウム( A 1 203)、 酸化バリウム (B a 0)、 酸化ベリ リウム ( B e 0)、 酸化カルシ ゥム (C a O)、 酸化マグネシウム (M g O)、 酸化錫 ( S n〇2)、 フッ化バリウム ( B a F 2)、 フッ化カルシウム ( C a F 2) 等の化 合物の中から、 適宜選択することができる。 尚、 電子放出部を構
成する材料は、 必ずしも導電性を備えている必要はない。
扁平型電界放出素子にあっては、 特に好ましい電子放出部の構 成材料として、 炭素、 より具体的にはアモルファスダイヤモンド やグラフアイ ト、 カーボン , ナノチューブ構造体、 Z n Oゥイス カー、 M g Oゥイスカー、 S n O 2 ゥイスカー、 M n Oウイスカ ―、 Y 20 3 ゥイスカー、 N i 0ゥイスカー、 I T Oゥイス力一、 I n 2〇3ゥイスカー、 A 1 20 3ゥイスカーを挙げることができる。 電子放出部をこれらから構成する場合、 5 X I 0 7 V Z m以下の電 界強度にて、 冷陰極電界電子放出表示装置に必要な放出電子電流 密度を得ることができる。 また、 アモルファスダイヤモンドは電 気抵抗体であるため、 各電子放出部から得られる放出電子電流を 均一化することができ、 よって、 冷陰極電界電子放出表示装置に 組み込まれた場合の輝度ばらつきの抑制が可能となる。 更に、 こ れらの材料は、 冷陰極電界電子放出表示装置内の残留ガスのィォ ンによるスパッ夕作用に対して極めて高い耐性を有するので、 電 界放出素子の長寿命化を図ることができる。
カーボン ·ナノチューブ構造体として、具体的には、 カーボン - ナノチューブ及びノ又はグラフアイ ト *ナノファイバーを挙げる ことができる。 より具体的には、 カーボン · ナノチューブから電 子放出部を構成してもよいし、 グラフアイ ト , ナノファイバ一か ら電子放出部を構成してもよいし、 カーボン ' ナノチューブとグ ラファイ ト *ナノファイバ一の混合物から電子放出部を構成して もよい。 カーボン · ナノチューブやグラフアイ 卜 · ナノファイバ 一は、 巨視的には、 粉末状であってもよいし、 薄膜状であっても よいし、 場合によっては、 カーボン · ナノチューブ構造体は円錐 状の形状を有していてもよい。 カーボン · ナノチューブやグラフ
アイ ト ' ナノファイバ一は、 周知のアーク放電法やレーザアブレ
——ンョ ン法といった P V D法、 プラズマ C V D法やレーザ C V D 法、 熱 C V D法、 気相合成法、 気相成長法といった各種の C V D 法によって製造、 形成することができる。
扁平型電界放出素子を、 カーボン · ナノチューブ構造体や上記 の各種ウイスカー (以下、 これらを総称して、 カーボン · ナノチ ユーブ構造体等と呼ぶ) をバインダー材料に分散させたものを力 ソード電極の所望の領域に例えば塗布した後、 パインダー材料の 焼成あるいは硬化を行う方法 (より具体的には、 エポキシ系樹脂 やアク リル系樹脂等の有機系バイ ンダー材料や水ガラス等の無 機系バインダー材料にカーボン ·ナノチューブ構造体等を分散し たものを、 力ソード電極の所望の領域に例えば塗布した後、 溶媒 の除去、 バインダー材料の焼成 ·硬化を行う方法) によって製造 することもできる。 尚、 このような方法を、 カーボン · ナノチュ ーブ構造体等の第 1 の形成方法と呼ぶ。 塗布方法として、 スクリ ーン印刷法を例示することができる。
あるいは又、 扁平型電界放出素子を、 カーボン · ナノチューブ 構造体等が分散された金属化合物溶液を力ソー ド電極上に塗布 した後、 金属化合物を焼成する方法によって製造することもでき、 これによつて、 金属化合物を構成する金属原子を含むマ トリ ック スにてカーボン,ナノチューブ構造体等が力ソード電極表面に固 定される。 尚、 このような方法を、 カーボン · ナノチューブ構造 体等の第 2の形成方法と呼ぶ。 マ ト リ ックスは、 導電性を有する 金属酸化物から成ることが好ましく、 より具体的には、 酸化錫、 酸化インジウム、 酸化インジウム一錫、 酸化亜鉛、 酸化アンチモ ン、 又は、 酸化アンチモン一錫から構成することが好ましい。 焼
成後、 各カーボン · ナノチューブ構造体等の一部分がマ トリ ック スに埋め込まれている状態を得ることもできるし、 各 ーボン . ナノチューブ構造体等の全体がマ ト リ ックスに埋め込まれてい る状態を得ることもできる。 マトリ ックスの体積抵抗率は、 I X 1 0— 9 Ω ' m乃至 5 X 1 0 -6 Ω ' mであることが望ましい。
金属化合物溶液を構成する金属化合物として、 例えば、 有機金 属化合物、 有機酸金属化合物、 又は、 金属塩 (例えば、 塩化物、 硝酸塩、 酢酸塩) を挙げることができる。 有機酸金属化合物から 構成された金属化合物溶液として、 具体的には、 有機錫化合物、 有機インジウム化合物、 有機亜鉛化合物、 有機アンチモン化合物 を酸 (例えば、 塩酸、 硝酸、 あるいは硫酸) に溶解し、 これを有 機溶媒 (例えば、 トルエン、 酢酸プチル、 イソプロピルアルコー ル) で希釈したものを挙げることができる。 また、 有機金属化合 物から構成された金属化合物溶液として、 具体的には、 有機錫化 合物、 有機インジウム化合物、 有機亜鉛化合物、 有機アンチモン 化合物を有機溶媒 (例えば、 トルエン、 酢酸プチル、 イソプロピ ルアルコール) に溶解したものを例示することができる。 金属化 合物溶液を 1 0 0重量部としたとき、 カーボン · ナノチューブ構 造体等が 0 . 0 0 1 〜 2 0重量部、 金属化合物が 0 . 1 〜 1 0重 量部、含まれた組成とすることが好ましい。金属化合物溶液には、 分散剤や界面活性剤が含まれていてもよい。 また、 マト リ ックス の厚さを増加させるといった観点から、 金属化合物溶液に、 例え ばカーボンブラック等の添加物を添加してもよい。 また、 場合に よっては、 有機溶媒の代わりに水を溶媒として用いることもでき る。
カーボン ·ナノチューブ構造体等が分散された金属化合物溶液
を力ソード電極上に塗布する方法として、 スプレー法、 スピンコ 一ティ ング法、 デイ ツピング法、 ダイクオーター法、 スク リーン 印刷法を例示することができるが、 中でもスプレー法を採用する ことが塗布の容易性といった観点から好ましい。
カーボン 'ナノチューブ構造体等が分散された金属化合物溶液 を力ソード電極上に塗布した後、 金属化合物溶液を乾燥させて金 属化合物層を形成し、 次いで、 力ソード電極上の金属化合物層の 不要部分を除去した後、 金属化合物を焼成してもよいし、 金属化 合物を焼成した後、 力ソード電極上の不要部分を除去してもよい し、 力ソード電極の所望の領域上にのみ金属化合物溶 を塗布し てもよい。
金属化合物の焼成温度は、 例えば、 金属塩が酸化されて導電性 を有する金属酸化物となるような温度、 あるいは又、 有機金属化 合物や有機酸金属化合物が分解して、 有機金属化合物や有機酸金 属化合物を構成する金属原子を含むマトリ ックス (例えば、 導電 性を有する金属酸化物)が形成できる温度であればよく、例えば、 3 0 0 以上とすることが好ましい。 焼成温度の上限は、 電界放 出素子あるいは力ソー ドパネルの構成要素に熱的な損傷等が発 生しない温度とすればよい。
カーボン ·ナノチューブ構造体等の第 1 の形成方法あるいは第 2の形成方法にあっては、 電子放出部の形成後、 電子放出部の表 面の一種の活性化処理 (洗浄処理) を行う ことが、 電子放出部か らの電子の放出効率の一層の向上といった観点から好ましい。 こ のような処理として、水素ガス、アンモニアガス、ヘリウムガス、 アルゴンガス、 ネオンガス、 メタンガス、 エチレンガス、 ァセチ レンガス、 窒素ガス等のガス雰囲気中でのプラズマ処理を挙げる
ことができる。
カーボン ·ナノチューブ構造体等の第 1 の形成方法あるいは第 2の形成方法にあっては、 電子放出部は、 開口部の底部に位置す る力ソード電極の部分の表面に形成されていればよく、 開口部の 底部に位置する力ソー ド電極の部分から開口部の底部以外の力 ソー ド電極の部分の表面に延在するよう に形成されていてもよ い。 また、 電子放出部は、 開口部の底部に位置する力ソード電極 の部分の表面の全面に形成されていても、 部分的に形成されてい てもよい。
表面伝導型電界放出素子と通称される電界放出素子から電子 放出領域を構成することもできる。 この表面伝導型電界放出素子 は、 例えばガラスから成る支持体上に酸化錫 ( S n〇2)、 金 (A u )、 酸化インジウム ( I n 20 3) ノ酸化錫 ( S n 0 2)、 カーボン、 酸化パラジウム ( P d O ) 等の導電材料から成り、 微小面積を有 し、 所定の間隔 (ギヤップ) を開けて配された一対の電極がマト リ ックス状に形成されて成る。 それぞれの電極の上には炭素薄膜 が形成されている。 そして、 一対の電極の内の一方の電極に行方 向配線 (第 1電極) が接続され、 一対の電極の内の他方の電極に 列方向配線 (第 2電極) が接続された構成を有する。 一対の電極 に電圧を印加することによって、 ギャップを挾んで向かい合った 炭素薄膜に電界が加わり、 炭素薄膜から電子が放出される。 かか る電子をアノー ドパネル上の蛍光体層に衝突させることによつ て、 蛍光体層が励起されて発光し、 所望の画像を得ることができ る。